JP2021133349A - 廃水処理装置及び廃水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで高圧ガス容器の管理が必要ない、中空糸膜表面に形成される微生物層の酸素濃度勾配が改善された廃水処理装置及び廃水処理方法を提供する。【解決手段】廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される中空糸膜を含む中空糸膜モジュール10と、中空糸膜モジュール10の下方に配置された散気装置20と、中空糸膜モジュール10に酸素濃度を高めた高酸素濃度気体を供給するとともに、散気装置20に窒素濃度を高めた高窒素濃度気体を供給する気体濃縮装置40と、気体濃縮装置40に空気を供給する気体供給装置50とを備える廃水処理装置100。【選択図】図1

Description

本発明は、廃水処理装置及び廃水処理方法に関する。
近年、工業廃水及び生活廃水の処理方法として、メンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクター(MABR)を用いる生物学的水処理方法が注目されている。MABRは、中空糸膜の外表面に、廃水中の微生物等に由来する微生物層(バイオフィルム)を形成し、中空糸膜の内面側から酸素を供給するバイオリアクターである。MABRでは、微生物層の膜厚方向で酸素濃度勾配が形成される。これにより、微生物層の内層側において好気処理(硝化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(脱窒)が進行するので、ワンプロセスで各種の汚染物質を除去することが可能になる。従って、従来の膜分離活性汚泥法のような、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行う方法に比べて省スペースの設備が実現できる。
また、MABRは、微生物層を備えることで従来に比べて酸素溶解効率を高められることから、酸素を供給するブロワの稼働負荷を抑制できるとともに、スラッジの発生も低減できるので、設備全体のランニングコストを低減することが可能になる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になる。よって、MABRは、各種の廃水処理装置等において広く導入検討が進められている。
特許文献1には、酸素溶解膜に生物が付着することを防止することによって、酸素溶解膜の酸素供給速度を高く保つことができる好気性生物処理方法として、反応槽内に配置された酸素溶解膜によって酸素を前記反応槽内の被処理水に溶解させ、被処理水を好気性生物処理する好気性生物処理方法において、前記反応槽中で生物付着担体を懸濁又は流動させることにより、前記酸素溶解膜への生物の付着を防止することを特徴とする好気性生物処理方法が記載されている。
特許文献2には、反応槽内で好気性生物処理を行う好気性生物処理装置において、前記反応槽はプラグフロー反応槽であり、前記反応槽内の被処理水流入側は、酸素溶解膜によって酸素を前記反応槽内の被処理水に溶解させるMABR方式となっており、前記反応槽の処理水出口側は、MABR以外の処理方式となっていることを特徴とする好気性生物処理装置が記載されている。
特開2018−153733号公報 特開2018−153731号公報
従来のMABRでは、中空糸膜の表面に形成された微生物層の酸素濃度が外層側で充分に低下せず、嫌気処理(脱窒)の効率が低下する場合があった。微生物層の内層側を充分に好気状態としつつ、外層側を充分に嫌気状態とするには、例えば、中空糸膜モジュールに酸素ガスボンベから高純度の酸素ガスを供給するとともに、中空糸膜モジュールの下方に設置した散気装置に窒素ガスボンベから高純度の窒素ガスを供給することが考えられる。この方法によれば、中空糸膜の表面に形成された微生物層の外層側の酸素濃度をさらに低下させることができる。しかし、この方法は高コストである上、高圧ガス容器の管理が必要となることから、産業廃水の処理施設で使用するには適していない。
本発明は、低コストで高圧ガス容器の管理が必要ない、中空糸膜表面に形成される微生物層の酸素濃度勾配が改善された廃水処理装置及び廃水処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される中空糸膜を含む中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールの下方に配置された散気装置と、前記中空糸膜モジュールに酸素濃度を高めた高酸素濃度気体を供給するとともに、前記散気装置に窒素濃度を高めた高窒素濃度気体を供給する気体濃縮装置と、前記気体濃縮装置に空気を供給する気体供給装置とを備える廃水処理装置。
[2] 前記高窒素濃度気体の酸素濃度が20体積%以下である、[1]に記載の廃水処理装置。
[3] 前記散気装置が、前記高窒素濃度気体を間欠曝気する特徴を有する、[1]又は[2]に記載の廃水処理装置。
[4] 前記中空糸膜は、多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の廃水処理装置。
[5] 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が前記多孔質層の間に配置されている、[4]に記載の廃水処理装置。
