JP2020021700A - 透明導電積層体 - Google Patents

透明導電積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2020021700A
JP2020021700A JP2018146815A JP2018146815A JP2020021700A JP 2020021700 A JP2020021700 A JP 2020021700A JP 2018146815 A JP2018146815 A JP 2018146815A JP 2018146815 A JP2018146815 A JP 2018146815A JP 2020021700 A JP2020021700 A JP 2020021700A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent conductive
carbon material
resin
conductive laminate
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018146815A
Other languages
English (en)
Inventor
康功 久留島
Yasuko Kurushima
康功 久留島
義真 常田
Yoshimasa Tsuneda
義真 常田
隆裕 櫻井
Takahiro Sakurai
隆裕 櫻井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase Chemtex Corp
Original Assignee
Nagase Chemtex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagase Chemtex Corp filed Critical Nagase Chemtex Corp
Priority to JP2018146815A priority Critical patent/JP2020021700A/ja
Priority to CN201910692566.8A priority patent/CN110797139A/zh
Priority to TW108127144A priority patent/TW202018737A/zh
Publication of JP2020021700A publication Critical patent/JP2020021700A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】高い導電性と透明性を有する透明導電積層体を提供する。【解決手段】基材上に、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×102〜1×1011Ω/sqである導電層を有する透明導電積層体であって、長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm2以下であることを特徴とする透明導電積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電積層体に関する。
カーボン材料は、導電性や熱伝導性に優れることに加え、高い化学的安定性を示すことが知られており、光学用途等の分野で優れた導電材料として期待されている。しかしながら、カーボン材料は、アスペクト比が大きく、配位不飽和な構造を有しているため、分子間相互作用が強く、凝集しやすい性質を持つ。カーボン材料が凝集した状態では導電性や透明性といった特性を十分に発揮できないため、導電塗料において、カーボン材料の分散性を高めることが求められる。カーボン材料の分散性を高めるために、例えば、超音波による分散処理を行うことが知られている。
しかし、上記のような分散処理においても、近年の高透明化の市場要求には不十分であった。現在、この高透明化の要求に対して、カーボン材料を還元処理して高導電化する方法(特許文献1)や導電性の高いカーボンナノ材料のみを分離して使用する方法(特許文献2)が提案されているが、いずれも特殊な設備や工程が必要となり、その商業生産には未だ課題が残っている。
特開2016−60646号公報 特許第6237967号公報
本発明は、高い導電性と透明性を有する透明導電積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の大きさを有するカーボン材料(本明細書では、後述のとおり、カーボン材料を含む凝集物の場合も含む)の単位面積あたりの個数が導電性や透明性に大きく影響していることを突き止め、基材上に、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×10〜1×1011Ω/sqである導電層を有する透明導電積層体であって、長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm以下であることを特徴とする透明導電積層体であれば、高い導電性と透明性とが得られるとの知見を新たに見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下に関する:
[1]基材上に、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×10〜1×1011Ω/sqである導電層を有する透明導電積層体であって、
長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm以下であることを特徴とする透明導電積層体;
[2]ヘイズ値が3%以下である、[1]の透明導電積層体;
[3]カーボン材料がグラフェン、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つである、[1]又は[2]の透明導電積層体;
[4]導電層におけるカーボン材料の含有量が50mg/m以下である、[1]〜[3]のいずれかの透明導電積層体;
[5][1]〜[4]のいずれかの透明導電積層体における導電層を形成するための導電塗料;
[6][1]〜[4]のいずれかの透明導電積層体を含む表示デバイス;並びに
[7][1]〜[4]のいずれかの透明導電積層体を含む調光デバイス。
本発明により、高い導電性と透明性を有する透明導電積層体を得るすることができる。
<<透明導電積層体>>
まず、本発明の透明導電積層体について説明する。
本発明の透明導電積層体は、基材上に、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×10〜1×1011Ω/sqである導電層を有し、長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm以下であることを特徴とする。
