JP2020037194A - ホルダユニットおよびスクライブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、スクライビングホイールの姿勢を安定化させ、基板の表面に高品質のスクライブラインを形成することが可能なホルダユニット、およびそのようなホルダユニットを備えるスクライブ装置を提供することを目的とする。【解決手段】外周部に互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面41a、および2つの傾斜面41aとの間に周方向に沿って設けられる稜線41bを有するスクライビングホイール40で基板15の表面Hにスクライブラインを形成するためホルダユニット30であって、スクライビングホイール40を保持するための一対の保持部51a、51bと、一対の保持部51a、51bの間に形成され、スクライビングホイール40が挿入される保持溝52と、スクライビングホイール40の回転中心軸に対して基板15側に位置する刃先41に当接し、スクライビングホイール40をその厚み方向に規制する規制部材60と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、基板の表面にスクライブラインを形成するためのスクライビングホイールを備えるホルダユニット、およびそのようなホルダユニットを備えるスクライブ装置に関する。
従来、ガラス基板等の脆性材料基板の分断は、基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブ工程と、形成されたスクライブラインに沿って基板の表面に所定の力を付加するブレイク工程とによって行われる。スクライブ工程では、スクライビングホイールの刃先が基板の表面に押し付けられながら、所定のラインに沿って移動される。
以下の特許文献1には、所望のスクライブラインを形成するために、安定した姿勢でスクライブ動作を行うホルダが開示されている。特許文献1において、カッターを保持するホルダは、ホルダジョイントの下部に設けられている開口穴から挿入される。開口穴の内側に、平面視でV字形状の平坦面が基板に対して垂直方向に沿って形成されている。この開口穴の上方に位置決め部材のピンが設けられ、ピンよりも上方に磁石が設けられている。ホルダジョイントに挿入されたホルダは、ホルダの上部に形成されている傾斜面にピンが接触して位置決めされるとともに、ホルダの上端部が磁石に吸引されて保持される。このとき、磁石によってホルダが引き上げられて、傾斜面がピンに押し付けられる。また、傾斜面の背面側は、V字形状の平坦面に押し付けられるため、ホルダの姿勢が自動的に一定方向に向いた状態で、ホルダがホルダジョイントに取り付けられる。よって、安定的にスクライブラインを形成することができる。
特許文献1では、ホルダの姿勢が安定に維持されることで、基板に良好なスクライブラインが形成されている。しかし、基板に接触している部材はカッターであるため、ホルダの姿勢を安定に維持したとしても、ホルダに対してカッターの姿勢が安定した状態でない場合、カッターがふらついて蛇行したスクライブラインが形成される。
かかる課題に鑑み、本発明は、刃先の姿勢を安定化させ、基板の表面に高品質のスクライブラインを形成することが可能なホルダユニット、およびこのようなホルダユニットを備えたスクライブ装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、外周部に互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面、および前記2つの傾斜面との間に周方向に沿って設けられる稜線からなる刃先を有するスクライビングホイールで基板の表面にスクライブラインを形成するためのホルダユニットに関する。このホルダユニットは、前記スクライビングホイールを保持するための一対の保持部と、前記一対の保持部の間に形成され、前記スクライビングホイールが挿入される保持溝と、前記スクライビングホイールの回転中心軸に対して前記基板側に位置する前記刃先に当接し、前記スクライビングホイールをその厚み方向に規制する規制部材と、を備える。
この構成によれば、スクライビングホイールの回転中心軸に対して基板側に位置する刃先が、規制部材によって押さえられることにより、スクライビングホイールの厚み方向の移動が規制される。これにより、刃先の基板との接触位置付近の部分が、スクライビングホイールの厚み方向にふらつくことが規制部材によって抑止される。よって、スクライビングホイールのふらつきによりスクライブラインが蛇行することを防ぐことができる。さらに、基板への接触と離間を繰り返す場合にもスクライビングホイールの移動が規制されるため、スクライブラインの位置の繰り返し精度が向上する。
