JP2020193341A - 極性基含有オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

極性基含有オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020193341A
JP2020193341A JP2020092528A JP2020092528A JP2020193341A JP 2020193341 A JP2020193341 A JP 2020193341A JP 2020092528 A JP2020092528 A JP 2020092528A JP 2020092528 A JP2020092528 A JP 2020092528A JP 2020193341 A JP2020193341 A JP 2020193341A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
substituted
monomer
hydrocarbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020092528A
Other languages
English (en)
Inventor
京子 野崎
Kyoko Nozaki
京子 野崎
田谷野 孝夫
Takao Tayano
孝夫 田谷野
シャオミン ワン
xiao min Wang
シャオミン ワン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polychem Corp
University of Tokyo NUC
Original Assignee
Japan Polychem Corp
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polychem Corp, University of Tokyo NUC filed Critical Japan Polychem Corp
Publication of JP2020193341A publication Critical patent/JP2020193341A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】ポリオレフィンの主鎖にエノン構造を一段階の重合反応で導入できる、極性基含有オレフィン重合体の製造方法を提供する。【解決手段】遷移金属を含む触媒下で、下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させる、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。モノマー(A):エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種、モノマー(B):下記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種。(式中、RxおよびRyは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、ニトロ基等である。)【選択図】なし

Description

本開示は、極性基含有オレフィン重合体の製造方法に関し、詳しくは、ポリオレフィンの主鎖にエノン構造を一段階の重合反応で導入できる極性基含有オレフィン重合体の製造方法に関するものである。
近年、ポリオレフィンに極性基が導入された極性基含有オレフィン共重合体のニーズが増加し、種々の共重合体例が報告されている。
極性基含有オレフィン共重合体としては、従来、側鎖に極性基を有する共重合体が知られている。例えば、図16に示すような、エチレンと、アクリル酸エステルやビニルケトンとを共重合して得られる、側鎖にカルボニル基を有する共重合体等がある(例えば、特許文献1)。
一方、ポリオレフィンの主鎖に極性基が導入された極性基含有オレフィン共重合体として、図17に示すようなα−オレフィンと一酸化炭素との共重合により得られる、主鎖にカルボニル基を有する共重合体がある(例えば、特許文献2及び3)。
特許第6309206号 米国特許第3694412号明細書 米国特許第3689460号明細書
しかしながら、特許文献1に記載されるような、従来のα−オレフィンと極性基含有モノマーとの共重合体は、側鎖にのみ官能基を有する重合体である。従来のα−オレフィンと極性基含有モノマーとの共重合では、ポリマー鎖の主鎖に、官能基を導入することはできない。
特許文献2及び3に記載されるような、α−オレフィンと一酸化炭素との共重合では、ポリマー鎖の主鎖にカルボニル基を導入することはできるが、ポリマーの主鎖に、カルボニル基以外の官能基を導入することはできない。α−オレフィンと一酸化炭素との共重合では、アルケンとケトンの共役系を構成する不飽和結合構造であるエノン構造を、ポリマー主鎖の構造単位として導入することはできない。
本願は、ポリオレフィンの主鎖に、構造単位としてエノン構造を一段階の重合反応で導入できる極性基含有オレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法は、
遷移金属を含む触媒下で、
下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする。
モノマー(A):エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
モノマー(B):下記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良い。)
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法においては、さらに、下記モノマー(C)を用いて重合させてもよい。
モノマー(C):下記一般式(2)で表される極性基含有モノマー(c−1)及び下記一般式(3)で表される極性基含有モノマー(c−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種
(一般式(2)中、RとRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、RとRの少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。)
(一般式(3)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜20の炭化水素基である。nは0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜R10は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、R11〜R14の少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。R11及びR12、並びに、R13及びR14は、各々一体化して2価の有機基を形成してもよく、R11又はR12と、R13又はR14とは、互いに環を形成していてもよい。)
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法においては、前記モノマー(A)が、エチレンであることが、重合体の製造効率の点から好ましい。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法において、前記RとRの少なくとも1つは、水素原子とは異なることが、極性基含有オレフィン共重合体の用途が広がる点、及び一般式(1)で示される化合物の安定性の点から好ましい。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法においては、前記触媒が、周期表10族遷移金属を含む触媒であることが、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から好ましい。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法においては、前記触媒が、周期表10族遷移金属を含む触媒であり、かつ当該10族遷移金属への配位点としてリン原子を含むキレート配位子を少なくとも1つ有することが、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から好ましい。
本開示によれば、ポリオレフィンの主鎖に、構造単位としてエノン構造を一段階の重合反応で導入できる極性基含有オレフィン重合体の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1〜4の極性基含有オレフィン共重合体1〜4のH−NMR測定結果を示す。 図2は、実施例1の極性基含有オレフィン共重合体1のH−NMR測定結果を示す。 図3は、実施例1の極性基含有オレフィン共重合体1の13C−NMR測定結果を示す。 図4は、実施例1の極性基含有オレフィン共重合体1のGPCチャートを示す。 図5は、実施例1の極性基含有オレフィン共重合体1のDSCチャートを示す。 図6は、実施例9の極性基含有オレフィン共重合体9のH−NMR測定結果を示す。 図7は、実施例10の極性基含有オレフィン共重合体10のH−NMR測定結果を示す。 図8は、実施例11の極性基含有オレフィン共重合体11のH−NMR測定結果を示す。 図9は、実施例12の極性基含有オレフィン共重合体12のH−NMR測定結果を示す。 図10は、実施例13の極性基含有オレフィン共重合体13の13C−NMR測定結果を示す。 図11は、実施例14の極性基含有オレフィン共重合体14の13C−NMR測定結果を示す。 図12は、実施例15の極性基含有オレフィン共重合体15のH−NMR測定結果を示す。 図13は、実施例15の極性基含有オレフィン共重合体15の13C−NMR測定結果を示す。 図14は、図1に示されるαおよびβの構造を示す。 図15は、本開示の極性基含有オレフィン共重合体の構造の概略図を示す。 図16は、従来のエチレンとアクリル酸エステルの共重合体の構造の概略図を示す。 図17は、従来のエチレン−一酸化炭素の共重合体の構造の概略図を示す。
以下、本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法について、項目毎に詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の各々を示し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を示す。また、本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法は、遷移金属を含む触媒下で、下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする。
モノマー(A):エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
モノマー(B):下記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基,又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良い。)
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法では、遷移金属を含む触媒を用いて前記モノマーを重合させることにより、モノマー(B)が開環して重合体の主鎖に組み込まれるため、一段階の重合で、図15に示すように、ポリオレフィンの主鎖に、アルケンとケトンの共役系を構成する不飽和結合構造であるエノン構造を、構造単位として導入することができる。
エノン構造は、非常に高い反応性を有するため、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、例えばMichael付加反応やKnoevenagel縮合反応などの基質として利用することが可能である。また、エノン構造は、アニオン重合およびラジカル重合に対しても反応性を示すことが知られているため、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、重合性モノマーとしての利用価値もある。
また、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、エノン構造における不飽和結合に水素原子とは異なる官能基を有する場合、当該官能基が脱離基として作用することも考えられる。当該官能基が脱離基として作用する場合、例えばヘック反応やワッカー反応などに用いることで、当該官能基は他の置換基を導入するための起点となり得る。
以上のように、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、多様な複合材料へと変換される原料になり得ることが期待できる。
