JP2021178899A - アンカーコート剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分バリア性積層フィルム中に形成される水分トラップ層に関して、高温高湿雰囲気においても、該水分トラップ層からの水分の放出を有効に抑制する下地膜を形成し得るアンカーコート剤を提供する。【解決手段】水分バリア性積層フィルム中の水分トラップ層の下地膜の形成に使用されるアンカーコート剤において、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物と有機溶媒とを含み、前記(メタ)アクリル樹脂の0.5〜97質量%がグリシジル基含有(メタ)アクリレートに由来し、且つ該(メタ)アクリル樹脂の1質量%以上は、10mgKOH/g以上の水酸基価を示すことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、水分バリア性積層フィルム中に設けられる水分トラップ層の下地となるアンカーコートを形成するためのアンカーコート剤に関するものであり、さらには、該アンカーコート剤によって形成される水分遮断性の硬化膜にも関する。
各種プラスチック基材の特性、特にガスバリア性を改善するための手段として、プラスチック基材の表面に、蒸着により、ケイ素酸化物などからなる無機薄膜(無機バリア層)を形成することが知られており(特許文献1)、このような無機薄膜を備えたフィルムは、バリアフィルムとして広く使用されている。
また、近年において開発され、実用されている各種の電子デバイス、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパーなどでは高度の水分バリア性も要求される。このような要求を満たすため、水分トラップ層が積層された構造を有する水分バリア性積層体が本出願人により提案されている(特許文献2)。
上記のような水分トラップ層は、蒸着等によりプラスチックフィルムの表面に形成されている無機バリア層上に、水分トラップ層形成用の塗布組成物を塗布し、硬化させることにより成膜されるものである。
特許文献2に記載された水分バリア性積層体は、優れた水分バリア性を示し、例えば有機ELなどの電子デバイスの封止材として使用される。
ところで、最近では、各種電子機器の高性能化に伴い、要求される水分バリア性の程度が向上している。従って、封止材として使用される水分バリア性積層フィルムが、このような要求を満足させ得る高い水分バリア性を有しているかを確認することが必要である。このような品質試験は、電子機器が使用される通常の湿度雰囲気よりもかなり高いレベル高温高湿度雰囲気下で劣化促進させて行われることとなる。
しかしながら、従来公知の水分バリア性積層フィルムは、高湿度環境、特に劣化促進試験の様な高温高湿度雰囲気で水分バリア性を測定した場合、その層間密着力や水分バリア性が大きく低下するという問題があり、さらなる改良が必要となっている。
このような層間密着力や水分バリア性の低下は、水分トラップ層がアルカリ成分を含んでおり且つ高温高湿度環境では水分トラップ層中に多くの水分がトラップされ、トラップされた水分がアルカリ成分と共に他の層に浸透していくことにより他の層、例えば無機バリア層の劣化を生じさせるためであると考えられる。
特開2000−255579号公報 特開2015−96320号
従って、本発明の目的は、水分バリア性積層フィルム中に形成される水分トラップ層に関して、高温高湿雰囲気においても、該水分トラップ層からの水分の放出を有効に抑制する下地膜を形成し得るアンカーコート剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のアンカーコート剤を塗布し硬化することにより形成される硬化膜を提供することにある。
高温高湿度雰囲気での水分バリア性に優れた水分バリア性については、先に、特願2019−087677号において、無機バリア層(A1)をプラスチックフィルム(A)と、アルカリ成分含有水分トラップ層(B)とを含み、且つ85℃以上、相対湿度85%以上の高温高湿度雰囲気下での劣化促進試験に使用される水分バリア性積層フィルムにおいて、前記無機バリア層(A1)と水分トラップ層(B)との間に、コーティング層(C)が設けられており、前記コーティング層(C)が40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下である重合体により形成されていることを特徴とする水分バリア性積層フィルムが提案されている。
即ち、上記の水分バリア積層フィルムは、アルカリ成分含有水分トラップ層(B)と無機バリア層(A1)との間に、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下の非水系重合体からなるコーティング層(C)を設けることにより、水分トラップ層(B)や無機バリア層(A1)が有するバリア性が十分に発揮され、85℃以上、相対湿度85%以上の高温高湿度雰囲気下でも優れた水分バリア性を示すというものである。
本発明者等は、上記先願(特願2019−087677号)の技術をさらに推し進め、水分トラップ層の下地膜が、一定の透湿度と共に、一定の貯蔵弾性率E´を有していることにより、高温高湿下においてもアルカリ成分を含む水分の透過が有効に抑制され、このような水分透過による水分バリア性の劣化をより長期にわたって抑制し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、水分バリア性積層フィルム中の水分トラップ層の下地膜の形成に使用されるアンカーコート剤において、
(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物と有機溶媒とを含み、
前記(メタ)アクリル樹脂の0.5〜97質量%がグリシジル基含有(メタ)アクリレートに由来し、且つ該(メタ)アクリル樹脂の1質量%以上は、10mgKOH/g以上の水酸基価を示すことを特徴とするアンカーコート剤が提供される。
本発明のアンカーコート剤は、下記の態様を好適に採用することができる。
(1)前記(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物とが有機溶媒中に溶解もしくは分散されており、固形分濃度が1〜60質量%の範囲にあること。
(2)前記イソシアネート化合物の1質量%以上が、重量平均分子量が400〜1200の範囲にあるポリイソシアネートであること。
(3)前記(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との合計量当り0.02〜1.0質量%の範囲で触媒を含有していること。
(4)前記触媒が金属触媒であること。
(5)重合硬化により、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であり、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上の硬化物が形成されること。
(6)前記硬化物が、ウレタン(メタ)アクリレート重合体であり、85℃以上の高ガラス転移点を有すること。
本発明によれば、また、水分バリア性積層フィルム中に形成されている硬化膜であり、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応により得られ、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であり、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上の範囲にある硬化膜が提供される。
本発明のアンカーコート剤は、特に水分バリア性積層フィルム中に設けられている水分トラップ層の下地膜の形成に使用され、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物と有機溶媒とを含む溶剤系のコーティング組成物であり、該(メタ)アクリル樹脂の0.5〜97質量%がグリシジル基含有(メタ)アクリレートに由来し、且つ該(メタ)アクリル樹脂の1質量%以上は、10mgKOH/g以上の水酸基価を示すことという特徴を有する。即ち、このアンカーコート剤は、成膜成分として、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応により形成されるウレタン(メタ)アクリレートが水分トラップ層の下地膜となるのであるが、用いる(メタ)アクリル樹脂が、一定量のグリシジル基と水酸基価を示すことに関連して、下地膜のウレタン(メタ)アクリレートが、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であり、高温高湿下での透湿性が極めて低い。しかも、このウレタン(メタ)アクリレートは、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上であり、高温での塗膜の緩みが抑制されており、高温時において、剪断力に対して変形し難い状態(即ち、剥がれ難い)の粘弾性体である。この結果、水分トラップ層からのアルカリ含有水分の透過が高温高湿下でも有効に抑制され、このようなアルカリ含有水分の透過による他の膜成分の劣化、それに伴う膜剥がれが有効に防止され、高温高湿環境下でも優れた水分バリア性を長期にわたって維持することができる。
