JP2020035718A - 導電性ペースト、導電性ペーストの製造方法、印刷回路板、および印刷回路板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気との接触頻度が高い環境でのペースト粘度の上昇を抑制することができ、優れた印刷性、抵抗を実現することができる導電性ペーストおよび、これを印刷することにより得られる印刷回路板とその製造方法を提供する。【解決手段】導電粉である銅粉1g当たりの表面積値をC[m2/g] 、全フィラー中の銅粉の重量分率をx[−]、ポリエステル樹脂の酸価の値をD[μmol/g]、ペーストの全固形分中のフィラーの重量分率をF[−]としたときに、下記の式(1)及び(2)の関係を満足するとき、ペーストの経時的な粘度上昇を抑制しつつ、良好な抵抗と印刷性を実現できる導電性ペーストが得られることを見出した。D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)C・x≦4.0 (2)【選択図】なし
Description
本発明は空気との接触頻度が高い環境でのペースト粘度の上昇を抑制することができ、優れた印刷性と低抵抗を実現することができる導電性ペーストとその製造方法、および導電性ペーストを印刷することにより得られる印刷回路板とその製造方法に関するものである。
従来、導電回路の形成に用いられてきた、絶縁基板に張り合わせた銅箔をエッチングしてパターニングするサブトラクティブ法は、工程が長く複雑で、多量の廃棄物を生じる。そこで、サブトラクティブ法に代わって、導電回路の形成に導電粒子を含む導電性ペーストを用いる印刷法や塗布法が注目されている。
印刷法にはグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等様々な種類がある。なかでも、スクリーン印刷法は厚膜回路の印刷に適しており、他の印刷法が数μm程度の厚みの導電回路しか形成できないのに対して、版を選択することで数μmから数十μmの厚膜回路を自在に形成することができる。この特長から、スクリーン印刷は低抵抗の配線が必要なパターンの印刷に用いられる。
近年のスクリーン印刷は、配線の微細化に伴い使用する印刷版のメッシュも細かくなっているため、粒径の小さい導電性粒子が選択されている。また、焼成型のペーストは、金属粒子の粒径を小さくすることで金属微粒子間の焼成温度を大幅に下げられることが知られている。しかし、粒径の小さい粒子は一般的に比表面積が大きく、極めて凝集しやすい。そのため、バインダー樹脂や分散剤は金属粒子に吸着することによって微粒子の凝集を防止し、分散体を安定化させる役割を果たさなくてはならない。粒子が微細化する程、ペーストの安定化のためにバインダー樹脂または分散剤を多量に添加する必要があり、導電性の向上を阻害する。特許文献1ではスルフォン酸塩を含有したバインダー樹脂を用いることで、少量のバインダー樹脂で導電性微粒子の分散が可能となり、導電性の高いペーストを得られている。
導電粒子として用いられる金属は導電性や経時安定性から銀が汎用的に用いられている。しかし、銀は高価であるだけでなく、資源量が少ないことや、高温高湿度下での回路間に発生するイオンマイグレーションの問題がある。銀に代わって導電粒子に用いられる金属としては銅が挙げられる。銅は銀より安価でイオンマイグレーションを生じにくく、バルクの比抵抗も銀と同等の値を示す。
しかし、銅は表面活性が高く容易に酸化層を形成するため、銅粉を用いた導電性ペーストでは銅表面の酸化層の影響により、銀と同等の抵抗値を得ることが難しかった。このような課題に対して、特許文献2では、製造後不活性雰囲気下で保管した表面活性の高い銅粉を用いることで、高い導電性を示す銅ペーストが得られることが開示されている。しかし、これらの表面活性の高い銅粉を用いたペーストをスクリーン印刷すると、ローリングやコーティングによりペーストと空気の接触頻度が増加することで、静置時より顕著にペースト粘度が増大し、印刷不良を引き起こすという問題があった。このような問題は銀のみを用いた安定なペーストでは生じなかったものである。
一方、特許文献3では、銀を被覆した銅粉を含有する銀ペーストにおいて、保存中にペーストのゲル化や粘度上昇が生じるという課題に対して、バインダー樹脂中の酸価を低くすることでペースト粘度の上昇を抑制できることが開示されている。しかし、バインダー樹脂の酸価が低いだけでは表面活性の高い銅粉を用いたペーストの印刷時のペースト粘度の上昇を抑制するには不十分であった。
特許文献4では銅粒子表面を有機物で保護することで、銅ペーストのペースト粘度の経時変化を抑制する技術が開示されている。しかし、特許文献4には、印刷中の粘度上昇に関しては何ら開示されておらず、また、表面の有機保護層は粒子の焼結を阻害するため十分に低い抵抗を得られない。
銅ペーストを大気中でスクリーン印刷する場合、ローリングやコーティングによりペーストと空気の接触頻度が増加することで、静置時よりペースト粘度が顕著に増大し、印刷不良を引き起こすという課題があった。特許文献3では、バインダー酸価を低減することで、保存安定性を向上できることも開示されているが、酸価の低減だけでは粘度上昇の抑制は十分ではなかった。また、十分に酸価の低いポリエステル樹脂は製造設備の面から安定して製造することが難しかった。
そこで、本発明は、表面活性の高い銅粉を用いてもスクリーン印刷中のペーストの粘度上昇を抑制でき、かつ抵抗、印刷性に優れた導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明は、導電粉である銅粉と、ポリエステル樹脂と、溶剤とを含有する導電性ペーストであって、該銅粉1g当たりの表面積値をC[m2/g] 、全フィラー中の銅粉の重量分率をx[−]、ポリエステル樹脂の酸価の値をD[μmol/g]、ペーストの全固形分中のフィラーの重量分率をF[−]としたときに、下記の式(1)及び(2)の関係を満足する。
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2)
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2)
本発明において、導電粉とポリエステル樹脂の割合は、導電粉100重量部に対しポリエステル樹脂の比率が1〜5重量部の範囲であることが好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価の値Dは、25μmol/g以下であることが好ましい。
本発明は、スルフォン酸塩基を有するポリエステル樹脂を用いる。
本発明は、銅粉の他に銀コート銅粉を含有することもできる。銀コート銅粉を含有することで、導電層の耐酸化性を向上させることができる。
本発明は、銅粉と、ポリエステル樹脂と、溶剤とを下記の式(1)及び(2)の関係を満たすように混合する導電性ペーストの製造方法である。
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2)
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2)
本発明は、絶縁基板上に前述の導電性ペーストを用いて導電層が形成された印刷回路板である。
本発明は、前述の導電性ペーストを用いて絶縁基板上に銅粉含有塗膜を形成し、該銅粉含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電層とする印刷回路板の製造方法である。
