JP2021091788A - 油性インクジェットインク及び油性インクジェットインクの製造方法 - Google Patents

油性インクジェットインク及び油性インクジェットインクの製造方法 Download PDF

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信介 大澤
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Abstract

【課題】凝集物を生じにくい油性インクジェットインクを提供する。【解決手段】顔料と、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤と、非水系溶剤とを含む、油性インクジェットインク。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、油性インクジェットインク及び油性インクジェットインクの製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた記録媒体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって記録媒体上で乾燥するのに対して、油性インクは記録媒体への浸透が主となって乾燥する。
特許文献1には、リン酸エステル化固体樹脂及び/または硝酸エステル化固体樹脂を含む着色樹脂粒子を含む着色樹脂粒子分散体、及びそれを含むインクジェットインクが開示されている。
特許文献2には、固体樹脂と酸性基を有する液体有機化合物とを含む着色樹脂粒子を含む着色樹脂粒子分散体、及びこれを含むインクジェットインクが開示されている。
特許文献3には、ウレタン化合物を含むカプセル化顔料、及び非水系溶剤を含み、ウレタン化合物は、ウレタン骨格及びカルボキシ基等を含む側鎖を有し、前記非水系溶剤に不溶性の化合物である、油性インクジェットインクが開示されている。
特開2015−134850号公報 特開2015−134852号公報 特開2018−48293号公報
インク経路中のインクに送液ポンプにより摺動がかかった場合等、インクが外部から力を受けた場合に凝集物が発生することがある。
本発明の実施形態は、凝集物を生じにくい油性インクジェットインクを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、顔料と、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤と、非水系溶剤とを含む、油性インクジェットインクに関する。
本発明の他の実施形態は、非水系溶剤及び油溶性塩基性ポリマーを含む連続相と、水及び酸性水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを得る工程と、油中水型エマルションから水を除去して樹脂粒子分散体を得る工程と、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーとを混合し、顔料を分散する工程とを含む、油性インクジェットインクの製造方法に関する。
本発明の実施形態によれば、凝集物を生じにくい油性インクジェットインクを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態が本発明を限定することはない。
以下、油性インクジェットインクを、「インク」又は「油性インク」という場合がある。
本発明の一実施形態の油性インクジェットインクは、顔料と、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤(以下、単に「分散剤」という場合もある。)と、非水系溶剤とを含む、油性インクジェットインクである。
インクにおいて、遊離の酸性基を有する化合物が顔料周辺に存在すると、顔料の凝集力が高まる傾向があり、このようなインクは、摺動等の外部からの力を受けると、凝集物を生じやすい傾向がある。本実施形態の油性インクジェットインクは、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤を用いることで、摺動等の外部からの力を受けても凝集物を生じにくいインクとすることができる。特定の理論に拘束されるものではないが、この理由は、この分散剤では、酸性樹脂の酸性基に、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの塩基性基が結合しており、これにより、遊離の酸性基の量を低減し、顔料を凝集させにくくすることができるためであると推測される。油溶性塩基性ポリマーと水溶性塩基性ポリマーとを用いることで、油溶性塩基性ポリマーのみを用いた場合には、油溶性塩基性ポリマーの親油性部位同士の立体障害的反発により油溶性塩基性ポリマーが酸性樹脂に十分に吸着できない部分にも、水溶性塩基性ポリマーが吸着し、遊離の酸性基の量を、効果的に低減させることができると推測される。
本実施形態の油性インクジェットインクの製造方法はとくに限定されないが、例えば、後述する、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で製造することができる。
油性インクジェットインクは、顔料を含むことができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。
アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
高彩度の印刷物を得ることができる観点から、シアンインクは、銅フタロシアニンブルーを含むことが好ましい。イエローインクは、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンイエローのうちいずれかを含むことが好ましく、ジスアゾイエローを含むことがより好ましい。マゼンタインクは、アゾレーキレッド、ナフトールAS、ベンズイミダゾロンレッド、キナクリドンマゼンタのうちいずれかを含むことが好ましく、アゾレーキレッドを含むことがより好ましい。
顔料の分散形態は、例えば、顔料と分散剤とを含む着色樹脂粒子が形成されて、この着色樹脂粒子が分散した形態であってよい。顔料と分散剤とを含む着色樹脂粒子は、例えば、顔料が分散剤で被覆された、いわゆるカプセル顔料であってもよい。
顔料の平均粒子径としては、吐出安定性と貯蔵安定性の観点から、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01〜20質量%であり、画像濃度とインク粘度の観点から、1〜15質量%であることが好ましい。
油性インクジェットインクは、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤を含むことができる。この分散剤は、少なくとも酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーを用いて形成されるものであればよく、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーに加えて、その他の成分がさらに用いられて形成されるものであってもよい。
この分散剤は、酸性樹脂に由来する部分構造、油溶性塩基性ポリマーに由来する部分構造、及び水溶性塩基性ポリマーに由来する部分構造を含む分散剤であってよい。この分散剤は、これらの部分構造に加えて、その他の部分構造をさらに含む分散剤であってよい。
油性インクジェットインク中では、例えば、分散剤と顔料とが、着色樹脂粒子中に含まれることが好ましい。このような着色樹脂粒子の例として、顔料は分散剤に被覆されているもの等が挙げられる。
酸性樹脂は、酸性樹脂を水に溶解または分散させるときに、酸性樹脂の濃度が高くなるほど酸化還元電位(ORP値)が高くなるものであることが好ましい。例えば、酸性樹脂を溶解または分散可能な溶媒に酸性樹脂を溶解または分散させる際に、酸性樹脂を0.5質量%溶解または分散させたときのORP値に比べて、酸性樹脂を5.0質量%溶解または分散させたときのORP値が高い値を示すものであることが好ましい。
また、酸性樹脂を水に5.0質量%溶解または分散させたときのORP値は、0mVより高いことが好ましい。
酸性樹脂は、23℃で固体の樹脂が好ましい。
酸性樹脂は、裏抜け低減、及び画像濃度の向上の観点から、インクの非水系溶剤への溶解性が、23℃においてインクの非水系溶剤100gに対して溶解できる樹脂の量として、1g以下であることが好ましい。さらに、非水系溶剤中に酸性樹脂が溶けにくいことで、インクの低粘度化にも寄与しうる。
酸性樹脂は、例えば、23℃において、ドデカン100gに対して溶解できる樹脂の量として、1g以下であることが好ましい。
酸性樹脂は、水に溶解しないことが好ましい。23℃において、水に対する酸性樹脂の溶解度が5g/100g未満、すなわち、水100gに対して溶解できる樹脂の量として5g未満であることが好ましい。
酸性樹脂は、特に限定されないが、例えば、酸性ウレタン系樹脂、酸性ポリエステル系樹脂、酸性(メタ)アクリル系樹脂、酸性ウレタン(メタ)アクリル系樹脂、酸性(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、酸性塩化ビニル系樹脂、酸性スチレン(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。酸性樹脂としては、耐擦過性向上の観点から、酸性ウレタン系樹脂、酸性(メタ)アクリル系樹脂が好ましく、酸性ウレタン系樹脂がより好ましい。
ウレタン系樹脂は、ウレタン基を有する。一般にウレタン系樹脂のウレタン基は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得ることができるが、酸性ウレタン系樹脂は、貯蔵安定性の観点から、ポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネートを用いたものが好ましい。