<基材>
基材の材質としては、特に限定されるものでなく、例えば、ガラス、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性PET、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリサルホン樹脂(PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等が挙げられる。これらの中でも、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール樹脂及びトリアセチルセルロース樹脂(TAC)が好適に使用される。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基材の表面には、易接着化、濡れ性向上等を目的として、コロナ処理、プラズマ処理、アルカリ処理、エキシマ処理、プライマーコート、脱脂処理、表面粗面化処理等の各種表面処理が施されてもよい。
また、基材は、例えば、フィルム形状やシート形状であってもよい。
フィルム形状の場合、その厚みは特に限定されるものではないが、例えば、10〜200μmが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。
また、シート形状の場合は、その厚みは特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜5mmが好ましく、0.2〜1mmであることがより好ましい。
<導電層>
本発明の透明導電積層体における導電層は、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×10〜1×1011Ω/sqである。このような導電層を設けることにより、導電性に優れた透明導電積層体を提供することができる。
導電層は、例えば、カーボン材料を含む導電塗料を、基材上に塗布した後、加熱処理することにより形成することができる。導電塗料は、基材の少なくとも一つの面上に直接塗布されてもよいし、プライマー層等の別の機能層を予め基材上に設けた後で、当該機能層の上に塗布されてもよい。
機能層に用いる樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、その他汎用樹脂等が挙げられる。
(カーボン材料)
カーボン材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボンナノチューブとしては特に限定されず、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD法)等により製造されたカーボンナノチューブを用いることができ、より具体的には、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ及びこれらの混合物のいずれも使用可能である。導電性に優れる点から、少なくとも単層カーボンナノチューブを含むことが好ましい。
カーボンナノチューブの長さは、1〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは5〜1000μmであり、さらに好ましくは5〜500μmである。カーボンナノチューブの長さが上記範囲内であると、導電層とした場合に導電性や透明性が優れる。
カーボンナノチューブの直径は、単層カーボンナノチューブの場合、0.5〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。カーボンナノチューブの直径が上記範囲内であると、導電層とした場合に導電性や透明性が優れる。
導電塗料におけるカーボン材料の含有量は特に限定されないが、導電塗料の固形分100重量部中、0.1〜40重量部であることが好ましく、0.5〜30重量部であることがより好ましく、1〜20重量部であることがさらに好ましい。カーボンナノチューブの含有量が上記範囲内であると、導電層とした場合に導電性と透明性とが両立され好ましい。
(分散剤)
カーボン材料は、分散剤を用いて予め水中等で分散処理したものであってもよい。
分散剤としては、例えば、陽イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、両イオン性分散剤、非イオン性分散剤、高分子系分散剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、分散剤としては、HLB値が12以上のものが好ましく、14以上のものがより好ましい。なお、本明細書におけるHLB値は、以下の数式により算出することができる:
グリフィン法:HLB値=[(親水部分の分子量)÷(全体の分子量)]×20
陽イオン分散剤としては、例えば、ステアリルアミンアセテート等の炭素数8〜22のアルキル基を有するアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
陰イオン分散剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の炭素数8〜18のアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の炭素数8〜18のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、β―ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などが挙げられる。
両イオン性分散剤としては、例えば、炭素数8〜22のアルキル基を有するアルキルベタイン、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。
非イオン性分散剤としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドから構成されるブロック共重合体、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル、炭素数2〜4のアルキレン基を有するポリカルボキシレートエーテル等のポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる、
