JP2021091892A - 粘着テープ - Google Patents

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JP2021091892A
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雄大 緒方
Takehiro Ogata
雄大 緒方
彰 下地頭所
Akira Shimojitosho
彰 下地頭所
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Abstract

【課題】初期粘着力が高く、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できる粘着テープを提供する。【解決手段】粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層は、粘着ポリマーと、シリコーン化合物とを含有し、下記の調製方法により得られた抽出物トルエン溶液について全反射減衰法による赤外吸収分光光度計を用いて測定した800cm−1の吸光度(A)と3026cm−1の吸光度(B)との比(A/B)が0.2以下である粘着テープ。<抽出物トルエン溶液の調製方法>前記粘着剤層1.0gをテトラヒドロフラン20gに25℃で24時間浸漬した後、不溶物を取り除いて得られた溶液を乾燥させて抽出物を得る。得られた抽出物をトルエン1.0gに溶かし、抽出物のトルエン溶液を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、初期粘着力が高く、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できる粘着テープに関する。
半導体チップの製造工程において、ウエハや半導体チップの加工時の取扱いを容易にし、破損を防止するために粘着テープが用いられている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合、厚膜ウエハに粘着テープを貼り合わせた後に研削が行われる。また、粘着テープを介してウエハや半導体チップ等の被着体を支持板に固定し、支持板に固定された被着体に処理を施すことも行われる。
このような粘着テープには、加工工程中にウエハや半導体チップ等の被着体を強固に固定できるだけの高い接着性とともに、工程終了後にはウエハや半導体チップ等の被着体を損傷することなく剥離できることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離を実現した粘着テープとして、特許文献1には紫外線等の光を照射することにより硬化して粘着力が低下する光硬化型粘着剤を用いた粘着テープが開示されている。粘着剤として光硬化型粘着剤を用いることで、加工工程中には確実に被着体を固定できるとともに、紫外線等を照射することにより容易に剥離することができる。
また、特許文献2には、非シリコーン系粘着剤に、この粘着剤のベースポリマーと架橋反応しうる官能基を持ったシリコーン系グラフト共重合体を含有させた再剥離型粘着剤が開示されている。特許文献2には、接着力の上昇に対する抑制効果に優れるシリコーン系グラフト共重合体を用いることで、再剥離性を改善したことが記載されている。
特開平5−32946号公報 特開平2−123182号公報
高接着易剥離を実現するために、例えば、特許文献2に記載のように粘着剤層にシリコーン化合物等の離型剤を配合し、時間の経過に伴う粘着力の増大(接着亢進)を低減する方法が行われている。しかしながら、近年、ウエハや半導体チップ等の被着体に粘着テープを貼り合わせた状態で従来以上の高温、具体的には例えば250℃以上もの高温での加熱を伴う処理を施すことが増えており、このような高温での加熱を伴う工程を経ると接着亢進を低減する効果が充分に得られないという問題が生じている。また、高温での加熱を伴う工程を経ると粘着剤層から離型剤がブリードアウトすることによる被着体の汚染が起こりやすいという問題も生じている。
本発明は、初期粘着力が高く、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できる粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、粘着剤層を有する粘着テープであって、上記粘着剤層は、粘着ポリマーと、シリコーン化合物とを含有し、下記の調製方法により得られた抽出物トルエン溶液について全反射減衰法による赤外吸収分光光度計を用いて測定した800cm−1の吸光度(A)と3026cm−1の吸光度(B)との比(A/B)が0.2以下である粘着テープである。
<抽出物トルエン溶液の調製方法>
上記粘着剤層1.0gをテトラヒドロフラン20gに25℃で24時間浸漬した後、不溶物を取り除いて得られた溶液を乾燥させて抽出物を得る。得られた抽出物をトルエン1.0gに溶かし、抽出物のトルエン溶液を得る。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、粘着剤層にシリコーン化合物を配合したうえで、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、溶媒により粘着剤層から抽出されるシリコーン化合物の量を赤外吸収分光法により分析することを検討した。
本発明者らは、粘着剤層から得られた抽出物トルエン溶液についての特定の吸光度の比を一定レベル以下に調整し、溶媒により粘着剤層から抽出されるシリコーン化合物の量を抑えることで、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても粘着剤層からシリコーン化合物がブリードアウトすることを抑制し、被着体の汚染を低減できることを見出した。これにより、本発明を完成させるに至った。
本発明の粘着テープは、粘着剤層を有する。本発明の粘着テープは、粘着剤層を有してさえいれば、他の層を有していてもよい。また、本発明の粘着テープは、基材を有するサポートタイプであってもよく、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。本発明の粘着テープが基材を有する場合は、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有していればよく、片面粘着テープであっても両面粘着テープであってもよい。
上記粘着剤層は、粘着ポリマーと、シリコーン化合物とを含有する。
上記粘着剤層が粘着ポリマーと、シリコーン化合物とを含有することで、シリコーン化合物が分子移動して上記粘着剤層の表面に集まり、上記粘着剤層の表面が疎水的となる。これにより、上記粘着剤層と被着体とが相互作用しにくくなることから、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進を低減することができ、粘着テープを容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。
上記粘着剤層は、下記の調製方法により得られた抽出物トルエン溶液について全反射減衰法による赤外吸収分光光度計を用いて測定した800cm−1の吸光度(A)と3026cm−1の吸光度(B)との比(A/B)が0.2以下である。
<抽出物トルエン溶液の調製方法>
上記粘着剤層1.0gをテトラヒドロフラン20gに25℃で24時間浸漬した後、不溶物を取り除いて得られた溶液を乾燥させて抽出物を得る。得られた抽出物をトルエン1.0gに溶かし、抽出物のトルエン溶液を得る。
上記抽出物トルエン溶液について全反射減衰法による赤外吸収分光光度計を用いて測定した800cm−1の吸光度(A)は、シリコーン化合物のシロキサン結合に由来する吸光度であり、3026cm−1の吸光度(B)は、トルエンのベンゼン環に由来する吸光度である。従って、上記吸光度の比(A/B)が小さいほど、上記抽出物トルエン溶液におけるシリコーン化合物の量が少ないことを意味し、上記吸光度の比(A/B)が大きいほど、上記抽出物トルエン溶液におけるシリコーン化合物の量が多いことを意味する。