本態様に係るホルダユニットにおいて、前記規制部材は、前記スクライビングホイールの前記刃先部分の厚みより小さい幅のスリットを有し、前記スリットから前記刃先の前記稜線部分を突出させつつ、前記スリットの周縁が前記2つの傾斜面に当接するように、前記規制部材が前記一対の保持部に配置されるよう構成され得る。
この構成によれば、規制部材がスクライビングホイールを厚み方向に規制しているとき、刃先の稜線部分と規制部材とは非接触状態である。よって、刃先の稜線部分が規制部材により摩耗する虞はない。
本態様に係るホルダユニットにおいて、前記規制部材は、板状の弾性部材で構成され得る。これにより、弾性部材の付勢力により、スクライビングホイールが厚み方向にふらつくことをより確実に防止できる。
本態様に係るホルダユニットにおいて、前記一対の保持部に設けられ、前記保持溝に挿入された前記刃先を受ける2つの回転部材を備え、2つの前記回転部材は、それぞれ、前記刃先の周方向に沿うように凹部が設けられ、前記凹部の最深部に前記刃先の稜線が接触することなく、前記凹部の端部に前記2つの傾斜面が接触するよう構成され得る。
この構成によれば、2つの回転部材が刃先の傾斜面を挟み込むように支持する。また、スクライビングホイールの回転中心軸に対して基板側に位置する刃先は、規制部材によって支持されている。このように、スクライビングホイールは、刃先の3箇所で支持されている。よって、スクライブ動作中のスクライビングホイールの姿勢が安定に維持され、高品質のスクライブラインが円滑に形成され得る。さらに、刃先の稜線部分と回転部材とは非接触状態である。よって、刃先の稜線部分が回転部材との接触により摩耗する虞はない。
本態様に係るホルダユニットにおいて、前記一対の保持部に、前記保持溝を跨いで同軸上にピン孔が形成され、前記保持溝に挿入された前記スクライビングホイールの貫通孔と前記ピン孔とに挿入されるピン軸を備えるよう構成され得る。
スクライビングホイールの貫通孔とピン軸との間にはクリアランスが存在するため、ピン軸がホルダに対して移動することがあり、スクライビングホイールの姿勢に影響を及ぼし得る。そこで、本構成のように、規制部材を刃先に設けて、スクライビングホイールを厚み方向に規制することにより、スクライビングホイールの姿勢が安定に維持される。これにより、直線性の高い高品質のスクライブラインを形成できる。
本発明の第2の態様は、外周部に互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面、および前記2つの傾斜面との間に周方向に沿って設けられる稜線からなる刃先を有するスクライビングホイールで基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブ装置に関する。本態様に係るスクライブ装置は、前記スクライビングホイールを保持するための一対の保持部と、前記一対の保持部の間に形成され、前記スクライビングホイールが挿入される保持溝と、前記スクライビングホイールの回転中心軸に対して前記基板側に位置する前記刃先に当接し、前記刃先を前記スクライビングホイールの回転中心軸線と平行な方向に規制する規制する規制部材と、を備えたホルダユニットと、前記ホルダユニットを保持するスクライブヘッドと、を備える。
本構成であれば、上記の第1の態様と同様の効果を奏する。
以上のとおり、本発明によれば、スクライビングホイールの姿勢を安定化させ、基板の表面に高品質のスクライブラインを形成することができるホルダユニット、およびこのようなホルダユニットを備えたスクライブ装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の1つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。Z軸は、スクライビングホイールの中心軸に垂直であり、鉛直方向における上方および下方を示す。以降、上方および下方は、それぞれZ軸正側およびZ軸負側を意味する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るスクライブ装置1の構成を模式的に示す図である。スクライブ装置1は、移動台10を備えている。移動台10は、ボールネジ11と螺合されている。移動台10は、一対の案内レール12によってY軸方向に移動可能に支持されている。モータの駆動によりボールネジ11が回転することで、移動台10が、一対の案内レール12に沿ってY軸方向に移動する。
図1は、実施形態1に係るスクライブ装置1の構成を模式的に示す図である。スクライブ装置1は、移動台10を備えている。移動台10は、ボールネジ11と螺合されている。移動台10は、一対の案内レール12によってY軸方向に移動可能に支持されている。モータの駆動によりボールネジ11が回転することで、移動台10が、一対の案内レール12に沿ってY軸方向に移動する。
