JP2020008061A - ダンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンパ装置において、プレートの内周面に接触する摩擦部材の姿勢を安定させ、摩擦部材の損傷や動作不良を抑える。【解決手段】このダンパ装置は、クラッチプレート24と、ハブフランジ21と、複数のトーションスプリング22と、高捩り角度領域ヒステリシストルク発生機構16と、全領域ヒステリシストルク発生機構13と、緩衝部61bと、を備えている。高捩り角度領域ヒステリシストルク発生機構16は、トーションスプリング22の径方向内方においてクラッチプレート24とハブフランジ21との軸方向間に配置されている。全領域ヒステリシストルク発生機構13は、スプラインハブ4の外周面に設けられクラッチプレート24の内周面と摩擦接触する第1摩擦ワッシャ51を有している。緩衝部61bは、第1摩擦ワッシャ51の外周面と所定の隙間をあけて配置されている。【選択図】図9

Description

本発明は、ダンパ装置、特に、入力されたトルクを出力側に伝達するとともに、トルク変動を減衰するダンパ装置に関する。
車輌におけるアイドリング時及び走行時には、例えばエンジンから伝達されるトルク変動に起因する振動及び異音が発生する場合がある。この問題を解決するために、特許文献1に示されるようなダンパ装置が設けられている。
特許文献1のダンパ装置は、クラッチプレートとリティニングプレートの軸方向間にスプラインハブが設けられている。そして、スプラインハブのフランジと各プレートとの間に、トーションスプリングやヒステリシストルクを発生するための摩擦部材、付勢部材等が設けられている。また、スプラインハブのボスの外周面には、ヒステリシストルクを発生するための摩擦ワッシャが設けられている。この摩擦ワッシャは、外周面がクラッチプレートの内周面に接触しており、スプラインハブに対してクラッチプレートのミスアライメントを防止する機能も有している。
特開2009−19746号公報
特許文献1の装置では、クラッチプレートとリティニングプレートの軸方向間にスプラインハブが設けられ、さらにスプラインハブのフランジと各プレートとの間に摩擦部材及び付勢部材が設けられているので、スプラインハブは軸方向に所定の範囲で移動が可能である。
このため、摩擦部材等が摩耗してくると、装置の作動中にスプラインハブが軸方向に大きく移動する場合がある。そして、スプラインハブが軸方向に大きく移動すると、スプラインハブのボス外周面に設けられた摩擦ワッシャが、ボスとクラッチプレートとの間に噛み込むおそれがある。このような状況が発生すると、摩擦ワッシャが損傷したり、摩擦ワッシャの動作不良が発生したりすることになる。
本発明の課題は、ダンパ装置において、プレートの内周面に接触する摩擦部材の姿勢を安定させ、摩擦部材の損傷や動作不良を抑えることにある。
(1)本発明に係るダンパ装置は、入力されたトルクを出力側に伝達するとともに、トルク変動を減衰する装置である。このダンパ装置は、第1回転部材と、第2回転部材と、複数の弾性部材と、第1ヒステリシストルク発生機構と、第2ヒステリシストルク発生機構と、緩衝部材と、を備えている。第1回転部材は環状の第1プレートを有する。第2回転部材は、トランスミッション側の部材に連結可能なハブと、ハブから径方向外方に延び第1プレートと軸方向に対向するフランジと、を有し、第1回転部材と相対回転可能である。複数の弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。第1ヒステリシストルク発生機構は、弾性部材の径方向内方において第1プレートとフランジとの軸方向間に配置され、第1プレートとフランジとの相対回転時に第1ヒステリシストルクを発生する。第2ヒステリシストルク発生機構は、ハブの外周面に設けられ第1プレートの内周面と摩擦接触する環状の第1摩擦部材を有し、第1回転部材と第2回転部材との相対回転時に第2ヒステリシストルクを発生させる。緩衝部材は、第1ヒステリシストルク発生機構に設けられ、第1摩擦部材の外周面と所定の隙間をあけて配置されている。
この装置では、トルク変動によって第1回転部材と第2回転部材とが相対回転し、この際、第1及び第2ヒステリシストルク発生機構によって発生するヒステリシストルクによって、トルク変動が減衰される。このような装置の作動中に、第2回転部材のフランジが軸方向に移動し、第1プレートの内周面と第1摩擦部材とが離れたとしても、緩衝部材によって第1摩擦部材の姿勢が安定する。このため、第1摩擦部材が第1プレートの内周部に噛み込む等の不具合が防止され、第1摩擦部材の損傷や、第1摩擦部材の動作不良を抑えることができる。