[6] 前記多孔質層がポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなる、[4]又は[5]に記載の廃水処理装置。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、
前記気体濃縮装置によって、空気から、前記空気よりも酸素濃度が高い高酸素濃度気体及び前記空気よりも窒素濃度が高い高窒素濃度気体を生成し、
前記中空糸膜モジュールに前記高酸素濃度気体を供給するとともに、前記散気装置に前記高窒素濃度気体を供給する、廃水処理方法。
本発明によれは、低コストで高圧ガス容器の管理が必要ない、中空糸膜表面に形成される微生物層の酸素濃度勾配が改善された廃水処理装置及び廃水処理方法を提供できる。
図1は、本発明の廃水処理装置を模式的に説明する図である。 図2は、本発明の廃水処理装置の変形例を模式的に説明する図である。 図3は、本発明に係る中空糸膜の一例を模式的に説明する図であり、中空糸膜の複層構造を示す部分斜視図である。 図4は、本発明に係る中空糸膜の一例を模式的に説明する図であり、中空糸膜に備えられる多孔質層の表面に微生物層が形成された状態を示す部分斜視図である。 図5は、本発明に係る中空糸膜の一例を模式的に説明する図であり、微生物層における好気処理領域及び嫌気処理領域を示す概略図である。
「〜」を用いて表される数値範囲には、その両端の数値を含む。
「高酸素濃度気体」は、「空気」よりも酸素濃度(体積百分率)が高い気体を意味する。
「高窒素濃度気体」は、「空気」よりも窒素濃度(体積百分率)が高い気体を意味する。
「低酸素濃度気体」は、「高酸素濃度気体」よりも酸素濃度(体積百分率)が低い気体を意味する。
「硝化細菌(硝化菌とも言う)」は、アンモニア(アンモニウムイオン)を、亜硝酸イオンを経て硝酸イオンに酸化する細菌の総称である。通常、硝化には、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌の2種類の独立栄養硝化細菌、さらには従属栄養硝化細菌が関与する。独立栄養硝化細菌の場合、アンモニア酸化細菌と亜硝酸酸化細菌の2種類の細菌によりアンモニア(アンモニウムイオン)が硝酸に酸化されるが、従属栄養硝化細菌の場合、1種類の細菌がアンモニア(アンモニウムイオン)を硝酸に酸化する。硝化細菌では、呼吸気質としてアンモニア(アンモニウムイオン)又は硝酸イオンを用い、最終電子受容体として酸素が用いられる。
「脱窒細菌(脱膣菌とも言う)」は、嫌気条件で硝酸イオン、亜硝酸イオンを異化的に還元し、最終的に亜酸化窒素ガスや窒素ガスを生成する細菌の総称である。脱窒は、硝酸呼吸に亜硝酸呼吸、一酸化窒素呼吸、亜酸化窒素呼吸が加わった連続した反応といえ、NO→NO→NO→NO→Nの順に進み、それぞれの中間体が嫌気呼吸の最終電子受容体となり、それぞれの呼吸電子伝達系でATPが生成される。亜酸化窒素呼吸系が欠失している場合には、窒素ガスまで還元が進まず、亜酸化窒素ガスが放出される。
以下、本発明に係る廃水処理装置及び廃水処理方法の一実施形態を挙げ、図1〜*を適宜参照しながら詳述する。
[廃水処理装置]
本実施形態の廃水処理装置は、中空糸膜モジュールと、散気装置と、気体濃縮装置と、気体供給装置と、を備える。
<中空糸膜モジュール>
中空糸膜モジュールは、廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される中空糸膜を含む。
図1に示す中空糸膜モジュール10は、ハウジング12(上部ハウジング12A及び下部ハウジング12B)、複数の中空糸膜1をシート状とした中空糸膜シート状物11から概略構成されている。
(中空糸膜)
まず、中空糸膜1について説明する。
図3及び図4に示すように、中空糸膜1は、廃水処理中において、廃水中の微生物に由来する微生物層6が表面に形成されるものである。
図示例の中空糸膜1は、2層の第1多孔質層2及び第2多孔質層4と1層の非多孔質層3を含む複層構造とされているとともに、最外層に第2多孔質層4が配置されている。図示例においては、2層の多孔質層(第1多孔質層2及び第2多孔質層4)の間に非多孔質層3が配置された3層構造とされている。以下の明細書において、最内層に配置された多孔質層を「第1多孔質層2」ともいい、最外層に配置された多孔質層を「第2多孔質層4」という。図示例において、微生物層6は、中空糸膜1の表面、すなわち、第2多孔質層4の表面(非多孔質層3と接する側とは反対側の面)4aに形成される。
また、図示例の中空糸膜1は、最内層である第1多孔質層2の内面(非多孔質層3と接する側とは反対側の面)2b側が中空部5とされている。この中空部5に酸素を含む気体を供給することで、内面2b側から外層側の第2多孔質層4の表面4aに向けて酸素を透過させることが可能に構成されている。
中空糸膜1において、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の2層の多孔質層は、非多孔質層3を介して同心円状に配置されている。また、図示を省略するが、第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、それぞれ、複数の細孔を有する膜から構成されており、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の全周にわたって細孔が形成されている。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される細孔とは、少なくとも内表面側から外表面までの連通孔を意味する。例えば、図5に示すように、第1多孔質層2においては、内面2b側から外面(非多孔質層3と接する側の面)2a側までの連通孔を意味し、第2多孔質層4においては、内面(非多孔質層3と接する側の面)4b側から表面4a側までの連通孔を意味する。
