JP2020044746A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐傷性及び耐熱性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制された化粧シート及び化粧材の提供。【解決手段】基材シート14上に、少なくとも透明性樹脂層12及び表面保護層11をこの順に有する化粧シート1であって、(1)透明性樹脂層12は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有し、(2)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下である化粧シート。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シート及び化粧材に関する。
従来、化粧シートの耐傷性を向上させるために、表面保護層に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、硬化させる方法が用いられている。床用化粧材等に用いられる化粧シートには、更に高い耐傷性が要求される。
化粧シートの耐傷性を更に向上させるために、表面保護層の厚みを厚くして、硬さを向上させる方法が知られている。しかし、表面保護層の層厚を厚くして硬くし過ぎると、曲げ加工時に化粧シートが破断(割れ)するという問題がある。
また、建材、家具等に使用される化粧シートには、熱がかかる場合があり、耐熱性が要求される。このような耐熱性を備えた化粧シートとして、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性ポリプロピレン系樹脂層及び電離放射線硬化型樹脂からなる透明性表面保護層が順に形成されてなり、透明性ポリプロピレン系樹脂層の厚みが特定の範囲である床材用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の床材用化粧シートも優れた化粧シートであるが、耐傷性及び曲げ加工時の割れの発生の抑制については検討されておらず、検討の余地がある。従って、化粧シートに求められる、耐傷性及び耐熱性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制された化粧シートの開発が望まれている。
特開2005−290568号公報
本発明は、耐傷性及び耐熱性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制された化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層をこの順に有しており、透明性樹脂層が、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有する化粧シートによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シートに関する。
1.基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層をこの順に有する化粧シートであって、
(1)前記透明性樹脂層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有し、
(2)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含む、項1に記載の化粧シート。
3.前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂層である、項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記表面保護層側にエンボス形状を有する、項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記基材シートと前記透明性樹脂層との間に、絵柄模様層及び透明性接着剤層を前記基材シート側からこの順に有する、項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に有する化粧材。
本発明の化粧シートは、耐傷性及び耐熱性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れが抑制されている。
本発明の化粧シート及び化粧材の層構成の例を示す模式図である。図1(a)はバッカー層を有する本発明の化粧シートの層構成の例を示し、図1(b)はバッカー層を有しない本発明の化粧シートの層構成の例を示し、図1(c)は本発明の化粧材の層構成の例を示す。
以下、本発明の化粧シート及び化粧材について詳細に説明する。なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが被着材等に積層して用いられる際に、被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。以下、本発明の化粧シートを構成する各層について具体的に説明する。なお、以下の記載において、「〜」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α〜βならば、α以上β以下である)。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層をこの順に有する化粧シートであって、(1)前記透明性樹脂層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有し、(2)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、表面保護層を有しており、更に、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有する透明性樹脂層を有するので、耐傷性に優れている。また、本発明の化粧シートは、基材シート上に、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下である透明性樹脂層を有し、更に、表面保護層を備えるとの構成を全て備えることにより、これらの構成があいまって、耐傷性及び耐熱性に優れ、且つ、曲げ加工時の割れを抑制することができるとの特性を全て備えることができる。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層をこの順に有していれば、具体的な層構成については限定されない。例えば、透明性樹脂層の表面保護層とは反対側の面に、更に、接着剤層、及び絵柄模様層を有する化粧シートが挙げられる。また、本発明の化粧シートは、基材シートの透明性樹脂層及び表面保護層とは反対側の面に、バッカー層を有していてもよい。以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、各層について具体的に説明する。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面保護層を有する。表面保護層を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。更に、耐候性をより一層向上させることができる観点から、電子線硬化型樹脂が最も好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含むことが好ましい。表面保護層がこれらの樹脂を含有する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性耐候性等をより一層高め易い。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤、硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜50μm、好ましくは5〜40μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が好ましく、電子線がより好ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。