移動台10の上面には、モータ13が設置されている。モータ13は、上部に位置するテーブル14をXY平面で回転させて所定角度に位置決めする。モータ13により水平回転可能なテーブル14は、図示しない真空吸着手段を備えている。テーブル14上に載置された基板15は、この真空吸着手段によって、テーブル14上に保持される。
基板15は、ガラス基板、低温焼成セラミックスや高温焼成セラミックスからなるセラミック基板、シリコン基板、化合物半導体基板、サファイア基板、石英基板等である。また、基板15は、基板の表面または内部に脆性材料に該当しない薄膜あるいは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。
スクライブ装置1は、テーブル14に載置された基板15の上方に、この基板15に形成されたアライメントマークを撮像する二台のカメラ16を備えている。また、移動台10とその上部のテーブル14とを跨ぐように、ブリッジ17が支柱18a、18bに架設されている。
ブリッジ17には、ガイド19が取り付けられている。スクライブヘッド20は、このガイド19に案内されてX軸方向に移動するように設置されている。スクライブヘッド20は、下端にホルダジョイント21を備えている。ホルダ50にスクライビングホイール40が保持されているホルダユニット30が、ホルダジョイント21を介してスクライブヘッド20に取り付けられている。
スクライブ装置1を用いて基板15の表面Hにスクライブラインを形成する場合、まず、スクライビングホイール40が取り付けられたホルダユニット30がスクライブヘッド20に取り付けられる。次に、スクライブ装置1は、一対のカメラ16によって基板15の位置決めを行う。そして、スクライブ装置1は、スクライブヘッド20を所定の位置に移動させ、スクライビングホイール40に対して所定の荷重を印加して、基板15へ接触させる。その後、スクライブ装置1は、スクライブヘッド20をX軸方向に移動させることにより、基板15の表面に所定のスクライブラインを形成する。なお、スクライブ装置1は、必要に応じてテーブル14を回動ないしY軸方向に移動し、上記の場合と同様にしてスクライブラインを形成する。
上記の実施形態においては、スクライブヘッド20がX軸方向に移動し、テーブル14がY軸方向に移動すると共に、回転するスクライブ装置について示したが、スクライブ装置1はスクライブヘッド20とテーブル14とが相対的に移動するものであればよい。たとえば、スクライブヘッド20が固定され、テーブル14がX軸、Y軸方向に移動し、かつ回転するスクライブ装置1であってもよい。また、この場合、カメラ16はスクライブヘッド20に固定されていてもよい。
図2(a)は、ホルダユニット30をX軸負側から見た図であり、図2(b)は、ホルダユニット30をY軸正側から見た図である。なお、図2(a)、(b)には、ホルダユニット30が直接取り付けられるホルダジョイント21が併せて図示されている。
ホルダユニット30は、スクライビングホイール40と、ホルダ50と、規制部材60と、から構成されている。また、実施形態1に係るホルダユニット30は、2つの回転部材70a、70bを備えている。
ホルダユニット30は、図2(a)、(b)に示すようにホルダジョイント21に取付ネジ31によって取り付けられている。ホルダジョイント21は、取付部22と、回転軸23と、2つのベアリング24a、24bと、で構成されている。取付部22は、断面形状が逆L字状となっている。取付部22は、鉛直方向に延びる壁22aと、水平方向に延びる壁22bからなっている。回転軸23は、取付部22の壁22bの天面側から鉛直方向に延びている。ベアリング24a、24bには、回転軸23が挿通されている。
ホルダユニット30がホルダジョイント21に取り付けられると、ホルダユニット30の側面が取付部22の壁22aと接触し、ホルダユニット30の上面が壁22bと接触する。また、壁22aには、図2(a)に示すように取付ネジ31が挿入されるネジ孔25が形成されている。
ホルダジョイント21は、取付部22に取り付けられたホルダユニット30がスクライブヘッド20の下端から露出するように、スクライブヘッド20の内部へと固定される。このとき、ホルダユニット30は、ホルダジョイント21の回転軸23を中心として回転自在となっている。なお、二点鎖線は、回転軸23の軸中心Sを示しており、破線は、基板15の表面Hを示している。表面Hは、水平面に平行で、回転軸23に対して垂直である。
スクライブ装置1を用いて基板15の表面Hにスクライブラインを形成する場合、スクライビングホイール40は、X軸正方向に転動させられる。なお、スクライブ装置1は、ホルダジョイント21を用いないで、ホルダユニット30自身が回転軸23やベアリング24a、24bを備える構成であってもよい。
