JP2020193587A - 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法 - Google Patents

速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020193587A
JP2020193587A JP2019099301A JP2019099301A JP2020193587A JP 2020193587 A JP2020193587 A JP 2020193587A JP 2019099301 A JP2019099301 A JP 2019099301A JP 2019099301 A JP2019099301 A JP 2019099301A JP 2020193587 A JP2020193587 A JP 2020193587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow path
phase refrigerant
refrigerant
impeller
compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019099301A
Other languages
English (en)
Inventor
洪志 孫
Hong Zhi Sun
洪志 孫
直芳 庄山
Naoyoshi Shoyama
直芳 庄山
文紀 河野
Fuminori Kono
文紀 河野
松井 大
Masaru Matsui
大 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2019099301A priority Critical patent/JP2020193587A/ja
Publication of JP2020193587A publication Critical patent/JP2020193587A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Abstract

【課題】圧縮機におけるエロージョンを抑制するのに適した技術を提供する。【解決手段】速度型圧縮機3は、回転体27と、冷媒流路40と、主流路21と、噴射流路24と、を備える。回転体27は、回転軸25及びインペラ26を含む。回転体27では、回転軸25及びインペラ26が互いに嵌め合わされた第1締り嵌め部93が設けられている。冷媒流路40は、回転体27の周囲に位置し、気相冷媒が流れる。主流路21は、回転体27の内部において回転体27の軸方向に延びており、液相冷媒が流れる。噴射流路24は、回転体27の内部に位置し、主流路21から分岐して主流路21から冷媒流路40まで延びており、主流路21から冷媒流路40に液相冷媒を導く。噴射流路24は、第1締り嵌め部93の一部である仕切り99によって噴射流路24の途中で仕切られ、仕切り99が受ける遠心力に応じてその部位の隙間が変化し、仕切り99が開閉される。【選択図】図2

Description

本開示は、速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法に関する。
従来の冷凍サイクル装置として、2段の圧縮機を備え、1段目の圧縮機から吐出された気相冷媒が2段目の圧縮機に吸入される前に冷却されるように構成された冷凍サイクル装置が知られている。
図7に示すように、特許文献1に記載された空気調和装置500は、蒸発器510、遠心圧縮機531、蒸気冷却器533、ルーツ式圧縮機532及び凝縮器520を備えている。遠心圧縮機531が前段に設けられ、ルーツ式圧縮機532が後段に設けられている。蒸発器510は、飽和状態の気相冷媒を生成する。気相冷媒は、遠心圧縮機531に吸入され、圧縮される。遠心圧縮機531で圧縮された気相冷媒がルーツ式圧縮機532でさらに圧縮される。遠心圧縮機531とルーツ式圧縮機532との間に配置された蒸気冷却器533において、気相冷媒が冷却される。
蒸気冷却器533は、遠心圧縮機531とルーツ式圧縮機532との間に設けられている。蒸気冷却器533において、気相冷媒に対して水が直接噴霧される。あるいは、蒸気冷却器533において、空気などの冷却媒体と気相冷媒との間で間接的に熱交換が行われる。
特開2008−122012号公報
特許文献1では、圧縮機におけるエロージョンを抑制することについては、検討されていない。
本開示は、
回転軸及びインペラを含み、前記回転軸及び前記インペラが互いに嵌め合わされた第1締り嵌め部が設けられた回転体と、
前記回転体の周囲に位置し、気相冷媒が流れる冷媒流路と、
前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相冷媒が流れる主流路と、
前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記冷媒流路まで延びており、前記主流路から前記冷媒流路に前記液相冷媒を導く噴射流路であって、前記第1締り嵌め部の一部である仕切りによって前記噴射流路の途中で仕切られ、前記仕切りが受ける遠心力に応じて開閉される噴射流路と、を備えた、速度型圧縮機を提供する。
本開示によれば、圧縮機におけるエロージョンを抑制できる。
図1は、本開示の実施形態1に係る冷凍サイクル装置の構成図である。 図2は、本開示の実施形態1に係る速度型圧縮機の断面図である。 図3は、III-III線に沿った回転体の断面図である。 図4Aは、起動時における速度型圧縮機の断面図である。 図4Bは、定格運転時における速度型圧縮機の断面図である。 図5は、比較形態1に係る速度型圧縮機の断面図である。 図6は、本開示の速度型圧縮機の運転方法を示すフローチャートである。 図7は、従来の空気調和装置の構成図である。
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1に記載された空気調和装置によれば、蒸気冷却器533において、ルーツ式圧縮機532に吸入される冷媒の過熱度が低減されうる。しかし、遠心圧縮機531の圧縮過程で発生する過熱度、及び、ルーツ式圧縮機532の圧縮過程で発生する過熱度を圧縮過程において取り除くことができない。冷媒の過熱度が増加すると冷媒のエンタルピーも上昇する。
圧縮機における理想的な圧縮過程は、完全に断熱された等エントロピー線に沿っている。冷媒のp−h線図において、冷媒のエンタルピーが増えるにつれて、等エントロピー線の傾きが緩やかになり、より大きい圧縮動力が要求される。冷媒の過熱度が増加するにつれて、単位質量の冷媒の圧力を所定圧力まで上げるために、より大きい圧縮動力が必要とされる。言い換えれば、圧縮機の負荷が増加し、圧縮機の消費電力が増加する。
そこで、本発明者らは、圧縮機の圧縮過程において気相冷媒を圧縮し、その気相冷媒へと液相冷媒を供給することによって気相冷媒を冷却することを考えた。具体的には、回転体の回転による遠心力を利用して、液相冷媒を気相冷媒へと供給することを考えた。