酸性ウレタン系樹脂としては、耐擦過性向上の観点から、ウレタン基のほかにウレア基をさらに有する酸性ウレタンウレア系樹脂が好ましい。ウレタンウレア系樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを含む材料により得られたウレタンプレポリマーを、水及び/又はポリアミン化合物と反応させることにより、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と水及び/又はポリアミン化合物が反応することでウレア基を生成させて鎖延長することで得ることができる。
酸性ウレタン系樹脂の例には、酸性ウレタン(メタ)アクリル系樹脂も含まれるが、これは、酸性(メタ)アクリル系樹脂の例にも含まれる。
(メタ)アクリルは、メタクリル、アクリル、またはこれらの組み合わせを含むことを意味し、(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル単位を含む樹脂、アクリル単位を含む樹脂、またはこれらの単位をともに含む樹脂を意味する。
酸性樹脂としては、酸性基を有する樹脂であってもよいし、インクの製造において、原料として、酸性水分散性樹脂を用いることでもよい。酸性樹脂としては、酸性基を有する樹脂が好ましく、酸性基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が好ましい。
酸性樹脂の重量平均分子量は、樹脂の種類によっても異なるが、例えば、5,000〜200,000が好ましく、10,000〜150,000がより好ましい。例えば、酸性ウレタン系樹脂の重量平均分子量は、5,000〜50,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。酸性(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜200,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、GPC法で標準ポリスチレン換算で求めた値である。以下で述べるポリマー等における重量平均分子量についても同様である。
例えば、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で、分散剤を製造する場合等では、酸性樹脂とするために、酸性水分散性樹脂を用いることが好ましい。酸性水分散性樹脂は、インクの製造において、例えば水などの液体に予め分散された分散体(水中油型(O/W)の樹脂エマルション)の形態で加えることが望ましい。水分散体を用いた場合、水分散体に含まれる水は、インクの製造工程で除去されることが好ましい。
酸性水分散性樹脂は、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する酸性基が粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面が酸性の樹脂粒子分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。酸性樹脂は、これらのいずれから得られたものでもよい。酸性基は、代表的にはカルボキシ基、スルホ基、リン酸基等である。酸性樹脂は、酸性基とともに塩基性基を含む場合は、前述したORP値が高くなる傾向を示す範囲内であることが好ましい。酸性の樹脂粒子分散剤は、陰イオン界面活性剤等である。
酸性ウレタン系樹脂の合成方法は特に限定されない。酸性ウレタン系樹脂は、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得ることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、2、2−ジメチロールブタン酸、1,4−ブタンジオール、ジエタノールアミン等が挙げられる。また、ポリオールとしては、例えば、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミンとアクリル酸等のアクリロイルオキシ基を有する化合物とをマイケル付加反応させて得られたジオールを用いてもよい。これらのポリオールは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。用いられるポリオールの少なくとも1種が、酸性基を有することが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート等を用いることができる。ポリイソシアネートは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性ウレタンウレア系樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを得たのち、得られたウレタンプレポリマーと、水及び/又はポリアミン化合物と反応させて得ることができる。ポリオール及びポリイソシアネートについては、上述の通りである。ポリアミン化合物としては、例えば、ヘキサンジアミン等を用いることができる。
酸性(メタ)アクリル系樹脂の合成方法は特に限定されない。例えば、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等の1または2以上のモノマーを用いて重合することで得ることができる。酸性(メタ)アクリル系樹脂の合成に用いるモノマーのうちの少なくとも1種が、酸性基を有することが好ましい。
酸性水分散性樹脂の水分散体は、樹脂をイオン交換水等の水中に分散させたものであるが、樹脂を水に分散させて水分散体を製造する際に、アンモニア等を加えることが好ましい。水分散体を製造する際に添加されたアンモニア等は、インクの製造工程で、例えば水分散体中の水とともに、除去されることが好ましい。
酸性水分散性ウレタン系樹脂の水分散体の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製「タケラックWS−5984」(商品名)、「タケラックWS−4022」(商品名)、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス740」(商品名)、「スーパーフレックス150H」(商品名)、三洋化成工業株式会社製「ユーコートUWS−145」(商品名)、ダイセル・オルネクス株式会社製「DAOTAN TW−6493」(商品名)、「DAOTAN TW−6490」(商品名)等が挙げられる。
酸性水分散性ウレタン(メタ)アクリル系樹脂の水分散体の市販品としては、例えば、ダイセル・オルネクス株式会社製「DAOTAN VTW−1262」(商品名)等が挙げられる。
「タケラックWS−5984」、「タケラックWS−4022」、「スーパーフレックス740」、「スーパーフレックス150H」、「ユーコートUWS−145」、「DAOTAN TW−6493」、「DAOTAN TW−6490」、「DAOTAN VTW−1262」のウレタン系樹脂は、ウレア基を有するウレタンウレア系樹脂である。
酸性水分散性(メタ)アクリル系樹脂の水分散体の市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール6750」(商品名)、「モビニール6969D」(商品名)等が挙げられる。
分散剤には、酸性樹脂を、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
油溶性塩基性ポリマーは、塩基性基を有する。
油溶性塩基性ポリマーは、油溶性塩基性ポリマーを非水系溶剤に溶解させるときに、油溶性塩基性ポリマーの濃度が高くなるほど酸化還元電位(ORP値)が低くなるものであることが好ましい。例えば、油溶性塩基性ポリマーを溶解可能な溶媒に油溶性塩基性ポリマーを溶解させる際に、油溶性塩基性ポリマーを0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、油溶性塩基性ポリマーを5.0質量%溶解させたときのORP値が低い値を示すものであることが好ましい。
また、油溶性塩基性ポリマーをドデカンに5.0質量%溶解させたときのORP値は、0mV以下であることが好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、塩基性基とともに酸性基を含む場合は、このORP値が低くなる傾向を示す範囲内であることが好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、油性インクに含まれる非水系溶剤に溶解するポリマーである。具体的には、1気圧20℃において油溶性塩基性ポリマーと油性インクに含まれる非水系溶剤とを同容量で混合した場合に、二相に分かれることなく均一に溶解するポリマーである。
1気圧20℃において油溶性塩基性ポリマーとドデカンとを同容量で混合した場合に、二相に分かれることなく均一に溶解することが好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、水に溶解しないことが好ましい。より具体的には、油溶性塩基性ポリマーは、23℃において、水に対する油溶性塩基性ポリマーの溶解度が5g/100g未満であることが好ましい。
油溶性塩基性ポリマーの塩基性基としては、アミノ基、イミノ基、モルホリノ基、ピリジル基等が挙げられる。例えば、アミノ基の例としては、非置換アミノ基、及び、モノ又はジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)等の置換アミノ基が挙げられる。置換アミノ基では、例えば、アルキル基等の置換基が、さらに水酸基、アリール基等の置換基等で置換されていてもよい。塩基性基は、中でもアミノ基、イミノ基、モルホリノ基であることが好ましい。
また、油溶性塩基性ポリマーの塩基性基としては、例えば、ウレタン結合等を有する窒素含有の官能基を挙げることができる。また、ウレタン結合等の窒素含有の構成単位が油溶性塩基性ポリマーに導入されていてもよい。
油溶性塩基性ポリマーは、塩基性基を1種のみ、または2種以上含んでよい。
