JP7341860B2 - 油性インクジェットインク、油性インクジェットインクの製造方法及び分散剤の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、固体樹脂と酸性基を有する液体有機化合物とを含む着色樹脂粒子を含む着色樹脂粒子分散体、及びこれを含むインクジェットインクが開示されている。
特許文献3には、ウレタン化合物を含むカプセル化顔料、及び非水系溶剤を含み、ウレタン化合物は、ウレタン骨格及びカルボキシ基等を含む側鎖を有し、前記非水系溶剤に不溶性の化合物である、油性インクジェットインクが開示されている。
本発明の実施形態は、凝集物を生じにくい油性インクジェットインクを提供することを目的とする。
(一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R1とR2とは互いに結合して環を形成していてもよい。一般式(2)において、R3は置換基を表し、R4は水素原子又は置換基を表し、R3とR4とは互いに結合して環を形成していてもよい。)
以下、油性インクジェットインクを、「インク」又は「油性インク」という場合がある。
以下、下記一般式(1)で表される基及び下記一般式(2)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む(メタ)アクリル系樹脂を、「(メタ)アクリル系樹脂A」という場合がある。
アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
高彩度の印刷物を得ることができる観点から、シアンインクは、銅フタロシアニンブルーを含むことが好ましい。イエローインクは、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンイエローのうちいずれかを含むことが好ましく、ジスアゾイエローを含むことがより好ましい。マゼンタインクは、アゾレーキレッド、ナフトールAS、ベンズイミダゾロンレッド、キナクリドンマゼンタのうちいずれかを含むことが好ましく、アゾレーキレッドを含むことがより好ましい。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、画像濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましい。
分散剤は、油性インクジェットインクの製造工程において、樹脂粒子の形態で使用することが好ましい。例えば、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で分散剤を製造する場合は、分散剤は、好ましくは樹脂粒子の形態で製造することができる。
油性インクジェットインク中では、例えば、分散剤と顔料とが、着色樹脂粒子中に含まれることが好ましい。このような着色樹脂粒子の例として、顔料が分散剤に被覆されているもの等が挙げられる。
(メタ)アクリルは、メタクリル、アクリル、またはこれらの組み合わせを含むことを意味し、(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル単位を含む樹脂、アクリル単位を含む樹脂、またはこれらの単位をともに含む樹脂を意味する。
酸性樹脂は、裏抜け低減、及び画像濃度の向上の観点から、インクの非水系溶剤への溶解性が、23℃においてインクの非水系溶剤100gに対して溶解できる樹脂の量として、1g以下であることが好ましい。さらに、非水系溶剤中に酸性樹脂が溶けにくいことで、インクの低粘度化にも寄与しうる。
樹脂の重量平均分子量は、GPC法で標準ポリスチレン換算で求めた値である。以下で述べる樹脂等における重量平均分子量についても同様である。
ポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、2、2-ジメチロールブタン酸、1,4-ブタンジオール、ジエタノールアミン等が挙げられる。また、ポリオールとしては、例えば、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミンとアクリル酸等のアクリロイルオキシ基を有する化合物とをマイケル付加反応させて得られたジオールを用いてもよい。これらのポリオールは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。用いられるポリオールの少なくとも1種が、酸性基を有することが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート等を用いることができる。ポリイソシアネートは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性水分散性ウレタン(メタ)アクリル系樹脂の水分散体の市販品としては、例えば、ダイセル・オルネクス株式会社製「DAOTAN VTW-1262」(商品名)等が挙げられる。
「WS5984」、「WS4022」、「スーパーフレックス740」、「スーパーフレックス150H」、「ユーコートUWS-145」、「DAOTAN TW-6493」、「DAOTAN TW-6490」、「DAOTAN VTW-1262」のウレタン系樹脂は、ウレア基を有するウレタンウレア系樹脂である。
酸性水分散性(メタ)アクリル系樹脂の水分散体の市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製「モビニール6750」(商品名)、「モビニール6969D」(商品名)等が挙げられる。
