JP2021088683A - ラジカル重合性樹脂組成物、複合材料及び硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】UL94燃焼試験に合格する難燃性を有し、かつガラス繊維を補強材として用いた場合でも優れた光透過性を示すラジカル重合性樹脂組成物の提供。【解決手段】エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)及び不飽和ポリエステル樹脂(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、及びリン化合物(C)を含むラジカル重合性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性樹脂(A)が臭素原子を含み、屈折率が1.530〜1.545であるラジカル重合性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル重合性樹脂組成物、複合材料及びそれらの硬化物に関する。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などのラジカル重合性樹脂は、機械特性、耐水性、耐薬品性及び電気絶縁性に優れ、かつ成形が容易であるため、建築材料、電気機器用材料、自動車用材料など広範囲に使用されている。しかし、ラジカル重合性樹脂は燃焼しやすいという欠点がある。そのため、他の可燃性樹脂と同様に、ラジカル重合性樹脂組成物を難燃化する目的で難燃剤を添加することが知られている。
ラジカル重合性樹脂組成物に難燃性を付与する方法としては、無機系難燃剤である金属水和物、金属水酸化物、三酸化アンチモン等を用いる方法が提案されている(特許文献1)。
特許第4245994号明細書
無機系難燃剤は一般的にラジカル重合性樹脂組成物との相溶性に乏しく、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化物の光透過性は低下する傾向があった。
ラジカル重合性樹脂組成物の光透過性を向上させるために、無機系難燃剤を使わず、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン化物系難燃剤を用いた場合、その分子構造に起因してラジカル重合性樹脂組成物の屈折率が高くなる。そのため、ガラス繊維を補強材として用いた場合、ガラス繊維とラジカル重合性樹脂組成物との大きな屈折率差に起因して、ラジカル重合性樹脂組成物及びガラス繊維を含む複合材料の硬化物の光透過性が低下する場合があった。
上記に鑑みて、本発明は、UL94燃焼試験に合格する難燃性を有し、かつガラス繊維を補強材として用いた場合でも優れた光透過性を示すラジカル重合性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の実施態様[1]〜[10]を含む。
[1]
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)及び不飽和ポリエステル樹脂(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、及びリン化合物(C)を含むラジカル重合性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性樹脂(A)が臭素原子を含み、屈折率が1.530〜1.545であるラジカル重合性樹脂組成物。
[2]
前記リン化合物(C)がホスフェート、ホスフィネート、及びホスファゼンからなる群より選択される少なくとも1種である[1]に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[3]
前記ラジカル重合性樹脂(A)及び前記エチレン性不飽和単量体(B)の合計100質量部を基準として、前記リン化合物(C)を5〜50質量部含む[1]又は[2]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[4]
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)が、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との縮合物又はエステル化物である[1]〜[3]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[5]
前記不飽和ポリエステル樹脂(A2)がヘット酸、ヘット酸無水物、及び臭素含有グリコールからなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含む[1]〜[4]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[6]
ラジカル重合開始剤(D)を更に含む[1]〜[5]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[7]
前記ラジカル重合性樹脂組成物中のリン含有率、塩素含有率、及び臭素含有率をそれぞれ元素濃度として質量パーセントで表したときに、式1:
難燃指標値=[(リン含有率/5)+(塩素含有率/25)+(臭素含有率/13)]×100
より算出される難燃指標値が190〜250である、[1]〜[6]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材からなる群より選択される少なくとも1種とを含む複合材料。
[9]
前記繊維補強材がガラス繊維である[8]に記載の複合材料。
[10]
前記繊維補強材の含有量が、前記ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜500質量部である[8]又は[9]のいずれかに記載の複合材料。
[11]
[1]〜[7]のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物の硬化物。
[12]
[8]〜[10]のいずれかに記載の複合材料の硬化物。
本開示によれば、UL94燃焼試験に合格する難燃性を有し、かつガラス繊維を補強材として用いた場合でも優れた光透過性を示すラジカル重合性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本開示における「〜」は、「〜」という記載の前の値以上、「〜」という記載の後の値以下を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
