JP2021061271A - 電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 - Google Patents

電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子を提供することを目的とする。【解決手段】下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とが交互に積層され、最上部に形成された前記電気−機械変換膜上に上部電極が形成された電気−機械変換素子であって、前記下部電極と、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜との間には前記内部電極膜が形成されておらず、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜は、(100)配向率が95%以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
液体吐出ヘッドにおいて、ヘッドの吐出効率を向上させるため、電気−機械変換素子の変位特性の向上が求められている。電気−機械変換素子の変位特性を向上させるための一つの方法としては、電気−機械変換膜の膜厚を薄くして、電気−機械変換膜にかかる電界強度(電圧/電気−機械変換膜の膜厚)を上げることが考えられる。
しかし、電気−機械変換膜の膜厚が薄くなることで変位量は大きくなるが、電気−機械変換膜の剛性が弱くなるため、吐出対象の液体(例えばインク)に対して十分な力が伝わらず、結果的に吐出効率が上がらない。
これに対して、特許文献1には、下部電極上に電気−機械変換膜と電極層を交互に形成することが開示されている。特許文献1によれば、電気−機械変換膜としては十分な剛性を確保した上で、電極層を電気−機械変換膜に何層か設けることによって、電界強度を上げてヘッドの吐出効率を上げることができるとも考えられる。
しかし、薄膜で電気−機械変換膜と電極層を交互に積層していった場合、電極層上の電気−機械変換膜の結晶配向制御において問題が生じる。電気−機械変換膜として例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いて高い圧電定数を確保し、PZT(100)配向制御を狙うこととなるが、電極層上のPZTに関しては(100)配向制御が難しく、十分な圧電性能が得られにくいという問題がある。そのため、十分な変位特性が得られておらず、ヘッドの吐出効率を高めることができていない。また、従来技術では、PZT(110)配向などの他の結晶ピークも見られており、完全なPZT(100)結晶膜とはなっていない。このため、十分な圧電性能が得られず、十分な変位特性が得られていないという問題があった。
そこで本発明は、良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の電気−機械変換素子は、下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とが交互に積層され、最上部に形成された前記電気−機械変換膜上に上部電極が形成された電気−機械変換素子であって、前記下部電極と、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜との間には前記内部電極膜が形成されておらず、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜は、(100)配向率が95%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子を提供することができる。
本発明に係る電気−機械変換素子の一例における断面模式図(A)及び従来例における電気−機械変換素子の断面模式図(B)である。 1層目の電気−機械変換膜の(100)配向率と、Totalでの電気−機械変換膜の(100)配向率の関係の一例を示す図である。 X線回折法のθ−2θ測定で得られた電気機械変換膜の(200)面に対する回析ピーク位置を示すグラフである。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における断面模式図である。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における断面模式図である。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における断面模式図である。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における平面模式図である。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における断面模式図である。 本発明に係る電気−機械変換素子の他の例における平面模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における断面模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における断面模式図である。 本発明に係る液体を吐出する装置の一例における要部平面説明図である。 本発明に係る液体を吐出する装置の一例における要部側面説明図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの一例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの他の例を示す模式図である。 液体を吐出する装置の一例を示す斜視図である。 液体を吐出する装置の一例を示す側面図である。
以下、本発明に係る電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(電気−機械変換素子)
本発明の電気−機械変換素子は、下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とが交互に積層され、最上部に形成された前記電気−機械変換膜上に上部電極が形成された電気−機械変換素子であって、前記下部電極と、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜との間には前記内部電極膜が形成されておらず、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜は、(100)配向率が95%以上であることを特徴とする。
