JP2024085958A - 液体処理装置及び処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】MABRを用いて廃水等の被処理液の処理装置において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が過剰に付着し過ぎることを抑制し、微生物層の付着量が適正に維持されるようにする。【解決手段】被処理液が供給される処理槽中に、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを含む中空糸膜モジュールを装備して液体理装置を構成する。液体処理膜エレメントを用いてガス透過膜の表面の微生物層の付着状態を観測し、付着量の過多に応じて処理槽内でガスの散気や曝気を行って微生物層の付着量を適正に維持する。【選択図】図2

Description

本発明は、地下水、湖沼水、河川水等の原水や、油分等を含む工業廃水、生活廃水、飲料加工用の原液等の各種の液体(以下、「被処理液」ともいう。)を、用途に適した水質に浄水する液体処理装置と処理方法に関する。
工業廃水や生活廃水は、廃水中に含まれる有機物等を取り除く処理が施されてから、工業用水として再利用されるか、もしくは河川等に放流される。
廃水処理技術は、大きく分けて生物学的処理(細菌等の微生物により汚水中の汚濁物質を分解する方法)と、物理化学的処理(沈殿、ろ過、吸着等の物理化学反応を利用し、凝集や酸化等により汚濁物質を分離する方法)の2種類がある。
中でも、地域環境の保全等の観点から、廃水に含まれる有機物を微生物によって分解させる、微生物を利用した有機性廃水の処理方法が着目されている。
微生物を利用した有機性廃水の処理方法として、被処理水を曝気して好気的な微生物に有機物等を分解させる活性汚泥処理法等が一般的に知られている。
従来の活性汚泥処理法として、好気性微生物を利用する硝化槽と、嫌気性微生物である脱窒細菌を利用する脱窒槽とを設け、硝化槽において曝気により酸素を供給することが行われていた。しかし、この処理方法は、硝化槽と脱窒槽を別々に設置するため設備が大型になるという問題を抱えていた。また、曝気による酸素供給では、気泡サイズを小さくし、気泡の表面積を大きくして接触効率を高めたり、被処理水中の滞留時間を長くしたりしても、酸素利用効率には限界があり、ランニングコストが高いという課題も抱えていた。
そこで、廃水中の微生物等に由来する微生物層(以下、「バイオフィルム」、「BF」ともいう。)をガス透過膜の表面に形成させ、ガス透過膜の内面側から酸素を微生物層に直接供給するバイオリアクター、いわゆるメンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクター(以下、「MABR」という。)を用いた廃水処理が提案されている(特許文献1、2、3参照)。
MABRを用いた廃水処理では、微生物層の膜厚方向に酸素勾配が形成され、微生物層の内層側において好気処理(BOD酸化、アンモニアの硝酸化)が進行するとともに、微生物層の外層側において硝酸の嫌気処理(BOD酸化、脱窒処理)が進行する。このように、好気処理と嫌気処理を同一の処理槽で行えるため、従来の処理法に比べて設備をコンパクト化することができる。また、ガス透過膜の内面側から酸素を供給するため、曝気に比べて酸素利用効率が高く、スラッジの発生も低減できるので、ランニングコストを低減することができる。さらに、微生物層の形成により、中空糸膜の膜表面積を大きく確保できるので、廃水の流入負荷変動に対して安定的に処理を行うことが可能になる。MABRは各種の廃水処理装置等において広く導入検討が進められている。
特開2021-062331号公報 特開2021-133342号公報 特開2021-133349号公報
MABRを用いた廃水処理において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が当該ガス透過膜の表面に過剰に付着し過ぎると、つまり微生物層が過設状態であると、被処理水である廃水に対する前記微生物層の内層側での好気処理及び外層側での嫌気処理が全くなされずに、廃水がいわゆるショートカットして処理槽からそのまま排出され、処理水の品質を悪化させる事態を生じさせる。
微生物層が過設状態となることを防ぐため、処理槽内の前記ガス透過膜の下方に配置された散気装置で定期的に曝気を行って、ガス透過膜表面に形成された微生物層を剥離するようにしているが、この曝気はタイマーを用いて所定の時間が経過した時に行われるものであり、微生物層の付着量とは無関係である。つまり、曝気は微生物層の付着量に対して定量的に行われてはいない。
ガス透過膜層の表面に形成される微生物層は、廃水に含まれる微生物や菌の種類や含有量、処理する廃水の量、水温等の処理条件により、ガス透過膜の表面に付着する速度や量が異なる。前記定期的な曝気によって微生物層が剥離され過ぎて、前記微生物層の内層側での好気処理及び外層側での嫌気処理が適正に行われなくなる事態も生じかねない。ガス透過膜の表面に微生物層が過剰に付着することを抑制するため曝気は必要であるが、微生物層の付着量に応じた定量的なタイミングで曝気を行って、微生物層の付着量が適正に維持されることが肝要である。
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、MABRを用いた被処理液の処理において、ガス透過膜の表面に形成される微生物層が過剰に付着し過ぎることを抑制し、微生物層の付着量が適正に維持されるようにすることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は以下の態様を含む。
