JP2020036444A - モータ - Google Patents

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勉 水野
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Abstract

【課題】コイルの巻線に生ずる渦電流損を低減することができるモータを提供する。【解決手段】本発明のモータは、回転子2及び固定子3を備え、回転子2に対して回転磁界を印加するための複数の励磁コイル6が固定子3に設けられているものであって、励磁コイル6には、表面の内の少なくとも回転子2に対向する部位に、磁性部材11aが付されているものである。励磁コイル6には、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることが好ましく、表面全体に磁性部材が付されていることがより好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、コイルの巻線に生じる渦電流損を低減可能なモータに関するものである。
近年、モータやインバータのエネルギー効率が高いためにハイブリッド自動車や電気自動車の普及が急速に進んでいる。また、電動車両に搭載されるモータは、容量では最大で200kW級、単一種の最大生産数は年間数十万台にまで及んでいる。この需要の中で、モータの高効率化が望まれている。
モータの高効率化には高出力化とともに、低損失化が重要である。モータの損失には、機械損、銅損、鉄損や漂遊負荷損に分類され、自動車に多く使用される永久磁石埋込型同期モータ(以下、IPMモータ)では、鉄損はコアや永久磁石で発生する渦電流損およびヒステリシス損、銅損は巻線に生ずる渦電流損を含むジュール損、漂遊負荷損はその他の電気損失として分類できる。
ここで、上記の損失の中でも、損失の割合が大きくなる可能性がある、巻線に生ずる渦電流損(コイル渦電流損)の低減に対する検討はあまり行われていない。
例えば、特許文献1には、第1インシュレータ及び第2インシュレータを有し、スロット歯(ティース)に嵌合する第2インシュレータを絶縁部及び磁性体部で構成し、スロット歯の先端部に磁性体部を設け、スロット歯の先端部の幅を実質的に増加させてコイル渦電流損を低減させるモータが記載されている。磁性体部とコイルとの間には、絶縁体部が設けられている。
特開2015−186352号公報
特許文献1に記載されたモータよりも、コイル渦電流損を低減し得るモータの開発が望まれている。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、コイルの巻線に生ずる渦電流損を低減することができるモータを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたモータは、回転子及び固定子を備え、前記回転子に対して回転磁界を印加するための複数の励磁コイルが前記固定子に設けられているモータであって、前記励磁コイルには、表面の内の少なくとも前記回転子に対向する部位に、磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項2に記載のモータは、請求項1に記載のものであり、前記励磁コイルには、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項3に記載のモータは、請求項1又は2に記載のものであり、前記励磁コイルには、表面全体に磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項4に記載のモータは、請求項1から3のいずれかに記載のものであり、前記固定子は、複数の前記励磁コイルのコアになる複数のスロット歯と、前記スロット歯間に位置して前記励磁コイルを収容する複数のスロットとを有し、同一の前記スロットに収容されている異なる相の2つの前記励磁コイルには、前記回転子に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項5に記載のモータは、請求項1から3のいずれかに記載のものであり、前記固定子は、磁性部材であって筒部の両端にフランジが設けられた形状のボビンと、前記ボビンに巻かれることで前記筒部によって前記励磁コイルの内周部に磁性部材が付されると共に前記フランジによって前記励磁コイルの両側部に磁性部材が付された前記励磁コイルと、磁性部材であって前記励磁コイルの外周部を覆うように付された磁性シートと、前記ボビンの筒状の穴が嵌められて前記励磁コイルのコアになるスロット歯とを有することを特徴とする。
請求項6に記載されたモータは、回転子及び固定子を備え、前記回転子が界磁コイルを備えるモータであって、前記界磁コイルには、表面の内の少なくとも前記固定子に対向する部位に磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項7に記載のモータは、請求項6に記載のものであり、前記界磁コイルには、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることを特徴とする。
請求項8に記載のモータは、請求項6又は7に記載のものであり、前記界磁コイルには、表面全体に磁性部材が付されていることを特徴とする。
