JP2021154497A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーター - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーター Download PDF

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Abstract

【課題】圧電素子のクラックを抑制する。【解決手段】複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドであって、圧電体と第1電極と第2電極とが積層される方向を第1方向としたとき、複数の圧電体及び複数の第2電極は、第1方向と直交する方向を第2方向に延在し、第1方向と第2方向と直交する第3方向に配列される。圧電素子は、第1方向に見て、第3方向に並ぶ、第1電極の一端と第1圧電体とが重なる領域の一部を含む第1領域と、一端と第1圧電体と第2電極とが重なる領域を含む第2領域とを有する。一端は、第1領域において第3方向に延在する第1部分と、第2領域において第2方向及び第3方向と交差して延在する第3部分とを有し、第2部分は、第2方向において、第1部分と第1電極の他端との間に位置する。【選択図】図4

Description

本開示は液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーターに関する。
液体吐出ヘッドに関して、特許文献1には、共通電極上に設けられた圧電体層と、圧電体層上に設けられた個別電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドが開示されている。この液体吐出ヘッドは、例えば、プリンター等の液体吐出装置に備えられ、電圧印加によって生じる圧電体の変位を利用して、インク等の液体を吐出する。
特開2012−176578号
特許文献1のような液体吐出ヘッドでは、電圧印加時に、圧電体層のうち、共通電極及び個別電極によって挟まれた能動部と、共通電極及び個別電極によって挟まれていない非能動部との間で変位の差が生じる。そのため、能動部と非能動部との境界において、変位の差に起因する引っ張り応力が生じ、圧電素子にクラックが生じる虞があった。
本開示の第1の形態によれば、複数の圧電体と、前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
本開示の第2の形態によれば、複数の圧電体と、前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において曲線状に延在する曲線部と、を有し、前記曲線部は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
本開示の第3の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の形態又は第2の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備える。
本開示の第4の形態によれば、複数の圧電体と、前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備えるアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
第1実施形態としての液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置の概略構成を示す説明図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドの構成を示す分解斜視図である。 液体吐出ヘッドの要部の断面を示す概略図である。 圧電部の概略構成を説明する図である。 図4における圧力室及び圧電部のV−V断面図である。 第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界を説明する図である。 第2実施形態における圧電部の概略構成を説明する図である。 第3実施形態における圧力室及び圧電部の断面を示す図である。 第4実施形態における圧電部の概略構成を説明する図である。
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態としての液体吐出ヘッド200を備える液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。具体的には、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向が、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向であり、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向が、それぞれ−X方向,−Y方向,−Z方向である。X方向及びY方向に沿った平面をXY平面と呼び、X方向及びZ方向に沿った平面をXZ平面と呼び、Y方向及びZ方向に沿った平面をYZ平面と呼ぶこともある。なお、図1において、X軸およびY軸は水平面に沿った軸であり、Z軸は鉛直線に沿った軸である。従って、本実施形態では、−Z方向は、重力方向である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。また、本明細書中で、直交とは、90°±10°の範囲を含む。
本実施形態の液体吐出装置100は、液体としてインクを吐出することによって印刷媒体P上に画像を印刷する、インクジェットプリンターである。液体吐出装置100は、印刷媒体Pにおけるドットのオン・オフを示す印刷データに基づいて紙等の印刷媒体P上にインクを噴射し、印刷媒体P上の様々な位置にドットを形成することにより、印刷媒体P上に画像を印刷する。なお、印刷媒体Pとしては、紙の他に、例えば、プラスチック、フィルム、繊維、布帛、皮革、金属、ガラス、木材、セラミックスなど、液体を保持できるものを用いることができる。また、液体吐出装置100の液体としては、インクの他に、種々の色材、電極材、生体有機物や無機物等の試料、潤滑油、樹脂液、エッチング液など、任意の液体を用いることができる。
液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド200と、キャリッジ40と、キャリッジ40を駆動させる駆動モーター46と、印刷媒体Pを搬送する搬送モーター51と、インクカートリッジ80と、制御部110とを、備える。
制御部110は、1以上のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。制御部110は、印刷データに従って、液体吐出装置100に備えられた各機構を制御することによって、液体吐出ヘッド200から印刷媒体P上にインクを吐出し、印刷媒体P上に画像を印刷する。すなわち、制御部110は、液体吐出ヘッド200の、液体を吐出する吐出動作を制御する。なお、制御部110は、例えば、図示しない外部のコンピューター等から受信した画像データを変換して、印刷データを生成することができる。
インクカートリッジ80は、液体吐出ヘッド200へ供給される液体としてのインクを貯留する。本実施形態では、4つのインクカートリッジ80が、キャリッジ40に着脱可能に装着されている。インクカートリッジ80は、キャリッジ40に装着されることによって液体吐出ヘッド200と接続され、インクカートリッジ80から液体吐出ヘッド200へのインクの供給が可能となる。なお、インクカートリッジ80は、例えば、キャリッジ40に装着されることなく、液体吐出装置100本体に装着されてもよい。また、液体吐出装置100は、インクを貯留する機構として、例えば、インクカートリッジ80に代えて、インクタンクや、可撓性フィルムで形成された袋状の液体パック等を備えていてもよい。本実施形態では、4つのインクカートリッジ80内には、液体として、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色彩を有する異なる4種類のインクが貯留されている。インクカートリッジ80やインクタンクの数、及び、これらに貯留されるインクの種類や数は特に限定されない。
液体吐出ヘッド200は、印刷媒体P上に、インクカートリッジ80から供給されたインクを液滴状の形態で吐出する。液体吐出ヘッド200は、フレキシブルケーブル41を介して、制御部110と電気的に接続されている。液体吐出ヘッド200の詳細については後述する。なお、液体吐出装置100は、2つ以上の複数の液体吐出ヘッド200を備えていてもよい。