〔1〕 浄水用の中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
前記中空糸膜モジュールは浄水処理される被処理液が貯留された処理槽内に浸漬され、
前記中空糸膜モジュールは、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを備える液体処理装置。
〔2〕 前記ガス透過膜エレメントは非多孔質中空糸膜を含む前記〔1〕に記載の液体処理装置。
〔3〕 前記液体処理膜エレメントは多孔質中空糸膜を含む前記〔1〕又は〔2〕に記載の液体処理装置。
〔4〕 前記ガス透過膜エレメントと液体処理膜エレメントが次の式(1)を満たす、前記〔1〕から〔3〕の何れかに記載の液体処理装置。
式(1) a/b>100
但し、aはガス透過膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積、bは液体処理膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積である。
〔5〕 前記ガス透過膜エレメントの表面に微生物層が形成される、前記〔1〕から〔4〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔6〕 前記中空糸膜モジュールが設置された処理槽内に被処理液を供給する被処理液供給手段と、
前記処理槽内の中空糸膜モジュールの下方に設置されていて散気用のガスを処理槽内に送出する散気手段と、
前記処理槽の上部から浄水された処理液を取り出す処理液取出手段と、
ガス透過膜エレメントに酸素を含むガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
液体処理膜エレメントを通して処理槽内の被処理液を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段の吸引圧力を測定する圧力測定手段と、を備える前記〔1〕から〔5〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔7〕 圧力測定手段の測定値に基づいて散気手段で処理槽内の被処理液を曝気せしめる制御手段を備える前記〔1〕から〔6〕の何れかに記載の液体処理装置。
〔8〕 前記〔1〕から〔7〕の何れかに記載の液体処理装置を用いて中空糸膜モジュールの表面に形成される微生物層の付着量を制御する液体処理方法。
なお、前述のとおり、被処理液には、地下水、湖沼水、河川水等の原水や、油分を含む工業廃水、生活廃水、飲料加工用の原液等の各種の液体が含まれる。被処理液はビール原液等でもよい。本発明はこれら各種の液体をその用途に適した水質に浄水する処理に適用される。
本発明は、MABRを用いて被処理液を処理する液体処理装置であり、前記のとおり、被処理水が貯留される処理槽内に中空糸膜モジュールが設置され、この中空糸膜モジュールが酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを備える。液体処理膜エレメントは、被処理水をろ過吸引することでガス透過膜エレメントの表面に形成された微生物層の付着量を観測するために用いられる。つまり、ガス透過膜エレメントに保守用のエレメントが付帯して設けられ、その表面への微生物層の形成と当該微生物層の形成状態の観測が並行して行うことができるように構成されている。
そして、前記液体処理膜エレメントを用いてガス透過膜エレメントの表面の微生物層の付着状態を観測し、付着量が多いことが観測されたときは曝気による剥離処理を行うことで、微生物層が過剰に付着することを抑制することができる。
また、微生物層の付着が不足していることが観測されたときは、処理槽内にガスを散気して被処理液の循環速度を上昇させることで、微生物層の付着を促進させて、ガス透過膜エレメントの表面に形成される微生物層の付着量が適正となるように維持し制御することができる。
本発明の液体処理装置と処理方法によれば、ガス透過膜の表面に形成される微生物層の付着量を適正に維持することができ、これにより、被処理液の適正且つ効率的な処理が可能である。
本発明の液体処理装置を用いた被処理液の処理系統の一例を示した図である。 図1の液体処理装置の概略構成を示した図である。 図2に示された中空糸膜モジュールの概略構成を示した図である。 (A)、(B)は微生物層の剥離処理における処理フローを示した図である。 中空糸膜モジュールの他の形態を示した図である。
以下、本発明の実施形態の一例ついて説明する。実施形態は被処理液が廃水の場合を示しており、以下では、被処理液を廃水又は被処理水ともいい、処理液を処理水ともいう。
なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は本発明の液体処理装置を用いた廃水の処理系統を示している。
液体理装置1は、後述する中空糸膜モジュール10と散気手段20を内部に有する処理槽30を備え、この処理槽30内に、被処理液供給手段2により供給される被処理液である廃水Wが貯留されて、前述のMABRによる廃水処理が行われる。
廃水処理された処理水は、処理槽30の上部から処理液取出手段3により取り出されて沈殿池4に供給され、沈殿池4内で前記処理水に含まれる塵埃等を沈殿させて分離する。沈殿池4内に沈殿した塵埃等を含む処理水は、循環ポンプ5により前記処理槽30内へと戻される。
そして、前記塵埃等が分離された処理水が沈殿池4の上部から取り出されるようになっている。