本発明のモータによれば、励磁コイルの表面の内の少なくとも回転子に対向する部位に磁性部材が付されていることにより、回転子からの漏れ磁束が磁性部材に集中して通り、励磁コイルに鎖交する磁束が少なくなる。このため、励磁コイルのコイル渦電流損を低減することができる。
励磁コイルの表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に磁性部材が付されている場合、回転子からの漏れ磁束がさらに磁性部材を通るため、励磁コイルに鎖交する磁束がより少なくなる。このため、励磁コイルのコイル渦電流損をより低減することができる。励磁コイルの表面全体に磁性部材が付されている場合、励磁コイルに鎖交する磁束がより一層少なくなるため、励磁コイルのコイル渦電流損をより一層低減することができる。
同一のスロットに収容されている異なる相の2つの励磁コイルに、回転子に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性部材が付されている場合、回転子からの漏れ磁束が磁性部材に集中して通り、励磁コイルに鎖交する磁束がより少なくなる。このため、励磁コイルのコイル渦電流損をさらに低減することができる。
固定子が磁性部材であって筒部の両端にフランジが設けられた形状のボビンと、ボビンに巻かれることで筒部によって励磁コイルの内周部に磁性部材が付されると共にフランジによって励磁コイルの両側部に磁性部材が付された励磁コイルと、磁性部材であって励磁コイルの外周部を覆うように付された磁性シートと、ボビンの筒状の穴が嵌められて励磁コイルのコアになるスロット歯とを有する場合、励磁コイルの表面全体に磁性部材を簡便に付すことができると共に、スロット歯に簡便に集中巻の励磁コイルを装着することができる。
本発明のモータによれば、界磁コイルには表面の内の少なくとも固定子に対向する部位に磁性部材が付されていることにより、固定子からの漏れ磁束が磁性部材に集中して通り、界磁コイルに鎖交する磁束が少なくなる。このため、界磁コイルのコイル渦電流損を低減することができる。
界磁コイルの表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に磁性部材が付されている場合、回転子からの漏れ磁束がさらに磁性部材を通るため、界磁コイルに鎖交する磁束がより少なくなる。このため、界磁コイルのコイル渦電流損をより低減することができる。界磁コイルの表面全体に磁性部材が付されている場合、界磁コイルに鎖交する磁束がより一層少なくなるため、界磁コイルのコイル渦電流損をより一層低減することができる。
本発明を適用するモータの1/6部分を模式的に示す断面図である。 図1中の一点鎖線枠内の拡大断面図である。 図2の構成に代わる別の構成例を示す拡大断面図である。 図2の構成に代わるさらに別の構成例を示す拡大断面図である。 図2の構成に代わるさらに別の構成例を示す拡大断面図である。 図2の構成に代わるさらに別の構成例を示す拡大断面図である。 IPMモータの巻線にCOWを使用した場合のトルク-電流特性である。 IPMモータの巻線に適用する磁性コンポジット材料の磁気特性である。 IPMモータの励磁電流の特性である。 3種類の解析モデルを示す巻線の拡大断面図である。 FEM解析1の解析結果の(a)抵抗、(b)銅損、(c)鉄損、(d)トルクを示すグラフである。 磁性コンポジット材無しとパターンNo.3の電流密度分布図である。 パターンNo.3における磁性コンポジット材の厚さ・幅を変更した際の、(a)抵抗、(b)銅損、(c)鉄損、(d)トルクを示すグラフである。 スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合の要部拡大断面図である。 FEM解析2の各条件における電流密度分布図である。 FEM解析2の解析結果の(i)抵抗、(ii)銅損、(iii)鉄損、(iv)トルクを示すグラフである。 FEM解析3の電流密度分布図である。 FEM解析3の解析結果の(i)抵抗、(ii)銅損、(iii)鉄損、(iv)トルクを示すグラフである。 本発明を適用する別のモータの一部を模式的に示す断面図である。 本発明を適用するさらに別のモータの一部を模式的に示す断面図である。 本発明を適用するさらに別のモータの一部を模式的に示す断面図である。 本発明を適用するさらに別のモータの一部を模式的に示す断面図である。 ボビンを用いた集中巻の励磁コイルの製造工程を示す模式図である。
以下、発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
図1に、本発明を適用するモータ1の一部断面図を示す。この例では、モータ1がIPMモータである例を示している。
図1に示すように、モータ1は、回転子2及び固定子3を備え、回転子2に対して回転磁界を印加するための複数の励磁コイル6が固定子3に設けられている。ここでは、回転子2に対して回転磁界を印加するために固定子3に設けられているコイル(固定子側のコイル)を励磁コイル6と呼んでいる。
回転子2は、回転可能に軸支されている。回転子2には、内部に永久磁石21が埋め込まれている。この例では、2枚の永久磁石21がV字型に配置されて1極を構成している。この配置により、V字型の中心部分に磁束が集中する。
固定子3は、一例として、積層された電磁鋼鈑から構成されている。固定子3は、一体型コアで形成されていてもよいし、複数の分割コアで形成されていてもよい。