キャリッジ40は、液体吐出ヘッド200を保持している。キャリッジ40は、駆動モーター46から駆動ベルト47を介して伝達された駆動力によって、X方向に沿って設けられた図示しないキャリッジガイドに沿って、主走査方向に往復移動する。本実施形態では、主走査方向はX方向に沿った方向である。
印刷媒体Pは、搬送モーター51から図示しない搬送ローラーを介して伝達された駆動力によって、プラテン55上を主走査方向と交差する副走査方向に沿って搬送される。本実施形態では、副走査方向はY方向に沿った方向であり、主走査方向と直交する。他の実施形態では、主走査方向と副走査方向とは互いに直交しなくてもよい。
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッド200の構成を示す分解斜視図である。本実施形態における液体吐出ヘッド200は、ノズル板210と、圧力室基板220と、圧電部230と、封止部250とが、Z方向に積層されることによって、構成されている。また、封止部250の+Z方向側の面には、駆動回路90が設けられている。
ノズル板210は、薄板状の部材である。本実施形態では、ノズル板210は、XY平面に沿って配置されている。ノズル板210には、多数のノズル211がX軸方向に沿って一列に並んで形成されている。液体吐出ヘッド200は、このノズル211から液体を噴射する。本実施形態では、ノズル板210は、ステンレス鋼(SUS)により形成されている。なお、ノズル板210は、ステンレス鋼に限らず、例えば、ニッケル(Ni)合金などの他の種類の金属、または、ポリイミドやドライフィルムレジストなどの樹脂材料、シリコン(Si)の単結晶基板やガラスセラミックスなどの無機材料等により形成されていてもよい。また、他の実施形態では、ノズル211の列の数は1列でなくてもよく、ノズル板210に2列以上のノズル211が形成されていてもよい。
圧力室基板220は、圧力室221を区画する板状の部材である。圧力室基板220は、例えば、接着剤や熱溶着フィルム等を介してノズル板210の+Z方向の面に接合される。圧力室基板220には、液体の流路となる圧力室221、インク供給路223、及び、連通部225を形成するための、圧力室基板220をZ方向に貫通する孔HLが形成されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層され、圧力室基板220に後述する振動板231が積層されることによって、圧力室221とインク供給路223と連通部225とが、区画される。なお、例えば、振動板231が圧力室基板220上に積層された後に、孔HLの一部や全部が形成されてもよい。本実施形態において、圧力室基板220は、Siの単結晶基板によって形成されている。他の実施形態では、圧力室基板220は、Siの単結晶基板に限らず、例えば、Siを主成分とする他の材料や、他のセラミックス材料、ガラス材料等により形成された基板であってもよい。
圧力室基板220は、複数の圧力室221を区画する。本実施形態では、複数の圧力室221は、X方向に沿って並んで形成されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層されることによって、複数の圧力室221それぞれは、ノズル211と連通する。本実施形態では、複数の圧力室221が、多数のノズル211の配列と対応するように、X方向に並んで配列されている。それぞれの圧力室221は、Z方向から見て、Y方向を長手方向とする略平行四辺形状を有している。
連通部225は、複数の圧力室221それぞれに共通な空部である。連通部225は、インク供給路223を介して、複数の圧力室221それぞれと連通する。インク供給路223は、圧力室221よりも狭い幅で形成されており、連通部225から圧力室221に流入するインクに対して流路抵抗となる。
圧電部230は、圧力室基板220上に、振動板231及び圧電素子240が積層されることによって構成されている。本実施形態の圧電部230は、圧電素子240の変形によって、圧電素子240と圧力室基板220との間に設けられた振動板231を撓ませることで、圧力室221の容積を変化させることができる。本実施形態の振動板231は、圧電部230上に形成された可撓層232と、可撓層232上に形成された保護層233とを有している。可撓層232は、例えば、二酸化シリコンによって形成され、保護層233は、例えば、酸化ジルコニウムによって形成される。なお、圧電部230をアクチュエーターと呼ぶこともある。また、圧電部230や圧電素子240の詳細については、後述する。
封止部250は、圧電部230上に接着剤を介して接合される。封止部250は、圧電素子保持部251と、マニホールド部252とを、有している。圧電素子保持部251は、圧電素子240の運動を阻害しない程度の空間を有し、この空間内に圧電素子240を保持する。マニホールド部252はZ方向とX方向に亘って形成され、圧力室基板220の連通部225と連通する。本実施形態では、封止部250は、Si単結晶基板を用いて形成されている。なお、封止部250は、他のセラミックス材料やガラス材料等によって構成されていてもよい。この場合、封止部250としては、圧力室基板220の熱膨張率と略同一の熱膨張率を有する材料を用いると好ましい。
駆動回路90は、圧電素子240を駆動するための駆動信号を、圧電素子240に供給する。駆動回路90としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。駆動回路90と圧電素子240とは、リード電極295及び図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。また、駆動回路90と制御部110とは、図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。
図3は、液体吐出ヘッド200の要部のYZ平面に沿った断面を示す概略図である。図3に示すように、上述した各部材が積層されることによって、マニホールド部252と連通部225とが連通し、複数の圧力室221それぞれの共通の液体室となるマニホールド293が形成される。更に、ノズル211、圧力室221、インク供給路223、及び、マニホールド293が連通し、インクの流路が形成される。液体吐出ヘッド200は、圧電部230によって圧力室221の容積を変化させることで、上述の流路を介して圧力室221に供給された液体を、ノズル211から吐出する。なお、マニホールド293を、共通液室やリザーバーと呼ぶこともある。
図4は、圧電部230の概略構成を説明する図である。図4には、XY平面において圧力室221が形成されている部分が、破線によって示されている。図4には、その他にも、XY平面において、後述する圧電素子240を構成する各部材が設けられている部分が示されている。
図5は、図4における圧力室221及び圧電部230のV−V断面図である。上述したように、圧電部230は、振動板231と、複数の圧電素子240とを、備えている。圧電素子240は、複数の圧電体260と、第1電極270と、複数の第2電極280とを、有している。
本実施形態において、圧電体260は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成されている。なお、圧電体260は、PZTに代えて、ABO3型で表されるいわゆるペロブスカイト構造を有する他の種類のセラミックス材料、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等によって形成されてもよい。また、圧電体260は、セラミックス材料に限らず、ポリフッ化ビニリデン、水晶など、圧電効果を有する任意の材料により形成されてもよい。
第1電極270は、複数の圧電体260に対して共通に設けられた電極を指す。第2電極280は、複数の圧電体260に対して個別に設けられた電極を指す。第1電極270を共通電極と呼び、第2電極280を個別電極と呼ぶこともある。
本実施形態では、第1電極270は圧電体260の上部に積層されており、上部電極と呼ばれることもある。第2電極280は圧電体260の下部に積層されており、下部電極と呼ばれることもある。圧電体260と、第1電極270と、第2電極280と、が積層される方向を第1方向と呼ぶこともある。第1方向は、同じ軸に沿う一方側の方向とその反対方向とを両方含む。本実施形態では、第1方向はZ方向に沿った方向であり、第1方向の正負の向きと、Z方向の正負の向きとは一致する。第1電極270や第2電極280は、例えば、白金、イリジウム、チタン、タングステン、タンタル、等の各種金属や、ニッケル酸ランタン(LaNiO)等の導電性金属酸化物等によって形成される。
