JP2020172509A - 胆汁酸に関係した障害の治療方法 - Google Patents

胆汁酸に関係した障害の治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】胆汁鬱滞性肝疾患に関連する掻痒症の治療に有効な医薬組成物の提供。【解決手段】有効量の下記ペプチドを含む、対象における掻痒症又はその症状を予防するための医薬組成物であって、該掻痒症が胆汁鬱滞性肝疾患に関連する、前記医薬組成物。【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2015年11月9日に出願された
米国特許出願第62/252,939号に対する優先権の恩典を出張する。
(1.分野)
本明細書に提供されるのは、線維芽細胞成長因子19(FGF19)タンパク質並びにペプチド
配列(及びペプチド模倣体)の変異体、並びにFGF19及び/又は線維芽細胞成長因子21(FGF21
)タンパク質並びにペプチド配列(及びペプチド模倣体)の融合体、並びにFGF19及び/又はF
GF21タンパク質並びにペプチド配列(及びペプチド模倣体)の融合体の変異体である。いく
つかの実施態様において、これらの変異体及び融合体は、胆汁酸ホメオスタシスを調節し
、かつ胆汁酸に関係した障害及び胆汁酸に関連した障害の治療において有用である。いく
つかの実施態様において、これらの変異体及び融合体は、グルコース低下活性を有し、か
つ高血糖症及び他の障害の治療において有用である。
(2.概要)
本発明は、一つには、1以上の活性を有する、FGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/
又はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キ
メラ)の変異体に基づく。一実施態様において、該活性は、グルコース低下活性である。
別の実施態様において、該活性は、胆汁酸ホメオスタシス調節活性である。FGF19及び/又
はFGF21ペプチド配列のそのような変異体及び融合体(キメラ)は、肝細胞癌(HCC)形成又は
HCC腫瘍形成を実質的に又は顕著に増大させることも誘導することもない配列を含む。FGF
19及び/又はFGF21ペプチド配列のそのような変異体及び融合体(キメラ)は、脂質プロファ
イルの実質的な上昇も増大も誘導しない配列をさらに含む。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、胆汁酸ホメオスタシスを調節する方
法であって、本明細書に提供されるキメラペプチド配列を投与することを含む、方法であ
る。また本明細書に提供されるのは、胆汁酸に関係した障害を治療する方法であって、本
明細書に提供されるキメラペプチド配列を投与することを含む、方法である。別の実施態
様において、本明細書に提供されるのは、胆汁酸に関連した障害を治療する方法であって
、本明細書に提供されるキメラペプチド配列を投与することを含む、方法である。具体的
な実施態様において、有効量の該キメラペプチド配列が投与される。
一実施態様において、キメラペプチド配列は: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN
-末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し
、ここで、該N-末端領域がDSSPL(配列番号121)又はDASPH(配列番号122)を含むもの;並び
にb)配列番号99(FGF19)の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ
酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号99(FGF19)のア
ミノ酸残基16〜29
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応しているものを含
むか又はこれらからなる。
別の実施態様において、該治療ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、
ここで、該N-末端領域がDSSPL(配列番号121)又はDASPH(配列番号122)を含むもの;並びにb
)配列番号99[FGF19]の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位
置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が、(i)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応している、第一のC
-末端領域配列;及び(ii)
Figure 2020172509
を含む第二のC-末端領域配列を含むものを含む。
ある実施態様において、該ペプチドは、(i)FGFR4に対するFGF19の結合親和性と同じか
もしくはそれを上回る親和性で線維芽細胞成長因子受容体4(FGFR4)に結合し;(ii)FGF19が
FGFR4を活性化するのと同じかもしくはそれを上回る程度もしくは量までFGFR4を活性化し
;(iii)FGF19と比較して、もしくは
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19(配列番号99)のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに
使用されているFGF19変異体配列と比較して、低下した肝細胞癌(HCC)形成;より大きいグ
ルコース低下活性、より小さい脂質増加活性、より小さいトリグリセリド活性、より小さ
いコレステロール活性、より小さい非HDL活性、もしくはより小さいHDL増加活性のうちの
少なくとも1つを有し;かつ/又は(iv)FGF21と比較して、より小さい除脂肪量低下活性を有
する。
いくつかの実施態様において、該治療ペプチドの第二のC-末端領域配列は、1〜5個のア
ミノ酸置換、欠失、又は挿入を含む。いくつかの実施態様において、該治療ペプチドは、
長さが約250アミノ酸未満である。
一実施態様において、該治療ペプチドは、
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。ある実施態様において、該治療ペプチ
ドは、配列番号70を含むアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、該治療ペプチド
は、配列番号70からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、該治療ペ
プチドは、免疫グロブリンFc領域と融合している。
別の実施態様において、該治療ペプチドは、
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。ある実施態様において、該治療ペプチ
ドは、配列番号69を含むアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、該治療ペプチド
は、配列番号69からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、該治療ペ
プチドは、免疫グロブリンFc領域と融合している。
別の実施態様において、キメラペプチド配列は: a)配列番号100(FGF21)の一部を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、
ここで、該N-末端領域がアミノ酸残基GQVを含み、かつ該V残基が該N-末端領域の最後のア
ミノ酸位置に対応するもの;並びにb)配列番号99(FGF19)の一部を含むC-末端領域であって
、該C-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端
領域が配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基21〜29
Figure 2020172509
を含み、かつ該R残基が該C-末端領域の最初の部分に対応するものを含むか又はこれらか
らなる。
さらなる実施態様において、キメラペプチド配列は: a)配列番号100(FGF21)の一部を含
むN-末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有
し、ここで、該N-末端領域が、アミノ酸残基GQVを含む、配列番号100(FGF21)の少なくと
も5個の連続するアミノ酸を含み、かつ該V残基が該N-末端領域の最後のアミノ酸位置に対
応するもの;並びにb)配列番号99(FGF19)の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域
が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号
99(FGF19)のアミノ酸残基21〜29
Figure 2020172509
を含み、かつ該R残基が該C-末端領域の最初の部分に対応するもののいずれかを含むか又
はこれらからなる。
追加の実施態様において、ペプチド配列は: a)参照もしくは野生型FGF19と比較して、1
以上のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF19配列変異体; b)参照もしくは野
生型FGF21と比較して、1以上のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF21配列変
異体; c)FGF19配列の一部がFGF21配列の一部に融合したもの;又はd)FGF19配列の一部がFG
F21配列の一部に融合したものであって、該FGF19及び/もしくはFGF21配列の部分が、参照
もしくは野生型FGF19及び/もしくはFGF21と比較して、1以上のアミノ酸置換、挿入、もし
くは欠失を有するもののいずれかを含むか或いはこれらからなる。
特定の態様において、該N-末端領域は、アミノ酸残基GQを含む、配列番号100(FGF21)の
少なくとも6個の連続するアミノ酸(又はそれより多くの、例えば、7、8、9、10、11、12
、13、14、15、16、17、18、19、20、20〜25、25〜30、30〜40、40〜50、50〜75、75〜10
0個の連続するアミノ酸)を含むか;又はアミノ酸残基GQVを含む、配列番号100(FGF21)の少
なくとも7個の連続するアミノ酸(又はそれより多くの、例えば、8、9、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20、20〜25、25〜30、30〜40、40〜50、50〜75、75〜100個の
連続するアミノ酸)を含むN-末端領域を有する。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、i)参照もしくは野生型FGF19と比較して
、1以上のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF19配列変異体; ii)参照もしく
は野生型FGF21と比較して、1以上のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF21配
列変異体; iii)FGF19配列の一部がFGF21配列の一部に融合したもの;又はiv)FGF19配列の
一部がFGF21配列の一部に融合したものであって、該FGF19及び/もしくはFGF21配列の部分
が、参照もしくは野生型FGF19及び/もしくはFGF21と比較して、1以上のアミノ酸置換、挿
入、もしくは欠失を有するものを含む。
またさらなる実施態様において、ペプチド配列又はキメラペプチド配列は、配列番号10
0(FGF21)のアミノ末端アミノ酸1〜16と配列番号99(FGF19)のカルボキシ末端アミノ酸21〜
194が融合したものを含みもしくはこれらからなるか、該ペプチド配列は、配列番号99(FG
F19)のアミノ末端アミノ酸1〜147が配列番号100(FGF21)のカルボキシ末端アミノ酸147〜1
81に融合したもの(M41)を有するか、又は該ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ
末端アミノ酸1〜20が配列番号100(FGF21)のカルボキシ末端アミノ酸17〜181に融合したも
の(M44)を有するか、又は該ペプチド配列は、配列番号100(FGF21)のアミノ末端アミノ酸1
〜146が配列番号99(FGF19)のカルボキシ末端アミノ酸148〜194に融合したもの(M45)を有
するか、又は該ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ末端アミノ酸1〜20が配列番
号100(FGF21)の内部アミノ酸17〜146に融合したものもしくは配列番号99(FGF19)のカルボ
キシ末端アミノ酸148〜194に融合したもの(M46)を有する。
様々なさらなる実施態様において、ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残
基125〜129のEIRPDに対する少なくとも1個のアミノ酸置換;配列番号99(FGF19)のアミノ酸
残基126〜128のIRPに対する少なくとも1個のアミノ酸置換;もしくは配列番号99(FGF19)の
アミノ酸残基127〜128のRPに対する少なくとも1個のアミノ酸置換、又は配列番号99(FGF1
9)のアミノ酸残基1〜124に対する及び/もしくは配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基130〜1
94に対する少なくとも1個のアミノ酸置換を有する。より具体的には、例えば、配列番号9
9(FGF19)のアミノ酸残基127〜128のRPのうちの1つに対する置換(ここで、少なくとも1個
のアミノ酸置換はR127L又はP128Eである)を有するペプチド配列。本明細書に提供される
ペプチド変異体の対応するFGF19配列(例えば、EIRPD、IRP、又はRP)内の該置換も企図さ
れる。ある実施態様において、該ペプチドは、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基127〜12
8のRP、又は本明細書に提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF19配列に対するR1
27L置換とP128E置換の両方を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は
、FGF19のループ-8領域、又は本明細書に提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF
19配列中の少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドの
アミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸
配列に対する1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのア
ミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配
列に対する2つのアミノ酸置換を含む。他の実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配
列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対す
る3つのアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF
19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する4つのア
ミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19
のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する5つのアミ
ノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-
8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する1つのアミノ酸置換を含
む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域
中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する2つのアミノ酸置換を含む。
他の実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配
列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する3つのアミノ酸置換を含む。ある実施態
様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190の
アミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様にお
いて、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ
酸4〜5)アミノ酸配列に対する2つのアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、FGF19
のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対するアミノ酸置換
は、Arg(R)からLeu(L)への置換である。他の実施態様において、FGF19のループ-8領域中
のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換は、Pro(P)からGlu(E)への
置換である。いくつかの実施態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190の
アミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換は、Arg(R)からLeu(L)への置換及びPro(P)からG
lu(E)への置換である。具体的な実施態様において、上記のFGF19のループ-8領域中の置換
は、本明細書に提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF19配列中にある。すなわ
ち、本明細書に提供されるペプチド変異体の対応するFGF19配列(例えば、EIRPD、IRP、又
はRP)内の該置換も企図される。
本明細書に提供される方法及び使用は、本明細書に記載されるペプチド又はキメラ配列
を用いて実施することができる。例えば、M1〜M98、M101〜M160、もしくはM200〜M207、
又は配列番号1〜98、101〜135、138〜205として本明細書に記載される任意のペプチド配
列を含むかもしくは該配列からなる配列、表1〜11に記載される任意の配列を含むか又は
該配列からなるペプチド配列、或いは本明細書中の配列表に記載される任意の配列を含む
か又は該配列からなるペプチド配列。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M139と表される変異体ペプチドである。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列を
含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列か
らなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M140と表される変異体ペプチドで
ある。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M141と表される変異体ペプ
チドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M160と表される変異
体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M200と表され
る変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M201と
表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号
198に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号1
98に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M202と表
される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号19
9に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号199
に記載されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該ペプチドは、M203と表さ
れる変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M204
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチドは、M205
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M206
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列からなる。さらに他の実施態様において、該ペプチドは
、M207と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列からなる。
いくつかの実施態様において、該N-末端R残基は欠失している。他の実施態様において
、該ペプチドは、少なくとも1個(例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、又は1〜5個)のア
ミノ酸置換を含む。別の実施態様において、該ペプチドは、少なくとも1個(例えば、1〜2
0個、1〜15個、1〜10個、又は1〜5個)のアミノ酸欠失を含む。他の実施態様において、該
ペプチドは、少なくとも1個(例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、又は1〜5個)のアミノ
酸挿入を含む。
本明細書に提供される方法及び使用は、任意の好適な長さのペプチド又はキメラ配列を
用いて実施することができる。特定の実施態様において、該ペプチド又はキメラ配列のN-
末端又はC-末端領域は、長さが約20〜約200アミノ酸残基である。他の特定の態様におい
て、ペプチド又はキメラ配列は、アミノ終端、カルボキシ終端、又は内部からの、1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれより
多くのアミノ酸欠失を有する。さらなる特定の実施態様において、ペプチド又はキメラ配
列は、約5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100個
、又はそれより多くのアミノ酸のアミノ酸配列を含むか又は該配列からなるN-末端領域又
はC-末端領域を有する。追加のより具体的な実施態様において、ペプチド又はキメラ配列
は、FGF19又はFGF21の約5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70
〜80、80〜90、90〜100個、又はそれより多くのアミノ酸のアミノ酸配列を含むか又は該
配列からなるFGF19配列部分又はFGF21配列部分を有する。
さらに追加の実施態様において、ペプチド配列又はキメラペプチド配列は、配列番号99
(FGF19)のアミノ酸16〜20のWGDPI配列に対応するWGDPI(配列番号170)配列モチーフを有し
; FGF19のアミノ酸16〜20のFGF19 WGDPI(配列番号170)配列に対応する、置換された、突
然変異した、又は存在しないWGDPI(配列番号170)配列モチーフを有し;置換された、突然
変異した、又は存在しない1以上のアミノ酸を有するWGDPI(配列番号170)配列を有する。
様々な他のさらなる態様において、該ペプチド配列は、
Figure 2020172509
のいずれかがアミノ酸16〜20のFGF19 WGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されている
FGF19変異体配列と異なっている。
またさらなる実施態様において、ペプチド配列又はキメラペプチド配列は、アミノ酸残
基VHYG(配列番号101)を含むN-末端領域を有し、ここで、該N-末端領域は、アミノ酸残基
Figure 2020172509
を含むか、又は該N-末端領域は、アミノ酸残基
Figure 2020172509
を含む。より具体的には、一態様において、該Gは、該N-末端領域の最後の位置に対応す
る。
様々な追加の態様において、該N-末端領域は、アミノ酸残基
Figure 2020172509
(ここで、該Q残基は、該N-末端領域の最後のアミノ酸位置である)を含むか、又はアミノ
酸残基
Figure 2020172509
(ここで、該V残基は、該N-末端領域の最後の位置に対応する)を含む。
ある実施態様において、N-末端領域は: RHPIP(配列番号106)(ここで、Rは、該N-末端領
域の最初のアミノ酸位置である);もしくはHPIP(配列番号107)(ここで、Hは、該N-末端領
域の最初のアミノ酸位置である);もしくはRPLAF(配列番号108)(ここで、Rは、該N-末端領
域の最初のアミノ酸位置である);もしくはPLAF(配列番号109)(ここで、Pは、該N-末端領
域の最初のアミノ酸位置である);もしくはR(ここで、Rは、該N-末端領域の最初のアミノ
酸位置である)を含むか又はこれらからなる(或いはこれらをさらに含むか又はこれらから
さらになる)。
様々な他の態様において、ペプチド又はキメラ配列は:該N-末端領域の最初の4アミノ酸
残基であるアミノ酸残基HPIP(配列番号107)を有する。様々なまたさらなる態様において
、ペプチド又はキメラ配列は:該N-末端領域の最初の位置にR残基を有するか、該N-末端領
域の最初の位置はM残基であるか、又は該N-末端領域の最初の位置及び二番目の位置はMR
配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置及び二番目の位置はRM配列であるか、又は
該N-末端領域の最初の位置及び二番目の位置はRD配列であるか、又は該N-末端領域の最初
の位置及び二番目の位置はDS配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置及び二番目の
位置はMD配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置及び二番目の位置はMS配列である
か、又は該N-末端領域の最初の位置から三番目の位置はMDS配列であるか、又は該N-末端
領域の最初の位置から三番目の位置はRDS配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置
から三番目の位置はMSD配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置から三番目の位置
はMSS配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置から三番目の位置はDSS配列であるか
、又は該N-末端領域の最初の位置から四番目の位置はRDSS(配列番号115)配列であるか、
又は該N-末端領域の最初の位置から四番目の位置はMDSS(配列番号116)配列であるか、又
は該N-末端領域の最初の位置から五番目の位置はMRDSS(配列番号117)配列であるか、又は
該N-末端領域の最初の位置から五番目の位置はMSSPL(配列番号113)配列であるか、又は該
N-末端領域の最初の位置から六番目の位置は、
Figure 2020172509
配列であるか、又は該N-末端領域の最初の位置から七番目の位置は、
Figure 2020172509
配列である。
様々な他の特定の態様において、ペプチド又はキメラ配列は、該N-末端領域の最初のア
ミノ酸位置に、「M」残基、「R」残基、「S」残基、「H」残基、「P」残基、「L」残基、
又は「D」残基を有する。様々な代わりの特定の態様において、ペプチド又はキメラ配列
ペプチド配列は、該N-末端領域の最初のアミノ酸位置に「M」残基も「R」残基も有さない
さらなる様々な他の態様において、ペプチド又はキメラ配列は、以下の配列:
Figure 2020172509
のいずれか1つを含むN-末端領域を有する。
いくつかの実施態様において、ペプチド配列又はキメラペプチド配列は、該C-末端領域
の最後の位置に、配列番号99(FGF19)の約残基194に対応する残基を有する。さらに他の実
施態様において、ペプチド配列又はキメラペプチド配列は、該C-終端に、配列番号99(FGF
19)のアミノ酸残基30〜194の付加を含み、結果として、該C-末端領域の最後の位置に、配
列番号99(FGF19)の約残基194に対応する残基を有するキメラポリペプチドを生じる。さら
なる他の実施態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列は、該ペプチドのC-終
端に配置されているか、又はアミノ末端の「R」残基が該ペプチドから欠失している、FGF
19配列(例えば、配列番号99)の全て又は一部を含む。
より具体的な実施態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列は、M1〜M98、M
101〜M160、もしくはM200〜M207変異体ペプチド配列のうちのいずれか、又はM1〜M98、M1
01〜M160、もしくはM200〜M207変異体ペプチド配列のうちのいずれかの部分配列もしくは
断片を含むか或いはこれらからなる。本明細書に提供される方法及び使用は、本明細書に
記載されるペプチド又はキメラ配列を用いて実施することもできる。例えば、M1〜M98、M
101〜M160、もしくはM200〜M207又は配列番号1〜98、101〜135、138〜205として本明細書
に記載される任意のペプチド配列を含むか又は該配列からなる配列、表1〜11に記載され
る任意の配列を含むか又は該配列からなるペプチド配列、或いは本明細書中の配列表に記
載される任意の配列を含むか又は該配列からなるペプチド配列。
様々なより具体的な態様において、ペプチド配列は、以下の配列:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
のいずれか1つ又は上記のペプチド配列のいずれかの部分配列もしくは断片を含むか或い
はこれらからなる。上記のペプチド配列のいずれかのある実施態様において、該R末端残
基(N-終端のR残基)は欠失している。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M139と表される変異体ペプチドである。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列を
含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列か
らなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M140と表される変異体ペプチドで
ある。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M141と表される変異体ペプ
チドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M160と表される変異
体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M200と表され
る変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M201と
表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号
198に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号1
98に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M202と表
される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号19
9に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号199
に記載されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該ペプチドは、M203と表さ
れる変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M204
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチドは、M205
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M206
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列からなる。さらに他の実施態様において、該ペプチドは
、M207と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列からなる。
様々な追加の特定の態様において、該ペプチド配列のN-終端は:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
のいずれかを含むか又はこれらからなる。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
のいずれかを含むか又はこれらからなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、
配列番号99(FGF19)の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位
置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号99(FGF19)のアミノ
酸残基16〜29
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応しているものを含
む。
様々なさらなる特定の態様において、ペプチド配列は:
Figure 2020172509
又は上記のペプチド配列のいずれかのその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらか
らなる。上記のペプチド配列のいずれかのある実施態様において、該R末端残基は欠失し
ている。
ある実施態様において、ペプチド配列は、該C-終端に、配列番号99(FGF19)のアミノ酸
残基30〜194の付加を含み、結果として、キメラポリペプチドを生じる。いくつかの実施
態様において、ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基125〜129のEIRPDに対
する少なくとも1個のアミノ酸置換を有する。他の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基126〜128のIRPに対する少なくとも1個のアミノ酸置
換を有する。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ酸
残基127〜128のRPに対する少なくとも1個のアミノ酸置換を有する。他の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基1〜124に対する及び/又は配列
番号99(FGF19)のアミノ酸残基130〜194に対する少なくとも1個のアミノ酸置換を有する。
例えば、ある実施態様において、ペプチド配列は、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基127
〜128のRPのうちの1つに対する置換を含み、ここで、少なくとも1個のアミノ酸置換はR12
7L又はP128Eである。本明細書に提供されるペプチド変異体の対応するFGF19配列(例えば
、EIRPD、IRP、又はRP)内の該置換も企図される。ある実施態様において、該ペプチドは
、配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基127〜128のRP、又は本明細書に提供される変異体ペ
プチド中のその対応するFGF19配列に対するR127L置換とP128E置換の両方を含む。ある実
施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域、又は本明細書に
提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF19配列中の少なくとも1個のアミノ酸置換
を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中
のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のE
IRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含む。他の
実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列
番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する3個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様
において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190の
アミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する4個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様にお
いて、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミ
ノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する5個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペ
プチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)ア
ミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチ
ドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ
酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含む。他の実施態様において、該ペプチドのアミノ
酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対
する3個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、F
GF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する1個のアミ
ノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19の
ループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置
換を含む。ある実施態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4
〜5)アミノ酸配列に対するアミノ酸置換は、Arg(R)からLeu(L)への置換である。他の実施
態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に
対する置換は、Pro(P)からGlu(E)への置換である。いくつかの実施態様において、FGF19
のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換は、Arg(R
)からLeu(L)への置換及びPro(P)からGlu(E)への置換である。具体的な実施態様において
、上記のFGF19のループ-8領域中の置換は、本明細書に提供される変異体ペプチド中のそ
の対応するFGF19配列中にある。すなわち、本明細書に提供されるペプチド変異体の対応
するFGF19配列(例えば、EIRPD、IRP、又はRP)内の該置換も企図される。
本明細書に提供される方法及び使用は、任意の好適な長さのペプチド又はキメラ配列を
用いて実施することができる。特定の実施態様において、該ペプチド又はキメラ配列のN-
末端又はC-末端領域は、長さが約20〜約200アミノ酸残基である。さらなる特定の実施態
様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列は、少なくとも1個のアミノ酸欠失を
有する。他の特定の態様において、ペプチド又はキメラ配列は、アミノ終端、カルボキシ
終端、又は内部からの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、20個、又はそれより多くのアミノ酸欠失を有する。一実施態様において、該ア
ミノ酸置換又は欠失は、FGF19のアミノ酸位置8〜20
Figure 2020172509
のいずれかにおいて生じる。さらなる特定の実施態様において、ペプチド又はキメラ配列
は、約5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100個、
もしくはそれより多くのアミノ酸のアミノ酸配列を含むか又は該配列からなるN-末端領域
又はC-末端領域を有する。追加のより具体的な実施態様において、ペプチド又はキメラ配
列は、FGF19又はFGF21の約5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、7
0〜80、80〜90、90〜100個、もしくはそれより多くのアミノ酸のアミノ酸配列を含むか又
は該配列からなるFGF19配列部分又はFGF21配列部分を有する。
様々なさらなる実施態様において、ペプチド又はキメラ配列は、アミノ酸置換、付加、
挿入を有するか、又は少なくとも1個のアミノ酸が欠失している部分配列である。ペプチ
ド配列のそのようなアミノ酸置換、付加、挿入、及び欠失は、例えば、N-もしくはC-終端
、又は内部の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くのアミノ酸残基(10〜
20、20〜30、30〜40、40〜50個など)であることができる。例えば、アミノ終端、カルボ
キシ終端、又は内部からの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16
、17、18、19、20個、又はそれより多くのアミノ酸欠失を有する部分配列。特定の態様に
おいて、該アミノ酸置換又は欠失は、FGF19のアミノ酸位置8〜20
Figure 2020172509
のいずれかにおいて生じる。
様々なさらにより具体的な態様において、ペプチド又はキメラ配列は、該ペプチドのC-
終端に配置された、下記のFGF19配列:
Figure 2020172509
の全てもしくは一部を含むか、又はアミノ末端の「R」残基が該配列から欠失している。
様々な実施態様において、ペプチド又はキメラ配列は、比較配列よりも大きい又は小さ
い機能又は活性を有する。さらなる特定の実施態様において、キメラペプチド配列及びペ
プチド配列は、特定の機能又は活性を有する。一態様において、キメラペプチド配列又は
ペプチド配列は、線維芽細胞成長因子受容体4(FGFR4)媒介性活性を維持し又は増大させる
。追加の態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列はFGFR4に結合し、もしく
はFGFR4を活性化するか、又は検出可能な程度にはFGFR4に結合することもFGFR4を活性化
することもないか、又はFGFR4に対するFGF19の結合親和性よりも小さいか、それと同程度
か、もしくはそれよりも大きい親和性でFGFR4に結合するか、又はFGF19がFGFR4を活性化
するよりも低いか、それと同程度か、もしくはそれよりも大きい程度もしくは量までFGFR
4を活性化する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるキメラペプチド配
列又はペプチド配列は、FGF19がFGFR4を活性化する程度又は量よりも小さい程度又は量ま
でFGFR4を活性化する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるキメラペプ
チド配列又はペプチド配列は、FGF19がFGFR4を活性化する程度又は量と同程度の程度又は
量までFGFR4を活性化する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるキメラ
ペプチド配列又はペプチド配列は、FGF19がFGFR4を活性化する程度又は量よりも大きい程
度又は量までFGFR4を活性化する。
一実施態様において、本明細書に提供されるキメラペプチド配列又はペプチド配列は、
FGFR4媒介性活性を維持する。一実施態様において、本明細書に提供されるキメラペプチ
ド配列又はペプチド配列は、FGFR4媒介性活性を増大させる。いくつかの実施態様におい
て、本明細書に提供されるキメラペプチド配列又はペプチド配列は、FGFR4に対するFGF19
の結合親和性よりも小さい親和性でFGFR4に結合する。いくつかの実施態様において、本
明細書に提供されるキメラペプチド配列又はペプチド配列は、FGFR4に対するFGF19の結合
親和性と同程度の親和性でFGFR4に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に
提供されるキメラペプチド配列又はペプチド配列は、FGFR4に対するFGF19の結合親和性よ
りも大きい親和性でFGFR4に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供さ
れるキメラペプチド配列又はペプチド配列は、検出可能な程度にはFGFR4に結合しない。
さらなる態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列は、FGF19、もしくは
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、低下したHCC形成を有するか;又はFGF19、もしくは
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より大きいグルコース低下活性を有するか; FGF19、もし
くは
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より小さい脂質増加活性を有するか;又はFGF19、もしく

Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より小さいトリグリセリド、コレステロール、非HDLもし
くはHDL増加活性を有するか;又は該ペプチド配列は、FGF21と比較して、より小さい除脂
肪量低下活性を有する。そのような機能及び活性は、インビトロ又はインビボ、例えば、
db/dbマウスで確認することができる。
一実施態様において、ペプチド又はキメラ配列は、比較配列よりも大きい又は小さい機
能又は活性を有する。いくつかの実施態様において、該比較配列はFGF19である。別の実
施態様において、該比較配列は、
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列である。一実施態様において、本明細書に提供されるペプチド又はキ
メラペプチド配列は、比較配列と比較して、より大きいグルコース低下活性を有する。別
の実施態様において、本明細書に提供されるペプチド又はキメラペプチド配列は、比較配
列と比較して、より小さい脂質増加活性を有する。他の実施態様において、本明細書に提
供されるペプチド又はキメラペプチド配列は、比較配列と比較して、より小さい又は低下
した脂質(例えば、トリグリセリド、コレステロール、非HDL)活性を有する。他の実施態
様において、本明細書に提供されるペプチド又はキメラペプチド配列は、比較配列と比較
して、より大きいHDL増加活性を有する。他の実施態様において、本明細書に提供される
ペプチド又はキメラペプチド配列は、比較配列又はFGF21と比較して、より小さい除脂肪
量低下活性を有する。
さらなる追加の様々な実施態様において、ペプチド又はキメラ配列は、1以上のL-アミ
ノ酸、D-アミノ酸、非天然アミノ酸、又はアミノ酸の模倣体、誘導体、もしくは類似体を
含む。またさらなる様々な実施態様において、ペプチド又はキメラ配列は、リンカー又ス
ペーサーによって接続された、N-末端領域、又はC-末端領域、又はFGF19配列部分、又はF
GF21配列部分を有する。
さらに追加の実施態様において、単離もしくは精製されたキメラペプチド配列及びペプ
チド配列、並びに/又はキメラペプチド配列及びペプチド配列を組成物中に含めることが
できる。一実施態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列を医薬組成物中に含
める。そのような組成物は、不活性成分又は他の活性成分の組合せを含む。一実施態様に
おいて、組成物、例えば、医薬組成物は、キメラペプチド配列又はペプチド配列及びグル
コース低下剤を含む。
さらに追加の実施態様において、キメラペプチド又はペプチド配列を医薬組成物中に含
め、これを次に、本明細書に提供される方法及び使用を実施するために使用することがで
きる。そのような組成物は、不活性成分又は他の活性成分の組合せを含む。一実施態様に
おいて、組成物、例えば、医薬組成物は、キメラペプチド配列又はペプチド配列及びグル
コース低下剤を含む。一実施態様において、組成物、例えば、医薬組成物は、キメラペプ
チド配列又はペプチド配列及び胆汁酸ホメオスタシスを改善する薬剤を含む。
またさらなる実施態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列をコードする核
酸分子が提供される。そのような分子は、ペプチドをコードする核酸分子のインビトロ、
細胞内、もしくはインビボでの発現、又は該核酸分子を含むベクター(例えば、ウイルス
ベクター)の発現を付与する機能的に連結された発現制御エレメントをさらに含むことが
できる。キメラペプチド配列及びペプチド配列を発現する形質転換細胞及び宿主細胞も提
供される。
任意のキメラペプチド配列又はペプチド配列の投与又は送達を含む治療の使用及び方法
も提供される。特定の実施態様において、使用又は対象の治療方法は、本明細書に提供さ
れるキメラペプチド又はペプチド配列を、対象、例えば、本明細書に提供されるペプチド
配列により治療可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリスクのある対象
に、該疾患又は障害を治療するのに有効な量で投与することを含む。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるペプチド配列
により予防可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリスクのある対象にお
ける疾患又は障害を予防する方法であって、本明細書に提供されるペプチドを含む医薬組
