以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものである。
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1乃至図5および図34を用いて、本発明の一態様に係る負極活物質、および該負極活物質を有する負極、およびこれらの作製方法の例について説明する。
[1.基本的な構成]
図1(A)に、負極115の上面図を示す。図1(A)の一点破線X1−X2における断面を図1(B)、一点破線Y1−Y2における断面を図1(C)に示す。
負極115は、負極集電体105と、負極集電体105上に形成された負極活物質層106を有する。負極活物質層106は、負極活物質を有する。また負極活物質層106は、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
負極活物質には、ケイ素(Si)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)および酸化リチウム(Li2O)の混合物である粒子を用いる。ケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムの混合の割合は、該粒子をxSi+yLi2SiO3+zLi2Oと示すとき、2.8≦x≦3.2、1.8≦y+z≦2.2であることが好ましく、x=3、y+z=2であることがより好ましく、x=3、y=1、z=1であることがさらに好ましい。
メタケイ酸リチウムは、水蒸気を除く大気成分に対して安定であるため、上記の負極活物質は、不活性雰囲気外で取扱いおよび保管をすることができる。そのため、負極活物質の取扱いおよび保管の手段の幅が広がり、工程の簡略化およびコスト低減につながり好ましい。
メタケイ酸リチウムは、29SiのNMR(核磁気共鳴分光法)で同定することができる。具体的には、メタケイ酸リチウムは、29Si−NMRで得られる化学シフト値が−78ppmである。一方、オルトケイ酸リチウム(Li4SiO4)は、29Si−NMRで得られる化学シフト値が−65ppmである。また二酸化ケイ素(SiO2)は、29Si−NMRで得られる化学シフト値が−108ppmである。
例えばある粒子の29Si−NMRスペクトルについて、29Si−NMRスペクトルの−78ppmにおける強度が、−108ppmにおける強度の50倍以上であれば、その粒子が、メタケイ酸リチウムを有するということができる。
同様に、ある粒子の29Si−NMRスペクトルについて、29Si−NMRスペクトルの−65ppmにおける強度が、−108ppmにおける強度の50倍以上であれば、その粒子が、オルトケイ酸リチウムを有するということができる。
負極活物質が、ケイ素(Si)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)および酸化リチウム(Li2O)の混合物であるため、該負極活物質を用いた負極では、初回の充電において不可逆容量の元となる、リチウムと酸素を含む化合物(オルトケイ酸リチウムおよびメタケイ酸リチウム)が、これ以上生じない。そのため、不可逆容量の少ない負極とすることができる。
また負極活物質の中で、ケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムは、均一に混合されていることが好ましい。混合の状態は、例えば負極活物質粒子の断面TEM(透過型電子顕微鏡)により観察することができる。ケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムが均一に混合されている場合、結晶粒等の見られないアモルファス状態が観察される。
また、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムの同定は、EELS(電子エネルギー損失分光法)または7Li−NMRによっても行うことができる。
負極集電体105に用いる材料としては、二次電池内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。例えば、金、白金、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、及びこれらの合金(ステンレスなど)を用いることができる。また、炭素、ニッケル、チタン等で被覆してもよい。また、シリコン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどを添加して耐熱性を向上させてもよい。また、集電体は、箔状、シート状、板状、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状及び不織布を包括する様々な形態等の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質との密着性を上げるために集電体は表面に細かい凹凸を有していてもよい。また、集電体は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
負極活物質層106に用いることのできる結着剤(バインダ)としては、ポリイミド、PVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が挙げられる。特にポリイミドは強度が高いため、充放電に伴う上記負極活物質の膨張及び収縮に耐えることができ、好ましい。
負極活物質層106に用いることのできる導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大させることができる。
なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラフェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPSで測定した場合にグラフェン全体の2atomic%以上11atomic%以下、好ましくは3atomic%以上10atomic%以下である。
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用いることが、特に好ましい。
以下では、負極活物質層に、導電助剤としてグラフェンを用いる場合の断面構成例を説明する。なお、正極活物質層に導電助剤としてグラフェンを用いてもよい。
図2(A)に、負極活物質層106および負極集電体105の縦断面図を示す。負極活物質層106は、粒状の負極活物質322と、導電助剤としてのグラフェン321と、結着剤(バインダともいう。図示せず)と、を含む。
負極活物質層106の縦断面においては、図2(A)に示すように、負極活物質層106の内部において概略均一にシート状のグラフェン321が分散する。図2(A)においてはグラフェン321を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する薄膜である。複数のグラフェン321は、複数の粒状の負極活物質322を包むように、覆うように、あるいは複数の粒状の負極活物質322の表面上に張り付くように形成されているため、互いに面接触している。また、グラフェン321どうしも互いに面接触することで、複数のグラフェン321により三次元的な電気伝導のネットワークを形成している。
これはグラフェン321の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元してグラフェンとするため、負極活物質層106に残留するグラフェン321は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に負極活物質106を覆うことで電気伝導の経路を形成している。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、アルコルビン酸をはじめとする還元剤を用いて行ってもよい。
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン321は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、導電助剤の量を増加させることなく、粒状の負極活物質322とグラフェン321との電気伝導性を向上させることができる。よって、負極活物質322の負極活物質層106における比率を増加させることができる。これにより、蓄電装置の放電容量を増加させることができる。
また、グラフェン同士が結合することにより、網目状のグラフェン(以下グラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラフェンネットは粒子間を結合するバインダとしても機能することができる。よって、バインダの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるため、電極体積や電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、蓄電装置の容量を増加させることができる。
上記のような、正極活物質層または負極活物質層に、導電助剤としてグラフェンを用いる構成は、湾曲または可撓性を有する二次電池において特に有効である。
図34(A)に、従来例として、導電助剤にアセチレンブラックをはじめとする粒子状の導電助剤323を用いた場合の負極活物質層106および負極集電体105の縦断面図を示す。負極活物質322同士は、粒子状の導電助剤323との接触によって電気伝導のネットワークが形成されている。
図34(B)に、図34(A)の負極活物質層106および負極集電体105を湾曲させた場合を示す。図34(B)のように、導電助剤に粒子状の導電助剤323を用いると、負極活物質層106の湾曲に伴って、負極活物質322同士の距離が変化し、負極活物質322同士の電気伝導のネットワークの一部が切れてしまう恐れがある。
一方、導電助剤としてグラフェンを用いた図2(A)の負極活物質層106および負極集電体105を湾曲させた場合を図2(B)に示す。グラフェンは柔軟性を有するシートであるため、図2(B)のように負極活物質層106の湾曲に伴って、負極活物質322同士の距離が変化しても、電気伝導のネットワークを維持することができる。
[2.変形例]
また、負極集電体105および負極活物質層106の形状を加工してもよい。図3および図4を用いて、負極集電体105および負極活物質層106の形状の例について説明する。
図3(A)は負極115aの上面図である。図3(A)のX1−X2における断面を図3(B)、Y1−Y2断面を図3(C)に示す。
負極115aの負極集電体105aおよび負極活物質層106aは、それぞれ複数の凹凸を有する。また、負極集電体105aの凹凸と、負極活物質層106aの凹凸は、重畳する。図3では、負極集電体105aおよび負極活物質層106aが直線状の複数の凹部を平行に有する例について図示する。
図3(B)および図3(C)に示すように、負極活物質層106aの凹部は、負極活物質層106aの厚さより浅くてもよいし、負極集電体105aが露出する深さがあってもよい。換言すれば、負極活物質層106aの凹部の底部の一部では、負極集電体105aが露出していてもよい。また深さの異なる凹部が形成されていてもよい。また図3(A)に示すように、凹部の間隔が異なっていてもよい。
負極活物質層106aに凹部を有することで、ケイ素(Si)、メタケイ酸リチウム(Li2SiO3)および酸化リチウム(Li2O)の混合物である粒子のような充放電に伴う体積変化が大きい負極活物質を用いても、負極活物質層106aの膨張を吸収し、負極活物質層106aの変形を抑制することができる。そのため、負極活物質が、繰り返される体積の膨張と収縮のために微粉化し集電体から剥落することを抑制し、二次電池のサイクル特性を向上させることができる。また、膨張する負極活物質層106aと共に負極集電体105aが伸びて負極集電体105aにしわが生じることを抑制できため、負極115aの体積を抑制し、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
また負極集電体105aに凹部を有することで、負極活物質層の膨張および収縮に伴う負極集電体の変形をさらに抑制することができる。
なお、負極集電体105aおよび負極活物質層106aの凹凸が形成される領域は、二次電池に組み入れたときに正極と重畳する領域であることが好ましい。負極活物質の膨張および収縮が大きくなるのは、正極と重畳する領域の負極活物質であるためである。したがって負極集電体105aおよび負極活物質層106aの凹凸の長さL2は、重畳する正極の幅と同程度であることが好ましい。
二次電池の充放電に伴う負極115a表面でのリチウムの析出を抑制するためには、正極よりも負極115aの面積を大きくすることが効果的である。しかし正極と負極115aの面積の差が大きすぎると、二次電池のエネルギー密度の向上が難しくなる。そのため、例えばL2は、L2と平行な負極集電体105の辺の長さL1の80%以上100%以下、より好ましくは85%以上98%以下が好ましい。
また、負極活物質層106aの凹凸における凹部の深さH2は、深いほど負極活物質層106aの膨張を吸収しやすくなるため好ましい。そのため、例えばH2は、負極集電体層の厚さH1の90%以上100%以下であることが好ましい。
また、負極集電体105aおよび負極活物質層106aの凹凸の間隔W1は、狭いほど負極活物質層106aの膨張を吸収するのに有利であるものの、狭すぎる場合負極容量が低下し二次電池のエネルギー密度の向上が難しくなる。そのため、例えばW1は0.1mm以上5mm以下が好ましく、0.5mm以上2mm以下がより好ましい。
また、負極集電体105aおよび負極活物質層106aの凹凸の幅W2は、大きいほど負極活物質層106aの膨張を吸収するのに有利であるものの、大きすぎる場合負極容量が低下し二次電池のエネルギー密度の向上が難しくなる。そのため、例えばW2はW1以下であることが好ましい。また0.1mm以上1mm以下が好ましく、0.25mm以上0.45mm以下がより好ましい。
なお、負極活物質層106aおよび負極集電体105aの凹凸の形状は、図3で示した形状に限らない。例えば、図4(A)に示すように、凹部が四角柱に近い形状であってもよい。
さらに、図3、図4(A)では、負極集電体105aの片方の面に負極活物質層106aが形成されている例について説明したが、例えば図4(B)に示すように、負極集電体105aの両方の面に負極活物質層106aが形成されていてもよい。負極集電体105の両方の面に負極活物質層106aが形成されることで、二次電池の容量を大きくすることができる。
なお負極集電体105aの両方の面に負極活物質層106aを形成する場合は、図4(B)に示すように、一方の面の負極活物質層106aの凹凸と、他方の面の負極活物質層106aの凹凸が重畳しないことが好ましい。両面で凹凸が重畳すると、負極集電体105aの強度が落ちる恐れがあるためである。
さらに、凹凸を形成するパターンは、図3で示した形状に限らない。例えば負極活物質層106aおよび負極集電体105aの凹凸は、負極集電体105の長辺に平行に形成してもよい。また、図4(C1)の負極115bに図示するように、格子状に形成してもよい。また図4(C2)の負極115c図示するように、六角形が連続した形状に形成してもよい。また図4(C3)の負極115dに図示するように、同心円状に形成してもよい。
[3.作製方法]
以下に、図5を用いて負極活物質および負極115の作製方法について説明する。
まず、負極集電体105を用意する。
次に、負極活物質層116の材料として、負極活物質の材料、バインダおよび導電助剤を用意する。負極活物質の材料には、ケイ素を含む粒子を用いる。ここでは、負極活物質の材料として、炭素で被覆された一酸化ケイ素(SiO)の粒子を用意することとする。またバインダとしてポリイミド、導電助剤としてアセチレンブラックを用いることとする。