本発明の導電性ペーストは、大気中でのスクリーン印刷時のように、ペーストと空気の接触頻度が急激に増加する環境においても、ペースト粘度の上昇を抑制し、優れた印刷性と、印刷回路の低抵抗化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る導電性ペーストは、銅粉とポリエステル樹脂と溶剤とを含有し、銅粉とポリエステル樹脂とを溶剤中に分散させたものである。導電性ペーストは、必要に応じ、硬化剤等を含有することができる。
本発明に係る導電性ペーストは、導電粉として銅粉を含有する。本発明において銅粉とは、銅を主成分とする金属粒子であり、粒子表面に銅が露出したものである。該銅粉の表面は一部が他の物質で被覆されていても良く、例えば銅粒子が銀で被覆されている場合には、本発明では、粒子表面の一部に銀が被覆され銅が露出しているものは「銅粉」、粒子表面が全て銀で被覆されているものを「銀コート銅粉」として扱う。また、銅粉は耐酸化性向上のために、導電性を阻害しない範囲でその表面に脂肪酸による有機被膜を有してもよい。ただし、脂肪族アミン、ベンゾトリアゾールによる表面処理は、ペーストの増粘に悪影響を与えるため避けることが望ましい。銅粉としては、湿式銅粉、電解銅粉、アトマイズ銅粉、気相還元銅粉等を用いることができる。銅粉の形状は、球状、略球状、非球状(フレーク状、樹枝状)等のいずれでも使用できる。
フレーク状銅粉はアトマイズ法、電解法、化学還元法から得られる銅粉を潤滑剤の存在下、ボールミルや振動ミルを用いて、メディアの機械的エネルギーにより扁平化されるフレーク加工処理を経て得られるものである。フレーク加工処理は湿式、乾式どちらでも良い。樹枝状銅粉としては樹枝状に成長した電解銅粉を粉砕、分級により粒径を一定の範囲に揃えたものが挙げられる。
本発明で用いる球状あるいは略球状の銅粉の平均粒径としては0.10〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.15〜10μmである。球状あるいは略球状の銅粉の平均粒径が0.10μm未満では焼結による内部応力が大きくなり、塗膜が脆くなりやすく好ましくない。また、球状あるいは略球状の銅粉の平均粒径が20μmを超えるとスクリーン印刷版への粒子の詰まりが生じる場合がある。
本発明で用いるフレーク銅粉や樹枝状銅粉などの非球状銅粉は平均粒径が0.50〜20μmであることが好ましく、1.0〜10μmがより好ましく、更に3.0〜6.0μmがより好ましい。非球状銅粉の平均粒径が20μmより大きい場合にはスクリーン印刷版への粒子の詰まりが生じる場合がある。また、非球状銅粉の平均粒径が0.50μmより小さい場合には導電層の脆さが顕著になる場合がある。
本発明で用いる銅粉は、異なる粒径の銅粉を混合して使用することが望ましい。スクリーン印刷に特有な流動特性付与の観点から0.10〜0.50μmの微細粉と1.0〜10μmのミクロンサイズ粉との混合が望ましい。
本発明で用いる各銅粉のBET比表面積としては0.1〜7.5m2/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜5.0m2/gである。銅粉のBET比表面積が0.1m2/g未満ではペーストの粘性が高くなりパターンの形成が困難になる場合がある。また、銅粉のBET比表面積が7.5m2/gを超えるとペーストの流動性が損なわれ印刷時のローリング、スクリーン印刷版への充填に不良が生じる場合がある。
本発明で用いる銅粉1g当たりの表面積値Cの値は好ましくは0.1〜7.5m2/g、より好ましくは0.2〜5.0m2/gである。Cの値が0.1m2/gより低くなると、ペーストの粘性が高くなりパターンの形成が困難になる場合がある。また、Cの値が7.5m2/gより高くなるとペーストの流動性が損なわれ印刷時のローリング、スクリーン印刷版への充填に不良が生じる場合がある。
本発明で用いる1種類又は2種類以上の銅粉1g当たりの表面積値Cの値は、混合するn種(nは1以上の整数)の銅粉それぞれのBET比表面積から、下記の式(3)によって計算して求められる。
C=Σ(SSAi・(1−ai)・yi) (3)
(i=1〜n、SSAi[m2/g]は銅粉iのBET比表面積、ai[−]は銅粉iの表面積に占める銀の表面積の割合、yi[−]は全銅粉中の銅粉iの重量分率)
C=Σ(SSAi・(1−ai)・yi) (3)
(i=1〜n、SSAi[m2/g]は銅粉iのBET比表面積、ai[−]は銅粉iの表面積に占める銀の表面積の割合、yi[−]は全銅粉中の銅粉iの重量分率)
本発明に係る導電性ペーストは、銅粉の表面が銀で完全に被覆された銀コート銅粉をさらに含有してもよい。銀コート銅粉は銅粉100重量部に対して、130重量部以下であることが好ましく、より好ましくは115重量部以下、さらに好ましくは100重量部以下である。銀コート銅粉の量が130重量部を超えると、導電粉中の銅粉の表面積が減少し、印刷中の粘度上昇を抑制することが難しくなる場合がある。また、銀コート銅粉を多く使用することはコストの面でも好ましくない。
銀コート銅粉の形状は、球状、略球状、フレーク状、樹枝状等のいずれでも使用できる。銀の被覆量は銅100重量部に対して40重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、20重量部以下がさらに好ましい。銀の被覆量が40重量部を超えると、コストが上昇し望ましくない。
本発明で用いられる銀コート銅粉の粒径、BET比表面積の範囲は、その形状により、前述の銅粉の粒径、BET比表面積の範囲と同じ範囲のものを用いることができる。
本発明に係る導電性ペーストは、銅粉及び銀コート銅粉以外の導電粉や無機粉末をさらに含有してもよい。導電粉としては金、銀、パラジウム等の金属粉、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等を含有することができる。無機粉末としては、チキソ性付与のためにシリカ等を添加することができる。無機粉末の添加量は導電性の観点から、導電粉100重量部に対して5重量部以下の添加が望ましい。
本発明に係る導電性ペーストのフィラーとは、上記の銅粉、銀コート銅粉及びそれ以外の導電粉、無機粉末のことである。
本発明に係る導電性ペーストは全フィラー中の銅粉の重量分率x[−]が0.30以上であることが好ましく、より好ましくは0.40以上である。全フィラー中の銅粉の重量分率xが0.30より低いと銅以外の導電性粉の添加量が増加し、コストが上昇する場合がある。
各種フィラーの混合比は、流動性の観点から、全フィラーに対して0.10〜0.50μmの微細粉が10〜90%含有されていることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、さらに好ましくは30〜70%である。全フィラーに対して微細粉が10%より少ない場合、粘性が高く、配線の形成が困難になる場合があり、90%を超えるとローリングやコーティングにおいて不良が発生する場合がある。なお、平均粒径の測定は、透過電子顕微鏡、電界放射型透過電子顕微鏡、電界放射型走査電子顕微鏡のいずれかにより粒子100個の粒子径を測定して平均値を求める方法による。
本発明の導電性ペースト中に用いられるバインダー樹脂はポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂としては、主としてジカルボン酸とアルキレングリコールとを重縮合して得られたものを挙げることができる。
