以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
最初に、図1を参照して、本発明の実施形態のショベルPSの全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態のショベルPSの側面図である。
ショベルPSの下部走行体1には、旋回機構2を介して旋回可能に上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、エンドアタッチメント(作業部位)としてバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとしては、法面用バケット、浚渫用バケット、ブレーカ等が取り付けられてもよい。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を集合的に「姿勢センサ」と称する。また、ブーム4には歪みセンサS4が取り付けられている。
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、水平面に対するブーム4の傾斜を検出することで上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出する。アーム角度センサS2は、例えば、水平面に対するアーム5の傾斜を検出することでブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出する。バケット角度センサS3は、例えば、水平面に対するバケット6の傾斜を検出することでアーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよく、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されていてもよい。
歪みセンサS4は、アタッチメントの歪みを検出する。本実施形態では、歪みセンサS4は、ブーム4の内部に取り付けられてブーム4の伸張又は圧縮による歪みを検出する1軸歪みゲージである。但し、歪みセンサS4は、3軸歪みゲージであってもよく、アタッチメントの内部の複数箇所に取り付けられる複数の1軸歪みゲージであってもよい。また、歪みセンサS4は、複数の3軸歪みゲージであってもよく、1又は複数の1軸歪みゲージと1又は複数の3軸歪みゲージの組み合わせであってもよい。また、歪みセンサS4は、アタッチメントの歪みを検出できる位置に取り付けられていればよく、例えば、ブーム4の外面に取り付けられていてもよく、アーム5やバケット6に取り付けられていてもよい。
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、カバー3aにより覆われたエンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には、車体傾斜センサS5、旋回角度センサS6、空間認識装置70等が搭載されている。キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、音声出力装置43、入力装置45、記憶装置47、及びゲートロックレバー49が設けられている。キャビン10の頂部には、GPS装置(GNSS受信機)P1、及び送信装置T1が設けられている。
車体傾斜センサS5は、ショベルPSの車体の傾斜角度を検出する。本実施形態では、車体傾斜センサS5は、水平面に対する車体の傾斜角度を検出する加速度センサである。
旋回角度センサS6は、下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度を検出する。本実施形態では、旋回角度センサS6は、例えば旋回機構2の旋回角度を検出するレゾルバである。
コントローラ30は、ショベルPSの駆動制御を行う主制御部として機能する制御装置である。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。
表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。
音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種音声情報を出力する。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカである。音声出力装置43は、ブザー等の警報器であってもよい。
入力装置45は、ショベルPSの操作者がコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置45は、例えば、表示装置40の表面に設けられるメンブレンスイッチを含む。入力装置45は、タッチパネル等であってもよい。
記憶装置47は、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。本実施形態では、記憶装置47は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、歪みセンサS4、車体傾斜センサS5等の検出値、コントローラ30の出力値等を記憶する。
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベルPSが誤って操作されるのを防止する機構である。操作者が運転席に乗り込んでゲートロックレバー49を引き上げると、コントローラ30によりゲートロック弁49a(後述する図2参照)が開状態に制御され、操作者はキャビン10から退出できなくなると共に各種操作装置が操作可能になる。操作者がゲートロックレバー49を押し下げると、コントローラ30によりゲートロック弁49aが閉状態に制御され、操作者はキャビン10から退出可能になると共に、各種操作装置は操作不能になる。
GPS装置P1は、ショベルPSの位置をGPS機能により検出し、位置データをコントローラ30に供給する。
送信装置T1は、ショベルPSの外部に向けて情報を発信する。