これらの材料を混合し、負極活物質層116として負極集電体105上に塗工する。
次に、負極活物質層116および負極集電体105を所望の形状に加工し、電極135を作製する(図5(A))。
ここで、電極処理装置200について説明する。電極処理装置200は、容器207の中に、リチウム201、セパレータ203および電解液204を有する。また電極処理装置200は、電圧印加装置210を有し、電圧印加装置210は端子211aおよび端子211bを有する。端子211aおよび端子211bを介して、電極135およびリチウム201を、電極処理装置200に電気的に接続することができる。
次に、電極135を上記の電極処理装置200に配置し、電極135およびリチウム201を、電解液204と接触させる。さらにリチウム201を、電圧印加装置210の端子211aと電気的に接続する。また負極集電体105を、電圧印加装置210の端子211bと電気的に接続する(図5(B))。
次に、電圧印加装置210を用いて、電極135とリチウム201の間に電圧を印加する。印加する電圧は、メタケイ酸リチウムが形成され、合金化LixSiが形成されない電圧とする。そのため、印加電圧は、リチウム基準で0.25V以上0.65V以下が好ましく、0.3V以上0.6V以下がより好ましい。なかでも0.4V程度で電圧を印加すると、メタケイ酸リチウムの形成のされやすさと、リチウム挿入速度とのバランスがよく好ましい。
電極135とリチウム201の間に電圧を印加することで、電極135が有するSiOの粒子中にリチウムが挿入され、ケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムが形成される。リチウムの挿入量は、例えば電荷量にして、SiOの重量あたり600mAh/gとすることができる。
上記の工程で、本発明の一態様の負極活物質である、ケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムの混合物である粒子を作製することができる。また、該負極活物質を有する負極活物質層106および負極115を作製することができる(図5(C))。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、様々な二次電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、一次電池、キャパシタ、または、リチウムイオンキャパシタ、などに適用してもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、リチウムイオン二次電池に適用しなくてもよい。例えば、本発明の一態様として、負極活物質がケイ素、メタケイ酸リチウムおよび酸化リチウムを有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様の負極活物質は、ケイ素、メタケイ酸リチウムまたは酸化リチウムを有していなくてもよい。例えば、本発明の一態様として、負極集電体または負極活物質層が、凹凸を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、負極集電体または負極活物質層以外のものにおいて、凹凸を有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、負極集電体または負極活物質層は、凹凸以外の形状を有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、負極集電体または負極活物質層は、凹凸を有していなくてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図6を用いて、本発明の一態様の二次電池に用いることのできる材料の詳細について説明する。
[1.正極]
正極111は、正極集電体101と、正極集電体101上に形成された正極活物質層102などにより構成される。
正極集電体101には、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性が高く、正極の電位で溶出しない材料を用いることができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体101は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。正極集電体101は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。また、正極集電体101の表面に、グラファイトなどを用いてアンダーコート層を設けてもよい。
正極活物質層102は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(バインダ)、正極活物質層102の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
正極活物質層102に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を用いる。
特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であること、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMO2(0<x<1))(M=Co、Al等))を混合すると、これを用いた二次電池の特性を向上させることができ好ましい。
また、正極活物質として、組成式LiaMnbMcOdで表すことができるリチウムマンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外から選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであることがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン、リン等の組成は、例えばICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定することができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばEDX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP−MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくともリチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このようなリチウムマンガン複合酸化物とするために、組成式がLiaMnbNicOd(1.6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3)の範囲とすることが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等において、Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3の組成式であらわされるリチウムマンガン複合酸化物とは、原料材料の量の割合(モル比)を、Li2CO3:MnCO3:NiO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表されるが、この組成からずれることもある。
結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物の粒子の断面図の例を図6に示す。
図6(A)に示すように、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物は、第1の領域331と、第2の領域332と、第3の領域333を有することが好ましい。第2の領域は、第1の領域の外側の少なくとも一部に接する。ここで、外側とは、粒子の表面により近いことを示す。また、第3の領域は、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子の、表面と一致する領域を有することが好ましい。
また、図6(B)に示すように、第1の領域331は、第2の領域332に覆われない領域を有してもよい。また、第2の領域332は、第3の領域333に覆われない領域を有してもよい。また、例えば第1の領域331に第3の領域333が接する領域を有してもよい。また、第1の領域331は、第2の領域332および第3の領域333のいずれにも覆われない領域を有してもよい。
第2の領域は、第1の領域と異なる組成を有することが好ましい。
例えば、第1の領域と第2の領域の組成を分けて測定し、第1の領域がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、第2の領域がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、第1の領域のマンガン、元素M、および酸素の原子数比はa1:b1:c1:d1で表され、第2の領域のマンガン、元素M、および酸素の原子数比はa1:b2:c2:d2で表される場合について説明する。なお、第1の領域と第2の領域のそれぞれの組成は、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)を用いたEDX(エネルギー分散型X線分析法)で測定することができる。EDXで測定を行った場合は、リチウムは組成までは測定が難しいため、第1の領域と第2の領域の組成の違いは、リチウム以外の元素について述べる。ここで、d1/(b1+c1)は2.2以上が好ましく、2.3以上であることがより好ましく、2.35以上3以下であることがさらに好ましい。また、d2/(b2+c2)は2.2未満であることが好ましく、2.1未満であることがより好ましく、1.1以上1.9以下であることがさらに好ましい。またこの場合でも、第1の領域と第2の領域を含むリチウムマンガン複合酸化物粒子全体の組成は、前述の0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。
また、第2の領域が有するマンガンは、第1の領域が有するマンガンと異なる価数を有してもよい。また、第2の領域が有する元素Mは、第1の領域が有する元素Mと異なる価数を有してもよい。
より具体的には、第1の領域331は、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。また第2の領域332は、スピネル型の結晶構造を有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。
ここで、各領域の組成や、元素の価数に空間的な分布がある場合には、例えば複数の箇所についてその組成や価数を評価し、その平均値を算出し、該領域の組成や価数としてもよい。
また、第2の領域と第1の領域との間に、遷移層を有してもよい。ここで遷移層とは、例えば組成が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶構造が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは、結晶の格子定数が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、第2の領域と第1の領域との間に、混合層を有してもよい。ここで混合層とは、例えば異なる結晶方位を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる結晶構造を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例えば異なる組成を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。
第3の領域には、炭素または金属化合物を用いることができる。ここで、金属としては例えばコバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、亜鉛、リチウム等が挙げられる。金属化合物の一例として、第3の領域はこれらの金属との酸化物や、フッ化物などを有してもよい。
第3の領域は、上記の中でも、炭素を有することが特に好ましい。炭素は導電性が高いため、炭素で被覆された粒子を蓄電池の電極に用いることにより、例えば電極の抵抗を低くすることができる。また、第3の領域が炭素を有することで、第3の領域と接する第2の領域を酸化することができる。また、第3の領域はグラフェンを有してもよく、酸化グラフェンを有してもよく、還元した酸化グラフェンを有してもよい。グラフェンおよび還元された酸化グラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、および柔軟性並びに機械的強度が高いという優れた物理特性を有する。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子を効率よく被覆することができる。
第3の領域が、グラフェンをはじめとする炭素を有することで、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた二次電池の、サイクル特性を向上させることができる。
炭素を含む層の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。
また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。また比表面積が5m2/g以上15m2/g以下であることが好ましい。また、二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察、またはレーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法により測定することができる。
該リチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いた正極と、実施の形態1で説明した負極と、を組み合わせることにより、きわめて高容量の二次電池とすることができる。
または、正極活物質として、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
または、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。例えば、NaFeO2や、Na2/3[Fe1/2Mn1/2]O2などのナトリウム含有層状酸化物を正極活物質として用いることができる。
なお、図示しないが、正極活物質層102の表面に炭素層などの導電性材料を設けてもよい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。例えば、正極活物質層102への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合することで形成することができる。
粒状の正極活物質層102の一次粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下のものを用いるとよい。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤に用いることのできる材料は、負極活物質層106に用いることのできる導電助剤の記載を参酌することができる。
