JP2020100876A - 蒸着マスク装置、蒸着マスク、蒸着マスク装置の製造方法および蒸着マスクの製造方法 - Google Patents

蒸着マスク装置、蒸着マスク、蒸着マスク装置の製造方法および蒸着マスクの製造方法 Download PDF

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Hiromitsu Ochiai
洋光 落合
知加雄 池永
Chikao Ikenaga
知加雄 池永
井上 功
Isao Inoue
功 井上
村田 佳則
Yoshinori Murata
佳則 村田
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Abstract

【課題】蒸着マスクを用いて有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程の際に、基板が所望の位置に設置されるとともに、蒸着マスクと基板との密着性を向上させることができる蒸着マスク装置の提供。【解決手段】第1面と、前記第1面30aの反対側に位置する第2面30bと、を有する蒸着マスク20,30と、線状の第1接合部19aを介して前記蒸着マスクに接合され、前記第2面側に位置するフレーム15と、を備え、前記第1接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第1接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差H1は、5μm以下である、蒸着マスク装置10。【選択図】図5

Description

本開示は、蒸着マスク装置、蒸着マスク、蒸着マスク装置の製造方法および蒸着マスクの製造方法に関する。
スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置は、高精細であることが好ましく、例えば画素密度が600ppi以上であることが好ましい。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが好ましい。
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板(有機EL基板)に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入する。次に、蒸着装置内で有機EL基板に対して蒸着マスクを密着させ、有機材料を有機EL基板に蒸着させる蒸着工程を行う。
有機材料などの蒸着材料を基板に蒸着させる蒸着工程を行う蒸着装置は、蒸着マスクと、蒸着マスクを支持するフレームと、を含む蒸着マスク装置を備える。フレームは、蒸着マスクが撓まないように、蒸着マスクを引っ張った状態で支持する。蒸着マスクは、例えばレーザー溶接等によってフレームに固定される。そして、このような蒸着マスク装置に、基板が設置され、真空雰囲気において蒸着工程が行われる。
特開2015−127446号公報
ところで、このような蒸着マスクを用いて有機材料を基板に蒸着させる蒸着工程の際には、基板が所望の位置に設置されるとともに、蒸着マスクと基板との密着性を向上させることが求められている。
本開示は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク装置を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する蒸着マスクと、線状の第1接合部を介して前記蒸着マスクに接合され、前記第2面側に位置するフレームと、を備え、前記第1接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第1接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスク装置である。
本開示の一実施形態において、前記第1接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第1接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第1接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下であってもよい。
本開示の一実施形態において、前記蒸着マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有するマスクと、線状の第2接合部を介して前記マスクに接合され、前記第2面側に位置する支持体と、線状の第1接合部を介して前記支持体に接合されたフレームと、を備え、前記第2接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第2接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスク装置である。
本開示の一実施形態において、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第2接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下であってもよい。
本開示の一実施形態において、前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有するマスクと、線状の第2接合部を介して前記マスクに接合され、前記第2面側に位置する支持体と、を備え、前記第2接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第2接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスクである。
本開示の一実施形態において、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第2接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下であってもよい。
本開示の一実施形態において、前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態は、蒸着マスクと、前記蒸着マスクに取り付けられたフレームと、を備える蒸着マスク装置の製造方法であって、前記蒸着マスクを準備する工程と、前記フレームを準備する工程と、前記蒸着マスクをCWレーザーにより前記フレームに溶接する工程と、を備える、蒸着マスク装置の製造方法である。
本開示の一実施形態において、前記蒸着マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態は、マスクと、前記マスクに取り付けられた支持体と、を有する蒸着マスクと、前記支持体に取り付けられたフレームと、を備える蒸着マスク装置の製造方法であって、前記マスクを準備する工程と、前記支持体を準備する工程と、前記フレームを準備する工程と、前記マスクをCWレーザーにより前記支持体に溶接する工程と、前記支持体を前記フレームに溶接する工程と、を備える、蒸着マスク装置の製造方法である。
本開示の一実施形態において、前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態は、マスクと、前記マスクに取り付けられた支持体と、を備える蒸着マスクの製造方法であって、前記マスクを準備する工程と、前記支持体を準備する工程と、前記マスクをCWレーザーにより前記支持体に溶接する工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法である。
本開示の一実施形態において、前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下であってもよい。
本開示によれば、蒸着マスクと基板との密着性を向上させることができる。
本開示の第1の実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す概略図である。 本開示の第1の実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。 図1に示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。 図2に示す蒸着マスク装置を拡大して示す平面図(図2のIVA部に対応する平面図)である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 第1接合部の一変形例を示す平面図である。 図4Aの蒸着マスク装置をV−V方向から見た断面図である。 図2の蒸着マスク装置をVIA−VIA方向から見た断面図である。 図6Aに示す第1接合部を拡大して示す断面図(図6AのVIB部に対応する断面図)である。 第1接合部の一変形例を示す断面図である。 第1接合部の一変形例を示す断面図である。 蒸着マスクの中間部を拡大して示す平面図である。 図7の中間部をVIII−VIII方向から見た断面図である。 金属板上にレジストパターンを形成する工程を示す図である。 第1面エッチング工程を示す図である。 第2面エッチング工程を示す図である。 金属板から樹脂およびレジストパターンを除去する工程を示す図である。 フレームを製造する工程を示す図である。 フレームを製造する工程を示す図である。 蒸着マスクをフレームに溶接する工程を示す図である。 蒸着マスクをフレームに溶接する工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 有機EL基板に蒸着材料を蒸着させる工程を示す図である。 本開示の第2の実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す概略図である。 本開示の第2の実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。 図14に示す蒸着マスク装置を拡大して示す平面図(図14のXV部に対応する平面図)である。 図15の蒸着マスク装置をXVI−XVI方向から見た断面図である。 図14の蒸着マスク装置をXVII−XVII方向から見た断面図である。 図14に示す蒸着マスク装置を拡大して示す平面図(図14のXVIII部に対応する平面図)である。 図18の支持体をXIX−XIX方向から見た断面図である。 金属板上にレジストパターンを形成する工程を示す図である。 第1面エッチング工程を示す図である。 第2面エッチング工程を示す図である。 金属板から樹脂およびレジストパターンを除去する工程を示す図である。 マスクを支持体に溶接する工程を示す図である。 マスクを支持体に溶接する工程を示す図である。 支持体をフレームに溶接する工程を示す図である。 支持体をフレームに溶接する工程を示す図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図17に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図17に相当する図である。 支持体を製造する工程を示す図である。 支持体を製造する工程を示す図である。 支持体を製造する工程を示す図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図17に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図17に相当する図である。 蒸着マスク装置の一変形例を示す断面図であって、図17に相当する図である。
