JP2020514420A - 熱伝達流体及び同流体の使用方法 - Google Patents

熱伝達流体及び同流体の使用方法 Download PDF

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Abstract

デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構とを備える、熱伝達のための装置が提供される。熱を伝達するための機構は、構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を含む。構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、作動流体中に、作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する。【化1】【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[分野]
本開示は、熱伝達流体並びに同流体の作製方法及び使用方法に関する。
[背景]
HFPの三量体を含む種々の組成物、並びに不活性又は単離流体、溶媒及び冷却剤としてのそれらの使用が、例えば、米国特許第3,917,724号、米国特許第2,918,501号、I.L.Knunyants,et.al.,J.Fluorine Chemistry,10,323〜327(1977)、R.N.Haszeldine,et.al.,J.Fluorine Chemistry,9,94〜96(1977)、及びT.Martini,et.al.,Tetrahedron Letters(24),2129〜2132(1974)に記載されている。
[概要]
いくつかの実施形態において、熱伝達のための装置が提供される。この装置は、デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構とを備える。熱を伝達する機構は、構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を含む。
Figure 2020514420

構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、作動流体中に、作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する。
いくつかの実施形態において、熱を伝達する方法が提供される。この方法は、デバイスを準備する工程と、上記のヘキサフルオロプロピレン三量体の化合物又は作動流体を含む作動流体を用いて、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達する工程とを含む。
上記の本開示の概要は、本開示の各実施形態を説明することを意図したものではない。本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明にも記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲から明らかになろう。
[詳細な説明]
環境に優しくて毒性が低い化学化合物への要求の増大に鑑みて、環境的及び健康の悪影響を更に低減させ、種々の異なる用途(例えば、熱伝達流体、二相液浸冷却、チラー流体、ランキンサイクル作動流体)の性能要件(例えば、非引火性の、熱的及び化学的安定性、良好な誘電特性、低い流動点、低粘度、及び有用な動作温度範囲)を満たすこともでき、コスト効果的に製造することができる、新たな熱伝達流体への必要性が現在も存在することが認識されている。
電子用途において、低い流動点、低粘度、及び良好な誘電特性(例えば、低い比誘電率、高い絶縁耐力及び高い体積抵抗率)をもたらす熱伝達流体の能力は、電子デバイスの電子的性能に悪影響を及ぼすことなく、許容される低温熱伝達性能を維持するために、とりわけ重要であり得る。そのような用途では、従来、パーフルオロカーボン(又はperfluorocarbon、PFC)及びパーフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)が選択の熱伝達流体であり、その理由は、それらが、妥当なコストで、低い毒性、優れた安定性、及び不燃性をもたらしながら、優れた低温及び誘電特性をもたらすことができるためである。しかしながら、そのような材料は、きわめて高い地球温暖化係数(global warming potential、GWP)を有し、したがって、自発的に又は政府規制によってのいずれかで、結局、漸次廃止することが期待されている。
ハイドロフルオロエーテル(hydrofluoroether、HFE)、パーフルオロケトン(perfluoroketone、PFK)、ハイドロフルオロエーテルオレフィン(hydrofluoroetherolefin、HFEO)及びハイドロフルオロオレフィン(hydrofluoroolefin、HFO)などの、より環境に優しい熱伝達流体が存在するが、それらの代替物は、PFC及びPFPEの普遍的な置き換えとはならず、その理由は、それらが、それらの材料の優れた誘電特性に適合できないか、又はそれらが、適切な熱及び加水分解安定性をもたらさないためである。そのため、PFCとPFPEとのバランスに近く適合する特性のバランスをもたらすことができ、同時にまた、GWPの顕著な低減、許容される程度に低い毒性、及び適当な熱安定性も付与する、新たな熱伝熱流体への必要性が存在する。
一般に、本開示は、熱伝達流体として、異性体的に純粋なヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)三量体を提供する。この材料は、HFP三量体異性体と他の高フッ素化された流体との通常入手可能な混合物と比べ、低温にて、きわめて低い流動点及び低い粘度を含む、驚くほど良好な低温特性をもたらす。加えて、それは、良好な誘電特性(低い比誘電率、高い絶縁体力、高い体積抵抗率)、低い急性毒性をもたらし、環境寿命が短く、そのため、地球温暖化係数が低い。更に、本開示の、異性体的に純粋なHFP三量体は、1つの工程、安価なHFPモノマーの触媒オリゴマー化を含む100%原子効率的な方法によって、低コストで製造され得る。この属性の独自のバランスによって、本開示の組成物は、種々の熱伝達用途で現在使用されているPFC及びPFPEの置き換えの魅力的な候補となり、ここで、代替的な低GWP流体は、既存の又は差し迫った新たな法規制に適合する必要がある。
本明細書で使用されるとき、構造式中の十字交差二重結合は、その式が、Eジアステレオマーとして、Zジアステレオマーとして、又はEジアステレオマーとZジアステレオマーとの任意の割合における混合物として存在できることを示す。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が他のことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の実施形態で使用される場合、用語「又は」は、その内容が明確に別段の指定がない限り、一般に「及び/又は」を含むその意味で採用される。
本明細書において使用される場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4及び5を含む)。
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての事例において、「約」という用語によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、逆の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙で示される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
いくつかの実施形態において、本開示は、構造式(1)を有するHFP三量体の構造異性体を含む組成物を対象とする。
Figure 2020514420

