JP2021108591A - シュー皮用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、製造が容易で、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮及びその製造法を提供することである。特に、シュー皮のかたさが柔らかく、空隙の容積が十分に大きいシュー皮及びその製造法を提供することである。【解決手段】シュー皮生地の製造において、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含む水溶液を含有してなる油脂組成物を用いる。但し、当該乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことが必要である。【選択図】図2

Description

本発明は、シュー皮用油脂組成物に関する。より詳細には、製造が容易で、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮が安定的に得られるシュー皮用油脂組成物に関する。特に、シュー皮の食感と品質を決める、皮のかたさや空隙の容積が従来のものよりも優れたシュー皮が得られるシュー皮用油脂組成物に関する。
一般に、シュー皮の製造法は、水を沸騰させ、これにバターなどの油脂を入れ、さらに煮立だせたものの中に小麦粉を加えて良く撹拌し、最後に鶏卵を添加してシュー皮種生地を調製することから始まる。そして、このようにして得られたシュー皮種生地を搾りだし、オーブン等で焼成することにより、空隙のあいたシュー皮を製造することができる。
そして、シュー皮の出来映え、すなわち、食感(歯切れ、硬さ)、風味、色調及び形状の良さは、シュー皮の品質等を決める重要な要素であり、その中でも特に、皮のかたさや空隙の容積は、シュー皮の食感や品質を決定づける極めて重要な要素である。
上述のとおり、シュー皮の製造法においては、シュー皮種生地を焼成することにより、空隙があいたシュー皮を製造することができるが、この空隙にカスタードクリームなどのフィリング材を充填することによりシュー皮を含有する食品(いわゆるシュークリームがこれに当たる。)が完成する。しかし、皮がかたかったり、この空隙の容積が小さかったり、空隙の中に仕切りが生じてしまう(これを以下「巣」という。)と、フィリング材を十分に充填することができないという問題が生じる。そこで、シュー皮のかたさが柔らかく、かつ、空隙の容積が十分に大きいシュー皮が従来から求められている。
しかし、パンや菓子に比べて、食感、食味に優れたシュー皮を製造するには熟練を要し、しかも、そのようなシュー皮を安定的に製造するのはきわめて困難であった。そこで、従来から、食感及び品質の良いシュー皮を安定的に製造するために様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、油脂5〜70%及びカゼインナトリウム1.5〜5%を含む水中油型乳化組成物を使用することで、誰でも安定且つ簡易にシュー皮の生産が可能となる技術が紹介されている。しかし、製造適性や焼成生地のボリューム等において、さらなる改善の余地があり、別の製造法が求められていた。
また、特許文献2には、シュー皮の製造法において、水相部にリン酸塩を含有せず、酵素処理卵黄油を0.07〜0.14重量%及びカゼインナトリウムを3〜6重量%含有することにより、カゼインナトリウムの溶解性が向上する製造法が提案されている。しかし、これは製造工程において原料を追加しており、製造工程を容易にしているとは考え難い。したがって、溶解剤を配合することなく、高品質かつ形状の良いシュー皮を安定的に製造する技術が求められていた。
特開平9−266750号公報 特開2015−112063号公報
本発明の課題は、製造が容易で、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮が得られるシュー皮用油脂組成物を提供することである。特に、シュー皮のかたさが柔らかく、空隙の容積が十分に大きいシュー皮が得られるシュー皮用油脂組成物を提供することである。
本発明者は、シュー皮の製造法について、様々な乳タンパク、乳ペプチドを用いて鋭意研究をしたところ、特定の性質を有する乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる油脂組成物を用いることによって、製造が容易で、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮が得られることを見出し、本発明を完成させた。また、得られるシュー皮は、皮のかたさが柔らかく、空隙の容積が十分に大きいことも見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様によれば、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる、シュー皮用油脂組成物であって、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことを特徴とする、シュー皮用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、上記油脂組成物が、マーガリンおよび/またはファットスプレッドであることを特徴とする、上記シュー皮用油脂組成物を提供することができる。