スクライビングホイール40は、たとえば、焼結ダイヤモンドや超硬合金等で形成された、円板状の部材である。スクライビングホイール40は、外周部に沿って互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面41aが形成されており、この2つの傾斜面41aとの間に周方向に沿って稜線41bが設けられる。2つの傾斜面41aと稜線41bとが刃先41を構成する。スクライビングホイール40は、たとえば、厚さが0.4〜1.1mm程度、外径が1.0〜5.0mm程度、2つの傾斜面41aのなす角は、90〜150°程度である。
ホルダ50は、ステンレスや炭素工具鋼からなっている。ホルダ50の下部は、それぞれ保持部51a、51bが形成され、保持部51a、51bとの間に保持溝52が形成されている。保持部51a、51bには、回転部材70aが挿入される2つの孔53a、53bが、保持溝52を跨ぐように同軸上に形成されている。同様に、回転部材70bが挿入される2つの孔が、保持溝52を跨ぐように同軸上に形成されている。保持溝52の互いに対向する内側面54a、54bは、水平面(XY平面)に垂直である。なお、図2(a)では、回転部材70bが挿入される2つの孔は、図示されていない。
ホルダ50の下端面、すなわち、保持部51a、51bの下端面は、保持溝52の互いに対向する内側面54a、54bと直交する面55a、55bと、面55a、55bからX軸負側へ延びる傾斜面56a、56bと、面55a、55bからX軸正側へ延びる傾斜面57a、57bとを含む。なお、傾斜面56bおよび傾斜面57bは、図2(a)、(b)には図示されておらず、図3(a)に図示される。
なお、図2(a)、(b)の構成では、ホルダ50が、1つの基材で構成されているが、たとえば、保持部51a、51bをそれぞれ有する2つの基材を固定することでホルダ50が形成されてもよい。また、ホルダ50の上部には、取付ネジ31が挿入されるネジ孔50aが形成されている。
図3(a)は、ホルダ50をZ軸負側から見た平面図である。図3(b)は、スクライビングホイール40と2つの回転部材70a、70bとの配置を説明するための模式図である。説明の便宜上、図3(b)では、スクライビングホイール40、および2つの回転部材70a、70bのみが実線で示されている。
規制部材60は、スクライビングホイール40がスクライブ方向に対して左右にふらつく等の、スクライビングホイール40の意図しない移動を規制するための部材である。規制部材60は、スクライビングホイール40の回転中心軸が通る点Oに対して、基板15側に位置するスクライビングホイール40の刃先41に接触し、スクライビングホイール40の厚み方向への移動を規制する。図3(a)に示すように、規制部材60は傾斜面57a、57bを覆うように配置される。さらに規制部材60のうちX軸負側の領域は、スクライビングホイール40の刃先41に接触するように配置され、X軸正側の領域と傾斜面57a、57bとは、保持溝52を挟む位置において、2つのネジ61で接続される。
規制部材60のX軸負側の領域には、スリット62が形成されている。スリット62から刃先41の稜線41bが突出しつつ、スリット62の周縁63が刃先41の2つの傾斜面41aに当接するように、傾斜面57a、57bに配置される。
規制部材60の厚みは、0.1〜0.2mm程度である。また、スリット62のY軸方向の幅は、スクライビングホイール40の厚みより小さい。また、スリット62の周縁63のうちX軸正側の周縁64は、刃先41の稜線41bと接触しない位置に位置付けられる。
なお、図3(a)では、規制部材60は、傾斜面57a、57bの全面を覆ってはいないが、傾斜面57a、57bの略全面を覆うように規制部材60を形成してもよい。また、規制部材60のX軸正側の領域は、傾斜面57a、57bとネジ61で接続されているが、ネジ61を用いず、たとえば、規制部材60のX軸正側の領域と傾斜面57a、57bとを接着剤で接続してもよい。
また、規制部材60の材質は、板状の弾性部材であることが好ましい。この場合、規制部材60の弾性復帰力により、スリット62の周縁63が刃先41の2つの傾斜面41aに押しつけられると、スクライビングホイール40には、2つの傾斜面41aを介してスクライビングホイール40を回転部材70a、70bの方向に押さえつける力が掛かる。これにより、規制部材60は、基板15との接触位置付近のスクライビングホイール40がスクライビングホイール40の厚み方向にふらつくことを確実に防止する。さらに、複数回のスクライブ動作を連続して行う際には、基板15に対してスクライビングホイール40が接触と離間を繰り返すこととなる。この場合にもスクライビングホイール40の厚み方向への移動が規制されるため、スクライブラインの位置の繰り返し精度が向上する。