本実施形態における電気−機械変換素子の断面図の一例及び従来の電気−機械変換素子の断面図の一例を図1に示す。図1では、基板10、振動板12、下部電極14、電気−機械変換膜16、内部電極18、上部電極20が図示されている。
図1(A)は本実施形態の電気−機械変換素子の一例を示すものであり、下部電極14上に電気−機械変換膜16と内部電極膜18とが交互に積層され、最上部に形成された電気−機械変換膜16上に上部電極20が形成されている。ここでは、電気−機械変換膜16の各層を電気−機械変換膜16a、16b、・・・16xと表し、内部電極膜の各層を内部電極膜18a、18b、・・・と表している。なお、電気−機械変換膜の各層を区別しない場合、単に電気−機械変換膜16と表し、内部電極膜の各層を区別しない場合、単に内部電極膜18と表すことがある。
一方、従来の電気−機械変換素子では、内部電極膜が形成されておらず、下部電極14上に電気−機械変換膜16が形成され、さらに最表面に上部電極20が形成されている。
本実施形態(図1(A))と従来例(図1(B))とで、同じ電圧を印加したときに、両者で同じ電気−機械変換膜が形成されていたとしても、本実施形態のように内部電極膜を挟むことにより、電極間の電気−機械変換膜の膜厚が薄くなるため、電界強度は大きくなる。このため、電気−機械変換膜の変形量としては本実施形態の方が大きくなる。
また、両者で同じ結晶配向膜が得られているかというと、そうはなっておらず、図1(A)における1層目の電気−機械変換膜16aの結晶配向の状態や内部電極膜18の材料によって、それ以降の、すなわち上層の電気−機械変換膜の結晶配向が変わってくることがわかった。電気−機械変換膜の結晶配向としては、(100)結晶配向を有していることが好ましく、この場合、高い変位特性が得られる。詳細に検討を行ったところ、1層目の電気−機械変換膜16aの(100)配向率が95%以上であることで、電気−機械変換膜の結晶配向を(100)結晶配向に制御できることがわかった。
図2に、1層目の電気−機械変換膜の配向率(結晶配向率、配向度などとも称する)と、Totalでの電気−機械変換膜の配向率との関係を示す。図2では、1層目の電気−機械変換膜(ここではPZTを例としている)の(100)配向率を横軸にし、Totalでの電気−機械変換膜の(100)配向率を縦軸にしている。また、図2では内部電極膜の材料を変更してプロットしている。なお、Totalでの電気−機械変換膜の配向率は、各層の電気−機械変換膜の配向率を用いて平均値を求めた値としている。
図示されるように、1層目の時点で(100)配向率が低いと、それ以降に形成したPZTの(100)配向率が低いことが分かる。内部電極膜の材料にもよるが、TotalのPZTの(100)配向率を高くするには、1層目のPZTの(100)配向率を95%以上にすることが好ましい。
このように、本発明者の詳細な検討の結果、下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とを交互に積層し、更に下部電極に最も近い電気−機械変換膜の(100)配向率を95%以上にすることにより、良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子が提供される。
以下、本実施形態における電気−機械変換素子の詳細を説明する。
<基板>
基板としては、シリコン単結晶基板を用いることが好ましく、通常100〜600μmの厚みを持つことが好ましい。面方位としては、(100)、(110)、(111)と3種あるが、半導体産業では一般的に(100)、(111)が広く使用されており、液体吐出ヘッドでも主に(100)の面方位を持つ単結晶基板を使用することができる。
また、圧力室を作製していく場合、エッチングを利用してシリコン単結晶基板を加工していくが、この場合のエッチング方法としては、異方性エッチングを用いることが一般的である。なお、異方性エッチングとは、結晶構造の面方位に対してエッチング速度が異なる性質を利用したものである。
例えば、KOH等のアルカリ溶液に浸漬させた異方性エッチングでは、(100)面に比べて(111)面は約1/400程度のエッチング速度となる。従って、面方位(100)では約54°の傾斜を持つ構造体が作製できるのに対して、面方位(110)では深い溝を掘ることができる。そのため、より剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるため、本実施形態でも(110)の面方位を持つ単結晶基板を使用してもよい。ただし、この場合、マスク材であるSiOもエッチングされる点に留意が必要である。
<振動版>
振動板としては、電気−機械変換膜(例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛))によって発生した力を受けて変形変位し、圧力室内のインク滴を吐出させる。そのため、振動板としては所定の強度を有したものであることが好ましい。具体的には、Si、SiO、Si等をCVD法等により作製したものが挙げられる。更に、振動板の材料としては、下部電極、電気−機械変換膜の線膨張係数に近い材料を選択することが好ましい。
特に、電気−機械変換膜としてPZTを使用する場合には、振動板の材料として、PZTの線膨張係数8×10−6(1/K)に近い5×10−6(1/K)〜10×10−6(1/K)の線膨張係数を有した材料を選択することが好ましい。7×10−6(1/K)〜9×10−6(1/K)の線膨張係数を有した材料を選択することがより好ましい。
振動板の具体的な材料としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム及びそれらの化合物等が挙げられる。これらは、スパッタ法若しくはSol−gel法を用いてスピンコーターにて作製することができる。
振動板の膜厚としては0.1〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。この範囲内であると、圧力室の加工がしやすくなり、振動版が変形変位しやすくなる。
<下部電極>