高分子系分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシセルロース、炭素数の1〜8のアルキル基を有するヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン、ゼラチン、アクリル系コポリマー、ポリカルボン酸又はその誘導体、ポリスチレンスルホン酸又はその塩などの高分子系分散剤などが挙げられる。
これらの中では、ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリスチレンスルホン酸、セルロース誘導体、ポリカルボン酸、アクリル系コポリマー、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリカルボン酸、アクリル系コポリマーが、カーボン材料の分散性がより良好となることから好ましい。また、1以上の分岐鎖を有し、分岐鎖の分子量が15以上である分散剤が、分子鎖が全方位に広がり、カーボン材料の分散性がより高くなることから好ましい。
分散剤の添加量は、分散性と透明性の両立の点から、カーボン材料の1重量部に対して0.01〜100重量部であることが好ましく、0.2〜40重量部であることがより好ましく、0.5〜10重量部であることがさらに好ましい。
分散剤の存在下、カーボン材料を水中で分散処理することにより、カーボン材料と分散剤を相互作用させ、水中にカーボン材料が良好に分散した導電塗料を得ることができる。
<バインダー樹脂>
導電塗料は、導電層とした際の強度を高めるため、バインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン、シリケート樹脂、チタネート樹脂、アルミネート樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に強度、透明性、耐久性の点では、少なくともシリケート樹脂又はメラミン樹脂を含むことが好ましい。
アクリル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基、燐酸基などの酸基を有する重合性単量体を構成モノマーとして含む重合体であればよく、例えば、酸基を有する重合性単量体の単独又は共重合体、酸基を有する重合性単量体と共重合性単量体との共重合体等が挙げられ、より具体的には、(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を主たる構成モノマー(例えば、50モル%以上)として含んでいれば共重合性単量体と重合していてもよく、この場合、(メタ)アクリル系単量体及び共重合性単量体のうち、少なくとも一方が酸基を有していればよい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、酸基を有する(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド等]又はその共重合体、酸基を有していてもよい(メタ)アクリル系単量体と、酸基を有する他の重合性単量体[他の重合性カルボン酸、重合性多価カルボン酸又は無水物、ビニル芳香族スルホン酸等]及び/又は共重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、芳香族ビニル単量体等]との共重合体、酸基を有する他の重合体単量体と(メタ)アクリル系共重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等]との共重合体、ロジン変性ウレタンアクリレート、特殊変性アクリル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートエマルジョン等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系樹脂の中では、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル重合体(アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体等)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(アクリル酸−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体等)等が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、2つ以上のカルボキシル基を分子内に有する化合物と2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物とを重縮合して得られた高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、イソシアネート基を有する化合物とヒドロキシル基を有する化合物を共重合させて得られた高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、エステル・エーテル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン、アクリル系ポリウレタン等が挙げられる。
シリケート樹脂としては、例えば、以下の一般式(1)により表されるアルコキシシランのモノマー同士が縮合したアルコキシシランであって、シロキサン結合(Si−O−Si)を1分子内に1個以上有するオリゴマー等が挙げられる:
SiR (1)
[式中、Rは、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基であるが、4つのRのうち少なくとも1個は炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基である]。
シリケート樹脂は、一般式(1)により表されるアルコキシシランが2分子以上縮合したものであることが好ましい。
アルコキシシランオリゴマーの構造は特に限定されず、直鎖状であっても良く、分岐状でもよい。
上記シリケート樹脂として、 シリコンアルコキシドアクリル系樹脂、シリコンアルコキシドエポキシ系樹脂、シリコンアルコキシドビニル系樹脂、シリコンアルコキシドメタクリル系樹脂、シリコンアルコキシドチオール系樹脂、シリコンアルコキシドアミノ系樹脂、シリコンアルコキシドイソシアネート系樹脂、シリコンアルコキシドアルキル系樹脂、シリコンアルコキシド基以外の官能基を有しないシリコンアルコキシド系樹脂などのシリコンアルコキシド系樹脂等を挙げることができる。
バインダー樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば、導電塗料の固形分100重量部中、20〜99重量部であることが好ましく、50〜98重量部であることがより好ましく、60〜95重量部であることがさらに好ましく、70〜90重量部であることがさらにより好ましい。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であると、導電層とした際の膜強度や導電性が良好となる。