上記吸光度の比(A/B)を0.2以下とし、溶媒により上記粘着剤層から抽出されるシリコーン化合物の量を抑えることで、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても上記粘着剤層からシリコーン化合物がブリードアウトすることを抑制し、被着体の汚染を低減することができる。上記吸光度の比(A/B)の好ましい上限は0.15であり、より好ましい上限は0.10である。上記吸光度の比(A/B)の下限は特に限定されず、0に近いほどシリコーン化合物のブリードアウトを抑制できるため好ましい。
赤外吸収分光光度計としては、例えば、Thermo Scientific社製、Nicolet iS5を用いることができる。具体的には、以下の測定条件にて上記吸光度の比(A/B)を測定できる。
プリズム:ダイヤモンド
入射角:45°
反射回数:1回
分解能:4cm-1
積算回数:4cm-1
データ補間:0.5cm-1
積算回数:32回
なお、上記粘着剤層が硬化型である場合、上記吸光度の比(A/B)は、硬化後のものを指す。熱硬化型粘着剤層の場合、150℃で30分間加熱した後の状態を硬化後とし、光硬化型粘着剤層の場合、超高圧水銀紫外線照射器を用いて、波長405nmの紫外線を積算強度が3000mJ/cmとなるように粘着剤層に照射した後の状態を硬化後とする。このときの照射強度は特に限定されないが、10〜100mW/cmが好ましい。
上記吸光度の比(A/B)を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、上記粘着剤層に含まれる粘着ポリマー、シリコーン化合物、架橋剤等の種類、組成、物性、含有量等を調整すればよい。なかでも、シリコーン化合物としてシリコーン系グラフト共重合体を用いる方法、シリコーン化合物の含有量を特定範囲に調整する方法等が好ましい。
より具体的には、上記吸光度の比(A/B)を下げる方法として、例えば、シリコーン化合物の架橋可能な官能基の量を増やす方法、シリコーン化合物中のシリコーン分率を減らす方法、シリコーン化合物の分子量(重量平均分子量)を増大させる方法、粘着ポリマーの極性を低下させる方法、粘着ポリマーの極性官能基の量を増やす方法、粘着ポリマーが硬化型粘着剤の場合にラジカル重合性の不飽和結合の量を増やす方法、架橋剤の含有量を増やす方法等が挙げられる。
上記粘着剤層の動的粘弾性測定装置を用いて測定した25℃におけるせん断貯蔵弾性率は特に限定されないが、比較的大きい値をとる。これは、シリコーン化合物が分子移動して上記粘着剤層の表面に集まり、更に、後述するようにシリコーン化合物が上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有する場合には、架橋剤を介してシリコーン化合物が粘着ポリマーと結合し、上記粘着剤層の表面の架橋密度が上がるためである。
上記粘着剤層の動的粘弾性測定装置を用いて測定した25℃におけるせん断貯蔵弾性率の好ましい下限は4.0×10Pa、好ましい上限は2.0×10Paである。上記せん断貯蔵弾性率が4.0×10Pa以上であれば、初期粘着力が高くなり、また、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りをより抑えることができる。上記せん断貯蔵弾性率が2.0×10Pa以下であれば、上記粘着剤層が硬くなりすぎることを抑制することができる。上記せん断貯蔵弾性率のより好ましい下限は8.0×10Pa、より好ましい上限は1.5×10Paであり、更に好ましい下限は1.0×10Pa、更に好ましい上限は1.3×10Paである。上記せん断貯蔵弾性率の更により好ましい上限は1.0×10Pa、特に好ましい上限は7.0×10Pa、最も好ましい上限は2.0×10Paである。
なお、上記粘着剤層が硬化型である場合、上記粘着剤層の25℃におけるせん断貯蔵弾性率は、硬化後のものを指す。熱硬化型粘着剤層の場合、150℃で30分間加熱した後の状態を硬化後とし、光硬化型粘着剤層の場合、超高圧水銀紫外線照射器を用いて405nmの紫外線を積算強度が3000mJ/cmとなるように粘着剤層に照射した後の状態を硬化後とする。せん断貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御社製、DVA−200)を用いて、動的粘弾性測定のせん断モード、角周波数10Hz、昇温速度5℃/minで−50℃から200℃まで測定を行うことで求めることができる。
なお、上記粘着剤層の25℃におけるせん断貯蔵弾性率が上記範囲内であるとき、上記粘着剤層のせん断貯蔵弾性率は温度による変動がより小さい。そのため、上記粘着剤層が25℃において上記範囲のせん断貯蔵弾性率を有していれば、250℃程度の高温下においても、接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りをより抑えることができる。
上記粘着ポリマーは、極性官能基を有することが好ましい。
上記粘着ポリマーが上記極性官能基を有することで、後述するようにシリコーン化合物が上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有する場合には、架橋剤を介してシリコーン化合物が上記粘着ポリマーと結合することができる。これにより、シリコーン化合物がブリードアウトすることによる被着体の汚染をより低減することができる。
上記極性官能基は特に限定されず、例えば、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アミド基、ニトリル基等が挙げられる。なかでも、カルボキシル基、水酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記粘着ポリマーは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有することが好ましい。
上記粘着ポリマーが上記ラジカル重合性の不飽和結合を有することで、重合開始剤の存在下で熱や光等の刺激によって上記粘着剤層が硬化して弾性率が上昇し、粘着力が低下するため、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りをより抑えることができる。また、上記粘着ポリマーが上記ラジカル重合性の不飽和結合を有することで、他の重合性官能基を有する場合よりも架橋点の極性が下がり、上記粘着剤層の硬化時に架橋密度が上がることから、上記粘着剤層の弾性率がより上昇し、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りをより抑えることができる。
上記粘着ポリマーに上記ラジカル重合性の不飽和結合を導入する方法は特に限定されず、例えば、上記粘着ポリマーを合成する際にラジカル重合性の不飽和結合を有するモノマーを用いる方法、上記粘着ポリマーの前駆体ポリマーに、ラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物を反応させる方法等が挙げられる。
上記粘着ポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は50万、好ましい上限は150万である。上記重量平均分子量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の柔軟性が高くなり、被着体に対する密着性が向上するため、初期粘着力が高くなる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は80万、より好ましい上限は120万である。上記重量平均分子量を上記範囲に調整するには、例えば、上記粘着ポリマーの組成、重合方法、重合条件等を調整すればよい。
なお、重量平均分子量は、以下の方法により測定できる。
