JP2020110090A - 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法 - Google Patents

発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020110090A
JP2020110090A JP2019003783A JP2019003783A JP2020110090A JP 2020110090 A JP2020110090 A JP 2020110090A JP 2019003783 A JP2019003783 A JP 2019003783A JP 2019003783 A JP2019003783 A JP 2019003783A JP 2020110090 A JP2020110090 A JP 2020110090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic membrane
cross
membrane filter
flow filtration
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019003783A
Other languages
English (en)
Inventor
耕平 渡邊
Kohei Watanabe
耕平 渡邊
建之 藤原
Tateyuki Fujiwara
建之 藤原
慎一 小坂
Shinichi Kosaka
慎一 小坂
耕士 稗田
koji Hieda
耕士 稗田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Breweries Ltd
NGK Insulators Ltd
NGK Filtech Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
NGK Insulators Ltd
NGK Filtech Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Breweries Ltd, NGK Insulators Ltd, NGK Filtech Ltd filed Critical Asahi Breweries Ltd
Priority to JP2019003783A priority Critical patent/JP2020110090A/ja
Priority to EP20738797.8A priority patent/EP3909671B1/en
Priority to PCT/JP2020/000141 priority patent/WO2020145261A1/ja
Publication of JP2020110090A publication Critical patent/JP2020110090A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D63/00Apparatus in general for separation processes using semi-permeable membranes
    • B01D63/06Tubular membrane modules
    • B01D63/066Tubular membrane modules with a porous block having membrane coated passages
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D65/00Accessories or auxiliary operations, in general, for separation processes or apparatus using semi-permeable membranes
    • B01D65/02Membrane cleaning or sterilisation ; Membrane regeneration
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D71/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by the material; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D71/02Inorganic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12CBEER; PREPARATION OF BEER BY FERMENTATION; PREPARATION OF MALT FOR MAKING BEER; PREPARATION OF HOPS FOR MAKING BEER
    • C12C7/00Preparation of wort
    • C12C7/14Lautering, i.e. clarifying wort
    • C12C7/16Lautering, i.e. clarifying wort by straining
    • C12C7/165Lautering, i.e. clarifying wort by straining in mash filters
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2311/00Details relating to membrane separation process operations and control
    • B01D2311/04Specific process operations in the feed stream; Feed pretreatment
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2311/00Details relating to membrane separation process operations and control
    • B01D2311/26Further operations combined with membrane separation processes
    • B01D2311/2688Biological processes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2315/00Details relating to the membrane module operation
    • B01D2315/10Cross-flow filtration
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/14Ultrafiltration; Microfiltration

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

【課題】セラミック膜フィルターを用いるクロスフロー濾過工程を含み、発酵液にシリカキセロゲルを含みながら、膜間差圧の急速な上昇が抑制され、長時間の濾過運転を可能にする発酵麦芽飲料の製造方法を提供する。【解決手段】原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過することを含む発酵麦芽飲料の製造方法であって、クロスフロー濾過は、発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われ、発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む製造方法である。【選択図】図8