図1に示すように、固定子3は、複数の励磁コイル6のコア(芯)になる複数のスロット歯4と、スロット歯4,4間に位置して励磁コイル6を収容する複数のスロット5とを有している。スロット歯4は、固定子3の内周の円周方向に等間隔で形成されている。
同図は、励磁コイル6がスロット歯4に集中巻で巻かれて装着されている例を示している。集中巻では、1つのスロット歯4に1つの励磁コイル6が巻き付けられている。同図に示すように、三相交流のU相、V相、W相がこの順で複数の励磁コイル6に流されるように電気的に接続されている。
本発明は、励磁コイル6の表面の内の少なくとも回転子2に対向する部位に、磁性部材が付されていることに特徴がある。励磁コイル6には、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることが好ましい。励磁コイル6には、表面全体に磁性部材が付されていることがより好ましい。また、固定子2は複数の励磁コイル6のコアになる複数のスロット歯4と、スロット歯4,4間に位置して励磁コイル6を収容する複数のスロット5とを有し、同一のスロット5に収容されている異なる相の2つの励磁コイル6,6には、回転子2に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性部材が付されていることが好ましい。
図2〜図6に、励磁コイル6への磁性部材の付し方の構成例を示す。各図は、図1中の破線枠で囲まれた部分の拡大図に相当する。
励磁コイル6は、一例として、銅線(COW)が巻かれて形成されたものである。励磁コイル6は、スロットの巻線占積率を高めるために平角線を使用したエッジワイズコイルである。なお、励磁コイル6の巻線に、丸線を用いてもよい。
図2は、励磁コイル6の表面の内の回転子2に対向する部位に、磁性部材11aが付されている例である。
磁性部材11aは、磁性を有するものであり、例えば、絶縁性(高抵抗)を有する磁性体である。磁性部材11aは、例えば、液状のバインダ中に磁性粉を分散させて硬化させた、柔軟性を有するシート状の磁性コンポジット材である。磁性紛は、例えば、鉄紛、アモルファス合金粉、鉄-コバルト合金粉、シリコン鉄粉、ファインメットなどである。バインダは、絶縁性を有するものであり、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などである。シート状の磁性コンポジット材(磁性部材11a)は、例えば、接着剤又は両面テープ等で励磁コイル6の表面に貼り付けることで、励磁コイル6に付される。シート状の磁性コンポジット材として市販されているものを用いてもよい。磁性部材11aとして、磁性紛を圧縮成形したものを用いてもよい。
以下に説明する磁性部材11b〜11eは、磁性部材11aと同様のものである。
コイル渦電流損は、回転子2の永久磁石21の漏れ磁束が励磁コイル6に鎖交することで発生する。励磁コイル6の表面の内の回転子2に対向する部位は、回転子2に最も近い部位である。この部位に磁性部材11aを付すことで、永久磁石21の磁束が磁性部材11aに集中して通る。このため、励磁コイル6に鎖交する磁束が少なくなり、コイル渦電流損を低減することができる。
背景技術に記載した特許文献1では、スロット歯の先端部の幅を広げるような形状で磁性体部を設けているが、励磁コイルの回転子に対向する部位を完全に磁性体部で覆っておらず、さらに励磁コイルとの間に距離が生じている。そのため、励磁コイルに鎖交する漏れ磁束の低減効果に限りがある。本発明のように、励磁コイル6に磁性部材11aを直接付すことで、コイル渦電流損をより低減させることができる。
図3は、励磁コイル6の回転子2に対向する部位に加えて、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材11bが付されている例である。この例では、励磁コイル6には、回転子2に対向する部位に加えて、さらに表面の内の内周部に、磁性部材11bが付されている。
励磁コイル6は、スロット歯4をコアとして巻かれているため、励磁コイル6の内周部はコアとなるスロット歯4に対向する部位である。励磁コイル6を磁性部材11bで覆うことで、回転子2の漏れ磁束が磁性部材11bに集中して通るため、図2の場合よりも、さらにコイル渦電流損を低減させることができる。
図4は、励磁コイル6の回転子2に対向する部位に加えて、さらに表面の内の外周部及び内周部に、磁性部材11cが付されている例である。励磁コイル6の外周部は、隣接する異なる相(他の相)の励磁コイル6に対向する部位である。励磁コイル6の表面を磁性部材11cで覆う部位が多いほど、回転子2の漏れ磁束が磁性部材11cに集中するため、図3の例よりもコイル渦電流損をさらに低減させることができる。
図5は、励磁コイル6の表面全体に磁性部材11dが付されている例である。励磁コイル6の表面全体を磁性部材11dで覆うことで、図4の例よりもコイル渦電流損をさらに低減させることができる。
図6は、同一のスロット5に収容されている異なる相の2つの励磁コイル6,6の回転子2に対向する部位同士を架け渡す(繋ぐ)形状の磁性部材11eが付されている例である。言い換えると、励磁コイル6,6の回転子2側が磁性部材11eによって全閉されている例である。同図の例では、励磁コイル6,6の各々の内周部にも磁性部材11eが付されている。