いくつかの実施形態において、構造式(1)のHFP三量体は、2つのジアステレオマーの形態、Eジアステレオマー又はZジアステレオマーのいずれかで存在しても双方で存在してもよく、これは、以下に、それぞれ、構造式(1A)及び(1B)で示される。
Figure 2020514420

様々な実施形態において、組成物は、任意の割合におけるEジアステレオマーとZジアステレオマーとの混合物を含むことができる。あるいは、組成物は、Eジアステレオマーのみ、又はZジアステレオマーのみを含むことができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、構造式(2)及び構造式(3)の構造異性体を含む、HFP三量体の他の構造異性体の認識可能な量を含まないことがある。
Figure 2020514420

これに関して、いくつかの実施形態において、組成物は、組成物中に存在する全てのHFP三量体構造異性体の総重量に基づいて、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.9重量%の式(1)の構造異性体を含むことができる。驚くことに、式1の構造異性体が、HFP三量体の、より一般に入手可能な形態と比べたときに、卓越した低温性能をもたらすことが発見され、これは、式1、式2及び式3の構造異性体から主になる構造異性体と、他の、HFP三量体のマイナーな構造異性体との複合混合物を典型的に含む。構造式1の改良された低温性能としては、低温での著しく低い流動点及び著しく低い粘度が挙げられ、熱伝達流体の能力に直接影響を及ぼして、流体を残存させ、低温にて熱を効果的に伝達する特性が挙げられる。加えて、構造式1のHFP三量体は、強い誘電特性(低い比誘電率、高い絶縁耐力、及び高い体積抵抗率)をもたらし、更にまた、不燃性、適当な安定性、低い毒性、及び短い環境寿命ももたらし、したがって低い地球温暖化係数をもたらすことが見出された。この、特性の独自のバランスは、構造式1のHFP三量体を、様々な用途で現在使用されているPFC及びPFPEの置き換えの魅力的なオプションにし、ここで、代替的な低GWP流体は、変化する法規制の状勢に適合する必要がある。
いくつかの実施形態において、本開示の組成物を含有する、異性体的に純粋なHFP三量体は、疎水性であってもよく、比較的化学反応性に乏しくてもよく、熱的に安定であり得る。この組成物は、環境影響が少ない場合がある。この点で、異性体的に純粋なHFP三量体含有組成物は、1000未満又は500未満の地球温暖化係数(global warming potential、GWP)(100年ITH)を有することができる。本明細書で使用される場合、GWPは、化合物の地球温暖化係数の相対的尺度である。化合物のGWPは、1990年に気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)によって規定され、2007年に改訂されており、特定の積分時間地平線(integration time horizon、ITH)にわたる、1キログラムのCO放出に起因する温暖化に対する、1キログラムの化合物の放出に起因する温暖化として計算される。
Figure 2020514420
この等式において、aは大気中の化合物の単位質量増加当たりの放射強制力(その化合物のIR吸光度に起因する大気を通る放射束の変化)であり、Cは化合物の大気濃度であり、τは化合物の大気寿命であり、tは時間であり、iは対象とする化合物である。一般に許容されるITHは、短期間の効果(20年間)と長期間の効果(500年間以上)との間の折衷点を表す100年間である。大気中の有機化合物iの濃度は、擬一次速度式(すなわち、指数関数的減衰)に従うと仮定される。同じ時間間隔のCOの濃度は、大気からのCOの交換及び除去に関する、より複雑なモデルを組み込む(Bern炭素循環モデル)。
いくつかの実施形態において、本開示は、上記の構造式(1)のHFP三量体を高い全体収率(HFP出発材料に基づいて)において、かつ高い選択性(製造されたHFP三量体の全ての構造異性体に対して)を伴って、作製する方法を更に対象とする。いくつかの実施形態において、方法は、HFPモノマーから出発する1つの触媒の工程において実施されてもよい。様々な実施形態において、方法は、HFPモノマーを、等式1に従ってHFPをオリゴマー化するのに十分な温度にて、触媒量の触媒及び好適な有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide、DMF))を含む反応混合物に給送することを含んでもよい。
Figure 2020514420