下部電極としては、金属材料として高い耐熱性と低い反応性を有する白金を用いることができる。但し、白金は、鉛に対しては十分なバリア性を持つとはいえない場合もあり、その場合には、イリジウムや白金−ロジウム等の白金族元素や、これらの合金膜を用いることができる。
また、下部電極として白金を使用する場合には、下地となる振動板(特にSiO)との密着性が悪くなることがあり、TiO、Ta、Ta、Ta等を先に積層することが好ましい。作製方法としては、スパッタ法や真空蒸着等の真空成膜が一般的である。膜厚としては、0.05〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。
さらに下部電極上に、電気−機械変換膜の結晶配向を制御するためのシード材料として、SrRuOやLaNiO、PbTiOやPZTをシード層として形成することが好ましい。中でも、PbTiOを用いた場合、電気−機械変換膜を(100)配向にさせやすく好ましい。
<電気−機械変換膜、内部電極膜及びシード層>
電気機械変換膜としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を好適に用いることができる。PZTとはジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体であり、PbZrOとPbTiOの比率によって、PZTの特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成は、例えばPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合であり、これを化学式で示すと、Pb(Zr0.53,Ti0.47)Oと表すことができ、一般的にはPZT(53/47)と示される。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
Pb/(Zr+Ti)の組成比率については、0.9以上1.3以下が好ましく、1.0以上1.2以下がより好ましい。0.9以上であると、Pbの不足を防止でき、十分な変位量を確保できる。また1.3以下であると、Pbが過剰になることを防止でき、絶縁破壊を防止できる。
Zr/Tiの組成比率については、Ti/(Zr+Ti)で表したときに、0.40以上0.55以下が好ましく、0.45以上0.53以下がより好ましい。これらの組成比率を調整することによって、図3に示すようなθ−2θ測定において、PZT(200)面のピーク位置やピークの非対称性が異なってくる。
Ti/(Zr+Ti)が0.40以上である場合、回転歪をともなう変位量が少なくなることを防止できる。Ti/(Zr+Ti)が0.55以下である場合、圧電歪による変位量が少なくなることを防止でき、変位量を確保しやすくなる。
電気−機械変換膜の作製方法としては、Sol−gel法等が挙げられる。例えばPZTをSol−gel法により作製する場合には、まず出発材料に酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を用いる。そして、共通溶媒であるメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得ることで、PZT前駆体溶液が作製できる。金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミン等を適量、添加してもよい。
電気−機械変換膜の1層分の膜厚としては、0.2〜3μmが好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。0.2μm以上の場合、電界強度が大きくなり過ぎることを防止し、耐圧を確保しやすくなるため、絶縁耐圧等の不具合を防止できる。3μm以下の場合、電界強度が小さくなり過ぎることを防止し、十分な変位を確保しやすくなる。
なお、1層分の膜厚とは、他の層を形成せずに、電気−機械変換膜を連続して形成した場合の膜の厚みを意味する。例えば、3層連続して電気−機械変換膜を形成した場合、連続して形成した3層をまとめて1層分の膜厚として考慮する。
本実施形態の電気−機械変換素子は、電気−機械変換膜と内部電極膜とが交互に積層されており、電気−機械変換膜のトータルの膜厚としては、1〜10μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。1μm以上の場合、十分な剛性を確保しやすくなり、吐出力を確保しやすくなる。10μm以下の場合、膜応力が大きくなり過ぎることを防止し、クラック等の信頼性不具合を抑制できる。
本実施形態では、下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とを交互に積層させ、下部電極と、下部電極に最も近い電気−機械変換膜との間には内部電極膜を形成せず、下部電極に最も近い電気−機械変換膜の(100)配向率を95%以上としている。これにより、良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子が提供される。
本実施形態において、電気−機械変換膜の(100)配向率はEBSD(電子線後方散乱回折:Electron Back Scattered Diffraction Pattern)法を用いて求める。電気−機械変換膜が形成された電気−機械変換素子の断面に対して、EBSD法を用いて後方散乱電子回折を解析することで結晶粒ごとに方位解析を実施し、配向率を算出する。上記測定により(100)配向の領域や(100)配向以外の領域を有する画像が得られ、(100)配向率は、
(100)配向率[%]=(100)配向している結晶粒領域の面積/全領域の面積×100
により算出する。このような測定を1層目の電気−機械変換膜やその他の電気−機械変換膜に対して行うことにより、各層の(100)配向率を求める。
上述したように、下部電極に最も近い電気−機械変換膜は、例えば図1(A)における1層目の電気−機械変換膜16aをいう。下部電極に最も近い電気−機械変換膜の(100)配向率が95%以上であることで、電気−機械変換膜全体の結晶配向を(100)結晶配向に制御しやすくなる。これにより、良好な結晶配向を有する電気−機械変換膜が得られ、高い変位特性が得られる電気−機械変換素子が提供される。
なお、下部電極に最も近い電気−機械変換膜を1層目の電気−機械変換膜と称して説明することがある。「1層目」とあるのは、下部電極に最も近い電気−機械変換膜であって、他の層を形成せずに電気−機械変換膜を連続して形成した層をいう。