また、少なくともスクライビングホイール40の刃先41の傾斜面41aと接触することとなるスリット62の周縁63が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)や多結晶ダイヤモンド膜、あるいはダイヤモンド粒子を含んだめっき等で被覆されることが好ましい。同様に、規制部材60のスクライビングホイール40の刃先41との接触部となるX軸負側の領域の一部またはすべてを、焼結ダイヤモンド等の硬度の高い部材で構成してもよい。これにより、刃先41と規制部材60との摺動抵抗を低減させるとともに、規制部材60の耐摩耗性を向上させることができる。
図3(a)に示すように、回転部材70aの長手方向の中央部分には、外周部の周方向に沿って凹部71aが設けられる。また、回転部材70aの中央部分を除く左右側は中央部分より外径が小さい回転軸となっており、保持部51a、51bの孔53a内に設けられた、図示を省略するボールベアリング等の軸受けにより保持されている。回転部材70aを孔53a、53bに設置した状態において、凹部71aは保持溝52内に位置付けられ、凹部71aにより刃先41の2つの傾斜面41aが挟み込まれる。このとき、凹部71aの端部が2つの傾斜面41aに接触するが、凹部71aの最深部72aは、刃先の41の稜線41bに接触しない。スクライブ時には、回転部材70aはスクライビングホイール40とともに回転する。なお、2つの傾斜面41aに接触する凹部71aの端部には面取り加工が行われてもよい。
なお、図3(a)では、回転部材70bが図示されていないが、回転部材70bも回転部材70aと同様に構成される。すなわち、回転部材70bの長手方向の中央部分には、外周部の周方向に沿って凹部が設けられる。また、回転部材70bの中央部分を除く左右側は中央部分より外径が小さい回転軸となっており、保持部51a、51bの孔内に設けられた、ボールベアリング等の軸受けにより保持されている。回転部材70bを保持部51a、51bに同軸上にそれぞれ設けられた孔に設置した状態において、回転部材70bの凹部は保持溝52内に位置付けられ、凹部により刃先41の2つの傾斜面41aが挟み込まれる。このとき、回転部材70bの凹部の最深部は、刃先の41の稜線41bに接触しない。スクライブ動作時には、回転部材70bはスクライビングホイール40とともに回転する。
図3(b)に示すように、2つの回転部材70a、70bは、スクライビングホイール40の基板15と反対側の刃先41をそれぞれ支持するように配置される。2つの回転部材70a、70bは、スクライビングホイール40の回転中心軸が通る点Oと回転部材70aの回転中心軸が通る点Pとを結ぶ線分L1、および点Oと回転部材70bの回転中心軸が通る点Qとを結ぶ線分L2のなす角αが60°〜120°、より好ましくは80°〜100°程度であるように、保持部51a、51bに配置される。線分L1とL2とのなす角αが60°よりも小さい場合、2つの回転部材70a、70bが近接し過ぎる。このため、2つの回転部材70a、70bが刃先41の傾斜面41aを適切に挟み込めるように、2つの回転部材70a、70bをスクライビングホイール40の刃先41に配置しにくくなる。
また、線分L1とL2とのなす角αが120°よりも大きい場合、2つの回転部材70a、70bが離間してスクライビングホイール40の刃先41に配置される。このような場合、2つの回転部材70a、70bは、いわゆる、楔効果により、刃先41の傾斜面41aを挟み込む力が大きくなり、スクライビングホイール40の回転が阻害される虞がある。
<実施形態1の効果>
図3(a)、(b)に示すように、スクライビングホイール40は、スクライビングホイール40の回転中心軸に対して基板15側に位置するスクライビングホイール40の刃先41を、規制部材60によってスクライビングホイール40の厚み方向に規制される。これにより、基板15とスクライビングホイール40との接触位置付近における刃先41の部分が、スクライビングホイール40の厚み方向にふらつくことが規制部材60によって抑止される。よって、スクライビングホイール40のふらつきによりスクライブラインが蛇行することを確実に防ぐことができる。その結果、スクライビングホイール40は、円滑にスクライブ動作を行うことができる。
図3(a)、(b)に示すように、スクライビングホイール40は、スクライビングホイール40の回転中心軸に対して基板15側に位置するスクライビングホイール40の刃先41を、規制部材60によってスクライビングホイール40の厚み方向に規制される。これにより、基板15とスクライビングホイール40との接触位置付近における刃先41の部分が、スクライビングホイール40の厚み方向にふらつくことが規制部材60によって抑止される。よって、スクライビングホイール40のふらつきによりスクライブラインが蛇行することを確実に防ぐことができる。その結果、スクライビングホイール40は、円滑にスクライブ動作を行うことができる。
