JP2020164781A - フッ素樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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孝太 坂口
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智成 長井
智弥 下野
Tomoya Shimono
智弥 下野
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和也 岩永
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Abstract

【課題】溶融成形物のヘイズ値が小さいオキソラン環を含むフッ素樹脂およびその製造方法を提供する。【解決手段】一般式(1)で表される残基単位を含み、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂及びその製造方法。(式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素樹脂及びその製造方法に関する。
非晶性フッ素樹脂は、透明性に優れ、撥液性、耐久性、電気特性等に優れるため、光学・電子分野などの様々な用途に用いられている。光学分野では、非晶性フッ素ポリマーは光導波路や半導体のフォトマスク用の防塵フィルムであるペリクル等の光学部材として用いられている。
なかでもオキソラン環を含むフッ素樹脂は嵩高い環構造を有するため非晶質で高い透明性および高い耐熱性を有する。また炭素、フッ素、酸素からのみ構成されることで高い電気特性、耐薬品性、防水性、撥液發油性を有する。さらに非晶性であることから溶融成形加工が可能である。
非特許文献1には、オキソラン環を含むフッ素樹脂の1種である、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PFMMD)のポリマー(ポリPFMMD)の合成および特性に関する記載がある。ポリPFMMDは耐熱性に優れる。
Macromolecules 2005,38,4237−4245
本発明者らの検討によれば、非特許文献1の方法で作製した樹脂は、溶融成形物のヘイズ値が高いという課題があった。
本発明は上記オキソラン環を含むフッ素樹脂における課題を解決することを目的とし、具体的には、溶融成形物のヘイズ値が小さいオキソラン環を含むフッ素樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
[1]
下記一般式(1)で表される残基単位を含み、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂。
(式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
[2]
フッ素樹脂を1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンに溶解した際の不溶物の量がフッ素樹脂に対して0.2重量%以下である[1]に記載のフッ素樹脂。
[3]
フッ素樹脂の嵩密度が0.1〜1.5g/cm3である[1]又は[2]に記載のフッ素樹脂。
[4]
フッ素樹脂の嵩密度が0.12〜0.25g/cm3である[1]又は[2]に記載のフッ素樹脂。
[5]
フッ素樹脂の280℃24時間加熱溶融成形品(厚み3mm)の黄色度が4以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のフッ素樹脂。
[6]
フッ素樹脂の重量平均分子量が5×104〜3×105である[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素樹脂。
[7]
ラジカル重合開始剤の存在下、下記一般式(4)で表される単量体の重合を行って一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aを得る重合工程(1)、
重合工程で得られた一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aと、溶媒S2とを含む混合物から、不溶物を除去して、フッ素樹脂A溶液を得る不溶物除去工程(2)、
不溶物除去工程で得られたフッ素樹脂A溶液からフッ素樹脂Aを析出させる析出工程(3)を含む、
加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂の製造方法。
(式(4)及び式(5)中、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
[8]
前記重合工程(1)は、以下の(1a)、(1b)又は(1c)のいずれかの工程である[7]に記載の製造方法。
(1a)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する良溶媒b1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aと良溶媒b1とを含む混合物を得る工程、
(1b)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、析出したフッ素樹脂Aを回収し、回収したフッ素樹脂Aとフッ素樹脂Aに対する良溶媒b1とを混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1とを含む混合物を得る工程。
(1c)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1を混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1と貧溶媒c1とを含む混合物を得る工程。
[9]
工程(1a)は、ラジカル重合開始剤、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1に加えて、フッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の共存下に重合を行う、[8]に記載の製造方法。
[10]
前記不溶物除去工程(2)は、以下の(2a)又は(2b)のいずれかの工程である[7]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
(2a)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物をフィルターによりろ過して不溶物を除去する工程、
(2b)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物を遠心分離に供して不溶物を除去する工程。
[11]
溶媒S2が、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b2又はフッ素樹脂Aに対する良溶媒b2及び貧溶媒c2の混合溶媒である、[10]に記載の製造方法。
[12]
前記不溶物除去工程(2)が(2a)である[10]又は[11]に記載の製造方法。
[13]
フィルターが、99%補足粒子径が10μm以下のフィルター又は孔径10μm以下のスクリーンフィルターである、[10]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]
前記析出工程(3)が、以下の(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)のいずれかの工程である、[7]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
(3a)フッ素樹脂A溶液の温度を低下させてフッ素樹脂Aを析出させる工程、
(3b)フッ素樹脂A溶液をフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3に加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程、
(3c)フッ素樹脂A溶液に、フッ素樹脂A溶液に対する貧溶媒c3を加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程
(3d)フッ素樹脂A溶液から溶媒を揮発させることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程。
[15]
析出工程(3a)におけるフッ素樹脂A溶液の溶媒が、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b3とフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3との混合溶媒である[14]に記載の製造方法。
[16]
析出工程(3a)において、温度を低下させる前の溶液温度T1が30℃以上であり、かつ、温度を低下させた後の溶液温度をT2とした場合に、T1−T2が5℃以上である[14]又は[15]に記載の製造方法。
[17]
析出工程(3)で得られたフッ素樹脂Aが析出している溶液又は貧溶媒添加工程(4)で貧溶媒c4を添加した溶液からフッ素樹脂Aを分離する分離工程(5)、及び分離したフッ素樹脂Aを貧溶媒c5で洗浄する洗浄工程(6)をさらに含む、[7]〜[16]のいずれかに記載の製造方法。
[18]
前記重合工程(1)が工程(1b)であり、かつ
前記析出工程(3)が工程(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)である[14]〜[17]のいずれかに記載の製造方法。
[19]
前記析出工程(3)が工程(3a)又は(3c)である[14]〜[18]のいずれかに記載の製造方法。
[20]
前記析出工程(3)が工程(3a)、(3b)又は(3c)のいずれかの工程であり、溶媒S2が脂肪族含フッ素溶媒である請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
[21]
前記不溶物除去工程(2)において除去される不溶物が一般式(1)で表される残基単位を含むフッ素樹脂を少なくとも含む請求項7〜20のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、一般式(1)で表される残基単位を含み、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂を提供することができる。
<フッ素樹脂>
本発明は、下記一般式(1)で表される残基単位を含み、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂に関する。
(式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
以下に発明を詳細に説明する。
本発明は、特定の一般式(1)で表される残基単位を含むフッ素樹脂である。そして、本発明のフッ素樹脂は特定の一般式(1)に含まれる嵩高い環構造を有するため非晶質で高い透明性および高い耐熱性を有する。また炭素、フッ素、酸素からのみ構成されることで高い電気特性、耐薬品性、防水性、撥液發油性を有する。
本発明における一般式(1)で表される残基単位中のRf1、Rf2、Rf3、Rf4基はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基、または炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示す。前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよい。また、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。一般式(1)中のRf1、Rf2、Rf3、Rf4は、後述する一般式(4)および(5)中のRf5、Rf6、Rf7、Rf8とそれぞれ同義であり、以下に説明するRf1、Rf2、Rf3、Rf4の具体例は、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8の具体例でもある。
