JP2021076700A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー Download PDF

Info

Publication number
JP2021076700A
JP2021076700A JP2019202916A JP2019202916A JP2021076700A JP 2021076700 A JP2021076700 A JP 2021076700A JP 2019202916 A JP2019202916 A JP 2019202916A JP 2019202916 A JP2019202916 A JP 2019202916A JP 2021076700 A JP2021076700 A JP 2021076700A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
tce
temperature
mass
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019202916A
Other languages
English (en)
Inventor
香 藤野
Kaori Fujino
香 藤野
達矢 藤▲崎▼
Tatsuya Fujisaki
達矢 藤▲崎▼
隼也 大西
Junya Onishi
隼也 大西
上田 昇
Noboru Ueda
昇 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2019202916A priority Critical patent/JP2021076700A/ja
Publication of JP2021076700A publication Critical patent/JP2021076700A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、トナー付着量の多い画像を高速連続印刷する場合においても、良好な低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制することができる静電荷像現像用トナーを提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、示差熱量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを冷却速度X℃/minで測定したときの、最も低温側に位置する発熱ピークの補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]としたとき、少なくともTce(10)、Tce(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)の5つのプロットを用いて最小二乗法により求めた近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関し、特に、トナー付着量の多い画像を高速連続印刷する場合においても、良好な低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制することができる静電荷像現像用トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、低温で熱定着される静電荷像現像用トナーが求められている。そのため、定着助剤として結晶性材料を添加し、結着樹脂の溶融温度及び溶融粘度を下げることにより、低温定着性を向上させたトナーが提案されている。
このような結晶性材料を含有するトナーは、低温定着性が良好となる一方、トナー自体や定着後の画像が熱的なストレスに弱くなりやすい。特に、トナー付着量の多いベタ画像を高速で連続印刷するとき、記録媒体が潜熱を持ったまま排出トレイに積み重なるため、その潜熱と圧力とで画像部と紙、又は画像部と画像部が接着する、いわゆる排紙接着が生じてしまうという問題があった。
示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)(以下、DSCと記載する。)により測定されるトナーの発熱ピークから、トナー内の結晶性材料の結晶化挙動を観察することができる。例えば、特許文献1では、トナーの発熱ピークにおけるピークトップ温度及び半値幅を規定の範囲内にすることにより、排紙接着の抑制に効果があると記載されている。
しかし、トナー内の結晶性材料における結晶化が終了する温度、すなわち結晶化終了温度に関する規定がないため、半値幅が小さくても結晶化終了温度が低い場合が想定される。その場合、排紙接着への影響が大きい低温領域で結晶化する結晶の割合が多くなってしまうため、排紙接着を抑制できない。
また、DSC測定における一般的な測定条件(10℃/min)で測定した結晶化終了温度が高い場合でも、排紙接着を抑制できない場合がある。トナーの結晶化終了温度は冷却速度依存性があり、冷却速度の増大とともに結晶化終了温度も低下する。これは、冷却速度が大きくなるほど、結晶化が追従できなくなるためと考えられる。この結晶化終了温度の低下幅が大きいほど、結晶化終了温度の冷却速度依存性が大きいということになる。定着直後の画像は排紙トレイ上に積み重なるまでに急冷される。そのため、結晶化終了温度の冷却速度依存性が大きいトナーにおいては、画像の結晶化終了温度が低くなり、排紙接着を抑制できないという問題があった。
特開2018−87901号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、トナー付着量の多い画像を高速連続印刷する場合においても、良好な低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制することができる静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、トナーのDSC測定における補外結晶化終了温度Tceが規定の温度以上であり、かつ、補外結晶化終了温度Tceの冷却速度依存性が小さいとき、急冷下でも素早く結晶化が完了するため、低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、
示差熱量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを冷却速度X℃/minで測定したときの、最も低温側に位置する発熱ピークの補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]としたとき、少なくともTce(10)、Tce(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)の5つのプロットを用いて最小二乗法により求めた近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記傾きαの絶対値が、0.15未満であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記示差量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを昇温速度50℃/minで測定したときの、最も高温側に位置する吸熱ピークのピークトップ温度Tm(50)[℃]が90℃以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記結着樹脂が、飽和脂肪酸アミド及び当該飽和脂肪酸アミドの結晶核剤を含有し、かつ、前記結晶核剤の量が、前記飽和脂肪酸アミドの量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内であることを特徴とする第3項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記結晶核剤が、下記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミドであることを特徴とする第4項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(I):R−CONH−C10−NHCO−R
式(II):R−CONH−C−(−NHCO−R)−NHCO−R
[式中、R〜Rは、同一又は異なり、炭素数5〜12のシクロアルキル基である。]
6.前記結着樹脂が、少なくともスチレン・アクリル樹脂を50質量%以上含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明の上記手段により、トナー付着量の多い画像を高速連続印刷する場合においても、良好な低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制することができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
排紙接着は、特に、トナー付着量の多いベタ画像を高速で連続印刷するときに生じるが、画像が潜熱を持ったまま排出トレイ上で積み重なり、その潜熱と上に積み重なる画像による圧力とで、画像部と紙、又は画像部と画像部が接着して生じる。積み重なった画像の温度がトナーの結晶化終了温度よりも高い場合に、トナー内の結晶性材料は一部溶融状態であるため、結着樹脂が柔らかく、画像同士を接着してしまう。
したがって、定着直後の積み重なった画像の温度よりもトナーの結晶化終了温度が高ければ、画像が積み重なる前にトナー内の結晶性材料の結晶化が終了するため、結着樹脂は硬くなり、排紙接着を抑制できる。よって、トナーの結晶化終了温度を高めることにより排紙接着を抑制できる。
ただし、排紙接着が生じるとき、定着直後の高温状態の画像は、室温に向かって放熱していきながら排紙トレイ上に積み重なるが、その冷却速度は非常に大きい。そのため、排紙接着を抑制するためには、急冷下においても素早く結晶化し終わることが求められる。すなわち、急冷下においても結晶化終了温度が低下しにくく、結晶化終了温度の冷却速度依存性が小さいことが重要である。
以上より、排紙接着を抑制するためには、結晶化終了温度が高いこと、かつ結晶化終了温度の冷却速度依存性が小さいことが求められる。
すなわち、前記近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であるとき、本発明の前記効果を得ることができる。
なお、前記傾きαの絶対値及びTce(50)[℃]が前記の範囲とするための手段として、本発明のトナーでは、結着樹脂に定着助剤である飽和脂肪酸アミドとその結晶核剤を含有することにより、急冷下においても素早く結晶化が進行することを見いだした。
脂肪酸アミドは高極性かつ低分子量であるため、極性基が結着樹脂と相互作用し、素早く結着樹脂を可塑化させ、良好な低温定着性をもたらす。一方、低分子量であるため結着樹脂中に拡散しやすく、結晶化しにくいという面もある。しかし、結晶核剤を併用することによって、核生成及び結晶成長を促進でき、結着樹脂中においても脂肪酸アミドを素早く結晶化させることができる。中でも飽和脂肪酸アミドは、直鎖構造であるため分子鎖が配列しやすく、結晶化しやすい。したがって、飽和脂肪酸アミドと結晶核剤の併用により、低温定着性と排紙接着性を両立させることができたと考えられる。