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において、例えば、「板」との用語は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材と同等の意味を有するものとして使用している。
本明細書において、「平面視」とは、対称となる板状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において、板状の部材の平面方向に直交する法線方向から見た状態を指す。例えば、ある板状の部材が「平面視において矩形状の形状を有する」とは、当該部材を法線方向から見たときに、当該部材が矩形状の形状を有していることを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
なお、本開示の実施形態は、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
また、本開示の実施形態において、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクである例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置を製造するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、および蒸着マスク装置10を備えていてもよい。また、蒸着装置90は、蒸着装置90の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されている。
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、マスク30により構成される蒸着マスク20と、蒸着マスク20に取り付けられたフレーム15と、を備えていてもよい。この場合、蒸着マスク20は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、マスク30の後述する第1面30aの面方向に引っ張られた状態で、フレーム15により支持されていてもよく、あるいは、蒸着マスク20は、その面方向に引っ張られることなく、フレーム15により支持されていてもよい。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、マスク30が、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92に対面するよう、蒸着装置90内に配置される。有機EL基板92は、蒸着マスク装置10上に設置される。以下の説明において、マスク30の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面30aと称し、第1面30aの反対側に位置する面を第2面30bと称する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、有機EL基板92の、マスク30と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によってマスク30を磁石93側に引き寄せて、マスク30を有機EL基板92に密着させることができる。
図2は、図1に示す蒸着マスク装置10および有機EL基板92をマスク30の第1面30a側から見た場合を示す平面図である。図2に示すように、蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数のマスク30を備え、各マスク30は、マスク30の長手方向における一対の端部30eの近傍に位置する後述する第1接合部19aにおいて、溶接によってフレーム15に固定されていてもよい。
図1に示すように、マスク30は、マスク30を貫通する複数の第1貫通孔35を含んでいてもよい。るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、マスク30の第1貫通孔35を通って有機EL基板92に付着する。これによって、マスク30の第1貫通孔35の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
図3は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、被蒸着基板(有機EL基板)92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備えていてもよい。なお、図3の有機EL表示装置100においては、蒸着材料98を含む画素に電圧を印加する電極等が省略されている。また、有機EL基板92上に蒸着材料98をパターン状に設ける蒸着工程の後、図3の有機EL表示装置100には、有機EL表示装置のその他の構成要素が更に設けられ得る。従って、図3の有機EL表示装置100は、有機EL表示装置の中間体と呼ぶこともできる。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応するマスク30が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで、蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持されるマスク30、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、マスク30、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、マスク30やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
このような課題を解決するため、マスク30およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、マスク30およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、マスク30を構成する金属板の材料として、ニッケルおよびコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ50質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケルおよびコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、48質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。
なお、蒸着処理の際に、マスク30、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、マスク30およびフレーム15の熱膨張係数を、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、マスク30を構成する材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、鉄合金以外の金属または合金を用いてもよい。
次に、本実施の形態による蒸着マスク20について詳細に説明する。本実施の形態による蒸着マスク20は、上述したようにマスク30により構成されている。図2に示すように、マスク30は、マスク30の長手方向における一対の端部30eを構成する一対の耳部17と、一対の耳部17の間に位置する中間部18と、を備えていてもよい。
まず、耳部17について詳細に説明する。耳部17は、マスク30のうちフレーム15に固定される部分である。本実施の形態において、耳部17は、第2面30b側においてCW(continuous wave)レーザー溶接によりフレーム15に固定されていてもよい。本実施の形態において、耳部17およびフレーム15のうち溶接によって互いに接合されている部分のことを、第1接合部19aと称する。
耳部17に形成される第1接合部19aは、例えば、図4Aに示すように、マスク30の幅方向に沿って線状に延びていてもよい。このような第1接合部19aは、例えば、マスク30の幅方向に沿う各位置において、耳部17に対してCWレーザー(すなわち、連続波のレーザー)を照射することによって形成される。この場合、第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って線状に延びていることにより、溶接強度を高めることができる。
また、この場合、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値と、第1接合部19aの幅W1が最も狭い部分の幅の値の差を、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W1の変化率は、0%以上20%以下であってもよい。これにより、マスク30を洗浄する洗浄工程において、マスク30とフレーム15とを互いに接合した第1接合部19aに洗浄液が入り込んでしまう不具合を抑制することができる。すなわち、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合に見られ得るように、接合部の輪郭が複数の円形状を重ね合わせて形成された形状の場合(図4Aの仮想線(二点鎖線)参照)、接合部のうち最も狭い幅W1nを有する部分と、接合部のうち最も広い幅W1bを有する部分との間に、洗浄液が入り込み得る凹部A1(図4Aにおいて梨地で示す領域)が形成され得る。これに対して、幅W1の変化率が0%以上20%以下であることにより、第1接合部19aに、洗浄液が入り込み得る凹部A1が形成されることを抑制することができる。これにより、洗浄されたマスク30上に洗浄液が残存してしまう不具合を抑制することができる。このため、洗浄されたマスク30を使用して蒸着工程を行う際に、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発して所望の真空度が得られなくなることを抑制することができる。また、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発してしまうことにより、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になることを抑制することができる。また、この場合、幅W1の変化率の範囲は、0%以上10%以下であることが好ましく、0%以上5%以下であることが更に好ましい。なお、本明細書中、「第1接合部19aの幅W1」とは、第1接合部19aを形成するCWレーザーのレーザー光の走査方向に直交する方向の長さをいう。図示された例においては、レーザー光の走査方向は、図4Aの左右方向であり、第1接合部19aの幅W1は、図4Aの上下方向の長さを示している。
