JP2017128802A - 金属−黒鉛複合材料及びその製造方法 - Google Patents

金属−黒鉛複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Katsumasa Hirose
克昌 廣瀬
真平 竹本
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真平 竹本
克樹 奥野
Katsuki Okuno
克樹 奥野
好成 奥野
Yoshinari Okuno
好成 奥野
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Abstract

【課題】高い冷熱信頼性と低い線膨張係数を有する金属−黒鉛複合材料、その製造方法及び放熱基板を提供する。【解決手段】金属−黒鉛複合材料5は、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス1中に黒鉛粉末2が存在している。黒鉛粉末2の表面にマトリックス金属とは異種の金属又は異種の金属基合金からなる被覆層3が被覆されている。被覆層3は、密度汎関数法による第一原理計算で算出される被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと第一原理計算で算出される被覆層−マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が第一原理計算で算出されるマトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである。【選択図】図1

Description

本発明は、金属−黒鉛複合材料、その製造方法及び放熱基板に関し、詳述すると高い冷熱信頼性を有する金属−黒鉛複合材料、その製造方法及び放熱基板に関する。
金属と黒鉛との複合材料は、高い熱伝導率、低い線膨張係数等の特性を一般に有している。この種の複合材料として、例えば特許第4711165号公報(特許文献1)は、金属層と結晶性カーボン材層が交互に積層されてなる金属とカーボン材との複合材料を開示している。
特許第4711165号公報
この種の複合材料を例えばSiC素子等の次世代半導体素子の熱を放散する放熱基板の構成層の材料として用いる場合には、複合材料と放熱基板に含まれるセラミックス層(電気絶縁層)との間の線膨張係数差に起因する熱応力により割れや剥離が発生するのを抑制するため、複合材料の線膨張係数はなるべく小さい方が望ましい。
また、放熱基板の冷熱信頼性を向上させるために、複合材料におけるマトリックス金属/黒鉛界面の接合性を向上させる必要がある。もしマトリックス金属/黒鉛界面の接合性が低いと、冷熱サイクル負荷によりマトリックス金属/黒鉛界面が剥離しこれに伴い複合材料に熱変形が生じて冷熱信頼性が低下する。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、高い冷熱信頼性と低い線膨張係数を有する金属−黒鉛複合材料、その製造方法及び放熱基板を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス中に黒鉛粉末が存在しており、
前記黒鉛粉末の表面に前記マトリックス金属とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなる被覆層が被覆されており、
前記被覆層は、
密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料。
[2] 前記被覆層は、前記異種の金属としてニッケル、クロム又は銅からなるか、あるいは前記異種の金属基合金としてニッケル合金、クロム合金又は銅合金からなるものである前項1記載の金属−黒鉛複合材料。
[3] 前記黒鉛粉末の表面に前記被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末の、金属−黒鉛複合材料に対する体積含有率が15〜70%の範囲に設定されている前項1又は2記載の金属−黒鉛複合材料。
[4] 前記被覆層の厚さは0.01〜10μmの範囲に設定されている前項1〜3のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料。
[5] 積層状に接合一体化された複数の放熱基板構成層を備えており、
前記複数の構成層のうち少なくとも一つは前項1〜4のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料製である放熱基板。
[6] 銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス金属粉末と、黒鉛粉末の表面に前記マトリックス金属粉末とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末とを混合し焼結する工程を含み、
前記被覆層は、
密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料の製造方法。
[7] 黒鉛粉末の表面に被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末とバインダーとを含む塗工液を金属箔の塗工予定面に塗工し乾燥することにより、前記金属箔の前記塗工予定面に被覆層付黒鉛粉末層が形成された塗工箔を得る工程と、
複数の前記塗工箔が積層された状態の積層体を形成する工程と、
前記積層体を加熱することにより前記複数の塗工箔を接合一体化する工程と、
を含み、
前記金属箔は、銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
前記被覆層は、
前記金属箔とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなるものであり、更に、密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料の製造方法。
[8] 前記被覆層付黒鉛粉末は、前記黒鉛粉末の表面に前記被覆層を成膜法によって被覆することにより得られたものである前項6又は7記載の金属−黒鉛複合材料の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項[1]記載の金属−黒鉛複合材料は、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス中に黒鉛粉末が存在しているので、低い線膨張係数を有している。
さらに、黒鉛粉末の表面に被覆した被覆層は、被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと被覆層−マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方がマトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものであるから、冷熱サイクル負荷によるマトリックス金属/黒鉛界面の剥離に伴う複合材料の熱変形を抑制し得て、これにより複合材料の冷熱信頼性を向上させることができる。
前項[2]では、被覆層が所定の金属又は所定の金属基合金からなることにより、前項[1]の効果を確実に奏し得る。
前項[3]では、被覆層付黒鉛粉末の体積含有率が所定範囲に設定されることにより、前項[1]又は[2]の効果を確実に奏し得る。
前項[4]では、被覆層の厚さが所定範囲に設定されることにより、前項[1]〜[3]のいずれかの効果を確実に奏し得る。
前項[5]記載の放熱基板は、複数の構成層のうち少なくとも一つが前項[1]〜[4]のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料製であるから、高い冷熱信頼性を有している。