本発明の一態様の二次電池に用いる電極は様々な方法で作製することができる。例えば、塗布法を用いて集電体上に活物質層を形成する場合は、活物質とバインダと導電助剤と分散媒(溶媒ともいう)を混合してペーストを作製し、集電体上にペーストを塗布して、分散媒を気化させればよい。その後、必要があれば、ロールプレス法や平板プレス法等の圧縮方法によりプレスして圧密化してもよい。
分散媒としては、例えば、水や、N−メチルピロリドン(NMP)やジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶媒等を用いることができる。安全性とコストの観点から、水を用いることが好ましい。
バインダとしては、例えば水溶性の高分子を含むことが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。
また、バインダとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。これらのゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
バインダは上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質層102の総量に対するバインダの含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。また、正極活物質層102の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
塗布法を用いて正極活物質層102を形成する場合は、正極活物質とバインダと導電助剤を混合して正極ペースト(スラリー)を作製し、正極集電体101上に塗布して乾燥させればよい。
[2.負極]
負極115には、実施の形態1で説明した負極を用いる。
なお、実施の形態1で説明した負極115の負極活物質層106の表面に、酸化物等の被膜を形成してもよい。充電時において電解液の分解等により形成される被膜は、その形成時に消費された電荷量を放出することができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜をあらかじめ負極活物質層106の表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することができる。
このような負極活物質層106を被覆する被膜には、ニオブ、チタン、バナジウム、タンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含む酸化膜を用いることができる。このような被膜は、従来の電解液の分解生成物により負極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
例えば、酸化ニオブ(Nb2O5)は、電気伝導度が10−9S/cmと低く、高い絶縁性を示す。このため、酸化ニオブ膜は負極活物質と電解液との電気化学的な分解反応を阻害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10−9cm2/secであり、高いリチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能である。また、酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いてもよい。
負極活物質層106を被覆する被膜の形成には、例えばゾル−ゲル法を用いることができる。ゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応・重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法である。ゾル−ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に混合することができる。このため、溶媒の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、負極活物質層106の表面に被膜を形成することができる。当該被膜を用いることで、蓄電体の容量の低下を防止することができる。
[3.セパレータ]
二次電池100に用いるセパレータ103および電極処理装置に用いるセパレータ203を形成するための材料として、セルロースや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等の多孔性絶縁体を用いることができる。また、ガラス繊維等の不織布や、ガラス繊維と高分子繊維を複合した隔膜を用いてもよい。また、耐熱性を高めるために、ポリエステル不織布に、セラミック塗布やアラミドのコーティングを行ったセパレータを用いてもよい。
[4.電解液]
二次電池100に用いる電解液104、および電極処理装置に用いる電解液204の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、蓄電体の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、二次電池に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。また、電解液にビニレンカーボネートなどの添加剤を加えてもよい。
[5.外装体]
二次電池の構造としては、様々な構造があるが、本実施の形態では、外装体107の形成にフィルムを用いる。なお、外装体107を形成するためのフィルムは金属フィルム(アルミニウム、ステンレス、ニッケル鋼など)、有機材料からなるプラスチックフィルム、有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブリッド材料フィルム、炭素含有無機フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルムなど)から選ばれる単層フィルムまたはこれら複数からなる積層フィルムを用いる。金属フィルムは、エンボス加工を行いやすく、エンボス加工を行って凹部または凸部を形成すると外気に触れる外装体107の表面積が増大するため、放熱効果に優れている。
また、外部から力を加えて二次電池100の形状を変化させた場合、二次電池100の外装体107に外部から曲げ応力が加わり、外装体107の一部が変形または一部破壊が生じる恐れがある。外装体107に凹部または凸部を形成することにより、外装体107に加えられた応力によって生じるひずみを緩和することができる。よって、二次電池100の信頼性を高めることができる。なお、ひずみとは物体の基準(初期状態)長さに対する物体内の物質点の変位を示す変形の尺度である。外装体107に凹部または凸部を形成することにより、二次電池の外部から力を加えて生じるひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる。よって、信頼性の良い二次電池を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した負極を有する、本発明の一態様の二次電池の構成の例について、図7乃至14を用いて、説明する。
〈曲がる電池1〉図7(A)、(B)および(C)に二次電池100の構成の例を示す。図7(A)は二次電池100の斜視図、図7(B)は二次電池100の上面図である。図7(C)は、図7(A)および図7(B)の一点破線A1−A2における断面図である。
図7に示す二次電池100は、複数の正極111、複数の正極111と電気的に接続された正極リード121、複数の負極115、複数の負極115と電気的に接続された負極リード125を有する。また、正極111はそれぞれ、セパレータ103で覆われている。また二次電池100は、複数の正極111、複数の負極115および複数のセパレータ103を覆う外装体107を有する。また、正極リード121および負極リード125は、封止層120を有する。また二次電池100は、外装体107で覆われた領域に、電解液104を有する。
また図示するように、二次電池100は単軸方向に湾曲した二次電池である。
なお、図1の二次電池100は、正極集電体101の片面に正極活物質層102が形成された正極111を3枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106が形成された負極115を3枚有している。これらの電極を、正極活物質層102と負極活物質層106が、セパレータ103を介して対向するように配置する。また、負極115の負極活物質層106が形成されていない面同士が接するように配置する。
このような配置とすることで、負極115の負極活物質層106を有さない面同士という、金属同士の接触面をつくることができる。金属同士の接触面は、活物質層とセパレータ103との接触面と比較して摩擦係数を小さくすることができる。
そのため、正極111および負極115を湾曲したとき、負極115の負極活物質層106を有さない面同士が滑ることで、湾曲の内径と外径の差により生じる応力を逃がすことができる。そのため、正極111および負極115の劣化を抑制することができる。また、信頼性の高い二次電池100とすることができる。
なお、正極111および負極115を、1枚または2枚ずつ積層した二次電池100としてもよい。積層数を減らすことで、より薄く、湾曲しやすい二次電池100とすることができる。また正極111および負極115を、それぞれ4枚以上積層してもよい。積層数を増やすことで、二次電池100の容量を大きくすることができる。
また、図1の二次電池100ではセパレータ103が正極111を覆う例について説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。セパレータ103が負極115を覆う構成としてもよい。またセパレータ103は、正極活物質層102および負極活物質層106の間に設けられればよいため、正極111または負極115を覆わない構成としてもよい。
また、二次電池100が有する電極(正極111および負極115)は、湾曲の内径側に位置するものより、外径側に位置するものの方が、湾曲の軸方向について長いことが好ましい。このような構成とすることで、図7(C)に示すように、二次電池100をある曲率で湾曲させた際、正極111および負極115の端部をそろえることができる。すなわち、正極111が有する正極活物質層102のすべての領域を、負極115の有する負極活物質層106と対向して配置することができる。そのため正極111が有する正極活物質を無駄なく電池反応に寄与させることができる。そのため、二次電池100の体積当たりの容量を大きくすることができる。この構成は、二次電池100を使用する際に二次電池100の曲率が固定される場合に特に有効である。
〈曲がる電池2〉図8に、図7と異なる二次電池100aを示す。図8(A)は二次電池100aの斜視図、図8(B)は二次電池100aの上面図である。図8(C)は、図8(B)における一点破線B1−B2における断面図である。
図9の二次電池100aは、正極リード121および負極リード125の位置、および正極111、負極115およびセパレータ103の形状が、図7の二次電池100と異なる。
図9の二次電池100aでは、正極リード121および負極リード125が、それぞれ外装体107の対向する辺から引き出されている。また、正極リード121および負極リード125を結んだ線は、二次電池100aの湾曲の軸と平行にならない。このような構成とすることで、正極リード121および負極リード125と電気的に接続される、正極111のタブ部分および負極115のタブ部分を、湾曲の影響の比較的少ない箇所に設けることができる。正極111のタブおよび負極115のタブは、細く伸びた形状であり、また活物質が形成された電極部に比べて薄く、繰り返しの湾曲に弱くなりがちである。正極111のタブおよび負極115のタブを、湾曲の影響の少ない箇所に設けることで、より信頼性の高い二次電池100aとすることができる。
二次電池100aの、正極リード121および負極リード125の位置、および正極111、負極115およびセパレータ103の形状以外の構成は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池3〉図9(A)に、図8と異なる二次電池100bの上面図を示す。
図9(A)の二次電池100bは、正極111、負極115、セパレータ103および外装体107の形状が図9の二次電池100aと異なる。図9(A)の二次電池100bの正極111、負極115、セパレータ103および外装体107は、湾曲の軸の方向よりも、正極111のタブ部分と負極115のタブ部分を結ぶ方向の方が長い。このような構造の二次電池100bとしても、正極111のタブおよび負極115のタブを、湾曲の影響が比較的少ない箇所に設けることができる。
二次電池100bの、正極111、負極115、セパレータ103および外装体107の形状、正極リード121および負極リード125の位置形状以外の構成は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池4〉図9(B1)および図9(B2)に、図8と異なる二次電池100cを示す。図9(B1)は二次電池100cの上面図である。図9(B2)は、図9(B1)の一点破線C1−C2における断面図である。
図9(B1)および図9(B2)の二次電池100cは、正極111、負極115、セパレータ103および外装体107に、複数の穴221を有する。図9(B1)および図9(B2)に示す二次電池100cは、穴221を有する構成であるため、穴が必要な電子デバイス、例えば腕時計型デバイスのバンド部分にも配置することができる。そのため二次電池100cの容量を大きくすることができる。
二次電池100cの、正極111、負極115、セパレータ103および外装体107の形状、正極リード121および負極リード125の位置形状以外の構成は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池5〉図10に、図8と異なる二次電池100dを示す。図10(A)は二次電池100dの斜視図、図10(B)は二次電池100dの上面図である。図10(C)は、図10(B)の一点破線D1−D2における断面図である。なお、図10(C)では図を明瞭にするため、正極111、負極115、セパレータ103、正極リード121、負極リード125、および封止層120を抜粋して示す。
図10に示す二次電池100dは、外装体107の3辺を接着することで封止している点で、図7の二次電池100と異なる。また正極リード121および負極リード125の位置、および正極111、負極115およびセパレータ103の形状も、図7の二次電池100と異なる。なお、正極リード121および負極リード125の位置、および正極111、負極115およびセパレータ103の形状以外の構成については、図7についての記載を参酌することができる。
ここで図11を用いて、図10に示す二次電池100dの作製方法の一部について説明する。
まずセパレータ103上に、負極115を配置する(図11(A))。このとき、負極115が有する負極活物質層が、セパレータ103と重畳するように配置する。
次に、セパレータ103を折り曲げ、負極113の上にセパレータ103を重ねる。次に、セパレータ103の上に、正極111を重ねる(図11(B))。このとき、正極111が有する正極活物質層102が、セパレータ103および負極活物質層106と重畳するように配置する。なお、集電体の片面に活物質層が形成されている電極を用いる場合は、正極111の正極活物質層102と、負極115の負極活物質層106がセパレータ103を介して対向するように配置する。