図4では、圧電素子240のうち、XY平面において圧電体260が設けられている部分に対応する部分に、右上がりのハッチングが施されている。図4には、複数の圧電体260の1つである第1圧電体261と、複数の圧電体260の1つであって、第1圧電体261とX方向に隣り合って配列される第2圧電体262とが、示されている。図4に示すように、複数の圧電体260と複数の第2電極280とは、X方向に沿って配列されている。複数の圧電体260それぞれは、Y方向を長手方向とし、Y方向に沿って延在している。複数の圧電体260それぞれに対応する第2電極280それぞれもまた、Y方向に沿って延在している。なお、複数の圧電体260それぞれ及び複数の第2電極280それぞれが延在する方向を第2方向と呼ぶこともある。第2方向は、第1方向と直交する方向である。複数の圧電体260及び複数の第2電極280が配列される方向を第3方向と呼ぶこともある。第3方向は、第1方向及び第2方向と直交する方向である。第2方向及び第3方向は、それぞれ同じ軸に沿う一方側の方向とその反対方向とを両方含む。本実施形態では、第2方向の正負の向きとY方向の正負の向きとは一致し、第3方向の正負の向きとX方向の正負の向きとは一致する。
図4には、第1電極270のY方向における一端271と、Y方向における他端276とが、太線によって示されている。一端271及び他端276は、第1電極270のY方向における外縁である。本実施形態では、一端271は他端276から見て+Y方向の位置に位置している。図4に示すように、本実施形態では、第1電極270は、全体として、X方向に沿って延在している。
図4に示すように、第1方向と直交し、第2方向と第3方向とに交差する方向を第4方向D4と呼ぶこともある。第1方向と直交し、第2方向と第3方向と第4方向D4とに交差する方向を、第5方向D5と呼ぶこともある。第5方向D5と同様に、第1方向と直交し、第2方向と第3方向と第4方向D4と交差する方向を第6方向D6と呼ぶこともある。第4方向D4から第6方向D6は、同じ軸に沿う一方側の方向とその反対方向とを両方含む。なお、本実施形態では、第5方向D5と第6方向D6とは同じ方向であるが、第5方向D5と第6方向D6とは、異なる方向であってもよい。
図4及び図5には、能動領域Acが示されている。図4では、能動領域Acに網点模様のハッチングが施されている。能動領域Acは、圧電部230のうち、XY平面において、圧電体260の能動部に対応する部分である。圧電体260の能動部とは、圧電体260のうち、Z方向において第1電極270と第2電極280とによって挟まれた部分である。従って、図4で網点模様のハッチングが施されている部分は、圧電素子240のうち、XY平面において、圧電体260と、第1電極270と、第2電極280と、が重なって設けられている部分であるということもできる。なお、圧電部230のうち、能動領域Acと異なる領域を、非能動領域と呼ぶこともある。また、圧電体260のうち、能動部と異なる部分を非能動部と呼ぶこともある。
圧電体260の能動部では、第1電極270及び第2電極280を介して圧電体260に電圧が印加された際に、圧電歪みが生じる。圧電素子240は、この圧電歪みに起因する変位によって、圧力室221の容積を変化させる。具体的には、本実施形態では、圧電素子240は、圧電体260の圧電歪みによって振動板231を変形させて、圧力室221の容積を変化させる。なお、圧電体260の非能動部では、圧電体260に電圧が印加された場合でも、圧電歪みが生じない。従って、圧電部230の能動領域Acと非能動領域との間では、電圧印加時に、変位の差が生じる。
図4に示すように、圧電素子240は、Z方向に見て、それぞれX方向に並ぶ第1領域R1と第2領域R2とを有する。更に、本実施形態では、圧電素子240は、X方向に並ぶ第3領域R3及び第4領域R4と、X方向に並ぶ第5領域R5及び第6領域R6と、を有している。図4には、第1領域R1から第6領域R6が、それぞれ一点鎖線によって示されている。
第1領域R1は、第1電極270の一端271と、第1圧電体261とが、重なる領域の一部を含む領域である。第2領域R2は、第1電極270の一端271と、第1圧電体261と、第1圧電体261に対応する第2電極280とが、重なる領域を含む領域である。従って、第2領域R2には、第1圧電体261の能動部と非能動部とに対応する、能動領域Acと非能動領域との境界Br1が含まれる。一方で、第1領域R1には、能動領域Acが含まれないため、境界Br1が含まれない。
図4に示すように、第1電極270の一端271は、第1領域R1においてX方向に延在する第1部分272と、第2領域R2においてX方向及びY方向に交差して延在する第2部分273とを、有する。具体的には、本実施形態では、第2部分273は、第4方向D4に延在している。そのため、境界Br1は、第4方向に延在している。なお、第1電極270の一端271が、特定の方向に延在していると言った場合、第1電極270の一端271は、例えば、微少な凹凸を有していてもよく、全体としてその方向に延在していればよい。また、他端276が特定の方向に延在していると言った場合も同様である。
図6は、第1圧電体261の能動部と非能動部とに対応する能動領域Acと非能動領域との境界Br1を説明する図である。境界Br1では、電圧印加時に、上述した能動領域Acと非能動領域との変位の差に起因する応力Sが生じる。本実施形態では、境界Br1が第4方向に延在しているため、応力Sは、境界Br1において、第4方向に直交する方向の引っ張り応力Stと、第4方向の剪断応力Ssと、に分解される。従って、境界Br1が第4方向に延在することによって、境界Br1がX方向に延在する場合と比較して、境界Br1において生じる引っ張り応力Stの大きさを小さくすることができ、圧電部230におけるクラックの発生を抑制できる。
本実施形態では、第4方向と第2方向であるY方向とのなす鋭角θ1は、45°以下である。また、鋭角θ1は、30°以下であると更に好ましい。これによって、境界Br1において、圧電部230に生じる引っ張り応力Stの大きさを、更に小さくすることができる。なお、圧電部230を構成する部材を、引っ張り強度に対して相対的に高い剪断強度を有する材料によって形成することで、圧電部230におけるクラックの発生や、圧電部230の変形等を、更に効果的に抑制できる。また、他の実施形態では、鋭角θ1の大きさを、圧電部230を構成する部材の引っ張り強度と剪断強度との関係等の機械的性質に応じて定めてもよい。
図4に示すように、第2部分273は、Y方向において、第1部分272と第1電極270の他端276との間に位置している。具体的には、本実施形態では、第2部分273は、Y方向において、第1部分272に対して、他端276側である−Y方向に位置している。従って、本実施形態では、第1電極270は、第2領域R2において、第1電極270のY方向における内側に凹んでいる。これによって、例えば、Y方向において第1部分272が第2部分273と他端276との間に位置している場合と比較して、第2領域R2において第1電極270が破損する可能性が低くなる。
本実施形態では、第1領域R1のX方向における幅W1は、第1圧電体261に対応する第2電極280の幅W2よりも大きい。また、第1圧電体261に対応する第2電極280のX方向における中央は、第1領域R1のX方向における中央に位置している。
第3領域R3は、第1電極270の一端271と、第2圧電体262とが重なる領域の一部を含む領域である。第4領域R4は、第1電極270の一端271と、第2圧電体262と、第2圧電体262に対応する第2電極280と、が重なる領域を含む領域である。従って、第4領域R4には、第2圧電体262の能動部と非能動部とに対応する、能動領域Acと非能動領域との境界Br2が含まれる。一方で、第3領域R3には、能動領域Acが含まれないため、境界Br2が含まれない。
図4に示すように、第3領域R3では、第1電極270の一端271は、第3領域R3においてX方向に延在する第3部分274と、第4領域R4において第6方向D6に延在する第4部分275とを、有する。これによって、第4領域R4に含まれる境界Br2は、第6方向D6に沿って延在する。第4領域R4において、境界Br2が第6方向D6に延在することによって、境界Br1における場合と同様に、境界Br2において生じる引っ張り応力の大きさを小さくすることができる。また、上述したように、第6方向D6と第4方向D4とは互いに交差する方向であるため、第2領域R2内の境界Br1において生じる剪断応力の方向と、第4領域R4内の境界Br2において生じる剪断応力の方向とは、それぞれ異なる。これによって、例えば、第2部分273と第4部分275とが同じ方向に延在している場合と比較して、圧電部230の隣り合う圧電体260に対応する部分同士でX方向における変形が抑制されやすいため、X方向において、圧電部230全体の変形を抑制できる。なお、本実施形態では、Y方向と第6方向D6とのなす鋭角θ2との大きさと、鋭角θ1の大きさとは等しい。