従って、本発明のアンカーコート剤は特にアルカリ劣化し易い無機バリア層を備えた水分バリア性積層フィルムに好適に適用され、この無機バリア層の上に本発明のアンカーコート剤により下地膜を形成し、この下地膜上に水分トラップ層が形成されている水分バリア性積層フィルムは、使用環境が高温高湿度雰囲気であっても高い水分バリア性を示し、しかも、劣化促進試験により短時間で性能評価を行うこともできるという利点を有する。
本発明のアンカーコート剤により形成された下地膜を有する水分バリア性積層フィルムの層構造の一例を示す図。 図1の水分バリア性積層フィルム中の水分トラップ層(B)の構造を示す図。 図1とは異なる水分バリア性積層フィルムの層構造の他の例を示す図。 図1とは異なる水分バリア性積層フィルムの層構造の他の例を示す図。 図1とは異なる水分バリア性積層フィルムの層構造の他の例を示す図。
<アンカーコート剤>
本発明のアンカーコート剤は、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物とを成膜成分として有するものであり、このような成膜成分が溶媒中に溶解或いは分散されている。このアンカーコート剤の最も重要な特徴は、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応に形成される硬化物(ウレタン(メタ)アクリレート重合体)が、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であるという透湿条件と、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上であるという粘弾性条件とを満足するように、成膜成分の種類や配合比、及び溶媒種が選択されていることである。
例えば、アンカーコート剤によって形成される水分トラップ層の下地膜が、上記の透湿条件を満足していることにより、水分トラップ層に含まれるアルカリ含有水分の他の層への移行が該下地膜により効果的に防止され、他の層のアルカリ劣化を回避することができる。このようなアルカリ含有水分の透過を防止するためには、上記の透湿度はより小さい方が好ましく、例えば、40℃、90%RHでの透湿度が5.0×10g/m/day以下であることが望ましい。
また、上記下地膜が上記の粘弾性条件を満足していることにより、高温時での分子の緩みが抑制されるため、剪断力に対する下地膜の変形が有効に防止され、高温時における膜剥がれを確実に防止でき、水分トラップ層からのアルカリ含有水分の他の層への移行が抑制されることとなる。即ち、85℃での貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が高い程、下地膜の分子の緩み抑制効果が高く、より長期にわたって高い水分バリア性が発揮でき、例えば、85℃での貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)は30MPa以上であることが好ましく、さらには35MPa以上であることが最適である。また、この貯蔵弾性率E´が過度に大きいと、成膜性が損なわれることがあるため、この貯蔵弾性率E´は1500MPa以下であることが望ましい。
また、上記下地膜は、ある程度大きな水接触角を有していることが望ましい。即ち、この水接触角が大きいほど塗膜は疎水性となり、水分トラップ層が吸湿した水分の移行を低減させることができる。一方で、水接触角の値が過度に大きいと、下地層(C)上に水分トラップ層を塗工する際の濡れ性が悪化してしまう恐れがある。従って、その値は、65〜100°、特には75〜95°の範囲にあることがより好ましい。
上記水接触角を達成するにあたっては、アンカーコート剤に含まれる(メタ)アクリル樹脂の溶解パラメータ(SP値)の値は、8.5〜10.7、特には8.6〜10.6の範囲にあることがより好ましい。
尚、上記の貯蔵弾性率E´は、硬化した重合体の分子の架橋点間分子量Mcに依存しており、例えば上記のような貯蔵弾性率E´を有する重合体では、架橋点間分子量Mcは、一般に5000g/mol以下の範囲にある。このような架橋点間分子量Mcは、後述する実施例に示されているように、85℃での粘弾性測定から算出される貯蔵弾性率E´の値からゴム弾性の式を用いて算出される。
さらに、硬化物(ウレタン(メタ)アクリレート重合体)は、ガラス転移点Tgが高いほど、高温での分子の運動性が抑制されるので、水分トラップ層が吸湿した水分の移行を低減させるには有利となる。例えば、この硬化物のガラス転移点は、85℃以上であることが最適である。
本発明のアンカーコート剤は、(メタ)アクリル樹脂、イソシアネート化合物及び溶媒を必須成分として含むものであるが、これを塗布し、加熱硬化して形成される硬化物(水分トラップ層の下地膜)が適度な厚みで上記のような透湿条件を満足すると同時に、さらには、粘弾性条件をも満足するように成分調整されている。
先ず、上記のような透湿条件を満足する硬化物(ウレタン(メタ)アクリレート重合体)は、非水系の重合体であり、このため、用いる溶媒は有機溶媒でなければならない。水や、水と有機溶媒との混合溶媒(水性溶媒)を用いて成分を溶解ないし分散させると、高温高湿度雰囲気下での透湿性が高くなり、水分トラップ層からの水分の移行を抑制することができず、他の層(例えば無機バリア層)でのアルカリ劣化が生じてしまうからである。
用いる有機溶媒としては、溶媒揮散のための加熱が必要以上に高温とならない有機溶媒が使用され、例えば、アルコール系有機溶剤、ジアルキルグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコールエーテル系溶剤、プロピレングリコールエーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等が使用される。
これら有機溶媒は、アンカーコート剤がコーティングに適した粘度となるような量で使用され、例えば、このアンカーコート剤の固形分濃度が1〜60質量%、特に3〜50質量%程度となる量で有機溶媒が使用される。
また、成膜成分として使用される(メタ)アクリル樹脂は、その0.5〜97質量%、特に1.0〜97質量%が、グリシジル基含有(メタ)アクリレート由来のものでなければならない。この(メタ)アクリル樹脂に導入されているグリシジル基により水分トラップ層に対する密着性が確保され、このグリシジル基量が上記範囲内にあることにより、グリシジル基による密着性を損なわずに、粘弾性条件を満足する硬化物を形成することができる。
このようなグリシジル基含有(メタ)アクリレートは、例えば下記式(1)で表される。
CH=CH(R)−COO−(CH)m−G (1)
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、
Gは、グリシジル基であり、
mは、0または1以上の整数である。
このグリシジル基含有(メタ)アクリレートの代表的なものは、グリシジル(メタ)アクリレート(式(1)中、m=0のもの)である。
さらに、この(メタ)アクリル樹脂は、硬化物が所定の粘弾性条件を満足するために、10mgKOH以上、特に10〜150mgKOHの水酸基価を示す成分を1質量%以上の量で含んでいることが必要である。即ち、水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を適度に含んでいることにより、後述するイソシアネート化合物との反応により、所定の粘弾性条件を満足する網目構造を有する粘弾性体が形成されることとなる。
上記のような水酸基価を示す(メタ)アクリル樹脂を形成するために使用される単量体としては、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートが使用される。このようなヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,4−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレートや、その他、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレートも使用することができる。
本発明のアンカーコート剤に使用される(メタ)アクリル樹脂は、上述したグリシジル基含有量及び水酸基価含有量を満足する限り、通常の(メタ)アクリル樹脂の形成に使用される単量体、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどから形成される重合体を含んでいてよい。