いくつかの実施形態において、反応の完了に続いて、粗フルオロケミカル生成物混合物が、次いで、触媒/溶媒相から液液相分離を受け、単離された粗フルオロケミカル生成物(これは、種々のHFPオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体)及び他の副生成物を含んでいてもよい)の総重量に基づいて、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%の構造式(1)のHFP三量体を含む組成物の単離を可能にする(例えば、簡単な濾過及び液液相分離によって)。更に、生成されたHFP三量体画分は、少なくとも85%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%又は少なくとも99.9重量%の構造式1のHFP三量体対存在するHFP三量体の全ての構造異性体(MW 450g/mol)を含むことができる。
いくつかの実施形態において、触媒は、金属フッ化物、例えばアルカリ金属フッ化物、又は周期表からの、更に後の金属フッ化物を含むことができる。様々な実施形態において、触媒は、フッ化セシウムを含む(又はフッ化セシウムから本質的になる)。いくつかの実施形態において、反応混合物は、共触媒を更に含んでもよい。いくつかの実施形態において、共触媒は、クラウンエーテルであってもよい。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、DMFである。いくつかの実施形態において、反応温度は、HFPモノマーの添加の間、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃又は少なくとも90℃とすることができる。いくつかの実施形態において、HFPモノマーは、採用されるHFPの総電荷に基づいて、1時間当たり30%未満、1時間当たり20%未満、1時間当たり15%未満、又は1時間当たり10%未満の給送率にて、反応混合物に連続的に給送され得る。
本開示の方法を採用することにより、異性体的に純粋なHFP三量体を含有する組成物は、1つの工程、安価なヘキサフルオロプロピレン(HFP)モノマーの触媒オリゴマー化を含む100%原子効率的な方法によって、低コスト高収率で製造され得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、上記のHFP三量体を含有する組成物を主要成分として含む作動流体を更に対象とする。例えば、作動流体は、作動流体の総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%の上記のHFP三量体含有組成物を含むことができる。HFP三量体含有組成物に加えて、作動流体は、作動流体の総重量に基づいて、合計で、最大75重量%、最大50重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%又は最大5重量%の、以下の成分:アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、パーフルオロカーボン、全フッ素化第三級アミン、パーフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、シロキサン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロエーテル、又はこれらの混合物、のうちの1種以上を含むことができる。そのような追加成分は、組成物の特性を、特定の用途向けに改変又は強化するために選択され得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、デバイスと、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達する機構とを備える、熱伝達のための装置を更に対象とする。熱を伝達するための機構は、本開示のHFP三量体含有組成物を含む熱伝達作動流体を含んでもよい。
