JP2020085234A - 衝撃吸収構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】段差部に生じる荷重を低減できる衝撃吸収構造体を提供すること。【解決手段】衝撃吸収構造体20の繊維構造体21は、荷重方向Zに延びる経糸28aを有する複数の経糸層28、及び経糸28aに直交する緯糸27aを有する緯糸層27を備えるとともに、複数の緯糸層27と経糸層28を積層方向Xに結合する層間結合糸26を備える筒状である。繊維構造体21は、先端部23寄りに比べて基端部24寄りの積層方向Xの厚さを厚くした段差部25を備える。繊維構造体21は、段差部25の第1〜第3交差部K1〜K3を含む一部に脆弱部29を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、衝撃吸収構造体に関する。
例えば、バンパと車体のサイドメンバとの間には、衝撃吸収構造体が配置されており、この衝撃吸収構造体は、車両がパンパ側から過大な衝撃荷重を受けた場合に、破壊することにより衝撃エネルギーを吸収する。衝撃吸収構造体は、荷重が加わる方向の先端から荷重方向に沿った所定位置に至るまでの範囲では、荷重に対する強度を小さくし、荷重によって破壊されやすくしている。また、荷重が加わる方向に沿って、厚さを大きくした段差部を設けることで、荷重に対する強度を徐々に大きくし、運転席側へ過大な荷重が加わらないようにしている。このような衝撃吸収構造体としては、繊維構造体にマトリックス樹脂を含浸させて構成された繊維強化複合材が知られている。
例えば、特許文献1の衝撃吸収構造体において、繊維構造体は、シート状の繊維層を複数積み重ねて構成されている。また、特許文献1に開示の繊維構造体は、先端部では、シート状の繊維層を複数積み重ねて一様な厚さとするとともに、基端部側ほど、シート状の繊維層の端部を階段状にずらして積み重ねることで、厚さを異ならせている。
ところが、段差部を有する衝撃吸収構造体においては、衝撃荷重が加わったとき、厚さが急激に変化している段差部では、急激に荷重が増大して好ましくない。
本発明の目的は、段差部に生じる荷重を低減できる衝撃吸収構造体を提供することにある。
本発明の目的は、段差部に生じる荷重を低減できる衝撃吸収構造体を提供することにある。
上記問題点を解決するための衝撃吸収構造体は、繊維構造体にマトリックス材料を含浸させて構成され、衝撃荷重を受けた際の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収構造体であって、前記繊維構造体は、荷重が加わる方向に延びる荷重方向糸から構成される繊維層を含む複数の繊維層を備え、前記繊維構造体において、前記荷重が加わる方向を荷重方向とし、当該荷重方向に直交する方向を前記複数の繊維層の積層方向とすると、前記繊維構造体は、先端部寄りに比べて基端部寄りの前記積層方向の厚さを厚くした段差部を備え、前記段差部の始点を含む一部に、前記始点よりも前記先端部寄りの部位と比べて強度を弱くした脆弱部を備えることを要旨とする。
これによれば、衝撃吸収構造体に対し、荷重方向の先端部から衝撃荷重が加わったときに、脆弱部により、段差部の始点を含む一部に生じる荷重を低減させることができるとともに、段差部で荷重が急激に増大することを抑制できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維構造体は、複数の前記繊維層を前記積層方向に結合する層間結合糸を備え、前記脆弱部は、前記始点よりも前記先端部寄りの部位と比べて前記層間結合糸による層間結合強度を弱くして形成されていてもよい。
これによれば、繊維構造体を構成する層間結合糸を制御することで、段差部の始点を含む一部に生じる荷重を低減させることができるとともに、段差部で荷重が急激に増大することを抑制できる。よって、層間結合糸を用いて繊維構造体を製造する過程で、段差部での荷重の急激な増大を抑制できる繊維構造体を形成できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記脆弱部は、単位面積当たりの前記層間結合糸の繊維本数をその他の部位に比べて少なくして形成されていてもよい。
これによれば、段差部において層間結合糸が積層方向に貫通する位置は、織機によって容易に調節できるため、脆弱部を備えた衝撃吸収構造体を容易に製造できる。
これによれば、段差部において層間結合糸が積層方向に貫通する位置は、織機によって容易に調節できるため、脆弱部を備えた衝撃吸収構造体を容易に製造できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記脆弱部は、当該脆弱部を貫通する前記層間結合糸の強度を、その他の部位を貫通する前記層間結合糸の強度に比べて弱くして形成されていてもよい。
これによれば、層間結合糸の変更は、織機によって容易に調節できるため、脆弱部を備えた衝撃吸収構造体を容易に製造できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、当該脆弱部を構成する前記交差糸の強度を、前記始点よりも前記先端部寄りの部位の前記交差糸の強度に比べて弱くして形成されていてもよい。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、当該脆弱部を構成する前記交差糸の強度を、前記始点よりも前記先端部寄りの部位の前記交差糸の強度に比べて弱くして形成されていてもよい。
これによれば、脆弱部を形成する際に交差糸の強度を弱くするために交差糸を変更することになるが、このような糸の変更は織機によって容易に調節できるため、脆弱部を備えた衝撃吸収構造体を容易に製造できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、単位面積当たりの前記荷重方向糸の本数に対する前記交差糸の本数の比率を配向比率とした場合、前記脆弱部は、当該脆弱部における前記配向比率を、前記始点よりも前記先端部寄りの部位の前記配向比率に比べて小さくして形成されていてもよい。
これによれば、荷重方向糸と交差糸の配向比率を調節することにより、脆弱部を構成する糸の本数が調節されるため、脆弱部の強度を機械的に調節できる。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、前記荷重方向糸を前記荷重方向に蛇行させて形成されていてもよい。