また、上述した(メタ)アクリル樹脂は、硬化物(下地膜)のガラス転移点Tgを高くするという観点から、そのガラス転移点Tgは60℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であることが望ましい。また、その重量平均分子量(Mw)が10,000以上、より好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上が望ましい。
上記の(メタ)アクリル樹脂と反応させるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2以上有するポリイソシアネート、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等のジイソシアネートが使用され、これらは、1種単独或いは2種以上を組み合わせても使用することができ、さらには3官能以上のポリイソシアネートを併用することもできる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−又はp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4′−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(XDI)、1,3−又は1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(水添XDI)等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート等が挙げられる。
本発明においては、上記のイソシアネート化合物の中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びこれらイソシアネートの多核縮合体などが好適である。また、イソシアネート化合物の総量の1質量%以上が、重量平均分子量が400〜1200の範囲にあるポリイソシアネートが、例えば架橋点間平均分子量が所定の範囲にある硬化物を形成するのに有利である。
本発明においては、かかるイソシアネート化合物により(メタ)アクリル樹脂を重合硬化させることによって、ウレタン(メタ)アクリレート重合体(即ち下地膜を形成する硬化物)が形成されるわけであるが、この重合体中に存在するイソシアネート基が、水分トラップ層中のイオン性ポリマー中のイオン性基に対しても反応性を示し、水分バリア層に対しても高い密着性が確保される。また、このようなウレタン(メタ)アクリレート重合体は、例えば、水分バリア性積層フィルムに含まれる無機バリア層に対しても優れた密着性を示す。即ち、無機バリア層の表面に存在するMOH基(MはAlやSi等の金属原子)に対してイソシアネート基が反応性を示すためである。
かかるイソシアネート化合物は、前記(メタ)アクリル樹脂が有するOH基(イソシアネートと反応し得る官能基)と反応させるのに必要なイソシアネートの理論量を1当量としたとき、0.1〜5当量、特に0.3〜4当量となる量でアンカーコート剤に含まれていることが好適である。これにより、前述した粘弾性条件や透湿条件を満足する硬化物を形成することが可能となると同時に、他の層の表面との反応点を適度な数で存在させることができ、より高い密着性を確保することができる。
尚、保存安定性の観点から、上記のイソシアネート化合物の末端はブロック化剤で封鎖されていても良く、このようなブロック化剤としては、メタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアミド;アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム等のオキシム;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル等の活性メチレン化合物;などが代表的であり、これらブロック化剤は、1種単独で使用されていてもよいし、2種以上が併用されていてもよい。
本発明のアンカーコート剤は、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応促進の観点から、触媒を含有していても良い。かかる触媒としては、アミン系触媒及び金属触媒が代表的である。
アミン系触媒としては、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、PMDETA、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N,N,N,N−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N,N−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどを上げることが出来る。
金属触媒としては、ジブチルスズラウリレートなどの有機スズ化合物、有機亜鉛化合物などを挙げることができる。
これら触媒は、1種単独で使用されていてもよいし、2種以上が併用されていてもよい。また、金属触媒が特に好適である。
これらの触媒は、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との合計量100質量部当り、0.02〜1.0質量部の量で配合される。
上記触媒を含有することで、下地層(C)内の(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応促進のみならず、塗工基材(例えば無機バリア層)の表面に存在するOH基とイソシアネート化合物との反応も促進することができ、塗工基材と下地層(C)間の密着力をより強固なものとすることができる。例えば、実生産の様に、生産速度が速く下地層(C)の形成に高い熱負荷が掛けられない場合においても、塗工基材と下地層(C)間の密着性を安定的に保つことができる。
さらに、本発明のアンカーコート剤には、形成される硬化物(下地膜)と水分トラップ層或いはさらに無機バリア層との密着性が損なわれない限りにおいて、種々の配合剤が添加されていてもよい。
このような配合剤としては、例えば、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等が例示できる。勿論、上記の密着性が損なわれない限り、イソシアネートに対して反応性を有していない樹脂、例えばオレフィン系樹脂などが少量配合されていてもよい。
<水分トラップ層の下地膜の形成>
上述した本発明のアンカーコート剤は、所定の基材層(例えば無機バリア層)上に塗布され、100℃以上の温度に加熱して焼き付けることにより水分トラップ層の下地膜となる硬化物(ウレタン(メタ)アクリレート重合体)を形成する。即ち、この硬化物(下地膜)上に後述する水分トラップ層が形成されることとなる。
このような水分トラップ層の下地膜の厚みは、前述した透湿度を達成するために0.1μm以上、特に0.2μm以上であるが、過度に厚いと、多層化により水分バリア性を高めたとき、必要以上に厚くなってしまうため、適度に薄いことが望ましく、例えば7μm以下、特に6μm以下であることが望ましい。即ち、本発明のアンカーコート剤では、このような適度な厚みで、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下、特に5.0×10g/m/day以下でという優れた耐透湿性が実現できる。
<水分バリア性積層フィルム>
上記のようなアンカーコート剤による下地膜上に水分トラップ層が形成されている水分バリア性積層フィルムは、高温高湿雰囲気に長期間保持された場合にも、アルカリ劣化や膜剥がれ等が生じることなく、安定して優れた水分バリア性を発揮する。
例えば、図1において、全体として10で示されている水分バリア性積層フィルムは、プラスチックフィルム(A)を基材として有しており、このプラスチックフィルム(A)の表面には無機バリア層(A1)が形成されており、この無機バリア層(A1)と水分トラップ層(B)との間には、本発明のアンカーコート剤によって下地膜(C)が形成されている。即ち、プラスチックフィルム(A)の無機バリア層(A1)上には、下地膜(C)及び水分トラップ層(B)がこの順に形成されている。
また、上記プラスチックフィルム(A)においては、図3に示されているように、無機バリア層(A1)上に保護層(D)が設けられていることもある。即ち、下地膜(C)は、無機バリア層(A1)上に直接積層されていてもよいし、図3に示されているように、無機バリア層(A1)上に適宜設けられている保護層(D)上に積層されていてもよい。
プラスチックフィルム(A);
このフィルム(A)は、無機バリア層(A1)の下地となるものであり、通常、熱可塑性或いは熱硬化性の樹脂により、その形態に応じて、射出乃至共射出成形、押出乃至共押出成形、フィルム乃至シート成形、圧縮成形性、注型重合等により成形される。