前項[6]〜[8]のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料の製造方法は、前項[1]〜[4]のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料を確実に製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属−黒鉛複合材料の一部分の拡大概略断面図である。 図2は、冷却基板の概略正面図である。 図3は、本発明のもう一つの実施形態に係る金属−黒鉛複合材料の製造方法を示す流れ図である。 図4は、塗工箔を得る工程を説明する概略図である。 図5は、塗工箔の条材を切断するときの概略図である。 図6は、積層体の概略側面図である。 図7は、複数の塗工箔を加圧加熱焼結装置により接合一体化する場合の概略図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る金属−黒鉛複合材料5は、銅(Cu)、銅合金(Cu合金)、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金(Al合金)からなるマトリックス1中に多数の黒鉛粉末2が分散して含有されているものである。
黒鉛粉末2の表面の少なくとも一部には被覆層3が被覆されており、本実施形態では黒鉛粉末2の表面にその全体に亘って被覆層3が被覆されている。
被覆層3は、マトリックス1を形成するマトリックス金属(即ち、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金)とは異種の金属又は異種の金属基合金からなる。つまり、黒鉛粉末2の表面はこのような被覆金属で被覆されている。被覆層3の詳細な説明は後述する。
黒鉛粉末2は限定されるものではなく、天然黒鉛粉末(例:鱗片黒鉛粉末)、人造黒鉛粉末、熱分解黒鉛粉末などが用いられ、特に鱗片黒鉛粉末が好適に用いられる。
さらに、黒鉛粉末2は、黒鉛−マトリックス金属間の界面熱抵抗及び黒鉛粉末2のアスペクト比の計算の結果、平均粒径200μm以上で粒径/厚さの平均アスペクト比20以上の高結晶性黒鉛粉末であることが望ましく、更に、平均粒径300μm以上で平均アスペクト比30以上の高結晶性黒鉛粉末であることが特に望ましい。黒鉛粉末2の望ましい平均粒径及び平均アスペクト比の上限値は限定されるものではなく、例えば、平均粒径500μm及び平均アスペクト比100である。
黒鉛粉末2の表面に被覆層3が被覆されて形成された被覆層3付黒鉛粉末2の、複合材料5に対する体積含有率Vは限定されるものでないが、15〜70%の範囲に設定されることが望ましく、更に30%以上55%以下に設定されるのが特に望ましい。
マトリックス金属は、上述したように、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金である。ここで、マトリックス金属が銅又はアルミニウムであることにより、より高い熱伝導率を有する複合材料5を得られる点で特に望ましい。また、マトリックス金属が銅合金又はアルミニウム合金であることにより、より高い機械的強度を有する複合材料5を得られるしより低い線膨張係数を有する複合材料5を得られる点で特に望ましい。
次に、被覆層3について以下に詳述する。
被覆層3は、密度汎関数法による第一原理計算で算出される被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと同第一原理計算で算出される被覆層−マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が同第一原理計算で算出されるマトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである。
したがって、密度汎関数法による第一原理計算で算出される被覆層−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーをE、同第一原理計算で算出される被覆層−マトリックス金属間の単位面積当たりの接合エネルギーをE、同第一原理計算で算出されるマトリックス金属−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーをEとするとき、被覆層3は、EとEの双方がEよりも大きいものであり、すなわち、E>Eの第1関係式とE>Eの第2関係式の双方を満足するものである。
具体的には、被覆層3は、マトリックス金属とは異種の金属としてニッケル(Ni)、クロム(Cr)又は銅(Cu)からなるか、あるいはマトリックス金属とは異種の金属基合金としてニッケル合金、クロム合金又は銅合金からなることが望ましく、特に、ニッケルからなるかあるいはニッケル合金からなることが望ましい。
本実施形態の複合材料5には次の利点がある。
本実施形態の複合材料5は、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス1中に多数の黒鉛粉末2が存在しており、そのため低い線膨張係数を有している。
さらに、黒鉛粉末2の表面に被覆層3を被覆することにより、マトリックス金属/黒鉛間の界面に被覆層3が介在する。そしてこの被覆層3はEとEの双方がEよりも大きいものであることにより、冷熱サイクル負荷によるマトリックス金属/黒鉛界面の剥離に伴う複合材料5の熱変形を抑制し得て、これにより複合材料5の冷熱信頼性を向上させることができる。したがって、本実施形態の複合材料5によれば、例えば、50℃から250℃までの間を繰り返す冷熱サイクル負荷において、1サイクル(即ち50℃→250℃→50℃)で複合材料5に発生する歪みが例えば0.5%以下となり、これにより、マトリックス金属/黒鉛間の剥離に伴う複合材料5の熱変形を抑制し得て、冷熱信頼性を向上させることができる。
次に、本実施形態の複合材料5の好ましい一製造方法について以下に説明する。
本実施形態の複合材料5の製造方法は、マトリックス1を形成するマトリックス金属粉末と上述の被覆層3付黒鉛粉末2とを混合し焼結する工程を含んでいる。
マトリックス金属粉末とは、すなわち、銅粉末、銅合金粉末、アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末などである。
マトリックス金属粉末としては、焼結を阻害したり熱伝導率を低下させたりする要因となる表面酸化膜ができるかぎり少ないものを用いるのが望ましく、特に扁平状の金属粉末を用いることが望ましい。
被覆層3付黒鉛粉末2は、黒鉛粉末2の表面に被覆層3を成膜法によって被覆することにより得ることができる。
成膜法としては、めっき法、PVD法(例:蒸着法、スパッタ法)、CVD法等が好適に用いられる。成膜法がめっき法である場合、めっき法は限定されるものではなく、無電解めっき法でも電気めっき法でも良い。成膜法がスパッタ法である場合、粉体用スパッタリング法(例:粉末スパッタリング法)により行うことが望ましい。
被覆層3の厚さは限定されるものではないが、0.01〜10μmの範囲に設定されることが望ましく、特に0.2μm以上0.35μm以下に設定されるのが望ましい。
焼結する工程は常法に従って行われる。焼結する工程の望ましい例は次のとおりである。
すなわち、焼結する工程は、マトリックス金属粉末と被覆層3付黒鉛粉末2を混合する工程を備える。混合する工程では、マトリックス金属粉末と被覆層3付黒鉛粉末2と更にバインダーとを、乳鉢、ニーダー、ミキサー等により、なるべくマトリックス金属粉末と被覆層3付黒鉛粉末2が粉砕されないように且つなるべくシェアをかけずに混合分散することが望ましい。
混合する工程で得られた混合物は焼結素材として常法に従って所望する形状に焼結される。望ましくは、混合物をドクターブレード法、バーコート法、ロール成形法等のシート形成方法によりシート状に形成し、得られたシート状物を必要に応じて乾燥したのちその厚さ方向に複数積層することでプリフォームとしての積層体を形成し、積層体を焼結する方法が用いられる。その焼結方法としては、例えば積層体をその厚さ方向に加圧しながら焼結する方法(即ち加圧焼結法)が用いられ、具体的には、ホットプレス法、パルス通電焼結(SPS)法、熱間静水圧焼結(HIP)法等が用いられる。