粘着ポリマーのテトラヒドロフラン溶液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過する。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(例えば、Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、粘着ポリマーのポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量を求める。カラムとしては、例えば、GPC KF−806L(昭和電工社製)を用い、移動相としては、テトラヒドロフランを用い、検出器としては、示差屈折計を用いる。
上記粘着ポリマーとして、具体的には例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ゴム系ポリマー等が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐候性に優れ、幅広い被着体に適用可能であることから、アクリル系ポリマーが好ましい。
上記粘着ポリマーが上記アクリル系ポリマーである場合、上記極性官能基を有するためには、上記アクリル系ポリマーが上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記極性官能基がカルボキシル基である場合、カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。上記極性官能基が水酸基である場合、水酸基を有するモノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記極性官能基がグリシジル基である場合、グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記極性官能基がアミド基である場合、アミド基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。上記極性官能基がニトリル基である場合、ニトリル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの極性官能基を有する
モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系ポリマーが上記カルボキシル基を有するモノマーに由来する構成単位を有する場合、その含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は10重量%である。上記含有量が0.1重量%以上であれば、上記アクリル系ポリマーがシリコーン化合物と架橋剤を介して充分に結合できるため、被着体の汚染をより低減することができる。上記含有量が10重量%以下であれば、上記粘着剤層が硬くなりすぎず、糊残りをより抑制することができる。
上記アクリル系ポリマーが上記水酸基を有するモノマーに由来する構成単位を有する場合、その含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記含有量が0.1重量%以上であれば、上記アクリル系ポリマーがシリコーン化合物と架橋剤を介して充分に結合できるため、被着体の汚染をより低減することができる。上記含有量が30重量%以下であれば、上記粘着剤層が高温でもより高い接着性を有することができる。
上記アクリル系ポリマーは、上記極性官能基を有するモノマーに由来する構成単位に加えて、他のラジカル重合性モノマーに由来する構成単位を有していてもよい。上記他のラジカル重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル化合物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ビニル化合物は特に限定されず、例えば、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。これらのビニル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粘着ポリマーが上記アクリル系ポリマーである場合、上記ラジカル重合性の不飽和結合を有するためには、上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基に対して、該極性官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、「官能基含有不飽和化合物」ともいう)を反応させることが好ましい。
なお、上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基のうち全ての極性官能基が上記官能基含有不飽和化合物と反応してしまうと、上記アクリル系ポリマーは極性官能基を有することができなくなる。このため、上記官能基含有不飽和化合物の種類、反応等量、反応条件等を適宜調整することにより、反応性を調整する必要がある。
上記官能基含有不飽和化合物は特に限定されず、上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基に応じて適宜選択することができる。
上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基がカルボキシル基の場合は、エポキシ基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物、イソシアネート基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物等が用いられる。上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基がヒドロキシル基の場合は、イソシアネート基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物等が用いられる。上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基がエポキシ基の場合は、カルボキシル基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物、アミド基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物等が用いられる。上記アクリル系ポリマーに存在する極性官能基がアミノ基の場合は、エポキシ基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物等が用いられる。
上記アクリル系ポリマーは、モノマー混合物を共重合して得られる。上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル系ポリマーを得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。上記モノマー混合物をラジカル反応させる際の反応方式としては、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーは、リビングラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー(以下、「リビングラジカル重合アクリル系ポリマー」ともいう)であることが好ましい。リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合では、生長末端ラジカルが失活することなく、また、反応中に新しくラジカル種が発生することもなく、反応が進行する。その反応途中では、全ての分子鎖が均一にモノマーと反応しながら重合し、全ての分子鎖の組成は均一に近づく。