炭素数1〜7の直鎖状パーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基等が挙げられる。炭素数3〜7の分岐状パーフルオロアルキル基としては、例えば、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロイソブチル基、ノナフルオロsec−ブチル基、ノナフルオロtert−ブチル基等が挙げられる。炭素数3〜7の環状パーフルオロアルキル基としては、例えば、ヘプタフルオロシクロプロピル基、ノナフルオロシクロブチル基、トリデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜7のエーテル性酸素原子を有していてもよい直鎖状パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF2OCF3基、−(CF22OCF3基、−(CF22OCF2CF3基等が挙げられる。炭素数3〜7のエーテル性酸素原子を有していてもよい環状パーフルオロアルキル基としては、例えば、2−(2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ)−ピリニル基、4−(2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ)−ピリニル基、2−(2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ)−フラニル基等が挙げられる。
Rf1、Rf2、Rf3、Rf4の少なくともいずれか1種が炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または炭素数3〜7環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種であるフッ素樹脂が、優れた耐熱性を示すという観点から好ましい。
一般式(1)で表される残基単位の具体例としては、例えば下記式(2)で表される各種残基単位が挙げられる。
このなかでも、耐熱性、成型加工性に優れるため、下記一般式(3)で表される残基単位を含むフッ素樹脂が好ましく、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂がより好ましい。
本発明のフッ素樹脂は、溶融成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下である。加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であることで、光学部材として用いた場合の透明性に優れ、性能に優れた光学部材が得られるという利点が有る。加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下である本発明のフッ素樹脂の製造方法は、後述する。ヘイズ値は、以下の方法により測定される。厚さ1mmの板の中央がくり抜いてある金型を、ポリイミドフィルムを乗せた平滑な金属板の上に乗せ、フッ素樹脂をくり抜いてある箇所に乗せ、その上にポリイミドフィルム、金属板を乗せて挟み、プレス機に乗せ、圧力をかけずに280℃で10分間加熱した後、プレス機で圧力10MPa、280℃で10分間加熱プレスした後、脱圧と圧力10MPaをかけ加熱プレスすることを5分間繰り返した後、プレス機で280℃、圧力10MPaで10分間加熱プレスを行い、その後脱圧し、金属板で挟んだ成形物を更に冷却用の金属板で挟み冷却することで加熱プレス成形品(厚さ1mm)を得た。得られた加熱プレス成形品(厚さ1mm)について、日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH5000(光源:白色LED)を用いてJIS K7136に従って測定することで、ヘイズ(%)を求める。
本発明のフッ素樹脂は、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であり、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。ヘイズ値の下限はなく、低ければ低いほど好ましいが、例えば0.01%以上を挙げることができる。
本発明のフッ素樹脂は、好ましくは、280℃24時間加熱溶融成形品(厚み3mm)の黄色度(以下、「YI」ともいう。)が6以下である。溶融成形品(厚み3mm)の黄色度が6以下であることで、光学部材として用いた場合の透明性に優れ、性能に優れた光学部材が得られる。YIは、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下であり、より好ましくは1以下である。YIの下限はなく、低ければ低いほど好ましいが、例えば0.01以上を挙げることができる。YIは、以下の方法により測定される。まず、厚さ3mmのフッ素樹脂加熱溶融成型品を、分光光度計を用いて、波長200nm〜1500nmにおいて透過率を測定する。測定した透過率のデータから波長380nm〜780nmのデータを抽出する。該透過率のデータから、JIS Z8701に準拠してXYZ表色系の三刺激値X、Y、Zを計算し、JIS K7373に準拠してC光源におけるYIを計算する。
本発明のフッ素樹脂は、例えば、ハンドリング性や成形性等を考慮すると好ましくは、嵩密度が0.1〜1.5g/cm3である。嵩密度は、0.25〜1.5g/cm3であることがより好ましく、0.25〜1.0g/cm3であことがさらに好ましい。また、嵩密度が特定の範囲にあることで、本発明のフッ素樹脂が示すYIが良好な範囲になることが、本発明者らの検討で明らかになった(実施例2、4〜6参照)。この観点で、嵩密度は0.12〜0.25g/cm3であることが好ましく、0.14〜0.22g/cm3であることがさらに好ましい。嵩密度の測定は、以下のように実施される。単位容量あたりの高さを予め測定した容積13.5mLのガラス製サンプル管(水10mLを入れた時の液面高さが2.8cm)にフッ素樹脂Aを振動を加えずに秤量して入れ、その時の粉の高さと粉の重量から、以下の式に従って、嵩密度を算出できる。この時の嵩密度はゆるみ嵩密度と呼ばれる。
嵩密度=(粉の重量(g))/((粉の高さ(cm)/0.28(cm/mL))
重量平均分子量Mwには限定はないが、例えば、1×103〜5×107が挙げられる。加熱プレス成型品のヘイズ値に優れることから、重量平均分子量Mwは5×104〜5×105の範囲であることが好ましい。更に、加熱プレス成型品のヘイズ値に優れることから、重量平均分子量Mwは5×104〜3×105の範囲であることが好ましい。重量平均分子量Mwがこの範囲にあることで、加熱プレス成型品のヘイズ値に優れ、せん断速度10-2s、250℃における溶融粘度が1×102〜3×105Pa・sであることができ、その結果、溶融成形加工性に優れる。さらに、溶融時の脱泡性にも優れる。また、重量平均分子量Mwがこの範囲にあることで、加熱冷却時のクラック発生の少ないものとなる。本発明のフッ素樹脂は、ヘイズ値に優れ、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れる観点から、好ましくは重量平均分子量Mwが5×104〜2×105の範囲であり、重量平均分子量Mwがこの範囲にあることで、せん断速度10-2s、250℃における溶融粘度が1×102〜2×104Pa・sであることができ、その結果、溶融成形加工性に優れ、更に脱泡性にも優れるため好ましい。ヘイズ値に優れ、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れる観点から、更に好ましくは重量平均分子量Mwが5×104〜1.5×105の範囲であり、加熱冷却時のクラック発生の少ないものとなる観点から、更に好ましくは6×104〜1.5×105の範囲である。
本発明のフッ素樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、例えば標準試料として分子量既知の標準ポリメタクリル酸メチル、溶離液として標準試料とフッ素樹脂の両方を溶解可能な溶媒を用い、試料と標準試料の溶出時間、標準試料の分子量から算出することができる。前記溶液液としては、アサヒクリンAK−225(旭硝子株式会社製)に、AK−225に対して10wt%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)を添加したものを挙げることができる。
本発明のフッ素樹脂の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比である分子量分布Mw/Mnには特に限定はないが、ヘイズ値に優れ、加熱溶融後の黄変が抑制され、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少ないものとなる観点から、分子量分布Mw/Mnは1.2〜8であることが好ましく、1.2〜5であることが更に好ましく、1.5〜3であることが更に好ましく、2.0〜3であることが更に好ましい。数平均分子量Mnは前述した重量平均分子量Mwの測定方法と同様の方法で測定でき、分子量分布Mw/Mnは重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで割ることにより算出することができる。
本発明のフッ素樹脂の粒径には特に限定は無いが、成形加工時の取扱い性に優れたものとなることから、体積平均粒径は1〜10000μmであることが好ましく、1〜2000μmであることが好ましく、1〜1000μmが更に好ましく、10〜1000μmが更に好ましい。
本発明のフッ素樹脂の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒子径分布測定(体積分布)で評価することができる。レーザー回折散乱法による粒子径分布は、樹脂粒子を水中又はメタノール等の有機溶媒中に分散させて測定することで測定することができる。レーザー散乱計として、マイクロトラック・ベル株式会社製のマイクロトラックを例示することができる。
体積平均粒子径とは、Mean Volume Diameterとも言われ、体積基準で表した平均粒子径であり、粒子径分布を各粒径チャンネルごとに区切り、各粒径チャンネルの代表粒径値をd、各粒径チャンネルごとの体積基準のパーセントをvとした時に、Σ(vd)/Σ(v)で表される。
本発明のフッ素樹脂はヘイズ値が小さくなることから、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン(C25CF(OCH3)C37、スリーエムジャパン社製、Novec7300)に溶解した際の不溶物の量がフッ素樹脂に対して0.2重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、0.05重量%以下であることが更に好ましく、0.01重量%以下であることが更に好ましい。不溶物の量の測定方法は以下の通りである。フッ素樹脂に1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン(C25CF(OCH3)C37、スリーエムジャパン社製、Novec7300)を加え、固形分濃度が10重量%になるように調製する。50℃で5h溶解させ、振盪攪拌することによりフッ素樹脂の溶液を調製する。該溶液を予め重量を記録した孔径0.1μmのPTFE製メンブレンフィルターを備えた加圧ろ過器により加圧ろ過し、予め孔径0.1μmのフィルターで異物を除去したNovec7300を用いて、加圧ろ過器に異物を除去したNovec7300を入れて加圧ろ過することを繰り返すことにより残存するフッ素樹脂を洗浄した後に、フィルターを取り出し、真空乾燥し、得られたフィルターの重量をろ過前のフィルター重量で引くことでフィルター上の残存物量を求め、フィルター上の残存物量を使用した樹脂の重量で割り、割合を求めることで不溶物の量(重量%)を求めた。
<フッ素樹脂の製造方法>
本発明のフッ素樹脂の製造方法は、溶融成形品(厚み1mm)のヘイズ値が10%以下であるフッ素樹脂の製造方法であり、
ラジカル重合開始剤の存在下、下記一般式(4)で表される単量体の重合を行って一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aを得る重合工程(1)、