そのようにする場合、回転体の回転数が高いときには、液相冷媒が受ける遠心力は大きい。このため、液相冷媒は、微粒化され易い。微粒化された液相冷媒は、気相冷媒と熱交換され易い。このため、微粒化された液相冷媒によれば、気相冷媒を冷却し易い。
一方、回転体の回転数が低いときには、液相冷媒が受ける遠心力は小さい。このため、液相冷媒は、液糸又は粗大液滴の状態となり易い。これらの状態の液相冷媒は、圧縮機の構成要素、例えばインペラのエロージョンを引き起こし易い。
本開示は、圧縮機におけるエロージョンを抑制することに適した技術を提供する。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る速度型圧縮機は、
回転軸及びインペラを含み、前記回転軸及び前記インペラが互いに嵌め合わされた第1締り嵌め部が設けられた回転体と、
前記回転体の周囲に位置し、気相冷媒が流れる冷媒流路と、
前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相冷媒が流れる主流路と、
前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記冷媒流路まで延びており、前記主流路から前記冷媒流路に前記液相冷媒を導く噴射流路であって、前記第1締り嵌め部の一部である仕切りによって前記噴射流路の途中で仕切られ、前記仕切りが受ける遠心力に応じて開閉される噴射流路と、を備えている。
第1態様では、仕切りが受ける遠心力に応じて噴射流路が開閉される。そのような仕切りによれば、回転体の回転数が低いときには、噴射流路を閉じることによって、噴射流路から冷媒が流出してエロージョンが発生することを防止できる。また、回転体の回転数が高いときには、噴射流路を開くことによって、微粒化された液相冷媒と気相冷媒とを熱交換させることができる。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る速度型圧縮機では、
前記回転体では、前記回転軸及び前記インペラが互いに嵌め合わされた第2締り嵌め部が設けられていてもよく、
前記第2締り嵌め部の締め代は、前記第1締り嵌め部の締め代よりも大きくてもよい。
第2態様によれば、回転体の高速回転時において、第2締り嵌め部によって回転軸とインペラとが嵌め合わされた状態を維持できる。
本開示の第3態様において、例えば、第2態様に係る速度型圧縮機では、
前記第1締り嵌め部は、前記軸方向の第1位置に設けられていてもよく、
前記第2締り嵌め部は、前記軸方向の第2位置に設けられていてもよく、
前記第1位置における前記インペラの径は、前記第2位置における前記インペラの径よりも大きくてもよい。
インペラは、その径が小さい軸方向位置では遠心力により径方向外側に変形し難く、その径が大きい軸方向位置では遠心力により径方向外側に変形し易い。第3態様では、第1締り嵌め部はインペラの径が大きい軸方向位置に設けられており、第2締り嵌め部はインペラの径が小さい軸方向位置に設けられている。このことは、第1締り嵌め部を噴射流路を開閉するスイッチとして機能させ、第2締り嵌め部を回転軸とインペラとを固定する固定部として機能させるのに好都合である。
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る速度型圧縮機では、
前記噴射流路において、第1部分と、前記仕切りと、第2部分とが、前記主流路から前記冷媒流路に向かってこの順に並んでいてもよく、
前記第1部分は、前記回転軸及び/又は前記インペラの外面に設けられた溝を用いて設けられていてもよい。
第4態様の噴射流路は、噴射流路の一例である。
本開示の第5態様に係る冷凍サイクル装置は、
蒸発器と、
第1から第4態様のいずれか1つの速度型圧縮機と、
凝縮器と、
を備えている。
第5態様によれば、第1態様と同じ効果が得られる。
本開示の第6態様に係る速度型圧縮機の運転方法は、
回転体を備えた速度型圧縮機の運転方法であって、
気相冷媒を圧縮過程に供給することと、
前記回転体の回転数が相対的に低いときにおいて、前記回転体の内部に位置する噴射流路を仕切りで閉塞し、これにより液相冷媒を前記圧縮過程にある前記気相冷媒に供給することを禁止することと、
前記回転体の回転数が相対的に高いときにおいて、前記仕切りに遠心力を印加して該遠心力の向きに前記仕切りの端部を移動させることによって噴射流路の閉塞を解除し、これにより前記液相冷媒を前記圧縮過程にある前記気相冷媒に供給することを許可することと、を含む。
第6態様によれば、回転体の回転数が低いときには、噴射流路を閉じることによって、噴射流路から冷媒が流出してエロージョンが発生することを防止できる。また、回転体の回転数が高いときには、噴射流路を開くことによって、微粒化された液相冷媒と気相冷媒とを熱交換させることができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る冷凍サイクル装置の構成を示している。冷凍サイクル装置100は、蒸発器2、圧縮機3、凝縮器4及び冷媒供給路11を備えている。圧縮機3は、吸入配管6によって蒸発器2に接続され、吐出配管8によって凝縮器4に接続されている。詳細には、蒸発器2の出口と圧縮機3の吸入口とに吸入配管6が接続されている。圧縮機3の吐出口と凝縮器4の入口とに吐出配管8が接続されている。凝縮器4は、戻し経路9によって蒸発器2に接続されている。蒸発器2、圧縮機3及び凝縮器4がこの順番で環状に接続されて冷媒回路10が形成されている。
蒸発器2において冷媒が蒸発し、気相冷媒が生成される。蒸発器2で生成された気相冷媒は、吸入配管6を通じて、圧縮機3に吸入されて圧縮される。圧縮された気相冷媒は、吐出配管8を通じて、凝縮器4に供給される。凝縮器4において気相冷媒が冷却されて液相冷媒が生成される。液相冷媒は、戻し経路9を通じて、凝縮器4から蒸発器2に送られる。気相冷媒は、冷媒蒸気とも称されうる。液相冷媒は、冷媒液とも称されうる。
冷凍サイクル装置100の冷媒として、フロン系冷媒、低GWP(Global Warming Potential)冷媒及び自然冷媒を用いることができる。フロン系冷媒としては、HCFC(hydrochlorofluorocarbon)、HFC(hydrofluorocarbon)などが挙げられる。低GWP冷媒としては、HFO−1234yfなどが挙げられる。自然冷媒としては、CO2、水などが挙げられる。
冷凍サイクル装置100には、例えば、常温での飽和蒸気圧が負圧の物質を主成分として含む冷媒が充填されている。このような冷媒としては、水を主成分として含む冷媒が挙げられる。「主成分」とは、質量比で最も多く含まれた成分を意味する。「常温」とは、日本工業規格JIS Z8703にあるように、20℃±15℃の温度範囲を意味する。負圧とは、絶対圧で大気圧よりも低い圧力を意味する。
冷媒として水を用いた場合、冷凍サイクルにおける圧力比が拡大し、冷媒の過熱度が過大になりがちである。本実施形態では、圧縮機3の内部の冷媒流路に向かって液相冷媒が流出し、圧縮過程での冷媒の過熱度の増加に起因する冷媒のエンタルピーの増加が連続的に抑制される。これにより、冷媒の圧力を所定圧力まで上昇させるために圧縮機3がなすべき仕事を大幅に低減できる。つまり、圧縮機3の消費電力を大幅に節約できる。