磁性部材11eが、励磁コイル6,6の回転子2に対向する部位同士を架け渡すことで、回転子2の漏れ磁束が磁性部材11eに集中するため、コイル渦電流損をより低減させることができる。さらに、励磁コイル6の外周部や表面全体に磁性部材11eが付されていてもよい。
なお、液状の磁性部材(例えば磁性粉を液状のバインダに混合した液状の磁性コンポジット材料)を、励磁コイル6に直接塗布した後にバインダを硬化させることも考えられるが、液状の場合には励磁コイル6の巻線間など、励磁コイル6の表面以外の内部にも磁性部材が流れ込んでしまう。巻線内部に入り込んだ磁性部材があると、この内部の磁性部材に漏れ磁束が流れて巻線に鎖交することで、交流抵抗が増加してコイル渦電流損が生じてしまう。そこで本発明では磁性部材を巻線の表面のみに設けるようにしている。磁性部材として液体ではなく固体を用いることで、磁性部材が巻線の内部に入り込むことを防止できる。
[FEM解析1]
有限要素法(FEM解析)を用いて、IPMモータの励磁コイルへの磁性部材の付与による銅損低減効果を解析した。
<IPMモータ>
図1に示すIPMモータの構成で解析を行った。IPMモータの仕様を表1に示す。本解析で使用するIPMモータは、ハイブリッド自動車や電気自動車への搭載を想定した定格出力が30kWのモータである。また、極数が12、スロット数が18の整数スロットで、コイルエンドを除いたモータ全軸長が69mm、固定子外径寸法がφ200mm、内径φ130mmであり、ギャップ長0.75mmである。巻線にはスロットの巻線占積率を高めるために平角線を使用し、巻数N=26回巻のエッジワイズコイルであり、かつ集中巻とした。IPMモータの各部寸法は、同図中に示す回転子2の厚さa1=16.75mm、励磁コイルの巻幅a2=20 mm、回転子の中心から回転子の外周までの長さa3=65mm、回転子の中心から固定子の外周までの長さa4=100mmである。同図に表れている部分の永久磁石21の長辺10mm、短辺2.5mmである。
図7にIPMモータの巻線にCOWを使用した場合のトルク-電流特性を示した。本解析を行う際には、トルク-電流特性が飽和していない線形領域にて解析を行った。
<IPMモータに適用する磁性材料>
図8にIPMモータの巻線に適用する磁性コンポジット材料の磁気特性を示した。複素透磁率の測定にはインピーダンスアナライザ(16454A、キーサイト・テクノロジー社)および、ターミナルアダプタ(42942A、キーサイト・テクノロジー社)を用いて磁性材料をトロイダルコア状にした試料として測定した。複素透磁率のうちμ’(実数部)は測定を行った全周波数帯域(0.1MHz〜15MHz)において19.5という値を示している。一方、複素透磁率のうちμ”(虚数部)は周波数に対して増加傾向にある。ただし、前記測定系では5MHz以下を正確に測ることは困難であるため、5MHz以下は予測値を長破線で示している。なお、基本周波数1kHzとした以下のFEM解析1においてはμ’=19.5、μ”=0.25(5MHzでの値)とする。いずれも周波数1kHzで実測されたものではないが、μ’については原理的に直流においても同じ値であることから、μ”については、必ず5MHzでの値以下であることから高めの値として、そのような値に設定した。
<解析条件>
解析の簡略化のために、図1に示すように解析モデルは2極3スロット分の1/6モデルとして境界条件を使用して解析を行う。
表2にIPMモータの解析条件を示した。JMAG-Designerを用いて二次元磁界過渡解析によって巻線の抵抗、インダクタンス、銅損、モータのトルク、鉄損を計算した。回転子の回転数は10,000rpmとした。図9に励磁電流の特性を示した。回転子の回転数が10,000rpmで、極数が12であるために、励磁電流の基本周波数は1kHzとした。ここで、リラクタンストルクを使用するために、U相電流の初期位相角αは30°進角させた。
図10に巻線への貼付パターンの異なる3種類の解析モデルにおける巻線の拡大断面図を示した。同図(a)のパターンNo.1はスロット歯と回転子に対面する部分のみに貼付したモデルである。これは図3に示した構成に相当する。同図(b)のパターンNo.2は、同図(a)のパターンに加えてスロット中心側の他相の巻線同士が対面する部分にも貼付したモデルである。これは図4に示した構成に相当する。同図(c)のパターンNo.3は、巻線の外周部にすべて貼付したモデルである。これは図5に示した構成に相当する。
ここで、各モデルについて、磁性材料厚さd=0.3mm、磁性材料幅l=0.3mmでそれぞれ解析を行った。さらに、比較例として磁性材料を貼付しないモデルも同様に解析を行った。磁性コンポジット材の貼付による銅損低減効果の検討と、抵抗および銅損が最も低減される貼付方法の検討を行った。また、最も抵抗および銅損が低減されるモデルについては、磁性材料厚さd=0.1〜0.4mm、磁性材料幅l=0.1〜0.3mmの範囲で変更してさらに解析を行った。
<各貼付方法による解析結果>
図11に各条件における解析結果を示した。同図(a)〜(d)には、左から順に、磁性コンポジット材無し(比較例)、パターンNo.1(実施例)、パターンNo.2(実施例)、パターンNo.3(実施例)を表示している。