重合工程で得られた一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aと溶媒S2との混合物から、不溶物を除去して、フッ素樹脂A溶液を得る不溶物除去工程(2)、及び
不溶物除去工程で得られたフッ素樹脂A溶液からフッ素樹脂Aを析出さる析出工程(3)を含む。
式(4)及び(5)中、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。式(4)および(5)中のRf5、Rf6、Rf7、Rf8は、式(1)中のRf1、Rf2、Rf3、Rf4とそれぞれ同義である。
重合工程(1)
重合工程(1)は、ラジカル重合開始剤の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行って一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aを得る工程である。重合工程(1)における重合方法に制限はないが、例えば、溶液重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの方法を挙げることができる。
本発明の製造方法は、一般式(4)で表される単量体が一般式(8)で表されるパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)であり、一般式(5)で表される残基単位が一般式(9)で表されるパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位であることが特に好ましい。
ラジカル重合を行う際のラジカル重合開始剤としては、例えば、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(PFBPO)、(CF3COO)2、(CF3CF2COO)2、(C37COO)2、(C49COO)2、(C511COO)2、(C613COO)2、(C715COO)2、(C817COO)2等のパーフルオロ有機過酸化物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、パーフルオロ(ジ−trt−ブチルパーオキサイド)、ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーピバレート等の有機過酸化物;2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、ヘイズ値が小さく、加熱溶融後の黄変が抑制され、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少ないものとなる観点から、パーフルオロ有機過酸化物が好ましく、ビス(パーフルオロベンゾイル)ペルオキシド(PFBPO)が更に好ましい。ここで、パーフルオロ有機過酸化物とは有機過酸化物の水素原子がフッ素原子に置換された構造の化合物を示す。
重合工程(1)は、溶媒の共存下で実施されることが適当であり、溶媒の種類により、例えば、以下の(1a)又は(1b)のいずれかの工程であることができる。
(1a)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する良溶媒b1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aと溶媒b1とを含む混合物を得る工程、
(1b)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、析出したフッ素樹脂Aを回収し、回収したフッ素樹脂Aと良溶媒b1とを混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1とを含む混合物を得る工程。
(1c)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1を混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1と貧溶媒c1とを含む混合物を得る工程。
本明細書において、フッ素樹脂Aに対する良溶媒とは、50℃においてフッ素樹脂Aを溶解可能な有機溶媒を意味する。溶解可能とは、重量平均分子量Mwが5〜15×104のフッ素樹脂Aの少なくとも一部がその有機溶媒に溶解することを意味し、例えば、フッ素樹脂A試料を20倍量(w/w)の50℃の有機溶媒に5時間以上浸漬したときに、フッ素樹脂A試料の80重量%以上が溶媒に溶解する場合、この溶媒を良溶媒とすることができる。ここで、フッ素樹脂Aは、前記一般式(3)で表される残基単位を含むフッ素樹脂であることができる。
フッ素樹脂Aに対する貧溶媒とは、フッ素樹脂Aを溶解しにくい溶媒を意味し、例えば、重量平均分子量Mwが5〜15×104のフッ素樹脂A試料を20倍量(w/w)の50℃の溶媒に5時間以上浸漬し、25℃に冷却したときに、フッ素樹脂A試料の溶媒への溶解量が20重量%未満、好ましくは、10重量%未満の溶媒を貧溶媒とすることができる。さらに、本発明においては、フッ素樹脂Aに対する貧溶媒は、良溶媒にフッ素樹脂を溶解したフッ素樹脂A溶液からフッ素樹脂Aを析出させることができる溶媒でもある。貧溶媒は、好ましくは、フッ素樹脂Aをある良溶媒に溶解させた溶液を、25℃において良溶媒の10倍量の溶媒に滴下した際にフッ素樹脂Aが析出する溶媒である。ここで、フッ素樹脂Aは、前記一般式(3)で表される残基単位を含むフッ素樹脂であることができる。
本明細書において、溶媒はSの符号を付し、工程(1)で使用する溶媒はS1、工程(2)で使用する溶媒はS2、工程(3)で使用する溶媒はS3、工程(4)で使用する溶媒はS4、工程(n)で使用する溶媒はSnと表示する(nは整数)。良溶媒はbの符号を付し、工程(1)で使用する良溶媒はb1、工程(2)で使用する良溶媒はb2、工程(3)で使用する良溶媒はb3、工程(4)で使用する良溶媒はb4、工程(n)で使用する良溶媒はbnと表示する(nは整数)。貧溶媒はcの符号を付し、工程(1)で使用する貧溶媒はc1、工程(2)で使用する貧溶媒はc2、工程(3)で使用する貧溶媒はc3、工程(4)で使用する貧溶媒はc4、工程(n)で使用する貧溶媒はcnと表示する(nは整数)。
良溶媒となり得る溶媒としては、例えば、パーフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロオレフィン等の脂肪族含フッ素溶媒、又は芳香族フッ素化合物からなる群の少なくとも1種であることが好ましく、加熱時の着色が良好なフッ素樹脂が得られることから脂肪族含フッ素溶媒であることがより好ましく、さらに好ましくはパーフルオロヘキサン、パーフルオロ−N−メチルモルホリン、パーフルオロ−N−プロピルモルホリン、パーフルオロトリエチルアミン、パーフルオロメチルジブチルアミン、パーフルオロトリブチルアミン、CF3CF2CHCl2、CF3CHFCHFCF2CF3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2H、CF3(CF25CH2CH3、C49OCH3、C49OC25、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン(C25CF(OCH3)C37)、ヘキサフルオロベンゼンからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
例えば、フロリナートFC−5052、FC−72、FC−770、FC−3283、FC−40、FC−43(いずれも3Mジャパン社製)等のパーフルオロカーボン;アサヒクリンAK−225(旭硝子社製)等のハイドロクロロフルオロカーボン;バートレルXF(三井・ケマーズ社製)、アサヒクリンAC−2000、AC−6000(いずれも旭硝子社製)等のハイドロフルオロカーボン;Novec7100、Novec7200、Novec7300(3Mジャパン社製)等のハイドロフルオロエーテル;オプテオンSF10(三井・ケマーズ社製)等のハイドロフルオロオレフィン;ヘキサフルオロベンゼン等の芳香族含フッ素溶媒;等が挙げられる。良溶媒の好ましい具体例としては、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン(C25CF(OCH3)C37、スリーエムジャパン社製、Novec7300)が挙げられる。
嵩密度が大きく、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから、良溶媒は含フッ素溶媒であることが好ましく、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン等の分子内に水素原子を有する脂肪族含フッ素溶媒;又は芳香族含フッ素溶媒であることが更に好ましく、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン等の分子内に水素原子を有する脂肪族含フッ素溶媒であることがまた更に好ましく、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルであることがまた更に好ましく、ハイドロフルオロエーテルであることが特に好ましい。ここで水素原子を有する脂肪族含フッ素溶媒は飽和であっても不飽和であっても良く、直鎖状であっても、環状であっても良い。
貧溶媒となり得る溶媒としては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−パーフルオロブチルエタノール、4,4,4−トリフルオロブタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロプロパノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチルエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルエチルエーテル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルジフルオロメチルエーテル等の分子内に水素原子を有する含フッ素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のフッ素不含の有機溶媒からなる群の少なくとも1種が挙げられる。
生産性に優れ、嵩密度が大きく、粉体としての取扱い性に優れたフッ素樹脂が得られることから、前記貧溶媒は含フッ素溶媒であることが好ましく、分子内に水素原子を有する含フッ素溶媒であることが更に好ましく、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、2,2,2−トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタンからなる群の少なくとも1種が更に好ましい。貧溶媒は、経済性の観点からは、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のフッ素不含の有機溶媒が好ましい。また、黄色度に優れることから、非塩素系の溶媒であることがより好ましく、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフランを挙げることができる。
重合工程(1a)は、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1の存在下で重合を行う工程であり、フッ素樹脂Aが良溶媒b1を含む溶媒に溶解した溶液重合による工程であることが好ましい。
重合工程(1a)は、ラジカル重合開始剤、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1に加えて、フッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の共存下に重合を行うこともできる。貧溶媒c1については後述する。貧溶媒c1の共存下に重合を行うことで、後述する析出工程における貧溶媒の使用量を低減できるという利点がある。貧溶媒c1の含有量は、重合工程において重合で生成するフッ素樹脂が析出しない程度とすることが好ましく、良溶媒b1と貧溶媒c1との比率は、例えば、良溶媒b1と貧溶媒c1の合計に対して貧溶媒c1が1〜50重量%の範囲であることができる。
