JP2021037467A - 人工透析装置の廃液中和システム、人工透析装置の廃液中和方法 - Google Patents
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Description
従来は、硫酸、苛性ソーダなどの中和剤を混合して中和処理を行っていたが、これらは危険な劇薬であり、保管や取り扱いが難しい問題があった。
洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を排出し、透析廃液排出中は透析廃液排出中を示す信号を出力する人工透析装置の廃液中和システムであって、
人工透析装置から排出される洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を貯液する廃液受槽と、
廃液受槽の液体のpHを計測する第1のpH計測手段と、廃液受槽から送液された液体の中和を行うための中和槽と、
廃液受槽と中和槽の間に装備されて、第1のpH計測手段で計測されたpHが下水排出基準範囲に入っていない場合と、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されている場合に、廃液受槽の液体を中和槽へ流出させ、第1のpH計測手段で計測されたpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されていない場合に、廃液受槽の液体を配管を介して下水管側へ送出させる第1の送液手段と、
中和槽の液体のpHを計測する第2のpH計測手段と、
中和槽と下水管の間に装備されて、第2のpH計測手段で計測されたpHが下水管へ排出可能な中和域に入っている場合、中和槽の液体を配管を介して下水管側へ送出させる第2の送液手段と、
を備えたことを特徴としている。
請求項2記載の発明では、
第2の送液手段は、
中和槽から液体を流出させる配管と中和槽に戻す戻し配管を含み、
第2のpH計測手段で計測されたpHが下水管へ排出可能な中和域に入っていないときに、中和槽から流出した液体を戻し管を介して中和槽に戻し、循環させるようにしたこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明では、
洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を排出し、透析廃液排出中は透析廃液排出中を示す信号を出力する人工透析装置の廃液中和方法であって、
人工透析装置から排出される洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を廃液受槽に貯液し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入ってるか否か監視し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っていない場合と、廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されているときは、廃液受槽の液体を中和槽へ送出し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されていないときは、廃液受槽の液体を下水管側へ送出し、
中和槽の液体のpHが下水管へ排出可能な中和域に入っているか否か監視し、
中和槽の液体のpHが下水管へ排出可能な中和域に入っているとき、中和槽の液体を下水管側へ送出するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明では、
中和槽の液体のpHが下水管へ排出可能な中和域に入っていないときに、中和槽の液体を循環させて攪拌するようにしたこと、
を特徴としている。
また、pHが7より小さい水洗用RO水排水を用いて強酸性の洗浄廃液を中和処理しようとすると多量が必要となり、必然的に中和槽の容量が大きくなってしまうが、本発明では水洗用RO水排水は下水管側に排出されるようにしたので、中和槽の容量が小型で済む。
図1において、1は病院、診療所等に設置された人工透析装置であり、人工透析した透析廃液のほか、洗浄剤により洗浄したあとの強酸性の洗浄廃液、消毒剤により消毒したあとの消毒廃液、RO水により水洗したあとの水洗用RO水排水を排出する。人工透析装置1は、透析廃液を排出している間、透析廃液排出中を示す信号Sを出力する機能を有している。2は人工透析装置1から自由落下で排出されたこれらの廃液、排水を貯液する廃液受槽、3は廃液受槽2の液面レベルを計測する第1の液面計、4は廃液受槽2の液体のpHを計測する第1のpH計、5は廃液受槽2から配管6を介して送液された液体の中和を行うための中和槽、7は中和槽5の液面レベルを計測する第2の液面計、8は中和槽5の液体のpHを計測する第2のpH計である。