冷凍サイクル装置100は、さらに、吸熱回路12及び放熱回路14を備えている。
吸熱回路12は、蒸発器2で冷却された液相冷媒を使用するための回路であり、ポンプ、室内熱交換器などの必要な機器を有している。吸熱回路12の一部は蒸発器2の内部に位置している。蒸発器2の内部において、吸熱回路12の一部は、液相冷媒の液面よりも上に位置していてもよいし、液相冷媒の液面よりも下に位置していてもよい。吸熱回路12には、水、ブラインなどの熱媒体が充填されている。
蒸発器2に貯留された液相冷媒は、吸熱回路12を構成する部材に接触する。これにより、液相冷媒と吸熱回路12の内部の熱媒体との間で熱交換が行われ、液相冷媒が蒸発する。吸熱回路12の内部の熱媒体は、液相冷媒の蒸発潜熱によって冷却される。吸熱回路12を構成する部材の典型例は、配管である。例えば、冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、吸熱回路12の熱媒体によって室内の空気が冷却される。室内熱交換器は、例えば、フィンチューブ熱交換器である。
放熱回路14は、凝縮器4の内部の冷媒から熱を奪うために使用される回路であり、ポンプ、冷却塔などの必要な機器を有している。放熱回路14の一部は凝縮器4の内部に位置している。詳細には、凝縮器4の内部において、放熱回路14の一部は、液相冷媒の液面よりも上に位置している。放熱回路14には、水、ブラインなどの熱媒体が充填されている。冷凍サイクル装置100が室内の冷房を行う空気調和装置である場合、凝縮器4は室外に配置され、放熱回路14の熱媒体によって凝縮器4の冷媒が冷却される。
圧縮機3から吐出された高温の気相冷媒は、凝縮器4の内部において、放熱回路14を構成する部材に接触する。これにより、気相冷媒と放熱回路14の内部の熱媒体との間で熱交換が行われ、気相冷媒が凝縮する。放熱回路14の内部の熱媒体は、気相冷媒の凝縮潜熱によって加熱される。放熱回路14を構成する部材の典型例は、配管である。気相冷媒によって加熱された熱媒体は、例えば、放熱回路14の冷却塔(図示せず)において外気又は冷却水によって冷却される。
蒸発器2は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって構成されている。蒸発器2は、液相冷媒を貯留するとともに、液相冷媒を内部で蒸発させる。蒸発器2の内部の液相冷媒は、蒸発器2の外部からもたらされた熱を吸収し、蒸発する。すなわち、吸熱回路12から熱を吸収することによって加熱された液相冷媒が蒸発器2の中で蒸発する。本実施形態において、蒸発器2に貯留された液相冷媒は、吸熱回路12を循環する熱媒体と間接的に接触する。つまり、蒸発器2に貯留された液相冷媒の一部は、吸熱回路12の熱媒体によって加熱され、飽和状態の液相冷媒を加熱するために使用される。蒸発器2に貯留された液相冷媒の温度、及び、蒸発器2で生成された気相冷媒の温度は、例えば5℃である。
本実施形態において、蒸発器2は、例えばシェルチューブ熱交換器のような間接接触型の熱交換器である。ただし、蒸発器2は、噴霧式又は充填材式の熱交換器のような直接接触型の熱交換器であってもよい。つまり、吸熱回路12に液相冷媒を循環させることによって、液相冷媒を加熱してもよい。さらに、吸熱回路12が省略されていてもよい。
圧縮機3は、蒸発器2で生成された気相冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機3は、速度型圧縮機(dynamic compressor)である。速度型圧縮機は、気相冷媒に運動量を与え、その後、減速させることによって気相冷媒の圧力を上昇させる圧縮機である。速度型圧縮機として、遠心圧縮機、斜流圧縮機、軸流圧縮機などが挙げられる。速度型圧縮機は、ターボ圧縮機とも呼ばれる。圧縮機3は、回転数を変化させるための可変速機構を備えていてもよい。可変速機構の例は、圧縮機3のモータを駆動するインバータである。圧縮機3の吐出口における冷媒の温度は、例えば100〜150℃の範囲にある。
凝縮器4は、例えば、断熱性及び耐圧性を有する容器によって構成されている。凝縮器4は、圧縮機3で圧縮された気相冷媒を凝縮させるとともに、気相冷媒を凝縮させることによって生じた液相冷媒を貯留する。本実施形態では、外部環境に熱を放出することによって冷却された熱媒体に気相冷媒が間接的に接触して凝縮する。つまり、気相冷媒は、放熱回路14の熱媒体によって冷却され、凝縮する。凝縮器4に導入される気相冷媒の温度は、例えば、100〜150℃の範囲にある。凝縮器4に貯留された液相冷媒の温度は、例えば35℃である。
本実施形態において、凝縮器4は、例えばシェルチューブ熱交換器のような間接接触型の熱交換器である。ただし、凝縮器4は、噴霧式又は充填材式の熱交換器のような直接接触型の熱交換器であってもよい。つまり、放熱回路14に液相冷媒を循環させることによって、液相冷媒を冷却してもよい。さらに、放熱回路14が省略されていてもよい。
吸入配管6は、蒸発器2から圧縮機3に気相冷媒を導くための流路である。吸入配管6を介して、蒸発器2の出口が圧縮機3の吸入口に接続されている。
吐出配管8は、圧縮機3から凝縮器4に圧縮された気相冷媒を導くための流路である。吐出配管8を介して、圧縮機3の吐出口が凝縮器4の入口に接続されている。
戻し経路9は、凝縮器4から蒸発器2に液相冷媒を導くための流路である。戻し経路9によって、蒸発器2と凝縮器4とが接続されている。戻し経路9にポンプ、流量調整弁などが配置されていてもよい。戻し経路9は、少なくとも1つの配管によって構成されうる。
冷媒供給路11は、蒸発器2と圧縮機3とを接続している。冷媒供給路11を通じて、蒸発器2に貯留された液相冷媒が圧縮機3に供給される。液相冷媒は、圧縮機3の内部において、冷媒流路に向かって流出する。冷媒供給路11は、少なくとも1つの配管によって構成されうる。冷媒供給路11の入口は、蒸発器2において、蒸発器2に貯留された液相冷媒の液面よりも下に位置している。冷媒供給路11には、ポンプ、弁などが配置されていてもよい。
冷凍サイクル装置100は、液相冷媒を貯留する予備タンクを備えていてもよい。予備タンクは、例えば、蒸発器2に接続されている。予備タンクには、蒸発器2から液相冷媒が移される。冷媒供給路11は、予備タンクから圧縮機3に液相冷媒が供給されるように、予備タンクと圧縮機3とを接続する。予備タンクは、吸入配管6に接続されていてもよい。この場合、予備タンクは、冷凍サイクル内から供給された液相冷媒を貯留してもよいし、吸入配管6の内周面等を介して外部熱源によって冷却されて生成した液相冷媒を貯留してもよい。
次に、圧縮機3の構造について詳細に説明する。以下の説明に係る例では、圧縮機3は、遠心圧縮機である。
図2に示すように、圧縮機3は、回転体27、ハウジング35及びシュラウド37、軸受18、ノズル90を備えている。回転体27は、ハウジング35及びシュラウド37によって囲まれた空間に配置されている。ハウジング35の内部には、回転体27を回転させるためのモータ(図示省略)が配置されていてもよい。