本発明の効果に関して、アンダーオフセット温度のみならず、折り定着性も向上させることができることが分かった。画像内の結晶のサイズが大きいほど、結晶部分を起点として画像が割れやすくなるが、結晶核剤を使用することにより、結晶核が増加し結晶のサイズが微小化するため、画像強度が上がり、折り定着性も向上したと推察される。
DSCチャートにおける発熱ピークの補外結晶化終了温度Tceの算出方法を説明するための図
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、示差熱量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを冷却速度X℃/minで測定したときの、最も低温側に位置する発熱ピークの補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]としたとき、少なくともTce(10)、Tce(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)の5つのプロットを用いて最小二乗法により求めた近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記傾きαの絶対値が、0.15未満であることが、補外結晶化終了温度Tceの冷却速度依存性がより小さくなるため好ましい。すなわち、急冷下においても補外結晶化終了温度が低下しにくいため、排紙接着が良好となる。
前記示差量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを昇温速度50℃/minで測定したときの、最も高温側に位置する吸熱ピークのピークトップ温度Tm(50)[℃]が90℃以下であることが、結晶性物質の溶融温度が低いために、低温定着性が良好となる点で好ましい。
前記結着樹脂が、飽和脂肪酸アミド及び当該飽和脂肪酸アミドの結晶核剤を含有し、かつ、前記結晶核剤の量が、前記飽和脂肪酸アミドの量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。
結晶核剤の量を0.1質量%以上とすることで、結晶核剤と脂肪酸アミドの接触確率が増大するため、結晶化を促進できる。3.0質量%以下であると、結晶核剤が分散する樹脂の粘性の過度な上昇を抑制でき、また、結晶核剤同士の二次凝集も生じにくくなるため、結晶化を促進できる。
前記結晶核剤が、下記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミドであることが、高い結晶化促進効果が得られる点で好ましい。
式(I):R−CONH−C10−NHCO−R
式(II):R−CONH−C−(−NHCO−R)−NHCO−R
[式中、R〜Rは、同一又は異なり、炭素数5〜12のシクロアルキル基である。]
前記結着樹脂が、少なくともスチレン・アクリル樹脂を50質量%以上含有することが好ましい。スチレン・アクリル樹脂は、結着樹脂としてよく用いられる非晶性ポリエステル樹脂よりも、飽和脂肪酸アミドと極性が離れているため、溶融した飽和脂肪酸アミドは非相溶化しやすく結晶化しやすい。したがって、排紙接着を抑制することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の静電荷像現像用トナーの概要]
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、示差熱量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを冷却速度X℃/minで測定したときの、最も低温側に位置する発熱ピークの補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]としたとき、少なくともTce(10)、Tce(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)の5つのプロットを用いて最小二乗法により求めた近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であることを特徴とする。
<DSCによる発熱ピークの補外結晶化終了温度Tce及び吸熱ピークのピークトップ温度Tmの算出方法>
示差走査熱量計「DSC7000X」(HITACHI製)及び熱分析装置コントローラー「AS3/DX」(HITACHI製)を用いてDSC測定を行った。
具体的には、ALオートサンプラ用試料容器φ6.8 H2.5 mm(HITACHI製)及びALオートサンプラ用カバー(HITACHI製)に試料5mgを封入し、「AS3/DX」のサンプルホルダーにセットして、下記の表Iに示す測定条件にて示差走査熱量測定を行った。各ステップの昇温後、又は降温後には、表Iに示すホールド温度にて0.5分間保持した。各ステップにて得られたDSC曲線をもとに解析した。
補外結晶化終了温度Tce[℃]の算出方法は、図1を用いて説明する。
降温時に得られるDSC曲線の微分曲線を算出し、この微分曲線の極大点温度を求めた。次に、DSC曲線における極大点温度を変曲点Aとし、この変曲点Aからの接線と、発熱ピークのベースラインとの交点の温度を補外結晶化終了温度Tce[℃]とした(図1参照。)。発熱ピークが複数ある場合は、最も低温側の発熱ピークを用いてTce[℃]を求めた。
また、昇温時に得られる吸熱ピークのピークトップ温度を融点とし、Tm[℃]と表記する。また、X℃/minの測定にて得られた吸熱ピークにおけるピークトップ温度をTm(X)[℃]とした。吸熱ピークが複数ある場合は、最も高温側の吸熱ピークのピークトップ温度をTm[℃]とした。
Figure 2021076700
<近似曲線の傾きαの算出方法>
表Iの測定条件において、ステップ2の10℃/minの降温測定により得られた補外結晶化終了温度をTce(10)、ステップ4の20℃/minの降温測定により得られた補外結晶化終了温度をTce(20)、ステップ6の30℃/minの降温測定により得られた補外結晶化終了温度をTce(30)、ステップ8の40℃/minの降温測定により得られた補外結晶化終了温度をTce(40)、ステップ10の50℃/minの降温測定により得られた補外結晶化終了温度をTce(50)とし、Tce(10)、(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)を得た。横軸に降温速度[℃/min]、縦軸に補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]のグラフを作成し、少なくともこの5つの値を用いて最小二乗法により近似直線を求めた。この近似直線の傾きをαとした。なお、傾きαは小数点第4位まで求め、四捨五入して小数点第3位までの値を用いた。
前記傾きαの絶対値は、0.20未満であり、好ましくは0.15未満である。傾きαの絶対値が0.15未満の場合、結晶化終了温度Tceの冷却速度依存性が小さい。すなわち、冷却速度が大きくなっても結晶化終了温度の低下幅が大きくならないため、排紙接着を抑制することができる。
また、前記Tce(50)が55℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは65℃以上である。
本発明のトナーは、前記示差熱量分析装置によりトナーを昇温速度50℃/minで測定したときの、最も高温側に位置する吸熱ピークのピークトップ温度Tm(50)が90℃以下であることが好ましい。Tm(50)が90℃以下であると、結晶性物質の溶融温度が低いために、低温定着性が良好となる。
前記傾きαの絶対値が0.20未満で、かつ、Tce(50)[℃]を55℃以上とするための手段としては、結着樹脂に飽和脂肪酸アミド及びその結晶核剤を含有することや、飽和脂肪酸アミド及びその結晶核剤の含有量を調整すること、飽和脂肪酸アミド及びその結晶核剤の種類を選択すること、飽和脂肪酸アミドの結晶化を促進する離型剤種を選択することなどが挙げられる。
[静電荷像現像用トナーの構成]
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有するトナー母体粒子を含む。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂及び離型剤のほか、必要に応じて着色剤、荷電制御剤、界面活性剤などの種々の内添剤を含有してもよい。
なお、本発明において、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子といい、トナー粒子の集合体をトナーという。トナー母体粒子は、一般的には、そのままでもトナー粒子として用いることもできるが、本発明においては、トナー母体粒子に外添剤を添加したものをトナー粒子として用いる。
<結着樹脂>
本発明に係る結着樹脂は、飽和脂肪酸アミド及び当該飽和脂肪酸アミドの結晶核剤を含有することが好ましい。
前記結晶核剤の量は、前記飽和脂肪酸アミドの量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜2.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.0〜1.8質量%の範囲内であることがさらに好ましい。結晶核剤の量を0.1質量%以上とすることで、結晶核剤と脂肪酸アミドの接触確率が向上するため、結晶化が促進される。3.0質量%以下であると、粘性の過度な上昇を抑制でき、結晶核剤同士の二次凝集も生じにくくなるため、結晶核剤としての効果が向上する。
(飽和脂肪酸アミド)
飽和脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等などが挙げられ、飽和脂肪酸アミドは、溶融粘度、結晶化のしやすさの観点から、融点80〜120℃の範囲内が好ましく、113℃以下がより好ましい。飽和脂肪酸アミドは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
2種類以上を併用する場合には、例えば、ステアリン酸アミドとベヘン酸アミドの併用や、パルミチン酸アミドとステアリン酸アミドの併用が好ましい。ステアリン酸アミドとベヘン酸アミドを併用する場合の比率としては、ステアリン酸アミド:ベヘン酸アミド=4:6〜8:2の範囲内が好ましい。パルミチン酸アミドとステアリン酸アミドを併用する場合の比率としては、2:8〜4:6の範囲内が好ましい。
また、飽和脂肪酸アミドは、結着樹脂の量に対して4〜10質量%の範囲内であることが好ましく、5〜8質量%の範囲内であることがより好ましい。
(結晶核剤)
結晶核剤としては、下記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミドであることが好ましい。