なお、混合物(積層体)に含まれるバインダー等の有機物は、混合物の焼結時に混合物に与えられた熱により熱分解して混合物から飛散除去される。
本実施形態の複合材料5は、上述したように、高い冷熱信頼性と低い線膨張係数を有しているので、例えば、図2に示すように、放熱基板10を構成する複数の構成層のうち少なくとも一つの構成層の材料として好適に用いられる。すなわち、少なくとも一つの構成層は本実施形態の複合材料5製であることが望ましい。
放熱基板10は、上から下へ順に、配線層11、電気絶縁層としてのセラミックス層12及び応力緩衝層13を備えるとともに、これらの層11〜13が所定の接合手段(例:ろう付け)によって積層状に接合一体化されて構成されたものであり、半導体素子等の発熱性素子(二点鎖線で示す)20が搭載される、配線層11の上面からなる搭載面10aを有している。発熱性素子20としては、パワーモジュール素子、SiC素子、LED等が挙示される。
さらに、放熱基板10は、冷却層14上に積層状に配置されるとともに所定の接合手段(例:ろう付け)により冷却層14と接合されており、これにより、発熱性素子20の熱を放散することにより発熱性素子20を冷却する冷却基板15が構成されている。
すなわち、冷却基板15では、放熱基板10の搭載面10aに搭載された発熱性素子20に発生した熱は、発熱性素子20から配線層11、セラミックス層12、応力緩衝層13及び冷却層14に順次伝導し、冷却層14から放散される。その結果、発熱性素子20が冷却されてその温度が低下する。本実施形態では、冷却層14は放熱層(詳述すると板状の放熱部材)から構成されており、複数の放熱フィン14aを有している。
次に、本実施形態の複合材料5の好ましいもう一つの製造方法について図3〜7を参照して以下に説明する。
図3に示すように、複合材料5の製造方法は、金属箔50の塗工予定面50aに被覆層付黒鉛粉末層51が形成された塗工箔52を得る工程S1と、複数の塗工箔52が積層された状態の積層体55を形成する工程S2と、積層体55を加熱することにより複数の塗工箔52を接合一体化する工程S3と、を含んでいる。
塗工箔52を得る工程S1では、塗工箔52は、所定の塗工液49を金属箔50の塗工予定面50aに塗工し乾燥することにより得られる。
金属箔50は、複合材料5のマトリックス1を形成するものであり、したがって銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である。
金属箔50の厚さは限定されるものではなく、例えば5〜500μmである。
図4に示すように、本実施形態では、金属箔50として金属箔50の帯状条材50A(即ち帯状の長尺な金属箔10)が用いられている。
本実施形態では、塗工液49が塗工される金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aは、金属箔50の条材50Aの厚さ方向の両側の表面のうち片側の表面である。
塗工液49は、被覆層付黒鉛粉末46とバインダー47とバインダー47用溶剤48とを混合状態に含有するものであり、例えば次のようにして得られる。
すなわち、塗工液49は、被覆層付黒鉛粉末46とバインダー47と溶剤48とを混合容器81内に入れこれらを撹拌混合器(例:ディスパー)82により撹拌混合することにより、得られる。なお、必要に応じて、塗工液49には分散剤(図示せず)、表面調整剤(図示せず)などが添加される。
バインダー47は、被覆層付黒鉛粉末46に金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aへの付着力を付与して被覆層付黒鉛粉末46が塗工予定面50aから脱落するのを抑制するためのものである。バインダー47は通常、有機樹脂等の樹脂からなる。具体的には、バインダー47として、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂などを使用できる。
溶剤48はバインダー47を溶解するものである。具体的には、溶剤48として、親水性溶剤(例:イソプロピルアルコール、水)、有機溶剤などを使用できる。
塗工液49を金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aに塗工するための塗工方法は限定されるものではない。好ましくは、塗工液49の塗工は、金属箔50の条材50Aを巻き出す巻出しロール71と金属箔50の条材50Aを巻き取る巻取りロール72とを用いたロールtoロール方式により行われる。
巻出しロール71と巻取りロール72との間には、塗工装置としての例えば三本ロール型のオフセット印刷装置60と乾燥装置としての乾燥炉75とが金属箔50の条材50Aの送り方向Fに並んで設置されている。
オフセット印刷装置60は、塗工液49を金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aに塗工するためのものであり、三本ロールとして、インキロール61、転写ロール62及びバックアップロール63を備えており、更に、インキパンとしての塗工液パン65などを備えている。
インキロール61はその周面61aの周方向の一部が塗工液パン65内の塗工液49に漬けられた状態に配置されている。転写ロール62の周面62aは平滑に形成されている。転写ロール62の回転方向は金属箔50の条材50Aの送り方向Fと同じ方向に設定されている。バックアップロール63は転写ロール62と対向して配置されている。
オフセット印刷装置60では、パン65内の塗工液49は、インキロール61の回転によりインキロール21の周面21aから転写ロール62の周面62aに供給付着されたのち転写ロール62の回転により金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aに転写塗布される。
乾燥炉75は、オフセット印刷装置60に対して金属箔50の条材50Aの送り方向Fの下流側に設置されており、金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aに塗工された塗工液49を加熱乾燥することで塗工液49中の溶剤48を塗工液49から蒸発除去するものである。
巻出しロー71から巻き出された金属箔10の条材10Aは、オフセット印刷装置20の転写ロール62とバックアップロール63との間と、乾燥炉75とを順次通過したのち巻取りロール72に巻き取られる。
塗工液49は、金属箔50の条材50Aが転写ロール62とバックアップロール63との間を通過する際に、転写ロール62によって金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aにその幅方向の略全体に亘って塗工される。
その後、塗工予定面50aに塗工された塗工液49は、乾燥炉75を通過することによって塗工液49から溶剤48が蒸発除去される。これにより、金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aにその略全体に亘って被覆層付黒鉛粉末層51が形成され、すなわち塗工箔52の条材52Aが得られる。
ここで、金属箔50の条材50Aの塗工予定面50aに塗工液49を塗工する塗工装置は、上述した三本ロール型のオフセット印刷装置60に限定されるものではなくその他に例えばグラビア印刷装置(図示せず)であっても良い。
図5に示すように、積層体55を形成する工程S2では、巻取りロール72から巻き解かれた塗工箔52の条材52Aを切断機79により所定形状に切断する。これにより、塗工箔52の条材52Aから所定形状(例:略四角形状)の塗工箔52を複数切り出す。
次いで、図6に示すように複数の塗工箔52を積層することにより、複数の塗工箔52が積層された状態の積層体55を形成する。この積層体55はプリフォーム(焼結素材)として用いられるものである。