セパレータ103にポリプロピレン等の熱溶着が可能な材料を用いている場合は、セパレータ103同士が重畳している領域を熱溶着してから次の電極を重ねることで、作製工程中に電極がずれることを抑制できる。具体的には、負極115または正極111と重畳しておらず、セパレータ103同士が重畳している領域、たとえば図11(B)の領域103aで示す領域を熱溶着することが好ましい。
この工程を繰り返すことで、図11(C)に示すように、セパレータ103を挟んで正極111および負極115を積み重ねることができる。
なお、あらかじめ繰り返し折り曲げたセパレータ103に、複数の負極115および複数の正極111を交互に挟むように配置してもよい。
次に、図11(C)に示すように、セパレータ103で複数の正極111および複数の負極115を覆う。
さらに、図11(D)に示すように、セパレータ103同士が重畳している領域、例えば図11(D)に示す領域103bを熱溶着することで、複数の正極111と複数の負極115を、セパレータ103によって覆い、結束する。
なお、複数の正極111、複数の負極115およびセパレータ103を、結束材を用いて結束してもよい。
このような工程で正極111および負極115を積み重ねるため、セパレータ103は、1枚のセパレータ103の中で、複数の正極111と複数の負極115に挟まれている領域と、複数の正極111と複数の負極115を覆うように配置されている領域とを有する。
換言すれば、図11の二次電池100dが有するセパレータ103は、一部が折りたたまれた1枚のセパレータである。セパレータ103の折りたたまれた領域に、複数の正極111と、複数の負極115が挟まれている。
二次電池100dの、外装体107の接着領域、および正極111、負極115、セパレータ103および外装体107の形状、正極リード121および負極リード125の位置形状以外の構成は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池6〉図12に、図10と異なる二次電池100eを示す。図12(A)は二次電池100eの斜視図、図12(B)は二次電池100eの上面図である。図12(C1)は第1の電極組立体130、図12(C2)は第2の電極組立体131の断面図である。図12(D)は、図12(B)の一点破線E1−E2における断面図である。なお、図12(D)では図を明瞭にするため、第1の電極組立体130、電極組立体131およびセパレータ103を抜粋して示す。
図12に示す二次電池100eは、正極111と負極115の配置、およびセパレータ103の配置が図11の二次電池100dと異なる。
図12(D)に示すように、二次電池100eは、複数の第1の電極組立体130および複数の電極組立体131を有する。
図12(C1)に示すように、第1の電極組立体130では、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111a、セパレータ103、負極集電体105の両面に負極活物質層106を有する負極115a、セパレータ103、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111aがこの順に積層されている。また図12(C2)に示すように、第2の電極組立体131では、負極集電体105の両面に負極活物質層106を有する負極115a、セパレータ103、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111a、セパレータ103、負極集電体105の両面に負極活物質層106を有する負極115aがこの順に積層されている。
さらに図12(D)に示すように、複数の第1の電極組立体130および複数の電極組立体131は、巻回したセパレータ103によって覆われている。
ここで図13を用いて、図12に示す二次電池100eの作製方法の一部について説明する。
まずセパレータ103上に、第1の電極組立体130を配置する(図13(A))。
次に、セパレータ103を折り曲げ、第1の電極組立体130の上にセパレータ103を重ねる。次に、第1の電極組立体130の上下に、セパレータ103を介して、2組の第2の電極組立体131を重ねる(図13(B))。
次に、セパレータ103を、2組の第2の電極組立体131を覆うように巻回させる。さらに、2組の第2の電極組立体131の上下に、セパレータ103を介して、2組の第1の電極組立体130を重ねる(図13(C))。
次に、セパレータ103を、2組の第1の電極組立体130を覆うように巻回させる(図13(D))。
このような工程で複数の第1の電極組立体130および複数の電極組立体131を積み重ねるため、これらの電極組立体は、渦巻き状に巻回されたセパレータ103の間に配置される。
なお、最も外側に配置される電極組立体130の正極111aは、外側には正極活物質層102を設けないことが好ましい。
また図12(C1)および(C2)では、それぞれの電極組立体が電極3枚とセパレータ2枚を有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。電極を4枚以上、セパレータを3枚以上有する構成としてもよい。電極を増やすことで、二次電池100eの容量をより向上させることができる。また電極を2枚、セパレータを1枚有する構成としてもよい。電極が少ない場合、繰り返しの湾曲をした場合でも不良の起きにくい二次電池100eとすることができる。また図12(D)では、二次電池100eが第1の電極組立体130を3組、第2の電極組立体を2組有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。さらに多くの電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体を増やすことで、二次電池100eの容量をより向上させることができる。またより少ない電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体が少ない場合、繰り返しの湾曲をした場合でも不良の起きにくい二次電池100eとすることができる。
二次電池100eの、正極111と負極115の配置、およびセパレータ103の配置の他は、図10についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池7〉図14(A)に、図7と異なる正極111と負極115およびこれら積層の例を示す。図14(A)では、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111aを2枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106を有する負極115を4枚積層している。図14(A)のような構成としても、負極115の負極活物質層106を有さない面同士という、金属同士の接触面をつくることができる。同時に、正極集電体101の両面に活物質層を設けることで、二次電池100の単位体積あたりの容量を大きくすることができる。
正極111aと負極115およびこれら積層順の他は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池8〉図14(B)に、図7と異なる正極111aと負極115aおよびこれら積層の例を示す。図14(B)では、正極集電体101の両面に正極活物質層102を有する正極111aを2枚、負極集電体105の片面に負極活物質層106を有する負極115を2枚、負極集電体105の両面に負極活物質層を有する負極115aを1枚積層している。図14(B)のように集電体の両面に活物質層を設けることで、二次電池100の単位体積あたりの容量を大きくすることができる。
正極111a、負極115、負極115aおよびこれら積層順の他は、図7についての記載を参酌することができる。
〈曲がる電池9〉図14(C)に、図7と異なる正極111と負極115およびこれら積層の例を示す。図14(C)では、電解液104としてポリマーを有する電解液を用い、一組の正極111、負極115、セパレータ103を電解液104で貼りあわせている。このような構成とすることで、二次電池100を湾曲したとき、電池反応が行われる正極111と負極115の間が滑ることを抑制できる。
また、正極111の正極活物質層102を有さない面同士、および負極115の負極活物質層106を有さない面同士という、金属同士の接触面の数を多くすることができる。そのため二次電池100を湾曲したとき、これらの接触面がすべることで、湾曲の内径と外径の差により電極に生じる応力を逃がすことができる。
そのため、より二次電池100の劣化を抑制することができる。また、より信頼性の高い二次電池100とすることができる。
図14(C)の例で電解液104が有するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド系、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系ポリマーを用いることができる。また、常温(例えば25℃)で電解液104をゲル化できるポリマーを用いることが好ましい。なお本明細書等において、例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーとは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むポリマーを意味し、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体等を含む。
なおFT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)等を用いることで、上記のポリマーを定性分析することができる。例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C−F結合を示す吸収を有する。またポリアクリロニトリル系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C≡N結合を示す吸収を有する。
なお正極111と負極115およびこれら積層順の他は、図7についての記載を参酌することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。また本実施の形態の二次電池の構成例は、他の構成例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した負極を有する、本発明に係る二次電池の構成の他の例について、図15乃至図20を用いて説明する。
〈円筒型二次電池〉まず二次電池の他の例として、円筒型の二次電池を示す。円筒型の二次電池について、図15を参照して説明する。円筒型の二次電池600は図15(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図15(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで巻回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に巻回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが巻回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、先の実施の形態の二次電池と同様のものを用いることができる。
正極604及び負極606は、先の実施の形態で述べた薄型の二次電池の正極及び負極と同様に作製すればよい。また、円筒型の二次電池に用いる正極及び負極は巻回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の内底にそれぞれ溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
なお、図15では、二次電池として、円筒型の二次電池を示したが、その他の封止型二次電池、角型二次電池等様々な形状の二次電池を用いることができる。また、正極、負極、及びセパレータが複数積層された構造、正極、負極、及びセパレータが巻回された構造であってもよい。他の二次電池の例を図16乃至図20に示す。
〈二次電池の構成例〉図16および図17に、薄型の二次電池の構成例を示す。図16(A)に示す回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。
回体993は、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを回したものである。この回体993を角型の封止容器などで囲むことにより角型の二次電池が作製される。
なお、負極994、正極995及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997及びリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997及びリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
図16(B)及び図16(C)に示す二次電池990は、外装体となるフィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した回体993を収納したものである。回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981及び凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する二次電池を作製することが
きる。
また、図16(B)及び図16(C)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した回体993を収納してもよい。
また、二次電池の外装体や、封止容器を樹脂材料などにすることによって可撓性を有する二次電池を作製することができる。ただし、外装体や、封止容器を樹脂材料にする場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
例えば、可撓性を有する別の薄型二次電池の例を図17に示す。図17(A)の回体993は、図16(A)に示したものと同一であるため、詳細な説明は省略することとする。
図17(B)及び図17(C)に示す二次電池990は、外装体991で回体993を囲んだものである。回体993は、リード電極997及びリード電極998を有し、外装体991、992に囲まれた領域で電解液に含浸される。外装体991、992は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体991、992の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときに外装体991、992を変形させることができ、可撓性を有する薄型二次電池を作製することができる。
〈蓄電システムの構造例〉また、蓄電システムの構造例について、図18、図19、および図20を用いて説明する。ここで蓄電システムとは、例えば、二次電池を搭載した機器を指す。
図18(A)及び図18(B)は、蓄電システムの外観図を示す図である。蓄電システムは、回路基板900と、二次電池913と、を有する。二次電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図18(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電システムは、アンテナ914及びアンテナ915と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、蓄電システムの構造は、図18に限定されない。