低分子アミン化合物は、繰り返し単位を有していないことが好ましい。
低分子アミン化合物の分子量は、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂A)の重量平均分子量よりも小さいことが好ましい。
第1級アミン化合物としては、例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
第2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等が挙げられる。
第3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン等に例示される炭素数1~4のアルキル基を有するトリアルキルアミン等のトリアルキルアミン;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;N-アルキルモルホリン等に例示されるN-置換モルホリン化合物等のモルホリン化合物等の複素環式アミン等を用いることができる。
(メタ)アクリル系樹脂Aの重量平均分子量は、例えば、5,000~50,0000が好ましく、7,000~30,000がより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂Aは、例えば、一般式(1)で表される基及び一般式(2)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する単位(「単位Ya」)と、β-ジカルボニル基を有する単位(以下、「単位Yb」という場合がある)及び/又はアルキル基を有する単位(以下、「単位Yc」という場合がある)とを含むことがより好ましく、単位Ya、単位Yb、及び単位Ycを含むことがさらに好ましい。
一般式(4)において、R3及びR4は、それぞれ一般式(2)におけるR3及びR4と同様であり、その好ましい範囲も同様である。R6は、水素原子またはメチル基を表す。L2は、二価の連結基又は単結合を表す。
二価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、カルボニル基(-(C=O)-)、カルボニルオキシ基(-(C=O)-O-)等の二価の基、及び、そのような二価の基を2個以上組み合わせた基等が挙げられる。
単位Ybの例としては、例えば、主鎖の炭素原子にカルボニル基が結合し、そのカルボニル基の炭素原子に直接または連結基を介してβ-ジカルボニル基が結合している単位が挙げられる。
単位Ybとしては、β-ジカルボニル基を有する(メタ)アクリレートに由来する単位、β-ジカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミドに由来する単位等が好ましい。β-ジカルボニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に間接的に結合したβ-ジケトン基またはβ-ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい例として挙げられる。β-ジカルボニル基を有する(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アクリロイル基又はメタクリロイル基のカルボニル(CO)の炭素原子に間接的に結合したβ-ジケトン基またはβ-ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリルアミドが好ましい例として挙げられる。単位Ybとしては、例えば、後述するβ-ジカルボニル基を有するモノマー(以下、「モノマーYb」という場合がある。)に由来する単位を用いることができる。
(メタ)アクリル系樹脂Aは、単位Ybを1種のみ又は2種以上含んでよい。
単位Ycの例としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂Aの主鎖の炭素原子に、-COOReで表される基が結合した単位であって、Reが、アルキル基(好ましくは炭素数8~22、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基)である単位が挙げられる。単位Ycとしては、例えば、後述するアルキル基を有するモノマー(以下、「モノマーYc」という場合がある。)に由来する単位を用いることができる。
(メタ)アクリル系樹脂Aは、単位Ycを、1種のみ又は2種以上含んでよい。
β-ジカルボニル基を有する単位(単位Yb)は、重合体全体に対し、5~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることがより好ましい。
アルキル基を有する単位(単位Yc)は、重合体全体に対し40~90質量%であることが好ましく、50~90質量%がより好ましく、60~80質量%以上がさらに好ましい。
ここで、重合体全体は、(メタ)アクリル系樹脂Aを構成する全単位を基準とする。
一般式(6)において、R3及びR4は、それぞれ一般式(2)におけるR3及びR4と同様であり、その好ましい範囲も同様である。R6は、水素原子またはメチル基を表す。L2は、二価の連結基又は単結合を表す。
二価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルキニレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-O-、カルボニル基(-(C=O)-)、カルボニルオキシ基(-(C=O)-O-)等の二価の基、及び、そのような二価の基を2個以上組み合わせた基等が挙げられる。
