JP2021151709A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーター - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力室のクラックを抑制する。【解決手段】第1方向に配列された複数の圧電素子と、対応する複数の圧力室が第1方向に並んで形成された圧力室基板と、を有する液体吐出ヘッドにおいて、圧電素子は、複数の圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、個別に設けられた第2電極とを備え、圧力室基板に積層されている積層方向に見て、第1領域から第4領域を有する。第1方向と交差する第2方向に圧力室が延在する範囲内の、第1位置より端に近い位置を第2位置、第1方向に圧力室が延在する範囲内の、第3位置より端に近い位置を第4位置としたとき、第1位置かつ第3位置の位置にある第1領域に第1電極と第2電極とが積層方向に重なって設けられ、第1位置かつ第4位置の位置にある第2領域と第2位置かつ第4位置の位置にある第4領域とに第1電極が設けられ、第2位置かつ第3位置の位置にある第3領域に第1電極が設けられていない。【選択図】図4
Description
本開示は液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーターに関する。
液体吐出ヘッドに関して、特許文献1には、圧電体層と、ノズル配列方向に延在し圧力室延在方向に一様な幅を有する共通電極と、を有する圧電素子を備える液体吐出ヘッドが開示されている。この液体吐出ヘッドは、例えば、プリンター等の液体吐出装置に備えられ、圧電素子の変形によって圧力室の容積を変化させ、圧力室に供給されたインク等の液体をノズルから吐出する。
特許文献1のような液体吐出ヘッドでは、圧力室の端部への応力集中に起因するクラックを抑制するために、例えば、圧力室の配列方向の端部付近において、圧力室の延在方向の中央部付近から端部付近までを共通電極で覆う場合がある。しかしながら、この場合、圧力室の延在方向の端部付近において、共通電極が設けられている部分と設けられていない部分との境界が生じ、電圧印加時にこの境界への応力集中が生じることによって、クラックが発生する虞がある。
本開示の第1の形態によれば、第1方向に配列された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子に対応する複数の圧力室が前記第1方向に並んで形成された圧力室基板と、を有する液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有する。前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置とする。前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、前記第3領域には、前記第1電極が設けられていない。
本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出ヘッドは、上記第1の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備える。
本開示の第3の形態によれば、圧力室基板に第1方向に配列して形成された複数の圧力室に対応するように、前記第1方向に配列された複数の圧電素子を有するアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有する。前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置とする。前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、前記第3領域には、前記第1電極が設けられていない。
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態としての液体吐出ヘッド200を備える液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。具体的には、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向が、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向であり、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向が、それぞれ−X方向,−Y方向,−Z方向である。X方向及びY方向に沿った平面をXY平面と呼び、X方向及びZ方向に沿った平面をXZ平面と呼び、Y方向及びZ方向に沿った平面をYZ平面と呼ぶこともある。なお、図1において、X軸およびY軸は水平面に沿った軸であり、Z軸は鉛直線に沿った軸である。従って、本実施形態では、−Z方向は、重力方向である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。また、本明細書中で、直交とは、90°±10°の範囲を含む。
図1は、第1実施形態としての液体吐出ヘッド200を備える液体吐出装置100の概略構成を示す説明図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。具体的には、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向が、それぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向であり、前記X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向が、それぞれ−X方向,−Y方向,−Z方向である。X方向及びY方向に沿った平面をXY平面と呼び、X方向及びZ方向に沿った平面をXZ平面と呼び、Y方向及びZ方向に沿った平面をYZ平面と呼ぶこともある。なお、図1において、X軸およびY軸は水平面に沿った軸であり、Z軸は鉛直線に沿った軸である。従って、本実施形態では、−Z方向は、重力方向である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。また、本明細書中で、直交とは、90°±10°の範囲を含む。
本実施形態の液体吐出装置100は、液体としてインクを吐出することによって印刷媒体P上に画像を印刷する、インクジェットプリンターである。液体吐出装置100は、印刷媒体Pにおけるドットのオン・オフを示す印刷データに基づいて紙等の印刷媒体P上にインクを噴射し、印刷媒体P上の様々な位置にドットを形成することにより、印刷媒体P上に画像を印刷する。なお、印刷媒体Pとしては、紙の他に、例えば、プラスチック、フィルム、繊維、布帛、皮革、金属、ガラス、木材、セラミックスなど、液体を保持できるものを用いることができる。また、液体吐出装置100の液体としては、インクの他に、種々の色材、電極材、生体有機物や無機物等の試料、潤滑油、樹脂液、エッチング液など、任意の液体を用いることができる。
液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド200と、キャリッジ40と、キャリッジ40を駆動させる駆動モーター46と、印刷媒体Pを搬送する搬送モーター51と、インクカートリッジ80と、制御部110とを、備える。
制御部110は、1以上のプロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースとを備えるコンピューターによって構成されている。制御部110は、印刷データに従って、液体吐出装置100に備えられた各機構を制御することによって、液体吐出ヘッド200から印刷媒体P上にインクを吐出し、印刷媒体P上に画像を印刷する。すなわち、制御部110は、液体吐出ヘッド200の、液体を吐出する吐出動作を制御する。なお、制御部110は、例えば、図示しない外部のコンピューター等から受信した画像データを変換して、印刷データを生成することができる。
インクカートリッジ80は、液体吐出ヘッド200へ供給される液体としてのインクを貯留する。本実施形態では、4つのインクカートリッジ80が、キャリッジ40に着脱可能に装着されている。インクカートリッジ80は、キャリッジ40に装着されることによって液体吐出ヘッド200と接続され、インクカートリッジ80から液体吐出ヘッド200へのインクの供給が可能となる。なお、インクカートリッジ80は、例えば、キャリッジ40に装着されることなく、液体吐出装置100本体に装着されてもよい。また、液体吐出装置100は、インクを貯留する機構として、例えば、インクカートリッジ80に代えて、インクタンクや、可撓性フィルムで形成された袋状の液体パック等を備えていてもよい。本実施形態では、4つのインクカートリッジ80内には、液体として、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの色彩を有する異なる4種類のインクが貯留されている。インクカートリッジ80やインクタンクの数、及び、これらに貯留されるインクの種類や数は特に限定されない。
液体吐出ヘッド200は、印刷媒体P上に、インクカートリッジ80から供給されたインクを液滴状の形態で吐出する。液体吐出ヘッド200は、フレキシブルケーブル41を介して、制御部110と電気的に接続されている。液体吐出ヘッド200の詳細については後述する。なお、液体吐出装置100は、2つ以上の複数の液体吐出ヘッド200を備えていてもよい。
キャリッジ40は、液体吐出ヘッド200を保持している。キャリッジ40は、駆動モーター46から駆動ベルト47を介して伝達された駆動力によって、X方向に沿って設けられた図示しないキャリッジガイドに沿って、主走査方向に往復移動する。本実施形態では、主走査方向はX方向に沿った方向である。