表面保護層の厚みは、必要な性能を発揮すれば特に限定されないが、3〜45μmが好ましく、5〜35μmがより好ましく、10〜25μmがさらに好ましい。表面保護層の厚みの下限が上記範囲であることにより、本発明の化粧材の耐傷性がより一層向上する。また、表面保護層の厚みの上限が上記範囲であることにより、本発明の化粧材の後加工性(ラッピング加工、Vカット加工)がより一層向上する。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイヤモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して1〜80質量部程度である。
表面保護層のインデンテーション硬さは、170MPa以上が好ましく、250MPa以上がより好ましい。表面保護層のインデンテーション硬さの下限が上記範囲であることにより、本発明の化粧シートの耐傷性がより一層向上する。また、表面保護層のインデンテーション硬さは、450MPa以下が好ましく、400MPa以下がより好ましく、350MPa以下が更に好ましい。表面保護層のインデンテーション硬さの上限が上記範囲であることにより、本発明の化粧シートの加工性がより一層向上する。
透明性樹脂層
透明性樹脂層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有する。なお、透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物を用いることができ、具体的には、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点は168℃以下である。融点が168℃を超えると、本発明の化粧シートの耐傷性が低下する。また、融点が168℃を超えると、本発明の化粧シートがエンボス形状を有する場合に、エンボス賦形がし難くなる。エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点は、163℃以下が好ましく、162℃以下がより好ましい。融点の上限としては、例えば、162℃、159℃、157℃、156℃が挙げられる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点は、100℃以上が好ましく、100℃を超えることがより好ましく、101℃以上が更に好ましく、102℃以上が特に好ましい。化粧シートが床材用化粧シートである場合、100℃の沸騰水を床上にこぼしてしまう場合がある。エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点の下限が上記範囲であることにより、沸騰水を床上にこぼした場合であっても、化粧シートの変形がより一層抑制される。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点は、以下の測定方法により測定される。
(融点の測定方法)
示差走査熱量計DSCを用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂5mgを窒素雰囲気下で30℃から冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却する。次いで、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した後、再度冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却する。次いで、再度昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、当該昇温の際の吸熱ピークのピークトップを融点(℃)とする。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度は149℃以下である。結晶化温度が149℃を超えると、本発明の化粧シートの耐傷性が低下する。また、本発明の化粧シートには、透明性樹脂層に含まれる樹脂の結晶化温度でアニール処理を施す場合がある。この場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度が149℃を超えると、化粧シートのアニール温度が149℃を超えることとなり、基材シートが変形する。エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度は、145℃以下が好ましく、144℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、139℃以下が特に好ましい。結晶化温度の上限としては、例えば、144℃、140℃、139℃が挙げられる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度は、23℃以上が好ましく、25℃を超えることがより好ましく、30℃以上が更に好ましく、40℃以上が特に好ましい。化粧シートが床材用化粧シートである場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度が25℃程度の室温付近であると、透明性樹脂層の透明性が低下して、化粧シートが白濁して見える。エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度の下限が上記範囲であることにより、化粧シートの意匠性がより一層向上する。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の結晶化温度は、以下の測定方法により測定される。
(結晶化温度の測定方法)
示差走査熱量計DSCを用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂5mgを窒素雰囲気下で30℃から冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却する。次いで、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温する。次いで、再度冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却し、当該冷却の際の発熱ピークのピークトップを結晶化温度(℃)とする。
エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂のエチレン共重合比率は、41mol%以上が好ましく、44mol%以上がより好ましい。また、エチレン共重合比率は90mol%以下が好ましく、80mol%以下がより好ましい。エチレン共重合比率の下限が上記範囲であることにより、本発明の化粧シートの耐傷性がより一層向上する。また、エチレン共重合比率の上限が上記範囲であることにより、化粧シートの意匠性がより一層向上する。