モノマー混合物中の各モノマーの配合量は、例えば、上記の各単位の好ましい割合となるように、調整することができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN-10、カクタスノルマルパラフィンN-11、カクタスノルマルパラフィンN-12、カクタスノルマルパラフィンN-13、カクタスノルマルパラフィンN-14、カクタスノルマルパラフィンN-15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN-16、テクリーンN-20、テクリーンN-22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP-40、モレスコホワイトP-60、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-80、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-120、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-200、モレスコホワイトP-260、モレスコホワイトP-350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがいっそう好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2-オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16~30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12~20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14~20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
インク中の分散剤と顔料との合計量は、インク全量に対する、顔料と酸性樹脂と低分子アミン化合物と(メタ)アクリル系樹脂Aとの合計量として、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
油中水型エマルションの油中乾燥法を用いたこの方法は、揮発性の有機溶剤を使用する必要がなく、安全性に優れている。
水としては、水道水、イオン交換水、脱イオン水等を使用することができる。
油中水型エマルションにおいて、水の量は、分散相全量に対して、40~99質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。水の量は、油中水型エマルション全量に対して、1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、(メタ)アクリル系樹脂Aの量は、油中水型エマルション全量に対して1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。
油中水型エマルションにおいて、非水系溶剤の量は、油中水型エマルション全量に対して、30~90質量%が好ましく、40~80質量%がより好ましい。
油中水型エマルションは、例えば、分散相の成分と連続相の成分とを混合、乳化させることにより製造することができる。
インクの分散安定性の向上とそれによる耐擦過性向上の観点から、連続相の成分を含む連続相用混合物と分散相の成分を含む分散相用混合物とを、あらかじめ別々に調製することが好ましい。次いで、連続相用混合物に分散相用混合物を添加し、乳化処理することが好ましい。乳化処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の乳化機を用いて行ってもよい。乳化処理は、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加しながら行ってもよく、また、例えば、連続相用混合物に分散相用混合物を添加後に行ってもよい。
生産効率向上の観点からは、工程1は、例えば、酸性水分散性樹脂、低分子アミン化合物、水、(メタ)アクリル系樹脂A、及び非水系溶剤を混合して混合物を得る工程(以下、工程「b-1」という場合もある。)と、得られた混合物を乳化する工程(以下、工程「b-2」という場合もある。)とを含む工程であることが好ましい。分散相及び/又は連続相がその他の成分を含む場合、工程b-1では、酸性水分散性樹脂、低分子アミン化合物、水、(メタ)アクリル系樹脂A、及び非水系溶剤とともにその他の成分を混合してもよい。工程b-2では、乳化処理は、例えば、超音波ホモジナイザー等の乳化機を用いて行ってもよい。
工程2で得られる分散剤分散体において、分散剤の量は、油中水型エマルションの分散相成分の固形分の量及び連続相成分の固形分の量の合計として、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。
工程3では、分散剤分散体と顔料とを混合するが、必要に応じて、上述のように、分散剤分散体及び顔料とともに、(メタ)アクリル系樹脂A及び/又は非水系溶剤等を混合してもよい。工程3等において加える(メタ)アクリル系樹脂Aは、工程1の油中水型エマルションに含まれる(メタ)アクリル系樹脂Aと同じであってもよく、異なってもよい。工程3等において加える非水系溶剤は、工程1の油中水型エマルションに含まれる非水系溶剤と同じであってもよく、異なってもよい。