更に、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、エノン構造における不飽和結合に2つの官能基を有することができ、エノン構造を有する構造単位において、3つの官能基と1つの不飽和結合を常に同一順序で有し得る。そのため、前記RおよびRが、例えば金属への配位性を有する官能基を含む基であると、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、金属錯体へのキレート配位性を有するなどの機能性物質として作用することも期待できる。このような働きから、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、金属錯体触媒のための担体や金属錯体回収のための吸着材などの用途も期待できる。
(1)モノマー(A)
モノマー(A)は、エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。炭素数3〜20のオレフィンは、鎖状オレフィンであっても環状オレフィンであっても良く、炭素数3〜20のα−オレフィン及び炭素数4〜20の環状オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本開示に関わるα−オレフィンは、構造式:CH=CHR18で表される炭素数3〜20のα−オレフィン(R18は炭素数1〜18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)であり、より好ましくは、炭素数3〜12のα−オレフィンである。
また、炭素数4〜20の環状オレフィンは、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等が挙げられる。
モノマー(A)の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、及びノルボルネン等が挙げられる。モノマー(A)としては、重合体の製造効率の点から、中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、及びノルボルネンからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、更に、エチレンであることが好ましい。
また、モノマー(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いても良い。
二種の組み合わせとしては、エチレン−プロピレン、エチレン−1−ブテン、エチレン−1−ヘキセン、エチレン−1−オクテン、プロピレン−1−ブテン、プロピレン−1−ヘキセン、プロピレン−1−オクテン、エチレン−ノルボルネンなどが挙げられる。
三種の組み合わせとしては、エチレン−プロピレン−1−ブテン、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン、エチレン−プロピレン−1−オクテン、プロピレン−1−ブテン−ヘキセン、プロピレン−1−ブテン−1−オクテンなどが挙げられる。
本開示においては、モノマー(A)としては、好ましくは、エチレンを必須で含み、必要に応じて1種以上の炭素数3〜20のオレフィンをさらに含んでも良い。
モノマー(A)中のエチレンは、モノマー(A)の全体100mol%に対して、65〜100mol%であってもよく、70〜100mol%であってもよい。
(2)モノマー(B)
モノマー(B)は、下記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基,又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良い。)
一般式(1)中、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
一般式(1)中、炭素数1〜30のエステル基は、−COORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該エステル基における炭素数は、カルボニル基の炭素数は含まれず、前記Rにおける炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、直鎖、分岐、環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせが挙げられ、例えば、下記炭素数1〜30のアルキル基の例の他、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基、フェニル基、メチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、i−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、トリメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等のアラルキル基等を好適に挙げることができる。
また、炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、等を好適に挙げることができる。
当該炭化水素基は、更に置換基を有していても良く、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、エポキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、水酸基等が挙げられる。なお、置換基に含まれる炭素数は、前記炭素数に含まれないものとする。
前記Rにおける炭化水素基は、中でも炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1〜6の無置換の炭化水素基であることがより更に好ましい。
炭素数1〜30のエステル基の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を好適に挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30のアシルオキシ基は、−OCORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該アシルオキシ基における炭素数は、カルボニル基の炭素数は含まれず、前記Rにおける炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
炭素数1〜30の炭化水素基としては、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のアシルオキシ基の具体例としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を好適に挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30のアシル基は、−CO−Rで表される示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該アシル基における炭素数は、カルボニル基の炭素数は含まれず、前記Rにおける炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のアシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、(メタ)アクリロイル基、ベンゾイル基等を好適に挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30のアルコキシ基は、−ORで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数7〜30のアラルキル基を示す。当該アルコキシ基における炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数7〜30のアラルキル基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のアルコキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基,i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、シクロプロポキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシロキシ基、n−オクトキシ基、n−デトキシ基、ベンジルオキシ基等を好適に挙げることができる。
また、炭素数6〜30のアリールオキシ基は、−ORd’で示される1価の基であり、ここでRd’は、炭素数6〜30のアリール基を示す。当該アリール基における炭素数は、下限値が6以上であればよく、8以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、12以下であってもよい。
d’における炭素数6〜30のアリール基は、前記Rのうち、炭素数6〜30のアリール基に相当するものを挙げることができる。
炭素数6〜30のアリールオキシ基の具体例としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、フルオレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等を挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30のアルキルチオ基は、−SRで示される1価の基であり、ここでRは、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数7〜30のアラルキル基を示す。当該アルキルチオ基における炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数7〜30のアラルキル基としては、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のアルキルチオ基の具体例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ、ベンジルチオ基等を好適に挙げることができる。
また、炭素数6〜30のアリールチオ基は、−SRe’で示される1価の基であり、ここでRe’は、炭素数6〜30のアリール基を示す。当該アリール基における炭素数は、下限値が6以上であればよく、8以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、12以下であってもよい。
e’における炭素数6〜30のアリール基は、前記Rのうち、炭素数6〜30のアリール基に相当するものを挙げることができる。
炭素数6〜30のアリールチオ基の具体例としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等を挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基は、−NRで示される1価の基であり、ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該置換アミノ基に置換される炭化水素基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
及びRにおける炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基の具体例としては、例えば、アミノ基(−NH)、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、モノフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を好適に挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基は、−SiRで示される1価の基であり、ここでR、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該シリル基に置換される炭化水素基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
、R及びRにおける炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等を好適に挙げることができる。
一般式(1)中、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基は、−CONRまたは−NRCORで示される1価の基であり、ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該置換アミド基に置換される炭化水素基の炭素数は、カルボニル基の炭素数を含まず、前記R及びRにおける炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
及びRにおける炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基の具体例としては、例えば、−CONH、−CONH(CH)、−CON(CH、−CONH(C)、−CON(C、−CONH(i−C)、−CON(i−C、−CONH(Ph)、−CON(Ph)、−NHCOCH、−NHCOC等を好適に挙げることができる。なお、本明細書において、Phはフェニル基を示す。