空間認識装置70は、ショベルPSの周囲の三次元空間に存在する物体を認識するように構成されている。また、空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベルPSから認識された物体までの距離を算出するように構成されている。空間認識装置70は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、又は赤外線センサ等である。本実施形態では、空間認識装置70は、LIDARであり、多数のレーザ光を多数の方向に発し、その反射光を受光することで、反射光から物体の距離及び方向を算出するように構成されている。空間認識装置70としてのミリ波レーダ等が電磁波を物体に向けて発する場合についても同様である。具体的には、空間認識装置70は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ70F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ70Rを含む。上部旋回体3の上方の空間に存在する物体を認識する上方センサがショベルPSに取り付けられていてもよい。
空間認識装置70は、ショベルPSの周囲を撮像するように構成されていてもよい。この場合、空間認識装置70は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。
空間認識装置70は、ショベルPSの周囲に設定された所定領域内の所定物体を検知するように構成されていてもよい。すなわち、空間認識装置70は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。例えば、空間認識装置70は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。更に、空間認識装置70は、ショベルPSの周囲の地形の種類を特定できるように構成されていてもよい。地形の種類は、例えば、穴、傾斜面、又は河川等である。更に、空間認識装置70は、障害物の種類を特定できるように構成されていてもよい。障害物の種類は、例えば、電線、電柱、人、動物、車両、作業機材、建設機械、建造物、又は柵等である。更に、空間認識装置70は、車両としてのダンプトラックの種類又はサイズ等を特定できるように構成されていてもよい。更に、空間認識装置70は、ヘルメット、安全ベスト、若しくは作業服等を認識することにより、或いは、ヘルメット、安全ベスト、若しくは作業服等にある所定のマーク等を認識することにより、人を検知するように構成されていてもよい。更に、空間認識装置70は、路面の状態を認識するように構成されていてもよい。具体的には、空間認識装置70は、例えば、路面上に存在する物体の種類を特定するように構成されていてもよい。路面上に存在する物体の種類は、例えば、煙草、缶、ペットボトル、又は石等である。
次に、図2を参照して、ショベルPSの駆動制御系の構成例について説明する。図2は、ショベルPSの駆動制御系の構成例を示す図である。図2中、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気駆動・制御系をそれぞれ二重線、太実線、破線、及び細実線で示す。
エンジン11は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15に接続され、エンジン制御装置(ECU)74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種のデータ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ等)がコントローラ30に常時送信される。コントローラ30は内部の記憶部30aにこのデータを蓄積し、適宜、表示装置40に送信できる。
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための油圧ポンプである。メインポンプ14は、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aは、斜板角度を示すデータをコントローラ30に送る。また、吐出圧力センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータをコントローラ30に送る。これらのデータ(物理量を表すデータ)は記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路に設けられている油温センサ14cは、管路を流れる作動油の温度を表すデータをコントローラ30に送る。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、ショベルPSにおける油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1L、1R(後述する図3参照)、及び旋回用油圧モータ2A(後述する図3参照)等に、メインポンプ14が吐出する作動油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1L、1R、及び旋回用油圧モータ2Aを、「油圧アクチュエータ」という場合がある。
操作レバー26は、キャビン10内に設けられ、操作者によって油圧アクチュエータの操作に用いられる。操作レバー26が操作されると、パイロットポンプ15から油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに作動油が供給される。各パイロットポートには、対応する操作レバー26の操作方向及び操作量に応じた圧力の作動油が供給される。