同図(a)に各条件における抵抗を示した。磁性コンポジット材を貼付けしないときで抵抗が90.4mΩであった。それに対して磁性コンポジット材を貼付けした各パターンにおいて、抵抗が低減された。中でもパターンNo.3では抵抗が58.7mΩとなり36%低減された。
同図(b)に各条件における巻線の銅損を示した。抵抗の傾向と同様に、磁性コンポジット材を貼付しないときの銅損が524Wであったのに対して、貼付した各パターンで銅損が低減され、パターンNo.3では347Wと34%低減された。
同図(c)に各条件における鉄損を示した。磁性コンポジット材を貼付しないときの鉄損が563Wであった。これに対して、貼付した各パターンでは鉄損が増加し、銅損が最も低減されていたパターンNo.3では、貼付しないときと比較して5%増加した。これは、磁性コンポジット材を貼付したことにより、磁性コンポジット内で生ずる鉄損による増加と、漏れ磁束が、磁性コンポジット材を介してスロット歯に流れたことによるスロット歯の磁束密度向上に伴う鉄損の増加のためである。しかし、パターンNo.3の鉄損増加は、銅損低減分よりも十分に小さいために、モータの電気損失で考えると巻線への磁性コンポジット材の適用により損失は低減可能である。
同図(d)に各条件におけるトルクを示した。磁性コンポジット材を貼付しないときときと比較して、貼付した各パターンはトルクが微小増加した。これは、漏れ磁束が、磁性コンポジット材を介してスロット歯に流れたことによるスロット歯の磁束密度向上によるものである。
図12に(a)COWのみで磁性コンポジット材無し(貼付しないとき)の場合と(b)パターンNo.3の場合の電流密度分布を示した。(b)の場合には、銅線に鎖交する磁束数が少なく、電流密度の偏りの低減が確認された。これは磁性コンポジット材を巻線に貼付することにより巻線に鎖交する磁束数が減少したためである。
<磁性コンポジット材の厚さ・幅を変更した場合の解析結果>
図13に最も損失が低減されたパターンNo.3における磁性コンポジット材の厚さ・幅を変更した際の解析結果を示した。磁性層の厚さdを厚くするほど、磁性層の幅lを広くするほど銅損は低減される。最も銅損が少なるのはd=0.4mm、l=0.3mmのときで338Wであり、磁性コンポジット材を貼付しない場合と比較して36%低減された。なお、d=0.4mm、l=0.3mmは解析モデルの寸法から取り得る最大値である。
表3に効率を示した。d=0.4mm、l=0.3mmのとき最も効率が向上し、磁性コンポジット材を貼付しないときと比較すると効率で0.5%向上し、損失低減の割合で考えると14%低減された。以上より、本IPMモータへはパターンNo.3の貼付方法でかつd=0.4mm、l=0.3mmで貼付することが良い。しかし、巻線に磁性コンポジット材を貼り付けする製作工程を考えるとd=lで1枚の磁性シートで貼り付けられる方が製作が容易であるため、損失の低減と製作コストのバランスを考える必要がある。また、本解析では複素透磁率実数部μ’=19.5の磁性コンポジット材料を使用して解析した。これよりもμ’が高い材料を使用すればより銅損低減が可能である。しかし、μ’が高い材料を使用することで磁性コンポジット材の磁束密度が高くなるため、飽和磁束密度が高い材料を選定し使用することが望ましい。
FEM解析1の内容をまとめると以下のようになる。
1) 漏れ磁束により巻線に生ずる渦電流損の低減
IPMモータの巻線への磁性コンポジット材の貼付方法の検討を行った。磁性コンポジット材を巻線を覆うように貼付した場合 (d=0.1〜0.4mm,l=0.1〜0.3mm)を適用することで、何も貼付していない場合と比較して、銅損が36%低減した。これは、磁性コンポジット材を介して、回転子による漏れ磁束がスロット歯に、スロット歯による漏れ磁束が回転子に流れることで、巻線への鎖交磁束が減少し渦電流損が低減されたからである。モータ全体の損失で見ると、銅損と鉄損の合計が最小になることが重要である。今回、銅損の減少分のほうが鉄損の増加分よりも影響が大きく、合計値が減少した。
[FEM解析2]
本発明は励磁コイルに磁性部材(例えば磁性コンポジット材)を付すことに特徴があるが、スロット歯やスロット内壁に磁性部材を付すことも考えられる。そこで、励磁コイルに磁性部材を付した場合と、スロット歯及びスロット内壁に磁性部材を付した場合でコイル渦電流損の低減効果を解析した。
FEM解析を用いて、IPMモータの励磁コイルへの磁性部材の付与による銅損低減効果を解析した。IPMモータの構造、仕様、電流-トルク特性及び電流特性は、FEM解析1と同様であり、それぞれ図1、表1、図7及び図9に示した通りである。励磁コイルの巻線もFEM解析1と同様である。
解析は、(a)COWのみ(磁性コンポジット材無し)の場合(比較例)、(b)励磁コイルの表面全体に磁性コンポジット材(磁性部材)を付した場合(FEM解析1のパターンNo.3、d=0.3mm、l=0.3mm)(実施例)、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材(磁性部材)を付した場合(比較例)、の3パターンについて実施した。
図14に、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材91を付した場合の構成を図示する。図1、図2で既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。磁性コンポジット材91の厚さは0.3mmで解析を行った。