(レベリング剤)
導電塗料は、基材に対する親和性を高めるために、レベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤を添加することにより、導電層を形成する際にハジキやムラが生じることを抑制することができる。レベリング剤としては、親水性が高い方が、カーボン材料の分散を阻害しないことから、HLB値が10以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましい。また、疎水性であるカーボン材料に対して分散剤よりも高い親和性を有することが好ましく、そのために分散剤より疎水性が高いことが好ましい。
具体的なレベリング剤としては、ポリエーテル系レベリング剤、シロキサン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ポリエステル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エステル結合を有するポリエステル系レベリング剤や、エーテル結合を有するポリエーテル系レベリング剤は、カーボン材料と相互作用しやすく、水−アルコール中でカーボン材料の分散を阻害しないために、好ましい。
ポリエステル系レベリング剤としては、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテル系レベリング剤としては、セルロースエーテル;プルラン;ポリエチレングリコール:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン等のシリコーン変性ポリエーテル;ポリグリセリン;ポリエーテルポリオール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルアルコールアルコキシレート等のアルキルエーテル誘導体、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロブタンスルホン酸、含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキル基・リン酸基含有リン酸エステル等が挙げられる。
シリコーン系レベリング剤としては、ポリシロキサン等の他、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の反応性基を導入した反応性ポリシロキサンの他、アルキル基、エステル基、アラルキル基、フェニル基、ポリエーテル基等の非反応性を導入した非反応性ポリシロキサン等が挙げられる。
アクリル系レベリング剤としては、シリコーンとアクリルからなるアクリル系共重合物等が挙げられる。
レベリング剤の含有量は、特に限定されないが、導電塗料の固形分全体に対して0.01〜40重量部であることが好ましく、0.1〜20重量部であることがより好ましく、1〜10重量部であることがさらに好ましい。導電塗料の含有量が上記範囲内であると、基材塗布性や分散安定性、導電層とした際の膜強度が良好となる。
(溶媒)
導電塗料は、基材に対する親和性を高めるために溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテルアセテート類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン(o−、m−、あるいはp−キシレン)、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類:酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸エチル、オルト酢酸メチル、オルトギ酸エチル等のエステル類:N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン等のアミド化合物;トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、等のヒドロキシル基含有化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホ基を有する化合物;ハロゲン類、イソホロン、プロピレンカーボネート、アセチルアセトン、アセトニトリル等の有機溶剤に加え、水とこれらの有機溶剤との混合溶媒(含水有機溶剤)、2種以上の有機溶剤の混合溶媒等が挙げられる。カーボン材料の分散安定性と、基材への塗布性の点からは、これらの中でも、水と有機溶剤との混合溶媒が好ましく、水とアルコール類との混合溶媒がより好ましく、水とメタノール、水とエタノール、水と2−プロパノールの組み合わせがさらに好ましい。また、塗布性向上のために、エチレングリコール類、プロピレングリコール類、アミド化合物等を添加することも有効である。
溶媒の含有量は、特に限定されないが、導電塗料の固形分が3重量%以下となるように添加されることが好ましく、0.1〜2重量%となるように添加されることがより好ましい。また、導電塗料に溶媒を添加する場合、導電塗料中、5〜70重量%が水となるように他の溶媒と組み合わせて添加することが好ましい。
なお、本明細書においては、導電塗料の全ての成分を完全に溶解させるもの(即ち、「溶媒」)と、不溶成分を分散させるもの(即ち、「分散媒」)とを特に区別せずに、いずれも「溶媒」と記載する。
(その他の成分)
導電塗料は、さらに、導電性高分子、架橋剤、触媒、酸化防止剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤、中和剤、増粘剤等を含有していてもよい。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、チオフェン環を分子内に含むことで導電性が高い分子ができやすい点で、分子内にチオフェン環を少なくとも1つ含む導電性高分子が好ましい。導電性高分子は、ポリ陰イオン等のドーパントと複合体を形成していてもよい。