油溶性塩基性ポリマーは、例えば、塩基性基とともに、アルキル基を有することが好ましく、画像濃度、及び発色性の向上等の観点から、炭素数8〜22のアルキル基を有することがより好ましい。
アルキル基としては、炭素数8〜22のアルキル基が好ましく、炭素数12〜22のアルキル基がより好ましい。炭素数8〜22のアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。油溶性塩基性ポリマーは、これらアルキル基を1種のみ又は複数種含んでよい。
油溶性塩基性ポリマーにおいて、塩基性基及びアルキル基は、例えば、同じ単位に含まれてもよいが、塩基性基及びアルキル基が互いに異なる単位に含まれることが好ましい。例えば、一実施形態において、油溶性塩基性ポリマーは、塩基性基を有する単位と、アルキル基を有する単位とを含むことが好ましく、画像濃度、及び発色性の向上等の観点から、塩基性基を有する単位と、炭素数8〜22のアルキル基を有する単位とを含むことがより好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、酸性基、β−ジカルボニル基等のその他の基をさらに含んでよい。
酸性基としては、例えば、スルホ基、カルボキシ基等の酸性基が挙げられる。油溶性塩基性ポリマーは、酸性基を1種のみ、または2種以上含んでよい。
β−ジカルボニル基としては、例えば、アセトアセチル基、プロピオンアセチル基等のβ−ジケトン基、アセトアセトキシ基、プロピオンアセトキシ基等のβ−ケト酸エステル基が挙げられる。油溶性塩基性ポリマーは、これらβ−ジカルボニル基を1種のみ又は複数種含んでよい。
油溶性塩基性ポリマーとしては、例えば、変性ポリウレタン、塩基性基含有ポリ(メタ)アクリレート、塩基性基含有ポリエステル、ポリエステルアミン、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、ポリアルキロールアミノアマイドとその塩、ポリエーテルポリアミン等を挙げることができ、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、ポリアルキロールアミノアマイドとその塩、ポリエーテルポリアミン等が好ましい。
油溶性塩基性ポリマーとしては、例えば、主鎖の末端に塩基性基を有する直鎖状または分岐状のポリマー、塩基性基を有し、側鎖を複数有するポリマーである油溶性塩基性ポリマー(以下、「櫛形構造を有する油溶性塩基性ポリマー」又は「油溶性塩基性櫛形ポリマー」という場合もある。)、及び(メタ)アクリル系ポリマーである油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマー等も挙げられる。(メタ)アクリル系ポリマーは、メタクリル単位を含むポリマー、アクリル単位を含むポリマー、またはこれらの単位をともに含むポリマーを意味する。
側鎖を複数有するポリマーである油溶性塩基性ポリマー(油溶性塩基性櫛形ポリマー)は、主鎖と複数の側鎖とによって櫛形構造を有する。
油溶性塩基性櫛形ポリマーは、例えば、ポリエステル部を含む側鎖を有することが好ましい。塩基性櫛形ポリマーの側鎖のポリエステル部としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸、または、ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ基を含まないカルボン酸との混合物から誘導される構造、カルボニル−C〜C−アルキレンオキシ基を単位とする重合体等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ基を含まないカルボン酸との混合物から誘導される構造の例として、12−ヒドロキシステアリン酸の自己縮合物から誘導されるカルボニル−C17−アルキレンオキシ基等が挙げられる。カルボニル−C〜C−アルキレンオキシ基として、例えば、カルボニル−C−アルキレンオキシ基等が挙げられ、例えば、カルボニル−C−アルキレンオキシ基を単位とする重合体は、ε−カプロラクトンの開環重合によって得ることができる。
ポリエステル部の重合度はとくに限定されず、例えば、2〜80程度であってよい。塩基性櫛形ポリマーは、ポリエステル部を含む側鎖を複数有することが好ましい。
油溶性塩基性櫛形ポリマーは、塩基性基を、例えば、主鎖骨格中に、ポリアミン骨格等の形態で含んでもよく、及び/又は、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を含んでもよい。
油溶性塩基性櫛形ポリマーが、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を含むとき、油溶性塩基性櫛形ポリマーは、塩基性基を1個以上有すればよいが、2個以上有することが好ましい。また、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基の種類は、とくに限定されず、例えば、上述の塩基性基を用いることができるが、なかでもアミノ基、モルホリノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
油溶性塩基性櫛形ポリマーとして、例えば、ポリアミン骨格を含む主鎖を有し、かつ、側鎖を複数有するポリマーである油溶性塩基性ポリマー、及び、主鎖に直接又は連結基を介して結合した塩基性基を有し、側鎖を複数有するポリマーである油溶性塩基性ポリマー等が挙げられる。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、単独重合体であっても共重合体であってもよく、共重合体であることがより好ましい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、塩基性基とともに、アルキル基をさらに有することがより好ましく、例えば、画像濃度向上、発色性の向上及び裏抜け低減の観点から、炭素数8〜22のアルキル基を有することが好ましい。塩基性基及びアルキル基は、例えば、同じ単位に含まれてもよいが、塩基性基及びアルキル基が互いに異なる単位に含まれることが好ましい。
塩基性基はとくに限定されず、例えば、上述の塩基性基を用いることができるが、なかでもアミノ基、モルホリノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、塩基性基を1種のみ又は2種以上含んでよい。塩基性基は油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖に直接又は連結基を介して結合していることが好ましい。
アルキル基はとくに限定されないが、炭素数8〜22のアルキル基が好ましく、炭素数12〜22のアルキル基がより好ましい。アルキル基としては、例えば、上述のアルキル基を用いることができる。油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル基を1種のみ又は2種以上含んでよい。アルキル基は油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖に直接又は連結基を介して結合していることが好ましい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、エポキシ基、上述の、β−ジカルボニル基、酸性基等のその他の基を有していてもよい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、塩基性基を有する単位(以下、「単位X」という場合がある)を含むことが好ましい。
単位Xは、例えば、塩基性基を有するアクリル単位又はメタクリル単位であってよい。
単位Xの例としては、例えば、主鎖の炭素原子にカルボニル基が結合し、このカルボニル基に、直接又は連結基を介して塩基性基が結合している単位が挙げられる。このような単位として、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーに由来する単位等が挙げられる。塩基性基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に直接または連結基を介して結合していることが好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーの具体例として、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単位Xは、例えば、エポキシ基を有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーに由来する単位であってもよい。エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーが好ましい。上述のアクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーの例としては、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーも挙げられる。
アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーにおいて、エポキシ基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に直接または連結基を介して結合していることが好ましい。アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーの例として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーに付加するアミン化合物としては、ヒドロキシ基を有するアミン化合物(例えばアルカノールアミン等)が好ましい。ヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、例えば、ベンジルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられ、ジエタノールアミンが特に好ましい。
アクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートのジエタノールアミン付加物、グリシジル(メタ)アクリレートのベンジルエタノールアミン付加物等が挙げられる。
エポキシ基を有するモノマーにアミン化合物を付加したモノマーに由来する単位は、例えば、エポキシ基を有するモノマーに由来する単位にアミン化合物を付加することで得ることもでき、そのようにして得られた単位であってもよい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、単位Xを1種のみ又は2種以上が含んでよい。
塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル基を有する単位(単位Y)をさらに含むことが好ましい。
アルキル基を有する単位(単位Y)は、例えば、アルキル基を有するアクリル単位又はメタクリル単位であってよい。
単位Yの例としては、例えば、油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖の炭素原子に、−COORで表される基が結合した単位であって、Rが、アルキル基(好ましくは炭素数8〜22、より好ましくは炭素数12〜22のアルキル基)である単位が挙げられる。
単位Yとしては、例えば、後述するモノマーYに由来する単位を用いることができる。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、単位Yを、1種のみ又は2種以上含んでよい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、その他の単位を1種または2種以上含んでもよい。その他の単位として、例えば、β−ジカルボニル基を有する単位、酸性基を有する単位等が挙げられる。
塩基性基を有する単位(単位X)は、重合体全体に対し、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
アルキル基を有する単位(単位Y)は、重合体全体に対し40〜90質量%であることが好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。
ここで、重合体全体は、油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全単位を基準とする。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、塩基性基を有するモノマー(以下、「モノマーXa」という場合がある)を重合した単独重合体、モノマーXaを含むモノマー混合物を重合した共重合体、またはそのような単独重合体または共重合体の誘導体等であってよい。モノマー混合物は、アルキル基を有するモノマー(以下、「モノマーY」という場合がある。)を含むことが好ましい。モノマー混合物はその他のモノマーを含んでもよい。
油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下、「モノマーXb」という場合がある)を重合した単独重合体、または、モノマーXbを含むモノマー混合物を重合した共重合体のエポキシ基にアミン化合物を付加したポリマー、またはそのようなポリマーの誘導体等であってよい。モノマー混合物は、アルキル基を有するモノマー(モノマーY)を含むことが好ましい。モノマー混合物は、塩基性基を有するモノマー等のその他のモノマーをさらに含んでもよい。
モノマーXaは、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基と塩基性基とを含むモノマーが好ましい。モノマーXaの具体例として、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマーXbは、例えば、上述のアクリロイル基又はメタクリロイル基とエポキシ基とを有するモノマーが好ましい。
モノマーYは、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基とアルキル基とを有するモノマーが好ましい。モノマーYの例として、例えば、アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、炭素数8〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数12〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。モノマーYcの具体例として、例えば、ベヘニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー混合物中の各モノマーの配合量は、例えば、上記の各単位の好ましい割合となるように、調整することができる。
これらのモノマーは、例えば、公知のラジカル重合により、重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。重合反応に際し、例えば、重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に適宜添加することができる。重合開始剤としては、例えば、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等を使用することができる。溶液重合に用いる重合溶媒(反応溶媒)は、特に限定されないが、重合によって得られる樹脂を分散ないし溶解可能であるものが好ましい。
モノマーXbを重合した単独重合体、または、モノマーXbを含むモノマー混合物を重合した共重合体のエポキシ基に付加するアミン化合物の例としては、上述のヒドロキシ基を有するアミン化合物等が挙げられる。
油溶性塩基性ポリマーの重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましい。油溶性塩基性ポリマーの重量平均分子量は、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましい。
油溶性塩基性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、5,000〜50,0000が好ましく、7,000〜30,000がより好ましい。
例えば、油溶性塩基性櫛形ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜50,000が好ましく、10,000〜30,000がより好ましい。
例えば、油溶性塩基性(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、インクの安定性およびインク粘度の観点から5000〜30000が好ましい。
油溶性塩基性ポリマーの市販品としては、例えば、
日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース11200」、「ソルスパース13940」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース17000」、「ソルスパース18000」、「ソルスパース19000」、「ソルスパース24000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース38500」、「ソルスパース39000」、「ソルスパース71000」、「ソルスパース22000」、「ソルスパース28000」(いずれも商品名);
ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK109」(商品名);
花王株式会社製「アセタミン24」、「アセタミン86」(いずれも商品名);
クローダジャパン株式会社製「HYPERMER KD3」、「HYPERMER KD11」、「HYPERMER LP5」(いずれも商品名);
味の素ファインテクノ株式会社製「アジスパーPB−821」(商品名);
ISP社製「ANTARON V−216」、「ANTARON V−220」(いずれも商品名)等を挙げることができる。
分散剤には、油溶性塩基性ポリマーを、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性塩基性ポリマーは、塩基性基を有する。
水溶性塩基性ポリマーは、水溶性塩基性ポリマーを水に溶解させるときに、水溶性塩基性ポリマーの濃度が高くなるほど酸化還元電位(ORP値)が低くなるものであることが好ましい。例えば、水溶性塩基性ポリマーを溶解可能な溶媒に水溶性塩基性ポリマーを溶解させる際に、水溶性塩基性ポリマーを0.5質量%溶解させたときのORP値に比べて、水溶性塩基性ポリマーを5.0質量%溶解させたときのORP値が低い値を示すものであることが好ましい。
また、水溶性塩基性ポリマーを水に5.0質量%溶解させたときのORP値は、0mV以下であることが好ましい。
水溶性塩基性ポリマーは、塩基性基とともに酸性基を含む場合は、このORP値が低くなる傾向を示す範囲内であることが好ましい。
水溶性塩基性ポリマーは、23℃において、水に対する水溶性塩基性ポリマーの溶解度が5g/100g以上である。23℃において、水に対する水溶性塩基性ポリマーの溶解度は、20g/100g以上であることがより好ましい。
水溶性塩基性ポリマーは、インクの非水系溶剤に相溶性が低く、インクの非水系溶剤と相溶しないことが好ましい。水溶性塩基性ポリマーは、1気圧20℃において水溶性塩基性ポリマーと油性インクに含まれる非水系溶剤とを同容量で混合した場合に、均一に溶解せずに、二相に分かれることが好ましい。
1気圧20℃において水溶性塩基性ポリマーとドデカンとを同容量で混合した場合に、均一に溶解せずに、二相に分かれることが好ましい。
水溶性塩基性ポリマーの塩基性基としては、アミノ基、イミノ基、モルホリノ基、ピリジル基等が挙げられる。