本実施形態では、操作レバー26は、ブーム操作レバーである。操作者が操作レバー26を操作すると、ブームシリンダ7(後述する図3参照)を油圧駆動させて、ブーム4を操作させることができる。なお、ショベルPSには、操作レバー26の他に、アームシリンダ8を油圧駆動させてアーム5を操作できるアーム操作レバー、バケットシリンダ9を油圧駆動させてバケット6を操作できるバケット操作レバー、走行用油圧モータ1L、1R等を駆動させる操作レバー、旋回機構2の旋回用油圧モータ2Aを油圧駆動させて上部旋回体3を旋回させる操作レバー、操作ペダル等が設けられてもよい。
圧力センサ15a,15bは、操作レバー26が操作された際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧を検出し、検出したパイロット圧を示すデータをコントローラ30に送る。操作レバー26には、スイッチボタン27が設けられている。操作者は、操作レバー26を操作しながらスイッチボタン27を操作することで、コントローラ30に指令信号を送ることができる。
また、操作レバー26は、パイロット圧を出力する油圧パイロット式ではなく、操作内容に対応する電気信号(以下、「操作信号」)を出力する電気式であってもよい。この場合、操作レバー26からの電気信号は、コントローラ30に入力され、コントローラ30は、入力される電気信号に応じて、コントロールバルブ17内の各制御弁171〜176を制御することにより、操作レバー26に対する操作内容に応じた、各種油圧アクチュエータの動作を実現してよい。例えば、コントロールバルブ17内の制御弁171〜176は、コントローラ30からの指令により駆動される電磁ソレノイド式スプール弁であってよい。また、例えば、パイロットポンプ15と各制御弁171〜176のパイロットポートとの間には、コントローラ30からの電気信号に応じて動作する油圧制御弁(以下、「操作用制御弁」)が配置されてもよい。操作用制御弁は、例えば、比例弁であってよく、シャトル弁は、省略される。この場合、電気式の操作レバー26を用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、その操作量(例えば、レバー操作量)に対応する電気信号によって、操作用油圧制御弁を制御しパイロット圧を増減させる。これにより、コントローラ30は、操作レバー26に対する操作内容に合わせて、各制御弁171〜176を動作させることができる。以下、操作用制御弁は、比例弁(減圧弁)である前提で説明を進める。
コントローラ30は、各種のデータを取得する。コントローラ30が取得したデータは、記憶部30aに格納される。
表示装置40は、コントローラ30から供給される作業情報等を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ネットワーク、専用線等を介してコントローラ30に接続されている。また、表示装置40は、画像表示部41に表示する画像を生成する変換処理部40aと、入力部としてのスイッチパネル42とを有する。
変換処理部40aは、空間認識装置70から得られる画像データ等のデータに基づいて画像表示部41上に表示する撮影画像を含む画像を生成する。表示装置40には、前方センサ70F、後方センサ70B、左方センサ70L、及び右方センサ70Rのそれぞれから画像データ等のデータが入力される。また、変換処理部40aは、コントローラ30から表示装置40に入力される各種のデータのうち画像表示部41に表示させるデータを画像信号に変換する。コントローラ30から表示装置40に入力されるデータは、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、尿素水の残量を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。変換処理部40aは、変換した画像信号を画像表示部41に出力し、撮影画像や各種のデータに基づいて生成した画像を画像表示部41に表示させる。なお、変換処理部40aは、表示装置40ではなく、例えば、コントローラ30に設けられてもよい。
スイッチパネル42は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネル42は、ライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウィンドウォッシャスイッチ42cを有する。
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り替えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り替えるためのスイッチである。ウィンドウォッシャスイッチ42cは、ウィンドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
表示装置40は、蓄電池80から電力の供給を受けて動作する。蓄電池80は、エンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池80の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルPSの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池80からの電力で駆動されてエンジン11を始動させる。
ショベルPSのキャビン10内には、エンジン回転数調整ダイヤル75が設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数を調整するためのダイヤルであり、例えば、エンジン回転数を段階的に切り替えることができる。本実施形態では、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリング(IDLE)モードの4段階にエンジン回転数を切り替えることができるように設けられている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定状態を示すデータをコントローラ30に送る。なお、図2には、エンジン回転数調整ダイヤル75によりHモードが選択された状態が示されている。