印刷媒体Pは、搬送モーター51から図示しない搬送ローラーを介して伝達された駆動力によって、プラテン55上を主走査方向と交差する副走査方向に沿って搬送される。本実施形態では、副走査方向はY方向に沿った方向であり、主走査方向と直交する。他の実施形態では、主走査方向と副走査方向とは互いに直交しなくてもよい。
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッド200の構成を示す分解斜視図である。本実施形態における液体吐出ヘッド200は、ノズル板210と、圧力室基板220と、圧電部230と、封止部250とが、Z方向に積層されることによって、構成されている。また、封止部250の+Z方向側の面には、駆動回路90が設けられている。
ノズル板210は、薄板状の部材である。本実施形態では、ノズル板210は、XY平面に沿って配置されている。ノズル板210には、多数のノズル211がX軸方向に沿って一列に並んで形成されている。液体吐出ヘッド200は、このノズル211から液体を噴射する。本実施形態では、ノズル板210は、ステンレス鋼(SUS)により形成されている。なお、ノズル板210は、ステンレス鋼に限らず、例えば、ニッケル(Ni)合金などの他の種類の金属、または、ポリイミドやドライフィルムレジストなどの樹脂材料、シリコン(Si)の単結晶基板やガラスセラミックスなどの無機材料等により形成されていてもよい。また、他の実施形態では、ノズル211の列の数は1列でなくてもよく、ノズル板210に2列以上のノズル211が形成されていてもよい。
圧力室基板220は、圧力室221を区画する板状の部材である。圧力室基板220は、例えば、接着剤や熱溶着フィルム等を介してノズル板210の+Z方向の面に接合される。圧力室基板220には、液体の流路となる圧力室221、インク供給路223、及び、連通部225を形成するための、圧力室基板220をZ方向に貫通する孔HLが形成されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層され、圧力室基板220に後述する振動板231が積層されることによって、圧力室221とインク供給路223と連通部225とが、区画される。なお、例えば、振動板231が圧力室基板220上に積層された後に、孔HLの一部や全部が形成されてもよい。本実施形態において、圧力室基板220は、Siの単結晶基板によって形成されている。他の実施形態では、圧力室基板220は、Siの単結晶基板に限らず、例えば、Siを主成分とする他の材料や、他のセラミックス材料、ガラス材料等により形成された基板であってもよい。
圧力室基板220は、複数の圧力室221を区画する。本実施形態では、複数の圧力室221は、X方向に沿って並んで形成されている。ノズル板210に圧力室基板220が積層されることによって、複数の圧力室221それぞれは、ノズル211と連通する。本実施形態では、複数の圧力室221が、多数のノズル211の配列と対応するように、X方向に並んで配列されている。複数の圧力室221が配列される方向のことを第1方向と呼ぶこともある。本実施形態では、第1方向はX方向である。また、第1方向と交差する方向を第2方向と呼ぶこともある。本実施形態では、第2方向はY方向である。本実施形態では、それぞれの圧力室221は、Z方向に見て、Y方向を長手方向とする略平行四辺形状を有し、Y方向に沿って延在している。
連通部225は、複数の圧力室221それぞれに共通な空部である。連通部225は、インク供給路223を介して、複数の圧力室221それぞれと連通する。インク供給路223は、圧力室221よりも狭い幅で形成されており、連通部225から圧力室221に流入するインクに対して流路抵抗となる。
図2に示すように、本実施形態の圧電部230は、振動板231及び圧電素子240を備える。振動板231及び圧電素子240は、圧力室基板220に、Z方向に沿って積層されている。なお、圧電素子240が圧力室基板220に積層されている方向を、積層方向と呼ぶこともある。本実施形態では、積層方向はZ方向に沿った方向である。具体的には、積層方向は圧力室基板220から離れる方向を正とする方向である。なお、本面明細書中では、積層方向における、圧力室基板220から離れる方向を「上方」と記載し、その逆方向を「下方」と記載することもある。
振動板231は、圧電素子240と、圧力室基板220との間に設けられている。本実施形態の振動板231は、圧電部230上に形成された可撓層232と、可撓層232上に形成された保護層233とを有している。可撓層232は、例えば、二酸化シリコンによって形成され、保護層233は、例えば、酸化ジルコニウムによって形成される。
圧電部230は、圧電素子240の変形によって、振動板231を撓ませることで、圧力室221の容積を変化させることができる。なお、圧電部230をアクチュエーターと呼ぶこともある。また、圧電部230の構成や、圧電素子240の詳細については、後述する。
封止部250は、圧電部230上に接着剤を介して接合される。封止部250は、圧電素子保持部251と、マニホールド部252とを、有している。圧電素子保持部251は、圧電素子240の変形による運動を阻害しない程度の空間を有し、この空間内に圧電素子240を保持する。マニホールド部252はZ方向とX方向に亘って形成されている。本実施形態では、封止部250は、Si単結晶基板を用いて形成されている。なお、封止部250は、他のセラミックス材料やガラス材料等によって構成されていてもよい。この場合、封止部250としては、圧力室基板220の熱膨張率と略同一の熱膨張率を有する材料を用いると好ましい。
駆動回路90は、圧電素子240を駆動するための駆動信号を、圧電素子240に供給する。駆動回路90としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。駆動回路90と圧電素子240とは、リード電極280及び図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。また、駆動回路90と制御部110とは、図示しない電気配線を介して電気的に接続されている。
図3は、液体吐出ヘッド200の要部のYZ平面に沿った断面を示す概略図である。図3に示すように、上述した各部材が積層されることによって、マニホールド部252と連通部225とが連通し、複数の圧力室221それぞれの共通の液体室となるマニホールド270が形成される。更に、ノズル211、圧力室221、インク供給路223、及び、マニホールド270が連通し、インクの流路が形成される。液体吐出ヘッド200は、圧電部230によって圧力室221の容積を変化させることで、上述の流路を介して圧力室221に供給された液体を、ノズル211から吐出する。なお、マニホールド270を、共通液室やリザーバーと呼ぶこともある。
図4は、圧電部230の概略構成を説明する図である。図4には、XY平面において圧力室221が形成されている部分が、一点鎖線によって示されている。また、本実施形態において、圧電部230の圧電素子240は、積層方向であるZ方向に見て、第1領域R1から第9領域R9を有する。図4には、第1位置Ps1から第6位置Ps6が、それぞれ破線によって示されている。更に、図4には、第1領域R1から第9領域R9が、それぞれ二点鎖線によって示されている。
第1位置Ps1は、Y方向において圧力室221が延在する範囲内の特定の位置である。第2位置Ps2は、Y方向において圧力室221が延在する範囲内の特定の位置であって、第1位置Ps1よりも、Y方向において圧力室221の端に近い位置である。第3位置Ps3は、X方向において圧力室221が延在する範囲内の特定の位置である。第4位置Ps4は、X方向において圧力室221が延在する範囲内の特定の位置であって、第3位置Ps3よりも、X方向において圧力室221の端に近い位置である。本実施形態では、第1位置Ps1は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置する。第2位置Ps2は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の一端部に位置し、具体的には、第1位置Ps1の+Y方向に位置している。第3位置Ps3は、X方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置する。第4位置Ps4は、X方向において圧力室221が延在する範囲の一端部に位置し、具体的には、第3位置Ps3の−X方向に位置している。また、第5位置Ps5は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置であり、具体的には、第1位置Ps1の−Y方向に位置している。第6位置Ps6は、X方向において圧力室221が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置であり、具体的には、第3位置Ps3の+X方向に位置している。
第1領域R1は、Y方向の位置が第1位置Ps1であり、X方向の位置が第3位置Ps3である領域である。第2領域R2は、Y方向の位置が第1位置Ps1であり、X方向の位置が第4位置Ps4である領域である。第3領域R3は、Y方向の位置が第2位置Ps2であり、X方向の位置が第3位置Ps3である領域である。第4領域R4は、Y方向の位置が第2位置Ps2であり、X方向の位置が第4位置Ps4である領域である。また、第5領域R5は、Y方向の位置が第5位置Ps5であり、X方向の位置が第3位置Ps3である領域である。第6領域R6は、Y方向の位置が第5位置Ps5であり、X方向の位置が第4位置Ps4である領域である。第7領域R7は、Y方向における位置が第1位置Ps1であり、X方向における位置が第6位置Ps6である領域である。第8領域R8は、Y方向における位置が第2位置Ps2であり、X方向における位置が第6位置Ps6である領域である。第9領域は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の外部に位置し、X方向における位置が第3位置である領域である。各領域における圧電素子240の構成については、後述する。
