JP2014141766A - 繊維束、三次元繊維構造体及び繊維強化複合材並びに繊維束の製造方法 - Google Patents

繊維束、三次元繊維構造体及び繊維強化複合材並びに繊維束の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元繊維構造体を繊維強化樹脂の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させる。
【解決手段】三次元繊維構造体10は、繊維層11が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層12が、各繊維層11と直交する方向に配列された結合糸13aを有する結合構造13で結合されている。積層繊維層12は、少なくとも一層に、繊維束21を構成する開繊繊維の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバーにより拘束されている繊維束21からなる繊維層11を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維束、三次元繊維構造体及び繊維強化複合材並びに繊維束の製造方法に関する。
繊維強化複合材は軽量の構造材料として広く使用されている。複合材用の強化基材として三次元織物(三次元繊維構造体)がある。この三次元織物を強化基材として、樹脂をマトリックスとした複合材は航空機、自動車、船舶あるいは一般産業機器の構造用部材として用いられている。三次元織物複合材は、織布や不織布等の強化繊維に樹脂を含浸硬化して形成した繊維強化複合材と異なり、基準面内に配列された強化繊維(面内配向糸)と交差する方向に配列される結合糸(面外方向糸)を有する三次元織物を強化基材としている。そのため、面外方向糸を有さない繊維強化複合材に比較して、高い面外方向強度を持つ反面、結合糸(面外方向糸)の周辺でクラックが発生し易いという品質課題がある。
この課題に対応するため、積層された面内方向糸の複数の層が有機繊維からなる縫い糸により縫い合わされた三次元織物に樹脂を含浸硬化してなる三次元繊維強化樹脂複合材が提案されている。(特許文献1参照)。特許文献1の三次元繊維強化樹脂複合材は、図9に示すように、複数の経糸51と複数の緯糸52からなる面内方向糸53と、面内方向糸53の基準面に対して直交する複数の面外方向糸54と、面外方向糸54を固定する耳糸55とから形成される平板状三次元織布56に樹脂を含浸し、平板状三次元織布56に含浸した樹脂を加熱加圧処理して硬化することで形成される。面外方向糸54は1000デニール以下のものが使用される。
特開2007−152672号公報
特許文献1の三次元繊維強化樹脂複合材は、面外方向糸54に有機繊維を使用することにより、無機繊維に比べてマトリックス樹脂と熱的性質が近く、クラックの原因となる内部ひずみが減少する。また、1000デニール以下の細い糸を使用することにより、図9に矢印A,Bで示す箇所、即ち面外方向糸54のループ内や面外方向糸54及び耳糸55の太さ分生じる治具と面内方向糸53の隙間における樹脂溜まりを減少させる方策として有効である。
ところが、これらの対策では、図9において矢印Cで示す部分、即ち面外方向糸54の根元部の樹脂溜まりを減少させる方策としては、面外方向糸54の張力を上げられないという背反が伴い有効ではない。また、面外方向糸54の張力を上げることができないと、一般的な構造用CFRP(炭素繊維強化樹脂)材の繊維体積含有率(Vf55%程度)を実現できないという問題がある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、三次元繊維構造体を繊維強化樹脂の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させることができる三次元繊維構造体及び繊維強化複合材を提供することにある。また、その三次元繊維構造体の構成に必要な繊維束及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する繊維束は、繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が、各繊維層と直交する方向に配列された結合糸を有する結合構造で結合されて構成された三次元繊維構造体の前記繊維層を構成する繊維束であって、前記繊維束を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されている。
結合糸は積層繊維層の各繊維層と直交する方向に配列されて各繊維層を結合するが、三次元繊維構造体の製造工程において結合糸を引き締める際に、結合糸の積層繊維層と直交する方向に配列された部分が繊維層を構成する繊維の間隔を拡げるように作用する。繊維層を構成する繊維の間隔が広がった状態の三次元構造体を強化基材として繊維強化複合材(繊維強化樹脂)を形成すると、繊維強化樹脂に樹脂溜まりが発生し、樹脂溜まりの部分からクラックが発生し易くなる。