図2は本発明の一実施形態の液体処理装置の概略構成を示している。
同図に示されるように、本形態の液体処理装置1は、処理槽30内に設置される中空糸膜モジュール10及び散気手段20と、酸素含有ガス供給手段40と、ガス排気手段50と、吸引手段60と、圧力測定手段70と、ガス供給手段80と、制御手段90とを備える。以下、各構成要素について説明する。
(中空糸膜モジュール10)
中空糸膜モジュール10は、二種類の膜エレメントを含む構成となっている。
詳しくは、図3に示されるように、中空糸膜モジュール10は、後述する中空糸膜11Aからなる酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメント12と、後述する中空糸膜11Bからなる液体の流通経路を有する液体処理膜エレメント13により構成されている。
(中空糸膜11A)
中空糸膜11Aは、MABRによる廃水処理に用いる中空糸膜であって前記ガス透過膜エレメント12を構成し、当該中空糸膜の中空部内に酸素含有ガスを供給することで、内面側から表面に向けて酸素含有ガスを透過させる。中空糸膜11Aの表面から処理槽30内に酸素含有ガスが透過することで、廃水処理中、ガス透過膜エレメント12の中空糸膜11Aの表面には廃水W中の微生物や菌に由来する微生物層が形成される。
中空糸膜11Aの形状としては、特に限定されず、例えば略円筒状を例示できる。但し、「略円筒状」とは、長手方向に垂直な任意の断面の形状が、例えば、真円形、卵形、長円形、楕円形等のオーバル形である立体形状であることを意味する。
中空糸膜11Aは、単層膜であってもよく、複層膜であってもよい。
単層膜からなる中空糸膜11Aとしては、非多孔質層を含む中空糸膜を例示できる。
複層膜からなる中空糸膜11Aとしては、例えば2層の多孔質層の間に非多孔質層が配置された3層構造の中空糸膜を例示できる。2層の多孔質層はそれぞれ複数の細孔を有する膜から構成されており、非多孔質層を介して同心状に配置される。細孔とは、少なくとも内面側から表面までの連通孔を意味する。2層の多孔質層と非多孔質層との界面においては、多孔質層からなる領域と、非多孔質層からなる領域とが、互いに若干入り込んでいても構わない。
2層の多孔質層の合計厚さは、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。多孔質層の合計厚さが前記下限値以上であれば、中空糸膜の機械的強度を確保しやすい。多孔質層の合計厚さは、100μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。多孔質層の合計厚さが前記上限値以下であれば、中空糸膜をモジュール化する際の膜の充填量が小さくなることを抑制できる。多孔質層の合計厚さの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~100μmが好ましい。
なお、多孔質層の膜厚は、中空糸膜11Aの任意の5箇所で長手方向に垂直な断面を走査型電子顕微鏡で観察し、この画像を解析して測定した多孔質層の膜厚の平均値を求めたものである。
多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。平均細孔径が前記下限値以上であれば、酸素透過に対して影響のある抵抗とはなりにくい。多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径は、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。平均細孔径が前記上限値以下であれば、十分な膜強度が得られやすい。平均細孔径の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.01~5μmが好ましい。
なお、平均細孔径は、SEMを用いて多孔質層の表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、平均して求めた値である。
多孔質層を構成する材料としては、酸素透過性をより高める点から、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂及びフッ素樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。2層の多孔質層は、同じ材料からなるものでもよく、異なる材料からなるものでもよい。特に、2層の多孔質層がいずれもポリオレフィン樹脂を含む材料からなることが好ましい。
多孔質層は、例えば、溶融延伸法により形成される。溶融延伸法は、まず、多孔質層の材料となる樹脂を融点以上の流動状態に加熱し、これを筒状に吐出する。次いで、吐出された流動状態にある樹脂を冷却することで非流動状態にし、形状を固定する。その後、形状が固定された樹脂に対して最適条件で延伸加工を施すことで、多孔質構造が形成される。
非多孔質層の厚さは、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。非多孔質層の厚さが前記下限値以上であれば、製造時に欠陥が発生しにくく、安定的に生産しやすい。非多孔質層の厚さは、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。非多孔質層の厚さが前記上限値以下であれば、酸素透過性の低下を抑制しやすい。非多孔質層の厚さの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.3~10μmが好ましい。