図4に示すように、第4部分275は、Y方向において、第3部分274と第1電極270の他端276との間に位置している。具体的には、本実施形態では、第4部分275は、Y方向において、第3部分274に対して、他端276側である−Y方向に位置している。従って、本実施形態では、第1電極270は、第4領域R4において、第1電極270のY方向における内側に凹んでいる。これによって、例えば、Y方向において第3部分274が第4部分275と他端276との間に位置している場合と比較して、第4領域R4において第1電極270が破損する可能性が低くなる。
第5領域R5は、第1電極270の他端276と、第1圧電体261とが重なる領域の一部を含む領域である。第6領域R6は、第1電極270の他端276と、第1圧電体261と、第1圧電体261に対応する第2電極280と、が重なる領域を含む領域である。従って、第6領域R6には、第1圧電体261の能動部と非能動部とに対応する、能動領域Acと非能動領域との境界Br3が含まれる。一方で、第5領域R5には、能動領域Acが含まれないため、境界Br3が含まれない。
図4に示すように、第1電極270の他端276は、第5領域R5においてX方向に延在する第5部分277と、第6領域R6においてX方向及びY方向に交差して延在する第6部分278とを、有する。具体的には、本実施形態では、第6部分278は、第4方向D4と直交する方向に延在している。第6部分278が、境界Br3がX方向及びY方向と交差して延在することによって、境界Br1における場合と同様に、境界Br3において生じる引っ張り応力の大きさを小さくすることができる。なお、第6部分278は、第4方向D4、第5方向D5や、第6方向D6と同じ方向に延在していてもよいし、異なる方向に延在していてもよい。
図4に示すように、第6部分278は、Y方向において、第5部分277と第1電極270の一端271との間に位置している。具体的には、本実施形態では、第6部分278は、Y方向において、第5部分277に対して、一端271側である+Y方向に位置している。従って、本実施形態では、第1電極270は、第6領域R6において、第1電極270のY方向における内側に凹んでいる。これによって、例えば、Y方向において第5部分277が第6部分278と一端271との間に位置している場合と比較して、第6領域R6において第1電極270が破損する可能性が低くなる。
本実施形態の圧電部230を、例えば、フォトレジストによるマスキングを利用したエッチング等を用いた既知の方法によって作成することができる。振動板231の可撓層232は、例えば、熱酸化やCVD法等によって、圧力室基板220上に形成される。保護層233は、例えば、CVD法等によって、可撓層232上に形成される。第1電極270及び第2電極280は、例えば、白金等の材料をターゲット材としてスパッタリングによって形成される。圧電体260は、例えば、ゾルゲル法によって作成され、振動板231上や第2電極280上にスピンコート法等によってコーティングされる。これらの部材を形成するとともに、エッチング等によってパターニングし、順に積層することによって、圧電部230を作成することができる。なお、この方法によって圧電部230を作成する場合、上述したように、第1電極270は、第2領域R2において、第1電極270のY方向における内側に凹んでいるため、第1電極270が第2領域R2において、第1電極270のY方向における外側に突出している場合と比較して、より簡易に第1電極270を形成できる。
以上で説明した第1実施形態の液体吐出ヘッド200によれば、第1電極270の一端271の第1部分272は第1領域R1においてX方向に延在し、第2部分273は第2領域R2においてX方向及びY方向に交差して延在する。また、第2部分273は、Y方向において、第1部分272と第1電極270の他端276との間に位置している。これによって、第2領域R2内の能動領域Acと非能動領域との境界Br1において生じる応力が、引っ張り応力Stと剪断応力Ssとに分解されることで、境界Br1において生じる引っ張り応力Stの大きさが小さくなる。そのため、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生を抑制できる。また、第2領域R2において第1電極270が破損する可能性が低くなるため、第1電極270の一端271の形状が保たれやすく、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
また、本実施形態では、第2部分273は第2領域R2において第4方向D4に延在し、第3部分274は第3領域R3においてX方向に延在し、第4部分275は第4領域R4において第4方向D4と交差する第6方向D6に延在している。また、第4部分275は、Y方向において、第3部分274と第1電極270の他端276との間に位置している。これによって、第4領域R4においても、第2領域R2における場合と同様にクラックの発生が抑制される。更に、第1圧電体261に対応する第2領域R2内の境界Br1において生じる剪断応力の方向と、第2圧電体262に対応する第4領域R4内の境界Br2において生じる剪断応力の方向とは、それぞれ異なる。そのため、第2部分273と第4部分275とが同じ方向に延在している場合と比較して、第3方向において、圧電部230全体の変形が抑制され、圧電部230の破損や変形に対する信頼性がより高まる。
また、本実施形態では、第2方向であるY方向と第4方向D4とのなす鋭角θ1の大きさと、Y方向と第6方向とのなす鋭角θ2の大きさとは等しい。これによって、圧電部230の隣り合う圧電体260に対応する部分では、第3方向においてそれぞれ異なる方向に剪断応力が生じ、その剪断応力の大きさがそれぞれ均等となりやすい。そのため、第3方向において、圧電部230全体の変形がより効果的に抑制され、圧電部230の破損や変形に対する信頼性が更に高まる。
また、本実施形態では、第2方向であるY方向と第4方向D4とのなす鋭角は45°以下である。これによって、境界Br1において、圧電部230に生じる引っ張り応力Stの大きさを、更に小さくすることができる。そのため、圧電部230におけるクラックの発生が、より効果的に抑制される。
また、本実施形態では、第1電極270の他端276の第5部分277は第5領域R5においてX方向に延在し、第6部分278は第6領域R6においてX方向及びY方向に交差して延在する。また、第6部分278は、Y方向において、第5部分277と第1電極270の一端271との間に位置している。これによって、第1電極270の他端276に対応する能動領域Acと非能動領域との境界Br3においても、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生を抑制できる。また、第6領域R6において第1電極270が破損する可能性が低くなるため、第1電極270の他端276の形状が保たれやすく、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
また、本実施形態では、第1電極270は圧電体260の上部に積層され、第2電極280は圧電体260の下部に積層されている。これによって、第1電極270がいわゆる上部電極であって、第2電極280がいわゆる下部電極であっても、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が抑制される。そのため、圧電素子240の構成の自由度が高まる。
また、本実施形態では、第1領域R1のX方向における幅W1は、第1圧電体261に対応する第2電極280の幅W2よりも大きい。そのため、例えば、圧電素子240が形成される際や使用される際に、第1電極270と第2電極280との第3方向における位置関係が変化した場合であっても、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が効果的に抑制される可能性が高まる。
また、本実施形態では、X方向において、第1圧電体261に対応する第2電極280の中央は、第1領域R1の中央に位置する。そのため、例えば、圧電素子240が使用される際に、第1電極270と第2電極280との第3方向における位置関係が変化した場合であっても、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が効果的に抑制される可能性が高まる。
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における圧電部230bの概略構成を説明する図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1電極270bの一端271bの第2部分273bは、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有する。なお、本実施形態では、第1実施形態と異なり、第1圧電体261と隣り合う圧電体260を区別していない。また、第2実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