回転体27は、回転軸25及びインペラ26を含む。インペラ26は、回転軸25に取り付けられており、回転軸25とともに高速で回転する。回転体27の回転数は、例えば、5000〜100000rpmの範囲にある。回転軸25は、S45CHなどの強度の高い鉄系材料で作製されている。インペラ26は、例えば、アルミニウム、ジュラルミン、鉄、セラミックなどの材料で作製されている。図2では1つのインペラが示されているが、回転体27は複数段のインペラを含んでいてもよい。つまり、回転体27は、少なくとも1つのインペラを含みうる。
インペラ26は、ハブ30及び複数のブレード31を有する。ハブ30は、回転軸25に嵌め合わされた部分である。回転軸25の中心軸Oを含む断面において、ハブ30は、末広がりの輪郭を有している。複数のブレード31は、回転軸25の周方向に沿ってハブ30の表面30pに配置されている。
インペラ26の周囲の空間には、冷媒流路40、ディフューザ41及び渦巻室42が含まれる。冷媒流路40は、回転体27の周囲に位置し、圧縮されるべき気相冷媒が流れる流路である。冷媒流路40は、吸入流路36及び複数の翼間流路38を含む。吸入流路36は、気相冷媒の流れ方向において、ブレード31の上流端31tよりも上流側に位置している。翼間流路38は、回転軸25の周方向において互いに隣り合うブレード31の間に位置している。インペラ26が回転すると、複数の翼間流路38のそれぞれを流れる気相冷媒に回転方向の速度が与えられる。
ディフューザ41は、インペラ26によって回転方向に加速された気相冷媒を渦巻室42に導くための流路である。ディフューザ41の流路断面積は、冷媒流路40から渦巻室42に向かって拡大している。この構造は、インペラ26によって加速された気相冷媒の流速を減速させ、気相冷媒の圧力を上昇させる。ディフューザ41は、例えば、半径方向に延びる流路によって構成されたベーンレスディフューザである。冷媒の圧力を効果的に上昇させるために、ディフューザ41は、複数のベーン及びそれらによって仕切られた複数の流路を有するベーンドディフューザであってもよい。
渦巻室42は、ディフューザ41を通過した気相冷媒が集められる渦巻状の空間である。圧縮された気相冷媒は、渦巻室42を経由して、圧縮機3の外部、具体的には吐出配管8へと導かれる。渦巻室42の断面積が円周方向に沿って拡大しており、これにより、渦巻室42における気相冷媒の流速及び角運動量が一定に保たれる。
シュラウド37は、インペラ26を覆って、冷媒流路40、ディフューザ41及び渦巻室42を規定している。シュラウド37は、鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されている。鉄系材料として、FC250、FCD400、SS400などが挙げられる。アルミニウム系材料として、ACD12などが挙げられる。
ハウジング35は、圧縮機3の各種部品を収容するケーシングの役割を担っている。ハウジング35とシュラウド37とが組み合わされることによって、渦巻室42が形成されている。ハウジング35は、上記した鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されうる。ディフューザがベーンドディフューザであるとき、複数のベーンも上記した鉄系材料又はアルミニウム系材料によって作製されうる。
軸受18は、回転軸25を回転可能に支持している。本実施形態では、軸受18は、すべり軸受である。すべり軸受18は、潤滑剤として、冷凍サイクル装置100の液相冷媒を使用する。すべり軸受18は、直接又は軸受箱(図示省略)を介してハウジング35に接続されている。シール29は、すべり軸受18の潤滑剤がインペラ26に向かって流れることを阻止する。シール29は、例えば、ラビリンスシールである。
軸受潤滑流路91は、すべり軸受18と回転軸25との間に位置している。軸受潤滑流路91には、液相冷媒が供給される。軸受潤滑流路91を液相冷媒が流れることにより、すべり軸受18が潤滑される。これにより、すべり軸受18の焼き付きを防止できる。すべり軸受18と回転軸25との間の隙間を、軸受隙間と称することができる。軸受潤滑流路91は、軸受隙間に設けられている。軸受潤滑流路91ですべり軸受18を潤滑した液相冷媒は、排出流路19を通ってハウジング35の外部へと排出される。
なお、軸受18がすべり軸受であることは必須ではない。軸受18の他の例は、転がり軸受である。
回転体27の内部には、主流路21及び噴射流路24が設けられている。
主流路21は、軸受潤滑流路91と連通している。主流路21は、回転体27の内部において、回転体27の軸方向に延びている。主流路21は、液相冷媒が導入される流入口21aを有している。詳細には、主流路21は、回転軸25の内部に設けられており、回転軸25の軸方向に延びている。噴射流路24は、回転体27の内部に位置している。噴射流路24は、主流路21から分岐して主流路21から冷媒流路40まで延びている。
主流路21は、冷媒供給路11を通じて、蒸発器2に接続されている。主流路21には、回転体27の外部に位置している冷媒供給路11から導入された液相冷媒が流れる。噴射流路24は、主流路21から冷媒流路40に液相冷媒を導く流路である。
ノズル90は、噴射流路24に設けられている。ノズル90は、液相冷媒を冷媒流路40に流出させる。詳細には、ノズル90は、噴射流路24の先端に設けられている。
本実施形態では、ノズル90は、ねじ止めにより噴射流路24に設けられている。ねじ止めは、ノズル90を強固に固定することに適している。具体的には、ノズル90は、ねじ切りされた部分であるノズルねじ90aを有する。回転体27の内面は、ねじ孔部を有する。ノズルねじ90aがねじ孔部に係合している。このような係合により、ノズル90が噴射流路24に設けられている。図示の例では、インペラ26の内面が、ねじ孔部を有する。ただし、回転軸25の内面がねじ孔部を有していてもよい。
ノズル90は、ねじ止め以外により噴射流路24に設けられていてもよい。
第1の別例では、ノズル90は、嵌合により噴射流路24に設けられている。具体的には、ノズル90は、回転体27の内面に嵌め込まれることによって、噴射流路24に設けられている。より具体的には、ノズル90は、インペラ26又は回転軸25の内面に嵌め込まれることによって、噴射流路24に設けられている。
第2の別例では、回転体27の内面は、座繰り部を有する。具体的には、インペラ26又は回転軸25の内面は、座繰り部を有する。座繰り部にノズル90が収容されている。その収容状態を維持するシーリングがなされている。このようにして、ノズル90が噴射流路24に設けられている。
上記のねじ止め、嵌合及び座繰りに基づく形態では、ノズル90は、回転軸25及びインペラ26とは別部品である。ただし、ノズル90は、回転軸25又はインペラ26に含まれた一部分であってもよい。
典型例では、ノズル90は、液相冷媒を冷媒流路40に噴霧する。これにより、微粒化された液相冷媒を冷媒流路40に流出させることができる。このようにすれば、液相冷媒と気相冷媒との間の熱交換が促進され易い。また、このようにすれば、インペラ26のエロージョンのリスクが低減されうる。