Description

本発明は、発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法に関する。
原料として麦芽を使用するビール、発泡酒等の発酵麦芽飲料は、原料液に酵母を添加して発酵させた後、濾過工程により酵母等を取り除いて製造される。この濾過工程では、混濁の原因物質を吸着・除去するために、安定化剤としてシリカゲル、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)等が用いられることが一般的である。濾過方式としては、従来から珪藻土濾過が用いられているが、近年では、品種切り替え時のロス、廃棄物の発生等を抑えることができ、ハンドリングも容易なクロスフロー濾過が用いられるようになっている。発酵麦芽飲料のクロスフロー濾過では、通常、ポリマー膜フィルターが使用されている。例えば、特許文献1には、ビールの濾過にセラミック膜フィルターを使用することが記載されている。しかしながら、現実的には十分な透過流束が得られないために、実用には至っていない。
特開昭62−3287号公報
ビール等の発酵麦芽飲料の製造にセラミック膜フィルターを使用するクロスフロー濾過を適用する場合、発酵液に安定化剤として、例えば乾燥減量が10%以下であるシリカキセロゲルを添加すると、膜間差圧(Transmembrane Pressure;TMP)の上昇速度が大きくなり、実用的な濾過時間を確保することが困難になることが見出された。
したがって、本発明の目的は、セラミック膜フィルターを用いるクロスフロー濾過工程を含み、発酵液にシリカキセロゲルを含みながら、膜間差圧の急速な上昇が抑制され、長時間の濾過運転を可能にする発酵麦芽飲料の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであり、本発明は以下の態様を包含する。第一態様は、発酵麦芽飲料の製造方法であって、原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過することを含み、クロスフロー濾過は、発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われ、発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む製造方法である。
第二態様は、発酵液の濾過方法であって、原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過することを含み、該クロスフロー濾過は、該発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われ、該発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む濾過方法である。
本発明によれば、セラミック膜フィルターを用いるクロスフロー濾過工程を含み、発酵液にシリカキセロゲルを含みながら、膜間差圧の急速な上昇が抑制され、長時間の濾過運転を可能にする発酵麦芽飲料の製造方法を提供することができる。
一般的なモノリス型セラミック膜フィルターの構成を示す概略図である。 スリットが設けられたモノリス型セラミック膜フィルターの構造を示す概略図である。 クロスフロー濾過装置の構成の一例を示す概略図である。 クロスフロー濾過装置の構成の他例を示す概略図である。 複数の濾過器を使用する濾過方法を説明する概略図である。 複数の濾過器を使用する濾過方法を説明する概略図である。 実施例で使用したスリットが設けられたモノリス型セラミック膜フィルターの構造を示す概略図である。 実施例、比較例及び参考例における膜間差圧と濾過時間の関係を示すグラフである。 比較例及び参考例における膜間差圧と濾過時間の関係を示すグラフである。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、発酵麦芽飲料の製造方法等を例示するものであって、本発明は、以下に示す発酵麦芽飲料の製造方法等に限定されない。
発酵麦芽飲料の製造方法
発酵麦芽飲料の製造方法は、原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過する濾過工程を含む。クロスフロー濾過は、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われる。モノリス型セラミック膜フィルターは、発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備える。また、クロスフロー濾過に供する発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含んでいる。なお、濾過工程以外の製造工程、例えば、仕込工程、発酵工程、パッケージング工程等については特に限定されない。
膜のポアサイズが特定の範囲にあり、濾液を取り出すスリットを備えるモノリス型セラミック膜フィルターを用いて、特定のシリカゲルを含有させた発酵液を透過させることで、膜間差圧の急速な上昇が抑制されて長時間の濾過運転が可能になる。また、発酵液から、酵母、及び酵母以外の微生物が効率的に除去されるため、濾過物を追加の濾過工程のような除菌処理、殺菌処理に供する必要がなく、製造工程が簡略化される。
製造される発酵麦芽飲料としては、麦芽を含む原料を発酵させる工程を含んで製造される飲料であって、ビール、発泡酒、新ジャンルと呼称される発泡性酒類、及びこれらの飲料からアルコールを取り除いた清涼飲料水等が挙げられる。
ここで、ビールとは、日本国の酒税法(平成三十年法律第五十九号)、酒税法施行令(平成三十年政令第百三十六号)、酒税法施行規則(平成三十年財務省令第十九号)により定義されるビールであってよく、またこれらに限定されず、一般的な概念としてのビールを含むものである。
なお、上記法令におけるビールとは、次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
イ) 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ) 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
ハ) イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
また、発泡酒は、ビール以外の麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するビール様のものとし、新ジャンルは発泡酒にスピリッツを加えたものとする。
発酵液は、糖を含む原料液を酵母によってアルコール発酵させたものであり、酵母、たんぱく質、ポリフェノール等を含み、意図せず酵母以外の微生物が含まれる可能性がある。酵母以外に含まれうる微生物としては乳酸菌などが考えられる。原料液の調製には少なくとも麦芽が原料として用いられる。なお、原料として大豆たんぱく等、植物由来のたんぱく質を使用する場合、100℃以上で焙燥させた濃色麦芽の使用比率が高い場合には、濾過性が悪化する場合がある。発酵液は、所望の構成を有する原料液を通常用いられる方法で酵母を用いて発酵させることで調製することができる。