工程3で用いる各材料の量はとくに限定されないが、インク中の各成分の量を考慮して適宜決定することができる。
分散剤分散体と、顔料と、必要に応じて(メタ)アクリル系樹脂A及び/又は非水系溶剤等とを混合し、顔料を分散し、必要に応じて他の工程を行うことで、油性インクジェットインクを得ることができる。油性インクジェットインク中では、顔料と分散剤とが、着色樹脂粒子を形成していてもよく、このような着色樹脂粒子の例として、顔料が分散剤に被覆されているもの等が挙げられる。
この分散剤の製造方法により、上記の油性インクジェットインクに用いることができる分散剤を得ることができる。しかし、上記の油性インクジェットインクの分散剤の製造方法はこの方法に限定されない。
以下の実施例及び比較例を通して、特に説明のない限り、共通する成分は同一のものである。特に説明のない限り、「%」は「質量%」を示す。
表1~3に記載の各材料の配合量は質量部で表す。表4及び5に記載の各材料の配合量は質量%で表す。表1~5中の各材料の配合量は、揮発分が含まれる材料については、揮発分を含めた量である。
実施例及び比較例のインクの原材料を下記に示す。
アゾレーキレッド:Permanent Rubine P-L5b01(クラリアントジャパン株式会社製)
カーボンブラック:MOGUL L(キャボットスペシャリティーケミカルズ製)
ウレタンウレア系樹脂水分散体2:下記記載の方法で製造(酸性ウレタンウレア系樹脂及びジメチルエタノールアミンを含む水分散体、有効成分30%)
ウレタンウレア系樹脂水分散体3:下記記載の方法で製造(酸性ウレタンウレア系樹脂及びトリエチルアミンを含む水分散体、有効成分30%)
塩基性ウレタンウレア系樹脂水分散体1:スーパーフレックス620(第一工業製薬株式会社製、塩基性ウレタンウレア系樹脂の水分散体、有効成分30%)
(メタ)アクリル系樹脂溶液b:下記記載の方法で製造((メタ)アクリル系樹脂の溶液、有効成分40%、溶媒は脂肪酸エステル系溶剤)
(メタ)アクリル系樹脂溶液c:下記記載の方法で製造((メタ)アクリル系樹脂の溶液、有効成分40%、溶媒は脂肪酸エステル系溶剤)
(メタ)アクリル系樹脂溶液d:下記記載の方法で製造((メタ)アクリル系樹脂の溶液、有効成分40%、溶媒は脂肪酸エステル系溶剤)
(メタ)アクリル系樹脂溶液e:下記記載の方法で製造((メタ)アクリル系樹脂の溶液、有効成分40%、溶媒は石油系炭化水素溶剤)
石油系炭化水素溶剤1:エクソールD130(エクソンモービル社製)
高級アルコール系溶剤1:オレイルアルコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
四つ口フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(三菱ケミカル株式会社製)を767.6質量部、2、2-ジメチロールブタン酸(ハイケム株式会社製)55.5質量部、1,4-ブタンジオール(三菱ケミカル株式会社製)23.7質量部、およびヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)203.2質量部をメチルエチルケトン(東京化成工業株式会社製)724.4質量部中で80℃で6時間反応させた。その後、そこにヘキサンジアミン(東京化成工業株式会社製)21.8質量部を添加した。この溶液に50℃のイオン交換水を2000質量部添加し、さらに、トリエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)でpHを8に調整した。その後、50℃及び減圧下にてメチルエチルケトンを除去した。そこにイオン交換水を追加して固形分を30質量%に調整し、酸性ウレタンウレア系樹脂、及び、低分子アミン化合物としてトリエタノールアミンを含む水分散体(有効成分30%)を得た。これをウレタンウレア系樹脂水分散体1とする。
メチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)95質量部及びブチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)5質量部からなるモノマー混合物Aを、イオン交換水40質量部にエマルゲン 1135S-70(花王株式会社製、ノニオン性非反応性界面活性剤)を2質量部、Emulsogen EPA073(クラリアントジャパン株式会社製、アニオン性非反応性界面活性剤)を1.5質量部溶解した水溶液中に添加し、撹拌することで乳化モノマー組成物を作製した。次いで、四つ口フラスコにイオン交換水を173質量部、及びEmulsogen EPA073を1質量部仕込み、撹拌して溶解させ、73℃まで昇温した。そこに上記の乳化モノマー組成物の5%を投入して撹拌し、過硫酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)の3%水溶液(以下「3%過硫酸カリウム」という場合もある)を1.3質量部添加し、初期重合を行った。その後、80℃に温度を保ちつつ3%過硫酸カリウム5.3質量部と残りの乳化モノマー組成物を3時間30分かけて滴下しながら重合反応を進行させた。滴下終了後、60分間反応を行ない1段目の重合を終了した。次いで、メチルメタクリレート2.8質量部及びメタクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.4質量部からなるモノマー混合物Bを3%過硫酸カリウム0.87質量部と同時に添加し2段目の重合を開始させた。滴下終了後、ジメチルエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)を用いてpH8に調整した後1時間反応を熟成した。その後50℃に冷却し更に1時間撹拌を続けた後、イオン交換水を追加して固形分を30質量%に調整し、酸性(メタ)アクリル系樹脂、及び低分子アミン化合物としてジメチルエタノールアミンを含む水分散体(有効成分30%)を得た。これを(メタ)アクリル系樹脂水分散体1とする。