水溶性塩基性ポリマーとしては、数平均分子量200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。水溶性塩基性ポリマーの数平均分子量は、500,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましい。水溶性塩基性ポリマーとしては、数平均分子量は、例えば、200〜500,000が好ましく、300〜200,000がより好ましい。
水溶性塩基性ポリマーの数平均分子量は、沸点上昇法により得られた値である。
水溶性塩基性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ジアルキルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物、ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ジアルキルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物としては、例えば、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物等が挙げられる。ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物としては、例えば、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物等が挙げられる。
ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、株式会社日本触媒製「エポミンSP−006」、「エポミンSP−012」、「エポミンSP−018」、「エポミンSP−200」(いずれも商品名)、BASF社製「LUPASOL FG」、「LUPASOL G20 WF」、「LUPASOL PR8515」(いずれも商品名)等が挙げられる。
ジアルキルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物またはジアルキルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物の市販品としては、例えば、センカ株式会社製「パピオゲンP−105」、「ユニセンスKHE−100L」、「ユニセンスKHE−104L」(いずれも商品名)等を挙げることができる。
分散剤には、水溶性塩基性ポリマーを1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する酸性樹脂の量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する酸性樹脂量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する酸性樹脂及の量は、例えば、10〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%がさらに好ましいく、30〜60質量%以下がさらに好ましい。
酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する油溶性塩基性ポリマーの量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する油溶性塩基性ポリマーの量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する油溶性塩基性ポリマーの量は、例えば、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する水溶性塩基性ポリマーの量は、凝集物発生の抑制の観点から1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。一方、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する水溶性塩基性ポリマーの量は、インクの低粘度化の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量に対する油溶性塩基性ポリマーの量は、例えば、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
酸性樹脂の量に対する水溶性塩基性ポリマーの量は、凝集物発生の抑制の観点から10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。一方、酸性樹脂の量に対する水溶性塩基性ポリマーの量は、インクの低粘度化の観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。酸性樹脂の量に対する油溶性塩基性ポリマーの量は、例えば、10〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
酸性樹脂と油溶性塩基性ポリマーの質量比(酸性樹脂:塩基性ポリマー)は、10:90〜90:10が好ましく、20:80〜80:20がより好ましく、30:70〜70:30がさらに好ましい。
酸性樹脂は、インク全量に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、インク全量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が好ましく、1.5〜5質量%がさらに好ましい。
水溶性塩基性ポリマーは、インク全量に対して、凝集物発生の抑制の観点から0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。一方、水溶性塩基性ポリマーは、インク全量に対して、インクの低粘度化の観点から、5.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。水溶性塩基性ポリマーは、インク全量に対して、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜2.0質量%がより好ましく、0.2〜1.5質量%がさらに好ましく、0.2〜1.0質量%がさらに好ましい。
分散剤の含有量は、顔料の分散性を確保する観点から、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量として、インク全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。一方、分散剤の含有量は、インクの粘度及び高温環境下での貯蔵安定性の観点から、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量として、インク全量に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。分散剤の含有量は、酸性樹脂、低分子アミン化合物及び塩基性ポリマーの合計量として、インク全量に対して、例えば、0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜8質量%であることがさらに好ましい。
分散剤の量は、酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー及び水溶性塩基性ポリマーの合計量として、質量比で、顔料1に対し分散剤0.1〜5となるような量であることが好ましく、0.1〜1となる量であることがより好ましい。
インクには、非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等を好ましく挙げることができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
非水系溶剤の量は、適宜調整できる。非水系溶剤は、インク全量に対して、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。一方、非水系溶剤の量は、インク全量に対して、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。非水系溶剤の量は、インク全量に対して、例えば、60〜99質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
上記各成分に加えて、油性インクには、各種添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、染料等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
インク中の水の量は、インク全量に対して1質量%以下が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
インク中の分散剤と顔料との合計量は、インク全量に対する、顔料と酸性樹脂と油溶性塩基性ポリマーと水溶性塩基性ポリマーとの合計量として、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
上述の油性インクジェットインクの製造方法はとくに限定されない。上述の油性インクジェットインクの製造には、例えば、液中乾燥法を好ましく用いることができ、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を特に好ましく用いることができる。
油中水型エマルションの油中乾燥法を用いた油性インクジェットインクの製造方法の例としては、例えば、油中水型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で分散剤を製造することを含む方法が挙げられる。このような方法としては、例えば、非水系溶剤及び油溶性塩基性ポリマーを含む連続相と、水及び酸性水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを得る工程(以下、「工程1」という場合もある。)と、油中水型エマルションから水を除去し、樹脂粒子分散体を得る工程(以下、「工程2」という場合もある。)と、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーとを混合し、顔料を分散する工程(以下、「工程3」という場合もある。)とを含む方法が挙げられる。しかし、インクの製造方法はこの方法に限定されない。