図3(a)、(b)に示すように、スクライビングホイール40は、基板15と反対側の外周部を、2つの回転部材70a、70bにより支持される。このように、スクライビングホイール40は、規制部材60と合わせて3箇所で支持される。よって、スクライビングホイール40の厚み方向にスクライビングホイール40がふらつくことが一層抑止される。これにより、スクライビングホイール40は、安定した姿勢でスクライブ動作を円滑に行うことができる。
図3(a)に示すように、規制部材60のX軸負側の領域にスリット62が設けられているため、刃先41の稜線41bは、規制部材60とは接触しない。よって、刃先41の稜線41bが基板15に接触すること以外で摩耗することが防止される。
図3(b)に示すように、線分L1とL2とのなす角αが60°〜120°程度が好ましい。この範囲であれば、2つの回転部材70a、70bにより、刃先41の傾斜面41aが適切に挟み込まれ、スクライビングホイール40は支持され得る。
また、規制部材60と同様に、2つの回転部材70a、70bと刃先41の稜線41bとは接触しない。スクライビングホイール40は、規制部材60と2つの回転部材70a、70bにより支持されているが、何れの部材も刃先41の稜線41bの摩耗に影響を及ぼすことはない。これにより、刃先41が早期に劣化することを防止できる。
また、一般に、回転可能な部材とスクライビングホイールとの間で生じる摩擦抵抗は小さいため、スクライビングホイールは円滑に回転する。よって、実施形態1のように、スクライビングホイール40を2つの回転部材70a、70bで支持した場合、スクライビングホイール40は、ふらつくことなく、円滑に基板15にスクライブラインを形成することができる。
<実施形態2>
上記の実施形態1では、スクライビングホイール40を規制部材60と、2つの回転部材70a、70bとにより支持する構成であった。これに対し、実施形態2に係るホルダユニット30は、規制部材60と、ホルダ50及びスクライビングホイール40に挿入されるピン軸80とによりスクライビングホイール40を回転可能に支持する構成である。
上記の実施形態1では、スクライビングホイール40を規制部材60と、2つの回転部材70a、70bとにより支持する構成であった。これに対し、実施形態2に係るホルダユニット30は、規制部材60と、ホルダ50及びスクライビングホイール40に挿入されるピン軸80とによりスクライビングホイール40を回転可能に支持する構成である。
図4(a)は、スクライビングホイール40をピン軸80で支持する場合のホルダユニット30をX軸負側から見た図である。図4(b)は、ホルダユニット30をZ軸負側から見た平面図である。
図4(a)、(b)に示すように、スクライビングホイール40の中心位置に、ピン軸80を挿入するための貫通孔42が設けられる。また、保持部51a、51bに、保持溝52を跨いで一対の孔59a、59bが形成され、貫通孔42に挿入されるピン軸80は、孔59a、59bに通される。
また、ピン軸80の両端部が孔59a、59bのそれぞれから抜けないように、孔59a、59bを閉塞する蓋部材81a、81bが保持部51a、51bに設けられる。
<実施形態2の効果>
たとえば、規制部材60をホルダユニット30に設けず、ピン軸80のみでスクライビングホイール40が支持される構成とする場合、スクライビングホイール40がピン軸80に対してわずかに移動することに加え、ピン軸80がホルダ50に対してわずかに移動する。これにより、スクライビングホイール40の位置が安定せず、スクライビングホイール40がスクライブ方向に対して左右にふらつく虞がある。しかし、実施形態2の構成は、スクライビングホイール40がピン軸80に支持され設けられ、さらに、規制部材60が設けられる。このため、刃先41が規制部材60からスクライビングホイール40のピン軸方向への力を受け、スクライビングホイール40の厚み方向への移動が規制されるとともに、ピン軸80についてもホルダ50に対する移動が抑制される。したがって、スクライビングホイール40の姿勢が安定に維持される。これにより、直線性の高い高品質のスクライブラインを形成できる。