なお、非多孔質層の厚さは、中空糸膜の任意の5箇所で長手方向に垂直な断面をSEMで観察し、この画像を解析して測定した非多孔質層の膜厚の平均値を求めたものである。
非多孔質層を構成する材料は、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリエチレン樹脂がさらに好ましく、低密度ポリエチレンが特に好ましい。非多孔質層が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、十分な酸素透過性を確保しながら、中空糸膜全体の機械的強度を高めることが可能になる。非多孔質層を構成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
中空糸膜11Aの外径は、1mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましい。中空糸膜1の外径が前記上限値以下であれば、膜モジュール化する際に中空糸膜の充填量が小さくなることを抑制できる。中空糸膜11Aの外径は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。中空糸膜11Aの外径が前記下限値以上であれば、中空部の内径を十分に確保できるため、中空部を流れる酸素の流量が圧力損失等によって低下する影響を軽減できる。中空糸膜の外径の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.05~1mmが好ましい。
なお、中空糸膜11Aの外径は、中空糸膜の長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁に内接する最小の円の直径を意味し、任意の3箇所以上、10箇所以下で測定した平均値として求める。
中空糸膜11Aの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば非多孔質層からなる単層膜である中空糸膜は、複合ノズル口金を用い、押出速度と巻取速度を適宜調節しつつ樹脂を溶融紡糸し、未延伸状態で冷却固化することにより、得ることができる。紡糸によって得た中空糸膜には、定長熱処理(アニール処理)を行ってもよい。定長熱処理は、ポリエチレンを用いた場合には、105~130℃で、8~16時間行うことが好ましい。
多孔質層を含む複層膜からなる中空糸膜を製造する場合には、定長熱処理後に、多孔質層を形成する材料のビカット軟化点以下の延伸温度で延伸する。延伸としては、1段延伸でもよく、冷延伸に引き続いて熱延伸を行う2段延伸、又は、冷延伸に引き続いて熱延伸を2段以上の多段に分割して行う多段延伸を行ってもよい。冷延伸の温度は、0℃から、ビカット軟化点-20(℃)よりも低い温度までの範囲内が好ましい。
延伸倍率は、適宜設定でき、例えば2~5倍とすることができる。
(ガス透過膜エレメント12)
酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメント12は、図3に示されるように、上下のハウジング121,122と、多数の中空糸膜11Aを列設してシート状(面状)とした中空糸膜シート状物123とにより構成されている。
ガス透過膜エレメント12は、処理槽30内において、中空糸膜11Aの長手方向が鉛直方向に沿うように配置されている。これにより、中空糸膜11Aの内部に凝縮水(酸素、空気等に含まれる水分や廃水中の水分が膜の中で水として凝縮したもの)が蓄積されにくくなり、廃水処理能力をより良好に維持できるようになっている。
上下のハウジング121,122は、前記中空糸膜シート状物123の上下端部を保持する中空状の部材であり、通気管でもある。
中空糸膜シート状物123は、その上端部が上部ハウジング121内に挿入され、且つ当該上端部の開口した上端面をハウジング内に臨ませて上部ハウジング121に固定され、その下端部が下部ハウジング122内に挿入され、且つ当該下端部の開口した下端面をハウジング内に臨ませて下部ハウジング122に固定されている。
上下のハウジング121,122間で中空糸膜シート状物123はシート状に保持され、次に述べるように、その内部に酸素含有ガスが送気される。
ガス透過膜エレメント12の上部ハウジング121には、一端が酸素含有ガス供給手段40に接続したガス供給管が接続され、下部ハウジング122には一端がガス吸気手段50に接続したガス排気管が接続されている。
酸素含有ガス供給手段40から上部ハウジング121内に供給された酸素含有ガスは、中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11Aの中空部内に送り込まれ、その一部が各中空糸膜11Aの内面側から表面側へと透過し、残りがガス排気手段50により液体処理装置1の外部に排気されるようになっている。なお、酸素含有ガス供給手段40から供給される酸素含有ガスとしては空気が挙げられるが、中空糸膜11Aの表面における微生物の好気処理を促進する観点から酸素含有濃度が高いガスを用いることが好ましい。
酸素含有ガス供給手段40とガス排気手段50の動作は制御手段90により制御され、中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11A内に所定量の酸素含有ガスが所定速度で供給される。
(中空糸膜11B)
中空糸膜11Bは、前記液体処理膜エレメント13の液体流通路を構成しており、廃水吸引手段60により中空糸膜11Bの表面に接する廃水を吸引し、当該中空糸膜11Bの中空部内にろ過吸引する。