例えば、図19(A−1)及び図19(A−2)に示すように、図18(A)及び図18(B)に示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図19(A−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図19(A−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図19(A−1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図19(A−2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。
又は、図19(B−1)及び図19(B−2)に示すように、図18(A)及び図18(B)に示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図19(B−1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図19(B−2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
図19(B−1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914及びアンテナ915が設けられ、図19(A−2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図20(A)に示すように、図18(A)及び図18(B)に示す二次電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
又は、図20(B)に示すように、図18(A)及び図18(B)に示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図18(A)及び図18(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
本実施の形態で示す二次電池や蓄電システムには、本発明の一態様に係る電極が用いられている。そのため、二次電池や蓄電システムの容量を大きくすることができる。また、エネルギー密度を高めることができる。また、信頼性を高めることができる。また、寿命を長くすることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池と組み合わせて用いることができる電池制御ユニット(Battery Management Unit:BMU)、及び該電池制御ユニットを構成する回路に適したトランジスタについて、図21乃至図27を参照して説明する。本実施の形態では、特に直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットについて説明する。
直列に接続された複数の電池セルに対して充放電を繰り返していくと、電池セル間の特性のばらつきに応じて、容量(出力電圧)が異なってくる。直列に接続された電池セルでは、全体の放電時の容量が、容量の小さい電池セルに依存する。容量にばらつきがあると放電時の容量が小さくなる。また、容量が小さい電池セルを基準にして充電を行うと、充電不足となる虞がある。また、容量の大きい電池セルを基準にして充電を行うと、過充電となる虞がある。
そのため、直列に接続された電池セルを有する蓄電装置の電池制御ユニットは、充電不足や、過充電の原因となる、電池セル間の容量のばらつきを揃える機能を有する。電池セル間の容量のばらつきを揃える回路構成には、抵抗方式、キャパシタ方式、あるいはインダクタ方式等あるが、ここではオフ電流の小さいトランジスタを利用して容量のばらつきを揃えることのできる回路構成を一例として挙げて説明する。
オフ電流の小さいトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)が好ましい。オフ電流の小さいOSトランジスタを蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成に用いることで、電池から漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。
チャネル形成領域に用いる酸化物半導体は、In−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、またはNd)を用いる。酸化物半導体膜を成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z1/y1を1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
ここで、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
なお、OSトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)に比べてバンドギャップが大きいため、高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。直列に電池セルを接続する場合、数100Vの電圧が生じることになるが、このような電池セルに適用される蓄電装置の電池制御ユニットの回路構成には、前述のOSトランジスタで構成することが適している。
図21には、蓄電装置のブロック図の一例を示す。図21に示す蓄電装置BT00は、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07と、直列に接続された複数の電池セルBT09を含む電池部BT08と、を有する。
また、図21の蓄電装置BT00において、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される部分を、電池制御ユニットと呼ぶことができる。
切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の動作を制御する。具体的には、切り替え制御回路BT03は、電池セルBT09毎に測定された電圧に基づいて、放電する電池セル(放電電池セル群)、及び充電する電池セル(充電電池セル群)を決定する。
さらに、切り替え制御回路BT03は、当該決定された放電電池セル群及び充電電池セル群に基づいて、制御信号S1及び制御信号S2を出力する。制御信号S1は、切り替え回路BT04へ出力される。この制御信号S1は、端子対BT01と放電電池セル群とを接続させるように切り替え回路BT04を制御する信号である。また、制御信号S2は、切り替え回路BT05へ出力される。この制御信号S2は、端子対BT02と充電電池セル群とを接続させるように切り替え回路BT05を制御する信号である。
また、切り替え制御回路BT03は、切り替え回路BT04、切り替え回路BT05、及び変圧回路BT07の構成を踏まえ、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士が接続されるように、制御信号S1及び制御信号S2を生成する。
切り替え制御回路BT03の動作の詳細について述べる。
まず、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09毎の電圧を測定する。そして、切り替え制御回路BT03は、例えば、所定の閾値以上の電圧の電池セルBT09を高電圧の電池セル(高電圧セル)、所定の閾値未満の電圧の電池セルBT09を低電圧の電池セル(定電圧セル)と判断する。
なお、高電圧セル及び低電圧セルを判断する方法については、様々な方法を用いることができる。例えば、切り替え制御回路BT03は、複数の電池セルBT09の中で、最も電圧の高い、又は最も電圧の低い電池セルBT09の電圧を基準として、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判断してもよい。この場合、切り替え制御回路BT03は、各電池セルBT09の電圧が基準となる電圧に対して所定の割合以上か否かを判定する等して、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判断することができる。そして、切り替え制御回路BT03は、この判断結果に基づいて、放電電池セル群と充電電池セル群とを決定する。
なお、複数の電池セルBT09の中には、高電圧セルと低電圧セルが様々な状態で混在し得る。例えば、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルと低電圧セルが混在する中で、高電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を放電電池セル群とする。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルが最も多く連続して直列に接続された部分を充電電池セル群とする。また、切り替え制御回路BT03は、過充電又は過放電に近い電池セルBT09を、放電電池セル群又は充電電池セル群として優先的に選択するようにしてもよい。
ここで、本実施形態における切り替え制御回路BT03の動作例を、図22を用いて説明する。図22は、切り替え制御回路BT03の動作例を説明するための図である。なお、説明の便宜上、図22では4個の電池セルBT09が直列に接続されている場合を例に説明する。
まず、図22(A)の例では、電池セルa乃至dの電圧を電圧Va乃至電圧Vdとすると、Va=Vb=Vc>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、連続する3つの高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルDを充電電池セル群として決定する。
次に、図22(B)の例では、Vc>Vb=Vc>>Vdの関係にある場合を示している。つまり、連続する2つの低電圧セルa、bと、1つの高電圧セルcと、1つの過放電間近の低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルcを放電電池セル群として決定する。また、切り替え制御回路BT03は、低電圧セルdが過放電間近であるため、連続する2つの低電圧セルa及びbではなく、低電圧セルdを充電電池セル群として優先的に決定する。
最後に、図22(C)の例では、Va>Vb=Vc=Vdの関係にある場合を示している。つまり、1つの高電圧セルaと、連続する3つの低電圧セルb乃至dとが直列に接続されている。この場合、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルaを放電電池セル群と決定する。また、切り替え制御回路BT03は、連続する3つの低電圧セルb乃至dを充電電池セル群として決定する。
切り替え制御回路BT03は、上記図22(A)乃至(C)の例のように決定された結果に基づいて、切り替え回路BT04の接続先である放電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S1と、切り替え回路BT05の接続先である充電電池セル群を示す情報が設定された制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05に対してそれぞれ出力する。
以上が、切り替え制御回路BT03の動作の詳細に関する説明である。
切り替え回路BT04は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S1に応じて、端子対BT01の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された放電電池セル群に設定する。
端子対BT01は、対を成す端子A1及びA2により構成される。切り替え回路BT04は、この端子A1及びA2のうち、いずれか一方を放電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を放電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子対BT01の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT04は、制御信号S1に設定された情報を用いて放電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT05は、切り替え制御回路BT03から出力される制御信号S2に応じて、端子対BT02の接続先を、切り替え制御回路BT03により決定された充電電池セル群に設定する。
端子対BT02は、対を成す端子B1及びB2により構成される。切り替え回路BT05は、この端子B1及びB2のうち、いずれか一方を充電電池セル群の中で最も上流(高電位側)に位置する電池セルBT09の正極端子と接続し、他方を充電電池セル群の中で最も下流(低電位側)に位置する電池セルBT09の負極端子と接続することにより、端子対BT02の接続先を設定する。なお、切り替え回路BT05は、制御信号S2に設定された情報を用いて充電電池セル群の位置を認識することができる。
切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例を示す回路図を図23及び図24に示す。
図23では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10と、バスBT11及びBT12とを有する。バスBT11は、端子A1と接続されている。また、バスBT12は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バスBT11及びBT12と接続されている。また、複数のトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタBT10のうち、最上流に位置するトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT10のうち、最下流に位置するトランジスタBT10のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S1に応じて、バスBT11に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つと、バスBT12に接続される複数のトランジスタBT10のうちの1つとをそれぞれ導通状態にすることにより、放電電池セル群と端子対BT01とを接続する。これにより、放電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子は、端子対の端子A1又はA2のいずれか一方と接続される。また、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子は、端子対の端子A1又はA2のいずれか他方、すなわち正極端子と接続されていない方の端子に接続される。
トランジスタBT10には、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、放電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、放電電池セル群の出力電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタBT10が接続された電池セルBT09と端子対BT01とを絶縁状態とすることができる。