油中水型エマルションの油中乾燥法を用いたこの方法は、揮発性の有機溶剤を使用する必要がなく、安全性に優れている。
非水系溶剤、油溶性塩基性ポリマー、酸性水分散性樹脂、水溶性塩基性ポリマー及び顔料については、インクの成分の説明において説明したものをそれぞれ用いることができる。例えば、酸性水分散性樹脂としては、インクの成分の説明において説明した酸性樹脂の水分散性樹脂のなかでも、酸性水分散性(メタ)アクリル系樹脂、酸性水分散性ウレタン系樹脂等が好ましく、酸性水分散性ウレタンウレア系樹脂がより好ましい。
水としては、水道水、イオン交換水、脱イオン水等を使用することができる。
工程1において作製される油中水型エマルションにおいて、連続相及び分散相は、他の成分を含んでよい。
酸性水分散性樹脂の量(固形分量)は、分散相全量に対して、1〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。酸性水分散性樹脂の量(固形分量)は、油中水型エマルション全量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
酸性水分散性樹脂の量(固形分量)は、工程2で得られる樹脂粒子分散体全量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましい。酸性水分散性樹脂の量(固形分量)は、工程2で得られる樹脂粒子分散体全量に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。酸性水分散性樹脂の量(固形分量)は、工程2で得られる樹脂粒子分散体全量に対して、5〜40質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、14〜30質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、水の量は、分散相全量に対して、40〜99質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。水の量は、油中水型エマルション全量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、水の量は、工程1での油中水型エマルションの安定性を保つ観点から、分散相の酸性水分散性樹脂の量(固形分量)が、水の量に対して、20質量%以上となる量であることが好ましく、30質量%以上となる量であることがより好ましく、35質量%以上となる量であることがさらに好ましく、40質量%以上となる量であることがさらに好ましい。一方、水の量は、分散相の酸性水分散性樹脂の量(固形分量)が、水の量に対して、80質量%以下となる量であることが好ましく、75質量%以下となる量であることがより好ましい。油中水型エマルションにおいて、水の量は、例えば、分散相の酸性水分散性樹脂の量(固形分量)が、水の量に対して、20〜80質量%となる量であることが好ましく、30〜80質量%となる量であることよりが好ましく、35〜80質量%となる量であることさらに好ましく、40〜75質量%となる量であることがさらに好ましい。
油溶性塩基性ポリマーは、インクに用いる全量を、工程1で得られる油中水型エマルションに含ませてもよいが、一部のみを工程1で得られる油中水型エマルションに含ませ、残りを、例えば、工程3において、顔料と樹脂粒子分散体と水溶性塩基性ポリマーとを混合する際に顔料、樹脂粒子分散体及び水溶性塩基性ポリマー等とともに混合してもよい。工程3等において加える油溶性塩基性ポリマーは、工程1の油中水型エマルションに含まれる油溶性塩基性ポリマーと同じであってもよく、異なってもよい。
油中水型エマルションにおいて、油溶性塩基性ポリマーの量は、連続相全量に対して、1〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、油溶性塩基性ポリマーの量は、油中水型エマルション全量に対して1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
非水系溶剤は、インクに用いる全量を、工程1で得られる油中水型エマルションに含ませてもよいが、一部のみを工程1で得られる油中水型エマルションに含ませ、残りを、例えば、工程3において、顔料と樹脂粒子分散体と水溶性塩基性ポリマーとを混合する際に顔料、樹脂粒子分散体及び水溶性塩基性ポリマー等とともに混合してもよい。工程3等において加える非水系溶剤は、工程1の油中水型エマルションに含まれる非水系溶剤と同じであってもよく、異なってもよい。
油中水型エマルションにおいて、非水系溶剤の量は、連続相全量に対して、40〜99質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましく、60〜90質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、非水系溶剤の量は、油中水型エマルション全量に対して、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
工程1において、油中水型エマルションを得る方法は、特に限定されない。
油中水型エマルションは、例えば、分散相の成分と連続相の成分とを混合、乳化させることにより製造することができる。
インクの分散安定性の向上とそれによる耐擦過性向上の観点から、連続相の成分を含む連続相用混合物と分散相の成分を含む分散相用混合物とを、あらかじめ別々に調製することが好ましい。次いで、連続相用混合物に分散相用混合物を添加し、乳化処理することが好ましい。乳化処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の乳化機を用いて行ってもよい。乳化処理は、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加しながら行ってもよく、また、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加後に行ってもよい。
エマルション粒子径を小さくすること、及びそれによる、得られたインクの分散安定性の向上とそれによる耐擦過性向上の観点から、例えば、工程1は、 酸性水分散性樹脂及び水を含む分散相用混合物を得る工程(以下「工程a−1」という場合もある。)と、油溶性塩基性ポリマー及び非水系溶剤を含む連続相用混合物を得る工程(以下、「工程a−2」という場合もある。)と、分散相用混合物を連続相用混合物に添加し、乳化を行う工程(以下、「工程a−3」という場合もある。)とを含むことが好ましい。工程a−1では、例えば、酸性水分散性樹脂と、水と、必要に応じて他の成分とを混合して分散相用混合物を得ることができる。工程a−2では、例えば、油溶性塩基性ポリマーと、非水系溶剤と、必要に応じて他の成分とを混合して連続相用混合物を得ることができる。工程a−3では、工程a−1で得られた分散相用混合物を工程a−2で得られた連続相用混合物に添加し、乳化を行う。工程a−3において、乳化処理は、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加しながら行ってもよく、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加した後に行ってもよい。乳化処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の乳化機を用いて行ってもよい。
油中水型エマルションは、生産効率向上の観点からは、連続相用混合物と分散相用混合物とをあらかじめ別々に用意するのではなく、例えば、連続相の成分と分散相の成分とを一度に混合し、得られた混合物を乳化機等により乳化することが好ましい。
生産効率向上の観点からは、工程1は、例えば、酸性水分散性樹脂、水、油溶性塩基性ポリマー、及び非水系溶剤を混合して混合物を得る工程(以下、工程「b−1」という場合もある。)と、得られた混合物を乳化する工程(以下、工程「b−2」という場合もある。)とを含む工程であることが好ましい。分散相及び/又は連続相がその他の成分を含む場合、工程b−1では、酸性水分散性樹脂、水、油溶性塩基性ポリマー、及び非水系溶剤とともにその他の成分を混合してもよい。工程b−2では、乳化処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の乳化機を用いて行ってもよい。
工程1において、油中水型エマルションは、水を除去する前の状態の質量比として、油中水型エマルション全量に対して、分散相20〜50質量%及び連続相80〜50質量%であることが好ましい。
油溶性塩基性ポリマーが、エポキシ基、β−ジカルボニル基等の、塩基性基と反応性を有する基を有する場合、これらの基と水溶性塩基性ポリマーとが反応することを避ける観点から、工程1の前に、油溶性塩基性ポリマーのこれら塩基性基と反応性を有する基を、等モルの塩基とを反応させておくことが好ましい。
工程2において、油中水型エマルションの分散相の水が除去される。これにより、残りの分散相成分と連続相成分の油溶性塩基性ポリマーとにより樹脂粒子が形成され、この樹脂粒子を含有する樹脂粒子分散体を得ることができる。
水を除去する方法としては、例えば、減圧、加熱、バブリング、吸湿剤添加またはそれらの組み合わせ等を用いることができる。減圧及び/または加熱の条件としては、水が除去されるが、連続相の非水系溶剤は残るような条件を採用することができる。減圧には、例えばエバポレーターを用いることができる。加熱温度としては、30℃以上が好ましく、40〜180℃がより好ましく、60℃〜180℃がさらに好ましく、80℃〜150℃がさらに好ましい。例えば、常圧で加熱することも好ましい。バブリングとしては、液体に気体を吹き込みバブリングすることで、蒸発を促進することが好ましい。吸湿剤としては、例えばゼオライト等が挙げられる。
