JP2020143248A - シリコーン系グラフト共重合体、粘着剤組成物及び粘着テープ - Google Patents

シリコーン系グラフト共重合体、粘着剤組成物及び粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】初期粘着力が高く、高温の熱処理工程に供しても接着亢進を抑えることができるシリコーン系グラフト共重合体、並びに該シリコーン系グラフト共重合体を含有する粘着剤組成物及び粘着テープを提供する。【解決手段】極性官能基含有モノマーに由来する構造と、前記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーに由来する構造と、シリコーンマクロモノマーに由来する構造とを有する、シリコーン系グラフト共重合体。【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコーン系グラフト共重合体、並びに該シリコーン系グラフト共重合体を含有する粘着剤組成物及び粘着テープに関する。
近年、粘着テープは各種産業分野に用いられている。建築分野では養生シートの仮固定、内装材の貼り合わせ等に、自動車分野ではシート、センサー等の内装部品の固定、サイドモール、サイドバイザー等の外装部品の固定等に、電気電子分野ではモジュール組み立て、モジュールの筐体への貼り合わせ等に両面粘着テープが用いられている。具体的には、例えば、画像表示装置又は入力装置を搭載した携帯電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)において、組み立てのために両面粘着テープが用いられている。より具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために両面粘着テープが用いられている。このような両面粘着テープは、例えば、額縁状等の形状に打ち抜かれ、表示画面の周辺に配置されるようにして用いられる(例えば、特許文献1、2)。また、車輌部品(例えば、車載用パネル)を車両本体に固定する用途にも両面粘着テープが用いられている。
特開2009−242541号公報 特開2009−258274号公報
粘着テープの用途によっては、粘着テープを被着体に貼りつけたまま高温の熱処理工程を行い、その後、粘着テープを剥離する必要がある。例えば、半導体チップの製造工程において、両面粘着テープを介して半導体ウエハを支持板に接着して補強した状態で、各種の高温の熱処理工程を行い、その後に半導体ウエハを支持板から剥離することが行われる。ここで、高温の熱処理工程により粘着テープが接着亢進してしまうと、半導体ウエハを支持板から剥離することが困難となったり、剥離時に半導体ウエハの表面に糊残りしてしまったりすることがある。これに対して、剥離助剤として粘着剤層にシリコーン化合物を配合することが行われる。シリコーン化合物を配合することにより、粘着剤層からブリードアウトしたシリコーン化合物によって接着亢進を防止することができる。
しかしながら、従来のシリコーン化合物は被着体の種類によっては接着亢進を充分に抑えることが難しい場合がある。従来のシリコーン化合物は低極性であることから高極性の物質と親和性が低いという性質があり、被着体が半導体ウエハのような極性の高いものである場合、粘着テープ表面にブリードアウトしたシリコーン化合物が表面に留まることができず、被着体との界面から拡散してしまう。そのため、粘着テープと被着体との界面に存在するシリコーン化合物が減少してしまい、接着亢進を充分に抑えることができないことがある。特に200℃以上の熱処理工程を伴う場合は、熱によってシリコーン化合物がより動きやすくなるため、被着体との界面からシリコーン化合物が離れやすくなってしまい、接着亢進が大きくなってしまう。
また、粘着テープは接着亢進を抑える必要がある一方で、貼り付け時には高い粘着力を有している必要がある(以下、貼り付け時の粘着力を初期粘着力という)。しかしながら、従来のシリコーン化合物は、上記の理由から大量に使用しなければ接着亢進を抑えることができず、シリコーン化合物を大量に使用すると初期粘着力が低下してしまうという問題もある。
本発明は、上記現状に鑑み、初期粘着力が高く、高温の熱処理工程に供しても接着亢進を抑えることができるシリコーン系グラフト共重合体、並びに該シリコーン系グラフト共重合体を含有する粘着剤組成物及び粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、極性官能基含有モノマーに由来する構造と、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーに由来する構造と、シリコーンマクロモノマーに由来する構造とを有する、シリコーン系グラフト共重合体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構造と、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーに由来する構造と、シリコーンマクロモノマーに由来する構造とを有する。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体が極性官能基を有していると、粘着テープに用いられた場合に、極性の高い被着体との界面に集まりやすくすることができ、更に初期粘着力を高めることもできる。また、本発明のシリコーン系グラフト共重合体が極性官能基と架橋可能な官能基を有していると、他のシリコーン系グラフト共重合体の極性官能基と結合することができる。シリコーン系グラフト共重合体同士が結合(自己架橋)することで、被着体との界面に集まったシリコーン系グラフト共重合体が界面で固定されるため、シリコーン部位も界面に固定され、高温下での接着亢進を抑えることができる。更に、自己架橋したシリコーン系グラフト共重合体は弾性率が上昇することから接着亢進をより抑えることができるとともに、糊残りも抑えることができる。
上記極性官能基含有モノマーは、極性官能基を有していれば特に限定されない。上記極性官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミド基、エポキシ基等が挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アミド基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては例えば、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、極性の高い被着体との界面に集まりやすくなることから水酸基含有モノマーであることが好ましい。また、耐熱性、耐候性に優れることから、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーであることがより好ましい。