また、図23では、切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT13と、電流制御スイッチBT14と、バスBT15と、バスBT16とを有する。バスBT15及びBT16は、複数のトランジスタBT13と、電流制御スイッチBT14との間に配置される。複数のトランジスタBT13のソース又はドレインの一方は、それぞれ1つおきに交互に、バスBT15及びBT16と接続されている。また、複数のトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。
なお、複数のトランジスタBT13のうち、最上流に位置するトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタBT13のうち、最下流に位置するトランジスタBT13のソース又はドレインの他方は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
トランジスタBT13には、トランジスタBT10と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。OSトランジスタはオフ電流が小さいため、充電電池セル群に属しない電池セルから漏洩する電荷量を減らし、時間の経過による容量の低下を抑制することができる。またOSトランジスタは高電圧を印加した際の絶縁破壊が生じにくい。そのため、充電電池セル群を充電するための電圧が大きくても、非導通状態とするトランジスタBT13が接続された電池セルBT09と端子対BT02とを絶縁状態とすることができる。
電流制御スイッチBT14は、スイッチ対BT17とスイッチ対BT18とを有する。スイッチ対BT17の一端は、端子B1に接続されている。また、スイッチ対BT17の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバスBT15に接続され、他方のスイッチはバスBT16に接続されている。スイッチ対BT18の一端は、端子B2に接続されている。また、スイッチ対BT18の他端は2つのスイッチで分岐しており、一方のスイッチはバスBT15に接続され、他方のスイッチはバスBT16に接続されている。
スイッチ対BT17及びスイッチ対BT18が有するスイッチは、トランジスタBT10及びトランジスタBT13と同様に、OSトランジスタを用いることが好ましい。
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じて、トランジスタBT13、及び電流制御スイッチBT14のオン/オフ状態の組み合わせを制御することにより、充電電池セル群と端子対BT02とを接続する。
切り替え回路BT05は、一例として、以下のようにして充電電池セル群と端子対BT02とを接続する。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されているトランジスタBT13を導通状態にする。また、切り替え回路BT05は、複数のトランジスタBT10のゲートに与える制御信号S2に応じて、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子に接続されている切り替えスイッチ151を導通状態にする。
端子対BT02に印加される電圧の極性は、端子対BT01と接続される放電電池セル群、及び変圧回路BT07の構成によって変わり得る。また、充電電池セル群を充電する方向に電流を流すためには、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性の端子同士を接続する必要がある。そこで、電流制御スイッチ152は、制御信号S2により、端子対BT02に印加される電圧の極性に応じてスイッチ対BT17及びスイッチ対BT18の接続先をそれぞれ切り替えるように制御される。
一例として、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対BT02に印加されている状態を挙げて説明する。この時、電池部BT08の最下流の電池セルBT09が充電電池セル群である場合、スイッチ対BT17は、制御信号S2により、当該電池セルBT09の正極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対BT17のバスBT16に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対BT17のバスBT15に接続されるスイッチがオフ状態となる。一方、スイッチ対BT18は、制御信号S2により、当該電池セルBT09の負極端子と接続されるように制御される。すなわち、スイッチ対BT18のバスBT15に接続されるスイッチがオン状態となり、スイッチ対BT18のバスBT16に接続されるスイッチがオフ状態となる。このようにして、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対BT02から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
また、電流制御スイッチ152は、切り替え回路BT05ではなく、切り替え回路BT04に含まれていてもよい。この場合、電流制御スイッチBT14、制御信号S1に応じて、端子対BT01に印加される電圧の極性を制御することにより、端子対BT02に印加される電圧の極性を制御する。そして、電流制御スイッチBT14は、端子対BT02から充電電池セル群に流れる電流の向きを制御する。
図24は、図23とは異なる、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05の構成例を示す回路図である。
図24では、切り替え回路BT04は、複数のトランジスタ対BT21と、バスBT24及びバスBT25とを有する。バスBT24は、端子A1と接続されている。また、バスBT25は、端子A2と接続されている。複数のトランジスタ対BT21の一端は、それぞれトランジスタBT22とトランジスタBT23とにより分岐している。トランジスタBT22のソース又はドレインの一方は、バスBT24と接続されている。また、トランジスタBT23のソース又はドレインの一方は、バスBT25と接続されている。また、複数のトランジスタ対の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。なお、複数のトランジスタ対BT21のうち、最上流に位置するトランジスタ対BT21の他端は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT21のうち、最下流に位置するトランジスタ対BT21の他端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT04は、制御信号S1に応じてトランジスタBT22及びトランジスタBT23の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT21の接続先を、端子A1又は端子A2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタBT22が導通状態であれば、トランジスタBT23は非導通状態となり、その接続先は端子A1になる。一方、トランジスタBT23が導通状態であれば、トランジスタBT22は非導通状態となり、その接続先は端子A2になる。トランジスタBT22及びトランジスタBT23のどちらが導通状態になるかは、制御信号S1によって決定される。
端子対BT01と放電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT21が用いられる。詳細には、制御信号S1に基づいて、2つのトランジスタ対BT21の接続先がそれぞれ決定されることにより、放電電池セル群と端子対BT01とが接続される。2つのトランジスタ対BT21のそれぞれの接続先は、一方が端子A1となり、他方が端子A2となるように、制御信号S1によって制御される。
切り替え回路BT05は、複数のトランジスタ対BT31と、バスBT34及びバスBT35とを有する。バスBT34は、端子B1と接続されている。また、バスBT35は、端子B2と接続されている。複数のトランジスタ対BT31の一端は、それぞれトランジスタBT32とトランジスタBT33とにより分岐している。トランジスタBT32により分岐する一端は、バスBT34と接続されている。また、トランジスタBT33により分岐する一端は、バスBT35と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT31の他端は、それぞれ隣接する2つの電池セルBT09の間に接続されている。なお、複数の切り替えスイッチ対154のうち、最上流に位置する切り替えスイッチ対154の他端は、電池部BT08の最上流に位置する電池セルBT09の正極端子と接続されている。また、複数のトランジスタ対BT31のうち、最下流に位置するトランジスタ対BT31の他端は、電池部BT08の最下流に位置する電池セルBT09の負極端子と接続されている。
切り替え回路BT05は、制御信号S2に応じてトランジスタBT32及びトランジスタBT33の導通/非導通状態を切り換えることにより、当該トランジスタ対BT31の接続先を、端子B1又は端子B2のいずれか一方に切り替える。詳細には、トランジスタBT32が導通状態であれば、トランジスタBT33は非導通状態となり、その接続先は端子B1になる。逆に、トランジスタBT33が導通状態であれば、トランジスタBT32は非導通状態となり、その接続先は端子B2になる。トランジスタBT32及びトランジスタBT33のどちらが導通状態となるかは、制御信号S2によって決定される。
端子対BT02と充電電池セル群とを接続するには、2つのトランジスタ対BT31が用いられる。詳細には、制御信号S2に基づいて、2つのトランジスタ対BT31の接続先がそれぞれ決定されることにより、充電電池セル群と端子対BT02とが接続される。2つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、一方が端子B1となり、他方が端子B2となるように、制御信号S2によって制御される。
また、2つのトランジスタ対BT31のそれぞれの接続先は、端子対BT02に印加される電圧の極性によって決定される。具体的には、端子B1が正極、端子B2が負極となるような電圧が端子対BT02に印加されている場合、上流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT32が導通状態となり、トランジスタBT33が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT33が導通状態、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。また、端子B1が負極、端子B2が正極となるような電圧が端子対BT02に印加されている場合は、上流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT33が導通状態となり、トランジスタBT32が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。一方、下流側のトランジスタ対BT31は、トランジスタBT32が導通状態、トランジスタBT33が非導通状態となるように、制御信号S2によって制御される。このようにして、端子対BT02と充電電池セル群との間で、同じ極性をもつ端子同士が接続される。そして、端子対BT02から流れる電流の方向が、充電電池セル群を充電する方向となるように制御される。
変圧制御回路BT06は、変圧回路BT07の動作を制御する。変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数とに基づいて、変圧回路BT07の動作を制御する変圧信号S3を生成し、変圧回路BT07へ出力する。
なお、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数よりも多い場合は、充電電池セル群に対して過剰に大きな充電電圧が印加されることを防止する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池セル群を充電できる範囲で放電電圧(Vdis)を降圧させるように変圧回路BT07を制御する変圧信号S3を出力する。
また、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数以下である場合は、充電電池セル群を充電するために必要な充電電圧を確保する必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、充電電池セル群に過剰な充電電圧が印加されない範囲で放電電圧(Vdis)を昇圧させるように変圧回路BT07を制御する変圧信号S3を出力する。
なお、過剰な充電電圧とする電圧値は、電池部BT08で使用される電池セルBT09の製品仕様等に鑑みて決定することができる。また、変圧回路BT07により昇圧及び降圧された電圧は、充電電圧(Vcha)として端子対BT02に印加される。
ここで、本実施形態における変圧制御回路BT06の動作例を、図25(A)乃至(C)を用いて説明する。図25(A)乃至(C)は、図22(A)乃至(C)で説明した放電電池セル群及び充電電池セル群に対応させた、変圧制御回路BT06の動作例を説明するための概念図である。なお図25(A)乃至(C)は、電池制御ユニットBT41を図示している。電池制御ユニットBT41は、上述したように、端子対BT01と、端子対BT02と、切り替え制御回路BT03と、切り替え回路BT04と、切り替え回路BT05と、変圧制御回路BT06と、変圧回路BT07とにより構成される。
図25(A)に示される例では、図22(A)で説明したように、連続する3つの高電圧セルa乃至cと、1つの低電圧セルdとが直列に接続されている。この場合、図22(A)を用いて説明したように、切り替え制御回路BT03は、高電圧セルa乃至cを放電電池セル群として決定し、低電圧セルdを充電電池セル群として決定する。そして、変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に基づいて、放電電圧(Vdisの昇降圧比Nを算出する。
なお放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数よりも多い場合に、放電電圧を変圧せずに端子対BT02にそのまま印加すると、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09に、端子対BT02を介して過剰な電圧が印加される可能性がある。そのため、図25(A)に示されるような場合では、端子対BT02に印加される充電電圧(Vcha)を、放電電圧よりも降圧させる必要がある。さらに、充電電池セル群を充電するためには、充電電圧は、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の合計電圧より大きい必要がある。そのため、変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比よりも、昇降圧比Nを大きく設定する。
変圧制御回路BT06は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数を基準とした時の、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数の比に対して、昇降圧比Nを1乃至10%程度大きくするのが好ましい。この時、充電電圧は充電電池セル群の電圧よりも大きくなるが、実際には充電電圧は充電電池セル群の電圧と等しくなる。ただし、変圧制御回路BT06は昇降圧比Nに従い充電電池セル群の電圧を充電電圧と等しくするために、充電電池セル群を充電する電流を流すこととなる。この電流は変圧制御回路BT06に設定された値となる。