導電性高分子とポリ陰イオンとの複合体としては、導電性に特に優れることから、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合体であることが好ましい。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、メラミン系、ポリカルボジイミド系、ポリオキサゾリン系、ポリエポキシ系、ポリイソシアネート系、ポリアクリレート系等の架橋剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒としては、特に限定されず、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、酸、塩基等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電層の膜厚は、1〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましく、20〜200nmであることがさらに好ましい。
導電層の表面抵抗率は、1×10〜1×1011Ω/sqでであることが好ましく、1×10〜5×1010Ω/sqであることがより好ましく、1×10〜1×1010Ω/sqであることがさらに好ましい。
導電層中、カーボン材料の含有量は、50mg/m以下であることが好ましく、30mg/m以下であることがより好ましく、20mg/m以下であることがさらに好ましい。
上述の通り、導電層は、導電塗料を、基材の少なくとも1面に塗布した後、加熱処理することにより形成することができる。塗布方法としては、特に限定されず例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、スリットコート法、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法、タンポ印刷法等を用いることができる。
大面積の基材に導電塗料を塗布する際は、例えば、タンク、送液のためのポンプ、異物除去を目的としたフィルター及び塗工装置から構成される塗工設備を用いて導電層を形成することが生産効率上有利である。
塗工設備を構成するフィルターとしては、特に限定されないが、孔径が1〜20μmのフィルターであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましく、2〜5μmであることがさらに好ましい。
フィルターの材質は、特に限定されず、例えば、ナイロン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、セラミック、金属、ポリカーボネート、ガラス、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンまたはパーフルオロスルホン(カルボン)酸等が挙げられる。これらの中では、ポリオレフィンが好ましい。フィルターの材質によっては、カーボン材料がフィルターに吸着され、導電塗料を用いて導電層を形成した際に表面抵抗率が高くなり過ぎることがあるが、ポリオレフィンを用いたフィルターであればカーボン材料と相互作用しにくいことから、フィルター濾過を経てもなお十分な表面抵抗率を発現可能な導電塗料が得られることがある。
このようなフィルターを備えた塗工設備を用いて導電層を形成することにより、導電塗料を形成する工程を行う前に導電塗料をフィルターにより濾過する工程を行うことができ、導電性や透明性に優れた導電塗料を得ることができる。
導電層を形成する際の加熱処理は、特に限定されず、例えば、送風オーブン、赤外線オーブン、真空オーブン等を用いて行うことができる。導電塗料が溶剤を含有する場合、溶剤は、加熱処理により除去されることが好ましい。
導電層を形成する際の加熱処理の温度条件は、200℃以下であることが好ましく、60〜180℃であることがより好ましく、80〜150℃であることがさらに好ましい。
加熱処理の処理時間は、0.1〜60分間であることが好ましく、0.5〜30分間であることがより好ましい。
本発明の透明導電積層体は、長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm以下(1平方センチメートルあたり10個以下)であることを特徴とする。ここで、長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料とは、1分子で上記大きさを有するもののほかに、カーボン材料同士やカーボン材料と他の導電塗料中の成分とが凝集等によって塊状となり、上記大きさとなったものも含む。なお、カーボン材料が板状や針状、束状等の形状である場合、積層体を積層方向から観測した際の長辺(2点間の距離が最大になる長さ)をもって長径とし、もう一方を短径とするものとする。
本明細書において、カーボン材料の長径、短径及び個数は、後の実施例に記載するとおり、光学顕微鏡にて測定、評価するものをいう。
本発明の透明導電積層体のヘイズ(Haze)値は、特に限定されないが、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、0.6%以下であることがさらに好ましい。ヘイズ値が3%以下であると、積層体の透明性が良好となる。なお、ヘイズ値の下限は特に限定されないが、例えば0.01%であることが好ましい。
本発明におけるヘイズ値はJIS K 7136に準拠して測定されるものをいう。
<<導電塗料>>
上述する導電塗料も本発明の態様の1つであり、本発明の導電塗料を用いることで本発明の透明導電積層体を製造することができる。
導電塗料は、例えば、分散剤の存在下、カーボン材料を水や有機溶剤中で分散処理する工程を経ることにより製造することができる。分散処理は、例えば、振動ミル、遊星ミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ジェットミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置等を用いて行うことができる。高い導電性と透明性を発揮し得る導電塗料を得るためには、超音波ホモジナイザー又は高圧ホモジナイザーのいずれか少なくとも1つを用いて分散処理を行うことが好ましい。
通常、カーボン材料は、分散剤以外の任意成分を添加せず、分散処理した直後に導電層を形成した際の最も表面抵抗率が低くなる条件で分散処理を行うことができるが(表面抵抗率の極小点)、任意成分を添加することや導電塗料を製造した後に一定の貯蔵期間が発生することにより、カーボン材料同士やカーボン材料と他の成分とが凝集等によって塊状となり、導電層とした際に透明性や導電性が低下する。これらの透明性や導電性を低下させる要因を考慮し、カーボン材料を分散処理する際、表面抵抗率の極小点を超える高い強度の条件とすることで、任意成分を添加した場合や導電塗料を製造した後に一定の貯蔵期間が発生した場合でも、導電層とした際になお透明性や導電性に優れた導電塗料を得ることができる。
ここで、表面抵抗率の極小点を超える条件の分散処理は、使用する装置の処理方法や処理量に応じて、当該分野における技術常識に基づき適宜設定することができる。