常法により原料液を発酵させて得られる発酵液には、乾燥減量が10%以下のシリカゲルが添加され、その後、濾過工程に供されて、スリットを備えるモノリス型セラミック膜フィルターを用いるクロスフロー濾過によって酵母、酵母以外のその他の微生物、たんぱく質、及びポリフェノール等からなる群から選択される少なくとも1種の物質の少なくとも一部が除去される。
濾過工程に供される発酵液は、乾燥減量10%以下、好ましくは乾燥減量7%以下のシリカゲルを含む。シリカゲルは、例えば、安定化剤として発酵液に含まれる。シリカゲルを含む発酵液からは、濾過工程によって発酵液から混濁の原因となるたんぱく質等が吸着・除去される。
シリカゲルの乾燥減量は、ISO 787−2:1981(JIS K 5101−15−1:2004)に準じて測定された、105℃で2時間乾燥したときの下記式によって質量分率(%)として表される値である。
Figure 2020110090
ここで、m:試料の質量(g)、m:試料の乾燥後の質量(g)である。
シリカゲルは市販されているものを用いることができる。乾燥減量が10%以下のシリカゲルは、例えばシリカキセロゲルとも呼ばれ、例えば、富士シリシア化学株式会社製SYLOPUTE(登録商標)、Evonik Industries社製CARPLEX(登録商標)等が市販されている。シリカゲルとしては、例えば、体積基準の50%粒子径(メジアン径;d50)が8μm以上20μm以下、乾燥減量2%以上10%以下であるシリカゲルを用いることができる。
また、使用するシリカゲルは、個数基準の10%粒子径(d10)が、セラミック膜フィルターのポアサイズよりも大きいことが好ましい。これにより、膜フィルターの閉塞がより効果的に抑制され、濾過工程において、膜間差圧の急速な上昇が抑制される。シリカゲルの個数基準の10%粒子径(d10)は、例えば、0.5μm以上であり、好ましくは1.5μm以上であり、また例えば、4.0μm以下である。
シリカゲルの個数基準の50%粒子径は、例えば、1.5μm以上であり、好ましくは3.0μm以上であり、また例えば10.0μm以下であり、好ましくは7.0μm以下である。また、シリカゲルの体積基準の50%粒子径は、例えば、3.0μm以上であり、好ましくは10.0μm以上であり、また例えば30.0μm以下であり、好ましくは25.0μm以下である。個数基準又は体積基準の50%粒子径が、上記範囲であると、濾過工程において、膜間差圧の急速な上昇がより抑制される。
なお、膜間差圧は以下の式で表され、複数のセラミック膜フィルターを用いる場合は、濾過装置全体としての膜間差圧を考慮する。
Figure 2020110090
なお、シリカゲルの任意%粒子径は、ISO 13320:2009(JIS Z 8825:2013)に準じて、市販の粒子径分布測定装置、パーティクルカウンター等を用いて測定することができる。
シリカゲルの比表面積は、例えば、300m/g以上であり、好ましくは500m/g以上であり、また例えば1000m/g以下であり、好ましくは850m/g以下である。シリカゲルの比表面積が上記範囲であると、濾過工程において、充分にタンパク質が除去される。
シリカゲルの含有率は、発酵液に対して、例えば100ppm以上が好ましく、200ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらに好ましい。また、シリカゲルの含有率は、例えば2000ppm以下が好ましく、1200ppm以下がより好ましく、1000ppm以下がさらに好ましい。ここでシリカゲルの含有率1ppmは、1mg/Lに相当する。シリカゲルの含有量が上記下限値以上であると、混濁の原因となるたんぱく質を充分に吸着・除去することができる。また、シリカゲルの含有量が上記上限値以下であると、濾過性の悪化が抑制され、発酵麦芽飲料の泡持ちが良好に維持される。
本実施形態では、シリカゲルとして乾燥減量(含水率)が10%以下と比較的小さいシリカキセロゲルを用いる。シリカゲルにはこの他に、乾燥減量が比較的大きな、例えば40%以上のシリカハイドロゲルがある。シリカハイドロゲルとしては、例えば、PQコーポレーション社製BRITESORB(登録商標)、GRACE社製DARACLAR(登録商標)などが挙げられる。
発酵液は、本発明の効果を損なわない範囲でシリカハイドロゲルを含んでいてもよい。発酵液がシリカハイドロゲルを含む場合、その含有率は、例えば、500ppm以下であり、300ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、50ppm未満が更に好ましく、1ppm未満が特に好ましい。すなわち、発酵液は、乾燥減量が10%を越えるシリカゲル、例えば、シリカハイドロゲルを実質的に含まないことが好ましい。
発酵液は、混濁の原因物質を吸着・除去する安定化剤として、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)を含んでいてもよい。PVPPとしては、BASF社製ダイバガン(登録商標)、Ashland社製Polyclar(登録商標)等が市販されている。発酵液がPVPPを含む場合、その含有率は、例えば、300ppm以下であり、200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、50ppm未満が更に好ましく、1ppm未満が特に好ましい。すなわち、発酵液は、ポリビニルポリピロリドンを実質的に含まないことが好ましい。
発酵液においては、乾燥減量が10%を越えるシリカゲル及びポリビニルポリピロリドンの総含有率が、例えば50ppm未満であり、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満である。すなわち、発酵液は、乾燥減量が10%を越えるシリカゲル(例えば、シリカハイドロゲル)及びポリビニルポリピロリドンを実質的に含まないことが好ましい。
また、シリカゲルは、PVPPよりもポリフェノール類に対する吸着性が低いことから、PVPPを用いる場合よりも発酵麦芽飲料の風味に対する影響が少ないと考えられる。
発酵麦芽飲料の製造方法では、スリットが設けられたモノリス型セラミック膜フィルター(以下、単に「セラミック膜フィルター」ともいう)が用いられる。一般に、セラミック膜フィルターは、ポリマー膜フィルターに比べて、耐熱性、耐食性、耐久性に優れており、化学洗浄や逆圧洗浄、さらには焼成による再生が可能であるため、膜フィルター交換の手間やコストを削減することができる。また、高強度のため、高い濾過圧力や循環流速でのクロスフロー濾過も可能であるほか、細孔径分布がシャープで分離精度が高いという特徴を有する。
モノリス型セラミック膜フィルターは円柱形状又は角柱形状を有し、延伸方向に直交する2つの端面(例えば、底面及び上面)間を貫通する原液チャンネルが設けられている。濾過対象となる原液は、原液チャンネルを流通する間に、原液チャンネルを包囲して設けられる膜層で濾過され、基材層を通過して透過側に濾過液が流出する。原液チャンネルの断面形状は、円形、楕円径、長円形、多角形等のいずれであってもよい。
セラミック膜フィルターは、例えば、多孔質の基材層上に、所望のポアサイズ(平均細孔径)を有する膜層を設けて構成される。基材層と膜層の間には必要に応じて中間層を設けてもよい。下地となる中間層を設けることで、例えば、膜層のポアサイズが0.5μm以下のような微細な場合であっても、膜層を構成するセラミック粒子の流出を抑制することができる。