図5は、第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230の断面を示す図である。図6は、第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230の断面を示す図である。図5及び図6に示すように、圧電部230の圧電素子240は、圧電体245と、第1電極246と、第2電極247と、を有している。
本実施形態において、圧電体245は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成されている。なお、圧電体245は、PZTに代えて、ABO3型で表されるいわゆるペロブスカイト構造を有する他の種類のセラミックス材料、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等によって形成されてもよい。また、圧電体245は、セラミックス材料に限らず、ポリフッ化ビニリデン、水晶など、圧電効果を有する任意の材料により形成されてもよい。
第1電極246は、複数の圧電体245に対して共通に設けられた電極を指す。第2電極247は、複数の圧電体245に対して個別に設けられた電極を指す。第1電極246を共通電極と呼び、第2電極247を個別電極と呼ぶこともある。
図5及び図6に示すように、本実施形態では、圧電素子240は、Z方向において、圧力室基板220から遠ざかる方向に向かって、第1電極246と、圧電体245と、第2電極247と、が順に重なって形成されている。すなわち、第1電極246は、全体として、圧電体245に対して圧電素子240の積層方向における下方に設けられており、下部電極と呼ばれることもある。第2電極247は、全体として、圧電素子240の積層方向における上方に設けられており、上部電極と呼ばれることもある。第1電極246や第2電極247は、例えば、白金、イリジウム、チタン、タングステン、タンタル、等の各種金属や、ニッケル酸ランタン(LaNiO3)等の導電性金属酸化物等によって形成される。
図4では、圧電素子240のうち、XY平面において第1電極246が設けられている部分に対応する部分に、右下がりのハッチングが施されている。また、図4では、圧電素子240のうち、XY平面において第2電極247が設けられている部分に対応する部分に、右上がりのハッチングが施されている。更に、図4では、能動領域Acに網点模様のハッチングが施されている。能動領域Acは、XY平面において、圧電体245の能動部に対応する部分である。圧電体245の能動部とは、圧電体245のうち、Z方向において第1電極246と第2電極247とによって挟まれた部分である。従って、図4で網点模様のハッチングが施されている部分は、圧電素子240のうち、XY平面において、第1電極246及び第2電極247の両方が重なって設けられている部分であるということもできる。図4から図6に示すように、本実施形態では、第1位置Ps1には能動領域Acが存在するのに対して、第2位置Ps2には能動領域Acが存在しない。なお、能動領域Acと異なる領域を、非能動領域と呼ぶこともある。
本実施形態では、第1電極246及び第2電極247は、X方向において圧力室221が延在する範囲内において、Z方向に見て、X方向において圧力室221が延在する範囲の中央を通る直線Lsに対して線対称の形状を有している。従って、本実施形態では、能動領域Acもまた、同様に直線Lsに対して線対称の形状を有している。なお、本実施形態において、直線Lsの位置は、図4における第3位置Ps3を示す直線の位置と一致する。
圧電体245の能動部では、第1電極246及び第2電極247を介して圧電体245に電圧が印加された際に、圧電歪みが生じる。圧電素子240は、この圧電歪みに起因する変形によって、圧力室221の容積を変化させる。具体的には、本実施形態では、圧電素子240は、圧電体245の圧電歪みによって振動板231を変形させて、圧力室221の容積を変化させる。
上述のように圧力室221の容積を変化させて圧力室221に供給された液体を吐出する際、圧力室221のX方向の端部付近では、圧力室221のX方向の中央部付近と比較して、応力集中が生じやすい。この応力集中は、例えば、圧電歪みによって圧力室221内の液体に圧力が加わる際に、圧電部230が液体から圧力を受け、圧電部230が圧力室221から離れる方向へ跳ね上がることで生じる。圧力室221のX方向の端部付近では、この応力集中によって、圧電部230にクラックが生じやすい。また、圧力室221のX方向の端部かつY方向の端部付近では、圧電部230の跳ね上がりによる応力集中が更に生じやすいため、圧電部230にクラックが更に生じやすい。
また、圧電部230に電圧が印加された際に、能動領域Acと非能動領域とでは圧電部230の変形量に差が生じるため、能動領域Acと非能動領域との境界においても、応力集中が生じやすい。従って、能動領域Acと非能動領域との境界においても、圧電部230にクラックが生じやすい。ここで、圧力室221の中央部付近では、圧力室221の端部付近や圧力室221の外部と比較して、圧電部230の撓み変形が圧力室基板220によって阻害されにくく、圧電部230が撓みやすい。そのため、能動領域Acと非能動領域との境界が圧力室221の中央部付近にある場合、能動領域Acと非能動領域との境界に生じる応力集中が、振動板231等の変形によって緩和されやすい。従って、圧力室221の中央部付近を能動領域Acとし、かつ、圧力室221の端部付近を非能動領域とすることで、能動領域Acと非能動領域との境界が圧力室221の中央部付近に配置され、能動領域Acと非能動領域との境界に生じる応力集中が緩和される。また、同様に、圧力室221の外部を非能動領域とすることによっても、能動領域Acと非能動領域との境界に生じる応力集中が緩和される。
図4及び図5に示すように、第1領域R1には、第1電極246と第2電極247とがZ方向に重なって設けられている。すなわち、第1領域R1は能動領域Ac内に含まれる。なお、本実施形態では、上述したように、第1位置Ps1はY方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置し、第3位置Ps3はX方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置するため、Z方向に見て、X方向及びY方向において圧力室221が延在する範囲の中央部が、能動領域Ac内に含まれる。
図4から図6に示すように、第2領域R2と第4領域R4とには、第1電極246が設けられている。第2領域R2と第4領域R4とは、X方向において第4位置Ps4に位置するため、第1領域R1と第3領域R3とに比較して、X方向において圧力室221が延在する範囲の端部に近い領域である。本実施形態では、第2領域R2と第4領域R4とに第1電極246が設けられることによって、圧力室221のX方向の端部付近において、第1電極246によって振動板231が圧力室221に近付く方向に押さえられ、液体吐出時の振動板231の跳ね上がりによる応力集中が抑制される。
また、本実施形態では、第2領域R2と第4領域R4とには、第2電極247が設けられていない。すなわち、第2領域R2と第4領域R4とに第1電極246が設けられている場合であっても、第2領域R2と第4領域R4とは、非能動領域に含まれる。第2領域R2と第4領域R4とが非能動領域に含まれることによって、圧力室221のX方向の端部付近における応力集中が抑制される。
図6に示すように、本実施形態では、第4領域R4の一部において、圧電素子240の積層方向であるZ方向に見て、第1電極246と圧電体245とが重なって設けられている。第4領域R4は、Y方向において第4位置Ps4に位置するため、第2領域R2と比較して、Y方向において圧力室221が延在する範囲の端部に近い領域である。従って、圧力室221のX方向及びY方向の端部付近において、振動板231が第1電極246及び圧電体245によって圧力室221に近付く方向に押さえられるため、液体吐出時の振動板231の跳ね上がりによる応力集中が更に抑制される。
図4及び図6に示すように、第3領域R3には、第1電極246が設けられていない。すなわち、第3領域R3は、非能動領域に含まれる。第3領域R3は、Y方向において第2位置Ps2に位置するため、第1領域R1と比較して、Y方向において、圧力室221が延在する範囲の端部に近い領域である。第3領域R3が非能動領域に含まれることによって、圧力室221のY方向の端部付近における応力集中が抑制される。
図4及び図6に示すように、本実施形態では、第3領域R3には第2電極247が設けられている。これによって、それぞれの圧力室221のY方向の端部付近において、振動板231が、個別電極である第2電極247によって、それぞれの圧力室221に近付く方向に押さえられるため、振動板231の過剰な変形が抑制される。なお、上述のように、第3領域R3には第1電極246が設けられていないため、第3領域R3に第2電極247が設けられている場合でも、第3領域R3は非能動領域に含まれる。
図4から図6に示すように、本実施形態では、第2位置Ps2における第2電極247のX方向の幅W2は、第1位置Ps1における第2電極247のX方向の幅W1よりも小さい。従って、本実施形態では、第2位置Ps2における各領域のうち、第3領域R3にのみ第2電極247が配置されており、かつ、そのX方向の幅W2が幅W1よりも小さい。更に、図4に示すように、本実施形態の第2電極247は、第1位置Ps1から第2位置Ps2に向かってX方向の幅が小さくなる部分であるテーパー部248を有する。