下部電極に最も近い電気−機械変換膜の(100)配向率を95%以上にするには、適宜変更することが可能であるが、例えば下部電極上にシードの役割を有する層を形成することが好ましい。特に、下部電極と、下部電極に最も近い電気−機械変換膜との間にPbTiOからなる層(PTシード層などとも称する)を形成し、該PbTiOからなる層を下部電極に最も近い電気−機械変換膜と接して形成することが好ましい。この場合、PTシード層上に形成された電気−機械変換膜の(100)配向率をより高めることができる。特に、下部電極としてPtを用いた場合に、下部電極層上にPTシード層を設けることで、電気−機械変換膜の(100)配向率をより高めることができる。また、PTシード層は、下部電極としてTiOと、さらにその上にPtとを積層させた構成を用いた場合においても特に有効である。
電気−機械変換膜の全体の(100)配向率としては、各層の(100)配向率を用いて求められる(100)配向率の平均値が75%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが特に好ましい。75%以上、特に90%以上である場合、良好な圧電歪が得られ、変位量を確保しやすくなる。また、チップ内での結晶配向のバラつきを抑え、ヘッド化した場合においても吐出のバラつきを抑えることができる。
内部電極膜としては、例えば、Pt、SrRuO、PbTiO等を用いることができる。中でも、SrRuOを用いることが好ましい。また、下部電極側から順にSrRuOとPtを積層して内部電極膜とすることも好ましい。この場合、上に積層される電気−機械変換膜の(100)配向率をより高めることができる。
なお、下部電極側から順にSrRuOとPtを積層した場合を「SrRuO/Pt」と表記することもある。
内部電極膜としてPZTと格子定数の差が非常に小さいSrRuO(もしくはSrRuO/Pt)を用いることにより、SrRuOが(100)配向することで、本来Ptは(111)優先配向であるが、その上に作製したPtを(100)結晶配向させることができる。このため、内部電極膜上に形成される電気−機械変換膜も結晶情報を引き継いで、(100)配向率をより高めることができる。
なお、PbTiOについても同様のことがいえ、PtとPZTの格子定数の差が若干大きいため、間にSrRuOやPbTiOを設けた方が下地の結晶情報が引き継がれやすくなる。格子定数としては、PZT<PbTiO、SrRuO<Ptのようになる。
上述した図2では、1層目の電気−機械変換膜の配向率と、Totalでの電気−機械変換膜の配向率との関係において、内部電極膜の材料を変更してプロットしている。図示されるように、内部電極層の材料によっても傾向が異なり、内部電極膜をPt単層とした場合よりも、SrRuO/Ptとした場合の方がTotalでの電気−機械変換膜の(100)配向率が高くなっている。
内部電極膜の1層分の膜厚としては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。
このように、内部電極膜の構成を適宜変更することが好ましく、1層目の電気−機械変換膜の(100)配向率や電気−機械変換膜の全体の(100)配向率を向上させることができる。
本実施形態では、内部電極膜上にシード層が形成されていることが好ましい。シード層としては、SrRuO、PbTiO等を用いることができる。シード層を用いることにより、上に形成される電気−機械変換膜の(100)配向をより制御しやすくなる。
図4に、シード層を形成した場合の一例における断面模式図を示す。図示されるように、本実施形態では内部電極膜18が複数形成されるため、シード層22も複数形成されていてもよい。
また、上述した図2では、1層目の電気−機械変換膜の配向率と、Totalでの電気−機械変換膜の配向率との関係において、シード層の有無や種類を変更してプロットしている。図示されるように、シード層の有無や材料によっても傾向が異なり、シード層を形成した場合、Totalでの電気−機械変換膜の(100)配向率が高くなっている。例えば、SrRuO/Pt(シード層なし)とSrRuO/Pt/SrRuO(シード層あり)とを比べると、シード層を形成したSrRuO/Pt/SrRuOの方がTotalでの電気−機械変換膜の(100)配向率が高くなっている。
ここで示される例では、シード層としてSrRuOを用いた場合とPbTiOを用いた場合とで、Totalでの電気−機械変換膜の(100)配向率が異なっている。そのため、シード層の種類についても適宜選択することが好ましい。
なお、例えば「SrRuO/Pt/PbTiO」とあるのは、下部電極側から内部電極膜としてSrRuOとPtを積層し、さらにその上にシード層としてPbTiOを積層した構成を意味する。
シード層の1層分の膜厚としては、1nm〜20nmが好ましく、3nm〜10nmがより好ましい。
本実施形態において、上部電極に最も近い電気−機械変換膜の(100)配向率が95%以上であることが好ましい。この場合、電気−機械変換膜の全体の(100)配向率が大きく、良好な圧電歪が得られ、変位量を確保しやすくなる。
<上部電極>
上部電極としては、例えば、Pt、SrRuO、LaNiO等を用いることができる。中でも、下層側から順に、SrRuOとPtを積層させる構成やLaNiOとPtを積層させる構成など、酸化物電極層とPtからなる層とを積層させる構成が好ましい。Pt自体の密着性が低いために、間に酸化物電極層を加えることで密着力向上を図るとともに、PZTの酸素欠損による連続駆動耐久時の性能低下を抑制する機能も併せて持たせることができる。
上部電極の膜厚としては、10nm〜200nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。
<他の構成例>
次に、本実施形態の電気−機械変換素子における他の構成例について、配線、層間膜等とあわせて説明する。本例について図5を用いて説明する。図5は図1と同様に、電気−機械変換素子の断面模式図を示すものである。
電気−機械変換膜及び内部電極膜は、例えば図5に示すように、各層を比較したときに下部電極側から上部電極側にかけて徐々に面積が小さくなっていてもよい。これにより、下部電極、内部電極膜、上部電極から引き出した配線を形成しやすくなる。