また、衝撃吸収構造体について、前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、前記荷重方向糸を前記荷重方向に蛇行させて形成されていてもよい。
これによれば、荷重方向糸を蛇行させることにより、荷重方向糸が受けることのできる衝撃荷重の大きさが小さくなる。よって、荷重方向糸を制御することにより、脆弱部を形成できる。
本発明によれば、段差部に生じる荷重を低減できる。
(第1の実施形態)
以下、衝撃吸収構造体を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
以下、衝撃吸収構造体を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、車両において、左右両側に設けられたサイドメンバ11の前端部同士の間にはクロスメンバ12が車幅方向に連結するように設けられている。サイドメンバ11の前端部には衝撃吸収構造体20がバンパ13を支持するように設けられている。
図2又は図3に示すように、衝撃吸収構造体20は繊維強化複合材製である。衝撃吸収構造体20は、複数の段差部を有する四角筒状の繊維構造体21にマトリックス材料の一例であるマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂19を含浸させて構成されたものである。衝撃吸収構造体20は、筒体の軸方向に沿って過大な衝撃荷重を受けた場合に、破壊することにより衝撃エネルギーを吸収する。以下、衝撃吸収構造体20に対し荷重が加わる方向(筒体の軸線方向)を荷重方向Zとする。なお、熱硬化性樹脂19としては、例えば、エポキシ樹脂が使用される。
また、繊維構造体21は、非連続強化繊維によって製造されている。非連続強化繊維としては、有機繊維又は無機繊維を使用してもよいし、異なる種類の有機繊維、異なる種類の無機繊維、又は有機繊維と無機繊維を混繊した混繊繊維を使用してもよい。有機繊維としては、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等が挙げられ、無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等が挙げられる。
繊維構造体21は、荷重方向Zの両端部のうち、荷重が最初に加わる四角枠状の端面に第1端面21aを有し、第1端面21aと反対側の端面に四角枠状の第2端面21bを有する。繊維構造体21は、第1端面21aを有する四角筒状の先端部23と、第2端面21bを有する四角筒状の基端部24と、荷重方向Zにおける先端部23と基端部24との間に位置する四角筒状の段差部25とを有する。本実施形態では、段差部25は3段であり、段差部25は、繊維構造体21の先端部23寄りに比べて、基端部24寄りの積層方向Xの厚さを厚くした部分である。先端部23は、衝撃荷重を受けた際に破壊の起点となる部位である。基端部24は、荷重方向Zにおいて、先端部23よりも第2端面21b寄りに位置し、衝撃荷重を受けた際に、破壊の進行を抑制する部位である。
図3に示すように、繊維構造体21は、繊維層としての経糸層28と緯糸層27とを複数有する。繊維構造体21において、経糸層28と緯糸層27が積み重なる方向を積層方向Xとする。繊維構造体21は、複数の緯糸層27及び複数の経糸層28それぞれが四角筒状に成形されている。緯糸層27は、複数本の緯糸27aから構成され、経糸層28は、複数本の経糸28aから構成されている。また、繊維構造体21は、複数の緯糸層27と複数の経糸層28とを積層方向Xに結合する層間結合糸26を有する。本実施形態では、経糸層28を構成する各経糸28aは、荷重方向Zに延びる荷重方向糸である。また、積層方向Xは、荷重方向Zに直交する方向である。一方、緯糸層27を構成する各緯糸27aは、荷重方向Zに交差する方向のうち、直交する方向に延びる。緯糸27aは、荷重方向糸に交差する交差糸を構成する。そして、複数の緯糸層27及び経糸層28は、荷重方向Zに延びる中心軸線Lに対し直交する方向に積層されている。
先端部23における緯糸層27及び経糸層28の積層枚数は、基端部24及び段差部25よりも少なく、繊維構造体21の中で最も積層枚数が少ない。また、繊維構造体21の中で基端部24が最も積層枚数が多い。段差部25における緯糸層27及び経糸層28の積層枚数は、先端部23から基端部24に向けて3段階に分けて増加している。
繊維構造体21は、先端部23より一段階厚い部位に第1板厚部251を有し、第1板厚部251より一段階厚い部位に第2板厚部252を有する。第2板厚部252における繊維層の積層枚数は、第1板厚部251における繊維層の積層枚数より多く、第2板厚部252は第1板厚部251より厚い。
繊維構造体21は、第2板厚部252より一段階厚い部位に第3板厚部253を有する。第3板厚部253における繊維層の積層枚数は、第2板厚部252における繊維層の積層枚数より多く、第3板厚部253は第2板厚部252より厚い。基端部24は、第3板厚部253より一段階厚い部位である。基端部24における繊維層の積層枚数は、第3板厚部253における繊維層の積層枚数より多く、基端部24は第3板厚部253より厚い。
第1板厚部251を形成するために増やした繊維層の枚数と、第2板厚部252を形成するために増やした繊維層の枚数と、第3板厚部253を形成するために増やした繊維層の枚数と、基端部24を形成するために増やした繊維層の枚数は全て同じである。また、荷重方向Zに沿って並んだ緯糸27aの本数は、第1〜第3板厚部251〜253で同じであり、荷重方向Zに沿った第1〜第3板厚部251〜253の寸法は同じである。
繊維構造体21は、先端部23の外面と第1板厚部251の外面とを繋ぐ第1段差面D1を備え、第1板厚部251の外面と第2板厚部252の外面とを繋ぐ第2段差面D2を備える。繊維構造体21は、第2板厚部252の外面と第3板厚部253の外面とを繋ぐ第3段差面D3を備え、第3板厚部253の外面と基端部24の外面とを繋ぐ第4段差面D4を備える。積層方向Xに沿った第1〜第4段差面D1〜D4の寸法は同じである。