図4に示すように、本実施形態では、第5領域R5には、第1電極246が設けられていない。従って、第5領域R5は非能動領域に含まれる。第5領域R5が非能動領域に含まれることによって、圧力室221のY方向の他端部付近においても、応力集中が抑制される。なお、本実施形態では、第5領域R5には第2電極247が設けられている。また、本実施形態では、第5位置Ps5における第2電極247の幅は、第2位置Ps2における第2電極247の幅W2と等しい。
また、第6領域R6には第1電極246が設けられている。第6領域R6は、X方向において、第4位置Ps4に位置する。本実施形態では、第6領域R6に第1電極246が設けられることによって、圧力室221のY方向及びX方向の端部付近において、振動板231が第1電極246によって圧力室221に近付く方向に押さえられる。これによって、圧力室221のX方向の端部付近において、液体吐出時の振動板231の跳ね上がりによる応力集中が更に抑制される。なお、本実施形態では、第6領域R6には第2電極247が設けられていない。従って、第6領域R6は非能動領域に含まれるため、第6領域R6における応力集中が更に抑制される。
図4から図6に示すように、本実施形態では、第7領域R7と、第8領域R8とには、第1電極246が設けられている。第7領域R7と第8領域R8とは、X方向において第6位置Ps6に位置する。本実施形態では、第7領域R7と第8領域R8とに第1電極246が設けられることによって、圧力室221のX方向の他端部付近において、振動板231が第1電極246によって圧力室221に近付く方向に押さえられ、液体吐出時の振動板231の跳ね上がりによる応力集中が抑制される。なお、本実施形態では、第7領域R7と第8領域R8とには、第2電極247が設けられていない。従って、第7領域R7と第8領域R8とは、非能動領域に含まれるため、第7領域R7と第8領域R8とにおける応力集中が更に抑制される。
図4に示すように、本実施形態では、第9領域R9には、第1電極246が設けられていない。すなわち、第9領域R9は、非能動領域に含まれる。第9領域R9は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の外部に位置する領域である。第9領域R9が非能動領域に含まれることによって、圧力室221のY方向における外部の領域での応力集中が抑制される。
また、第9領域R9には、第2電極247が設けられている。そのため、Y方向において、それぞれの圧力室221が延在する範囲の外部まで延在する第2電極247によって、振動板231が、それぞれの圧力室221に近付く方向に押さえられるため、振動板231の過剰な変形がより抑制される。なお、本実施形態では、第9領域R9における第2電極247の幅は、第2位置Ps2における幅W2と等しい。また、上述のように、第9領域R9には第1電極246が設けられていないため、第9領域R9に第2電極247が設けられている場合でも、第9領域R9は非能動領域に含まれる。
図4に示すように、本実施形態では、第3位置Ps3において第1電極246がY方向に延在する幅は、第4位置Ps4において第1電極246がY方向に延在する幅よりも小さい。従って、本実施形態の第1電極246は、上述した第1領域R1から第9領域R9における第1電極246の配置の有無の条件が実現されるように、かつ、第3位置Ps3におけるY方向の幅が第4位置Ps4におけるY方向の幅よりも小さくなるように、設けられている。
本実施形態の圧電部230を、例えば、フォトレジストによるマスキングを利用したエッチング等を用いた既知の方法によって作成することができる。振動板231の可撓層232は、例えば、熱酸化やCVD法等によって、圧力室基板220上に形成される。保護層233は、例えば、CVD法等によって、可撓層232上に形成される。第1電極246及び第2電極247は、例えば、白金等の材料をターゲット材としてスパッタリングによって形成される。圧電体245は、例えば、ゾルゲル法によって作成され、振動板231上や第1電極246上にスピンコート法等によってコーティングされる。これらの部材を形成するとともに、エッチング等によってパターニングし、順に積層することによって、圧電部230を作成することができる。
以上で説明した第1実施形態の液体吐出ヘッド200によれば、第1領域R1には第1電極246と第2電極247とが設けられており、第2領域R2と第4領域R4には第1電極246が設けられており、第3領域R3には第1電極246が設けられていない。そのため、圧力室221の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極246によって抑制され、圧力室221の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室221の第2方向の端部付近に対応する第3領域R3が非能動領域に含まれるため、能動領域Acが圧力室221の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
また、本実施形態では、第3領域R3には、第2電極247が設けられている。そのため、第2方向において、それぞれの圧力室221が延在する範囲の端部付近に対して、個別電極である第2電極247がそれぞれ設けられるため、圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが更に抑制される。
また、本実施形態では、第2領域R2と第4領域R4とには、第2電極247が設けられていない。そのため、圧力室221の第1方向における端部付近に対応する領域である第2領域R2と第4領域R4とが非能動領域となるため、圧力室221の第1方向における端部付近でのクラックが更に抑制される。
また、本実施形態では、第2位置Ps2における第2電極247のX方向の幅は、第1位置Ps1における第2電極247のX方向の幅よりも小さい。そのため、第2電極247を、第2方向において圧力室221が延在する範囲の端部付近まで延在させることができ、かつ、圧力室221の容積変化に寄与しにくい第2電極247の割合を減少させることで、配置された第2電極247の量に対する圧力室221の容積変化量を向上させることができる。
また、本実施形態では、第2電極247は、第1位置Ps1から第2位置Ps2に向かってX方向の幅が小さくなる部分であるテーパー部248を有している。そのため、圧力室221の第2方向における端部付近での応力集中が緩和され、クラックが抑制される。
また、本実施形態では、第1位置Ps1は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置し、第2位置Ps2は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の一端部に位置する。そのため、圧力室221内の第2方向における中央部において圧力室221の容積を効率よく変化させることができ、かつ、圧力室221の第2方向における端部でのクラックを抑制できる。
また、本実施形態では、第5領域R5には第1電極246が設けられておらず、第6領域R6には第1電極246が設けられている。これによって、圧力室221の第2方向の他端部に対応する第5領域R5が非能動領域に含まれるため、圧力室221の第2方向の他端部においてもクラックが抑制される。また、圧力室221の第2方向の他端部においても、圧力室221の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極246によって抑制され、圧力室221の第1方向の端部付近におけるクラックが更に抑制される。
また、本実施形態では、第3位置Ps3は、X方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置し、第4位置Ps4は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の一端部に位置する。そのため、圧力室221の第1方向における中央部において圧力室221の容積を効率よく変化させることができ、かつ、圧力室221の第1方向における端部でのクラックを抑制できる。
また、本実施形態では、第7領域R7と第8領域R8とには、第1電極246が設けられている。そのため、圧力室221の第1方向の他端部における応力集中が第1電極246によって抑制され、圧力室221の第1方向の他端部においてもクラックが抑制される。
また、本実施形態では、第9領域R9には、第1電極246が設けられていない。これによって、圧力室221の第2方向における外部に対応する第9領域R9が非能動領域に含まれるため、能動領域Acが圧力室221の第2方向における外部の領域に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室221の第2方向における外部の領域でのクラックが抑制される。
また、本実施形態では、第9領域R9には、第2電極247が設けられている。これによって、それぞれの圧力室221の第2方向における外部に対応する第9領域まで延在するように、個別電極である第2電極247がそれぞれ設けられるため、圧力室221の第2方向における外部の領域でのクラックが抑制される。
また、本実施形態では、第4領域R4の少なくとも一部において、Z方向に見て、第1電極246と圧電体245とが重なって設けられている。そのため、圧力室221の第1方向及び第2方向の端部付近における応力集中が第1電極246及び圧電体245によって抑制され、圧力室221の第1方向及び第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
また、本実施形態では、圧電素子240は、積層方向において圧力室基板220から遠ざかる方向に向かって、第1電極246と圧電体245と第2電極247とが順に重なって形成されている。これによって、第1電極246がいわゆる下部電極であり、第2電極247がいわゆる上部電極であっても、圧力室221の第1方向の端部付近及び圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。そのため、圧電素子240の構成の自由度が高まる。