また、本実施形態で説明する「細孔」とは、三次元的な構造を形成している膜基材の隙間の空間を表し、内面側から表面(外面)側に向けて酸素が透過する際の、酸素の通り道となる部分を意味する。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、例えば、溶融延伸法により形成される。溶融延伸法とは、まず、多孔質層の材料となる樹脂を融点以上の流動状態に加熱し、これを筒状に吐出する。次いで、吐出された流動状態にある樹脂を冷却することで非流動状態にし、形状を固定する。その後、形状が固定された樹脂に対して最適条件で延伸加工を施すことで、多孔質構造が形成される。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなることが、酸素透過性をより高める観点から好ましい。多孔質層が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、上記のような多孔質構造に制御しながら形成することが可能になり、酸素透過性がより高められるとともに、耐酸化劣化性、耐薬品性、耐熱性及び機械的耐久性を付与できる。また、製膜原液を調整する際の溶剤への溶解性も良好となる。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、同じ材料からなるものでもよいし、異なる材料からなるものでもよい。特に、第1多孔質層2及び第2多孔質層4は、それぞれポリオレフィン系樹脂を含む材料からなることが好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4の各膜厚は、多孔質層全体の合計膜厚、すなわち、図示例における第1多孔質層2と第2多孔質層4との合計の平均膜厚Dpが10〜100μmとなるような膜厚であることが好ましい。各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが10μm以上であれば、中空糸膜1全体における十分な機械的強度の確保に寄与できる。一方、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpが100μm以下であれば、必要以上に膜の外径が大きくなることがないので、中空糸膜1をモジュール化する際の膜の充填量が小さくなるのを防止できる。また、上記の観点からは、各多孔質層の合計の平均膜厚Dpは、15〜90μmがより好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4の平均膜厚は、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して多孔質層の膜厚を複数箇所(5箇所)で測定し、その平均値を求めたものである。
中空糸膜1においては、後述の微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されている。このように、微生物層6を除いた最外層に多孔質層が配置されることで、十分な酸素透過性を確保することができるとともに、表面に微生物が付着しやすくなる効果が得られる。図示例においては、第2多孔質層4が最外層とされ、その表面4aに後述の微生物層6が形成される。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される複数の細孔の平均細孔径は、それぞれ0.01〜5μmが好ましい。第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径が0.01μm以上であれば、酸素透過に対して影響のある抵抗とはなりにくい。また、第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径が5μm以下であれば、十分な膜強度が得られる。また、上記の観点からは、第1多孔質層2及び第2多孔質層4における細孔の平均細孔径は、それぞれ0.03〜4μmがより好ましく、0.05〜3μmがさらに好ましい。
第1多孔質層2及び第2多孔質層4に形成される複数の細孔の平均細孔径は、SEMを用いて多孔質層の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定して、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
中空糸膜1において、非多孔質層3は、第1多孔質層2と第2多孔質層4との間に単層で設けられている。非多孔質層3は、多孔質層が複数設けられ、前記複数の多孔質層の間に配置されていてもよい。
非多孔質層3は、例えば、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなることがより好ましい。非多孔質層3が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、十分な酸素透過性を確保しながら、中空糸膜1全体の機械的強度をより高めることが可能になる。
非多孔質層3の平均膜厚は、0.3〜10μmが好ましい。非多孔質層3の平均膜厚が0.3μm以上であれば、製造時に欠陥が発生することなく、安定的に生産することが可能になる。また、非多孔質層3の平均膜厚が10μm以下であれば、実使用において影響があるような酸素透過性の低下を抑制できる。また、上記の観点から、非多孔質層3の平均膜厚は、0.5〜8μmがより好ましく、1〜6μmがさらに好ましい。