従って、リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有するポリマーが得られ、低分子量成分の生成を抑えることができるため、上記粘着剤層の凝集力が高くなる。その結果、初期粘着力が高くなり、また、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りをより抑えることができる。
一方、フリーラジカル重合では、反応中に連続的にラジカル種が発生してモノマーに付加し、重合が進行する。そのためフリーラジカル重合では、反応の途中で生長末端ラジカルが失活した分子鎖や、反応中に新しく発生したラジカル種により生長した分子鎖が生成する。
従って、フリーラジカル重合によれば、リビングラジカル重合と比較するとポリマーの組成が不均一となり、比較的低分子量のポリマーも含まれる。
上記リビングラジカル重合においては、種々の重合方式を採用してもよい。例えば、鉄、ルテニウムや銅触媒及びハロゲン系開始剤を用いてよく(ATRP)、TEMPOを用いてよく、有機テルル重合開始剤を用いてよい。なかでも、有機テルル重合開始剤を用いることが好ましい。有機テルル重合開始剤を用いたリビングラジカル重合は、他のリビングラジカル重合とは異なり、水酸基やカルボキシル基のような極性官能基を有するラジカル重合性モノマーをいずれも保護することなく、同一の開始剤で重合して均一な分子量及び組成を有するポリマーを得ることができる。このため、極性官能基を有するラジカル重合性モノマーを容易に共重合することができる。
上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。
上記有機テルル化合物として、例えば、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−アミノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−シアノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−(メチルテラニル−メチル)ピリジン、2−(1−メチルテラニル−エチル)ピリジン、2−(2−メチルテラニル−プロピル)ピリジン、2−メチルテラニル−エタン酸メチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−エタン酸エチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸エチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルアセトニトリル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル等が挙げられる。これらの有機テルル化合物中のメチルテラニル基は、エチルテラニル基、n−プロピルテラニル基、イソプロピルテラニル基、n−ブチルテラニル基、イソブチルテラニル基、t−ブチルテラニル基、フェニルテラニル基等であってもよく、また、これらの有機テルル化合物は、
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機テルリド化合物として、例えば、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。これらの有機テルリド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。上記アゾ化合物として、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リビングラジカル重合アクリル系ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、好ましい下限は1.05、好ましい上限は2.5である。上記分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の凝集力が高くなる。その結果、初期粘着力が高くなり、また、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記分子量分布(Mw/Mn)のより好ましい下限は1.1、より好ましい上限は2.0である。
上記アクリル系ポリマーは、定温フリーラジカル重合により得られたアクリル系ポリマー(以下、「定温フリーラジカル重合アクリル系ポリマー」ともいう)であってもよい。上述したように、フリーラジカル重合によれば、リビングラジカル重合と比較するとポリマーの組成が不均一となり、比較的低分子量のポリマーも含まれる。ただし、フリーラジカル重合のなかでも定温フリーラジカル重合によれば、沸点フリーラジカル重合と比較して低分子量成分の生成を抑えることができるため、上記粘着剤層の凝集力が高くなる。その結果、初期粘着力が高くなり、また、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際には、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記モノマー混合物をラジカル反応させる際に重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されない。該重合溶媒として、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合温度は、重合速度の観点から0〜110℃が好ましい。
上記シリコーン化合物は、シロキサン結合を含有する化合物であれば特に限定されず、具体的には例えば、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン系グラフト共重合体、シリコーン系ブロック共重合体等が挙げられる。なかでも、架橋剤を介して上記粘着ポリマーと結合することにより、上記シリコーン化合物がブリードアウトすることによる被着体の汚染をより低減できることから、シリコーン系グラフト共重合体が好ましい。更に、上記粘着剤層の表面に集まりやすく、接着亢進をより低減できることから、シリコーン系グラフト共重合体がより好ましい。
上記シリコーン系グラフト共重合体は、シロキサン結合を含有するグラフト鎖を有する共重合体である。
上記シリコーン系グラフト共重合体は特に限定されないが、シリコーンマクロモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記シリコーンマクロモノマーは、シロキサン結合含有基を有するモノマーであれば特に限定されず、例えば、アクリル系シリコーンマクロモノマー、スチレン系シリコーンマクロモノマー等が挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐候性に優れることから、アクリル系シリコーンマクロモノマーが好ましく、下記一般式(1)又は(2)に示す構造を有するアクリル系シリコーンマクロモノマーがより好ましい。
Figure 2021091892
ここで、Rは(メタ)アクリロイル基含有官能基を表し、X及びYはそれぞれ独立して、0以上の整数を表す。
Rとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。X及びYの上限は特に限定されないが、X及びYは通常5000以下であり、500以下が好ましく、200以下がより好ましい。
上記シリコーンマクロモノマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は500、好ましい上限は5万である。上記重量平均分子量が上記範囲内であれば、上記シリコーン系グラフト共重合体によって形成される疎水的な表面層が厚くなることから、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は2万である。