一般式(1)中、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基は、炭素数1〜30の炭化水素基において、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換された基である。当該炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができるが、中でも、アルキル基及びアリール基が入手の容易性の点から好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
当該炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基の水素原子の1〜3個がハロゲン原子で置換されているハロメチル基、クロロエチル基、γ−クロロプロピル基、3,3’,3”−トリフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基等が挙げられ、前記ハロメチル基としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基としては、中でも、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が、共重合体の製造効率の点から好ましい。
一般式(1)中、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い複素環基における複素環の炭素数は、2以上が挙げられ、上限値は8以下であればよく、6以下であってもよく、5以下であってもよい。
当該複素環基の具体例としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、オキサゾイル基、オキサゾリジニル基、イソキサゾリジニル基、チアゾリル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基としては、例えば、水酸基、ホルミル基、エポキシ基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数1〜30のスルホニル基、炭素数1〜30のスルホキシド基、炭素数1〜30のスルホン酸エステル基等が挙げられる。
当該炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基は、前述と同様であって良い。
前記炭素数1〜30のスルホニル基は、−SOで示される1価の基であり、ここでRは炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該スルホニル基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のスルホニル基の具体例としては、例えば、−SOCH、−SOPh等を好適に挙げることができる。
前記炭素数1〜30のスルホキシド基は、−SORで示される1価の基であり、ここでRは炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該スルホキシド基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のスルホキシド基の具体例としては、例えば、−SOCH、−SOPh等を好適に挙げることができる。
前記炭素数1〜30のスルホン酸エステル基は、−OSOで示される1価の基であり、ここでRは炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該スルホン酸エステル基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のスルホン酸エステル基の具体例としては、例えば、−SOCH、−SOPh等を好適に挙げることができる。
前記酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基としては、中でも、共重合体の製造効率の点から、水酸基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、及び炭素数6〜30のアリールチオ基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、及び炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(1)中、RおよびRは、互いに結合して、RおよびRが結合している不飽和結合と共に4〜10員環の環を形成していても良い。RおよびRが互いに結合して形成される環は、炭素環または複素環であってよく、該炭素環または複素環は単環でも多環であってもよい。RおよびRは、互いに結合して飽和結合または不飽和結合を形成してよく、或いは、−CO−O−CO−基を形成していてもよく、非芳香環であって良い。
前記モノマー(B)は、本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体の用途が広がる点及び一般式(1)で示される化合物の安定性の点から、前記一般式(1)中の前記RとRの少なくとも1つが、水素原子とは異なる、すなわち、前記RとRの少なくとも1つは、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、ニトロ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良いことが好ましい。
中でも、本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体の利用可能性が向上する点、及び一般式(1)で示される化合物の安定性の点から、前記RとRは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良く、RとRの少なくとも1つは、水素原子とは異なることが好ましい。すなわち、前記RとRの少なくとも1つは、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良いことが好ましい。
また、前記モノマー(B)は、本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体の利用可能性が向上する点から、前記一般式(1)中の前記RとRが、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良いことが好ましく、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良いことがより好ましい。
中でも、前記RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良いことがより好ましく、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であることがより好ましく、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)で表される極性基含有モノマーとしては、例えば、2,3−ジアリールシクロプロペン−1−オン、2,3−ジヘテロアリールシクロプロペン−1−オン、2,3−ジアルキルシクロプロペン−1−オン、及び2−アルキル−3−アリールシクロプロペン−1−オンが好適に用いられる。
2,3−ジアリールシクロプロペン−1−オン及び2,3−ジヘテロアリールシクロプロペン−1−オンの具体例としては、例えば、以下のような構造の化合物等が挙げられる。
2,3−ジアルキルシクロプロペン−1−オンの具体例としては、例えば、以下のような構造の化合物等が挙げられる。
上記以外の、一般式(1)中のRおよびRがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基,又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基を有している化合物としては、例えば以下のような構造の化合物が挙げられる。
一般式(1)中のRおよびRが環構造を形成している化合物としては、例えば、以下のような構造の化合物等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる1種以上のモノマー(B)は、従来公知の製造方法を組み合わせて製造することができる。例えば、各種アルキンとジクロロカルベン前駆体と水の反応による製法(J.Am.Chem.Soc. 1966, 88(3),504−509)、各種シクロプロペノンアセタールに求電子剤を作用させて置換基を導入する製法(Tetrahedron 1992, 48(11),2045−2057)、各種シクロブテンジオンを光で異性化して導く製法(J.Am.Chem.Soc. 1976, 98(12),3641−3644)、1,3−ジブロモ−2−プロパノン構造からの脱臭素によって三員環を閉じる製法(J.Am.Chem.Soc. 1965, 87(6),1326−1331)等が利用できる。
前記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる1種以上のモノマー(B)としては、市販品を用いても良い。
(3)モノマー(C)
モノマー(C)は、下記一般式(2)で表される極性基含有オレフィンモノマー(c−1)、及び下記一般式(3)で表される極性基含有オレフィンモノマー(c−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(一般式(2)中、RとRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、RとRの少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。)
(一般式(3)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜20の炭化水素基である。nは0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜R10は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、R11〜R14の少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。R11及びR12、並びに、R13及びR14は、各々一体化して2価の有機基を形成してもよく、R11又はR12と、R13又はR14とは、互いに環を形成していてもよい。)
(3−1)極性基含有モノマー(c−1)
一般式(2)中、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、及び炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基は、前記一般式(1)で説明したものと同様であってよい。
また、一般式(2)中、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基のうち、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基は、前記一般式(1)で説明したものと同様であってよい。
リン原子を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基において、炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
リン原子を含む官能基としては、例えば、炭素数1〜30のホスファイト基、炭素数1〜30のホスフェート基、炭素数1〜30のリンイリド基等が挙げられる。
前記炭素数1〜30のホスファイト基は、−P(ORで示される1価の基であり、ここでRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該ホスファイト基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のホスファイト基の具体例としては、例えば、−P(OPh)、−P(OCH等を好適に挙げることができる。
前記炭素数1〜30のホスフェート基は、−P(=O)(ORで示される1価の基であり、ここでRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を示す。当該ホスフェート基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
における炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のホスフェート基の具体例としては、例えば、−P(=O)(OPh)、−P(=O)(OCH等を好適に挙げることができる。
前記炭素数1〜30のリンイリド基は、−P=CRで示される1価の基であり、ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、少なくとも1つは前記炭化水素基である。当該リンイリド基に置換される炭化水素基の炭素数は、P=Cの炭素数は含まれず、前記R又はRにおける炭素数をいい、下限値が1以上であればよく、2以上であってもよく、上限値は30以下であればよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
及びRにおける炭素数1〜30の炭化水素基は、前記Rと同様のものを挙げることができる。
炭素数1〜30のリンイリド基の具体例としては、例えば、−P=CHCH、−P=CHPh、−P=CHCHPh等を好適に挙げることができる。