分散処理する工程を行う前に、前処理として、カーボン材料を高速攪拌処理に供してもよい。高速攪拌処理は、超音波ホモジナイザー等を用いた分散処理よりも比較的強度の低い条件での分散処理であり、攪拌体の高速回転により、カーボン材料の凝集を緩める効果がある。高速攪拌処理を分散処理の前に行っておくことにより、カーボン材料の分散処理をより効率的に行うことができる。
カーボン材料の分散処理後も凝集物等(カーボン材料同士やカーボン材料と他の成分とが凝集等によって塊状となったものを含む)が残留する場合には、遠心分離処理を行い、これらの凝集体等を除去してもよいし、また、フィルターを用いてこれらの凝集物物等を除去してもよい。フィルターを用いてこれらの凝集物等を除去する場合、上述したフィルターを用いることができる。
上述のとおり、導電塗料には、カーボン材料に加え、他の任意成分が含まれ得るが、任意成分それぞれについて、上記のカーボン材料を分散処理する工程の過程で加えてもよく、分散処理する工程の後で加えてもよい。
<<用途>>
本発明の透明導電積層体は、高い導電性や透明性が必要な用途に適用することが可能であり、表示デバイスや調光デバイスの用途に特に好適に使用される。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
1.使用材料
1−1.基材
・無アルカリガラス板(コーニング社製、EAGLE XG、ヘイズ0.1%)
無アルカリガラス板は、エッチング処理及びアルカリ処理を行ったものを使用した。エッチング処理は、ガラス基板を水洗した後、1%のフッ酸、5%の塩酸、2%の硫酸、及び水からなるエッチング液中に浸漬し、ガラス表面を化学研磨した。その後、水洗を行い、ドライヤーにて乾燥させた。アルカリ処理は、水酸化カリウム水溶液を使用し、ガラス基板表面を洗浄した。その後、カラス基板を水洗し、ドライヤーにて乾燥させた。
・PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60、ヘイズ2.1%)
・アクリル樹脂フィルム(住友化学株式会社製、テクノロイS001G、ヘイズ0.9%)
1−2.導電材料
・単層カーボンナノチューブ(SWCNT)水分散体1(名城ナノカーボン社製、SWNT分散液、カーボンナノチューブ濃度 0.1%、固形分率0.5%)
・単層カーボンナノチューブ(SWCNT)水分散体2(製造例1にて作製、固形分0.5%)
・単層カーボンナノチューブ(SWCNT)水分散体3(製造例2にて作製、固形分0.5%)
・二層カーボンナノチューブ(DWCNT)水分散体(製造例3にて作製、固形分率1.1%)
・多層カーボンナノチューブ(MWCNT)(冨士色素株式会社社製、MWNT分散液、カーボンナノチューブ濃度 5%、固形分率8%)
・グラフェン(XG Science社製、H−5水分散液、固形分率15%)
1−3.レベリング剤
・ポリエーテル系(クラリアント社製、品名:Emulsogen LCN070、HLB:13)
・フッ素系 (デュポン株式会社製、CAPSTONE FS−3100、不揮発分100%)
・シロキサン系(東レ・ダウコーニング社製、8029Additive)
1−4.バインダー樹脂
・テトラエトキシシリケート(東京化成工業株式会社製)
・テトラエトキシシリケートの重縮合物(コルコート株式会社製、エチルシリケート40)
・メラミン(DIC株式会社製、ベッカミンM−3、固形分率77%)
・ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス830HS、固形分率35%、ガラス転移温度68℃)
・アクリル樹脂(東亞合成株式会社製、ジュリマーFC−80、固形分率30%、ガラス転移温度50℃)
1−5.触媒
・硝酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・硫酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・ギ酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)(富士フィルム和光純薬株式会社製)
・クメンスルホン酸(CS)(テイカ社製、品名:テイカトックス500)
1−6.フィルター
・ポリオレフィン(PO)系フィルター(3M株式会社製、Betapure AU0911120、孔径1μm)
・ポリオレフィン(PO)系フィルター(日本インテグリス株式会社製、孔径2.5μm)
・ポリオレフィン(PO)系フィルター(台湾グレース株式会社製、孔径5μm)
・ポリオレフィン(PO)系フィルター(3M株式会社製、Micro−Klean DPPPC−2−A、孔径10μm)
・テフロン(登録商標)(PTFE)系フィルター(ウインテック株式会社製、FPF−500、孔径5μm)
・テフロン(登録商標)(PTFE)系フィルター(ウインテック株式会社製、FPF−045、孔径0.45μm)
(製造例1)単層カーボンナノチューブ水分散体2の作製
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)水分散体1を20℃に調整した後、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製スターバーストミニ)にて80Mpaで分散処理を行い、直ちに冷却管にて20℃まで冷却を行った。この分散工程と冷却工程を20回繰り返し、固形分率0.5%の単層カーボンナノチューブ水分散体2を得た。毎回の冷却工程後に少量抜き取り、ワイヤーバーNo.16を用いて分散体をガラス上に塗布し、120℃のホットプレート上で2分間乾燥させた塗膜の表面抵抗率を測定したところ、3回目の冷却工程後に表面抵抗率が最も低下し(表面抵抗率の極小点となる条件)、その後、徐々に上昇していることを確認した。
(製造例2)単層カーボンナノチューブ水分散体3の作製
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)水分散体1をガラスビーカーに入れ、超音波ホモジナイザー(hielscher社製HP50H)にて50W、周波数30kHzで200分間、液温を25℃に保ちながら分散処理を行うことで、固形分率0.5%の単層カーボンナノチューブ水分散体3を得た。
分散工程中の10分毎に少量抜き取り、ワイヤーバーNo.16を用いて分散体をガラス上に塗布し、120℃のホットプレート上で2分間乾燥させた塗膜の表面抵抗率を測定したところ、分散工程を30分行ったものが最も表面抵抗率が低くなっており(表面抵抗率の極小点となる条件)、分散工程の時間を更に延ばしたものは、徐々に表面抵抗率が高くなっていることを確認した。
(製造例3)二層カーボンナノチューブ水分散体1の作製