本実施形態に用いられるセラミック膜フィルターには、スリット(以下、集液スリットともいう)が設けられる。スリットは、基材層中に原液チャンネルと交差しないように設けられ、セラミック膜フィルターの表面に開口部を有する。スリットの開口部は、例えばセラミック膜フィルターの側面に設けられ、側面間を貫通してスリットが設けられてもよい。スリットの断面形状は、例えば、矩形状とすることができるが、略円形、楕円径、長円形、多角形等であってもよい。スリットは、例えば、基材層内に原液チャンネルと略平行に設けられ、端面に開口部を有しない集液チャンネルの少なくとも1つと接続していてもよい。集液チャンネルの断面形状は、円形、楕円径、長円形、多角形等のいずれであってもよい。スリットが設けられることで、原液チャンネルから透過側表面までの距離の最大値を小さくすることができ、透過側の表面積を大きくすることができるため、透過流束を向上させることができる。
スリットを有するセラミック膜フィルターについては、例えば、米国特許第4781831号明細書、国際公開第2013/147271号等を参照することができる。
図1は、一般的なモノリス型セラミック膜フィルター100の構成を示す概略図である。濾過対象となる原液は、流路となる各原液チャンネル10の内部に入り、原液チャンネル10の内側から膜層20、及び基材層30を通って外側にしみ出すことによって濾過される。図1に示す一般的なモノリス型セラミック膜フィルター100では、基材層30にスリットが設けられていない。
図2は、本実施形態に係るスリットを有するモノリス型セラミック膜フィルター200の構成の一例を示す概略図である。なお、図2はメタウォーター株式会社のウェブサイト(http://www.metawater.co.jp/news/2016/11/20161125-1.html)から引用し、一部改編した図面である。モノリス型セラミック膜フィルター200では、原液チャンネル10が、モノリス型セラミック膜フィルター200の長さ方向に貫通し、略円形の断面を有する貫通孔として複数設けられる。原液チャンネル10は、長さ方向に略直交する方向に略平行に複数配置されている。モノリス型セラミック膜フィルター200では、基材層30に、濾液を集める集液チャンネル40が、略円形の断面を有する柱状孔として、端面に開口部を有さずに形成されている。集液チャンネル40は、原液チャンネル10に交差せず、原液チャンネル10と略平行に複数設けられる。すなわち、集液チャンネル40は、基材層30によって原液チャンネル10から離隔して設けられる。集液スリット50は、集液スリット50の延伸方向に略平行に配置される複数の集液チャンネル40と接続し、モノリス型セラミック膜フィルター200の側面に開口部55を有して設けられる。図2では、集液スリット50は、モノリス型セラミック膜フィルター200の一方の側面側から他方の側面側に基材層30を貫通して配置されている。図2では、6本の集液スリット50が設けられているが、集液スリットの配置数は、例えば2から8本であってもよい。
モノリス型セラミック膜フィルター200が、集液チャンネル40と接続し、側面に開口部55を有する集液スリット50を基材層30に有することで、膜層20の表面から透過側表面までの距離の最大値が小さくなり、透過側の表面積が増大して、高い透過流束を達成することができる。
濾過工程におけるモノリス型セラミック膜フィルターの透過流束は、例えば30L/m/h以上であり、40L/m/h以上が好ましく、50L/m/h以上がより好ましい。透過流束が前記下限値以上であると、目的とする透過流量(L/h)に対してモノリス型セラミック膜フィルターの膜面積、使用本数を削減することが可能となる。
一方、透過流束は、例えば100L/m/h以下であり、80L/m/h以下が好ましく、70L/m/h以下がより好ましい。透過流束が前記上限値以下であると、膜間差圧の上昇速度がより抑制され、膜間差圧の上昇に伴うセラミック膜フィルターの一次側に設置されるポンプの負荷がより低減される。これによりポンプ吐出圧の上限に達するまでの時間がより延長され、同一のセラミック膜フィルターを用いて連続で濾過できる時間がより長くなる。
セラミック膜フィルターのポアサイズは、例えば0.5μm以下であり、0.3μm以下が好ましい。セラミック膜フィルターのポアサイズが0.5μm以下であると、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む発酵液に対する膜間差圧の上昇速度を効果的に抑制することができ、濾過工程の長時間にわたる連続運転が可能になる。また、セラミック膜フィルターの除菌性能が充分に維持され、クロスフロー濾過以外に発酵液の除菌処理、殺菌処理等を実施する必要がなくなる。なお、セラミック膜フィルターの除菌性能については後述する。セラミック膜フィルターのポアサイズは、例えば0.1μm以上であり、0.15μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。セラミック膜フィルターのポアサイズが前記下限値以上であると、膜間差圧の急速な上昇を抑制できる。
セラミック膜フィルターのポアサイズは、例えば、JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法」に準じて、市販の水銀圧入式ポロシメーターを用いて測定することができる。本明細書では、JIS R 1655:2003に規定する試験方法による試験結果で得られる気孔径頻度分布曲線から読み取られる膜層に該当するピーク値をポアサイズとする。
なお、セラミック膜フィルターを用いて、原料に麦芽を含む発酵液をクロスフロー濾過する場合、安定化剤の主成分として乾燥減量(含水率)の小さなシリカキセロゲルを発酵液が含むと、シリカキセロゲルがセラミック膜フィルターのポアサイズより小さい粒子径を有する粒子をほとんど含まない場合、例えば、個数基準の10%粒子径(d10)がポアサイズよりも大きい場合であっても、膜間差圧の上昇速度が大きくなる場合がある。
セラミック膜フィルターのポアサイズが0.5μm以下であると、シリカキセロゲルを添加しない場合でも膜間差圧の上昇が早くなる。一方で、ポアサイズが0.5μmより大きい場合に比べて、シリカキセロゲルを添加した場合と添加しない場合との、特定の膜間差圧に達するまでに要する時間の差は小さい。すなわち、ポアサイズ0.5μm以下では、シリカキセロゲルに由来する膜間差圧の上昇の影響が小さいと考えられる。したがって、セラミック膜フィルターのポアサイズを0.5μm以下にすることによって、シリカキセロゲルに由来する膜間差圧の上昇を抑えることが可能となる。
また、ポアサイズを大きくするとセラミック膜フィルターの除菌性能が悪化する。一方、セラミック膜フィルターのポアサイズが0.5μm以下であれば、クロスフロー濾過工程における除菌性能が充分に維持される。
セラミック膜フィルターの除菌性能は、バクテリアチャレンジ試験によって求められる対数減少値(Log Reduction Value;LRV)によって評価することができる。セラミック膜フィルターの対数減少値は、例えば5以上であり、6以上が好ましく、7以上がより好ましく、9以上がさらに好ましい。セラミック膜フィルターを用いる濾過工程の対数減少値が5以上であると、製造工程全体としての対数減少値を容易に5以上とすることができる。これにより、本実施形態における製造方法では、クロスフロー濾過に追加して、発酵液の殺菌処理、滅菌処理等を実施する必要性が低い。なお、追加される発酵液の殺菌処理、滅菌処理等は、例えば、追加の濾過処理、加熱殺菌処理等によって実施されることが一般的である。