たとえば、規制部材60をホルダユニット30に設けず、ピン軸80のみでスクライビングホイール40が支持される構成とする場合、スクライビングホイール40がピン軸80に対してわずかに移動することに加え、ピン軸80がホルダ50に対してわずかに移動する。これにより、スクライビングホイール40の位置が安定せず、スクライビングホイール40がスクライブ方向に対して左右にふらつく虞がある。しかし、実施形態2の構成は、スクライビングホイール40がピン軸80に支持され設けられ、さらに、規制部材60が設けられる。このため、刃先41が規制部材60からスクライビングホイール40のピン軸方向への力を受け、スクライビングホイール40の厚み方向への移動が規制されるとともに、ピン軸80についてもホルダ50に対する移動が抑制される。したがって、スクライビングホイール40の姿勢が安定に維持される。これにより、直線性の高い高品質のスクライブラインを形成できる。
<変形例>
上記の実施形態では、規制部材60と2つの回転部材70a、70bとの組み合わせ、または、規制部材60とピン軸80との組み合わせにより、スクライビングホイール40を支持する構成であったが、ホルダユニット30は、ピン軸80が挿入されたスクライビングホイール40を、さらに2つの回転部材70a、70bと規制部材60とで支持するように構成されてもよい。
上記の実施形態では、規制部材60と2つの回転部材70a、70bとの組み合わせ、または、規制部材60とピン軸80との組み合わせにより、スクライビングホイール40を支持する構成であったが、ホルダユニット30は、ピン軸80が挿入されたスクライビングホイール40を、さらに2つの回転部材70a、70bと規制部材60とで支持するように構成されてもよい。
また、上記実施形態では、稜線41bが円周方向に連続するスクライビングホイール40がホルダユニット30に設置されたが、稜線41bに沿って一定間隔で溝部が形成されたスクライビングホイールがホルダユニット30に設置されてもよい。
図5(a)、(b)は、それぞれ、この変形例に係るスクライビングホイール40を模式的に示す側面図および正面図である。
図5(a)、(b)に示すように、スクライビングホイール40の刃先41には、側面視において、互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面41aが形成されている。2つの傾斜面41aが交差することにより、刃部43が形成され、さらに、周方向に隣り合う刃部43の間に、点O側に凹んだ溝部44が形成されている。
溝部44は、周方向に見て点Oから離れる方向に凸の曲面からなっている。また、溝部44と刃部43との境界から溝部44の周方向中央の溝底部に向かってスクライビングホイール40の径方向の断面における曲率半径が徐々に大きくなっている。
このようにスクライビングホイール40の刃先41を加工すると、スクライビングホイール40が基板15を転動させられたとき、基板15に刃部43が食い込みやすい。これにより、基板15に深いクラックを形成することができる。
なお、2つの回転部材70a、70bの凹部71a、71b、または凹部71a、71bと接触する刃先41の傾斜面41aに対し、周方向に所定の間隔で凹凸を設けてもよい。これにより、スクライビングホイール40の転動に伴い基板15に周期的な衝撃を生じさせることができる。よって、より深いクラックが基板15に形成される効果を期待できる。
また、上記実施形態1において、スクライビングホイール40は、規制部材60と2つの回転部材70a、70bとで支持されたが、スクライビングホイール40が保持溝52から脱落することを防ぐため、たとえば、ホルダ50およびスクライビングホイール40にそれぞれ貫通孔を設けて、この貫通孔に針金やピン等を通して、スクライビングホイール40をホルダ50に接続してもよい。
また、上記実施形態において、スクライブ方向はX軸正側としたが、X軸負側としてもよい。すなわち、スクライブ方向後方に規制部材60を設けてもよい。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 … スクライブ装置
15 … 基板
30 … ホルダユニット
40 … スクライビングホイール
41 … 刃先
41a … 刃先の傾斜面
41b … 刃先の稜線
42 … 貫通孔
50 … ホルダ
51a、51b … 保持部
52 … 保持溝
53a、53b … 孔
59a、59b … 孔
60 … 規制部材
62 … スリット
63 … スリットの周縁
64 … スリットの周縁のX軸正側
70a、70b … 2つの回転部材
71a、71b … 凹部
72a、72b … 凹部の最深部
80 … ピン軸
H … 基板の表面
15 … 基板
30 … ホルダユニット
40 … スクライビングホイール
41 … 刃先
41a … 刃先の傾斜面
41b … 刃先の稜線
42 … 貫通孔
50 … ホルダ
51a、51b … 保持部
52 … 保持溝
53a、53b … 孔
59a、59b … 孔
60 … 規制部材
62 … スリット