式(I):R−CONH−C10−NHCO−R
式(II):R−CONH−C−(−NHCO−R)−NHCO−R
[式中、R〜Rは、同一又は異なり、炭素数5〜12のシクロアルキル基である。]
前記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミドとしては、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2021076700
また、N,N′−ジシクロノニル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N′−ジシクロデシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N′−ジシクロウンデシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、N,N′−ジシクロドデシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド、などが挙げられる。
さらに、N,N′,N′′−トリシクロペンチル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロヘプチル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロオクチル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロノニル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロデシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロウンデシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、N,N′,N′′−トリシクロドデシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、などが挙げられる。
また、前記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミド以外の結晶核剤としては、タルク(化学名:含水ケイ酸マグネシウム(MgSi10(OH)))、モンタン酸カルシウム、カオリン、モンモリナイト、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムといった金属酸化物、硫酸アルミニウムや硫酸バリウムといった硫酸塩、リン化合物等が挙げられる。
また、本発明に係る結着樹脂は、熱可塑性を有する公知の種々の樹脂から適宜に選ぶことができる。
熱可塑性樹脂の例には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ウレア樹脂及びスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂などの非晶性ポリエステル樹脂が含まれる。
特に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂が、飽和脂肪酸アミドの結晶化のしやすさ、熱可塑性の制御のしやすさの観点で好ましい。スチレン系樹脂、アクリル系樹脂は、ポリエステル系樹脂、アミド系の樹脂に比べ、脂肪酸アミドとの極性が適度に離れているため、非相溶化しやすく結晶化しやすい。前述した熱可塑性樹脂は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他、公知の樹脂を含有していてもよい。
<ビニル系樹脂>
前記ビニル系樹脂は、例えばビニル化合物の重合体であり、その例には、アクリル酸エステル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が含まれる。中でも、排紙接着の抑制の観点から、スチレン・アクリル酸エステル樹脂(スチレン・アクリル樹脂)が好ましい。結着樹脂が少なくともスチレン・アクリル樹脂を含有することにより、溶融した飽和脂肪酸アミドは結晶化しやすくなるため、排紙接着を抑制することができる。
特に、本発明に係る結着樹脂としては、少なくともスチレン・アクリル樹脂を50質量%以上含有することが、排紙接着を抑制できる点で好ましい。好ましくは、60質量%以上であり、特に70質量%以上であることが好ましい。
(スチレン・アクリル樹脂)
スチレン・アクリル樹脂は、結着樹脂として一般的に用いられることが多い非晶性ポリエステルに比べ、脂肪酸アミドと極性が離れているため、結着樹脂中で溶融した飽和脂肪酸アミドは非相溶化しやすく結晶化しやすい。したがって、前記結着樹脂が、スチレン・アクリル樹脂を含有することにより、排紙接着を抑制することができる。
スチレン・アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成される。スチレン単量体は、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有するスチレン誘導体を含む。
((メタ)アクリル酸エステル単量体)
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH(R)=CHCOOR(Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜24のアルキル基を表す)で表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの他に、これらのエステルの構造中に公知の側鎖や官能基を有するアクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体を含む。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート及びフェニルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルが含まれる。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、「アクリル酸エステル単量体」と「メタクリル酸エステル単量体」との総称であり、それらの一方又は両方を意味する。例えば、「(メタ)アクリル酸メチル」は、「アクリル酸メチル」及び「メタクリル酸メチル」の一方又は両方を意味する。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種でもそれ以上でもよい。例えば、スチレン単量体と2種以上のアクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、スチレン単量体と2種以上のメタクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること及びスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体及びメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成すること、のいずれも可能である。
(スチレン単量体)
スチレン単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン及びp−n−ドデシルスチレンが含まれる。
(スチレン・アクリル樹脂の好ましい構成)
前記スチレン・アクリル樹脂の可塑性を制御する観点から、スチレン・アクリル樹脂におけるスチレン単量体に由来する構成単位の含有量は、40〜90質量%の範囲内であることが好ましい。また、前記スチレン・アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、10〜60質量%の範囲内であると好ましい。
(他の単量体)
スチレン・アクリル樹脂は、前記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の他の単量体に由来する構成単位を更に含有していてもよい。他の単量体は、多価アルコール由来のヒドロキシ基(−OH)又は多価カルボン酸由来のカルボキシ基(−COOH)とエステル結合する化合物であることが好ましい。すなわち、スチレン・アクリル樹脂は、前記スチレン単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に対して付加重合可能であり、かつ、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(両性化合物)が更に重合してなる重合体であることが好ましい。
(両性化合物)
両性化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどのカルボキシ基を有する化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する化合物が含まれる。
(両性化合物に由来する構成単位の好ましい含有量)
前記スチレン・アクリル樹脂における前記両性化合物に由来する構成単位の含有量は、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
(スチレン・アクリル樹脂の合成方法)
前記スチレン・アクリル樹脂は、公知の油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法によって合成することができる。油溶性の重合開始剤の例には、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤が含まれる。
(アゾ系又はジアゾ系重合開始剤)
前記アゾ系又はジアゾ系重合開始剤の例には、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルが含まれる。
(過酸化物系重合開始剤)
過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及びトリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンが含まれる。
(水溶性ラジカル重合開始剤)
また、乳化重合法でスチレン・アクリル樹脂の樹脂粒子を合成する場合には、重合開始剤として水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の例には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸とその塩及び過酸化水素が含まれる。
(ビニル系樹脂の好ましい重量平均分子量)
ビニル系樹脂は、その可塑性を制御しやすいという観点から、その重量平均分子量(Mw)が、5000〜150000の範囲内であると好ましく、10000〜70000の範囲内であるとより好ましい。
<結晶性ポリエステル樹脂>