なお、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値と、第1接合部19aの幅W1が最も狭い部分の幅の値との差を、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W1の変化率は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、3%以上であってもよい。また、幅W1の変化率は、20%以下であってもよく、10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。幅W1の変化率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W1の変化率の範囲は、0%以上20%以下であってもよく、1%以上10%以下であってもよく、3%以上5%以下であってもよい。また、幅W1の変化率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W1の変化率の範囲は、5%以上20%以下であってもよく、5%以上10%以下であってもよく、10%以上20%以下であってもよい。また、幅W1の変化率の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W1の変化率の範囲は、0%以上3%以下であってもよく、0%以上1%以下であってもよく、1%以上3%以下であってもよい。
なお、平面視における第1接合部19aの配置や形状が特に限られることはない。例えば、図4Bに示すように、マスク30の幅方向に沿って、互いに離間して配置された複数の第1接合部19aが形成されていてもよい。図示された例においては、2つの第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って、互いに離間して配置されている。この場合、例えば各々の第1接合部19aの長さが互いに異なっていてもよい。この場合においても、複数の第1接合部19aが形成されていることにより、溶接強度を高めることができる。
また、例えば、図4Cに示すように、線状の第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って、多列に形成されていてもよい。図示された例において、第1接合部19aは、マスク30の幅方向に沿って2列に形成されている。なお、第1接合部19aは、マスク30の幅方向に沿って3列に形成されていてもよく、4列に形成されていてもよい。この場合、線状の第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って多列に形成されていることにより、溶接強度を更に高めることができる。
また、例えば、図4Dに示すように、マスク30の幅方向に沿って、多列に形成された第1接合部19aが、平面視において、互いに重なっていてもよい。この場合においても、線状の第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って多列に形成されていることにより、溶接強度を高めることができる。
また、例えば、図4Eに示すように、多列に形成された第1接合部19aの各々の長さが異なっていてもよい。この場合、溶接強度を高めたい部分に対して、溶接強度を効果的に高めることができる。なお、この場合、上述した第1接合部19aの幅W1の変化率を求める際には、CWレーザーによるレーザー光の一の走査により形成された一方の第1接合部191aの幅W11と、レーザー光の他の走査により形成された他方の第1接合部192aの幅W12とは、個別に考えられ得る。
また、例えば、図4Fに示すように、線状の第1接合部19aの輪郭が、湾曲していてもよい。この場合においても、第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って線状に延びていることにより、溶接強度を高めることができる。
さらに、例えば、図4Gに示すように、第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って枠状に形成されていてもよい。この場合においても、第1接合部19aが、マスク30の幅方向に沿って形成されるため、溶接強度を高めることができる。
また、図5に示すように、第1接合部19aの長手方向に沿った単位長さ(1.0cm)内において、第1接合部19aのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1は、5μm以下であってもよい。これにより、有機EL基板92とマスク30との密着性を向上させることができる。すなわち、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合に見られ得るように、接合部のマスク30側の表面に突出部B1(図4Aにおいてハッチングで示す領域および図5の仮想線(二点鎖線)参照)が形成されることにより、接合部のうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1が5μmよりも大きくなる場合と比較して、有機EL基板92とマスク30との密着性が低下してしまう不具合を抑制することができる。このため、マスク30を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。また、高低差H1が5μm以下であることにより、有機EL基板92をマスク30上に設置した際に、有機EL基板92に傷が付いてしまうことを抑制することができるとともに、有機EL基板92に割れが生じることを抑制することができる。また、この場合、高低差H1の範囲は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。なお、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合、一般的にレーザー光のスポット径は、2mm以上3mm以下程度となるものと考えられる。このため、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合、接合部の長手方向に沿った単位長さ(1.0cm)内において、接合部のうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1が5μmよりも大きくなり得る。
なお、第1接合部19aのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1は、0μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよい。また、高低差H1は、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。高低差H1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H1の範囲は、0μm以上5μm以下であってもよく、0.5μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよい。また、高低差H1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H1の範囲は、2μm以上5μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよい。また、高低差H1の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H1の範囲は、0μm以上1μm以下であってもよく、0μm以上0.5μm以下であってもよく、0.5μm以上1μm以下であってもよい。
また、図6Aに示すように、第1接合部19aは、耳部17の第1面30aから第2面30bを介してフレーム15に至っている。第1接合部19aは、マスク30の耳部17およびフレーム15のうち、溶接時に溶融した部分が固化した部分であり、耳部17の第1面30aから第2面30bに至る部分およびフレーム15の一部を含んでいる。この第1接合部19aは、例えば、図6Bに示すように、マスク30の第1面30aから突出するように形成されていてもよい。
また、第1接合部19aは、図6Cに示すように、第1接合部19aの上面193aがマスク30の第1面30aと同一平面上に位置するように形成されていてもよい。さらに、第1接合部19aは、図6Dに示すように、マスク30の第1面30aに対して第2面30b側に窪むように形成されていてもよい。これらの場合、有機EL基板92に対して蒸着材料98を蒸着させる際に、マスク30と有機EL基板92との間の密着性を向上させることができる。
次に、マスク30の中間部18について説明する。図6Aに示すように、中間部18は、第1面30aから第2面30bに至る第1貫通孔35が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいてもよい。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有効領域22は、マスク30のうち、有機EL基板92の表示領域に対面する領域である。
図2に示すように、中間部18は、マスク30の長手方向に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域22を含んでいてもよい。一つの有効領域22は、一つの有機EL表示装置100の表示領域に対応する。このため、図1に示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置100の多面付蒸着が可能である。
有効領域22は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状や楕円形状の輪郭を有していてもよく、六角形や八角形といった多角形状を有していてもよい。また、各々の有効領域22は、互いに異なる形状を有していてもよく、例えば円形状、楕円形状、六角形や八角形といった多角形状をそれぞれが有していてもよい。
以下、中間部18について詳細に説明する。図7に示すように、複数の第1貫通孔35は、有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで規則的に配列されていてもよい。
また、図8に示すように、複数の第1貫通孔35は、マスク30の第1面30aから、第2面30bへ貫通している。図示された例では、後に詳述するように、マスク30の第1面30aの法線方向Nにおける一方の側となる金属板64の第1面64aに第1凹部31がエッチングによって形成され、当該法線方向Nにおける他方の側となる金属板64の第2面64bに第2凹部32が形成される。第1凹部31は、第2凹部32に接続され、これによって第2凹部32と第1凹部31とが互いに通じ合うように形成される。第1貫通孔35は、第2凹部32と、第2凹部32に接続された第1凹部31とによって構成されている。
図8に示すように、マスク30の第1面30a側において、隣り合う二つの第1貫通孔35は、金属板64の第1面64aに沿って互いから離間していてもよい。マスク30の第2面30b側においても、隣り合う二つの第2凹部32が、金属板64の第2面64bに沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部32の間に金属板64の第2面64bが残存していてもよい。以下の説明において、金属板64の第2面64bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るようにマスク30を作製することにより、マスク30に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などにマスク30が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないようにマスク30が作製されることが好ましい。