また、繊維構造体21は、第1段差面D1と第1板厚部251の外面とが交わる箇所に第1交差部K1を備え、第2段差面D2と第2板厚部252の外面とが交わる箇所に第2交差部K2を備える。繊維構造体21は、第3段差面D3と第3板厚部253の外面とが交わる箇所に第3交差部K3を備え、第4段差面D4と基端部24の外面とが交わる箇所に第4交差部K4を備える。第1〜第4交差部K1〜K4は、繊維構造体21の中心軸線Lを中心とした四角環状である。また、第1〜第4交差部K1〜K4は、繊維構造体21の外面と各段差面D1〜D4との交差部のうち、積層方向Xの外側に位置する交差部である。そして、第1〜第3交差部K1〜K3は、第1〜第3板厚部251〜253の段差が始まる始点となっている。
先端部23、基端部24及び段差部25は、それぞれ層間結合糸26によって積層方向Xに結合されている。層間結合糸26は、緯糸層27及び経糸層28を積層方向Xに貫通し、かつ積層方向Xの最も外側及び内側の緯糸27aに沿って折り返されている。層間結合糸26によって積層方向Xに結合される緯糸層27及び経糸層28の枚数は、先端部23が最も少なく、基端部24が最も多い。段差部25において、層間結合糸26によって積層方向Xに結合される緯糸層27及び経糸層28の枚数は、段差が増えるごとに増えている。
先端部23及び基端部24において、層間結合糸26は、積層方向Xの最も外側の緯糸27aに沿って折り返された後、先端部23及び基端部24を積層方向Xに貫通する。層間結合糸26は、積層方向Xの最も内側の緯糸27aのうち、積層方向Xの外側で折り返された緯糸27aに荷重方向Zに隣り合う緯糸27aの列に存在する緯糸27aに沿って折り返されている。このため、先端部23及び基端部24では、層間結合糸26は、荷重方向Zに並ぶ緯糸27aの1本おきに折り返されている。なお、緯糸27aが延びる方向については、層間結合糸26は一定間隔おきに設けられている。このため、層間結合糸26によって発現される強度は緯糸27aの延びる方向へは一定である。
段差部25において、層間結合糸26は、積層方向Xの最も外側の緯糸27aのうち、荷重方向Zにおいて第1〜第3段差面D1〜D3に隣り合う緯糸27aに係止するとともに荷重方向Zに緯糸27aを複数本飛ばした位置にある緯糸27aに沿って折り返されている。そして、層間結合糸26は、第1〜第3板厚部251〜253を積層方向Xに貫通する。
層間結合糸26は、積層方向Xの最も内側の緯糸27aのうち、積層方向Xの外側で折り返された緯糸27aに対し、荷重方向Zに隣り合う緯糸27aの列に存在する緯糸27aに沿って折り返されている。そして、層間結合糸26は、荷重方向Zに隣り合う段差面付近では、荷重方向Zに並ぶ緯糸27aの1本おきに折り返されている。なお、緯糸27aが延びる方向については、層間結合糸26は一定間隔おきに設けられている。このため、層間結合糸26による層間結合強度は緯糸27aの延びる方向へは一定である。なお、層間結合糸26は、繊維構造体21を織機によって製造する際に、織機によって先端部23、基端部24及び段差部25の所定の位置に打ち込まれる。
したがって、第1〜第3板厚部251〜253において、その始点となる第1〜第3交差部K1〜K3を含む一部においては、単位面積当たりに存在する層間結合糸26の本数が、荷重方向Zに沿った先端部23寄りの部位よりも少なくなっている。繊維構造体21は、層間結合糸26の本数が少なくなった部位に脆弱部29を備える。脆弱部29は、第1〜第3交差部K1〜K3よりも先端部23寄りの部位と比べて強度を弱くした部位である。なお、脆弱部29同士の間で単位面積当たりの層間結合糸26の本数は同じである。
荷重方向Zへの一定長さ内に存在する層間結合糸26の本数を見た場合、第1板厚部251の脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数と、先端部23における第1段差面D1寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数とでは、脆弱部29の方が少なくなっている。また、荷重方向Zへの一定長さ内に存在する層間結合糸26の本数を見た場合、第2板厚部252の脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数と、第1板厚部251における第2段差面D2寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数とでは、脆弱部29の方が少なくなっている。さらに、荷重方向Zへの一定長さ内に存在する層間結合糸26の本数を見た場合、第3板厚部253の脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数と、第2板厚部252における第3段差面D3寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数とでは、脆弱部29の方が少なくなっている。
脆弱部29以外の部位のように、荷重方向Zに並ぶ緯糸27aの1本おきに層間結合糸26が折り返され、荷重方向Zに隣り合う緯糸27a同士の間に層間結合糸26が存在する場合と比べると、脆弱部29では、荷重方向Zに沿って存在する層間結合糸26の本数が少なくなっている。
積層方向Xに層間結合糸26が延びることにより、層間結合糸26は荷重方向Zに対する強度を持ち、衝撃荷重が加わったとき、層間結合糸26は強度を発現させることになる。そして、荷重方向Zに並ぶ層間結合糸26の本数が多いほど、層間結合糸26によって発現される荷重方向Zへの強度が高まり、荷重方向Zに並ぶ層間結合糸26の本数が少ないほど層間結合糸26によって発現される荷重方向Zへの強度が弱まる。したがって、第1〜第3板厚部251〜253においては、第1〜第3段差面D1〜D3付近の脆弱部29において、層間結合糸26の本数を少なくして、層間結合糸26による層間結合強度を弱くし、脆弱部29以外の部位よりも荷重方向Zへの強度を弱めている。