積層体55を形成するための塗工箔52の積層枚数は限定されるものではなく、所望する複合材料5の厚さなどに対応して設定され、例えば10〜1000枚である。
接合一体化する工程S3では、積層体55を加圧加熱焼結装置などによって所定の焼結雰囲気(例:非酸化雰囲気)中にて加熱することにより焼結し、これにより複数の塗工箔52を一括して接合一体化(詳述すると焼結一体化)する。
積層体55の焼結方法は、真空ホットプレス法、パルス通電焼結法、熱間静水圧焼結法(HIP法)、押出法、圧延法などから選択される。なお、パルス通電焼結法は放電プラズマ焼結法(SPS法)とも呼ばれている。
具体的には、図7に示すように、例えば、加圧加熱焼結装置(例:真空ホットプレス装置、パルス通電焼結装置)90の焼結室91内に積層体55を配置し、そして焼結装置90によって所定の焼結雰囲気中にて積層体55を塗工箔52の積層方向(即ち積層体55の厚さ方向)に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより積層体55を焼結し、これにより複数の塗工箔52を一括して接合一体化(焼結一体化)する。その結果、本実施形態の複合材料5が得られる。
積層体55への加圧は、例えば、焼結装置90に備えられた一対のパンチ92、92で積層体55をその厚さ方向に挟んで加圧することにより行われる。
積層体55を焼結するための積層体55の加熱温度、即ち積層体55の焼結温度は限定されるものではなく、通常、金属箔50の金属材料の融点以下であり、特に、金属材料の融点と当該融点よりも約50℃低い温度との間の温度に設定されることが望ましい。その理由は、積層体55を確実に焼結できる(即ち複数の塗工箔52を確実に接合一体化できる)からある。具体的には、金属箔50が例えばアルミニウム箔である場合、積層体55の焼結温度は550〜620℃に設定されることが望ましい。
ここで、積層体55の焼結温度とは、複数の塗工箔52を接合一体化する温度(即ち複数の塗工箔52を焼結一体化する温度)を意味する。
積層体55中に存在するバインダー47は、この工程S3において積層体55の温度が略室温から積層体55の焼結温度まで上昇するように積層体55を加熱する途中で昇華又は分散等により消失(熱分解)して積層体55から除去される。
この工程S3では、積層体55が上述のように加熱されることにより、金属箔50の金属材料の一部が被覆層付黒鉛粉末層51内に浸透して被覆層付黒鉛粉末層51内に存在する微細な空隙(例:被覆層付黒鉛粉末層51中の被覆層付黒鉛粉末46間の隙間)に充填されて、当該空隙が略消滅する。これにより、複合材料5の密度が上昇するとともに複合材料5の強度が向上する。
また、金属箔50の金属材料の一部が被覆層付黒鉛粉末層51内に浸透することによって、各被覆層付黒鉛粉末層51中の被覆層付黒鉛粉末46は複合材料5のマトリックス1中に複合材料5の面方向に分散した状態になる。
ここで、積層体を形成する工程S2及び接合一体化する工程S3は、上述の方法で行われることに限定されるものではなく、その他に例えば次のような方法で行われても良い。
すなわち、積層体を形成する工程S2では、巻取りロール72から巻き解かれた塗工箔52の条材52Aをロール状に複数回巻くことにより、複数の塗工箔52が積層された状態の積層体(これを便宜上「ロール状積層体」という)を形成しても良い。この場合、ロール状積層体の半径方向が複数の塗工箔52の積層方向に相当する。
そして、接合一体化する工程S3においては、ロール状積層体を加熱した状態で押出加工装置によりロール状積層体をその軸方向に押出加工することにより、複数の塗工箔を一括して接合一体化(焼結一体化)しても良い。この場合、ロール状積層体が押出加工装置の押出加工孔を通過する際にロール状積層体がその半径方向(即ち複数の塗工箔の積層方法)に加圧されて焼結される。こうして得られた複合材料では、被覆層付黒鉛粉末46は複合材料のマトリックス1中に複合材料の軸方向(即ちロール状積層体の押出方向)に配向して分散した状態になる。
以上で本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
黒鉛粉末の表面に被覆層を被覆することによる効果を確かめるため、まずマトリックス金属であるAlと黒鉛間の接合性を以下のように検証した。
Alと黒鉛間の接合エネルギーを密度汎関数法による第一原理計算により算出した。ここで、この接合エネルギーは、単独で存在する黒鉛のエネルギーWと単独で存在するマトリックス金属のエネルギーWとの合計W+Wと、黒鉛とマトリックス金属が接合した状態のエネルギーWA+Bとの差W+W−WA+Bによって定義される。
本実施例1で用いる計算モデルは以下のとおりである。
(1)使用ソフトウェア:CASTEP、GGA/PBE汎関数、Tkatchenko−Scheffler(TS)の分散力補正、平面波基底、ウルトラソフト擬ポテンシャル、周期境界条件。
(2)Alを6層、黒鉛を4層モデル化し、第一原理計算により構造最適化した後、その間の接合エネルギーをAl−黒鉛間の接合エネルギーとして算出した。
計算の結果、Al−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.201J/mであった。
次に、被覆層を形成する金属であるNiと黒鉛間の接合エネルギーを上記と同様の計算方法により算出した。ここで、本実施例1ではNiを6層、黒鉛を4層モデル化し、第一原理計算により構造最適化した後、その間の接合エネルギーを算出した。同様の計算方法により、被覆層を形成する金属であるNiとAl間の接合エネルギーを算出した。ここで、本実施例1ではNiを6層、Alを6層モデル化し、第一原理計算により構造最適化した後、その間の接合エネルギーを算出した。
計算の結果、Ni−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは2.168J/mであり、Ni−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは14.198J/mであった。したがって、EとEの双方はEよりも大きかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にNiからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<実施例1>
実施例1では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
黒鉛粉末として鱗片状黒鉛粉末を準備した。この黒鉛粉末は、平均粒径300μm、平均厚さ10μm、平均アスペクト比30であった。
次いで、この黒鉛粉末の表面に無電解めっき法によりNiを常法に従って被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiめっき膜からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.35μmであった。また、被覆層を形成するNi中には10質量%のリン(P)が含まれていた。したがって、被覆層は基本的にはNiからなるものであり、厳密にはNi−P合金からなるものである。
また、マトリックス金属としての鱗片状アルミニウム粉末にミネラルスピリットや脂肪酸を添加したアルミニウムペースト(Al固形分70質量%)を準備した。
次いで、被覆層付黒鉛粉末7.234gと、アルミニウムペースト17.766gと、樹脂バインダーとして10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、この混合物をドクターブレード法によりPETフィルム上にシート状に形成することでシート状物付PETフィルムを得、これを1日間、風乾した。