一般に、パストライゼーション等の加熱殺菌工程を行わずに発酵麦芽飲料を製造する場合、食品衛生上の理由及び品質に影響を与える微生物を捕捉する必要性から、製造工程全体における対数減少値を5以上に確保することが望まれる。しかしながら、従来の珪藻土濾過及びポリマー膜フィルターを用いたクロスフロー濾過では、単独で対数減少値を5以上とすることが実現困難であり、これらのクロスフロー濾過工程とは別に追加の濾過工程等の除菌処理、殺菌処理等を設ける必要があった。しかし、特定のポアサイズを有するセラミック膜フィルターを用いることで、対数減少値を5以上にすることが容易に達成される。
本明細書において、バクテリアチャレンジ試験は、ビール等の発酵麦芽飲料に混入して混濁を引き起こす微生物、例えば、ビール混濁菌として代表的なLactobacillus属乳酸菌のLactobacillus brevisに対する除菌性能で評価される。
具体的にバクテリアチャレンジ試験は以下の方法により実施することができる。試験菌(Lactobacillus brevis NBRC 107147)をMRS寒天培地(Lactobacilli MRS Agar(Difco))に接種し、30℃で3日間培養後、得られた菌体をMRS液体培地(Lactobacilli MRS Broth(Difco))に接種して、30℃で2日間培養する。この培養液を遠心分離後、得られた菌体を1mL当たりの菌数が約1010となるように滅菌精製水に懸濁させ、菌液とする。純水40Lに1mL当たりの菌数が約10となるように菌液を添加、混合して試験液とする。試験液1000mLを0.10、0.15及び0.20MPaの条件で検体に通水させて、通過水を採水する。検体通過前の試験液の生菌数(試験菌数)は、MRS寒天培地を用いた平板塗抹培養法により測定した1mL当たりの生菌数を1000mL当たりに換算することで算出する。また、通過水の生菌数(漏洩菌数)は、メンブランフィルター法(30℃,3日間培養)により測定する。
上記試験結果からLRVは以下の式により算出される。
LRV=log10(A/B)
ここでA:試験菌数であり、B:漏洩菌数である。なお、漏洩菌数が0の場合は、Bに1を用いて、LRV≧log10Aとして評価される。
また、ポアサイズを0.5μm以下にすることによって、セラミック膜フィルターの洗浄回復性の悪化を抑えることができる。ポアサイズが0.5μmより大きい場合、例えば0.7μm以上にした場合、膜間差圧が0.3MPa以上に達すると、セラミック膜フィルターの洗浄回復性が悪化し、洗浄剤を用いてセラミック膜フィルターを洗浄しても、透過流束が十分に回復しない場合がある。セラミック膜フィルター自体は1.0MPa以上の耐圧性を有するものの、上記の理由から膜間差圧の上限を低くする必要がある。
一方、ポアサイズを0.5μm以下にすれば、膜間差圧が0.3MPaに達しても、洗浄によって透過流束を回復させることが可能である。したがって、ポアサイズが0.5μmより大きいセラミック膜フィルターでは、膜間差圧を0.3MPa未満の0.2MPa程度までしか上げられなかったが、ポアサイズが0.5μm以下のセラミック膜フィルターでは、膜間差圧を0.3MPa以上にすることが可能となる。ただし、ポンプの負荷、空気式計装の供給圧力、設備保全等を考慮すると、濾過工程中の膜間差圧を0.6MPa以下にすることが好ましく、0.5MPa以下にすることがより好ましい
クロスフロー濾過工程で使用するモノリス型セラミック膜フィルターの材質は特に限定されないが、基材層、中間層、膜層ともに高純度のアルミナ(Al)を用いることが一般的である。
セラミック膜フィルターの膜面積、透過側の表面積、膜面から透過側の表面までの距離の最大値等は、目的とする濾過流量(L/h)等に応じて選択すればよい。例えば直径60mm、長さ1100mm程度のモノリス型セラミックフィルターを用いる場合、具体的にセラミック膜フィルターの膜面積としては、例えば0.8m以上4.0m以下であり、好ましくは1.5m以上3.0m以下である。透過側の表面積としては、例えば0.22m以上0.70m以下であり、好ましくは0.40m以上0.55m以下である。また、膜面から透過側の表面までの距離の最大値のモノリス型セラミック膜フィルターの外径に対する比が、例えば0.06以上0.31以下であり、好ましくは0.12以上0.23以下である。更に、セラミック膜フィルターの膜面積に対する透過側の表面積の比は、例えば0.09以上0.30以下であり、好ましくは0.15以上0.25以下である。
濾過工程におけるクロスフロー濾過は、複数のモノリス型セラミックフィルターを用いて実施してもよい。複数のモノリス型セラミックフィルターを用いる場合、複数のモノリス型セラミックフィルターは、流路を介して並列に接続されていても、直列に接続されていてもよく、少なくとも並列に接続されるモノリス型セラミックフィルターを含むことが好ましい。これにより、セラミック膜フィルターの膜層全体をより均一に使用することができ、膜間差圧の上昇速度をより効果的に抑制することができる。さらに、所望の透過流量を容易に達成することができる。
発酵液のクロスフロー濾過に供する複数のモノリス型セラミック膜フィルターの配置例を、図3及び図4を参照して説明する。図3では、4本のモノリス型セラミック膜フィルター200のすべてが並列の関係で配置され、1つの流路から分岐した4つの流路がそれぞれのモノリス型セラミック膜フィルター200に接続されている。また図4では、並列に配置された2本のモノリス型セラミック膜フィルター200からなる2つのユニットが直列に配置されている。それぞれのユニットでは、2つのモノリス型セラミック膜フィルター200が並列に配置され、1つの流路から分岐する2つの流路がそれぞれのモノリス型セラミック膜フィルター200に接続される。また、モノリス型セラミック膜フィルター200はユニット単位として直列に配置され、それぞれのユニットの流入側と流出側にはそれぞれ1つの流路が接続される。
濾過工程に複数のモノリス型セラミックフィルターが用いられる場合、クロスフロー濾過は、発酵液の流路に切り替え可能に接続される2以上のモノリス型セラミック膜フィルターを順次切り替えて連続的に行われてもよい。この場合、濾過工程は、発酵液を、少なくとも1のモノリス型セラミック膜フィルターを透過させると共に、少なくとも1の他のモノリス型セラミック膜フィルターを定置洗浄することと、発酵液の流路を切り替えて、発酵液を、定置洗浄後のモノリス型セラミック膜フィルターを透過させると共に、発酵液を透過させた後のモノリス型セラミック膜フィルターを定置洗浄することと、を含む。本実施形態においては、発酵液を透過させる時間が、定置洗浄に要する時間よりも長いことが好ましい。
複数のモノリス型セラミック膜フィルターを順次切り替えて行われる濾過工程の一例を図5及び図6を参照して説明する。図5では、シリカゲルを含む発酵液は、実線で示される流路に沿って流れ、モノリス型セラミック膜フィルターを含む濾過装置220によってクロスフロー濾過される。濾過装置220による発酵液の濾過中に、破線で示される流路に沿って洗浄液及び水が流れ、モノリス型セラミック膜フィルターを含む濾過装置210は定置洗浄(Cleaning in Place;CIP)に供される。次に図6では、定置洗浄された濾過装置210に、実線で示される流路に沿ってシリカゲルを含む発酵液が供給されて、発酵液がクロスフロー濾過される。一方、発酵液のクロスフロー濾過に用いられた濾過装置220には、破線で示される流路に沿って洗浄液及び水が流れて定置洗浄される。図5の状態と図6の状態を流路切り替え装置によって順次切り替えることによって、発酵液を連続的に濾過することが可能となる。なお、濾過装置210及び220は、例えば図3又は図4に示すように構成されていてもよい。