本発明の好ましい一態様によれば、上記油脂組成物には、上記乳タンパクおよび/または乳ペプチドが0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする、上記シュー皮用油脂組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、上記に記載のシュー皮用油脂組成物を用いて得られるシュー皮を提供することができる。
本発明の一態様によれば、上記シュー皮を含有する食品を提供することができる。
本発明の一態様によれば、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を有効成分とする、シュー皮用品質改良剤であって、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことを特徴とする、シュー皮用品質改良剤を提供することができる。
本発明によれば、特定の性質を有する乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる油脂組成物を用いることにより、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮を簡単かつ安定的に製造することができる。特に、本発明によれば、シュー皮のかたさが柔らかく、空隙の容積が十分に大きいことから、従来よりも品質の良いシュー皮を誰でも容易に製造することができる。
本発明の実施例3〜4、比較例4〜6のシュー皮の上方外観に関する写真である。 本発明の実施例3〜4.比較例4〜6のシュー皮の切断面に関する写真である。
以下、本発明のシュー皮用油脂組成物について順を追って記述する。
本発明において「シュー皮」とは、穀物粉、油脂、卵類を主原料として焼成されるものであれば特に限定されない。これらの原料はいずれも市販品で構わない。なお、本発明において「シュー皮」とは、例えば、シュークリーム、エクレア、スワン、パリブレスト、リングシュー等の洋菓子の外皮を構成するシュー皮を意味する。
本発明の「穀物粉」としては、強力粉、中力粉、薄力粉、小麦全粒粉、玄米粉、ライ麦粉、とうもろこし粉、及び米粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができるが、シュー皮本来の自然なサクサクした食感を持たせるためには、強力粉、中力粉、薄力粉を使用することが好ましい。
シュー皮種生地原料に対する穀物粉の量は、好ましくは1〜45質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜35質量%である。
本発明で用いられる「油脂」は、食用油脂であり、例えば、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、藻類油等の食用植物油脂である。シュー皮種生地原料に対する油脂の量は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%である。
そして、食感、風味、色調等に優れ、しかもボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮を製造するためには、当該シュー皮種生地原料に用いられる油脂は、あらかじめ、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる、シュー皮用油脂組成物となっていることが好ましく、シュー皮種生地原料に対してシュー皮用油脂組成物として、上記油脂が加えられることになる。また、所望の効果を発揮するためには、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドは、その濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことが必要である。
本発明における「乳タンパク」は、乳に由来するタンパク質の総称であり、カゼインとホエイプロテインからなるタンパク質である。いわゆる全粉乳や脱脂粉乳も条件を満たす限り、これに含まれる。また、「乳ペプチド」は、天然の乳由来の成分である乳蛋白質をアミノ酸が少なくとも数個結合した分子に分解したものである。より具体的には、ホエイ(乳清タンパク質)又はカゼイン等の乳蛋白質をプロテナーゼ等の酵素により加水分解し、これを濾過して得られる濾液を殺菌及び/又は濃縮して乾燥することにより得られるホエイペプチド、カゼインペプチド等が挙げられる。
本発明における「乳タンパク」または「乳ペプチド」は、その濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であることが所望の効果を得るために必要である。ここで、前記「粘度」とは、B型粘度計の6または60rpmで測定されたときの粘度である。したがって、粘度が50mPa・s以下であるとは、20質量%という高濃度で添加しても、粘度が低いことを意味しており、このような性質の「乳タンパク」および/または「乳ペプチド」を用いることが本発明の重要な特徴の1つである。
なお、「乳タンパク」および「乳ペプチド」を併用する場合は、乳ペプチドが占める割合が、乳タンパク質が占める割合よりも多くすることが好ましい。例えば、乳ペプチドが占める割合が、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