表4に解析条件を示した。
図15に各条件における電流密度分布を示した。同図(b)では,回転子による漏れ磁束が磁性コンポジット材を介してスロット歯へと流れている。これによりコイルへ鎖交する磁束が減少し電流密度の偏りが低減された。同図(c)ではスロット歯付近の漏れ磁束に対しては、有効的に作用し電流密度の偏りが低減されているが、磁性コンポジット材が付されていないスロット中心部分においては、依然として電流密度の偏りが大きいままである。
図16(i)に抵抗、同図(ii)に銅損を示した。(b)コイル表面全体に磁性コンポジット材を付した場合と(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合はともに(a)COWのみの場合と比較して抵抗および銅損が低減された。しかし、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合では、スロット中心側のコイルへの鎖交磁束低減ができていないために、(b)コイル表面全体に磁性コンポジット材を付した場合と比較して抵抗および銅損低減効果が小さい。
同図(iii)に鉄損を示した。磁性コンポジット材を貼り付けることにより、磁性コンポジット材内で生ずる鉄損による増加と、漏れ磁束が磁性コンポジットを介してスロット歯に流れることによるコアの磁束密度増加に伴う鉄損増加により、(a)COWのみの場合と比較して鉄損が増加した。(b)の方が(c)よりも鉄損の増加分は小さい。
同図(iv)にトルクを示した。コアの磁束密度が増加したことによりトルクは微小増加した。
FEM解析2の内容をまとめると以下のようになる。
(b)コイル全面に磁性コンポジット材を付した場合と(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合はともに(a)COWのみの場合と比較して抵抗および銅損が低減された。しかし、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合には、スロット中心側のコイルへの鎖交磁束低減ができていないために、(b)コイル全面に磁性コンポジット材を付した場合と比較して、抵抗および銅損低減効果が小さい。以上より、磁性コンポジット材を漏れ磁束に対するシールドとして使用する場合には、スロット歯及びスロットに付すのではなく、コイルに直接付ける方が有効的であることが明らかにされた。
[FEM解析3]
図6に示した、同一のスロットに収容されている異なる相の2つの励磁コイルの回転子に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性コンポジット材(磁性部材)が付されている場合(以下、回転子側を磁性部材で全閉した場合)について、FEM解析を行った。解析条件は、FEM解析2の場合と同様である。
図17に電流密度分布を示した。同図(a)に回転子側を磁性部材で全閉した場合(実施例)を示し、(b)に、FEM解析2で説明した図14のスロット歯及びスロットに磁性部材を付した場合(比較例)を示す。
スロット歯に近いコイルに関しては(b)スロット歯及びスロットに磁性部材を付した場合の方が電流密度の偏りが低減されるが、スロット中心付近のコイルに関しては、(a)回転子側を磁性部材で全閉した場合の方が偏りが低減される。これは(a)の方が、回転子による漏れ磁束をシールドできるためである。
図18に、抵抗、銅損、鉄損、トルクを示す。同図の解析は、(a)COWのみ(磁性コンポジット材無し)の場合(比較例)、(b)回転子側を磁性部材で全閉した場合(実施例)、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材(磁性部材)を付した場合(比較例)、の3パターンについて実施した。
図18(i)に抵抗、同図(ii)に銅損を示した。(b)回転子側を磁性部材で全閉した場合と(c)スロット歯及びスロットに磁性部材を付した場合はともに(a)COWのみの場合と比較して抵抗および銅損が低減された。しかし、(c)スロット歯及びスロットに磁性部材を付した場合ではスロット中心側のコイルへの鎖交磁束低減ができていないために、(b)回転子側を磁性部材で全閉した場合と比較して、抵抗および銅損低減効果が小さい。したがって、(c)スロット歯及びスロットに磁性部材を付した場合とは異なり、回転子側の漏れ磁束をシールドするように磁性コンポジット材を貼り付けることにより、渦電流損低減効果の促進が可能であることが得られた。
同図(iii)に鉄損を示した。磁性コンポジット材を貼り付けることにより、磁性コンポジット材内で生ずる鉄損による増加と、漏れ磁束が磁性コンポジットを介してスロット歯に流れることによるコアの磁束密度増加に伴う鉄損増加により、(a)COWのみの場合と比較して鉄損が増加した。(b)の方が(c)よりも鉄損の増加分は小さい。
同図(iv)にトルクを示した。コアの磁束密度が増加したことによりトルクは微小増加した。
FEM解析3の内容をまとめると以下のようになる。