しかし、繊維束を構成する開繊繊維の広がりが開繊繊維と交絡するナノファイバーにより拘束されている繊維束で繊維層を構成すれば、三次元繊維構造体の製造工程において結合糸を引き締める際の繊維層を構成する開繊繊維の広がりが抑制される。したがって、この繊維束で構成された三次元繊維構造体を繊維強化樹脂の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させることができる。
前記ナノファイバーは、前記開繊繊維の配列方向と直交する方向に対して±θ(0<θ≦15°)の配向角度となるものが80%以上存在する状態で配列されていることが好ましい。この構成によれば、開繊繊維の広がりを抑制する効果がより大きくなる。
上記課題を解決する三次元繊維構造体は、繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が、各繊維層と直交する方向に配列された結合糸を有する結合構造で結合されて構成された三次元繊維構造体であって、前記積層繊維層は、少なくとも一層に前記繊維層を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されている繊維束からなる繊維層を有する。この構成によれば、三次元繊維構造体を繊維強化樹脂の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させることができる。
前記積層繊維層は、少なくとも表層に前記繊維層を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されている繊維束からなる繊維層を有することが好ましい。この構成によれば、繊維強化樹脂の表層における樹脂溜まりを減少させることができる。
前記結合構造は、前記積層繊維層の一方の面側においてその表面に沿って配列されるとともに所定ピッチで前記積層繊維層内に一方の面側から挿入され、かつ前記積層繊維層の他方の面側においてループ状に折り返すように配列される結合糸と、前記結合糸のループ内に挿通された状態で前記結合糸の前記積層繊維層からの抜け止めを行う抜け止め糸とで構成されており、前記結合糸の根元側の前記積層繊維層の表層に前記繊維層を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されている繊維束からなる繊維層を有することが好ましい。
この構成によれば、結合糸が波縫いで各繊維層を結合する構成に比べて、繊維体積含有率の向上を図り易い。また、繊維層を構成する開繊繊維の広がりがナノファイバーにより拘束されている繊維束からなる繊維層が、繊維強化樹脂の表層における樹脂溜まりを減少させることができる。
上記課題を解決する繊維強化複合材は、前記三次元繊維構造体を強化基材とする。
この構成によれば、繊維強化複合材を構成する強化基材としての三次元繊維構造体は、少なくとも一層に繊維層を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されている繊維束からなる繊維層を有する。したがって、繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させることができる。
上記課題を解決する繊維束の製造方法は、開繊繊維を移動させつつその進行方向と交差する方向に、電界紡糸装置の吐出ノズルを往復移動させて、前記開繊繊維中にナノファイバーを配向させた状態で紡糸する。この方法で製造された繊維束は、ナノファイバーが開繊繊維の配列方向に対して、開繊繊維の移動速度及び吐出ノズルの移動速度により定まる方向性を持って配向された状態で開繊繊維と交差して絡み合うため、ランダムに絡み合う場合に比べて、開繊繊維の広がりを抑制する効果が大きくなる。
本発明によれば、三次元繊維構造体を三次元繊維強化樹脂の強化基材として使用した際に、三次元繊維強化樹脂の樹脂溜まりの減少と、繊維体積含有率の向上とを両立させることができる。
第1の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図。 一方向織物の模式図。 (a)は表層の繊維束の模式斜視図、(b)は開繊繊維とナノファイバーとが絡み合う状態を示す模式断面図。 繊維束の製造方法を示す模式図。 繊維強化樹脂の模式断面図。 (a)は第2の実施形態の繊維束の模式斜視図、(b)は模式断面図。 別の実施形態の三次元繊維構造体の模式断面図。 別の実施形態の三次元繊維構造体の模式断面図。 従来技術の模式断面図。
(第1の実施形態)