徐々に面積が小さくなるように形成する方法としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、上部電極まで作製した後、上部電極からエッチングを行うことにより、図に示すような形状を作製することができる。この場合、その後、層間膜を作製した後のコンタクトホールを一度のエッチングで作製することができるためプロセスとしても簡略化できる。
本例において、配線を形成した場合の例を図6、図7に示す。図6は、図5において配線を形成した場合の断面図であり、図7は、図6における平面模式図である。図6及び図7には、下部電極14から引き出した配線26a、内部電極膜18から引き出した配線26b、上部電極20から引き出した配線26cが図示されており、また図6では第1の層間膜32が図示されている。
符号28a’、28b’、28c’は配線におけるコンタクトホール部に対応する箇所を示す。符号28a’、28b’、28c’はそれぞれ配線26a、26b、26cに対応している。
なお、図6及び図7では、2つの内部電極膜18(内部電極膜18a、内部電極膜18b)が例として示されており、それぞれ配線が形成されているが、一方の配線のみに符号(26b)を付け、他方の配線には符号を省略している。
このように、下部電極14側から上部電極20側にかけて電気−機械変換膜16及び内部電極膜18の面積が徐々に小さくなっていることにより、下部電極、内部電極膜、上部電極から引き出した配線26a、26b、26cを形成しやすくなる。
図7において、電気−機械変換膜は積層方向と垂直な方向(麺方向)に長手方向と短手方向を有していることが図示されている(内部電極膜も同様)。ここで示される例では、配線26a、26b、26cは、長手方向に沿った左右のうちの一方に引き出されている。
また、図示されるように、下部電極14から引き出した配線26a、内部電極膜18から引き出した配線26b及び上部電極20から引き出した配線26cの一部が同一平面上に存在している。ここでは、第1の層間膜32上に形成されている。これにより、配線レイアウトの簡略化や短絡の防止などの利点が得られる。
配線としては、例えばAg合金、Cu、Al、Au、Pt、Irのいずれかからなる金属電極材料であることが好ましい。作製方法としては、例えばスパッタ法、スピンコート法を用いて作製し、その後フォトリソエッチング等により所望のパターンを得る。
配線の厚みとしては、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜10μmがさらに好ましい。0.1μm以上にすることで、抵抗が大きくなり過ぎることを防止し、電極に十分な電流を流しやすくなる。これによりヘッドの吐出安定性を向上させることができる。20μm以下にすることで、プロセス時間が長くなり過ぎることを防止できる。
コンタクトホール部(例えば10μm×10μm)での接触抵抗として、共通電極としては10Ω以下が好ましく、個別電極、内部電極膜としては1Ω以下が好ましい。さらに好ましくは、共通電極としては5Ω以下がより好ましく、個別電極、内部電極層としては0.5Ω以下がより好ましい。上記の範囲である場合、十分な電流を供給でき、インク吐出をする際の不具合を防止しやすくなる。
なお、本実施形態においては、上部電極を個別電極、下部電極を共通電極としてもよいし、上部電極を共通電極、下部電極を個別電極としてもよい(後述の図11参照)。
第1の層間膜(第1の絶縁膜とも称する)は、成膜・エッチングの工程による電気−機械変換素子へのダメージを防ぐとともに、大気中の水分が透過しにくい材料を選定することが好ましく、緻密な無機材料であることが好ましい。有機材料では十分な保護性能を得るためには膜厚を厚くする必要がある。厚い膜とした場合、振動板の振動変位を著しく阻害してしまうため、吐出性能の低いインクジェットヘッドになってしまうことがある。
薄膜で高い保護性能を得るには、酸化物、窒化物、炭化膜を用いるのが好ましい。このとき、第1の層間膜の下地となる、電極の材料、電気−機械変換膜の材料、振動板の材料と密着性が高い材料を選定することが好ましい。
また、成膜法も電気−機械変換素子を損傷しない成膜方法を選定することが好ましい。反応性ガスをプラズマ化して基板上に堆積するプラズマCVD法やプラズマをターゲット材に衝突させて飛ばすことで成膜するスパッタリング法は、損傷が生じる可能性があり、留意する。好ましい成膜方法としては、蒸着法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などが例示でき、使用できる材料の選択肢が広いALD法が好ましい。
第1の層間膜の好ましい材料としては、例えばAl、ZrO、Y、Ta、TiOなどのセラミクス材料に用いられる酸化膜が挙げられる。特にこれらの材料とALD法を用いることで、膜密度の非常に高い薄膜を作製し、プロセス中でのダメージを抑制することができる。
第1の層間膜の膜厚は、電気−機械変換素子の保護性能を確保できる十分な薄膜とすることが好ましく、振動板の変位を阻害しないように可能な限り薄くすることが好ましい。例えば膜厚としては20nm〜100nmが好ましい。20nm以上の場合、保護層としての機能を確保することができ、電気−機械変換素子の性能が低下することを防止できる。100nm以下の場合、振動板の変位が低下することを防止でき、吐出効率を向上させることができる。
素子作製のプロセスにおいては、第1の層間膜を作製した後のコンタクトホールを一度のエッチングで作製することができるため、プロセスの簡略化を図ることができる。その後、配線を層間膜上に作製する。
本実施形態においては、第2の層間膜(第2の絶縁膜とも称する)を形成するようにしてもよい。本例を説明するための図を図8に示す。図8は、図6において第2の層間膜34が形成された場合の例である。また、ここではコンタクトホール28a、28b、28cが図示されている。
なお、電気−機械変換素子上とその周囲の振動板上の第2の層間膜を開口させてもよい。この場合、振動板の振動変位を著しく阻害してしまうことを防止し、吐出効率や信頼性を向上させることができる。
第2の層間膜は、例えば下部電極の配線や上部電極の配線を保護する保護層の機能を有するパシベーション層として用いることができる。図示されるように、配線部分を除き、電極を被覆する。第2の層間膜を用いることにより、例えば電極材料に安価なAlもしくはAlを主成分とする合金材料を用いることができる。