また、本実施形態では、第3位置Ps3において第1電極246がY方向に延在する幅は、第4位置Ps4において第1電極246がY方向に延在する幅よりも小さい。そのため、簡易な構成によって、第3領域R3に第1電極246を配置することなく、かつ、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とに第1電極246を配置することができる。
また、本実施形態では、第1電極246及び第2電極247は、X方向において圧力室221が延在する範囲内において、Z方向に見て、X方向において圧力室221が延在する範囲の中央を通る直線Lsに対して線対称の形状を有する。そのため、圧力室221の第1方向における剛性のバランスが保たれるため、圧力室221の耐久性が向上する。
また、本実施形態では、圧電素子240と圧力室基板220との間に振動板231が設けられている。このような形態によれば、液体吐出ヘッド200が振動板231を有する場合であっても、圧力室221の第1方向の端部付近及び圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態における圧電部230bの概略構成を説明する図である。図8は、第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230bのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第4領域R4において、圧電素子240bの積層方向であるZ方向に見たとき、第1電極246bと圧電体245とが重なって設けられていない。なお、第2実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230bのXZ平面に沿った断面の構成は、図5に示した第1実施形態の場合と同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第2実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
図7は、第2実施形態における圧電部230bの概略構成を説明する図である。図8は、第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230bのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、第4領域R4において、圧電素子240bの積層方向であるZ方向に見たとき、第1電極246bと圧電体245とが重なって設けられていない。なお、第2実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230bのXZ平面に沿った断面の構成は、図5に示した第1実施形態の場合と同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第2実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
以上で説明した第2実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、圧力室221の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極246bによって抑制され、圧力室221の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室221の第2方向の端部付近に対応する第3領域R3が非能動領域に含まれるため、圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。特に、本実施形態では、簡易な構成によって、第3領域R3に第1電極246bを配置することなく、かつ、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とに第1電極246bを配置することができる。
C.第3実施形態:
図9は、第3実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230cのXZ平面に沿った断面を示す図である。図10は、第3実施形態の第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230cのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、共通電極である第1電極246cが上部電極であり、個別電極である第2電極247cが下部電極である。なお、第3実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
図9は、第3実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230cのXZ平面に沿った断面を示す図である。図10は、第3実施形態の第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230cのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、共通電極である第1電極246cが上部電極であり、個別電極である第2電極247cが下部電極である。なお、第3実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
図9及び図10に示すように、第3実施形態では、圧電素子240cは、Z方向において、圧力室基板220から遠ざかる方向に向かって、第2電極247cと、圧電体245と、第1電極246cと、が順に重なって形成されている。すなわち、第1電極246cは、全体として、圧電体245に対して圧電素子240cの積層方向における上方に設けられている。第2電極247cは、全体として、圧電体245に対して圧電素子240の積層方向における下方に設けられている。
図10に示すように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第4領域R4の一部において、Z方向から見て、第1電極246cと圧電体245とが重なっている。本実施形態では、第1電極246cが上部電極であるため、振動板231が圧電体245によって圧力室221に近づく方向に押さえられ、更に、振動板231と圧電体245とが第1電極246cによって圧力室221に近づく方向に押さえられる。これによって、第4領域R4において第1電極246cと圧電体245とが重なっている部分では、圧電素子240c全体が第1電極246cによって圧力室221に近づく方向に押さえられる。従って、圧力室221のX方向及びY方向の端部付近において、液体吐出時の振動板231の跳ね上がりによる応力集中が更に抑制される。
以上で説明した第3実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、圧力室221の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極246cによって抑制され、圧力室221の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室221の第2方向の端部付近に対応する第3領域R3が非能動領域に含まれるため、圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。特に、本実施形態では、第1電極246cがいわゆる上部電極であり、第2電極247cがいわゆる下部電極であっても、圧力室221の第1方向の端部付近及び圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。そのため、圧電素子240cの構成の自由度が高まる。
D.第4実施形態:
図11は、第4実施形態の第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230dのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第3実施形態と同様に、共通電極である第1電極246dが上部電極であり、個別電極である第2電極247cが下部電極である。また、本実施形態では、第2実施と同様に、第4領域R4において、Z方向に見たとき、第1電極246dと圧電体245とが重なっていない。なお、第4実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230dのXZ平面に沿った断面の構成は、図9に示した第3実施形態の場合と同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第4実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第3実施形態と同様である。
図11は、第4実施形態の第2位置Ps2における圧力室221及び圧電部230dのXZ平面に沿った断面を示す図である。本実施形態では、第3実施形態と同様に、共通電極である第1電極246dが上部電極であり、個別電極である第2電極247cが下部電極である。また、本実施形態では、第2実施と同様に、第4領域R4において、Z方向に見たとき、第1電極246dと圧電体245とが重なっていない。なお、第4実施形態の第1位置Ps1における圧力室221及び圧電部230dのXZ平面に沿った断面の構成は、図9に示した第3実施形態の場合と同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第4実施形態の液体吐出装置100及び液体吐出ヘッド200の構成のうち、特に説明しない部分については、第3実施形態と同様である。