本発明において、結晶性樹脂とは、結晶性樹脂又はトナー粒子のDSCにおいて、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、DSCにおいて、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークを意味する。結晶性ポリエステル樹脂とは、このような結晶性樹脂のうち、ポリエステル樹脂であるものをいう。
(結晶性ポリエステル樹脂の融点)
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、十分な低温定着性と排紙接着性とを得る観点から、60〜90℃の範囲内にあることが好ましく、65〜85℃の範囲内にあることがより好ましい。
(融点の測定方法)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、DSCにより測定することができる。具体的には、試料1mgをALオートサンプラ用試料容器φ6.8 H2.5 mm(HITACHI製)及びALオートサンプラ用カバー(HITACHI製)に封入し、示差走査熱量計「DSC7000X」(HITACHI製)のサンプルホルダーにセットして、昇温、降温、昇温の順に温度を変動させる。1回目と2回目の昇温時には、10℃/minの昇温速度で0℃から150℃まで昇温させて150℃を1分間保持する。降温時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温させて0℃の温度を1分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点(Tm)とする。
(結晶性ポリエステル樹脂の好ましい重量平均分子量及び数平均分子量)
前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は5000〜50000の範囲内で、数平均分子量(Mn)は2000〜10000の範囲内にあることが、低温定着性の観点から好ましい。
(重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法)
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、以下のようにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した分子量分布から求めることができる。
試料を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、室温において超音波分散機を用いて5分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8120GPC(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてTHFを流速0.2mL/分で流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出する。そして、単分散のポリスチレン標準粒子の10点を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。
(結着樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量)
結着樹脂中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、3〜15質量%の範囲内であることが、良好な低温定着性と排紙接着性を両立する観点から好ましい。前記含有量が3質量%以上であれば、形成されるトナー画像の低温定着性が良化する。前記含有量が15質量%以下であれば、排紙接着性が良化する。
(結晶性ポリエステル樹脂の構成)
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。
(ジカルボン酸)
多価カルボン酸の例には、ジカルボン酸が含まれる。このジカルボン酸は、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジカルボン酸であることが好ましく、芳香族ジカルボン酸を更に含んでいてもよい。脂肪族ジカルボン酸は、直鎖型であることが、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から好ましい。
(脂肪族ジカルボン酸)
脂肪族ジカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、これらの低級アルキルエステル及びこれらの酸無水物が含まれる。中でも、本発明の所期の効果を効率的に奏させる観点から、炭素数6〜16の範囲内の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、更に炭素数10〜14の範囲内の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
(芳香族ジカルボン酸)
芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び4,4′−ビフェニルジカルボン酸が含まれる。中でも、入手容易性及び乳化容易性の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸又はt−ブチルイソフタル酸が好ましい。
(ジオール)
前記多価アルコール成分の例には、ジオールが含まれる。ジオールは、1種でもそれ以上でもよく、脂肪族ジオールであることが好ましく、それ以外のジオールを更に含んでいてもよい。脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を高める観点から、直鎖型であることが好ましい。
(脂肪族ジオール)
前記脂肪族ジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール及び1,20−エイコサンジオールが含まれる。中でも、低温定着性及び転写性の両
立との効果が得られやすい観点から、炭素数2〜120の範囲内の脂肪族ジオールが好ましく、更に炭素数4〜6の範囲内の脂肪族ジオールがより好ましい。
(ジオールとジカルボン酸との好ましい割合)
結晶性ポリエステル樹脂のモノマーにおける前記ジオールと前記ジカルボン酸との割合は、ジオールのヒドロキシ基[OH]とジカルボン酸のカルボキシ基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]で2.0/1.0〜1.0/2.0の範囲内であることが好ましく、1.5/1.0〜1.0/1.5の範囲内であることがより好ましく、1.3/1.0〜1.0/1.3の範囲内であることが特に好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成)
結晶性ポリエステル樹脂は、公知のエステル化触媒を利用して、前記多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより合成することができる。
(結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒)
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用可能な触媒は、1種でもそれ以上でもよく、その例には、ナトリウム、リチウムなどのアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウムなどの金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物が含まれる。
(ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂として、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(以下、単に「ハイブリッド樹脂」ともいう。)を含有していてもよい。
ハイブリッド樹脂は、1種でもそれ以上でもよい。また、ハイブリッド樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂の全量と置き換えられていてもよいし、一部と置き換えられていても併用されていてもよい。
ハイブリッド樹脂は、結晶性ポリエステル重合セグメントと、非晶性重合セグメントとが化学的に結合した樹脂である。結晶性ポリエステル重合セグメントとは、前記結晶性ポリエステル樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した結晶性ポリエステル樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。また、非晶性重合セグメントとは、前記非晶性樹脂に由来する部分を意味する。すなわち、前述した非晶性樹脂を構成する分子鎖と同じ化学構造の分子鎖を意味する。
<非晶性ポリエステル樹脂>
本発明に係る結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)を行ったときに、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシ基、及び/又はカルボキシ基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。
モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
<離型剤>
本発明に係る離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、例えば、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
これらのワックスの中でも、シャープな吸熱ピーク及び発熱ピークを有し、脂肪酸アミドの結晶化促進の効果が高いエステルワックス、フィッシャートロプシュワックスが好適である。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
2種以上併用する場合は、例えば、ベヘン酸ベヘニルとフィッシャートロプシュワックスを併用することが好ましく、その比率としては、ベヘン酸ベヘニル:フィッシャートロプシュワックス=1:9〜9:1の範囲内が好ましく、3:7〜7:3の範囲内がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜12質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜10質量部の範囲内である。
<着色剤>
本発明に係る着色剤としては、公知の着色剤を使用することができる。
具体的には、イエロートナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マゼンタトナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアントナーに含有される着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3が挙げられる。