なお、層間結合糸26、緯糸27a及び経糸28aは全て同種の材質製の繊維束(マルチフィラメント)で構成されている。この実施形態では、層間結合糸26、緯糸27a及び経糸28aには炭素繊維からなる繊維束が使用されている。炭素繊維束は細い繊維が数百〜数万本束ねられて1本の繊維束が構成されており、要求性能に適した繊維の本数の繊維束が選択される。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)車両の前方から衝撃荷重が加わった場合、バンパ13を介して衝撃吸収構造体20に衝撃荷重が加わる。衝撃吸収構造体20は、先端部23及び段差部25に局部破壊を生じさせて衝撃エネルギーを吸収する。その後、基端部24で破壊の進行を抑制する。衝撃吸収構造体20の繊維構造体21において、第1〜第3交差部K1〜K3を含む一部に脆弱部29を設けた。そして、脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数を、脆弱部29よりも荷重方向Zに沿った先端部23寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数より少なくした。このため、衝撃吸収構造体20に対して先端部23側から荷重が加わったときに第1〜第3段差面D1〜D3付近に生じる荷重を低減させ、ひいては、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制できる。
(1)車両の前方から衝撃荷重が加わった場合、バンパ13を介して衝撃吸収構造体20に衝撃荷重が加わる。衝撃吸収構造体20は、先端部23及び段差部25に局部破壊を生じさせて衝撃エネルギーを吸収する。その後、基端部24で破壊の進行を抑制する。衝撃吸収構造体20の繊維構造体21において、第1〜第3交差部K1〜K3を含む一部に脆弱部29を設けた。そして、脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数を、脆弱部29よりも荷重方向Zに沿った先端部23寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数より少なくした。このため、衝撃吸収構造体20に対して先端部23側から荷重が加わったときに第1〜第3段差面D1〜D3付近に生じる荷重を低減させ、ひいては、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制できる。
(2)脆弱部29は、脆弱部29を積層方向Xに貫通する層間結合糸26の本数を、脆弱部29以外の部位よりも減らすことで構成されている。層間結合糸26を貫通させる位置は、織機によって容易に調節でき、脆弱部29を容易に製造できる。したがって、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制した構成を織機で簡単に製造することができる。
(3)層間結合糸26は、第1〜第3段差面D1〜D3に隣り合う緯糸27aに沿って折り返され、第1〜第3段差面D1〜D3に沿って延びる。このため、脆弱部29において、層間結合糸26の本数を減らしながらも、第1〜第3段差面D1〜D3付近で緯糸層27及び経糸層28がばらけることを抑制できる。
(第2の実施形態)
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第2の実施形態を図4にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第2の実施形態を図4にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図4に示すように、第2の実施形態では、層間結合糸26は、荷重方向Zにおいて第1〜第3段差面D1〜D3付近において、荷重方向Zに緯糸27aを複数本飛ばすことなく、荷重方向Zに並ぶ緯糸27aの1本おきに折り返されている。このため、第2の実施形態では、層間結合糸26の本数を減らすことによる脆弱部29の形成はない。
その一方で、第1〜第3段差面D1〜D3に対し荷重方向Zの基端部24寄りで隣り合う緯糸27aを脆弱部用緯糸27bとし、その他の緯糸27aをそのまま緯糸27aとする。そして、脆弱部用緯糸27bの強度を緯糸27aの強度より弱くすることで脆弱部29を形成している。
この実施形態では、緯糸27a、経糸28a及び層間結合糸26を炭素繊維の繊維束としている。そして、脆弱部用緯糸27bの炭素繊維の種類を、その他の緯糸27aの炭素繊維よりも強度の低い種類にしている。又は、脆弱部用緯糸27bを、炭素繊維よりも強度の低いナイロン製とし、緯糸27aを炭素繊維製としてもよい。
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1−1)、(1−3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(2−1)脆弱部29を構成する脆弱部用緯糸27bの強度を、その他の部位を構成する緯糸27aの強度より弱くした。緯糸27aと脆弱部用緯糸27bの変更は織機によって容易に調節できるため、脆弱部29を備えた衝撃吸収構造体20を容易に製造できる。
(2−1)脆弱部29を構成する脆弱部用緯糸27bの強度を、その他の部位を構成する緯糸27aの強度より弱くした。緯糸27aと脆弱部用緯糸27bの変更は織機によって容易に調節できるため、脆弱部29を備えた衝撃吸収構造体20を容易に製造できる。
(第3の実施形態)
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第3の実施形態を図5〜図8にしたがって説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第3の実施形態を図5〜図8にしたがって説明する。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、衝撃吸収構造体20の繊維構造体30は、四角筒状の第1筒部31と、第1筒部31の外周面に積み重ねられた四角筒状の第2筒部32と、を備える。繊維構造体30は、第2筒部32の外周面に積み重ねられた四角筒状の第3筒部33と、第3筒部33の外周面に積み重ねられた四角筒状の第4筒部34と、第4筒部34の外周面に積み重ねられた四角筒状の第5筒部35と、を備える。そして、第1筒部31における荷重方向Zの一端面によって第1端面30aが構成されている。第1〜第5筒部31〜35における荷重方向Zの他端面によって第2端面30bが構成されている。