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルPSを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定回転数に制御される。
次に図3を参照し、ショベルPSに搭載される油圧システムの詳細について説明する。図3は、図1のショベルPSに搭載される油圧システムの構成例を示す概略図である。図3において、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、電気制御系をそれぞれ二重線、太実線、破線、点線で示す。
図3において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、センターバイパス管路50L、50R、パラレル管路52L、52Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。メインポンプ14L、14Rは、図2のメインポンプ14に対応する。
センターバイパス管路50Lは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171L〜175Lを通る高圧油圧ラインである。センターバイパス管路50Rは、コントロールバルブ17内に配置された制御弁171R〜175Rを通る高圧油圧ラインである。
制御弁171Lは、メインポンプ14Lが吐出する作動油を左側走行用油圧モータ1Lへ供給し、且つ、左側走行用油圧モータ1Lが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁171Rは、走行直進弁としてのスプール弁である。制御弁171Rは、下部走行体1の直進性を高めるべくメインポンプ14Lから左側走行用油圧モータ1L及び右側走行用油圧モータ1Rのそれぞれに作動油が供給されるように作動油の流れを切り換える。具体的には、左側走行用油圧モータ1L及び右側走行用油圧モータ1Rと他の何れかの油圧アクチュエータとが同時に操作された場合、メインポンプ14Lは、左側走行用油圧モータ1L及び右側走行用油圧モータ1Rの双方に作動油を供給する。他の油圧アクチュエータが何れも操作されていない場合には、メインポンプ14Lが左側走行用油圧モータ1Lに作動油を供給し、メインポンプ14Rが右側走行用油圧モータ1Rに作動油を供給する。
制御弁172Lは、メインポンプ14Lが吐出する作動油をオプションの油圧アクチュエータへ供給し、且つ、オプションの油圧アクチュエータが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。オプションの油圧アクチュエータは、例えば、グラップル開閉シリンダである。
制御弁172Rは、メインポンプ14Rが吐出する作動油を右側走行用油圧モータ1Rへ供給し、且つ、右側走行用油圧モータ1Rが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
制御弁173Lは、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回用油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回用油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
旋回用油圧モータ2Aは、上部旋回体3を旋回させることができる。旋回用油圧モータ2Aのポート21Lはリリーフ弁22Lを介して作動油タンクに接続されている。旋回用油圧モータ2Aのポート21Rはリリーフ弁22Rを介して作動油タンクに接続されている。リリーフ弁22Lは、ポート21L側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21L側の作動油を作動油タンクに排出する。リリーフ弁22Rは、ポート21R側の圧力が所定のリリーフ圧に達した場合に開き、ポート21R側の作動油を作動油タンクに排出する。
制御弁173Rは、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するためのスプール弁である。
制御弁174L、174Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。本実施例では、制御弁174Lは、ブーム4の上げ操作が行われた場合にのみ作動し、ブーム4の下げ操作が行われた場合には作動しない。
制御弁175L、175Rは、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
パラレル管路52Lは、センターバイパス管路50Lに並行する高圧油圧ラインである。パラレル管路52Lは、制御弁171L〜174Lの何れかによってセンターバイパス管路50Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。パラレル管路52Rは、センターバイパス管路50Rに並行する高圧油圧ラインである。パラレル管路52Rは、制御弁172R〜174Rの何れかによってセンターバイパス管路50Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
レギュレータ14aL、14aRは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。レギュレータ14aL、14aRは、図2のレギュレータ14aに対応する。レギュレータ14aL、14aRは、例えば、メインポンプ14L、14Rの吐出圧が所定値以上となった場合にメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収馬力がエンジン11の出力馬力を超えないようにするためである。