本開示において、「エチレン性不飽和結合」とは、芳香環を形成する炭素原子を除く炭素原子間で形成される二重結合を意味し、「エチレン性不飽和単量体」とは、エチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
<ラジカル重合性樹脂組成物>
一実施態様のラジカル重合性樹脂組成物は、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)及び不飽和ポリエステル樹脂(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、及びリン化合物(C)を含む。ラジカル重合性樹脂(A)は臭素原子を含む。ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率は1.530〜1.545である。
[ラジカル重合性樹脂(A)]
一実施態様のラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂(A)として、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)及び不飽和ポリエステル樹脂(A2)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
ラジカル重合性樹脂(A)は臭素原子を含む。ラジカル重合性樹脂(A)が臭素原子を含むことにより、ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率を所定の範囲としつつ難燃性を高めることができる。ラジカル重合性樹脂(A)が2種以上の樹脂の組み合わせの場合、1つの樹脂のみが臭素原子を含んでもよく、2種以上の樹脂が臭素原子を含んでもよい。例えば、ラジカル重合性樹脂(A)が、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)と不飽和ポリエステル樹脂(A2)との組み合わせを含む場合、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)のみが臭素原子を含んでもよく、不飽和ポリエステル樹脂(A2)のみが臭素原子を含んでもよく、両方が臭素原子を含んでもよい。一実施態様では、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)が臭素原子を含む。
[エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)]
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)は、一般的には、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(A1a)中のエポキシ基と、エチレン性不飽和結合及びカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸(A1b)のカルボキシ基との開環反応によって得られる重合性不飽和結合を有する化合物の総称である。前記不飽和一塩基酸(A1b)は、(メタ)アクリル酸には限定されない。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(エポキシ化合物(A1a))
エポキシ化合物(A1a)は、2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限はない。エポキシ化合物(A1a)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、及びノボラックフェノール型エポキシ化合物、並びにこれらの臭素化誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。このようなエポキシ化合物は、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化物の機械的強度及び耐食性をより向上させることができる。
ビスフェノール型エポキシ化合物及びその臭素化誘導体としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及び臭素化ビスフェノール化合物(例えばテトラブロモビスフェノールA)等のビスフェノール化合物と、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの、あるいは、上記ビスフェノール化合物のいずれか1つ又は複数のグリシジルエーテルと、上記ビスフェノール化合物のいずれか1つ又は複数との縮合物と、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物及びその臭素化誘導体としては、例えば、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、及び水素化ビスフェノールS等の水素化ビスフェノール化合物のグリシジルエーテルと、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及び臭素化ビスフェノール化合物(例えばテトラブロモビスフェノールA)等のビスフェノール化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。
ノボラックフェノール型エポキシ化合物及びその臭素化誘導体としては、例えば、フェノールノボラック若しくはクレゾールノボラック又は臭素化フェノールノボラック若しくは臭素化クレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
(不飽和一塩基酸(A1b))
不飽和一塩基酸(A1b)としては、重合性不飽和結合を有するモノカルボン酸であれば、特に制限はない。不飽和一塩基酸(A1b)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及び桂皮酸、並びにこれらの臭素化誘導体(例えばα−ブロモアクリル酸、4−ブロモクロトン酸、4−ブロモ桂皮酸など)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸であることがより好ましく、メタクリル酸であることが特に好ましい。メタクリル酸とエポキシ化合物(A1a)との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)は、酸及びアルカリに対する高い耐加水分解性を有するため、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化物の耐食性をより向上させることができる。