繊維構造体30において、第2筒部32における荷重方向Zの一端面は、第1筒部31における荷重方向Zの一端面より第2端面30b寄りにずれている。繊維構造体30において、第3筒部33における荷重方向Zの一端面は、第2筒部32における荷重方向Zの一端面より、第2端面30b寄りにずれている。繊維構造体30において、第4筒部34における荷重方向Zの一端面は、第3筒部33における荷重方向Zの一端面より、第2端面30b寄りにずれている。繊維構造体30において、第5筒部35における荷重方向Zの一端面は、第4筒部34における荷重方向Zの一端面より、第2端面30b寄りにずれている。
第1筒部31の第1端面30a寄りの部位によって先端部41が構成されている。第2筒部32における第1端面30a寄りの端面により第1段差面D1が構成されている。第2筒部32における第1端面30a寄りの端面と周面との交差部によって第1交差部K1が構成されている。第3筒部33における第1端面30a寄りの端面により第2段差面D2が構成されている。第3筒部33における第1端面30a寄りの端面と周面との交差部によって第2交差部K2が構成されている。第4筒部34における第1端面30a寄りの端面により第3段差面D3が構成されている。第4筒部34における第1端面30a寄りの端面と周面との交差部によって第3交差部K3が構成されている。第5筒部35における第1端面30a寄りの端面により第4段差面D4が構成されている。第5筒部35における第1端面30a寄りの端面と周面との交差部によって第4交差部K4が構成されている。
繊維構造体30において、第1板厚部251は、第1筒部31と第2筒部32が重なる部分によって構成され、第2板厚部252は、第1筒部31と第2筒部32と第3筒部33が重なる部分によって構成されている。また、第3板厚部253は、第1筒部31と第2筒部32と第3筒部33と第4筒部34が重なる部分によって構成され、基端部42は、第1筒部31と第2筒部32と第3筒部33と第4筒部34と第5筒部35が重なる部分によって構成されている。
繊維構造体30は、第1〜第3交差部K1〜K3を含む一部に脆弱部40を備える。ここで、単位面積当たりの経糸28aの本数に対する緯糸27aの本数の比率を配向比率とする。脆弱部40は、当該脆弱部40の配向比率を、第1〜第3交差部K1〜K3よりも先端部41寄りの部位の配向比率に比べて小さくして形成されている。
図6に示すように、脆弱部40において、単位面積当たりの経糸28aの本数と緯糸27aの本数の比率を1:2とし、配向比率を0.5としている。脆弱部40以外の経糸28aの本数と緯糸27aの本数の比率を2:1とし、配向比率を2としている。
図5に示すように、第1〜第4筒部31〜34は、緯糸27a及び経糸28aの本数を調整することで配向比率0.5となる第1部位36と、配向比率2となる第2部位37とを備える。
第1筒部31は、繊維構造体30の先端部41を構成する部分に第2部位37を備える。第1筒部31は、第1板厚部251を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第1筒部31は、第2板厚部252を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第1筒部31は、第3板厚部253を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第1筒部31において、第3板厚部253を構成する第2部位37は、繊維構造体30の基端部42も構成する。
第2筒部32は、第1板厚部251を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第2筒部32は、第2板厚部252を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第2筒部32は、第3板厚部253を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第2筒部32において、第3板厚部253を構成する第2部位37は、繊維構造体30の基端部42も構成する。
第3筒部33は、第2板厚部252を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第3筒部33は、第3板厚部253を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第3筒部33において、第3板厚部253を構成する第2部位37は、繊維構造体30の基端部42も構成する。
第4筒部34は、第3板厚部253を構成する部分のうち、脆弱部40を構成する部分に第1部位36を備え、脆弱部40以外の部位を構成する部分に第2部位37を備える。第4筒部34において、第3板厚部253を構成する第2部位37は、繊維構造体30の基端部42も構成する。第5筒部35は全体が第2部位37によって形成されている。
第1板厚部251の脆弱部40は、第1筒部31の第1部位36と第2筒部32の第1部位36とから構成され、第1板厚部251の脆弱部40以外の部位は、第1筒部31の第2部位37と、第2筒部32の第2部位37とから構成されている。
第2板厚部252の脆弱部40は、第1〜第3筒部31〜33の第1部位36から構成され、第2板厚部252の脆弱部40以外の部位は、第1〜第3筒部31〜33の第2部位37から構成されている。第3板厚部253の脆弱部40は、第1〜第4筒部31〜34の第1部位36から構成され、第3板厚部253の脆弱部40以外の部位は、第1〜第4筒部31〜34の第2部位37から構成されている。
次に、脆弱部40の製造方法を第1板厚部251の脆弱部40の製造方法に具体化して説明する。
まず、第1筒部31を製造する。
まず、第1筒部31を製造する。
図7(a)に示すように、積層方向Xに8層の経糸層28を製造するとともに、積層方向Xの両端の経糸層28の外側それぞれに1層の緯糸層27を緯入れする。また、経糸層28のうち、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と4層目の経糸層28との間それぞれに1層の緯糸層27を緯入れする。すると、8層の経糸層28と4層の緯糸層27が形成され、配向比率2の第2部位37が製織される。なお、8層の経糸層28と4層の緯糸層27は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
次に、第2部位37に連続して第1部位36を形成する。