吐出圧力センサ14bL、14bRは、メインポンプ14L、14Rの吐出圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧力センサ14bL、14bRは、図2の吐出圧力センサ14bに対応する。
操作レバー26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用して、レバー操作量に応じたパイロット圧を制御弁174L、174Rのパイロットポートに作用させる。具体的には、操作レバー26は、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁174Lの右側パイロットポート及び制御弁174Rの左側パイロットポートにパイロット圧を作用させる。一方、操作レバー26は、ブーム下げ方向に操作された場合には、制御弁174Rの右側パイロットポートにパイロット圧を作用させる。
減圧弁25L,25Rは、コントローラ30からの指令電流に応じてパイロット圧を増減させる。減圧弁25Lは、操作レバー26がブーム上げ方向に操作されたときに生成したパイロット圧を減圧して制御弁174Lの右側パイロットポート及び制御弁174Rの左側パイロットポートに作用させる。減圧弁25Rは、操作レバー26がブーム下げ方向に操作されたときに生成したパイロット圧を減圧して制御弁174Rの右側パイロットポートに作用させる。
圧力センサ15abは、図2の圧力センサ15a,15bに対応する。圧力センサ15abは、操作レバー26に対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
ここで、図3の油圧システムで採用されるネガティブコントロール制御(以下、「ネガコン制御」とする。)について説明する。
センターバイパス管路50L、50Rは、最も下流にある制御弁175L、175Rのそれぞれと作動油タンクとの間にネガティブコントロール絞り18L、18Rを備える。メインポンプ14L、14Rが吐出した作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rで制限される。そして、ネガティブコントロール絞り18L、18Rは、レギュレータ14aL、14aRを制御するための制御圧(以下、「ネガコン圧」とする。)を発生させる。
ネガコン圧センサ19L、19Rは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生させたネガコン圧を検出するセンサである。本実施例では、ネガコン圧センサ19L、19Rは、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
コントローラ30は、ネガコン圧に応じた指令をレギュレータ14aL、14aRに対して出力する。レギュレータ14aL、14aRは、指令に応じてメインポンプ14L、14Rの斜板傾転角を調節することによって、メインポンプ14L、14Rの吐出量を制御する。具体的には、レギュレータ14aL、14aRは、ネガコン圧が大きいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を減少させ、ネガコン圧が小さいほどメインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させる。
油圧アクチュエータが何れも操作されていない場合(以下、「待機モード」とする。)、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、センターバイパス管路50L、50Rを通ってネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を増大させる。その結果、レギュレータ14aL、14aRは、メインポンプ14L、14Rの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油がセンターバイパス管路50L、50Rを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。
一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れは、ネガティブコントロール絞り18L、18Rに至る量を減少或いは消失させ、ネガティブコントロール絞り18L、18Rの上流で発生するネガコン圧を低下させる。その結果、レギュレータ14aL、14aRは、メインポンプ14L、14Rの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。
上述のような構成により、図3の油圧システムは、待機モードにおいては、メインポンプ14L、14Rにおける無駄なエネルギ消費を抑制できる。なお、無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油がセンターバイパス管路50L、50Rで発生させるポンピングロスを含む。
また、図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14L、14Rから必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できるようにする。
次に、図2に戻り、コントローラ30の機能構成について説明する。図2に示されるように、コントローラ30は、制御レベル推定部31と、ブーム下げ制限設定部32と、動作制御部33と、を有する。
制御レベル推定部31は、例えば後述する掘削作業を行う際、土砂等の作業対象物によってバケット6に加わる衝撃の大きさを示す制御レベルを推定する。なお、制御レベルとは、衝撃の大きさを示す指標であり、以下の説明においては、衝撃が大きいほど制御レベルの値が高くなるものとして説明する。制御レベル推定部31は、作業対象物の硬さに基づいて、制御レベルを推定する。