工程2では、分散相の水は除去前の量に対して80質量%以上除去されることが好ましく、90質量%以上除去されることが好ましく、95質量%以上除去されることがさらに好ましく、99質量%以上除去されることがさらに好ましい。
工程2で得られる樹脂粒子分散体において、樹脂粒子分散体全量に対する油中水型エマルションの分散相成分の固形分の量は、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
工程2で得られる樹脂粒子分散体において、樹脂粒子の量は、油中水型エマルションの分散相成分の固形分の量及び連続相成分の固形分の量の合計として、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
工程3では、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーとを混合し、顔料を分散する。
工程3では、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーとを混合するが、必要に応じて、上述のように、樹脂粒子分散体、顔料及び水溶性塩基性ポリマーとともに、油溶性塩基性ポリマー及び/又は非水系溶剤等を混合してもよい。工程3等において加える油溶性塩基性ポリマーは、工程1の油中水型エマルションに含まれる油溶性塩基性ポリマーと同じであってもよく、異なってもよい。工程3等において加える非水系溶剤は、工程1の油中水型エマルションに含まれる非水系溶剤と同じであってもよく、異なってもよい。
工程3で用いる各材料の量はとくに限定されないが、インク中の各成分の量を考慮して適宜決定することができる。
工程3において、水溶性塩基性ポリマーは、例えば、水に溶解し、水溶液として用いてもよいが、水の量が、インク全量に対して1質量%以下となるように用いることが好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
工程3では、顔料の分散は、例えば、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマー、必要に応じて油溶性塩基性ポリマー及び/又は非水系溶剤等とを混合しながら行ってもよく、例えば、樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーと、必要に応じて油溶性塩基性ポリマー及び/又は非水系溶剤等とを混合した後に行ってもよい。分散にはビーズミル等を用いることができる。
この油性インクジェットインクの製造方法は、他の工程をさらに含んでもよい。
樹脂粒子分散体と、顔料と、水溶性塩基性ポリマーと、必要に応じて油溶性塩基性ポリマー及び/又は非水系溶剤等とを混合し、顔料を分散し、必要に応じて他の工程を行うことで、油性インクジェットインクを得ることができる。
油性インクジェットインク中では、顔料と、樹脂粒子分散体の樹脂粒子と、水溶性塩基性ポリマーとが、着色樹脂粒子を形成していてもよく、このような着色樹脂粒子において、顔料が樹脂に被覆されていてもよい。
インク中の着色樹脂粒子の平均粒子径は、50〜300nmが好ましく、80〜200nmがより好ましい。インク中の着色樹脂粒子の平均粒子径は、動的散乱方式による体積基準の平均粒子径であり、例えば、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒子径分布測定装置「ナノ粒子解析装置nanoPartica SZ−100」等を用いて測定することができる。
油性インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
油性インクジェットインクの粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、一層好ましい。
本実施形態において、記録媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm〜数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙等のインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の実施例及び比較例を通して、特に説明のない限り、共通する成分は同一のものである。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示し、「部」は「質量部」を示す。
表1に記載の各材料の配合量は質量部で表す。表2及び3に記載の各材料の配合量は質量%で表す。表1〜3中の各材料の配合量は、揮発分が含まれる材料については、揮発分を含めた量である。
<インクの材料>
実施例及び比較例のインクの原材料を下記に示す。
カーボンブラック:MOGUL L(キャボットスペシャリティーケミカルズ製)
銅フタロシアニンブルー:Heliogen Blue D7115F(BASF製)
ウレタンウレア系樹脂水分散体1:下記記載の方法で製造(酸性ウレタンウレア系樹脂を含む水分散体、有効成分30%)
ウレタン系樹脂水分散体1:下記記載の方法で製造(酸性ウレタン系樹脂を含む水分散体、有効成分30%)
(メタ)アクリル系樹脂水分散体1:下記記載の方法で製造(酸性(メタ)アクリル系樹脂を含む水分散体、有効成分30%)
油溶性塩基性ポリマー溶液1:下記記載の方法で製造(炭素数8〜22のアルキル基を有する油溶性塩基性ポリマーの溶液、有効成分40%、溶媒は脂肪酸エステル系溶剤)
油溶性塩基性ポリマー溶液2:下記記載の方法で製造(炭素数8〜22のアルキル基を有する油溶性塩基性ポリマーの溶液、有効成分40%、溶媒は脂肪酸エステル系溶剤)
油溶性塩基性ポリマー3:HYPERMER LP5(クローダジャパン株式会社製)(炭素数6のアルキル基を有する油溶性塩基性ポリマー、有効成分100%)
油溶性酸性ポリマー1:ソルスパース21000(日本ルーブリゾール株式会社製)(有効成分100%)
脂肪酸エステル系溶剤1:ミリスチン酸イソプロピル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
石油系炭化水素溶剤1:エクソールD130(エクソンモービル社製)
高級アルコール系溶剤1:オレイルアルコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
水溶性塩基性ポリマー1:エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、株式会社日本触媒製、数平均分子量約600、有効成分100%)
水溶性塩基性ポリマー2:パピオゲンP−105(ジメチルアミン−アンモニア−エピクロルヒドリン重縮合物、センカ株式会社製、有効成分60%)
<ウレタンウレア系樹脂水分散体1の製造>
四つ口フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製)を767.6質量部、2、2−ジメチロールブタン酸(ハイケム株式会社製)55.5質量部、1,4−ブタンジオール(三菱ケミカル株式会社製)23.7質量部、およびヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)203.2質量部をメチルエチルケトン(東京化成工業株式会社製)724.4質量部中で80℃で6時間反応させた。その後、そこにヘキサンジアミン(東京化成工業株式会社製)21.8質量部を添加した。この溶液に50℃のイオン交換水を2000質量部添加し、さらに、アンモニアの10%水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製)(以下「10%アンモニア水」という場合もある。)でpHを8に調整した。その後、50℃及び減圧下にてメチルエチルケトンを除去した。そこにイオン交換水を追加して固形分を30質量%に調整し、酸性ウレタンウレア系樹脂を含む水分散体(有効成分30%)を得た。これをウレタンウレア系樹脂水分散体1とする。
<ウレタン系樹脂水分散体1の製造>
四つ口フラスコにジエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を105.1質量部仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。これに、アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)72.1質量部を30分かけて滴下した。110℃に2時間保ちマイケル付加反応を完結させ、液状のジオールを得た。別の四つ口フラスコに、上記で得られたジオール溶液35.4質量部と、他のジオール成分としてプロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を15.2質量部仕込み、錫触媒としてジブチル錫ジラウレート(東京ファインケミカル株式会社製)を0.15質量部添加し、窒素ガスを通気し撹拌しながら、78℃まで昇温した。そして、ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)67.3質量部とメチルエチルケトン(東京化成工業株式会社製)118.1質量部との混合物を30分かけて滴下した。滴下後、温度78℃から80℃の還流下で24時間反応させた後、冷却して、固形分50質量%の酸性ウレタン系樹脂の溶液を得た。
上記酸性ウレタン系樹脂の溶液100質量部にイオン交換水を80質量部添加し、さらに、10%アンモニア水でpHを8に調整した。その後、50℃及び減圧下にてメチルエチルケトンを除去した。そこにイオン交換水を追加して固形分を30質量%に調整し、酸性ウレタン系樹脂を含む水分散体(有効成分30%)を得た。これをウレタン系樹脂水分散体1とする。