非多孔質層3の平均膜厚は、中空糸膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、この画像を解析して非多孔質層3の膜厚を複数箇所(5箇所以上)で測定し、その平均値を求めたものである。
微生物層6は、例えば、中空糸膜1を後述する中空糸膜モジュールとして廃水処理に使用する際に、別の廃水処理場等で既に使用している活性汚泥を種として微生物を増殖処理し、所定濃度としたものに中空糸膜モジュールを浸漬させることで、微生物に由来して、中空糸膜1の表面(第2多孔質層4の表面4a)に形成されるものである。
上記の活性汚泥は、廃水の種類によって様々な成分構成及び成分割合が存在するが、廃水中に含まれるBOD(有機物)成分及び栄養分(窒素、りん等)を食物とし、増殖を行ったものを用いることができる。そして、これに含まれる微生物や菌に由来する層として、第2多孔質層4の表面4aに微生物層6が形成される。
図5は、微生物層6における好気処理領域及び嫌気処理領域を模式的に示す概略図である(図4も参照)。図5に示すように、中空糸膜1は、上記の微生物層6が形成されることで、中空糸膜1の中空部5から第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4を順に透過した酸素が微生物層6内で溶解拡散し、微生物層6の膜厚方向において酸素濃度勾配が形成され、内層側においては酸素に富んだ好気状態となる一方、外層側は酸素が減少した嫌気状態となる。これにより、微生物層6は、内層側に好気処理領域6Aが形成され、外層側に嫌気処理領域6Bが形成された状態となる。
そして、好気処理領域6Aにおいては、好気処理(BOD酸化)によって廃水中に含まれるアンモニアの酸化が進行し、硝酸化される。さらに、嫌気処理領域6Bにおいては、嫌気処理(BOD酸化)によって、好気処理領域6Aで生じた硝酸が、嫌気バクテリアによって窒素として処理され、脱窒される。これにより、好気処理及び嫌気処理の両方をワンプロセスで行うことができるので、従来、好気処理と嫌気処理とを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、省スペースの設備が実現できるとともに、処理効率も向上する。
なお、微生物層6の膜厚としては特に限定されず、所定以上の厚み、又は所定の処理時間に達したところで空気によるバブリング洗浄等の操作を行い、最適な好気処理及び嫌気処理を行うことが可能な膜厚に調整すればよい。
中空糸膜1の外形状としては特に限定されず、例えば、略円筒状に構成し、上記のように、細孔を有する第2多孔質層4が最外層に配置され、この第2多孔質層4を覆うように微生物層6が形成されるように構成することができる。ここで、中空糸膜1の外形状とは、微生物層6を除いた状態での外形状、及び、第2多孔質層4の表面に微生物層6が形成された状態での外形状の両方を含む。
なお、本実施形態で説明する「略円筒状」とは、長手方向に垂直な任意の断面の形状が、例えば、真円形、卵形、長円形、楕円形等のオーバル形である立体形状を意味する。
なお、図3〜5に示すように、第1多孔質層2と第2多孔質層4との間に非多孔質層3が配置されている場合、これらの界面においては、第1多孔質層2及び第2多孔質層4からなる領域と、非多孔質層3からなる領域とが、互いに若干入り込んでいても構わない。
中空糸膜1の外径は特に限定されないが、微生物層6を除く平均外径Dで0.01〜3.0mmが好ましい。中空糸膜1の平均外径Dが3.0mm以下であることで、膜モジュール化する際に膜の充填量が小さくなるのを防止できる。また、中空糸膜1の平均外径Dが0.01mm以上であることで、中空部5の内径を十分に確保できるので、中空部5を流れる酸素の流量が圧力損失等によって低下する影響を軽減できる。また、中空糸膜1の平均外径Dは、第2多孔質層4の表面4aに形成される微生物層6が剥がれ落ちない程度の表面積を確保できる寸法であることがより好ましい。
なお、「中空糸膜の平均外径D」とは、微生物層6が形成される前の中空糸膜1を長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁を内接する最少の円の直径を意味する。また、この中空糸膜1の平均外径Dは、上記の切断面における任意の3箇所以上、10箇所以下測定し、その平均値として求めることができる。
中空糸膜1は、例えば、紡糸工程と延伸工程により製造できる。紡糸工程と延伸工程との間に、アニール工程を行うことが好ましい。
図示例のように、1層の非多孔質層3を2層の第1多孔質層2及び第2多孔質層4で挟みこんだ3層構造である中空糸膜1を製造する場合、最内層ノズル部、中間層ノズル部、最外層ノズル部が同心円状に配された複合ノズル口金を用い、紡糸工程を行う。具体的には、最内層ノズル部には、第1多孔質層2を形成する材料を溶融状態で供給する。中間層ノズル部には、非多孔質層3を形成する材料を溶融状態で供給する。最外層ノズル部には、第2多孔質層4を形成する材料を溶融状態で供給する。ついで、各材料を各ノズル部から押し出し、巻き取る。
各材料押し出す際の吐出温度は、各材料がそれぞれ十分に溶融し、紡糸可能な温度であればよい。
押出速度と巻取速度を適宜調節しつつ、未延伸状態で冷却固化することにより、中空糸膜前駆体が得られる。中空糸膜前駆体は、1層の未延伸の非多孔質層前駆体が、非多孔質状態である2層の多孔質層前駆体で挟まれた3層構造を有する。