中空糸膜11Bとしては、例えば、特許第05473215号、特許第06184049号、特許第05983981号、国際公開WO18/181365号、WO19/059397号に記載された中空糸膜を用いることができる。
中空糸膜11Bの形状としては、特に限定されず、例えば略円筒状を例示できる。但し、「略円筒状」とは、長手方向に垂直な任意の断面の形状が、例えば、真円形、卵形、長円形、楕円形等のオーバル形である立体形状であることを意味する。
中空糸膜11Bは、単層膜であってもよく、複層膜であってもよい。
単層膜からなる中空糸膜11Bとしては、多孔質層を含む中空糸膜を例示できる。
複層膜からなる中空糸膜11Bとしては、例えば2層の多孔質層の間に網紐支持体が配置された多孔質構造の中空糸膜を例示できる。
2層の多孔質層の合計厚さは、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。多孔質層の合計厚さが前記下限値以上であれば、中空糸膜11Bの機械的強度を確保しやすい。多孔質層の合計厚さは、100μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。多孔質層の合計厚さが前記上限値以下であれば、中空糸膜11Bをモジュール化する際の膜の充填量が小さくなることを抑制できる。多孔質層の合計厚さの下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~100μmが好ましい。
なお、多孔質層の膜厚は、中空糸膜11Bの任意の5箇所で長手方向に垂直な断面を走査型電子顕微鏡で観察し、この画像を解析して測定した多孔質層の膜厚の平均値を求めたものである。
多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。多孔質層に形成される複数の細孔の平均細孔径は、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。平均細孔径が前記上限値以下であれば、十分な膜強度が得られやすい。平均細孔径の下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば0.01~5μmが好ましい。
なお、平均細孔径は、SEMを用いて多孔質層の表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定し、平均して求めた値である。
多孔質層を構成する材料は、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリフッ化ビニリデン樹脂がさらに好ましい。多孔質層が上記の樹脂の1つ以上を含む材料からなることで、十分な水透過性を確保しながら、中空糸膜全体の機械的強度を高めることが可能になる。多孔質層を構成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
中空糸膜11Bの外径は、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましい。中空糸膜11Bの外径が前記上限値以下であれば、膜モジュール化する際に中空糸膜の充填量が小さくなることを抑制できる。中空糸膜1の外径は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。中空糸膜11Bの外径が前記下限値以上であれば、製膜時に糸切れが発生しにくい傾向にある。中空糸膜11Bの外径が前記上限値以下であれば、中空形状を保ちやすく、特に外圧がかかっても扁平化しにくい傾向にある。中空糸膜11Bの外径の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
なお、中空糸膜11Bの外径は、中空糸膜の長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁に内接する最小の円の直径を意味し、任意の3箇所以上、10箇所以下で測定した平均値として求める。
中空糸膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
(液体処理膜エレメント13)
液体の流通経路を有する膜エレメント13は、図3に示されるように、左右のハウジング131,132と、左右のハウジング131,132間に配置された複数の中空糸膜11Bにより構成されている。
左右のハウジング131,132は中空状の部材であり、前記ガス透過膜エレメント12の上下のハウジング121,122の両端部間に架設されている。ハウジング131,132は、前記ハウジング121,122には貫通接続しておらず、複数の中空糸膜11Bから吸引された廃水の集水管でもある。
複数の中空糸膜11Bは、左右のハウジング131,132の長手方向(上下方向)に沿って所定の間隔を開けて配置され、且つ各々両端部が左右のハウジング131,132内にそれぞれ挿入し、且つ当該両端部の開口した端面を両ハウジング内にそれぞれ臨ませて、左右の上下のハウジング131,132に接続されている。
左右のハウジング131,132で両端部が保持された前記複数の中空糸膜11Bは、前記ガス透過膜エレメント12の中空糸膜シート状物123の表面に沿って配置されている。
液体処理膜エレメント13の右側ハウジング132には、一端が圧力測定手段70を介してポンプからなる吸引手段60に接続された廃水流通管が接続され、前記吸引手段60を駆動することにより、処理槽30内で中空糸膜11Bの表面に接する廃水を当該膜内に吸引せしめ、吸引した廃水を左右のハウジング131,132内を通して処理槽30の外側に取り出せるようになっている。処理槽30の外側に取り出された廃水は、前記吸引手段60の出力側を通って処理槽30内に戻される。吸引手段60の動作は制御手段90により制御される。