重合工程(1b)は、フッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下で重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させる工程である。重合工程(1b)における貧溶剤c1は水であることもできる。貧溶剤c1が水の場合、一般に、乳化剤が存在しない場合、懸濁重合と呼ばれ、乳化剤が存在する場合、乳化重合と呼ばれる。なかでも、加熱プレス成型品のヘイズが低くなることから、貧溶媒c1が一般式(4)で表される単量体を溶解することが好ましく、沈殿重合であることが更に好ましい。ここで沈殿重合とは、単量体を溶解し、重合体を析出させる溶媒中で行う重合を意味する。
貧溶媒c1は、重合温度(例えば、30〜70℃)において、良溶媒b1に溶解したフッ素樹脂Aを析出させる溶媒であることが好ましい。貧溶媒c1は、20倍量の溶媒に対するフッ素樹脂Aの溶解度が20重量%未満であることが好ましく、10重量%未満が更に好ましい。
重合工程(1)における条件、例えば、重合温度、重合時間、ラジカル重合開始剤の濃度、単量体の濃度、単量体に対する開始剤の使用比率、溶媒の使用量などは、使用する単量体、ラジカル重合開始剤、溶媒等の種類等を考慮して、適宜決定できる。例示は以下の通りである。
重合温度は、例えば、30〜70℃の範囲、重合時間は、例えば、5〜96時間の範囲、
ラジカル重合開始剤の濃度は、例えば、単量体に対して0.1〜5モル%の範囲、
単量体の濃度は、例えば、単量体と溶媒の合計に対して5〜40重量%の範囲であることができる。但し、これらの数値範囲は、例示であり、これらの範囲に限定される意図ではない。特に、単量体の濃度は、単量体の種類及び溶媒の種類に応じ、かつ生成する重合体の溶媒への溶解性も考慮して適宜決定される。
重合には、単量体、ラジカル重合開始剤に加えて、連鎖移動剤等を併用することが加熱プレス成形品のヘイズ値が小さくなる観点から好ましい。連鎖移動剤としては特に制限はないが、例えば、水素原子又は塩素原子からなる群から選ばれる少なくとも1つの原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物を用いることができる。ここで連鎖移動剤とはフッ素樹脂のラジカル重合時に系中に存在していることにより分子量を低下させる効果を有する物質を表す。連鎖移動剤の具体例としては、トルエン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の水素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物;クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロメタン、クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ベンジルクロリド、ペンタフルオロベンジルクロリド、ペンタフルオロベンゾイルクロリド等の塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物等が挙げられる。なかでも、加熱プレス成形品のヘイズ値を抑制しつつ、加熱溶融後の黄変を抑制しつつ、フッ素樹脂の分子量を制御でき、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少なく、収率にも優れる観点から塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物であることが好ましく、一般式(A)で表されることが更に好ましい。
(式(A)中、mは0〜3の整数、nは1〜3の整数であり、pは0〜1の整数であり、qは0〜1の整数であり、m+n+p+qは4である。R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1〜19の炭化水素基又は酸素原子であり、前記酸素原子は隣り合う炭素原子と2重結合を形成していても良い。R1及びR2の炭素数の合計は1〜19であり、前記炭化水素基は酸素原子、フッ素原子、塩素原子から選ばれる1以上の原子を有していても良く、水素原子を有していなくても良い。また炭化水素基は直鎖状であっても、分岐状であっても、脂環状であっても、芳香環状であっても良く、R1及びR2が互いに連結して炭素数3〜19の環を形成していても良い。)
なかでも、加熱プレス成形品のヘイズ値を抑制しつつ、加熱溶融後の黄変を抑制しつつ、フッ素樹脂の分子量を制御でき、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少なく、収率にも優れる観点から水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物であることが更に好ましい。水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物としては、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ベンジルクロリド、ペンタフルオロベンジルクロリド等が挙げられる。また、水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物において、加熱プレス成形品のヘイズ値を抑制しつつ、加熱溶融後の黄変を抑制しつつ、フッ素樹脂の分子量を制御でき、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少なく、収率にも優れる観点から、水素原子と塩素原子は個数比で水素原子:塩素原子=1:9〜9:1の範囲であることが好ましく、1:9〜5:5の範囲であることが更に好ましい。また、加熱プレス成形品のヘイズ値を抑制しつつ、加熱溶融後の黄変を抑制しつつ、フッ素樹脂の分子量を制御でき、溶融成形加工性に優れ、溶融時の脱泡性に優れ、加熱冷却時のクラック発生の少なく、収率にも優れる観点から、水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物は下記一般式(B)又は(C)で表されることが好ましく、一般式(B)で表されることが更に好ましい。
(式(B)中、m、nはそれぞれ独立して1〜3の整数であり、pは0〜1の整数であり、qは0〜1の整数であり、m+n+p+qは4である。R1及びR2はそれぞれ独立して炭素数1〜19の炭化水素基であり、R1 p及びR2 qの炭素数の合計は0〜19であり、前記炭化水素基は酸素原子、フッ素原子、塩素原子から選ばれる1以上の原子を有していても良く、水素原子を有していなくても良い。また炭化水素基は直鎖状であっても、分岐状であっても、脂環状であっても、芳香環状であっても良く、R1及びR2が互いに連結して炭素数3〜19の環を形成していても良い。)
(式(C)中、m、n、u、vはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、m+uは1〜5であり、n+vは1〜5であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立して0〜1の整数であり、m+n+p+qは3であり、r+s+u+vは3であり、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ独立して炭素数1〜18の炭化水素基であり、R1、R2、R3、R4、R5の炭素数の合計は0〜18であり、前記炭化水素基は酸素原子、フッ素原子、塩素原子から選ばれる1以上の原子を有していても良く、水素原子を有していなくても良い。また炭化水素基は直鎖状であっても、分岐状であっても、脂環状であっても、芳香環状であっても良く、R1、R2、R3、R4、R5から選ばれる2以上の基は互いに連結して炭素数3〜19の環を形成していても良く、その環が複数あっても良い。)
一般式(A)で表される塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物としては、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロメタン、クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ベンジルクロリド、ペンタフルオロベンジルクロリド、ペンタフルオロベンゾイルクロリド等が挙げられる。一般式(B)で表される水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物としては、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ベンジルクロリド、ペンタフルオロベンジルクロリド等が挙げられる。一般式(C)で表される水素原子と塩素原子を含有する炭素数1〜20の有機化合物としては、1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。
さらに、加熱プレス成形品のヘイズ値を抑制しつつ、加熱溶融後の黄変を抑制しつつ、溶融時の脱泡性およびクラック発生を両立し、更に溶融時の脱泡性、耐熱性に優れ、溶融粘度が低く、クラック発生が少ないフッ素樹脂が得られ、更に収率にも優れたものとなることから、連鎖移動剤の量が前記単量体と連鎖移動剤の合計に対し、0.01〜95重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることが更に好ましく、3〜50重量%であることが更に好ましい。
不溶物除去工程(2)
不溶物除去工程(2)は、重合工程(1)で得られた一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物から、不溶物を除去して、フッ素樹脂A溶液を得る工程である。不溶物除去工程を設けることにより得られるフッ素樹脂の加熱溶融成形品(1mm厚)のヘイズを2%以下にすることができる。フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物又は、フッ素樹脂A溶液が不溶物を含有することは、例えば、該混合物又は該溶液を目視により観察する方法のほか、該混合物又は該溶液を予め重量を記録した孔径0.1μmのPTFE製メンブレンフィルターにより加圧ろ過し、孔径0.1μmのフィルターで異物を除去したNovec7300等の良溶媒を用いて、該良溶媒を入れて加圧ろ過することを繰り返すことにより残存する樹脂を洗浄した後に、フィルターを取り出し、真空乾燥し、フィルターの重量をろ過前のフィルター重量で引き、フィルター上の残存物量を計算するか、フィルター上の残存物を観察する方法により評価でき、かつ不溶物の少なくとも一部が除去されたことは、例えば、該混合物又は該溶液を目視により観察する方法のほか、フッ素樹脂溶液Aを予め重量を記録した孔径0.1μmのPTFE製メンブレンフィルターにより加圧ろ過し、孔径0.1μmのフィルターで異物を除去したNovec7300等の良溶媒を用いて、該良溶媒を入れて加圧ろ過することを繰り返すことにより残存する樹脂を洗浄した後に、フィルターを取り出し、真空乾燥し、フィルターの重量をろ過前のフィルター重量で引き、フィルター上の残存物量を計算するか、フィルター上の残存物を観察する方法により評価できる。
上記フッ素樹脂A溶液は、不溶物除去工程(2)において不溶物の少なくとも一部を除去したものであり、除去される不溶物の少なくとも一部は一般式(1)で表される残基単位を含むフッ素樹脂であることが、最終的に得られる本発明のフッ素樹脂Aがヘイズ値を低下させたものであるという観点から好ましい。この場合、不溶物の構造、即ち一般式(1)で表される残基単位を含むことは、顕微FT−IR等で確認することができ、例えば、以下の方法で評価することができる。樹脂希釈溶液のろ過に用いた0.1μmPTFEフィルターにNovec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥後、フィルター上の異物をピックアップし、顕微IRを測定し、一般式(1)で表される残基単位を含むフッ素樹脂のIRチャートと比較することで判定する。実施例に示すように、不溶物除去工程(2)において除去した不溶物は、一般式(1)で表される残基単位を含む樹脂であることが確認され、この不溶物の少なくとも一部を除去した本発明のフッ素樹脂Aは、ヘイズ値を低下させたものであった。