以下、繊維束、三次元繊維構造体及び繊維強化複合材の第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、三次元繊維構造体10は、繊維層11が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層12が、各繊維層11と直交する方向に配列された結合糸13aを有する結合構造13で結合されて構成されている。詳述すると、結合構造13は、結合糸13aと抜け止め糸13bとで構成されている。結合糸13aは、積層繊維層12の一方の面側(図1における下面側)においてその表面に沿って配列されるとともに所定ピッチで積層繊維層12内に一方の面側から挿入され、かつ積層繊維層12の他方の面側においてループ状に折り返すように配列されている。抜け止め糸13bは、結合糸13aのループL内に挿通された状態で結合糸13aの積層繊維層12からの抜け止めを行うように結合糸13aの配列面Pzと交差する方向(この実施形態では直交方向)に配列されている。
この実施形態では、積層繊維層12は、配向角0度の連続繊維から成る繊維層11aと、配向角90度の連続繊維から成る繊維層11bと、配向角45度の連続繊維から成る繊維層11cと、配向角−45度の連続繊維から成る繊維層11dとが、所定数積層されて疑似等方性に構成されている。そして、積層繊維層12の厚さ方向の両面にそれぞれ配向角45度の連続繊維から成る繊維層11c又は配向角−45度の連続繊維から成る繊維層11dが配列されている。積層繊維層12の連続繊維は、三次元繊維構造体10の厚さ方向(図1の上下方向)と直交する面内に配列される面内配列糸となる。なお、結合糸13aは、基準面内に配列された面内配列糸と交差する方向に配列される面外方向糸を構成する。
図2に示すように、繊維層11は、一方向に配列されて強化繊維として機能する連続繊維14aの繊維束14からなる繊維束層15と、繊維束14と直交する方向に配列される補助糸16とで構成されている。補助糸16は、強化繊維としての機能はなく繊維束14を結合して織物として取り扱える役割を果たす。即ち、繊維層11は一方向織物で構成されている。
連続繊維14a、結合糸13a及び抜け止め糸13bとしては、例えば、炭素繊維が使用される。炭素繊維はフィラメント数が数百〜数万本程度であり、要求性能に適した本数の繊維束が選択される。
積層繊維層12は、少なくとも一層に繊維束を構成する開繊繊維の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20(図3に図示)により拘束されている繊維束21からなる繊維層を有する。この実施形態では、表層に繊維束21からなる繊維層を有する。この実施形態では、繊維層11のうち、表層を構成する繊維層11は、繊維束21と補助糸16とで構成される。
図3(a),(b)に示すように、繊維束21を模式的に示すと、繊維束21は複数の連続繊維21aが開繊された状態で一方向に配列され、開繊繊維としての連続繊維21aとランダムに交絡する状態のナノファイバー20により、開繊繊維の広がりが拘束されている。そのため、この繊維束21を使用して三次元繊維構造体10を構成する積層繊維層12の一方の表層を形成し、かつ積層繊維層12の結合構造13を構成する結合糸13aを繊維束21からなる繊維層側から積層繊維層12に挿入する構成にすると、結合糸13aから開繊繊維を拡げるように作用する力が効率良く抑えられる。また、ナノファイバー20が繊維束21の開繊繊維、即ち連続繊維21aと一体化して開繊繊維の広がりを拘束するため、広がり抑制用の繊維層を追加する必要がない。その結果、重量増加等の製品物性への悪影響がない。
ナノファイバー20に使用される樹脂は、ナノオーダーの径を有する樹脂として成形可能、かつ、熱可塑性の合成樹脂であれば適用可能であり、例えば、ポリエステル、ナイロン等が挙げられる。
次に開繊繊維に電界紡糸法によりナノファイバー20を交絡させた繊維束21の製造方法を説明する。
電界紡糸法には公知の電界紡糸装置が使用される。図4に示すように、電界紡糸装置30は、高電圧電源31と、吐出ノズル32と、吐出ノズル32に対向して配置されたターゲット電極33とを備えている。高電圧電源31は、10〜20kV程度の出力が可能になっている。吐出ノズル32は、パイプ34により図示しない樹脂溶液供給部に接続されている。樹脂溶液供給部は、溶融状態の樹脂を貯溜するタンクと、タンク内に圧力を加えて溶融した樹脂を吐出ノズル32に供給するようになっている。高電圧電源31のプラス端子が吐出ノズル32に電気的に接続され、高電圧電源31のマイナス端子及びターゲット電極33はアースされている。
ターゲット電極33は、吐出ノズル32とターゲット電極33との間を一方向に移動する開繊繊維35の幅以上の幅を有する。吐出ノズル32は、図示しない駆動装置により開繊繊維35の移動方向と直交する方向に往復移動可能に構成されている。
繊維束21を製造する場合は、図示しない開繊装置により原料繊維束が開繊されて開繊繊維35が形成され、その開繊繊維35が吐出ノズル32とターゲット電極33との間を一方向に移動するように、図示しない引き取り装置を経て巻き取り装置に巻き取られる。吐出ノズル32から吐出された溶融樹脂はプラス電荷を帯びた状態でターゲット電極33に向かって進み、開繊繊維35が吐出ノズル32とターゲット電極33との間を一方向(図4では紙面と垂直方向)に移動する間に、ナノファイバー20となって開繊繊維35を構成する連続繊維21aの間に侵入して開繊繊維35と交絡する。