(b)回転子側を磁性部材で全閉した場合と(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合はともに(a)COWのみの場合と比較して抵抗および銅損が低減された。しかし、(c)スロット歯及びスロットに磁性コンポジット材を付した場合には、スロット中心側のコイルへの鎖交磁束低減ができていないために、(b)回転子側を磁性部材で全閉した場合と比較して、抵抗および銅損低減効果が小さい。以上より、磁性コンポジット材を漏れ磁束に対するシールドとして使用する場合には、スロット歯及びスロットに付すのではなく、コイルに直接付けると共に回転子側を磁性コンポジット材で全閉にした方が有効的であることが明らかにされた。
ここまで、集中巻を使用したIPMモータの例について説明したが、分布巻などの巻線方法の場合、あるいは表面磁石型同期モータのほかインダクションモータなどモータの種類が異なる場合にも磁性部材(磁性コンポジット材)を使用した巻線の渦電流損低減は可能であり、本発明は非常に汎用性が高い。本発明は、コイル(巻線)を使用する全てのモータに適用できる。
[分布巻]
図19に、励磁コイル6を分布巻したIPMモータであるモータ1aを示す。以下において、既に説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図1に示した集中巻のモータ1では、固定子3の1つのスロット5に、異なる相の2つの励磁コイル6が円周方向に並べて配置される。一方、図19に示した分布巻のモータ1aでは、固定子3aの1つのスロット5に、異なる相の2つの励磁コイル6が半径方向に並べて配置される。例えば、スロット5には、異なる相の励磁コイル6、6が半径方向に並べて配置されており、スロット5には、異なる相の励磁コイル6、6が半径方向に並べて配置されている。分布巻きの場合、回転子2に近い方の励磁コイル6の回転子2に対向する部位(回転子2に近い部位)に磁性部材11が少なくとも付される。例えば、スロット5では、励磁コイル6の回転子2に対向する部位に磁性部材11が付される。
磁性部材11はすでに説明した磁性部材11aと同様のものであり、例えばシート状の磁性コンポジット材である。
図示しないが、さらに励磁コイル6の表面の内の内周部及び外周部の少なくとも一方に磁性部材11を付してもよい。また、回転子2から遠い方の励磁コイル6の表面の内のスロット5の奥部に対向する部位(回転子2から遠い方の部位)に磁性部材11を付してもよい。また、励磁コイル6の表面全体に磁性部材11を付してもよい。
[SPMモータ]
図20に、表面磁石型同期モータ(SPMモータ)であるモータ1bを示す。なお、励磁コイル6を分布巻している例を示しているが、集中巻であってもよい。モータ1bでは、永久磁石21が回転子2bの表面に配置されている。
この場合、図19の分布巻きの例と同様に、磁性部材11を設ければよい。なお、集中巻の場合には、図1〜図6に示したように磁性部材11を配置すればよい。
[界磁巻線型同期モータ]
図21に、界磁巻線型同期モータであるモータ1cを示す。固定子3aの励磁コイル6は、分布巻の例であり、図19、図20と同様に、磁性部材11が付されている。なお、励磁コイル6が、集中巻であってもよい。
このモータ1cでは、回転子2cに永久磁石が設けられず、界磁コイル8が設けられている。ここでは、回転子2cに設けられて電磁石になるコイル(回転子側のコイル)を界磁コイルと呼んでいる。界磁コイル8は、回転子2cのスロット歯24に集中巻されて、スロット25に収容されている。1つのスロット25には、異なる相の界磁コイル8,8が円周方向に並ぶように配置されている。
本発明は、界磁コイル8の表面の内の少なくとも固定子3aに対向する部位に、磁性部材11fが付されていることに特徴がある。界磁コイル8には、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材11fが付されていることが好ましい。界磁コイル8には、表面全体に磁性部材11fが付されていることがより好ましい。同一のスロット25に収容されている異なる相の2つの界磁コイルには、固定子に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性部材が付されていることが好ましい。
同図には、界磁コイル8の表面全体に磁性部材11fが付されている例を示している。磁性部材11fは、磁性部材11と同様の材質のものであり、例えばシート状の磁性コンポジット材であって、界磁コイル8に接着剤又は両面テープ等で貼り付けて装着されている。
界磁コイル8に磁性部材11fを付すことで、固定子3aからの漏れ磁束をシールドすることができ、界磁コイル8のコイル渦電流損を低減することができる。
[誘導モータ]
図22に、誘導モータであるモータ1dを示す。固定子3aの励磁コイル6は、分布巻の例であり、図19、図20と同様に、磁性部材11が付されている。なお、励磁コイル6が、集中巻であってもよい。同図に示す回転子2dは、一例であって、公知の誘導モータの回転子が用いられる。回転子2dは、例えば、かご(2次導体)41を備えている。
誘導モータであっても、励磁コイル6に磁性部材11を付すことで、コイル渦電流損を低減することができる。
[ボビンを用いた集中巻の励磁コイル]
図23に示すように、磁性部材であるボビン54に巻いた励磁コイル6の外周部に、磁性部材である磁性シート63を貼り付けて、励磁コイル6の表面全体に磁性部材11gを付してもよい。このように構成した励磁コイルユニット65を、固定子3となる分割コア31のスロット歯4に嵌め込むことで、スロット歯4に励磁コイル6を集中巻することができる。