エポキシ化合物(A1a)及び不飽和一塩基酸(A1b)を開環反応させる際の不飽和一塩基酸(A1b)の使用量は、エポキシ化合物(A1a)のエポキシ基1当量に対して、0.3〜1.5当量であることが好ましく、0.4〜1.2当量であることがより好ましく、0.5〜1.0当量であることが特に好ましい。不飽和一塩基酸(A1b)の使用量が、エポキシ化合物(A1a)のエポキシ基1当量に対して0.3〜1.5当量の範囲であれば、ラジカル重合性樹脂組成物のラジカル重合反応により、十分な硬度を有する硬化物を得ることができる。
(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)の合成)
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)は、公知の合成方法により合成することができる。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)の合成方法としては、例えば、加熱撹拌可能な反応容器内において、エステル化触媒の存在下、エポキシ化合物(A1a)及び不飽和一塩基酸(A1b)を必要に応じてエチレン性不飽和単量体(B)又は溶剤(E)に溶解させて、70〜150℃、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜130℃で反応させる方法が挙げられる。
エステル化触媒としては、特に制限はない。エステル化触媒として、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール若しくはジアザビシクロオクタンなどの第三級アミン、トリフェニルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド等のリン化合物、又はジエチルアミン塩酸塩等の公知の触媒を1種以上使用することができる。
なお、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)を合成した後の未反応の不飽和一塩基酸(A1b)は、後述するエチレン性不飽和単量体(B)とみなすこととする。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)は、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との縮合物又はエステル化物であることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)が臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との縮合物又はエステル化物であることにより、ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率を所定の範囲としつつ、より効果的に難燃性を高めることができる。臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、及び臭素化ビスフェノールS型エポキシ化合物が挙げられる。
[不飽和ポリエステル樹脂(A2)]
不飽和ポリエステル樹脂(A2)は、多価アルコール(A2a)と不飽和多塩基酸(A2b)と、必要に応じて飽和多塩基酸(A2c)及び一塩基酸(A2d)から選択される少なくとも一つとを縮合又はエステル化させて得られるものであり、特に限定されない。不飽和多塩基酸(A2b)とは、エチレン性不飽和結合を有する多塩基酸であり、飽和多塩基酸(A2c)とは、エチレン性不飽和結合を有さない多塩基酸である。不飽和ポリエステル樹脂(A2)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(多価アルコール(A2a))
多価アルコール(A2a)は、2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に制限はない。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンタンジオール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、グリセリン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、及び2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオールなどの臭素含有グリコールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、及び臭素含有グリコールがより好ましい。多価アルコール(A2a)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(不飽和多塩基酸(A2b))
不飽和多塩基酸(A2b)は、エチレン性不飽和結合を有し、かつ、2個以上のカルボキシ基を有する化合物又はその酸無水物であれば特に制限はない。例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロロマレイン酸、ヘット酸、ヘット酸無水物等が挙げられる。中でも、硬化物の耐熱性及び機械的強度等の観点から、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロロマレイン酸、ヘット酸及びヘット酸無水物が好ましく、無水マレイン酸及びフマル酸がより好ましい。難燃性の観点からは、ヘット酸及びヘット酸無水物が好ましい。不飽和多塩基酸(A2b)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(飽和多塩基酸(A2c))