上記シリコーンマクロモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、上記シリコーン系グラフト共重合体中の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は90重量%である。上記含有量が上記範囲内であれば、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記含有量のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は80重量%であり、更に好ましい下限は10重量%、更に好ましい上限は60重量%である。
上記シリコーン化合物は、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有することが好ましい。
上記シリコーン化合物が上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有することで、架橋剤を介して上記シリコーン化合物が上記粘着ポリマーと結合する。これにより、上記シリコーン化合物がブリードアウトすることによる被着体の汚染をより低減することができる。
上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基は特に限定されず、上記粘着ポリマーに存在する官能基に合わせて適宜決定され、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アミド基、ニトリル基等が挙げられる。なかでも、イソシアネート基、カルボキシル基、水酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基は、意図せぬ反応を抑えることを目的として、保護基により保護されていてもよい。上記保護基は特に限定されないが、熱によって離脱する保護基が好ましく、具体的には例えば、ピラゾール基、フェノール基、オキシム基、ラクタム基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
上記保護基は、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基に合わせて適宜決定され、カルボキシル基の保護基として、例えば、ビニルエーテル基等が挙げられ、イソシアネート基の保護基として、例えば、ピラゾール基等が挙げられる。また、水酸基の保護基として、例えば、シリル基、アセチル基、アセタール系保護基、ベンジル基、アリル基、ピラゾール基、フェノール基、オキシム基、ラクタム基等が挙げられる。
上記シリコーン系グラフト共重合体が上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有する場合、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基は、上記シリコーン系グラフト共重合体のグラフト鎖に存在してもよく、主鎖に存在してもよく、グラフト鎖及び主鎖に存在してもよい。
上記シリコーン系グラフト共重合体は、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するためには、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するモノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。
上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するモノマーは特に限定されず、上記粘着ポリマーとしてのアクリル系ポリマーの場合に用いられる上述したような極性官能基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。
また、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基がイソシアネート基である場合、該イソシアネート基は保護基により保護されていてもよい。この場合、保護されたイソシアネート基を有するモノマーとして、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2−[0−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリラート等が挙げられる。
上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は特に限定されないが、上記シリコーン系グラフト共重合体中の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は40重量%である。上記含有量が上記範囲内であれば、上記シリコーン系グラフト共重合体が上記粘着ポリマーと充分に結合しながらも、上記粘着ポリマー同士でも充分な架橋構造を構築することができるため、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記含有量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は30重量%、更に好ましい上限は20重量%、更により好ましい上限は10重量%である。
また、上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基は、ラジカル重合性の不飽和結合であってもよい。この場合、上記シリコーン系グラフト共重合体が上記ラジカル重合性の不飽和結合を有するためには、上記シリコーン系グラフト共重合体に存在する官能基に対して、該官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物を反応させることが好ましい。このような化合物は特に限定されず、上記粘着ポリマーとしてのアクリル系ポリマーの場合に用いられる上述したような官能基含有不飽和化合物と同様の化合物を用いることができる。
上記シリコーン系グラフト共重合体は、上記シリコーンマクロモノマーに由来する構成単位及び上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有するモノマーに由来する構成単位に加えて、更に、(メタ)アクリル酸エステル、ビニル化合物、他の極性官能基を有するモノマー等に由来する構成単位を有していてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル及び上記ビニル化合物は特に限定されず、上記粘着ポリマーとしてのアクリル系ポリマーの場合に用いられる上述したような(メタ)アクリル酸エステルと同様のモノマーを用いることができる。なかでも、適度な粘着力を付与できることから、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
上記シリコーン系グラフト共重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は5000、好ましい上限は40万である。上記重量平均分子量が5000以上であれば、上記シリコーン系グラフト共重合体が上記粘着ポリマーの架橋構造に取り込まれやすくなるため、被着体の汚染をより低減することができる。上記重量平均分子量が40万以下であれば、上記シリコーン系グラフト共重合体が上記粘着剤層内で動きやすくなり、上記粘着剤層の表面に集まりやすくなることから、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記重量平均分子量のより好ましい上限は30万、更に好ましい上限は25万、特に好ましい上限は20万であり、より好ましい下限は1万である。
上記シリコーン系グラフト共重合体の製造方法は特に限定されず、モノマー混合物を共重合して得ることができる。上記モノマー混合物を共重合してシリコーン系グラフト共重合体を得る方法は特に限定されず、上記粘着ポリマーとしてのアクリル系ポリマーの場合と同様の方法を用いることができる。