次いで、シート状物付PETフィルムを直径20mmの円形状に打ち抜いたのちPETフィルムを外し、打ち抜いたシート状物を黒鉛製ダイス内でシート状物の厚さ方向に40枚積層して積層体を形成した。そして、室温にて積層体に対してプレス機で圧粉を行い、その後、パルス通電焼結装置によってダイス内を10Pa以下に減圧して30MPaの加圧力で積層体をその厚さ方向に加圧しながら90分間に亘ってパルス電圧2V、パルス電流1000Aの電流を積層体に流すことにより、積層体をパルス通電焼結法により加熱焼結した。これによりAl−黒鉛複合材料を得た。積層体の焼結温度は約600℃であった。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは37.6%であった。
複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で321.9W/(m・K)であった。なお、複合材料の面方向とは、焼結時に積層体を加圧した加圧方向に対して垂直な面方向であり、即ち複合材料(積層体)の厚さ方向に垂直な面方向である。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で17.7ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
なお、熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定された熱拡散率に比重(密度)と比熱を乗じることにより算出した。線膨張係数は、熱機械分析装置を用いて50℃→250℃→50℃の温度変化条件で測定した。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.36%であった。なお、歪みは、複合材料から採取した試験片に50℃→250℃→50℃の冷熱サイクル負荷を加えることよる試験片の寸法変化を測定して算出した。
<実施例2>
実施例2では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を用い、実施例1と同じ条件によって黒鉛粉末の表面に無電解めっき法によりNiを被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiめっき膜からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.20μmであった。
次いで、実施例1と同じように、被覆層付黒鉛粉末6.598gとアルミニウムペースト18.402gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは36.4%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で375.4W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で18.9ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.48%であった。
<実施例3>
実施例3では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を用い、実施例1と同じ条件によって黒鉛粉末の表面に無電解めっき法によりNiを被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiめっき膜からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.35μmであった。
次いで、実施例1と同じように、被覆層付黒鉛粉末11.230gとアルミニウムペースト13.770gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは50.9%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは54.7%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で332.9W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で13.0ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.23%であった。
<実施例4>
実施例4では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を用い、実施例1と同じ条件によって黒鉛粉末の表面に無電解めっき法によりNiを被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiめっき膜からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.2μmであった。
次いで、実施例1と同じように、被覆層付黒鉛粉末10.332gとアルミニウムペースト14.668gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは50.9%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは52.9%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で360.5W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で16.4ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.47%であった。
<実施例5>
実施例5では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を用い、黒鉛粉末の表面に粉末スパッタリング法によりNiを被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiからなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.2μmであった。
次いで、実施例1と同じように、被覆層付黒鉛粉末6.598gとアルミニウムペースト18.402gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは36.4%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で370.9W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で18.5ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.45%であった。
<実施例6>
実施例6では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を用い、実施例1と同じ条件によって黒鉛粉末の表面に無電解めっき法によりNiを被覆し、これにより、黒鉛粉末の表面にその全体に亘ってNiめっき膜からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末を得た。被覆層の厚さは約0.35μmであった。
次いで、被覆層付黒鉛粉末と、樹脂バインダーとしてポリエチレンオキサイドの3質量%水溶液及びポリビニルアルコールの10質量%水溶液と、溶剤としてイソプロピルアルコール及び水と、分散剤と、表面調整剤とをディスパーにより撹拌混合し、これにより塗工液を得た。塗工液に含まれる被覆層付黒鉛粉末の質量割合は樹脂バインダーと被覆層付黒鉛粉末との合計質量に対して10質量%であった。塗工液の粘度は25℃で1000mPa・sであった。
また、金属箔として、厚さ12μm及び幅500mmのアルミニウム箔(Al箔)の条材(その純度:4N)を準備した。
そして、アルミニウム箔の条材の厚さ方向の両側の表面のうち片側の表面を塗工予定面とし、ロールtoロール方式の三本ロール型のオフセット印刷装置により塗工液をアルミニウム箔の条材の塗工予定面にその全体に亘って塗工速度20m/minで塗工した。