飽和多塩基酸(A2c)は、エチレン性不飽和結合を有さず、かつ、2個以上のカルボキシ基を有する化合物又はその酸無水物であれば特に制限はない。例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、アゼライン酸、グルタル酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。中でも、硬化物の耐熱性及び機械的強度等の観点から、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましく、無水フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸がより好ましい。
(一塩基酸(A2d))
一塩基酸(A2d)としては、飽和一塩基酸及び不飽和一塩基酸が挙げられる。中でも好ましい一塩基酸(A2d)としては、ジシクロペンタジエンマレート、安息香酸とその誘導体、桂皮酸とその誘導体が挙げられ、ジシクロペンタジエンマレートがより好ましい。ジシクロペンタジエンマレートは、無水マレイン酸とジシクロペンタジエンから公知の方法によって合成可能である。一塩基酸(A2d)を用いることで、不飽和ポリエステル樹脂(A2)の粘度を低下させることができ、エチレン性不飽和単量体(B)の使用量を削減することができる。
(不飽和ポリエステル樹脂(A2)の合成)
不飽和ポリエステル樹脂(A2)は、上記(A2a)〜(A2d)の原料を用いて公知の方法で合成することができる。不飽和ポリエステル樹脂(A2)の合成における各種条件は、使用する原料及びその量に応じて適宜設定することができる。一般的に、窒素ガス等の不活性ガス気流中、140〜230℃の温度にて加圧又は減圧下でのエステル化反応を用いることができる。エステル化反応では、必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例としては、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド、シュウ酸第一錫、酢酸亜鉛、及び酢酸コバルト等の公知の触媒が挙げられる。エステル化触媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和ポリエステル樹脂(A2)は、ヘット酸、ヘット酸無水物、及び臭素含有グリコールからなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含むことが好ましい。ヘット酸、ヘット酸無水物、及び臭素含有グリコールはハロゲン原子を含んでいることから、ラジカル重合性樹脂組成物の難燃性を高めることができる。
不飽和ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。不飽和ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜25,000であり、より好ましくは5,000〜20,000であり、更に好ましくは7,000〜18,000である。重量平均分子量が3,000〜25,000であれば、ラジカル重合性樹脂組成物の成形性がより一層良好となる。なお、本開示において「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)によって測定される標準ポリスチレン換算値とする。
不飽和ポリエステル樹脂(A2)の不飽和度は50〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは60〜100モル%であり、更に好ましくは70〜100モル%である。不飽和度が上記範囲であると、ラジカル重合性樹脂組成物の成形性がより良好である。不飽和ポリエステル樹脂(A2)の不飽和度は、原料として用いた不飽和多塩基酸(A2b)及び飽和多塩基酸(A2c)のモル数を用いて、以下の式により算出可能である。
不飽和度(モル%)={(不飽和多塩基酸(A2b)のモル数×不飽和多塩基酸(A2b)1分子当たりのエチレン性不飽和結合の数)/(不飽和多塩基酸(A2b)のモル数+飽和多塩基酸(A2c)のモル数)}×100
[エチレン性不飽和単量体(B)]
ラジカル重合性樹脂組成物は、エチレン性不飽和単量体(B)を含む。エチレン性不飽和単量体(B)は、エチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はない。エチレン性不飽和基は1つでも複数でもよい。エチレン性不飽和単量体(B)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、アセナフチレン等のビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸;フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;及び桂皮酸、ジヒドロキシ桂皮酸等の不飽和芳香族カルボン酸が挙げられる。中でも屈折率を調整する観点から、(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートがより好ましい。エチレン性不飽和単量体(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和単量体(B)の含有量は、ラジカル重合性樹脂(A)及びエチレン性不飽和単量体(B)の合計に対し、好ましくは15〜60質量%であり、より好ましくは20〜55質量%であり、更に好ましくは25〜40質量%である。エチレン性不飽和単量体(B)の含有量が、ラジカル重合性樹脂(A)及びエチレン性不飽和単量体(B)の合計に対し15〜60質量%であれば、硬化物の機械的強度をより高めることができる。
[リン化合物(C)]
ラジカル重合性樹脂組成物は、リン化合物(C)を含む。リン化合物(C)は、比較的少ない使用量でラジカル重合性樹脂組成物の難燃性を効果的に高めることができる。リン化合物(C)としては、リン原子を有する化合物であれば特に制限はない。リン化合物(C)は、ホスフェート、ホスフィネート、及びホスファゼンからなる群より選択される少なくとも1種であってよい。ホスフェートとして、例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(3−クロロプロピル)ホスフェート等のトリス(ハロアルキル)ホスフェート;及びトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の芳香族ホスフェートが挙げられる。ホスフィネートとして、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、9,10−ジヒドロ−10−ベンジル−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等の環状ホスフィネートが挙げられる。中でも難燃性を付与する観点から、トリス(ハロアルキル)ホスフェート、及び芳香族ホスフェートが好ましく、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、及びトリス(3−クロロプロピル)ホスフェートがより好ましい。