紡糸工程で得られた中空糸膜前駆体は、延伸工程の前に各材料の融点以下で、定長熱処理(アニール処理)することが好ましい。定長熱処理は、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料としてポリエチレンを用いた場合には、105℃以上130℃以下で、8〜16時間行うことが好ましい。定長熱処理の温度が105℃以上であれば、品質の良好な中空糸膜1が得られやすい。定長熱処理の温度が130℃以下であれば、十分な伸度が得られやすく、延伸時の安定性が向上し、高倍率での延伸が容易になる。また、処理時聞が8時間以上であれば、品質の良好な中空糸膜1が得られやすい。
延伸工程では、紡糸工程で得られた中空糸膜前駆体又はアニール処理された中空糸膜前駆体を、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のビカット軟化点以下の延伸温度Tで延伸することが好ましい。延伸温度Tが第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のビカット軟化点以下であれば、中空糸膜1の孔径を拡大できる。延伸温度Tがビカット軟化点を超えると、結晶ラメラ構造が崩れやすくなり、逆に一旦開孔された多孔質部が閉塞する場合がある。
延伸工程では、必要に応じて上述のアニール工程を行った後、延伸温度Tで行う延伸(熱延伸)の前に、冷延伸を行うことが好ましい。具体的には、冷延伸に引き続いて熱延伸を行う二段延伸、又は、冷延伸に引き続いて熱延伸を二段以上の多段に分割して行う多段延伸が好ましい。
冷延伸は、比較的低い温度下で膜の構造破壊を起きせ、ミクロなクラッキングを発生させる延伸である。冷延伸の温度は、0℃から、ビカット軟化点−20(℃)よりも低い温度までの範囲内が好ましい。
延伸倍率は、非多孔質層3を形成する材料や、第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料に応じて適宜設定できるが、未延伸の中空糸膜前駆体に対する最終的な倍率(総延伸倍率)を2倍以上5倍以下とすることが好ましい。総延伸倍率が2倍以上であれば、第1多孔質層2及び第2多孔質層4の空孔率が高くなりやすく、優れた酸素透過性が得られやすい。総延伸倍率が5倍以下であれば、中空糸膜1の破断伸度が高くなりやすい。
延伸後の中空糸膜1に対しては、中空糸膜の寸法安定性を向上させるため、中空糸膜1を定長の状態、又は、定長に対して70%以下の範囲内で少し弛緩させた状態で、緩和熱セットを行うことが好ましい。緩和熱セットを効果的に行うためには、緩和熱セット温度は、延伸温度T以上が好ましい。また、緩和熱セット温度は、非多孔質層3を形成する材料及び第1多孔質層2及び第2多孔質層4を形成する材料のいずれか低い方の融点以下が好ましい。
中空糸膜1は第1多孔質層2及び第2多孔質層4及び非多孔質層3を含む複層構造を採用しているので、第1多孔質層2及び第2多孔質層4による高い酸素透過性、及び、非多孔質層3による高い膜強度を両立でき、優れた水処理効率及び機械的特性が得られる。また、廃水処理中に中空糸膜1の表面に微生物層6が形成され、この微生物層6の膜厚方向で酸素が効果的に拡散溶解し、さらに、酸素が豊富な好気処理領域6Aと、酸素が少ない嫌気処理領域6Bとが形成されるので、好気処理と嫌気処理とをワンプロセスで行うことが可能になる。
(モジュール)
次いで、中空糸膜モジュールについて説明する。
図1に示すように、中空糸膜モジュール10は、中空糸膜1が複数束ねられてなる中空糸膜シート状物11と、ハウジング12とからなる中空糸膜エレメントを1つ以上含む。中空糸膜シート状物11は、その両端部が詳細を後述するハウジング12内に挿入されて開口されており、全体として平型のシート状に構成される。
なお、複数の中空糸膜モジュールの集合体を「中空糸膜モジュールユニット」ともいう。
ハウジング12は、中空糸膜シート状物11の両端部が挿入され、固定される略中空状の部材であり、図示例では、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bから構成される。すなわち、上記の中空糸膜シート状物11は、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間でシート状に保持される。
また、図示例では上部ハウジング12Aに酸素供給ライン121が接続され、高酸素濃度気体が上部ハウジング12Aの内部に供給されるように構成されている。
また、図示例では下部ハウジング12Bに排気ライン123が接続され、中空糸膜モジュール10を通過して酸素濃度が低下した気体が、廃水処理装置100の外に排出されるように構成されている。
中空糸膜モジュール10は、気体濃縮装置40から供給される高酸素濃度気体が、ハウジング12を介して複数の中空糸膜1の中空部内に送り込まれ、例えば図4及び図5に示すように、第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4を透過し、さらに微生物層6内を膜厚方向で溶解拡散するように構成される。