次いで、アルミニウム箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより塗工液を加熱乾燥して塗工液中の溶剤を塗工液から蒸発除去した。これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定面に被覆層付黒鉛粉末層が形成された塗工箔の条材を得た。被覆層付黒鉛粉末の塗工量は16g/mであった。
次いで、塗工箔の条材を実施例1と同じように打ち抜くことにより塗工箔を得た。そして、塗工箔を200枚積層することで積層体を形成した。次いで、積層体を実施例1と同じ条件で加熱焼結することにより、Al−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは36.8%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35.0%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で320.1W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で17.2ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.32%であった。
<実施例7>
実施例7では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例6と同じ塗工液を準備した。
また、金属箔として、厚さ6μm及び幅500mmのアルミニウム箔(Al箔)の条材(その純度:4N)を準備した。
次いで、実施例6と同じように塗工液をアルミニウム箔の条材の塗工予定面にその全体に亘って塗工し乾燥することにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定面に被覆層付黒鉛粉末層が形成された塗工箔の条材を得た。被覆層付黒鉛粉末の塗工量は16g/mであった。
次いで、塗工箔の条材を実施例1と同じように打ち抜くことにより塗工箔を得た。そして、塗工箔を200枚積層することで積層体を形成した。次いで、積層体を実施例1と同じ条件で加熱焼結することにより、Al−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは50.9%であった。また、被覆層付黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは53.6%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で331.5W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で13.8ppm/Kであった。したがって、複合材料は、マトリックス金属Alよりも高い熱伝導率と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.25%であった。
<比較例1>
比較例1では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を準備した。黒鉛粉末の表面には被覆層を被覆しなかった。
次いで、実施例1と同じように、黒鉛粉末6.10gとアルミニウムペースト19.86gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35.0%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で418.5W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で20.8ppm/Kであった。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.62%であった。
<比較例2>
比較例2では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を準備した。黒鉛粉末の表面には被覆層を被覆しなかった。
次いで、実施例1と同じように、黒鉛粉末9.14gとアルミニウムペースト15.51gと10質量%ポリスチレン−クメン溶液10gとを混合し混練分散してペース状の混合物を得た。そして、実施例1と同じ製造方法によりAl−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは50.9%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で475.1W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で18.6ppm/Kであった。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.80%であった。
<比較例3>
比較例3では、実際にAl−黒鉛複合材料を次のように製造した。
実施例1と同じ黒鉛粉末を準備した。黒鉛粉末の表面には被覆層を被覆しなかった。
次いで、被覆層付黒鉛粉末の代わりに黒鉛粉末を用いて、実施例6と同じように塗工液を得た。
また、金属箔として、厚さ12μm及び幅500mmのアルミニウム箔(Al箔)の条材(その純度:4N)を準備した。
次いで、実施例6と同じように塗工液をアルミニウム箔の条材の塗工予定面にその全体に亘って塗工し乾燥することにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定面に黒鉛粉末層が形成された塗工箔の条材を得た。黒鉛粉末の塗工量は15g/mであった。
次いで、塗工箔の条材を実施例1と同じように打ち抜くことにより塗工箔を得た。そして、塗工箔を200枚積層することで積層体を形成した。次いで、積層体を実施例1と同じ条件で加熱焼結することにより、Al−黒鉛複合材料を得た。
得られた複合材料に含まれる黒鉛粉末の、複合材料に対する体積含有率Vは35.0%であった。
また、複合材料の熱伝導率は複合材料の面方向で416.2W/(m・K)であった。複合材料の線膨張係数はその厚さ方向で20.3ppm/Kであった。
また、冷熱サイクル負荷により発生した複合材料の厚さ方向の歪みは0.68%であった。
以上の実施例1〜7、比較例1〜3の結果を表1にまとめて示した。
Figure 2017128802
表1から分かるように、実施例1、2、5、6の複合材料の歪みと線膨張係数は比較例1、3よりも小さく、また実施例3、4、7の複合材料の歪みと線膨張係数は比較例2よりも小さく、したがって実施例1〜7の複合材料は高い冷熱信頼性と低い線膨張係数を有していることを確認し得た。
<実施例8>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をCrとして、Cr−黒鉛間の接合エネルギーとCr−Al間の接合エネルギーを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Cr−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.817J/mであり、Cr−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは14.998J/mであった。したがって、EとEの双方はAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも大きかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にCrからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<実施例9>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をCuとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとCu−Al間の接合エネルギーを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Cu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.622J/mであり、Cu−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは9.577J/mであった。