図1に示すようにして蒸着マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、図8に二点鎖線で示すように、マスク30の第1面30aが、有機EL基板92に対面し、マスク30の第2面30bが、蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置する。したがって、蒸着材料98は、次第に開口面積が小さくなっていく第2凹部32を通過して有機EL基板92に付着する。図8において第2面30b側から第1面30aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けてマスク30の第1面30aの法線方向Nに沿って移動するだけでなく、当該法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、マスク30の厚みが大きいと、斜めに移動する蒸着材料98が、トップ部43、第2凹部32の壁面32a、または第1凹部31の壁面31aに引っ掛かり易くなり、この結果、第1貫通孔35を通過できない蒸着材料98の比率が多くなる。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、マスク30の厚みt1を小さくし、これによって、第2凹部32の壁面32aや第1凹部31の壁面31aの高さを小さくすることが好ましいと考えられる。すなわち、マスク30を構成するための金属板64として、マスク30の強度を確保できる範囲内で可能な限り厚みt1の小さな金属板64を用いることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、マスク30の厚みt1は、例えば30μm以下、25μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下になっている。一方、マスク30の厚みt1が小さくなり過ぎると、マスク30の強度が低下し、マスク30に損傷や変形が生じやすくなる。この点を考慮し、マスク30の厚みt1は、好ましくは5μm以上であることが好ましい。マスク30の厚みt1は、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。マスク30の厚みt1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、マスク30の厚みt1の範囲は、5μm以上10μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、8μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、13μm以上20μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよい。また、マスク30の厚みt1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、マスク30の厚みt1の範囲は、20μm以上25μm以下であってもよい。また、マスク30の厚みt1の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、マスク30の厚みt1の範囲は、13μm以上15μm以下であってもよい。なお厚みt1は、周囲領域23の厚み、すなわちマスク30のうち第1凹部31および第2凹部32が形成されていない部分の厚みである。従って厚みt1は、金属板64の厚みであると言うこともできる。
図8において、第1貫通孔35の最小開口面積を持つ部分となる接続部41と、第2凹部32の壁面32aの他の任意の位置と、を通過する直線Mが、マスク30の第1面30aの法線方向Nに対してなす最小角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、壁面32aに到達させることなく可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。角度θ1を大きくする上では、マスク30の厚みt1を小さくすることの他にも、上述のトップ部43の幅βを小さくすることも有効である。
図8において、符号αは、金属板64の第1面64aの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分(以下、リブ部とも称する)の幅を表している。リブ部の幅αおよび貫通部42の寸法rは、有機EL表示装置の寸法および表示画素数に応じて適宜定められる。例えば、リブ部の幅αは5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。また、リブ部の幅αは、40μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよい。リブ部の幅αの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、リブ部の幅αの範囲は、5μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよい。また、リブ部の幅αの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、リブ部の幅αの範囲は、30μm以上35μm以下であってもよい。また、リブ部の幅αの範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、リブ部の幅αの範囲は、10μm以上15μm以下であってもよい。貫通部42の寸法rは10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、30μm以上であってもよく、35μm以上であってもよい。また、貫通部42の寸法rは、60μm以下であってもよく、55μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、45μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。貫通部42の寸法rの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、貫通部42の寸法rの範囲は、10μm以上60μm以下であってもよく、15μm以上55μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上45μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよい。また、貫通部42の寸法rの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、貫通部42の寸法rの範囲は、45μm以上55μm以下であってもよい。また、貫通部42の寸法rの範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、貫通部42の寸法rの範囲は、30μm以上35μm以下であってもよい。
なお、図7および図8においては、隣り合う二つの第2凹部32の間に金属板64の第2面64bが残存している例を示したが、これに限られることはない。図示はしないが、隣り合う二つの第2凹部32が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部32の間に、金属板64の第2面64bが残存していない場所が存在していてもよい。
次に、フレーム15について詳細に説明する。図2に示すように、フレーム15は平面視において略矩形の枠状に形成されており、フレーム15には、平面視でマスク30の有効領域22に重なる開口部15aが設けられていてもよい。また、フレーム15は、上述したように線状の第1接合部19aを介してマスク30に接合され、マスク30の第2面30b側に位置していてもよい。本実施の形態においては、平面視において開口部15aを画定する輪郭は、有効領域22を画定する輪郭の全てを取り囲んでいてもよい。蒸着時には、るつぼ94から蒸発した蒸着材料98は、フレーム15の開口部15aを通ってマスク30に到達する。
また、フレーム15は、平面視において、マスク30よりも大きい寸法を有しており、フレーム15を画定する輪郭は、マスク30を画定する輪郭を取り囲んでいてもよい。このフレーム15は、フレーム15の各辺のうち対向する一対の辺が、各々のマスク30の耳部17に対応するようにして、各々のマスク30に対して取り付けられていてもよい。このようにして、フレーム15に複数のマスク30が取り付けられていてもよい。
次に、図9A乃至図11Bにより、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
まず、マスク30を準備する。本実施の形態においては、複数枚のマスク30に対応する多数の第1貫通孔35を金属板64に形成する。言い換えると、金属板64に複数枚のマスク30を割り付ける。その後、金属板64のうち1枚分のマスク30に対応する複数の第1貫通孔35が形成された部分を金属板64から分離する。このようにして、枚葉状のマスク30を得ることができる。
この際、まず、金属板64の第1面64a上および第2面64b上に感光性レジスト材料を含むレジスト膜を形成する。続いて、レジスト膜を露光および現像する。これにより、図9Aに示すように、金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン65aを形成し、金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bを形成することができる。
次に、図9Bに示すように、金属板64の第1面64aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。これによって、金属板64の第1面64aに多数の第1凹部31が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものを用いる。
次に、図9Cに示すように、金属板64の第2面64bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面64bに第2凹部32を形成する第2面エッチング工程を実施する。第2面エッチング工程は、第1凹部31と第2凹部32とが互いに通じ合い、これによって第1貫通孔35が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものを用いる。なお、第2面エッチング工程の際、図9Cに示すように、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって第1凹部31が被覆されていてもよい。
その後、図9Dに示すように、金属板64から樹脂69を除去する。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、図9Dに示すように、樹脂69と同時にレジストパターン65a、65bも除去される。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a、65bを除去してもよい。