図2の例では、インペラ26の外面に溝97が設けられている。回転軸25の内部に、第1孔241が設けられている。第1孔241は、主流路21から回転軸25の半径方向に延びている。インペラ26の内部に、第2孔242が設けられている。第2孔242は、回転軸25と冷媒流路40との間で延びている。噴射流路24は、第1孔241と、溝97と、第2孔242とを用いて設けられている。具体的には、噴射流路24では、第1孔241と、溝97と、第2孔242とが、主流路21から冷媒流路40に向かってこの順に並んでいる。
なお、噴射流路24の「噴射」という文字は、噴射流路24において液相冷媒が流れる態様、ノズル90から冷媒流路40へと液相冷媒が流出される態様などを限定することを意図したものではない。例えば、噴射流路24を流れる液相冷媒の流速は特に限定されない。また、ノズルには種々の種類がありその液体の流出態様は様々であるが、ノズル90として採用可能なノズルの種類は特に限定されない。
以下、冷媒の流れ方に言及しながら、本実施形態に係る圧縮機3についてさらに説明する。
冷媒供給路11を通じて、蒸発器2から主流路21に液相冷媒が供給される。液相冷媒は、遠心力によって加圧され、主流路21及び噴射流路24を通じて、圧縮機3の内部の冷媒流路40に向かって流出する。冷媒流路40において液相冷媒が気相冷媒に接触すると、液相冷媒と気相冷媒との間で熱交換が起こり、液相冷媒の顕熱又は蒸発潜熱によって過熱状態の気相冷媒が連続的に冷却される。これにより、圧縮過程での冷媒の過熱度の増加に起因する冷媒のエンタルピーの増加が連続的に抑制される。圧縮機3が必要とする圧縮動力は、完全に断熱された等エントロピー圧縮に必要とされる圧縮動力未満まで低減されうる。冷媒の圧力を所定圧力まで上昇させるために圧縮機3がなすべき仕事を大幅に低減できる。つまり、圧縮機3の消費電力を大幅に節約できる。その結果、冷凍サイクル装置100の効率が向上する。
主流路21は、回転軸25の端面25cに位置している流入口21aを有する。端面25cは、インペラ26が位置している側とは反対側に位置している端面である。流入口21aから主流路21に液相冷媒が導入される。このような構成によれば、液相冷媒を主流路21にスムーズに送り込むことが可能である。主流路21は、回転軸25の中心軸Oを含んでいる。回転軸25の横断面において、主流路21は、例えば、円形の断面形状を有する。回転軸25の横断面において、主流路21の中心が中心軸Oに一致している。ただし、主流路21の中心が回転軸25の中心軸Oからオフセットしていてもよい。回転軸25の軸方向において、主流路21は、インペラ26の上面26t付近まで延びている。
冷媒供給路11は、ハウジング35の接続口28に接続されうる。ハウジング35の内部には接続口28に連通しているバッファ室35hが設けられており、冷媒供給路11からバッファ室35hに液相冷媒が供給される。回転軸25の端面25cがバッファ室35hに面している。つまり、主流路21がバッファ室35hに向かって開口している。このような構成によれば、バッファ室35hを介して、液相冷媒を冷媒供給路11から主流路21にスムーズに送り込むことが可能である。
噴射流路24は、主流路21から分岐し、回転軸25の半径方向に延びている。噴射流路24の中の液相冷媒には遠心力が働く。液相冷媒は、遠心力によってノズル90を介して冷媒流路40に流出し、圧縮機3に吸入された気相冷媒に混合される。本実施形態では、噴射流路24は、回転軸25の軸方向に垂直な方向に延びている。噴射流路24にノズル90が設けられており、ノズル90は冷媒流路40に面している。ノズル90は、気相冷媒の流れ方向において、ブレード31の上流端31tよりも上流側に位置している。このような構成によれば、圧縮過程の気相冷媒から効率的に熱を奪うことが可能である。
ノズル90の位置は、図2に示す位置に限定されない。ノズル90は、気相冷媒の流れ方向において、ブレード31の上流端31tよりも下流側に位置していてもよい。さらに、ノズル90は、気相冷媒の流れ方向において、インペラ26の上面26tよりも上流側に位置していてもよい。この場合、ノズル90は、回転軸25の側面に位置しうる。これらの構成によっても、圧縮過程の気相冷媒から熱を奪うことが可能である。
噴射流路24の流路断面積は、主流路21の流路断面積よりも小さい。このような構成によれば、冷媒流路40に霧状の液相冷媒を供給しやすい。
図3に示すように、本実施形態では、複数(2以上)の噴射流路24が設けられている。複数の噴射流路24は、主流路21から放射状に延びている。噴射流路24のそれぞれから冷媒流路40に液相冷媒が流出する。このような構成によれば、回転軸25の周方向において、気相冷媒を均一に冷却することができる。ただし、圧縮機3が少なくとも1つの噴射流路24を有している場合、本開示の効果が得られる。噴射流路24は、本実施形態のようにインペラ26の半径方向に平行に延びていてもよく、半径方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。
詳細には、図3の例では、回転軸25の周方向において、ノズル90は、等角度間隔で並んでいる。ノズル90は、周方向において隣り合うブレード31とブレード31との間に位置している。各ノズル90から均一な流量にて液相冷媒が各翼間流路38に流出する。このような構成によれば、回転軸25の周方向において、気相冷媒をより均一に冷却することができる。ノズル90の数は、翼間流路38の数と異なっていてもよく、翼間流路38の数に等しくてもよい。噴射流路24のノズル90が翼間流路38に一対一で対応していてもよい。
上記のように、圧縮機3におけるノズル90の数は、特に限定されず、1つであっても複数であってもよい。本明細書では、ある1つのノズル90を、第1ノズル90と称することがある。
複数のブレード31が複数のフルブレードと複数のスプリッタブレードとを含む場合、回転軸25の周方向において、周方向において隣り合うフルブレードとフルブレードとの間にノズル90が位置していてもよい。あるいは、周方向において隣り合うフルブレードとスプリッタブレードとの間にノズル90が位置していてもよい。スプリッタブレードは、フルブレードよりも短いブレードである。複数のフルブレード及び複数のスプリッタブレードは、回転軸25の周方向に沿ってハブ30の表面30pに交互に配置されうる。
本開示の圧縮機3の構造は、多段の圧縮機のそれぞれに適用可能である。各段の圧縮機において、所望の効果が得られる。例えば、圧縮機3が複数のインペラを含む多段圧縮機である場合、複数のインペラのそれぞれに噴射流路24が設けられ、各段の冷媒流路に液相冷媒が流出しうる。
図2に戻って、回転体27では、インペラ26及び回転軸25が互いに嵌め合わされた第1締り嵌め部93が設けられている。また、図2の例の回転体27では、インペラ26及び回転軸25が互いに嵌め合わされた第2締り嵌め部94が設けられている。
第1締り嵌め部93により、噴射流路24が途中で仕切られている。具体的には、噴射流路24は、仕切り99によって途中で仕切られている。仕切り99は、第1締り嵌め部93の一部である。噴射流路24は、仕切り99が受ける遠心力に応じて開閉される。