なお、図1中では図示を省略しているが、例えば、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間に、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bの両端部同士を接続するように、棒状部材等からなる一対の支柱を設けてもよい。このような一対の支柱を設け、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとが一定の間隔を保持することで、中空糸膜シート状物11の面形態を維持して平型の中空糸膜モジュール10を構成できる。
また、図示例においては、平型のシート状とされた中空糸膜モジュール10を示しているが、これには限定されず、例えば、中空糸膜モジュールを円筒形や角筒形等に構成することも可能である。また、図示例においては、中空糸膜モジュール10を上部ハウジング12Aが上側、下部ハウジング12Bが下側となるように配置した状態(縦置き)を示しているが、これに限定されず、例えば、上部ハウジング12Aが右側、下部ハウジング12Bが左側となるように配置した状態(横置き)としてもよい。
<散気装置>
散気装置は、前記中空糸膜モジュールの下方に配置される。
図1では、散気装置20に窒素供給ライン122が接続され、高窒素濃度気体が散気装置20の内部に供給されるように構成されている。
散気装置20は、気体濃縮装置40から供給される高窒素濃度気体を、被処理水W中に噴出させ、被処理水中の溶存酸素濃度を低下させる。さらに、散気装置20から噴出される高窒素濃度気体の気泡の上昇を利用して、中空糸膜1の表面の微生物層を剥離し、中空糸膜モジュール10の洗浄が行われる。
散気装置20は、例えば、単管式散気装置やサイフォン式散気装置等の公知な散気装置を使用することができる。
前記サイフォン式散気装置としては、例えば、国際公開第2018/155250号に記載されたサイフォン式散気装置、特開2018−202372号公報に記載されたサイフォン式散気装置、特開2019−76857号公報に記載されたサイフォン式散気装置又は特開2016−47532号公報に記載されたサイフォン式散気装置を用いてもよい。
なお、被処理水Wを間欠的に曝気するには、サイフォン式散気装置を用いるほかに、散気装置20に間欠的に高窒素濃度気体を送る方法を採用することができる。この方法を採用する場合において、窒素供給ライン122上にバッファタンクを設け、そのバッファタンクに高窒素濃度気体を一時的に溜めて間欠曝気してもよい。バッファタンクを用いることにより、一時的に気体濃縮装置40の高窒素濃度気体の単位時間当たりの供給能力を超えて高窒素濃度気体を散気装置20に供給することができる。
省エネルギー性や中空糸膜モジュールの洗浄性の観点から、サイフォン式散気装置を用いることが好ましい。
<気体濃縮装置>
気体濃縮装置は、前記中空糸膜モジュールに高酸素濃度気体を供給するとともに、前記散気装置に高窒素濃度気体を供給する。
図1に示す気体濃縮装置40は、気体供給装置50と空気供給ライン120で接続され、中空糸膜モジュール10と酸素供給ライン121で接続され、散気装置20と窒素供給ライン122で接続されている。図1では、気体濃縮装置40は、処理槽110の外部に設置されているが、処理槽110の内部に設置されていてもよい。
気体濃縮装置40は、空気供給ライン120を通じて気体供給装置50から供給される空気から、高酸素濃度気体と、高窒素濃度気体とを製造する空気分離装置である。気体濃縮装置40としては、例えば、膜分離式空気分離装置、深冷式空気分離装置又は吸着式空気分離装置が挙げられる。
前記膜分離式空気分離装置は、酸素ガス及び窒素ガスの高分子膜の透過速度の違いを利用して空気から酸素ガス及び窒素ガスを分離する装置である。高分子膜では酸素ガスの方が窒素ガスよりも膜透過速度が大きいので、前記高分子膜の一次側から高窒素濃度気体を、前記高分子膜の二次側から高酸素濃度気体を、それぞれ得ることができる。
前記高分子膜の材質としては、例えば、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、セロハン及びポリエチレンテレフタレートが挙げられるが、酸素ガス及び窒素ガスの分離効率が優れることから、ポリイミド、ポリスルホン又はポリメチルペンテンが好ましい。
前記高分子膜の構造としては、例えば、中空糸膜、チューブラー膜、スパイラル膜及び平膜が挙げられるが、表面積を大きくすることができ、高い分離効率が得られることから、中空糸膜が好ましい。
前記深冷式空気分離装置は、酸素及び窒素の沸点の違いを利用して空気から酸素ガス及び窒素ガスを分離する装置である。通常、空気を圧縮するとともに、−170〜−190℃に冷却して空気を液化させ、蒸留によって分離することにより、酸素ガス及び窒素ガスを高純度で得ることができる。
前記吸着式空気分離装置は、空気中の酸素ガス又は窒素ガスを吸着する吸着剤を用いる空気分離装置である。酸素濃度が高い気体を得る為には、ゼオライトのような窒素ガスを選択的に吸着する吸着剤を用いて窒素ガスを吸着して、酸素濃度が高い気体を得られる。逆に、窒素濃度が高い気体を得る為には、エージレス(三菱ガス化学社の登録商標)のような酸素ガスを選択的に吸着する吸着剤(脱酸素剤)を用いて酸素ガスを吸着して、窒素濃度が高い気体を得られる。
気体濃縮装置40で得られた高酸素濃度気体は、酸素供給ライン121を通して中空糸膜モジュール10に供給され、中空糸膜1の表面に形成された微生物層に酸素を供給する。気体濃縮装置40で得られた高窒素濃度気体は、窒素供給ライン122を通して散気装置20に供給され、被処理水Wを曝気する。水に対する溶解度は、酸素よりも窒素の方が高いので、高窒素濃度気体で被処理水Wを曝気することにより、被処理水W中の溶存酸素濃度を低下させることができる。