とRの少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。前記酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基としては、例えば、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、並びに、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む置換基で置換されている炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる。当該炭素数1〜30の炭化水素基の酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む置換基としては、水酸基、エポキシ基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、炭素数1〜30のチオエステル基、炭素数1〜30のスルホニル基、炭素数1〜30のスルホキシド基、炭素数1〜30のスルホン酸エステル基、炭素数1〜30のホスファイト基、及び炭素数1〜30のホスフェート基等が挙げられる。
前記一般式(2)で表される極性基含有モノマー(c−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、4−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)アクリレート等が挙げられる。
また、前記一般式(2)で表される極性基含有モノマー(c−1)としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアミド、酢酸ビニル、酢酸アリル、3−酢酸ブテニル、3−シアノプロペン、メチルビニルエーテル、3−クロロプロペン、N−プロピリデンエテンアミン、3−(メチルチオ)−1−プロペン、3−(メチルスルフィニル)−1−プロペン、3−(メチルスルホニル)−1−プロペン、2−プロペン−1−スルホン酸メチル、及び2−プロペニルホスホン酸ジメチル等が挙げられる。
前記一般式(2)において、Rが水素原子である場合には、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から好ましい。
また、前記一般式(2)において、Rが水素原子で、Rが炭素数1〜30のエステル基、シアノ基、シアノメチル基、シアノエチル基、ハロメチル基、アシルオキシメチル基、又はアシルオキシエチル基であることが、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から好ましい。
前記一般式(2)で表される極性基含有モノマー(c−1)としては、中でも、ヘテロ原子の占める重量比率が高い点、後周期遷移金属触媒への副作用が小さい点、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに、前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、酢酸アリル、3−酢酸ブテニル、アクリロニトリル、及び3−シアノプロペンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(3−2)極性基含有モノマー(c−2)
一般式(3)中、R〜R10におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
〜R10における炭素数1〜20の炭化水素基としては、一般式(1)における前記Rのうち、炭素数1〜20の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基およびプロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基およびプロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
nは0又は正の整数を示すが、2以下であることが好ましく、1以下であることが好ましい。
一般式(3)中、R11〜R14における、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基は、それぞれ、一般式(2)における、RとRにおいて説明したものと同様であってよい。
一般式(3)中、R11〜R14の少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基であるが、当該酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基についても、一般式(2)における、RとRにおいて説明したものと同様であってよい。
11及びR12、並びに、R13及びR14は、各々一体化して2価の有機基を形成してもよい。ここで有機基とは少なくとも炭素原子を含む基をいう。各々一体化して2価の有機基を形成している場合は、2価の炭化水素基であることが好ましく、当該炭化水素基には、−CO−、−O(CO)−、−COO−、−C(=O)OC(=O)−、−C(=O)NRC(=O)−、−SO2−、−O−等の連結基が含まれていても良い。なお、ここでのRは、前記と同様である。
11又はR12と、R13又はR14とは、各々相互に結合して環を形成していてもよいが、炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は単環でも多環であってもよい。例えば、R11又はR12と、R13又はR14とは、各々相互に結合して−CO−O−CO−基を形成していてもよい。
前記一般式(3)において、nが0または1であり、R〜R10が水素原子又はメチル基であることが、極性モノマー自体の合成の容易性の点から好ましい。
前記一般式(3)で表される極性基含有モノマー(c−2)としては、中でも、後周期遷移金属触媒への副作用が小さい点、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに、前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−メチルアミン、2−アセトキシ−5−ノルボルネン、 2−シアノメチル−5−ノルボルネン、及び5−ノルボルネン−2−カルボニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、更に、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸プロピル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸ブチル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、及び5−ノルボルネン−2−メタノール、からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(4)極性基含有オレフィン共重合体の組成
本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、前記モノマー(A)に由来する構造単位(A)と、前記モノマー(B)に由来する構造単位(B)とを含み、さらに、前記モノマー(C)に由来する構造単位(C)等のその他の構造単位を含んでいてもよい。
本開示において、前記モノマー(A)と、前記モノマー(B)と、必要に応じて前記モノマー(C)等のその他のモノマーとを重合させる際には、前記モノマー(A)、前記モノマー(B)及び前記モノマー(C)等のその他のモノマーはそれぞれ、単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。
本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体中の前記モノマー(A)に由来する構造単位(A)の割合は、所望の物性に応じて適宜選択されれば良いが、構造単位全体100mol%に対して、通常下限値が60.00mol%以上であり、好ましくは65.50mol%以上、より好ましくは76.00mol%以上、更に好ましくは85.00mol%以上、特に好ましくは87.00mol%以上であることが挙げられる。一方、通常上限値は99.98mol%以下、好ましくは99.92mol%以下、より好ましくは99.90mol%以下、さらに好ましくは99.80mol%以下、よりさらに好ましくは99.70mol%以下である。
前記モノマー(B)に由来する構造単位(B)は、下記一般式(I)で表される構造単位を含むことが、極性基含有オレフィン共重合体の用途が広がり、極性基含有オレフィン共重合体の利用可能性が向上する点から、好ましい。
(一般式(I)中、RおよびRは、前記一般式(1)と同様である。)
すなわち、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、前記一般式(I)で表されるエノン構造の構造単位を主鎖に有することにより、付加反応や縮合反応などの基質として、又は重合性モノマーとして利用することが可能であり、多様な複合材料へと変換される原料になり得ることが期待できる。
また、前記RとRの少なくとも1つが水素原子とは異なる基である場合、一般式(I)で表される構造単位において、例えば、前記RとRの少なくとも1つが、脱離基として作用することが考えられる。前記R又はRが脱離基として作用する場合、極性基含有オレフィン共重合体は、ヘック反応やワッカー反応などに用いることで、前記R又はRが他の置換基を導入するための起点となり得る。当該脱離基として作用する基としては、極性基を含む官能基が好ましく、例えば、ハロゲン原子、アシルオキシ基等を好適に挙げることができる。
更に、前記RおよびRがそれぞれ独立して水素原子とは異なる基である場合、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、一般式(I)で表される構造単位において、3つの官能基と1つの不飽和結合を常に同一順序で有する。そのため、前記官能基が、例えば金属への配位性を有する極性の官能基であると、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、金属へのキレート配位性を有するなどの機能性物質として作用することも期待できる。このような働きから、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体は、金属錯体触媒のための担体や金属錯体回収のための吸着材などの用途も期待できる。前記RおよびRにおける、金属への配位性を有する極性の官能基としては、例えば、β−ケト−エノラート配位子となり得るような水酸基、β−ケト−イミナート配位子となり得るようなアミノ基、更に、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、及びこれらの官能基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基等を好適に挙げることができる。
また、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、前記構造単位(B)において、3つの官能基と1つの不飽和結合を常に同一順序で有する場合、このような構造単位は多様な共鳴構造を有する可能性が考えられ、本開示の極性基含有オレフィン共重合体は、色素や染料又は医薬品などの用途への応用も期待できる。
なお、一般式(I)中のRおよびRは、同一であっても異なっていてもよい。
本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体における、3つの官能基と1つの不飽和結合を有する構造単位としては、例えば以下の構造単位が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記モノマー(B)に由来する構造単位(B)中の前記一般式(I)で表される構造単位の割合は、平均分子量や所望の物性に応じて適宜選択されれば良いが、構造単位全体100mol%に対して、通常0.01mol%以上であり、好ましくは0.05mol%以上、より好ましくは0.10mol%以上、更に好ましくは0.20mol%以上であることが挙げられる。一方、通常上限値は15.00mol%以下、好ましくは10.00mol%以下、より好ましくは8.00mol%以下、さらに好ましくは6.00mol%以下である。
前記モノマー(B)に由来する構造単位(B)は、前記一般式(I)で表される構造単位とは異なる構造単位をさらに含んでいてもよい。前記構造単位(B)がさらに含んでいてもよい構造単位としては、例えば、下記式(II)で表される構造単位等を挙げることができる。
本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体が、前記式(II)で表される構造単位を含む場合、極性基含有オレフィン共重合体中の当該構造単位の割合は、所望の物性に応じて適宜選択されれば良いが、構造単位全体100mol%に対して、通常下限値が0.001mol%以上であり、0.005mol%以上であってもよく、0.01mol%以上であってもよい。一方、通常上限値は15.00mol%以下、好ましくは10.00mol%以下,より好ましくは3.00mol%以下、さらに好ましくは2.00mol%以下である。