リン化合物(C)の含有量は、ラジカル重合性樹脂(A)及びエチレン性不飽和単量体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜45質量部であり、更に好ましくは15〜30質量部である。リン化合物(C)の含有量が5〜50質量部であれば、ラジカル重合性樹脂組成物に高い難燃性を付与することができる。
[ラジカル重合開始剤(D)]
ラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤(D)を更に含んでもよい。ラジカル重合開始剤(D)を使用することで硬化を促進することができる。ラジカル重合性樹脂組成物にラジカル重合開始剤(D)を添加すると、ラジカル重合性樹脂組成物の硬化が開始するため、例えば、ラジカル重合性樹脂組成物を貯蔵する場合には、ラジカル重合開始剤(D)はラジカル重合性樹脂組成物を硬化させる直前に添加することが望ましい。
ラジカル重合開始剤(D)は、用途、硬化条件等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、公知の熱ラジカル開始剤及び光ラジカル開始剤を用いることができ、中でも、熱ラジカル開始剤が好ましい。
熱ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;パーオキシケタール;アルキルパーエステル;パーカーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。
ラジカル重合開始剤(D)の含有量は、ラジカル重合性樹脂(A)及びエチレン性不飽和単量体(B)の合計100質量部に対し、0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.2〜6.0質量部であることがより好ましく、0.3〜3.5質量部であることが特に好ましい。上記の範囲であれば、ラジカル重合性樹脂組成物のラジカル重合反応が促進されるため、より高い硬度を有する硬化物を得ることができる。
[溶剤(E)]
ラジカル重合性樹脂組成物は、溶剤(E)を含んでもよい。溶剤(E)は、ラジカル重合性樹脂(A)の合成の際に使用した溶剤に由来してもよい。溶剤(E)としては、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸n−プロピル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の有機溶剤を挙げることができる。溶剤(E)として、スチレンなどの上述したエチレン性不飽和単量体(B)を使用してもよい。溶剤(E)の含有量は、ラジカル重合性樹脂(A)及びエチレン性不飽和単量体(B)の合計100質量部に対し、好ましくは5〜60質量部であり、より好ましくは10〜50質量部であり、更に好ましくは20〜40質量部である。溶剤(E)の含有量には、エチレン性不飽和単量体(B)は含まれない。
[添加剤(F)]
ラジカル重合性樹脂組成物には、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲内で、又は硬化物の機械的強度等を低下させない範囲内で、添加剤(F)を一種以上適宜配合することができる。
添加剤(F)としては、例えば、揺変性付与剤、揺変性付与助剤、増粘剤、着色剤、可塑剤、ワックス、難燃剤等が挙げられる。
(揺変性付与剤)
揺変性付与剤としては、例えば、シリカ、クレー等の無機粉末が挙げられる。
(揺変性付与助剤)
揺変性付与助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、有機四級アンモニウム塩等が挙げられる。ポリヒドロキシカルボン酸アミドの具体例は、BYK−R 605(ビックケミー・ジャパン株式会社製)である。
(増粘剤)
増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、及び水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えば、塩素化パラフィン、リン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
(ワックス)
ワックスは、硬化物の表面の空気遮断効果により表面乾燥性を向上させる目的で加えることができる。係るワックスとしては、例えば、石油ワックス、オレフィンワックス、極性ワックス、特殊ワックス等が挙げられる。
(難燃剤)
難燃剤は、ラジカル重合性樹脂組成物の難燃性を高める目的で加えることができる。難燃剤としては、例えば、赤燐、無機及び有機ハロゲン化物、ヒンダードアミン化合物、水和金属化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、トリアジン化合物等が挙げられる。
一実施態様では、ラジカル重合性樹脂組成物は、赤燐、無機ハロゲン化物、水和金属化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛などの無機系難燃剤を実質的に含まない。この実施態様において、例えば、ラジカル重合性樹脂組成物の無機系難燃剤の含有量を、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.1質量%以下とすることができる。
[屈折率]
ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率は、1.530〜1.545である。屈折率は、アッベ屈折計を用いて測定される。ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率は、組成物を構成する材料の分子構造、密度、結晶構造等の要因により決定される。ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率は、好ましくは1.535〜1.545であり、より好ましくは1.540〜1.545である。屈折率が1.530〜1.545であることで、繊維補強材としてガラス繊維をラジカル重合性樹脂組成物に混合してFRPを作製した場合に、光透過性に優れた硬化物を得ることができる。