以上で説明した第4実施形態の液体吐出ヘッド200によっても、圧力室221の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極246dによって抑制され、圧力室221の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室221の第2方向の端部付近に対応する第3領域R3が非能動領域に含まれるため、圧力室221の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。特に、本実施形態では、第1電極246dが上部電極であって第2電極247cが下部電極である場合でも、簡易な構成によって、第3領域R3に第1電極246dを配置することなく、かつ、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3とに第1電極246dを配置することができる。
E.他の実施形態:
(E−1)上記実施形態において、第3領域R3には第2電極247が設けられている。これに対して、第3領域R3に第2電極247が設けられていなくてもよい。
(E−1)上記実施形態において、第3領域R3には第2電極247が設けられている。これに対して、第3領域R3に第2電極247が設けられていなくてもよい。
(E−2)上記実施形態において、第2領域R2と第4領域R4とには、第2電極247が設けられていない。これに対して、第2領域R2と第4領域R4とのいずれか一方、または、両方に第2電極247が設けられていてもよい。
(E−3)上記実施形態において、第2位置Ps2における第2電極247のX方向の幅W2は、第1位置Ps1における第2電極247のX方向の幅W1よりも小さい。これに対して、幅W2が幅W1と等しくてもよいし、幅W2が幅W1より大きくてもよい。
(E−4)上記実施形態において、第2電極247は、第1位置Ps1から第2位置Ps2に向かって第1方向の幅が小さくなる部分であるテーパー部248を有している。これに対して、第2電極247は、テーパー部248を有していなくてもよい。
(E−5)上記実施形態において、第1位置Ps1は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の中央部に位置し、第2位置Ps2は、Y方向において圧力室221が延在する範囲の一端部に位置する。これに対して、第2位置Ps2が、第1位置Ps1よりも、Y方向において圧力室221が延在する範囲の端に近い位置であるならば、例えば、第1位置Ps1がY方向における中央部でなくてもよい。また、同様に、第2位置Ps2がY方向における一端部でなくてもよい。更に、第1位置Ps1がY方向における中央部でなく、かつ、第2位置Ps2がY方向における一端部でなくてもよい。
(E−6)上記実施形態において、第5領域R5には第1電極246が設けられておらず、第6領域R6には、第1電極246が設けられている。これに対して、例えば、第5領域R5に相当する領域に第1電極246が設けられていてもよい。また、第6領域R6に相当する領域に第1電極246が設けられていなくてもよい。更に、第5領域R5に相当する領域に第1電極246が設けられ、かつ、第6領域R6に相当する領域に第1電極246が設けられていなくてもよい。
(E−7)上記実施形態において、第3位置Ps3はX方向において圧力室221が延在する範囲の中央部であり、第4位置Ps4はX方向において圧力室221内が延在する範囲の一端部である。これに対して、第4位置Ps4が、第3位置Ps3よりも、X方向において圧力室221が延在する範囲の端に近い位置であるならば、例えば、第3位置Ps3がX方向における中央部でなくてもよい。また、同様に、第4位置Ps4がX方向における一端部でなくてもよい。更に、第3位置Ps3がX方向における中央部でなく、かつ、第4位置Ps4がX方向における一端部でなくてもよい。
(E−8)上記実施形態において、第7領域R7と第8領域R8とには第1電極246が設けられている。これに対して、第7領域R7と第8領域R8とのいずれか一方、または、両方に第1電極246が設けられていなくてもよい。
(E−9)上記実施形態において、第9領域R9には第1電極246が設けられておらず、幅W2を有する第2電極247が設けられている。これに対して、例えば、第9領域R9に第1電極246が設けられていてもよい。また、第9領域R9において第2電極247は幅W2と異なる幅を有していてもよい。さらに、第9領域R9に第2電極247が設けられていなくてもよい。
(E−10)上記実施形態において、第1電極246及び第2電極247は、X方向において圧力室221が延在する範囲内において、Z方向に見て直線Lsに対して線対称の形状を有している。これに対して、第1電極246と第2電極247とのいずれか一方、または、両方が、線対称の形状を有していなくてもよい。
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
(1)本開示の第1の形態によれば、第1方向に配列された複数の圧電素子と、前記複数の圧電素子に対応する複数の圧力室が前記第1方向に並んで形成された圧力室基板と、を有する液体吐出ヘッドが提供される。この液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有する。前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置とする。前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、前記第3領域には、前記第1電極が設けられていない。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近に対応する第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近に対応する第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
(2)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第3領域には、前記第2電極が設けられていてもよい。このような形態によれば、第2方向において、それぞれの圧力室が延在する範囲の端部付近に対して、個別電極である第2電極がそれぞれ設けられるため、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが更に抑制される。
(3)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2領域と前記第4領域とには、前記第2電極が設けられていなくてもよい。このような形態によれば、圧力室の第1方向における端部付近に対応する領域である第2領域と第4領域とが非能動領域となるため、圧力室の第1方向における端部付近でのクラックが更に抑制される。
(4)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第3領域には、前記第2電極が設けられ、前記第2位置における前記第2電極の前記第1方向の幅は、前記第1位置における前記第2電極の前記第1方向の幅よりも小さくてもよい。このような形態によれば、第2電極を、第2方向において圧力室が延在する範囲の端部付近まで延在させることができ、かつ、圧力室の容積変化に寄与しにくい第2電極の割合を減少させることで、配置された第2電極の量に対する圧力室の容積変化量を向上させることができる。
(5)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第2電極は、前記第1位置から前記第2位置に向かって前記第1方向の幅が小さくなる部分を有していてもよい。このような形態によれば、圧力室の第2方向における端部付近での応力集中が緩和され、クラックが抑制される。
(6)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1位置は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の中央部に位置し、前記第2位置は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の一端部に位置していてもよい。このような形態によれば、圧力室内の第2方向における中央部において圧力室の容積を効率よく変化させることができ、かつ、圧力室内の第2方向における端部でのクラックを抑制できる。
(7)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記積層方向に見て、第5領域と、第6領域と、を有し、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置を第5位置としたとき、前記第5領域は、前記第2方向における位置が前記第5位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第6領域は、前記第2方向における位置が前記第5位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第5領域には、前記第1電極が設けられておらず、前記第6領域には、前記第1電極が設けられていてもよい。このような形態によれば、圧力室の第2方向の他端部に対応する第5領域が非能動領域に含まれるため、圧力室の第2方向の他端部においてもクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の他端部においても、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが更に抑制される。