四つ口フラスコにジエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を105.1質量部仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。これに、アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)72.1質量部を30分かけて滴下した。110℃に2時間保ちマイケル付加反応を完結させ、液状のジオールを得た。別の四つ口フラスコに、上記で得られたジオール溶液35.4質量部と、他のジオール成分としてプロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を15.2質量部仕込み、錫触媒としてジブチル錫ジラウレート(東京ファインケミカル株式会社製)を0.15質量部添加し、窒素ガスを通気し撹拌しながら、78℃まで昇温した。そして、ヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製)67.3質量部とメチルエチルケトン(東京化成工業株式会社製)118.1質量部との混合物を30分かけて滴下した。滴下後、温度78℃から80℃の還流下で24時間反応させた後、冷却して、固形分50質量%の酸性ウレタン系樹脂の溶液を得た。これをウレタン系樹脂溶液1とする。
下記のようにして(メタ)アクリル系樹脂溶液a~fを製造した。
四つ口フラスコに、エキセパールM-OL(花王株式会社製、オレイン酸メチル)200質量部を仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。次に、温度を110℃に保ちながら、ベヘニルメタクリレート(日油株式会社製)50質量部、ドデシルメタクリレート(花王株式会社製)20質量部、アセトアセトキシエチルメタクリレート(日本合成化学工業株式会社製)15質量部、及びジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)15質量部を混合したモノマー混合物100質量部にエキセパールM-OL 50質量部とパーブチルO(日本油脂株式会社製、t-ブチルパーオキシ2- エチルヘキサノエート)を混合した混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間撹拌した後、パーブチルOを添加し更に110℃に保ちながら1時間撹拌した。固形分40質量%になるようエキセパールM-OLを追加し、(メタ)アクリル系樹脂溶液aを得た。
ジメチルアクリルアミド15質量部の代わりにN-ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製)15質量部を用いたほかは、メタクリル系樹脂溶液aの製造と同様にして、固形分40質量%の(メタ)アクリル系樹脂溶液bを得た。
ジメチルアクリルアミド15質量部の代わりにアクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)15質量部を用いたほかは、メタクリル系樹脂溶液aの製造と同様にして、固形分40質量%の(メタ)アクリル系樹脂溶液cを得た。
ジメチルアクリルアミド15質量部の代わりにM-90G(新中村化学工業株式会社製、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート)15質量部を用いたほかは、メタクリル系樹脂溶液aの製造と同様にして、固形分40質量%の(メタ)アクリル系樹脂溶液dを得た。
エキセパールM-OLの代りにエクソールD130(エクソンモービル社製、石油系炭化水素溶剤)を用いたほかは、メタクリル系樹脂溶液aの製造と同様にして、固形分40質量%の(メタ)アクリル系樹脂溶液eを得た。
ジメチルアクリルアミド15質量部を用いず、かつ、アセトアセトキシエチルメタクリレートの量を15質量部から30質量部に変更したほかは、メタクリル系樹脂溶液aの製造と同様にして、固形分40質量%の(メタ)アクリル系樹脂溶液fを得た。
実施例1~11及び比較例1~4のインクを下記のように製造した。
表1~3のEM1~EM9、EM11~EM13に示す配合量で、非水系溶剤と、(メタ)アクリル系樹脂溶液又は酸性ポリマーとを混合して連続相(油相)用混合物を調製した。このようにして調製した連続相用混合物に、分散相(水相)用混合物として、表1~3のEM1~EM9、EM11~EM13に記載する酸性樹脂及び低分子アミン化合物を含む水分散体(ウレタンウレア系樹脂水分散体1~3、(メタ)アクリル系樹脂水分散体1、又はウレタン系樹脂水分散体1)を滴下しながら、氷冷下、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC-750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中水(W/O)型エマルション(EM1~9、11~13)を得た。