重合工程(1)で得られた一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aは、重合工程の種類により、異なる溶媒との混合物として得られる。重合工程(1a)の場合は、フッ素樹脂Aは、例えば、良溶媒b1又は、良溶媒b1と貧溶媒c1との混合溶媒との混合物である。この場合、不溶物除去工程(2)においては、これらの溶媒をそのまま溶媒S2とすることができる。良溶媒b1又は、良溶媒b1と貧溶媒c1との混合溶媒との混合物は、そのまま、良溶媒b2又は、良溶媒b2と貧溶媒c2との混合溶媒として使用することができる。あるいは、さらに、その他の溶媒を混合することで、溶媒S2とすることもできる。
重合工程(1b)の場合は、フッ素樹脂Aは、沈澱物として得られる。溶媒S2は、重合工程(1b)で得られたフッ素樹脂Aの沈澱物を固液分離等により回収し、必要に応じて、洗浄及び/又は乾燥した後に、良溶媒b2又は、良溶媒b2と貧溶媒c2との混合溶媒を含む混合物とすることができる。
溶媒S2が混合溶媒である場合、貧溶媒c2の含有量は、フッ素樹脂Aの濃度も考慮して、不溶物は共存するがフッ素樹脂は析出しない程度とすることが好ましく、良溶媒b2と貧溶媒c2との比率は、例えば、良溶媒b2と貧溶媒c2の合計に対して貧溶媒c2が1〜50重量%の範囲であることができる。
何れの場合においても、不溶物除去工程に付すフッ素樹脂Aと溶媒S2との混合物のフッ素樹脂A濃度は、フッ素樹脂の加熱溶融成形品におけるヘイズを効果的に低減するという観点から、1〜40重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることが好ましい。
不溶物除去工程(2)は、例えば、以下の(2a)又は(2b)のいずれかの工程であることができる。
(2a)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物をフィルターによりろ過して不溶物を除去する工程、
(2b)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物を遠心分離に供して不溶物を除去する工程。
不溶物除去工程(2a)では、フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物をフィルターによりろ過して不溶物を除去する。ろ過方法には特に限定はないが、例えば、加圧ろ過、減圧ろ過、遠心ろ過等が挙げられる。用いるフィルターの粒状物除去性能には限定は無いが、フッ素樹脂Aの加熱溶融成形品におけるヘイズが効果的に小さくなることから、フィルターの99%捕捉粒子径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが更に好ましく、0.1μm以下であることが一層好ましい。ここで、99%捕捉粒子径は、そのフィルターが99%以上を補足することが可能な粒子の粒子径を表し、フィルターのカタログや技術資料等に記載があるほか、粒径が既知の標準粒子の捕捉率を調べることでも知ることができる。
用いるフィルターの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PES(ポリエーテルサルホン)、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリカーボネート、セルロース、ナイロン、ポリアミド、等の樹脂;シリカ繊維、ガラス繊維等のセラミック;ステンレス、ハステロイ等の金属等が挙げられ、なかでも、フッ素樹脂Aの加熱溶融成形品におけるヘイズを効果的に小さくすることができることから、PTFE製が好ましい。また、フィルターは疎水性のものであっても、親水性のものであっても良い。
用いるフィルターの種類としては、例えば、デプスフィルター、スクリーンフィルター等が挙げられ、スクリーンフィルターとしてはメッシュフィルター、メンブレンフィルター等が挙げられ、なかでも、フッ素樹脂Aの加熱溶融成形品におけるヘイズを効果的に小さくすることができることから、スクリーンフィルターを用いることが好ましく、メンブレンフィルターを用いることが更に好ましく、PTFE製のメンブレンフィルターを用いることが更に好ましい。デプスフィルターはフィルターの内部で粒子を捕捉するフィルターであり、スクリーンフィルターはフィルターの表面で粒子を捕捉するフィルターである。メンブレンフィルターはスクリーンフィルターの一種である。また、優れたろ過性が得られることから、用いるフィルターの種類を複数組み合わせてもよく、例えば、デプスフィルターとスクリーンフィルターの組み合わせ、及び捕捉粒子径の異なるスクリーンフィルターの組み合わせを用いることができる。スクリーンフィルターにデプスフィルター等の他のフィルターや捕捉粒子径の異なるスクリーンフィルターを組み合わせる場合は、優れたろ過性が得られることから、スクリーンフィルターに組み合わせるフィルターの99%捕捉粒子径は1〜10μmであることが好ましい。
フッ素樹脂Aの加熱溶融成形品におけるヘイズを効果的に小さくすることができることから、孔径10μm以下のスクリーンフィルターを用いることが好ましく、5μm以下のスクリーンフィルターを用いることがより好ましく、孔径1μm以下のスクリーンフィルターを用いることがより好ましく、孔径0.5μm以下のスクリーンフィルターを用いることがさらに好ましく、孔径0.2μm以下のスクリーンフィルターを用いることが一層好ましい。一般に、メンブレンフィルターの孔径がCμmであるとき、99%捕捉粒子径はCμmを下回り、製品によってはCμmの粒子を99.99%以上捕捉する。
不溶物除去工程(2b)では、フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物を遠心分離に供して不溶物を除去する。遠心分離の方法には特に制限はないが、例えば、容器にフッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物を入れ、容器に遠心力をかけることにより不溶物を沈降させ、溶液を分離することで、不溶物を除去する方法等が挙げられる。遠心分離の方法としては、バッチ式であっても、連続式であっても、バッチ式と連続式の中間的な形式のものであっても良い。
析出工程(3)
析出工程(3)では、不溶物除去工程で得られたフッ素樹脂A溶液からフッ素樹脂Aを析出さる。フッ素樹脂A溶液の溶媒S3は、不溶物除去工程(2)で不溶物除去に用いられた、溶媒S2をそのまま用いても、あるいは方法によっては異なる種類や組成の溶媒を用いることができる。
フッ素樹脂A溶液から重合体を析出させる方法には特に制限はないが、析出工程(3)は、例えば、以下の(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)のいずれかの工程であることができる。
(3a)フッ素樹脂A溶液の温度を低下させてフッ素樹脂Aを析出させる工程、
(3b)フッ素樹脂A溶液をフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3に加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程、
(3c)フッ素樹脂A溶液に、フッ素樹脂A溶液に対する貧溶媒c3を加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程
(3d)フッ素樹脂A溶液から溶媒を揮発させることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程。
析出工程(3a)は、フッ素樹脂A溶液の温度を低下させてフッ素樹脂Aを析出させる工程である。フッ素樹脂A溶液の溶媒S3は、不溶物除去工程(2)で不溶物除去に用いられた溶媒S2をそのまま用いても、あるいは方法によっては異なる種類や組成の溶媒を用いることができ、不溶物除去工程(2)で不溶物除去に用いられた良溶媒b2又は、良溶媒b2と貧溶媒c2との混合溶媒を、析出工程(3a)における溶媒としてそのまま用いてもよい。即ち、良溶媒b2又は良溶媒b2と貧溶媒c2との混合溶媒は、それぞれフッ素樹脂Aに対する良溶媒b3又は、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b3とフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3との混合溶媒とすることができる。フッ素樹脂A溶液におけるフッ素樹脂Aの濃度は、生産性に優れ、紛体としての取扱い性にすぐれた粒子が得られる観点から、1〜40重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることが更に好ましく、2〜20重量%が更に好ましい。生産性に優れ、紛体としての取扱い性にすぐれた粒子が得られる観点から、析出工程に供する溶媒S3が良溶媒b3と貧溶媒c3との混合溶媒であることが好ましい。析出工程に供する溶媒S3が良溶媒b3と貧溶媒c3との混合溶媒の場合、良溶媒b3と貧溶媒c3の比率は、生産性に優れ、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られ、加熱溶融品の着色が小さくなることから、良溶媒:貧溶媒の重量比が、10:90〜99:1が好ましく、20:80〜95:5が更に好ましく、30:70〜95:5がまた更に好ましく、30:70〜90:10が更に好ましく、30:70〜80:20が更に好ましい。
析出工程(3a)において、温度を低下させる前の溶液温度T1は例えば、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは50℃以上であり、温度を低下させた後の溶液温度をT2とした場合に、T1−T2は好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上であることができる。これにより、フッ素樹脂Aの析出が十分に行われる。
析出工程(3a)において、生産性に優れ、粉体としての取扱い性に優れ、加熱溶融品の着色が小さくなることから、1〜600分間で温度を低下させることが好ましく、5〜300分間で温度を低下させることが更に好ましい。
析出工程(3a)において、生産性に優れ、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから、毎分0.05〜20℃の速度で温度を低下させることが好ましく、毎分0.1〜5℃の速度で温度を低下させることが特に好ましい。
析出工程(3b)は、フッ素樹脂A溶液をフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3に加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程であり、析出工程(3c)は、フッ素樹脂A溶液に、フッ素樹脂A溶液に対する貧溶媒c3を加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程である。析出工程(3b)及び(3c)におけるフッ素樹脂A溶液の溶媒S3は、不溶物除去工程(2)で不溶物除去に用いられた溶媒S2であってもよい。但し、貧溶媒c3との混合により、フッ素樹脂Aの析出が容易であるという観点からは、不溶物除去工程(2)で不溶物除去に用いられた溶媒s2は良溶媒b2と貧溶媒c2との混合溶媒であることが好ましい。フッ素樹脂Aの析出が容易であり、加熱溶融品の着色が小さくなるという観点からは、フッ素樹脂A溶液をフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3に加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる析出工程(3b)が好ましい。一方、粉体としての取扱い性に優れるという観点からは、フッ素樹脂A溶液に、フッ素樹脂A溶液に対する貧溶媒c3を加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる析出工程(3c)が好ましい。