63 … スリットの周縁
64 … スリットの周縁のX軸正側
70a、70b … 2つの回転部材
71a、71b … 凹部
72a、72b … 凹部の最深部
80 … ピン軸
H … 基板の表面
Claims (6)
- 外周部に互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面、および前記2つの傾斜面との間に周方向に沿って設けられる稜線からなる刃先を有するスクライビングホイールで基板の表面にスクライブラインを形成するためのホルダユニットであって、
前記スクライビングホイールを保持するための一対の保持部と、
前記一対の保持部の間に形成され、前記スクライビングホイールが挿入される保持溝と、
前記スクライビングホイールの回転中心軸に対して前記基板側に位置する前記刃先に当接し、前記スクライビングホイールをその厚み方向に規制する規制部材と、を備えることを特徴とするホルダユニット。 - 請求項1に記載のホルダユニットにおいて、
前記規制部材は、前記スクライビングホイールの前記刃先部分の厚みより小さい幅のスリットを有し、
前記スリットから前記刃先の前記稜線部分を突出させつつ、前記スリットの周縁が前記2つの傾斜面に当接するように、前記規制部材が前記一対の保持部に配置される、ことを特徴とするホルダユニット。 - 請求項1または2に記載のホルダユニットにおいて、
前記規制部材は、板状の弾性部材である、ことを特徴とするホルダユニット。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載のホルダユニットにおいて、
前記一対の保持部に設けられ、前記保持溝に挿入された前記スクライビングホイールを受ける2つの回転部材を備え、
前記2つの回転部材は、それぞれ、前記刃先の周方向に沿うように凹部が設けられ、前記凹部の最深部に前記刃先の稜線が接触することなく、前記凹部の端部に前記2つの傾斜面が接触する、ことを特徴とするホルダユニット。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載のホルダユニットにおいて、
前記一対の保持部に、前記保持溝を跨いで同軸上にピン孔が形成され、前記保持溝に挿入された前記スクライビングホイールの貫通孔と前記ピン孔とに挿入されるピン軸を備える、ことを特徴とするホルダユニット。 - 外周部に互いに異なる方向に傾斜した2つの傾斜面、および前記2つの傾斜面との間に周方向に沿って設けられる稜線からなる刃先を有するスクライビングホイールで基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、
前記スクライビングホイールを保持するための一対の保持部と、
前記一対の保持部の間に形成され、前記スクライビングホイールが挿入される保持溝と、
前記スクライビングホイールの回転中心軸に対して前記基板側に位置する前記刃先に当接し、前記スクライビングホイールを前記スクライビングホイールの回転中心軸線と平行な方向に規制する規制部材と、を備えたホルダユニットと、
前記ホルダユニットを保持するスクライブヘッドと、を備えることを特徴とするスクライブ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018164054A JP2020037194A (ja) | 2018-08-31 | 2018-08-31 | ホルダユニットおよびスクライブ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018164054A JP2020037194A (ja) | 2018-08-31 | 2018-08-31 | ホルダユニットおよびスクライブ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020037194A true JP2020037194A (ja) | 2020-03-12 |
Family
ID=69737318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018164054A Pending JP2020037194A (ja) | 2018-08-31 | 2018-08-31 | ホルダユニットおよびスクライブ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020037194A (ja) |
-
2018
- 2018-08-31 JP JP2018164054A patent/JP2020037194A/ja active Pending
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