開繊繊維35は一定速度で移動され、吐出ノズル32は開繊繊維35に対してその幅内で往復動し、かつ移動中に速度がランダムに変更される状態で移動される。その結果、図3(a),(b)に示すように、複数の連続繊維21aが開繊された状態で一方向に配列され、開繊繊維としての連続繊維21aとランダムに係合する状態のナノファイバー20により、開繊繊維の広がりが拘束された繊維束21が製造される。
三次元繊維構造体10は、繊維強化複合材の強化基材として使用される。そして、繊維強化複合材は、三次元繊維構造体10に、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸硬化されて構成される。
図5に示すように、繊維強化複合材としての繊維強化樹脂40は、三次元繊維構造体10を構成する結合糸13aがループ状の折り返し部で抜け止め糸13bと係合した状態で三次元繊維構造体10の厚さ方向に折り返し状に配列され、ループ状の折り返し部と反対側、即ち根元部側では三次元繊維構造体10の表面に沿って配列されている。結合糸13aの根元部側では、三次元繊維構造体10を形成する際、積層繊維層12の繊維体積含有率Vfを高めるために、各挿入位置において折り返し状に配列された結合糸13aを引き戻す際に、結合糸13aの根元部側で結合糸13aに係合している連続繊維21a間の距離を拡げる方向の力が大きく作用する。しかし、繊維束21は、開繊繊維の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されているため、その広がりが抑制される。その結果、積層繊維層12に折り返し状に挿入された結合糸13aは、目開きが防止された状態で、樹脂が含浸硬化されている。そのため、繊維強化樹脂40は、結合糸13aの根元部の樹脂溜まり41が小さくなる。なお、図5では模式的に、結合糸13aが隣り合う繊維束21の間に挿入された状態で図示しているが、結合糸13aは繊維束21の開繊繊維の間に挿入される確率が高い。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)繊維束21は、繊維層11が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層12が、各繊維層11と直交する方向に配列された結合糸13aを有する結合構造13で結合されて構成された三次元繊維構造体10の繊維層11を構成し、繊維束21を構成する開繊繊維35の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている。したがって、この繊維束21で構成された三次元繊維構造体10を繊維強化樹脂40(繊維強化複合材)の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂40の表層における樹脂溜まり41の減少と、繊維体積含有率Vfの向上とを両立させることができる。
(2)三次元繊維構造体10は、繊維層11が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層12が、各繊維層11と直交する方向に配列された結合糸13aを有する結合構造13で結合されている。そして、積層繊維層12は、少なくとも一層に繊維束21を構成する開繊繊維35の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21からなる繊維層11を有する。したがって、三次元繊維構造体10を繊維強化樹脂40の強化基材として使用した際に、繊維強化樹脂40の表層における樹脂溜まり41の減少と、繊維体積含有率Vfの向上とを両立させることができる。
(3)積層繊維層12は、少なくとも表層に前記繊維層11を構成する開繊繊維35の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21からなる繊維層11を有する。したがって、繊維強化樹脂40の表層における樹脂溜まり41を減少させることができる。
(4)ナノファイバー20が繊維束21の開繊繊維、即ち連続繊維21aと一体化して開繊繊維の広がりを拘束するため、積層繊維層12に広がり抑制用の繊維層を追加する必要がない。その結果、重量増加等の製品物性への悪影響がない。