一般的には、成形性やコスト等の観点から、熱可塑性樹脂が好適である。
このような熱可塑性樹脂の例としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体など、そしてエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイドや、その他、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、アリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、或いはポリ乳酸などの生分解性樹脂等により形成される。さらに、これらのブレンド物や、これら樹脂が適宜共重合により変性されたもの(例えば、酸変性オレフィン樹脂など)であってもよい。
また、プラスチックフィルム(A)は、エチレン・ビニルアルコール共重合体の如き酸素バリア性に優れたガスバリア性樹脂などにより形成されていることも好適であり、さらには、このようなガスバリア性樹脂により形成された層を含む多層構造を有していてもよい。
本発明においては、入手のし易さ、コスト、成形性、或いは酸素に対して多少なりともバリア性を示し、さらには、後述する無機バリア層(A1)の下地として好適であるという観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるオレフィン樹脂をプラスチックフィルム(A)として使用することがより好適である。
このようなプラスチックフィルム(A)の厚みは特に制限されず、用途に応じて、適宜の厚みを有していればよい。
無機バリア層(A1);
さらに、上記のプラスチックフィルム(A)の表面に設けられる無機バリア層(A1)は、例えば特開2015−96320号公報等により公知のものであってよく、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどに代表される物理蒸着や、プラズマCVDに代表される化学蒸着などによって形成される無機質の蒸着膜、例えば各種金属乃至金属酸化物により形成される膜であることが、高い酸素バリア性を確保できると言う点で好適である。特に、凹凸を有する面にも均一に成膜され、酸素のみならず水分に対しても優れたバリア性を発揮するという点で、プラズマCVDにより、プラスチックフィルム(A)を下地として形成されていることが好ましい。
尚、プラズマCVDによる蒸着膜は、所定の真空度に保持されたプラズマ処理室内に無機バリア層(A1)の下地となるプラスチックフィルム(A)を配置し、膜形成する金属若しくは該金属を含む化合物のガス(反応ガス)及び酸化性ガス(通常酸素やNOxのガス)を、適宜、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスと共に、ガス供給管を用いて、金属壁でシールドされ且つ所定の真空度に減圧されているプラズマ処理室に供給し、この状態でマイクロ波電界や高周波電界などによってグロー放電を発生させ、その電気エネルギーによりプラズマを発生させ、上記化合物の分解反応物をプラスチックフィルムAの表面に堆積させて成膜することにより得られる。
上記の反応ガスとしては、一般に、下地のフィルム(A)との界面に炭素成分を含む柔軟な領域を有し且つその上に酸化度の高いバリア性に優れた領域を有する膜を形成できるという観点から有機金属化合物、例えばトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物や、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機ケイ素化合物等のガスが使用され、金属酸化物の形態の無機バリア層(A1)が形成される。
さらに、上記の無機バリア層(A1)は、蒸着等の手法によらず、コーティング等によってプラスチックフィルム(A)上に形成することもできる。即ち、コーティングにより形成される無機バリア層(A1)は、上述した蒸着等により形成されるものと比較すると、酸素バリア性等の特性は低いが、要求される酸素等に対するバリア性の程度によっては、コーティングにより形成されたものであってもよい。
コーティングにより形成される無機バリア層(A1)としては、ポリシラザンや、重縮合性のシラン化合物(例えばアルコキシシランなど)、重縮合性のアルミナ化合物(例えばアルコキシアルミニウムなど)を成膜成分として含み、適宜、シリカやアルミナ等の無機微粒子が混合された有機溶媒溶液を用い、これを所定の面に塗布し、加熱し、有機溶媒を揮散して成膜するものが代表的である。
また、上述した無機バリア層(A1)の厚みは、水分バリア性積層フィルムの用途や要求されるバリア性のレベルによっても異なるが、一般的には、蒸着に際しての下地となるプラスチックフィルム(A)等の特性が損なわれずに、且つ10−1g/m・day/atom以下、特に10−2g/m・day/atom以下の水蒸気透過度が確保できる程度の厚みとするのがよく、上述した高酸化度領域が占める割合によっても異なるが、一般に、4〜500nm、特に30〜400nm程度の厚みを有していればよい。
このような無機バリア層(A1)としては、特にアルミニウム酸化物やケイ素酸化物により形成されているものが、酸素に対して最も高いバリア性を示すため、本発明では最も好適である。
上記のような無機バリア層(A1)は、アルカリに対して反応性を示し、耐アルカリ性が低いという欠点を有している。
水分トラップ層(B);
水分トラップ層(B)は、前述した本発明のアンカーコート剤により形成された下地膜(C)上に形成されるものであり、この水分バリア性積層フィルム10に対して厚み方向に流れる水分を遮断する。また、特に水分に対して高い捕捉性を示すという観点から、成膜成分(即ち、マトリックス)として、イオン性ポリマーを含んでいる。さらに、最も好適には、イオン性ポリマーをマトリックスとし、このマトリックス中にイオン性ポリマーよりも到達湿度が低い吸湿剤が分散された構造を有している。このような吸湿剤は、イオン性ポリマーにより捕捉された水分を閉じ込めるという機能を有しており、このような吸湿剤を分散させることにより、水分吸収に起因する膨潤などの変形を有効に回避することができる。
(a)イオン性ポリマー
水分トラップ層(B)に用いるイオン性ポリマーには、下記のカチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーがある。
カチオン性ポリマーは、水中で正の電荷となり得るカチオン性基、例えば、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウムなどを分子中に有しているポリマーである。このようなカチオン性ポリマーは、カチオン性基が、求核作用が強く、かつ水素結合により水を補足するため、吸湿性を有するマトリックスを形成することができる。
カチオン性ポリマー中のカチオン性基量は、一般に、形成される吸湿性マトリックスの吸水率(JIS K−7209−1984)が湿度80%RH及び30℃雰囲気下において5%以上、特に30%〜45%となるような量であればよい。
また、カチオン性ポリマーとしては、アリルアミン、エチレンイミン、ビニルベンジルトリメチルアミン、[4−(4−ビニルフェニル)−メチル]−トリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体;及び、それらの塩類;に代表されるカチオン性単量体の少なくとも1種を、適宜、共重合可能な他の単量体と共に、重合乃至共重合し、さらに必要により、酸処理により部分中和させて得られるものが使用される。
このようなカチオン性ポリマーについては、特開2015−96320号等に詳述されており、その詳細は省略するが、一般的には、ポリアリルアミンが成膜性等の観点から好適である。
一方、アニオン性ポリマーは、水中で負の電荷となり得るアニオン性の官能基、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基や、これらの基が部分的に中和された酸性塩基を分子中に有しているポリマーである。このような官能基を有するアニオン性ポリマーは、上記官能基が水素結合により水を補足するため、吸湿性マトリックスを形成することができる。
アニオン性ポリマー中のアニオン性官能基量は、官能基の種類によっても異なるが、前述したカチオン性ポリマーと同様、形成される吸湿性マトリックスの吸水率(JIS K−7209−1984)が湿度80%RH及び30℃雰囲気下において5%以上、特に30%〜45%となるような量であればよい。