前記ジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ドデシルコハク酸、オクチルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、炭素数12〜28の2塩基酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールA、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールS、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸、水素添加ナフタレンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、あるいは脂環族カルボン酸無水物等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールとしては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、トリシクロデカンジメタノール等を挙げることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲でトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリンなどの多価ポリオールが併用されたものでもよい。
得られる導電性ペーストに流動性を付与でき、また基板との密着性を高められるという点で、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸と炭素数6以上の脂肪族ジカルボン酸とが組み合わされたものが好ましく、アルキレングリコールとしては炭素数2〜10の長鎖脂肪族ジオールが好ましい。これらの中でも、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等が特に好ましい。
飽和ポリエステル樹脂の数平均分子量としては、5,000〜100,000が好ましく、より好ましくは8,000〜50,000である。前記分子量が5,000より小さいと、得られる導電性ペーストの粘度が低下しスクリーン印刷性が低下するという問題が生じることがある。また、導電層の強度が低下する恐れがある。一方、100,000より大きいと、得られる導電性ペーストの粘度が上昇し、流動性を付与出来ないために、スクリーン印刷性を低下させたり、また導電性粒子の配向性を悪化させ良好な導電膜を形成出来ないという問題が生じることがある。上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で得られた数値である。
本発明で用いるポリエステル樹脂の酸価は、ポリエステル樹脂の加水分解で生じたカルボン酸由来のものであり、ポリエステル樹脂1gあたりに含まれるカルボン酸の量を表している。ポリエステル樹脂の酸価の値Dは25μmol/g以下が好ましく、より好ましくは15μmol/g以下である。ポリエステル樹脂の酸価が25μmol/gより高い場合、印刷中の粘度の上昇を抑制するためにバインダー量を減少させる、または、銅粉の表面積値Cを増加させる必要があり、印刷に適したペーストの流動性、または十分な塗膜強度が得られない場合がある。
酸価25μmol/g以下にするための重合法としては、ジカルボン酸成分とジオール成分をOH/COOHモル比2以上の条件でエステル交換触媒の存在下、エステル交換反応後、重縮合を行う通常の手法で得られる。エステル交換触媒としては、チタン、アンチモン、亜鉛、コバルト等の金属化合物が用いられる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度としては、好ましくは−30〜20℃、より好ましくは−20〜10℃である。ガラス転移点温度が−30℃未満では良好な接着性が得られず、また耐湿性などの環境特性が悪化する。ガラス転移点温度が20℃を越えると加熱処理後の良好な機械特性が得られない。なお、上記ガラス転移温度はJIS K 7121に基づいた方法でDTA(示差熱分析)により測定した。
銅粉は導電性ペースト中で、良好な分散状態を保持することが、良好な導電性を発現するために必要である。少量の使用でバインダー樹脂として必要な機能を出させるため、本発明において用いるポリエステル樹脂としては、金属への吸着能力のある官能基を含有するポリマーを含有することが望ましく、特にスルフォン酸塩基を含有することが好ましい。スルフォン酸塩基の量としてはポリマー中の硫黄含有率で0.03〜3.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量%、さらに好ましくは0.15〜0.45重量%である。スルフォン酸塩基の量が0.03重量%未満では金属微粒子の分散に対するスルフォン酸塩基の効果が見られず、3.0重量%を超えると吸湿性が強くなりすぎたり、分散体の粘度が高くなりすぎたりする傾向がある。
前記ポリエステル樹脂は市販品を使用することもできる。市販品の具体例としては、バイロン(登録商標)−103、200、237、240、280、290、300、500、885、GK640(以上、東洋紡(株))等が挙げられる。
本発明の導電性ペースト中に用いられる溶剤は、バインダー樹脂を溶解するものから選ばれる。有機化合物であっても水であってもよい。溶剤は、導電性ペースト中で銅粉を分散させる役割に加えて、分散体の粘度を調整する役割がある。有機溶剤の例として、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、アミド等が挙げられる。
本発明に係る導電性ペーストの成分の割合は、導電粉100重量部に対しバインダー樹脂1.0〜5.0重量部の範囲にあることが好ましい。導電性ペースト中のバインダー樹脂が導電粉100重量部に対し1.0重量部未満の場合、絶縁基板との接着性の低下、導電層の脆化が顕著になり、好ましくない。一方、バインダー樹脂量が5.0重量部を超えると銅粉間の接触機会の減少により、導電性の低下が顕著となる。より好ましいバインダー樹脂量は導電粉100重量部に対し1.5〜4.5重量部であり、さらにより好ましくは2.0〜4.0重量部の範囲にある。
また、本発明に係る導電性ペーストの全固形分中のフィラーの重量分率F[−]の値は、0.95〜0.99の範囲にあることが好ましい。Fの値が0.99を超える場合、絶縁基板との接着性の低下、導電層の脆化が顕著になり、好ましくない。一方、Fの値が0.95より低い場合、銅粉間の接触機会の減少により、導電性の低下が顕著となる。より好ましいFの値は0.96〜0.98の範囲にある。
導電性ペースト中の溶剤量は使用するスクリーン印刷版に応じて最適な量に調整する。例えば、325メッシュ、線径28μm、乳剤厚12μmの版でスクリーン印刷を行う場合、ペースト粘度はずり速度2.0s−1において150〜800Pa・sが好ましく、より好ましくは200〜700Pa・sである。ペースト粘度が800Pa・sを超えると、ペーストがローリングしない、版離れが遅れる等の不具合が発生する場合がある。ペースト粘度が150Pa・sより低くなるとペーストにダレが生じて、配線がショートする場合がある。
本発明に係る導電性ペーストには、必要に応じ、硬化剤を配合しても良い。本発明に使用できる硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。硬化剤の使用量はポリエステル樹脂の1〜20重量%の範囲が好ましい。