上述したように、本実施形態では、第2部分273bは、第2領域R2において、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有する。そのため、境界Br1は、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有する。従って、境界Br1に生じた応力は、境界Br1の第4方向D4に延在する部分において、第4方向に直交する方向の引っ張り応力と、第4方向D4の剪断応力とに分解され、境界Br1の第5方向D5に延在する部分において、第5方向D5に直交する方向の引っ張り応力と、第5方向D5の剪断応力と、に分解される。これによって、境界Br1において生じる引っ張り応力Stの大きさを小さくすることができ、かつ、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、X方向における変形を抑制できる。
図7に示すように、本実施形態では、第2領域R2において、第1電極270bの一端271bは、Z方向に見て、第2領域R2のX方向における中央を通る直線Lsに対して線対称の形状を有している。従って、本実施形態では、Y方向と第4方向D4とのなす鋭角θ1の大きさと、Y方向と第5方向D5とのなす鋭角θ3との大きさとは等しい。また、第2部分273bの第4方向D4に延在する部分の長さと、第5方向D5に延在する部分の長さとは等しい。これによって、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、X方向における変形がより効果的に抑制される。なお、本実施形態において、直線Lsは、第6領域R6のX方向における中央も通る。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1圧電体261に対応する第2電極280のX方向における中央は、第1領域R1のX方向における中央に位置している。これによって、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、X方向における変形が更に効果的に抑制される。
また、本実施形態では、第6領域R6における第1電極270bの他端276bの第6部分278bは、第2部分273bと同様に、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有している。更に、第6領域R6における第1電極270bの他端276bは、第1領域R1における一端271bと同様に、第6領域R6のX方向の中央を通る直線Lsに対して線対称の形状を有している。これによって、圧電部230bの他端276bと対応する部分においても、一端271bと対応する部分における場合と同様の効果が得られる。そのため、圧電部230bのX方向における変形が更に効果的に抑制される。
以上で説明した第2実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、能動領域Acと非能動領域との境界Br1において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界Br1において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなり、振動板231や圧電素子240におけるクラックの発生が抑制される。特に、本実施形態では、第1電極270bの一端271bの第2部分273bは、第2領域R2において、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有するため、境界Br1は、第4方向D4に延在する部分と第5方向D5に延在する部分とを有する。これによって、境界Br1に生じる応力は、複数の異なる方向の引っ張り応力と、複数の異なる方向の剪断応力と、に分解される。そのため、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、X方向における変形が抑制される。
また、本実施形態では、第2領域R2において、第1電極270bの一端271bは、直線Lsに対して線対称の形状を有している。これによって、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、X方向における変形がより効果的に抑制される。
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態における圧力室221及び圧電部230cのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、共通電極である第1電極270cが下部電極であり、個別電極である第2電極280cが上部電極である。すなわち、第1電極270cは圧電体260の下部に積層されている。第2電極280cは圧電体260の上部に積層されている。なお、本実施形態では、第2実施形態と同様に、第1圧電体261と隣り合う圧電体260を区別していない。また、第3実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
以上で説明した第3実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、能動領域Acと非能動領域との境界Br1において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界Br1において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなり、振動板231や圧電素子240cにおけるクラックの発生が抑制される。特に、本実施形態では、第1電極270cがいわゆる下部電極であり、第2電極280cがいわゆる上部電極である場合であっても、振動板231や圧電素子240cにおけるクラックの発生が抑制される。そのため、圧電素子240cの構成の自由度が高まる。
D.第4実施形態:
図9は、第4実施形態における圧電部230dの概略構成を説明する図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、圧電素子240dの、第1電極270dの一端271dは、第2領域R2において、第2部分273を有することなく、曲線状に延在する曲線部279を有している。なお、本実施形態では、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、第1圧電体261と隣り合う圧電体260を区別していない。また、第4実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
上述したように、本実施形態では、第1電極270dの一端271dは、第1領域R1においてX方向に延在する第1部分272と、第2領域R2において曲線状に延在する曲線部279とを、有している。これによって、第2領域R2に含まれる境界Br1は、曲線状に延在している。そのため、境界Br1に生じた応力は、境界Br1の各部分において、境界Br1に直交する方向の引っ張り応力と、境界Br1に沿う方向の剪断応力とに分解される。従って、境界Br1が曲線状に延在することによって、境界Br1がX方向に延在する場合と比較して、境界Br1において生じる引っ張り応力の大きさを小さくすることができるため、圧電部230dにおけるクラックの発生を抑制できる。
図4に示すように、曲線部279は、Y方向において、第1部分272と第1電極270dの他端276dとの間に位置している。具体的には、本実施形態では、曲線部279は、Y方向において、第1部分272に対して、他端276d側である−Y方向に位置している。従って、本実施形態では、第1電極270dは、第2領域R2において、第1電極270dのY方向における内側に凹んでいる。これによって、例えば、Y方向において第1部分272が曲線部279と他端276dとの間に位置している場合と比較して、第2領域R2において第1電極270dが破損する可能性が低くなる。