ブラックトナーに含有される着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラックなどが挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
磁性体としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部の範囲内である。
<荷電制御剤>
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤及び負帯電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部の範囲内である。
<外添剤>
外添剤としては、流動性や帯電性を制御する目的で、従来公知の金属酸化物粒子を使用することができ、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子、及び酸化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独でも又は2種以上を併用してもよい。
また、スチレン、メタクリル酸メチルなどの単独重合体やこれらの共重合体等の有機微粒子を外添剤として使用してもよい。
クリーニング性や転写性をさらに向上させるために外添剤として滑剤を使用することも可能である。例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら外添剤の添加量は、トナー母体粒子全体に対して0.1〜10質量%の範囲内が好ましく、1〜5質量%の範囲内がより好ましい。
<コア・シェル構造>
トナー母体粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、当該トナー母体粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー母体粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:TransmissionElectronMicroscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:ScanningProbeMicroscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度等の特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー母体粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等を含有し、ガラス転移点(Tg)が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点(Tg)が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。シェル層は、非晶性樹脂を含有することが好ましい。
<トナー母体粒子の粒径>
トナー母体粒子の粒径としては、体積基準のメディアン径(D50)が3〜10μmの範囲内にあることが好ましく、5〜8μmの範囲内にあることがより好ましい。前記範囲内にあれば、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像であっても高い再現性が得られる。なお、トナー母体粒子の粒径は、製造時に使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成等によって制御することができる。
トナー母体粒子の体積基準のメディアン径(D50)の測定には、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftwareV3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いることができる。
具体的には、測定試料(トナー母体粒子)を、界面活性剤溶液(トナー母体粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散を行い、トナー母体粒子分散液を調製する。このトナー母体粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmとし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメディアン径(D50)として得る。
<トナー母体粒子の平均円形度>
トナー母体粒子は、帯電性の安定性及び低温定着性を高める観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内にあることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内にあることがより好ましい。平均円形度が前記範囲内にあれば、個々のトナー母体粒子が破砕しにくくなる。これにより、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができるとともに、形成される画像の画質を高めることができる。トナー母体粒子の平均円形度は、FPIA−3000(Sysmex社製)を用いて測定することができる。
具体的には、測定試料(トナー母体粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。その後、FPIA−3000(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行う。HPF検出数が前記の範囲内であれば、再現性のある測定値を得ることができる。撮影した粒子像から、個々のトナー母体粒子の円形度を下記式(I)に従って算出し、各トナー母体粒子の円形度を加算して全トナー母体粒子数で除することにより、平均円形度を得る。
式(I):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。本発明に係るトナーの製造方法に好ましく用いられる乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)分散液及びワックスなどの離型剤の分散液と混合し、トナー母体粒子が所望の粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液を貧溶媒に滴下して樹脂粒子分散液とし、この樹脂粒子分散液と着色剤分散液及びワックスなどの離型剤分散液とを混合し、所望のトナー母体粒子の径となるまで凝集させ、更に結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー母体粒子を製造する方法である。
また、乳化重合凝集法によってはコア・シェル構造を有するトナー母体粒子を得ることもでき、具体的にコア・シェル構造を有するトナー母体粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤の微粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
本発明において、結着樹脂中に飽和脂肪酸アミドと結晶核剤を添加させるための方法としては、結着樹脂を得るための単量体から結着樹脂粒子を形成する際に、前記単量体とともに飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤を分散させることにより、結着樹脂粒子中に飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤を含有させてもよいし、飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤を分散させて調製した分散液と、別途調製した結着樹脂粒子分散液とを混合させることによって飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤を含有させてもよい。
<外添剤の添加方法>
トナー母体粒子に外添剤を添加する方法としては特に限定されないが、乾燥済みのトナー母体粒子に外添剤を粉体で添加して混合する乾式法などが挙げられる。
外添剤の混合装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの公知の種々の混合装置を使用することができる。例えばヘンシェルミキサーを用いる場合は、撹拌羽根の先端の周速を好ましくは30〜80m/sの範囲内とし、20〜50℃で10〜30分程度撹拌混合する。
[現像剤]
本発明に係るトナーは、磁性又は非磁性の1成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。トナーを2成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積平均粒径としては20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定することができる。
2成分現像剤は、上記のキャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することにより作製することができる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合器等が挙げられる。
2成分現像剤を作製する際のトナーの配合量は、キャリアとトナーとの合計100質量%に対して、1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、4〜8質量%の範囲内であることがより好ましい。これによりトナーの帯電量が適切となり、初期及び連続印字後の画質がより良好となる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[コア粒子分散液(X1)(スチレン・アクリル樹脂粒子分散液)の調製]
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて前記混合液を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液(a1)を調製した。
(単量体混合液1)
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部の樹脂微粒子の分散液(a1)(固形分換算)と、下記組成からなる単量体、離型剤、飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤1を85℃にて溶解させた単量体混合液2−1とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、10分間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。なお、離型剤は、エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル、融点73℃)及び、フィッシャー・トロプシュ(日本精蝋社製、FNP0090、融点90℃)を用いた。飽和脂肪酸アミドは、ステアリン酸モノアミド(東京化成工業社製、融点101℃)、結晶核剤1は、エヌジェスター NU−100(新日本理化社製)を用いた。