提供される、熱伝達のための装置は、デバイスを備えていてもよい。デバイスは、冷却される、加熱される又は所定の温度若しくは温度範囲に維持される、コンポーネント、加工対象物、アセンブリなどであってもよい。そのようなデバイスとしては、電気コンポーネント、機械コンポーネント及び光学コンポーネントが挙げられる。本開示のデバイスの例としては、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用されるウエハ、電力制御半導体、配電スイッチ装置、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージされた又はパッケージされていない半導体デバイス、レーザー、化学反応器、燃料電池、熱交換器並びに電気化学セルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、冷却器、加熱器、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
なおも他の実施形態において、デバイスは、マイクロプロセッサを含むプロセッサのような、電子デバイスを含むことができる。これらの電子デバイスがより強力になるにつれ、単位時間当たりに生成される熱量は増加する。したがって、熱伝達の機構は、プロセッサの性能において重要な役割を果たす。熱伝達流体は、典型的には、良好な熱伝達性能、良好な電気適合性(冷却板を採用するもの等の「間接接触」用途で使用される場合であっても)、並びに低い毒性、低い燃焼性(又は不燃性)及び低い環境影響度を有する。電気適合性が良好であることは、熱伝達流体の候補が、低い比誘電率、高い絶縁耐力、高い体積抵抗率、及び極性物質に対する乏しい溶解性を呈することを示唆する。加えて、熱伝達流体は、良好な機械適合性を示すべきであり、すなわち、それは、構造体の典型的材料に悪影響を与えないものであるべきである。
提供される装置は、熱を伝達するための機構を備えていてもよい。この機構は、熱伝達流体を含んでいてもよい。熱伝達流体は、1種以上の本開示のHFP三量体含有組成物を含んでもよい。デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱が伝達され得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスへ)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。
熱伝達機構は、ポンプ、弁、流体収納システム、圧力制御システム、凝縮器、熱交換器、熱源、ヒートシンク、冷却システム、能動型温度制御システム及び受動型温度制御システムが挙げられるがこれらに限定されない、熱伝達流体を管理するための設備を備えることができる。好適な熱伝達機構の例としては、プラズマ強化化学蒸着(plasma enhanced chemical vapor deposition、PECVD)ツールの温度制御ウエハチャック、ダイ性能試験のための温度制御試験ヘッド、半導体加工装置内の温度制御作業領域、熱衝撃試験槽液体収容容器及び恒温槽が挙げられるが、これらに限定されない。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器などのいくつかのシステムでは、所望の動作温度の上限は、170℃、200℃、又は更には230℃の高温であり得る。
デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱が伝達され得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスへ)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。提供される装置として、冷蔵システム、冷却システム、試験装置及び機械加工装置も挙げられる。いくつかの実施形態において、提供される装置は、恒温槽又は熱衝撃試験槽であり得る。
本開示の組成物及び流体を熱伝達剤として使用する際、いくつかの実施形態において、例えば、米国再発行特許第37,119E号(Sherwood)及び米国特許第6,374,907号(Tousignant)に記載されている方法及びデバイスが採用されてもよく、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
実施形態の一覧
1.
デバイスと、
構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を含む、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、
Figure 2020514420