なお、本実施形態では、第6領域R6における第1電極270dの他端276dは、第6領域R6において第6部分278を有することなく、曲線状に延在する部分を有している。具体的には、他端276dは、第5領域R5においてX方向に延在する第5部分277と、第6領域R6において曲線状に延在する部分とを有している。また、この第6領域R6において曲線状に延在する部分は、Y方向において、第5部分277と第1電極270dの一端271dとの間に位置している。これによって、圧電部230dの、第1電極270dの他端276dに対応する部分においても、第1電極270dの一端271に対応する部分と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態においても、第2形態と同様に、第2領域R2において、一端271bは、Z方向に見て、直線Lsに対して線対称の形状を有している。これによって、圧電部230dの第1圧電体261に対応する部分において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、圧電部230dの第1圧電体261に対応する部分において、X方向における変形がより効果的に抑制される。なお、本実施形態において、直線Lsは、第6領域R6のX方向における中央も通る。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1圧電体261に対応する第2電極280のX方向における中央は、第1領域R1のX方向における中央に位置している。これによって、圧電部230bの第1圧電体261に対応する部分において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、X方向における変形が更に効果的に抑制される。
以上で説明した第4実施形態の液体吐出ヘッド200によれば、第1電極270dの一端271dは、第1領域R1においてX方向に延在する第1部分272と、第2領域R2において曲線状に延在する曲線部279とを、有する。また、曲線部279は、Y方向において、第1部分272と第1電極270dの他端276dとの間に位置している。これによって、第2領域R2内の能動領域Acと非能動領域との境界Br1において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界Br1において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなる。そのため、振動板231や圧電素子240dにおけるクラックの発生を抑制できる。また、第6領域R6において第1電極270dが破損する可能性が低くなるため、第1電極270dの一端271dの形状が保たれやすく、振動板231や圧電素子240dにおけるクラックの発生が効果的に抑制される。
E.他の実施形態:
(E−1)上記の第2実施形態及び第4実施形態において、第2領域R2では、第1電極270の一端271は、Z方向に見て、直線Lsに対して線対称の形状を有している。これに対して、第2領域R2において、第1電極270は、線対称の形状を有していなくてもよい。
(E−2)上記実施形態において、圧電素子240は第3領域R3と第4領域R4とを有し、第1電極270の一端271は第3部分274と第4部分275とを有している。これに対して、圧電素子240は、第3領域R3と第4領域R4とを有していなくてもよい。換言すると、例えば、第1電極270の一端271は、第4領域R4に相当する領域において第6方向D6に延在する部分を有していなくてもよい。この場合、一端271は、第4領域R4に相当する領域に、例えば、第4方向D4に延在する部分を有していてもよいし、X方向やY方向に延在する部分を有していてもよい。更に、この場合、第4領域R4に相当する領域における第1電極270の一端271は、第3領域R3に相当する領域における一端271と他端276との間に位置していなくてもよい。
(E−3)上記実施形態において、第2方向であるY方向と第4方向D4とのなす鋭角は45°以下である。これに対して、第2方向と第4方向D4とのなす鋭角の大きさは、45°を超えていてもよい。
(E−4)上記実施形態において、圧電素子240は第5領域R5と第6領域R6とを有し、第1電極270の他端276は第5部分277と第6部分278とを有している。これに対して、圧電素子240は、第5領域R5と第6領域R6とを有していなくてもよい。換言すると、例えば、第1電極270の他端276は、第6領域R6に相当する領域において第2方向及び第3方向に交差して延在する部分を有していなくてもよい。同様に、上記第4実施形態においては、他端276は、第6領域R6に相当する領域において曲線状に延在する部分を有していなくてもよい。更に、この場合、第6領域R6に相当する領域における第1電極270の他端276は、第5領域R5に相当する領域における他端276と一端271との間に位置していなくてもよい。また、例えば、第6領域R6に相当する領域において、Z方向に見て、第1電極270の他端276と、第2電極280とが重ならなくてもよい。
(E−5)上記実施形態において、第1領域R1の幅W2は、第1圧電体261に対応する第2圧電体262の幅W2よりも大きい。これに対して、幅W1と幅W2とが等しくてもよい。
(E−6)上記実施形態では、X方向において、第1圧電体261に対応する第2電極280の中央は、第1領域R1の中央に位置している。これに対して、X方向において、第1圧電体261に対応する第2電極280の中央は、第1領域R1の中央と異なる位置に位置していてもよい。
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本開示の第1の形態によれば、第1方向に配列された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子に対応する複数の圧力室が前記第1方向に並んで形成された圧力室基板と、を有する液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
このような形態によれば、圧電素子の第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなる。そのため、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。また、第2領域において第1電極が破損する可能性が低くなるため、第1電極の一端の形状が保たれやすく、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
(2)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向とに交差する方向を第4方向とし、前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向と前記第4方向と交差する方向を第5方向としたとき、前記第2部分は、前記第4方向に延在する部分と前記第5方向に延在する部分とを有していてもよい。このような形態によれば、第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる応力は、複数の異なる方向の引っ張り応力と、複数の異なる方向の剪断応力と、に分解される。そのため、圧電素子の第1圧電体に対応する部分において、X方向における変形が抑制され、圧電素子の破損や変形に対する信頼性がより高まる。
(3)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2領域において、前記第1方向に見て、前記第1電極の前記一端は、前記第2領域の前記第3方向における中央を通る直線に対して線対称の形状を有していてもよい。このような形態によれば、第2領域内の能動領域と非能動領域との境界において、それぞれ異なる方向に生じる剪断応力の大きさが均等となりやすいため、圧電部の第1圧電体に対応する部分において、X方向における変形がより効果的に抑制される。そのため、圧電素子の破損や変形に対する信頼性がより高まる。
(4)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向とに交差する方向を第4方向とし、前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向と前記第4方向と交差する方向を第6方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第3領域と第4領域とを有し、前記第3領域は、前記第1電極の前記一端と、前記複数の圧電体の1つであり前記第1圧電体と隣り合って配列される第2圧電体と、が重なる領域の一部を含む領域であり、前記第4領域は、前記一端と、前記第2圧電体と、前記第2圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域であり、前記一端は、前記第3領域において前記第3方向に延在する第3部分と、前記第4領域において前記第6方向に延在する第4部分と、を有し、前記第2部分は、前記第2領域において前記第4方向に延在し、前記第4部分は、前記第2方向において、前記第3部分と前記他端との間に位置していてもよい。このような形態によれば、第4領域においても、第2領域における場合と同様にクラックの発生が抑制される。更に、第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる剪断応力の方向と、第4領域内の、第2圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる剪断応力の方向とは、それぞれ異なる。そのため、第2部分と第4部分とが同じ方向に延在している場合と比較して、第3方向において、圧電素子全体の変形が抑制され、圧電素子の破損や変形に対する信頼性がより高まる。