(8)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第3位置は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の中央部に位置し、前記第4位置は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の一端部に位置していてもよい。このような形態によれば、圧力室の第1方向における中央部において圧力室の容積を効率よく変化させることができ、かつ、圧力室の第1方向における端部でのクラックを抑制できる。
(9)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記積層方向に見て、第7領域と、第8領域と、を有し、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置を第6位置としたとき、前記第7領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第6位置である領域であり、前記第8領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第6位置である領域であり、前記第7領域と前記第8領域とには、前記第1電極が設けられていてもよい。このような形態によれば、圧力室内の第1方向の他端部における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の他端部においてもクラックが抑制される。
(10)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記積層方向に見て第9領域を有し、前記第9領域は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の外部に位置し、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第9領域には、前記第1電極が設けられていなくてもよい。このような形態によれば、圧力室の第2方向における外部に対応する第9領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向における外部の領域に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向における外部の領域でのクラックが抑制される。
(11)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第9領域には、前記第2電極が設けられていてもよい。このような形態によれば、それぞれの圧力室の第2方向における外部に対応する第9領域まで延在するように、個別電極である第2電極がそれぞれ設けられるため、圧力室の第2方向における外部の領域でのクラックが抑制される。
(12)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第4領域の少なくとも一部において、前記積層方向に見て、前記第1電極と前記圧電体とが重なって設けられていてもよい。このような形態によれば、圧力室の第1方向及び第2方向の端部付近における応力集中が第1電極及び圧電体によって抑制され、圧力室の第1方向及び第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
(13)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第4領域において、前記積層方向に見て、前記第1電極と前記圧電体とが重なって設けられていなくてもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、第3領域に第1電極を配置することなく、かつ、第1領域と第2領域と第3領域とに第1電極を配置することができる。
(14)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記積層方向において前記圧力室基板から遠ざかる方向に向かって、前記第1電極と、前記圧電体と、前記第2電極と、が順に重なって形成されていてもよい。このような形態によれば、第1電極がいわゆる下部電極であり、第2電極がいわゆる上部電極であっても、圧力室の第1方向の端部付近及び圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
(15)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子は、前記積層方向において前記圧力室基板から遠ざかる方向に向かって、前記第2電極と、前記圧電体と、前記第1電極と、が順に重なって形成されていてもよい。このような形態によれば、第1電極がいわゆる上部電極であり、第2電極がいわゆる下部電極であっても、圧力室の第1方向の端部付近及び圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。そのため、圧電素子の構成の自由度が高まる。
(16)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第3位置において前記第1電極が前記第2方向に延在する幅は、前記第4位置において前記第1電極が前記第2方向に延在する幅よりも小さくてもよい。このような形態によれば、簡易な構成によって、第3領域に第1電極を配置することなく、かつ、第1領域と第2領域と第3領域とに第1電極を配置することができる。
(17)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内において、前記積層方向に見て、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の中央を通る直線に対して線対称の形状を有していてもよい。このような形態によれば、圧力室の第1方向における剛性のバランスが保たれるため、圧力室の耐久性が向上する。
(18)上記形態の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子と前記圧力室基板の間に設けられた振動板を更に有していてもよい。このような形態によれば、液体吐出ヘッドが振動板を有する場合であっても、圧力室の第1方向の端部付近及び圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
(19)本開示の第2の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、上記第1の形態における液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備える。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近である第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近である第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
(20)本開示の第3の形態によれば、圧力室基板に第1方向に配列して形成された複数の圧力室に対応するように、前記第1方向に配列された複数の圧電素子を有するアクチュエーターが提供される。このアクチュエーターにおいて、前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有する。前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置とする。前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、前記第3領域には、前記第1電極が設けられていない。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近である第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
このような形態によれば、圧力室の第1方向の端部付近における応力集中が第1電極によって抑制され、圧力室の第1方向の端部付近におけるクラックが抑制される。また、圧力室の第2方向の端部付近である第3領域が非能動領域に含まれるため、能動領域が圧力室の第2方向の端部付近に位置することに起因する応力集中が抑制され、圧力室の第2方向の端部付近におけるクラックが抑制される。
本開示は、上述した液体吐出ヘッド、液体吐出装置やアクチュエーターとしての形態に限らず、液体吐出システムや、液体吐出装置を備える複合機等の種々の態様で実現可能である。
40…キャリッジ、41…フレキシブルケーブル、46…駆動モーター、47…駆動ベルト、51…搬送モーター、55…プラテン、80…インクカートリッジ、90…駆動回路、100…液体吐出装置、110…制御部、200…液体吐出ヘッド、210…ノズル板、211…ノズル、220…圧力室基板、221…圧力室、223…インク供給路、225…連通部、230,230b,230c,230d…圧電部、231…振動板、232…可撓層、233…保護層、240,240b,240c,240d…圧電素子、245…圧電体、246,246b,246c,246d…第1電極、247,247c…第2電極、248…テーパー部、250…封止部、251…圧電素子保持部、252…マニホールド部、270…マニホールド
Claims (20)
- 第1方向に配列された複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子に対応する複数の圧力室が前記第1方向に並んで形成された圧力室基板と、を有する液体吐出ヘッドであって、
前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、