後述するように、液体処理膜エレメント13の複数の中空糸膜11Bは、ガス透過膜エレメント12の中空糸膜シート状物123の表面に配置され、前記廃水を中空糸膜11B内に吸引する際に中空糸膜シート状物123の表面に形成された微生物層をろ過して吸引するため、前記シート状物123への微生物層の付着量によって、廃水の吸引効率が異なってくる。前記圧力測定手段70は、吸引手段60を所定の出力で駆動して廃水を吸引し、所定の量の廃水の吸引に要した時間から、又は所定の時間内で吸引された廃水の流量から、或いは所定の流量の廃水の吸引に要した吸引手段60の出力値(駆動値)から、所定量の廃水の吸引に要する圧力を検出し測定するようになっている。圧力測定手段70で測定された圧力値は制御手段90に出力される。
(散気手段20)
散気手段20は、処理槽30内の前記中空糸膜モジュール10の下方に配置されている。
散気手段20は、一端が窒素含有ガス等の散気用のガスを送出するガス供給手段80に接続したガス供給管の他端が接続され、ガス供給手段80から供給されるガスを処理槽30内に貯留された廃水W中に噴出させて被処理水中の溶存酸素濃度を低下させ、また、後述する制御手段90の制御信号を受けて、ガス供給手段80から供給されるガスで処理槽30内の廃水Wを曝気し、ガスの気泡の上昇を利用して前記中空糸膜シート状物123の表面に形成された微生物層を剥離せしめ、中空糸膜モジュール10の洗浄を行うように機能する。
散気手段20とガス供給手段80の動作は制御手段90により制御される。なお、ガス供給手段80から供給されるガスとしては窒素を含有する空気が挙げられるが、中空糸膜モジュール10の表面に形成された微生物層の外層側の嫌気処理領域がより嫌気的になりやすい観点から、窒素含有濃度が高いガスを用いることが好ましい。
散気手段20は、例えば、単管式散気装置やサイフォン式散気装置等の公知の散気装置を使用することができる。
前記サイフォン式散気装置としては、例えば、国際公開第2018/155250号に記載されたサイフォン式散気装置、特開2018-202372号公報に記載されたサイフォン式散気装置、特開2019-76857号公報に記載されたサイフォン式散気装置又は特開2016-47532号公報に記載されたサイフォン式散気装置を用いてもよい。
なお、後述するように制御手段90で曝気のタイミングを制御する他に、サイフォン式散気装置を用いて間欠的に曝気したり、散気手段に間欠的に高窒素濃度気体を送る方法を採用したりすることができる。この方法を採用する場合において、前記ガス供給管上にバッファタンクを設け、そのバッファタンクに高濃度の窒素含有ガスを一時的に溜めて間欠曝気してもよい。省エネルギー性や中空糸膜モジュール10の洗浄性の観点から、サイフォン式散気装置を用いることが好ましい。
(制御手段90)
制御手段90は、前述のとおり、前記酸素含有ガス供給手段40とガス排気手段50の動作を制御し、前記中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11A内に所定量の酸素含有ガスを所定速度で流通せしめ、また、散気手段20とガス供給手段80の動作を制御し、処理槽30内に貯留された廃水W中に所定量の散気用のガスを所定速度で噴出せしめるようになっている。
また、制御手段90は、前記圧力測定手段70の出力信号を受けて、前記散気手段20による曝気のタイミングの要否を判定し、曝気のタイミングであると判定したときに、散気手段20とガス供給手段80を駆動して廃水W中を曝気して、後述する微生物層の剥離処理を実施せしめるようになっている。
以下、このように構成された本形態の液体処理装置による廃水処理と微生物層の剥離処理について説明する。
(廃水処理)
廃水Wの廃水処理は、処理槽30内に廃水Wを貯留し、中空糸膜モジュール10と散気手段20が廃水W中に浸漬された状態で、酸素含有ガス供給手段40及びガス排気手段50を駆動して中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11Aの中空部内に酸素含有ガスを送り込み、中空糸膜11Aの内部から表面へと酸素を透過させて、廃水W中に存在する微生物や菌が各中空糸膜11Aの表面に付着し、微生物又は菌に由来する微生物層を形成せしめることにより行われる。微生物層は、中空糸膜シート状物123を保持するガス透過膜エレメント12と、複数の中空糸膜11Bを保持する液体処理膜エレメント13の全体に付着する。
この場合に、別の廃水処理場等で既に使用している活性汚泥を種として微生物又は菌を増殖処理し、所定濃度としたものに中空糸膜モジュール10を浸漬させることで、予め中空糸膜11Aの表面に微生物又は菌に由来する微生物層を形成させておいてもよい。活性汚泥は、廃水の種類によって様々な成分構成及び割合が存在するが、廃水中に含まれるBOD(有機物)成分や栄養分(窒素、りん等)を食物とし、増殖を行ったものを用いることができる。
中空糸膜モジュール10への酸素含有ガスの供給を継続することにより、各中空糸膜11Aの中空部から表面側へと透過した酸素は微生物層内で溶解拡散し、微生物層の膜厚方向において酸素勾配(濃度)が形成される。そして、微生物層の内層側が酸素に富んだ好気状態となる一方、外層側は酸素が減少した嫌気状態となる。これにより、微生物層には、内層側に好気処理領域が形成され、外層側に嫌気処理領域が形成された状態となる。