図7(b)に示すように、第2部位37を形成する8層の経糸層28のうち、積層方向X両端から2層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う経糸層28との間それぞれに、1層の緯糸層27を緯入れする。また、第2部位37を形成する8層の経糸層28のうち、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う4層目の経糸層28との間それぞれに2層の緯糸層27を緯入れする。また、積層方向Xの両端から4層目の経糸層28同士の間に2層の緯糸層27を緯入れする。すると、8層の緯糸層27と8層の経糸層28が製織され、第1部位36の前駆体36aが形成される。なお、8層の緯糸層27と8層の経糸層28は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
図7(b)に示すように、第2部位37を形成する8層の経糸層28のうち、積層方向X両端から2層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う経糸層28との間それぞれに、1層の緯糸層27を緯入れする。また、第2部位37を形成する8層の経糸層28のうち、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う4層目の経糸層28との間それぞれに2層の緯糸層27を緯入れする。また、積層方向Xの両端から4層目の経糸層28同士の間に2層の緯糸層27を緯入れする。すると、8層の緯糸層27と8層の経糸層28が製織され、第1部位36の前駆体36aが形成される。なお、8層の緯糸層27と8層の経糸層28は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
続いて、図7(c)に示すように、上記と同様の方法で、第1部位36の前駆体36aに連続して第2部位37を形成する。その第2部位37に連続して、上記と同様の方法で図示しない第1部位36の前駆体36a、第2部位37、第1部位36の前駆体36a及び第2部位37を製織する。すると、第1筒部31の全体が構成される。次に、各前駆体36aにおいて、図7(c)の2点鎖線に示すように、積層方向X両端の経糸層28及び、両端から1層目の経糸層28について、第1部位36の前駆体を形成する経糸28aを切除する。すると、4つの経糸層28と8つの緯糸層27が形成され、第1部位36の前駆体36aから、第1部位36が形成される。
次に、第2筒部32を製造する。
図8(a)に示すように、積層方向Xに8層の経糸層28を製造する。8層の経糸層28のうち、積層方向X両端から2層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う3層目の経糸層28との間それぞれに、1層の緯糸層27を緯入れする。
図8(a)に示すように、積層方向Xに8層の経糸層28を製造する。8層の経糸層28のうち、積層方向X両端から2層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う3層目の経糸層28との間それぞれに、1層の緯糸層27を緯入れする。
また、8層の経糸層28のうち、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う4層目の経糸層28との間それぞれに2層の緯糸層27を緯入れする。積層方向Xの両端から4層目の経糸層28同士の間に2層の緯糸層27を緯入れする。すると、8層の緯糸層27が形成され、第1部位36の前駆体36aが形成される。なお、8層の緯糸層27は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
続いて、第1部位36の前駆体36aに連続して第2部位37を形成する。
図8(b)に示すように、第1部位36の前駆体36aを形成する8層の経糸層28のうち、積層方向X両端の経糸層28それぞれの外側に1層の緯糸層27を緯入れする。また、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う4層目の経糸層28との間それぞれに1層の緯糸層27を緯入れする。すると、4層の緯糸層27が形成され、8層の経糸層28と4層の緯糸層27からなる第2部位37が製織される。なお、4つの緯糸層27は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
図8(b)に示すように、第1部位36の前駆体36aを形成する8層の経糸層28のうち、積層方向X両端の経糸層28それぞれの外側に1層の緯糸層27を緯入れする。また、積層方向Xの両端から3層目の経糸層28と、それら経糸層28よりも積層方向Xの内側で隣り合う4層目の経糸層28との間それぞれに1層の緯糸層27を緯入れする。すると、4層の緯糸層27が形成され、8層の経糸層28と4層の緯糸層27からなる第2部位37が製織される。なお、4つの緯糸層27は層間結合糸26によって積層方向Xに結合される。
その後、上記と同様の方法で第1部位36の前駆体36a、第2部位37、第1部位36の前駆体36a、及び第2部位37を形成する。次に、各前駆体36aにおいて、積層方向Xの両端から2層の経糸層28それぞれについて、前駆体36aを形成している経糸28aを切除する。すると、4層の経糸層28と8層の緯糸層27が形成され、前駆体36aから第1部位36が形成される。
図6に示すように、第1板厚部251を形成するには、第1筒部31の一端寄りの第2部位37を余して、その第2部位37に連続する第1部位36に、第2筒部32の一端寄りの第1部位36を積み重ねる。同時に、第1筒部31の第2部位37と第2筒部32の第2部位37を積み重ねる。すると、先端部41が形成されるとともに第1板厚部251が形成される。
そして、先端部41は、第1筒部31の第2部位37によって形成されている。先端部41は、8層の経糸層28と4層の緯糸層27によって形成されている。よって、先端部41は配向比率2である。第1板厚部251の脆弱部40は、第1筒部31の第1部位36と、第2筒部32の第1部位36とから形成され、8層の経糸層28と、16層の緯糸層27によって形成されている。よって、第1板厚部251の脆弱部40は配向比率0.5である。