上記シリコーン化合物の含有量は特に限定されないが、上記粘着ポリマー100重量部に対する好ましい下限は1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記含有量が1重量部以上であれば、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記含有量が20重量部以下であれば、上記粘着剤層の初期粘着力が高くなり、また、上記粘着剤層の白濁を抑えることもできる。上記含有量のより好ましい下限は2重量部、より好ましい上限は15重量部であり、更に好ましい下限は3重量部、更に好ましい上限は10重量部である。
また、上記シリコーン化合物が上記シリコーン系グラフト共重合体である場合には、上記シリコーン系グラフト共重合体は上記粘着剤層の表面に集まりやすいため、上記シリコーン化合物のなかでは比較的少ない量で用いることができる。上記シリコーン系グラフト共重合体の含有量は、上記粘着ポリマー100重量部に対する好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部であり、より好ましい下限が0.5重量部、より好ましい上限が5重量部であり、更に好ましい下限が1重量部である。
上記粘着剤層は、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
上記粘着剤層が上記架橋剤を含有することで、上記粘着ポリマーを架橋することで上記粘着剤層の凝集力を調整しやすくなる。その結果、初期粘着力が高くなり、また、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても接着亢進をより低減することができ、粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。
また、上記粘着剤層が上記架橋剤を含有することで、上記シリコーン化合物が上記粘着ポリマーと架橋可能な官能基を有する場合には、上記架橋剤を介して上記シリコーン化合物が上記粘着ポリマーと結合する。これにより、上記シリコーン化合物がブリードアウトすることによる被着体の汚染をより低減することができる。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層の凝集力が高まることから、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤が好ましい。
上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、より適度な凝集力とする観点及び上記粘着ポリマーと上記シリコーン化合物とを充分に結合させる観点から、上記粘着ポリマー100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が1重量部であり、より好ましい下限が0.1重量部、より好ましい上限が0.5重量部である。
上記粘着剤層は、更に、重合開始剤を含有することが好ましい。
上記粘着剤層が上記重合開始剤を含有することで、上記粘着ポリマーが上記ラジカル重合性の不飽和結合を有する場合には、上記重合開始剤の存在下で熱や光等の刺激によって上記粘着剤層が硬化して弾性率が上昇し、粘着力が低下するため、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても粘着テープをより容易に剥離でき、糊残りを抑えることができる。上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。なかでも、被着体に加熱を伴う処理を施す際の熱によって上記粘着剤層を硬化させることができるため別途上記粘着剤層を硬化させる工程を必要としないこと、また、光を通さない被着体に用いた場合であっても硬化が可能であることから、熱重合開始剤が好ましい。
上記光重合開始剤は特に限定されず、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられる。このような光重合開始剤として、例えば、アセトフェノン誘導体化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、フォスフィンオキシド誘導体化合物ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等が挙げられる。
上記アセトフェノン誘導体化合物として、例えば、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系化合物として、例えば、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。上記ケタール誘導体化合物として、例えば、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱重合開始剤は特に限定されず、例えば、熱により分解し、重合反応を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられる。具体的には例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾール、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記重合開始剤の含有量は特に限定されず、上記粘着ポリマー及び上記重合開始剤の種類に応じて適宜決定されるが、上記粘着ポリマー100重量部に対する好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が10重量部であり、より好ましい下限が1重量部、より好ましい上限が8重量部である。
上記粘着剤層は、ヒュームドシリカ等の無機フィラー、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤、酸化防止剤、ガス発生剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが上記範囲内であれば、粘着テープを充分な粘着力で被着体に貼り付けることができ、工程終了後には糊残りを抑えることができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は60μmである。
本発明の粘着テープがサポートタイプである場合、上記基材を構成する材料は特に限定されないが、耐熱性を有する材料であることが好ましい。耐熱性を持つ材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れることから、ポリイミドが好ましい。
上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は25μm、好ましい上限は250μmである。上記基材の厚みが上記範囲内であれば、取り扱い性に優れる粘着テープとすることができる。上記基材の厚みのより好ましい下限は50μm、より好ましい上限は125μmである。
本発明の粘着テープを製造する方法は特に限定されず、例えば、以下のような方法が挙げられる。
まず、粘着ポリマーの溶液にシリコーン化合物、架橋剤、重合開始剤及び必要に応じて他の添加剤を加えて混合することで粘着剤溶液を得る。次いで、離型フィルム上に粘着剤溶液を塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成する。得られた粘着剤層を基材と貼り合わせて粘着テープを製造する。
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、半導体チップ、表示装置(OLED、液晶表示装置等)等の電子部品の製造において用いられることが好ましい。より具体的には、電子部品の製造において、粘着テープを介してウエハや半導体チップ等の被着体を支持板に固定し、支持板に固定された被着体に処理を施す際に用いられることが好ましい。本発明の粘着テープは、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できることから、ウエハや半導体チップ等の被着体に粘着テープを貼り合わせた状態で従来以上の高温、具体的には例えば250℃以上もの高温での加熱を伴う処理を施す際にも好適に用いることができる。このような高温での加熱を伴う処理としては、例えば、リフロー工程、スパッタリング工程、蒸着工程、エッチング工程、化学気相成長(CVD)工程、物理気相成長(PVD)工程、レジスト塗布工程、パターニング工程、モールド工程等の加熱処理又は発熱を伴う処理が挙げられる。