定置洗浄は、例えば、第1洗浄剤410、第2洗浄剤420、第3洗浄剤430及び水440を流路に供給し、洗浄剤及び水の少なくとも1種を、濾過装置210、220を透過させて行われる。第1洗浄剤、第2洗浄剤及び第3洗浄剤には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液;次亜塩素酸ナトリウム水溶液、過酸化水素、過硫酸塩水溶液等の酸化性洗浄液;硝酸、リン酸等の酸性水溶液などが用いられる。洗浄剤は単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。また、定置洗浄では、洗浄剤は加熱装置450で30℃以上60℃以下に加温されてもよい。定置洗浄に用いられた洗浄剤、水等は随時排水部460から排出される。
本実施形態では、セラミック膜フィルターの定置洗浄に要する時間よりも、セラミック膜フィルターを含む1の濾過装置で発酵液を連続して濾過できる時間の方が長いことが好ましい。これにより、発酵液の供給を止めること無く連続的に濾過することが可能となる。一般に、セラミック膜フィルターの定置洗浄に要する時間は、2時間から3時間程度である。したがって、セラミック膜フィルターを洗浄せずに連続的に発酵液を濾過できる時間が、例えば、3時間以上であれば、発酵液を連続的に濾過することができる。発酵液の連続濾過が可能な時間は、ポリマー膜フィルターを含む濾過装置を用いるクロスフロー濾過と同程度の5時間以上が好ましく、6時間以上がより好ましい。
濾過工程において、セラミック膜フィルター通過時における発酵液の温度は、例えば−2℃以上3℃以下であり、−2℃以上2℃未満が好ましい。このような温度で寒冷混濁を強制発現させることで、クロスフロー濾過により混濁物質をより効率的に除去することが可能となる。発酵液の温度は、例えば、図3及び4に示すような冷却器310によって調整することができる。
濾過工程における発酵液の循環線速度は、一般的に速い方が膜間差圧の上昇を抑えることができるが、ポンプの負荷等を考慮すると、例えば1m/s以上3m/s以下である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
モノリス型セラミック膜フィルターとして、図7に概略図を示すような4つの集液スリットが設けられた構造を有するセラミック膜フィルターAを準備した。図7(A)はセラミック膜フィルター230の(B)におけるa−a線における断面の概略図であり、(B)は側面からみた部分透過概略平面図である。図7(A)に示すように、セラミック膜フィルター230の断面では、基材層30に原液チャンネル10(一部のみを図示)が設けられている。また、原液チャンネル10と平行して複数の集液チャンネル40(一部のみを図示)が設けられ、複数の集液チャンネル40と接続し、側面間を貫通する4本の集液スリット50が設けられている。図7(B)に示すように、セラミック膜フィルター230には、延伸方向に複数の端面に開口部を有しない集液チャンネル40が設けられている。また、セラミック膜フィルター230の側面には4本の集液スリット50に対応して8ヵ所に開口部55が設けられる。セラミック膜フィルターAの仕様の概要を以下に示す。
セラミック膜フィルターA
材質(膜層,基材):アルミナ(Al
ポアサイズ:0.5μm、0.7μm又は1.0μm
外形:φ60mm×長さ1100mm
膜面積:2.3m
スリット数量:4本、開口部8ヵ所
透過側表面積:0.51m
膜面から透過側までの距離:最大11mm
また、比較用にスリットが設けられていないこと以外は上記と同様の構成を有するセラミック膜フィルターBを準備した。
セラミック膜フィルターB
ポアサイズ:0.1μm
透過側表面積:0.22m
膜面から透過側までの距離:最大32mm
なお、セラミック膜フィルターのポアサイズは、JIS R 1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法」に基づき、以下の条件により測定した。
Figure 2020110090
気孔径頻度分布曲線において、膜層と基材による複数のピークが得られるので、膜層に該当するピーク値をポアサイズとした。
発酵液〈ビール〉
麦芽800kgと水2000Lとの混合物を、50℃で30分間保持してたんぱく質の分解処理を行った。その後、水1200Lを加え、64℃で20分間保持して麦芽由来成分を糖化させて、麦汁を得た。麦汁を濾過した後、ホップを添加して90分間煮沸した。煮沸処理後、濃度調整湯を添加して、12°P、5000Lの発酵原料液を得た。
得られた発酵原料液に、乾燥重量換算で30kgの下面発酵酵母を添加して、12℃で7日間発酵させた。その後、10℃で10日間熟成させた後、さらに0℃まで冷却して7日間保存して、ビール発酵液を調製した。ビール発酵液中の酵母数は、3×10cells/mlであった。
安定化剤として、以下のシリカキセロゲルを準備した。
〈シリカキセロゲル〉
乾燥減量:4.2%
体積基準50%粒子径(メジアン径;d50):12.8μm
個数基準50%粒子径(メジアン径;d50):3.8μm
個数基準10%粒子径(d10):2.1μm
比表面積(ISO 9277):575m/g
洗浄回復性の評価
各条件でクロスフロー濾過する前のセラミック膜フィルターの透水量と、クロスフロー濾過後に、以下の条件でCIP洗浄をした後の透水量を測定し、その変化率を算出して、洗浄回復性を評価した。
〈CIP洗浄〉
(1) 水/常温
(2) 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)1%/80℃/30分
(3) 温水/55℃
(4)温水/35℃/苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)1%及び次亜塩素ナトリウム500ppm
(5) 温水/35℃
(6) 温水/35℃/リン酸0.1%
(7) 水/常温
〈透水量の測定方法〉
常温の水を300秒間セラミック膜フィルターに通水し、10秒ごとの透過線束を平均して透水量を求めた。なお、透水量は測定時の温度と膜間差圧により変動するため、25℃、1bar下での値に換算した。換算のために以下の式と温度補正値を用いた。
Figure 2020110090
温度補正値
Figure 2020110090
混濁安定性の評価
製造した発酵麦芽飲料50℃で1週間保存した後、0℃で1日間保管して、目視により混濁の有無を確認した。
(実施例1、比較例1から3、参考例1から3)
図3又は図4に示されるようなモノリス型セラミック膜フィルターを4本備えるクロスフロー濾過装置を使用し、以下に示す試験条件で発酵液の濾過試験を行った。試験条件及び結果を表3及び図8に示す。
Figure 2020110090
ポアサイズが0.5μm以下であると、シリカキセロゲルを添加しない参考例1でも膜間差圧の上昇が早くなる。一方で、ポアサイズが0.5μmより大きい参考例2及び比較例2の場合に比べて、シリカキセロゲルを添加した実施例1と添加しない参考例1とでは、特定の膜間差圧に達するまでに要する時間の差が小さい。すなわち、ポアサイズが0.5μm以下の実施例1では、シリカキセロゲルに由来する膜間差圧の上昇の影響が小さいと考えられる。また、ポアサイズが0.5μmより大きい場合、例えば0.7μmの比較例2では、膜間差圧が0.3MPa以上に達すると、セラミック膜フィルターの洗浄回復性が悪化し、洗浄剤を用いてセラミック膜フィルターを洗浄しても、透過流束が十分に回復しない。一方、ポアサイズが0.5μm以下の実施例1では、膜間差圧が0.3MPaに達しても、洗浄によって透過流束を回復させることが可能である。