なお、第1板厚部251の脆弱部40以外の部位は、第1筒部31の第2部位37と第2筒部32の第2部位37によって形成され、16層の経糸層28と8層の緯糸層27によって形成されている。よって、第1板厚部251の脆弱部40以外の部位は配向比率2である。
なお、第2板厚部252、第3板厚部253、及び基端部24は上記のように形成された第3筒部33、第4筒部34及び第5筒部35を積み重ねて形成されている。第3筒部33、第4筒部34及び第5筒部35において、第1部位36及び第2部位37の製織方法は上記と同じであるため、詳細な説明を省略する。
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1−1)、(1−3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(3−1)第1〜第3板厚部251〜253において、脆弱部40の配向比率をその他の部位の配向比率より小さくした。このため、緯糸27aと経糸28aの本数を調節することで、脆弱部40を形成できる。よって、脆弱部40を備えた衝撃吸収構造体20を容易に製造できる。
(3−1)第1〜第3板厚部251〜253において、脆弱部40の配向比率をその他の部位の配向比率より小さくした。このため、緯糸27aと経糸28aの本数を調節することで、脆弱部40を形成できる。よって、脆弱部40を備えた衝撃吸収構造体20を容易に製造できる。
また、緯糸27aと経糸28aの配向比率を調節することにより、脆弱部40を構成する糸の本数が調節されるため、脆弱部40の強度を機械的に調節できる。
(第4の実施形態)
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第4の実施形態を図9にしたがって説明する。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
(第4の実施形態)
次に、衝撃吸収構造体を具体化した第4の実施形態を図9にしたがって説明する。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
第1〜第3板厚部251〜253の脆弱部29では、経糸28aは、荷重方向Zに並ぶ緯糸27aに交互に係合している。このため、脆弱部29では荷重方向Zに沿って経糸28aが蛇行している。第1〜第3板厚部251〜253の脆弱部29以外の部位では、経糸28aは荷重方向Zに直進性を持って延びている。
従って、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の(1−1)、(1−3)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
(4−1)第1〜第3板厚部251〜253の脆弱部29では、荷重方向Zに沿って経糸28aが蛇行している。荷重方向糸としての経糸28aが蛇行することに伴い、経糸28aによる荷重に対する強度が、蛇行しない場合に比べて低下する。このため、衝撃吸収構造体20に対して先端部23側から荷重が加わったときに第1〜第3段差面D1〜D3付近に生じる荷重を低減させ、ひいては、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制できる。
(4−1)第1〜第3板厚部251〜253の脆弱部29では、荷重方向Zに沿って経糸28aが蛇行している。荷重方向糸としての経糸28aが蛇行することに伴い、経糸28aによる荷重に対する強度が、蛇行しない場合に比べて低下する。このため、衝撃吸収構造体20に対して先端部23側から荷重が加わったときに第1〜第3段差面D1〜D3付近に生じる荷重を低減させ、ひいては、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制できる。
なお、本実施形態は以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 第1の実施形態において、先端部23、基端部24、及び段差部25それぞれについて、単位面積当たりに存在する層間結合糸26の本数が全て同じになるように、繊維構造体21を製造した後、脆弱部29を形成する部分に存在する層間結合糸26を切除して脆弱部29を製造してもよい。
○ 第1の実施形態において、先端部23、基端部24、及び段差部25それぞれについて、単位面積当たりに存在する層間結合糸26の本数が全て同じになるように、繊維構造体21を製造した後、脆弱部29を形成する部分に存在する層間結合糸26を切除して脆弱部29を製造してもよい。
○ 第1の実施形態において、先端部23、基端部24、及び段差部25それぞれについて、単位面積当たりに存在する層間結合糸26の本数が全て同じになるように繊維構造体21を製造するが、脆弱部29を形成する部分に存在する層間結合糸26の種類を、その他の層間結合糸26の種類と異ならせて脆弱部29を製造してもよい。この場合、図10に示すように、層間結合糸26は、緯糸27aの一部として構成される糸によって形成される。そして、脆弱部29に存在する層間結合糸26は、その他の部位に存在する層間結合糸26よりも強度が弱い繊維束で形成されており、例えば、緯糸27aよりも細い繊維束であったり、ナイロン製の繊維束である。これによれば、層間結合糸26の変更は、織機によって容易に調節できるため、脆弱部29を備えた衝撃吸収構造体20を容易に製造できる。
○ 第1の実施形態において、先端部23、基端部24、及び段差部25それぞれについて、単位面積当たりに存在する層間結合糸26の本数が全て同じになるように繊維構造体21を製造するが、脆弱部29を形成する部分に存在する層間結合糸26の繊維本数を、その他の部位の層間結合糸26の繊維本数に比べて少なくして脆弱部29を製造してもよい。
この場合、繊維本数が異なることから、荷重方向Zに連続的に層間結合糸26を挿入できないため、荷重方向Zの途中で挿入する層間結合糸26の種類を変えていく。
○ 第1の実施形態において、第1〜第3板厚部251〜253において、脆弱部29同士の間で単位面積当たりの層間結合糸26の本数を同じにしたが、脆弱部29同士の間で単位面積当たりの層間結合糸26の本数を異ならせてもよい。例えば、荷重方向Zに沿った段差部25の厚さの増加割合が大きいほど、脆弱部29における層間結合糸26の本数を少なくしてもよい。