前記一般式(I)で表される構造単位と、前記式(II)で表される構造単位との合計100mol%に対して、前記一般式(I)で表される構造単位の割合は、通常50mol%以上であり、好ましくは55mol%以上、より更に好ましくは60mol%以上である。
前記式(II)で表される構造単位の割合よりも、極性基含有オレフィン共重合体中の前記一般式(I)で表される構造単位の割合が大きい方が、極性基含有オレフィン共重合体の用途が広がる点から好ましい。
本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン共重合体が、前記モノマー(C)に由来する構造単位(C)を含む場合、極性基含有オレフィン共重合体中の構造単位(C)の割合は、所望の物性に応じて適宜選択されれば良いが、構造単位全体100mol%に対して、通常下限値が0.01mol%以上であり、好ましくは0.05mol%以上、より好ましくは0.10mol%以上、更に好ましくは0.50mol%以上であることが挙げられる。一方、通常上限値は35.00mol%以下、好ましくは30.00mol%以下、より好ましくは20.00mol%以下、さらに好ましくは10.00mol%以下である。
なお、各モノマー1分子に由来する構造を、極性基含有オレフィン重合体中の1構造単位と定義する。
そして、極性基含有オレフィン重合体中の構造単位全体を100mol%とした時に各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン重合体では、構造単位(A)、構造単位(B)、及び必要に応じて含まれる構造単位(C)等のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。これらの中では、構造単位(B)を多く含むことが可能なランダム共重合体であってよい。
また、本開示の方法により得られる極性基含有オレフィン重合体においては、前記構造単位(A)のmol分率[A]と前記構造単位(B)のmol分率[B]と、更に含まれていても良い前記構造単位(C)のmol分率[C]が、[A]≧{([A]+[B]+[C])×80%}を満たすことが、この重合体が例えば疎水性のようなオレフィンとしての特性も維持するためには好ましい。
なお、構造単位量は、触媒の選択や、重合時に添加するモノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)の量、重合時の圧力や温度で制御することが可能である。共重合体中のモノマー(B)及びモノマー(C)に由来する構造単位量を増加させる具体的手段としては、重合時に添加するモノマー(B)及びモノマー(C)の量の増加、重合時のオレフィン圧力の低減、重合温度の増加が有効である。例えば、これらの因子を調節して、目的とするコポリマー領域に制御することが求められる。
本開示における極性基含有オレフィン重合体中の構造単位量はH−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルを用いて求められる。NMRスペクトルは以下の方法によって測定する。
極性基含有オレフィン重合体を1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2に加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定する。H−NMRスペクトルは極性基含有オレフィン重合体5質量%溶液とし、13C−NMRスペクトルは、極性基含有オレフィン重合体15質量%溶液とする。
または約150mgの極性基含有オレフィン共重合体を1,2−ジクロロベンゼン:ブロモベンゼン−d5=1:2の混合溶媒2.4mLに加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定してもよい。
NMR測定は、例えばBRUKER(株)製Ascend500やBRUKER(株)製AVANCE400を用いて120℃で行う。
13C−NMRは緩和試薬としてクロム(III)アセチルアセトナートを用い、逆ゲート付きデカップリング法を用いて測定(9.0マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:31kHz、緩和時間:10秒、取り込み時間:10秒、FIDの積算回数5,000〜10,000回)し、定量分析を行う。または、13C−NMRは、逆ゲート付きデカップリング法を用いて測定(15.8マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:25kHz、緩和時間:50秒、取り込み時間:1.5秒、FIDの積算回数1,024回)し、定量分析を行ってもよい。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,500,000、更に好ましくは20,000〜1,000,000、好適なのは31,000〜800,000、より好適なのは35,000〜800,000の範囲である。Mwが1,000未満では機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではない恐れがあり、Mwが2,000,000を超えると溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる恐れがある。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の数平均分子量(Mn)は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは3,000〜1,500,000、更に好ましくは4,000〜1,000,000、好適なのは5,000〜800,000、より好適なのは5,000〜600,000の範囲である。Mnが1,000未満では機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではない恐れがあり、Mnが2,000,000を超えると溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる恐れがある。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、通常1.0〜4.0、好ましくは1.3〜3.5、更に好ましくは1.4〜3.3の範囲である。Mw/Mnが1.0未満では成形を始めとして各種加工性が充分でない恐れがあり、4.0を超えると機械物性が劣るものとなる恐れがある。
また、本開示においては(Mw/Mn)を分子量分布パラメーターと表現することがある。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。
本開示におけるGPCの測定方法の例は以下の通りである。
数平均分子量及び重量平均分子量は、東ソー(株)製、TSKgel GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8321GPC/HTを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)、または昭和電工(株)製、AT−806MSカラム(8.0mmI.D.×25cmを3本直列)を備えたWaters(株)製高温GPC装置、ALC/GPC 150Cを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトフラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度;140℃)により算出することができる。
本開示における極性基含有オレフィン共重合体の、示差走査熱量測定(DSC)により観測される融点(Tm、℃)は、特に限定されない。融点は50℃超140℃以下であることが好ましく、60℃〜138℃であることが更に好ましく、70℃〜135℃がより更に好ましい。この範囲を満たすと耐熱性と耐衝撃性や接着性等が優れたものとなる。
融点は、例えば、セイコー電子工業株式会社製「EXSTAR6000」を使用し、40℃で1分等温、10℃/分で40℃から160℃までの昇温、160℃で10分等温、10℃/分で160℃から10℃まで降温、10℃で5分等温後、10℃/分で10℃から160℃までの昇温時の測定により求めることができる。
(5)遷移金属を含む触媒
本開示の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法では、一段階の重合反応で、前記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)を開環してポリマーの主鎖に導入する観点、及び共重合体の分子構造を直鎖状とする観点から、遷移金属を含む触媒の存在下で重合する。
本開示に用いられる遷移金属を含む触媒としては、前記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマー(B)を開環して、前記モノマー(A)と重合させることが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物が挙げられる。
好ましい遷移金属の具体例として、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、白金、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅などが挙げられる。これらの中で好ましくは、第8〜11族の遷移金属であり、さらに好ましくは第10族遷移金属であり、当該第10族遷移金属としては、ニッケル、パラジウム、又は白金が挙げられ、特に好ましくはニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
キレート性配位子は、P、N、O、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位(bidentate)又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、その構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
好ましくは、二座アニオン性P、O配位子として例えば、リンスルホナート、リンカルボキシラート、リンフェノキシド、リンアルコキシド、リンエノラートが挙げられ、他に、二座アニオン性N、O配位子として例えば、サリチルアルドイミナ−トやピリジンカルボキシラートが挙げられ、他に、ジイミン配位子、ジフェノキシド配位子、ジアミド配位子が挙げられる。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法に用いられる遷移金属を含む触媒としては、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、第8族〜第10族遷移金属からなる群より選ばれる後周期遷移金属を含む触媒であることが好ましく、中でも、第10族遷移金属を含む触媒であることが好ましく、更に、第10族遷移金属を含む触媒であり、当該10族遷移金属への配位点として一つ以上のリン原子を含むキレート配位子を有することが好ましい。
本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法に用いられる遷移金属を含む触媒としては、重合体の製造効率、重合体の分子量、並びに前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)との共重合性の点から、中でも、第10族遷移金属を含む触媒であり、下記一般式(104)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(一般式(104)中、Mは第10族遷移金属を示し、QはA[−S(=O)−O−]M、A[−C(=O)−O−]M、A[−O−]M、又はA[−S−]Mの「[ ]」の中に示される2価の基を示す(ただし、両側のA、Mは基の結合方向を示すために記載している)。Aは、Qとリン原子を連結する炭素数1〜30の2価の炭化水素基で官能基を有していてもよく、Lは金属から脱離可能な0価の配位子を示し、R15とR16とR17は官能基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。R15とLは環を形成してもよく、R16とR17は環を形成してもよく、R16又はR17はAと結合して環を形成してもよい。)
一般式(104)中、Mは第10族遷移金属を示し、中でも、Ni、Pdであることが好ましい。
Qは、−S(=O)−O−、−C(=O)−O−、−P(=O)(−OH)−O−、または−S−で示される2価の基を表し、Mに1電子配位する部位である。前記各式の左側がAに結合し、右側がMに結合している。これらの中でも触媒活性の面から−S(=O)−O−が特に好ましい。
Aは、Qとリン原子を連結する炭素数1〜30の2価の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、官能基を有していてもよい。
炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基としては、好ましくは、炭素原子数1〜12の2価の炭化水素基であり、好ましくはアルキレン基、アリーレン基等が挙げられ、特にアリーレン基が好ましい。