<気体供給装置>
気体供給装置50は、空気供給ライン120を通して気体濃縮装置40に空気を供給する装置である。気体供給装置50は、送気ユニットとして、例えば、ブロワを備える。
<処理槽>
図1に示す処理槽110は、被処理水Wを収容するものである。処理槽110としては、例えば、金属製の大型容器状とされた処理槽等、従来から当該分野で用いられているものを何ら制限無く採用できる。また、図1においては詳細な図示を省略しているが、処理槽110には、被処理水である廃水を内部に収容するための廃水導入管と、処理が完了した処理水を槽外に排出するための排出管が接続される。
処理槽110内には中空糸膜モジュール10及び散気装置20が収容される。
中空糸膜モジュール10は、被処理水Wに浸漬するように配置される。また、上述したように、中空糸膜モジュール10の上部ハウジング12Aには、酸素供給ライン121が接続され、気体濃縮装置40からの高酸素濃度気体が供給される。
散気装置20は、被処理水W中、中空糸膜モジュール10の下方に配置される。また、上述したように、散気装置20には、窒素供給ライン122が接続され、気体濃縮装置40からの高窒素濃度気体が供給される。
上記構成により、本実施形態の廃水処理装置100は、処理槽110内の被処理水Wに対し、好気処理及び嫌気処理を同時に進行させ、ワンプロセスで廃水処理を行うことができる。これにより、従来のような好気処理と嫌気処理を別々の処理槽で行っていた場合に比べ、装置が小型化され、省スペース性、低コスト性に優れたものとなる。
なお、処理槽110は、蓋111によって、処理槽110内の被処理水Wと処理槽110外の空気中の酸素との接触を防止することが好ましい。被処理水Wと空気中の酸素との接触を防止することによって、被処理水Wへの空気中の酸素の溶解を抑制できる。
<他の実施形態>
本発明の廃水処理装置は、上述した実施形態に限定されない。例えば、図2に示すように、中空糸膜モジュール10を通過して酸素濃度が低下した気体の一部又は全部を排気回収ライン124を通して窒素供給ライン122に導き、散気装置20に供給するように構成してもよい。排気ライン123と排気回収ライン124との分岐する箇所に三方バルブ131を、窒素供給ライン122と排気回収ライン124との合流する箇所に三方バルブ132を、それぞれ設置して、散気装置20に供給する気体を切り替えられるようにしてもよい。
<作用効果>
本実施形態の廃水処理装置は、気体濃縮装置によって高酸素濃度気体及び高窒素濃度気体を製造し、高酸素濃度気体を中空糸膜モジュールに、高窒素濃度気体を散気装置に、それぞれ供給するので、酸素ボンベ及び窒素ボンベのいずれも必要ない。高圧ガス容器を設置するスペースも必要がない。高圧ガス容器の管理が必要なく、酸素及び窒素のいずれも購入する必要がないので、低コストである。
また、中空糸膜表面に形成される微生物層の嫌気処理領域の酸素濃度をさらに低下させ、微生物層の酸素濃度勾配を改善できる。これにより、微生物層の嫌気処理領域における脱窒が、より効率的に行われるようになる。
さらに、窒素ガスの水に対する溶解度は、酸素ガスの水に対する溶解度よりも高いので、被処理水全体として溶存酸素濃度を低下させ、被処理水の全体的な嫌気的環境を維持することができる。これにより、被処理水中を浮遊するフロックの微生物叢は、嫌気性細菌が優勢となる。一方、中空糸膜の表面に形成される微生物層の中空糸膜の表面に近い部分は酸素濃度が高いため、好気的環境を維持することができる。したがって、被処理水中に嫌気的環境と好気的環境が共存することができ、単一の処理槽で、より効率的に、硝化等の好気処理及び脱窒等の嫌気処理を平行して行うことができる。
[廃水処理方法]
本実施形態の廃水処理方法は、図1に示すような、本実施形態の廃水処理装置を用いて廃水を処理する方法である。
具体的には、本実施形態の廃水処理方法は、まず、処理槽110内に被処理水Wとなる廃水を導入する。この際、処理槽110内に配置された中空糸膜モジュール10が被処理水W中に浸漬されるように、処理槽110内を処理水Wで満たす。
次いで、気体供給装置50から空気供給ライン120を介して気体濃縮装置40に空気を供給する。気体濃縮装置40では、気体供給装置50から供給された空気(概ね、酸素21体積%、窒素79体積%の混合ガス)から、酸素濃度が高く窒素濃度が低い高酸素濃度気体と、窒素濃度が高く酸素濃度が低い高窒素濃度気体を生成する。
気体濃縮装置40から酸素供給ライン121を介して中空糸膜モジュール10に高酸素濃度気体を供給することにより、例えば図4、図5に示すように、中空糸膜1の中空部5から、第1多孔質層2、非多孔質層3及び第2多孔質層4に向けて酸素を透過させる。本実施形態では、このような廃水処理の初期段階において、第2多孔質層4の表面4aに、被処理水W中に存在する微生物を付着させ、これに由来する微生物層6を形成させる。
その後、中空糸膜モジュール10への高酸素濃度気体の供給を継続することにより、微生物層6の膜厚方向における酸素の溶解拡散が進行し、図4に示すような、好気処理領域6A及び嫌気処理領域6Bが形成される。
気体濃縮装置40から中空糸膜モジュール10に供給する高酸素濃度気体の圧力は、特に限定されないが、5〜200kPaが好ましく、10〜100kPaがより好ましく。15〜70kPaがさらに好ましい。