○ 第1の実施形態において、第1〜第3板厚部251〜253において、脆弱部29同士の間で単位面積当たりの層間結合糸26の本数を同じにしたが、脆弱部29同士の間で単位面積当たりの層間結合糸26の本数を異ならせてもよい。例えば、荷重方向Zに沿った段差部25の厚さの増加割合が大きいほど、脆弱部29における層間結合糸26の本数を少なくしてもよい。
○ 第1の実施形態において、脆弱部29に存在する層間結合糸26の本数を、脆弱部29よりも荷重方向Zに沿った先端部23寄りの部位に存在する層間結合糸26の本数より少なくしつつ、脆弱部29に存在する層間結合糸26を、その他の部位に存在する層間結合糸26よりも強度が弱い繊維束で形成してもよい。
○ 各実施形態において、緯糸27aを撚糸とし、脆弱部29,40を構成する緯糸27aの撚り数を、第1〜第3交差部K1〜K3よりも先端部23,41寄りの部位を構成する緯糸27aの撚り数と比べて小さくしてもよい。
緯糸27aを構成する撚糸は、撚り数が一定の値までは、撚り数が大きくなるほど、伸び率が大きくなる。緯糸27aの伸び率が大きいほど、衝撃荷重が加わった際の繊維構造体21,30の割けを抑制しやすくなる。そして、繊維構造体21,30の割けが抑制されるほど、衝撃荷重に対する強度が高まる。よって、脆弱部29,40を構成する緯糸27aの撚り数を小さくすることで、先端部23,41から衝撃荷重が加わったときに、脆弱部29,40により、第1〜第3段差面D1〜D3付近に生じる荷重を低減させ、ひいては、第1〜第3段差面D1〜D3付近で荷重が急激に増大することを抑制できる。
○ 第3の実施形態において、配向比率を異ならせるための方法は、第1部位36及び第2部位37を有する第1〜第5筒部31〜35を積み重ねて形成する方法以外であってもよい。織機で繊維構造体30を製造する際、緯入れする緯糸層27の数を調節しつつ、経糸層28の数を調節して繊維構造体30を形成してもよい。
○ 各実施形態では、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂19を用いたが、その他の種類の樹脂を用いてもよい。
○ 各実施形態において、マトリックス材料はマトリックス樹脂以外にもセラミックでもよい。
○ 各実施形態において、マトリックス材料はマトリックス樹脂以外にもセラミックでもよい。
○ 各実施形態において、積層する繊維層の数は任意に変更してもよい。
○ 各実施形態において、繊維構造体21,30の形状は筒状でなくてもよく、荷重方向Zに荷重方向糸が延びる柱状や板状であってもよい。
○ 各実施形態において、繊維構造体21,30の形状は筒状でなくてもよく、荷重方向Zに荷重方向糸が延びる柱状や板状であってもよい。
○ 各実施形態において、繊維構造体21,30の形状は四角筒状でなくてもよく、円筒状や三角筒状であってもよい。
X…積層方向、Z…荷重方向、D1〜D4…第1〜第4段差面、K1〜K3…第1〜第3交差部、19…マトリックス材料の一例であるマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂、20…衝撃吸収構造体、21,30…繊維構造体、23…先端部,41、24,42…基端部、25…段差部、26…層間結合糸、27…繊維層としての緯糸層、27a…交差糸としての緯糸、28…繊維層としての経糸層、28a…荷重方向糸としての経糸、29…脆弱部。
Claims (7)
- 繊維構造体にマトリックス材料を含浸させて構成され、衝撃荷重を受けた際の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収構造体であって、
前記繊維構造体は、荷重が加わる方向に延びる荷重方向糸から構成される繊維層を含む複数の繊維層を備え、
前記繊維構造体において、前記荷重が加わる方向を荷重方向とし、当該荷重方向に直交する方向を前記複数の繊維層の積層方向とすると、
前記繊維構造体は、先端部寄りに比べて基端部寄りの前記積層方向の厚さを厚くした段差部を備え、
前記段差部の始点を含む一部に、前記始点よりも前記先端部寄りの部位と比べて強度を弱くした脆弱部を備えることを特徴とする衝撃吸収構造体。 - 前記繊維構造体は、複数の前記繊維層を前記積層方向に結合する層間結合糸を備え、前記脆弱部は、前記始点よりも前記先端部寄りの部位と比べて前記層間結合糸による層間結合強度を弱くして形成されている請求項1に記載の衝撃吸収構造体。
- 前記脆弱部は、単位面積当たりの前記層間結合糸の繊維本数をその他の部位に比べて少なくして形成されている請求項2に記載の衝撃吸収構造体。
- 前記脆弱部は、当該脆弱部を貫通する前記層間結合糸の強度を、その他の部位を貫通する前記層間結合糸の強度に比べて弱くして形成されている請求項2又は請求項3に記載の衝撃吸収構造体。
- 前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、当該脆弱部を構成する前記交差糸の強度を、前記始点よりも前記先端部寄りの部位の前記交差糸の強度に比べて弱くして形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の衝撃吸収構造体。
- 前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、単位面積当たりの前記荷重方向糸の本数に対する前記交差糸の本数の比率を配向比率とした場合、前記脆弱部は、当該脆弱部における前記配向比率を、前記始点よりも前記先端部寄りの部位の前記配向比率に比べて小さくして形成されている請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の衝撃吸収構造体。
- 前記繊維層は、前記荷重方向糸から構成される繊維層、及び前記荷重方向糸に交差する交差糸から構成される繊維層を含み、前記脆弱部は、前記荷重方向糸を前記荷重方向に蛇行させて形成されている請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の衝撃吸収構造体。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020218039A1 (ja) * | 2019-04-26 | 2020-10-29 | 株式会社豊田自動織機 | 衝撃吸収構造体 |
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