構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、作動流体中に、作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、
熱伝達のための装置。
2.構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、作動流体中に、作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、実施形態1に記載の熱伝達のための装置。
3.デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、配電スイッチ装置、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、実施形態1又は2に記載の熱伝達のための装置。
4.熱を伝達するための機構が、デバイスの温度又は温度範囲を維持するシステムにおける構成要素である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の熱伝達のための装置。
5.デバイスを準備する工程と、
構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を用いて、デバイスへ又はデバイスから熱を伝達する工程と、
Figure 2020514420

を含み、
構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、作動流体中に、作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、熱を伝達する方法。
6.異性体的に純粋なヘキサフルオロプロピレン三量体を作製する方法であって、
溶媒の存在下で、触媒を用いてヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させて、構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む粗フルオロケミカル反応生成物を形成する工程と、
Figure 2020514420

粗フルオロケミカル反応生成物を触媒及び溶媒から単離する工程と
を含み、
触媒を用いてヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させる工程が、ヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応混合物に、反応混合物に給送されるヘキサフルオロプロピレンモノマーの総重量に基づいて、1時間当たり30重量%未満の給送率で連続的に給送することを含み、
触媒を用いてヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させる工程が、少なくとも60℃の反応温度で行われ、
構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、単離された粗フルオロケミカル反応生成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%の量で存在し、
構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体が、単離された粗フルオロケミカル反応生成物中に存在するヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、方法。
本開示の実施を、以下の詳細な実施例に関して更に説明する。これらの実施例は、様々な実施形態及び技術を更に例示するために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
本開示の目的及び利点を、以下の比較の及び例示の実施例によって更に例示する。別段の指定がない限り、全ての材料は、Sigma−Aldrich,USAから得た。
実施例1:1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−エンの合成
Figure 2020514420
1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−エン(HFP三量体構造式1)の選択的な1つの工程の合成を以下のように実施した。600mLのHastelloy Parr反応器を、ドライボックスへ移し、CsF(Advance Research Chemicals,Inc.,Catoosa,OKから得た)15.774g、及び無水ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)溶媒171.40gを装入した。反応器を密閉し、次いでドライボックスから取り外し、自重計測し、反応器スタンドに取り付けた。Parr反応器を、ドライ氷浴中で−30℃にて冷やし、短く真空排気して非凝縮性ガスを除去し、次いで加熱マントルを備えて、最大に撹拌しながら90℃まで加熱した。90℃の設定点の温度に達したら、HFPモノマーの、Parr反応器のヘッドスペースへの連続添加を、調量弁を介して平均添加速度1.5g/分で開始した。反応温度の、最大117℃(活性冷却は存在しない)への上昇を引き起こすHFPの連続添加中に、適度な発熱を観測した。反応器内の圧力は、全反応の途中では20psi未満であり、HFPが添加されたまま消費されたことを示す。HFPモノマーの総計498.5gを反応混合物に添加したら、HFPの添加を停止し、反応溶液を、撹拌を続けながら1時間、90℃に保持して、反応器内の残留HFPを反応させた。次いで、加熱を終了し、反応混合物を一晩撹拌しながら室温まで徐々に冷却させた。室温まで冷却したら、反応器をおろし、液体内容物を750mLのErlenmeyerフラスコに注入し、2つの液相、上部の暗橙茶色のDMF相と、下部の無色透明なフルオロケミカル相とが、数種の懸濁型CsF触媒と共に現れた。この混合物をセライトのパッドを介して吸引濾過して懸濁固形物を除去し、濾液を500mL分離漏斗に移して相分離させた。下部のフルオロケミカル相を単離し、貯蔵のために、500mLのHDPEポリボトル中にパッケージした。この粗フルオロケミカル生成物(実施例1)の単離した収率は、460.78gであり、HFPモノマーに基づく理論収率92.43%に相当した。ニートな粗フルオロケミカル生成物のGC−FID分析により、1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−エン(HFP三量体構造式1)に相当する単一の主要ピーク(85.58面積%)が明らかになった。粗生成物のGC−FID分析により求めてGC−MS及び19F NMR分析により確認した、より完全な組成の詳細を、表1に示す。
Figure 2020514420
表1にまとめたデータは、構造式1のHFP三量体が、85.58%の単離された粗フルオロケミカル生成物を含み、それが、この反応において生成されたHFP三量体(分子量450g/mol)の全ての構造異性体に関して97.7%の選択性で形成されていることを示す。
実施例2及び実施例3
この反応において生成したHFP三量体を精製して粗生成物混合物のより低い及びより高いMWの成分を除去するために、粗生成物を、20トレイのOldershawカラム、並びに0℃まで冷却した凝縮器、及びスプリット比60:1で作動する自動化液体スプリッタを備える蒸留ヘッドを用いて、窒素下で大気圧にて分別蒸留した。2種のハートカット留出画分を回収し、ハートカット#1(85.57g)をヘッド温度105.3〜106.2℃にて回収し、ハートカット#2(252.74g)をヘッド温度106.2〜106.4℃にて回収した。双方のハートカット画分をGC−FIDで分析し、1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−エン(HFP三量体構造式1)を、表2にまとめているようにきわめて高い全体純度において含有していることを見出した。
Figure 2020514420
ハートカット#2(実施例3)を、量的19F NMR分光学によって更に分析したところ、98.4重量%の1,1,1,2,3,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプト−3−エン(HFP三量体構造式1)を、Eジアステレオマー(77.6重量%)とZジアステレオマー(20.8重量%)との混合物として含むことが示された。
比較例
比較例CE1〜CE4の説明を、表3に示す。これらの比較例は、3種の主要異性体(CE1)と、3種の市販の熱伝達流体(CE2、CE3及びCE4)との混合物を含むHFP三量体を含んだ。
Figure 2020514420