その後、金属板64のうち1枚分のマスク30に対応する複数の第1貫通孔35が形成された部分を金属板64から分離することにより、マスク30を得ることができる。
また、マスク30を準備することと並行して、フレーム15を準備する。この際、まず、図10Aに示すように、金属板150を準備する。
次に、金属板150に対して切削等の機械加工を施すことにより、図10Bに示すように、開口部15aを有するフレーム15が得られる。このようにして、フレーム15が作製される。なお、フレーム15は、鋳型や3Dプリンターを用いて作製されてもよい。
次に、上述のようにして得られたマスク30をCWレーザー(すなわち、連続波のレーザー)によりフレーム15に溶接する。これにより、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合と比較して、第1接合部19aの長手方向に沿った単位長さ内において、第1接合部19aのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1(図5参照)を小さくすることができる。また、CWレーザーを用いることにより、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合と比較して、第1接合部19aの幅W1(図4A参照)が最も広い部分の幅の値と、第1接合部19aの幅W1が最も狭い部分の幅の値との差を、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W1の変化率を小さくすることができる。
この場合、まず、図11Aに示すように、マスク30をフレーム15上に配置する。
次に、図11Bに示すように、例えば、図示しないレーザー装置により、マスク30の第1面30a側からレーザー光Laを照射する。これによって、マスク30の耳部17の一部およびフレーム15の一部が溶融する。なお、この際、マスク30に撓みが発生することを抑制するとともに、マスク30の有効領域22の位置調整を行うために、マスク30を第1面30aの面方向に引っ張った状態で、マスク30とフレーム15とが互いに接合されてもよい。
また、この際、レーザー光Laとしては、例えば、YAGレーザー装置によって生成されるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)にNd(ネオジム)を添加した結晶を発振用媒質として備えたものを用いることができる。この場合、基本波として、波長が約1064nmのレーザー光Laが生成される。また、基本波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約532nmの第2高調波が生成される。また、基本波および第2高調波を非線形光学結晶に通すことによって、波長が約355nmの第3高調波が生成される。
また、YAGレーザー光の第3高調波は、ニッケルを含む鉄合金に吸収され易い。従って、マスク30の耳部17およびフレーム15が、ニッケルを含む鉄合金を含む場合、マスク30の耳部17およびフレーム15の一部を効率良く溶融させるためにはレーザー光がYAGレーザー光の第3高調波を含むことが好ましい。
レーザー光Laの照射が終了すると、溶融した部分の温度が低下して固化し、第1接合部19aとなる。これにより、マスク30の耳部17とフレーム15とが第1接合部19aによって互いに接合される。このようにして、フレーム15と、第1接合部19aによってフレーム15に接合されたマスク30と、を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
次に、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を用いて有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する蒸着材料の蒸着方法について、図12A乃至図12Cを参照して説明する。
まず、上述した工程により得られた蒸着マスク装置10を準備する。すなわち、図12Aに示すように、当該蒸着マスク装置10、蒸着材料98が収容されたるつぼ94およびヒータ96を備える蒸着装置90を準備する。
次に、図12Bに示すように、有機EL基板92をマスク30上に設置する。この場合、例えば有機EL基板92の図示しないアライメントマークと、マスク30の図示しないアライメントマークとを直接観察し、当該アライメントマーク同士が重なるように有機EL基板92の位置決めを行う。或いは、図示しない制御装置により、有機EL基板92のアライメントマークの中心位置座標と、マスク30のアライメントマークの中心位置座標とを別々に測定し、これらの中心位置座標が所定の位置関係となるように、有機EL基板92の位置決めを行ってもよい。
ここで、本実施の形態においては、第1接合部19aの長手方向に沿った単位長さ(1.0cm)内において、第1接合部19aのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1が5μm以下となり得る。これにより、有機EL基板92とマスク30との密着性を向上させることができる。このため、マスク30を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。また、高低差H1が5μm以下であることにより、有機EL基板92をマスク30上に設置した際に、有機EL基板92に傷が付いてしまうことを抑制することができるとともに、有機EL基板92に割れが生じることを抑制することができる。
次いで、マスク30上に設置された有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着させる。この際、例えば、図12Cに示すように、有機EL基板92の、マスク30と反対の側の面に磁石93が配置される。このように磁石93を設けることにより、磁力によってマスク30を磁石93側に引き寄せて、マスク30を有機EL基板92に密着させることができる。次に、蒸着装置90の内部が高真空状態となるように、蒸着装置90の内部を図示しない排気手段により排気する。次いで、ヒータ96が、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。そして、るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98が、マスク30の第1貫通孔35を通って有機EL基板92に付着する(図1参照)。
このようにして、マスク30の第1貫通孔35の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が有機EL基板92に蒸着される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1接合部19aの長手方向に沿った単位長さ内において、第1接合部19aのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H1が5μm以下である。これにより、有機EL基板92とマスク30との密着性を向上させることができる。このため、マスク30を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値と、第1接合部19aの幅W1が最も狭い部分の幅の値との差を、第1接合部19aの幅W1が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下である。これにより、第1接合部19aに、洗浄液が入り込み得る凹部A1(図4A参照)が形成されることを抑制することができる。このため、洗浄されたマスク30上に洗浄液が残存してしまう不具合を抑制することができる。この結果、洗浄されたマスク30を使用して蒸着工程を行う際に、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発して所望の真空度が得られなくなることを抑制することができる。また、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発してしまうことにより、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になることを抑制することができる。
さらに、本実施の形態によれば、マスク30(すなわち、蒸着マスク20)をCWレーザーによりフレーム15に溶接する。これにより、上述した形状の第1接合部19aを容易に形成することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図13乃至図22Bを参照して、第2の実施の形態について説明する。図13乃至図22Bに示す第2の実施の形態は、蒸着マスク20が、マスク30と、マスク30に取り付けられた支持体40と、を有しているものであり、他の構成は、上述した図1乃至図12Cに示す構成と略同様である。図13乃至図22Bにおいて、図1乃至図12Cに示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図13および図14に示すように、蒸着マスク20は、マスク30と、マスク30に取り付けられた支持体40と、を有していてもよい。また、図14に示すように、支持体40は、線状の第2接合部19bを介してマスク30接合され、マスク30の第2面30b側に位置していてもよい。
マスク30と支持体40とを互いに接合する第2接合部19bは、例えば、図14および図15に示すように、マスク30の幅方向に沿って線状に延びていてもよい。このような第2接合部19bは、例えば、マスク30の幅方向に沿う各位置において、耳部17に対してCWレーザー(すなわち、連続波のレーザー)を照射することによって形成される。この場合、第2接合部19bが、マスク30の幅方向に沿って線状に延びていることにより、溶接強度を高めることができる。
また、この場合、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値と、第2接合部19bの幅W2が最も狭い部分の幅の値との差を、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W2の変化率は、0%以上20%以下であってもよい。これにより、蒸着マスク20を洗浄する洗浄工程において、マスク30と支持体40とを互いに接合した第2接合部19bに洗浄液が入り込んでしまう不具合を抑制することができる。すなわち、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合に見られ得るように、接合部の輪郭が複数の円形状を重ね合わせて形成された形状の場合(図15の仮想線(二点鎖線)参照)、接合部のうち最も狭い幅W2nを有する部分と、接合部のうち最も広い幅W2bを有する部分との間に、洗浄液が入り込み得る凹部A2(図15において梨地で示す領域)が形成され得る。これに対して、幅W2の変化率が0%以上20%以下であることにより、第2接合部19bに、洗浄液が入り込み得る凹部A2が形成されることを抑制することができる。これにより、洗浄された蒸着マスク20上に洗浄液が残存してしまう不具合を抑制することができる。このため、洗浄された蒸着マスク20を使用して蒸着工程を行う際に、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発して所望の真空度が得られなくなることを抑制することができる。また、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発してしまうことにより、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になることを抑制することができる。また、この場合、幅W2の変化率の範囲は、0%以上10%以下であることが好ましく、0%以上5%以下であることが更に好ましい。なお、本明細書中、「第2接合部19bの幅W2」とは、第2接合部19bを形成するCWレーザーのレーザー光の走査方向に直交する方向の長さをいう。図示された例においては、レーザー光の走査方向は、図15の左右方向であり、第2接合部19bの幅W2は、図15の上下方向の長さを示している。