例えば、制御レベル推定部31は、所定の姿勢でバケット6により作業対象物に所定の圧力を加えたときの作業対象物への沈み込み量に基づいて、作業対象物の硬さを推定することにより、その制御レベルを推定する。作業対象物への沈み込み量は、例えばショベルPSの姿勢センサの検出値、空間認識装置70が認識した作業対象物に関する情報に基づいて求めることができる。具体的には、作業対象物への沈み込み量は、ショベルPSの姿勢センサの検出値により算出されるショベルPSの姿勢変化に基づいて求めることができる。また、作業対象物への沈み込み量は、空間認識装置70が認識した空間認識装置70又はショベルPSから作業対象物までの距離、空間認識装置70が撮像した作業対象物の画像等に基づいて求めることができる。
また、例えば、制御レベル推定部31は、過去の作業履歴に基づいて、作業対象物の硬さを推定することにより、その制御レベルを推定する。制御レベル推定部31は、GPS装置P1によるショベルPSの位置情報、各種センサS1〜S6等によるショベルPSの各部の動作履歴等から作業対象物の形成状態を推定する。ここで、作業対象物の形成状態としては、例えば、掘削した土砂等を盛ったままの盛り土、ショベルPSが乗って作業するために踏み固められた土台、掘削されていない地山(元からある地表形状)等がある。例えば、掘削時における各種シリンダ7〜9のシリンダ圧の圧力波形や歪ゲージの検出値等から土の状態を取得する。また、ショベルPSの軌跡、バケット6の軌跡等に基づいて、作業対象物が盛り土であるか、土台であるかを推定する。また、コントローラ30の記憶部30aには、地形情報として施工図が入力されており、制御レベル推定部31は地形情報から地山の情報を取得してもよい。そして、制御レベル推定部31は、推定された作業対象物の形成状態(盛り土、土台、地山等)に基づいて、作業対象物の硬さを推定し、制御レベルを決定する。なお、制御レベル推定部31が用いる作業履歴は、自身のショベルPSが作業した履歴のみならず、他のショベルPSが作業した履歴を送信装置T1を介して取得して、作業対象物の硬さの推定に用いてもよい。
また、例えば、制御レベル推定部31は、空間認識装置70が撮像した画像に基づいて、当接する土砂等の作業対象物の硬さを推定することにより、その制御レベルを推定する。硬さの推定には、各種シリンダ7〜9や歪ゲージ等の検出値を用いてもよい。また、硬さの推定には、伝搬速度、吸水率等の岩質情報や水脈等の地質情報等の土質情報を用いてもよい。制御レベル推定部31は、作業対象物を撮像した画像を表示装置40を介して取得し、作業対象物の形状、表面の状態等から作業対象物の形成状態(盛り土、土台、地山等)を推定する。なお、画像から作業対象物の形成状態を推定する手法としては、パターン学習等のAI技術を用いてもよい。パターン学習には画像と負荷(各種シリンダの検出値等)とを組み合わせてもよい。そして、制御レベル推定部31は、推定された作業対象物の形成状態(盛り土、土台、地山等)に基づいて、作業対象物の硬さを推定し、制御レベルを推定する。ここで、作業対象物の形成状態にはショベルPSの作業内容に基づいて判断できる。作業内容は、空間認識装置70、ショベルPSの姿勢センサやブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9の圧力センサ等の検出値に基づいて求めることができる。なお、制御レベル推定部31が用いる画像は、自身のショベルPSの空間認識装置70が撮像した画像のみならず、他のショベルPSの空間認識装置70が撮像した画像を、送信装置T1を介して取得して、硬さの推定に用いてもよい。
ところで、ショベル100のアタッチメント(ブーム4、アーム5、バケット6)は、被掘削物をダンプトラックに積み込む際、被積載物の重量により疲労ダメージが蓄積する。ここで、アタッチメントの寿命は、アタッチメントに作用する応力の逆数の3乗に比例する。即ち、アタッチメントに作用する応力が1/2となると、アタッチメントの寿命は8倍となる。また、アタッチメントに作用する応力は、被積載物の重量に比例する。また、必ずしも3.0乗でなくともよく、3.5乗を寿命計算の指針として判断してもよい。
ブーム下げ制限設定部32は、制御レベル推定部31が推定した制御レベルに基づいて、ブーム4の制限値を設定する。図4は、ブーム下げ制限設定部32が有するテーブルの一例である。ブーム下げ制限設定部32は、図4に示すような、制限値のテーブルを有している。テーブルは、制御レベルに対して、ブーム下げ動作を行うときのバケット6の爪先の移動速度(バケット爪先下げ速度)の制限値が設定されている。具体的には、制御レベルが高いほど、換言すれば、作業対象物の硬さが硬いほど、制限値が小さくなるように設定されている。ブーム下げ制限設定部32は、制御レベル推定部31が推定した制御レベル及び制限値のテーブルに基づいて、バケット爪先下げ速度の制限値を設定する。
動作制御部33は、ブーム下げ制限設定部32が設定した制限値に基づいて、ブーム4の下げ動作時のバケット爪先下げ速度を制限する。具体的には、コントローラ30は、図3に示す減圧弁25Rを制御することにより、制御弁174Rのパイロット圧を制御して、ブームシリンダ7のロッド側油室に流れる作動油を制御することで、ブーム4の下げ速度(バケット爪先下げ速度)を制限する。
次に、図5を参照し、本実施形態のショベルPSが行う掘削動作の一例について説明する。図5は、掘削動作におけるバケット6の動きを説明するための側面図である。図5では、バケット6の爪先が作業対象物の一例である地面と接触したときのアーム5及びバケット6の位置を実線で示し、バケット6の爪先が地面と接触する直前のアーム5及びバケット6の位置を破線で示す。
図5に示されるように、掘削動作では、ブーム4、アーム5及びバケット6を操作することにより、ショベルPSの前下方の掘削対象である地面にバケット6の爪先を接触させる。そして、バケット6の爪先が地面に接触した後もバケット6の爪先を下方に移動させることにより、地面にバケット6を進入させて地面を掘削する。このとき、バケット6が地面に当接する度に掘削アタッチメントが衝撃荷重を受けることにより、掘削アタッチメントの寿命が低下する。特に、地面が硬い地盤であるほど掘削アタッチメントが受ける衝撃荷重が大きく、掘削アタッチメントの寿命の低下が顕著になる。また、地面が硬い地盤である場合、バケット6の爪先も損傷しやすい。