(5)結合構造13は、積層繊維層12の一方の面側においてその表面に沿って配列されるとともに所定ピッチで積層繊維層12内に一方の面側から挿入され、かつ積層繊維層12の他方の面側においてループ状に折り返すように配列される結合糸13aと、結合糸13aのループL内に挿通された状態で結合糸13aの積層繊維層12からの抜け止めを行う抜け止め糸13bとで構成されている。そして、結合糸13aの根元側の積層繊維層12の表層に、繊維束21を構成する開繊繊維35の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21からなる繊維層11を有する。したがって、結合糸13aが波縫いで各繊維層11を結合する構成に比べて、繊維体積含有率Vfの向上を図り易い。また、繊維層11を構成する開繊繊維35の広がりがナノファイバー20により拘束されている繊維束21からなる繊維層11により繊維強化樹脂40の表層における樹脂溜まり41を減少させることができる。
(6)繊維強化樹脂40(繊維強化複合材)の強化基材としての三次元繊維構造体10は、少なくとも一層に繊維束21を構成する開繊繊維の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21からなる繊維層11を有する。したがって、繊維強化樹脂40の表層における樹脂溜まり41の減少と、繊維体積含有率Vfの向上とを両立させることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図6にしたがって説明する。この実施形態は積層繊維層12の繊維層11を構成する開繊繊維35の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21の製造方法が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
繊維束21の製造方法は、開繊繊維35を移動させつつその進行方向と交差する方向に、電界紡糸装置30の吐出ノズル32を往復移動させて、開繊繊維35中にナノファイバー20を配向させた状態で紡糸する。詳述すると、開繊繊維35の配列方向に対するナノファイバー20の配向角度が設定された角度となるように、開繊繊維35の移動速度と吐出ノズル32の移動速度とが設定された状態で電界紡糸装置30による電界紡糸が行われる。その結果、図6(a)に示すように、開繊繊維35の配列方向と直交する方向に対してナノファイバー20が±θの配向角度となる状態で配列されている。また、図6(b)に示すように、ナノファイバー20は、開繊繊維35の厚さ方向にも侵入して各連続繊維21aと交絡する状態で配列される。
この実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(6)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)繊維束21の製造方法は、開繊繊維35を移動させつつその進行方向と交差する方向に、電界紡糸装置30の吐出ノズル32を往復移動させて、開繊繊維35中にナノファイバー20を配向させた状態で紡糸する。したがって、この方法で製造された繊維束21は、ナノファイバー20が開繊繊維35の配列方向に対して、開繊繊維35の移動速度及び吐出ノズル32の移動速度により定まる方向性を持って配向された状態で開繊繊維35と交差して絡み合うため、ランダムに絡み合う場合に比べて、開繊繊維35の広がりを抑制する効果が大きくなる。
(8)ナノファイバー20は、開繊繊維35の配列方向と直交する方向に対して±θ(0<θ≦15°)の配向角度となるものが80%以上存在する状態で配列されている。したがって、配向角度θが±15°を超える場合に比べて開繊繊維35の広がりを抑制する効果がより大きくなる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 三次元繊維構造体10を構成する積層繊維層12は、少なくとも1層の繊維層11に、開繊繊維の広がりが電界紡糸法により紡糸されたナノファイバー20により拘束されている繊維束21で構成された繊維層11を有していればよい。例えば、図7に示すように、繊維束21で構成された繊維層11を積層繊維層12の表層のうち、結合糸13aのループLが存在する側、即ち結合糸13aの挿入側(根元側)と反対側の表層に配置してもよい。この三次元繊維構造体10を強化基材とした繊維強化樹脂40は、結合糸13aと抜け止め糸13bとの交差部分の樹脂溜まり41が減少する。また、繊維束21で構成された繊維層11を、積層繊維層12の表層ではなく中間層として配置してもよい。この場合でも、表層側ほど大きくはないが中間層にも存在する樹脂溜まりを減少させることができる。しかし、繊維束21で構成された繊維層11を1層のみ配置する場合は、結合糸13aの根元側の表層に配置するのが好ましい。
○ 繊維束21で構成された繊維層11は一層に限らず、複数層としてもよい。例えば、積層繊維層12の両表層に配置したり、両表層に加えて中間層にも配置したり、結合糸13aの根元側の表層と中間層とに配置したり、あるいは任意の位置に複数層配置したりしてもよい。しかし、繊維束21で構成された繊維層11を複数層配置する場合、少なくとも1層は、結合糸13aの根元側の表層に配置するのが好ましい。