平均長さ10μm、直径約4nmの二層カーボンナノチューブ(アルドリッチ株式会社製、製品番号755168)1重量部、分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬工業株式会社製)を10重量部、純水989重量部をガラスビーカーに入れ、超音波ホモジナイザー(hielscher社製HP50H)にて50W、周波数30kHzで30分間分散処理を行うことで、固形分率1.1%の二層カーボンナノチューブ水分散体1を得た。
分散工程中の5分毎に少量抜き取り、ワイヤーバーNo.16を用いて分散体をガラス上に塗布し、120℃のホットプレート上で2分間乾燥させた塗膜の表面抵抗率を測定したところ、分散工程を25分行ったものが最も表面抵抗率が低くなっており(表面抵抗率の極小点となる条件)、30分行ったものは少し高い値となっていることを確認した。
2.実施例
(実施例1〜12、比較例1〜4)
カーボン材料分散体、バインダー樹脂及びレベリング剤を表1に記載した重量比(固形分比)で混合し、表1に記載した。水重量及び固形分率となるように水又は各種アルコールで希釈することで、導電塗料を作製した。導電塗料は、表1に記載したフィルターを通すことでろ過して使用し、ワイヤーバーを用いて塗布した。得られた塗膜を、送風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥させることにより導電層を形成し、透明導電積層体を得た。導電層の膜厚は、ワイヤーバーの番手を適宜選択することで、表1記載の膜厚に調整した。導電層の性能を後述の方法により評価し、その結果を表1に示す。
3.評価方法
(カーボン材料の大きさ及び個数)
実施例1〜12及び比較例1〜4で得られた透明導電積層体から、5cm×5cmの正方形の試験片を各10枚作成した。この試験片を光学顕微鏡を用いて、中心1cmの範囲にてカーボン材料の大きさと個数とを観測し、試験片10枚の平均値を求めた。
(表面抵抗率(SR))
上述の試験片10枚につき、導電層の表面抵抗率を、表面抵抗率と装置の測定可能レンジに応じて、下記の方法から選択し、測定後、試験片10枚の平均値を求めた。
表面抵抗率が1×10Ω/sq〜1×10Ω/sqの場合:三菱化学株式会社製ハイレスタUP(MCP−HT450型)のUAプローブを用いて10Vの印加電圧にて測定した。
表面抵抗率が1×10Ω/sqを超える場合:三菱化学株式会社製ハイレスタUP(MCP−HT450型)のUAプローブを用いて250Vの印加電圧にて測定した。
(ヘイズ値)
上述の試験片10枚につき、JIS K 7150に従い、スガ試験機社製ヘイズコンピュータHGM−2Bを用いて測定後、試験片10枚の平均値を求めた。
(膜厚)
上述の試験片10枚につき、原子間力顕微鏡(島津製作所株式会社製、SPM−9600)用いて測定後、試験片10枚の平均値を求めた。
(カーボン材料理論含有量)
導電層におけるカーボン材料の含有量は、以下の数式にて算出した:
カーボン材料理論含有量(mg/m)=膜厚(μm)×導電塗料におけるカーボン材料の重量パーセント(固形分比)
Figure 2020021700
実施例の結果、導電層内に長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が数多く存在するほど積層体のヘイズ値が高くなり、透明性は悪化した。また、表面抵抗率についても同様の傾向が見られた。

Claims (7)

  1. 基材上に、カーボン材料を含み、表面抵抗率が1×10〜1×1011Ω/sqである導電層を有する透明導電積層体であって、
    長径が10μm以上かつ短径が2μm以上であるカーボン材料が10個/cm以下であることを特徴とする透明導電積層体。
  2. ヘイズ値が3%以下である、請求項1に記載の透明導電積層体。
  3. カーボン材料がグラフェン、フラーレン及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の透明導電積層体。
  4. 導電層におけるカーボン材料の含有量が50mg/m以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電積層体における導電層を形成するための導電塗料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電積層体を含む表示デバイス。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電積層体を含む調光デバイス。
JP2018146815A 2018-08-03 2018-08-03 透明導電積層体 Pending JP2020021700A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146815A JP2020021700A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 透明導電積層体
CN201910692566.8A CN110797139A (zh) 2018-08-03 2019-07-30 透明导电层积体和透明导电层积体的制造方法
TW108127144A TW202018737A (zh) 2018-08-03 2019-07-31 透明導電積層體及透明導電積層體之製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146815A JP2020021700A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 透明導電積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020021700A true JP2020021700A (ja) 2020-02-06

Family

ID=69588639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018146815A Pending JP2020021700A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 透明導電積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020021700A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006171336A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Takiron Co Ltd 画像表示用透明電極体および画像表示装置