本発明によれば、初期粘着力が高く、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できる粘着テープを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(アクリル系ポリマーAの合成(リビングラジカル重合))
Tellurium(40メッシュ、金属テルル、アルドリッチ社製)6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLに懸濁させ、これに1.6mol/Lのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(アルドリッチ社製)34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで攪拌した。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物の2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチルを得た。
アルゴン置換したグローブボックス内で、反応容器中に、得られた2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチル19μL、V−60(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、富士フイルム和光純薬社製)34mg、酢酸エチル1mLを投入した後、反応容器を密閉し、反応容器をグローブボックスから取り出した。続いて、反応容器にアルゴンガスを流入しながら、反応容器内に、モノマー混合物100gに対し、重合溶媒として酢酸エチル66.5gを投入し、60℃で20時間重合反応を行い、アクリル系ポリマーA含有溶液を得た。モノマー混合物としては、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA)100重量部、アクリル酸(Aac)3重量部、及び、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)0.1重量部を用いた。
得られたアクリル系ポリマーA含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍に希釈した。得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過した。得られた濾液をゲル浸透クロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Model)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル系ポリマーAのポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。重量平均分子量(Mw)は90万、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。カラムとしては、GPC KF−806L(昭和電工社製)を用い、移動相としては、テトラヒドロフランを、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(アクリル系ポリマーBの合成(ラジカル重合性の不飽和結合を有するアクリル系ポリマーのフリーラジカル重合))
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、モノマー混合物の合計100重量部、酢酸エチル80重量部を加えた。モノマー混合物としては、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA)79重量部、アクリル酸(Aac)1重量部、及び、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)20重量部を用いた。この反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてV−60(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、富士フイルム和光純薬社製)0.05重量部を投入し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から2時間後にもV−60(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、富士フイルム和光純薬社製)0.15重量部を投入した。還流下で、重合開始から8時間重合反応を行い、ポリマー含有溶液を得た。
反応容器に、得られたポリマー100重量部に対し、ヒドロキノン10ppmを投入して60℃に加熱した。続いて、反応容器内に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)8重量部を60分かけて反応容器内に滴下し、更に60℃で120分間反応することにより、アクリル系ポリマーB含有溶液を得た。アクリル系ポリマーAと同様にして求めたところ、重量平均分子量(Mw)は60万、分子量分布(Mw/Mn)は5.3であった。
(合成例1〜6(シリコーン系グラフト共重合体の合成))
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意した。この反応器内に、表1に示すモノマー混合物の合計100重量部、酢酸エチル80重量部を加えた。この反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、V−60)0.1重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後にも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、V−60)を0.1重量部添加し、更に、重合開始から6時間後に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬社製、V−60)を0.2重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から7時間後に、シリコーン系グラフト共重合体(合成例1〜6)の酢酸エチル溶液を得た。
アクリル系ポリマーAと同様にして求めたところ、重量平均分子量(Mw)は合成例1で7.1万、合成例2で6.6万、合成例3で6.7万、合成例4で6.9万、合成例5で6.5万、合成例6で6.6万であった。
Figure 2021091892
2EHA:2−(エチルヘキシル)アクリレート
シリコーンマクロモノマー:片末端メタクリロイル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製、重量平均分子量4600)
AAc:アクリル酸
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
MOI−BP:2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート
MOI:MOIを除くモノマー混合物を重合し得られたポリマーに、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を滴下し、60℃で120分間反応することにより、ラジカル重合性の不飽和結合を付与したことを意味する。