成物を、対象に、該疾患又は障害を予防するのに有効な量で投与することを含む、方法で
ある。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるペプチ
ド配列により治療可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリスクのある対
象における疾患又は障害を治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチドを含む
医薬組成物を、対象に、該疾患又は障害を治療するのに有効な量で投与することを含む、
方法である。また別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供さ
れるペプチド配列によって管理可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリ
スクのある対象における疾患又は障害を管理する方法であって、本明細書に提供されるペ
プチドを含む医薬組成物を、対象に、該疾患又は障害を管理するのに有効な量で投与する
ことを含む、方法である。一実施態様において、該疾患又は障害は、胆汁酸に関係した疾
患又は胆汁酸に関連した障害である。
本明細書に提供される方法及び使用に従って予防可能、治療可能、又は管理可能な胆汁
酸に関係した又は関連した障害の非限定的な例としては:哺乳動物、例えば、ヒトにおけ
る;例えば、肝内胆汁鬱滞の疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性家族性肝内
胆汁鬱滞(PFIC)(例えば、進行性PFIC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、妊娠性肝内胆汁鬱滞(
PIC)、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(例えば、エストロゲン))、並びに肝外
胆汁鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、胆石による胆管閉塞)を含む、胆汁鬱滞;
回腸切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、短腸症候群、下痢(例
えば、胆汁酸下痢(BAD))及びGI症状を引き起こす、他に特徴付けられない(特発性の)胆汁
酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(例えば、結腸癌及び
肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関与する他の障害;並びに/又は胆汁酸
合成異常、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、肝硬変、及び門脈高血圧の一因とな
るものが挙げられる。追加の胆汁酸に関係した又は関連した障害としては、メタボリック
シンドローム;脂質又はグルコース障害;コレステロール又はトリグリセリド代謝;2型糖尿
病が挙げられる。
1つの特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は胆汁酸吸収不
良である。別の特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は下痢で
ある。別の特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は胆汁酸下痢
である。またさらなる特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は
胆汁鬱滞である。一実施態様において、該胆汁鬱滞は肝内胆汁鬱滞である。別の実施態様
において、該胆汁鬱滞は肝外胆汁鬱滞である。別のさらなる特定の実施態様において、該
胆汁酸に関係した又は関連した障害は胆汁酸合成の誤りである。別のさらなる特定の実施
態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は原発性胆汁性肝硬変(PBC)である
。他の特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は原発性硬化性胆
管炎(PSC)である。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害はPFIC(
例えば、進行性PFIC)である。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した
障害はNASHである。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は高血
糖状態である。具体的な実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は2型
糖尿病である。
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、胆汁酸ホメオスタシスの調節又は胆汁酸
に関係したもしくは関連した障害の治療に有効な少なくとも1つの追加の薬剤をさらに含
み、ここで、該追加の薬剤は:グルココルチコイド; CDCA; UDCA;インスリン、インスリン
分泌促進物質、インスリン模倣体、スルホニルウレア、及びメグリチニド;ビグアニド;α
-グルコシダーゼ阻害剤; DPP-IV阻害剤、GLP-1、GLP-1アゴニスト、及びGLP-1類似体; DP
P-IV耐性類似体; PPARγアゴニスト、二重作用性PPARアゴニスト、汎作用性PPARアゴニス
ト; PTP1B阻害剤; SGLT阻害剤; RXRアゴニスト;グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3阻害
剤;免疫モジュレーター;β-3アドレナリン作動性受容体アゴニスト; 11β-HSD1阻害剤;ア
ミリン及びアミリン類似体;胆汁酸捕捉剤;又はSGLT-2阻害剤である。ある実施態様におい
て、PBCの調節に有効な少なくとも1つの追加の薬剤は、UDCA、FXRアゴニスト、OCA、ASBT
阻害剤、自己免疫剤、抗IL-12剤、抗CD80剤、抗CD20剤、CXCL10中和抗体、CXCR3のリガン
ド、フィブラート、魚油、コルヒチン、メトトレキセート、アザチオプリン、シクロスポ
リン、又は抗レトロウイルス療法である。特定の実施態様において、PBCの調節に有効な
少なくとも1つの追加の薬剤は、UDCA、OCA、ASBT阻害剤、抗IL-12剤、抗CD20剤、又はフ
ィブラートである。
本明細書に提供されるペプチド製剤、方法、及びその使用により予防可能、治療可能、
又は管理可能な障害又は状態の非限定的な例としては、代謝性疾患及び代謝性障害が挙げ
られる。疾患及び障害の非限定的な例としては:メタボリックシンドローム;脂質又はグル
コース関連障害;コレステロール又はトリグリセリド代謝; 2型糖尿病;例えば、肝内胆汁
鬱滞の疾患(例えば、PBC、PFIC、PSC、PIC、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(
例えば、エストロゲン))、並びに肝外胆汁鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、胆
石による胆管閉塞)を含む、胆汁鬱滞;回腸切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び
潰瘍性大腸炎)、下痢(例えば、BAD)及びGI症状を引き起こす、他に特徴付けられない(特
発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(例えば
、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関与する他の障害;並びに
/又は胆汁酸合成異常、例えば、NASH、肝硬変、及び門脈高血圧の一因となるものが挙げ
られる。治療のために、本明細書に提供されるペプチドは、胆汁酸ホメオスタシスの調節
を必要としている又は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を有する対象に投与するこ
とができる。本明細書に提供されるペプチドはまた、腎損傷(例えば、尿細管損傷又は腎
症)、肝臓変性、眼の損傷(例えば、糖尿病性網膜症又は白内障)、及び糖尿病性足障害を
含む、他の高血糖関連障害;脂質異常症及び例えば、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾
患、脳血管障害などのその続発症などにおいても有用であり得る。
メタボリックシンドローム、例えば、肥満及び上昇したボディマス(その合併疾患、例
えば、限定されないが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(
NASH)、及び多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を含む)と関連し得る他の状態には、血栓症、凝固
能亢進状態及び血栓準備状態(動脈及び静脈)、高血圧(門脈高血圧(5mm Hg超の肝静脈圧勾
配(HVPG)と定義される)を含む)、心血管疾患、卒中、並びに心不全;アテローム性動脈硬
化症、慢性炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、エリテマトーデ
ス、関節炎、又は他の炎症性リウマチ障害を含む、炎症性反応が関与する障害又は状態;
細胞周期又は細胞分化過程の障害、例えば、脂肪細胞腫瘍、例えば、脂肪肉腫、固形腫瘍
、及び新生物を含む脂肪腫性癌;アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、進
行性多巣性白質脳症、及びギラン・バレー症候群を含む、中枢及び末梢神経系の神経変性
疾患及び/もしくは脱髄障害並びに/又は神経炎症過程が関与する神経学的疾患並びに/又
は他の末梢性ニューロパシー;紅斑性扁平上皮皮膚疾患を含む、皮膚及び皮膚科的障害並
びに/又は創傷治癒過程の障害;並びに他の障害、例えば、シンドロームX、変形性関節症
、及び急性呼吸窮迫症候群も含まれる。
本明細書に提供される様々な方法の一実施態様において、該対象はヒトである。ある実
施態様において、該対象は、それを必要としている対象である。
いくつかの実施態様において、単独の、又は少なくとも1つの追加の治療剤もしくは治
療モダリティと組み合わせた、本明細書に記載されるキメラペプチド配列又はペプチド配
列を、それが対象において厄介な有害作用を引き起こさないようにするために評価する。
特定の態様において、本明細書に記載されるキメラペプチド配列又はペプチド配列と少な
くとも1つの追加の治療剤又は治療モダリティの組合せは、それが対象においてHCCを誘導
しないようにするために評価される。そのような評価は、治療の開始前に(例えば、用量
漸増試験で)、治療中に(例えば、HCC活性と相関するマーカーを評価することにより)、又
は治療の終了後に(例えば、肝生検を行うことにより)実施することができる。いくつかの
態様において、該評価は、好適な試験環境(例えば、有効性が立証された動物モデル)で実
施される。当業者は、例えば、対象の胆汁酸に関係した又は関連した障害(例えば、PBC)
の重症度及び対象によって服用される他の医薬を含む、全ての関連因子を考慮して、本明
細書に記載される組合せ療法が、特定の対象、又は特定の対象を代表する対象集団にとっ
て好適であることを保証する追加の手段に精通している。
一実施態様において、方法は、本明細書に提供されるキメラペプチド又はペプチド配列
を、対象、例えば、高血糖状態(例えば、糖尿病、例えば、インスリン依存性(I型)糖尿病
、II型糖尿病、もしくは妊娠糖尿病)、インスリン抵抗性、高インスリン血症、耐糖能障
害、もしくはメタボリックシンドロームを有するか、又は肥満であるもしくは望ましくな
いボディマスを有する対象に投与することを含む。方法及び使用の特定の態様において、
キメラペプチド配列又はペプチド配列は、対象におけるグルコース代謝を改善するのに有
効な量で対象に投与される。より具体的な態様において、対象は、投与前に、100mg/dlを
超える空腹時血漿グルコースレベルを有するか、又は6%を上回るヘモグロビンA1c(HbA1c
)レベルを有する。さらなる実施態様において、使用又は対象の治療方法は、グルコース
レベルの低下、インスリン感受性の増大、インスリン抵抗性の低下、グルカゴンの低下、
耐糖能又はグルコース代謝もしくはホメオスタシスの改善、膵臓機能の改善、又はトリグ
リセリド、コレステロール、IDL、LDL、もしくはVLDLレベルの低下、又は血圧の減少、血
管の内膜肥厚の減少、又はボディマスもしくは体重の増加の減少を意図しているか、或い
はこれらをもたらす。
本発明の方法及び使用の特定の態様において、キメラペプチド配列又はペプチド配列は
、胆汁酸ホメオスタシスを改善又は提供するのに有効な量で対象に投与される。本発明の
方法及び使用に従って治療可能な胆汁酸に関係した又は関連した障害の非限定的な例とし
ては:メタボリックシンドローム;脂質又はグルコース関連障害;コレステロール又はトリ
グリセリド代謝; 2型糖尿病;例えば、肝内胆汁鬱滞の疾患(例えば、PBC、PFIC、PSC、PIC
、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(例えば、エストロゲン))、並びに肝外胆汁
鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、胆石による胆管閉塞)を含む、胆汁鬱滞;回腸
切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、下痢(例えば、BAD)及びGI
症状を引き起こす、他に特徴付けられない(特発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びに
GI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(例えば、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収
不良及び遠位小腸が関与する他の障害;並びに/又は胆汁酸合成異常、例えば、NASH、肝硬
変、及び門脈高血圧の一因となるものが挙げられる。一実施態様において、胆汁酸に関係
した又は関連した障害は胆汁酸吸収不良である。別の実施態様において、胆汁酸に関係し
た又は関連した障害は下痢である。別の実施態様において、胆汁酸に関係した又は関連し
た障害は胆汁鬱滞(例えば、肝内又は肝外胆汁鬱滞)である。別の実施態様において、胆汁
酸に関係した又は関連した障害は原発性胆汁性肝硬変である。別の実施態様において、胆
汁酸に関係した又は関連した障害は原発性硬化性胆管炎である。別の実施態様において、
胆汁酸に関係した又は関連した障害はPFIC(例えば、進行性PFIC)である。
(3.図面の説明)
図1は、表示された濃度のFGF19及びFGF21(配列番号99及び100)が腹腔内投与されたdb/dbマウスにおけるcyp7a1発現を示している。
図2A〜2Dは、A)変異体M1(配列番号1); B)変異体M2(配列番号2); C)変異体M5(配列番号5);及びD)変異体M32(配列番号32)の投与後のヒト初代肝細胞におけるcyp7a1発現を示している。
図3A〜3Dは、A)変異体M69(配列番号69); B)変異体M75(配列番号75); C)変異体M70(配列番号70);及びD)変異体M76(配列番号76)の投与後のヒト初代肝細胞におけるcyp7a1発現を示している。
図4A〜4Dは、A)変異体M85(配列番号85); B)変異体M96(配列番号96); C)変異体M90(配列番号90);及びD)変異体M98(配列番号98)の投与後のヒト初代肝細胞におけるcyp7a1発現を示している。
図5は、表示された変異体: M1、M2、M5、M32、M69、M70、M75、M76、M85、M90、M96、及びM98のcyp7a1 IC50(pM)、相対的cyp7a1発現、及びHCCコアを示す表である。
図6は、M70の投与が、プラセボと比較して、胆汁酸合成のマーカーである7a-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン(C4)を抑制することができることを示すヒト臨床試験の結果を示している。
図7は、L6細胞におけるFGFR4/β-クロトー複合体の発現が、FGF19、M3、及びM70による細胞内シグナル伝達経路の活性化を強化することを示している。
図8は、M70の投与が、プラセボと比較して、C4を抑制することができることを示している。
図9は、M70で処置したマウスが、胆管結紮(BDL)手術後に、肝損傷の生化学的マーカー、例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルカリアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びγ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の統計的に有意な改善を示したことを示している。
図10は、Mdr2ノックアウトマウスにおけるM70の連続発現が、ALP、ALT、及びASTなどの肝臓酵素を正常化したことを示している。
図11は、M70の投与が体重減少を促進すること及び2型糖尿病患者における血清トリグリセリドを低下させることができたことを示す、ヒト臨床試験の結果を示している。
(4.詳細な説明)
本開示をさらに説明する前に、本開示は、本明細書に記載される特定の実施態様に限定
されないことが理解されるべきであり、かつ本明細書で使用される専門用語は、特定の実
施態様を説明するためのものであるにすぎず、限定を意図するものではないことも理解さ
れるべきである。
(4.1 定義)
「患者」又は「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を指すた
めに互換的に使用される。
「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、対象を悩ます疾患、障害、
もしくは状態の根本原因のうちの少なくとも1つ、又は対象を悩ます疾患、障害、状態と
関連する症状のうちの少なくとも1つを、一時的に又は恒久的に消失させ、低下させ、抑
制し、軽減し、又は改善するために、疾患、障害、もしくは状態、又はこれらの症状が診
断、観察などされた後に開始される一連の行為(例えば、ポリペプチド又はポリペプチド
を含む医薬組成物の投与)を指す。したがって、治療には、活動性疾患を阻害すること(す
なわち、該疾患、障害、もしくは状態、又はこれらと関連する臨床症状の発症又はさらな
る発症を停止させること)が含まれる。
本明細書で使用される「治療を必要としている」という用語は、対象が必要とするか又
は治療からの恩恵を受けることになる、医師又は他の医療専門家によって行われる判断を
指す。
「予防する」、「予防すること」、「予防」などの用語は、一般に、特定の疾患、障害
、又は状態を有する傾向がある対象との関連において、疾患、障害、状態などを発症する
対象のリスクを、一時的に又は恒久的に、(例えば、臨床症状の欠如によって決定される
ように)予防し、抑制し、阻害し、もしくは低下させるような形で(例えば、疾患、障害、
状態、もしくはこれらの症状の発生の前に)、又はこれらの発生を遅延させる形で開始さ
れる一連の行為(例えば、ポリペプチド又はポリペプチドを含む医薬組成物の投与)を指す
。場合によっては、これらの用語は、疾患、障害、もしくは状態の進行を減速させること
、又は有害な状態もしくは他の形で望ましくない状態へのこれらの進行を阻害することも
指す。
本明細書で使用される「予防を必要としている」という用語は、対象が必要とするか又
は予防的ケアからの恩恵を受けることになる、医師又は他の医療専門家によって行われる
判断を指す。
「治療的有効量」という語句は、患者に投与したときに、疾患、障害、又は状態の任意
の症状、態様、又は特徴に対する任意の検出可能なプラスの効果を有することができる量
で、単独か又は医薬組成物の一部としてかのいずれかで及び単一用量か又は一連の投与の
一部としてかのいずれかで、薬剤を対象に投与することを指す。治療的有効量は、関連性
のある生理学的効果を測定することにより確認することができる。例えば、高血糖状態の
場合、血液グルコースの降下もしくは低下又は耐糖能試験の改善を用いて、薬剤の量が高
血糖状態を治療するのに有効かどうかを決定することができる。例えば、治療的有効量は
、空腹時血漿グルコース(FPG)の任意のレベル(例えば、ベースラインレベル)を低下又は
減少させるのに十分な量であり、ここで、例えば、該量は、FPGレベルを200mg/dl超から2
00mg/dl未満に低下させるのに十分であり、ここで、該量は、FPGレベルを175mg/dl〜200m
g/dlから出発レベル未満に低下させるのに十分であり、ここで、該量は、FPGレベルを150
mg/dl〜175mg/dlから出発レベル未満に低下させるのに十分であり、ここで、該量は、FPG
レベルを125mg/dl〜150mg/dlから出発レベル未満に低下させるのに十分であり、などであ
る(例えば、FPGレベルを125mg/dl未満に、120mg/dl未満に、115mg/dl未満に、110mg/dl未
満に低下させる、など)。さらに、HbAIcレベルの場合、有効量は、レベルを、約10%〜9
%よりも大きく、約9%〜8%よりも大きく、約8%〜7%よりも大きく、約7%〜6%よりも
大きく、約6%〜5%よりも大きくなど低下又は減少させるのに十分な量である。より具体
的には、約0.1%、0.25%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2
%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、33%、35%、40%、45%、50%、又はそれより
大きいHbAIcレベルの低下又は減少が本開示によって企図される。治療的有効量は、投与
レジメン及び対象の状態の診断分析などとの関連で調整することができる。
「変化をもたらすのに十分な量で」という語句は、特定の療法を施す前に測定される指
標(例えば、ベースラインレベル)と特定の療法を施した後に測定される指標のレベルとの
間に検出可能な相違があることを意味する。指標には、任意の客観的なパラメータ(例え
ば、グルコースもしくはインスリンのレベル)又は主観的なパラメータ(例えば、対象の幸
福感)が含まれる。
本明細書で使用される「耐糖能」という語句は、グルコース摂取が変動するときに、血
漿グルコース及び/又は血漿インスリンのレベルを制御する対象の能力を指す。例えば、
耐糖能は、約120分以内に、血漿グルコースのレベルをグルコースの摂取前に測定された
レベルにまで低下させる対象の能力を包含する。
大雑把に言えば、「糖尿病」及び「糖尿病性」という用語は、しばしば高血糖症及び糖
尿によって特徴付けられる、インスリンの不十分な産生又は利用を伴う、炭水化物代謝の
進行性疾患を指す。「前糖尿病」及び「前糖尿病性」という用語は、対象が、糖尿病に通
常見られる特徴、症状などを有さないが、治療されずに放置された場合、糖尿病に進行し
得る特徴、症状などを有する状態を指す。これらの状態の存在は、例えば、空腹時血漿グ
ルコース(FPG)試験又は経口耐糖能試験(OGTT)のいずれかを用いて決定することができる
。どちらも、通常、対象が、試験を開始する前に、少なくとも8時間絶食することを要求
する。FPG試験において、対象の血液グルコースは、絶食が終了した後に測定され;通常、
対象は一晩絶食し、血液グルコースは、朝、対象が食事を取る前に測定される。健康な対
象は、通常、約90〜約100mg/dlのFPG濃度を有することになるが、「前糖尿病」の対象は
、通常、約100〜約125mg/dlのFPG濃度を有することになり、「糖尿病」の対象は、通常、
約126mg/dlを上回るFPGレベルを有することになる。OGTTにおいて、対象の血液グルコー
スは、絶食後、及びグルコースに富む飲料を飲んでから2時間後に再び測定される。グル
コースに富む飲料を消費してから2時間後、健康な対象は、通常、約140mg/dl未満の血液
グルコース濃度を有し、前糖尿病対象は、通常、約140〜約199mg/dlの血液グルコース濃
度を有し、糖尿病対象は、通常、約200mg/dl以上の血液グルコース濃度を有する。前述の
血糖値はヒト対象に関するものであるが、正常血糖、中等度高血糖、及び顕性高血糖は、
マウス対象では別に見積もられる。4時間絶食後の健康なマウス対象は、通常、約100〜約
150mg/dlのFPG濃度を有することになり、「前糖尿病」のマウス対象は、通常、約175〜約
250mg/dlのFPG濃度を有することになり、「糖尿病」のマウス対象は、通常、約250mg/dl
を上回るFPG濃度を有することになる。
本明細書で使用される「インスリン抵抗性」という用語は、正常量のインスリンが正常
の生理的応答又は分子応答をもたらすことができない状態を指す。場合により、内在性に
産生されるか、又は外因性に投与されるかのいずれかの、生理学的量を超えるインスリン
が、インスリン抵抗性を完全に又はある程度克服し、生物学的応答をもたらすことができ
る。
「メタボリックシンドローム」という用語は、限定されないが、高インスリン血症、耐
糖能異常、肥満、脂肪の腹部又は上半身への再分配、高血圧、線維素溶解不全(dysfibrin
olysis)、並びに高トリグリセリド、低高密度リポタンパク質(HDL)-コレステロール、及
び小型高比重低密度リポタンパク質(LDL)粒子を特徴とする脂質異常症を含む、関連形質
群を指す。メタボリックシンドロームを有する対象は、2型糖尿病及び/又は他の障害(例
えば、アテローム性動脈硬化症)を発症するリスクがある。
「グルコース代謝障害」という語句は、健康な個体と比べた、対象におけるグルコース
レベルの上昇及び/又はインスリンレベルの上昇と関連する臨床症状又は臨床症状の組合
せを特徴とする任意の障害を包含する。グルコース及び/又はインスリンレベルの上昇は
、以下の疾患、障害、及び状態:特に、高血糖症、II型糖尿病、妊娠糖尿病、I型糖尿病、
インスリン抵抗性、耐糖能障害、高インスリン血症、グルコース代謝障害、前糖尿病、他
の代謝異常(例えば、シンドロームXとも呼ばれるメタボリックシンドローム)、及び肥満
において顕在化することがある。本開示のポリペプチド及びその組成物を用いて、例えば
、グルコースホメオスタシスを達成及び/又は維持し、例えば、血流中のグルコースレベ
ルを低下させる及び/又はインスリンレベルを健康な対象で見られる範囲まで低下させる
ことができる。
本明細書で使用される「高血糖症」という用語は、健康な個体と比べて上昇した量のグ
ルコースが対象の血液血漿中に循環する状態を指す。高血糖症は、本明細書に記載される
空腹時血液グルコースレベルの測定を含む、当技術分野で公知の方法を用いて診断するこ
とができる。
本明細書で使用される「高インスリン血症」という用語は、血液グルコースレベルが高
いか又は正常かのいずれかである場合に、同時に、高レベルの循環インスリンが存在する
状態を指す。高インスリン血症は、脂質異常症、例えば、高トリグリセリド、高コレステ
ロール、高低密度リポタンパク質(LDL)、及び低高密度リポタンパク質(HDL);高尿酸レベ
ル;多嚢胞性卵巣症候群; II型糖尿病、及び肥満と関連するインスリン抵抗性によって引
き起こされ得る。高インスリン血症は、約2μU/mLよりも高い血漿インスリンレベルを有
するものと診断することができる。
本明細書で使用される場合、「体重異常」という語句及び類似の用語は、過剰な体重及
び/又は食欲増進と関連する状態を指す。対象の年齢、身長、性別、及び健康状態を含む
、様々なパラメータを用いて、対象が基準の健康な個体と比較して過体重であるかどうか
を決定する。例えば、対象は、対象の体重(単位はキログラム)を対象の身長(単位はメー
トル)の2乗で割ることにより算出される対象のボディマス指数(BMI)の評価によって、過
体重又は肥満とみなすことができる。〜18.5から〜24.9kg/m2の範囲のBMIを有する成人は
正常な体重を有するとみなされ;〜25から〜29.9kg/m2のBMIを有する成人は過体重(前肥満
)とみなすことができ;〜30kg/m2以上のBMIを有する成人は肥満とみなすことができる。食
欲増進は、しばしば、過剰な体重の一因となる。例えば、朝の食欲不振及び多くの場合、
不眠症と関連する晩の過食を特徴とする夜食症候群を含め、食欲増進と関連するいくつか
の状態が存在するが、これらは、視床下部の損傷に関連している可能性がある。
本明細書で互換的に使用される、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質
」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、これは、遺伝子によって
コードされたアミノ酸及び遺伝子によってコードされていないアミノ酸、化学的に又は生
化学的に改変又は誘導体化されたアミノ酸、並びに改変されたポリペプチド骨格を有する
ポリペプチドを含むことができる。これらの用語には、限定されないが、異種アミノ酸配
列を有する融合タンパク質、異種及び相同リーダー配列を有し、N-終端メチオニン残基を
有する又は有さない、融合タンパク質;免疫学的にタグ付けされたタンパク質;などを含む
、融合タンパク質が含まれる。本開示全体を通して、1文字又は3文字コードに従ってアミ
ノ酸に言及するということを理解されたい。
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、天然の変異体(例えば、相同体
及びアレル変異体)及び非天然の変異体(例えば、ムテイン)を包含する。天然の変異体に
は、相同体、すなわち、それぞれ、ヌクレオチド又はアミノ酸配列が種によって異なる核
酸及びポリペプチドが含まれる。天然の変異体には、アレル変異体、すなわち、それぞれ
、ヌクレオチド又はアミノ酸配列が種内で個体によって異なる核酸及びポリペプチドが含
まれる。非天然の変異体には、それぞれ、ヌクレオチド又はアミノ酸配列の変化を含み、
ここで、該配列の変化が人為的に導入される、例えば、該変化が、実験室又は他の施設内
で、人間の介入(「人の手」)によってもたらされる、核酸及びポリペプチドが含まれる。
FGF19との関連における「ネイティブ」という用語は、生物学的に活性のある天然のFGF
19を指し、これには、生物学的に活性のある天然のFGF19変異体が含まれる。この用語は
、194アミノ酸のヒトFGF19成熟配列を含む。
「標識」、「標識すること」などの用語は、本開示のポリペプチド又は核酸(又は適切
な場合は、抗体)との関連において使用する場合、例えば、ポリペプチドの精製、同定、
単離、及び合成において有用な、任意の手段を広範に指すことが意図される。標識は、通
常、関心対象のポリペプチドに共有結合し、かつ成熟ポリペプチドへの(通常、N-もしく
はC-終端での)結合、固相ペプチド合成中の取込み、又は組換え手段によるものを含む、
当技術分野で公知の任意の方法で導入することができる。例としては、蛍光、ビオチン化
、及び放射性同位体が挙げられるが、これらに限定されない。ポリペプチド及び核酸分子
は、インビトロ法とインビボ法の両方によって標識することができる。標識試薬及びキッ
トは、いくつかの商業的供給源(例えば、Thermo Fischer Scientific, Rockford, IL;及
びMolecular Probes/Life Technologies; Grand Island, NY)から入手することができる
本明細書で使用される「ムテイン」という用語は、突然変異した組換えタンパク質、す
なわち、人為的に導入されたアミノ酸配列の変化、例えば、実験室又は他の施設内で、人
間の介入(「人の手」)によってもたらされたアミノ酸配列の変化を含むポリペプチドを広
範に指す。これらのタンパク質は、通常、単一又は複数のアミノ酸置換を保有しており、
多くの場合、部位特異的なもしくはランダムな突然変異誘発を受けているクローン化遺伝
子に由来するか、又は完全合成遺伝子に由来する。
ネイティブなヒトFGF19又はFGF19ムテインとの関連において本明細書で使用される場合
、「改変された」、「改変」などの用語は、ヒトFGF19、天然のFGF19変異体、又はFGF19
ムテインの所望の特性を増強する1以上の変化を指し、ここで、該変化は、FGF19の一次ア
ミノ酸配列を変化させない。そのような所望の特性としては、例えば、溶解度を高めるこ
と、循環半減期を延長させること、安定性を増大させること、クリアランスを低下させる
こと、免疫原性又はアレルゲン性を変化させること、製造可能性の側面(例えば、費用及
び効率)を改善すること、並びに検出アッセイにおいて使用するための特定の抗体の産生
を(例えば、特有のエピトープの導入によって)可能にすることが挙げられる。実施するこ
とができるヒトFGF19、天然のFGF19変異体、又はFGF19ムテインに対する変化としては、
ペグ化(ポリエチレングリコール(PEG)又はその誘導体の1以上の分子の共有結合);グリコ
シル化(例えば、N-グリコシル化)、ポリシアル酸化、及びヘス化(hesylation);アルブミ
ン融合;例えば、共役脂肪酸鎖(アシル化)を介するアルブミン結合; Fc-融合;並びにPEG模
倣体との融合が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの特定の実施態様は、ポ
リエチレングリコールを伴う改変を伴い、他の特定の実施態様は、アルブミンを伴う改変
を伴い、さらに他の特定の改変は、グリコシル化が関与する改変を伴う。
「DNA」、「核酸」、「核酸分子」、「ポリヌクレオチド」などの用語は、デオキシリ
ボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのヌクレオチド、又
はその類似体のポリマー形態を指すために本明細書において互換的に使用される。ポリヌ
クレオチドの非限定的な例としては、線状及び環状の核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、
相補的DNA(cDNA)、組換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、プライマーなどが挙
げられる。
「プローブ」という用語は、関心対象の遺伝子又は配列に対応するDNA又はRNAの断片を
指し、ここで、該断片は、(例えば、32Pもしくは35Sを取り込むことにより)放射性標識さ
れているか、又はビオチン、ジゴキシゲニン、もしくはフルオレセインなどの、何らかの
他の検出可能な分子で標識されている。相補的な配列を有するDNA又はRNAのストレッチは
ハイブリダイズすることになるので、プローブを用いて、例えば、関心対象の遺伝子を含
むウイルスプラーク、細菌コロニー、又はゲル上のバンドを標識することができる。プロ
ーブは、クローン化されたDNAであることができるか、又はそれは、合成DNA鎖であること
ができ;後者を用いて、例えば、タンパク質の一部をマイクロシークエンシングし、該タ
ンパク質をコードする核酸配列を推定し、その配列を保有するオリゴヌクレオチドを合成
し、該配列を放射性標識し、それをプローブとして用いて、cDNAライブラリ又はゲノムラ
イブラリをスクリーニングすることにより、単離されたタンパク質からcDNA又はゲノムク
ローンを得ることができる。
「異種」という用語は、異なる供給源に由来する構造によって定義される2つの成分を
指す。例えば、ポリペプチドとの関連において、「異種」ポリペプチドは、異なるポリペ
プチドに由来する機能的に連結されたアミノ酸配列を含むことができる。同様に、キメラ
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとの関連において、「異種」ポリヌクレオチ
ドは、異なる遺伝子に由来し得る機能的に連結された核酸配列を含むことができる。例示
的な「異種」核酸としては、コード配列を含む核酸が、該コード配列の遺伝的起原と異な
る遺伝的起原由来の調節エレメント(例えば、プロモーター)と機能的に連結されている(
例えば、該プロモーター、該コード配列、又はその両方と異なる遺伝的起原のものであり
得る、関心対象の宿主細胞における発現を提供するための)発現コンストラクトが挙げら
れる。組換え細胞との関連において、「異種」とは、それが存在する宿主細胞とは異なる
遺伝的起原のものである核酸(又は遺伝子産物、例えば、ポリペプチド)の存在を指すこと
ができる。
「機能的に連結された」という用語は、所望の機能を提供する分子間の連結を指す。例
えば、核酸との関連における「機能的に連結された」とは、核酸配列間の機能的連結を指
す。例として、核酸発現制御配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、又は一連の転
写因子結合部位)は、第二のポリヌクレオチドと機能的に連結されることができ、ここで
、該発現制御配列は、該第二のポリヌクレオチドの転写及び/又は翻訳に影響を及ぼす。
ポリペプチドとの関連において、「機能的に連結された」とは、ポリペプチドの記載され
た活性を提供するアミノ酸配列(例えば、異なるドメイン)間の機能的連結を指す。
ポリペプチドの構造との関連において本明細書で使用される場合、「N-終端」(又は「
アミノ終端」)及び「C-終端」(又は「カルボキシル終端」)とは、それぞれ、ポリペプチ
ドの最も遠いアミノ端及びカルボキシル端を指すが、「N-末端」及び「C-末端」という用
語は、それぞれ、N-終端及びC-終端に対するポリペプチドのアミノ酸配列における相対的
な位置を指し、それぞれ、N-終端及びC-終端の残基を含むことができる。「すぐN-末端」
又は「すぐC-末端」とは、第一のアミノ酸残基の第二のアミノ酸残基に対する位置を指し
、この場合、該第一のアミノ酸残基と該第二のアミノ酸残基は共有結合して、連続的なア
ミノ酸配列を提供する。
アミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列との関連における「に由来する」(例えば、FGF
19ポリペプチド「に由来する」アミノ酸配列)とは、ポリペプチド又は核酸が、参照ポリ
ペプチド又は核酸(例えば、天然のFGF19ポリペプチド又はFGF19をコードする核酸)の配列
に基づく配列を有することを示すことが意図されるが、タンパク質又は核酸が作製される
供給源又は方法に関して限定することは意図されない。例として、「に由来する」という
用語は、参照アミノ酸又はDNA配列の相同体又は変異体を含む。
ポリペプチドとの関連において「単離された」という用語は、天然に存在する場合、そ
れが天然に存在し得る環境とは異なる環境にある関心対象のポリペプチドを指す。「単離
された」とは、関心対象のポリペプチドについて実質的に濃縮されている及び/又は関心
対象のポリペプチドが部分的にもしくは実質的に精製されている試料の内部にあるポリペ
プチドを含むことが意図される。ポリペプチドが天然に存在しない場合、「単離された」
とは、ポリペプチドが、合成手段又は組換え手段のいずれかによって作製された環境から
分離されていることを示す。
「濃縮された」とは、関心対象のポリペプチドが、a)出発試料、例えば、生体試料(例
えば、ポリペプチドが天然に存在するかもしくはポリペプチドが投与後に存在する試料)
中のポリペプチドの濃度よりも高い(例えば、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高い、
少なくとも8倍高い、少なくとも64倍高い、もしくはそれより高い)濃度、又はb)ポリペプ
チドが作製された環境(例えば、細菌細胞中など)よりも高い濃度で存在するように、試料
が(例えば、科学者又は臨床医によって)自然にではなく操作されていることを意味する。
「実質的に純粋な」とは、成分(例えば、ポリペプチド)が、組成物の全含有量の約50%
超、一般的には、全ポリペプチド含有量の約60%超を占めることを示す。より一般的には
、「実質的に純粋な」とは、全組成物の少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90
%、又はそれより多くが関心対象の成分である組成物を指す。場合により、ポリペプチド
は、組成物の全含有量の約90%超、又は約95%超を占めることになる。
「測定すること」及び「アッセイすること」という用語並びにこれらの文法的変化形は
、本明細書で互換的に使用されており、定性的決定もしくは定量的決定のいずれか、又は
定性的決定と定量的決定の両方を指す。これらの用語が検出との関連において使用される
場合、本明細書に記載されかつ当技術分野で公知の様々な方法を含む、相対量を評価する
任意の手段が企図される。例えば、遺伝子発現は、ノーザンブロット、ウェスタンブロッ
ト、免疫沈降アッセイによるか、又は発現されたタンパク質の活性、機能、もしくは量を
測定することにより、アッセイ又は測定することができる。
「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、同じ構造特性を有する糖タン
パク質を指す。抗体は、特定の抗原に対する結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗
体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含む。
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、
すなわち、わずかな量で存在し得る可能性のある天然の突然変異を除けば同一である集団
を含む個々の抗体を指す。モノクローナル抗体は極めて特異的であり、単一の抗原性部位
に対するものである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含み得るポリクロ
ーナル抗体調製物とは対照的に、各々のモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に
対するものである。
抗体との関連において、「単離された」という用語は、その天然の環境の混入成分から
分離及び/又は回収されている抗体を指し;そのような混入成分としては、抗体の診断的又
は治療的使用を妨げる可能性がある材料が挙げられ、酵素、ホルモン、及び他のタンパク
質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。
本明細書で使用される場合、疾患、障害、又は状態との関連において使用される「FGF1
9依存性の」という用語及び類似の用語は、全て又は一部がFGF19の発現によって引き起こ
される、疾患、障害、又は他の状態を指す。ある実施態様において、FGF19の発現は、対
照と比較して増幅されている。いくつかの実施態様において、FGF19の発現は、5%、10%
、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%、もしくはそれより大きく、又はこれらの任意の数値範囲だけ増
幅されている。いくつかの実施態様において、FGF19発現の増幅は、疾患、障害、もしく
は状態、又はこれらの症状を直接的にもたらす。他の実施態様において、FGF19発現の増
幅は、疾患、障害、もしくは状態、又はこれらの症状を間接的にもたらす。
(4.2 ペプチド)
ある実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物、製剤、及び剤形は、1以上
の本明細書に提供されるペプチド又はペプチド配列を含む。ある実施態様において、本明
細書に提供される医薬組成物、製剤、及び剤形は、胆汁酸に関係したもしくは関連した障
害(例えば、PBC)、代謝障害、又は癌もしくは腫瘍の治療及び/又は予防と関連する1以上
の活性を有する、1以上のFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配
列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体を含む
。ある実施態様において、該活性はグルコース低下活性である。FGF19及び/又はFGF21ペ
プチド配列のそのような変異体及び融合体(キメラ)は、HCC形成もしくはHCC腫瘍形成を実
質的に増大させることも誘導することもない及び/又は脂質プロファイルの実質的な上昇
も増大も誘導しない配列を含む。
一実施態様において、キメラペプチド配列は、少なくとも7個のアミノ酸残基を有するN
-末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し
、ここで、該N-末端領域がDSSPL(配列番号121)もしくはDASPH(配列番号122)配列を有する
もの;並びにFGF19の一部を有するC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位
置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が、FGF19のアミノ酸残基16〜2
9
Figure 2020172509
を含み、かつ該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応するものを含むか又は
これらからなる。特定の実施態様において、該変異体は、M70:
Figure 2020172509
である。他の特定の実施態様において、該変異体は、M69:
Figure 2020172509
である。
別の実施態様において、該治療ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有する
もの;並びにb)配列番号99[FGF19]の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初
のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が、(i)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応する、第一のC-末
端領域配列;並びに(ii)
Figure 2020172509
を含む第二のC-末端領域配列を含むものを含む。
別の実施態様において、該治療ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、
ここで、該N-末端領域がDSSPL(配列番号121)又はDASPH(配列番号122)を含むもの;並びにb
)配列番号99[FGF19]の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位
置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が、(i)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応する、第一のC-末
端領域配列;並びに(ii)
Figure 2020172509
を含む第二のC-末端領域配列を含むものを含む。ある実施態様において、該ペプチドは、
(i)FGFR4に対するFGF19の結合親和性と同じかもしくはそれを上回る親和性でFGFR4に結合
し;(ii)FGF19がFGFR4を活性化するのと同じかもしくはそれを上回る程度もしくは量までF
GFR4を活性化し;(iii)FGF19と比較して、もしくは
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19(配列番号99)のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに
使用されているFGF19変異体配列と比較して、低下したHCC形成;より大きいグルコース低
下活性、より小さい脂質増加活性、より小さいトリグリセリド活性、より小さいコレステ
ロール活性、より小さい非HDL活性、もしくはより小さいHDL増加活性のうちの少なくとも
1つを有し;かつ/又は(iv)FGF21と比較して、より小さい除脂肪量低下活性を有する。
ある実施態様において、該第二のC-末端領域配列は、EIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜
6)配列に対する少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該
少なくとも1個のアミノ酸置換は、EIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)配列のIRP配列に対
するものである。いくつかの実施態様において、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、EIR
PD配列(配列番号190のアミノ酸2〜6)のRP配列に対するものである。いくつかの実施態様
において、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、RからLへの置換である。他の実施態様に
おいて、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、PからEへの置換である。さらに他の実施態
様において、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、RPからLEへの置換である。
いくつかの実施態様において、該第二のC-末端領域配列は、2〜5個のアミノ酸置換、欠
失、又は挿入を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、長さが約250アミノ酸未満
である。
一実施態様において、該治療ペプチドは、
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。ある実施態様において、該治療ペプチ
ドは、配列番号70を含むアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、該治療ペプチド
は、配列番号70からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、該治療ペ
プチドは、免疫グロブリンFc領域と融合している。
別の実施態様において、該治療ペプチドは、
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。ある実施態様において、該治療ペプチ
ドは、配列番号69を含むアミノ酸配列を有する。他の実施態様において、該治療ペプチド
は、配列番号69からなるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、該治療ペ
プチドは、免疫グロブリンFc領域と融合している。
別の実施態様において、該治療ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有する
もの;並びにb)最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を含むC-末端領域であって、
該C-末端領域が、(i)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応する、第一のC-末
端領域配列;並びに(ii)
Figure 2020172509
を含む第二のC-末端領域配列を含むものを含む。
別の実施態様において、該治療ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-
末端領域であって、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、
ここで、該N-末端領域が、
Figure 2020172509
を含むもの;並びにb)最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を含むC-末端領域であ
って、該C-末端領域が、(i)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応する、第一のC-末
端領域配列;並びに(ii)
Figure 2020172509
を含む第二のC-末端領域配列を含むものを含む。いくつかの実施態様において、該ペプチ