本発明に係る導電性ペーストは、分散剤を配合してもかまわない。分散剤としてはステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、燐酸エステル、スルフォン酸エステル等が挙げられる。分散剤の使用量はポリエステル樹脂の0.1〜10重量%の範囲が好ましい。
導電性ペーストを得る方法としては、粉末を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、銅粉とポリエステル樹脂溶液、必要により追加の溶媒からなる混合物を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法等で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。
空気中での印刷で導電性ペーストの粘度が上昇するメカニズムを以下のように推測する。製造後、無酸素状態で保管された銅ペーストは、銅粒子表面にポリエステル樹脂が吸着することで分散状態を保っている。一方、溶液中には銅粒子表面に吸着されなかったポリエステル樹脂(以下、フリーのポリエステル樹脂)と一価の銅イオンが、脂肪酸金属塩を形成し存在している。空気中でこのペーストを使用すると、脂肪酸金属塩中の銅が酸化され二価となり、これを架橋点として別のポリエステル樹脂と金属架橋することで導電性ペーストの粘度が上昇すると考えられる。
導電性ペーストの粘度上昇を抑制するためには、溶液中のフリーのポリエステル樹脂を削減すること、銅イオンと金属塩を形成するポリエステル樹脂中のカルボン酸を削減することが効果的である。具体的には、1)フィラーに対するポリエステル樹脂の量を削減する。2)ポリエステル樹脂中の酸価を削減する。3)銅粉の表面積を増加させることで、銅粉の単位質量当たりのポリエステル樹脂吸着量を増加させ、フリーのポリエステル樹脂量を低下させる。の3点が挙げられ、これらの関係が式(1)で表される適正な範囲であるとき、印刷中の導電性ペーストの経時的な粘度上昇を抑制することが可能となる。式(1)の左辺の分母はペースト中に含まれる全フィラー1gあたりの銅の表面積を表しており、分子はペーストの固形分1gあたりに含まれるカルボン酸の物質量を表している。つまり、式(1)は、銅の単位表面積に対するカルボン酸の量を表しており、この比率を式(1)の範囲内に収めることで、ペーストの粘度上昇を抑制することができる。式(1)の左辺の値は0.25以下であることが好ましく、より好ましくは0.20以下である。式(1)の左辺の値が0.25より大きくなると、大気中での印刷中にペースト粘度が上昇し、何らかの印刷不良を引き起こす場合がある。
また、溶液中の銅粉の表面積値を増加させることで、ペースト粘度の上昇を抑制することは可能であるが、優れた印刷性を実現するためには銅粉の表面積値を制限する必要がある。フィラー1gあたりの該銅粉の表面積値C・xは4.0m2/g以下が好ましく、より好ましくは1.0〜3.5m2/g、更に好ましくは1.5〜3.0m2/gである。C・xの値が4.0より大きくなると印刷用ペーストに必要な流動性が得られず、印刷不良を引き起こす場合がある。
絶縁基板上に導電性ペーストを用いて導電層を形成する印刷回路板について述べる。
まず、本発明における絶縁基板について述べる。
本発明で用いる絶縁基板としては、過熱水蒸気処理の温度に耐えるものを用いる。基材としては、例えば、ポリイミド系樹脂シートあるいはフィルム、セラミックス、ガラスあるいはガラスエポキシ積層板等が挙げられ、ポリイミド系樹脂シートあるいはフィルムが望ましい。
ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体樹脂、溶剤可溶ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリイミド系樹脂は通常の方法で重合することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶液中、低温で反応させポリイミド前駆体溶液を得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶液中で反応させ溶剤可溶性のポリイミド溶液を得る方法、原料としてイソシアネートを用いる方法、原料として酸クロリドを用いる方法などがある。
絶縁基板としてのポリイミドフィルムやシートは、ポリイミド前駆体樹脂の場合には前駆体樹脂溶液を湿式製膜後、より高温でのイミド化反応を行う一般的な方法で得られる。溶剤可溶ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂では溶液中で既にイミド化しているため、湿式製膜でシート化あるいはフィルム化ができる。
絶縁基板は導電層との接着性を向上させるために、基材にコロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等の表面処理を行ったものでもよい。
本発明では絶縁基板が基材上に樹脂硬化層からなるアンカーコート層を備え、該アンカーコート層上に導電性ペーストを用いて銅粉含有塗膜を形成することが望ましい。アンカーコート層とは、接着性を向上させるために絶縁基板と導電層との間に設けられる樹脂の層である。
アンカーコート層に用いられる樹脂としては、絶縁基板の基材との接着性が優れたものから選ばれ、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、芳香族ポリエ−テル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が挙げられる。樹脂中にエステル結合、イミド結合、アミド結合等を有するものが、アンカーコート層の耐熱性、絶縁基板との接着性から望ましい。アンカーコート層には硬化剤を含有することもアンカーコート層の耐熱性、絶縁基板との接着性から望ましい。硬化剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。硬化剤の使用量はアンカーコート樹脂重量の1〜50重量%の範囲が好ましい。
本発明で必要により設けられる樹脂硬化層(アンカーコート層)には、複素環中に窒素を含む複素環化合物および/またはヒドラジド化合物を含有することが好ましい。複素環中に窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物は、銅箔や銅粉の防錆剤として用いられることがあるが、本発明においては、これらの化合物は加熱処理により、銅粉含有塗膜と強固な接着性を発揮する。窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物は銅に対する親和性が高く銅表面に強く吸着する。アンカーコート層中に存在する、複素環中に窒素を含む複素環化合物やヒドラジド化合物を銅粉表面に吸着させるにはエネルギーを与えることが必要で、加熱処理が有効であり、過熱水蒸気処理が最も熱効率が高い。
複素環中に窒素を含む複素環化合物としては、例えば、ピリジン、オキサゾール、イソキノリン、インドール、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ビピリジル、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ピリミジン、プリン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾグアナミン等、あるいはこれらの構造異性体も挙げられる。これらはアルキル基、フェニル基、フェノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、チオール基、芳香環などの置換基を有してもよい。また、これらは芳香環や複素環と縮合してもよい。これらの中で、イミダゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が望ましい。