(参考例4から7)
以下に示す試験条件としたこと以外は、上記と同様にして発酵液の濾過試験を行った。試験条件及び結果を比較例2と共に表4及び図9に示す。
Figure 2020110090
(参考例8,9)
以下に示す試験条件としたこと以外は、上記と同様にして発酵液の濾過試験を行った。試験条件及び結果を表5に示す。
Figure 2020110090
以上から、スリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを用い、発酵液に安定化剤として乾燥減量が10%以下のシリカゲルを添加してクロスフロー濾過を行うことで、膜間差圧の急速な上昇が抑制され、長時間の濾過運転が可能になる。
10 原液チャンネル
20 膜層
30 基材層
40 集液チャンネル
50 集液スリット
200、230 モノリス型セラミック膜フィルター、

Claims (15)

  1. 原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過することを含み、
    該クロスフロー濾過は、該発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われ、
    該発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む、発酵麦芽飲料の製造方法。
  2. 前記発酵液は、乾燥減量が10%を越えるシリカゲル及びポリビニルポリピロリドンの総含有率が50ppm未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記クロスフロー濾過は、透過流束が30L/m/h以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記クロスフロー濾過は、膜間差圧が0.6MPa以下で行われる、請求項1から3の何れかに記載の製造方法。
  5. 前記クロスフロー濾過は、膜間差圧が0.3MPa以上に上昇することを含む、請求項1から4の何れかに記載の製造方法。
  6. 前記クロスフロー濾過は、同一のモノリス型セラミック膜フィルターを用いて3時間以上連続で実行される、請求項1から5の何れかに記載の製造方法。
  7. 前記クロスフロー濾過は、ラクトバチルス・ブレビスに対する対数減少値LRVが5以上である、請求項1から6の何れかに記載の製造方法。
  8. 前記クロスフロー濾過以外に、発酵液の除菌処理及び殺菌処理の少なくとも一方を含まない、請求項1から7の何れかに記載の製造方法。
  9. 前記クロスフロー濾過以外の発酵液の濾過を含まない、請求項1から8の何れかに記載の製造方法。
  10. 前記発酵液の加熱殺菌工程を含まない、請求項1から9の何れかに記載の製造方法。
  11. 前記製造方法は、ラクトバチルス・ブレビスに対する対数減少値LRVが5以上である、請求項1から9の何れかに記載の製造方法。
  12. 前記クロスフロー濾過は、流路を介して並列に接続される2以上のモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われる、請求項1から11の何れかに記載の製造方法。
  13. 前記クロスフロー濾過は、前記発酵液の温度が−2℃以上3℃以下で行われる、請求項1から12の何れかに記載の製造方法。
  14. 原料に麦芽を含む発酵液を、クロスフロー濾過することを含み、
    該クロスフロー濾過は、該発酵液の流路と離隔して配置され、側面に開口部を有するスリットを備え、膜のポアサイズが0.5μm以下であるモノリス型セラミック膜フィルターを透過して行われ、
    該発酵液は、乾燥減量が10%以下のシリカゲルを含む、発酵液の濾過方法。
  15. 前記クロスフロー濾過は、発酵液の流路に切り替え可能に接続される2以上のモノリス型セラミック膜フィルターを順次切り替えて連続的に行われ、
    前記発酵液を、少なくとも1のモノリス型セラミック膜フィルターを透過させると共に、少なくとも1の他のモノリス型セラミック膜フィルターを定置洗浄することと、
    前記発酵液の流路を切り替えて、前記発酵液を、定置洗浄後のモノリス型セラミック膜フィルターを透過させると共に、前記発酵液を透過させた後のモノリス型セラミック膜フィルターを定置洗浄することと、を含み、
    前記発酵液を透過させる時間が、定置洗浄に要する時間よりも長い、請求項14に記載の濾過方法。
JP2019003783A 2019-01-11 2019-01-11 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法 Pending JP2020110090A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019003783A JP2020110090A (ja) 2019-01-11 2019-01-11 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法
EP20738797.8A EP3909671B1 (en) 2019-01-11 2020-01-07 Production method for fermented malt beverage
PCT/JP2020/000141 WO2020145261A1 (ja) 2019-01-11 2020-01-07 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019003783A JP2020110090A (ja) 2019-01-11 2019-01-11 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020110090A true JP2020110090A (ja) 2020-07-27

Family

ID=71520494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019003783A Pending JP2020110090A (ja) 2019-01-11 2019-01-11 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP3909671B1 (ja)
JP (1) JP2020110090A (ja)
WO (1) WO2020145261A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112678913B (zh) * 2020-12-02 2023-10-27 南京丰禾新材料科技有限公司 一种可微波再生滤料的养猪废水过滤设备

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01501534A (ja) * 1967-12-21 1989-06-01 セラメム コーポレーション クロスフロー濾過装置
JPH02150263A (ja) * 1988-07-15 1990-06-08 Filtrox Werk Ag 液状媒質の濾過および安定化法、安定剤の使用、安定化―および濾過法を実施するための装置、ならびにその装置の操作法
JP2006006998A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Ngk Insulators Ltd セラミックフィルタ