ドは、(i)FGFR4に対するFGF19の結合親和性と同じかもしくはそれを上回る親和性でFGFR4
に結合し;(ii)FGF19がFGFR4を活性化するのと同じかもしくはそれを上回る程度もしくは
量までFGFR4を活性化し;(iii)FGF19と比較して、もしくは
Figure 2020172509
のいずれかがアミノ酸16〜20のFGF19 WGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されている
FGF19変異体配列と比較して、低下した肝細胞癌(HCC)形成;より大きいグルコース低下活
性、より小さい脂質増加活性、より小さいトリグリセリド活性、より小さいコレステロー
ル活性、より小さい非HDL活性、もしくはより小さいHDL増加活性のうちの少なくとも1つ
を有し;かつ/又は(iv)FGF21と比較して、より小さい除脂肪量低下活性を有する。
ある実施態様において、該第二のC-末端領域配列は、EIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜
6)配列に対する少なくとも1個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該
少なくとも1個のアミノ酸置換は、EIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)配列のIRP配列に対
するものである。いくつかの実施態様において、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、EIR
PD配列(配列番号190のアミノ酸2〜6)のRP配列に対するものである。いくつかの実施態様
において、該少なくとも1個のアミノ酸置換はRからLへの置換である。他の実施態様にお
いて、該少なくとも1個のアミノ酸置換はPからEへの置換である。さらに他の実施態様に
おいて、該少なくとも1個のアミノ酸置換はRPからLEへの置換である。
いくつかの実施態様において、該第二のC-末端領域配列は、2〜5個のアミノ酸置換、欠
失、又は挿入を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、長さが約250アミノ酸未満
である。
別の実施態様において、キメラペプチド配列は、FGF21の一部を有するN-末端領域であ
って、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該N-
末端領域がGQV配列を有し、かつ該V残基が該N-末端領域の最後のアミノ酸位置に対応する
もの;並びにFGF19の一部を有するC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位
置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域がFGF19のアミノ酸残基21〜29
Figure 2020172509
を含み、かつ該R残基が該C-末端領域の最初の部分に対応するものを含むか又はこれらか
らなる。
特定の態様において、実質的な腫瘍原性を示すことなく好都合な代謝パラメータを保有
するFGF19のループ-8領域に対する修飾が本明細書に開示される。本明細書において、FGF
19残基127〜129は、ループ-8領域を構成するものとして定義されるが、文献において、ル
ープ-8領域は、他の残基(例えば、残基125〜129)を含むか又は該残基からなるものとして
定義されることもある。FGF19フレームワークに対するR127L置換とP128E置換の特定の組
合せは、HCC形成に対して予想外にプラスの効果を有していた。さらに一層驚いたことに
、R127L置換とP128E置換の組合せ及びFGF19コア領域中のGln(Q)へのLeu(L)の置換は、HCC
形成の予防に対してさらに一層顕著な効果を有していた。
したがって、FGF19ループ-8領域の変異体は、実質的な、測定可能な、又は検出可能なH
CC形成を低下又は消失させることができるので、FGF19ループ-8領域の変異体が含まれる
。さらに、HCC形成を低下させる効果は、ループ-8領域の外側のアミノ酸残基に対する修
飾(例えば、コア領域、例えば、配列番号99のアミノ酸21〜29に対応する領域中のアミノ
酸残基の置換)によって増強することができる。いくつかの実施態様において、ループ-8
修飾変異体は、配列番号99のアミノ酸127〜129に対応するFGF19ループ-8領域中の置換を
含む。ある実施態様において、ループ-8修飾変異体は、(i)R127L置換、(ii)P128E置換、
又は(iii)R127L置換及びP128E置換に対応するFGF19ループ-8領域中の置換を含む。
ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域、又は本
明細書に提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF19配列中の少なくとも1個のアミ
ノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-
8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を
含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領
域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含
む。他の実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIR
PD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する3個のアミノ酸置換を含む。ある実
施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番
号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する4個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施
態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号1
90のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する5個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様におい
て、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸
3〜5)アミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該
ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)
アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含む。他の実施態様において、該ペプチドの
アミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配
列に対する3個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配
列は、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する1
個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、
FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する2個のア
ミノ酸置換を含む。ある実施態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190の
アミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対するアミノ酸置換は、Arg(R)からLeu(L)への置換である
。他の実施態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミ
ノ酸配列に対する置換は、Pro(P)からGlu(E)への置換である。いくつかの実施態様におい
て、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換
は、Arg(R)からLeu(L)への置換及びPro(P)からGlu(E)への置換である。具体的な実施態様
において、上記のFGF19のループ-8領域中の置換は、本明細書に提供される変異体ペプチ
ド中のその対応するFGF19配列中にある。すなわち、本明細書に提供されるペプチド変異
体の対応するFGF19配列(例えば、EIRPD、IRP、又はRP)内の該置換も企図される。
いくつかの実施態様において、該FGF19変異体は、配列番号99のアミノ酸21〜29に対応
するコア領域中の置換を含むか又は該置換をさらに含む。ある実施態様において、該FGF1
9変異体は、L22Q置換に対するコア領域中の置換を含むか又は該置換をさらに含む。
いくつかの実施態様において、ループ-8修飾変異体は、FGF19ループ-8領域中の置換(下
線部)を含む、M70:
Figure 2020172509
である。ある実施態様において、ループ-8修飾M70変異体は、(i)RからLへの置換、(ii)P
からEへの置換、又は(iii)RからLへの置換及びPからEへの置換(配列番号204)に対応するF
GF19ループ-8領域中の置換(RPD;下線部)を含む。ある実施態様において、ループ-8修飾M7
0変異体は、FGF19コア領域中の置換をさらに含むか又は該置換をさらに含む。いくつかの
実施態様において、ループ-8修飾M70変異体はL18Q置換を含む(すなわち、L18Q置換を有す
る配列番号70)。
いくつかの実施態様において、ループ-8修飾変異体は、FGF19ループ-8領域中の置換(下
線部)を含む、M69:
Figure 2020172509
である。ある実施態様において、ループ-8修飾M69変異体は、(i)RからLへの置換、(ii)P
からEへの置換、又は(iii)RからLへの置換及びPからEへの置換に対応するFGF19ループ-8
領域中の置換(RPD;下線部)を含む。ある実施態様において、ループ-8修飾M69変異体は、F
GF19コア領域中の置換をさらに含むか又は該置換をさらに含む。いくつかの実施態様にお
いて、ループ-8修飾M69変異体はL17Q置換を含む(すなわち、L17Q置換を有する配列番号69
)。
本明細書に提供される他の変異体中の他の同等の修飾も企図される。ある実施態様にお
いて、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミ
ノ酸2〜6)アミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において
、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸
2〜6)アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含む。他の実施態様において、該ペプチ
ドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミ
ノ酸配列に対する3個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミ
ノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列
に対する4個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ
酸配列は、FGF19のループ-8領域中のEIRPD(配列番号190のアミノ酸2〜6)アミノ酸配列に
対する5個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は
、FGF19のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する1個の
アミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF1
9のループ-8領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する2個のアミノ
酸置換を含む。他の実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8
領域中のIRP(配列番号190のアミノ酸3〜5)アミノ酸配列に対する3個のアミノ酸置換を含
む。ある実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のRP(
配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する1個のアミノ酸置換を含む。いくつか
の実施態様において、該ペプチドのアミノ酸配列は、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番
号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する2個のアミノ酸置換を含む。ある実施態様に
おいて、FGF19のループ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する
アミノ酸置換は、Arg(R)からLeu(L)への置換である。他の実施態様において、FGF19のル
ープ-8領域中のRP(配列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換は、Pro(P)か
らGlu(E)への置換である。いくつかの実施態様において、FGF19のループ-8領域中のRP(配
列番号190のアミノ酸4〜5)アミノ酸配列に対する置換は、Arg(R)からLeu(L)への置換及び
Pro(P)からGlu(E)への置換である。具体的な実施態様において、上記のFGF19のループ-8
領域中の置換は、本明細書に提供される変異体ペプチド中のその対応するFGF19配列中に
ある。すなわち、本明細書に提供されるペプチド変異体の対応するFGF19配列(例えば、EI
RPD、IRP、又はRP)内の該置換も企図される。
さらなる実施態様において、ペプチド配列は、参照又は野生型FGF19と比較して、1以上
のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF19変異体を含むか又は該変異体からな
る。追加の実施態様において、ペプチド配列は、参照又は野生型FGF21と比較して、1以上
のアミノ酸置換、挿入、もしくは欠失を有するFGF21配列変異体を含むか又は該変異体か
らなる。さらに追加の実施態様において、ペプチド配列は、FGF19配列の一部がFGF21配列
の一部に融合したものを含むか又はこれからなる。さらに追加の実施態様において、ペプ
チド配列は、FGF19配列の一部がFGF21配列の一部に融合したものを含むか又はこれからな
り、ここで、該FGF19及び/又はFGF21配列部分は、参照又は野生型FGF19及び/又はFGF21と
比較して、1以上のアミノ酸置換、挿入、又は欠失を有する。そのような配列の例は、PCT
公開WO 2013/006486号及び米国公開第2013/0023474号、並びに2014年6月5日に公開された
PCT公開WO 2014/085365号に開示されている。表1〜11及び配列表は、本明細書に提供され
る方法において使用し得る代表的な配列も記載している。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される治療ペプチドは、FGF19及び/又は
FGF21ペプチド配列の変異体及び融合体を含む。一実施態様において、該治療ペプチドは
、1以上の変異体又は融合体FGF19及び/又はFGF21ペプチドを含む。他の実施態様において
、本明細書に提供される方法は、対象に、変異体又は融合体FGF19及び/又はFGF21ペプチ
ド配列をコードする1以上の核酸分子(例えば、任意にベクターを含む、ペプチド配列をコ
ードする核酸と機能的に連結された発現制御エレメント)を、胆汁酸に関係した又は関連
した障害を治療するのに有効な量で接触させ又は投与することを含む。
代表的な参照又は野生型FGF19配列は:
Figure 2020172509
と記載される。
代表的な参照又は野生型FGF21配列は:
Figure 2020172509
と記載される。FGF21アレル変異体としては、例えば、M70、M71、及びM72が挙げられる。
「ペプチド」、「タンパク質」、及び「ポリペプチド」配列という用語は、アミド結合
又は同等物により共有結合された、アミノ酸の化学的修飾及び誘導体を含む、2以上のア
ミノ酸、又は「残基」を指すために本明細書において互換的に使用される。ペプチドの全
て又は一部を形成するアミノ酸は、既知の21種の天然のアミノ酸の中から由来するもので
あってもよく、これらは、それらの1文字略語又は一般的な3文字略語の両方によって言及
される。本明細書に提供されるペプチド配列において、従来のアミノ酸残基は、その従来
の意味を有する。したがって、「Leu」はロイシンであり、「Ile」はイソロイシンであり
、「Nle」はノルロイシンであり、などである。
様々な特定の態様において、本明細書に提供されるペプチド又はキメラ配列は、N-末端
領域の最初のアミノ酸位置に、「M」残基、「R」残基、「S」残基、「H」残基、「P」残
基、「L」残基、又は「D」残基を有する。様々な代わりの特定の態様において、ペプチド
又はキメラ配列のペプチド配列は、該N-末端領域の最初のアミノ酸位置に「M」残基も「R
」残基も有さない。
例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及び修飾形態(配列表、又は表1〜11に掲
載されているFGF19及びFGF21の変異体及び部分配列を含む)も、前述のものが少なくとも
検出可能又は測定可能な活性又は機能を保持する限り、本明細書に提供される。また、特
定の例示的な変異体ペプチド、例えば、アミノ終端にFGF21配列の全て又は一部を有する
ものは、N-終端に配置される「R」残基を有し、これは、除外することができる。同様に
、特定の例示的な変異体ペプチドは、N-終端に配置される「M」残基を含み、これは、除
外される残基、例えば、「R」残基に付加するか、又はさらに該残基の代わりに使用する
ことができる。より具体的には、様々な実施態様において、N-終端のペプチド配列は:
Figure 2020172509
のいずれかを含む。さらに、「M」残基が「S」残基に隣接しているとき、「M」残基がペ
プチド配列から欠失するように「M」残基が切断されてもよいのに対し、「M」残基が「D
」残基に隣接しているとき、「M」残基は切断されなくてもよい。したがって、例として
、様々な実施態様において、ペプチド配列には、N-終端に、以下の残基:
Figure 2020172509
を有するものが含まれる。
本明細書に例示されるのは、胆汁酸ホメオスタシス、高血糖状態、インスリン抵抗性、
高インスリン血症、耐糖能障害、メタボリックシンドローム、又は関連障害をインビボで
調節する、本明細書に記載される参照FGF19及びFGF21ポリペプチドとは異なる、ペプチド
配列である(例えば、表1〜11及び配列表)。非限定的な特定の例は、FGF21のアミノ末端ア
ミノ酸1〜16がFGF19のカルボキシ末端アミノ酸21〜194に融合したペプチド配列; FGF19の
アミノ末端アミノ酸1〜147がFGF21のカルボキシ末端アミノ酸147〜181に融合したペプチ
ド配列; FGF19のアミノ末端アミノ酸1〜20がFGF21のカルボキシ末端アミノ酸17〜181に融
合したペプチド配列; FGF21のアミノ末端アミノ酸1〜146がFGF19のカルボキシ末端アミノ
酸148〜194に融合したペプチド配列;及びFGF19のアミノ末端アミノ酸1〜20がFGF21の内部
アミノ酸17〜146に融合したものがFGF19のカルボキシ末端アミノ酸148〜194に融合したペ
プチド配列である。
追加の特定のペプチド配列は、FGF19(配列番号99)のアミノ酸16〜20のWGDPI配列に対応
するWGDPI(配列番号170)配列モチーフを含むか、FGF19(配列番号99)のアミノ酸16〜20のW
GDPI配列に対応するWGDPI(配列番号170)配列モチーフを欠くか、又はFGF19(配列番号99)
のアミノ酸16〜20のFGF19 WGDPI配列に対応する置換された(すなわち、突然変異した)WGD
PI(配列番号170)配列モチーフを有する。
本明細書に提供される特定のペプチド配列は、FGF19及びFGF21(例えば、本明細書に記
載されているもの)と異なる配列、並びに
Figure 2020172509
のいずれかがアミノ酸16〜20のFGF19 WGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されている
FGF19変異体配列も含む。したがって、野生型FGF19及びFGF21(例えば、それぞれ、配列番
号99及び100として本明細書に記載されているもの)は除外される配列であってもよく、か

Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19も除外されてよい。しかしながら、この除外は、配列が、例えば、3つのFGF21残
基が、例えば、GQV、GQV、GDI、またはGPIのいずれかを有するFGF19に融合したもの、又
は2つのFGF21残基が
Figure 2020172509
のいずれかに融合したものを有する場合には適用されない。
ペプチド配列の特定の非限定的な例は、M1〜M98(それぞれ、配列番号1〜52、192、及び
54〜98)、M101〜M160、もしくはM200〜M207と本明細書において規定されている配列変異
体の全てもしくは一部を含むか又はこれらからなる。ペプチド配列のより具体的で非限定
的な例は:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
と記載される配列又は上記のペプチド配列のいずれかのその部分配列もしくは断片の全て
もしくは一部を含むか或いはこれらからなる。上記のペプチド配列のいずれかのある実施
態様において、該R末端残基は欠失している。
ペプチド配列の追加の特定の非限定的な例は、N-終端に:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
Figure 2020172509
のいずれかの全てもしくは一部を含むか又はこれらからなるペプチド配列を有し、上記の
ペプチド配列のいずれかについて、アミノ末端R残基は欠失していてもよい。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
Figure 2020172509
のいずれかを含むか又はこれらからなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、
上記の配列のうちの1つを含む。別の実施態様において、該ペプチドは、上記の配列のう
ちの1つからなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号99(FGF19)の一
部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位
置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基16〜29
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応するものを含む。
具体的な実施態様において、ペプチド配列は:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。
別の実施態様において、ペプチド配列は:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
ある実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。一実施態様において、該
N-末端R残基は欠失している。
他の実施態様において、該ペプチドは:
Figure 2020172509
又はその部分配列もしくは断片を含むか或いはこれらからなる。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M139と表される変異体ペプチドである。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列を
含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号193に記載されるアミノ酸配列か
らなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M140と表される変異体ペプチドで
ある。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号194に記載されるアミノ酸
配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M141と表される変異体ペプ
チドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号195に記載されるア
ミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M160と表される変異
体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号196に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M200と表され
る変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号197に
記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M201と
表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号
198に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号1
98に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M202と表
される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号19
9に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号199
に記載されるアミノ酸配列からなる。ある実施態様において、該ペプチドは、M203と表さ
れる変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番号200
に記載されるアミノ酸配列からなる。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、M204
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号201に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチドは、M205
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号202に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチドは、M206
と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、配列番
号203に記載されるアミノ酸配列からなる。さらに他の実施態様において、該ペプチドは
、M207と表される変異体ペプチドである。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチドは、
配列番号204に記載されるアミノ酸配列からなる。
本明細書に提供されるペプチド配列は、FGF19、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、低下した又は欠如したHCCの誘導又は形成を伴うものをさ
らに含む。本明細書に提供されるペプチド配列は、FGF19、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より大きいグルコース低下活性を有するものも含む。本
明細書に提供されるペプチド配列は、FGF19、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より小さい脂質(例えば、トリグリセリド、コレステロー
ル、非HDL、又はHDL)増加活性を有するものをさらに含む。
通常、本明細書に提供されるペプチド配列中のアミノ酸又は残基の数は、合計約250個
未満(例えば、アミノ酸又はその模倣体)になる。様々な特定の実施態様において、残基の
数は、約20個から最大約200個までの残基(例えば、アミノ酸又はその模倣体)を含む。追
加の実施態様において、残基の数は、約50個から最大約200個までの残基(例えば、アミノ
酸又はその模倣体)を含む。さらなる実施態様において、残基の数は、長さが約100個から
最大約195個までの残基(例えば、アミノ酸又はその模倣体)を含む。
アミノ酸又は残基は、アミド化学結合によるか、又は例えば、グルタルアルデヒド、N-
ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能性マレイミド、もしくはN,N'-ジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)とともに形成されるものを含む、非天然及び非アミド化学結合
によって連結されることができる。非アミド結合は、例えば、ケトメチレン、アミノメチ
レン、オレフィン、エーテル、チオエーテルなどを含む(例えば、Spatolaの文献、「アミ
ノ酸、ペプチド、及びタンパク質の化学及び生化学(Chemistry and Biochemistry of Ami
no Acids, Peptides and Proteins)」、第7巻、267〜357頁(1983)の「ペプチド及び骨格
修飾(Peptide and Backbone Modifications)」、Marcel Decker, NYを参照)。したがって
、本明細書に提供されるペプチドがFGF19配列の一部及びFGF21配列の一部を含む場合、こ
れら2つの部分は、アミド結合によって互いに接続される必要はないが、任意の他の化学
的部分によって接続されるか又はリンカー部分を介して一緒にコンジュゲートされること
ができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される治療ペプチドは、例示されたペプ
チド配列の部分配列、変異体、及び修飾形態(表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19
及びFGF21変異体及び部分配列を含む)が、少なくとも検出可能又は測定可能な活性又は機
能を保持する限り、前述のものも含む。例えば、ある例示された変異体ペプチドは、C-末
端部分に、例えば、該変異体の「TSG」アミノ酸残基に続けて、FGF19 C-末端配列
Figure 2020172509
を有する。
また、ある例示された変異体ペプチド、例えば、アミノ終端にFGF21配列の全て又は一
部を有するものは、N-終端に配置された「R」残基を有し、これは、除外することができ
る。同様に、ある例示された変異体ペプチドは、N-終端に配置された「M」残基を含み、
これは、「R」残基などの除外された残基に付加するか又はさらにその代わりに使用する
ことができる。より具体的には、様々な実施態様において、N-終端のペプチド配列には:
Figure 2020172509
のいずれかが含まれる。さらに、細胞内では、「M」残基が「S」残基に隣接しているとき
、「M」残基がペプチド配列から欠失するように「M」残基が切断される場合があるのに対
し、「M」残基が「D」残基に隣接しているとき、「M」残基は切断されない場合がある。
したがって、例として、様々な実施態様において、ペプチド配列には、N-終端に、以下の
残基:
Figure 2020172509
を有するものが含まれる。
したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される「ペプチド」、「ポ
リペプチド」、及び「タンパク質」配列は、部分配列、変異体、又は修飾形態(例えば、
融合体又はキメラ)が、少なくとも検出可能な活性又は機能、例えば、グルコース低下活
性及び/又は胆汁酸ホメオスタシスの調節を保持する限り、表1〜11及び配列表に掲載され
ているFGF19及びFGF21変異体及び部分配列、並びに表1〜11及び配列表に掲載されているF
GF19/FGF21融合体及びキメラの部分配列、変異体、及び修飾形態を含む。
本明細書で使用される場合、「修飾する」という用語及びその文法的変化形は、組成物
が、ペプチド配列などの参照組成物と比べて逸脱していることを意味する。そのような修
飾されたペプチド配列、核酸、及び他の組成物は、未修飾の参照ペプチド配列、核酸、も
しくは他の組成物と比較して、より大きいもしくはより小さい活性もしくは機能を有し、
又は異なる機能もしくは活性を有し得るか、或いは検出アッセイにおいて及び/又はタン
パク質精製のために使用される抗体を誘発するように、治療用に製剤化されたタンパク質
において望ましい特性(例えば、血清半減期)を有し得る。例えば、本明細書に提供される
ペプチド配列は、血清半減期を増大させるように、タンパク質のインビトロ及び/又はイ
ンビボ安定性を増大させるようになど、修飾することができる。
本明細書に例示されたペプチド配列のそのような部分配列、変異体、及び修飾形態(例
えば、配列表又は表1〜11に掲載されているペプチド配列)の特定の例は、アミノ終端、カ
ルボキシ終端、もしくは内部への又はアミノ終端、カルボキシ終端、もしくは内部からの
、1以上のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入/付加を含む。1つの例は、あるアミノ酸
残基への該ペプチド配列内の別のアミノ酸残基の置換である。別の例は、1以上のアミノ
酸残基の該ペプチド配列からの欠失、又は1以上のアミノ酸残基の該ペプチド配列への挿
入もしくは付加である。
置換、欠失、又は挿入/付加された残基の数は、ペプチド配列の1以上のアミノ酸(例え
ば、1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、8
0〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160
〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250個、又はそれよりも多く)で
ある。したがって、FGF19又はFGF21配列は、置換、欠失、又は挿入/付加された少数又は
多数のアミノ酸(例えば、1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60
、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜
150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250個、又
はそれよりも多く)を有することができる。さらに、FGF19アミノ酸配列は、FGF21由来の
約1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80
〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、150〜160、160〜
170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250個、もしくはそれよりも多く
のアミノ酸のアミノ酸配列を含む又はこれらからなることができるか;或いはFGF21アミノ
酸又は配列は、FGF19由来の約1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50
〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、1
40〜150、150〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250個
、又はそれよりも多くのアミノ酸のアミノ酸配列を含む又はこれらからなることができる
置換の具体例は、L-残基をD残基に置き換えることを含む。したがって、残基はL-異性
体配置で掲載されるが、D-異性体が検出可能又は測定可能な機能を有さない配列を生じさ
せない限り、本明細書に提供されるペプチド配列の任意の特定の位置又は全ての位置のD-
アミノ酸が含まれる。
追加の具体例は、非保存的置換及び保存的置換である。「保存的置換」は、生物学的、
化学的、又は構造的に類似している残基による1個のアミノ酸の置換である。生物学的に
類似しているとは、その置換が、生物学的活性、例えば、PBC及び/又はその症状を改善す
る活性に適合することを意味する。構造的に類似しているとは、アミノ酸が、アラニン、
グリシン、及びセリンなどの類似した長さの側鎖を有するか、もしくは類似した大きさを
有するか、又は第一、第二、もしくは追加のペプチド配列の構造が維持されることを意味
する。化学的類似性とは、残基が、同じ電荷を有するか、又は両方とも親水性及び疎水性
であることを意味する。特定の例は、ある疎水性残基、例えば、イソロイシン、バリン、
ロイシン、もしくはメチオニンへの別の疎水性残基の置換、又はある極性残基への別の極
性残基の置換、例えば、アルギニンへのリジンの置換、グルタミン酸へのアスパラギン酸
の置換、又はグルタミンへのアスパラギンの置換、セリンへのトレオニンの置換などを含
む。ルーチンのアッセイを用いて、部分配列、変異体、又は修飾形態が、活性、例えば、
PBC及び/又はその症状を改善する活性を有するかどうかを決定することができる。
本明細書に例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及び修飾形態の特定の例は、
参照ペプチド配列との50%〜60%、60%〜70%、70%〜75%、75%〜80%、80%〜85%、
85%〜90%、90%〜95%、又は96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する。「同
一性」及び「相同性」という用語並びにこれらの文法的変化形は、2以上の言及された実
体が同じであることを意味する。したがって、2つのアミノ酸配列が同一である場合、こ
れらは同一のアミノ酸配列を有する。「同一の部分、領域、又はドメイン」とは、2以上
の言及された実体の一部が同じであることを意味する。したがって、2つのアミノ酸配列
が1以上の配列領域にわたって同一又は相同である場合、該配列は、これらの領域におい
て同一性を共有している。
2つの配列間の同一性の程度は、当技術分野で公知のコンピュータプログラム及び数学
的アルゴリズムを用いて確認することができる。配列同一性(相同性)のパーセントを計算
するそのようなアルゴリズムは、一般に、比較領域にわたる配列ギャップ及びミスマッチ
を考慮している。例えば、BLAST(例えば、BLAST 2.0)検索アルゴリズム(例えば、Altschu
lらの文献、J. Mol. Biol. 215:403(1990)を参照、NCBIにより公開されている)は、次の
ような例示的検索パラメータを有する:ミスマッチ-2;ギャップオープン5;ギャップエクス
テンション2。ペプチド配列比較のために、BLASTPアルゴリズムは、通常、PAM100、PAM 2
50、BLOSUM 62、又はBLOSUM 50などのスコアリングマトリックスと組み合わせて使用され
る。FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)並びにSSEARCH配列比較プログラムも同一性の程度
を定量するために使用される(Pearsonらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:2444(
1988); Pearsonの文献、Methods Mol Biol. 132:185(2000);及びSmithらの文献、J. Mol.
Biol. 147:195(1981))。ドロネー(Delaunay)ベースの位相マッピングを用いてタンパク
質の構造類似性を定量するためのプログラムも開発されている(Bostickらの文献、Bioche
m Biophys Res Commun. 304:320(2003))。
本明細書に例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及び修飾形態を含むペプチド
配列において、「アミノ酸」又は「残基」は、従来のα-アミノ酸並びに少なくとも1つの
側鎖が本明細書に定義されるアミノ酸側鎖部分である、β-アミノ酸;α,α二置換アミノ
酸;及びN-置換アミノ酸を含む。「アミノ酸」は、N-終端アミノ基がC1〜C6線状又は分岐
状アルキル置換基を有するN-アルキル α-アミノ酸をさらに含む。したがって、「アミノ
酸」という用語は、天然のタンパク質アミノ酸の立体異性体及び修飾体、非タンパク質ア
ミノ酸、翻訳後修飾されたアミノ酸(例えば、グリコシル化、リン酸化、エステル、又は
アミド切断などによる)、酵素的に修飾された又は合成されたアミノ酸、誘導体化された
アミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された構築物又は構造物、修飾された、天然の
部分から誘導体化された、又は合成の、又は非天然の側鎖部分を有するアミノ酸などを含
む。修飾されかつ通常ではないアミノ酸は、本明細書に提供されるペプチド配列に含まれ
る(例えば、「合成ペプチド:ユーザーガイド(Synthetic Peptides: A User's Guide)」:
Hrubyらの文献、Biochem. J. 268:249(1990);及びToniolo C.の文献、Int. J. Peptide P
rotein Res. 35:287(1990)を参照)。
さらに、アミノ酸の保護基及び修飾基が含まれる。本明細書で使用される「アミノ酸側
鎖部分」という用語は、「アミノ酸」という用語が本明細書で定義されているように、任
意のアミノ酸の任意の側鎖を含む。したがって、これは、天然のアミノ酸中の側鎖部分を
含む。これはさらに、本明細書に記載されかつ当業者に公知の修飾された天然のアミノ酸
中の側鎖部分、例えば、天然のタンパク質アミノ酸の立体異性体及び修飾体、非タンパク
質アミノ酸、翻訳後修飾されたアミノ酸、酵素的に修飾されたもしくは合成されたアミノ
酸、誘導体化されたアミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された構築物もしくは構造
物などの中の側鎖部分などを含む。例えば、本明細書に開示される又は当業者に公知の任
意のアミノ酸の側鎖部分は、この定義に含まれる。
「アミノ酸側鎖部分の誘導体」は、アミノ酸側鎖部分の定義に含まれる。誘導体化され
たアミノ酸側鎖部分の非限定的な例としては、例えば:(a)存在するアルキル、アリール、
もしくはアラルキル鎖への1以上の飽和もしくは不飽和炭素原子の付加;(b)側鎖中の炭素
の別の原子、例えば、酸素もしくは窒素との置換;(c)メチル(--CH3)、メトキシ(--OCH3)
、ニトロ(--NO2)、ヒドロキシル(--OH)、もしくはシアノ(--C=N)を含む、側鎖の炭素原
子への末端基の付加;(d)ヒドロキシ、チオール、もしくはアミノ基を含む側鎖部分に関し
て、好適なヒドロキシ、チオール、もしくはアミノ保護基の付加;又は(e)環構造を含む側
鎖部分に関して、直接的にもしくは例えばエーテル連結を介して結合したヒドロキシル、
ハロゲン、アルキル、もしくはアリール基を含む、1以上の環置換基の付加が挙げられる
。アミノ基に関して、好適な保護基は当業者に公知である。提供されたそのような誘導体
化は、最終的なペプチド配列において所望の活性(例えば、PBC及び/又はその症状を改善
する活性)を提供する。
「アミノ酸側鎖部分」は、そのような誘導体化を全て含み、特定の非限定的な例として
は:γ-アミノ酪酸、12-アミノドデカン酸、α-アミノイソ酪酸、6-アミノヘキサン酸、4-
(アミノメチル)-シクロヘキサンカルボン酸、8-アミノオクタン酸、ビフェニルアラニン
、Boc--t-ブトキシカルボニル、ベンジル、ベンゾイル、シトルリン、ジアミノ酪酸、ピ
ロールリジン、ジアミノプロピオン酸、3,3-ジフェニルアラニン、オルソニン、シトルリ
ン、1,3-ジヒドロ-2H-イソインドールカルボン酸、エチル、Fmoc-フルオレニルメトキシ
カルボニル、ヘプタノイル(CH3--(CH2)5--C(=O)--)、ヘキサノイル(CH3--(CH2)4--C(=O
)--)、ホモアルギニン、ホモシステイン、ホモリジン、ホモフェニルアラニン、ホモセリ
ン、メチル、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、ノルバリン(NVA)、フェニ
ルグリシン、プロピル、イソプロピル、サルコシン(SAR)、tert-ブチルアラニン、及びベ
ンジルオキシカルボニルが挙げられる。
前述のもの全てを含む、天然のタンパク質アミノ酸の立体異性体及び修飾体、非タンパ
ク質アミノ酸、翻訳後修飾されたアミノ酸、酵素的に合成されたアミノ酸、誘導体化され
たアミノ酸を含む非天然のアミノ酸、前述のもののいずれかから誘導されたα,α二置換
アミノ酸(すなわち、少なくとも1つの側鎖がそれが誘導された残基の側鎖と同じであるα
,α二置換アミノ酸)、前述のもののいずれかから誘導されたβ-アミノ酸(すなわち、β-
炭素の存在について以外は、それが誘導された残基と同じであるβ-アミノ酸)などを含む
、単一のアミノ酸は、本明細書において「残基」と呼ぶことができる。α-アミノ酸の側
鎖部分に加えて、好適な置換基は、C1〜C6線状又は分岐状アルキルを含む。Aibは、α,α
二置換アミノ酸の例である。α,α二置換アミノ酸は、従来のL-及びD-異性体の呼称を用
いて呼ぶことができるが、そのような呼称は便宜のためであり、α-位置の置換基が異な
る場合、そのようなアミノ酸は、必要に応じて、指定されたアミノ酸側鎖部分を有する残
基のL-又はD-異性体から誘導されたα,α二置換アミノ酸と互換的に呼ぶことができるこ
とが理解されるべきである。したがって、(S)-2-アミノ-2-メチル-ヘキサン酸は、L-Nle(
ノルロイシン)から誘導されたα,α二置換アミノ酸又はD-Alaから誘導されたα,α二置換
アミノ酸のいずれかと呼ぶことができる。同様に、Aibは、Alaから誘導されたα,α二置
換アミノ酸と呼ぶことができる。α,α二置換アミノ酸が提供される場合はいつでも、そ
れが、その全ての(R)及び(S)配置を含むものとして理解されるべきである。
「N-置換アミノ酸」は、アミノ酸側鎖部分が骨格アミノ基に共有結合しており、任意に
、H以外の置換基がα-炭素位置に存在しない、任意のアミノ酸を含む。サルコシンは、N-
置換アミノ酸の例である。例として、サルコシンとAlaのアミノ酸側鎖部分が同じである
、すなわち、メチルであるという点において、サルコシンは、AlaのN-置換アミノ酸誘導
体と呼ぶことができる。
ある実施態様において、本明細書に例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及び
修飾形態を含む、ペプチド配列の共有結合的修飾が提供される。例示的なタイプの共有結
合的修飾は、標的アミノ酸残基を、該ペプチドの選択された側鎖又はN-もしくはC-末端残
基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることを含む。二官能性薬剤による
誘導体化は、例えば、抗ペプチド抗体を精製する方法で使用される水不溶性支持体マトリ
ックスもしくは表面にペプチドを架橋するために、及び該ペプチドに該マトリックスもし
くは表面を架橋するために有用である。一般に使用される架橋剤としては、例えば1,1-ビ
ス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイ
ミドエステル、例えば、4-アジドサリチル酸とのエステル、3,3'-ジチオビス(スクシンイ
ミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエ
ステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタンなどの二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p
-アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの薬剤が挙げられる。
他の修飾としては、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の、それぞれ、対応する
グルタミル残基及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシ
ル化、セリル残基又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン
、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T. E. Creightonの文献、「タンパク質:
構造及び分子特性(Proteins: Structure and Molecular Properties)」、W.H. Freeman &
Co., San Francisco, pp. 79-86(1983))、N-末端アミンのアセチル化、任意のC-末端カ
ルボキシル基のアミド化などが挙げられる。
例示されたペプチド配列、並びに本明細書に例示されたペプチド配列の部分配列、変異
体、及び修飾形態は、安定性のための骨格の改変体、誘導体、及びペプチド模倣体を含む
こともできる。「ペプチド模倣体」という用語は、限定されないが、ピペラジンコア分子
、ケト-ピペラジンコア分子、及びジアゼピンコア分子を含む、残基の模倣物である分子(
「模倣体」と呼ばれる)を含む。別途規定されない限り、本明細書に提供されるペプチド
配列のアミノ酸模倣体は、カルボキシル基とアミノ基の両方、及びアミノ酸側鎖に対応す
る基を含むか、又はグリシンの模倣体の場合、水素以外の側鎖は含まない。
例として、これらは、天然のアミノ酸の立体障害、表面電荷分布、極性などを模倣する
化合物を含むが、生物学的システムにおいて安定性を付与するアミノ酸である必要はない
。例えば、プロリンは、好適な大きさ及び置換の他のラクタム又はラクトンによって置換
され得;ロイシンは、アルキルケトン、N-置換アミド、並びにアルキル、アルケニル、又
は他の置換基を用いたアミノ酸側鎖長の変形形態によって置換され得、他のものは当業者
に明らかであり得る。そのような置換を行うのに不可欠な要素は、分子を設計するのに用
いた残基とおおまかに同じ大きさ及び電荷及び立体配置の分子を提供することである。こ
れらの修飾の改良は、化合物を機能アッセイ(例えば、グルコース低下アッセイ)又は他の
アッセイにおいて解析し、かつ構造-活性関係を比較することにより行われる。そのよう
な方法は、医化学及び創薬に従事する当業者の技能の範囲内にある。
ペプチド配列との関連において使用される場合の「結合する」又は「結合すること」と
いう用語は、該ペプチド配列が分子レベルで相互作用することを意味する。特異的及び選
択的結合は、当技術分野で公知のアッセイ(例えば、競合的結合、免疫沈降、ELISA、フロ
ーサイトメトリー、ウェスタンブロッティング)を用いて、非特異的結合と区別すること
ができる。
ペプチド及びペプチド模倣体は、当技術分野で公知の方法を用いて産生及び単離するこ