JP2006517485A (ja) * 2003-01-30 2006-07-27 タキロン株式会社 分散した導電層を有する成形体
JP2006248888A (ja) * 2005-02-10 2006-09-21 Toray Ind Inc カーボンナノチューブの製造方法
WO2009008486A1 (ja) * 2007-07-10 2009-01-15 Japan Science And Technology Agency 透明導電性薄膜とその製造方法
JP2012066580A (ja) * 2010-08-18 2012-04-05 Toray Ind Inc 透明導電積層体
US20120213983A1 (en) * 2011-02-22 2012-08-23 Brewer Science Inc. Materials and method utilizing short carbon nanotubes in transparent printed electronics
JP2013065450A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Fujifilm Corp 導電性部材、導電性部材の製造方法、タッチパネル及び太陽電池
WO2014002885A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東レ株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006517485A (ja) * 2003-01-30 2006-07-27 タキロン株式会社 分散した導電層を有する成形体
JP2006171336A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 Takiron Co Ltd 画像表示用透明電極体および画像表示装置
JP2006248888A (ja) * 2005-02-10 2006-09-21 Toray Ind Inc カーボンナノチューブの製造方法
WO2009008486A1 (ja) * 2007-07-10 2009-01-15 Japan Science And Technology Agency 透明導電性薄膜とその製造方法
JP2012066580A (ja) * 2010-08-18 2012-04-05 Toray Ind Inc 透明導電積層体
US20120213983A1 (en) * 2011-02-22 2012-08-23 Brewer Science Inc. Materials and method utilizing short carbon nanotubes in transparent printed electronics
JP2013065450A (ja) * 2011-09-16 2013-04-11 Fujifilm Corp 導電性部材、導電性部材の製造方法、タッチパネル及び太陽電池
WO2014002885A1 (ja) * 2012-06-26 2014-01-03 東レ株式会社 カーボンナノチューブ含有組成物の分散液および導電性成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7412087B2 (ja) コーティング組成物
KR101601988B1 (ko) 탄소나노튜브가 포함된 전도체의 제조 방법
JP7311298B2 (ja) 透明導電塗料
JP4922569B2 (ja) 帯電防止コーティング用組成物、これを塗布してなる帯電防止フィルムおよびその製造方法
TW201209114A (en) Conductive paint composition and method for manufacturing conductive film using the same
US11390761B2 (en) Elastomeric coatings
JP7391530B2 (ja) 透明積層体
JP2017022095A (ja) 導電膜及びその製造方法
JP2016132679A (ja) 導電層形成用組成物、導電積層体、電磁波シールド部材及び立体形状を有する導電積層体の製造方法
Sato et al. A reinforced, high-κ ternary polymer nanocomposite dielectrics of PVDF, barium titanate nanoparticles, and TEMPO-oxidized cellulose nanofibers
TW202018737A (zh) 透明導電積層體及透明導電積層體之製造方法
JP7359588B2 (ja) 透明導電積層体及び透明導電積層体の製造方法
JP6716366B2 (ja) 透明導電性シート及びその製造方法
JP2020021700A (ja) 透明導電積層体
JP7378952B2 (ja) 透明導電膜を有する光学積層体、及びコーティング組成物
JP7237555B2 (ja) 積層体
JP6747545B1 (ja) 積層体
KR20150109514A (ko) 나노 물질 패턴의 제조방법
KR101588287B1 (ko) 나노 물질 패턴의 제조방법
CN111830618A (zh) 层积体
JP2006294455A (ja) 導電性フィルム
JP7391529B2 (ja) 透明積層体
JP2024040119A (ja) 導電性組成物
US9147791B1 (en) Method for fabrication pattern of nano material
JP6750180B1 (ja) 積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180814

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180814

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20181214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190129

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190328

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190328

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191126