(5)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2方向と前記第4方向とのなす鋭角の大きさと、前記第2方向と前記第6方向とのなす鋭角の大きさと、は等しくてもよい。このような形態によれば、圧電素子の隣り合う圧電体に対応する部分では、第3方向においてそれぞれ異なる方向に剪断応力が生じ、その剪断応力の大きさがそれぞれ均等となりやすい。そのため、第3方向において、圧電素子全体の変形がより効果的に抑制され、圧電素子の破損や変形に対する信頼性が更に高まる。
(6)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2方向と前記第4方向とのなす鋭角は45°以下であってもよい。このような形態によれば、圧電素子の第2領域内の能動領域と非能動領域との境界において、圧電素子に生じる引っ張り応力の大きさを、更に小さくすることができる。そのため、圧電素子におけるクラックの発生が、より効果的に抑制される。
(7)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第5領域と第6領域とを有し、前記第5領域は、前記他端と前記第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第6領域は、前記他端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域であって、前記他端は、前記第5領域において前記第3方向に延在する第5部分と、前記第6領域において前記第2方向及び前記第3方向と交差して延在する第6部分と、を有し、前記第6部分は、前記第2方向において、前記第5部分と前記一端との間に位置していてもよい。このような形態によれば、第6領域内における、圧電素子の第1圧電体に対応する部分の、第1電極の他端に対応する能動領域と非能動領域との境界においても、クラックの発生を抑制できる。また、第6領域においても第1電極が破損する可能性が低くなるため、第1電極の他端の形状が保たれやすく、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
(8)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1電極は、前記圧電体の上部に積層され、前記第2電極は、前記圧電体の下部に積層されていてもよい。このような形態によれば、第1電極がいわゆる上部電極であって、第2電極がいわゆる下部電極であっても、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
(9)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1電極は、前記圧電体の下部に積層され、前記第2電極は、前記圧電体の上部に積層されていてもよい。このような形態によれば、第1電極がいわゆる下部電極であり、第2電極がいわゆる上部電極である場合であっても、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
(10)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1領域の前記第3方向における幅は、前記第1圧電体に対応する前記第2電極の、前記第1方向に見て前記第1圧電体及び前記第1電極の前記一端と重なる部分の前記第3方向における幅よりも大きくてもよい。このような形態によれば、例えば、圧電素子が形成される際や使用される際に、第1電極と第2電極との第3方向における位置関係が変化した場合であっても、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される可能性が高まる。
(11)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1圧電体に対応する前記第2電極の前記第3方向における中央は、前記第1領域の前記第3方向における中央に位置していてもよい。このような形態によれば、例えば、圧電素子が使用される際に、第1電極と第2電極との第3方向における位置関係が変化した場合であっても、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される可能性が高まる。
(12)本開示の第2の形態によれば、複数の圧電体と、前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において曲線状に延在する曲線部と、を有し、前記曲線部は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
このような形態によれば、圧電素子の第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなる。そのため、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。また、第2領域において第1電極が破損する可能性が低くなるため、第1電極の一端の形状が保たれやすく、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
(13)本開示の第3の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の形態又は第2の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備える。
このような形態によれば、圧電素子の第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなる。そのため、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。また、第2領域において第1電極が破損する可能性が低くなるため、第1電極の一端の形状が保たれやすく、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
(14)本開示の第4の形態によれば、複数の圧電体と、前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備えるアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有する。前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域である。前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置する。
このような形態によれば、圧電素子の第2領域内の、第1圧電体の能動部と非能動部とに対応する能動領域と非能動領域との境界において生じる応力が、引っ張り応力と剪断応力とに分解されることによって、境界において生じる引っ張り応力の大きさが小さくなる。そのため、圧電素子におけるクラックの発生が抑制される。また、第2領域において第1電極が破損する可能性が低くなるため、第1電極の一端の形状が保たれやすく、圧電素子におけるクラックの発生が効果的に抑制される。
本開示は、上述した液体吐出ヘッド、液体吐出装置やアクチュエーターとしての形態に限らず、液体吐出システムや、液体吐出装置を備える複合機等の種々の態様で実現可能である。
40…キャリッジ、41…フレキシブルケーブル、46…駆動モーター、47…駆動ベルト、51…搬送モーター、55…プラテン、80…インクカートリッジ、90…駆動回路、100…液体吐出装置、110…制御部、200…液体吐出ヘッド、210…ノズル板、211…ノズル、220…圧力室基板、221…圧力室、223…インク供給路、225…連通部、230,230b,230c,230d…圧電部、231…振動板、232…可撓層、233…保護層、240,240b,240c,240d…圧電素子、250…封止部、251…圧電素子保持部、252…マニホールド部、260…圧電体、261…第1圧電体、262…第2圧電体、270,270b,270c,270d…第1電極、271,271b,271d…一端、272…第1部分、273,273b…第2部分、274…第3部分、275…第4部分、276,276b,276d…他端、277…第5部分、278,278b…第6部分、279…曲線部、280,280c…第2電極、293…マニホールド、295…リード電極

Claims (14)

  1. 複数の圧電体と、