上記極性官能基含有モノマーは、極性官能基と結合した保護基を有することが好ましい。
極性官能基含有モノマーが極性官能基と結合した保護基を有していることで、意図せぬ自己架橋反応を抑えることができる。上記保護基は、上記極性官能基に応じて、従来知られている保護基を適宜使用することができる。例えば、上記極性官能基が水酸基である場合、保護基としてはシリル基、アセチル基、アセタール系保護基、ベンジル基、アリル基、ピラゾール基、フェノール基、オキシム基、ラクタム基等が挙げられ、上記極性官能基含がカルボキシ基である場合、保護基としてはビニルエーテル基等が挙げられる。これらのなかでも、熱処理工程時に自己架橋反応を開始できることから、熱によって脱離する保護基であることが好ましい。熱によって脱離する保護基としては、ピラゾール基、フェノール基、オキシム基、ラクタム基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体の原料モノマー中における上記極性官能基含有モノマーの含有量は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
極性官能基含有モノマーの含有量が上記範囲であることで、高温下での接着亢進をより抑えることができる。高温下での接着亢進を更に抑える観点から、上記極性官能基含有モノマーの含有量のより好ましい下限は0.3重量%、更に好ましい下限は0.5重量%、更により好ましい下限は0.7重量%、特に好ましい下限は1重量%であり、より好ましい上限は18重量%、更に好ましい上限は15重量%、更により好ましい上限は12重量%、特に好ましい上限は10重量%、とりわけ好ましい上限は8重量%、非常に好ましい上限は5重量%である。
上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーは、上記極性官能基と架橋可能な官能基を有していれば特に限定されない。上記極性官能基と架橋可能な官能基としては、例えば、上記極性官能基が水酸基である場合はイソシアネート基、上記極性官能基がカルボキシ基である場合はエポキシ基等が挙げられる。イソシアネート基含有モノマーとしては、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、極性の高い被着体との界面に集まりやすい水酸基含有モノマーと架橋可能なことからイソシアネート基含有モノマーであることが好ましく、後述する保護基がイソシアネート基と結合したブロックイソシアネート基含有モノマーであることがより好ましい。また、耐熱性及び耐候性に優れることから、ブロックイソシアネート基含有(メタ)アクリルモノマーであることが更に好ましい。
上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーは、極性官能基と架橋可能な官能基と結合した保護基を有することが好ましい。
上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーが極性官能基と架橋可能な官能基と結合した保護基を有していることで、意図せぬ自己架橋反応を抑えることができる。上記保護基は、上記極性官能基と架橋可能な官能基に応じて、従来知られている保護基を適宜使用することができる。例えば、上記極性官能基と架橋可能な官能基がカルボキシ基である場合、保護基としてはビニルエーテル基等が挙げられ、イソシアネート基である場合はピラゾール基等が挙げられる。これらのなかでも、熱処理工程時に自己架橋反応を開始できることから、熱によって脱離する保護基であることが好ましい。熱によって脱離する保護基としては、ピラゾール基、フェノール基、オキシム基、ラクタム基、ビニルエーテル基等が挙げられる。なお、上記保護基は上記極性官能基モノマー又は上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーの少なくとも一方に存在していればよく、両方に存在していてもよい。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体の原料モノマー中における上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーの含有量は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーの含有量が上記範囲であることで、高温下での接着亢進をより抑えることができる。高温下での接着亢進を更に抑える観点から、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーの含有量のより好ましい下限は0.3重量%、更に好ましい下限は0.5重量%、更により好ましい下限は0.7重量%、特に好ましい下限は1重量%であり、より好ましい上限は10重量%、更に好ましい上限は8重量%、更により好ましい上限は5重量%である。
上記シリコーンマクロモノマーとしては、シロキサン結合を有するモノマーであればよく、例えば、シロキサン結合を有するアクリル系モノマー、シロキサン結合を有するスチレン系モノマー等が挙げられる。なかでも、耐熱性、耐候性に優れることから、シロキサン結合を有するアクリル系モノマーが好ましい。上記シロキサン結合を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、以下のような構造式を有するモノマーが挙げられる。
Figure 2020143248
ここで、Rは(メタ)アクリロイル基含有官能基を表し、X及びYは、それぞれ独立して、0以上の整数を表し、通常5000以下、特に500以下の整数を表す。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体の原料モノマー中における上記シリコーンマクロモノマーの含有量は、1重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
シリコーンマクロモノマーの含有量が上記範囲であることで、高温下での接着亢進をより抑えることができる。高温下での接着亢進を更に抑える観点から、上記シリコーンマクロモノマーの含有量のより好ましい下限は5重量%、更に好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は80重量%、更に好ましい上限は60重量%である。