透明性樹脂層の厚みは、20〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
透明性樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明性樹脂層には、必要に応じて、隣接する層やプライマー層との密着性を高めるために、コロナ放電処理を施してもよい。
基材シート
基材シートとしては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたものが好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル等が挙げられる。基材シートは、ポリプロピレン系樹脂層等のポリオレフィン系樹脂層であることが好ましい。
基材シートは、着色されていても良い。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すれば良い。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていても良い。
充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。充填剤を含むことにより、表面特性向上の効果等が得られる。充填剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して0〜100重量部程度が好ましく、10〜50重量部程度がより好ましい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50〜250μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施してもよい。
裏面プライマー層
前述の基材シートの裏面には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けても良い。例えば、基材シートと被着材とを接着して床用化粧材を作製する際に有利である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの裏面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマーには、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜10μm、好ましくは1〜5μm程度である。
絵柄模様層形成用プライマー層
また、前述の基材シートの表面(おもて面)には、必要に応じて、絵柄模様層形成用プライマー層を設けても良い。例えば、基材シートと絵柄模様層とを接着して化粧材を作製する際に有利である。
絵柄模様層形成用プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの表面(おもて面)に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、上述の裏面プライマー層に用いるものと同一のものを使用できる。
絵柄模様層形成用プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.1〜10μm、好ましくは1〜5μm程度である。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、所望により、基材シートの表面(おもて面)に、絵柄模様層を設けてもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与するものであり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。
より具体的には、例えば、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等を使用できる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性又は混合樹脂、その他の樹脂も使用できる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上で使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層(これを着色隠蔽層とも言う)を形成する場合には、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法も挙げられる。
上記以外にも、例えば、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法などを用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
着色隠蔽層
基材シート上には、必要に応じて着色隠蔽層を形成してもよい。本発明の化粧シートは、基材シートと、絵柄模様層との間に着色隠蔽層を有することが好ましい。着色隠蔽層は、基材シート上に全面ベタ印刷層として形成される。
着色隠蔽層は、均一に着色が施されていてもよいし、種々の色彩が付与された絵柄層であってもよい。着色隠蔽層を設けることにより、被着材の表面を隠蔽することができ、また、基材シートが着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。
着色隠蔽層は、例えば、顔料及び結着材樹脂を含む層とすることができる。この着色隠蔽層は、例えば、着色材、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキを使用し、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の既知の印刷法により形成できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色材、結着剤樹脂及び溶剤は、上述の絵柄模様層に用いられるものを用いることができる。
着色隠蔽層の厚みは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。着色隠蔽層の厚みが上記範囲内にあれば、化粧シートに優れた意匠性を付与することができ、また隠蔽性を付与することができる。
接着剤層
本発明の化粧シートは、所望により、絵柄模様層と透明性樹脂層との間に、接着剤層を設けてもよい。
接着剤層は、絵柄模様層が認識できる限り、透明でも半透明でもよいが、透明性接着剤層であることが好ましい。また、接着剤層で使用する接着剤は、特に限定されず、絵柄模様層又は透明性樹脂層を構成する成分等に応じて適宜選択することができる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
また、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層の上に塗布後、一度乾燥し、それから、透明性樹脂を積層することにより形成できる。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは、透明性保護層、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1〜30μm程度とすれば良い。
プライマー層
本発明の化粧シートでは、所望により、透明性樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設けてもよい。なおプライマー層は透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