したがって、EとEの双方はAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも大きかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にCuからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<実施例10>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をケイ素(Si)として、Si−黒鉛間の接合エネルギーとSi−Al間の接合エネルギーを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Si−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.515J/mであり、Si−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは5.525J/mであった。したがって、EとEの双方はAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも大きかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にSiからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<実施例11>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をNiとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとNi−黒鉛間の接合エネルギーとNi−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Cu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.622J/mであり、Ni−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは2.168J/mであり、Ni−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは12.947J/mであった。したがって、EとEの双方はEよりも大きかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にNiからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<実施例12>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をCrとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとCr−黒鉛間の接合エネルギーとCr−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Cr−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.817J/mであり、Cr−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは14.601J/mであった。したがって、EとEの双方はCu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.622J/m)よりも大きかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にCrからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が増加(向上)することを意味している。
<比較例4>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属を亜鉛(Zn)として、Al−黒鉛間の接合エネルギーとZn−黒鉛間の接合エネルギーとZn−Al間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Zn−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.131J/mであり、Zn−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは4.217J/mであった。したがって、EはAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にZnからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が低下することを意味している。
<比較例5>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属を銀(Ag)として、Al−黒鉛間の接合エネルギーとAg−黒鉛間の接合エネルギーとAg−Al間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Ag−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは0.928J/mであり、Ag−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは7.082J/mであった。したがって、EはAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にAgからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が低下することを意味している。
<比較例6>
マトリックス金属をAl、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属を金(Au)として、Al−黒鉛間の接合エネルギーとAu−黒鉛間の接合エネルギーとAu−Al間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Au−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは0.872J/mであり、Au−Al間の単位面積当たりの接合エネルギーEは7.601J/mであった。したがって、EはAl−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.201J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がAlである場合において、黒鉛粉末の表面にAuからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のAlとの接合性が低下することを意味している。