上記極性官能基含有モノマーが水酸基含有モノマーであり、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーがイソシアネート基含有モノマーである場合、上記水酸基と上記イソシアネート基の当量比(水酸基/イソシアネート基)が0.1以上10以下であることが好ましい。
水酸基とイソシアネート基の比率を上記範囲とすることで、自己架橋反応が効率よく進むため、被着体との界面の弾性率がより向上し、被着体への糊残りを低減することができる。より被着体への糊残りを低減する観点から、上記水酸基と上記イソシアネート基の当量比は0.2以上であることがより好ましく、0.4以上であることが更に好ましく、4以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましい。
上記極性官能基含有モノマー、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマー及び上記シリコーンマクロモノマー以外の本発明のシリコーン系グラフト共重合体の原料となるモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体は、ケイ素元素の含有量が1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
ケイ素元素の含有量が1重量%以上であることで、より接着亢進を抑えることができ、ケイ素元素の含有量が30重量%以下であることで、より初期の粘着力を高めることができる。接着亢進を更に抑えて、初期の粘着力を更に向上させる観点から、上記ケイ素元素の含有量は3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが更に好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体は、重量平均分子量が40万以下であることが好ましい。シリコーン系グラフト共重合体の分子量が上記範囲であると、シリコーン系グラフト共重合体の運動性向上し、被着体との界面により集まることができるため、接着亢進をより抑えることができる。接着亢進を更に抑える観点から、上記重量平均分子量は、20万以下であることがより好ましく、10万以下であることが更に好ましい。上記重量平均分子量の上限は、特に限定されないが、粘着剤と架橋しやすくなり、被着体の汚染を抑えられることから、5000以上であることが好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、例えばGPC法によりポリスチレン標準で求めることができる。具体的には、例えば、測定機器としてWater社製「2690 Separations Module」、カラムとして昭和電工社製「GPC KF−806L」溶媒として酢酸エチルを用い、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件で測定することができる。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体の製造方法は、特に限定されず、上記極性官能基含有モノマーと、上記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーと、上記シリコーンマクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを溶媒中でラジカル重合することによって得ることができる。上記ラジカル重合の重合方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
本発明のシリコーン系グラフト共重合体の用途は特に限定されないが、粘着剤の剥離助剤として好適に用いることができる。
このような、本発明のシリコーン系グラフト共重合体と、上記シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基を有する粘着剤成分と、架橋剤とを含有する、粘着剤組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の粘着剤組成物は、シリコーン系グラフト共重合体と、シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基を有する粘着剤成分と架橋剤とを含有する。
粘着剤組成物の粘着剤成分がシリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基を有することで、自己架橋したシリコーン系グラフト共重合体の一部が粘着剤成分と架橋して固定されるため、被着体の汚染を抑えることができる。また、粘着剤組成物が架橋剤を有することで、上記粘着剤成分の凝集力が高まり、初期粘着力を向上させることができる。
上記粘着剤組成物中における上記シリコーン系グラフト共重合体の含有量は0.05重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
粘着剤組成物中における上記シリコーン系グラフト共重合体の含有量が0.05重量%以上であることで、高温時における接着亢進をより抑えることができる。上記シリコーン系グラフト共重合体の含有量が30重量%以下であることで、粘着剤組成物の白濁を抑えることができ、粘着剤組成物越しにアライメント等の光を用いた工程を行うことができる。高温時の接着亢進と白濁をより抑える観点から上記シリコーン系グラフト共重合体の含有量は0.1重量%以上であることがより好ましく、0.5重量%以上であることが更に好ましく、1重量%以上であることが更により好ましく、3重量%以上であることが特に好ましく、5重量%以上であることがとりわけ好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、15重量%以下であることが更に好ましく、13重量%以下であることが特に好ましく、10重量%以下であることがとりわけ好ましい。
上記粘着剤成分は、シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基を有していれば特に限定されず、非硬化型の粘着剤、硬化型の粘着剤のいずれであってもよい。
上記非硬化型の粘着剤としては特に限定されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン・ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。また上記粘着剤成分の構造は特に限定されず、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でも良い。