プライマー層は、透明性樹脂層と表面保護層との接着性(密着性)を高める機能を有する。また、例えば、曲げ加工時において表面保護層の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくする効果を有する。また、プライマー層を設けることにより、前記表面保護層の形成が容易となる。前記プライマー層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
プライマー層は、公知の又は市販のプライマー剤を前記透明性樹脂層の上に塗布することにより形成できる。特に、前記プライマー層は、樹脂を架橋させることにより形成された層であることが好ましい。そのような層を形成するためのプライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。これらプライマー剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
プライマー層には、艶消し剤としてシリカを含有させてもよい。プライマー剤中におけるシリカの含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましい。更に、必要に応じて、プライマー剤に公知の添加剤を含有させてもよい。例えば、プライマー剤にヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を含有させることにより、前記透明性樹脂層と前記表面保護層との密着性をより向上させることができる。また、プライマー層には紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の耐候性剤を加えてもよい。
プライマー層は、例えば直接コーティング法によって形成することができ、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。
プライマー層の厚さは0.1〜10μm程度であることが好ましい。0.1μm以上であると、表面保護層の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を十分に発揮させることができる。一方、プライマー層の厚さが10μm以下であれば、プライマー層を塗工した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので成形性が変動することが無く好ましい。以上の点からプライマー層の厚さは0.1〜10μmであることがより好ましい。
化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートを構成する各層の積層は、例えば、(ア)基材シートの裏面に裏面プライマー層を設け、(イ)基材シートのおもて面に絵柄模様層を印刷により形成し、(ウ)当該絵柄印刷模様層上に接着剤層を形成し、(エ)当該接着剤層の上に透明性樹脂層を押出しラミネート方式で積層し、(オ)当該透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、プライマー層を形成し、(カ)その表面にグラビアコート方式により表面保護層を形成する電離放射線硬化型樹脂を塗工し、電子線を照射することにより、行うことができる。
エンボス加工
化粧シートは、透明性樹脂層上、及び/又は、表面保護層上からエンボス加工が施されていてもよい。本発明の化粧シートは、当該エンボス加工により、表面保護層側にエンボス形状を有することが好ましい。
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチャーを付与するために行う。例えば、表面保護層を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸模様を有するエンボス版で加圧・賦形し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。エンボス加工の凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
エンボス加工を施した場合には、必要に応じて、エンボス凹部にワイピング加工によりインキを充填してもよい。例えば、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する。充填するインキ(ワイピングインキ)としては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。特に木目導管溝凹凸に対してワイピング加工を行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
バッカー層
化粧シートには、基材シートの裏面にバッカー層を設けてもよい。
バッカー層は、合成樹脂製バッカー層であることが好ましい。合成樹脂製バッカー層を構成する樹脂としては、限定的ではないが、熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
バッカー層の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50〜800μmが好ましい。
バッカー層には、必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、脱脂処理、表面粗面化処理等の公知の易接着処理を接着面に施すこともできる。
バッカー層を形成する方法としては、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりラミネートしてもよく、また既成のフィルムを用いてもよい。なお、ラミネートは、接着剤を介して行ってもよい。
ただし、本発明の化粧シートは、バッカー層を形成しなくとも、十分な耐衝撃性を確保できる。
以上説明した本発明の化粧シートは、床用化粧シートとして好適に用いることができる。
化粧材
本発明の化粧シートの基材シート側を被着材を貼り合わせて、接合することにより、化粧材とすることができる。
各種被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着材の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
被着材と化粧シートとを貼り合わせるには、例えば接着剤を用いることができる。接着剤としては、例えば、ウレタン、アクリル、ウレタン・アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする公知の接着剤が使用できる。
被着材と化粧シートとの接合後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
以上説明した本発明の化粧材は、床用化粧材として好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
実施例1
(化粧シートの作製)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シートの両面にコロナ放電処理を施し、裏面に厚さ2μmの裏面プライマー層を形成した。次いで、基材シートのおもて面に、厚さ2μmの絵柄模様層を印刷により形成し、さらに、当該絵柄印刷模様層上に、ウレタン系ドライラミネート用接着剤を用いて透明性接着剤層を形成した。