仮に、図5に示すように、噴射流路24を途中で仕切る仕切りがなかったとする。この場合、回転体27の回転数が低いときには、噴射流路24における液相冷媒が受ける遠心力は小さいため、液糸又は粗大液滴の状態にある液相冷媒が噴射流路24から流出し易い。このような流出は、圧縮機3の構成要素、例えばインペラ26のエロージョンを引き起こし易い。
これに対し、図2の形態では、仕切り99が受ける遠心力に応じて噴射流路24が開閉される。このようにすれば、回転体27の回転数が低いときには、噴射流路24を閉じることによって、噴射流路24から冷媒が流出してエロージョンが発生することを防止できる。また、回転体27の回転数が高いときには、噴射流路24を開くことによって、微粒化された液相冷媒と気相冷媒とを熱交換させることができる。
本実施形態では、仕切り99は、第1締り嵌め部93におけるインペラ26の部分である。
本実施形態では、回転体27の回転数が相対的に低いときに、噴射流路24を仕切り99で閉塞する。これにより、液相冷媒を冷媒流路40に供給することが禁止される。一具体例では、圧縮機3の回転数が閾値回転数未満であるときに、上記閉塞と上記禁止とが行われる。
本実施形態では、回転体27の回転数が相対的に高いときに仕切り99に遠心力を印加して該遠心力の向きに仕切り99の端部を移動させることによって噴射流路24の閉塞を解除する。これにより、液相冷媒を冷媒流路40に供給することが許可される。一具体例では、圧縮機3の回転数が閾値回転数以上であるときに、上記解除と上記許可とが行われる。
噴射流路24の閉塞及びその解除について、図4A及び図4Bを参照しながらさらに説明する。図4Aは、圧縮機3の起動時を示す。図4Bは、圧縮機3の定格運転時を示す。起動時において、圧縮機3の回転数は相対的に低い。定格運転時において、圧縮機3の回転数は相対的に高い。
冷媒供給路11を通じて、主流路21に液相冷媒が供給される。主流路21に流れる液相冷媒は、第1孔241の内部で遠心力によって加圧され、溝97に供給される。
図4Aに示す低速運転時において、仕切り99に作用する遠心力は小さい。このため、仕切り99によって噴射経路24が閉じられる。つまり、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空かない。仕切り99によって液相冷媒は遮断され、第1噴射流路24aから第2噴射流路24bへの液相冷媒の供給が遮断される。
図4Bに示す高速運転時において、仕切り99に高速回転の遠心力が作用する。これにより、遠心力の向きに仕切り99の端部が移動し、噴射経路24が開く。つまり、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空く。溝97における液相冷媒は、上記隙間を経て第2噴射流路24bに供給され、第2噴射流路24b内部で遠心力によってさらに加圧され、噴射流路24の先端に設けられるノズル90を通じて微粒化される。微粒化された液相冷媒は圧縮機3の内部の冷媒流路40に向かって流出する。
一具体例では、起動時において、圧縮機3は、0〜10000rpmまで加速される。圧縮機3の定格運転時の回転数は、28000rpmである。以下、定格運転時の回転数を、定格回転数と称することがある。
インペラ26が、アルミニウム製であり、その密度ρが2800kg/m3であるとする。インペラ26のヤング率Eが、7.2×1010N/m2であるとする。インペラ26のポアソン比νが、0.33であるとする。締り嵌め部Zにおけるインペラ26の内側半径aが、50mmであるとする。締り嵌め部Zにおけるインペラ26の外側半径bが、60mmとする。ここで、締り嵌め部Zは、第1締り嵌め部93又は第2締り嵌め部94である。このとき、インペラ26の内側半径aにおける半径方向の変位xは、下記の式で計算できる。なお、以下の式において、ωは、圧縮機3の回転数である。
Figure 2020193587
インペラ26の内径の増加幅は、半径方向の変位xの2倍となる。ω=10000rpmのとき、インペラ26の内径の増加幅は2×x=18.1μmである。ω=28000rpmのとき、インペラ26の内径の増加幅は2×x=86.4μmである。
第1締り嵌め部93の締め代を18.1μmにしたとする。この場合、圧縮機3の回転数が10000rpm未満であるときには、第1噴射流路24aから第2噴射流路24bへの液相冷媒の供給は遮断される。また、この場合、圧縮機3の回転数が高まって10000rpm以上になると、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空き始め、第1噴射流路24aと第2噴射流路24bが連通し、液相冷媒が供給される。なお、圧縮機3の回転数が10000rpmであるとき、インペラ26の外側外径bの位置にある液相冷媒は、遠心力によって加圧されることにより、約2MPaの圧力を有している。
第2締り嵌め部94の締め代を86.4μmよりも大きくすれば、圧縮機3の回転数が定格回転数28000rpmでも、第2締り嵌め部94におけるインペラ26と回転軸25の間に隙間が空かない。このため、液相冷媒がインペラ26の外部へ漏れない。
以上の説明から理解されるように、圧縮機3の起動時には、圧縮機3の回転数が低い。このため、インペラ26が受ける回転による遠心力は小さい。このため、第1締り嵌め部93において、インペラ26と回転軸25の間に、半径方向の相対変位は発生しない。つまり、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空かない。このため、第1噴射流路93と第2噴射流路94とが遮断された状態が維持され、第1噴射流路24aから第2噴射流路24bへの液相冷媒の供給が遮断される。よって、起動時において、回転数が低く遠心力による圧力が低くても、液相冷媒の供給が抑えられ、インペラ26のエロージョンが発生し難い。
一方、圧縮機3の定格運転時には、圧縮機3の回転数が高い。このため、インペラ26が受ける回転による遠心力は大きい。このため、第1締り嵌め部93において、インペラ26と回転軸25の間に半径方向の相対変位が発生する。つまり、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空く。このため、第1噴射流路24aと第2噴射流路24bが連通し、第1噴射流路24aから第2噴射流路24bへと液相冷媒が供給される。さらに、高速回転の遠心力により液相冷媒が昇圧される。これにより、高圧力で微粒化された液相冷媒が冷媒流路40に流出する。
さらに、この例では、第2締り嵌め部94の締め代が第1締り嵌め部93の締め代より大きい。このため、定格運転時の高速回転による遠心力を第2締り嵌め部94が受けても、インペラ26と回転軸25の間に隙間が空かない。このため、液相冷媒がインペラ26の外部に漏洩し難い。