図25(A)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が3個で、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の数が1個であるため、変圧制御回路BT06は、1/3より少し大きい値を昇降圧比Nとして算出する。そして、変圧制御回路BT06は、放電電圧を当該昇降圧比Nに応じて降圧し、充電電圧に変換する変圧信号S3を変圧回路BT07に出力する。そして、変圧回路BT07は、変圧信号S3に応じて変圧された充電電圧を、端子対BT02に印加する。そして、端子対BT02に印加される充電電圧によって、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09が充電される。
また、図25(B)や図25(B)に示される例でも、図25(A)と同様に、昇降圧比Nが算出される。図25(B)や図25(C)に示される例では、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数が、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数以下であるため、昇降圧比Nは1以上となる。よって、この場合は、変圧制御回路BT06は、放電電圧を昇圧して受電電圧に変換する変圧信号S3を出力する。
変圧回路BT07は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を充電電圧に変換する。そして、変圧回路BT07は、変換された充電電圧を端子対BT02に印加する。ここで、変圧回路BT07は、端子対BT01と端子対BT02との間を電気的に絶縁している。これにより、変圧回路BT07は、放電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧と、充電電池セル群の中で最も下流に位置する電池セルBT09の負極端子の絶対電圧との差異による短絡を防止する。さらに、変圧回路BT07は、上述したように、変圧信号S3に基づいて放電電池セル群の合計電圧である放電電圧を充電電圧に変換する。
また、変圧回路BT07は、例えば絶縁型DC(Direct Current)−DCコンバータ等を用いることができる。この場合、変圧制御回路BT06は、絶縁型DC−DCコンバータのオン/オフ比(デューティー比)を制御する信号を変圧信号S3として出力することにより、変圧回路BT07で変換される充電電圧を制御する。
なお、絶縁型DC−DCコンバータには、フライバック方式、フォワード方式、RCC(Ringing Choke Converter)方式、プッシュプル方式、ハーフブリッジ方式、及びフルブリッジ方式等が存在するが、目的とする出力電圧の大きさに応じて適切な方式が選択される。
絶縁型DC−DCコンバータを用いた変圧回路BT07の構成を図26に示す。絶縁型DC−DCコンバータBT51は、スイッチ部BT52とトランス部BT53とを有する。スイッチ部BT52は、絶縁型DC−DCコンバータの動作のオン/オフを切り替えるスイッチであり、例えば、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)やバイポーラ型トランジスタ等を用いて実現される。また、スイッチ部BT52は、変圧制御回路BT06から出力される、オン/オフ比を制御する変圧信号S3に基づいて、絶縁型DC−DCコンバータBT51のオン状態とオフ状態を周期的に切り替える。なお、スイッチ部BT52は、使用される絶縁型DC−DCコンバータの方式によって様々な構成を取り得る。トランス部BT53は、端子対BT01から印加される放電電圧を充電電圧に変換する。詳細には、トランス部BT53は、スイッチ部BT52のオン/オフ状態と同期して動作し、そのオン/オフ比に応じて放電電圧を充電電圧に変換する。この充電電圧は、スイッチ部BT52のスイッチング周期において、オン状態となる時間が長いほど大きくなる。一方、充電電圧は、スイッチ部BT52のスイッチング周期において、オン状態となる時間が短いほど小さくなる。なお、絶縁型DC−DCコンバータを用いる場合、トランス部BT53の内部で、端子対BT01と端子対BT02は互いに絶縁することができる。
本実施形態における蓄電装置BT00の処理の流れを、図27を用いて説明する。図27は、蓄電装置BT00の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧を取得する(ステップS001)。そして、蓄電装置BT00は、複数の電池セルBT09の電圧を揃える動作の開始条件を満たすか否かを判定する(ステップS002)。この開始条件は、例えば、複数の電池セルBT09毎に測定された電圧の最大値と最小値との差分が、所定の閾値以上か否か等とすることができる。この開始条件を満たさない場合は(ステップS002:NO)、各電池セルBT09の電圧のバランスが取れている状態であるため、蓄電装置BT00は、以降の処理を実行しない。一方、開始条件を満たす場合は(ステップS002:YES)、蓄電装置BT00は、各電池セルBT09の電圧を揃える処理を実行する。この処理において、蓄電装置BT00は、測定されたセル毎の電圧に基づいて、各電池セルBT09が高電圧セルか低電圧セルかを判定する(ステップS003)。そして、蓄電装置BT00は、判定結果に基づいて、放電電池セル群及び充電電池セル群を決定する(ステップS004)。さらに、蓄電装置BT00は、決定された放電電池セル群を端子対BT01の接続先に設定する制御信号S1、及び決定された充電電池セル群を端子対BT02の接続先に設定する制御信号S2を生成する(ステップS005)。蓄電装置BT00は、生成された制御信号S1及び制御信号S2を、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05へそれぞれ出力する。そして、切り替え回路BT04により、端子対BT01と放電電池セル群とが接続され、切り替え回路BT05により、端子対BT02と放電電池セル群とが接続される(ステップS006)。また、蓄電装置BT00は、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と、充電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数とに基づいて、変圧信号S3を生成する(ステップS007)。そして、蓄電装置BT00は、変圧信号S3に基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧を充電電圧に変換し、端子対BT02に印加する(ステップS008)。これにより、放電電池セル群の電荷が充電電池セル群へ移動される。
また、図27のフローチャートでは、複数のステップが順番に記載されているが、各ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。
以上、本実施形態によれば、放電電池セル群から充電電池セル群へ電荷を移動させる際、キャパシタ方式のように、放電電池セル群からの電荷を一旦蓄積し、その後充電電池セル群へ放出させるような構成を必要としない。これにより、単位時間あたりの電荷移動効率を向上させることができる。また、切り替え回路BT04及び切り替え回路BT05により、放電電池セル群及び充電電池セル群が各々個別に切り替えられる。
さらに、変圧回路BT07により、放電電池セル群に含まれる電池セルBT09の個数と充電電池セル群に含まれる電池セルBT09群の個数とに基づいて、端子対BT01に印加される放電電圧が充電電圧に変換され、端子対BT02に印加される。これにより、放電側及び充電側の電池セルBT09がどのように選択されても、問題なく電荷の移動を実現できる。
さらに、トランジスタBT10及びトランジスタBT13にOSトランジスタを用いることにより、充電電池セル群及び放電電池セル群に属しない電池セルBT09から漏洩する電荷量を減らすことができる。これにより、充電及び放電に寄与しない電池セルBT09の容量の低下を抑制することができる。また、OSトランジスタは、Siトランジスタに比べて熱に対する特性の変動が小さい。これにより、電池セルBT09の温度が上昇しても、制御信号S1、S2に応じた導通状態と非導通状態の切り替えといった、正常な動作をさせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
可撓性を有する二次電池を、腕章型の電子機器に実装する例を図28に示す。図28に示す腕章型デバイス7300は、腕7301に装着することが可能であり、曲面を有する表示部と、曲げることのできる二次電池とを有する。
なお、表示部において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素子、及び発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、又は様々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、または、カーボンナノチューブを用いた表示素子、などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、表示素子、表示装置、発光素子又は発光装置は、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有する場合がある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。
さらに、腕章型デバイス7300は機能素子を1つまたは複数有することが好ましく、例えばセンサとして、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。また、タッチパネル、アンテナ、発電素子、スピーカなどの機能素子を有してもよい。
例えば、夜間において腕章型デバイス7300を使用者の腕に装着して表示部を発光させれば、交通の安全効果が得られる。また、軍人や警備員などが上腕部に腕章型デバイス7300を装着し、ほふく前進を行いながら、上官の指示をリアルタイムで受信して上腕部の新規デバイスの表示部に表示された表示を確認することができる。軍人や警備員が作業を実行する上で頭部にヘルメットをかぶり、両手には武器や道具を有しており、無線器や携帯電話や頭部に装着するデバイスでは使用が困難である。軍人や警備員が上腕部に新規デバイスを装着し、両手がふさがったままでもマイクなどの音声入力部への音声入力などによって腕章型デバイス7300の操作を行えることは有用である。
また、スポーツ分野においても腕章型デバイス7300を有用に使用できる。例えば、マラソンなどの場合、選手は時間を腕時計で確認するが、腕の振りを一度止めないと時間を確認することが困難である。腕の振りを止めてしまうとリズムが乱れ、競技に支障をきたすおそれがある。腕章型デバイス7300は、上腕部に装着することで、腕の振りを止めなくとも時間表示を可能とし、さらに他の情報(コースの自分の位置情報や、自分の健康状態など)もディスプレイに表示させることができる。さらに、選手が両手を使うことなく音声入力などによって新規デバイスの操作を行い、通信機能によって、コーチに指示を仰ぎ、その指示をスピーカなどの音声出力部による音声出力や表示によって選手が確認できる機能も備えていると有用である。
また、工事現場等においてもヘルメットを装着した作業者が、腕章型デバイス7300を腕に装着し、操作することで安全に作業を行えるよう通信や他の人の位置情報を容易に取得することができる。
可撓性を有する二次電池をその他の電子機器に実装する例を図29に示す。フレキシブルな形状を備える二次電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える二次電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図29(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407を有している。
図29(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている二次電池7407も湾曲される。また、その時、曲げられた二次電池7407の状態を図29(C)に示す。二次電池7407は薄型の二次電池である。二次電池7407は曲げられた状態で固定されている。なお、二次電池7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、集電体7409は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させることにより、集電体7409と接する活物質層との密着性を向上させている。それによって、二次電池7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図29(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び二次電池7104を備える。また、図29(E)に曲げられた二次電池7104の状態を示す。二次電池7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して二次電池7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または二次電池7104の主表面の一部または全部が変化する。二次電池7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。
また、湾曲可能な二次電池は、様々な電子機器において空間効率よく搭載することができる。例えば図29(F)に示すストーブ7500は、本体7512にモジュール7511が取り付けられ、モジュール7511は、二次電池7501、モーター、ファン、送風口7511a、熱電発電装置を有する。ストーブ7510では、開口部7512aから燃料を投入、着火した後、二次電池7501の電力を用いてモジュール7511のモーターとファンを回転させ、送風口7511aから外気をストーブ7510の内部に送ることができる。このように外気を効率よく取り込めるため火力の強いストーブとすることが可能である。さらに、燃料の燃焼に得た熱エネルギーを用いて、上部のグリル7513において調理することが可能である。また該熱エネルギーをモジュール7511の熱電発電装置により電力に変換し、二次電池7501に充電することができる。さらに、二次電池7501に充電された電力を外部端子7511bより出力することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を搭載することのできる電子機器の他の例を示す。