とができる。ペプチドは、化学的方法を用いて、完全に又は部分的に合成することができ
る(例えば、Caruthersの文献(1980)、Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 215; Hornの文献(
1980);及びBanga, A.K.の文献、「治療ペプチド及びタンパク質、製剤化、加工、及び送
達システム(Therapeutic Peptides and Proteins, Formulation, Processing and Delive
ry Systems)」(1995) Technomic Publishing Co., Lancaster, PAを参照)。ペプチド合成
は、様々な固相技法を用いて実施することができ(例えば、Roberge Science 269:202(199
5); Merrifield, Methods Enzymol. 289:3(1997)を参照)、自動合成は、例えば、製造業
者の指示に従って、ABI 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を用いて達成することがで
きる。ペプチド及びペプチド模倣体は、コンビナトリアル法を用いて合成することもでき
る。模倣体を組み込んだ合成残基及びポリペプチドは、当技術分野で公知の種々の手順及
び方法を用いて合成することができる(例えば、有機合成全巻(Organic Syntheses Collec
tive Volumes)、Gilmanら(編)、John Wiley & Sons, Inc., NYを参照)。修飾ペプチドは
、化学的修飾方法によって産生することができる(例えば、Belousovの文献、Nucleic Aci
ds Res. 25:3440(1997); Frenkelの文献、Free Radic. Biol. Med. 19:373(1995);及びBl
ommersの文献、Biochemistry 33:7886(1994)を参照)。ペプチド配列の変形形態、誘導体
、置換体、及び修飾体は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニン
スキャニング、及びPCRベースの突然変異誘発などの方法を用いて作製することもできる
。部位特異的突然変異誘発(Carterらの文献、Nucl. Acids Res., 13:4331(1986); Zoller
らの文献、Nucl. Acids Res. 10:6487(1987))、カセット突然変異誘発(Wellsらの文献、G
ene 34:315(1985))、制限選択突然変異誘発(Wellsらの文献、Philos. Trans. R. Soc. L
ondon SerA 317:415(1986))、及び他の技法をクローン化されたDNAに対して実施して、本
明細書に提供されるペプチド配列、変異体、融合体、及びキメラ、並びにこれらの変形形
態、誘導体、置換体、及び修飾体を産生することができる。
「合成された」又は「製造された」ペプチド配列は、人の手による操作を伴う任意の方
法によって作製されたペプチドである。そのような方法には、上述のもの、例えば、化学
合成、組換えDNA技術、より大きい分子の生化学的もしくは酵素的断片化、及び前述のも
のの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
例示されたペプチド配列(例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている配列)の部分配
列、配列変異体、及び修飾形態を含む本明細書に提供されるペプチド配列を修飾して、キ
メラ分子を形成させることもできる。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは
、異種ドメインを含むペプチド配列である。そのようなドメインを、ペプチド配列のアミ
ノ終端又はカルボキシル終端に付加することができる。異種ドメインはまた、ペプチド配
列の内部に配置することができ、かつ/又はその代わりに、FGF19及び/もしくはFGF21由来
アミノ酸配列に隣接させることができる。
「ペプチド」という用語は、ペプチドの二量体又は多量体(オリゴマー)も含む。ある実
施態様において、例示されたペプチド配列の二量体又は多量体(オリゴマー)、並びに配列
表又は表1〜11に掲載されている配列を含む、例示されたペプチド配列の部分配列、変異
体、及び修飾形態が本明細書に提供される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるペプチド配列は、表1に記載されるアミ
ノ酸配列を含む。他の実施態様において、本明細書に提供されるペプチド配列は、表1に
記載されるアミノ酸配列からなる。
表1
Figure 2020172509
Figure 2020172509
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一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含
む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を
含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号4に記載されるアミノ酸配列を
含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号5に記載されるアミノ酸配列
を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号6に記載されるアミノ酸配
列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号7に記載されるアミノ酸配
列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号8に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号9に記載されるアミノ
酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号10に記載されるアミノ
酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号11に記載されるアミ
ノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号12に記載されるア
ミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号13に記載されるア
ミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号14に記載される
アミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号15に記載され
るアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号16に記載され
るアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号17に記載さ
れるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号18に記載
されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号19に記載
されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号20に記
載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号21に
記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号22に
記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号23
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
24に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
25に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番
号26に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号27に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号28に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、
配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、
配列番号31に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号33に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号34に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号35に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号37に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチ
ド配列は、配列番号38に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号39に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペ
プチド配列は、配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号43に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号44に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において
、該ペプチド配列は、配列番号45に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において
、該ペプチド配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号47に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号48に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号49に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様に
おいて、該ペプチド配列は、配列番号50に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号51に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号52に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態
様において、該ペプチド配列は、配列番号53に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号54に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号55に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実
施態様において、該ペプチド配列は、配列番号56に記載されるアミノ酸配列を含む。他の
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号57に記載されるアミノ酸配列を含む。一
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号58に記載されるアミノ酸配列を含む。別
の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号59に記載されるアミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号60に記載されるアミノ酸配列を含む
。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号61に記載されるアミノ酸配列を含む
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号62に記載されるアミノ酸配列を含
む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号63に記載されるアミノ酸配列を
含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号64に記載されるアミノ酸配列を
含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号65に記載されるアミノ酸配列
を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号66に記載されるアミノ酸配
列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号67に記載されるアミノ酸配
列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号68に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号69に記載されるアミノ
酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号70に記載されるアミノ
酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号71に記載されるアミ
ノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号72に記載されるア
ミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号73に記載されるア
ミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号74に記載される
アミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号75に記載され
るアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号76に記載され
るアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号77に記載さ
れるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号78に記載
されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号79に記載
されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号80に記
載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号81に
記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号82に
記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号83
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
84に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
85に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番
号86に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号87に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号88に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号89に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、
配列番号90に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、
配列番号91に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号92に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号93に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号94に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号95に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号96に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号97に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチ
ド配列は、配列番号98に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号138に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペ
プチド配列は、配列番号139に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号140に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号141に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号142に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号143に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号144に記載されるアミノ酸配列を含む。一実
施態様において、該ペプチド配列は、配列番号145に記載されるアミノ酸配列を含む。別
の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号146に記載されるアミノ酸配列を含む
。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号147に記載されるアミノ酸配列を
含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号148に記載されるアミノ酸配列
を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号149に記載されるアミノ酸
配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号150に記載されるアミ
ノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号151に記載されるア
ミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号152に記載され
るアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号153に記載
されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号154に記
載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号155
に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
156に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番
号157に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号158に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号159に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号160に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号161に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号162に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペ
プチド配列は、配列番号163に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号164に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号165に記
載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号166に
記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号16
7に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番
号168に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号192に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号193に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペプチド配列
は、配列番号194に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号195に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号196に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、該ペ
プチド配列は、配列番号197に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号198に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号199に記載されるアミノ酸配列を含む。一実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号200に記載されるアミノ酸配列を含む。別の実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号201に記載されるアミノ酸配列を含む。他の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号202に記載されるアミノ酸配列を含む。一実
施態様において、該ペプチド配列は、配列番号203に記載されるアミノ酸配列を含む。別
の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号204に記載されるアミノ酸配列を含む
。本明細書に提供される様々なペプチド配列のある実施態様において、N-終端のR残基は
欠失している。
さらに他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号1に記載されるアミノ酸配
列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号2に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号3に記載されるア
ミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号4に記載される
アミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号5に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号6に記
載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号7に
記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
8に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号9に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号10に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号13に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号14に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号16に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号17に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様に
おいて、該ペプチド配列は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号19に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号20に記載されるアミノ酸配列からなる。他の
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号21に記載されるアミノ酸配列からなる。
一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号22に記載されるアミノ酸配列からなる
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列から
なる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号24に記載されるアミノ酸配列
からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号25に記載されるアミノ酸配
列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号26に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号27に記載されるア
ミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号28に記載される
アミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号29に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号30に記
載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号31に
記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
32に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号33に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号34に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号35に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号36に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号37に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号38に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号39に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号40に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号41に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様に
おいて、該ペプチド配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号43に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号44に記載されるアミノ酸配列からなる。他の
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号45に記載されるアミノ酸配列からなる。
一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列からなる
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号47に記載されるアミノ酸配列から
なる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号48に記載されるアミノ酸配列
からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号49に記載されるアミノ酸配
列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号50に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号51に記載されるア
ミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号52に記載される
アミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号53に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号54に記
載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号55に
記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
56に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号57に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号58に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号59に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号60に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号61に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号62に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号63に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号64に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号65に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様に
おいて、該ペプチド配列は、配列番号66に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号67に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号68に記載されるアミノ酸配列からなる。他の
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号69に記載されるアミノ酸配列からなる。
一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号70に記載されるアミノ酸配列からなる
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号71に記載されるアミノ酸配列から
なる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号72に記載されるアミノ酸配列
からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号73に記載されるアミノ酸配
列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号74に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号75に記載されるア
ミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号76に記載される
アミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号77に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号78に記
載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号79に
記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
80に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号81に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配
列番号82に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号83に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号84に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号85に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号86に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号87に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号88に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号89に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様に
おいて、該ペプチド配列は、配列番号90に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号91に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施
態様において、該ペプチド配列は、配列番号92に記載されるアミノ酸配列からなる。他の
実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号93に記載されるアミノ酸配列からなる。
一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号94に記載されるアミノ酸配列からなる
。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号95に記載されるアミノ酸配列から
なる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号96に記載されるアミノ酸配列
からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号97に記載されるアミノ酸配
列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号98に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号138に記載される
アミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号139に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号140に
記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
141に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号142に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号143に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号144に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号145に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号146に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号147に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号148に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実
施態様において、該ペプチド配列は、配列番号149に記載されるアミノ酸配列からなる。
他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号150に記載されるアミノ酸配列から
なる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号151に記載されるアミノ酸配列
からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号152に記載されるアミノ
酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号153に記載される
アミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号154に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号155に
記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号
156に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号157に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号158に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド
配列は、配列番号159に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号160に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、
該ペプチド配列は、配列番号161に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様にお
いて、該ペプチド配列は、配列番号16
2に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番
号163に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、
配列番号164に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号165に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチ
ド配列は、配列番号166に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該
ペプチド配列は、配列番号167に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様におい
て、該ペプチド配列は、配列番号168に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様
において、該ペプチド配列は、配列番号192に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実
施態様において、該ペプチド配列は、配列番号193に記載されるアミノ酸配列からなる。
一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号194に記載されるアミノ酸配列からな
る。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号195に記載されるアミノ酸配列
からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号196に記載されるアミノ
酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号197に記載されるア
ミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号198に記載さ
れるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号199に
記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配列は、配列番号20
0に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプチド配列は、配列
番号201に記載されるアミノ酸配列からなる。他の実施態様において、該ペプチド配列は
、配列番号202に記載されるアミノ酸配列からなる。一実施態様において、該ペプチド配
列は、配列番号203に記載されるアミノ酸配列からなる。別の実施態様において、該ペプ
チド配列は、配列番号204に記載されるアミノ酸配列からなる。本明細書に提供される様
々なペプチド配列のある実施態様において、N-終端のR残基は欠失している。
(4.3 ペプチド機能を増強するための特定の修飾)
本明細書に開示される治療モダリティの1以上の物理的特性及び/又は該治療モダリティ
を投与する方法を改善することは、多くの場合、有益であり、時に、必要不可欠である。
物理的特性の改善には、例えば、免疫原性を調節すること;溶解度、バイオアベイラビリ
ティ、血清半減期、及び/もしくは治療的半減期を増大させる方法;並びに/又は生物学的
活性を調節することが含まれる。ある修飾は、例えば、検出アッセイ(例えば、エピトー
プタグ)で使用するための及びタンパク質精製の簡便性を提供するための抗体を作製する
のに有用でもあり得る。そのような改善は、通常、治療モダリティの生物活性に悪影響を
及ぼすことなく及び/又はその免疫原性を増大させることなくもたらされなければならな
い。
ペグ化は、本明細書で企図される1つの特定の修飾であるが、他の修飾には、グリコシ
ル化(N-及びO-結合型);ポリシアル酸化;血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HS
A)、カニクイザル(cyno)血清アルブミン、又はウシ血清アルブミン(BSA)を含むアルブミ
ン融合分子);例えば、共役脂肪酸鎖(アシル化)を介するアルブミン結合;及びFc-融合タン
パク質が含まれるが、これらに限定されない。
(4.3.1 ペグ化)
タンパク質治療剤の臨床的有効性は、短い血漿半減期及びプロテアーゼ分解に対する感
受性によって限定されることが多い。様々な治療的タンパク質(例えば、フィルグラスチ
ム)の研究により、そのような困難が、例えば、タンパク質を種々の非タンパク質性ポリ
マー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオ
キシアルキレンのいずれかにコンジュゲートし又は連結させることにより克服され得るこ
とが示されている。これは、多くの場合、タンパク質と非タンパク質性ポリマー、例えば
、PEGの両方に共有結合した連結部分によって達成される。そのようなPEGコンジュゲート
生体分子は、より優れた物理的及び熱的安定性、酵素的分解への感受性に対する保護、溶
解度の増大、より長いインビボ循環半減期及びクリアランスの減少、免疫原性及び抗原性
の低下、並びに毒性の低下を含む、臨床的に有用な特性を保持することが示されている。
薬物動態パラメータに対するペグ化の有益な効果に加えて、ペグ化それ自体が活性を増強
し得る。
ポリペプチド配列へのコンジュゲーションに好適なPEGは、通常、室温で水溶性であり
、一般式R(O-CH2-CH2)nO-R(式中、Rは、水素又は保護基、例えば、アルキルもしくはアル
カノール基であり、かつnは1〜1000の整数である)を有する。Rが保護基である場合、それ
は、通常、1〜8個の炭素を有する。ポリペプチド配列にコンジュゲートされるPEGは線状
又は分岐状であることができる。分岐状PEG誘導体「star-PEG」及び多腕型PEGが本開示に
よって企図される。本明細書に提供される実施態様において使用されるPEGの分子量は、
任意の特定の範囲に制限されるものではなく、例は、本明細書の別所に記載されており;
例として、ある実施態様は、500Da〜20kDaの分子量を有し、一方、他の実施態様は、4kDa
〜10kDaの分子量を有する。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、PEGが異なるn値を有し、したがっ
て、様々な異なるPEGが特定の比率で存在する、コンジュゲートの組成物である。例えば
、いくつかの組成物は、n=1、2、3、及び4であるコンジュゲートの混合物を含む。いく
つかの組成物において、n=1であるコンジュゲートのパーセンテージは18〜25%であり、
n=2であるコンジュゲートのパーセンテージは50〜66%であり、n=3であるコンジュゲー
トのパーセンテージは12〜16%であり、n=4であるコンジュゲートのパーセンテージは最
大5%である。そのような組成物は、当技術分野で公知の反応条件及び精製方法によって
産生することができる。陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて、コンジュゲートを分
離することができ、その後、例えば、所望の数のPEGが付着しているコンジュゲートを含
む画分を同定し、未修飾のタンパク質配列及び他の数のPEGが付着しているコンジュゲー
トを含まないように精製する。
ペグ化は、ポリペプチドのN-終端のαアミノ基、リジン残基の側鎖上のεアミノ基、及
びヒスチジン残基の側鎖上のイミダゾール基で行われることが最も多い。大部分の組換え
ポリペプチドは単一のαアミノ基並びにいくつかのεアミノ基及びイミダゾール基を保持
するので、リンカーの化学的性質に応じて、数多くの位置異性体が生成され得る。
当技術分野で公知の一般的なペグ化戦略を本明細書において適用することができる。PE
Gは、ポリペプチド配列の1つ又は複数の遊離アミノ又はカルボキシル基とポリエチレング
リコールとの結合を媒介する末端反応基(「スペーサー」又は「リンカー」)によって本明
細書に提供されるポリペプチドに結合され得る。遊離アミノ基に結合され得るスペーサー
を有するPEGとしては、ポリエチレングリコールのコハク酸エステルをN-ヒドロキシスク
シニルイミドで活性化することにより調製し得るN-ヒドロキシスクシニルイミドポリエチ
レングリコールが挙げられる。遊離アミノ基に結合され得る別の活性化ポリエチレングリ
コール基は、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルをシアヌル酸クロリドと反応さ
せることにより調製し得る2,4-ビス(O-メトキシポリエチレングリコール)-6-クロロ-s-ト
リアジンである。遊離カルボキシル基に結合される活性化ポリエチレングリコールとして
は、ポリオキシエチレンジアミンが挙げられる。
本明細書に提供されるポリペプチド配列の1つ又は複数とスペーサーを有するPEGとのコ
ンジュゲーションは、様々な従来法によって実施することができる。例えば、コンジュゲ
ーション反応は、4:1〜30:1の試薬対タンパク質のモル比を用いて、5〜10のpHの溶液中、
4℃〜室温の温度で、30分間〜20時間実施することができる。反応条件は、反応を、主と
して所望の置換度を生じる方向に導くように選択することができる。一般に、低い温度、
低いpH(例えば、pH=5)、及び短い反応時間が、付着するPEGの数を減少させる傾向にある
のに対し、高い温度、中性〜高いpH(例えば、pH≧7)、及びより長い反応時間は、付着す
るPEGの数を増加させる傾向にある。当技術分野で公知の様々な手段を用いて、反応を終
了させることができる。いくつかの実施態様において、反応混合物を酸性化すること、及
び例えば、-20℃で凍結させることにより、反応を終了させる。様々な分子のペグ化は、
例えば、米国特許第5,252,714号;第5,643,575号;第5,919,455号;第5,932,462号;及び第5,
985,263号で論じられている。
いくつかの実施態様において、また本明細書に提供されるのは、PEG模倣物の使用であ
る。PEGの属性(例えば、増強された血清半減期)を保持すると同時に、いくつかの追加の
有利な特性を付与する組換えPEG模倣物が開発されている。例として、PEGに類似した伸び
た立体構造を形成することができる単純なポリペプチド鎖(例えば、Ala、Glu、Gly、Pro
、Ser、及びThrを含む)を、関心対象のペプチド又はタンパク質薬物に既に融合された状
態で組換え産生することができる(例えば、XTEN技術; Amunix; Mountain View, CA)。こ
れにより、製造プロセスにおける追加のコンジュゲーション工程の必要性がなくなる。さ
らに、確立されている分子生物学の技法により、ポリペプチド鎖の側鎖組成の制御が可能
になり、免疫原性及び製造特性の最適化が可能になる。
(4.3.2 グリコシル化)
本明細書で使用される場合、「グリコシル化」は、グリカンが、タンパク質、脂質、又
は他の有機分子に結合させられる酵素的プロセスを広範に指すことが意図される。本明細
書における「グリコシル化」という用語の使用は、通常、1以上の炭水化物部分を(基礎と
なるグリコシル化部位を除去することによるか、又は化学的及び/もしくは酵素的手段に