並行して、気体濃縮装置40から窒素供給ライン122を介して散気装置20に高窒素濃度気体を供給し、被処理水Wを高窒素濃度気体で曝気する。高窒素濃度気体の気泡は、中空糸膜1の表面の微生物層6と接触して、嫌気処理領域6Bの酸素濃度をさらに低下させる。これにより、嫌気処理領域6Bは、より嫌気的になる。また、散気装置から発生する気泡により、被処理水Wが撹拌され、被処理水Wが全体的に嫌気性環境となることにより、被処理水W中を浮遊するフロックの微生物叢は、嫌気性細菌が優勢となる。
そして、好気処理領域6Aにおいて、硝化細菌によってアンモニアが酸化され、亜硝酸イオン及び硝酸イオンを生じる(硝化)。また、嫌気処理領域6B及び被処理水W中の嫌気性環境下において、脱窒細菌によって亜硝酸イオン及び硝酸イオンが還元され、窒素ガスを生じる(脱窒)。このように、硝化処理及び脱窒処理の両方をワンプロセスで行うことで、これらを別々の処理槽で行っていた場合に比べ、処理効率が向上する。
次いで、所定の時間で上記の生物処理を行った後、散気装置20を用いたバブリング処理により、中空糸膜1から微生物層6を剥離させる。
その後、図示略の分離膜等による固液分離法を用いることで、微生物層の剥離分を含むスラッジを回収し、廃水処理が完了する。
なお、第1多孔質層2の内面2b側、すなわち中空部5から供給する酸素の圧力は特に限定されないが、200kPa以下の圧力であることが好ましい。気体の圧力が200kPa以下であれば、廃水処理効果に与しない気体の過供給を防止できるとともに、この過供給によって部材が損傷するのを防止できる。なお、上記の気体の圧力下限は、実使用に十分な廃水処理効果が得られる観点から、例えば、5kPa以上とすればよい。
<作用効果>
本実施形態の廃水処理方法は、気体濃縮装置によって高酸素濃度気体及び高窒素濃度気体を製造し、高酸素濃度気体を中空糸膜モジュールに、高窒素濃度気体を散気装置に、それぞれ供給するので、酸素ボンベ及び窒素ボンベのいずれも必要ない。高圧ガス容器を設置するスペースも必要がない。高圧ガス容器の管理が必要なく、酸素及び窒素のいずれも購入する必要がないので、低コストである。
また、中空糸膜表面に形成される微生物層の嫌気処理領域の酸素濃度をさらに低下させ、微生物層の酸素濃度勾配を改善できる。これにより、微生物層の嫌気処理領域における脱窒が、より効率的に行われるようになる。
さらに、窒素ガスの水に対する溶解度は、酸素ガスの水に対する溶解度よりも高いので、被処理水全体として溶存酸素濃度を低下させ、被処理水の全体的な嫌気的環境を維持することができる。これにより、被処理水中を浮遊するフロックの微生物叢は、嫌気性細菌が優勢となる。一方、中空糸膜の表面に形成される微生物層の中空糸膜の表面に近い部分は酸素濃度が高いため、好気的環境を維持することができる。したがって、被処理水中に嫌気的環境と好気的環境が共存することができ、単一の処理槽で、より効率的に、硝化等の好気処理及び脱窒等の嫌気処理を平行して行うことができる。
本発明の廃水処理装置及び廃水処理方法は、水処理効率に優れるとともに、小型化及び省エネルギー化が可能であるため、例えば、生活廃水及び工業廃水のいずれの処理にも適している。
1 中空糸膜
2 第1多孔質層
2a 外面
2b 内面
3 非多孔質層
4 第2多孔質層
4a 表面
4b 内面
5 中空部
6 微生物層
6A 好気処理領域
6B 嫌気処理領域
10 中空糸膜モジュール
11 中空糸膜シート状物
12 ハウジング
12A 上部ハウジング
12B 下部ハウジング
20 散気装置
40 気体濃縮装置
50 気体供給装置
100 廃水処理装置
110 処理槽
111 蓋
120 空気供給ライン
121 酸素供給ライン
122 窒素供給ライン
123 排気ライン
124 排気回収ライン
131 三方バルブ
132 三方バルブ

Claims (7)

  1. 廃水中の微生物に由来する微生物層が表面に形成される中空糸膜を含む中空糸膜モジュールと、前記中空糸膜モジュールの下方に配置された散気装置と、前記中空糸膜モジュールに酸素濃度を高めた高酸素濃度気体を供給するとともに、前記散気装置に窒素濃度を高めた高窒素濃度気体を供給する気体濃縮装置と、前記気体濃縮装置に空気を供給する気体供給装置とを備える廃水処理装置。
  2. 前記高窒素濃度気体の酸素濃度が20体積%以下である、請求項1に記載の廃水処理装置。
  3. 前記散気装置が、前記高窒素濃度気体を間欠曝気する特徴を有する、請求項1又は2に記載の廃水処理装置。
  4. 前記中空糸膜は、多孔質層及び非多孔質層を含む複層構造とされているとともに、最外層に前記多孔質層が配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の廃水処理装置。
  5. 前記多孔質層が複数設けられ、前記非多孔質層が前記多孔質層の間に配置されている、請求項4に記載の廃水処理装置。
  6. 前記多孔質層がポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む材料からなる、請求項4又は5に記載の廃水処理装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の廃水処理装置を用いて廃水を処理する廃水処理方法であって、
    前記気体濃縮装置によって、空気から、前記空気よりも酸素濃度が高い高酸素濃度気体及び前記空気よりも窒素濃度が高い高窒素濃度気体を生成し、
    前記中空糸膜モジュールに前記高酸素濃度気体を供給するとともに、前記散気装置に前記高窒素濃度気体を供給する、廃水処理方法。
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