Aにおける炭化水素基の官能基としては、例えば、ハロゲン原子、−OR、−CO、−COM’、−CON(R、−COR、−SR、−SO、−SOR、−OSO、−PO(OR2−y(R、−CN、−NHR、−N(R、−Si(OR3−x(R、−OSi(OR3−x(R、−NO、−SOM’、−POM’、−P(O)(ORM’、またはエポキシ含有基等が挙げられる(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す)。
ここでの炭素数1〜20の炭化水素基は、前記一般式(1)のRのうち、炭素数1〜20の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
Aにおける炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基としては、例えば、下記式(a−1)〜(a−7)が挙げられる。下記式において、R104は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、又は官能基である。R104における、炭素数1〜30の炭化水素基は、前記一般式(1)のRと同様のものを挙げることができる。当該炭素数1〜30の炭化水素基は、中でも1〜20の炭化水素基が好ましく、1〜10の炭化水素基が更に好ましい。
Aにおける炭素原子数1〜30の2価の炭化水素基としては、中でも、触媒活性の面から、下記式(a−7)であることが好ましい。
Lは金属から脱離可能な0価の配位子を示す。
Lは、電子供与性基を有し、金属原子Mに配位して金属錯体を安定化させることのできる化合物であることが好ましい。Lは、配位結合可能な原子として、酸素、窒素、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物、或いは、遷移金属に配位可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物(ヘテロ原子を含有していてもよい)も使用することができる。好ましくは、Lの炭素数は1〜16であり、更に好ましくは1〜10である。
好ましいLとしては、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。
Lは、硫黄原子を有するものとしてジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。窒素原子を有するものとして、アルキル基の炭素原子数1〜10のトリアルキルアミン、アルキル基の炭素原子数1〜10のジアルキルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)、アニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、アセトニトリル、ベンゾニトリル、キノリン、2−メチルキノリンなどが挙げられる。酸素原子を有するものとして、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンが挙げられる。錯体の安定性及び触媒活性の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)が好ましく、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,6−ジメチルピリジン(別名:2,6−ルチジン)がより好ましい。
なお、R15とLは環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができ、これも本開示における好ましい態様である。
15とR16とR17は官能基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示す。
15とR16とR17における炭素数1〜30の炭化水素基としては、前記一般式(1)のRと同様のものを挙げることができる。
15とR16とR17における官能基は、前記Aにおける官能基と同様であって良い。
15としては、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基、アルコキシ基又はアリールオキシ基で置換された炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基の炭素数はより好ましくは1〜10である。R15としては、具体的には、より好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基、または1−(2,6−ジメチルフェノキシ基メチル)エチル基であり、より更に好ましくはメチル基又はベンジル基である。
16及びR17は、遷移金属Mの近傍にあって、立体的及び/又は電子的に遷移金属Mに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、R16及びR17は嵩高い方が好ましい。R16及びR17の好ましい炭素数は3〜30、より更に好ましくは6〜20である。
16及びR17はそれぞれ、官能基を有していても良い炭素原子数3〜10のアルキル基、官能基を有していても良い炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、官能基を有していても良い炭素原子数6〜20のアリール基であることが好ましい。
16及びR17における前記炭素原子数3〜10のアルキル基としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が好ましい。
16及びR17における官能基を有していても良い炭素原子数6〜20のシクロアルキル基としては、官能基を有していても良く、炭素原子数3〜10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていても良いシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
また、例えば特開2018−141138号公報の段落0104〜0113に記載されているシクロアルキル基(特開2018−141138号公報の段落0104〜0113におけるXは、本開示の一般式(104)においてP(リン原子)の結合位置を示す)であってもよい。
16及びR17は、中でも、重合体分子量制御および極性モノマー共重合性制御の点から、炭素原子数3〜10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていても良いシクロヘキシル基であることが好ましく、炭素原子数3〜10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されているシクロヘキシル基であることがより好ましい。中でも、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル基(メンチル基)であることが好ましい。
また、R16及びR17における官能基を有していても良い炭素原子数6〜20のアリール基としては、官能基を有していても良く、炭素原子数3〜10の直鎖又は分岐アルキル基が置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。当該炭素原子数6〜20のアリール基は酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基が置換されていることが好ましい。当該炭素原子数6〜20のアリール基が酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基で置換されている場合、当該官能基は、リンに結合した炭素に対してオルト位に置換されていることが好ましい。このようにすることによって、R16及びR17中の酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種が遷移金属Mと相互作用を持つように空間的配置をとることができるからである。
好ましいR16及びR17の具体例としては、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、1,3−ジメトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、1,3−ジエトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、1,3−ジフェノキシ−2−ナフチル基、2,6−ジメトキシメチルフェニル基、2,4,6−トリメトキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、1,3−ジメトキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、2,4,6−トリフェノキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、1,3−ジフェノキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−メトキシエチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−フェノキシエチル)−2−ナフチル基などを挙げることができる。
16またはR17は、Aと結合して環構造を形成してもよい。具体的には例えば特開2018−141138号公報の段落0120〜0121に記載されている構造(なお、ここでの例は、置換基R16とAが結合して環構造を形成している場合を示しており、PとQは本開示の一般式(104)と同義である。)が挙げられる。
本開示の一般式(104)で表される化合物の中でも、下記一般式(105)で表される化合物であることが、重合体の製造効率の点から好ましい。
(一般式(105)中、M、L、R15、R16及びR17は、それぞれ前記一般式(104)と同義であり、R111、R112、R113及びR114はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、又は官能基である。)
一般式(105)中、R111、R112、R113及びR114における炭素数1〜30の炭化水素基及び官能基は、前記Aに説明したものと同様のものであって良い。
中でも、R111は、嵩高い方が、高分子量の重合体を与える傾向にあり、t−ブチル基、トリメチルシリル基、フェニル基、9−アントラセニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の官能基を適宜選択されてもよい。
本開示に用いられる遷移金属錯体は、従来公知の方法で調製することができる。
また、本開示に用いられる遷移金属を含む触媒は、前記の遷移金属錯体を主要な触媒成分とするものであり、必要により、活性化剤、担体などを併用することができる。上記活性化剤としては、メタロセン触媒で使用される助触媒であるアルキルアルモキサンやホウ素含有化合物が例示される。
また、担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。
具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど又はこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Crなどの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
(6)極性基含有オレフィン重合体の重合方法:
本開示における極性基含有オレフィン重合体の重合方法は限定されない。
媒体中に全ての生成重合体が溶解する溶液重合、媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが用いられる。
重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。
具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010−260913号公報、特開2010−202647号公報に開示されている。
未反応モノマーや媒体は、生成重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成重合体と未反応モノマー及び媒体との分離には、従来の公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
共重合温度、共重合圧力及び共重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
即ち、共重合温度は、通常−20℃〜290℃、好ましくは0℃〜250℃、より好ましくは0℃〜200℃、さらに好ましくは10℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜100℃である。共重合圧力は、0.1MPa〜100MPa、好ましくは、0.3MPa〜0MPa、より好ましくは0.5MPa〜80MPa、さらに好ましくは1.0MPa〜70MPa、特に好ましくは1.3MPa〜60MPaである。共重合時間は、0.1分〜50時間、好ましくは、0.5分〜40時間、更に好ましくは1分〜30時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。