<(メタ)アクリル系樹脂水分散体1の製造>
メチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)95質量部及びブチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)5質量部からなるモノマー混合物Aを、イオン交換水40質量部にエマルゲン 1135S−70(花王株式会社製ノニオン性非反応性界面活性剤)を2質量部、Emulsogen EPA073(クラリアントジャパン株式会社製アニオン性非反応性界面活性剤)を1.5質量部溶解した水溶液中に添加し、撹拌することで乳化モノマー組成物を作製した。次いで、四つ口フラスコにイオン交換水を173質量部、及びEmulsogen EPA073を1質量部仕込み、撹拌して溶解させ、73℃まで昇温した。そこに上記の乳化モノマー組成物の5%を投入して撹拌し、過硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)の3%水溶液(以下「3%過硫酸カリウム」という場合もある)を1.3質量部添加し、初期重合を行った。その後、80℃に温度を保ちつつ3%過硫酸カリウム5.3質量部と残りの乳化モノマー組成物を3時間30分かけて滴下しながら重合反応を進行させた。滴下終了後、60分間反応を行ない1段目の重合を終了した。次いで、メチルメタクリレート2.8質量部及びメタクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.4質量部からなるモノマー混合物Bを3%過硫酸カリウム0.87質量部と同時に添加し2段目の重合を開始させた。滴下終了後、10%アンモニア水を用いてpH8に調整した後1時間反応を熟成した。その後50℃に冷却し更に1時間撹拌を続けた後、イオン交換水を追加して固形分を30質量%に調整し、酸性(メタ)アクリル系樹脂を含む水分散体(有効成分30%)を得た。これを(メタ)アクリル系樹脂水分散体1とする。
<油溶性塩基性ポリマー溶液1の製造>
ベヘニルメタクリレート(日油株式会社製)55質量部、ラウリルメタクリレート(花王株式会社製)25質量部、及びグリシジルメタクリレート(富士フイルム和光純薬株式会社製)20質量部を混合し、モノマー混合物を調製した。それとは別にオレイン酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)を仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながらパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート:日油株式会社製)を添加し、モノマー混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間後及び2時間後にパーブチルOを添加した。さらに110℃で1時間液温を保った。その後、ジエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を、グリシジルメタクリレートに対して1当量加えて、110℃で3時間撹拌し、油溶性塩基性ポリマー溶液1(固形分40質量%)を得た。なお、油溶性塩基性ポリマー溶液1の製造において、固形分40質量%になるようにオレイン酸メチルの量を調整した。
<油溶性塩基性ポリマー溶液2の製造>
ベヘニルメタクリレート(日油株式会社製)55質量部、ラウリルメタクリレート(花王株式会社製)25質量部、及びジメチルアミノエチルメタクリレート(富士フイルム和光純薬株式会社製)20質量部を混合し、モノマー混合物を調製した。それとは別にオレイン酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)を仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながらパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート:日油株式会社製)を添加し、モノマー混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間後及び2時間後にパーブチルOを添加した。さらに110℃で1時間液温を保った。このようにして油溶性塩基性ポリマー溶液2(固形分40質量%の溶液)を得た。なお、油溶性塩基性ポリマー溶液2の製造において、固形分40質量%になるようにオレイン酸メチルの量を調整した。
<インクの製造>
実施例1〜9及び比較例1及び2のインクを下記のように製造した。
表1に示す配合量で、非水系溶剤と、油溶性塩基性ポリマー溶液1、油溶性塩基性ポリマー溶液2、油溶性塩基性ポリマー3又は油溶性酸性ポリマーとを混合して連続相用混合物を調製した。このようにして調製した連続相用混合物に、分散相用混合物として、表1に記載するウレタンウレア系樹脂水分散体1、ウレタン系樹脂水分散体1、又は(メタ)アクリル系樹脂水分散体1を滴下しながら、氷冷下、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC−750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中水(W/O)型エマルション(EM1〜7)を得た。
この油中水型エマルション(EM1〜7)のそれぞれを、ロータリーエバポレーター「RE601」(ヤマト科学株式会社製)を用い、120℃の油浴で、真空度50hPaで減圧し、エマルション100gあたり1時間処理し、エマルション中の水と、酸性樹脂を含む水分散体中に含まれていた揮発分を除去して、固形分40質量%の樹脂粒子分散体を得た。水の除去率は、ほぼ100質量%であった。EM1〜7を用いて、このようにして得られた樹脂粒子分散体を、それぞれ樹脂粒子分散体1〜7(いずれも固形分40質量%)(以下、それぞれ、分散体1〜7という場合もある。)とする。
Figure 2021091788
表2及び3に示す配合量で、顔料と、樹脂粒子分散体と、水溶性塩基性ポリマーと、非水系溶剤とを混合し、混合物を得た。得られた混合物を、ビーズミル「ダイノーミル Multi LAB」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて分散し、実施例1〜9及び比較例1のインクを得た。
比較例2については、分散中に凝集が生じ、インクを得ることができなかった。
<評価方法>
以下の評価方法に従って評価を行った。結果を表2及び3に示す。
(1)凝集物
インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)にインクを導入し、インク経路内にインクを循環させた状態で2週間放置した。インク経路からインクを1ml抜き出して光学顕微鏡で観察し、下記の評価基準により凝集物の評価を行った。
(評価基準)
A:凝集物が観察されない
B:凝集物が観察される
(2)画像濃度
カーボンブラックを用いた実施例1〜8及び比較例1の各インクをインクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)にベタ画像を印刷した。印刷物表面のOD値(表面OD値)を測定し、測定した表面OD値から画像濃度を以下の基準で評価した。OD値の測定装置には、ビデオジェット・エックスライト株式会社製「X−Rite eXact」を用いた。
(評価基準)
AA:表面OD値が1.2以上である
A:表面OD値が1.1以上1.2未満である
B:表面OD値が1.1未満である
(3)耐擦過性
実施例1〜9及び比較例1の各インクを用いて、上記画像濃度の評価方法と同様にして印刷物を作製した。印刷から24時間後に、印刷物のベタ画像を有する表面のベタ画像部を含む領域を、クロックメーター(アトラスエレクトリック デバイス社製「CM−1」)を用い白綿布で5秒間に5回擦って、画像周辺の汚染を以下の基準で評価した。
(評価基準)
AA:画像周辺の汚染がほとんど見られない
A:画像周辺の汚染がわずかに見られる
B:画像周辺の汚染が見られる
Figure 2021091788
Figure 2021091788
各表に示す通り、各実施例のインクでは、凝集物の評価において、いずれも凝集物は観察されなかった。これに対して、水溶性塩基性ポリマーが用いられなかった比較例1では、凝集物の評価において、凝集物が観察された。また、油溶性塩基性ポリマーが用いられなかった比較例2では、インクの製造中に凝集が生じ、インクを得ることができなかった。
酸性樹脂として、酸性ウレタンウレア系樹脂が用いられた実施例1及び4〜9では、耐擦過性が向上していた。
カーボンブラックを用いた実施例1〜8のうち、炭素数8〜22のアルキル基を有する油溶性塩基性ポリマーが用いられた実施例1〜4及び6〜8では、画像濃度が向上していた。

Claims (4)

  1. 顔料と、
    酸性樹脂、油溶性塩基性ポリマー、及び水溶性塩基性ポリマーによって形成される分散剤と、
    非水系溶剤とを含む、油性インクジェットインク。
  2. 前記酸性樹脂は、酸性(メタ)アクリル系樹脂及び酸性ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
  3. 前記酸性樹脂は、酸性ウレタンウレア系樹脂を含む、請求項2に記載の油性インクジェットインク。
  4. 非水系溶剤及び油溶性塩基性ポリマーを含む連続相と、水及び酸性水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを得る工程と、
    前記油中水型エマルションから水を除去して樹脂粒子分散体を得る工程と、
    前記樹脂粒子分散体と顔料と水溶性塩基性ポリマーとを混合し、顔料を分散する工程とを含む、
    油性インクジェットインクの製造方法。

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