何れの工程においても、生産性に優れ、粒子の互着が防止され、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから、貧溶媒c3と混合した後の良溶媒:貧溶媒の重量比は、10:90〜90:10の範囲であることが好ましく、20:80〜80:20がより好ましく、30:70〜70:30が更に好ましく、30:70〜60:40が一層好ましい。
析出工程(3d)では、フッ素樹脂A溶液から溶媒S3を揮発させることによりフッ素樹脂Aを析出させる。溶媒S3を揮発により除去するという観点から、溶媒S3は、比較的沸点が低い溶媒であることができる。溶媒S3の揮発操作は、公知の方法で実施することができるが、例えば、エクセバ等の薄膜蒸発機を用いて溶媒を揮発させる方法、加熱したフラッシュタンクに溶媒を通し溶媒を揮発させる方法、脱揮押出装置を用いて押出機で溶液を加熱して溶媒を揮発させる方法、フッ素樹脂A溶液を水等のフッ素樹脂A溶液が混和しない溶媒に分散させ、加熱するか蒸気を導入することにより溶媒を揮発させる方法(蒸気を導入する場合、スチームストリッピングと一般に呼ばれる)、低沸点の良溶媒と高沸点の貧溶媒を含むフッ素樹脂A溶液を加熱し低沸点の良溶媒を揮発させることによりフッ素樹脂Aを析出させる方法等が挙げられ、複数の方法を組み合わせてもよい。また、それらの方法により溶媒を除去した後に、ペレタイザー等によりペレット状にフッ素樹脂Aを加工してもよい。
析出工程(3a)〜(3d)は適宜組み合わせて利用することもできる。例えば、不溶物除去工程で得られたフッ素樹脂A溶液を析出工程(3b)又は(3c)に供し、残ったフッ素樹脂A溶液をさらに、析出工程(3a)又は(3d)に供して、残存するフッ素樹脂Aをさらに回収することもできる。
析出工程において、生産性に優れ、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから、フッ素樹脂A溶液の撹拌を行うことが好ましく、例えば、撹拌翼による撹拌、振動による撹拌などが挙げられる。析出工程(3a)〜(3d)のいずれにおいても、樹脂の析出に際して、溶液の撹拌を行うことが好ましい。
析出工程において、生産性に優れ、粉体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから、単位撹拌容量あたりの撹拌機モータ動力の値であるPv値が0.05〜50kW/m3となるよう撹拌しながら温度を下げることにより、粒子状の固体を析出させることが好ましく、Pv値が0.2〜50kW/m3が更に好ましく、0.5〜30kW/m3がまた更に好ましく、0.5〜10kW/m3が特に好ましい。ここでPv値(kW/m3)は以下の式(10)により算出することができる。
(ここで、Np:動力数、ρ:溶液の密度(kg/m3)、n:撹拌翼の回転数(rpm)、d:撹拌翼の直径(mm)、V:溶液量(L)を表す。)
式(10)におけるNpは動力数と呼ばれる無次元数で、撹拌翼の形状により変化する。このNpは例えば、「化学装置1995年8月号71−79頁」や「神鋼ファウドラー技報vol.28、No.8(1984年10月)、13−16頁」などの公知の文献により得ることができる。この際、翼幅bと撹拌翼の直径dの比b/dが文献に記載の撹拌翼と異なる場合には、以下の式(11)により算出することができる。
実際のNp=文献に記載のNp×(実際のb/d)/(文献に記載のb/d) (11)
(ここで、Np:動力数、b:撹拌翼の翼幅(mm)、d:撹拌翼の直径(mm)を表す。)
本発明において、重合工程(1)、不溶物除去工程(2)及び析出工程(3)の組合せには特に制限はないが、フッ素樹脂が粒子として析出する工程を含むことで不純物の少ないフッ素樹脂が得られ、加熱溶融品の着色が小さくなるという観点から、例えば、重合工程(1)が工程(1a)又は(1c)であり、かつ析出工程(3)が工程(3a)又は(3b)又は(3c)であることが好ましく、また、重合工程(1)が工程(1b)であり、かつ析出工程(3)が工程(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)であることが好ましい。更に好ましくは、重合工程(1)が工程(1a)であり、不溶物除去工程(2)が工程(2a)であり、かつ析出工程(3)が工程(3a)又は(3b)又は(3c)であることが好ましく、また、重合工程(1)が工程(1b)であり、不溶物除去工程(2)が工程(2a)であり、かつ析出工程(3)が工程(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)であることが好ましい。重合工程(1)及び析出工程(3)の組合せが上記の組合せであると、いずれかの工程において粒子状のフッ素樹脂Aが得られ、また、更に粒子状のフッ素樹脂Aを洗浄する等の工程を行うことができるために、加熱溶融品の着色が小さいフッ素樹脂が得られやすいため好ましい。また、嵩密度が高く、紛体としての取扱い性に優れた粒子が得られることから析出工程は工程(3a)又は(3c)であることが好ましい。また、粒子析出工程においてトルクの上昇等が起こりにくく、生産性に優れる観点から、析出工程は工程(3a)であることが好ましい。
析出工程(3)で得られた、樹脂が析出しているフッ素樹脂A溶液において、得られる樹脂の互着が防止され、紛体としての取扱い性に優れた樹脂が得られることから、貧溶媒c4を添加する貧溶媒添加工程(4)を行うことが好ましい。貧溶媒添加工程(4)における貧溶媒c4の添加量は、生産性に優れ、粒子の互着が防止され、粉体としての取扱い性に優れた樹脂が得られることから、析出工程で得られたフッ素樹脂A含有溶液の重量に対して、0.1倍以上の貧溶媒c4を添加することが好ましく、好ましくは0.5倍以上1倍以上の貧溶媒c4を添加することが更に好ましい。
本発明においては、他にいかなる工程を追加しても良いが、析出工程(3)または貧溶媒添加工程(4)後に、固液分離により固体を取り出す分離工程(5)を含んでいても良い。固液分離方法には特に限定はないが、例えば、加圧ろ過、減圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過等が挙げられる。用いるフィルターのサイズには限定は無いが、例えば、補足粒子径が30μm以下のフィルター等が挙げられる。用いるフィルターの材質には限定は無いが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、PTFE、PES等が挙げられる。
本発明においては、他にいかなる工程を追加しても良く、フッ素樹脂Aの粒子を洗浄する洗浄工程及び/又は乾燥させる乾燥工程を含んでいても良い。洗浄工程(6)においては、貧溶媒c6を用いることが好ましく、貧溶媒c6は、好ましくは25℃において、フッ素樹脂Aを析出させる有機溶媒である。乾燥方法には特に限定はないが、例えば、真空乾燥、減圧乾燥、常圧乾燥、送風乾燥、振盪乾燥、温風乾燥、加熱乾燥などが挙げられる。
本発明においては、析出工程(3)で得られたフッ素樹脂Aが析出している溶液又は貧溶媒添加工程(4)で貧溶媒c4を添加した溶液からフッ素樹脂Aを分離する分離工程(5)、分離したフッ素樹脂Aを貧溶媒c6で洗浄する洗浄工程(6)をさらに含んでいることが好ましい。これにより、より黄色度に優れた粒子が得られる。
また、加熱溶融成形品におけるヘイズを効果的に小さくすることができることから、貧溶媒c6として99%補足粒子径が5μm以下のフィルター又は孔径5μm以下のスクリーンフィルターでろ過した溶媒を用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。但し、実施例は本発明の例示であって、本発明は実施例に限定される意図ではない。
<物性測定方法>
(1)重量平均分子量Mw
東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHZM−M、RI検出器を備えたゲルパーミッションクロマトグラフィーを用いて測定を行った。溶離液としてアサヒクリンAK−225(旭硝子株式会社製)に、AK−225に対して10wt%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業製)を添加したものを用いた。標準試料としてAgilent製の標準ポリメタクリル酸メチルを用い、試料と標準試料の溶出時間からポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量Mwを算出した。
(2)体積平均粒子径の測定
マイクロトラック・ベル社製マイクロトラックMT3000を用い、分散媒としてメタノ−ルを使用して体積平均粒子径(単位:μm)を測定した。
(3)Pv値の算出
単位撹拌容量あたりの撹拌機モータ動力の値であるPv値は以下の式より算出した。4枚ナナメパドル撹拌翼(翼径50mm、斜め45°)を用いた時のNpは4.2を用いた。
(ここで、Np:動力数、ρ:溶液の密度(kg/m3)、n:撹拌翼の回転数(rpm)、d:撹拌翼の直径(mm)、V:溶液量(L)を表す。)。
(4)ヘイズの測定
厚さ1mmの板の中央がくり抜いてある金型を、ポリイミドフィルムを乗せた平滑な金属板の上に乗せ、フッ素樹脂をくり抜いてある箇所に乗せ、その上にポリイミドフィルム、金属板を乗せて挟み、プレス機に乗せ、圧力をかけずに280℃で10分間加熱した後、プレス機で圧力10MPa、280℃で10分間加熱プレスした後、脱圧と圧力10MPaをかけ加熱プレスすることを5分間繰り返した後、プレス機で280℃、圧力10MPaで10分間加熱プレスを行い、その後脱圧し、金属板で挟んだ成形物を更に冷却用の金属板で挟み冷却することで加熱プレス成形品(厚さ1mm)を得た。得られた加熱プレス成形品(厚さ1mm)について、日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH5000(光源:白色LED)を用いてJIS K7136に従って測定することで、ヘイズ(%)を求めた。
(5)不溶分量の測定
フッ素樹脂に1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン(C25CF(OCH3)C37、スリーエムジャパン社製、Novec7300)を加え、固形分濃度が10重量%になるように調製する。50℃で5h溶解させ、振盪攪拌することによりフッ素樹脂の溶液を調製する。該溶液を予め重量を記録した孔径0.1μmのPTFE製メンブレンフィルターを備えた加圧ろ過器により加圧ろ過し、予め孔径0.1μmのフィルターで異物を除去したNovec7300を用いて、加圧ろ過器に異物を除去したNovec7300を入れて加圧ろ過することを繰り返すことにより残存するフッ素樹脂を洗浄した後に、フィルターを取り出し、真空乾燥し、得られたフィルターの重量をろ過前のフィルター重量で引くことでフィルター上の残存物量を求め、フィルター上の残存物量を使用した樹脂の重量で割り、割合を求めることで不溶物の量(重量%)を求めた。
(6)嵩密度の測定
単位容量あたりの高さを予め測定した容積13.5mLのガラス製サンプル管(水10mLを入れた時の液面高さが2.8cm)にフッ素樹脂Aを振動を加えずに秤量して入れ、その時の粉の高さと粉の重量から、以下の式に従って、嵩密度を算出できる。この時の嵩密度はゆるみ嵩密度と呼ばれる。
嵩密度=(粉の重量(g))/((粉の高さ(cm)/0.28(cm/mL))
(7)黄色度(YI)の測定
内径26.4mmのシャーレ(株式会社フラット製フラットシャーレのフタと受器のセットのうち受器のみ、受器の底部のガラス厚み1mm)にフッ素樹脂2.0gを秤量し、イナートオーブン(ヤマト科学製DN411I)に入れ、エアー気流下(20L/min)で、室温で30分静置した後、30分かけて280℃まで昇温後、280℃で24h加熱した。その後、エアー気流下(20L/min)を維持しながら、オーブンの扉を閉めたままにして、イナートオーブンの電源を切り、12h放冷後、サンプルを取出すことで、シャーレ上に厚さ3mm、直径26.4mmのフッ素樹脂加熱溶融成型品を得た。この時、エアーとしては、コンプレッサーで圧縮した空気を除湿機に通したもの(露点温度−20℃以下)を用いた。得られたフッ素樹脂加熱溶融成形品をシャーレごと、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製U−4100)を用いて、波長200nm〜1500nmにおいて、1nm間隔で各波長における透過率を測定した。測定した透過率のデータから波長380nm〜780nmにおける5nm間隔のデータを抽出し、JIS Z8701の方法にのっとり、XYZ表色系の三刺激値X、Y、Zを計算し、JIS K7373の方法にのっとり、C光源(補助イルミナントC)におけるYIを計算し、フッ素樹脂加熱溶融成型品のシャーレ込みのYIを求めた。シャーレ単体(受器のみ)のYIを測定し、フッ素樹脂成型品のシャーレ込みのYIからシャーレ単体(受器のみ)のYIを引くことで、厚さ3mmのフッ素樹脂加熱溶融成型品のYIを求めた。なお、シャーレ単体(受器のみ)のYIは0.21であった。