よってグリコシル化を欠失させることによるかのいずれかで)付加しもしくは欠失させ、
並びに/或いはネイティブな配列に存在していても存在していなくてもよい1以上のグリコ
シル化部位を付加することを意味することが意図される。さらに、この語句は、存在する
様々な炭水化物部分の性質及び比率の変化を伴うネイティブなタンパク質のグリコシル化
の定性的変化を含む。
グリコシル化は、ポリペプチドの物理的特性(例えば、溶解度)に劇的に影響を及ぼすこ
とができ、かつタンパク質の安定性、分泌、及び細胞内局在においても重要であることが
できる。グリコシル化ポリペプチドは増強された安定性を示すこともできるし、又は1以
上の薬物動態特性、例えば、半減期を改善することができる。さらに、溶解度の改善は、
例えば、非グリコシル化ポリペプチドを含む製剤よりも医薬品投与に好適な製剤の作製を
可能にすることができる。
グリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変することにより達成することができる
。ポリペプチドの改変は、例えば、1以上のセリンもしくはトレオニン残基(O-結合型グリ
コシル化部位の場合)又はアスパラギン残基(N-結合型グリコシル化部位の場合)の付加、
或いはこれらの残基による置換によって行うことができる。N-結合型及びO-結合型オリゴ
糖並びに各々のタイプに見られる糖残基の構造は異なり得る。両方で共通して見られる糖
の1つのタイプはN-アセチルノイラミン酸(以後、シアル酸と呼ぶ)である。シアル酸は、
通常、N-結合型オリゴ糖とO-結合型オリゴ糖の両方の末端残基であり、その負電荷のため
に、糖タンパク質に酸性の性質を付与し得る。特定の実施態様は、N-グリコシル化変異体
の作製及び使用を含む。
本明細書に提供されるポリペプチド配列は、核酸レベルでの変化により、特に、所望の
アミノ酸になるコドンが生成されるように、ポリペプチドをコードする核酸を予め選択さ
れた塩基で突然変異させることにより、任意に改変することができる。
様々な細胞株を用いて、グリコシル化されているタンパク質を産生することができる。
1つの非限定的な例は、組換え糖タンパク質の産生用の一般に使用される宿主細胞である
、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠損チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
これらの細胞は、酵素β-ガラクトシド α-2,6-シアル酸転移酵素を発現せず、したがっ
て、α-2,6結合のシアル酸を、これらの細胞で産生される糖タンパク質のN-結合型オリゴ
糖に付加しない。
(4.3.3 ポリシアル酸化)
ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、ポリペプチドの安定性及びイ
ンビボ薬物動態を改善するための、天然の生分解性α-(2→8)結合型ポリシアル酸(「PSA
」)へのポリペプチドのコンジュゲーションである、ポリシアル酸化の使用である。
アルブミン融合:コンジュゲーションのための追加の好適な成分及び分子としては、ア
ルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、カニクイザル血清アルブミン、及びウシ
血清アルブミン(BSA)が挙げられる。
いくつかの実施態様において、アルブミンは、カルボキシル終端、アミノ終端、カルボ
キシル終端とアミノ終端の両方、及び内部で、薬物分子(例えば、本明細書に記載される
ポリペプチド)にコンジュゲートされる(例えば、米国特許第5,876,969号及び第7,056,701
号を参照)。
本明細書に提供されるHSA-薬物分子コンジュゲートの実施態様において、アルブミン分
泌プレ配列及びその変異体、断片及びその変異体、並びにHSA変異体などの、様々な形態
のアルブミンを使用することができる。そのような形態は、通常、1以上の所望のアルブ
ミン活性を保持する。追加の実施態様において、アルブミン、アルブミン断片、アルブミ
ン変異体などに直接的に又は間接的に融合したポリペプチド薬物分子を含む融合タンパク
質が本明細書に提供され、ここで、該融合タンパク質は非融合薬物分子よりも大きい血漿
安定性を有し、かつ/又は該融合タンパク質は非融合薬物分子の治療的活性を保持する。
いくつかの実施態様において、間接的な融合は、リンカー、例えば、ペプチドリンカー又
はその修飾バージョンによって達成される。
上でも示唆したように、1以上の本明細書に提供されるポリペプチドへのアルブミンの
融合は、例えば、HSAをコードする核酸、又はその断片が、該1以上のポリペプチド配列を
コードする核酸に接続されるような遺伝子操作によって達成することができる。
(4.3.4 代替のアルブミン結合戦略)
直接的な融合に代わるものとして、いくつかのアルブミン結合戦略が開発されており、
本明細書に記載される薬剤とともに使用することができる。例として、ある実施態様にお
いて、本明細書に提供されるのは、共役脂肪酸鎖(アシル化)並びにアルブミン結合ドメイ
ン(ABD)ポリペプチド配列及び本明細書に記載されるポリペプチドのうちの1つ又は複数の
配列を含む融合タンパク質によるアルブミン結合である。
ペプチド配列へのアルブミンの融合は、例えば、HSA(ヒト血清アルブミン)又はその断
片をコードするDNAがペプチド配列をコードするDNAに接続されるような遺伝子操作によっ
て達成することができる。その後、好適な宿主を、例えば、融合ポリペプチドを発現する
ように、好適なプラスミドの形態の融合されたヌクレオチド配列で形質転換又はトランス
フェクトすることができる。発現は、インビトロで、例えば、原核生物もしくは真核生物
から、又はインビボで、例えば、トランスジェニック生物から生じさせることができる。
いくつかの実施態様において、融合タンパク質の発現は、哺乳動物細胞株、例えば、CHO
細胞株で実施される。
標的タンパク質又はペプチドをアルブミンに遺伝子融合するさらなる手段としては、Al
bufuse(登録商標)(Novozymes Biopharma A/S; Denmark)として公知の技術が挙げられ、コ
ンジュゲートされた治療的ペプチド配列は、多くの場合、はるかにより有効になり、体内
でより良好に摂取される。この技術は、C型肝炎感染を治療するために使用されるアルブ
ミンとインターフェロンα-2Bの組合せであるAlbuferon(登録商標)(Human Genome Scienc
es)を産生するために商業的に利用されている。
別の実施態様は、1以上のヒトドメイン抗体(dAb)の使用を伴う。dAbは、ヒト抗体(IgG)
の最も小さい機能的結合単位であり、かつ好ましい安定性及び溶解度特性を有する。この
技術は、HSAにコンジュゲートされたdAb(これにより、「AlbudAb」が形成される;例えば
、EP1517921B号、WO2005/118642号、及びWO2006/051288号を参照)及び関心対象の分子(例
えば、本明細書に提供されるペプチド配列)を必要とする。AlbudAbは、多くの場合、ペプ
チドの血清半減期を延長するために使用される現在の技術よりも小さく、かつ細菌又は酵
母などの微生物発現系で製造しやすい。HSAは、約3週間の半減期を有するので、得られる
コンジュゲート分子は、半減期を改善する。dAb技術の使用は、関心対象の分子の効力を
増強することもできる。
(4.3.5 他の分子とのコンジュゲーション)
コンジュゲーションのための追加の好適な成分及び分子としては、例えば、チログロブ
リン;破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイド;ポリアミノ酸、例えば、ポリ(D-リジン:D
-グルタミン酸);ロタウイルスのVP6ポリペプチド;インフルエンザウイルス血球凝集素、
インフルエンザウイルス核タンパク質;キーホールリンペットヘモシアニン(KLH);並びにB
型肝炎ウイルスコアタンパク質及び表面抗原;又は前述のものの任意の組合せが挙げられ
る。
したがって、ある実施態様において、ポリペプチド配列、例えば、別のポリペプチド(
例えば、対象ポリペプチドにとって異種のアミノ酸配列を有するポリペプチド)のN-及び/
もしくはC-終端における1以上の追加の成分もしくは分子、又はキャリア分子のコンジュ
ゲーションも企図される。したがって、例示的なポリペプチド配列を別の成分又は分子と
のコンジュゲートとして提供することができる。
ポリペプチドは、大きく、ゆっくりと代謝される巨大分子、例えば、タンパク質;多糖
、例えば、セファロース、アガロース、セルロース、又はセルロースビーズ;ポリマーア
ミノ酸、例えば、ポリグルタミン酸又はポリリジン;アミノ酸コポリマー;不活化ウイルス
粒子;不活化細菌毒素、例えば、ジフテリア、破傷風、コレラ、又はロイコトキシン分子
由来のトキソイド;不活化細菌;及び樹状細胞にコンジュゲートすることもできる。望まし
い場合、そのようなコンジュゲート形態を用いて、本明細書に提供されるポリペプチドに
対する抗体を産生することができる。
(4.3.6 Fc融合分子)
ある実施態様において、本明細書に提供されるポリペプチド配列のアミノ又はカルボキ
シル終端を免疫グロブリンFc領域と融合させて、融合コンジュゲート(又は融合分子)を形
成させる。具体的な実施態様において、該免疫グロブリンFc領域は、ヒトFc領域である。
融合コンジュゲートは、バイオ医薬品の全身半減期を増大させることが示されており、し
たがって、バイオ医薬製品は、より頻度の低い投与を必要とし得る。ある実施態様におい
て、該半減期は、免疫グロブリンFc領域に融合されていない同じポリペプチドと比較して
増大している。
Fcは、血管を覆う内皮細胞の新生児Fc受容体(FcRn)に結合し、結合により、Fc融合分子
は分解から保護され、循環中に再放出され、該分子をより長く循環中に維持する。このFc
結合は、内因性IgGがその長い血漿半減期を保持する機構であると考えられる。より最近
のFc融合技術は、従来のFc融合コンジュゲートと比較して、単一コピーのバイオ医薬品を
抗体のFc領域に連結させて、バイオ医薬品の薬物動態及び薬力学特性を最適化している。
周知かつ有効なFc融合薬は、薬物動態、溶解度、及び生産効率を改善するために抗体の
Fc領域に連結された2コピーのバイオ医薬品からなる。より最近のFc融合技術は、従来のF
c融合コンジュゲートと比較して、単一コピーのバイオ医薬品を抗体のFc領域に連結させ
て、バイオ医薬品の薬物動態及び薬力学特性を最適化している。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、M70とヒト抗体Fc断片との
融合体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、M69とヒト抗
体Fc断片との融合体である。そのような融合体は、本明細書に提供される胆汁酸に関係し
た障害及び他の代謝異常の治療において有用であることができる。いくつかの実施態様に
おいて、M70のFc融合体は、より長い半減期を有する。具体的な実施態様において、M70の
Fc融合体のより長い半減期は、Fc融合体でないM70と比較してのものである。いくつかの
実施態様において、M69のFc融合体は、より長い半減期を有する。具体的な実施態様にお
いて、M69のFc融合体のより長い半減期は、Fc融合体でないM69と比較してのものである。
そのような長い半減期は、これらの融合体を、週1回以下の頻度の投与に好適なものにす
る。
いくつかの実施態様において、該Fc融合体はリンカーを含む。例示的な可撓性リンカー
としては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマ
ー、アラニン-セリンポリマー、及び他の可撓性リンカーが挙げられる。ある実施態様に
おいて、該リンカーは(G)4Sである。いくつかの実施態様において、該リンカーは((G)4S)
nであり、ここで、nは、少なくとも1の整数である。いくつかの実施態様において、該リ
ンカーは((G)4S)2である。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは比較的構造化されて
おらず、したがって、成分間の中性テザーとしての役割を果たし得る。いくつかの実施態
様において、該グリシン-セリンポリマーは(GS)nであり、ここで、nは、少なくとも1の整
数である。いくつかの実施態様において、該グリシン-セリンポリマーはGSGGSn(配列番号
129)であり、ここで、nは、少なくとも1の整数である。いくつかの実施態様において、該
グリシン-セリンポリマーはGGGSn(配列番号130)であり、ここで、nは、少なくとも1の整
数である。ある実施態様において、該リンカーは、配列番号130のN'終端に追加のG残基を
含む。一実施態様において、該リンカーはGGSG(配列番号131)である。一実施態様におい
て、該リンカーはGGSGG(配列番号132)である。一実施態様において、該リンカーはGSGSG(
配列番号133)である。一実施態様において、該リンカーはGSGGG(配列番号134)である。一
実施態様において、該リンカーはGGGSG(配列番号189)である。一実施態様において、該リ
ンカーはGSSSG(配列番号135)である。
(4.3.7 精製)
コンジュゲーションのための追加の好適な成分及び分子には、単離又は精製に好適なも
のが含まれる。特定の非限定的な例としては、結合分子、例えば、ビオチン(ビオチン-ア
ビジン特異的結合ペア)、抗体、受容体、リガンド、レクチン、又は例えば、プラスチッ
クもしくはポリスチレンビーズ、プレートもしくはビーズ、磁気ビーズ、試験ストリップ
、及びメンブレンを含む、固体支持体を含む分子が挙げられる。
陽イオン交換クロマトグラフィーなどの精製方法を用いて、コンジュゲートをその様々
な分子量に効果的に分離する電荷差により、コンジュゲートを分離することができる。例
えば、陽イオン交換カラムに充填し、その後、pH 〜4の〜20mM酢酸ナトリウムで洗浄し、
その後、pH 3〜5.5、例えば、pH 〜4.5で緩衝化した線形(0M〜0.5M)NaCl勾配で溶出させ
ることができる。陽イオン交換クロマトグラフィーによって得られた画分の内容は、従来
の方法、例えば、質量分光法、SDS-PAGE、又は分子量によって分子実体を分離する他の公
知の方法を用いて、分子量によって同定することができる。その後、所望の数のPEGが結
合し、未修飾のタンパク質配列及び他の数のPEGが結合したコンジュゲートを含まないよ
うに精製されたコンジュゲートを含む画分を同定する。
(4.3.8 他の修飾)
ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、1以上の特性を改善するため
の、現在公知の又は将来開発される他の修飾の使用である。例としては、その様々な態様
が、例えば、米国特許出願第2007/0134197号及び第2006/0258607号に記載されているヘス
化、並びにSUMOを融合タグとして含む融合分子(LifeSensors社; Malvern, PA)が挙げられ
る。
さらに他の実施態様において、本明細書に提供されるペプチド配列は、限定されないが
、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、マイトマイシン、エトポシド、テノポ
シド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン
、及びこれらの類似体又は相同体を含む、細胞毒性剤を含む、化学薬剤(例えば、免疫毒
素又は化学療法剤)に連結される。他の化学薬剤としては、例えば、代謝拮抗薬(例えば、
メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラ
シル、デカルバジン(decarbazine));アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、カルムスチ
ン及びロムスチン、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマ
ンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、並びにシスプラチン);抗生物質(例
えば、ブレオマイシン);並びに抗有糸***剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチ
ン)が挙げられる。細胞毒素を、当技術分野で公知かつ本明細書に記載されるリンカー技
術を用いて、本明細書に提供されるペプチドにコンジュゲートすることができる。
コンジュゲーションのためのさらに好適な成分及び分子には、アッセイにおける検出に
好適なものが含まれる。特定の非限定的な例としては、放射性同位体(例えば、125I; 35S
32P; 33P)、検出可能な生成物を生じさせる酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラク
トシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、及びアルカリホスファターゼ)、蛍光タンパ
ク質、発色性タンパク質、色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート);蛍光放射
金属(例えば、152Eu);化学発光化合物(例えば、ルミノール及びアクリジニウム塩);生物
発光化合物(例えば、ルシフェリン);並びに蛍光タンパク質などの検出可能な標識が挙げ
られる。間接的標識には、ペプチド配列に結合している標識された又は検出可能な抗体が
含まれ、この場合、該抗体は検出することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるペプチド配列は、診断剤又は治療剤とし
て有用な細胞傷害性放射性医薬品(放射免疫コンジュゲート)を作製するために、放射性同
位体にコンジュゲートされる。そのような放射性同位体の例としては、ヨウ素131、イン
ジウム111、イットリウム90、及びルテチウム177が挙げられるが、これらに限定されない
。放射免疫コンジュゲートを調製する方法は、当業者に公知である。市販されている放射
免疫コンジュゲートの例としては、イブリツモマブ、チウキセタン、及びトシツモマブが
挙げられる。
(4.3.9 リンカー)
リンカー及びその使用は上に記載されている。本明細書に提供されるポリペプチド配列
を修飾するために使用される前述の成分及び分子はいずれも、リンカーを介して任意にコ
ンジュゲートすることができる。好適なリンカーには、「可撓性リンカー」が含まれ、こ
れは、通常、修飾されたポリペプチド配列と連結された成分及び分子の間でのある程度の
動きを許容するのに十分な長さのものである。リンカー分子は、通常、約6〜50原子長で
ある。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2〜10モノマー単位を含むエチレ
ングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、又はこれらの組合せであることも
できる。好適なリンカーは容易に選択することができ、任意の好適な長さのもの、例えば
、1アミノ酸(例えば、Gly)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、10〜20、20〜30、30〜50アミ
ノ酸、又は50アミノ酸を上回るものであることができる。
例示的な可撓性リンカーとしては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(
例えば、(GS)n、GSGGSn(配列番号129)及びGGGSn(配列番号130)(ここで、nは、少なくとも
1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び他の可撓
性リンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは比較的構造化されて
おらず、したがって、成分間の中性テザーとしての役割を果たし得る。例示的な可撓性リ
ンカーとしては、
Figure 2020172509
が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、該リンカーは(G)4Sで
ある。いくつかの実施態様において、該リンカーは((G)4S)n)であり、ここで、nは、少な
くとも1の整数である。いくつかの実施態様において、該リンカーは((G)4S)2)である。い
くつかの実施態様において、該グリシン-セリンポリマーは(GS)nであり、ここで、nは、
少なくとも1の整数である。いくつかの実施態様において、該グリシン-セリンポリマーは
GSGGSn(配列番号129)であり、ここで、nは、少なくとも1の整数である。いくつかの実施
態様において、該グリシン-セリンポリマーはGGGSn(配列番号130)であり、ここで、nは、
少なくとも1の整数である。ある実施態様において、該リンカーは、配列番号130のN'終端
に追加のG残基を含む。一実施態様において、該リンカーはGGSG(配列番号131)である。一
実施態様において、該リンカーはGGSGG(配列番号132)である。一実施態様において、該リ
ンカーはGSGSG(配列番号133)である。一実施態様において、該リンカーはGSGGG(配列番号
134)である。一実施態様において、該リンカーはGGGSG(配列番号189)である。一実施態様
において、該リンカーはGSSSG(配列番号135)である。
表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21変異体及び部分配列並びにFGF19/F
GF21融合体及びキメラ、並びに表1〜11及び配列表に掲載されている配列の部分配列、配
列変異体、及び修飾形態を含む、本明細書に提供されるペプチド配列は、本明細書に記載
される1以上の活性を有する。活性の1つの例は、胆汁酸ホメオスタシスの調節である。活
性の別の例は、例えば、FGF19と比較したときの、低下したHCCの刺激又は形成である。活
性の追加の例は、例えば、FGF21と比較したときの、より低い又は低下した脂質(例えば、
トリグリセリド、コレステロール、非HDL)又はHDL増加活性である。活性のさらなる例は
、例えば、FGF21と比較したときの、より低い又は低下した除脂肪筋肉量低下活性である
。活性のさらに別の例は、FGFR4への結合、又はFGFR4の活性化、例えば、FGFR4に対するF
GF19の結合親和性と同程度もしくはそれより大きい親和性でFGFR4に結合するペプチド配
列;及びFGF19がFGFR4を活性化するのと同程度又はそれより大きい程度又は量までFGFR4を
活性化するペプチド配列である。活性のまたさらなる例は、胆汁酸に関係した又は関連し
た障害の治療を含む。例えば、胆汁酸ホメオスタシスの調節、グルコース低下活性、胆汁
酸に関係したもしくは関連した障害の解析、HCC形成もしくは腫瘍形成、脂質増加活性、
又は除脂肪量低下活性などの活性は、db/dbマウスなどの動物で確認することができる。F
GFR4への結合又はFGFR4の活性化の測定は、本明細書に開示される又は当業者に公知のア
ッセイによって確認することができる。
様々な方法をHCCのスクリーニング及び診断において使用することができ、これらは、
当業者に周知である。HCCの指標には、α-フェトタンパク質(AFP)又はデス-γカルボキシ
プロトロンビン(DCP)レベルの上昇などの腫瘍マーカーの検出が含まれる。超音波、CTス
キャン、及びMRIを含む、いくつかの異なるスキャニング及びイメージング技法も役立つ
。ある実施態様において、ペプチド(例えば、候補ペプチド)がHCCを誘導する証拠を示す
かどうかの評価は、インビボで、例えば、野生型FGF19によるHCC結節形成と比較して、ペ
プチドを投与したdb/dbマウスなどの動物モデルでHCC結節形成を定量することにより決定
することができる。肉眼的に、肝臓癌は結節性であり得、その場合、腫瘍結節(これは、
円形から卵形で、灰色又は緑色で、境界明瞭であるが、被嚢性ではない)は、1つの大きい
塊又は複数のより小さい塊のいずれかのように見える。或いは、HCCは、びまん性かつ境
界不明瞭であり、多くの場合、門脈に浸潤する浸潤性腫瘍として存在し得る。肝組織試料
の病理学的評価は、通常、前述の技法のうちの1つ又は複数の結果によってHCCの存在の可
能性が示されてから行われる。したがって、本明細書に提供される方法は、ペプチド配列
がHCCを誘導する証拠を示すかどうかを決定するために、HCC研究に有用なインビボ動物モ
デル(例えば、db/dbマウス)由来の肝組織試料を評価することをさらに含み得る。顕微鏡
評価によって、病理学者は、HCCの4つの一般的な構造的及び細胞学的なタイプ(パターン)
(すなわち、線維性層板状細胞、偽腺様細胞(アデノイド)、多形性細胞(巨細胞)、及び明
細胞)のうちの1つが存在するかどうかを決定することができる。
より具体的には、表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21変異体及び部分
配列並びにFGF19/FGF21融合体及びキメラ、並びに表1〜11及び配列表に掲載されている配
列の部分配列、変異体、及び修飾形態を含む、本明細書に提供されるペプチド配列には、
以下の活性を有するもの:胆汁酸ホメオスタシスを調節するか又は胆汁酸に関係したもし
くは関連した障害を治療すると同時に、FGF19、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、低下したHCC形成を有するペプチド配列; FGF19、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より大きい胆汁酸調節活性を有するペプチド配列; FGF19
、又は
Figure 2020172509
のいずれかがFGF19のアミノ酸16〜20のWGDPI(配列番号170)配列の代わりに使用されてい
るFGF19変異体配列と比較して、より小さい脂質増加活性(例えば、より少ないトリグリセ
リド、コレステロール、非HDL)又はより大きいHDL増加活性を有するペプチド配列;及びFG
F21と比較して、より小さい除脂肪量低下活性を有するペプチド配列が含まれる。
より具体的には、表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21変異体及び部分
配列並びにFGF19/FGF21融合体及びキメラ、並びに表1〜11及び配列表に掲載されている配
列の部分配列、変異体、及び修飾形態を含む、本明細書に提供されるペプチド配列には、
以下の活性を有するもの:胆汁酸ホメオスタシスを調節するペプチド配列;胆汁酸に関係し
た又は関連した障害を治療するペプチド配列、FGFR4に結合するか又はFGFR4を活性化する
ペプチド配列、例えば、FGFR4に対するFGF19の結合親和性と同程度の又はそれより大きい
親和性でFGFR4に結合するペプチド配列; FGF19がFGFR4を活性化するのと同程度又はそれ
より大きい程度又は量までFGFR4を活性化するペプチド配列;例えば、FGF19と比較して、
アルド-ケトレダクターゼ遺伝子発現を下方調節し又は低下させるペプチド配列;及びFGF2
1と比較して、溶質輸送体ファミリー1、メンバー2(Slc1a2)遺伝子発現を上方調節し又は
増大させるペプチド配列が含まれる。
本明細書に開示されているように、変異体は、FGF19の様々なN-末端修飾及び/又は切断
を含み、これには、1個又は数個のN-末端FGF19アミノ酸がFGF21由来のアミノ酸と置換さ
れている変異体が含まれる。そのような変異体には、グルコース低下活性及び好ましい脂
質プロファイルを有し、かつ測定可能な程度にも検出可能な程度にも腫瘍原性でない変異
体が含まれる。
(4.4 投薬及び投与)
例示されたペプチド配列(例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている配列)の部分配
列、配列変異体、及び修飾形態を含む本明細書に提供されるペプチド配列は、単位用量又
は単位剤形で製剤化することができる。特定の実施態様において、ペプチド配列は、例え
ば、異常な(abnormal)又は異常な(aberrant)胆汁酸ホメオスタシス、例えば、メタボリッ
クシンドローム;脂質又はグルコース関連障害;コレステロール又はトリグリセリド代謝;
2型糖尿病;例えば、肝内胆汁鬱滞の疾患(例えば、PBC、PFIC、PSC、PIC、新生児胆汁鬱滞
、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(例えば、エストロゲン))、並びに肝外胆汁鬱滞の疾患(例えば
、腫瘍による胆管圧迫、胆石による胆管閉塞))を含む胆汁鬱滞;回腸切除、炎症性腸疾患(
例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、下痢(例えば、BAD)及びGI症状を引き起こす、他
に特徴付けられない(特発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/
もしくは胆道癌(例えば、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関
与する他の障害;並びに/又は胆汁酸合成異常、例えば、NASH、肝硬変、及び門脈高血圧の
一因となるものが原因で、治療を必要としている対象を治療するのに有効な量のものであ
る。例示的な単位用量は、約25〜250、250〜500、500〜1000、1000〜2500、又は2500〜50
00、5000〜25,000、25,000〜50,000ng;約25〜250、250〜500、500〜1000、1000〜2500、
又は2500〜5000、5000〜25,000、25,000〜50,000μg;及び約25〜250、250〜500、500〜10
00、1000〜2500、又は2500〜5000、5000〜25,000、25,000〜50,000mgの範囲である。
例示されたペプチド配列(例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている配列)の部分配
列、配列変異体、及び修飾形態を含む本明細書に提供されるペプチド配列を投与して、単
一用量又は複数投薬量として、例えば、有効量又は十分量で、意図される効果をもたらす
ことができる。例示的な用量は、約25〜250、250〜500、500〜1000、1000〜2500、又は25
00〜5000、5000〜25,000、25,000〜50,000pg/kg;約50〜500、500〜5000、5000〜25,000、
又は25,000〜50,000ng/kg;及び約25〜250、250〜500、500〜1000、1000〜2500、又は2500
〜5000、5000〜25,000、25,000〜50,000μg/kgの範囲である。単一又は複数用量を、例え
ば、1日に複数回、連日、1日置きに、毎週、又は間欠的に(例えば、週に2回、1、2、3、4
、5、6、7、もしくは8週間に1回、又は2、3、4、5、もしくは6カ月に1回)投与することが
できる。
例示されたペプチド配列(例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている配列)の部分配
列、変異体、及び修飾形態を含む本明細書に提供されるペプチド配列を投与することがで
き、方法は、全身、局部、又は局所投与によって、任意の経路で実施することができる。
例えば、ペプチド配列を、非経口的に(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内)
、経口的に(例えば、経口摂取、口腔内、もしくは舌下)、吸入により、皮内に、腔内に、
頭蓋内に、経皮的に(局所)、経粘膜的に、又は経直腸的に投与することができる。例示さ
れたペプチド配列(例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている配列)の部分配列、変異
体、及び修飾形態を含む本明細書に提供されるペプチド配列並びに医薬組成物を含む本明
細書に提供される方法は、(マイクロ)カプセル化した送達システムによるか又は投与用の
インプラントにパッケージングして施すことができる。
非経口(例えば、皮下)投与の特定の非限定的な例は、Intarciaの皮下送達システム(Int
arcia Therapeutics社; Hayward, CA)の使用を伴う。該システムは、一定量の治療剤を所
望の期間にわたって送達する小型浸透圧ポンプを含む。薬物レベルを適切な治療的範囲内
に維持することに加えて、該システムは、ヒト体温でタンパク質性治療剤の安定性を長期
間維持する製剤とともに使用することができる。
非経口投与の別の非限定的な例は、DUROS(登録商標)型の移植可能な浸透圧ポンプ(例え
ば、DURECT社製)の使用を伴う。DUROS(登録商標)システムは、薬物の全身性又は部位特異
的投与を必要とする治療に使用することができる。薬物を全身送達するために、DUROS(登
録商標)システムは、局所麻酔薬を用いてわずか数分で終わる外来処置で、例えば、上腕
の、皮膚の直下に配置される。薬物を特異的部位に送達するために、小型化されたカテー
テル技術を使用することができる。カテーテルをDUROS(登録商標)システムに装着して、
薬物の流れを標的臓器、組織、又は移植片などの合成医療用構造体に導くことができる。
部位特異的送達は、治療的濃度の薬物を所望の標的に投与し、全身を同様の濃度に暴露さ
せないことを可能にする。DUROS(登録商標)システムの正確さ、サイズ、及び性能は、体
内の種々の正確な場所への連続的な部位特異的送達を可能にする。
非経口投与のさらに別の非限定的な例は、オン・ボディ送達システム(例えば、Amgen製
のNeulasta(登録商標) Delivery Kit)の使用を伴う。このオン・ボディ送達システムには
、通院と同日(例えば、化学療法の日)に適用される小型で軽量の注射システムであるオン
・ボディ注射器が含まれる。これは、通院の翌日又は近未来に、ある用量の治療剤を送達
するよう設計されており、そのため、患者は、注射を受けるために再び医師を訪れる必要
がない。
様々な制御放出の方法も本明細書で企図される。ポリマー粒子内への治療的分子のカプ
セル化は、制御放出を達成するための十分に確立されている方法であり、本明細書に提供
される方法で使用することができる。また、タンパク質治療剤のポリ(乳酸-コ-グリコー
ル酸)(PLGA)ナノ粒子への吸着を利用することにより、制御放出をカプセル化なしで達成
することもできる。特に、ヒドロゲルに埋め込まれたPLGAナノ粒子中へのカプセル化を伴
って及び該カプセル化を伴わないで、タンパク質治療剤の持続放出を適用することができ
る。放出プロファイルは、ナノ粒子濃度、ナノ粒子径、又は環境pHを修飾することにより
調節可能である。Pakulskaらの文献、Science Advances 2(5): e1600519(2016)。
(4.5 疾患及び障害を予防、治療、及び管理する方法)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるペプチド配列
により予防可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリスクのある対象にお
ける疾患又は障害を予防する方法であって、本明細書に提供されるペプチドを含む医薬組
成物を、対象に、該疾患又は障害を予防するのに有効な量で投与することを含む、方法で
ある。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるペプチ
ド配列により治療可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリスクのある対
象における疾患又は障害を治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチドを含む
医薬組成物を、対象に、該疾患又は障害を治療するのに有効な量で投与することを含む、
方法である。また別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供さ
れるペプチド配列によって管理可能な疾患もしくは障害を有するか、又はそれを有するリ
スクのある対象における疾患又は障害を管理する方法であって、本明細書に提供されるペ
プチドを含む医薬組成物を、対象に、該疾患又は障害を管理するのに有効な量で投与する
ことを含む、方法である。一実施態様において、該疾患又は障害は、胆汁酸に関係した疾
患又は胆汁酸に関連した障害である。別の実施態様において、該疾患又は障害は、代謝性
疾患又は障害である。他の実施態様において、該疾患又は障害は、癌又は腫瘍である。
マウスへの様々なFGF19及び/FGF21変異体及び融合体ペプチド配列の投与は、胆汁酸ホ
メオスタシス及び高血糖症を調節するのに成功した(データは示さない)。さらに、FGF19
とは対照的に、あるペプチド配列は、マウスにおけるHCC形成又は腫瘍形成を刺激するこ
とも誘導することもなかった(データは示さない)。したがって、直接的又は間接的なイン
ビボ法又はエクスビボ法による、動物への、例示されたペプチド配列の部分配列、変異体
、及び修飾形態(表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21変異体及び部分配列
並びに表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19/FGF21融合体及びキメラを含む)を含む
本明細書に提供されるペプチドの投与(例えば、変異体もしくは融合体ペプチド、該変異
体もしくは融合体ペプチドをコードする核酸、又は該変異体又は融合体ペプチドを発現す
る形質転換細胞もしくは遺伝子治療ベクターの投与)を用いて、本明細書に記載される、
胆汁酸に関係した又は関連した障害、及び代謝異常、例えば、高血糖値(high sugar leve
l)に関連する障害、高血糖状態、インスリン抵抗性、高インスリン血症、耐糖能障害、メ
タボリックシンドローム、又は関連障害などの、様々な障害を治療することができる。
(4.5.1 胆汁酸に関係した又は関連した障害を予防、治療、及び管理する方法)
本明細書で使用される場合、対象の状態との関連において使用されるときの「胆汁酸に
関係した障害」、「胆汁酸に関係した又は関連した障害」などの語句は、例えば、胆汁酸
又は1以上の胆汁酸の急性、一過性、又は慢性の異常レベルとして現れ得る、胆汁酸ホメ
オスタシスの崩壊を意味する。該状態は、胆汁酸の合成、代謝、又は吸収の阻害、低下、
又は遅延によって生じることがあり、その結果、対象は、正常な対象では通常は見られな
い胆汁酸レベルを示す。
また本明細書に提供されるのは、インビトロ、エクスビボ、及びインビボ(例えば、対
象の表面又は中)での方法及び使用である。そのような方法及び使用は、本明細書に記載
されるペプチド配列のいずれかを用いて実施することができる。様々な実施態様において
、該方法は、本明細書に(例えば、配列表もしくは表1〜11に)開示されるFGF19もしくはFG
F21変異体、融合体、もしくはキメラ、又は本明細書(例えば、配列表もしくは表1〜11)に
開示されるFGF19もしくはFGF21変異体、融合体、もしくはキメラの部分配列、変異体、も
しくは修飾形態などのペプチド配列を胆汁酸に関係した又は関連した障害を治療するのに
有効な量で対象に投与することを含む。
ある実施態様において、該ペプチドは、追加の治療剤及び/又は治療モダリティ(例えば
、PBCの治療及び/又は予防において有用な薬剤)と組み合わせて投与される。追加の治療
剤は、本明細書に記載されるペプチドの投与の前に、該投与とともに、又は該投与の後に
投与することができる。
また本明細書に提供されるのは、年齢、性別、人種などが同等の適切な適合対象と比べ
て、胆汁酸に関係したもしくは関連した障害の進行、発症を予防し(例えば、特定の障害
に罹患しやすい性質がある対象において)、遅延させ、減速させ、もしくは阻害する方法
、又は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を治療する(例えば、改善する)方法である
。したがって、様々な実施態様において、例えば、胆汁酸ホメオスタシスを調節するか又
は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を治療するための本明細書に提供される方法は
、1以上の本明細書に提供されるペプチド(例えば、配列表又は表1〜11に記載されているF
GF19及び/又はFGF21の変異体又は融合体)を、胆汁酸ホメオスタシスを調節するか又は胆
汁酸に関係したもしくは関連した障害を治療するのに有効な量で接触させ又は投与するこ
とを含む。ある実施態様において、該方法は、胆汁酸に関係した又は関連した障害(例え
ば、PBC)の治療又は予防において有用である少なくとも1つの追加の治療薬又は治療モダ
リティを接触させ又は投与することをさらに含む。
「対象」という用語は、動物を指す。通常、動物は、本明細書に提供されるペプチド配
列による治療から恩恵を得ることになる哺乳動物である。特定の例としては、霊長類(例
えば、ヒト)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、及びヒツジが挙げられる。
対象には、障害、例えば、胆汁酸に関係した又は関連した障害、例えば、肝内胆汁鬱滞
の疾患(例えば、PBC、PFIC、PSC、PIC、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(例え
ば、エストロゲン))、並びに肝外胆汁鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、胆石に
よる胆管閉塞)を含む、胆汁鬱滞;回腸切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍
性大腸炎)、短腸症候群、下痢(例えば、BAD)及びGI症状を引き起こす、他に特徴付けられ
ない(特発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(
例えば、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関与する他の障害;
並びに/又は胆汁酸合成異常、例えば、NASH、肝硬変、及び門脈高血圧の一因となるもの
を有する対象;或いは障害を有さないが、該障害を発症するリスクがあり得る対象が含ま
れる。
本明細書に提供される方法及び使用に従って予防可能、治療可能、又は管理可能な非限
定的で例示的な胆汁酸に関係した又は関連した障害としては、例えば、哺乳動物、例えば
、ヒトにおける;例えば、肝内胆汁鬱滞の疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発
性家族性肝内胆汁鬱滞(PFIC)(例えば、進行性PFIC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、妊娠性
肝内胆汁鬱滞(PIC)、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱滞(例えば、エストロゲン))
、並びに肝外胆汁鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、胆石による胆管閉塞)を含む
、胆汁鬱滞;回腸切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、短腸症候
群、下痢(例えば、胆汁酸下痢(BAD))及びGI症状を引き起こす、他に特徴付けられない(特
発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(例えば
、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関与する他の障害;並びに
/又は胆汁酸合成異常、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、肝硬変、及び門脈高血
圧の一因となるものが挙げられる。胆汁酸に関係した又は関連した追加の障害としては、
メタボリックシンドローム;脂質又はグルコース障害;コレステロール又はトリグリセリド
代謝; 2型糖尿病が挙げられる。1つの特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は
関連した障害は胆汁酸吸収不良である。別の特定の実施態様において、該胆汁酸に関係し
た又は関連した障害は下痢である。またさらなる特定の実施態様において、該胆汁酸に関
係した又は関連した障害は胆汁鬱滞(例えば、肝内又は肝外胆汁鬱滞)である。別のさらな
る特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は原発性胆汁性肝硬変
(PBC)である。他の特定の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害は原
発性硬化性胆管炎である。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害
はPFIC(例えば、進行性PFIC)である。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関
連した障害はNASHである。別の実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害
は高血糖状態である。具体的な実施態様において、該胆汁酸に関係した又は関連した障害
は2型糖尿病である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、胆汁酸ホメオスタシスの
調節又は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害の治療に有効な少なくとも1つの追加の
薬剤の投与を含み、ここで、該追加の薬剤は:グルココルチコイド; CDCA; UDCA;インスリ
ン、インスリン分泌促進物質、インスリン模倣体、スルホニルウレア、及びメグリチニド
;ビグアニド;α-グルコシダーゼ阻害剤; DPP-IV阻害剤、GLP-1、GLP-1アゴニスト、及びG
LP-1類似体; DPP-IV耐性類似体; PPARγアゴニスト、二重作用性PPARアゴニスト、汎作用
性PPARアゴニスト; PTP1B阻害剤; SGLT阻害剤; RXRアゴニスト;グリコーゲンシンターゼ
キナーゼ-3阻害剤;免疫モジュレーター;β-3アドレナリン作動性受容体アゴニスト; 11β
-HSD1阻害剤;アミリン及びアミリン類似体;胆汁酸捕捉剤;又はSGLT-2阻害剤である。ある
実施態様において、PBCの調節に有効な少なくとも1つの追加の薬剤は、UDCA、FXRアゴニ
スト、OCA、ASBT阻害剤、自己免疫剤、抗IL-12剤、抗CD80剤、抗CD20剤、CXCL10中和抗体
、CXCR3のリガンド、フィブラート、魚油、コルヒチン、メトトレキセート、アザチオプ
リン、シクロスポリン、又は抗レトロウイルス療法である。特定の実施態様において、PB
Cの調節に有効な少なくとも1つの追加の薬剤は、UDCA、OCA、ASBT阻害剤、抗IL-12剤、抗
CD20剤、又はフィブラートである。
本明細書に提供されるペプチド配列で治療又は予防し得る胆汁酸に関係した又は関連し
た追加の障害としては、メタボリックシンドローム、脂質又はグルコース障害、コレステ
ロール又はトリグリセリド代謝、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、腎損傷(例えば、尿細管損
傷又は腎症)、肝臓変性、眼の損傷(例えば、糖尿病性網膜症又は白内障)、及び糖尿病性
足障害を含む他の高血糖関連障害、並びに脂質異常症及び例えば、アテローム性動脈硬化
症、冠動脈疾患、脳血管障害などのその続発症などが挙げられる。
メタボリックシンドローム、例えば、肥満及び上昇したボディマス(その合併疾患、例
えば、限定されないが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(
NASH)、及び多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を含む)と関連し得る他の状態には、血栓症、凝固
能亢進状態及び血栓準備状態(動脈及び静脈)、高血圧(門脈高血圧(5mm Hg超の肝静脈圧勾
配(HVPG)と定義される)を含む)、心血管疾患、卒中、及び心不全;アテローム性動脈硬化
症、慢性炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、エリテマトーデス
、関節炎、又は他の炎症性リウマチ障害を含む、炎症性反応が関与する障害又は状態;細
胞周期又は細胞分化過程の障害、例えば、脂肪細胞腫瘍、例えば、脂肪肉腫、固形腫瘍、
及び新生物を含む脂肪腫性癌;アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、進行
性多巣性白質脳症、及びギラン・バレー症候群を含む、中枢及び末梢神経系の神経変性疾
患及び/もしくは脱髄障害並びに/又は神経炎症過程に関与する神経学的疾患並びに/又は
他の末梢性ニューロパシー;紅斑性扁平上皮皮膚疾患を含む、皮膚及び皮膚科的障害並び
に/又は創傷治癒過程の障害;並びに他の障害、例えば、シンドロームX、変形性関節症、
及び急性呼吸窮迫症候群も含まれる。
胆汁酸に関係した又は関連した障害(例えば、NASH)の治療は、これらに続発する障害を
緩和し又は消失させるという利益を有し得る。例として、NASHに罹患している対象は、NA
SHが原因で鬱病又は不安症を有する場合もあり;したがって、対象のNASHを治療すること
は、間接的に鬱病又は不安症を治療する場合もある。そのような続発性障害を標的とする
本明細書に開示される療法の使用も、ある実施態様において企図される。
特定の実施態様において、該対象は、PBCを有するか、又はPBCを有するリスクがある。
他の特定の実施態様において、該対象は、NASHを有するか、又はNASHを有するリスクがあ
る。
胆汁酸に関係した又は関連した障害(例えば、上記の障害)を発症するリスクがある対象
には、例えば、そのような障害に関する家族歴又は遺伝的素因を有し得る者、その上、そ
の食事がそのような障害の発症の一因となり得る者が含まれる。
本明細書に開示されているように、治療方法は、本明細書に記載されるペプチド(例え
ば、本明細書に提供される、例えば、配列表又は表1〜11に掲載されている、FGF19及び/
又はFGF21の変異体又は融合体)を、対象において所望の転帰又は結果を達成するのに有効
な量で接触させ又は投与することを含む。所望の転帰又は結果をもたらす治療は、対象の
状態の1以上の症状の重症度又は頻度を減少させ、低下させ、又は予防すること、例えば
、対象の状態の改善、又は「有益な効果」もしくは「治療的効果」を含む。したがって、
治療は、一時的に(例えば、1〜6、6〜12、もしくは12〜24時間)、中期間(例えば、1〜6、
6〜12、12〜24、もしくは24〜48日間)、又は長期間(例えば、1〜6、6〜12、12〜24、24〜
48週間、もしくは24〜48週間より長い間)、障害の1以上の症状の重症度又は頻度を減少さ
せ又は低下させ又は予防し、該障害の進行又は悪化を安定化又は阻害し、かつ場合によっ
ては、該障害を逆行させることができる。したがって、胆汁酸に関係した又は関連した障
害の場合、治療は、上記の胆汁酸に関係した又は関連した障害の1以上の症状又は効果を
低減又は低下させることができる。
ある実施態様において、本明細書に提供される様々な方法は、胆汁酸に関係した又は関
連した障害の治療又は予防において有用な1以上の追加の薬剤又は治療モダリティ、例え
ば、本明細書に記載される薬剤又は治療モダリティを、対象において所望の転帰又は結果
を達成するのに有効な量で接触させ又は投与することをさらに含む。
使用のための及び/又は対象を治療するための「有効量」又は「十分量」とは、単一又
は複数用量で、単独で、又は1以上の他の薬剤、治療、プロトコル、もしくは治療レジメ
ンと組み合わせて、任意の期間(一時的、中期間、又は長期間)の検出可能な応答、任意の
測定可能もしくは検出可能な程度の又は任意の期間(例えば、数時間、数日、数カ月、数