(単量体混合液2−1)
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 105質量部
フィッシャー・トロプシュ 45質量部
飽和脂肪酸アミド(ステアリン酸モノアミド) 114質量部
結晶核剤1(NU−100) 1.7質量部
次いで、前記分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、得られた分散液を86℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液(a2)を調製した。
(3)第3段重合
さらに、樹脂微粒子の分散液(a2)にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、前記分散液を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、25℃まで冷却し、スチレン・アクリル樹脂からなるコア粒子分散液(X1)を調製した。
(単量体混合液3)
スチレン 307質量部
n−ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
得られたコア粒子分散液(X1)について物性を測定したところ、スチレン・アクリル樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)は216nmであり、ガラス転移温度(Tg)は47.0℃であり、重量平均分子量(Mw)は31700であった。
[コア粒子分散液(X2)〜(X13)、(X15)及び(X17)(スチレン・アクリル樹脂粒子分散液)の調製]
前記コア粒子分散液(X1)の調製の第2段重合における離型剤、飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤における種類及び添加量を下記表IIのように変更し、コア粒子分散液(X1)の調製と同様の方法で、コア粒子分散液(X2)〜(X13)、(X15)及び(X17)をそれぞれ得た。
なお、使用した離型剤、飽和脂肪酸アミド及び結晶核剤の詳細は下記表III〜表Vに示した。
Figure 2021076700
Figure 2021076700
Figure 2021076700
Figure 2021076700
[コア粒子分散液(X14)(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液)の調製]
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物(BPA−EO)
15モル部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物(BPA−PO)
85モル部
テレフタル酸(TPA) 55モル部
フマル酸(FA) 40モル部
トリメリット酸(TMA) 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、フマル酸及びトリメリット酸以外の上記モノマーを投入し、さらに、触媒としてジオクチル酸スズ0.5モル部を投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸及びトリメリット酸を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(b1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(b1)は、重量平均分子量が29000、酸価は18.1KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)は45℃であった。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂(b1)200質量部と、メチルエチルケトン100質量部と、イソプロピルアルコール35質量部と、10質量%アンモニア水溶液7.0質量部とをセパラブルフラスコに入れ、十分に混合、溶解した後、40℃で加熱撹拌しながら、送液ポンプを用いてイオン交換水を送液速度8g/分で滴下し、送液量が580質量部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が25質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂(b1)粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂分散液を調製した。この分散液中の樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、156nmであった。
[コア粒子分散液(X16)(スチレン・アクリル樹脂粒子分散液)の調製]
前記コア粒子分散液(X1)の調製の第2段重合において、下記単量体混合液2−2を用いたこと以外は、コア粒子分散液(X1)の調製と同様の方法で、コア粒子分散液(X16)を得た。
(単量体混合液2−2)
スチレン 285質量部
n−ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 105質量部
フィッシャー・トロプシュ 45質量部
結晶核剤1 1.7質量部
[結晶性材料分散液(W1)の調製]
ベヘン酸ベヘニル 35質量部
フィッシャー・トロプシュ 15質量部
ステアリン酸モノアミド 38質量部
結晶核剤1 0.57質量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲン(登録商標)RK)
9質量部
イオン交換水 354質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15%に調整して結晶性材料分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子における体積基準のメディアン径(D50)をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、202nmであった。
[着色剤粒子分散液の調製]
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、420質量部のC.I.ピグメントブルー18:3を徐々に添加した。
次いで、得られた分散液を、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液C1を調製した。着色剤粒子分散液における体積基準のメディアン径(D50)を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA−150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、150nmであった。
[シェル用非晶性樹脂(s1)の合成]
両性化合物(アクリル酸)を含む下記組成からなる、単量体混合液1を滴下ロートに入れた。なお、ジ−t−ブチルパーオキサイドは、重合開始剤である。
(単量体混合液1)
スチレン 80質量部
n−ブチルアクリレート 20質量部
アクリル酸 10質量部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 16質量部
また、下記の重縮合系セグメント(非晶性ポリエステルセグメント)の原料モノマーを、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物
285.7質量部
テレフタル酸 66.9質量部
フマル酸 47.4質量部
次いで、得られた溶液に、撹拌下で単量体混合液1を90分間かけて滴下し、60分間熟成を行った後、減圧下(8kPa)にて単量体混合液1の成分のうちの未反応のモノマーを四つ口フラスコ内から除去した。 その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を四つ口フラスコ内に0.4質量部投入し、当該四つ口フラスコ中の混合液を235℃まで昇温し、常圧下(101.3kPa )にて5時間、更に減圧下(8kPa)で1時間の条件で反応を行い、シェル用非晶性樹脂(s1)を得た。
[シェル用樹脂粒子分散液(S1)の調製]
100質量部のシェル用非晶性樹脂(s1)を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。得られた混合液を、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(株式会社 日本精機製作所製)によって、V−LEVELが300μAの条件で30分間超音波分散した。
その後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI 社製)を用いて前記混合液を減圧下で3時間撹拌して酢酸エチルを完全に除去した。こうして、固形分量が13.5質量%のシェル用樹脂粒子分散液(S1)を調製した。シェル用樹脂粒子分散液(S1)におけるシェル用樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)は160nmであった。
[結晶性ポリエステル樹脂(c1)の合成]
テトラデカン二酸 200質量部
1,6−ヘキサンジオール 102質量部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)を0.3質量部投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を190℃から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに、240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂(c1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(c1)は、重量平均分子量(Mw)が18000、酸価が20.1mgKOH/g、融点が78.0℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)の調製]
結晶性ポリエステル樹脂(c1) 174.3質量部