図2に戻って、本実施形態では、第1部分24aと、仕切り99と、第2部分24bとが、主流路21から冷媒流路40に向かってこの順に並んでいる。詳細には、図2の例では、噴射流路24が、仕切り99によって、第1部分24aと第2部分24bとに仕切られている。以下では、第1部分24aを、第1噴射流路24aと称することがある。第2部分24bを、第2噴射流路24bと称することがある。第1噴射流路24aは、主流路21から分岐して、主流路21から延びている。第2噴射流路24bは、冷媒流路40まで延びている。
本実施形態では、インペラ26の外面に溝97が設けられており、第1噴射流路24aは、溝97を用いて設けられている。ただし、インペラ26の外面に溝97を設ける代わりに、回転軸25の外面に溝Xを設け、溝Xを用いて第1噴射流路24aを設けてもよい。また、インペラ26の外面に溝97を設け、回転軸25の外面に溝Xを設け、第1噴射流路24aを溝97及び溝Xを用いて設けてもよい。
図2の例では、第1噴射流路24aは、第1孔241を用いて設けられている。また、第2噴射流路24aは、第2孔242を用いて設けられている。
上述の通り、図2の例では、第2締り嵌め部94の締め代は、第1締り嵌め部93の締め代よりも大きい。このようにすれば、回転体27の高速回転時において、第2締り嵌め部94によって回転軸25とインペラ26とが嵌め合わされた状態を維持できる。
図2の例では、第1締り嵌め部93は、回転体27の軸方向ADの第1位置p1に設けられている。第2締り嵌め部94は、軸方向ADの第2位置p2に設けられている。第1位置p1におけるインペラ26の径は、第2位置p2におけるインペラ26の径よりも大きい。インペラ26は、その径が小さい軸方向位置p2では遠心力により径方向外側に変形し難く、その径が大きい軸方向位置p1では遠心力により径方向外側に変形し易い。図2の例では、第1締り嵌め部93はインペラ26の径が大きい軸方向位置p1に設けられており、第2締り嵌め部94はインペラ26の径が小さい軸方向位置p2に設けられている。このことは、第1締り嵌め部93を噴射流路24を開閉するスイッチとして機能させ、第2締り嵌め部94を回転軸25とインペラ26とを固定する固定部として機能させるのに好都合である。
一例では、第1締り嵌め部93及び第2締り嵌め部94は、インペラ26を加熱して回転軸25に焼き嵌めすることによって、回転軸25及びインペラ26を互いに嵌め合わせた部分である。別例では、第1締り嵌め部93及び第2締り嵌め部94は、回転軸25を冷却してインペラ26に冷え嵌めすることによって、回転軸25及びインペラ26を互いに嵌め合わせた部分である。
図2の例では、回転体27に、シール部95が設けられている。シール部95は、インペラ26と回転軸25の間から液相冷媒が漏洩することを防止する。シール部95は、例えば、Oリングなどのシール材である。
図示の例では、シール部95は、軸方向ADの第3位置p3に設けられている。第3位置p3におけるインペラ26の径は、第1位置p1及び第2位置p2におけるインペラ26の径よりも大きい。
次に、一具体例に係る冷凍サイクル装置100の動作及び作用を説明する。
冷凍サイクル装置100が一定期間(例えば夜間)放置された場合、冷凍サイクル装置100の内部(例えば冷媒回路10)の温度は、周囲温度に概ね均衡する。冷凍サイクル装置100の内部の圧力は、特定の圧力に均衡する。圧縮機3を起動すると、蒸発器2の内部の圧力が徐々に低下し、液相冷媒が内気と熱交換する吸熱回路12の熱媒体から吸熱することによって蒸発し、気相冷媒が生成される。気相冷媒は、圧縮機3に吸入されて圧縮され、圧縮機3から吐出される。高圧の気相冷媒は、凝縮器4に導入され、放熱回路14を介して気相冷媒が外気等に放熱することによって凝縮し、液相冷媒が生成される。液相冷媒は、戻し経路9を通じて、凝縮器4から蒸発器2へと送られる。
圧縮機3の内部において、主流路21及び噴射流路24を通じて、冷媒流路40に液相冷媒が流出する。圧縮機3によって昇圧されて温度が上昇した気相冷媒と霧状の液相冷媒との間で熱交換が起こり、過熱状態の気相冷媒が霧状の液相冷媒の蒸発によって連続的に冷却される。圧縮過程での冷媒の過熱度の増加に起因する冷媒のエンタルピーの増加が連続的に抑制される。圧縮機3が必要とする圧縮動力は、完全に断熱された等エントロピー圧縮に必要とされる圧縮動力未満まで低減されうる。冷媒の圧力を所定圧力まで上昇させるために圧縮機3がなすべき仕事を大幅に低減できる。つまり、圧縮機3の消費電力を大幅に節約できる。その結果、冷凍サイクル装置100の効率が向上する。
さらに、上記のとおり、圧縮機3におけるエロージョンを抑制できる。
図6は、回転体27を備えた速度型圧縮機3の運転方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、気相冷媒を圧縮機3の圧縮過程に供給する。
回転体27の回転数が相対的に低いときに、ステップS3を実行する。回転体27の回転数が相対的に高いときに、ステップS4を実行する。図6では、回転体27の回転数が相対的に低いときは、ステップS2において「いいえ」のときに対応する。回転体27の回転数が相対的に高いときは、ステップS2において「はい」のときに対応する。
ステップS3において、回転体27の内部に位置する噴射流路24を仕切り99で閉塞する。ステップS3では、これにより、液相冷媒を圧縮過程にある気相冷媒に供給することを禁止する。
ステップS4において、仕切り99に遠心力を印加して該遠心力の向きに仕切り99の端部を移動させることによって噴射流路24の閉塞を解除する。ステップS4では、これにより、液相冷媒を圧縮過程にある気相冷媒に供給することを許可する。
図6に示すように、ステップS1と、ステップS2からS4とは、並列して実行されうる。
本開示に係る冷凍サイクル装置は、多段圧縮機である場合でも、圧縮時のエンタルピーの上昇を連続的に低減することで圧縮動力を低減できるため、高効率に冷熱を生成できる。また、本開示に係る冷凍サイクル装置によれば、圧縮機におけるエロージョンを抑制できる。本開示に係る冷凍サイクル装置は、ビルのセントラル空調機やプロセス冷却用のチラーなどの用途に適用できる。
2 蒸発器
3 圧縮機
4 凝縮器
6 吸入配管
8 吐出配管
9 戻し経路
10 冷媒回路
11 冷媒供給路
12 吸熱回路
14 放熱回路
18 軸受
19 排出流路
21 主流路
21a 流入口
24 噴射流路
24a 第1部分
24b 第2部分
25 回転軸
25c 端面
26 インペラ
26t 上面
27 回転体
28 接続口
29 シール
30 ハブ
30p ハブの表面
31 ブレード
31t ブレードの上流端
35 ハウジング
35h バッファ室
36 吸入流路
37 シュラウド
38 翼間流路
40 冷媒流路
41 ディフューザ
42 渦巻室
90 ノズル
90a ノズルねじ
91 軸受潤滑流路
93 第1締り嵌め部
94 第2締り嵌め部
95 シール部
97 溝
99 仕切り
100 冷凍サイクル装置
241 第1孔
242 第2孔

Claims (6)

  1. 回転軸及びインペラを含み、前記回転軸及び前記インペラが互いに嵌め合わされた第1締り嵌め部が設けられた回転体と、
    前記回転体の周囲に位置し、気相冷媒が流れる冷媒流路と、