なお、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値と、第2接合部19bの幅W2が最も狭い部分の幅の値との差を、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W2の変化率は、0%以上であってもよく、1%以上であってもよく、3%以上であってもよい。また、幅W2の変化率は、20%以下であってもよく、10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。幅W2の変化率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W2の変化率の範囲は、0%以上20%以下であってもよく、1%以上10%以下であってもよく、3%以上5%以下であってもよい。また、幅W2の変化率の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W2の変化率の範囲は、5%以上20%以下であってもよく、5%以上10%以下であってもよく、10%以上20%以下であってもよい。また、幅W2の変化率の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、幅W2の変化率の範囲は、0%以上3%以下であってもよく、0%以上1%以下であってもよく、1%以上3%以下であってもよい。
なお、平面視における第2接合部19bの配置や形状が特に限られることはない。第2接合部19bは、例えば、図4B乃至図4Gに示した第1接合部19aと同様に配置されていてもよく、同様の形状を有していてもよい。
また、図16に示すように、第2接合部19bの長手方向に沿った単位長さ(1.0cm)内において、第2接合部19bのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2は、5μm以下であってもよい。これにより、有機EL基板92とマスク30との密着性を向上させることができる。すなわち、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合に見られ得るように、接合部の蒸着マスク20側の表面に突出部B2(図15においてハッチングで示す領域および図16の仮想線(二点鎖線)参照)が形成されることにより、接合部のうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2が5μmよりも大きくなる場合と比較して、有機EL基板92とマスク30との密着性が低下してしまう不具合を抑制することができる。このため、マスク30を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。また、高低差H2が5μm以下であることにより、有機EL基板92をマスク30上に設置した際に、有機EL基板92に傷が付いてしまうことを抑制することができるとともに、有機EL基板92に割れが生じることを抑制することができる。また、この場合、高低差H2の範囲は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。
なお、第2接合部19bのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2は、0μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよい。また、高低差H2は、5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。高低差H2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H2の範囲は、0μm以上5μm以下であってもよく、0.5μm以上3μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよい。また、高低差H2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H2の範囲は、2μm以上5μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよい。また、高低差H2の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、高低差H2の範囲は、0μm以上1μm以下であってもよく、0μm以上0.5μm以下であってもよく、0.5μm以上1μm以下であってもよい。
また、図16および図17に示すように、第2接合部19bは、耳部17の第1面30aから第2面30bを介して支持体40に至っている。第2接合部19bは、マスク30の耳部17および支持体40のうち、溶接時に溶融した部分が固化した部分であり、耳部17の第1面30aから第2面30bに至る部分および支持体40の一部を含んでいる。この第2接合部19bは、図6Bに示した第1接合部19aと同様に、第2接合部19bの上面がマスク30の第1面30aと同一平面上に位置するように形成されていてもよい。また、第2接合部19bは、図6Cに示した第1接合部19aと同様に、マスク30の第1面30aに対して第2面30b側に窪むように形成されていてもよい。
なお、マスク30のその他の構成は、第1の実施の形態のマスク30と略同一である。
次に、支持体40について詳細に説明する。図14に示すように、支持体40は平面視において略矩形状の形状を有していてもよい。この支持体40は、平面視において、マスク30よりも大きい寸法を有しており、支持体40を画定する輪郭は、マスク30を画定する輪郭を取り囲んでいてもよい。この支持体40は、支持体40の各辺のうち対向する一対の辺が、マスク30の耳部17に対応するようにして、マスク30に対して取り付けられていてもよい。
また、図18に示すように、支持体40には複数の第2貫通孔45が形成されており、第2貫通孔45は、平面視でマスク30の有効領域22よりも大きくなっていてもよい。また、支持体40の一つの第2貫通孔45は、マスク30の一つの有効領域22に対応している。
第2貫通孔45は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。なお図示はしないが、各第2貫通孔45は、被蒸着基板(有機EL基板)92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各第2貫通孔45は、円形状や楕円形状の輪郭を有していてもよく、六角形や八角形といった多角形状を有していてもよい。また、各々の第2貫通孔45は、互いに異なる形状を有していてもよく、例えば円形状、楕円形状、六角形や八角形といった多角形状をそれぞれが有していてもよい。
この第2貫通孔45の周囲には、支持領域46が設けられており、この支持領域46がマスク30の周囲領域23を支持するように構成されていてもよい。これにより、支持体40が、マスク30の有効領域22を囲うようにマスク30を支持することができるため、マスク30にシワや変形が生じることを効果的に抑制することができる。なお、支持領域46は、有機EL基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。
また、図14および図17に示すように、本実施の形態においては、上述した第1接合部19aは、支持体40とフレーム15とを互いに接合していてもよい。この場合、図14に示すように、第1接合部19aは、支持体40の各辺に沿って線状に延びていてもよい。なお、図示はしないが、第1接合部19aは、支持体40の各辺のうち、マスク30の耳部17に対応する一対の辺のみに沿って形成されていてもよい。また、支持体40は、有機EL基板92と接触するように意図された部材ではない。このため、本実施の形態においては、第1接合部19aの上述した高低差H1は5μm以上であってもよい。
次に、図19を参照して、支持体40についてより詳細に説明する。図19に示すように複数の第2貫通孔45は、マスク30の第1面30aの法線方向Nに沿った一方の側(図示された例では、マスク30の第2面30bに対面する側)となる第1面400aから、マスク30の第1面30aの法線方向Nに沿った他方の側となる第2面400bへ貫通している。図示された例では、後に詳述するように、金属板640の第1面640aに第1凹部401がエッチングによって形成され、第1面640aと対向する金属板640の第2面640bに第2凹部402が形成される(図20A乃至図20D参照)。第1凹部401は、第2凹部402に接続され、これによって第2凹部402と第1凹部401とが互いに通じ合うように形成される。第2貫通孔45は、第2凹部402と、第2凹部402に接続された第1凹部401とによって構成されている。
本実施の形態において、支持体40の厚みt2は、0.2mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよく、0.8mm以上であってもよく、1.0mm以上であってもよい。支持体40の厚みt2が、0.2mm以上であることにより、蒸着マスク20の剛性を向上させることができる。これにより、マスク30にシワや変形が生じることを抑制することができる。また、支持体40の厚みt2は、2.0mm以下であってもよく、1.7mm以下であってもよく、1.5mm以下であってもよく、1.2mm以下であってもよい。支持体40の厚みt2が、2.0mm以下であることにより、支持体40の成形性を向上させることができる。支持体40の厚みt2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体40の厚みt2の範囲は、0.2mm以上2.0mm以下であってもよく、0.5mm以上1.7mm以下であってもよく、0.8mm以上1.2mm以下であってもよく、1.0mm以上1.2mm以下であってもよい。また、支持体40の厚みt2の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体40の厚みt2の範囲は、1.2mm以上1.5mm以下であってもよい。また、支持体40の厚みt2の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体40の厚みt2の範囲は、0.5mm以上0.8mm以下であってもよい。
上述した支持体40を構成する主要な材料としては、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。例えば、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を用いることができる。また、これに限られず、支持体40を構成する主要な材料として、例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、鉄合金以外の金属または合金を用いてもよい。