年、寛解期、もしくは治癒期)の対象における所望の転帰又は対象に対する客観的もしく
は主観的利益を提供する量を指す。そのような量は、通常、障害、又は該障害の1つ、複
数、もしくは全ての有害な症状、結果、もしくは合併症を測定可能な程度まで改善するの
に有効であるが、該障害の進行又は悪化を低下させること又は阻害することは、満足でき
る転帰と考えられる。
本明細書で使用される場合、「改善する」という用語は、対象の障害の改善、該障害の
重症度の低下、又は該障害の進行もしくは悪化の阻害(例えば、該障害の安定化)を意味す
る。胆汁鬱滞(例えば、PBC)、下痢(例えば、BAD)を引き起こす胆汁酸の吸収を損なう障害
、及び胆汁酸合成異常(例えば、NASH)を含む、上記のものなどの、胆汁酸に関係した又は
関連した障害の場合、改善は、該障害の1以上の症状又は効果の低減又は低下であること
ができる。
それゆえ、治療的利益又は改善は、障害又は疾患と関連するいずれか1つ、大部分、又
は全ての症状、合併症、結果、又は根本原因の完全な除去である必要はない。したがって
、満足できるエンドポイントは、対象の状態の一時的、中期間、もしくは長期間の漸進的
改善、又はある期間(数時間、数日、数週間、数カ月など)にわたる、障害もしくは疾患の
発生、頻度、重症度、進行、もしくは持続期間の部分的低下、又は障害もしくは疾患の1
以上の関連する有害な症状もしくは合併症もしくは結果もしくは根本原因の阻害もしくは
逆行、障害もしくは疾患の悪化もしくは進行の阻害もしくは逆行(例えば、状態、障害、
もしくは疾患の1以上の症状もしくは合併症の安定化)が見られる場合に達成される。
したがって、単独で又は追加の薬剤と組み合わせて、本明細書に提供されるペプチド配
列により治療可能な障害の場合、障害を改善するのに十分な該ペプチド(及び任意に、追
加の薬剤)の量は、該障害の種類、重症度、及び程度、又は持続期間、所望の治療効果又
は転帰によって決まり、かつ当業者によって容易に確認されることができる。適量は、個
々の対象(例えば、対象内でのバイオアベイラビリティ、性別、年齢など)によっても決ま
る。例えば、対象における正常な胆汁酸ホメオスタシスの一時的な又は部分的な回復は、
治療から完全に解放される結果とならないとしても、先に記載された胆汁酸に関係した又
は関連した障害を治療するために、本明細書に記載されるペプチド及び薬剤の投薬量又は
投薬頻度を低下させることができる。有効量は、例えば、1以上の関連のある生理的効果
を測定することにより確認することができる。
対象を治療するための本明細書に提供される方法及び使用は、対象における障害、例え
ば、胆汁酸に関係した又は関連した障害の可能性を予防し又は低下させる予防法に適用可
能である。したがって、胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を有するか又はそれを発
症するリスクがある対象を治療するための本明細書に提供される方法及び使用は、胆汁酸
に関係したもしくは関連した障害の治療もしくは予防に有用な別の薬剤の投与もしくは適
用の前に、それと実質的に同時に、又はその後に実施することができ、かつ/又は他の形
態の療法で補完することができる。補完療法には、インスリン、インスリン感受性増強剤
、及び他の薬物治療などの他のグルコース低下治療、食事の変化(低糖、低脂肪など)、減
量手術(胃バイパス、胃切除による胃容積の低下)、胃バンディング、胃バルーン、胃スリ
ーブなどが含まれる。例えば、高血糖障害又はインスリン抵抗性障害を治療するための本
明細書に提供される方法又は使用は、対象においてグルコースを低下させるか又はインス
リン感受性を増大させる薬物又は他の医薬組成物と組み合わせて使用することができる。
一実施態様において、方法又は使用は、対象に、1以上の変異体又は融合体FGF19及び/
又はFGF21ペプチド配列を、胆汁酸に関係した又は関連した障害を予防するのに有効な量
で接触させ又は投与することを含む。一実施態様において、方法又は使用は、対象に、1
以上の変異体又は融合体FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列を、胆汁酸に関係した又は関
連した障害を治療するのに有効な量で接触させ又は投与することを含む。一実施態様にお
いて、方法又は使用は、対象に、1以上の変異体又は融合体FGF19及び/又はFGF21ペプチド
配列を、胆汁酸に関係した又は関連した障害を管理するのに有効な量で接触させ又は投与
することを含む。
(4.5.1.1 PBC及びその治療又は予防において有効な薬剤による療法)
最も一般的な胆汁鬱滞性肝疾患である原発性胆汁性肝硬変(PBC)は、胆汁酸を肝臓から
外へ輸送する胆管の自己免疫性破壊に主に起因する進行性肝疾患である。疾患が進行する
と、胆汁酸の持続的な中毒性の蓄積が慢性の炎症及び線維症を特徴とする進行性の肝損傷
を引き起こす。PBCの患者はHCCの増大したリスクを有するので、本明細書に記載されるFG
F19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及
び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体による療法が特に重要であるが、そ
れは、そのような配列が、HCC形成もしくはHCC腫瘍形成を誘導しない、又は実質的に増大
させないためである。
PBCの患者は、多くの場合、初診時に無症状であるが、大部分の患者は、以下のもの:掻
痒症;疲労;黄疸;黄色腫;肝外自己免疫障害と関連する障害(例えば、シェーグレン症候群
及び関節リウマチ);並びに肝硬変又は門脈高血圧に起因する合併症(例えば、腹水、食道
静脈瘤、及び肝性脳症)のうちの1つもしくは複数を呈しているか、又はこれらを後に発症
する。
PBCの決定的な原因は特定されていないが、大部分の研究は、それが自己免疫障害であ
ると示唆している。遺伝的素因が存在すると思われ、遺伝学的研究により、IL-12A及びI-
12RB2多型を含む、IL-12シグナル伝達カスケードの一部が、該疾患の病因において重要で
あることが示されている。
PBCを診断する確実な手段はなく;それどころか、いくつかの因子の評価が、通常、必要
とされる。さらに、PBCの診断は、類似の症状を有する他の状態(例えば、自己免疫性肝炎
及び原発性硬化性胆管炎)を除外することが要求され;例としては、胆管の閉塞を除外する
ために、腹部超音波又はCTスキャンが通常実施される。
診断的血液検査には、混乱した肝機能の検査(γ-グルタミルトランスフェラーゼ及びア
ルカリホスファターゼ)並びに特定の抗体(抗ミトコンドリア抗体(AMA)及び抗核抗体(ANA)
)の存在が挙げられる。抗核抗体は、PBCの予後指標と考えられる。他の検査及び処置がPB
Cを示すとき、疾患を確認するために、肝生検がしばしば実施される。胆管の内視鏡的評
価である内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)も、疾患を確認するために利用することがで
きる。
PBCは、疾患の進行を特徴付ける4つのステージに分類される。ステージ1(門脈ステージ
)は、門脈の炎症及び軽度の胆管損傷によって特徴付けられ;ステージ2(門脈周囲ステージ
)は、肥大した三つ組(triad)、門脈周囲の線維症又は炎症によって特徴付けられ;ステー
ジ3(隔壁ステージ)は、活発な及び/又は不活発な線維性隔壁によって特徴付けられ;かつ
ステージ4(胆汁性肝硬変)は、肝結節の存在によって特徴付けられる。疾患のステージを
決定するには、肝生検が必要とされる。
血清ビリルビンは、PBCの進行及び予後の指標である。2〜6mg/dLの血清ビリルビンレベ
ルを有する患者は4.1年の平均生存期間を有し、6〜10mg/dLの血清ビリルビンレベルを有
する患者は2.1年の平均生存期間を有し、10mg/dLを上回る血清ビリルビンレベルを有する
患者は1.4年の平均生存期間を有する。PBCの進行症例では、肝移植が1つの選択肢である
が、再発率は、5年で18%、及び10年で最大30%にも達し得る。
疾患進行を減速させることができるものの、現在使用されている療法による医薬的介入
は、全ての患者集団において治癒的であったり有効であったりするわけではない。薬理学
的療法の治療転帰を改善するために、一態様は、PBC並びに関連する疾患、障害、及び状
態の治療及び/又は予防と関連する1以上の活性を有するFGF19ペプチド配列の変異体、FGF
19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融
合体(キメラ)の変異体と組み合わせた、1以上の現行の療法の使用に関する。組合せ療法
に最も一般的に使用される及び/又は有望な薬剤を以下に記載するが、これらの薬剤は例
示的なものであり、排他的なものではないことが理解されるべきである。
PBCの治療は、胆汁酸であるウルソデオキシコール酸(ウロスジオール(Urosdiol)、UDCA
)を伴うことが最も多い。UDCA療法は、PBC患者における胆汁鬱滞の低下及び肝機能検査の
改善に役立つ;しかしながら、該療法は、症状を明白に改善するものではなく、予後に対
する影響が疑わしい。UDCAは、PBCにおける死亡率、有害事象、及び移植の必要性を低下
させることが示されている。UDCAは第一選択療法とみなされているが、約1/3の患者が非
応答性である可能性があり、依然として進行性肝疾患のリスクがあり、かつ代替療法又は
追加療法の候補である。
PBC、並びに関連する疾患、障害、及び状態の治療及び/又は予防と関連する1以上の活
性を有する本明細書に提供されるFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプ
チド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体
と組み合わせて使用することができる、いくつかの代替療法及びアジュバント療法が存在
し、その一部は、現在、臨床開発中である。
ファルネソイドX受容体アゴニストは、組合せ療法で使用し得る有望なクラスの薬剤で
ある。肝臓及び腸において高レベルで発現される核内受容体であるFXRのアゴニストの主
要な機能の1つは、コレステロールからの胆汁酸の合成における律速酵素であるコレステ
ロール 7αヒドロキシラーゼ-1(CYP7A1)の抑制である。オベチコール酸(OCA; Intercept
Pharmaceuticals, NY)は、主要なヒト胆汁酸であるケノデオキシコール酸、すなわち、CD
CAから誘導される胆汁酸類似体及びFXRアゴニストである。OCAは、ウルソジオールに対し
不適切な治療的応答を有する患者又はウルソジオールに忍容性を示すことができない患者
について現在評価中である。
頂端側ナトリウム依存性胆汁酸輸送体(ASBT)の阻害剤は、PBC及び関連疾患の治療及び/
又は予防のために、本明細書に記載されるFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はF
GF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)
の変異体と組み合わせて使用し得る別のクラスの薬剤である。遺伝子SLC10A2によってコ
ードされるナトリウム/胆汁酸塩共輸送ファミリーの一員であるASBTは、現在、腸におけ
る胆汁酸再吸収の主要な機構と考えられている。ABST阻害剤の例としては、どちらもLume
na Pharmaceuticals(San Diego, CA)により開発中である、LUM001及びSC-435が挙げられ
る。
胆汁酸捕捉剤もPBCの治療に用途がある。コレスチラミン及びコレスチポールは、最も
よく知られた胆汁酸捕捉剤である。しかしながら、これらは粉末形態でのみ利用可能であ
り、多くの場合、樹脂粉末の感触及び味の悪さのために、多くの患者に容認されないとい
う理由で、その使用が限定されることがある。胆汁酸捕捉剤のコレセヴェラムは、錠剤形
態で利用可能であり、多くの場合、より良好に容認される。胆汁酸捕捉剤は全て、脂溶性
ビタミンA、D、E、及びKを含む他の化合物に結合することができ、これらのビタミンの欠
乏は、補充が必要となる場合がある。重要なことに、PBC患者集団は生まれつきビタミンA
、D、E、及びKの脂質依存的吸収が悪く、したがって、胆汁酸捕捉剤を服用する患者は、
これらのビタミンの欠乏のリスクが特に高い。
免疫及び炎症機能と関連する薬剤は、PBC、並びに関連する疾患、障害、及び状態の治
療及び/又は予防と関連する1以上の活性を有するFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び
/又はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キ
メラ)の変異体との組合せ療法の候補である。
インターロイキンIL-12は自己免疫と関連付けられている。データにより、IL-12シグナ
ル伝達経路は胆管破壊を引き起こすエフェクター機構において重要な役割を果たすことが
示されている。IL-12のp40サブユニットを標的とすることも、実験的免疫媒介性胆管症を
改善することが示されている。したがって、抗IL-12剤(例えば、モノクローナルAb阻害剤
)は有望な治療を提供する。さらに、CD80における多型がPBCに対する増大した感受性を付
与するものであると特定されているので、抗CD80剤の使用による、CD80を介したT細胞と
抗原提示細胞との間の共刺激の妨害は、PBCの治療のための重要な治療的アプローチとな
り得る。さらに、IgM力価の向上及び抗CD20抗体のリツキシマブ(RITUXAN)を用いた肝内制
御性T細胞数の増加は有望である。
PBCにおける小型の胆管の免疫介在性破壊は、主に、CXCR3を発現するTh1細胞、CD8+ T
細胞、NK細胞、及びNKT細胞によって特徴付けられる、細胞介在性のものである。したが
って、CXCR3のリガンドであるCXCL10に対する中和抗体は、鍵となる炎症性プロセスの1つ
を妨害する可能性を提供し、かつPBCにおける免疫介在性胆管破壊の一因となり得る。同
様に、CD28を発現しているT細胞とCD80を発現している抗原提示細胞(例えば、胆管細胞、
抗体分泌B細胞)と間の共刺激シグナルの妨害は、自己免疫疾患の治療のための重要なアプ
ローチとなり得る。
本明細書に記載されるFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列
の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体は、単独
で、又は限定されないが、PBC並びに関連する疾患、障害、及び状態を含む、免疫及び/も
しくは炎症性成分を有する、本明細書に言及されている胆汁酸に関係したもしくは関連し
た障害の治療及び/もしくは予防のための他の薬剤と組み合わせて使用することができる
。そのような他の薬剤の例としては、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);ステロイ
ド;サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID);他のヒトサイトカインもしくは成長因子(例えば
、IL-2、IL-6、もしくはPDGF)に対する抗体又はこれらのアンタゴニスト; TNFアンタゴニ
スト(例えば、REMICADE、p75TNFRIgG(ENBREL)、又はp55TNFR1gG(LENERCEPT)などの薬剤);
インターフェロン-β1a(AVONEX);インターフェロン-β1b(BETASERON);並びにPD1(関連す
る薬剤としては、抗体ニボルマブ及びランブロリズマブが挙げられる)、PDL1、BTLA、CTL
A4(関連する薬剤としては、完全ヒト化CTLA4モノクローナル抗体イピリムマブ(YERVOY)が
挙げられる)、TIM3、LAG3、及びA2aRを含む免疫チェックポイント阻害剤が挙げられる。
フィブラートは、単独療法としても、UDCA非応答者との組合せでも、肝機能検査を含む
PBCの様々な態様を改善することが示されている。ある実施態様において、フィブラート
は、ベザフィブラート(BEZALIP)、シプロフィブラート(MODALIM)、ゲムフィブロジル(LOP
ID)、クロフィブラート、及びフェノフィブラート(TRICOR)の群から選択される一員であ
る。魚油も同様の利益を示している。
生検で肝炎の特定の特徴を示すPBC患者において、ブデソニドなどのコルチコステロイ
ドは、特に、UDCAと組み合わせて使用される場合、肝臓の組織学的検査及び生化学的検査
を改善し得る。コルヒチンは、肝機能検査(例えば、AST及びALP)を改善することが示され
ており、PBCの別の代替治療となる。
網羅的なリストではないが、有望である他の薬物としては、免疫調節治療としてのメト
トレキセート、アザチオプリン、シクロスポリン、及び抗レトロウイルス療法において使
用される特定の薬剤(例えば、コンビビル)が挙げられる。
PBCと関連する続発症のための、様々な治療が存在する。例えば、痒みは、胆汁酸捕捉
剤のコレスチラミン、又はその代わりのナルトレキソン及びリファンピシンによって緩和
することができる。PBCと関連する疲労は、肝臓に損傷を与えることなく、モダフィニル(
プロビジル; Teva(旧名Cephalon))で効果的に治療することができる。PBCの患者は、一般
集団(及び肝疾患を有する他の者)と比較して、骨粗鬆症及び食道静脈瘤を発症するリスク
が増大しているので、これらの合併症のスクリーニング及び治療は、PBCの管理の重要な
部分である。本明細書に提供される、PBC並びに関連する疾患、障害、及び状態の治療及
び/又は予防に関連する1以上の活性を有するFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又
はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメ
ラ)の変異体は、単独で又は他の薬剤と組み合わせて、そのような続発症の管理の新規の
有望な代替手段を提供する。
(4.5.1.2 NASH及びNAFLD並びにこれらの治療又は予防において有効な薬剤による療法)
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)スペクトラムの一部と考えられる非アルコール性脂
肪肝炎(NASH)は、肝臓における炎症並びに脂肪及び線維性組織の蓄積を引き起こす。NASH
の正確な原因は不明であるが、リスク因子としては、中心性肥満、2型糖尿病、インスリ
ン抵抗性(IR)、及び脂質異常症が挙げれられ;前記のものの組合せは、メタボリックシン
ドロームと記述されることが多い。さらに、タモキシフェン、アミオダロン、並びにステ
ロイド(例えば、プレドニゾン及びヒドロコルチゾン)を含む特定の薬物がNASHと関連付け
られている。非アルコール性脂肪肝疾患は、米国における慢性肝疾患の最も一般的な原因
であり、NAFLDの推定有病率は20〜30%であり、NASHについては、有病率は3.5〜5%と推
定される。(例えば、Abrams, G.A.,らの文献、Hepatology, 2004. 40(2):475-83; Moreir
a, R.K.の文献、Arch Pathol Lab Med, 2007. 131(11):1728-34を参照)。
NASHは、明白な症状を示さないことが多く、その診断を複雑なものにしている。肝機能
検査は、通常、NASHを有する個体の約90%パーセントで上昇しているAST(アスパラギン酸
アミノトランスフェラーゼ)及びALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)のレベルから、
診断プロセスを開始する。他の血液検査は、多くの場合、肝炎などの肝疾患の他の原因を
除外するために使用される。画像検査(例えば、超音波、CTスキャン、又はMRI)は、肝臓
における脂肪蓄積を明らかにし得るが、NASHをよく似た外観を有する肝疾患の他の原因と
区別することができないことも多い。NASHを確認するには、肝生検が必要である。
NASHに罹患している個体の予後は予測困難であるが、肝生検における特徴が役立つこと
もある。NASHの最も重篤な合併症は肝硬変であり、これは、肝臓が重度に傷付けられた場
合に起こる。NASHを有する個体の8〜26パーセントが肝硬変を発症することが報告されて
おり、NASHが2020年までに肝移植の主な適応となることが予測されている。
現時点で、NASHの治療は、高脂血症、糖尿病、及び肥満症を含む、それと関連する医学
的状態の薬理学的及び非薬理学的管理に主に集中している。治癒的ではないが、NASH自体
の薬理学的治療介入としては、ビタミンE、ピオグリタゾン、メトホルミン、スタチン、
ω-3脂肪酸、及びウルソデオキシコール酸(UDCA(ウルソジオール))による治療が挙げられ
る。現在異なる適応症に承認されている、評価中の他の薬剤としては、ロサルタン及びテ
リサルタン(telisartan)、エキセナチド、GLP-1アゴニスト、DPP IV阻害剤、並びにカル
バマゼピンが挙げられる。
上述の現在の療法の欠陥を考慮すると、異なる作用機序を有する薬剤による療法は、NA
SH及びNAFLDの治療及び予防のための有望な新しい手段を提供する。例えば、本明細書で
教示されるFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体、並
びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体を使用することにより
、そのような欠陥に対処することが企図される。ある実施態様において、該ペプチドは、
他の治療剤及び/又は治療モダリティと組み合わせて使用される。また本明細書に提供さ
れるのは、NASH及びNAFLDの治療又は予防のための、単独での又は将来開発される療法と
組み合わせた、これらのFGF19ペプチド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列
の融合体、並びにFGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体の予防的
及び/又は治療的使用である。
(4.5.1.3 他の胆汁酸に関係した障害、並びに関連する疾患、障害、及び状態の治療又は
予防のための療法)
また本明細書に提供されるのは、PBC以外の他の胆汁酸に関係した障害、並びに関連す
る疾患、障害、及び状態の治療及び/又は予防と関連する1以上の活性を有するFGF19ペプ
チド配列の変異体、FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列の融合体、並びにFGF19及び/又はF
GF21ペプチド配列の融合体(キメラ)の変異体の使用である。ある実施態様において、該ペ
プチドは、他の治療剤及び/又は治療モダリティと組み合わせて使用される。
例として、クローン回腸炎に続発する胆汁酸下痢の患者には、グルココルチコイド治療
が役立つ。顕微鏡的結腸炎にもステロイドが役立つ。短腸症候群(ミセル可溶化の障害を
引き起こす胆汁酸欠乏が近位腸で起こる)の患者では、合成胆汁酸類似体であるコリルサ
ルコシン(コリル-N-メチルグリシン)が脂質吸収を増大させることが示されている。
一次胆汁酸であるケノデオキシコール酸(CDCA)の投与は、胆管のコレステロール分泌及
び胆石の漸進的溶解を減少させることが示されている。CDCAは若干肝毒性があるので、徐
々にUDCAに取って代わられた。コレステロール系胆石溶解のためのUDCA投与の有効性及び
安全性にもかかわらず、症候性疾患の迅速な治癒をもたらす腹腔鏡下胆嚢摘出術の成功の
ために、UDCAは現在頻繁には使用されていない。対照的に、内科的治療は、数カ月の治療
を必要とし、必ずしも結石を溶解させるとは限らず、後に、一部の患者で徐々に再発する
通常、CDCA又はUDCAとコール酸の混合物を用いる胆汁酸置換を、胆汁酸生合成の先天性
異常で使用して、細胞傷害性の胆汁酸前駆体の合成を抑制し、一次胆汁酸の腸肝循環への
流入を回復させる。
上記の薬剤及び治療モダリティに加えて、限定されないが、1)インスリン(例えば、ボ
ーラス及び基礎類似体)、インスリン模倣体、並びにスルホニルウレア(例えば、クロルプ
ロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、トルブタミド、グリブリド、グリメピリド、
グリピジド)並びにメグリチニド(例えば、レパグリニド(PRANDIN)及びナテグリニド(STAR
LIX))を含む、インスリン分泌の刺激を伴う薬剤; 2)ビグアニド(例えば、メトホルミン(G
LUCOPHAGE))及びグルコース利用を促進し、肝グルコース産生を低下させ、かつ/又は腸の
グルコース産出を減少させることにより作用する他の薬剤; 3)α-グルコシダーゼ阻害剤(
例えば、アカルボース及びミグリトール)、並びに炭水化物の消化及びその結果としての
消化管からの吸収を減速させ、食後高血糖を軽減する他の薬剤; 4)インスリン作用を(例
えば、インスリン増感によって)増強し、その結果、末梢組織におけるグルコース利用を
促進するチアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン(AVANDIA)、トログリタゾン(REZUL
IN)、ピオグリタゾン(ACTOS)、グリピジド、バラグリタゾン、リボグリタゾン、ネトグリ
タゾン、トログリタゾン、エングリタゾン、シグリタゾン、アダグリタゾン、ダルグリタ
ゾン); 5)DPP-IV阻害剤(例えば、ビルダグリプチン(GALVUS)及びシタグリプチン(JANUVIA
))を含むグルカゴン様ペプチド、並びにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びGLP-1アゴニ
スト及び類似体(例えば、エキセナチド(BYETTA及びITCA 650(エキセナチド類似体を12カ
月の期間にわたって送達する皮下に挿入される浸透圧ポンプ; Intarcia, Boston, MA));
並びに6)DPP-IV耐性類似体(インクレチン模倣体)、PPARγアゴニスト、二重作用性PPARア
ゴニスト、汎作用性PPARアゴニスト、PTP1B阻害剤、SGLT阻害剤、インスリン分泌促進物
質、RXRアゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3阻害剤、免疫モジュレーター、
β-3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、11β-HSD1阻害剤、及びアミリン類似体を含
む、数多くの追加の薬剤(及びこれらのクラス)との組合せ療法も企図される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるペプチド及び方法と組み合わせて使用し
得る、他の例示的な薬剤としては、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤、ブロモ
クリプチン製剤(例えば、及び胆汁酸捕捉剤(例えば、コレセヴェラム)、及びSGLT-2阻害
剤が挙げられる。食欲抑制薬も周知であり、本明細書に提供される組成物及び方法と組み
合わせて使用することができる。補充療法は、本明細書に提供される方法及び使用の前に
、それと同時に、又はその後に投与することができる。
一態様において、本明細書に提供されるのは、対象における胆汁酸に関係した障害(BAR
D)又はその症状を予防又は治療する方法であって、該対象に、有効量のペプチドを投与す
ることを含む、方法であり、ここで、該ペプチドは:
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。
一態様において、本明細書に提供されるのは、対象における胆汁酸に関係した障害(BAR
D)又はその症状を予防又は治療する方法であって、該対象に、有効量のペプチドを投与す
ることを含む、方法であり、ここで、該ペプチドは:
Figure 2020172509
を含むか又はこれからなるアミノ酸配列を有する。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるBARD又はその症状を予防
又は治療する方法であって、該対象に、有効量のペプチドを投与することを含む、方法で
あり、ここで、該ペプチドは: a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-末端領域であっ
て、該N-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該N-末
端領域がDSSPL(配列番号121)又はDASPH(配列番号122)を含むもの;並びにb)配列番号99(FG
F19)の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ酸位置及び最後のア
ミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号99(FGF19)のアミノ酸残基16〜29
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応するものを含む。
本明細書に提供される他のペプチドも本明細書に提供される方法において企図される。
ある実施態様において、BARD又はその症状は、ベースラインと比較して改善している。
いくつかの実施態様において、ベースラインは投与前ベースラインである。
いくつかの実施態様において、BARDは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。一実
施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるNAFLD又はその症状を予防又
は治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与す
ることを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、該方法は、NAFLD活性スコア(NAS)の改善をもたらす。
いくつかの実施態様において、BARDは肝線維症である。一実施態様において、本明細書
に提供されるのは、対象における肝線維症又はその症状を予防又は治療する方法であって
、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法であ
る。
いくつかの実施態様において、BARDは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)である。一実施態
様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるNASH又はその症状を予防又は治療
する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与すること
を含む、方法である。いくつかの実施態様において、対象は、生検で確認されたNASHを有
する。
いくつかの実施態様において、BARDは胆汁鬱滞性肝疾患である。一実施態様において、
本明細書に提供されるのは、対象における胆汁鬱滞性肝疾患又はその症状を予防又は治療
する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与すること
を含む、方法である。
いくつかの実施態様において、胆汁鬱滞性肝疾患は原発性硬化性胆管炎(PSC)である。
いくつかの実施態様において、胆汁鬱滞性肝疾患は原発性胆汁性肝硬変(PBC)である。い
くつかの実施態様において、胆汁鬱滞性肝疾患は妊娠時肝内胆汁鬱滞である。いくつかの
実施態様において、胆汁鬱滞性肝疾患はアルコール性肝炎である。いくつかの実施態様に
おいて、胆汁鬱滞性肝疾患は薬物誘発性胆汁鬱滞である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、肝臓脂肪症の減少をもた
らす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝臓脂肪症を予防
又は治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与
することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、肝臓炎症の減少をもたら
す。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝臓炎症を予防又は
治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与する
ことを含む、方法である。ある実施態様において、肝臓炎症は小葉炎症である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、肝細胞膨化の減少をもた
らす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝細胞膨化を減少
させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与するこ
とを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるCYP7a1レベ
ルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるCY
P7a1レベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又は
M69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における血清胆汁酸
レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけ
る血清胆汁酸レベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば
、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるトリグリセ
リドの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における
トリグリセリドを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70
又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるアルカリホ
スファターゼ(ALP)レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供され
るのは、対象におけるALPレベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプ
チド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様にお
いて、ALPレベルは、該対象において少なくとも10%低下している。いくつかの実施態様
において、ALPレベルは、該対象において少なくとも15%低下している。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるアルカリア
ミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書
に提供されるのは、対象におけるALTを低下させる方法であって、本明細書に提供される
ペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。一実施態様において
、本明細書に提供されるのは、対象におけるALTレベルを低下させる方法であって、本明
細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるアスパラギ
ン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本
明細書に提供されるのは、対象におけるASTレベルを低下させる方法であって、本明細書
に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるγ-グルタ
ミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書
に提供されるのは、対象におけるGGTレベルを低下させる方法であって、本明細書に提供
されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、肝機能の生化学的マーカ
ーの改善をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝
機能の生化学的マーカーを改善する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例え
ば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、肝
機能の生化学的マーカーは酵素である。いくつかの実施態様において、酵素はALPである
。いくつかの実施態様において、酵素はALTである。いくつかの実施態様において、酵素
はASTである。いくつかの実施態様において、酵素はGGTである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるコレステロ
ールレベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象に
おけるコレステロールレベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド
(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるグルコース
レベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけ
るグルコースレベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば
、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるインスリン
抵抗性の改善をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけ
るインスリン抵抗性を改善する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M
70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるインスリン
感受性の改善をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけ
るインスリン感受性を改善する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M
70又はM69)を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、インスリ
ン感受性は、HOMA-IRによって測定したときのものである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における体重の低下
をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における体重を低下
させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与するこ
とを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における肝臓重量の
低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝臓重
量を低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投
与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象におけるビリルビン
レベルの減少をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけ
るビリルビンレベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば
、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における初期線維症
の血清バイオマーカーの減少をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるの
は、対象における初期線維症の血清バイオマーカーを低下させる方法であって、本明細書
に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における血清C4レベ
ルレベルの低下をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象にお
ける血清C4レベルを低下させる方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M
70又はM69)を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、血清C4レ
ベルは、対象において少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80
%、又は少なくとも90%減少している。いくつかの実施態様において、血清C4レベルの低
下は、C4レベルの平均低下である。いくつかの実施態様において、血清C4レベルの平均低
下は、少なくとも90%である。いくつかの実施態様において、血清C4レベルは、該ペプチ
ドの投与前の該対象における血清C4レベルと比較して減少している。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における肝機能の改
善をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における肝機能を
改善する方法であって、本明細書に提供されるペプチド(例えば、M70又はM69)を投与する
ことを含む、方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象における掻痒症又は
その症状の改善をもたらす。一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象にお
ける掻痒症又はその症状を予防又は治療する方法であって、本明細書に提供されるペプチ
ド(例えば、M70又はM69)を投与することを含む、方法である。一実施態様において、該方
法は、対象における掻痒症又はその症状を予防する方法である。一実施態様において、該
方法は、対象における掻痒症又はその症状を治療する方法である。いくつかの実施態様に
おいて、掻痒症の症状は痒みである。いくつかの実施態様において、掻痒症の症状は睡眠
障害である。いくつかの実施態様において、掻痒症の症状は鬱病である。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、0.3mgの用量で投与される。いくつかの
実施態様において、該ペプチドは、1mgの用量で投与される。いくつかの実施態様におい
て、該ペプチドは、2mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、該ペプチド
は、3mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、5mgの用量で
投与される。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、10mgの用量で投与される。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、1日に1回投与される。いくつかの実施態
様において、該ペプチドは、1日に2回投与される。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、皮下投与される。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、7日間以上投与される。いくつかの実施
態様において、該ペプチドは、14日間以上投与される。いくつかの実施態様において、該
ペプチドは、21日間以上投与される。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、28日
間以上投与される。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、1〜12カ月間投与され
る。いくつかの実施態様において、該ペプチドは、12カ月間投与される。いくつかの実施
態様において、該ペプチドは、12カ月よりも長い間投与される。
いくつかの実施態様において、該ペプチドは、ウルソデオキシコール酸(UDCA)と組み合
わせて投与される。
いくつかの実施態様において、対象は過体重である。いくつかの実施態様において、対
象は肥満である。いくつかの実施態様において、対象は糖尿病を有する。いくつかの実施
態様において、対象は糖尿病を有さない。いくつかの実施態様において、糖尿病は2型糖
尿病である。
(4.5.2 代謝異常を予防、治療、及び管理する方法)
また本明細書に提供されるのは、インビトロ、エクスビボ、及びインビボ(例えば、対
象の表面又は中)での方法及び使用である。そのような方法及び使用は、本明細書に記載
されるペプチド配列のいずれかを用いて実施することができる。様々な実施態様において
、該方法は、本明細書に(例えば、配列表もしくは表1〜11に)開示されるFGF19もしくはFG
F21変異体、融合体、もしくはキメラ、又は本明細書(例えば、配列表もしくは表1〜11)に
開示されるFGF19もしくはFGF21変異体、融合体、もしくはキメラの部分配列、変異体、も
しくは修飾形態などのペプチド配列を代謝障害又は関連障害を治療するのに有効な量で対
象に投与することを含む。
ある実施態様において、該ペプチドは、追加の治療剤及び/又は治療モダリティ(例えば
、PBCの治療及び/又は予防において有用な薬剤)と組み合わせて投与される。追加の治療
剤は、本明細書に記載されるペプチドの投与の前に、該投与とともに、又は該投与の後に
投与することができる。
また本明細書に提供されるのは、年齢、性別、人種などが同等の適切な適合対象と比べ
て、代謝障害又は関連障害の進行、該障害の発症を予防し(例えば、特定の障害に罹患し
やすい性質がある対象において)、遅延させ、減速させ、もしくは阻害する方法、又は代
謝障害もしくは関連障害を治療する(例えば、改善する)方法である。したがって、様々な
実施態様において、例えば、胆汁酸ホメオスタシスを調節するか又は代謝障害もしくは関
連障害を治療するための本明細書に提供される方法は、1以上の本明細書に提供されるペ
プチド(配列表又は表1〜11に記載されているFGF19及び/又はFGF21の変異体又は融合体)を
、胆汁酸ホメオスタシスを調節するか又は代謝障害もしくは関連障害を治療するのに有効
な量で接触させ又は投与することを含む。ある実施態様において、該方法は、代謝障害又
は関連障害(例えば、PBC)の治療又は予防において有用である少なくとも1つの追加の治療
薬又は治療モダリティを接触させ又は投与することをさらに含む。
「対象」という用語は、動物を指す。通常、動物は、本明細書に提供されるペプチド配
列による治療から恩恵を得ることになる哺乳動物である。特定の例としては、霊長類(例
えば、ヒト)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、及びヒツジが挙げられる。
対象には、障害、例えば、代謝障害もしくは関連障害を有する対象、又は障害を有さな
いが、障害を発症するリスクがあり得る対象が含まれる。
本明細書に提供されるペプチド製剤、方法、及びその使用により予防可能、治療可能、
又は管理可能な非限定的で例示的な障害又は状態としては、代謝性疾患及び代謝性障害が
挙げられる。疾患又は障害の非限定的な例としては:メタボリックシンドローム;脂質又は
グルコース関連障害;コレステロール又はトリグリセリド代謝; 2型糖尿病;例えば、肝内
胆汁鬱滞の疾患(例えば、PBC、PFIC、PSC、PIC、新生児胆汁鬱滞、及び薬物誘発性胆汁鬱
滞(例えば、エストロゲン))、並びに肝外胆汁鬱滞の疾患(例えば、腫瘍による胆管圧迫、
胆石による胆管閉塞)を含む、胆汁鬱滞;回腸切除、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及
び潰瘍性大腸炎)、下痢(例えば、BAD)及びGI症状を引き起こす、他に特徴付けられない(
特発性の)胆汁酸の吸収を損なう障害、並びにGI癌、肝臓癌、及び/もしくは胆道癌(例え
ば、結腸癌及び肝細胞癌)を含む、胆汁酸吸収不良及び遠位小腸が関与する他の障害;並び
に/又は胆汁酸合成異常、例えば、NASH、肝硬変、及び門脈高血圧の一因となるものが挙
げられる。治療のために、本明細書に提供されるペプチド配列を、胆汁酸ホメオスタシス
の調節を必要としている対象又は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を有する対象に
投与することができる。本明細書に提供されるペプチド配列は、腎損傷(例えば、尿細管
損傷又は腎症)、肝臓変性、眼の損傷(例えば、糖尿病性網膜症又は白内障)、及び糖尿病
性足障害を含む他の高血糖関連障害;脂質異常症及び例えば、アテローム性動脈硬化症、
冠動脈疾患、脳血管障害などのその続発症などにおいて有用でもあり得る。
メタボリックシンドローム、例えば、肥満及び上昇したボディマス(その合併疾患、例
えば、限定されないが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(
NASH)、及び多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を含む)と関連し得る他の状態には、血栓症、凝固
能亢進状態及び血栓準備状態(動脈及び静脈)、高血圧(門脈高血圧(5mm Hg超の肝静脈圧勾
配(HVPG)と定義される)を含む)、心血管疾患、卒中、及び心不全;アテローム性動脈硬化
症、慢性炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、エリテマトーデス
、関節炎、又は他の炎症性リウマチ障害を含む、炎症性反応が関与する障害又は状態;細
胞周期又は細胞分化過程の障害、例えば、脂肪細胞腫瘍、例えば、脂肪肉腫、固形腫瘍、
及び新生物を含む脂肪腫性癌;アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、進行
性多巣性白質脳症、及びギラン・バレー症候群を含む、中枢及び末梢神経系の神経変性疾
患及び/もしくは脱髄障害並びに/又は神経炎症過程に関与する神経学的疾患並びに/又は
他の末梢性ニューロパシー;紅斑性扁平上皮皮膚疾患を含む、皮膚及び皮膚科的障害並び
に/又は創傷治癒過程の障害;並びに他の障害、例えば、シンドロームX、変形性関節症、
及び急性呼吸窮迫症候群も含まれる。
一実施態様において、対象は、高血糖状態(例えば、糖尿病、例えば、インスリン依存
性(I型)糖尿病、II型糖尿病、もしくは妊娠糖尿病)、インスリン抵抗性、高インスリン血
症、耐糖能障害、又はメタボリックシンドロームを有し、肥満であり、かつ/或いは望ま
しくないボディマスを有する。
方法及び使用の特定の態様において、本明細書に提供されるペプチド配列又はキメラペ
プチド配列は、対象に、該対象におけるグルコース代謝を改善するのに有効な量で投与さ
れる。より特定の態様において、対象は、投与前に、100mg/dlを超える空腹時血漿グルコ
ースレベルを有するか、又は6%を上回るヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルを有する。
さらなる実施態様において、使用又は対象の治療方法は、グルコースレベルの低下、イ
ンスリン感受性の増大、インスリン抵抗性の低下、グルカゴンの低下、耐糖能又はグルコ
ース代謝もしくはホメオスタシスの改善、膵臓機能の改善、又はトリグリセリド、コレス