実施例1
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてNovec7300(スリーエムジャパン社製、C25CF(OCH3)C37)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を100gのNovec7300で希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。
この溶液を50℃に加温した4枚ナナメパドル撹拌翼(翼径50mm、翼幅12mm、斜め45°)、スリーワンモーター、ウォーターバスを備えた容量1000mLのセパラブルフラスコに移し、200rpmで撹拌しながら50℃に加温し5分保持した後、270gのゼオローラH(日本ゼオン製、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタン)を加え、200rpmで撹拌しながら50℃で5分保持した(ゼオローラH/Novec7300=60/40(wt/wt))。600rpmで撹拌しながら(Pv値:8.1kw/m3)、ウォーターバスを外し、空気中で放冷し、約30分で30℃まで冷却することにより粒子状の固体が得られた。その後、600rpmで撹拌しながら、更に、150gのゼオローラHを加えた(ゼオローラH/Novec7300=70/30(wt/wt))。吸引ろ過を行い、アセトン洗浄を2回行い、加熱下で真空乾燥することでフッ素樹脂Aの粒子を得た。得られた樹脂は、重量平均分子量が7.2×104であり、体積平均粒径88μmの微粒子であり、粗粒の殆ど無いものであった。このとき、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例2
磁気撹拌子を備えた直径30mmのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.0865g(0.000205モル)をヘキサフルオロベンゼン0.260gに溶解した溶液を入れ、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)10.0g(0.0205モル)、重合溶媒としてゼオローラ−H(日本ゼオン製、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタン)39.74g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬製)1.111g(0.00931モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(連鎖移動剤の量:単量体と連鎖移動剤の合計に対し10重量%)。このアンプルが直立した状態で磁気撹拌子をスターラーにより撹拌しながら、55℃で24時間保持することにより沈殿重合を行ったところ、白濁し、樹脂が重合溶媒に析出したスラリーが得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、生成した樹脂粒子を含む液を濾別し、アセトンで洗浄し、真空乾燥することより体積平均粒径95μmの粒子状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂10.0gに90gのNovec7300(スリーエムジャパン社製、C25CF(OCH3)C37)を加え、50℃で4時間加熱することにより樹脂を溶解させ、樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。アンカー翼を備えたプラスチック製カップにアセトン2Lを入れ、攪拌下、前記の加圧ろ過した樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、アセトン洗浄を1回し、真空乾燥することにより、粉末状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は9.7×104であった。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。このとき、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例3
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてNovec7300(スリーエムジャパン社製、C25CF(OCH3)C37)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を100gのNovec7300で希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。
この溶液を50℃に加温した4枚ナナメパドル撹拌翼(翼径50mm、翼幅12mm、斜め45°)、スリーワンモーター、ウォーターバスを備えた容量1000mLのセパラブルフラスコに移し、600rpmで撹拌しながら(Pv値:20.6kw/m3)、420gのゼオローラH(日本ゼオン製、1,2,2,3,3,4,4−ヘプタフルオロシクロペンタン)をゆっくり加えることにより粒子状の固体が得られた(ゼオローラH/Novec7300=70/30(wt/wt)、添加終了後のPv値:6.1kw/m3)。吸引ろ過を行い、アセトン洗浄を2回行い、加熱下で真空乾燥することでフッ素樹脂Aの粒子を得た。得られた樹脂は、重量平均分子量が7.9×104であり、体積平均粒径87μmの微粒子であり、粗粒の殆ど無いものであった。このとき、析出工程以降におけるゼオローラH、Novec7300、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例4
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてNovec7300(スリーエムジャパン社製、C25CF(OCH3)C37)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を100gのNovec7300で希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。アンカー翼を備えたプラスチック製カップにアセトン2Lを入れ、攪拌下、前記の加圧ろ過した樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、アセトン洗浄を2回行い、真空乾燥することにより、粉末状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は5.7×104であった。このとき、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例5
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてNovec7300(スリーエムジャパン社製、C25CF(OCH3)C37)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封した(固形分濃度20重量%)。孔径5μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T500A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。粘度調整のため樹脂溶液を予め0.1μmPTFEフィルターでろ過した100gのNovec7300で希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。アンカー翼を備えたプラスチック製カップにアセトン2Lを入れ、攪拌下、前記の加圧ろ過した樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、アセトン洗浄を2回行い、真空乾燥することにより、粉末状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は5.5×104であった。このとき、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例6
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてFC−72(スリーエムジャパン社製、パーフルオロヘキサン)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封した(固形分濃度20重量%)。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を100gのFC−72で希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。アンカー翼を備えたプラスチック製カップにヘキサン2Lを入れ、攪拌下、前記の加圧ろ過した樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、アセトン洗浄を2回行い、真空乾燥することにより、粉末状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は7.2×104であった。このとき、ヘキサン、アセトンは予め0.1μmPTFEフィルターでろ過したものを用いた。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
実施例7
容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.173g(0.000410モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてヘキサフルオロベンゼン(東京化成工業製)80.00g、連鎖移動剤としてクロロホルム(和光純薬社製)2.22g(0.0186モル)を入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=20/80(wt/wt))。このアンプルを55℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封した(固形分濃度20重量%)。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液を100gのヘキサフルオロベンゼンで希釈して樹脂希釈溶液を作製した(固形分濃度10重量%)。孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルター(ADVANTEC社製T010A)を備えた加圧ろ過装置(ADVANTEC社製)に前記樹脂希釈溶液を入れ、加圧ろ過することにより、溶媒に不溶な成分を除去した。アンカー翼を備えたプラスチック製カップにクロロホルム2Lを入れ、攪拌下、前記の加圧ろ過した樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、真空乾燥することにより、粉末状のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は6.5×104であった。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。一方、樹脂希釈溶液のろ過に用いたPTFEフィルターに、Novec7300を50g通液して洗浄する操作を5回繰り返し、乾燥した。得られたフィルター上の不溶物を顕微IRにて確認したところ、パーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)残基単位を含むフッ素樹脂成分を含むことを確認した。この樹脂成分(不要物)を除去することで、フッ素樹脂のヘイズは比較例1に比べ明らかに低下した。