○ 積層繊維層12は、繊維層11が積層されて少なくとも2軸配向となればよく、各繊維層11が一方向織物で構成されている必要はなく、経糸及び緯糸が共に強化繊維の機能を果たす偏平な繊維束で織製された織物で構成されてもよい。織物としては、例えば、平織物や綾織物が挙げられる。また、平織物と綾織物が混在してもよい。繊維層11を織物で構成する場合は、一枚の織物が、配向方向が異なる2層分の繊維層11を構成する。織物を積層する際、織物の経糸及び緯糸の配列方向が隣り合う織物同士で45度ずつずれた状態で積層すれば、積層繊維層12は強化繊維が4軸配向で配列された構成になる。
○ 積層繊維層12は、偏平な繊維束で織製された織物と、一方向織物とが混在する積層構成であってもよい。
○ 繊維束21で構成された繊維層11を織物で構成してもよい。
○ 積層繊維層12の各繊維層11を結合する結合構造13は、結合糸13aと抜け止め糸13bとからなる構成に限らず、例えば、図8に示すように、結合糸13aが波縫いで積層繊維層12の各繊維層を結合する構成にしてもよい。
○ 積層繊維層12を擬似等方性で面内4軸配向に構成する繊維層11a〜11dの積層順序は、外層を繊維層11c(+45度層)又は繊維層11d(−45度層)にする順に限らない。
○ 積層する繊維層11の数が多い場合、隣り合う繊維層11の繊維の配列方向が異なるように積層せずに、繊維の配列方向が同じ繊維層11が隣り合う箇所が存在してもよい。
○ ナノファイバー20に使用される樹脂は、繊維強化樹脂のマトリックス樹脂の物性を補強するもの、例えば、ナノファイバー20に使用される樹脂が繊維強化樹脂のマトリックス樹脂と同じ樹脂や相溶性の良い樹脂であれば好ましい。
○ 繊維束21を構成する開繊繊維と交絡するようにナノファイバー20を紡糸した後、熱をかけてナノファイバー20を繊維束に固着(溶着)させてもよい。この場合、開繊繊維の拡がりを抑制する効果が向上する。
○ 積層繊維層12を構成する連続繊維は炭素繊維に限らず、繊維強化複合材に要求される物性に対応して、アラミド繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の高強度の有機繊維あるいは、ガラス繊維やセラミック繊維等の無機繊維を使用してもよい。
○ 繊維束21を構成する開繊繊維とナノファイバー20とを交絡させる方法として、電界紡糸法に変えてニードリング等の他の交絡方法を用いてもよい。
θ…配向角度、L…ループ、10…三次元繊維構造体、11,11a,11b,11c,11d…繊維層、12…積層繊維層、13…結合構造、13a…結合糸、13b…抜け止め糸、14,21…繊維束、20…ナノファイバー、30…電界紡糸装置、32…吐出ノズル、35…開繊繊維、40…繊維強化複合材としての繊維強化樹脂。

Claims (7)

  1. 繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が、各繊維層と直交する方向に配列された結合糸を有する結合構造で結合されて構成された三次元繊維構造体の前記繊維層を構成する繊維束であって、前記繊維束を構成する開繊繊維と交絡するナノファイバーにより前記開繊繊維の広がりが拘束されていることを特徴とする繊維束。
  2. 前記ナノファイバーは、前記開繊繊維の配列方向と直交する方向に対して±θ(0<θ≦15°)の配向角度となるものが80%以上存在する状態で配列されている請求項1に記載の繊維束。
  3. 繊維層が積層された少なくとも2軸配向となる積層繊維層が、各繊維層と直交する方向に配列された結合糸を有する結合構造で結合されて構成された三次元繊維構造体であって、
    前記積層繊維層は、少なくとも一層に請求項1又は請求項2に記載の繊維束からなる繊維層を有することを特徴とする三次元繊維構造体。
  4. 前記積層繊維層は、少なくとも表層に請求項1又は請求項2に記載の繊維束からなる繊維層を有する請求項3に記載の三次元繊維構造体。
  5. 前記結合構造は、前記積層繊維層の一方の面側においてその表面に沿って配列されるとともに所定ピッチで前記積層繊維層内に一方の面側から挿入され、かつ前記積層繊維層の他方の面側においてループ状に折り返すように配列される結合糸と、前記結合糸のループ内に挿通された状態で前記結合糸の前記積層繊維層からの抜け止めを行う抜け止め糸とで構成されており、前記結合糸の根元側の前記積層繊維層の表層に請求項1又は請求項2に記載の繊維束からなる繊維層を有する請求項3又は請求項4に記載の三次元繊維構造体。
  6. 請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の三次元繊維構造体を強化基材とする繊維強化複合材。
  7. 開繊繊維を移動させつつその進行方向と交差する方向に、電界紡糸装置の吐出ノズルを往復移動させて、前記開繊繊維中にナノファイバーを配向させた状態で紡糸することを特徴とする繊維束の製造方法。
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