前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有し、
前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、
前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、
前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置としたとき、
前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、
前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、
前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、
前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、
前記第3領域には、前記第1電極が設けられていないことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記第3領域には、前記第2電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第2領域と前記第4領域とには、前記第2電極が設けられていないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第3領域には、前記第2電極が設けられ、
前記第2位置における前記第2電極の前記第1方向の幅は、前記第1位置における前記第2電極の前記第1方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第2電極は、前記第1位置から前記第2位置に向かって前記第1方向の幅が小さくなる部分を有する、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1位置は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の中央部に位置し、
前記第2位置は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の一端部に位置することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記圧電素子は、前記積層方向に見て、第5領域と、第6領域と、を有し、
前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置を第5位置としたとき、
前記第5領域は、前記第2方向における位置が前記第5位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第6領域は、前記第2方向における位置が前記第5位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、
前記第5領域には、前記第1電極が設けられておらず、
前記第6領域には、前記第1電極が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第3位置は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の中央部に位置し、
前記第4位置は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の一端部に位置することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記圧電素子は、前記積層方向に見て、第7領域と、第8領域と、を有し、
前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の他端部に位置する特定の位置を第6位置としたとき、
前記第7領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第6位置である領域であり、
前記第8領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第6位置である領域であり、
前記第7領域と前記第8領域とには、前記第1電極が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記圧電素子は、前記積層方向に見て第9領域を有し、
前記第9領域は、前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲の外部に位置し、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第9領域には、前記第1電極が設けられていないことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第9領域には、前記第2電極が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第4領域の少なくとも一部において、前記積層方向に見て、前記第1電極と前記圧電体とが重なって設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第4領域に、前記積層方向に見て、前記第1電極と前記圧電体とが重なって設けられていないことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧電素子は、前記積層方向において前記圧力室基板から遠ざかる方向に向かって、前記第1電極と、前記圧電体と、前記第2電極と、が順に重なって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧電素子は、前記積層方向において前記圧力室基板から遠ざかる方向に向かって、前記第2電極と、前記圧電体と、前記第1電極と、が順に重なって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第3位置において前記第1電極が前記第2方向に延在する幅は、前記第4位置において前記第1電極が前記第2方向に延在する幅よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内において、前記積層方向に見て、前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲の中央を通る直線に対して線対称の形状を有することを特徴とする、請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧電素子と前記圧力室基板の間に設けられた振動板を更に有することを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 圧力室基板に第1方向に配列して形成された複数の圧力室に対応するように、前記第1方向に配列された複数の圧電素子を有するアクチュエーターであって、
前記圧電素子は、圧電体と、複数の前記圧電体に対して共通に設けられた第1電極と、複数の前記圧電体に対して個別に設けられた第2電極と、を備え、
前記圧電素子は、前記圧力室基板に前記圧電素子が積層されている積層方向に見て、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域と、を有し、
前記第1方向と交差する第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第1位置とし、
前記第2方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第1位置よりも、前記第2方向において前記圧力室の端に近い位置を第2位置とし、
前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置を第3位置とし、
前記第1方向において前記圧力室が延在する範囲内の特定の位置であって、前記第3位置よりも、前記第1方向において前記圧力室の端に近い位置を第4位置としたとき、
前記第1領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第2領域は、前記第2方向における位置が前記第1位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、
前記第3領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第3位置である領域であり、
前記第4領域は、前記第2方向における位置が前記第2位置であり、前記第1方向における位置が前記第4位置である領域であり、
前記第1領域には、前記第1電極と前記第2電極とが前記積層方向に重なって設けられ、
前記第2領域と前記第4領域とには、前記第1電極が設けられ、
前記第3領域には、前記第1電極が設けられていないことを特徴とするアクチュエーター。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020052304A JP2021151709A (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーター |
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JP2020052304A JP2021151709A (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および、アクチュエーター |
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-
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