上記のような官能基を有するアニオン性ポリマーとしては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体;α−ハロゲン化ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体;ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体;及びこれら単量体の塩類;などに代表されるアニオン性単量体の少なくとも1種を、適宜、共重合可能な他の単量体と共に重合乃至共重合させ、さらに必要により、アルカリ処理により部分中和させて得られるものが使用される。
このようなアニオン性ポリマーについても、特開2015−96320号等に詳述されており、その詳細は省略するが、一般的には、ポリ(メタ)アクリル酸及びその部分中和物(例えば一部がNa塩であるもの)である。
水分トラップ層(B)の構造;
図2(a)或いは(b)を参照して、水分トラップ層(B)中には、上記のマトリックスを形成するイオン性ポリマー(カチオン性或いはアニオン性ポリマー)よりも到達湿度が低い吸湿剤が配合されていることが好適である。
このようにマトリックスよりも高い吸湿性を有する吸湿剤を分散させることにより、前述したイオン性ポリマーにより形成されたマトリックスに吸収された水分が直ちに吸湿剤に捕捉され、吸収された水分のマトリックス中への閉じ込めが効果的に行われることとなり、極めて低湿度雰囲気でも水分の吸湿能力を有効に発揮することができるばかりか、水分の吸収による水分トラップ層(B)の膨潤が有効に抑制される。
上記のような高吸湿性の吸湿剤としては、イオン性ポリマーよりも到達湿度が低いことを条件として、例えば、湿度80%RH及び温度30℃の環境条件での到達湿度が6%以下のものが好適に使用される。即ち、この吸湿剤の到達湿度がイオン性ポリマーよりも高いと、マトリックスに吸収された水分の閉じ込めが十分でなく、水分の放出等を生じ易くなるため、水分バリア性の著しい向上が望めなくなってしまう。また、到達湿度がイオン性ポリマーよりも低い場合であっても、上記条件で測定される到達湿度が上記範囲よりも高いと、例えば低湿度雰囲気での水分のトラップが不十分となり、水分バリア性を十分に発揮できないおそれがある。
上記のような吸湿剤は、一般に湿度80%RH及び温度30℃雰囲気下において50%以上の吸水率(JIS K−7209−1984)を有しており、無機系及び有機系のものがある。
無機系の吸湿剤としては、ゼオライト、アルミナ、活性炭、モンモリロナイト等の粘土鉱物、シリカゲル、酸化カルシウム、硫酸マグネシウムなどを挙げることができる。
有機系の吸湿剤としては、アニオン系ポリマー若しくはその部分中和物の架橋物を挙げることができる。このアニオン系ポリマーとしては、カルボン酸系単量体((メタ)アクリル酸や無水マレイン酸など)、スルホン酸系単量体(ハロゲン化ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸など)、ホスホン酸系単量体(ビニルリン酸など)及びこれら単量体の塩類等に代表されるアニオン性単量体の少なくとも1種を、重合或いは他の単量体と共重合させて得られるものを挙げることができる。特に透明性が求められる用途においては、有機系の吸湿剤が有効である。例えば、架橋ポリ(メタ)アクリル酸Na或いはKの微細粒子などが代表的な有機系吸湿剤である。
本発明においては、比表面積が大となり、高い吸湿性を示すという観点から粒子径が小さな吸湿剤が好ましく(例えば、平均一次粒子径が100nm以下、特に80nm以下)、特に粒径の小さな有機系ポリマーの吸湿剤が最適である。
即ち、有機系ポリマーの吸湿剤は、イオン性ポリマーのマトリックスに対する分散性が極めて良好であり、均一に分散させることができるばかりか、これを製造するための重合法として乳化重合や懸濁重合などを採用することにより、その粒子形状を微細で且つ揃った球形状とすることができ、これをある程度以上配合することにより、極めて高い透明性を確保することが可能となる。
また、有機系の微細な吸湿剤では、前述した到達湿度が著しく低く、高い吸湿性を示すばかりか、架橋によって膨潤による体積変化も極めて少なくすることができ、従って、体積変化を抑制しながら、環境雰囲気を絶乾状態もしくは絶乾状態に近いところまで湿度を低下させる上で最適である。
このような有機系の吸湿剤の微粒子としては、例えば架橋ポリアクリル酸Na微粒子(平均粒子径約70nm)がコロイド分散液(pH=10.4)の形で東洋紡株式会社よりタフチックHU−820Eの商品名で市販されている。
上記のような吸湿剤の量は、その特性を十分に発揮させ、水分バリア性の著しい向上及び膨潤による寸法変化を有効に抑制させると同時に、無機バリア層(A1)が示すバリア性よりも高い水分バリア性を長期間にわたって確保するという観点から、イオン性ポリマーの種類に応じて設定される。
例えば、上述した水分トラップ層(B)は、特に超水分バリア性が要求されるような用途では、水蒸気透過度が10−5g/m/day以下となるような超バリア性を発揮させる程度の厚み(例えば、1μm以上、特に2〜20μm程度)に設定されるが、マトリックスがカチオン性ポリマーにより形成されている場合には、水分トラップ層(B)中のイオン性ポリマー100質量部当り、50質量部以上、特に100〜900質量部の量で存在することが好ましく、更には200〜600質量部の量であることがより好ましい。また、マトリックスがアニオン性ポリマーにより形成されている場合には、水分トラップ層B中のアニオン性ポリマー100質量部当り、50質量部以上、特に100〜1300質量部の量で存在することが好ましく、更には150〜1200質量部の量であることがより好ましい。
また、上記のような構造を有する水分トラップ層(B)では、イオン性ポリマーに架橋構造が導入されていることが好適である。即ち、イオン性ポリマー中に架橋構造が導入されていると、水を吸収したとき、カチオン性ポリマーの分子が架橋によって互いに拘束されることとなり、膨潤(水分吸収)による体積変化を抑制し、機械的強度や寸法安定性の向上がもたらされる。
このような架橋構造は、水分トラップ層(B)を形成するための塗布組成物中に架橋剤を配合しておくことにより導入することができる。特にアニオン性ポリマーの場合、カチオン性ポリマーとは異なって、水素結合による水の補足のみなので、吸湿に適した空間の網目構造(架橋構造)をマトリックス中に導入することにより、その吸湿性を大きく高めることができる。
このような架橋構造を導入するための架橋剤は、カチオン性ポリマーに架橋構造を導入する場合と、アニオン性ポリマーに架橋構造を導入する場合とで若干異なっている。
カチオン性ポリマー用の架橋剤としては、カチオン性基と反応し得る架橋性官能基(例えば、エポキシ基)と、加水分解と脱水縮合を経て架橋構造中にシロキサン構造を形成し得る官能基(例えば、アルコシシリル基)を有している化合物を使用することができ、特に、下記式:
X−SiR (OR3−n
式中、Xは、末端にエポキシ基を有する有機基であり、
及びRは、それぞれ、メチル基、エチル基、もしくはイソプロピル基
であり、
nは、0、1、もしくは2である、
で表されるシラン化合物が好適に使用される。
このようなシラン化合物は、官能基としてエポキシ基とアルコキシシリル基とを有しており、エポキシ基がカチオン性ポリマーの官能基(例えばNH)と付加反応する。一方アルコキシシリル基は、加水分解によりシラノール基(SiOH基)を生成し、縮合反応を経てシロキサン構造を形成して成長することにより、最終的にカチオン性ポリマー鎖間に架橋構造を形成する。これにより、カチオン性ポリマーのマトリックスには、シロキサン構造を有する架橋構造が導入されることとなる。
しかも、カチオン性ポリマーはアルカリ性であり、この結果、カチオン性ポリマーを含むコーティング組成物を塗布して水分トラップ層Bを形成する際、カチオン性基とエポキシ基の付加反応やシラノール基間の脱水縮合も速やかに促進され、容易に架橋構造を導入することができる。
本発明において、上記式中のエポキシ基を有する有機基Xとしては、γ−グリシドキシアルキル基が代表的であり、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが架橋剤として好適に使用される。
また、上記式中のエポキシ基が、エポキシシクロヘキシル基のような脂環式エポキシ基であるものも架橋剤として好適である。例えば、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのような脂環式エポキシ基を有する化合物を架橋剤として使用した場合には、マトリックスの架橋構造中に、シロキサン構造と共に、脂環構造が導入される。このような脂環構造の導入は、吸湿に適した空間の網目構造を形成するというマトリックスの機能を更に効果的に発揮させることができる。
さらに、上記の架橋構造中に脂環構造を導入するために、複数のエポキシ基と脂環基とを有している化合物、例えば、下記式(2):
G−O(C=O)−A−(C=O)O−G (2)
式中、Gは、グリシジル基であり、
Aは、脂肪族環を有する2価の炭化水素基、例えばシクロアルキレン基である、