上記シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基は特に限定されず、上記シリコーン系グラフト共重合体が有する官能基に応じて適宜選択することができる。例えば、上記シリコーン系グラフト共重合体が有する官能基がイソシアネート基である場合は水酸基、上記シリコーン系グラフト共重合体が有する官能基がエポキシ基である場合はカルボキシ基等が挙げられる。上記粘着剤成分の原料となる、上記水酸基及びカルボキシ基を有するモノマーとしては、上記極性官能基含有モノマーと同様のものを用いることができる。
上記粘着剤成分は、アクリル系粘着剤であることが好ましい。
粘着剤成分がアクリル系粘着剤であることで、耐熱性、耐候性が向上し、幅広い被着体に用いることができる。上記アクリル系粘着剤は、原料モノマーとして上記シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基含有モノマーを用いていれば特に限定されない。上記シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基含有モノマー以外に用いることのできる原料モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等のアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキル基の炭素数が13〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシルアクリレートを用いていることが好ましい。
上記粘着剤成分を得るには、原料モノマーを、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記粘着剤成分はリビングラジカル重合によって得てもよい。
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合によれば、例えばフリーラジカル重合等と比較してより均一な分子量及び組成を有するポリマーが得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができるため、得られる粘着剤組成物が高温下での接着亢進を抑えられる一方、意図せぬ剥離が起きない程度に粘着剤組成物を剥がれにくくすることができる。
リビングラジカル重合は一般的に用いられるものであれば特に限定されず、TERP法、RAFT法、NMP法等が挙げられる。TERP法においては有機テルル化合物、RAFT法においてはRAFT剤、NMP法においてはニトロキシド化合物が用いられ、必要に応じてラジカル重合開始剤を組み合わせて使用する。
上記有機テルル化合物として、例えば、2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼンが挙げられる。
RAFT剤として、例えば、S−シアノメチル−S−ドデシルトリチオ炭酸、ジチオ安息香酸2−シアノ−2−プロピル、S−(2−シアノ−2−プロピル)−S−ドデシルトリチオ炭酸、2−メチル−2−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸が挙げられる。
ニトロキシド化合物として、例えば、ジ−tert−ブチル−ニトロキシド、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、テトラメチル−イソインドリン−1−オキシル、テトラエチル−イソインドリン−1−オキシル、N−tert−ブチル−N−[1−ジエチルフォスフォノ−(2,2−ジメチルプロピル)]ニトロキシド、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合において、上記開始剤に加えて、重合速度の促進を目的としてアゾ化合物を用いてもよい。
上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リビングラジカル重合においては、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合の方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合において重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されない。上記重合溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合温度は、重合速度の観点から0〜110℃が好ましい
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。なかでも、より粘着剤成分の凝集力が高まることからエポキシ系架橋剤が好ましい。
上記粘着剤組成物中における上記架橋剤の含有量は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。架橋剤が上記範囲で含有されていることで、粘着剤成分を適度に架橋して、初期粘着力をより高めることができる。初期粘着力をより高める観点から、上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量%、更に好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は15重量%、更に好ましい上限は10重量%である。
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、刺激により気体を発生する気体発生剤や、無機充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の粘着剤組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記方法で製造した粘着剤成分の溶液に上記シリコーン系グラフト共重合体、上記架橋剤及び必要に応じて他の添加剤を加えて混合することで得ることができる。
本発明の粘着剤組成物を用いて粘着テープを製造することができる。
このような、基材及び上記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層を有する粘着テープであって、粘着剤層は本発明のシリコーン系グラフト共重合体を含有する、粘着テープもまた、本発明の1つである。
本発明の粘着テープは、基材を有する。
上記基材を構成する材料は耐熱性を持つ材料であることが好ましい。上記耐熱性を持つ材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れることからポリエチレンナフタレートが好ましい。