第2の層間膜としては、任意の無機材料、有機材料を使用することができるが、透湿性の低い材料とすることが好ましい。無機材料としては、酸化物、窒化物、炭化物等が例示でき、有機材料としてはポリイミド、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が例示できる。有機材料の場合には厚膜とすることが必要となるため、パターニングに適さないことがある。そのため、薄膜で配線保護機能を発揮できる無機材料とすることが好ましく、特に、Al配線上にSiを用いることが、半導体デバイスで実績のある技術であるため好ましい。
成膜は任意の手法を用いることができ、CVD法、スパッタリング法が例示でき、電極形成部等のパターン形成部の段差被覆を考慮すると等方的に成膜できるCVD法を用いることが好ましい。
第2の層間膜の膜厚は、下部電極と上部電極の配線に印加される電圧で絶縁破壊されない膜厚にすることが好ましく、第2の層間膜に印加される電界強度を、絶縁破壊しない範囲に設定することが好ましい。また、第2の層間膜の下地の表面性やピンホール等を考慮すると、膜厚は200nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましい。200nm以上であることで、十分なパシベーション機能を発揮でき、配線材料の腐食による断線を防止し、インクジェットの信頼性が低下することを防止できる。
次に、本実施形態における更に他の構成例について図9を用いて説明する。図9は、図7と同様に本実施形態における電気−機械変換素子の平面図を示す。
本例において、配線は、電気−機械変換膜(又は内部電極膜)の長手方向に沿った左右に引き出され、配線を下部電極側から上部電極側へ番号付けしたときに、奇数番号の配線は同じ方向に引き出され、偶数番号の配線は奇数番号の配線とは異なる方向に引き出されている。
図9において、下部電極14から引き出した配線26a、内部電極膜18から引き出した配線26b(ここでは、26b1と26b2)、上部電極20から引き出した配線26cについて、番号付けを行う。図9に示される例では、配線26a、26b1、26b2、26cの番号をそれぞれ1、2、3、4としている。そして、奇数番目の配線1、3を同方向に引き出し、偶数番目の配線2、4を奇数番目の配線とは別の方向から引き出している。すなわち、下部電極から数えたときに、奇数番号n+1の配線と偶数番号2nの配線に分け、奇数番号の配線と偶数番号の配線を各々図9に示すように、途中を一つの配線にまとめている。
このように、電気−機械変換膜の長手方向に沿った左右から配線を引き出す(引き回す)ことにより、配線レイアウトを簡略化することが可能となる。
上記の例では、電気−機械変換膜及び内部電極膜の面積を徐々に小さくする例において、配線や層間膜を図示して説明したが、本発明においては、これに限られるものではない。すなわち、配線、第1の層間膜、第2の層間膜を形成する構成は、図5に示されるように、電気−機械変換膜及び内部電極膜の面積を徐々に小さくする場合に限られるものではなく、図1に示す構成にも適用可能である。
(液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置)
次に、本発明の液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について説明する。
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するノズルと、該ノズルに連通する加圧室と、該加圧室内の液体に圧力を発生させる圧力発生手段とを備え、前記圧力発生手段として、本発明の電気−機械変換素子を用いている。
本発明の液体吐出ユニットは、本発明の液体吐出ヘッドを備えている。また、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化していてもよい。
本発明の液体を吐出する装置は、本発明の液体吐出ヘッド、又は、本発明の液体吐出ユニットを備えている。
まず、本発明の液体吐出ヘッドの一例を図10、図11に示す。図10では、ノズル11、ノズル11に連通する加圧室41、ノズル11を有するノズル板43が図示されている。また、図11は、図10に示す液体吐出ヘッドが連なった場合の例である。なお、本実施形態においては、図11(A)のように、上部電極20を個別電極、下部電極14を共通電極としてもよいし、図11(B)のように、上部電極20を共通電極、下部電極14を個別電極としてもよい。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。図12は同装置の要部平面説明図、図13は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル11からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル11が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図14を参照して説明する。図14は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図15を参照して説明する。図15は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図13で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図14で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図15で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体を吐出する装置の一例について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同記録装置の斜視説明図、図17は同記録装置の機構部の側面説明図である。