で表されるジグリシジルエステルを、架橋剤として使用することができる。このようなジグリシジルエステルの代表的なものは、下記の式(2−1)で表される。
Figure 2021178899
即ち、式(2)のジグリシジルエステルは、アルコキシシリル基を有していないが、架橋構造中に脂環構造を導入するため、マトリックス中に吸湿に適した空間の網目構造を形成するという点で効果的である。
上述した架橋剤は、カチオン性ポリマー100質量部当り、5〜60質量部、特に15〜50質量部の量で使用することが望ましく、このような架橋剤の少なくとも70質量%以上、好ましくは80質量%以上が、前述したシラン化合物であることが望ましい。
また、アニオン性ポリマーに架橋構造を導入するための架橋剤としては、アニオン性ポリマーが有しているイオン性基と反応し得る架橋性官能基(例えばエポキシ基)を2個以上有している化合物を使用することができ、カチオン性マトリックス用のコーティング組成物でも挙げられた式(2):
G−O(C=O)−A−(C=O)O−G (2)
式中、Gは、グリシジル基であり、
Aは、脂肪族環を有する2価の炭化水素基、例えばシクロアルキレン基である、
で表されるジグリシジルエステルが好適に使用される。
即ち、上記式(2)のジグリシジルエステルにおいては、エポキシ基がアニオン性基と反応し、2価の基Aによる脂環構造を含む架橋構造がマトリックス中に形成される。このような脂環構造を含む架橋構造によりされ、膨潤の抑制がもたらされる。
特に、上記のジグリシジルエステルの中でも好適なものは、先にも挙げられており、特に、吸湿に適した空間の網目構造を形成できるという観点から、先の式(2−1)で表されるジグリシジルエステルが最も好適である。
このようなアニオンポリマー用の架橋剤は、アニオン性ポリマー100質量部当り、150質量部、特に10〜40質量部で使用することが望ましい。
水分トラップ層(B)の形成;
また、上述した水分トラップ層(B)は、マトリックスとなる樹脂中に吸湿剤及び必要により架橋剤を所定の溶媒に溶解乃至分散したコーティング組成物を使用し、このコーティング組成物を、前述した無機バリア層(A1)上に形成された下地膜(C)上に塗布し、加熱乾燥して溶媒を除去することにより形成される。かかる加熱乾燥は、通常、100〜170℃程度の温度で3分以下、特に0.25〜1分程度の短時間で行われ、これにより、下地膜(C)を介して、無機バリア層(A1)にしっかりと密着した水分トラップ層(B)を形成することができる。
また、上記のような水分トラップ層(B)の形成に使用されるコーティング組成物において、溶媒としては、比較的低温での加熱により揮散除去し得るものであれば特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、或いはこれら溶媒と水との混合溶媒、或いはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などを使用することができるが、シラン化合物が架橋剤として配合されている場合には、その加水分解を促進させるために、水或いは水を含む混合溶媒を使用することが望ましい。さらに、アニオンポリマーを含む水分トラップ層(B)を形成する場合には、アルカリ(例えば水酸化ナトリウムなど)添加により、pHが8乃至12程度となるようにpH調整されていることが望ましい。
尚、上述した溶媒は、コーティング組成物がコーティングに適した粘度となるような量で使用されるが、コーティング組成物の粘度調整のため、或いは形成される吸湿性マトリックスの吸水率を適宜の範囲に調整するため、非イオン性重合体を適宜の量で配合することもできる。
このような非イオン性重合体としては、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブチレン等の飽和脂肪族炭化水素系ポリマー、スチレンーブタジエン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、或いは、これらに、各種のコモノマー(例えばビニルトルエン、ビニルキシレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、α,β,β´−トリハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマーや、エチレン、ブチレン等のモノオレフィンや、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンなど)を、共重合させたものなどを挙げることができる。
上述した水分バリア性積層フィルムにおいて、水分トラップ層(B)としては、特にカチオン性ポリマーをマトリックス(成膜成分)として含むものが好適である。即ち、このようなカチオン性ポリマーを有するものは、特に高い密着性を確保するために100℃以上の高温での長時間加熱が必要であるが、前述した本発明のアンカーコート剤による下地膜(C)を下地として設けておくことにより、このような高温、長時間の加熱を行うことなく、強固に密着保持された水分トラップ層(B)を形成することができるという利点もある。
高度の水分バリア性を確保するために使用される水分トラップ層(B)は、アルカリ成分を含有している。即ち、カチオン性ポリマーが成膜成分(マトリックス)として使用されている場合には、アミン等のアルカリを層中に含まれている。カチオン性ポリマーには、アミノ基等のカチオン性基をポリマー中に導入するためにアミン系化合物が使用されるため、このようなアミン系化合物を不可避成分として含んでいるからである。また、アニオン性ポリマーは、カルボン酸のアルカリ塩基を含んでおり、水分を捕捉した時、NaOHやKOH等のアルカリが生成してしまう。更に、吸湿剤として最も好適な架橋ポリアクリル酸Naなどが使用されている場合にも、水分の捕捉により、NaOHやKOH等のアルカリが生成してしまう。
一方、無機バリア層(A1)は、アルカリに対して反応性を示すため、耐アルカリ性が極めて悪く、この無機バリア層(A1)上に水分トラップ層(B)が直接設けられていると、水分トラップ層(B)に含まれるアルカリに無機バリア層(A1)が反応してしまい、この結果、水分トラップ層(B)と無機バリア層(A1)との間、或いは無機バリア層(A1)とプラスチックフィルム(A)との界面にデラミネーションが発生してしまう。即ち、このような水分バリア積層フィルムを、温度が85℃以上、相対湿度RHが85%以上の高温高湿雰囲気下に保持して劣化促進試験を行ったとき、短時間で膜剥がれを生じてしまい、水分バリア性が大幅に低下してしまう。
このため、無機バリア層(A1)と水分トラップ層(B)との間に、前述した本発明のアンカーコート剤を用いて所定の透湿条件及び粘弾性条件を満足している下地膜(C)(C)を介在させ、これにより、水分トラップ層(B)からのアルカリ含有水分の移行を効果的に抑制する。
<保護層(D)>
尚、本発明において、上述した下地膜(C)は、水分トラップ層(B)の下地となっていればよく、従って、図3に示されているように、無機バリア層(A1)上に保護層(D)を設け、この保護層(D)上に上述した下地膜(C)を設けることもできる。
かかる保護層(D)は、成膜後の無機バリア層(A1)の剥がれ、傷付、破損等を防止するためのものであり、例えば促進試験環境下(85℃−85%RH環境下)でのバリアフィルムのバリア性が低下しないような層であれば特に限定されないが、一般的には、以下に示す成分(D1)と成分(D2)とを配合した2種類以上の化合物より形成される。
成分(D1)は、水溶性高分子であり、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコールが好ましい。
成分(D2)は、オルガノアルコキシシラン或いはその加水分解物、金属アルコキシド或いはその加水分解物、及びリン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
上記のオルガノアルコキシシランは、例えば、下記式(4):
−Si(OR (4)
式中、Rは、有機基であり、
はアルキル基である、
で表される。
上記の有機基Rとしては、アルキル基、或いは各種の官能基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基など)を有する基を挙げることができる。
また、Rが示すアルキル基としては、特に制限されないが、一般的には、炭素原子数が4以下の低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基)である。