重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じて様々な供給法をとることができる。例えばバッチ重合の場合、予め所定量のモノマーを共重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を共重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を共重合反応器に連続的に、又は間歇的に供給し、共重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、モノマーの供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中の配位子構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
次に本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示はその要旨を逸脱しない限りこれらの実施例によって制約を受けるものではない。なお、極性基含有オレフィン共重合体等の物性等は、以下の方法で測定した。
[極性基含有オレフィン共重合体の構造]
極性基含有オレフィン共重合体の構造は、BRUKER(株)製Ascend500またはBRUKER(株)製AVANCE400を用いたH−NMR及び13C−NMR解析により決定した。
NMR測定は、溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2を用い、H−NMR測定の重合体濃度は5質量%、13C−NMRの重合体濃度は15質量%として、120℃で行った。または、NMR測定の一部は、約150mgの極性基含有オレフィン共重合体を1,2−ジクロロベンゼン:ブロモベンゼン−d5=1:2の混合溶媒2.4mLに加熱溶解して均一な溶液として120℃で行った。
13C−NMRは緩和試薬としてクロム(III)アセチルアセトナートを用い、逆ゲート付きデカップリング法を用いて測定(9.0マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:31kHz、緩和時間:10秒、取り込み時間:10秒、FIDの積算回数5,000〜10,000回)し、定量分析を行った。または、13C−NMRの一部は逆ゲート付きデカップリング法を用いて測定(15.8マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:25kHz、緩和時間:50秒、取り込み時間:1.5秒、FIDの積算回数1,024回)し、定量分析を行った。
[数平均分子量及び重量平均分子量]
数平均分子量及び重量平均分子量は、東ソー(株)製、TSKgel GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8321GPC/HTを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)、または、昭和電工(株)製、AT−806MSカラム(8.0mmI.D.×25cmを3本直列)を備えたWaters(株)製高温GPC装置、ALC/GPC 150Cを用い、ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトフラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度;140℃)により算出した。
[遷移金属錯体の合成]
(合成例1)
下記化学式(A)において、Rがいずれもメンチル(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)で、Lutが2,6−ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(A)を、特開2017−031300号公報に記載の通りに合成した。
(合成例2)
前記化学式(A)において、Rがいずれもシクロヘキシルで、Lutが2,6−ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(B)を、特開2011−068881号公報に記載の通りに合成した。
(合成例3)
前記化学式(A)において、Rがいずれもイソプロピルで、Lutが2,6−ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(C)を、特開2013−079347号公報に記載の通りに合成した。
(合成例4)
前記化学式(A)において、Rがいずれも2-メトキシフェニルで、Lutが2,6−ジメチルピリジンで示される遷移金属錯体(D)は、特開2007−046032号公報に記載の通りに合成した。
(実施例1)
50mLオートクレーブに、窒素雰囲気中で、触媒としての遷移金属錯体(A)(6.9mg、0.010mmol)、溶媒としてのトルエン(10mL)、モノマー(B)としての2,3−ジフェニルシクロプロペン−1−オン(206.1mg、1.0mmol)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧しつつ、反応温度80℃で12時間撹拌した。当該オートクレーブを室温に戻し、メタノール(20mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン重合体1は2035mgであった。
重合条件を表1に、当該極性基含有オレフィン重合体1の各種分析結果を表2に示した。また、図1に得られた重合体1のH−NMRスペクトルを示し、図2に重合体1のH−NMRスペクトルの部分的な拡大(8.00〜0ppm)を示し、さらに,図3に重合体1の13C−NMRスペクトルを、図4に重合体1のGPCチャートを、図5に重合体1のDSCチャートを示した。
(実施例2)
触媒を遷移金属錯体(B)(5.8mg、0.010mmol)とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体2は976mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体2の各種分析結果を表2に示した。また、図1に得られた重合体2のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例3)
触媒を遷移金属錯体(C)(5.0mg、0.010mmol)とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体3は1420mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体3の各種分析結果を表2に示した。また、図1に得られた重合体3のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例4)
触媒を遷移金属錯体(D)(6.3mg、0.010mmol)とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体4は526mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体4の各種分析結果を表2に示した。また、図1に得られた重合体4のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例5)
反応温度を60℃とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体5は896mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体5の各種分析結果を表2に示した。
(実施例6)
反応温度を120℃とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体6は1446mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体6の各種分析結果を表2に示した。
(実施例7)
エチレン圧力を1MPaとした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体7は275mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体7の各種分析結果を表2に示した。
(実施例8)
モノマー(B)を2,3−ジフェニルシクロプロペン−1−オン(1030.5mg、5.0mmol)、とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体8は408mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体8の各種分析結果を表2に示した。
(実施例9)
モノマー(B)を2,3−ジ(4−メトキシフェニル)シクロプロペン−1−オン(266.3mg、1.0mmol)、とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体9は436mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体9の各種分析結果を表2に示した。図6に得られた重合体9のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例10)
モノマー(B)を2,3−ジ(4−ブロモフェニル)シクロプロペン−1−オン(364.0mg、1.0mmol)、とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体10は1467mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体10の各種分析結果を表2に示した。図7に得られた重合体10のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例11)
モノマー(B)を2,3−ジエチルシクロプロペン−1−オン(110.1mg、1.0mmol)、とした以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体11は479mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体11の各種分析結果を表2に示した。図8に得られた重合体11のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例12)
さらに、モノマー(C)として酢酸アリル(1852.2mg、18.5mmol)を加えた以外は全て実施例1と同様に実施した。得られた極性基含有オレフィン重合体12は206mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体12の各種分析結果を表2に示した。図9に得られた重合体12のH−NMRスペクトルを示した。
(実施例13)
2.4Lオートクレーブに、窒素雰囲気中で溶媒としてのトルエン(400mL)、モノマー(B)としての3−エチル−2−フェニルシクロプロペン−1−オン(3.12g、20mmol)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧し、反応温度80℃で、触媒としての遷移金属錯体(A)(278mg、0.40mmol)を加えて1時間撹拌した。1,2−ブタンジオールのトルエン溶液(1M,10mL)を加え、当該オートクレーブを室温に戻し、エキネン(登録商標)F−1(500mL、日本アルコール販売社製)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、固体をエキネン(登録商標)F−1で洗浄し(500mL×2)、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン重合体13は3720mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体13の各種分析結果を表2に示した。図10に得られた重合体13の13C−NMRスペクトルを示した。
(実施例14)
2.4Lオートクレーブに、窒素雰囲気中で溶媒としてのトルエン(400mL)、モノマー(B)としての2−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロプロペン−1−オン(578mg、2.5mmol、不純物として約10mol%の2−ジエチルアミノ−3−(2−メトキシフェニル)シクロプロペン−1−オンを含む)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧し、反応温度80℃で、触媒としての遷移金属錯体(A)(278mg、0.40mmol)を加えた。反応開始10分後に更に2−ジエチルアミノ−3−(4−メトキシフェニル)シクロプロペン−1−オン(578mg、2.5mmol)を加えた。触媒を加えてから1時間後に1,2−ブタンジオールのトルエン溶液(1M,10mL)を加え、当該オートクレーブを室温に戻し、エキネン(登録商標)F−1(500mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、固体をエキネン(登録商標)F−1で洗浄し(500mL×2)、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン重合体14は9640mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体14の各種分析結果を表2に示した。図11に得られた重合体14の13C−NMRスペクトルを示した。