ヒドラジド化合物はヒドラジンあるいはその誘導体とカルボン酸が縮合した構造を有する化合物であり、例えば、サリチル酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジドとドデカンジカルボン酸の縮合物等が挙げられる。
本発明で必要により設けられる樹脂硬化層(アンカーコート層)には、アンカーコート用樹脂100重量部に対し複素環中に窒素を含む複素環化合物および/またはヒドラジド化合物を1〜30重量部の範囲で含有することが望ましい。アンカーコート用樹脂100重量部に対し、複素環中に窒素を含む複素環化合物および/またはヒドラジド化合物が、1重量部未満の場合、銅粉含有層との接着性の向上が見られず、30重量部を超える場合はアンカーコート層の物性の低下が見られることがある。
絶縁基板に樹脂硬化層(アンカーコート層)を設けるには、樹脂をフィルムやシートに塗布あるいは印刷する場合に用いられる一般的な方法を用いることができる。例えばスクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、ロールコート法、ダイコート法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法等が挙げられる。印刷あるいは塗布により形成された塗膜から加熱あるいは減圧等により溶剤を蒸発させることにより、アンカーコート層を形成することができる。アンカーコート層は絶縁基板上に全面的に設けられたものでも、部分的に設けられたものでもよく、導電層を形成する部分に設けられていることが望ましい。
本発明で必要により設けられる、樹脂硬化層(アンカーコート層)は溶剤を蒸発させた乾燥後の厚みが5μm以下、特に2μm以下が望ましい。樹脂硬化層(アンカーコート層)の厚みが5μmを超えると、加熱処理で起こる銅粉の焼結歪等により、接着性が低下することがあり、厚みが0.01μm以下では加熱処理によるバインダー樹脂の分解などにより接着性の低下が大きくなる。
次いで、本発明において導電性ペーストを用いて、絶縁基板上に、必要により樹脂硬化層(アンカーコート層)を介して導電層を形成する方法を説明する。
導電性ペーストを用いて、絶縁基板上に、必要により樹脂硬化層(アンカーコート層)を介して塗膜を形成するには、スクリーン印刷法を用いることができる。印刷により形成された塗膜から加熱あるいは減圧等により溶剤を蒸発させることにより、銅粉含有塗膜を形成することができる。ここで所望の回路パターンを印刷することによって、導電回路となる配線を形成することができる。一般的に、銅ペーストの場合、この段階での銅粉含有塗膜は1Ω・cm以上の比抵抗で、導電回路として必要な導電性は得られていない。
銅粉含有塗膜の厚みは、主に求める導電性から決められるが、導電性ペーストに含まれていた溶剤を蒸発させた乾燥後の厚みが0.05〜100μmであることが好ましい。銅粉含有塗膜の厚みが0.05μm未満であると、加熱処理を施しても十分な導電性が得られない可能性があり、100μmを超えると塗膜中に溶剤が残留する可能性がある。残留した溶剤は加熱処理中に突沸する可能性があり、その場合、塗膜に欠陥ができることがある。銅粉含有塗膜の厚みは、より好ましくは0.20〜50μmである。
本発明では銅粉含有塗膜を過熱水蒸気処理により導電化して導電層とすることが望ましい。過熱水蒸気処理は加熱効率、安全性、経済性さらに得られる導電性等に優れている。過熱水蒸気処理とは熱処理する熱源として、空気よりも熱容量、比熱が大きい過熱水蒸気を用いるもので、過熱水蒸気とは飽和水蒸気を更に加熱して温度を上げた水蒸気である。
過熱水蒸気処理条件は多くの要因により変動するが、一般的には、過熱水蒸気処理の温度は200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上が望ましい。過熱水蒸気処理時間は10秒〜10分、好ましくは20秒〜5分である。加熱方式としての過熱水蒸気処理は加熱効率がよいので処理時間を短くできるため、高温での処理による接着性の低下を抑えることができ、特に好ましい。
上記の加熱処理により、銅粉含有塗膜は、導電回路として必要な導電性を持つ導電層となるように導電化される。導電層の厚みは0.05〜100μmであることが好ましい。導電層の体積固有抵抗は、好ましくは20μΩ・cm以下、より好ましくは10μΩ・cm以下である。
本発明に係る導電性ペーストを用いれば、絶縁基板上にスクリーン印刷で銅粉含有塗膜を形成する際にペーストの粘度が過度に上昇することなく連続して印刷が実施でき、該銅粉含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電層とすれば、導電性の高い印刷回路板を製造することができる。
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定や使用材料は以下の方法によって測定、あるいは製造したものである。
<導電粉>
・銅粉1:水中にて、硫酸銅(II)水溶液を水酸化ナトリウムによりpH12.5に調整し無水ブドウ糖で亜酸化銅に還元後、さらに水和ヒドラジンにより銅粉まで還元した。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.18μm、BET比表面積値4.4m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉2:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を減少させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.50μm、BET比表面積値1.1m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉3:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を増加させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.28μm、BET比表面積値3.0m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉4:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を増加させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.15μm、BET比表面積値6.6m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉5:福田金属箔粉工業社製電解銅粉「FCC−CP−XO」(非球状、平均粒径5.25μm、BET比表面積値0.56m2/g)
・銅粉6:水に硝酸銀と25%アンモニア水を加えて30分間撹拌して銀アンミン錯体溶液を得た。次に、銅粉1の製造方法において得られた乾燥前の銅スラリーを400rpmで撹拌しながら5分かけて銀アンミン錯体を滴下した。滴下終了後さらに30分間撹拌した後、濾過洗浄して得られたケーキを窒素気流化で乾燥して一部が銀で被覆された銅粉を得た。得られた銅粉に含まれる銀は、蛍光X線分析により3.0wt%であった。