上記基材の厚さは特に限定されないが、好ましい下限が15μm、より好ましい下限が25μm、さらに好ましい下限が40μm、更により好ましい下限が50μmであり、好ましい上限が250μm、より好ましい上限が125μm、さらに好ましい上限が100μm、更により好ましい上限が75μmである。上記基材がこの範囲であることで取り扱い性に優れる粘着テープとすることができる。
本発明の粘着テープは、上記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層を有する。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、本発明の粘着剤組成物と同様のものを用いることができる。
上記粘着剤層の厚さは特に限定されないが、下限が3μm、上限が100μmであることが好ましい。上記粘着剤層の厚みが上記範囲であると充分な粘着力で支持体と接着することができる。同様の観点から、上記粘着剤層の厚さのより好ましい下限は5μm、更に好ましい下限は10μm、更により好ましい下限は20μmであり、より好ましい上限は80μm、さらに好ましい上限は60μm、更により好ましい上限は50μmである。
本発明の粘着テープを製造する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、離型処理を施したフィルム上に上記粘着剤組成物の溶液を塗工、乾燥させて粘着剤層を形成し、基材と貼り合わせることで製造することができる。
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、高温時の接着亢進を抑えられることから、半導体デバイス等の高温処理工程(例えば150℃以上、特に180℃以上、とりわけ200℃の高温処理工程)を有する製品の製造において、被着体を保護する保護テープとして好適に用いることができる。
本発明によれば、初期粘着力が高く、高温の熱処理工程に供しても接着亢進を抑えることができるシリコーン系グラフト共重合体、並びに該シリコーン系グラフト共重合体を含有する粘着剤組成物及び粘着テープを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(粘着剤成分の調製)
重合開始剤6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mLに懸濁させ、これに1.6mol/Lのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで攪拌した。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物の2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチルを得た。
アルゴン置換したグローブボックス内で、反応容器中に、製造した2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオン酸エチル45.7μL、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10mg、酢酸エチル0.5mLを投入した後、反応容器を密閉し、反応容器をグローブボックスから取り出した。続いて、反応容器にアルゴンガスを流入しながら、反応容器内に、原料モノマー混合物を加えた。原料モノマー混合物の組成は、2−エチルへキシルアクリレート(2EHA)100重量部、アクリル酸(Aac)3重量部、及び、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)0.1重量部とした。更に、重合溶媒として酢酸エチル68.7gを投入し、60℃で20時間重合反応を行い、粘着剤成分含有溶液を得た。なお、原料は以下のものを用いた。
重合開始剤:Tellurium、金属テルル、40メッシュ、アルドリッチ社製
n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液:アルドリッチ社製
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬工業社製
次いで、得られた粘着剤成分含有溶液をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍に希釈して得られた希釈液を、ポア径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過した。その後、得られた濾液をゲルパミエーションクロマトグラフに供給してGPC測定を行った。粘着剤成分のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。その結果、Mw:89.9万、Mw/Mn:1.78であった。なお、測定機器と測定条件は以下の通りとした。
ゲルパミエーションクロマトグラフ:e2695 Separations Module(Waters社製)
検出器:示差屈折計(2414、Waters社製)
カラム:GPC KF−806L(昭和電工社製)
標準試料:STANDRAD SM−105(昭和電工社製)
サンプル流量:1mL/min
カラム温度:40℃
(シリコーン系グラフト共重合体Aの調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意した。この反応器内に、2−エチルへキシルアクリレート39.5重量部、シリコーンマクロモノマー60重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.25重量部、ブロックイソシアネート含有モノマーA0.25重量部、ラウリルメルカプタン0.01重量部と、酢酸エチル80重量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、シリコーン系グラフト共重合体Aを得た。上記アクリル系粘着剤成分と同様にしてMw及びMw/Mnを測定したところ、Mw:5.3万、Mw/Mn:1.7であった。なお、シリコーンマクロモノマー及びブロックイソシアネート含有モノマーAは以下のものを用いた。
シリコーンマクロモノマー:KF−2012、片末端メタクリロイル変性PDMS、信越化学社製
ブロックイソシアネート含有モノマーA:カレンズMOI−BP、昭和電工社製
(シリコーン系グラフト共重合体B〜Lの調製)
モノマー組成を表1の通りとした以外はシリコーン系グラフト共重合体Aの調製と同様にして、シリコーン系グラフト共重合体B〜Lを得て、Mw及びMw/Mnを測定した。なお、ブロックイソシアネート含有モノマーBは以下のものを用いた。