比較例1
非特許文献1のTable 2のSample93の記載に従って行った。ただし、再沈精製時のポリマー濃度については記載が無かったため、10wt%まで希釈して行った。容量75mLのガラスアンプルに開始剤としてビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)パーオキサイド0.0880g(0.000209モル)、単量体としてパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)20.0g(0.0820モル)、重合溶媒としてヘキサフルオロベンゼン32.63gを入れ、凍結脱気による窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した(単量体/溶剤=38/62(wt/wt))。このアンプルを60℃の恒温槽に入れ、24時間保持することによりラジカル溶液重合を行ったところ、樹脂が溶解した粘稠な液が得られた。室温まで冷却後アンプルを開封し、粘度調整のため樹脂溶液をヘキサフルオロベンゼン147gで希釈して樹脂希釈溶液を作製した。アンカー翼を備えたビーカーにクロロホルム1Lを入れ、攪拌下、前記の樹脂希釈溶液をビーカーに加えることで樹脂を析出させ、析出した樹脂をろ過により回収後、真空乾燥することにより、不定形のパーフルオロ(4−メチル−2−メチレン−1,3−ジオキソラン)樹脂を得た。得られたフッ素樹脂の280℃24h加熱後の成形品は泡多数であったが、着色は目視観察で実施例1より強く着色しており、実施例7と比較し、同等かやや着色が強いものであった。さらに得られたフッ素樹脂について、平均的な大きさのものを定規で大きさを測ったところ、平均的な大きさは約10mmであった。得られたフッ素樹脂の重量平均分子量は3.7×105であった。フッ素樹脂の評価結果を表1に示す。
参考例1
実施例1で作製したフッ素樹脂A(重量平均分子量Mw=7.2×104)を50℃でフッ素樹脂Aの20倍量(w/w)の各種有機溶媒に5時間以上浸漬し、溶解するかを目視で確認したところ、以下の通りの結果となった。
溶解する:FC−72、FC−770、Novec7200、Novec7300、ヘキサフルオロベンゼン。これらの溶媒に溶解した溶液を25℃まで冷却したところ、いずれも溶解した状態を維持していた。いずれも、溶け残りは殆ど無く、溶解度90wt%以上のものであった。
溶解しない:ゼオローラH、AE−3000、トリフルオロエタノール、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、ヘキサン。いずれも、25℃に冷却後、ろ過、乾燥後のフッ素樹脂Aの回収率は80%を超え、溶解度は20wt%未満のものであった。
参考例2
フッ素樹脂A(重量平均分子量Mw=7.2×104)をNovec7300に固形分濃度10重量%で溶解させたフッ素樹脂A溶液を25℃でフッ素樹脂A溶液の10倍量の以下の有機溶媒に滴下した際、固体が析出するかを目視で確認したところ、以下の通りの結果となった。
固体は析出しなかった:FC−72、FC−770、Novec7200、Novec7300、ヘキサフルオロベンゼン。いずれも、析出物は無く、溶解度90wt%以上のものであった。
固体が析出した:ゼオローラH、AE−3000、トリフルオロエタノール、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、ヘキサン。いずれも、ろ過、乾燥後のフッ素樹脂Aの回収率は80%を超え、溶解度は20wt%未満のものであった。
本発明は、フッ素樹脂に関連する分野において有用である。

Claims (21)

  1. 下記一般式(1)で表される残基単位を含み、加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂。
    (式(1)中、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
  2. フッ素樹脂を1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタンに溶解した際の不溶物の量がフッ素樹脂に対して0.2重量%以下である請求項1に記載のフッ素樹脂。
  3. フッ素樹脂の嵩密度が0.1〜1.5g/cm3である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂。
  4. フッ素樹脂の嵩密度が0.12〜0.25g/cm3である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂。
  5. フッ素樹脂の280℃24時間加熱溶融成形品(厚み3mm)の黄色度が4以下である請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素樹脂。
  6. フッ素樹脂の重量平均分子量が5×104〜3×105である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹脂。
  7. ラジカル重合開始剤の存在下、下記一般式(4)で表される単量体の重合を行って一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aを得る重合工程(1)、
    重合工程で得られた一般式(5)で表される残基単位を含むフッ素樹脂Aと、溶媒S2とを含む混合物から、不溶物を除去して、フッ素樹脂A溶液を得る不溶物除去工程(2)、
    不溶物除去工程で得られたフッ素樹脂A溶液からフッ素樹脂Aを析出させる析出工程(3)を含む、
    加熱プレス成形品(厚み1mm)のヘイズ値が2%以下であるフッ素樹脂の製造方法。
    (式(4)及び式(5)中、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8はそれぞれ独立してフッ素原子、炭素数1〜7の直鎖状のパーフルオロアルキル基、炭素数3〜7の分岐状のパーフルオロアルキル基または、炭素数3〜7の環状のパーフルオロアルキル基からなる群の1種を示し、前記パーフルオロアルキル基はエーテル性酸素原子を有していてもよく、また、Rf5、Rf6、Rf7、Rf8は互いに連結して炭素数4以上8以下の環を形成してもよく、該環はエーテル性酸素原子を含む環であってもよい。)
  8. 前記重合工程(1)は、以下の(1a)、(1b)又は(1c)のいずれかの工程である請求項7に記載の製造方法。
    (1a)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する良溶媒b1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aと良溶媒b1とを含む混合物を得る工程、
    (1b)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、析出したフッ素樹脂Aを回収し、回収したフッ素樹脂Aとフッ素樹脂Aに対する良溶媒b1とを混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1とを含む混合物を得る工程。
    (1c)ラジカル重合開始剤及びフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の存在下、一般式(4)で表される単量体の重合を行い、フッ素樹脂Aを析出させ、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1を混合して、フッ素樹脂Aと良溶媒b1と貧溶媒c1とを含む混合物を得る工程。
  9. 工程(1a)は、ラジカル重合開始剤、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b1に加えて、フッ素樹脂Aに対する貧溶媒c1の共存下に重合を行う、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記不溶物除去工程(2)は、以下の(2a)又は(2b)のいずれかの工程である請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
    (2a)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物をフィルターによりろ過して不溶物を除去する工程、
    (2b)フッ素樹脂Aと溶媒S2とを含む混合物を遠心分離に供して不溶物を除去する工程。
  11. 溶媒S2が、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b2又はフッ素樹脂Aに対する良溶媒b2及び貧溶媒c2の混合溶媒である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記不溶物除去工程(2)が(2a)である請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. フィルターが、99%補足粒子径が10μm以下のフィルター又は孔径10μm以下のスクリーンフィルターである、請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記析出工程(3)が、以下の(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)のいずれかの工程である、請求項7〜13のいずれかに記載の製造方法。
    (3a)フッ素樹脂A溶液の温度を低下させてフッ素樹脂Aを析出させる工程、
    (3b)フッ素樹脂A溶液をフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3に加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程、
    (3c)フッ素樹脂A溶液に、フッ素樹脂A溶液に対する貧溶媒c3を加えることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程
    (3d)フッ素樹脂A溶液から溶媒を揮発させることによりフッ素樹脂Aを析出させる工程。
  15. 析出工程(3a)におけるフッ素樹脂A溶液の溶媒が、フッ素樹脂Aに対する良溶媒b3とフッ素樹脂Aに対する貧溶媒c3との混合溶媒である請求項14に記載の製造方法。
  16. 析出工程(3a)において、温度を低下させる前の溶液温度T1が30℃以上であり、かつ、温度を低下させた後の溶液温度をT2とした場合に、T1−T2が5℃以上である請求項14又は15に記載の製造方法。
  17. 析出工程(3)で得られたフッ素樹脂Aが析出している溶液又は貧溶媒添加工程(4)で貧溶媒c4を添加した溶液からフッ素樹脂Aを分離する分離工程(5)、及び分離したフッ素樹脂Aを貧溶媒c5で洗浄する洗浄工程(6)をさらに含む、請求項7〜16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 前記重合工程(1)が工程(1b)であり、かつ
    前記析出工程(3)が工程(3a)、(3b)、(3c)又は(3d)である請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
  19. 前記析出工程(3)が工程(3a)又は(3c)である請求項14〜18のいずれかに記載の製造方法。
  20. 前記析出工程(3)が工程(3a)、(3b)又は(3c)の工程であり、溶媒S2が脂肪族含フッ素溶媒である請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
  21. 前記不溶物除去工程(2)において除去される不溶物が一般式(1)で表される残基単位を含むフッ素樹脂を少なくとも含む請求項7〜20のいずれかに記載の製造方法。
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