好気処理領域では、好気処理(BOD酸化)によって廃水中に含まれるアンモニアの酸化が進行し、硝酸化される。嫌気処理領域では、好気処理領域で生じた硝酸が嫌気処理(BOD酸化)によって窒素として処理され、脱窒される。このように、好気処理及び嫌気処理の両方が処理槽30内においてワンプロセスで行われる。
さらに、散気手段20からガスを散気することにより、処理槽30内に廃水Wの上昇流を発生させて処理槽30中の廃水Wを循環させることで、処理槽30に導入された廃水WがショートカットしにくくなってMABRによる廃水処理能力が向上する。
(微生物層の剥離処理)
前記廃水処理により、中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11Aの表面には微生物層が形成されるが、微生物層が過剰に付着すると廃水処理効率の低下を招く。この微生物層の過剰な付着を抑制するため、散気手段20で処理槽30内の廃水Wを曝気して中空糸膜シート状物123の各中空糸膜11A表面の微生物層を剥離するが、本形態では、前記圧力測定手段70の出力信号を受けて、曝気のタイミングの要否を判定して、曝気が必要と判定したときに曝気を行うようになっている。
図4(A)は曝気を行うタイミングを検出する処理フローの一例を示している。
先ず、ステップS1で、制御手段90で吸引手段60を駆動せしめ、液体処理膜エレメント13の複数の中空糸膜11Bで廃水Wを吸引する処理を開始する。廃水Wの吸引と同時に、圧力測定手段70で所定量の廃水を吸引するのに必要な圧力の測定を開始する。
前記液体処理膜エレメント13の複数の中空糸膜11Bは、中空糸膜シート状物123の表面に配置されており、廃水Wを中空糸膜11B内に吸引する際に中空糸膜シート状物123の表面に形成された微生物層をろ過して吸引するため、前記シート状物123への微生物層の付着量によって、所定量の廃水の吸引に要する圧力が異なってくる。
ここで、制御手段90には、予め、中空糸膜シート状物123に形成された微生物量の付着量が過不足なく、廃水処理が適正且つ効率的に行われる状態で廃水Wを吸引したときに圧力測定手段70で測定されるであろう圧力値(適正圧力値)を設定しておく。
ステップS2で、制御手段90において前記圧力測定手段70で測定された圧力値と前記予め設定された適正圧力値とを比較し、前者の値が大きかったときは前記中空糸膜シート状物123の表面への微生物層の付着が過剰になっていると判定してステップS3に移行し、散気手段20及びガス供給手段80を駆動して廃水Wの曝気を行い、中空糸膜シート状物123の表面の微生物層の剥離処理を実施する。曝気による微生物層の剥離処理は、前記圧力測定手段70で測定された圧力値が適正圧力値よりも小さくなるまで行われる。
ステップS2の圧力値の比較で適正圧力値の方が大きいときには、微生物層の付着量が過剰ではなく、曝気を行うタイミングではないと判定し、前記吸引手段60による廃水Wの吸引を停止し、上記の曝気を行う処理フローを終了する。
以上の処理フローは、タイマーを用いて所定の時間間隔で行われるように設定することができる。微生物層の付着量に基づいて定量的に、曝気が必要なタイミングを特定して曝気を行うことで、定期的に曝気を行う場合と比較して、中空糸膜モジュール10のメンテナンスに要するコストを抑制することが可能である。
また、図4(B)は、前記廃水処理と並行して、吸引手段60による廃水の吸引を行って廃水の吸引に要する圧力値を監視して、微生物層の付着量を制御する処理フローの一例を示している。
先ず、前記廃水処理と並行して、ステップS1で、前記と同様に、液体処理膜エレメント13の複数の中空糸膜11Bで廃水Wを吸引する処理と、圧力測定手段70による圧力の測定を開始する。予め制御手段90に適正圧力範囲を設定しておくことも前記と同様である。
前記処理と同時にステップS2で、制御手段90において前記圧力測定手段70で測定された圧力値と前記予め設定された適正圧力範囲とを比較し、前者の値が小さいときは前記中空糸膜シート状物123の表面への微生物層の付着が不十分(付着量が不足している)と判定してステップS3に移行する。
ステップS3では散気手段20及びガス供給手段80を駆動して、散気用のガスを処理槽30内の廃水W中に噴出する量を増して、処理槽30中の廃水Wを循環させる速度を上げ、廃水W中の溶存酸素濃度の低下を促進させる。この処理は、前記圧力測定手段70で測定された圧力値が適正圧力範囲に達するまで行われる。
ステップS2の圧力値の比較で、前記圧力測定手段70で測定された圧力値が適正圧力範囲より大きいときには、前記中空糸膜シート状物123の表面への微生物層の付着が過剰になっていると判定してステップS4に移行し、散気手段20及びガス供給手段80を駆動して廃水Wの曝気を行い、中空糸膜シート状物123の表面の微生物層の剥離処理を実施する。曝気による微生物層の剥離処理は、前記圧力測定手段70で測定された圧力値が適正圧力範囲に達するまで行われる。
また、ステップS2の圧力値の比較で、前記圧力測定手段70で測定された圧力値が適正圧力範囲内であるときには、微生物層の付着量に過不足はなく、適正な廃水処理ができる状態であると判定し、前記廃水処理と廃水を吸引してその圧力を測定する処理が継続して行われる。
以上の処理フローによれば、微生物層の付着量に基づいて定量的に、ガスの散気による廃水Wの循環速度を上げるタイミングと、曝気が必要なタイミングとを特定して散気と曝気を行うことで、微生物層の付着量を適正に制御し、廃水処理による廃水の処理効率を最適に維持することが可能である。
図5は、中空糸膜モジュール10の他の形態を示している。