ブロックイソシアネート含有モノマーB:カレンズAOI−BP、昭和電工社製
(実施例1)
得られた粘着剤成分含有溶液の固形分100重量部に対して剥離助剤としてシリコーン系グラフト共重合体A1.0重量部、エポキシ系架橋剤3.0重量部を加えて粘着剤組成物溶液を得た。次いで、粘着剤組成物溶液を表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面上に乾燥皮膜の厚さが40μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱乾燥させて粘着剤層を得た。得られた粘着剤層と片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面とを貼り合わせて、粘着テープを得た。なお、架橋剤としては以下のものを用いた。
エポキシ系架橋剤:テトラッドC、三菱ガス化学社製
(実施例2〜16、比較例1〜6)
用いる剥離助剤の種類及び配合量と架橋剤の種類及び配合量を表2、3の通りとした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。なお、剥離助剤、イソシアネート系架橋剤としては以下のものを用いた。
シリコーンオイル:KF−96−10cs、信越化学社製
エポキシ変性シリコーン:X−22−163C、信越化学社製
イソシアネート系架橋剤:コロネートL45、日本ポリウレタン社製
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表2、3に示した。
(亢進比の評価)
粘着テープを25mm幅に切り出して試験片を得た。得られた試験片の粘着層をガラス板(松浪ガラス工業社製、大型スライドガラス白縁磨 No.2)上に載せた。次いで、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片とガラス板とを貼り合わせた。その後、23℃で1時間静置して試験サンプルを作製した。静置後の試験サンプルについて、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、初期粘着力を測定した。
次いで、上記と同様の方法で作成した測定サンプルについて220℃、2時間の熱処理を行った。放冷後、上記と同様の方法で180°方向の引張試験を行い、加熱後粘着力を測定した。
得られた初期粘着力と加熱後粘着力から亢進比(加熱後粘着力/初期粘着力)を算出した。
Figure 2020143248
Figure 2020143248
Figure 2020143248
本発明によれば、初期粘着力が高く、高温の熱処理工程に供しても接着亢進を抑えることができるシリコーン系グラフト共重合体、並びに該シリコーン系グラフト共重合体を含有する粘着剤組成物及び粘着テープを提供することができる。

Claims (12)

  1. 極性官能基含有モノマーに由来する構造と、前記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーに由来する構造と、シリコーンマクロモノマーに由来する構造とを有する、シリコーン系グラフト共重合体。
  2. 前記極性官能基含有モノマーは、極性官能基と結合した保護基を有する、請求項1記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  3. 前記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーは、極性官能基と架橋可能な官能基と結合した保護基を有する、請求項1又は2記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  4. 前記極性官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマーであり、前記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーはイソシアネート基含有モノマーである、請求項1、2又は3記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  5. 前記極性官能基と架橋可能な官能基含有モノマーは、保護基がイソシアネート基と結合したブロックイソシアネート基含有モノマーである、請求項1、2、3又は4記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  6. 前記シリコーン系グラフト共重合体の原料モノマーは、前記水酸基含有モノマーを0.1重量%以上20重量%以下、前記ブロックイソシアネート基含有モノマーを0.1重量%以上20重量%以下、前記シリコーンマクロモノマーを1重量%以上90重量%以下を含有する、請求項1、2、3、4又は5記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  7. 水酸基とイソシアネート基の当量比(水酸基/イソシアネート基)が0.1以上10以下である、請求項1、2、3、4、5又は6記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  8. ケイ素元素の含有量が1重量%以上30重量%以下である、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  9. 重量平均分子量が40万以下である、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のシリコーン系グラフト共重合体。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のシリコーン系グラフト共重合体と、前記シリコーン系グラフト共重合体と架橋可能な官能基を有する粘着剤成分と、架橋剤とを含有する、粘着剤組成物。
  11. 前記粘着剤組成物中における前記シリコーン系グラフト共重合体の含有量が0.05重量%以上30重量%以下である、請求項10に記載の粘着剤組成物。
  12. 基材及び前記基材の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層を有する粘着テープであって、粘着剤層は請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のシリコーン系グラフト共重合体を含有する、粘着テープ。
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