また、本発明における「乳タンパク」または「乳ペプチド」は、カゼインに由来するものを含むことが必要である。ホエイに由来するものだけであると、本発明の所望の効果は生じない。ここで、前記カゼインの含有率は80質量%以上であることが好ましい。「カゼイン含有率」とは、乳タンパクおよび/または乳ペプチドに含まれる全タンパク質または全ペプチドを100質量%としたときに、カゼインに由来するタンパク質またはペプチドが80質量%以上含まれていることを意味する。つまり、本発明における「乳タンパク」または「乳ペプチド」として、カゼインに由来するものが多く含まれているものを用いることが本発明の重要な特徴の1つである。なお、上記カゼイン含有率は任意の方法で測定することができる。例えば、抗体を用いたウェスタンブロッティング、エライザキット、HPLCを用いた硫黄とリンの定量等が挙げられる。
カゼインに由来するものが多く含まれているものを用いると、カゼインが形成するコロイド粒子が分散層として安定し、これが、シュー皮として有益な効果をもたらしているものと推測される。また、粘度が低いものに効果があったことから、コロイド粒子が細かいほど安定性が増すと考えられる。但し、これは本発明の原理を理論的に説明しようとしたものであり、本発明の原理は、前述のメカニズムに限定して解釈されない。
本発明における「乳タンパク」または「乳ペプチド」は、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液という形態で使用される。前記水溶液に用いられる水は、任意の水であってよく、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水が用いられる。このような水に乳タンパクおよび/または乳ペプチドが添加され攪拌混合されて水溶液が得られる。攪拌混合の手段は常法であってよく、任意のミキサーが使用される。
前記水溶液中に含まれる水の量は、特に制限されるものではないが、30〜99質量%であることが好ましく、35〜90質量%であることがより好ましく、40〜85質量%であることが最も好ましい。
上記の乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液は、上述した「油脂」と一緒に混ぜ合わされ、シュー皮用油脂組成物の状態でシュー皮種生地原料の1つとして使用されることが好ましい。
本発明のシュー皮用油脂組成物は、上述した油脂(食用油脂)と上述した乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液とを含むものであり、好ましくは、水相である前記水溶液と、油相である前記油脂とがホモミキサー等で攪拌乳化されて、乳化された油脂組成物として、シュー皮種生地原料に添加され使用される。前記油脂組成物としては、マーガリンおよび/またはファットスプレッドの形態であることが好ましく、特にマーガリンの形態であることが好ましい。これらのシュー皮用油脂組成物は、マーガリン、またはファットスプレッドを製造する常法によって製造することができる。
上記シュー皮油脂組成物中に含まれる上記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの量は、好ましくは、0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜8質量%であり、さらに好ましくは0.8〜5質量%である。
また、上記シュー皮用油脂組成物中に含まれる上記水溶液の量は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは2〜30質量%であり、さらに好ましくは3〜25質量%である。このような数値範囲とすることにより、特定の性質を有する乳タンパクおよび/または乳ペプチドの効果を最大限に引き出すことができる。
なお、シュー皮種生地原料に対する上記シュー皮用油脂組成物の量は、上記油脂と同様であり、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%である。
本発明の「卵類」としては、任意のものを用いることができる。例えば、鶏卵が好ましく、新鮮卵、液卵、卵白、卵黄、冷凍卵、冷凍卵白、冷凍卵黄、乾燥卵、乾燥卵白、乾燥卵黄、あるいは他の卵製品、卵加工品から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。
シュー皮種生地原料中の卵類の量は、好ましくは20〜50質量%であり、より好ましくは25〜50質量%であり、さらに好ましくは30〜45質量%である。
本発明の「その他の原料」としては、まず、当然のことではあるが「水」が挙げられる。「水」は上述と同様に任意のものでよく、シュー皮種生地原料中の水の量(前記原料に由来するものを含む)は、好ましくは20〜50質量%である。例えば、20質量%未満ではシュー皮に十分な空隙ができず、50質量%を超えると、十分なボリュームを得ることができないからである。
このほか、本発明の「その他の原料」としては、例えば、果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、ソルビトール、マルチトールなどの糖類、クエン酸ナトリウム、リン酸塩等の有機酸塩類、食塩、塩化カルシウム等の無機塩類、コーン澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉及び各種加工澱粉等の澱粉、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリド及び有機酸モノグリセリド等の乳化剤、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE及びビタミンC等のビタミン類、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳パウダー、クリーミングパウダー等の乳製品、ココアパウダー、チョコレート、チョコチップ、キャラメル、チーズ、ナッツ類等の加工品のほか、調味料、香料、着色料、膨化剤、改質剤、保存剤等も適宜配合することができる。