このようなオルガノアルコキシシランとしては、例えば、エチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシアプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、あるいはその加水分解物が挙げられ、これらは1種単独或いは2種以上を組み合わせて使用される。これらの中でもエポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシランやエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネート基が含まれるイソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらのオルガノシランは単量体に限られず、構造によってはニ量体、三量体などの化合物も用いることができる。
また、上記の金属アルコキシドは、下記式(5):
M(OR)n (5)
式中、Mは、金属原子であり、
は、前記式(4)と同様、アルキル基であり、
nは、金属原子Mの価数を示す整数である、
で表される化合物である。
このような金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウム等を挙げることができ、かかる金属アルコキシドも、1種単独或いは2種以上を組み合わせて使用される。
また、上述したオルガノアルコキシシラン及び金属アルコキシドは、それぞれ、加水分解物の形態でも成分(D2)として使用することができる。
このような加水分解物は、酸やアルカリを用いる公知の方法で得ることができ、加水分解に際しては、錫化合物などの反応触媒を必要に応じて使用することもできる。
さらに、リン系化合物としては、リン酸あるいはその塩が挙げられる。具体的には、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩;トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などが挙げられる。またリン酸トリフェニルなどのリン酸エステルも用いることができる。
これらのリン系化合物も、1種単独或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述した成分(D1)と成分(D2)とは、質量比(D1)/(D2)=99/1〜70/30となるように溶融混合され、この溶融混合物を無機バリア層(A1)表面に塗布することにより、保護層(D)が形成される。
このようにして形成される保護層(D)の厚さは、一般に、0.01〜50μm、特に0.1〜2μmの範囲が好適である。
尚、図1及び図3の例では、プラスチックフィルム(A)の一方の表面にのみ無機バリア層(A1)が設けられているが、勿論、このフィルム(A)の両面に無機バリア層(A1)を形成することもでき、さらには、両面に形成された無機バリア層(A1)のそれぞれに、下地膜(C)を間に挟んで水分トラップ層(B)を形成することもできる。
また、上記下地層(C)は、図4、図5に示されているように、水分トラップ層(B)の無機バリア層(A1)とは反対側にも設置することができる。このような層構成とすることで、無機バリア層(A1)へのアルカリ成分移行のみならず、反対側へのアルカリ成分移行も抑制することがきる。
例えば、ドライラミネートによって、水分トラップ層(B)に接着層を介して他の基材を貼り合わる場合に、水分トラップ層(B)と接着層の間に下地層(C)を設けることで、接着層側へのアルカリ成分移行も抑制することができる。結果として、積層体全体の密着性を安定的に保つことが出来る。
上述した層構造を有する水分バリア性積層フィルム10は、上述した手順で水分トラップ層(B)を形成し、該水分トラップ層(B)から水分を放出させたのち、この水分トラップ層(B)の表面に乾燥フィルムを貼り付けて保護した状態で保管され、使用時には乾燥フィルムが剥がされる。
このような水分トラップ層(B)には、例えば、さらに下地膜(C)を形成してのドライラミネートにより他のバリアフィルム或いは他のバリアフィルムに設けられた水分トラップ層(B)に積層することもできる。
上述した水分バリア性積層フィルムは、温度が85℃以上、相対湿度RHが85%以上の高温高湿度雰囲気下での劣化促進試験に際しても、デラミネーションを生じることが無く、優れた水分バリア性を発揮することができるため、その品質を短時間で確認することができ、工業的に極めて有利である。勿論、このような高温高湿度下での使用環境に使用される電子機器の封止材としても使用することができる。
このような水分バリア性積層フィルムは、特に有機EL素子、太陽電池、電子ペーパーなどの電子回路を封止するためのフィルムとして好適に使用することができる。
また、本発明のアンカーコート剤により形成される硬化物は、水分トラップ層(B)の下地膜(C)の形成に使用されるが、かかる硬化物は、それ自体水分遮断性に優れているため、水分トラップ層(B)とは関係なく、独立して水分バリア層として使用することも可能である。
<分子量の測定方法>
(メタ)アクリル樹脂、試料約10mgに溶媒3mLを加え、室温で緩やかに攪拌した。溶解していることを目視で確認した後、0.45μmフィルターにてろ過し、ろ液についてGPC測定(ポリスチレン換算)を行い、重量平均分子量(Mw)を測定した。スタンダードとしてはポリスチレンを用いた。
装置:東ソー株式会社製HLC−8120
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:TSKgel SuperHM−H×2及びガードカラムとしてTSKguard column SuperH−H
溶媒:クロロホルム
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
<透湿度の測定方法>
各下地膜(C)の水蒸気透過度は、それぞれの樹脂層のみを単独で成膜し、PERMATRAN(MOCON社製)を使用し、40℃90%RHで測定した。
<ガラス転移点Tg、貯蔵弾性率E´の測定方法>
各下地膜(C)の塗膜を準備し、以下の条件で動的粘弾性測定を実施した時の値を記載した。
装置:日立ハイテクサイエンス株式会社製 DMS−6100
試験片:大きさ10mm×20mm、厚み60μm
測定温度:30〜130℃
<架橋点間分子量Mcの算出方法>
以下の式を用いて架橋点間分子量Mcを算出した。
Mc=3ρRT/Emin
Mc:架橋間分子量(g/mol)
ρ:試料塗膜の密度(g/cm
R:気体定数(8.314J/K/mol)
T:貯蔵弾性率がEminの時の絶対温度(K)
Emin:貯蔵弾性率の極小値(MPa)
<水接触角の測定方法>
23℃50%RHの条件下、固液界面解析システムDropMaster700(協和界面化学(株)製)を用い、3μLの純水を下地層(C)上にのせ、水接触角を測定した。
<バリア層劣化の評価方法>
作製した水分バリア性積層フィルムに、厚さ100μmのPETフィルムを接着剤でドライラミネートし、接着層の硬化のため、50℃×3日間エージングを行い、T型剥離試験用サンプルを作製した。
23℃、50%RHの雰囲気下において、T型剥離試験により、幅15mm、長さ200mm(非接着部50mmを含む)の試験片を用いて、剥離速度300mm/minの測定条件で積層体の水分バリア性積層フィルム−PET間のラミネート強度(単位:N/15mm)を測定した(n=4)。
この時の値を初期値とし、1N/15mm以下の時を×、1N/15mmを越え2N/15mm以下ときを△、2N/15mmを越え3N/15mm以下ときを○、3N/15mmを越えるときを◎とした。
さらに、同様に作成したT型剥離試験用サンプルを85℃85%RHで5日間、10日間、及び20日間保管した後に、それぞれについて同様の測定を実施し、吸湿後のラミネート強度を測定した。
この時の値を初期値とし、1N/15mm以下の時を×、1N/15mmを越え2N/15mm以下ときを△、2N/15mmを越え3N/15mm以下ときを○、3N/15mmを越えるときを◎とした。
<カチオン性ポリマーを用いた水分トラップ層コーティング液(B1)の調製>
カチオン性ポリマーとしてポリアリルアミン(ニットーボーメディカル製、PAA−15C、水溶液品、固形分15%)を、固形分5重量%になるように水で希釈し、ポリマー溶液を得た。
一方、架橋剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、5重量%になるように水に溶かして架橋剤溶液を調製した。
次いで、ポリアリルアミン100重量部に対してγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが20重量部になるように、ポリマー溶液と架橋剤溶液とを混合し、さらに、この混合溶液に、吸湿剤として、ポリアクリル酸Naの架橋物(東洋紡製、タフチックHU−820E、水分散品、固形分13%)を、ポリアリルアミンに対して420重量部になるように加え、更に固形分が5%になるよう水で調整した上で良く撹拌し、水分トラップ層用のコーティング液(B1)を調製した。
<アニオン性ポリマーを用いた水分トラップ層コーティング液(B2)の調製>