次に、フレーム15について詳細に説明する。図18に示すように、本実施の形態によるフレーム15の開口部15aは、平面視で支持体40の第2貫通孔45に重なるように設けられていてもよい。本実施の形態においては、平面視において開口部15aを画定する輪郭は、第2貫通孔45を画定する輪郭の全てを取り囲んでいてもよい。蒸着時には、るつぼ94から蒸発した蒸着材料98は、フレーム15の開口部15aを通って蒸着マスク20に到達する。
また、図14に示すように、フレーム15は、平面視において、支持体40よりも大きい寸法を有しており、フレーム15を画定する輪郭は、支持体40を画定する輪郭を取り囲んでいてもよい。このフレーム15は、フレーム15の各辺が支持体40の各辺に対応するようにして、支持体40に対して取り付けられていてもよい。
次に、主に図20A乃至図22Bにより、蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。ここでは、まず、蒸着マスク20の製造方法について説明する。
まず、マスク30を準備する。この際、例えば、図9A乃至図9Dに示す方法により、マスク30を作製する。
また、マスク30を準備することと並行して、支持体40を準備する。この際、まず、図20Aに示すように、金属板640の第1面640a上および第2面640b上に感光性レジスト材料を含むレジスト膜を形成する。続いて、レジスト膜を露光および現像する。これにより、金属板640の第1面640a上に第1レジストパターン650aを形成し、金属板640の第2面640b上に第2レジストパターン650bを形成することができる。
次に、図20Bに示すように、金属板640の第1面640aのうち第1レジストパターン650aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。これによって、金属板640の第1面640aに多数の第1凹部401が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものを用いる。
次に、図20Cに示すように、金属板640の第2面640bのうち第2レジストパターン650bによって覆われていない領域をエッチングし、第2面640bに第2凹部402を形成する第2面エッチング工程を実施する。第2面エッチング工程は、第1凹部401と第2凹部402とが互いに通じ合い、これによって第2貫通孔45が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものを用いる。なお、第2面エッチング工程の際、図20Cに示すように、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂690によって第1凹部401が被覆されていてもよい。
その後、図20Dに示すように、金属板640から樹脂690を除去する。樹脂690は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、図20Dに示すように、樹脂690と同時にレジストパターン650a、650bも除去される。なお、樹脂690を除去した後、樹脂690を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂690とは別途にレジストパターン650a、650bを除去してもよい。これにより、第2貫通孔45が形成された支持体40を得ることができる。
次に、上述のようにして得られたマスク30をCWレーザー(すなわち、連続波のレーザー)により支持体40に溶接する。これにより、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合と比較して、第2接合部19bの長手方向に沿った単位長さ内において、第2接合部19bのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2(図16参照)を小さくすることができる。また、CWレーザーを用いることにより、断続的にレーザー光を照射するパルスレーザーを用いた場合と比較して、第2接合部19bの幅W2(図15参照)が最も広い部分の幅の値と、第2接合部19bの幅W2が最も狭い部分の幅の値との差を、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅W2の変化率を小さくすることができる。
この場合、まず、図21Aに示すように、マスク30を支持体40上に配置する。
次に、図21Bに示すように、例えば、図示しないレーザー装置により、マスク30の第1面30a側からレーザー光Laを照射する。これによって、マスク30の耳部17の一部および支持体40の一部が溶融する。
レーザー光Laの照射が終了すると、溶融した部分の温度が低下して固化し、第2接合部19bとなる。これにより、マスク30の耳部17と支持体40とが第2接合部19bによって互いに接合される。このようにして、支持体40と、第2接合部19bによって支持体40に接合されたマスク30と、を有する蒸着マスク20を得ることができる。
また、蒸着マスク20を準備することと並行して、フレーム15を準備する。この際、例えば、図10Aおよび図10Bに示す方法により、フレーム15を作製する。
次に、上述のようにして得られた蒸着マスク20をCWレーザーによりフレーム15に溶接する。
この場合、まず、図22Aに示すように、蒸着マスク20をフレーム15上に配置する。この際、支持体40とフレーム15とが接触するように、蒸着マスク20がフレーム15上に配置される。
次に、図22Bに示すように、例えば、図示しないレーザー装置により、マスク30の第1面30a側からレーザー光Laを照射する。これによって、支持体40の一部およびフレーム15の一部が溶融する。なお、この際、蒸着マスク20に撓みが発生することを抑制するとともに、マスク30の有効領域22の位置調整を行うために、蒸着マスク20をマスク30の第1面30aの面方向に引っ張った状態で、支持体40とフレーム15とが互いに接合されてもよい。
レーザー光Laの照射が終了すると、溶融した部分の温度が低下して固化し、第1接合部19aとなる。これにより、支持体40とフレーム15とが第1接合部19aによって互いに接合される。このようにして、フレーム15と、第1接合部19aによってフレーム15に接合された蒸着マスク20と、を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
なお、本実施の形態による蒸着マスク装置10を用いて有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着する際には、図12A乃至図12Cに示す方法により、有機EL基板92に蒸着材料98を蒸着することができる。
ここで、本実施の形態においては、第2接合部19bの長手方向に沿った単位長さ(1.0cm)内において、第2接合部19bのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2が5μm以下となり得る。これにより、有機EL基板92と蒸着マスク20との密着性を向上させることができる。このため、蒸着マスク20を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。また、高低差H2が5μm以下であることにより、有機EL基板92を蒸着マスク20上に設置した際に、有機EL基板92に傷が付いてしまうことを抑制することができるとともに、有機EL基板92に割れが生じることを抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2接合部19bの長手方向に沿った単位長さ内において、第2接合部19bのうちの第1面30aの法線方向Nにおける最高点と最低点との間の高低差H2が5μm以下である。これにより、有機EL基板92とマスク30との密着性を向上させることができる。このため、マスク30を使用して蒸着工程を行う際に、有機EL基板92の所望の位置に蒸着材料98を蒸着させることができる。
また、本実施の形態によれば、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値と、第2接合部19bの幅W2が最も狭い部分の幅の値との差を、第2接合部19bの幅W2が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下である。これにより、第2接合部19bに、洗浄液が入り込み得る凹部A2(図15参照)が形成されることを抑制することができる。このため、洗浄された蒸着マスク20上に洗浄液が残存してしまう不具合を抑制することができる。この結果、洗浄された蒸着マスク20を使用して蒸着工程を行う際に、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発して所望の真空度が得られなくなることを抑制することができる。また、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発してしまうことにより、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になることを抑制することができる。
さらに、本実施の形態によれば、マスク30をCWレーザーにより支持体40に溶接する。これにより、上述した形状の第2接合部19bを容易に形成することができる。
なお、上述した各実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した各実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の各実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した各実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(マスクの製造方法の変形例)
上述の本実施の形態および変形例においては、エッチングによってマスク30を作製する例について説明した。しかしながら、マスク30を作製するために採用される方法が、エッチングに限られることはない。例えば、めっき処理によってマスク30を作製してもよい。
(マスクの変形例)
上述の本実施の形態においては、支持体40に複数のマスク30が取り付けられている例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図23に示すように、支持体40に、格子状に配置された複数の有効領域22を有する単一のマスク30が取り付けられていてもよい。この場合、第2接合部19bは、マスク30の各辺に沿って線状に延びていてもよい。なお、図示はしないが、第2接合部19bは、マスク30の各辺のうち、互いに対向する一対の辺のみに沿って形成されていてもよい。また、図23においては、図面を明瞭にするために、支持体40の第2貫通孔45および支持領域46の図示を省略している。さらに、蒸着マスク20が支持体40を有することなく、マスク30のみにより構成されていてもよい。
(マスクの耳部の変形例)