本発明には、本発明のシュー皮を含有する食品も含まれる。例えば、シュークリーム、エクレア、スワン、パリブレスト、リングシュー等であり、カスタードクリーム、クリーム、ジャム、マシュマロ、餡などのフィリング材の1種又は2種以上がシュー皮で包まれもしくは挟み込まれたものが挙げられる。そして、シュー皮の表面に、チョコレート、砂糖、油脂等を塗布もしくは被覆して、味のコンビネーションを出したものも、本発明のシュー皮を含む食品に含まれる。
本発明のシュー皮を製造する方法は、従来の処方であればよく、特に制限されない。なお、シュー皮の製造法の詳細については、渡辺長男編、「製菓辞典」、株式会社朝倉書店、1981年、358〜361頁に記載されている。
ここで、従来の処方について具体的に述べると、シュー皮は、水と油脂を沸騰させた後、穀粉を加え糊状になるまで練り上げ、次に卵類を加えて適度な硬さに調整し、天板等に搾ってオーブンに入れて焼成することにより製造される。また、オーブンでなく、フライヤーを使用してフライする方法も挙げられる。練り上げ後のシュー生地はその性状が変化しない間にできるだけ速やかに焼き上げることが望ましいが、練り上げ後のシュー生地を冷凍し、その後、冷凍シュー生地を解凍して焼き上げることもできる。
ところで、これまで述べたように、上記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含む水溶液は、シュー皮の食感、風味、色調等を向上させるだけでなく、ボリュームがよく出て、良好な形状のシュー皮を製造できるようにするから、本発明は、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を有効成分とする、シュー皮用品質改良剤にも関する。また、本発明のシュー皮用品質改良剤には、有効成分であると上述した水溶液を含有したものであればよく、この他に本発明の効果を損なわない範囲で、澱粉等の賦形剤、他の品質改良剤等、他の物質を適宜含有していてもよい。なお、乳タンパクおよび/または乳ペプチドの量、それを含む水溶液の量は、上述した量に準ずる。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
<分析方法>
トリアシルグリセロール含量は、AOCS Ce5−86に準じて測定した。
各脂肪酸含量は、AOCS Ce1f−96に準じて測定した。
<油脂>
〔食用油脂〕パーム油(日清オイリオグループ株式会社製)、パームオレイン(日清オイリオグループ株式会社製)、パーム極度硬化油(日清オイリオグループ株式会社製)を90:8:2で混合したものを下記の食用油脂として使用した。
<乳タンパク、乳ペプチド>
乳タンパク、乳ペプチドとしては、以下のものを使用した。
〔乳タンパク1〕脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社)
〔乳タンパク2〕カゼインナトリウム(フォンテラジャパン株式会社)
〔乳タンパク3〕キョウプロ(ホエイタンパク)(共同乳業株式会社)
〔乳ペプチド1〕C800(森永乳業株式会社)
〔乳ペプチド2〕ホエイペプチド HW-3(ユニテックフーズ株式会社)
<乳タンパク、乳ペプチド水溶液の調製>
上記乳タンパク、乳ペプチドに蒸留水を混ぜ合わせて、それぞれ5質量%、10質量%、20質量%の乳タンパク、乳ペプチド水溶液を調製した。また、常法に従い、20℃にてB型粘度計BM形(商品名:TOKIMEC VISCOMETER)を用いて粘度を測定した。以上の結果を表1にまとめた。
Figure 2021108591
<シュー皮用油脂組成物の調製>
下記表2〜3の配合に従って、油相と水相とを調製し、常法に従って、コンビネーターにより急冷可塑化することにより、実施例1〜2、比較例1〜3のシュー皮用油脂組成物(マーガリン)を調製した。なお、表2において、水相に用いる乳タンパク、乳ペプチドは、表1の5質量%の乳タンパク、乳ペプチド水溶液を用いた。
Figure 2021108591
<シュー皮の製造>
下記表3の配合に従って、実施例3〜4、比較例4〜6のシュー皮を、常法に従って製造した。具体的には、まず、下記表2に示された配合のシュー皮用油脂組成物と水と食塩を鍋に入れて加熱沸騰させた。加熱沸騰させた後、加熱を一旦中断し、フルイにかけた薄力粉を加え、よく練った。さらに弱火で加熱しながら、さらに練り上げた。鍋を火から下し、ミキサーボウルに移して低速で回しながら、ほぐした全卵を少しずつ(約5ml/秒)加えた。こうして得られたシュー皮種生地を天板に絞りだし(20g±0.5g)、上火200℃、下火205℃としたオーブンで20分間焼成して、下記のシュー皮を製造した。
Figure 2021108591
<シュー皮の評価>
上記のごとく製造した、シュー皮の食感、風味、色調、形状の良さについて、以下の評価方法に従って評価した。なお、上記評価は、同じ条件でシュー皮の製造を6回行い、その平均の結果を示したものである。
<シュー皮の評価方法>