(実施例1)
(1)粘着テープの製造
アクリル系ポリマーA含有溶液に、その不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、表2に示すように離型剤及び架橋剤を添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤溶液を得た。得られた粘着剤溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが40μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、粘着テープを得た。
(2)吸光度の比(A/B)の測定
粘着剤層1.0gをテトラヒドロフラン20gに25℃で24時間浸漬した後、不溶物を取り除いて得られた溶液を乾燥させて抽出物を得た。得られた抽出物をトルエン1.0gに溶かし、抽出物のトルエン溶液を得た。全反射減衰法による赤外吸収分光光度計(Thermo Scientific社製、Nicolet iS5)を用い、抽出物トルエン溶液の赤外吸収スペクトルを測定し、800cm−1の吸光度(A)と3026cm−1の吸光度(B)との比(A/B)を求めた。具体的には、以下の測定条件にて吸光度の比(A/B)を測定した。
プリズム:ダイヤモンド
入射角:45°
反射回数:1回
分解能:4cm-1
積算回数:4cm-1
データ補間:0.5cm-1
積算回数:32回
なお、実施例8〜12、14では、粘着剤層が熱硬化型であるため、せん断貯蔵弾性率の測定の前に150℃、30分間の加熱処理を行った。また、実施例13では、粘着剤層が光硬化型であるため、せん断貯蔵弾性率の測定の前に粘着剤層に超高圧水銀灯を20mW/cmの強度で150秒間照射した。
(3)25℃におけるせん断貯蔵弾性率の測定
上記の粘着テープの製造と同様にして6mm×10mmの粘着剤層のみからなる測定サンプルを作製した。この測定サンプルについて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製、DVA−200)を用いて、動的粘弾性測定のせん断モード、角周波数10Hz、昇温速度5℃/minで−50℃から200℃まで測定を行い、25℃におけるせん断貯蔵弾性率を求めた。
なお、実施例8〜12、14では、粘着剤層が熱硬化型であるため、せん断貯蔵弾性率の測定の前に150℃、30分間の加熱処理を行った。また、実施例13では、粘着剤層が光硬化型であるため、せん断貯蔵弾性率の測定の前に粘着剤層に超高圧水銀灯を20mW/cmの強度で150秒間照射した。
(実施例2〜14、比較例1〜6)
粘着剤層の組成を表2又は表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表2又は表3に示した。
(1)初期粘着力の評価
粘着テープを25mm幅に裁断した。室温23℃、相対湿度50%の環境下、裁断した粘着テープを、2kgの圧着ゴムローラーを用いて10mm/SECの速度でガラス(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)に貼り付けた。30分間放置した後、JIS Z0237:2009に準拠し、粘着テープを300mm/minの速度で引き剥がして180度剥離強度を測定した。
剥離強度が0.05N/25mm未満の場合を×、0.05N/25mm以上、1.0N/25mm未満の場合を〇、1.0N/25mm以上の場合を◎と示した。
(2)加熱後粘着力の評価
粘着テープを25mm幅に裁断した。室温23℃、相対湿度50%の環境下、裁断した粘着テープを、2kgの圧着ゴムローラーを用いて10mm/SECの速度でガラス(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)に貼り付けた。次いで、250℃、30分の加熱処理を1回行った。放冷後、JIS Z0237:2009に準拠し、粘着テープを300mm/minの速度で引き剥がして180度剥離強度を測定した。なお、実施例8〜12、14では、粘着剤層が熱硬化型であるため、250℃、30分の加熱処理を行う前に150℃、30分間の加熱処理を行った。また、実施例13では、粘着剤層が光硬化型であるため、250℃、30分の加熱処理を行う前に粘着剤層に超高圧水銀灯を20mW/cmの強度で150秒間照射した。
剥離強度が0.5N/25mm以上の場合を×、0.5N/25mm未満、0.2N/25mm以上の場合を〇、0.2N/25mm未満の場合を◎と示した。
(3)汚染性の評価
加熱後粘着力の評価後のガラス(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)の表面について、JIS K 7361−1:1997に準拠してヘイズ値を測定した。具体的には、加熱後粘着力の評価後のガラスを、室温25℃、湿度40%の環境下にて、ヘイズメータ(村上色彩技術研究所社製、「HM−150」)に設置し、ヘイズ値(%)を測定した。
加熱後粘着力評価後のガラスのヘイズ値が1.5%以上の場合を×、1.5%未満の場合を〇と示した。
Figure 2021091892
Figure 2021091892
シリコーンオイル:KF−96−10cs(信越化学社製)
エポキシ変性シリコーン:X−22−163C(信越化学社製)
シリコーンジアクリレート:EBECRYL350(ダイセル・オルネクス社製)
エポキシ系架橋剤:テトラッドC(三菱ガス化学社製)
イソシアネート系架橋剤:コロネートL(日本ポリウレタン社製)
熱重合開始剤:パーブチルO(日油社製)
光重合開始剤:Omnirad369(IGM Resins社製)
本発明によれば、初期粘着力が高く、高温での加熱を伴う工程を経た場合であっても被着体の汚染を低減しつつ容易に剥離できる粘着テープを提供することができる。

Claims (6)

  1. 粘着剤層を有する粘着テープであって、
    前記粘着剤層は、粘着ポリマーと、シリコーン化合物とを含有し、下記の調製方法により得られた抽出物トルエン溶液について全反射減衰法による赤外吸収分光光度計を用いて測定した800cm−1の吸光度(A)と3026cm−1の吸光度(B)との比(A/B)が0.2以下である
    ことを特徴とする粘着テープ。
    <抽出物トルエン溶液の調製方法>
    前記粘着剤層1.0gをテトラヒドロフラン20gに25℃で24時間浸漬した後、不溶物を取り除いて得られた溶液を乾燥させて抽出物を得る。得られた抽出物をトルエン1.0gに溶かし、抽出物のトルエン溶液を得る。
  2. 前記粘着剤層は、前記粘着ポリマー100重量部に対する前記シリコーン化合物の含有量が1重量部以上20重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層は、動的粘弾性測定装置を用いて測定した25℃におけるせん断貯蔵弾性率が4.0×10Pa以上2.0×10Pa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
  4. 前記シリコーン化合物は、シリコーン系グラフト共重合体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
  5. 前記粘着ポリマーは、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
  6. 前記粘着剤層は、更に、熱重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023054085A1 (ja) * 2021-09-29 2023-04-06 日東電工株式会社 粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を用いた粘着シート

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