EM9では、水相と油相が分離して油中水型エマルションを得ることができなかったため、以下の操作を行わなかった。
得られた油中水型エマルション(EM1~8、11~13)のそれぞれを、ロータリーエバポレーター「RE601」(ヤマト化学株式会社製)を用い、80℃の水浴で、真空度100hPaで減圧し、エマルション100gあたり1時間処理し、エマルション中の水を除去して、固形分40%の樹脂粒子分散体として、分散剤分散体を得た。水の除去率は、ほぼ100質量%であった。EM1~8、11~13を用いて、このように水を除去して得られた分散剤分散体を、それぞれ分散剤含有液1~8、11~13(いずれも固形分40%)(以下、それぞれ、分散剤1~8、11~13という場合もある。)とする。
表3のML10に示す配合量で、非水系溶剤と(メタ)アクリル系樹脂溶液aとを混合した。ここに、表3のML10に示す量で酸性樹脂の溶液(ウレタン系樹脂溶液1)を添加し、混合液を得た。この混合液をML10とする。このML10について、ロータリーエバポレーター「RE601」(ヤマト化学株式会社製)にて、60℃の水浴で、真空度100hPaで減圧し、メチルエチルケトンを除去して、分散剤含有液10(固形分40%)(以下、分散剤10という場合もある。)を得た。なお、表2及び3の「油中水型エマルション中の水の量」は、ML10については、混合液ML10中の水の量を示す。
表4及び5に示す配合量で、顔料を、分散剤含有液及び非水系溶剤と混合し、ビーズミル「ダイノーミル Multi LAB」(株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて分散し、実施例1~11及び比較例1、3及び4のインクを得た。なお、比較例2は、顔料が凝集し、インクを得ることができなかったため、比較例2については、下記の評価は行われなかった。
上記のようにして得られた実施例1~11及び比較例1、3及び4のインクについて、以下の評価方法に従って評価を行った。結果を表4及び5に示す。
インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)にインクを導入し、インク経路内にインクを循環させた状態で2週間放置した。インク経路からインクを1ml抜き出して光学顕微鏡で観察し、下記の評価基準により凝集物の評価を行った。
A:凝集物が観察されない
B:凝集物が観察される
まず、インク作製直後のインクの粘度を測定した。
次に、インクを密閉容器に入れて、70℃で4週間放置した。その後、インクをサンプリングし、インク粘度を測定した。
インク粘度は23℃における粘度であり、レオメーターAR-G2(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、コーン角度2°、直径40mmで測定した。
作製直後のインク粘度及び4週間放置前後のインク粘度から、次式により粘度変化率を求め、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
粘度変化率(%)=[(4週間放置後のインク粘度×100)/(作製直後の粘度)]-100(%)
(評価基準)
A:粘度変化率の絶対値が5%未満
B:粘度変化率の絶対値が5%以上
各インクをインクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)にベタ画像を印刷した。印刷から24時間後に、印刷物のベタ画像を有する表面のベタ画像部を含む領域を、クロックメーター(アトラスエレクトリック デバイス社製「CM-1」)を用い白綿布で5秒間に5回擦って、画像周辺の汚染を以下の基準で評価した。
AA:画像周辺の汚染がほとんど見られない
A:画像周辺の汚染がわずかに見られる
B:画像周辺の汚染が見られる
酸性樹脂として、酸性ウレタンウレア系樹脂が用いられた分散剤1~3及び6~8のいずれかを用いた実施例1~3及び6~11では、耐擦過性が向上していた。
実施例1~11のインクは、いずれも良好な貯蔵安定性を示した。
Claims (6)
- 前記低分子アミン化合物は、アルカノールアミンを含む、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
- 前記酸性樹脂は、酸性(メタ)アクリル系樹脂及び酸性ウレタン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインク。
- 前記酸性樹脂は、酸性ウレタンウレア系樹脂を含む、請求項3に記載の油性インクジェットインク。
- 非水系溶剤、及び下記一般式(1)で表される基及び下記一般式(2)で表される基からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む(メタ)アクリル系樹脂を含む連続相と、水、酸性水分散性樹脂及び低分子アミン化合物を含む分散相とを含む油中水型エマルションを得る工程と、
前記油中水型エマルションから水を除去し、分散剤分散体を得る工程と、
前記分散剤分散体と顔料とを混合し、顔料を分散する工程とを含む、
油性インクジェットインクの製造方法。
(一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R1とR2とは互いに結合して環を形成していてもよい。一般式(2)において、R3は置換基を表し、R4は水素原子又は置換基を表し、R3とR4とは互いに結合して環を形成していてもよい。)
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