同図(a)に示すように、ボビン54は、磁性部材であり、筒部56の両端にフランジ57,57が設けられた形状のものである。同図(a)に示すように、一例として、ボビン54は、液状のバインダ51と磁性紛52とを混合して磁性コンポジット材の原料液53とし、これを成形することで磁性コンポジット材によって形成されている。バインダは、例えば、絶縁性の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である。
同図(b)に示すように、励磁コイル6は、ボビン54に銅線61が巻かれて形成される。励磁コイル6は、ボビン54に巻かれることで筒部56によって励磁コイル6の内周部に磁性部材(磁性コンポジット材)が付されると共にフランジ57、57によって励磁コイル6の両側部に磁性部材(磁性コンポジット材)が付されている。
同図(c)に示すように、磁性シート63は、絶縁性を有する柔軟なシート状の磁性部材であり、励磁コイル6の外周部を覆うように付される。これにより、同図(d)に示すように、励磁コイル6は、ボビン54及び磁性シート63からなる磁性部材11gが表面全体に付されたものになる。磁性シート63は、例えば接着剤又は両面テープ等で励磁コイル6に貼り付けられる。
同図(d)、同図(e)に示すように、ボビン54の筒状の穴が、励磁コイル6のコアになる分割コア31のスロット歯4に嵌められる。これにより、集中巻の励磁コイル6がスロット歯4に装着される。ボビン54とスロット歯4とは接着剤等で固定される。このように分割コア31と励磁コイルユニット65とを一体化したものを、複数個円周状に配置して固定することで、固定子3が構成される。
励磁コイルユニット65を用いることで、励磁コイル6の表面全体に磁性部材を簡便に付すことができると共に、スロット歯4に簡便に集中巻の励磁コイル6を装着することができる。なお、分割コア31について説明したが、一体型のコアで構成される固定子3に励磁コイルユニット56を用いてもよい。
1・1a・1b・1c・1dはモータ、2・2a・2b・2c・2dは回転子、3・3aは固定子、4はスロット歯、5はスロット、6は励磁コイル、8は界磁コイル、11・11a・11b・11c・11d・11e・11f・11gは磁性部材、21は永久磁石、24はスロット歯、25はスロット、31は分割コア、41はかご、51はバインダ、52は磁性紛、53は磁性コンポジット材の原料液、54はボビン、56は筒部、57はフランジ、61は銅線、63は磁性シート、65は励磁コイルユニット、91は磁性コンポジット材、a1は回転子の半径方向の厚さ、a2は励磁コイルの巻幅、a3は回転子の中心から回転子の外周までの長さ、a4は回転子の中心から固定子の外周までの長さ、dは磁性層(磁性部材)の厚さ、lは磁性層(磁性部材)の幅、U・V・Wは三相交流の相である。

Claims (8)

  1. 回転子及び固定子を備え、前記回転子に対して回転磁界を印加するための複数の励磁コイルが前記固定子に設けられているモータであって、
    前記励磁コイルには、表面の内の少なくとも前記回転子に対向する部位に、磁性部材が付されていることを特徴とするモータ。
  2. 前記励磁コイルには、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
  3. 前記励磁コイルには、表面全体に磁性部材が付されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ。
  4. 前記固定子は、複数の前記励磁コイルのコアになる複数のスロット歯と、前記スロット歯間に位置して前記励磁コイルを収容する複数のスロットとを有し、
    同一の前記スロットに収容されている異なる相の2つの前記励磁コイルには、前記回転子に対向する部位同士を架け渡す形状の磁性部材が付されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ。
  5. 前記固定子は、磁性部材であって筒部の両端にフランジが設けられた形状のボビンと、前記ボビンに巻かれることで前記筒部によって前記励磁コイルの内周部に磁性部材が付されると共に前記フランジによって前記励磁コイルの両側部に磁性部材が付された前記励磁コイルと、磁性部材であって前記励磁コイルの外周部を覆うように付された磁性シートと、前記ボビンの筒状の穴が嵌められて前記励磁コイルのコアになるスロット歯とを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のモータ。
  6. 回転子及び固定子を備え、前記回転子が界磁コイルを備えるモータであって、
    前記界磁コイルには、表面の内の少なくとも前記固定子に対向する部位に磁性部材が付されていることを特徴とするモータ。
  7. 前記界磁コイルには、さらに表面の内の外周部及び内周部の少なくとも一方に、磁性部材が付されていることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
  8. 前記界磁コイルには、表面全体に磁性部材が付されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のモータ。
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