[難燃指標値]
本発明者らは難燃性に各元素の含有率が及ぼす影響を鋭意検討した。その結果、ラジカル重合性樹脂組成物において、塩素の難燃効果を1とすると、臭素は1.9、リンは5.0の効果があることが分かった。
一実施態様のラジカル重合性樹脂組成物は、ラジカル重合性樹脂組成物中のリン含有率、塩素含有率、及び臭素含有率をそれぞれ元素濃度として質量パーセントで表したときに、式1:
難燃指標値=[(リン含有率/5)+(塩素含有率/25)+(臭素含有率/13)]×100
より算出される難燃指標値が190〜250である。式1より算出される難燃指標値は好ましくは195〜250であり、より好ましくは200〜250である。難燃指標値が190〜250であることで、UL94 V−0規格に適合する難燃性を得ることができる。
リン含有率は、ラジカル重合性樹脂組成物を硫硝酸分解して得られた溶液をICP発光分析することで定量した値である。
塩素含有率及び臭素含有率は、ラジカル重合性樹脂組成物を水蒸気を通気しながら酸素気流下で加熱分解し、発生したガスを吸収させた弱アルカリ液を陰イオンクロマトグラフィーにて分析して定量した値である。
一実施態様では、ラジカル重合性樹脂組成物のリン含有率は、0.5質量%〜10.0質量%とすることができ、1.0質量%〜7.5質量%であることが好ましく、1.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましい。
一実施態様では、ラジカル重合性樹脂組成物の塩素含有率は、1.0質量%〜30.0質量%とすることができ、3.0質量%〜20.0質量%であることが好ましく、5.0質量%〜17.5質量%であることがより好ましい。
一実施態様では、ラジカル重合性樹脂組成物の臭素含有率は、5.0質量%〜45.0質量%とすることができ、7.5質量%〜35.0質量%であることが好ましく、10.0質量%〜25.0質量%であることがより好ましい。
[複合材料]
一実施態様の複合材料は、ラジカル重合性樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材からなる群より選択される少なくとも1種とを含む。
複合材料は、例えば、化学プラントのパイプ、薬液貯蔵タンク、コンクリート補修材等に適用される、一般的な繊維強化プラスチック(以下「FRP」という。)の原料として用いることができる。複合材料は、高い難燃性を有しており、優れた光透過性により提供可能な高い意匠性を有するため、特に波平板、防炎垂れ幕等の各種材料として用いることが好ましい。
(繊維補強材)
繊維補強材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、セルロースナノファイバーなどの有機又は無機の合成又は天然の繊維補強材が挙げられる。中でも透過性の観点から、繊維補強材は、ガラス繊維であることが好ましい。
繊維補強材の形状としては、例えば、短繊維、長繊維、撚糸、チョップ、チョップドストランドマット、コンチニアスストランドマット、ロービング、スパンボンド不織布若しくはメルトブローン不織布等の不織布、ロービングクロス、平織り、朱子織り若しくは綾織等の織物、組物、三次元織物又は三次元組物などの形状のものが使用できる。
繊維補強材の含有量は、複合材料の使用用途及び要求性能等に応じて適宜規定することができ、特に限定されない。例えば、繊維補強材の含有量は、ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜500質量部とすることができ、好ましくは、0.1〜300質量部であり、より好ましくは10〜200質量部であり、更に好ましくは30〜100質量部である。
(充填材)
充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、フライアッシュ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス粉末、木粉などが挙げられ、ガラスマイクロバルーン、サラン樹脂のマイクロバルーン、アクリロニトリルのマイクロバルーン、シラスバルーンなどの中空フィラーなども使用することができる。
充填材の含有量は、複合材料の使用用途及び要求性能等に応じて適宜規定することができ、特に限定されない。例えば、ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対し、10〜500質量部とすることができる。
(骨材)
骨材としては、例えば、珪砂、砕石、砂利などの一般骨材、焼却灰などから合成した合成骨材、軽量骨材などが挙げられる。
骨材の含有量は、複合材料の使用用途及び要求性能等に応じて適宜規定することができ、特に限定されない。例えば、ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対し、10〜500質量部とすることができる。
[硬化物]
硬化物は、ラジカル重合性樹脂組成物又は複合材料を加熱等により硬化させることにより得られる。
[ラジカル重合性樹脂組成物の製造方法]
ラジカル重合性樹脂組成物は、例えば、上記(A)及び(B)と、必要に応じて(C)、(D)、及び(E)のうち1又は複数の成分と、必要に応じて含有される添加剤とを混練する方法より製造することができる。混練方法としては特に制限はなく、例えば、双腕式ニーダー、加圧式ニーダー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。混練温度は−10℃〜80℃が好ましく、より好ましくは0℃〜60℃であり、最も好ましくは20℃〜60℃である。混練温度が−10℃以上であれば、混練性がより向上する。混練温度が80℃以下であれば、ラジカル重合性樹脂組成物の混練中の硬化反応をより抑制することができる。混練時間は各成分及びその比率に応じて適宜選択することができる。
ラジカル重合性樹脂組成物を製造する際の各成分を混練する順番については特に制限はない。例えば、ラジカル重合性樹脂(A)とエチレン性不飽和単量体(B)の一部又は全部を混合してから他の成分を混合すると、均一に混合されたラジカル重合性樹脂組成物が得られやすいため好ましい。
[複合材料の製造方法]