(実施例15)
2.4Lオートクレーブに、窒素雰囲気中で溶媒としてのトルエン(410mL)、モノマー(B)としての2−エトキシ−3−フェニルシクロプロペン−1−オン(653mg、3.75mmol)を順次加えた。当該オートクレーブをエチレン(モノマー(A))(3.0MPa)で加圧し、反応温度80℃で、触媒としての遷移金属錯体(A)(278mg、0.40mmol)を加えた。触媒を加えてから1時間後に1,2−ブタンジオールのトルエン溶液(1M,10mL)を加え、当該オートクレーブを室温に戻し、アセトン(500mL)を加えた。析出した固体を、濾過により回収し、固体をアセトンで洗浄し(500mL×2)、減圧乾燥した。得られた極性基含有オレフィン重合体15は5160mgであった。
当該極性基含有オレフィン重合体15の各種分析結果を表2に示した。図12、13に得られた重合体15のH−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルをそれぞれ示した。重合体15は、H−NMRにおいてピーク分離ができずβの構造の定量をすることができなかった。表2内には「n.d.(not determined)」と記した。
NMR測定結果から、本開示の極性基含有オレフィン重合体の製造方法によれば、ポリオレフィンの主鎖に、エノン構造を一段階の重合反応で導入できることが明らかにされた。
なお、表2において、αの構造及びβの構造は、モノマー(B)由来の構造であり、αの構造(mol%)は、重合体の構造単位全体を100mol%とした場合の前記一般式(I)で表される構造単位の含有割合を意味する。βの構造(mol%)は、重合体の構造単位全体を100mol%とした場合の前記式(II)で表される構造単位の含有割合を意味する。モノマー(A)由来の構造(mol%)は、重合体の構造単位全体を100mol%とした場合のモノマー(A)由来の構造単位の含有割合を意味し、モノマー(C)由来の構造(mol%)は、重合体の構造単位全体を100mol%とした場合のモノマー(C)由来の構造単位の含有割合を意味する。
本開示の製造方法により得られる、主鎖に構造単位としてエノン構造が導入された極性基含有オレフィン重合体は、付加反応や縮合反応などの基質として、又は重合性モノマーとして利用することが可能であり、多様な複合材料に変換できると期待される。さらに、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン重合体中のエノン構造が官能基を有する場合は、エノン構造中の官能基が脱離基となって他の置換基を導入するための起点となることや、当該エノン構造が金属へのキレート配位性を有する可能性がある。このような働きから、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン重合体は、金属錯体触媒のための担体や金属錯体回収のための吸着材などの用途も期待できる。また、本開示の製造方法により得られる極性基含有オレフィン重合体は、エノン構造に導入された官能基の種類により、色素、染料、医薬品等にも応用可能である。本開示の製造方法は、このような極性基含有オレフィン重合体を、一段階の重合反応で効率的に得ることができるため、工業的に有用である。

Claims (6)

  1. 遷移金属を含む触媒下で、
    下記モノマー(A)と下記モノマー(B)とを重合させることを特徴とする、極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
    モノマー(A):エチレン及び炭素数3〜20のオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
    モノマー(B):下記一般式(1)で表される極性基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種
    (一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリールチオ基、ニトロ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いシリル基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基若しくは複素環基であるか、或いは、RとRは互いに結合して4〜10員環の環を形成していても良い。)
  2. さらに、下記モノマー(C)を用いて重合させることを特徴とする、請求項1に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
    モノマー(C):下記一般式(2)で表される極性基含有モノマー(c−1)及び下記一般式(3)で表される極性基含有モノマー(c−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種
    (一般式(2)中、RとRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、炭素数1〜30のハロゲン置換炭化水素基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、RとRの少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。)
    (一般式(3)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜20の炭化水素基である。nは0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜R10は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R11〜R14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のエステル基、炭素数1〜30のアシルオキシ基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、シアノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いアミド基、炭素数1〜30の炭化水素基で置換されていても良いイミノ基、又は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む官能基で置換されていても良い炭素数1〜30の炭化水素基であり、R11〜R14の少なくとも1つは、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1種を含む基である。R11及びR12、並びに、R13及びR14は、各々一体化して2価の有機基を形成してもよく、R11又はR12と、R13又はR14とは、互いに環を形成していてもよい。)
  3. 前記モノマー(A)が、エチレンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
  4. 前記RとRの少なくとも1つは、水素原子とは異なることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
  5. 前記触媒が、周期表10族遷移金属を含む触媒であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
  6. 前記触媒が、周期表10族遷移金属を含む触媒であり、かつ当該10族遷移金属への配位点としてリン原子を含むキレート配位子を少なくとも1つ有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の極性基含有オレフィン共重合体の製造方法。
JP2020092528A 2019-05-27 2020-05-27 極性基含有オレフィン重合体の製造方法 Pending JP2020193341A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019098863 2019-05-27
JP2019098863 2019-05-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020193341A true JP2020193341A (ja) 2020-12-03

Family

ID=73548506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020092528A Pending JP2020193341A (ja) 2019-05-27 2020-05-27 極性基含有オレフィン重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020193341A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7478391B2 (ja) 2020-07-10 2024-05-07 国立大学法人 東京大学 極性基含有オレフィン共重合体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7478391B2 (ja) 2020-07-10 2024-05-07 国立大学法人 東京大学 極性基含有オレフィン共重合体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI481632B (zh) Preparation of Allyl Monomer Copolymer Containing Polar Compounds
US10550211B2 (en) Process for producing ethylene/unsaturated carboxylic acid copolymer, and said copolymer
US9975975B2 (en) Bis-biphenylphenoxy catalysts for polymerization of low molecular weight ethylene-based polymers
CN107075005B (zh) 乙烯系离聚物的制造方法和乙烯系离聚物
JP6309206B2 (ja) 極性基含有オレフィン系共重合体の製造方法
CN106397261A (zh) 一种二亚胺配体化合物、配合物及应用
JP7213504B6 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体
CN109942638A (zh) 用于乙烯聚合的含邻位二对甲基苯甲基取代的不对称α-二亚胺镍(Ⅱ)配合物
CN106589180A (zh) 大位阻中性镍催化剂及制备方法和制备乙烯/极性单体共聚物的应用
JP6332978B2 (ja) 極性基含有オレフィン系重合体の製造方法
KR101442001B1 (ko) 극성기 함유 올레핀계 공중합체의 제조 방법
WO2020241715A1 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体
JP2020193341A (ja) 極性基含有オレフィン重合体の製造方法
JP2017031300A (ja) エチレン・α−オレフィン・極性基含有アリルモノマー三元共重合体及びその製造方法
JP5830020B2 (ja) カルボキシラート金属錯体及びオレフィン重合用触媒
JP7382797B2 (ja) 極性基含有オレフィン重合体の製造方法
WO2023033030A1 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体、及びその製造方法
JP7382798B2 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体、及び極性基含有オレフィン共重合体組成物
JP2013079347A (ja) 極性基含有アリルモノマー3元共重合体及びその製造方法
JP7478391B2 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体
WO2023190912A1 (ja) 極性基含有オレフィン共重合体及びその製造方法
CN1203096C (zh) 不饱和单体的聚合催化剂、新的过渡金属化合物、使用它们的聚合方法和共聚物

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20200616

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200722

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240328

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240703

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240723