テロール、IDL、LDL、もしくはVLDLレベルの低下、又は血圧の減少、血管の内膜肥厚の減
少、又はボディマスもしくは体重の増加の減少を意図しているか、或いはこれらをもたら
す。
代謝障害又は関連障害(例えば、高血糖症)の治療は、これらに続発する障害を緩和し又
は消失させるという利益を有し得る。例として、高血糖症に罹患している対象は、高血糖
症が原因で鬱病又は不安症を有する場合もあり;したがって、対象の高血糖症を治療する
ことは、該鬱病又は不安症を間接的に治療する場合もある。そのような続発性障害を標的
とする本明細書に開示される療法の使用も、ある実施態様において企図される。
特定の実施態様において、該対象は、高血糖症を有するか又はそれを有するリスクがあ
る。他の特定の実施態様において、該対象は、糖尿病、例えば、2型糖尿病を有するか又
はそれを有するリスクがある。
代謝障害又は関連障害(例えば、上記の障害)を発症するリスクがある対象には、例えば
、そのような障害に関する家族歴又は遺伝的素因を有し得る者、その上、その食事がその
ような障害の発症の一因となり得る者が含まれる。
本明細書に開示されているように、治療方法は、本明細書に記載されるペプチド(例え
ば、配列表又は表1〜11に記載されているFGF19及び/又はFGF21の変異体又は融合体)を対
象において所望の転帰又は結果を達成するのに有効な量で接触させ又は投与することを含
む。所望の転帰又は結果をもたらす治療は、対象の状態の1以上の症状の重症度又は頻度
を減少させ、低下させ、又は予防すること、例えば、対象の状態の改善、又は「有益な効
果」もしくは「治療的効果」を含む。したがって、治療は、一時的に(例えば、1〜6、6〜
12、もしくは12〜24時間)、中期間(例えば、1〜6、6〜12、12〜24、もしくは24〜48日間)
、又は長期間(例えば、1〜6、6〜12、12〜24、24〜48週間、もしくは24〜48週間より長い
間)、障害の1以上の症状の重症度又は頻度を減少させ又は低下させ又は予防し、該障害の
進行又は悪化を安定化又は阻害し、かつ場合によっては、該障害を逆行させることができ
る。したがって、代謝障害又は関連障害の場合、治療は、上記の代謝障害又は関連障害の
1以上の症状又は効果を低減又は低下させることができる。
ある実施態様において、本明細書に提供される様々な方法は、代謝障害又は関連障害の
治療又は予防において有用な1以上の追加の薬剤又は治療モダリティ、例えば、本明細書
に記載される薬剤又は治療モダリティを、対象において所望の転帰又は結果を達成するの
に有効な量で接触させ又は投与することをさらに含む。
使用のための及び/又は対象を治療するための「有効量」又は「十分量」とは、単一又
は複数用量で、単独で、又は1以上の他の薬剤、治療、プロトコル、又は治療レジメンと
組み合わせて、任意の期間(一時的、中期間、又は長期間)の検出可能な応答、任意の測定
可能もしくは検出可能な程度の又は任意の期間(例えば、数時間、数日、数カ月、数年、
寛解期、もしくは治癒期)の対象における所望の転帰又は対象に対する客観的もしくは主
観的利益を提供する量を指す。そのような量は、通常、障害、又は該障害の1つ、複数、
もしくは全ての有害な症状、結果、もしくは合併症を測定可能な程度まで改善するのに有
効であるが、該障害の進行又は悪化を低下させること又は阻害することは、満足できる転
帰と考えられる。
本明細書で使用される場合、「改善する」という用語は、対象の障害の改善、該障害の
重症度の低下、又は該障害の進行もしくは悪化の阻害(例えば、該障害の安定化)を意味す
る。上記のものなどの代謝障害又は関連障害の場合、改善は、該障害の1以上の症状又は
効果の低減又は低下であることができる。
それゆえ、治療的利益又は改善は、障害又は疾患と関連するいずれか1つ、大部分、又
は全ての症状、合併症、結果、又は根本原因の完全な除去である必要はない。したがって
、満足できるエンドポイントは、対象の状態の一時的、中期間、もしくは長期間の漸進的
改善、又はある期間(数時間、数日、数週間、数カ月など)にわたる、障害もしくは疾患の
発生、頻度、重症度、進行、もしくは持続期間の部分的低下、又は障害もしくは疾患の1
以上の関連する有害な症状もしくは合併症もしくは結果もしくは根本原因の阻害もしくは
逆行、障害もしくは疾患の悪化もしくは進行の阻害もしくは逆行(例えば、状態、障害、
もしくは疾患の1以上の症状もしくは合併症の安定化)が見られる場合に達成される。
したがって、単独で又は追加の薬剤と組み合わせて、本明細書に提供されるペプチド配
列により治療可能な障害の場合、障害を改善するのに十分な該ペプチド(及び任意に、該
追加の薬剤)の量は、該障害の種類、重症度及び程度、又は持続期間、所望の治療効果又
は転帰によって決まり、かつ当業者によって容易に確認されることができる。適量は、個
々の対象(例えば、対象内でのバイオアベイラビリティ、性別、年齢など)によっても決ま
る。例えば、対象における正常な胆汁酸ホメオスタシスの一時的な又は部分的な回復は、
治療から完全に解放される結果とならないとしても、先に記載された代謝障害又は関連障
害を治療するために、本明細書に記載されるペプチド及び薬剤の本明細書に記載される投
薬量又は投薬頻度を低下させることができる。有効量は、例えば、1以上の関連のある生
理的効果を測定することにより確認することができる。
対象を治療するための本明細書に提供される方法及び使用は、対象における障害、例え
ば、代謝障害又は関連障害の可能性を予防し又は低下させる予防法に適用可能である。し
たがって、代謝障害もしくは関連障害を有するか又はそれを発症するリスクがある対象を
治療するための本明細書に提供される方法及び使用は、代謝障害もしくは関連障害の治療
もしくは予防に有用な別の薬剤の投与もしくは適用の前に、それと実質的に同時に、又は
その後に実施することができ、かつ/又は他の形態の療法で補完することができる。補完
療法としては、他のグルコース低下治療、例えば、インスリン、インスリン感受性増強剤
、及び他の薬物治療、食事の変更(低糖、低脂肪など)、減量手術(胃バイパス、胃切除に
よる胃容積の低下)、胃バンディング、胃バルーン、胃スリーブなどが挙げられる。例え
ば、高血糖障害又はインスリン抵抗性障害を治療するための本明細書に提供される方法又
は使用は、対象においてグルコースを低下させるか又はインスリン感受性を増大させる薬
物又は他の医薬組成物と組み合わせて使用することができる。
一実施態様において、方法又は使用は、対象に、1以上の変異体又は融合FGF19及び/又
はFGF21ペプチド配列を、代謝障害又は関連障害を予防するのに有効な量で接触させ又は
投与することを含む。一実施態様において、方法又は使用は、対象に、1以上の変異体又
は融合FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列を、代謝障害又は関連障害を治療するのに有効
な量で接触させ又は投与することを含む。一実施態様において、方法又は使用は、対象に
、1以上の変異体又は融合FGF19及び/又はFGF21ペプチド配列を、代謝障害又は関連障害を
管理するのに有効な量で接触させ又は投与することを含む。
(4.6 核酸分子)
また提供されるのは、配列表に(並びにPCT公開WO 2013/006486号及び米国公開第2013/0
023474号、並びにPCT公開WO 2014/085365号に)又は表1〜11に掲載されている配列の部分
配列、配列変異体、及び修飾形態を含む、本明細書に提供されるペプチド配列をコードす
る核酸分子、並びに本明細書に記載される方法において使用されるペプチドをコードする
核酸を含むベクターである。したがって、「核酸」には、本明細書に開示される例示され
たペプチド配列をコードする核酸だけでなく、例示されたペプチド配列の機能的な部分配
列、配列変異体、及び修飾形態をコードする核酸が、胆汁酸に関係した又は関連した障害
(例えば、PBC)の治療又は予防において有用な少なくとも検出可能な又は測定可能な活性
又は機能を保持する限り、前述のものも含まれる。
本明細書において、遺伝子、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、プライマー、オリ
ゴヌクレオチド、又はプローブと呼ばれることもある核酸は、ポリリボヌクレオチドもし
くはポリデオキシリボヌクレオチドのいずれか又は混合されたポリリボ-ポリデオキシリ
ボヌクレオチド及びこれらのα-アノマー形態の、任意の長さの天然の又は修飾されたプ
リン及びピリミジン含有ポリマーを指す。2以上のプリン及びピリミジン含有ポリマーは
、通常、ホスホエステル結合又はその類似体によって連結される。これらの用語は、デオ
キシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む、全ての形態の核酸を指すために互換的に使
用することができる。核酸は、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖、線状又は環状であることが
できる。核酸は、ゲノムDNA及びcDNAを含む。RNA核酸は、スプライシングされたもしくは
スプライシングされていないmRNA、rRNA、tRNA、又はアンチセンスであることができる。
核酸は、天然に存在するもの、合成されたもの、並びにヌクレオチド類似体及び誘導体を
含む。
遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書に提供される核酸分子は、本明細書に提供され
る方法において有用なペプチド配列をコードする核酸分子に関して縮重している配列を含
む。したがって、本明細書に(例えば、配列表又は表1〜11に)例示されたペプチド配列の
部分配列、変異体、及び修飾形態を含む、ペプチド配列をコードする縮重した核酸配列が
提供される。核酸配列に関して使用されるときの「相補的」という用語は、言及されてい
る領域が100%相補的である、すなわち、ミスマッチのない100%の塩基対形成を示すこと
を意味する。
核酸は、種々の公知の標準的なクローニング法及び化学合成法のいずれかを用いて産生
することができ、かつ部位特異的突然変異誘発又は当業者に公知の他の組換え技法によっ
て意図的に改変することができる。ポリヌクレオチドの純度は、例えば、シークエンシン
グ、ゲル電気泳動、及びUV分光法によって決定することができる。
核酸は、該核酸の発現が、本明細書において「発現カセット」と呼ばれる、「発現制御
エレメント」によって影響されるか又は調節される核酸コンストラクトに挿入することが
できる。「発現制御エレメント」という用語は、機能的に連結されている核酸配列の発現
を調節するか又はそれに影響を及ぼす1以上の核酸配列エレメントを指す。発現制御エレ
メントは、適宜、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、遺伝子サイレンサ
ー、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(例えば、ATG)などを含むことができる。
核酸配列に機能的に連結された発現制御エレメントは、核酸配列の転写及び適切な場合
、翻訳を制御する。「機能的に連結された」という用語は、言及されている構成要素がそ
の意図された様式で機能することができる関係にある並置を指す。通常、発現制御エレメ
ントは、遺伝子の5'末端又は3'末端に並置されるが、イントロンであることもできる。
発現制御エレメントには、転写を構成的に活性化するエレメント、誘導性である(すな
わち、活性化のために外部シグナルもしくは刺激を必要とする)エレメント、又は抑制解
除性である(すなわち、転写をオフにするためにシグナルを必要とし;シグナルがもはや存
在しなくなると、転写が活性化又は「抑制解除」される)エレメントが含まれる。遺伝子
発現を特定の細胞型又は組織について制御可能にするのに十分な制御エレメント(すなわ
ち、組織特異的制御エレメント)も、本明細書に提供される発現カセット中に含まれる。
通常、そのようなエレメントは、コード配列の上流又は下流(すなわち、5'又は3')に位置
する。プロモーターは、通常、コード配列の5'に配置される。組換えDNA技法又は合成技
法によって産生されたプロモーターを用いて、本明細書に提供されるポリヌクレオチドの
転写をもたらすことができる。「プロモーター」は、通常、転写を指令するのに十分な最
小配列エレメントを意味する。
核酸は、宿主細胞への形質転換のために並びにその後の発現及び/又は遺伝子操作のた
めに、プラスミドに挿入することができる。プラスミドは、宿主細胞内で安定に増殖させ
ることができる核酸であり;プラスミドは、該核酸の発現を駆動するために、発現制御エ
レメントを任意に含むことができる。本明細書で使用される場合、ベクターは、プラスミ
ドと同義である。プラスミド及びベクターは、通常、少なくとも細胞内増殖のための複製
起点とプロモーターとを含む。プラスミド及びベクターは、宿主細胞内発現のための発現
制御エレメントを含むこともでき、それゆえ、例えば、ペプチド配列をコードするか、宿
主細胞及び生物体内でペプチド配列を発現するか、又はペプチド配列を産生する核酸の発
現及び/又は遺伝子操作に有用である。
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、巧妙な技術によって細胞又
は生物体に導入されているポリヌクレオチドを意味する。例えば、導入遺伝子を有する細
胞では、該導入遺伝子は、細胞の遺伝子操作又は「形質転換」によって導入されている。
導入遺伝子が導入されている細胞又はその子孫は、「形質転換細胞」又は「形質転換体」
と呼ばれる。通常、導入遺伝子は、形質転換体の子孫に含まれるか、又は該細胞から発生
する生物体の一部になる。導入遺伝子は、染色体DNAに挿入されるか、又は自己複製プラ
スミド、YAC、ミニ染色体などとして維持されることができる。
細菌系プロモーターには、T7、並びにバクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(p
trp-lacハイブリッドプロモーター)、及びテトラサイクリン応答性プロモーターなどの誘
導性プロモーターが含まれる。昆虫細胞系プロモーターには、構成的又は誘導性プロモー
ター(例えば、エクジソン)が含まれる。哺乳動物細胞の構成的プロモーターには、SV40、
RSV、ウシパピローマウイルス(BPV)、及び他のウイルスプロモーター、又は哺乳動物細胞
のゲノム由来の誘導性プロモーター(例えば、メタロチオネインIIAプロモーター;熱ショ
ックプロモーター)もしくは哺乳動物のウイルス由来の誘導性プロモーター(例えば、アデ
ノウイルス後期プロモーター;誘導性マウス乳癌ウイルスの長い末端反復配列が含まれる
。或いは、レトロウイルスゲノムを、適切な宿主細胞にペプチド配列を導入し、かつその
発現を指令するために、遺伝子改変することができる。
本明細書に提供される方法及び使用がインビボ送達を含む場合、発現系は、インビボ使
用のために設計されたベクターをさらに含む。特定の非限定的な例としては、アデノウイ
ルスベクター(米国特許第5,700,470号及び第5,731,172号)、アデノ随伴ウイルスベクター
(米国特許第5,604,090号)、単純ヘルペスウイルスベクター(米国特許第5,501,979号)、レ
トロウイルスベクター(米国特許第5,624,820号、第5,693,508号、及び第5,674,703号)、B
PVベクター(米国特許第5,719,054号)、CMVベクター(米国特許第5,561,063号)、並びにパ
ルボウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、及びレンチウイルスベクター(例
えば、米国特許第6,013,516号を参照)が挙げられる。ベクターには、幹細胞を含む腸管の
細胞に遺伝子を送達するものが含まれる(Croyleらの文献、Gene Ther. 5:645(1998); S.J
. Henningの文献、Adv. Drug Deliv. Rev. 17:341(1997)、米国特許第5,821,235号及び第
6,110,456号)。これらのベクターの多くはヒト研究に承認されている。
酵母ベクターは、構成的プロモーター及び誘導性プロモーターを含む(例えば、Ausubel
らの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第
2巻、第13章、Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscience編、1988; Grantらの文献
、Methods in Enzymology, 153:516(1987)、Wu & Grossman編; Bitter Methods in Enzym
ology, 152:673(1987)、Berger & Kimmel編、Acad. Press, N.Y.;及びStrathernらの文献
、酵母サッカロミセスの分子生物学(The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyce
s)(1982)、Cold Spring Harbor Press編、第I巻及び第II巻)。ADHもしくはLEU2などの構
成的酵母プロモーター又はGALなどの誘導性プロモーターを使用してもよい(R. Rothstein
の文献、DNAクローニング、実践的アプローチ(DNA Cloning, A Practical Approach)、第
11巻、第3章、D.M. Glover, IRL Press編、Wash., D.C., 1986)。例えば、相同組換えを
介して、外来核酸配列の酵母染色体への組込みを促進するベクターが当技術分野で公知で
ある。挿入されたポリヌクレオチドがより従来的なベクターには大きすぎる(例えば、約1
2Kbよりも大きい)場合、酵母人工染色体(YAC)が通常使用される。
発現ベクターは、選択圧に対する抵抗性を付与する選択可能マーカー又は同定可能マー
カー(例えば、β-ガラクトシダーゼ)を含むこともでき、それにより、該ベクターを有す
る細胞を選択し、成長させ、及び増殖させることが可能である。或いは、選択可能マーカ
ーは、ペプチド配列をコードする核酸を含む第一のベクターで宿主細胞に共トランスフェ
クトされる第二のベクター上にあることができる。選択システムとしては、それぞれ、tk
-細胞、hgprt-細胞又はaprt-細胞において利用することができる、単純ヘルペスウイルス
チミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerらの文献、Cell, 11:223(1977))、ヒポキサンチン-グア
ニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalskaらの文献、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 48:2026(1962))、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Low
yらの文献、Cell, 22:817(1980))が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、代謝
拮抗物質抵抗性は、メトトレキセートに対する抵抗性を付与するdhfr(O'Hareらの文献、P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:1527(1981));ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与す
るgpt遺伝子(Mulliganらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:2072(1981));アミノ
グリコシドG-418に対する抵抗性を付与するネオマイシン遺伝子(Colberre-Garapinらの文
献、J. Mol. Biol. 150:1(1981));ピューロマイシン;及びハイグロマイシンに対する抵抗
性を付与するハイグロマイシン遺伝子(Santerreらの文献、Gene, 30:147(1984))の選択の
基礎として使用することができる。追加の選択可能な遺伝子としては、細胞がトリプトフ
ァンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB;細胞がヒスチジンの代わり
にヒスチノール(histinol)を利用することを可能にするhisD(Hartmanらの文献、Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA, 85:8047(1988));及びオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤である2
-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチン(DFMO)に対する抵抗性を付与するODC(オルニチンデ
カルボキシラーゼ)(McConlogueの文献(1987)、分子生物学の最新情報(Current Communica
tions in Molecular Biology)、Cold Spring Harbor Laboratory)が挙げられる。
(4.7 細胞株及び動物モデル)
ある実施態様において、また提供されるのは、本明細書に記載されるFGF19及び/又はFG
F21の変異体又は融合体を産生する形質転換細胞(インビトロ、エクスビボ、及びインビボ
)並びに宿主細胞であり、その場合、該FGF19及び/又はFGF21の変異体又は融合体の発現は
、該FGF19及び/又はFGF21の変異体又は融合体をコードする核酸によって与えられる。本
明細書で使用される場合、「形質転換」又は「宿主」細胞は、コードされたペプチド配列
の発現のために増殖させ及び/又は転写することができる核酸が導入される細胞である。
この用語は、宿主細胞の任意の子孫又はサブクローンも含む。本明細書に提供されるペプ
チド配列を発現する形質転換細胞及び宿主細胞は、通常、ペプチド配列をコードする核酸
を含む。一実施態様において、形質転換細胞又は宿主細胞は原核細胞である。別の実施態
様において、形質転換細胞又は宿主細胞は真核細胞である。様々な態様において、真核細
胞は、酵母又は哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類など)の細胞である。
形質転換細胞及び宿主細胞には、細菌及び酵母などの微生物;並びに植物、昆虫、及び
哺乳動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。例えば、組換えバクテリオファージ
核酸、プラスミド核酸、もしくはコスミド核酸発現ベクターで形質転換された細菌;組換
え酵母発現ベクターで形質転換された酵母;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフ
ラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させられたかもし
くは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞シ
ステム;組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させられた昆虫
細胞システム;並びに組換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイ
ルス、ワクシニアウイルス)に感染させられた動物細胞システム、又は一過性もしくは安
定増殖又は発現のために改変された形質転換動物細胞システム。
遺伝子治療での使用及び方法のために、形質転換細胞は、対象内にあることができる。
対象内の細胞を、インビボで、本明細書に記載されるペプチド配列をコードする核酸で形
質転換することができる。或いは、細胞を、インビトロで、導入遺伝子又はポリヌクレオ
チドで形質転換し、その後、治療を達成するために、対象の組織に移植することができる
。或いは、初代細胞分離株又は樹立細胞株を、FGF19及び/もしくはFGF21の変異体、又は
これらの融合体/キメラ配列(もしくは変異体)、例えば、FGF19の全てもしくは一部を含む
か又はFGF21の全てもしくは一部を含むキメラペプチド配列をコードする導入遺伝子又は
ポリヌクレオチドで形質転換し、その後、任意に対象の組織に移植することができる。
ペプチド配列の発現のための、特に、インビボでの発現のための非限定的な標的細胞に
は、膵細胞(島細胞)、筋肉細胞、粘膜細胞、及び内分泌細胞が含まれる。そのような内分
泌細胞は、FGF19及び/もしくはFGF21の変異体、又はこれらの融合体/キメラ配列(もしく
は変異体)、例えば、FGF19の全てもしくは一部を含むか又はFGF21の全てもしくは一部を
含むキメラペプチド配列の誘導性産生(分泌)をもたらすことができる。形質転換すべき追
加の細胞には、幹細胞、又は他の多能性(multipotent)細胞もしくは多能性(pluripotent)
細胞、例えば、様々な膵細胞(島細胞)、筋肉細胞、粘膜細胞、及び内分泌細胞へと分化す
る前駆細胞が含まれる。幹細胞を標的とすることにより、本明細書に提供されるペプチド
配列のより長期の発現がもたらされる。
本明細書で使用される場合、細胞との関連において使用されるときの「培養された」と
いう用語は、細胞がインビトロで成長することを意味する。そのような細胞の特定の例は
、対象から単離された細胞、及び組織培養下で成長した又は組織培養下での成長に適合し
た細胞である。別の例は、インビトロで遺伝子操作された細胞、及び同じ又は異なる対象
へと移植し戻された細胞である。
細胞との関連において使用されるときの「単離された」という用語は、その天然のイン
ビボ環境から分離されている細胞を意味する。「培養された」細胞及び「単離された」細
胞は、人の手によって操作されたもの、例えば、遺伝的に形質転換されたものであっても
よい。これらの用語は、該細胞の任意の子孫を含み、これには、細胞***時に生じる突然
変異のために、親細胞と同一でない可能性がある子孫細胞が含まれる。これらの用語は、
ヒト全体を含まない。
本明細書に提供されるペプチド配列をコードする核酸を、安定発現のために、生物体全
体の細胞に導入することができる。そのような生物体は、非ヒトトランスジェニック動物
を含め、動物全体におけるペプチド発現の効果及び治療的利益を調べるのに有用である。
例えば、FGF19及び/もしくはFGF21の変異体、又はこれらの融合体/キメラ配列(もしくは
変異体)、例えば、本明細書に記載されるFGF19の全てもしくは一部を含むか又はFGF21の
全てもしくは一部を含むキメラペプチド配列の産生のための核酸を、マウスにおける安定
発現のために導入することができる。
特定の疾患(例えば、糖尿病、変性障害、癌など)を発症するか又は発症しやすいマウス
系統は、該疾患に罹りやすいマウスにおける治療的タンパク質発現の効果を調べるために
、本明細書に記載される治療的タンパク質を導入するのにも有用である。ストレプトゾト
シン(STZ)誘導性糖尿病(STZ)マウスなどの、特定の疾患又は生理的状態に罹りやすいトラ
ンスジェニック及び遺伝的動物モデルは、FGF19及び/もしくはFGF21の変異体、又はこれ
らの融合体/キメラ配列(もしくは変異体)、例えば、本明細書に記載されるFGF19の全ても
しくは一部を含むか又はFGF21の全てもしくは一部を含むキメラペプチド配列を発現する
ための適切な標的である。したがって、ある実施態様において、FGF19及び/もしくはFGF2
1の変異体、又はこれらの融合体/キメラ配列(もしくは変異体)、例えば、本明細書に記載
されるFGF19の全てもしくは一部を含むか又はFGF21の全てもしくは一部を含むキメラペプ
チド配列を産生する非ヒトトランスジェニック動物が提供され、その産生は、動物で自然
には生じず、これは、動物の体細胞又は生殖細胞に存在する導入遺伝子によって与えられ
る。
「トランスジェニック動物」という用語は、その体細胞又は生殖系列細胞が、細胞下レ
ベルでの計画的な遺伝子操作によって、例えば、微量注入又は組換えウイルスによる感染
によって、直接的に又は間接的に受容される遺伝情報を担持する動物を指す。「トランス
ジェニック」という用語は、本明細書に記載されるように遺伝子操作されたトランスジェ
ニック動物から得られた細胞又は組織(すなわち、「トランスジェニック細胞」、「トラ
ンスジェニック組織」)をさらに含む。これとの関連において、「トランスジェニック動
物」は、古典的な交雑又は体外受精によって作出された動物を包含するのではなく、1以
上の細胞が核酸分子を受容している動物を意味する。本明細書に提供されるトランスジェ
ニック動物は、導入遺伝子に関してヘテロ接合性又はホモ接合性のいずれかであることが
できる。マウス、ヒツジ、ブタ、及びカエルを含むトランスジェニック動物を作出する方
法は当技術分野で周知であり(例えば、米国特許第5,721,367号、第5,695,977号、第5,650
,298号、及び第5,614,396号を参照)、したがって、追加的に含まれる。
ペプチド配列、ペプチド配列をコードする核酸、ペプチド配列を発現するベクター及び
形質転換宿主細胞は、単離された形態及び精製された形態を含む。本明細書に提供される
組成物の修飾語句として使用されるときの「単離された」という用語は、該組成物が、環
境中の1以上の成分から、実質的に、完全に、又は少なくとも一部、分離されていること
を意味する。通常、天然に存在する組成物は、単離されたとき、それらが、通常、天然に
関連している1以上の物質、例えば、1以上のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、又は細
胞膜を実質的に含まない。「単離された」という用語は、例えば、変異体、修飾体、又は
誘導体化形態、融合体及びキメラ、多量体/オリゴマーなどの組成物の代替の物理的形態
も、宿主細胞で発現された形態も除外しない。「単離された」という用語は、そのいずれ
か1つが人の手によって産生される組合せがその中にある形態(例えば、医薬組成物、組合
せ組成物など)も除外しない。「単離された」組成物は、夾雑物又は望ましくない物質も
しくは材料などの、1以上の他の材料の一部、相当数、又は大部分もしくは全てを含まな
い場合、「精製された」ものであることもできる。
本明細書で使用される場合、ペプチド配列、ペプチド配列をコードする核酸などの修飾
語句として使用されるときの「組換え」という用語は、組成物が、通常は天然に生じない
様式で(例えば、インビトロで)操作されている(すなわち、改変されている)ことを意味す
る。組換えペプチドの特定の例は、本明細書に提供されるペプチド配列が、該ペプチド配
列をコードする核酸でトランスフェクトされた細胞によって発現される場合である。組換
え核酸の特定の例は、遺伝子が生物体のゲノム内で通常隣接している5'領域、3'領域、も
しくはイントロン領域とともに又はこれらなしでプラスミドにクローニングされた、ペプ
チド配列をコードする核酸(例えば、ゲノム又はcDNA)である。組換えペプチド又は核酸の
別の例は、ハイブリッド又は融合体配列、例えば、FGF19の一部及びFGF21の一部を含むキ
メラペプチド配列である。
本明細書に提供される方法に従って、例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及
び修飾形態(表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21変異体及び部分配列並び
に表1〜11及び配列表に掲載されているFGF19/FGF21融合体及びキメラを含む)を含む、本
明細書に提供されるペプチド配列の組成物及び混合物が提供される。一実施態様において
、混合物は、1以上のペプチド配列及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む。別
の実施態様において、混合物は、1以上のペプチド配列及び補助薬又は治療剤、例えば、
胆汁酸ホメオスタシスを調節する又は抗糖尿病性の又はグルコースを低下させる薬物又は
治療剤を含む。医薬として許容し得る担体又は賦形剤中の1以上のペプチド配列などの、
胆汁酸ホメオスタシスを調節する又は胆汁酸に関係したもしくは関連した障害を治療する
又は抗糖尿病性の又はグルコースを低下させる薬物又は治療剤のうちの1つ又は複数との
組合せも提供される。本明細書に提供されるペプチド配列と、例えば、胆汁酸ホメオスタ
シスを調節する又は酸に関係した障害を治療する又はグルコースを低下させる薬物又は治
療剤などの、別の薬物又は薬剤とのそのような組合せは、例えば、対象の治療のための、
本明細書に提供される方法及び使用に従って有用である。
組合せには、粒子又はポリマー物質、例えば、ポリエステル、炭水化物、ポリアミン酸
、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、エチレン-酢酸ビニル、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン、もしくはラクチド/グリコリドコポリマー、
ポリラクチド/グリコリドコポリマー、又はエチレン酢酸ビニルコポリマーへの本明細書
に提供されるペプチド配列又は核酸の組込み;例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセル
ロースもしくはゼラチン-マイクロカプセル、又はポリ(メチルメタクリレート)マイクロ
カプセルを用いて、コアセルベーション技法によるか又は界面重合によって調製されたマ
イクロカプセルへの取込み;コロイド薬物送達システム及び分散システム、例えば、巨大
分子複合体、ナノ-カプセル、非カプセル化ナノ粒子、マイクロスフェア、ビーズ、並び
に例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含む脂質ベー
スのシステム(例えば、N-ラウロイル、N-オレオイルなどのN-脂肪酸アシル基、ドデシル
アミン、オレオイルアミンなどの脂肪酸アミンなど、米国特許第6,638,513号を参照)への
組込みが含まれる。リポソームを調製する方法は、例えば、米国特許第4,235,871号、第4
,501,728号、及び第4,837,028号に記載されている。ナノ粒子を用いたカプセル化なしの
制御放出の方法は、例えば、Pakulskaらの文献、Science Advances 2(5): el600519(2016
)に記載されている。上述の製剤の調製方法は、当業者には明白であろう。
本明細書に記載される例示されたペプチド配列の部分配列、変異体、及び修飾形態(表1
〜11及び配列表に掲載されているFGF19及びFGF21の変異体及び部分配列、並びに表1〜11
及び配列表に掲載されているFGF19/FGF21融合体及びキメラを含む)を含む本明細書に提供
されるペプチドを用いて、グルコース代謝を調節し、血液から筋肉、肝臓、及び脂肪など
の重要な代謝臓器へのグルコースの輸送を促進することができる。そのようなペプチド配
列は、耐糖能を回復するのに及び/又は通常のグルコースホメオスタシスを改善もしくは
提供するのに十分な又は有効な量で産生することができる。
矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先することになる。本明細書及び添付の特許請
求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」
には、文脈によって別途明確に示されない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって
、例えば、「ペプチド配列(a peptide sequence)」又は「治療(a treatment)」への言及
には、複数のそのような配列、治療などが含まれる。特許請求の範囲は、どんな任意選択
の要素も除外するように書き得ることがさらに留意される。したがって、この表記は、特
許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単に」、「のみ」などのような排他的な専門用語
の使用又は「否定的な」限定の使用のための先行詞の役割を果たすことが意図される。
値の範囲が示されている場合、その範囲の上限と下限の間の、文脈によって別途明確に
示されない限り、下限の10分の1の単位までの、各々の介在値、及びその記述されている
範囲内の任意の他の記述値又は介在値が本発明に包含されることが理解される。これらの
より小さい範囲の上限及び下限は、記述されている範囲内の特に除外される限界を条件と
して、そのより小さい範囲に独立に含まれることができ、これらもまた本発明の範囲内に
包含される。記述されている範囲が、その限度の一方又は両方を含む場合、これらの含ま
れる限界のいずれか一方又は両方を除く範囲も本発明に含まれる。
本明細書で使用される場合、数値は、本文書全体を通して、範囲形式で提示されること
が多い。範囲形式の使用は、単に便利さ及び簡潔さのためであり、文脈によって別途明確
に示されない限り、本発明の範囲の確固たる制限として解釈されるべきではない。したが
って、文脈によって別途明確に示されない限り、範囲の使用は、可能性のある全ての部分
範囲、その範囲内の全ての個々の数値、並びにそのような範囲内の整数及び範囲内の値又
は整数の分数を含む全ての数値又は数値範囲を明示的に含む。この解釈は、範囲の幅にか
かわらず、本特許文書全体を通した全ての文脈において適用される。したがって、例えば
、90〜100%の範囲への言及には、91〜99%、92〜98%、93〜95%、91〜98%、91〜97%
、91〜96%、91〜95%、91〜94%、91〜93%などが含まれる。90〜100%の範囲への言及
には、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%など、並びに91.1%、91.2%、91.3%
、91.4%、91.5%など、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%など、及びその他も含
まれる。さらに、1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜7
0、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、140〜150、15
0〜160、160〜170、170〜180、180〜190、190〜200、200〜225、225〜250の範囲への言及
には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20など
が含まれる。さらなる例において、25〜250、250〜500、500〜1000、1000〜2500、2500〜
5000、5000〜25,000、又は5000〜50,000の範囲への言及には、そのような値内の又はその
ような値を包含する任意の数値又は範囲、例えば、25、26、27、28、29…250、251、252
、253、254…、500、501、502、503、504…などが含まれる。一連の範囲の使用は、別の
範囲を提供するための上側の範囲と下側の範囲の組合せを含む。この解釈は、範囲の幅に
かかわらず、本特許文書全体を通した全ての文脈において適用される。したがって、例え
ば、5〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜75、75〜100、100〜150などの一連の
範囲への言及には、例えば、5〜20、5〜30、5〜40、5〜50、5〜75、5〜100、5〜150、及
び10〜30、10〜40、10〜50、10〜75、10〜100、10〜150、及び20〜40、20〜50、20〜75、
20〜100、20〜150などの範囲が含まれる。
簡潔にするために、特定の略語が本明細書で使用される。1つの例は、アミノ酸残基を
表す1文字略語である。アミノ酸及びその対応する3文字及び1文字略語は以下の通りであ
る:
Figure 2020172509
本発明は、概して、多くの実施態様を記載するために断定的な言語を用いて、本明細書
に開示される。本発明は、特定の主題、例えば、物質又は材料、方法の工程及び条件、プ
ロトコル、手順、アッセイ、又は解析が完全に又は部分的に除外される実施態様も具体的
に含む。したがって、本発明は、概して、本発明が含まないものに関して本明細書に表現
されないが、本発明で明示的に含まれない態様は、それにもかかわらず、本明細書に開示
される。
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の様式を含む、本発明の特定の
実施態様が本明細書に記載される。前述の記載を読むと、開示された実施態様のバリエー
ションが当業者に明白になり得、当業者が、必要に応じて、そのようなバリエーションを
利用し得ることが予想される。したがって、本発明が本明細書に具体的に記載されるもの
とは別の方法で実施されること、及び本発明が、適用法令によって許容されるように、そ
れに添付される特許請求の範囲で列挙される主題の全ての修正及び等価物を含むことが意
図される。さらに、これらの全ての可能なバリエーションにおける上記要素の任意の組合
せは、別途本明細書に示されない限り、又は別途文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明
によって包含される。
本明細書に引用される刊行物、特許出願、アクセッション番号、及び他の参考文献は全
て、各々の個々の刊行物又は特許出願が引用により組み込まれることが具体的かつ個別的
に示されているかのように、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。本明細書で論
じられている刊行物は、本出願の出願日の前に、その開示のためにのみ提供される。本明
細書において、本発明が、先行発明に基づいて、そのような刊行物に先立つ権利がないと
いう承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行の日付は、実際の刊行
日と異なることがあり、これは、独立に確認される必要があり得る。
本発明の多くの実施態様が記載されている。それにもかかわらず、本発明の精神及び範
囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。し
たがって、実験の節における記載は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を例示す
ることを意図しており、該範囲を限定することを意図するものではない。
(5.実験)
(5.1 実施例1)
以下は、本明細書における試験で使用される様々な方法及び材料の説明である。
(動物)
db/dbマウスは、The Jackson Laboratory(Bar Harbor, ME)から購入した。マウスを管
理光(12時間明及び12時間暗のサイクル、暗午後6:30〜午前6:30)、温度(22±4℃)、及び
湿度(50%±20%)の条件下で、福祉ガイドラインに準拠して維持した。マウスは、水(オ
ートクレーブ処理した蒸留水)を自由に摂取し、かつ17kcal%脂肪、23kcal%タンパク質
、及び60kcal%炭水化物を含有する市販の飼料(Harlan Laboratories, Indianapolis, IN
, Irradiated 2018 Teklad Global 18% Protein Rodent Diet)を自由に摂餌した。動物
試験は全て、NGM施設内の動物の管理及び使用に関する委員会によって承認された。
(DNA及びアミノ酸配列)
ヒトFGF19(ホモ・サピエンス(Homo sapiens) FGF19、GenBankアクセッション番号NM_00
5117.2)変異体をコードするORFのcDNA。cDNA(GenBankアクセッション番号NP_005108.1)に
よってコードされるタンパク質配列。
(PCR)
FGF19 ORFを、ヒト小腸組織から調製した組換えDNA(cDNA)を用いて、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)で増幅した。Phusion(登録商標)高忠実度DNAポリメラーゼを含むPCR試薬キット
は、New England BioLabs(F-530L, Ipswich, MA)から購入した。以下のプライマーを使用
した:フォワードPCRプライマー:
Figure 2020172509
及びリバースPCRプライマー:
Figure 2020172509
。増幅されたDNA断片を、制限酵素Spe I及びNot Iで消化し(制限部位は、それぞれ、5'又
は3'PCRプライマーに含まれた)、その後、同じ制限酵素で消化しておいたAAV導入遺伝子
ベクターと連結した。発現に使用されるベクターは、選択可能マーカーと、クローニング
されたコード配列の挿入部位の5'側の強力な真核生物プロモーター、それに続く、3'非翻
訳領域及びウシ成長ホルモンのポリアデニル化尾部から構成された発現カセットとを含ん
でいた。発現コンストラクトはまた、5'末端及び3'末端で、内部末端反復に隣接している
(初代ヒト肝細胞におけるCyp7a1抑制アッセイ)
初代ヒト肝細胞を、100nMデキサメタゾン(Sigma)及び0.25mg/ml MatriGel(商標)(Becto
n Dickinson Biosciences)を補充したWilliams E培地(Invitrogen)中で、コラーゲンコー
トされたプレート(Becton Dickinson Biosciences)上にプレーティングした。細胞を、FG
F19又は変異体で、37℃で6時間処理した。Cyp7a1発現を、定量的RT-PCR(TaqMan(登録商標
) ABI PRISM 7700, Applied Biosystems)により、3連で評価し、GAPDH発現に対し標準化
した。
(Cyp7a1インビボ抑制アッセイ)
9週齢の雄のdb/dbマウス(Jackson Laboratories)に、組換えタンパク質FGF19又はFGF21
を、0.1mg/kg、1mg/kg、及び10mg/kgで腹腔内注射した。動物を、注射の5時間後に、安楽
死させた。肝臓を摘出し、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)中でホモジナイズした。全
RNAを抽出し、DNアーゼ(Ambion)で処理し、その後、定量的RT-PCR解析し、GAPDH発現に対
して標準化した。
(AAVの産生及び精製)
AAV293細胞(Agilent Technologies, Santa Clara, CAから入手)を、10%ウシ胎仔血清
及び1×抗生物質-抗真菌溶液(Mediatech社、Manassas, VA)を補充したダルベッコ改変イ
ーグル培地(DMEM、Mediatech社、Manassas, VA)中で培養した。細胞を、1日目に、50%密
度で150mm細胞培養プレートにプレーティングし、2日目に、リン酸カルシウム沈降法を用
いて、以下の3種のプラスミド(各々20μg/プレート)でトランスフェクトした: AAV導入遺
伝子プラスミド、pHelper(商標)プラスミド(Agilent Technologies)、及びAAV2/9プラス
ミド(Gaoらの文献、J. Virol. 78:6381(2004))。トランスフェクションから48時間後、細
胞をプレートから擦り取り、3000×gでの遠心分離によりペレット化し、20mM Tris pH 8.
5、100mM NaCl、及び1mM MgCl2を含むバッファーに再懸濁させた。この懸濁液を、アルコ
ールドライアイス浴中で凍結させ、その後、37℃の水浴中で解凍した。この凍結及び解凍
サイクルを3回繰り返し; Benzonase(登録商標)(Sigma-aldrich, St. Louis, MO)を50ユニ
ット/mlまで添加し;デオキシコール酸を0.25%の最終濃度まで添加した。37℃で30分間の
インキュベーションの後、細胞残屑を、5000×gで20分間の遠心分離によりペレット化し
た。上清中のウイルス粒子を、不連続なヨージキサナール(iodixanal)(Sigma-aldrich, S
t. Louis, MO)勾配を用いて、以前に記載されているように精製した(Zolotukhin S.らの
文献、(1999) Gene Ther. 6:973)。ウイルスストックを、Vivaspin(登録商標) 20(MWカッ
トオフ100,000ダルトン、Sartorius Stedim Biotech, Aubagne, France)を用いて濃縮し
、10%グリセロールを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁させ、-80℃で貯蔵した。
ウイルスゲノムコピー数を決定するために、2μlのウイルスストックを、50ユニット/ml
Benzonase(登録商標)、50mM Tris-HCl pH 7.5、10mM MgCl2、及び10mM CaCl2を含む6μl
の溶液中で、37℃で30分間インキュベートした。
その後、2mg/mlのプロテイナーゼK、0.5%SDS及び25mM EDTAを含む15μlの溶液を添加
し、混合物を、55℃でさらに20分間インキュベートして、ウイルスDNAを放出させた。ウ
イルスDNAを、ミニDNeasy(登録商標)キット(Qiagen, Valencia, CA)でクリーニングし、4
0μlの水で溶出させた。ウイルスゲノムコピー(GC)を、定量的PCRを用いて決定した。
ウイルスストックをPBSで望ましいGC/mlまで希釈した。ウイルス試験溶液(200μl)を、
尾静脈注射によりマウスに送達した。
(肝細胞癌(HCC)アッセイ)
肝臓標本をAAV注射後24週のdb/dbマウスから採取した。HCCスコアを、野生型FGF19が注
射されたマウス由来のHCC結節の数で割った変異体が注射されたマウス由来の肝臓全体の
表面のHCC結節の数として記録した。
(血清FGF19/FGF21/変異体暴露レベルアッセイ)
マウス尾断片由来の全血(約50μl/マウス)をプレーンキャピラリーチューブ(BD Clay A
dams SurePrep(商標)、Becton Dickenson and Co. Sparks, MD)中に収集した。このチュ
ーブをAutocrit(商標) Ultra 3(Becton Dickinson and Co. Sparks, MD)中で回転させる
ことにより、血清及び血液細胞を分離した。血清中のFGF19、FGF21、及び変異体の暴露レ
ベルを、製造業者の指示に従ってEIAキット(Biovendor)を用いて決定した。
(FGFR4結合及び活性アッセイ)
固相ELISA(結合)アッセイ及びERKリン酸化アッセイは、精製された組換えタンパク質を
用いて実施することができる。FGFR結合アッセイは、固相ELISAを用いて実施することが
できる。簡潔に説明すると、96ウェルプレートを、2μg/ml抗hFc抗体でコーティングする
ことができ、かつ1μg/ml FGFR1-hFc又はFGFR4-hFcとともにインキュベートすることがで
きる。1μg/ml可溶性β-クロトー及び20μg/mlヘパリンの存在下でのFGF19変異体への結
合を、ビオチン化された抗FGF19抗体(0.2μg/mL)と、その後のストレプトアビジン-HRPイ
ンキュベーション(100ng/mL)により検出することができる。FGFR4活性化アッセイについ
ては、Hep3B細胞を、FGF19変異体で、37℃で10分間刺激することができ、その後すぐに溶
解させ、Cis-Bio製の市販キットを用いて、ERKリン酸化についてアッセイすることができ
る。
(5.2 実施例2)
FGF19変異体、例えば、本明細書に記載されているものが、cyp7a1発現を抑制すること
を確認するために、野生型FGF19によるcyp7a1発現の阻害を、様々な濃度を投与した後に
決定した。FGF21の効果を同等の方法で評価した。
簡潔に説明すると、0時点で、db/dbマウスに、組換えFGF19(0.1mg/kg; 1mg/kg; 10mg/k
g)又は組換えFGF21(0.1mg/kg; 1mg/kg; 10mg/kg)のいずれかを、腹腔内投与した。投与か
ら5時間後、肝臓を摘出し、RNAを抽出し、cyp7a1発現を、標準化対照としてGADPHを用い
るリアルタイムPCR(QPCR)により決定した。n=3の各々のマウス群において、様々なFGF19
及びFGF21濃度でのcyp7a1発現値をPBSビヒクル対照が投与されたマウスと比較した。