人工透析装置1は、人工透析による透析廃液、洗浄剤を用いた洗浄による洗浄廃液、消毒剤による消毒廃液、水洗用RO水による水洗後の水洗用RO水排水を排出する。この内、洗浄廃液はpHが2乃至3の強酸性であり、消毒廃液がpH10乃至12の強アルカル性であり、そのままでは下水管9への排出基準範囲(pHが約5〜9)を満たさず、中和処理をする必要がある。水洗用RO水排水はpHが6.5前後、透析廃液はPHがほぼ7である。
人工透析装置1から排出された透析廃液や洗浄廃液、消毒廃液、水洗用RO水排水は廃液受槽2に貯液される。人工透析装置1は透析廃液を排出している間、透析廃液排出中を示す信号Sを出力する。
第1の制御装置20は、第1の液面計3により計測された液面高さが、液の存在を判定するための或る一定の基準th1を超えていない間、第1のポンプ10を停止状態とし、第1の切り替え弁11を中立位置(閉塞位置)としている(図2のステップS1でNO、S2)。
人工透析装置1で洗浄(消毒)が行われて洗浄廃液(消毒廃液)が廃液受槽2に排出され、液面が一定の基準th1を超えると第1のポンプ10を稼働する(ステップS1でYES、S3)。続いて信号Sが「透析廃液排出中」を示しているか判定し(ステップS4)、ここではNOなので、第1のpH計4で計測されたpHが下水排出基準範囲(ここではpH=5〜9とする)外か否か判定する(ステップS5)。廃液受槽2内が洗浄廃液(消毒廃液)であるとき、pHは2〜3(11〜12)でYESとなるので、第1の制御装置20は第1の切り替え弁11を中和槽5の側に切り替えて廃液受槽2の洗浄廃液(消毒廃液)を中和槽5へ送液させる(ステップS6)。
洗浄廃液(消毒廃液)の流入により液面高さが一定の基準th2を超えたとき第2のポンプ13を稼働し(ステップS10でYES、S12)、第2のpH計8で計測されたpHが下水へ排出可能な中和域(ここではステップ5で判定する下水排出基準範囲と同じとする)に入っているか否か判定する(ステップS13)。中和槽5内が洗浄廃液(消毒廃液)であるとき、pHは2〜3(11〜12)でNOとなるので、第2の制御装置21は第2の切り替え弁14を戻し管16の側に切り替え中和槽5の洗浄廃液(消毒廃液)を攪拌させる(ステップS14)。
この結果、人工透析装置1から排出された洗浄廃液(消毒廃液)は中和槽5に貯液される。
その後、人工透析装置1で水洗用RO水を用いた水洗が行われて水洗用RO水排水が廃液受槽2に排出されると、液面が基準th1を超えたところで第1の制御装置20は第1のポンプ10を稼働する(ステップS1でYES、S3)。続いて信号Sが「透析廃液排出中」を示しているか判定し(ステップS4)、ここではNOなので、第1のpH計4で計測されたpHが下水排出基準範囲外か否か判定する(ステップS5)。廃液受槽2内に水洗用RO水排水が排出されると、最初、pHはまだ2〜3(11〜12)近くなので、第1の制御装置20は第1の切り替え弁11を中和槽5の側に切り替えるが(ステップS5でYES、S6)、すぐにpHが6.5前後になるのでステップS5でNOと判断し、第1の切り替え弁11を下水管側に切り替え、水洗用RO水排水を下水管9に排出させる(ステップS7)。
この結果、人工透析装置1から排出された水洗用RO水排水の大部分は下水管9へ排出される。
その後、人工透析装置1で人工透析が行われて透析廃液が廃液受槽2に排出されると、人工透析装置1は「透析廃液排出中」を示す信号Sを出力する。第1の制御装置20は液面が基準th1を超えたところで第1のポンプ10を稼働する(ステップS1でYES、S3)。続いて信号Sが「透析廃液排出中」を示しているか判定し(ステップS4)、ここではYESなので、第1の切り替え弁11を中和槽5の側に切り替える(ステップS8)。これにより、透析廃液は中和槽5へ送液される。第1の制御装置20は人工透析装置1から透析廃液が排出されている間、中和槽5への送液を継続する。
これにより、中和槽5にとくに強酸性の洗浄廃液が貯液されているとき、この洗浄廃液は、中和剤を用いずに、pHが水洗用RO水排水より高い透析廃液により中和処理されながら下水に排出されて行く。同じpH、同じ量の洗浄廃液を中和する場合、pHの低い水洗用RO水排水を用いるよりも、pHの高い透析廃液を用いる方が、遙かに量が少なくて済み、中和槽5を大型にしなくて済む。中和槽5に強アルカリ性の消毒廃液が貯液されているときも、中和剤を用いずに、pHがほぼ7の透析廃液により中和処理されながら下水に排出されて行く。
第2の制御装置21は第2の液面計7で計測された液面高さがth2を超えている間、第2のポンプ13を稼働して中和槽5の中和廃液を下水に排出させる(ステップS10でYES、S12、S13、S15)。そして、中和槽5の液面高さがth2を下回ると第2のポンプ13を停止し、第2の切り替え弁14を中立位置とする(ステップS10でNO、S11)。