定量19F NMR分析により測定した
試験手順
実施例3及びCE2の大気寿命を、試験試料の、ヒドロキシル基との反応の率から求めた。ガス状試験試料の、ヒドロキシル基との反応の擬一次桁速度を、クロロメタン及びエタンなどの基準化合物に対する一連の実験において測定した。測定は、研磨した半導体グレードの石英ウィンドウを備える5.7Lの加熱したFTIRガスセルにおいて実施した。480Wの水銀−キセノンバルブを備えるOriel Instruments UV Lamp,Model 66921を用いて、水蒸気の存在下でオゾンを光分解してヒドロキシ基を発生させた。試験試料及び基準化合物の濃度を、反応時間の関数として、Midac CorporationからのI−Series FTIRを用いて測定した。大気寿命を、基準化合物に対する試験試料の反応速度と、報告された基準化合物の寿命とから、以下に示すように算出した。
Figure 2020514420

(式中、τは、試験試料の大気寿命であり、τは、基準化合物の大気寿命であり、k及びkは、ヒドロキシル基の、それぞれ試験試料及び基準化合物との反応の速度定数である)。
地球温暖化係数(GWP)を、実施例3及びCE2について、それらの大気寿命を用いて推定した。GWPを、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)2013の方法に従って、100年積分時間地平線(integration time horizon、ITH)を用いて算出した。それらの計算で用いた放射効率は、試験試料で測定した赤外線断面に基づいた。CE3のGWPは、du Pont de Nemours営業用文献から得た。CE4の公開されているGWPは見つけられなかったので、CE4のGWPは、類似の構造(CFOCF(CF)CFOCFOCF;C.J.Young,et.al.,Environ.Sci.Technol.2006,40,2242〜2246)の、より低い分子量のパーフルオロポリエーテルの公開されているGWPに基づいた。
ラットにおける実施例3及びCE2の4時間急性吸入毒性を、空気中10,000又は619ppm vol/volで動物に4時間投与し(表4による)、その後14日間、投与後モニタリングして求めた。動物試験の結果、及び試験化合物の蒸気濃度に基づいて、LC−50値を推定した。CE3のNOEL(効果がないレベル)値は、du Pont de Nemours営業用文献から得た。CE4の4時間吸入LC−50値を、Solvay MSDSから得た。
実施例3、CE1及びCE2の動粘度を、Schott AVS 350 Viscosity Timer,Analytical Instrument No.341を用いて測定した。0℃以下の温度では、Lawler temperature control bath Analytical Instrument No.320を使用した。全ての温度のために使用した粘度計は、545−03、10及び13である。粘度計はまた、Hagenbach補正を用いて補正した。CE3及びCE4についての動粘度は、それぞれ、du Pont営業用文献及びSolvay営業用文献から得た。
実施例3、CE1及びCE2の沸点は、ASTM D1120−94「エンジンクーラントの沸点の標準試験方法」を用いて測定した。CE3及びCE4の沸点は、それぞれ、du Pont営業用文献及びSolvay営業用文献から得た。
流動/凝固点は、試料が密閉管中で水平方向に回動した5秒以内に流動することが目視で観察された最低温度と定義した。実施例3、CE1及びCE2を、流動点以下に冷却し、手動温度制御浴において、およそ2℃/分の速度にて温めた。試料を、およそ1〜2分毎に目視検査した。温度を、RTD thermometer,Analytical Instrument No.898を用いて記録した。CE3及びCE4の流動/凝固点は、それぞれ、du Pont営業用文献及びSolvay営業用文献から得た。
誘電特性及び電気伝導度の測定を、NovocontrolからのAlpha−A High Temperature Broadband Dielectric Spectrometerモジュール測定システムで実施した。40mm径の金めっき平行板を利用する試料セルBDS 1200を、ZG2 Dielectric/Impedance General Purpose Interfaceを利用しながらAlpha−Aメインフレームへインタフェースした。各3M試験試料を、上記の平行平板電極同士の間で調製し、複素誘電率(比誘電率及び損失)を、電極の電圧差(Vs)及び電流(Is)の位相感応測定から評価した。周波数領域測定を、0.00001Hz〜20MHzの離散周波数で行った。10ミリオームから最大1×10 E14オームのインピーダンスを、最大4.2ボルトACまで測定することができる。しかしながら、この実験のために、一定のAC電圧1.0ボルトを使用した。DC伝導度を、少なくとも1項の低周波数Havrrilak Negami誘電緩和関数と、1つの別個の周波数依存性導電項とを含む、最適化された広帯域誘電緩和適合関数から抽出した。体積抵抗率を、DC導電率から算出した。CE3及びCE4の比誘電率及び体積抵抗率は、それぞれ、du Pont営業用文献及びSolvay営業用文献から得た。
実施例3、CE1及びCE2の絶縁破壊強度(絶縁耐力)測定は、ASTM D149に従って、7〜69kVの、60Hz破壊範囲において試験するために特に設計されたPhenix Technologies Model LD−60で実施した。CE3及びCE4の絶縁耐力は、それぞれ、du Pont営業用文献及びSolvay営業用文献から得た。
結果
Figure 2020514420