・銀コート銅粉:アトマイズ銅粉に銀めっきを銀量で10重量%の割合で施した。平
均粒径5μmの球状粒子である。
各銅粉、銀コート銅粉の特性を表1に示す。
・銅粉1:水中にて、硫酸銅(II)水溶液を水酸化ナトリウムによりpH12.5に調整し無水ブドウ糖で亜酸化銅に還元後、さらに水和ヒドラジンにより銅粉まで還元した。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.18μm、BET比表面積値4.4m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉2:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を減少させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.50μm、BET比表面積値1.1m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉3:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を増加させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.28μm、BET比表面積値3.0m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉4:銅粉1製造方法において水素化ホウ素ナトリウムの添加量を増加させた銅粉。透過型電子顕微鏡により観察したところ、平均粒径0.15μm、BET比表面積値6.6m2/gの略球状の粒子であった。
・銅粉5:福田金属箔粉工業社製電解銅粉「FCC−CP−XO」(非球状、平均粒径5.25μm、BET比表面積値0.56m2/g)
・銅粉6:水に硝酸銀と25%アンモニア水を加えて30分間撹拌して銀アンミン錯体溶液を得た。次に、銅粉1の製造方法において得られた乾燥前の銅スラリーを400rpmで撹拌しながら5分かけて銀アンミン錯体を滴下した。滴下終了後さらに30分間撹拌した後、濾過洗浄して得られたケーキを窒素気流化で乾燥して一部が銀で被覆された銅粉を得た。得られた銅粉に含まれる銀は、蛍光X線分析により3.0wt%であった。
・銀コート銅粉:アトマイズ銅粉に銀めっきを銀量で10重量%の割合で施した。平
均粒径5μmの球状粒子である。
各銅粉、銀コート銅粉の特性を表1に示す。
<平均粒径>
日立製作所製走査型電子顕微鏡を用いて粒子の画像を撮影し、旭化成エンジニアリング社製画像解析ソフト「A像くん」を用いて粒子を100点測定し、面積円相当径を求めた。
日立製作所製走査型電子顕微鏡を用いて粒子の画像を撮影し、旭化成エンジニアリング社製画像解析ソフト「A像くん」を用いて粒子を100点測定し、面積円相当径を求めた。
<BET比表面積値[m2/g]>
カンタクロム株式会社製モノソーブMS−11を用いて測定した。
カンタクロム株式会社製モノソーブMS−11を用いて測定した。
<銀被覆率ai[-]>
専用の台に両面テープを貼り、両面テープ上に金属粉を落とした後、余分な粉をエアーで吹き飛ばした。そして、島津製作所社製X線光電子分光分析装置(XPS)ESCA3400−HSEを用いて、異なる5箇所を測定した。真空度は1×10−8torr以下、温度は−110℃以下まで冷却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15kV、X線源電流40mAで照射した。銅の2p3/2、銀の3d5/2の電子について測定し、測定されたピークの積分強度を感度因子で補正し、これらの強度比から銅粉の粒子表面に占める銀の表面積の割合aiを算出した。
専用の台に両面テープを貼り、両面テープ上に金属粉を落とした後、余分な粉をエアーで吹き飛ばした。そして、島津製作所社製X線光電子分光分析装置(XPS)ESCA3400−HSEを用いて、異なる5箇所を測定した。真空度は1×10−8torr以下、温度は−110℃以下まで冷却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15kV、X線源電流40mAで照射した。銅の2p3/2、銀の3d5/2の電子について測定し、測定されたピークの積分強度を感度因子で補正し、これらの強度比から銅粉の粒子表面に占める銀の表面積の割合aiを算出した。
<銅粉1g当たりの表面積値C[m2/g]>
C=Σ(SSAi・(1−ai)・yi) (3)
(i=1〜n、SSAi[m2/g]は銅粉iのBET比表面積、ai[−]は銅粉iの表面積に占める銀の表面積の割合、yi[−]は全銅粉中の銅粉iの重量分率)
C=Σ(SSAi・(1−ai)・yi) (3)
(i=1〜n、SSAi[m2/g]は銅粉iのBET比表面積、ai[−]は銅粉iの表面積に占める銀の表面積の割合、yi[−]は全銅粉中の銅粉iの重量分率)
<ポリエステル樹脂>
・ポリエステル1:温度計、撹拌機、リービッヒ冷却管を具備した反応容器にテレフタル酸ジメチル140部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル8.9部、1,3−プロピレングリコール122部、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート82部およびテトラブトキシチタネート0.1部を仕込み、150〜230℃で180分間加熱し、エステル交換を行った後、セバシン酸50.5部を追加しエステル化反応を200〜220℃で60分間行った。反応系を30分で270度まで昇温し、系を徐々に減圧し、10分後に0.3mmHgとした。この条件で120分間反応し、ポリエステル樹脂を得た。反応容器内を窒素により常圧に戻し、樹脂温度200℃まで冷却した後、取り出した。数平均分子量34000、硫黄濃度0.36重量%、酸価10μmol/g、ガラス転移温度7℃であった。
・ポリエステル2:ポリエステル樹脂1と同様に、ただし重合終了後に冷却することなく、取り出した。数平均分子量33000、硫黄濃度0.36重量%、酸価20μmol/g、ガラス転移温度10℃であった。
・ポリエステル3:ポリエステル1と同様に、ただし重縮合時間を更に60分間追加した。また、ポリエステル2と同様に、重合終了後に冷却することなく、取り出した。数平均分子量36000、硫黄濃度0.36重量%、酸価30μmol/g、ガラス転移温度8℃であった。
・ポリエステル4:東洋紡社製ポリエステル樹脂「RV−300」、酸価は20μmol/g、ガラス転移温度7℃であった。
各ポリエステル樹脂の特性を表2に示す。
・ポリエステル1:温度計、撹拌機、リービッヒ冷却管を具備した反応容器にテレフタル酸ジメチル140部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル8.9部、1,3−プロピレングリコール122部、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート82部およびテトラブトキシチタネート0.1部を仕込み、150〜230℃で180分間加熱し、エステル交換を行った後、セバシン酸50.5部を追加しエステル化反応を200〜220℃で60分間行った。反応系を30分で270度まで昇温し、系を徐々に減圧し、10分後に0.3mmHgとした。この条件で120分間反応し、ポリエステル樹脂を得た。反応容器内を窒素により常圧に戻し、樹脂温度200℃まで冷却した後、取り出した。数平均分子量34000、硫黄濃度0.36重量%、酸価10μmol/g、ガラス転移温度7℃であった。