複合材料の製造方法は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
複合材料は、例えばラジカル重合性樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材から選択される少なくとも1種とを混練する方法、又は必要に応じて充填材及び骨材から選択される少なくとも1種を加えたラジカル重合性樹脂組成物を繊維補強材に含侵させる方法により製造することができる。混練方法としては特に制限はなく、例えば、双腕式ニーダー、加圧式ニーダー、プラネタリーミキサー等を用いることができる。混練温度は−10℃〜80℃が好ましく、より好ましくは0℃〜60℃である。混練温度が−10℃以上あれば、混練性がより向上する。混練温度が80℃以下であれば、ラジカル重合性樹脂組成物の重合反応をより抑制できる。混練時間は各成分及びその比率に応じて適宜選択することができる。複合材料を製造する際の各成分を混練する順番については特に制限はない。
[ラジカル重合性樹脂組成物及び複合材料の硬化方法]
ラジカル重合性樹脂組成物及び複合材料は、公知の方法で硬化させることができる。硬化方法としては、例えば、ラジカル重合性樹脂組成物若しくは複合材料にラジカル重合開始剤(D)を添加し、常温下若しくは加熱により硬化させる方法、ラジカル重合開始剤(D)を添加したラジカル重合性樹脂組成物を用いて調製した複合材料を、常温下若しくは加熱により硬化させる方法等が挙げられる。ここで、常温及び加熱の具体的な温度範囲としては、例えば、15℃〜200℃の温度範囲とすることができる。
[ラジカル重合性樹脂組成物及び複合材料の使用方法]
ラジカル重合性樹脂組成物及び複合材料の使用方法は、特に限定されない。例えば、化学プラントのパイプ、薬液貯蔵タンク、コンクリート補修材等に適用される、一般的な繊維強化プラスチック(以下「FRP」という。)の原料として用いることができる。ラジカル重合性樹脂組成物及び複合材料から製造されたFRPは、難燃性及び高い透明性による意匠性に優れており、特に波平板、防炎垂れ幕等の原料として好ましく用いられる。
FRPの製造方法は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、ラジカル重合性樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら塗布若しくは機械成形し、硬化させる方法、又は複合材料を塗布若しくは機械成形し、硬化させる方法などが挙げられる。
ラジカル重合性樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら塗布又は機械成形し、硬化させる方法の例としては、ハンドレイアップ成形法、レジントランスファー成形法、バキュームアシストレジントランスファー成形法などが挙げられる。ここで、ラジカル重合性樹脂組成物は、例えば、ハケ、ロール、コテ、ヘラ、シリンジ等の公知の塗布手段を用いて塗布することができる。
複合材料を塗布又は機械成形し、硬化させる方法の例としては、スプレーアップ成形法、フィラメントワインディング成形法、シートワインディング成形法、引き抜き成形法、射出成形法などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は、実施例により制限されるものではない。
[エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)VE−1の合成]
温度計、撹拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が360である臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC株式会社製、EPICLON(登録商標)152)539gとハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸31.5gとを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、ジエチルアミン塩酸塩2.67gを溶解させたメタクリル酸94.5gを30分かけて滴下し、130℃で反応させた。JIS K0070:1992に準拠した中和滴定法により測定した酸価が10mgKOH/g以下になった時点で冷却し、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)としてVE−1を得た。
[不飽和ポリエステル樹脂(A2)UPE−1の合成]
撹拌機、分留コンデンサー、温度計、及び窒素ガス導入管を付した1Lの五つ口フラスコにエチレングリコール121g、ジエチレングリコール28g、ヘット酸492g、及びフマル酸103gを仕込み、窒素ガス気流下、180℃で加熱撹拌した。JIS K0070:1992に準拠した中和滴定法により測定した酸価が37mgKOH/gになった時点で冷却し、170℃以下になった時点でエチレングリコールジメタクリレート300g及びトリメチルハイドロキノン0.18gを加え、不飽和度40モル%、重量平均分子量3758の不飽和ポリエステル樹脂(A2)のエチレングリコールジメタクリレート溶液(エチレングリコールジメタクリレート含有量30質量%)としてUPE−1を得た。
[難燃指標値の算出方法]
難燃指標値は、ラジカル重合性樹脂組成物中のリン含有率、塩素含有率、及び臭素含有率をそれぞれ元素濃度として質量パーセントで表したときに、式1:
難燃指標値=[(リン含有率/5)+(塩素含有率/25)+(臭素含有率/13)]×100
より算出した。
[リン含有率]
ラジカル重合性樹脂組成物を石英ビーカーに入れ、炭化物が生成しないことが確認されるまで硫硝酸分解を行った。
得られた溶液をメンブレンフィルター(孔径:0.45μm)で濾過し、濾液をICP発光分析してリンの定量を行い、リン含有率を算出した。
(ICP発光分析測定条件)
測定装置:VISTA−Pro(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
出力:1.2kW
測定時間:10秒
繰り返し回数:3回
[塩素含有率及び臭素含有率]
ラジカル重合性樹脂組成物を試料ボートに入れ、試料燃焼装置(AQF−100)で水蒸気を通気しながら酸素気流下で加熱分解を行い、発生したガスを弱アルカリ液に吸収させた。