ここでは、液体を吐出する装置としてインクジェット記録装置の例を挙げて説明する。このインクジェット記録装置は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部82等を収納している。装置本体81の下方部には前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(あるいは給紙トレイでもよい)84を抜き差し自在に装着することができる。また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができ、給紙カセット84あるいは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持している。このキャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド94を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ93にはヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。インクカートリッジ95は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
一方、給紙カセット84にセットした用紙83をヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115,116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段でヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、本発明の液体吐出ヘッド、液体を吐出する装置は本発明の電気−機械変換素子を備えているので、圧電特性や絶縁耐圧が良好で故障の発生が少ない。また、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良を防止し、変位の変動も抑制できるため、安定したインク滴吐出特性が得られ、画像品質が向上する。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
基板としての6インチシリコンウェハ上に、振動板としてSiO膜(膜厚約2.5μm)を形成した。このSiO膜上に、スパッタ法により350℃でTi膜(膜厚約20nm)成膜し、RTA(急速熱処理)により750℃で熱酸化した。引き続き、下部電極としてPt膜(膜厚約160nm)をスパッタ法により約300℃で成膜した。なお、Ti膜を熱酸化したTiO膜は、SiO膜とPt膜との間の密着層としての役割を持つ。
次いで、Pt膜上にPbTiO層(PTシード層とも称する)を形成するため、Pb:Ti=1:1に調整した溶液を準備した。準備した溶液(以下のPT塗布液)を用いて、6nmのPTシード層を形成した。PTシード層はシードとしての役割を持つ。
次いで、電気−機械変換膜(PZT膜)を形成する。
PZT膜の材料としてPb:Zr:Ti=115:49:51の組成比で調合したPZT前駆体塗布液を準備した。具体的なPZT前駆体塗布液の合成は次のように行った。まず、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、上記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することで、PZT前駆体塗布液を合成した。このPZT濃度は0.5mol/lにした。
なお、PT層を形成するためのPT塗布液に関してもPZT前駆体塗布液と同様に合成した。PT塗布液はイソプロポキシドジルコニウムを用いずに合成している。
これらの塗布液を用いて、最初にPTシード層をスピンコートにより成膜し、その後、ホットプレートにより120℃で乾燥を行った。
次いで、PZT前駆体塗布液をスピンコートにより成膜し、120℃で乾燥した後、380℃で熱分解を行った。なお、熱分解は仮焼とも称する。更に塗布、乾燥、仮焼を繰り返し、PZT膜を合計で3層形成した。3層目の熱分解処理の後に、結晶化のための熱処理(温度730℃)をRTA(急速熱処理)にて行った。この結晶化の熱処理が終わったときのPZT膜の膜厚は240nmであった。このPZT前駆体溶液の塗布、乾燥、熱分解及び結晶化の熱処理の工程を合計4回実施し、約1μmの膜厚のPZT膜を得た。すなわち、結晶化の熱処理までにPZT膜は3層であり、4回で合計12層形成している。
次いで、内部電極膜としてSrRuO膜(膜厚40nm)と、更にその上にPt膜(膜厚125nm)をスパッタ成膜した。次いで、シード層としてSrRuO膜(膜厚20nm)を作製した。
次に、上記と同様にして、約1μmの膜厚のPZT膜の形成と、内部電極膜及びシード層の形成を行い、更に約1μmの膜厚のPZT膜を形成した。従ってPZT膜のTotal膜厚としては約3μmとなる。
次に、PZT膜上に上部電極としてSrRuO膜(膜厚40nm)と、更にその上にPt膜(膜厚125nm)をスパッタ成膜した。
その後、東京応化社製フォトレジスト(TSMR8800)をスピンコート法で成膜し、通常のフォトリソグラフィーでレジストパターンを形成した後、ICPエッチング装置(サムコ製)を用いて図5に示すようなパターンを作製した。
次に、第1の層間膜として、ALD工法を用いてAl膜を50nm成膜した。このとき原材料として、AlについてはTMA(シグマアルドリッチ社)、Oについてはオゾンジェネレーターによって発生させたOを用い、交互に積層させることで成膜を進めた。
その後、図8に示すように、エッチングによりコンタクトホール部を形成する。
次いで、図9に示すように、配線電極としてAlをスパッタ成膜し、エッチングによりパターニング形成し、第2の層間膜としてSiをプラズマCVDにより500nm成膜した。このようにして、本実施例の電気−機械変換素子を作製した。
(実施例2〜5、比較例1)
実施例2、3はシード層を表1に示すように変更した。
実施例4はシード層を表1に示すように変更し、更に下部電極上のPbTiO層(PTシード層)の膜厚を6nmから3nmに変更した。
実施例5は内部電極膜及びシード層を表1に示すように変更した。
比較例1は表1に示すように、内部電極膜を設けず、PZT膜を約3μm形成した。
上記実施例及び比較例の構成を下記表1に示す。
(測定及び評価)
<(100)配向率>
得られた電気−機械変換素子の断面を形成し、各電気−機械変換膜に対してEBSD法を用いて後方散乱電子回折を解析することで結晶粒ごとに方位解析を実施した。これにより(100)配向の領域や(100)配向以外の領域を有する画像を得て、
(100)配向率[%]=(100)配向している結晶粒領域の面積/全領域の面積×100
により(100)配向率を算出した。なお、全領域の面積は各電気−機械変換膜に対して測定したときの測定領域の面積である。
<変位量>