上記をメチルエチルケトン102質量部に入れ、75℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.1質量部を添加した。この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水375質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化状の状態を得た。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去した後、冷却速度6℃/minで冷却し、結晶性ポリエステル樹脂(c1)の微粒子が分散された結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)を作製した。上記粒度分布測定器にて測定した結果、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)中、結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)は202nmであった。
[トナー母体粒子(B1)の作製]
<凝集・融着工程>
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、288質量部のコア粒子分散液(X1)(固形分換算)及び2000質量部のイオン交換水を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液をさらに添加して当該反応容器中の分散液のpHを10に調整した(測定温度25℃)。
前記分散液に、30質量部の着色剤粒子分散液(固形分換算)を投入した。次いで、凝集剤として塩化マグネシウム30質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、 撹拌下、30℃において15分間かけて前記分散液に添加した。得られた混合液を85℃まで昇温し、温度を調節しながら凝集を進行させた。
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて前記混合液中で会合した粒子の粒径を測定し、当該粒子の体積基準のメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、37質量部のシェル用樹脂粒子分散液(S1)(固形分換算)を前記混合液に30分間かけて投入した。得られた反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を前記反応液に添加して粒子成長を停止させた。
<熟成・冷却工程>
さらに、前記反応液を90℃に加熱し撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前記反応液中の粒子を測定装置「FPIA−3000」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)測定し、当該粒子の平均円形度が0.960になった時点で10℃/分の冷却速度で前記反応液を30℃に冷却した。
<濾過・洗浄工程及び乾燥工程>
次いで、冷却した前記反応液から前記粒子を分離、脱水し、得られたケーキを、イオン交換水への再分散と固液分離とを3回繰り返して洗浄し、その後、トナー水分量が2%未満になるまで室温で乾燥させた。その後、トナー水分量が1%未満になるまで38℃で乾燥させることにより、トナー母体粒子(B1)を得た。
[トナー母体粒子(B2)〜(B13)、(B15)及び(B17)の製造]
前記トナー母体粒子(B1)の製造において、前記コア粒子分散液(X1)をそれぞれコア粒子分散液(X2)〜(X13)、(X15)及び(X17)に変更し、トナー母体粒子(B1)の製造と同様にして、トナー母体粒子(B2)〜(B13)、(B15)及び(B17)を製造した。
[トナー母体粒子(B14)の製造]
コア粒子分散液(X14)(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液)(固形分換算)
260質量部
結晶性材料分散液(W1)(固形分換算) 34.8質量部
着色剤粒子分散液(固形分換算) 30.5質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液)40質量部
イオン交換水 1500質量部
温度計、pH計及び撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックス(登録商標)T50)にて3000rpmで分散しながら、濃度2%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径100μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積基準のメディアン径(D50)が5.9μmになったところで温度を保持し、あらかじめ混合しておいた下記追加原料の混合液を20分間かけて投入した。
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分換算) 37.8質量部
アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液)15質量部
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%水溶液を8質量部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
<冷却工程>
その後、「FPIA−3000」を用いて当該粒子の平均円形度が0.960になった時点で降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、トナー母体粒子(B14)を得た。
[トナー母体粒子(B16)の製造]
前記トナー母体粒子(B1)の製造において、コア粒子分散液(X1)に代えてコア粒子分散液(X16)を用い、塩化マグネシウム水溶液を添加した混合液を85℃まで昇温した後、15.2質量部の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(C1)(固形分換算)を10分間かけて前記混合液に添加して凝集を進行させた以外は同様にして、トナー母体粒子(B16)を得た。
[トナー1の製造]
≪外添工程≫
100質量部のトナー母体粒子(B1)に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、 疎水化度=68)0.6質量部及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、これらを「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去した。このような外添剤処理を行って、静電荷像現像用のトナー粒子1の集合体であるトナー1を製造した。
[トナー2〜17の製造]
前記トナー1の製造において、トナー母体粒子(B1)を各トナー母体粒子(B2)〜(B17)に変更した以外は同様にしてトナー2〜17を製造した。
[現像剤1〜17の製造]
製造した各トナーと、アクリル樹脂を被覆した体積平均粒径32μmのフェライトキャリアとを、トナー粒子濃度が6.5質量%となるように添加して混合した。こうして、各トナーを含有する二成分現像剤である現像剤1〜17を製造した。
[物性評価]
得られた各トナーについて、前述した算出方法により、近似曲線の傾きα、DSCによる発熱ピークの補外結晶化終了温度Tce(50)及び吸熱ピークのピークトップ温度Tm(50)を算出し、下記表に示した。
[性能評価]
<低温定着性(アンダーオフセット)>
トナー1〜17の低温定着性について、それぞれ、現像剤1〜17を用いて評価した。具体的には下記のとおりである。
複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ株式会社製、「biz hub」は同社の登録商標)の改造機に現像剤1〜17を装填した。当該改造機は、定着用ヒートローラの表面温度を85〜210℃の範囲で変更することができるように、前記複写機の定着装置を改造した装置である。常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、画像形成装置でA4サイズのmondi Color Copy 90g/m(mondi社製)に未定着ベタ画像(付着量11.3g/m)を形成した。
次に、定着装置の加熱ローラにおいて、ニップ幅11.2mm、定着時間34msec、定着圧力133kPa、表面温度を100℃に設定し、加熱ローラの表面温度を110〜150℃の範囲において1℃刻みで変更しながら、定着した。定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されない最低の定着温度を最低定着温度とし、下記評価基準に基づいてランク付けした。ランク2以上を合格とした。
(評価基準)
ランク5:最低定着温度が115℃未満
ランク4:最低定着温度が115℃以上125℃未満
ランク3:最低定着温度が125℃以上135℃未満
ランク2:最低定着温度が135℃以上145℃未満
ランク1:最低定着温度が145℃以上
<低温定着性(折り定着性)>
上記同様に、複写機「bizhub PRO C6501」の改造機に現像剤1〜17を装填し、A4サイズのNPI128に未定着ベタ画像(付着量11.3g/m)を定着させる定着実験を所定の定着温度で繰り返し行った。当該定着温度は、130℃から170℃までの5℃刻みの温度に設定した。
次いで、各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、折り機で前記ベタ画像に対して谷折りとなるように(前記ベタ画像を表側にして)折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の基準1に示す5段階にランク付けした。ランク2以上を合格とした。
(評価基準)
ランク5:全く剥離なし
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
ランク1:大きな剥離あり
<排紙接着性>
トナー1〜17の排紙接着性について、それぞれ、現像剤1〜17を用いて評価した。複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ株式会社製)に現像剤1〜17を装填し、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズのPOD128に、画像率が70%のベタ画像(付着量11.3g/m)を1000枚連続印刷した。印刷時の定着速度は550mm/sec、定着温度(定着上ベルトの表面温度)は最低定着温度+20℃とした。1000枚の印刷用紙を同一の排出トレイに出力し、積み重なった状態で1時間放置し空冷した。その後、潜熱量及び圧力の点で画像欠損が発生しやすい500枚目及び501枚目の定着画像の接着力を評価した。500枚目及び501枚目の定着画像を丁寧に取り出し、平坦なテーブルの上に載せたガラス板の上に載せた。下の定着画像が動かないように、下の定着画像をテーブルに固定した。上の定着画像の先端にテープを貼り付け、そのテープを水平方向にゆっくり滑らせ、用紙を滑らせるのに要する力をばねばかりで測定した。