<比較例7>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をSiとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとSi−黒鉛間の接合エネルギーとSi−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Si−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.515J/mであり、Si−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは2.092J/mであった。したがって、EはCu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.622J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にSiからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が低下することを意味している。
<比較例8>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をZnとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとZn−黒鉛間の接合エネルギーとZn−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Zn−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは1.131J/mであり、Zn−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは5.561J/mであった。したがって、EはCu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.622J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にZnからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が低下することを意味している。
<比較例9>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をAgとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとAg−黒鉛間の接合エネルギーとAg−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Ag−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは0.928J/mであり、Ag−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは7.301J/mであった。したがって、EはCu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.622J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にAgからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が低下することを意味している。
<比較例10>
マトリックス金属をCu、黒鉛粉末の表面に被覆する被覆層を形成する金属をAuとして、Cu−黒鉛間の接合エネルギーとAu−黒鉛間の接合エネルギーとAu−Cu間の接合エネルギーとを実施例1と同様の計算方法によりそれぞれ算出した。
計算の結果、Au−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーEは0.872J/mであり、Au−Cu間の単位面積当たりの接合エネルギーEは6.593J/mであった。したがって、EはCu−黒鉛間の単位面積当たりの接合エネルギーE(=1.622J/m)よりも小さく更にEはEよりも小さかった。これは、マトリックス金属がCuである場合において、黒鉛粉末の表面にAuからなる被覆層を被覆すると、黒鉛粉末のCuとの接合性が低下することを意味している。
以上の実施例8〜12、比較例4〜10の結果を表2にまとめて示した。
Figure 2017128802
本発明は、高い冷熱信頼性を有する金属−黒鉛複合材料、その製造方法及び放熱基板に利用可能である。
1:マトリックス
2:黒鉛粉末
3:被覆層
5:金属−黒鉛複合材料
10:放熱基板
46:被覆層付黒鉛粉末
49:塗工液
50:金属箔
50a:金属箔の塗工予定面
51:被覆層付黒鉛粉末層
52:塗工箔
55:積層体

Claims (8)

  1. 銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス中に黒鉛粉末が存在しており、
    前記黒鉛粉末の表面に前記マトリックス金属とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなる被覆層が被覆されており、
    前記被覆層は、
    密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料。
  2. 前記被覆層は、前記異種の金属としてニッケル、クロム又は銅からなるか、あるいは前記異種の金属基合金としてニッケル合金、クロム合金又は銅合金からなるものである請求項1記載の金属−黒鉛複合材料。
  3. 前記黒鉛粉末の表面に前記被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末の、金属−黒鉛複合材料に対する体積含有率が15〜70%の範囲に設定されている請求項1又は2記載の金属−黒鉛複合材料。
  4. 前記被覆層の厚さは0.01〜10μmの範囲に設定されている請求項1〜3のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料。
  5. 積層状に接合一体化された複数の放熱基板構成層を備えており、
    前記複数の構成層のうち少なくとも一つは請求項1〜4のいずれかに記載の金属−黒鉛複合材料製である放熱基板。
  6. 銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるマトリックス金属粉末と、黒鉛粉末の表面に前記マトリックス金属粉末とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなる被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末とを混合し焼結する工程を含み、
    前記被覆層は、
    密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料の製造方法。
  7. 黒鉛粉末の表面に被覆層が被覆されてなる被覆層付黒鉛粉末とバインダーとを含む塗工液を金属箔の塗工予定面に塗工し乾燥することにより、前記金属箔の前記塗工予定面に被覆層付黒鉛粉末層が形成された塗工箔を得る工程と、
    複数の前記塗工箔が積層された状態の積層体を形成する工程と、
    前記積層体を加熱することにより前記複数の塗工箔を接合一体化する工程と、
    を含み、
    前記金属箔は、銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であり、
    前記被覆層は、
    前記金属箔とは異種の金属又は前記異種の金属基合金からなるものであり、更に、密度汎関数法による第一原理計算で算出される前記被覆層−黒鉛間の接合エネルギーと前記第一原理計算で算出される前記被覆層−前記マトリックス金属間の接合エネルギーとの双方が前記第一原理計算で算出される前記マトリックス金属−黒鉛間の接合エネルギーよりも大きいものである、金属−黒鉛複合材料の製造方法。
  8. 前記被覆層付黒鉛粉末は、前記黒鉛粉末の表面に前記被覆層を成膜法によって被覆することにより得られたものである請求項6又は7記載の金属−黒鉛複合材料の製造方法。
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