    前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、
    前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドであって、
    前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、
    前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、
    前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
    前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有し、
    前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、
    前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域であり、
    前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、
    前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向とに交差する方向を第4方向とし、
    前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向と前記第4方向と交差する方向を第5方向としたとき、
    前記第2部分は、前記第4方向に延在する部分と前記第5方向に延在する部分とを有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第2領域において、前記第1方向に見て、前記第1電極の前記一端は、前記第2領域の前記第3方向における中央を通る直線に対して線対称の形状を有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向とに交差する方向を第4方向とし、
    前記第1方向と直交し、前記第2方向と前記第3方向と前記第4方向と交差する方向を第6方向としたとき、
    前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第3領域と第4領域とを有し、
    前記第3領域は、前記第1電極の前記一端と、前記複数の圧電体の1つであり前記第1圧電体と隣り合って配列される第2圧電体と、が重なる領域の一部を含む領域であり、
    前記第4領域は、前記一端と、前記第2圧電体と、前記第2圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域であり、
    前記一端は、前記第3領域において前記第3方向に延在する第3部分と、前記第4領域において前記第6方向に延在する第4部分と、を有し、
    前記第2部分は、前記第2領域において前記第4方向に延在し、
    前記第4部分は、前記第2方向において、前記第3部分と前記他端との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第2方向と前記第4方向とのなす鋭角の大きさと、前記第2方向と前記第6方向とのなす鋭角の大きさと、は等しいことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記第2方向と前記第4方向とのなす鋭角は45°以下であることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第5領域と第6領域とを有し、
    前記第5領域は、前記他端と前記第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、
    前記第6領域は、前記他端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域であって、
    前記他端は、前記第5領域において前記第3方向に延在する第5部分と、前記第6領域において前記第2方向及び前記第3方向と交差して延在する第6部分と、を有し、
    前記第6部分は、前記第2方向において、前記第5部分と前記一端との間に位置することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記第1電極は、前記圧電体の上部に積層され、
    前記第2電極は、前記圧電体の下部に積層されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記第1電極は、前記圧電体の下部に積層され、
    前記第2電極は、前記圧電体の上部に積層されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記第1領域の前記第3方向における幅は、前記第1圧電体に対応する前記第2電極の、前記第1方向に見て前記第1圧電体及び前記第1電極の前記一端と重なる部分の前記第3方向における幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記第1圧電体に対応する前記第2電極の前記第3方向における中央は、前記第1領域の前記第3方向における中央に位置することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 複数の圧電体と、
    前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、
    前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドであって、
    前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、
    前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、
    前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
    前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有し、
    前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、
    前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域であり、
    前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において曲線状に延在する曲線部と、を有し、
    前記曲線部は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  13. 請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  14. 複数の圧電体と、
    前記複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、
    前記複数の圧電体それぞれに対して個別に設けられた複数の第2電極と、を有する圧電素子を備えるアクチュエーターであって、
    前記圧電体と前記第1電極と前記第2電極とが積層される方向を第1方向とし、
    前記複数の圧電体それぞれ及び前記複数の第2電極それぞれが延在する方向であって、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、
    前記複数の圧電体及び前記複数の第2電極が配列される方向であって、前記第1方向と前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
    前記圧電素子は、前記第1方向に見て、前記第3方向に並ぶ第1領域と第2領域とを有し、
    前記第1領域は、前記第1電極の前記第2方向における一端と、前記複数の圧電体の1つである第1圧電体とが重なる領域の一部を含む領域であり、
    前記第2領域は、前記一端と、前記第1圧電体と、前記第1圧電体に対応する前記第2電極と、が重なる領域を含む領域であり、
    前記一端は、前記第1領域において前記第3方向に延在する第1部分と、前記第2領域において前記第2方向及び前記第3方向に交差して延在する第2部分と、を有し、
    前記第2部分は、前記第2方向において、前記第1部分と前記第1電極の前記第2方向における他端との間に位置することを特徴とするアクチュエーター。
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