多くの製品文献から得た値。全てのLC−50は、試験した最高露光レベルを表していると解釈した
表4でまとめた結果から、実施例3が、優れた低温特性をもたらすことが明らかである。その流動点は、列挙した他の材料のいずれよりも低く、驚くことに、HFP三量体混合異性体の試料であるCE1よりも低い。この利点はまた、粘度データにも反映されており、HFP三量体(実施例3)の1つの異性体が、特により低い温度にて、混合異性体(CE1)よりも著しく低い粘度を有し、市販製品(CE2〜CE4)とほぼ同じであることを示す。実施例3の別の利点は、比誘電率、絶縁耐力及び体積抵抗率の値により反映される、その優れた誘電特性である。理解できるように、それらは、市販のパーフルオロカーボン(perfluorocarbon、PFC)及びパーフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)製品、それぞれCE2及びCE4の値に、きわめて類似しているが、ハイドロフルオロエーテルオレフィン(hydrofluoroether olefin、HFEO)製品、CE3で列挙されている値よりもはるかに良好である。実施例3のなおも別の顕著な利点は、GWPが、比較例CE2〜CE4と比較してはるかに低いことである。これは、環境的影響における1桁を超える低減に相当する。そのため、構造式1のHFP三量体は、パーフルオロ化PFC及びPFPE製品と同様の又はより良好な物性を産出することができ、一方でまた著しく改善された環境的持続性及び低い毒性も産出することができる。
本開示に対する様々な改変及び変更が、当業者には、本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく明らかとなるであろう。本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態及び実施例によって不当に制限されることは意図していないこと、並びにそのような実施例及び実施形態は、以下のような本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図した本開示の範囲内の例示としてのみ提示されることを理解されたい。本開示に引用される参照文献は全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (6)

  1. デバイスと、
    構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を含む、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、
    Figure 2020514420

    構造式(1)を有する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体が、前記作動流体中に、前記作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、熱伝達のための装置。
  2. 構造式(1)を有する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体が、前記作動流体中に、前記作動流体の総重量に基づいて少なくとも25重量%の量で存在する、請求項1に記載の熱伝達のための装置。
  3. 前記デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用される半導体ウエハ、電力制御半導体、電気化学セル、配電スイッチ装置、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、請求項1に記載の熱伝達のための装置。
  4. 熱を伝達するための前記機構が、デバイスの温度又は温度範囲を維持するためのシステムにおける構成要素である、請求項1に記載の熱伝達のための装置。
  5. デバイスを準備する工程と、
    構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む作動流体を用いて、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する工程と
    を含み、
    Figure 2020514420

    構造式(1)を有する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体が、前記作動流体中に、前記作動流体中のヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、熱を伝達する方法。
  6. 異性体的に純粋なヘキサフルオロプロピレン三量体を作製する方法であって、
    溶媒の存在下で、触媒を用いてヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させて、構造式(1)を有するヘキサフルオロプロピレン三量体を含む粗フルオロケミカル反応生成物を形成する工程と、
    Figure 2020514420

    前記粗フルオロケミカル反応生成物を前記触媒及び溶媒から単離する工程と
    を含み、
    触媒を用いて前記ヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させる工程が、前記ヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応混合物に、前記反応混合物に給送されるヘキサフルオロプロピレンモノマーの総重量に基づいて、1時間当たり30重量%未満の給送率で連続的に給送することを含み、
    触媒を用いてヘキサフルオロプロピレンモノマーを反応させる工程が、少なくとも60℃の反応温度で行われ、
    前記構造式(1)を有する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体が、前記単離された粗フルオロケミカル反応生成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%の量で存在し、
    前記構造式(1)を有する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体が、前記単離された粗フルオロケミカル反応生成物中に存在する前記ヘキサフルオロプロピレン三量体の総重量に基づいて少なくとも85重量%の量で存在する、方法。
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