アニオン性ポリマーとしてポリアクリル酸(日本純薬製、AC−10LP)を用い、水/アセトン混合溶媒(重量比で80/20)に、固形分が5重量%になるように溶解し、水酸化ナトリウムをポリアクリル酸の中和率が80%になるように加え、ポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液に、架橋剤として1,2―シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルが、ポリアクリル酸部分中和物に対して20重量部になるように配合し、次いで密着剤として、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがポリアクリル酸部分中和物に対して3重量部になるように配合し、さらに、粒状吸湿剤(東洋紡製、タフチックHU−820E、水分散品、固形分13%)が、ポリアクリル酸部分中和物に対して431重量部になるように配合し、更に全体の固形分が5重量%になるよう水/アセトン混合溶媒(重量比で80/20)で調整した上で良く撹拌し、水分トラップ層用のコーティング液(B2)を調製した。
<実施例1>
主剤として、アクリル系樹脂A(Mw=70,000、ガラス転移点=100℃、OHV=30、グリシジル基含有率=0質量%)とアクリル樹脂B(Mw=3,000、ガラス転移点=7℃、OHV=100、グリシジル基含有率=30質量%)を固形分比で95/5で含む主ポリマー溶液(固形分50%)を用意した。
この主ポリマー溶液に、硬化剤としてポリイソシアネート(Mw=700)を主ポリマー溶液の固形分100質量部に対して30質量部になるように配合し、メチルエチルケトンで希釈して固形分20%のアンカーコート剤を調製した。
酸化アルミニウム層(無機バリア層)上に保護層(D)を有する市販バリアフィルム(凸版印刷、GX、基材:PET(12μm))を用意した。
このバリアフィルムの保護層(D)上に、上記のコーティング溶液をバーコーターにより塗工し、電気オーブンにより、ピーク温度100℃、ピーク温度保持時間1分の条件で熱処理し、1.0μmの下地層(C)を得た。
このコーティング層(C)上に、上記カチオン性ポリマーを用いた水分トラップ層コーティング液(B1)をバーコーターにより塗工し、ピーク温度100℃、ピーク温度保持時間1分の条件で熱処理し、厚み3μmの水分トラップ層(B)を形成し、水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例2>
主剤としてアクリル系樹脂C(Mw=45,000、ガラス転移点=95℃、OHV=45、グリシジル基含有率=5質量%)を含む主ポリマー溶液(固形分50%)を用意した。
この主ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例3>
触媒としてアミン系化合物を、アクリル系樹脂100質量部当り0.2質量部添加したこと以外は、実施例2と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例4>
触媒として有機スズ系化合物を、アクリル系樹脂100質量部当り0.2質量部添加したこと以外は、実施例2と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例5>
触媒として有機亜鉛系化合物を、アクリル系樹脂100質量部当り0.2質量部添加したこと以外は、実施例2と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例6>
アクリル系樹脂100質量部当りの触媒量を0.03質量へ変更したこと以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例7>
下地層(C)の厚みを0.3μmとしたこと以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例8>
コーティング層(C)の厚みを0.15μmとしたこと以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例9>
アクリル系樹脂100質量部当りの硬化剤量を15質量部に変更した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例10>
酸化アルミニウムを無機バリア層として有し、且つ保護層(D)が設けられていない市販バリアフィルム(東レフィルム加工、バリアロックス1011HG、基材:PET12μm)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例11>
酸化ケイ素を無機バリア層として有し、且つ保護層(D)を有する市販バリアフィルム(凸版印刷、GL−RD、基材:PET12μm)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例12>
酸化ケイ素を無機バリア層として有し、且つ保護層(D)が設けられていない市販バリアフィルム(三菱ケミカル、テックバリアLX、基材:PET12μm)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例13>
アニオン性ポリマーを用いた水分トラップ層コーティング液(B2)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<実施例14>
実施例6において、水分トラップ層(B)上に、さらに1.0μmの下地層(C)を形成した以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<比較例1>
硬化剤を配合しないこと以外は、実施例5と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<比較例2>
主剤として、アクリル系樹脂D(Mw=69,000、ガラス転移点=70℃、OHV=80、グリシジル基含有率=0質量%)を含む主ポリマー溶液(固形分40%)を用意した。
この主ポリマー溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で水分バリア性積層フィルムを得た。
<評価試験>
上記で作製された水分バリア性積層フィルムについて、前述した方法で各種特性を測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2021178899
(A):プラスチックフィルム
(A1):無機バリア層
(B):水分トラップ層
(C):下地膜
(D):保護層
10:水分バリア性積層フィルム

Claims (8)

  1. 水分バリア性積層フィルム中の水分トラップ層の下地膜の形成に使用されるアンカーコート剤において、
    (メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物と有機溶媒とを含み、
    前記(メタ)アクリル樹脂の0.5〜97質量%がグリシジル基含有(メタ)アクリレートに由来し、且つ該(メタ)アクリル樹脂の1質量%以上は、10mgKOH/g以上の水酸基価を示すことを特徴とするアンカーコート剤。
  2. 前記(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物とが有機溶媒中に溶解もしくは分散されており、固形分濃度が1〜60質量%の範囲にある請求項1に記載のアンカーコート剤。
  3. 前記イソシアネート化合物の1質量%以上が、重量平均分子量が400〜1200の範囲にあるポリイソシアネートである請求項1または2に記載のアンカーコート剤。
  4. 前記(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との合計量当り0.02〜1.0質量%の範囲で触媒を含有している請求項1〜3の何れかに記載のアンカーコート剤。
  5. 前記触媒が金属触媒である請求項4に記載のアンカーコート剤。
  6. 重合硬化により、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であり、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上の硬化物が形成される請求項1〜5の何れかに記載アンカーコート剤。
  7. 前記硬化物が、ウレタン(メタ)アクリレート重合体であり、85℃以上の高ガラス転移点を有する請求項6に記載のアンカーコート剤。
  8. 水分バリア性積層フィルム中に形成されている硬化膜であり、(メタ)アクリル樹脂とイソシアネート化合物との反応により得られ、40℃、90%RHでの透湿度が6.0×10g/m/day以下であり、85℃での粘弾性測定における貯蔵弾性率E´(@2πrad/s)が30MPa以上の範囲にある硬化膜。
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