(1)製造容易の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:絞り出したときに良好な硬さ
○:絞り出したときに問題のない硬さ
△:絞り出せるが、少し硬い
×:絞り出せない硬さ
(2)食感の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:歯切れがよく、ソフトな食感である
○:歯切れはまあまあよいが、ソフトな食感に欠ける(硬さをやや感じる)
△:歯切れの良さを感じず、ソフトな食感を感じない(硬さを感じる)
×:歯切れが悪く、硬い
(3)風味の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:しっとりとしていて、おいしい
○:しっとり感に欠けるが、おいしい
△:ややパサつきを感じて、あまりおいしくない
×:パサつきを感じて、おいしくない
(4)色調の評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:焼き色が美しく、非常に良好
○:焼き色が出ており、良好
△:やや焼き色の薄みが感じられ、幾分悪い
×:焼き色が薄く、悪い
(5)形状の良さの評価方法
以下の基準に従って、熟練した5名のパネラーにより、総合的に評価した。
◎:ボリューム、形状は良好である
○:ボリューム、形状はやや良好である
△:ボリューム、形状はやや不良である
×:ボリューム、形状は不良である
表3から明らかであるように、官能測定による評価において、乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドがカゼインに由来するものを含む水溶液を含有してなる油脂組成物(実施例1〜2)を用いることによって、製造が容易で、食感、風味、色調、形状に優れたシュー皮(実施例3〜4)が得られることがわかった。
次に、上記で得られたシュー皮について、皮のかたさ、体積、高さ、重量、比容積及び巣の発生率を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2021108591
<シュー皮の品質評価>
(1)皮のかたさの評価方法
皮のかたさは9個のシュー皮サンプルの平均値を測定したものである。なお、皮のかたさは、焼成後のシュー皮をクリープメーター(YAMADEN CREEP METER RE2-33005B)を使用して、φ4cm円柱プランジャーにて測定した。
(2)皮の体積、高さ、重量、比容積の評価方法
皮の体積、高さ、重量、比容積は5個のシュー皮サンプルの平均値を測定したものである。なお、皮の体積、高さ、重量、比容積は、焼成後のシュー皮を3Dレーザー体積計(ASTEX 3DLaser Volume Measurement Selnac-WinVM2100)にて測定した。
(3)巣の発生率の評価方法
巣の発生率は、シュー皮を半分に割り、中に巣ができているものが9個中いくつあるかによって算出した。この値が低いほどシュー皮の内相が良好であり、空隙の容積が大きいことを示すものである。
表4から明らかであるように、機械測定による評価においても、乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含む、乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる油脂組成物(実施例1〜2)を用いることによって、シュー皮のかたさが柔らかく、食べやすいものが得られていることがわかった(実施例3〜4)。また、皮の体積、高さ、重量、比容積も比較例に比べて良好であり、シュー皮として商品価値の高いものが得られていることが確認できた。特に巣の発生率が低く、良好な内相を有しており、空隙の容積が大きいことがわかった。したがって、カスタードクリームなどのフィリング材を十分に充填できるものであることがわかった。

Claims (6)

  1. 乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を含有してなる、シュー皮用油脂組成物であって、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことを特徴とする、シュー皮用油脂組成物。
  2. 前記油脂組成物が、マーガリンおよび/またはファットスプレッドの形態であることを特徴とする、請求項1に記載のシュー皮用油脂組成物。
  3. 前記油脂組成物には、上記乳タンパクおよび/または乳ペプチドが0.1〜10質量%含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシュー皮用油脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のシュー皮用油脂組成物を用いて得られるシュー皮。
  5. 請求項4に記載のシュー皮を含有する食品。
  6. 乳タンパクおよび/または乳ペプチドを含む水溶液を有効成分とする、シュー皮用品質改良剤であって、前記乳タンパクおよび/または乳ペプチドの濃度が20質量%であるときの前記水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以下であり、かつ、前記乳タンパクおよび乳ペプチドがカゼインに由来するものを含むことを特徴とする、シュー皮用品質改良剤。
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