JP2010500010A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー 高い濾過率を有するシリカキセロゲルをベースとするビール清澄化助剤
JP2013532475A (ja) * 2010-07-22 2013-08-19 ハイネケン・サプライ・チェーン・ビー.ブイ. 酵母発酵飲料の清澄化および安定化の後のメンブランフィルターの未透過物からpvppを再生させる方法
WO2013147271A1 (ja) * 2012-03-30 2013-10-03 日本碍子株式会社 ハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS623287A (ja) 1985-06-28 1987-01-09 河口湖精密株式会社 液晶表示装置
US4781831A (en) 1986-12-19 1988-11-01 Goldsmith Robert L Cross-flow filtration device with filtrate flow conduits and method of forming same
JP2019003783A (ja) 2017-06-14 2019-01-10 第一精工株式会社 電気コネクタ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01501534A (ja) * 1967-12-21 1989-06-01 セラメム コーポレーション クロスフロー濾過装置
JPH02150263A (ja) * 1988-07-15 1990-06-08 Filtrox Werk Ag 液状媒質の濾過および安定化法、安定剤の使用、安定化―および濾過法を実施するための装置、ならびにその装置の操作法
JP2006006998A (ja) * 2004-06-22 2006-01-12 Ngk Insulators Ltd セラミックフィルタ
JP2010500010A (ja) * 2006-08-07 2010-01-07 グレース・ゲーエムベーハー・ウント・コムパニー・カーゲー 高い濾過率を有するシリカキセロゲルをベースとするビール清澄化助剤
JP2013532475A (ja) * 2010-07-22 2013-08-19 ハイネケン・サプライ・チェーン・ビー.ブイ. 酵母発酵飲料の清澄化および安定化の後のメンブランフィルターの未透過物からpvppを再生させる方法
WO2013147271A1 (ja) * 2012-03-30 2013-10-03 日本碍子株式会社 ハニカム形状セラミック多孔質体、その製造方法、及びハニカム形状セラミック分離膜構造体

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
宮地秀夫, ビール醸造技術, vol. 初版, JPN6020011277, 28 December 1999 (1999-12-28), JP, ISSN: 0005108000 *
松沢幸一: "高性能シリカゲルの開発によるビールの泡と混濁安定性の改善", 醸協, vol. 85(10), JPN6020011278, 1990, JP, pages 708 - 718, ISSN: 0005108001 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020145261A1 (ja) 2020-07-16
EP3909671B1 (en) 2024-03-20
EP3909671A4 (en) 2022-05-11
EP3909671A1 (en) 2021-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ambrosi et al. Membrane separation processes for the beer industry: A review and state of the art
US8039206B1 (en) Detection of micro-organisms
KR102658330B1 (ko) 아로마 음료의 제조 방법
WO2020145261A1 (ja) 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法
EP3019027A1 (en) A process for preparing a juice product
dos Santos Bernardi et al. Microfiltration for filtration and pasteurization of beers
CN101076584A (zh) 纯化饮料产品及其制备工艺
WO2020145258A1 (ja) 発酵麦芽飲料の製造方法及び発酵液の濾過方法
Cimini et al. Novel cold sterilization and stabilization process applied to a pale lager
Ciminia et al. Rough beer clarification by crossflow microfiltration in combination with enzymatic and/or centrifugal pretreatments
Trevisan et al. Silicon carbide (SiC) membranes in œnology: a laboratory-scale study
JP6675593B2 (ja) 酒類の製造方法および酒類の脱気方法
Carvalho et al. Clarification of pineapple juice by microfiltration
CN215327993U (zh) 一种活性炭吸附与膜过滤耦合去除白酒中浊状物的装置
Yang et al. Advanced treatment of drinking water by ultrafiltration membrane
CA2143991C (fr) Microfiltration de la biere
CN111227145A (zh) 一种果味矿泉水生产工艺
JP6648766B2 (ja) 飲料およびその製造方法
CN213924746U (zh) 一种青梅酒生产用除菌除浊装置
JP3644467B2 (ja) 精製柿渋の製造法
Esmaeili et al. Utilization of membrane systems in beer processing
JPH10263374A (ja) 発酵飲料濾過用フィルター
CN107801779A (zh) 一种海红果ad钙奶饮料的生产方法
JPH0235070A (ja) わさびエキス入り醸造酒の製造方法
Cimini Novel lager beer clarification and stabilisation process using ceramic tubular microfiltration membranes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230316

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230428

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230718