ガスを吸収させた弱アルカリ液を陰イオンクロマトグラフィーにて分析し、塩素及び臭素の定量を行い、塩素含有率及び臭素含有率を算出した。
(燃焼管分解条件)
装置:AQF−100(株式会社三菱ケミカルアナリティック製)
燃焼管温度:1100℃
吸収液:炭酸系弱アルカリ液
初期吸収液量:20mL
(陰イオンクロマトグラフ測定条件)
測定装置:DIONEX ICS−1600(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
溶離液:2.7mM NaCO+0.3mM NaHCO
カラム:DIONEX AG12A/AS12A(ID 4mm、30℃)(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
流速:1.5mL/分
注入量:100μL
検出器:電気伝導度検出器
[屈折率の測定方法]
ラジカル重合性樹脂組成物の屈折率はアッベ屈折計を用いて測定した。
[難燃性の評価方法]
ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対して、更にラジカル開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5質量部を加え撹拌混合したものを用いて、300mm×150mm×3mmの平板を成形した。硬化後、(125±5)mm×(13±0.5)mm×3mmの試験片を切り出した。
UL94 V−0規格に基づき垂直燃焼性試験にて評価を行った。V−0規格を満たすものを「合格」、満たさないものを「不合格」とした。
[透明性の評価方法]
ラジカル重合性樹脂組成物及びガラスマットを用いて、90mm×90mm×2mmのガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を成形した。硬化後、JIS K7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に基づきBYK社製haze−gard iを用いた全光線透過性試験にて評価を行った。
[実施例1]
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂VE−1 65質量部(固形分換算)に、エチレングリコールジメタクリレート35質量部とトリス(3−クロロプロピル)ホスフェート20質量部を添加及び混合して実施例1のラジカル重合性樹脂組成物を得た。
[実施例2〜5、比較例1〜6]
表1に記載の成分を使用して表1に記載の配合量とした以外は、実施例1と同様の方法によりラジカル重合性樹脂組成物を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜6のラジカル重合性樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。表1において、ラジカル重合性樹脂(A)の配合量は固形分の質量換算である。
Figure 2021088683
Figure 2021088683
本開示のラジカル重合性樹脂組成物は、難燃性に優れており、優れた光透過性を有するため、ガラス繊維等の補強材を含んだ複合材料としたときでも、外観を損なわず高い意匠性を有する硬化物を得ることができる。本開示のラジカル重合性樹脂組成物は、波平板、防炎垂れ幕等の高い難燃性と意匠性の両立が要求される用途に好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)及び不飽和ポリエステル樹脂(A2)からなる群より選択される少なくとも1種のラジカル重合性樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、及びリン化合物(C)を含むラジカル重合性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合性樹脂(A)が臭素原子を含み、屈折率が1.530〜1.545であるラジカル重合性樹脂組成物。
  2. 前記リン化合物(C)がホスフェート、ホスフィネート、及びホスファゼンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  3. 前記ラジカル重合性樹脂(A)及び前記エチレン性不飽和単量体(B)の合計100質量部を基準として、前記リン化合物(C)を5〜50質量部含む請求項1又は2のいずれかに記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1)が、臭素化ビスフェノール型エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との縮合物又はエステル化物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  5. 前記不飽和ポリエステル樹脂(A2)がヘット酸、ヘット酸無水物、及び臭素含有グリコールからなる群より選択される少なくとも1種を構成単位として含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  6. ラジカル重合開始剤(D)を更に含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  7. 前記ラジカル重合性樹脂組成物中のリン含有率、塩素含有率、及び臭素含有率をそれぞれ元素濃度として質量パーセントで表したときに、式1:
    難燃指標値=[(リン含有率/5)+(塩素含有率/25)+(臭素含有率/13)]×100
    より算出される難燃指標値が190〜250である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材からなる群より選択される少なくとも1種とを含む複合材料。
  9. 前記繊維補強材がガラス繊維である請求項8に記載の複合材料。
  10. 前記繊維補強材の含有量が、前記ラジカル重合性樹脂組成物100質量部に対し、0.1〜500質量部である請求項8又は9のいずれかに記載の複合材料。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のラジカル重合性樹脂組成物の硬化物。
  12. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の複合材料の硬化物。
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