この測定を400枚目及び401枚目、600枚目及び601枚目においても同様に行い、ばねばかりの示した力の平均値を接着力とした。接着力がランク2以上を合格とした。
(評価基準)
ランク5:接着力が1.0N未満
ランク4:接着力が2.0N未満
ランク3:接着力が3.0N未満
ランク2:接着力が4.0N未満
ランク1:接着力が4.0N以上
Figure 2021076700
上記結果に示されるように、本発明のトナーは、比較例のトナーに比べて、トナー付着量の多い画像を高速連続印刷する場合においても、良好な低温定着性及び折り定着性を保ちつつ、排紙接着を抑制することができることが分かる。

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂と、離型剤とを含有する静電荷像現像用トナーであって、
    示差熱量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを冷却速度X℃/minで測定したときの、最も低温側に位置する発熱ピークの補外結晶化終了温度をTce(X)[℃]としたとき、少なくともTce(10)、Tce(20)、Tce(30)、Tce(40)、Tce(50)の5つのプロットを用いて最小二乗法により求めた近似直線の傾きαの絶対値が0.20未満であり、かつ、Tce(50)[℃]が55℃以上であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記傾きαの絶対値が、0.15未満であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記示差量分析装置により前記静電荷像現像用トナーを昇温速度50℃/minで測定したときの、最も高温側に位置する吸熱ピークのピークトップ温度Tm(50)[℃]が90℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記結着樹脂が、飽和脂肪酸アミド及び当該飽和脂肪酸アミドの結晶核剤を含有し、かつ、前記結晶核剤の量が、前記飽和脂肪酸アミドの量に対し、0.1〜3.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶核剤が、下記式(I)又は式(II)で表される構造を有する芳香族アミドであることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
    式(I):R−CONH−C10−NHCO−R
    式(II):R−CONH−C−(−NHCO−R)−NHCO−R
    [式中、R〜Rは、同一又は異なり、炭素数5〜12のシクロアルキル基である。]
  6. 前記結着樹脂が、少なくともスチレン・アクリル樹脂を50質量%以上含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
JP2019202916A 2019-11-08 2019-11-08 静電荷像現像用トナー Pending JP2021076700A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019202916A JP2021076700A (ja) 2019-11-08 2019-11-08 静電荷像現像用トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019202916A JP2021076700A (ja) 2019-11-08 2019-11-08 静電荷像現像用トナー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021076700A true JP2021076700A (ja) 2021-05-20

Family

ID=75898945

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019202916A Pending JP2021076700A (ja) 2019-11-08 2019-11-08 静電荷像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021076700A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010026185A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Sharp Corp トナー、現像装置および画像形成装置
JP2011059418A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Kao Corp 電子写真用トナー
JP2012168505A (ja) * 2011-01-24 2012-09-06 Ricoh Co Ltd トナー及び現像剤
JP2017223854A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2018005225A (ja) * 2016-06-23 2018-01-11 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2018087901A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2019056922A (ja) * 2013-06-27 2019-04-11 キヤノン株式会社 トナーおよびトナーの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010026185A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Sharp Corp トナー、現像装置および画像形成装置
JP2011059418A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Kao Corp 電子写真用トナー
JP2012168505A (ja) * 2011-01-24 2012-09-06 Ricoh Co Ltd トナー及び現像剤
JP2019056922A (ja) * 2013-06-27 2019-04-11 キヤノン株式会社 トナーおよびトナーの製造方法
JP2017223854A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2018005225A (ja) * 2016-06-23 2018-01-11 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー
JP2018087901A (ja) * 2016-11-29 2018-06-07 コニカミノルタ株式会社 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用トナーの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5733038B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6288003B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6926704B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6079921B1 (ja) トナー
JP2016206387A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2018087901A (ja) 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用トナーの製造方法
JP6233332B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6822081B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2018124460A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2016161778A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP6241457B2 (ja) 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JP2020064221A (ja) 静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2016218198A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法及び静電荷像現像用トナー
JP2018128511A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP6930237B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2017203850A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2021076700A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP7404764B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP7338243B2 (ja) 静電潜像形成用トナー
JP6769133B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP7512676B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP7443709B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2020144325A (ja) 画像形成方法
JP7087500B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用二成分現像剤
JP2018131544A (ja) ポリエステルラテックス分散液の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221017

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230627

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231219