図示した中空糸膜モジュール10は、前記と同様に、酸素を含むガスの流通経路を有する中空糸膜11Aからなるガス透過膜エレメント12と、液体の流通経路を有する中空糸膜11Bからなる液体処理膜エレメント13からなり、両膜エレメント12,13の中空糸膜11A,11Bを縦方向に平行に配置し、上下のハウジング121,123で保持するとともに、ガス透過膜エレメント12の中空糸膜11Aには酸素含有ガスが流通し、液体処理膜エレメント13の中空糸膜11Bはではその表面から廃水のろ過吸引ができるように構成したものである。
なお、ガス透過膜エレメント12の中空糸膜11Aと、液体処理膜エレメント13の中空糸膜11Bの配置関係は特に特定されず、図示しないが両中空糸膜11A,11Bが斜めに交差して配置されるようにしてもよい。
前述のとおり、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメント13は、廃水をろ過吸引することでガス透過膜エレメント12の中空糸膜11Aの表面に形成された微生物層の付着量を観測するために用いられる保守用のエレメントであり、この液体処理膜エレメント13は微生物層の形成には関与しない。液体処理膜エレメント13の複数の中空糸膜11Bがガス透過膜エレメント12の中空糸膜11Aの表面に沿って狭い間隔で密に配置されていると、微生物層の形成に支障が生じることが考えられる。
かかる観点から、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメント12と、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメント13は、それぞれの中空糸膜11A,11Bの全体の表面積をa、bとしたときに、(a/b>100)の関係となるように設けられていることが好ましい。
図示した液体処理装置の形態において、中空糸膜モジュールは、平型には限定されず、例えば、円筒形や角筒形等に構成されていてもよい。また、ガス透過膜エレメントと液体処理膜エレメントはともに中空糸膜を用いて構成したが、中空糸膜と同等の機能を有する他の部材を用いてもよい。
図示した液体処理装置の形態は一例であり、本発明は図示した形態に限定されない。 本発明は、廃水を含む各種液体を、MABRを用いてその用途に適した水質に浄水する処理に適用することが可能である。
本明細書において、「α~β」(α,βは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「α以上β以下」の意と共に、「好ましくはαより大きい」或いは「好ましくはβより小さい」の意も包含するものである。
また、「α以上」又は「α≦」(αは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはαより大きい」の意を包含し、「β以下」又は「≦β」(βは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはβより小さい」の意も包含するものである。
1 液体処理装置、2 被処理液供給手段、3 処理液取出手段、4 沈殿池、5 循環ポンプ、10 中空糸膜モジュール、11A,11B 中空糸膜、12 ガス透過膜エレメント、13 液体処理膜エレメント、121,122 ハウジング、123 中空糸膜シート状物、131,132 ハウジング、20 散気手段、30 処理槽、40 酸素含有ガス供給手段、50 ガス排気手段、60 吸引手段、70 圧力計測手段、80 ガス供給手段、90 制御手段、W 廃水

Claims (8)

  1. 浄水用の中空糸膜モジュールを備えた液体処理装置であって、
    前記中空糸膜モジュールは浄水処理される被処理液が貯留された処理槽内に浸漬され、
    前記中空糸膜モジュールは、酸素を含むガスの流通経路を有するガス透過膜エレメントと、液体の流通経路を有する液体処理膜エレメントとを備える液体処理装置。
  2. 前記ガス透過膜エレメントは非多孔質中空糸膜を含む請求項1に記載の液体処理装置。
  3. 前記液体処理膜エレメントは多孔質中空糸膜を含む請求項1に記載の液体処理装置。
  4. 前記ガス透過膜エレメントと液体処理膜エレメントが次の式(1)を満たす請求項1又は2に記載の液体処理装置。
    式(1) a/b>100
    但し、aはガス透過膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積、bは液体処理膜エレメントを構成する中空糸膜全体の表面積である。
  5. 前記ガス透過膜エレメントの表面に微生物層が形成される、請求項1又は2に記載の液体処理装置。
  6. 前記中空糸膜モジュールが設置された処理槽内に被処理液を供給する被処理液供給手段と、
    前記処理槽内の中空糸膜モジュールの下方に設置されていて散気用のガスを処理槽内に送出する散気手段と、
    前記処理槽の上部から浄水された処理液を取り出す処理液取出手段と、
    ガス透過膜エレメントに酸素を含むガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
    液体処理膜エレメントを通して処理槽内の被処理液を吸引する吸引手段と、
    前記吸引手段の吸引圧力を測定する圧力測定手段と、を備える請求項1に記載の液体処理装置。
  7. 圧力測定手段の測定値に基づいて散気手段で処理槽内の被処理液を曝気せしめる制御手段を備える請求項6に記載の液体処理装置。
  8. 請求項1から3の何れかに記載の液体処理装置を用いて中空糸膜モジュールの表面に形成される微生物層の付着量を制御する液体処理方法。
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