そのため、熟練のショベルPSの操作者は、このような掘削アタッチメントの損傷を低減するため、バケット6の爪先が地面に当接する際のバケット6の移動速度や爪先角度等を微調整しながら掘削動作を行っている。しかし、この微調整しながらの掘削動作はショベルPSの操作者の負担となっている。また、非熟練のショベルPSの操作者は、熟練のショベルPSの操作者が行っている微調整を行うことが困難である。
そこで、本実施形態では、コントローラ30が、作業対象物の硬さ情報に基づいて、作業対象物にバケット6が当接する前にバケット速度を低減するようにアタッチメントを制限制御する。これにより、アタッチメントの損傷を抑制すると共に、ショベルPSの操作者の負担を低減できる。
また、コントローラ30は、バケット6が作業対象物に当接した後、アタッチメントの制限制御を継続してもよく、解除してもよい。アタッチメントの制限制御を解除する場合、バケット6が作業対象物に当接した後、緩やかに解除することが好ましい。これにより、ショベルPSの操作者が感じる違和感を低減できる。
また、コントローラ30は、アタッチメントの制限制御に加えて、作業対象物の硬さ情報に基づいて、作業対象物にバケット6が当接する際のバケット角度やショベルPSの姿勢を調整してもよい。
次に、図6を参照し、コントローラ30が掘削アタッチメントによる掘削動作を支援する処理(以下「掘削支援処理」という。)の一例について説明する。図6は、掘削支援処理の一例を示すフローチャートである。
ステップST1において、動作制御部33は、現在のバケット爪先下げ速度が閾値速度以上であるか否かを判定する。ここで、閾値速度は、例えばブーム下げ制限設定部32で設定されたバケット爪先下げ速度の制限値であってよい。現在のバケット爪先下げ速度が閾値速度以上である場合、ステップST2へ進む。一方、現在のバケット爪先下げ速度が閾値速度未満である場合、ステップST4へ進む。
ステップST2において、動作制御部33は、バケット6(例えば、バケット6の爪先)から作業対象物までの距離が閾値距離以下であるか否かを判定する。バケット6から作業対象物までの距離は、例えば空間認識装置70により検出される。バケット6から作業対象物までの距離が閾値以下である場合、ステップST3へ進む。一方、バケット6から作業対象物までの距離が閾値未満である場合、ステップST4へ進む。
ステップST3において、動作制御部33は、ブーム下げ制限設定部32で設定された制限値に基づいて、バケット爪先下げ速度を制限制御する。そして、処理を終了する。
一方、ステップST4において、動作制御部33は、バケット爪先下げ速度を制限しないと判定する。そして、処理を終了する。
本実施形態では、操作者がバケット操作する際に、コントローラ30がバケット6と対象物との距離を算出し速度制限を行うことを説明したが、予め設定された目標軌道に基づいてバケット6を制御する半自動ショベルや自律ショベルにも適用できる。
次に、図7を参照し、掘削支援処理の動作例について説明する。図7では、掘削支援処理を行った場合(実施例)の波形を実線で示し、掘削支援処理を行わない場合(参考例)の波形を破線で示す。
まず、参考例の場合について説明する。時刻t0において、図7(a)に示されるように、操作レバー26が操作されると、図7(b)に示されるように、バケット爪先下げ速度も上昇して所定の速度で一定となる。そして、時刻t1において、バケット6が作業対象物に当接する。この際、図7(c)に示されるように、参考例においては、大きな応力が発生する。このため、掘削アタッチメントは大きな衝撃荷重を受ける。そして、応力が生じながらバケット6が作業対象物を掘削する。
これに対し、実施例では、時刻t0において、図7(a)に示されるように、操作レバー26が操作されると、図7(b)に示されるように、バケット爪先下げ速度も上昇して所定の速度で一定となる。そして、条件を満たすことにより(ステップST1:YESかつステップST2:YES)、作業対象物に当接する前に、動作制御部33はバケット爪先下げ速度を制限する。そして、時刻t3において、バケット6が作業対象物に当接する。この際、図7(c)に示されるように、当接する際の応力は参考例と比較して小さくなる。これにより、実施例の制御は、参考例と比較して、当接時の衝撃を低減し、掘削アタッチメントの損傷を低減できる。
以上に説明したように、本実施形態のショベルPSによれば、コントローラ30が、作業対象物の硬さ情報に基づいて、作業対象物にバケット6が当接する前にバケット速度を低減するように掘削アタッチメントを制限制御する。これにより、バケット6が作業対象物に当接する際の衝撃を低減し、掘削アタッチメントの損傷を低減できる。また、ショベルPSの操作者の負担を低減できる。
また、コントローラ30は、作業対象物によってバケット6に加わる衝撃の大きさを示す制御レベルに基づいて、掘削動作の制限値を設定する。これにより、制限過多となり、操作性が低下することを防止できる。
また、コントローラ30は、所定の姿勢でバケット6により作業対象物に所定の圧力を加えたときの作業対象物への沈み込み量、空間認識装置70が撮像した画像、ショベルPSの作業履歴に基づいて、制御レベルを推定する。これにより、ショベルPSの操作者の熟練度によらず、好適にショベルPSを制御できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施形態に種々の変更及び置換を加えることができる。
上記の実施形態では、パイロット圧にて、制御弁174L、174Rを動作させる構成において、コントローラ30が減圧弁25L,25Rを制御することにより、掘削アタッチメントの動作を制限するものとして説明したが、このような構成に限定されない。例えば、コントローラ30が制御弁174L、174Rを電気的に操作する構成においても同様に適用できる。