図1に示されているように、FGF19は、cyp7a1発現を濃度依存的な様式で劇的に減少させ
た。FGF21の投与はcyp7a1発現の低下を引き起こしたが、効果はFGF19で認められる効果よ
りも明らかに小さかった。
ヒト初代肝細胞におけるcyp7a1発現に対する変異体M70の効果をFGF19の効果と比較した
。図2に見られるように、変異体M70は、cyp7a1発現をFGF19の効果と同程度の量で抑制し
た。
(5.3 実施例3)
上記のアッセイを用いて、初代ヒト肝細胞におけるcyp7a1の抑制をいくつかのFGF19変
異体について決定した。図3〜図5に示されているように、数種の変異体(例えば、M1、M2
など)は、強力なcyp7a1抑制を示した。
Cyp7a1抑制に対するいくつかの追加のFGF19変異体の効果を評価するために、インビト
ロでの細胞ベースのアッセイ(初代ヒト肝細胞)及びインビボアッセイ(db/dbマウスにおけ
るタンパク質投与)を利用した。これらのアッセイでは、変異体を生理食塩水処置対照と
比較した。図5は、結果(IC50及びCyp7a1(%))を表の形で示している。評価されたほとん
どのFGF19変異体はCyp7a1阻害活性を示したが、数種の変異体(例えば、M90、M96、M98、M
5、及びM32)はもはやCyp7a1を抑制しなかった。
Cyp7a1抑制活性を保持するFGF19変異体を上記のHCCアッセイ(又は他の関連性のあるア
ッセイもしくはモデル)でさらに評価して、HCC誘導を引き起こすことなく、胆汁酸代謝の
調節並びに/又は胆汁酸関連疾患(例えば、胆汁酸下痢及び原発性胆汁性肝硬変)の治療に
有用であり得る変異体を同定することができる。図面は、HCCアッセイで評価された変異
体のデータを示している。
(5.4 実施例4)
以下は、脂質上昇活性及び腫瘍形成について解析された25種の追加の変異体ペプチドの
データのまとめである。このデータは、db/dbマウスにおけるHCC形成により決定される、
脂質上昇と腫瘍形成の間の正の相関を明確に示している。
これらの表は、様々な変異体ペプチドをまとめたものである。そのような例示された変
異体ペプチドは、C-末端部分、例えば「TSG」アミノ酸残基の後に、FGF19 C-末端配列:
Figure 2020172509
を有する。注目すべきは、統計的に有意な脂質の上昇を引き起こさなかった変異体ペプチ
ド(M5を含む合計7種)は、HCC形成を誘導しなかった。対照的に、統計的に有意な脂質の上
昇を引き起こした全ての変異体ペプチド(合計17種)は、マウスにおいてHCC形成も引き起
こした。このデータは、脂質上昇活性とHCC形成の間に強い正の相関が存在することを示
している。したがって、脂質上昇活性は、動物におけるHCC形成の指標及び/又は予測因子
として使用することができる。
表2: db/dbマウスにおけるトリグリセリド及びコレステロールの上昇はHCC形成と正に
相関するようである(配列番号99、5、及び74〜81を参照)。
Figure 2020172509
表3: db/dbマウスにおけるトリグリセリド及びコレステロールの上昇はHCC形成と正に
相関するようである(配列番号99、100、及び82〜98を参照)。
Figure 2020172509
表4: db/dbマウスにおけるトリグリセリド及びコレステロールの上昇はHCC形成と正に
相関するようである(配列番号99、100、及び88〜98を参照)。
Figure 2020172509
M88(H31A/S141A):
Figure 2020172509
M89(H31A/H142A):
Figure 2020172509
M90(K127A/R129A):
Figure 2020172509
M91(K127A/S141A):
Figure 2020172509
M92(K127A/H142A):
Figure 2020172509
M93(R129A/S141A):
Figure 2020172509
M94(S141A/H142A):
Figure 2020172509
M95(K127A/H142A):
Figure 2020172509
M96(K127A/R129A/S141A):
Figure 2020172509
M97(K127A/R129A/H142A):
Figure 2020172509
M98(K127A/R129A/S141A/H142A):
Figure 2020172509
(5.5 実施例5)
以下は、グルコース低下活性及び脂質上昇活性について解析された追加のFGF19変異体
ペプチドのデータのまとめである。
表5は、M5〜M40と表される、35種の追加のFGF19変異体のペプチド「コア配列」を例示
している。そのような例示された変異体ペプチドは、C-末端部分に、例えば、コア配列の
「TSG」アミノ酸残基の後に、FGF19 C-末端配列、
Figure 2020172509
を有する。このデータは、変異体M6、M7、M8、mM38、及びM39が、db/dbマウスにおいて、
グルコース低下活性の望ましい特徴を有するが、統計的に有意な脂質上昇活性を有さない
ことを明確に示している。
表5:追加の変異体及びN-末端ドメインの詳細なマッピング(配列番号99、100、及び5〜40
を参照)
Figure 2020172509
表5a:(配列番号99、100、5、9、8、12、10、13、15、14、43、6、及び7を参照)
Figure 2020172509
表5b:(配列番号99、5、及び31〜40を参照)
Figure 2020172509
表5c:(配列番号99、100、5、52、54〜68、4、69、70、及び53を参照)
Figure 2020172509
表6は、追加の変異体のペプチド配列を例示している。
表6:追加の変異体(配列番号41、42、及び44〜46)
Figure 2020172509
表7は、M1、M2、及びM69と表される、3種のFGF19変異体のペプチド配列を例示している
。このデータは、これらの3種の変異体がdb/dbマウスにおいてグルコース低下活性の望ま
しい特徴を有することを明確に示している。これら3種の変異体は、db/dbマウスにおいて
脂質を上昇させるように見える。
表7:追加の変異体(配列番号1、2、及び69)
Figure 2020172509
(5.6 実施例6)
以下は、FGF19が食餌誘導性肥満マウス及びob/obマウスにおいて体重を低下させ、かつ
db/dbマウスにおいて肝臓腫瘍形成活性及び体重を低下させることを示すデータのまとめ
である。
マウスにAAVベクター中のFGF19又はFGF21を注射した。注射から4週間後、体重を記録し
た。
表8: FGF19は、食餌誘導性肥満マウス及びob/obマウスにおいて体重を低下させる(それぞ
れ、配列番号99のaa 1〜29及び配列番号100のaa 1〜25に相当する配列)
Figure 2020172509
表9: db/dbマウスにおけるFGF19、FGF21、及び選択された変異体の体重と肝臓腫瘍形成の
相関(例えば、配列番号99、100、5、6、32、52、及び69を参照)
Figure 2020172509
(5.7 実施例7)
以下は、変異体M5ペプチド及び変異体M69ペプチドが血液グルコースを低下させること
を示す試験である。
マウス(ob/ob)に、M5(0.1及び1mg/kg、s.c.)もしくはFGF19(1mg/kg、s.c.)、又は変異
体M69(0.1及び1mg/kg、s.c.)もしくはFGF19(1mg/kg、s.c.)を(皮下)注射した。血漿グル
コースレベルを、注射後2、4、7、及び24時間で測定した。変異体M5及び変異体M69の結果
は、野生型FGF19と同様のグルコース低下効果を示した(データは示さない)。
(5.8 実施例8)
この実施例は、数種の変異体ポリペプチド、並びにグルコース低下、脂質プロファイル
パラメータ、及びHCC形成に対する該変異体の効果を含む、それらの特定の特徴を示して
いる。
特に、表10は、変異体M5(配列番号5)、M6(配列番号6)、及びM50(配列番号50)について
作成されたデータを、N-末端Arg(R)欠失を有する対応する変異体ポリペプチド(それぞれ
、M144、M145、及びM146と表される)について作成されたデータと比較している。各々の
変異体の特定の配列ドメインのみが掲載されている: N-末端ドメイン、コア、及びシート
-8/ループ-8/シート-9領域。
表10
Figure 2020172509
表10のデータが示すように、N-末端Arg(R)の欠失は、グルコース低下、体重減少、HDL
及びトリグリセリド上昇、並びにHCC形成に有意な影響を及ぼさなかった。
(5.9 実施例9)
この実施例は、FGF19のループ8領域にアミノ酸置換を有する数種の変異体ポリペプチド
を、体重、特定の代謝パラメータ、及びHCC形成に対する該変異体の効果とともに記載し
ている。
表10のデータは、M3、M139、M140、M141、及びM160と表される変異体ポリペプチドと関
連している。M3のアミノ酸配列は、本明細書の別所に記載されており、M139、M140、M141
、及びM160のアミノ酸配列は、次の通りである:
Figure 2020172509
前述の変異体の各々についての以下の配列ドメインのみが表10に掲載されている: N-末
端ドメイン、コア、及びシート-8/ループ-8/シート-9領域。ループ8領域を構成している
特定のアミノ酸残基は、文献中で広く受け入れられているわけではないが、FGF19残基127
〜129は、本明細書においてループ-8領域を構築するものと規定されている。
表11
Figure 2020172509
表11を参照すると、P128E置換は、HCC形成を顕著に予防するために必要であるように見
えるが、それ自体でHCC形成を予防するためには不十分である。特に、HCC形成の予防の改
善は、M140におけるP128E置換で認められる。反対に、R127L置換は、それ自体ではHCC形
成を予防しない(M139を参照)。M3との比較において示されるように、R127L置換とP128E置
換の組合せは、HCC形成を減少させるが、HCC形成を消失させない。しかし、驚くべきこと
に、R127L置換とP128E置換の組合せは、FGF19コア領域中のLeu(L)のGln(Q)への置換を伴
うと、HCC形成を有意に予防する(M160を参照)。
これらのデータは、FGF19ループ8領域がHCC形成において役割を果たすことを示してい
る。ループ8領域の外側のアミノ酸残基(例えば、コア領域における置換)は、HCC形成の予
防を増強することができる。
M1(配列番号1)
Figure 2020172509
M2(配列番号2)
Figure 2020172509
M3(配列番号3)
Figure 2020172509
M5(配列番号5)
Figure 2020172509
M5-R(配列番号160)
Figure 2020172509
M48(配列番号48)
Figure 2020172509
M49(配列番号49)
Figure 2020172509
M50(配列番号50)
Figure 2020172509
M51(配列番号51)
Figure 2020172509
M52(配列番号52)
Figure 2020172509
M53(配列番号192)
Figure 2020172509
M69(配列番号69)
Figure 2020172509
M70(配列番号70)
Figure 2020172509
M71(配列番号71)
Figure 2020172509
M72(配列番号72)
Figure 2020172509
M73(配列番号73)
Figure 2020172509
M75(配列番号75)
Figure 2020172509
M76(配列番号76)
Figure 2020172509
FGF19(配列番号99)
Figure 2020172509
(5.10 実施例10)
この実施例は、ヒト患者におけるM70の投与が胆汁酸合成のマーカーである7a-ヒドロキ
シ-4-コレステン-3-オン(C4)の抑制をもたらすことを示している。
(試験対象):
年齢18〜65歳の範囲で、正常体重(ボディマス指数、BMI 20〜35)を有する健康な成人を
本試験に登録した。試験プロトコルは、オーストラリアヒト臨床試験倫理委員会(Human R
esearch Ethics Committee in Australia)により承認され、書面によるインフォームドコ
ンセントを各々の対象から得た。本試験への組入れのために、各々の対象は、スクリーニ
ング時の病歴、身体検査、12誘導心電図(ECG)、臨床検査所見、及びバイタルサインから
臨床的に重大な所見がないことにより決定される良好な健康状態でなければならなかった
。何らかの重大な代謝、アレルギー、皮膚、肝臓、腎臓、血液、肺、心臓血管系、GI、神
経、又は精神の障害の病歴又は臨床症状を有する対象は、登録から除外した。
(試験設計):
本試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照設計であった。対象の予備スクリーニングは
、登録の7〜30日前に実施し、ベースライン評価は、処置前に実施した。各々の対象に、3
mg/日の用量のM70の皮下注射を、単回ボーラス投与で、7日間、毎日投与した。血液試料
を、留置カテーテルを通して、ヘパリン処理チューブに収集した。1日目及び7日目にM70
又はプラセボの投与後4.5時間又は24時間で採取した血液試料を解析した。7a-ヒドロキシ
-4-コレステン-3-オン(C4)の血清レベルを用いて、CYP7A1酵素活性(胆汁酸合成)をモニタ
リングした。これらを、以前に記載されているように(Galmanらの文献、(2003) J Lipid
Res. 2003;44(4):859-66)、試料抽出と、それに続く、高圧液体クラマトグラフィー(HPLC
)の後に、個々の血清試料から解析した。
(結果):
図6に示されているデータは、1日目及び7日目に、投与後4.5時間と24時間の両方で、C4
の血清レベルが、プラセボを投与された患者と比較して、患者で有意に抑制されたことを
示している。
(5.11 実施例11)
この実施例は、ラット筋芽細胞細胞株における、FGF19、M3、及びM70による、マウスFG
FR4-β-クロトーシグナル伝達の活性化を示している。
(方法):
ELKルシフェラーゼアッセイを、マウスFGFR4、b-クロトー、並びにELK1に融合された5
×UASルシフェラーゼ及びGAL4-DNA-結合ドメイン(DBD)を含むレポーターコンストラクト
で一過性にトランスフェクトされたL6細胞で実施した。このシステムにおいて、ルシフェ
ラーゼ活性は、内在性のリン酸化された細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)によって調節
される。細胞をリガンドととも6時間インキュベートし、その後、ルシフェラーゼ活性測
定のために溶解させた。
細胞ベースの受容体活性化アッセイを用いて、マウスFGFR4がβ-クロトーの存在下でリ
ガンド依存的シグナル伝達を媒介する能力を評価した。この目的のために、これらのタン
パク質の内在性発現を欠いているラットL6筋芽細胞細胞株を、マウス由来のFGFR4及びβ-
クロトーをコードするDNA、並びにElk1依存的キメラ転写因子ベースのレポーターシステ
ムを含むプラスミドでトランスフェクトした。
トランスフェクション後、リガンド依存的ルシフェラーゼ発現の濃度応答を、ルシフェ
リン基質の存在下、全細胞溶解物で解析した。
(結果):
L6細胞におけるFGFR4及びβ-クロトーの共発現は、M3、M70とFGF19の両方において、細
胞内シグナル伝達経路の活性化を増強することが分かった(それぞれ、EC50=20、38、及
び53pM)(表12及び図7を参照)。
表12: L6細胞におけるマウスFGFR4/β-クロトー複合体の共発現は、FGF19、M3、及びM70
による細胞内シグナル伝達経路の活性化を増強する。
Figure 2020172509
EC50=半最大有効濃度; Emax=最大効力。データは、平均±SDで表されている。
これらのデータは、FGFR4-β-クロトー共受容体と同族リガンドの間の三者複合体の形
成が細胞内シグナル伝達の強力な活性化にとって重要であることを示唆している。
(5.12 実施例12)
この実施例は、M70が、腫瘍形成能がある2つの異なるモデルで示されるように、マウス
でHCCを有利に引き起こさないように、KLB/FGFR4受容体複合体を介するシグナル伝達を選
択的に活性化することを示している。
(試験対象):
rasH2トランスジェニックモデルとして知られるFDA承認腫瘍形成促進モデル、及びdb/d
b動物モデル。
(試験設計及び結果):
ヒト血液中のFGF19の正常レベルよりも約1,000倍大きい暴露で発現されたM70は、1年間
の暴露の後、HCCを引き起こさなかった。対照的に、マウス実験で陽性対照として利用さ
れたヒトFGF19はHCCを引き起こした。
db/db動物モデルでの遺伝子送達を介したM70及びFGF19の共投与は、予想されたFGF19駆
動性HCCを未然に防ぎ、HCCを引き起こすような形で関連性のある受容体及びシグナルを占
めるFGF19の能力をM70が阻止することを示唆した。
(5.13 実施例13)
この実施例は、健康な成人参加者におけるM70の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価
するための第1相無作為化二重盲検プラセボ対照単回漸増用量(SAD)試験及び複数回漸増用
量(MAD)試験の結果を考察している。本試験の概要は、表13に示されている。
表13:健康な成人参加者におけるM70の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価するための第
1相試験設計
Figure 2020172509
図8に示されているように、M70による第1相試験は、FGFR1c及びFGFR4シグナル伝達に関
連するFGF19様活性と一致した生物学的活性の兆候を有する好ましい安全性プロファイル
を示し、NASH及び胆汁酸に関係した障害(BARD)におけるその適用を支持する。
(試験設計):
この盲検プラセボ対照第1相試験において、過体重又は肥満であるが、それ以外は健康
な成人を無作為に割り付けて、M70又はプラセボを、毎日の皮下注射として、漸増用量で
投与した。
(結果):
図8に示されているように、血清C4濃度の急速かつ用量比例的な低下は、M70が、胆汁酸
合成に対して、0.3mg、1mg、及び3mgの用量で統計的に有意な効果を有することを示した
。血清C4濃度の約94%の平均低下は、投与前レベルと比較したとき、3mgでの6回目の投与
の後に顕著であった。この急速なC4の低下は、CYP7a1を介する胆汁酸合成の阻害剤として
のM70の潜在的な生物学的活性を支持する。2つの外れ値データ点は、図8に示されていな
いが、統計解析に含まれた(プラセボ、7日目: 45.1ng/ml; 0.3mg NGM282、ベースライン
時: 62.1ng/ml)。
第1相MAD試験でM70を投与された対象から収集された血液試料の実験室解析により、こ
の薬物の投与が、1mg及びそれより多い用量での統計的に有意なトリグリセリドの低下(p
<0.05)及び統計的に有意な総コレステロールの減少(p<0.05)と関連することが示された
(データは示さない)。
SAD試験とMAD試験の両方において、M70は忍容性が良好であり、かつ線形薬物動態を示
し、免疫原性を有さなかった。重篤な有害事象はなかった。最も頻繁に観察される有害事
象は、下痢、嘔吐、及び注射部位反応であった。また、本試験の安全性データモニタリン
グ委員会によって決定されるような、M70処置対象で記録された臨床的に有意な臨床検査
異常はなく、抗薬物抗体もADAも観察されなかった。
(5.14 実施例14)
この実施例は、NASHの治療に対するM70の役割を支持する前臨床試験の結果を考察して
いる。
通常、肝臓は、ある程度の脂肪を含む。しかしながら、肝臓の重量の5〜10%超が脂肪
である場合、それは、脂肪肝又は脂肪症と呼ばれる。NAFLDの範囲は、単純脂肪症からNAS
Hにまで及び、NASHは、最後には、末期肝疾患に進行することがある。
それぞれ、NAFLD患者及びNASH患者で観察されるCYP7a1の上昇及び血清胆汁酸レベルの
増大から明らかなように、胆汁酸合成及び血清胆汁酸レベルは、NAFLD及び疾患のNASHへ
の進行と相関している。したがって、トリグリセリドを低下させ、CYP7a1経路を介する胆
汁酸合成を遮断することにより、M70は、NAFLDからNASHに至る、並びに線維症及び肝硬変
を経て、移植又は死亡のいずれかに至るカスケードを中断することができる。
(試験設計):
STAM(商標)として知られるNASHのマウスモデルを用いて、NASHの治療におけるM70の有
益な効果を調べた。このモデルは、ヒトにおけるNASH病理と一致する脂肪症、小葉炎症、
及び肝細胞膨化を特徴とする。M70が連続発現されたマウスは、総肝脂肪含有量の減少を
反映する、総体重、肝臓重量、及び肝臓対体重比の統計的に有意な減少を有していた(対
照と比べて、p<0.001)。
(結果):
M70発現は、NAFLD活性スコア(NAS)の全ての成分において統計的に有意な改善を示し、
下のチャートに示されるように、対照の5.33と比較して、1.5という総NASスコアをもたら
した。NASは、脂肪肝疾患の活性を等級分けするために広く使用される組織学的特徴スコ
アリングシステムであり、総スコアは、脂肪症、小葉炎症、及び膨化のスコアの合計を表
す。通常、5以上のスコアは、NASHの症状を示しているとみなされる。これらの結果を下
にまとめる。
表14: M70によるNASに対する治療効果
Figure 2020172509
肝線維症のマウス胆管結紮モデルにおける追加の前臨床研究により、M70の発現は、組
織学的検査並びに線維症及び炎症のいくつかのマーカーの遺伝子発現解析によって示され
るように、マウスが肝線維症を発症するのを効果的に予防することが示されている。これ
らの前臨床データは、第1相MAD研究データと合わせて、NASHの患者における利益をもたら
すM70の役割をさらに支持する。
(5.15 実施例15)
この実施例は、胆汁鬱滞性肝疾患及び他のBARDの治療におけるM70の役割を示している
胆汁鬱滞性肝疾患は、肝臓からの胆汁の流れの障害と定義されるBARDの一形態であり、
多くの場合、疲労、掻痒症、及びそのより進行した形態で、黄疸を特徴とする。血清胆汁
酸の上昇は、PSC、PBC、妊娠時肝内胆汁鬱滞、アルコール性型肝炎、及び薬物誘発性胆汁
鬱滞を含む、多くの胆汁鬱滞性肝疾患の顕著な特徴である。肝臓からの胆汁酸の流れの障
害は、胆汁鬱滞、肝細胞損傷、及び進行性肝疾患を引き起こし、これらは、最終的に肝不
全をもたらし得る。
胆汁酸は、掻痒症を引き起こす際に役割を果たすと考えられ、特定の形態の胆汁酸の血
清レベルの上昇は、より高い割合の掻痒症と相互に関連付けられている。重度の掻痒症は
、患者がよく、体のどんな場所にも生じる、皮下の強い、持続性のある、緩和されない痒
みと説明するものであるが、これは、胆汁鬱滞性肝疾患の全ての段階で現れる可能性があ
り、胆汁鬱滞性疾患の患者を苦しめる最も衰弱性の高い症状である。患者は、出血及び瘢
痕化を引き起こし得る破壊的掻破行動に訴えることが多く、この状態は、生活の質の顕著
な減少、睡眠障害、鬱病、並びに潜在的に、自殺願望及び自殺行動に至ることがある。介
護者は、この衰弱性の症状の管理の手助けをしようと必死になるので、彼らも睡眠障害及
び不安症に苦しむ。一部の患者では、掻痒症の感情的効果及び物理的効果だけで、肝移植
を正当化することができる。
M70の強力な胆汁酸調節効果、及びそれが胆汁酸の誘導体ではないという事実は、特定
の胆汁鬱滞性肝疾患、例えば、PSC、PBC、及び他のBARDに対する治療としてのその役割を
支持する。胆管結紮(BDL)モデル、α-ナフチルイソチオシアネート(ANIT)モデル、及びMd
r2ノックアウトモデルにおけるM70の有効性を検討した多くのインビボ前臨床データは、
血清胆汁酸の統計的に有意な低下(p<0.001)及び肝損傷の生化学的マーカーの改善を示し
た。さらに、上記の実施例13に記載されているように、第1相データは、M70投与による血
清C4レベルの統計的に有意な低下(p<0.001)を示し、肝臓におけるCYP7a1のFGF19抑制及
び血清胆汁酸レベルの低下と一致する生物学的活性を示した。PBCの第2a相試験において
、対象は、掻痒症を概ね増悪させることなく、ALP、GGT、ALT、及びASTの統計的に有意な
低下(p<0.05)を示した。これらの観察は全て、M70が血清胆汁酸を低下させ、かつ肝臓に
おける高い胆汁酸レベルの損傷効果と、胆汁鬱滞性肝疾患と関連することが多い衰弱性の
掻痒症とを減少させるための安全かつ有効な非侵襲的薬理学的アプローチを提供するとい
う見方を支持する。したがって、これらの結果は、M70が肝臓の胆汁鬱滞性疾患、例えば
、PSC及び他の希少BARDを治療するのに有効であり得るということを支持する。
(5.16 実施例16)
この実施例は、M70が前臨床研究において肝機能を改善したことを示している。
M70は、初代ヒト肝細胞、又は肝細胞におけるインビトロでのCYP7a1発現、及びマウス
におけるインビボでのCYP7a1発現を強力に抑制する。さらに、血清C4濃度の81%の平均低
下が、対照と比べて、FGF19(1mg/kgを毎日皮下注射)で6日間処置したカニクイザルで観察
された。さらに、胆汁鬱滞の2つのインビボモデルを用いた前臨床試験は、CYP7a1経路に
よる新生胆汁酸合成をM70で阻害すると、肝機能の生化学的マーカーの統計的に有意な改
善がマウスで示されることを示した。
(試験設計及び結果):
第一のモデルの胆管結紮(BDL)は、外科的方法を用いて、総胆管を分断し、肝臓からの
胆汁の流れを妨げ、胆汁鬱滞の状態を誘導する。BDLを受け、M70を投与されたマウスは、
BDL手術後、血清胆汁酸の統計的に有意な低下(p<0.001)並びに肝損傷の生化学的マーカ
ー、例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、アルカリアミノトランスフェラーゼ(ALT)、
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びγ-グルタミルトランスフェラーゼ
(GGT)の改善を示した。
図9に示されている結果は、対照群(マウスはBDLを受けたが、いかなる処置も受けなか
った)、M70を投与された群、INT-747(Intercept Pharmaceuticals社;第3相試験でPBCのヒ
トを治療するのに効果があることが示された、FXRアゴニストリガンドかつ新規胆汁酸類
似体)を投与された群、及びベザフィブラート(PBCの治療に承認されていないが、それに
もかかわらず、一部の医師によって適応外処方されることもある薬物)を投与された群か
らの結果を比較したものである。
注目すべきことに、図9に示されているように、M70は、BDL動物モデルで循環胆汁酸レ
ベルを低下させ、肝機能を改善した。
ANITで処置されたマウスは、胆汁鬱滞状態が胆管を裏打ちする細胞の損傷を引き起こす
化学的処理によって薬理学的に誘導される動物モデルである。
図10に示されているように、ANIT処置マウスは、胆汁鬱滞性疾患に罹患しているヒト患
者のプロファイルと類似した、血清胆汁酸の統計的に有意な上昇(p<0.01)及び肝機能障
害を示した。BDLモデルと同様に、古典的経路による新生胆汁酸合成をM70で阻害すると、
ANITモデルにおいて肝機能の生化学的マーカーの統計的に有意な改善(p<0.001)がもたら
された。
慢性胆汁鬱滞及び肝臓炎症のMdr2ノックアウトマウスモデルは、ヒトPSCの多くの側面
に似ている。M70をMdr2ノックアウトマウスで24週間途切れなく発現させる試験では、全
胆汁酸の血清レベルの低下、ALP、ALT、及びASTなどの肝臓酵素の正常化、並びに肝臓重
量の低下が観察された。
全体として、これらのデータにより、M70がPSC及びPBC並びにBARDの他の症状を効果的
に治療することができる非腫瘍原性FGF19変異体であることがさらに確認された。様々な
非臨床安全性試験の結果により、M70が安全でかつ忍容性が良好であり、臨床試験におけ
る投与量範囲及び治療期間を支持することが示された。したがって、M70は、血清胆汁酸
を低下させ、かつ肝臓における高い胆汁酸レベルの損傷効果及び潜在的に、胆汁鬱滞性肝
疾患と関連することが多い衰弱性の掻痒症を減少させる安全かつ有効な薬理学的アプロー
チであることができる。
(5.17 実施例17)
この実施例は、PBCの患者で28日間投与されるウルソデオキシコール酸(UDCA)と組み合
わせたM70の安全性、忍容性、及び薬力学的活性を評価するための第2相無作為化二重盲検
プラセボ対照並行群多施設試験を記載し、ヒト患者の治療におけるM70の役割を示してい
る。
PBCは、胆管が炎症を起こすようになり、明かな自己免疫反応によってゆっくりと破壊
され、肝臓における胆汁酸の蓄積を駆動し、最終的に、不可逆的な瘢痕化をもたらす、慢
性胆汁鬱滞性肝疾患である。患者の大部分は診断時に無症状であるが、疾患が進行するに
つれて、掻痒症及び疲労という一般的な症状が発症することがある。米国で承認されてい
る1つの治療であるUDCAは、一部の患者で疾患の進行を減速させることが示されているが
、PBCの患者の約3分の1しか、治療に完全に応答しない。
(試験設計及び結果):
第2a相PBC試験は、対照と比較した、処置から28日後の、UDCAと組み合わせたM70の効果
を調べるように設計した。適格対象を、対照又は高用量(3.0mg)もしくは低用量(0.3mg)の
M70を含む、2つの治療群のうちの1つに無作為に割り付けた。
表15: M70によるPBC治療に関する臨床試験設計
Figure 2020172509
対象は全て、試験の28日間の治療期を終え、PBC対象における第2b相試験とも呼ばれる5
2週間の延長試験に参加する資格があった。第2a相試験は、両方の用量で主要エンドポイ
ント(下記のようなベースラインからのALPの変化)における統計的有意性を達成した。い
くつかの副次的エンドポイントの改善(生化学的マーカーであるALT、AST、GGT、C4、空腹
時血清胆汁レベル並びに掻痒症及び疲労の変化)があり、これには:(1)両方のM70用量での
ベースラインから28日目までのALPの統計的に有意なパーセンテージ低下(0.3mg=-15.8%
、p-値=0.009; 3.0mg=-19.2%、p-値=0.003);(2)ALT(0.3mg=-17.5IU/L; 3.0mg=-26.
7IU/L)、AST(0.3mg=-10.9IU/L; 3.0mg=-15.3IU/L)、及びGGT(0.3mg=-28.2IU/L; 3.0mg
=-50.9IU/L)を含む、肝損傷の他のマーカーの顕著な低下;(3)どのM70治療群でも掻痒症
の統計的に有意な変化なし;並びに(4)薬物関連の安全性シグナルがない許容し得る安全性
及び忍容性プロファイルが含まれた。ほとんどの有害事象は軽度であり、治療に関連する
ものとみなされない1つの重篤な有害事象があった。最も頻度の高い有害事象は、軽度の
頭痛及び軽度の下部GI症状であった。下部GI症状は、対照群の13%と比較して、0.3mgの2
1%及び3mgコホートの43%で観察された。軽度の注射部位反応もM70でより高頻度に観察
された。
第2b相試験を、第2a相の28日間PBC試験からの対象がM70を長期間利用し、それにより、
M70のより長期の安全性プロファイル及び疾患効果に関するデータの収集を可能にするす
ることができる52週間の延長として設計した。利用可能なデータの解析を、第2a相試験か
ら移行して、12週間の治療に達した対象について実施した。ベースラインからのALPの低
下は、その時点の全ての群で観察され、最小用量(0.3mg)コホートは統計的に有意な低下(
p=0.004)を達成した。第2b相PBC試験において、M70は、これまで、第2a相PBC試験で見ら
れたのと一致する安全性及び忍容性プロファイルを示している。
UDCAは米国でPBCに承認されている唯一の治療であるが、いくつかの治療が開発中であ
る。FXRアゴニストリガンドかつ新規胆汁酸類似体であるINT-747は、1つのそのような治
療である。FXRは、FGF19ホルモンを産生する遺伝子を含む、数多くの遺伝子発現の調節に
関与する核内受容体である。INT-747の第3相試験は、ALP低下に対する統計的に有意な効
果(p<0.0001)を示したが、この薬物は、おそらくは、過度の胆汁酸蓄積に苦しむ対象の
肝臓に胆汁酸類似体を導入する結果として、PBC対象における掻痒症の割合を対照と比較
してほぼ2倍にした(10mg用量及びプラセボ用量で、それぞれ、68%及び38%)。
(5.18 実施例18)
この実施例では、原発性硬化性胆管炎(PSC)の治療のためのM70の役割が論じられた。PS
Cは、胆汁鬱滞、並びにほとんどの場合、肝不全及び肝臓癌のリスクの増加を引き起こす
胆管の進行性の炎症、線維症、及び閉塞を特徴とする、慢性胆汁鬱滞性肝疾患である。最
終的に、胆汁鬱滞症状が現れることになるが、患者は、数年間、無症状かつ診断未確定の
ままであることがある。PSCと診断された後の平均余命中央値は、肝移植なしで12〜18年
であり、肝移植を受けた患者の場合でも、PSCは、10年以内に、患者の30%〜50%で再発
する。PSCは潰瘍性大腸炎を伴うことが多く、自己免疫性肝炎及び自己免疫性膵炎を含む
、他の形態の自己免疫疾患と重複するようにも見える。患者集団は、米国及び欧州で50,0
00〜132,000名と推定され、男女で2:1の発生率であり、特に、北欧での発生率が高い。PS
Cの治療に対して承認された治療薬はないが、肝移植は末期PSCで最もよく見られる治療ア
プローチであり、これは、米国で5番目に多い肝移植の適応となっている。多くのPSC患者
は、現在薬物治療が利用可能でないPBCの同じ掻痒症の症状に苦しんでいる。
M70の胆汁酸合成阻害特性は、閉塞した胆管における胆汁酸のプールを低下させること
により、PSCの進行の減速を助け、それにより、肝線維症に対する影響を小さくすること
ができる。
(試験設計):
PSC対象におけるM70の試験では、12週間の無作為化プラセボ対照二重盲検多施設試験に
おいて約60人の対象で該化合物の活性が探索される。該対象は、ALPの上昇及び胆管造影
法又は肝生検によって評価したとき、PSC患者と確認され、肝硬変又は進行した肝疾患の
所見がない。主要エンドポイントは、12週間の治療でのベースラインからのALPの変化で
ある。試験は、12週間にわたって毎日投与した後の、PSCと関連する他の生化学的マーカ
ー、例えば、ALT、GGT、及びビリルビン、血清胆汁酸、C4、掻痒症、並びに炎症性腸疾患
症状のベースラインからの変化に対するM70の効果を調べるように設計される。
(5.19 実施例19)
この実施例は、2型糖尿病の参加者に28日間投与されるM70の安全性、忍容性、及び活性
を評価するための第2相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群多施設試験を記載している
(試験設計):
2型糖尿病の対象でM70を評価するために、4週間の無作為化二重盲検多施設試験を実施
した。両方の状態に対する肥満及びインスリン抵抗性の寄与の結果として、2型糖尿病患
者及びNASH患者の罹患率は実質的に重複している。
インスリン感受性、トリグリセリドレベル、及び肝臓酵素レベルの指標を含む、NAFLD
及びNASHの疾患進行において役割を果たすと考えられる代謝パラメータのいくつかを測定
するために、2型糖尿病試験も設計した。空腹時血漿グルコース及びグルコース/インスリ
ン刺激などの2型糖尿病と関連する生化学的マーカーのベースラインからの変化を評価す
るために、M70の3つの用量を、メトホルミンによる制御が不十分な2型糖尿病の対象で試
験した。
この試験によって測定された主要エンドポイントは、28日間の治療の後の空腹時血漿グ
ルコースの変化であった。このエンドポイントは、対照群と比較したとき、M70対象で差
がなかったが、HOMA-IRによって測定されるインスリン感受性が改善する傾向があり、か
つ10mg群で統計的に有意な体重減少が観察され、この10mg群は、28日間の治療を通して平
均2.6キログラムを喪失した(p<0.041)。さらに、肝臓の健康の改善と一致する、2mg用量
(p=0.009)及び10mg用量(p=0.007)によるトリグリセリドの統計的に有意な低下、並びに
ALT、すなわち、アラニントランスアミナーゼ及びAST、すなわち、アスパラギン酸トラン
スアミナーゼの用量依存的な低下が見られた。この試験は、M70がNASH患者によく似てい
る患者集団で代謝的健康と肝臓の健康の両方を改善することをさらに実証した。
表16: M70による2型糖尿病治療に関する臨床試験設計
Figure 2020172509
全体として、M70は各々の用量で忍容性が良好であった。重篤な有害事象は報告されな
かった。これらの前臨床及び臨床データは、M70が、体重及びトリグリセリドレベルを低
下させ、インスリン感受性を改善して、該疾患の代謝的推進力と戦うと同時に、胆汁酸合
成を低下させて、毒性のある胆汁酸の蓄積によって生じる肝損傷と戦うことにより、NASH
の治療における潜在的に新しいアプローチを提供することを示唆している。
(6.配列表)
本明細書は、配列表のコンピュータ可読形態(CRF)のコピーとともに出願されている。2
016年11月6日に作成され、かつサイズが262,144バイトである、13370-038-228_SEQLIST.t
xtというタイトルのCRFは、本配列表のハードコピーと同一であり、かつその全体が引用
により本明細書中に組み込まれている。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
対象における胆汁酸に関係した障害(BARD)又はその症状を予防又は治療する方法であっ
て、該対象に、有効量のペプチドを投与することを含み、ここで、該ペプチドが:
(化1)
Figure 2020172509
を含むか又はこれらからなるアミノ酸配列を有する、前記方法。
(構成2)
対象におけるBARD又はその症状を予防又は治療する方法であって、該対象に、有効量の
ペプチドを投与することを含み、ここで、該ペプチドが:
a)少なくとも7個のアミノ酸残基を含むN-末端領域であって、該N-末端領域が最初のア
ミノ酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該N-末端領域が
(化2)
Figure 2020172509
を含むもの;並びに
b)配列番号99[FGF19]の一部を含むC-末端領域であって、該C-末端領域が最初のアミノ
酸位置及び最後のアミノ酸位置を有し、ここで、該C-末端領域が配列番号99[FGF19]のア
ミノ酸残基16〜29
(化3)
Figure 2020172509
を含み、ここで、該W残基が該C-末端領域の最初のアミノ酸位置に対応しているもの
を含む、前記方法。
(構成3)
前記BARD又はその症状がベースラインと比較して改善される、構成1又は2記載の方法。
(構成4)
ベースラインが投与前ベースラインである、構成3記載の方法。
(構成5)
前記BARDが非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、構成1〜4のいずれか一項記載の
方法。
(構成6)
前記方法がNAFLD活性スコア(NAS)の改善をもたらす、構成1〜5のいずれか一項記載の方
法。
(構成7)
前記BARDが肝線維症である、構成1〜5のいずれか一項記載の方法。
(構成8)
前記BARDが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)である、構成1〜5のいずれか一項記載の方法

(構成9)
前記対象が生検で確認されたNASHを有する、構成8記載の方法。
(構成10)
前記BARDが胆汁鬱滞性肝疾患である、構成1〜5のいずれか一項記載の方法。
(構成11)
前記胆汁鬱滞性肝疾患が原発性硬化性胆管炎(PSC)である、構成10記載の方法。
(構成12)
前記胆汁鬱滞性肝疾患が原発性胆汁性肝硬変(PBC)である、構成10記載の方法。
(構成13)
前記胆汁鬱滞性肝疾患が妊娠時肝内胆汁鬱滞である、構成10記載の方法。
(構成14)
前記胆汁鬱滞性肝疾患がアルコール性肝炎である、構成10記載の方法。
(構成15)
前記胆汁鬱滞性肝疾患が薬物誘発性胆汁鬱滞である、構成10記載の方法。
(構成16)
前記方法が肝臓脂肪症の減少をもたらす、構成1〜15のいずれか一項記載の方法。
(構成17)
前記方法が肝臓炎症の減少をもたらす、構成1〜16のいずれか一項記載の方法。
(構成18)
前記肝臓炎症が小葉炎症である、構成17記載の方法。
(構成19)
前記方法が肝細胞膨化の減少をもたらす、構成1〜18のいずれか一項記載の方法。
(構成20)
前記方法が前記対象におけるCYP7a1レベルの低下をもたらす、構成1〜19のいずれか一
項記載の方法。
(構成21)
前記方法が前記対象における血清胆汁酸レベルの低下をもたらす、構成1〜20のいずれ
か一項記載の方法。
(構成22)
前記方法が前記対象におけるトリグリセリドの低下をもたらす、構成1〜21のいずれか
一項記載の方法。
(構成23)
前記方法が前記対象におけるアルカリホスファターゼ(ALP)レベルの低下をもたらす、
構成1〜22のいずれか一項記載の方法。
(構成24)
前記ALPレベルが前記対象において少なくとも10%低下している、構成23記載の方法。
(構成25)
前記ALPレベルが前記対象において少なくとも15%低下している、構成23記載の方法。
(構成26)
前記方法が前記対象におけるアルカリアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低下を
もたらす、構成1〜25のいずれか一項記載の方法。
(構成27)
前記方法が前記対象におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの
低下をもたらす、構成1〜26のいずれか一項記載の方法。
(構成28)
前記方法が前記対象におけるγ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)レベルの低下をも
たらす、構成1〜27のいずれか一項記載の方法。
(構成29)
前記方法が肝機能の生化学的マーカーの改善をもたらす、構成1〜28のいずれか一項記
載の方法。
(構成30)
前記肝機能の生化学的マーカーが酵素である、構成29記載の方法。
(構成31)
前記酵素がALPである、構成30記載の方法。
(構成32)
前記酵素がALTである、構成30記載の方法。
(構成33)
前記酵素がASTである、構成30記載の方法。
(構成34)
前記酵素がGGTである、構成30記載の方法。
(構成35)
前記方法が前記対象におけるコレステロールレベルの低下をもたらす、構成1〜34のい
ずれか一項記載の方法。
(構成36)
前記方法が前記対象におけるグルコースレベルの低下をもたらす、構成1〜35のいずれ
か一項記載の方法。
(構成37)
前記方法が前記対象におけるインスリン抵抗性の改善をもたらす、構成1〜36のいずれ
か一項記載の方法。
(構成38)
前記方法が前記対象におけるインスリン感受性の改善をもたらす、構成1〜37のいずれ
か一項記載の方法。
(構成39)
インスリン感受性がHOMA-IRによって測定される、構成38記載の方法。
(構成40)
前記方法が前記対象における体重の低下をもたらす、構成1〜39のいずれか一項記載の
方法。
(構成41)
前記方法が前記対象における肝重量の低下をもたらす、構成1〜40のいずれか一項記載
の方法。
(構成42)
前記方法が前記対象におけるビリルビンレベルの減少をもたらす、構成1〜41のいずれ
か一項記載の方法。
(構成43)
前記方法が前記対象における初期線維症の血清バイオマーカーの減少をもたらす、構成
1〜42のいずれか一項記載の方法。
(構成44)
前記方法が前記対象における血清C4レベルの低下をもたらす、構成1〜43のいずれか一
項記載の方法。
(構成45)
血清C4レベルが前記対象において少なくとも50%減少している、構成44記載の方法。
(構成46)
前記血清C4レベルの低下がC4レベルの平均低下である、構成44又は45記載の方法。
(構成47)
前記血清C4レベルの平均低下が少なくとも90%である、構成46記載の方法。
(構成48)
前記血清C4レベルが前記ペプチドの投与前の前記対象における血清C4レベルと比較して
減少している、構成44〜47のいずれか一項記載の方法。
(構成49)
前記方法が前記対象における肝機能の改善をもたらす、構成1〜48のいずれか一項記載
の方法。
(構成50)
前記方法が前記対象における掻痒症又はその症状の改善をもたらす、構成1〜49のいず
れか一項記載の方法。
(構成51)
前記掻痒症の症状が痒みである、構成50記載の方法。
(構成52)
前記掻痒症の症状が睡眠障害である、構成50記載の方法。
(構成53)
前記掻痒症の症状が鬱病である、構成50記載の方法。
(構成54)
前記ペプチドが0.3mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成55)
前記ペプチドが1mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成56)
前記ペプチドが2mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成57)
前記ペプチドが3mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成58)
前記ペプチドが5mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成59)
前記ペプチドが10mgの用量で投与される、構成1〜53のいずれか一項記載の方法。
(構成60)
前記ペプチドが1日に1回投与される、構成1〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成61)
前記ペプチドが1日に2回投与される、構成1〜59のいずれか一項記載の方法。
(構成62)
前記ペプチドが皮下投与される、構成1〜61のいずれか一項記載の方法。
(構成63)
前記ペプチドが7日間以上投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成64)
前記ペプチドが14日間以上投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成65)
前記ペプチドが21日間以上投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成66)
前記ペプチドが28日間以上投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成67)
前記ペプチドが1〜12カ月間投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成68)
前記ペプチドが12カ月間投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法。
(構成69)
前記ペプチドが12カ月よりも長い間投与される、構成1〜62のいずれか一項記載の方法

(構成70)
前記ペプチドがウルソデオキシコール酸(UDCA)と組み合わせて投与される、構成1〜69
のいずれか一項記載の方法。
(構成71)
前記対象が過体重である、構成1〜70のいずれか一項記載の方法。
(構成72)
前記対象が肥満である、構成1〜70のいずれか一項記載の方法。
(構成73)
前記対象が糖尿病を有する、構成1〜72のいずれか一項記載の方法。
(構成74)
前記対象が糖尿病を有さない、構成1〜72のいずれか一項記載の方法。
(構成75)
前記糖尿病が2型糖尿病である、構成73又は74記載の方法。
(構成76)
前記ペプチドが免疫グロブリンFc領域と融合している、構成1〜75のいずれか一項記載
の方法。

Claims (27)

  1. 有効量のペプチドを含む、対象における掻痒症又はその症状を予防するための医薬組成
    物であって、該ペプチドが
    Figure 2020172509
    を含むアミノ酸配列を有し、該掻痒症が胆汁鬱滞性肝疾患に関連する、前記医薬組成物。
  2. 前記ペプチドが、配列番号70からなるアミノ酸配列を有する、請求項1記載の医薬組成
    物。
  3. 前記掻痒症の症状が睡眠障害である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
  4. 前記掻痒症の症状が鬱病である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
  5. 前記ペプチドの有効量が0.3 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  6. 前記ペプチドの有効量が1 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  7. 前記ペプチドの有効量が2 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  8. 前記ペプチドの有効量が3 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  9. 前記ペプチドの有効量が5 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  10. 前記ペプチドの有効量が10 mgである、請求項1〜4のいずれか一項記載の医薬組成物
  11. 前記ペプチドが1日1回投与されるものである、請求項1〜10のいずれか一項記載の
    医薬組成物。
  12. 前記ペプチドが1日2回投与されるものである、請求項1〜10のいずれか一項記載の
    医薬組成物。
  13. 前記ペプチドが皮下投与されるものである、請求項1〜12のいずれか一項記載の医薬
    組成物。
  14. 前記ペプチドが7日間以上投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記載
    の医薬組成物。
  15. 前記ペプチドが14日間以上投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記
    載の医薬組成物。
  16. 前記ペプチドが21日間以上投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記載
    の医薬組成物。
  17. 前記ペプチドが28日間以上投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記載
    の医薬組成物。
  18. 前記ペプチドが1月〜12月間投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記
    載の医薬組成物。
  19. 前記ペプチドが12月間投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一項記載の医
    薬組成物。
  20. 前記ペプチドが12月間よりも長く投与されるものである、請求項1〜13のいずれか一
    項記載の医薬組成物。
  21. 前記ペプチドがウルソデオキシコール酸(UDCA)と組合わせて使用される、請求項1〜2
    0のいずれか一項記載の医薬組成物。
  22. 前記胆汁鬱滞性肝疾患が原発性硬化性胆管炎(PSC)である、請求項1〜21のいずれか
    一項記載の医薬組成物。
  23. 前記胆汁鬱滞性肝疾患が原発性胆汁性肝硬変(PBC)である、請求項1〜21のいずれか
    一項記載の医薬組成物。
  24. 前記胆汁鬱滞性肝疾患が妊娠性肝内胆汁鬱滞である、請求項1〜21のいずれか一項記
    載の医薬組成物。
  25. 前記胆汁鬱滞性肝疾患がアルコール性肝炎である、請求項1〜21のいずれか一項記載
    の医薬組成物。
  26. 前記胆汁鬱滞性肝疾患が薬物誘発性胆汁鬱滞である、請求項1〜21のいずれか一項記
    載の医薬組成物。
  27. 前記対象が、それを必要としている対象である、請求項1〜26のいずれか一項記載の
    医薬組成物。
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