図30(A)および図30(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図30(A)および図30(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。図30(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図30(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に二次電池9635を有する。二次電池9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図30(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図30(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、二次電池9635として、本発明の一態様の二次電池を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた二次電池9635は可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図30(A)および図30(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面又は二面に設けることができ、二次電池9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお二次電池9635としては、本発明の一態様の二次電池を用いると、充放電の繰り返しに伴う放電容量の低下を抑制することができるため、長期にわたって使用することのできるタブレット端末とすることができる。
また、図30(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図30(C)にブロック図を示し説明する。図30(C)には、太陽電池9633、二次電池9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、二次電池9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図30(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、二次電池9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして二次電池9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による二次電池9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
また、図31に示すようなウェアラブルデバイスに上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を搭載することができる。
例えば、図31(A)に示すような眼鏡型デバイス400に搭載することができる。眼鏡型デバイス400は、フレーム400aと、表示部400bを有する。湾曲を有するフレーム400aのテンプル部に二次電池を搭載することで、重量バランスがよく継続使用時間の長い眼鏡型デバイス400とすることができる。
また、ヘッドセット型デバイス401に搭載することができる。ヘッドセット型デバイス401は、少なくともマイク部401aと、フレキシブルパイプ401bと、イヤフォン部401cを有する。フレキシブルパイプ401b内やイヤフォン部401c内に二次電池を設けることができる。
また、身体に直接取り付け可能なデバイス402に搭載することができる。デバイス402の薄型の筐体402aの中に、二次電池402bを設けることができる。
また、衣服に取り付け可能なデバイス403に搭載することができる。デバイス403の薄型の筐体403aの中に、二次電池403bを設けることができる。
また、腕時計型デバイス405に搭載することができる。腕時計型デバイス405は表示部405aおよびベルト部405bを有し、表示部405aまたはベルト部405bに、二次電池を設けることができる。
また、ベルト型デバイス406に搭載することができる。ベルト型デバイス406は、ベルト部406aおよびワイヤレス給電受電部406bを有し、ベルト部406aの内部に、二次電池を搭載することができる。
また、図31(B1)に示すような腕輪型デバイス407に上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を搭載することができる。腕輪型デバイス407は、ケース407aの中に、2つの湾曲した二次電池407bを有する。またケース407aの表面には湾曲した表示部407cが設けられている。表示部407cに用いることのできる表示部については、図28の表示部についての記載を参酌することができる。腕輪型デバイス407は、接続部407dとヒンジ部407eを有し、ヒンジ部407eを中心に接続部407dまでを動かすことができる。また接続部407dに設けられた外部端子を介して充電等を行うことができる。
また、図31(B2)に示すようなウェアラブルデバイス410に上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を搭載することができる。ウェアラブルデバイス410は、本体411の中に、湾曲した二次電池412とセンサ部413を有する。またウェアラブルデバイス410は、表示部415とバンド部414を有し、例えば手首に着用することができる。表示部415に用いることのできる表示部については、図28の表示部についての記載を参酌することができる。
図32に、他の電子機器の例を示す。図32において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る二次電池8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る二次電池8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図32において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。図32では、二次電池8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図32では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図32において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。図32では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に二次電池8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図32では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
図32において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。図32では、二次電池8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態8)
本実施の形態では、車両に上記実施の形態で説明した負極を含む二次電池を搭載する例を示す。
また、二次電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図33において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。図33(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図33(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図33(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を、断面TEM観察した結果および29Si−NMRにて測定した結果と、1サイクル充放電を行った後のSiOを29Si−NMRにて測定した結果について説明する。
<Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子の作製>
まず、負極集電体として銅箔を用意した。また、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子の原料として、炭素で被覆されたSiO粒子を用意した。また、バインダとしてポリイミド、導電助剤としてアセチレンブラックを用意した。
次に、SiO粒子、ポリイミドおよびアセチレンブラックを、SiO粒子:ポリイミド:アセチレンブラック=80:5:15(重量比)で混合したものを負極活物質層として、負極集電体上に塗工し、負極集電体と負極活物質層を負極の形状に加工した。
このようにして作製した電極を一方の電極とし、金属リチウムを他方の電極として、これらを電解液に接触させた。
次に、上記で作製した電極と、金属リチウムを電気的に接続し、リチウム基準で0.4Vの電圧を印加し、SiO粒子にリチウムを挿入した。リチウムの挿入量は、電荷量にして、SiOの重量あたり600mAh/gとした。
上記の工程でSiO粒子にリチウムを挿入することで、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を形成した電極を、サンプルAとした。
サンプルAが有するSi、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子の、断面TEM像を図35(A)および(B)に示す。図35(A)および(B)では結晶粒等は観察されず、Si、Li2SiO3およびLi2Oは均一に混合していることが明らかとなった。
また、サンプルAが有する負極活物質層を、負極集電体から剥離し、29Si−NMRにて測定した結果を図36に示す。隣接する原子10個それぞれの結果を灰色の線で、原子10個分の移動平均を黒の線で示す。
図36のNMRスペクトルでは、Li2SiO3を示す化学シフト値−78ppmにピークが観察され、サンプルAがLi2SiO3を有することが明らかとなった。一方、Li4SiO4を示す化学シフト値−65ppm付近、およびSiO2を示す化学シフト値−108ppm付近には明確なピークは観察されなかった。
<1サイクル充放電を行った後のSiOの作製>
Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子の作製と同様に、負極集電体上にSiO粒子、ポリイミドおよびアセチレンブラックを塗工した電極を作製した。そして該電極を一方の電極とし、金属リチウムを他方の電極として、これらを電解液に接触させた。
次に、上記で作製した電極と、金属リチウムを電気的に接続し、1サイクル充放電を行った。なお放電はCCCV(定電流定電圧)(終止条件:0.01V到達後、0.01C相当電流到達時に終了)、充電はCC(定電流)(終止条件:1.5V到達時に終了)で行った。
上記の工程で作製した電極を、サンプルBとした。
サンプルBが有する負極活物質層を、負極集電体から剥離し、29Si−NMRにて測定した結果を図37に示す。10回測定した結果を灰色の線で、10回の測定値の平均を黒の線で示す。
図37のNMRスペクトルでは、Li4SiO4を示す化学シフト値−65ppmにピークが観察され、サンプルBがLi4SiO4を有することが明らかとなった。一方、SiO2を示す化学シフト値−108ppm付近、およびLi2SiO3を示す化学シフト値−78ppm付近には明確なピークは観察されなかった。
図36および図37の結果から、0.4Vという、合金化LixSiが形成されない電圧でリチウムを挿入する場合、Li2SiO3が形成される一方、1サイクルの充放電ではLi4SiO4が形成されることが明らかとなった。このように、リチウムの挿入の方法の違いにより、Li2SiO3とLi4SiO4いう異なる物質が形成され、これらが29Si−NMRにより同定できることが明らかとなった。
本実施例では、負極活物質として、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を用いた場合と、ガリウムを用いた場合と、黒鉛を用いた場合の放電容量について比較した結果について説明する。
<Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を負極活物質に用いた二次電池>
まず、実施例1のサンプルAと同様に負極を作製した。
また、正極活物質層が有する正極活物質として、酸化グラフェンを還元して形成したグラフェンで被覆されたLi1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表される粒子を用いた正極を作製した。
上記の負極および正極を用いて作製した二次電池を、サンプルCとした。
<ガリウムを負極活物質に用いた二次電池>
まず、負極集電体として銅箔、負極活物質層が有する負極活物質として、金属ガリウムを溶融し、バインダ、導電助剤(アセチレンブラックまたは気相法炭素繊維)と共に混練したものを用いて、負極を作製した。
また、正極活物質層が有する正極活物質としてLi1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表される粒子を用いた正極を作製した。
上記の負極および正極を用いて作製した二次電池を、サンプルDとした。
<黒鉛を負極活物質に用いた二次電池>
次に、比較例として、負極活物質として黒鉛を用い、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いた市販の電池を用意し、サンプルEとした。
上記のサンプルC、サンプルD、サンプルEについて充放電を行った。このときの正極活物質層と負極活物質層の和の重量あたりの放電容量について、図38に示す。実線がサンプルC、一点破線がサンプルD、破線がサンプルEの放電容量を示すグラフである。
図38に示すように、市販の黒鉛およびコバルト酸リチウムを用いた電池と比較して、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子と酸化グラフェンを還元して形成したグラフェンで被覆されたLi1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表される粒子を用いた電池は、活物質の重量あたりで約2倍の容量を有する、高容量電池であることが明らかとなった。
また、高容量負極材料として知られるガリウムを用いた電池と比較しても、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子と酸化グラフェンを還元して形成したグラフェンで被覆されたLi1.68Mn0.8062Ni0.318O3で表される粒子を用いた電池の方が高い容量を有することが明らかとなった。
本実施例では、負極活物質として、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を用いた場合と、ガリウムを用いた場合のサイクル特性について比較した結果について説明する。
本実施例では、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を用いた二次電池として実施例2のサンプルC、ガリウムを用いた電池として実施例2のサンプルDを用いた。
サンプルCおよびサンプルDについて、10回充放電を行った結果を図39に示す。図中の丸いマーカーはサンプルC、四角いマーカーはサンプルDを示す。
図39に示すように、高容量負極材料として知られるガリウムを用いた二次電池が、10サイクル経過後に容量が50%以下まで低下したのに対し、負極活物質として、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子を用いた二次電池では、10サイクル後でも大きな容量の低下は見られなかった。そのため、Si、Li2SiO3およびLi2Oの混合物である粒子は、ガリウムと比較してサイクル特性が良好な材料であることが明らかとなった。