透明性樹脂層として、厚さ80μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム(エチレン共重合比率48mol%)を用意し、透明性接着剤層上に積層して、透明性樹脂層を調製した。
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工して表面保護層用プライマー層を形成した。表面保護層用プライマー層の厚みは1μmであった。
表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電子放射線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させ、電子放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成した。表面保護層の厚みは15μmであった。
次いで、表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版又は木肌・抽象調エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状又は木肌・抽象調の凹凸模様を形成し、化粧シートを作製した。
(化粧材の作製)
厚みが3.0mmの中密度木質繊維板(MDF)上に、ウレタン変性エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤を100g/mwetの塗布量で均一に塗工し、化粧シートを貼り合わせて、室温で3日間養生することにより化粧材を作製した。
実施例2〜4、比較例1〜7
透明性樹脂層の厚み、透明性樹脂層を形成する樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点、結晶化度、エチレン共重合比を表1及び2のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4、及び比較例1〜7の化粧シート及び化粧材を作製した。なお、比較例6では表面保護層を形成しなかった。
実施例及び比較例において、透明性樹脂層に含有されるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の融点及び結晶化度は、以下の測定方法により測定した。
(融点の測定方法)
示差走査熱量計DSCを用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム試料5mgを窒素雰囲気下で30℃から冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却した。次いで、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した後、再度冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却した。次いで、再度昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、当該昇温の際の吸熱ピークのピークトップを融点(℃)とした。
(結晶化温度の測定方法)
示差走査熱量計DSCを用いて、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム試料5mgを窒素雰囲気下で30℃から冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却した。次いで、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。次いで、再度冷却速度10℃/分で−30℃まで冷却し、当該冷却の際の発熱ピークのピークトップを結晶化温度(℃)とした。
(評価方法)
実施例及び比較例で作製した化粧材を用いて、下記試験を行った。
(1)耐傷性試験(ホフマンスクラッチ試験)
米国BYK−GARDNER社製のホフマンスクラッチ試験機を用いて試験を行った。具体的には、化粧材の化粧シート表面に対して45°の角度で接するようにスクラッチ刃(φ7mmの円柱形の刃)をセットし、試験機を化粧材上で移動させた。100g荷重ずつ徐々に荷重(錘)を高めていき、化粧シート表面に擦り傷、圧痕等が生じるまで試験を繰り返し行った。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が+以上であれば実使用において問題はないと評価されるが、++であれば、より耐傷性に優れていると評価される。
++:傷付初期荷重が1000g荷重以上である
+:傷付初期荷重が700〜900g荷重である
−:傷付初期荷重が600g荷重以下である
(2)耐湿熱性試験(JAS湿熱試験)
合板の日本農林規格「湿熱試験」に準拠して試験を行った。具体的には、化粧材を水平に固定して、化粧材の表面に沸騰水を滴下し、その上に0.5Lの沸騰水を入れた1L容量のアルミニウム容器を20分間放置した後、乾燥した布で摩擦し、そのまま24時間放置した。次いで、化粧材のアルミニウム容器を置いた箇所の外観変化の有無を目視により観察した。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が++であれば実使用において問題ないと評価される。
++:アルミニウムの容器の跡がみられなかった
−:アルミニウムの容器の跡がみられた
(3)曲げ加工時の割れ評価(Vカット加工適性試験)
化粧材の化粧シートが積層されている面とは反対の面にV字状の溝を入れ、常温で当該溝を起点に化粧材を直角に折り曲げて(即ち、化粧シート面が山折りで木質基材面が谷折りとなるように化粧材を直角に折り曲げて)、化粧材中の化粧シートの折り曲げ部分の割れの状態を目視にて観察した。以下の評価基準に従って評価した。なお、評価が++であれば実使用において問題ないと評価される。
++:化粧シートの折り曲げた部分に白化、及び割れが発生していない
−:化粧シートの折り曲げた部分に白化、又は割れが発生している
結果を表1に示す。
1.化粧シート
11.表面保護層
12.透明性樹脂層
13.絵柄模様層
14.基材シート
15.バッカー層
2.化粧材
3.被着材

Claims (6)

  1. 基材シート上に、少なくとも透明性樹脂層及び表面保護層をこの順に有する化粧シートであって、
    (1)前記透明性樹脂層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を含有し、
    (2)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、融点が168℃以下であり、且つ、結晶化温度が149℃以下である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂、又は、2液硬化型ウレタン系樹脂を含む、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記基材シートは、ポリオレフィン系樹脂層である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層側にエンボス形状を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記基材シートと前記透明性樹脂層との間に、絵柄模様層及び透明性接着剤層を前記基材シート側からこの順に有する、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを被着材上に有する化粧材。
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