・ポリエステル2:ポリエステル樹脂1と同様に、ただし重合終了後に冷却することなく、取り出した。数平均分子量33000、硫黄濃度0.36重量%、酸価20μmol/g、ガラス転移温度10℃であった。
・ポリエステル3:ポリエステル1と同様に、ただし重縮合時間を更に60分間追加した。また、ポリエステル2と同様に、重合終了後に冷却することなく、取り出した。数平均分子量36000、硫黄濃度0.36重量%、酸価30μmol/g、ガラス転移温度8℃であった。
・ポリエステル4:東洋紡社製ポリエステル樹脂「RV−300」、酸価は20μmol/g、ガラス転移温度7℃であった。
各ポリエステル樹脂の特性を表2に示す。
<酸価[μmol/g]>
ポリエステル樹脂0.2gを精秤し20mlのジメチルホルムアミドに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレイン溶液を用いた。
ポリエステル樹脂0.2gを精秤し20mlのジメチルホルムアミドに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレイン溶液を用いた。
<硫黄濃度>
硫黄濃度は堀場製作所社製紫外蛍光法硫黄分析計を用いて、燃焼紫外蛍光法により測定した。
硫黄濃度は堀場製作所社製紫外蛍光法硫黄分析計を用いて、燃焼紫外蛍光法により測定した。
<ポリエステル樹脂溶液>
ポリエステル樹脂と、ブチルカルビトールアセテート(BCA)とジメチルフタレート(DMP)とを4:1で混合した溶剤とを、所定の比率で容器に仕込み、プラネタリーミキサーで50℃で24時間混合し、ポリエステル樹脂溶液を得た。
ポリエステル樹脂と、ブチルカルビトールアセテート(BCA)とジメチルフタレート(DMP)とを4:1で混合した溶剤とを、所定の比率で容器に仕込み、プラネタリーミキサーで50℃で24時間混合し、ポリエステル樹脂溶液を得た。
<導電性ペーストの作成>
各種フィラーとポリエステル樹脂溶液とを含む組成物を遊星攪拌機で攪拌後、エグザクト・テクノロジーズ社製3本ロールミル80Eを用いて分散して導電性ペーストを製造した。導電性ペーストは容器に充填後、脱酸素剤入りのバリア袋に入れ無酸素状態にし、60℃で15時間熱処理した。熱処理後、無酸素状態のペーストを室温で保管した。
各種フィラーとポリエステル樹脂溶液とを含む組成物を遊星攪拌機で攪拌後、エグザクト・テクノロジーズ社製3本ロールミル80Eを用いて分散して導電性ペーストを製造した。導電性ペーストは容器に充填後、脱酸素剤入りのバリア袋に入れ無酸素状態にし、60℃で15時間熱処理した。熱処理後、無酸素状態のペーストを室温で保管した。
<粘度[Pa・s]>
東機産業社製E型粘度計TV-35で、3°×9.7コーンを用いて、温度25℃、回転数1.0rpm (2.0s-1)で5分間粘度を測定した。
東機産業社製E型粘度計TV-35で、3°×9.7コーンを用いて、温度25℃、回転数1.0rpm (2.0s-1)で5分間粘度を測定した。
<増粘度[倍]>
スクリーン印刷機を用いてインターバル5分で2時間印刷した際の導電性ペーストの粘度を測定し、下式で定義した増粘度を算出した。
増粘度[倍]=(印刷後ペースト粘度)/(印刷前ペースト粘度)
スクリーン印刷機を用いてインターバル5分で2時間印刷した際の導電性ペーストの粘度を測定し、下式で定義した増粘度を算出した。
増粘度[倍]=(印刷後ペースト粘度)/(印刷前ペースト粘度)
<導電層の作成>
ニューロング社製スクリーン印刷機DP−320を用いて、アンカーコート付きポリイミドフィルム上に導電性ペーストで所定のパターンを印刷した後、100℃で10分間仮乾燥して銅粉含有塗膜を得た。仮乾燥後の塗膜を350℃で5分間過熱水蒸気処理することで評価用の導電層を得た。過熱水蒸気の発生装置として蒸気加熱装置(第一高周波工業社製「DHF Super−Hi10」)を用い、13kg/hの過熱水蒸気を熱処理炉に供給した。なお評価用塗膜はベタパターンと図1に示すようなL/S=100/100μmで直線長さ5cmで折り返したラインパターンで構成されている。版および印刷条件を表3に示す。
ニューロング社製スクリーン印刷機DP−320を用いて、アンカーコート付きポリイミドフィルム上に導電性ペーストで所定のパターンを印刷した後、100℃で10分間仮乾燥して銅粉含有塗膜を得た。仮乾燥後の塗膜を350℃で5分間過熱水蒸気処理することで評価用の導電層を得た。過熱水蒸気の発生装置として蒸気加熱装置(第一高周波工業社製「DHF Super−Hi10」)を用い、13kg/hの過熱水蒸気を熱処理炉に供給した。なお評価用塗膜はベタパターンと図1に示すようなL/S=100/100μmで直線長さ5cmで折り返したラインパターンで構成されている。版および印刷条件を表3に示す。
<比抵抗[μΩ・cm]>
上記評価用塗膜のベタ部の表面抵抗と塗膜膜厚から比抵抗を求めた。表面抵抗は三菱化学アナリテック社製ロレスタ(Loresta−AX, MCP−T370)、膜圧はアンリツ社製膜厚計(K−402B)を用いて測定した。比抵抗が10μΩ・cmより低い場合は特性良好、比抵抗が10〜20μΩ・cmの場合は特性やや良好、比抵抗が20μΩ・cmより高い場合には、特性を満たしていないと判断した。
上記評価用塗膜のベタ部の表面抵抗と塗膜膜厚から比抵抗を求めた。表面抵抗は三菱化学アナリテック社製ロレスタ(Loresta−AX, MCP−T370)、膜圧はアンリツ社製膜厚計(K−402B)を用いて測定した。比抵抗が10μΩ・cmより低い場合は特性良好、比抵抗が10〜20μΩ・cmの場合は特性やや良好、比抵抗が20μΩ・cmより高い場合には、特性を満たしていないと判断した。
<線抵抗[Ω/m]>
上記評価用塗膜の100μmラインの線抵抗をアドバンテスト社製デジタルマルチメーター(TR6847)を用いて測定した。
上記評価用塗膜の100μmラインの線抵抗をアドバンテスト社製デジタルマルチメーター(TR6847)を用いて測定した。
<印刷性>
導電性ペーストの印刷初期の印刷性と2時間の連続印刷性を評価した。印刷初期の印刷性はパターンのかすれおよび、L/S=100/100μmラインの線太りを以下に示す基準で評価した。連続印刷性は2時間印刷後の、版上でのペーストのコーティング、ワークと版の版離れ、線抵抗の増加具合を以下に示す基準で評価した。
導電性ペーストの印刷初期の印刷性と2時間の連続印刷性を評価した。印刷初期の印刷性はパターンのかすれおよび、L/S=100/100μmラインの線太りを以下に示す基準で評価した。連続印刷性は2時間印刷後の、版上でのペーストのコーティング、ワークと版の版離れ、線抵抗の増加具合を以下に示す基準で評価した。
(初期印刷性)
・パターンのかすれ
○:パターンにかすれがない。
△:パターンがかすれている。
×:パターンに断線している箇所がある。(異物由来は除く)
・L/S=100/100μmの線太り
○:100μmラインの太りが30μm以下。
△:ショートはしていないが100μmラインの太りが30μmより大きい。
×:ショートが発生。
・パターンのかすれ
○:パターンにかすれがない。
△:パターンがかすれている。
×:パターンに断線している箇所がある。(異物由来は除く)
・L/S=100/100μmの線太り