上述の本実施の形態および変形例においては、蒸着マスク20の耳部17の厚みと中間部18の厚みとが同一である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、耳部17の厚みと中間部18の厚みとが異なっていてもよい。例えば、図24に示すように、耳部17の厚みが中間部18の厚みよりも厚くなっていてもよい。また、図示はしないが、例えば、耳部17の厚みが中間部18の厚みよりも薄くなっていてもよい。なお、この場合においても、蒸着マスク20が支持体40を有することなく、マスク30のみにより構成されていてもよい。
(支持体の第1の変形例)
また、上述の本実施の形態においては、支持体40が単一の部材から構成されている例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、図25に示すように、支持体40が、互いに接合された複数の層を有していても良い。具体的には、支持体40は、マスク30に接合された第1層40aと、第1層40aに接合された第2層40bとを有していても良い。この場合、支持体40の第2貫通孔45は、第1層40aおよび第2層40bを貫通している。すなわち、支持体40の第1層40aには所定のパターンで第1開口部40cが設けられ、第2層40bには、第1開口部40cに連通する第2開口部40dが設けられている。そして、第1開口部40cと第2開口部40dとが互いに連通することにより、支持体40の第1層40aおよび第2層40bを貫通する第2貫通孔45が画定されている。
このように、支持体40が第1層40aと第2層40bとを有することにより、所望の厚みt2を有する支持体40を容易に得ることができる。すなわち、支持体40の第2貫通孔45を形成する際、上述したように、露光工程および現像工程を含むフォトリソグラフィー法により金属板をパターニングする。この際、金属板の厚みが厚い場合、金属板を所望のパターンにパターニングすることが困難になる可能性がある。これに対して、支持体40が第1層40aと、第2層40bとを有することにより、第1層40aおよび第2層40bが接合される前に、第1層40aの第1開口部40cおよび第2層40bの第2開口部40dをそれぞれ形成することができる。そして、第1開口部40cが形成された第1層40aと、第2開口部40dが形成された第2層40bとを互いに接合することにより、第2貫通孔45が形成され、十分な厚みt2(図19参照)を有する支持体40を容易に得ることができる。
また、これらの第1層40aおよび第2層40bは、接着剤、ロウ材または溶接により互いに接合されていてもよい。この場合、第1層40aと第2層40bとの接合面47は、側方から金属部材48により覆われていることが好ましい。これにより、蒸着マスク20を洗浄し、蒸着マスク20に付着した蒸着材料98を除去した場合においても、第1層40aと第2層40bとの間の隙間に洗浄液が入り込んでしまう不具合を抑制することができる。このため、洗浄された蒸着マスク20を使用して蒸着工程を行う際に、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発して所望の真空度が得られなくなることを抑制することができる。また、蒸着装置90内において、洗浄液が蒸発してしまうことにより、蒸着材料98を有機EL基板92の所望の位置に蒸着させることが困難になることを抑制することができる。
このような支持体40を作製する場合、まず、マスク30に接合される第1層40aと、第1層40aに接合される第2層40bとを準備する。この場合、まず、金属板を準備し、露光工程および現像工程を含むフォトリソグラフィー法により金属板をパターニングする。これにより、図26Aに示すように、第1層40aに第1開口部40cが形成され、第2層40bに第2開口部40dが形成される。
次に、図26Bに示すように、第1層40aと第2層40bとを互いに接合する。この際、第1層40aおよび第2層40bは、接着剤、ロウ材または溶接により互いに接合され得る。
次いで、図26Cに示すように、第1層40aと第2層40bとの接合面47を金属部材48によって覆う。この場合、例えば溶接によって、接合面47を側方から覆うように金属部材48を肉盛りしてもよく、めっき処理によって、接合面47を側方から覆うように金属を析出させて、金属部材48を形成しても良い。このようにして、支持体40が得られる。
また、本変形例においては、図27に示すように、各層40a、40bが金属部材48により側方から完全に覆われていても良く、第2層40bの下面が金属部材48により覆われていても良い。
また、本変形例においては、支持体40が、3つ以上の層を有していても良い。例えば、図28に示すように、支持体40が、第1層40aと第2層40bとの間に介在する第3層40fを更に有していても良い。この場合、支持体40の第2貫通孔45は、各層40a、40f、40bを貫通している。すなわち、支持体40の第3層40fには第1層40aの第1開口部40cおよび第2層40bの第2開口部40dに連通する第3開口部40gが設けられている。そして、第1開口部40c、第3開口部40gおよび第2開口部40dが互いに連通することにより、支持体40の第1層40a、第3層40fおよび第2層40bを貫通する第2貫通孔45が画定されている。また、この場合においても、各層40a、40f、40bの各接合面47が金属部材48により側方から覆われていることが好ましい。
また、本変形例においても、図29に示すように、各層40a、40f、40bが金属部材48により側方から完全に覆われていても良く、第2層40bの下面が金属部材48により覆われていても良い。
(支持体の第2の変形例)
また、上述の本実施の形態においては、支持体40の第2貫通孔45が、平面視でマスク30の有効領域22よりも大きい寸法を有している例について説明した。しかしながら、これに限られることはなく、第2貫通孔45が平面視で有効領域22よりも小さい寸法を有していても良い。また、複数の有効領域22のうち一部の有効領域22が、支持領域46によって覆われていても良い。
10 蒸着マスク装置
15 フレーム
19a 第1接合部
191a 第1接合部
192a 第1接合部
19b 第2接合部
20 蒸着マスク
40 支持体

Claims (15)

  1. 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有する蒸着マスクと、
    線状の第1接合部を介して前記蒸着マスクに接合され、前記第2面側に位置するフレームと、を備え、
    前記第1接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第1接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスク装置。
  2. 前記第1接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第1接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第1接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下である、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
  3. 前記蒸着マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の蒸着マスク装置。
  4. 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有するマスクと、
    線状の第2接合部を介して前記マスクに接合され、前記第2面側に位置する支持体と、
    線状の第1接合部を介して前記支持体に接合されたフレームと、を備え、
    前記第2接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第2接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスク装置。
  5. 前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第2接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下である、請求項4に記載の蒸着マスク装置。
  6. 前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項4または5に記載の蒸着マスク装置。
  7. 第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有するマスクと、
    線状の第2接合部を介して前記マスクに接合され、前記第2面側に位置する支持体と、を備え、
    前記第2接合部の長手方向に沿った単位長さ内において、前記第2接合部のうちの前記第1面の法線方向における最高点と最低点との間の高低差は、5μm以下である、蒸着マスク。
  8. 前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値と、前記第2接合部の幅が最も狭い部分の幅の値との差を、前記第2接合部の幅が最も広い部分の幅の値で割ることによって得られる幅の変化率は、0%以上20%以下である、請求項7に記載の蒸着マスク。
  9. 前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項7または8に記載の蒸着マスク。
  10. 蒸着マスクと、前記蒸着マスクに取り付けられたフレームと、を備える蒸着マスク装置の製造方法であって、
    前記蒸着マスクを準備する工程と、
    前記フレームを準備する工程と、
    前記蒸着マスクをCWレーザーにより前記フレームに溶接する工程と、を備える、蒸着マスク装置の製造方法。
  11. 前記蒸着マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項10に記載の蒸着マスク装置の製造方法。
  12. マスクと、前記マスクに取り付けられた支持体と、を有する蒸着マスクと、前記支持体に取り付けられたフレームと、を備える蒸着マスク装置の製造方法であって、
    前記マスクを準備する工程と、
    前記支持体を準備する工程と、
    前記フレームを準備する工程と、
    前記マスクをCWレーザーにより前記支持体に溶接する工程と、
    前記支持体を前記フレームに溶接する工程と、を備える、蒸着マスク装置の製造方法。
  13. 前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項12に記載の蒸着マスク装置の製造方法。
  14. マスクと、前記マスクに取り付けられた支持体と、を備える蒸着マスクの製造方法であって、
    前記マスクを準備する工程と、
    前記支持体を準備する工程と、
    前記マスクをCWレーザーにより前記支持体に溶接する工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法。
  15. 前記マスクの厚みは、5μm以上10μm以下である、請求項14に記載の蒸着マスクの製造方法。
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