    前記回転体の内部において前記回転体の軸方向に延びており、液相冷媒が流れる主流路と、
    前記回転体の内部に位置し、前記主流路から分岐して前記主流路から前記冷媒流路まで延びており、前記主流路から前記冷媒流路に前記液相冷媒を導く噴射流路であって、前記第1締り嵌め部の一部である仕切りによって前記噴射流路の途中で仕切られ、前記仕切りが受ける遠心力に応じて開閉される噴射流路と、を備えた、速度型圧縮機。
  2. 前記回転体では、前記回転軸及び前記インペラが互いに嵌め合わされた第2締り嵌め部が設けられ、
    前記第2締り嵌め部の締め代は、前記第1締り嵌め部の締め代よりも大きい、
    請求項1に記載の速度型圧縮機。
  3. 前記第1締り嵌め部は、前記軸方向の第1位置に設けられ、
    前記第2締り嵌め部は、前記軸方向の第2位置に設けられ、
    前記第1位置における前記インペラの径は、前記第2位置における前記インペラの径よりも大きい、
    請求項2に記載の速度型圧縮機。
  4. 前記噴射流路において、第1部分と、前記仕切りと、第2部分とが、前記主流路から前記冷媒流路に向かってこの順に並んでおり、
    前記第1部分は、前記回転軸及び/又は前記インペラの外面に設けられた溝を用いて設けられている、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の速度型圧縮機。
  5. 蒸発器と、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の速度型圧縮機と、
    凝縮器と、
    を備えた、冷凍サイクル装置。
  6. 回転体を備えた速度型圧縮機の運転方法であって、
    気相冷媒を圧縮過程に供給することと、
    前記回転体の回転数が相対的に低いときにおいて、前記回転体の内部に位置する噴射流路を仕切りで閉塞し、これにより液相冷媒を前記圧縮過程にある前記気相冷媒に供給することを禁止することと、
    前記回転体の回転数が相対的に高いときにおいて、前記仕切りに遠心力を印加して該遠心力の向きに前記仕切りの端部を移動させることによって噴射流路の閉塞を解除し、これにより前記液相冷媒を前記圧縮過程にある前記気相冷媒に供給することを許可することと、を含む方法。
JP2019099301A 2019-05-28 2019-05-28 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法 Pending JP2020193587A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019099301A JP2020193587A (ja) 2019-05-28 2019-05-28 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019099301A JP2020193587A (ja) 2019-05-28 2019-05-28 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020193587A true JP2020193587A (ja) 2020-12-03

Family

ID=73545823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019099301A Pending JP2020193587A (ja) 2019-05-28 2019-05-28 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020193587A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113803272A (zh) * 2021-08-22 2021-12-17 芜湖中燃城市燃气发展有限公司 一种天然气加压输送装置及方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113803272A (zh) * 2021-08-22 2021-12-17 芜湖中燃城市燃气发展有限公司 一种天然气加压输送装置及方法
CN113803272B (zh) * 2021-08-22 2023-09-12 芜湖中燃城市燃气发展有限公司 一种天然气加压输送装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106321499B (zh) 涡轮机和制冷循环装置
CN111480009B (zh) 速度型压缩机及制冷循环装置
EP2933498B1 (en) Turbomachine and refrigeration cycle apparatus
JP2019506584A (ja) チラーシステムにおいて使用されるエコノマイザ
JP2000230760A (ja) 冷凍機
JP2005312272A (ja) ターボ冷凍機及びターボ冷凍機用モータ
JP2020193587A (ja) 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法
EP3434999B1 (en) Refrigeration cycle apparatus
JP2018066308A (ja) ターボ機械
JP2010060202A (ja) 冷凍機用電動機における冷却構造
JP7461789B2 (ja) 速度型圧縮機及び冷凍サイクル装置
US10234175B2 (en) Turbo refrigerator
JP2018135832A (ja) 流体機械及び冷凍サイクル装置
JP2020159294A (ja) ターボ圧縮機及び冷凍サイクル装置
US20240068382A1 (en) Rotary machine and refrigeration device using same
JP7504655B2 (ja) 冷凍サイクル装置
JP2020186705A (ja) 速度型圧縮機、冷凍サイクル装置及び速度型圧縮機の運転方法
JP2019211170A (ja) 冷凍サイクル装置
WO2020241162A1 (ja) 速度型圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2018123759A (ja) ターボ圧縮機
WO2019171740A1 (ja) 速度型圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2019100695A (ja) 冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の駆動方法
JP2004300928A (ja) 多段圧縮機、ヒートポンプ、並びに熱利用装置
WO2020129326A1 (ja) ターボ圧縮機及び冷凍サイクル装置
WO2019111690A1 (ja) 冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200117