このようにして、人工透析装置1から排出された強酸性の洗浄廃液(強アルカリ性の消毒廃液)は、透析廃液により中和処理されて下水に排出される。
また、pHが7より小さい水洗用RO水排水を用いて強酸性の洗浄廃液を中和処理しようとすると多量が必要となり、必然的に中和槽5の容量が大きくなってしまうが、この実施例では、水洗用RO水排水は下水管側に排出されるようにしたので、中和槽5の容量が小型で済む。
また、人工透析装置から洗浄廃液(消毒廃液)、水洗用RO水排水、透析廃液の順に排出される場合を例に挙げて説明したが、本発明は何らこれに限定されず、洗浄廃液、水洗用RO水排水、消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液の順や、消毒廃液、水洗用RO水排水、洗浄廃液、水洗用RO水排水、透析廃液の順に排出される場合にも、同様に適用することができる。
また、図3のステップS13で判定する中和域は図2のステップS5で判定する下水排出基準範囲と同一としても良く、この下水排出基準範囲より狭くしても良い。
2 廃液受槽
3 第1のpH計
4 第1の液面計
5 中和槽
6、12、15 配管
7 第2のpH計
8 第2の液面計
9 下水管
10 第1のポンプ
11 第1の切り替え弁
13 第2のポンプ
14 第2の切り替え弁
16 戻し管
20 第1の制御装置
21 第2の制御装置
Claims (4)
- 洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を排出し、透析廃液排出中は透析廃液排出中を示す信号を出力する人工透析装置の廃液中和システムであって、
人工透析装置から排出される洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を貯液する廃液受槽と、
廃液受槽の液体のpHを計測する第1のpH計測手段と、廃液受槽から送液された液体の中和を行うための中和槽と、
廃液受槽と中和槽の間に装備されて、第1のpH計測手段で計測されたpHが下水排出基準範囲に入っていない場合と、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されている場合に、廃液受槽の液体を中和槽へ流出させ、第1のpH計測手段で計測されたpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されていない場合に、廃液受槽の液体を配管を介して下水管側へ送出させる第1の送液手段と、
中和槽の液体のpHを計測する第2のpH計測手段と、
中和槽と下水管の間に装備されて、第2のpH計測手段で計測されたpHが下水へ排出可能な中和域に入っている場合、中和槽の液体を配管を介して下水管側へ送出させる第2の送液手段と、
を備えたことを特徴とする人工透析装置の廃液中和システム。 - 第2の送液手段は、
中和槽から液体を流出させる配管と中和槽に戻す戻し配管を含み、
第2のpH計測手段で計測されたpHが下水へ排出可能な中和域に入っていないときに、中和槽から流出した液体を戻し配管を介して中和槽に戻し、循環させるようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載の人工透析装置の廃液中和システム。 - 洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を排出し、透析廃液排出中は透析廃液排出中を示す信号を出力する人工透析装置の廃液中和方法であって、
人工透析装置から排出される洗浄廃液または洗浄廃液と消毒廃液、水洗用RO水排水、透析廃液を廃液受槽に貯液し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入ってるか否か監視し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っていない場合と、廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されているときは、廃液受槽の液体を中和槽へ送出し、
廃液受槽の液体のpHが下水排出基準範囲に入っており、かつ、人工透析装置から透析廃液排出中を示す信号が出力されていないときは、廃液受槽の液体を下水管側へ送出し、
中和槽の液体のpHが下水に排出可能な中和域に入っているか否か監視し、
中和槽の液体のpHが下水へ排出可能な中和域に入っているとき、中和槽の液体を下水管側へ送出するようにしたこと、
を特徴とする人工透析装置の廃液中和方法。 - 中和槽の液体のpHが下水へ排出可能な中和域に入っていないときに、中和槽の液体を循環させて攪拌するようにしたこと、
を特徴とする請求項3記載の人工透析装置の廃液中和方法。
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