○:100μmラインの太りが30μm以下。
△:ショートはしていないが100μmラインの太りが30μmより大きい。
×:ショートが発生。
(連続印刷性)
・コーティング
○:2時間印刷後でもコーティング不良が発生しない。
△:コーティングのムラが発生する。
×:コーティング不可。
・版離れ
○:2時間印刷後でも版離れがスキージに追随する。
△:版離れがスキージストロークに対して遅れる。(1cm以内)
×:版離れがスキージストロークに対して遅れる。(1cm以上)
・線抵抗
○:2時間印刷後でも100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.2倍未満。
△:2時間印刷後の100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.2倍以上1.5倍未満。
×:2時間印刷後の100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.5倍以上。
・コーティング
○:2時間印刷後でもコーティング不良が発生しない。
△:コーティングのムラが発生する。
×:コーティング不可。
・版離れ
○:2時間印刷後でも版離れがスキージに追随する。
△:版離れがスキージストロークに対して遅れる。(1cm以内)
×:版離れがスキージストロークに対して遅れる。(1cm以上)
・線抵抗
○:2時間印刷後でも100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.2倍未満。
△:2時間印刷後の100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.2倍以上1.5倍未満。
×:2時間印刷後の100μmラインの線抵抗が初期と比べ1.5倍以上。
実施例1〜10、比較例1〜8は銅粉、ポリエステル樹脂、溶剤を主成分とした表4に示す配合割合のペーストである。
実施例1、2、比較例2、3はバインダーの種類と量を固定して銅粉1と銅粉2の比率を変化させた。
実施例2、3、比較例4は銅粉組成、バインダー量を固定して酸価の異なるバインダーを用いた。
実施例4、5、7、比較例6は数種類の銅粉1、2、4、5を表6に示す割合で配合した。
実施例2、6、比較例7は銅粉組成、バインダーの種類を固定してバインダー量を変化させた。
実施例8、比較例1、8は1種類の銅粉のみをペースト化した。
実施例9、比較例5はスルフォン酸塩基を持たないポリエステル樹脂を用いた。
実施例10は、銅粉表面の一部を銀で被覆した銅粉を用いた。
実施例1〜10、比較例1〜8の結果を表5に示す。
実施例1〜10は増粘度が2.0倍以下であり印刷において大きな不良がなかった。つまり、式(1)及び(2)を満足する条件であれば、印刷不良を起こしにくいペーストが得られるといえる。また、銅粉が1種類の場合、混合銅粉の場合、一部を銀で被覆した銅粉を用いた場合でも、式(1)及び(2)を満たしていれば、粘度上昇しにくいペーストが得られた。
実施例9は、スルフォン酸塩を含有しないポリエステル樹脂を用いたため、分散が少し悪化し、比抵抗が僅かに増加した。
比較例1は増粘度が1.7倍と低く、印刷中の品質の変化は少なかったが、C・x>4.0と銅粉の表面積が大きく、分散に多量のバインダー樹脂を必要としたため、比抵抗が増大した。また、ペーストがローリングしにくく、コーティングが不均一になった。
比較例2〜8は、いずれも式(1)および(2)の関係を満たさず、印刷において何らかの大きな不良が発生した。特に式(1)の左辺の値が0.55である比較例3では、ペーストの増粘度は5.6倍となり、たかだか1時間程度印刷しただけで印刷不可能となった。
実施例11〜15、比較例9〜14は銅粉、銀コート銅粉、ポリエステル樹脂、溶剤を主成分とした表6に示す配合割合のペーストである。
実施例11、比較例9、10はフィラー組成、バインダー量を固定して異なる酸価のバインダーを用いた。
実施例12、比較例9、11はフィラー組成、バインダーの種類を固定してバインダー量を変化させた。
実施例13、14、比較例9、12、13はバインダーの種類と量を固定して銅粉1と銀コート銅粉の配合割合を変化させた。
実施例15、比較例14は銅粉1、2、5、銀コート銅粉の組成を変化させた。
表7に実施例11〜15、比較例9〜14の結果を示す。
ペースト中に銀コート銅粉を含んだ系でも、銅粉のみの場合と同様の傾向を示し、式(1)及び(2)を満足すると、増粘度2.0倍以下の印刷不良が生じにくいペーストが得られた。上述の例から、式(1)の左辺の値を0.25以下とすることで、印刷用ペーストとして使用可能な増粘度2.0倍以下のペーストを得ることができる。
本発明で得られる導電性ペーストは高い導電性、印刷性を実現し、かつ、印刷中の粘度上昇を抑制したペーストである。本発明の導電性ペーストで得られる塗膜は、金属/樹脂積層体、電磁シールド金属薄膜等の金属薄膜形成材料、金属配線材料、導電材料等に用いられる。
1 導電層(ラインパターン)
Claims (8)
- 導電粉である銅粉と、ポリエステル樹脂と、溶剤とを含有する導電性ペーストであって、該銅粉1g当たりの表面積値をC[m2/g] 、全フィラー中の銅粉の重量分率をx[−]、ポリエステル樹脂の酸価の値をD[μmol/g]、ペーストの全固形分中のフィラーの重量分率をF[−]としたときに、下記の式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とする導電性ペースト。
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2) - 導電粉とポリエステル樹脂との比率が導電粉100重量部に対しポリエステル樹脂が1〜5重量部の範囲にある請求項1に記載の導電性ペースト。
- ポリエステル樹脂の酸価の値Dが25μmol/g以下である請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
- ポリエステル樹脂がスルフォン酸塩基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 導電粉として、さらに銀コート銅粉を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 銅粉と、ポリエステル樹脂と、溶剤とを下記の式(1)及び(2)の関係を満たすように混合する請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストの製造方法。
D(1−F)/(C・x) ≦0.25 (1)
C・x≦4.0 (2) - 絶縁基板上に請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて導電層が形成された印刷回路板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて絶縁基板上に銅粉含有塗膜を形成し、該銅粉含有塗膜に過熱水蒸気による加熱処理を施して導電層とする印刷回路板の製造方法。
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WO2022185600A1 (ja) * | 2021-03-02 | 2022-09-09 | 三井金属鉱業株式会社 | 導電性組成物、導電性部材及びその製造方法 |
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