作製した電気−機械変換素子を用いて変位特性の評価を行った。変位評価については、図10に示すように、基板裏面側から掘加工(短手方向の幅:60μm、長手方向の幅900μm)を行い、振動評価を実施している。図9に示すように、配線として奇数番号となるものを基準に、偶数番号となるものに30V印加し、そのときの変形量をレーザードップラー振動計で計測することにより変位量を求めた。結果を表1に示す。
<吐出評価>
実施例1〜5で作製した電気−機械変換素子を用いて、図11(A)の液体吐出ヘッドを作製し、液体の吐出評価を行った。粘度を5cpに調整したインクを用いて、単純Push波形により−10〜−30Vの印可電圧を加えたときの吐出状況を確認したところ、全てどのノズル孔からも吐出できていることを確認した。
各実施例、比較例の構成の一部と測定及び評価結果を表1に示す。
Figure 2021061271
実施例1〜4では、1層目及びTotalの(100)配向率として、高い値が得られている。実施例4の結果から、1層目の配向率が下がったことでTotalの配向率が低下していることが分かった。また、実施例5のように内部電極層をPtとしたものは1層目の(100)配向率は高いものの、Totalの配向率は低くなっていることが分かった。
変位量については、実施例1〜5では良好な結果が得られている。一方、内部電極を設けなかった比較例1では良好な変位量が得られなかった。また、Totalの配向率が低い実施例5は、比較例1に比べて変位量は高くなっているものの、実施例1〜4に比べると性能が劣っていることが確認された。
10 基板
11 ノズル
12 振動板
14 下部電極
16 電気−機械変換膜
18 内部電極膜
20 上部電極
22 シード層
26 配線
28 コンタクトホール
32 第1の層間膜
34 第2の層間膜
41 加圧室
43 ノズル板
81 記録装置本体
82 印字機構部
83 用紙
84 給紙カセット
85 手差しトレイ
86 排紙トレイ
91 主ガイドロッド
92 従ガイドロッド
93 キャリッジ
94 ヘッド
95 インクカートリッジ
97 主走査モータ
98 駆動プーリ
99 従動プーリ
100 タイミングベルト
101 給紙ローラ
102 フリクションパッド
103 ガイド部材
104 搬送ローラ
105 搬送コロ
106 先端コロ
107 副走査モータ
109 印写受け部材
111 搬送コロ
112、114 拍車
113 排紙ローラ
115、116 ガイド部材
117 回復装置
特開2013−080886号公報

Claims (12)

  1. 下部電極上に電気−機械変換膜と内部電極膜とが交互に積層され、最上部に形成された前記電気−機械変換膜上に上部電極が形成された電気−機械変換素子であって、
    前記下部電極と、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜との間には前記内部電極膜が形成されておらず、
    前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜は、(100)配向率が95%以上であることを特徴とする電気−機械変換素子。
  2. 前記下部電極と、前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜との間にPbTiOからなる層が形成されており、該PbTiOからなる層は前記下部電極に最も近い前記電気−機械変換膜と接して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気−機械変換素子。
  3. 前記内部電極膜は、SrRuOである、又は、前記下部電極側から順にSrRuOとPtを積層してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気−機械変換素子。
  4. 前記内部電極膜上にSrRuOが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気−機械変換素子。
  5. 前記電気−機械変換膜及び前記内部電極膜は、各層を比較したときに前記下部電極側から前記上部電極側にかけて徐々に面積が小さくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気−機械変換素子。
  6. 前記下部電極から引き出した配線と、前記内部電極膜から引き出した配線と、前記上部電極から引き出した配線とを有し、
    前記下部電極から引き出した配線、前記内部電極膜から引き出した配線及び前記上部電極から引き出した配線の一部が同一平面上に存在することを特徴とする請求項5に記載の電気−機械変換素子。
  7. 前記電気−機械変換膜は、積層方向と垂直な方向に長手方向と短手方向を有し、
    前記配線は、前記長手方向に沿った左右に引き出され、前記配線を前記下部電極側から前記上部電極側へ番号付けしたときに、奇数番号の前記配線は同じ方向に引き出され、偶数番号の前記配線は奇数番号の前記配線とは異なる方向に引き出されていることを特徴とする請求項6に記載の電気−機械変換素子。
  8. 前記電気−機械変換膜は、各層の(100)配向率を用いて求められる(100)配向率の平均値が95%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電気−機械変換素子。
  9. 液体を吐出するノズルと、該ノズルに連通する加圧室と、該加圧室内の液体に圧力を発生させる圧力発生手段とを備え、
    前記圧力発生手段として、請求項1〜8のいずれかに記載の電気−機械変換素子を用いたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 請求項9に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
  11. 前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ユニット。
  12. 請求項9に記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項10若しくは11に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
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