(2)好ましくは、第1ヒステリシストルク発生機構は、第1プレートに摩擦接触する環状の摩擦プレートを有している。そして、緩衝部材は、摩擦プレートの内周面に設けられている。
この場合は、第1ヒステリシストルク発生機構を構成する摩擦プレートの内周面に緩衝部材が設けられているので、構成が簡単になる。また、同様の理由により、緩衝部材を設けることによる装置の大型化を避けることができる。
(3)好ましくは、緩衝部材は、軸方向に延び第1摩擦部材の外周面と対向する第1対向部を有している。
ここでは、第1摩擦部材が正規の位置からずれた場合、第1摩擦部材の外周面が緩衝部材の第1対向部に当接する。このため、第1摩擦部材の姿勢が大きく変化するのを抑えることができる。
(4)好ましくは、緩衝部材は、径方向に延び第1摩擦部材の側面と対向する第2対向部を有している。
この場合も、前記同様に、第1摩擦部材が正規の位置からずれた場合、緩衝部材の第2対向部によって、第1摩擦部材の姿勢が大きく変化するのを抑えることができる。
(5)好ましくは、緩衝部材は、第1ヒステリシストルク発生機構を構成する部材よりも高い輻射率を有する。
ここで、第1摩擦部材は熱によって変形する樹脂で形成されることが多い。したがって、第1摩擦部材が摩擦熱によって高温になると、第1摩擦部材が熱変形し、予定した摩擦抵抗が得られない。しかし、ここでは、第1摩擦部材で発生した熱を、高い輻射率を有する緩衝部材によって吸収することで、第1摩擦部材が高温になるのを抑えることができる。
(6)好ましくは、摩擦プレートは、フランジに係合する係合部を有し、フランジと相対回転不能である。
摩擦プレートは摩擦により発熱する。また、第1摩擦部材からの熱が伝達される。しかし、摩擦プレートの係合部はフランジに係合しているので、摩擦プレートの熱を、係合部を介してフランジに直接伝達することができ。したがって摩擦プレートが高温になるのを避けることができる。
(7)好ましくは、緩衝部材は、第1摩擦部材より低い弾性を有する。この場合は、第1摩擦部材が緩衝部材に当接しても、第1摩擦部材が損傷するのを避けることができる。
(8)好ましくは、緩衝部材は、摩擦プレートよりも大きい摩擦係数を有する。この場合は、第1摩擦部材が緩衝部材に当接すると、緩衝部材の表面に対してすべりにくくなる。
(9)好ましくは、第1摩擦部材の第1プレートの内周面に接触する摩擦面は、第1回転部材及び第2回転部材の回転軸線に対して傾斜する傾斜面である。
ここでは、第1プレートの内周面は傾斜面であり、この傾斜面に第1摩擦部材が摩擦接触する。このため、摩擦面積を大きく確保して面圧を小さくすることができ、摩擦部分の摩耗及び発熱を抑えることができる。
また、第1摩擦部材と第1プレートとが傾斜面で当接しているので、第1摩擦部材が装着されたハブに対する第1プレートのミスアライメントを小さくしやすい。
(10)好ましくは、第1摩擦部材の第1プレートの内周面に接触する摩擦面は、径方向外方に膨らむ球面の一部である。
この場合は、第1摩擦部材は第1プレートの球面に接触するので、前記同様に、摩擦面積を大きく確保することができ、摩擦部分の摩耗及び発熱を抑えることができる。また、第1摩擦部材の位置がずれたとしても、球面によって、ハブ(すなわち第2回転部材)と第1プレート(すなわち第1回転部材)とのミスアライメントを抑えることができる。
(11)好ましくは、第1回転部材は、第2回転部材のフランジを挟んで第1プレートと軸方向において対向する第2プレートを有している。また、第2ヒステリシストルク発生機構は、環状の第2摩擦部材と、付勢部材と、を有している。第2摩擦部材は、フランジと第2プレートとの軸方向間に配置され、フランジの側面に摩擦接触する側面を有する。付勢部材は、第2摩擦部材をフランジ側に付勢する。
以上のような本発明では、ダンパ装置において、プレートの内周面に接触する摩擦部材の姿勢を安定させ、摩擦部材の損傷や動作不良を抑えることができる。
本発明の第1実施形態としてのクラッチディスク組立体の縦断面概略図。 クラッチディスク組立体の正面部分図。 クラッチディスク組立体の捩り特性線図。 図1の拡大部分図。 図2の拡大部分図。 図1の拡大部分図。 主に低剛性ダンパの分解斜視図。 図7の一部を示す図。 ヒステリシストルク発生機構の拡大部分図。 本発明の第2実施形態の図9に相当する図。 本発明の第3実施形態の図9に相当する図。 本発明の第4実施形態の図9に相当する図。
図1は、本発明の第1実施形態によるダンパ装置を有するクラッチディスク組立体の断面図である。図1のO−O線は、クラッチディスク組立体1の回転軸線である。このクラッチディスク組立体1は、図1の左側に配置されるエンジン及びフライホイールからのトルクを、図1の右側に配置されるトランスミッションに伝達し、かつトルク変動を減衰する。また、図2はクラッチディスク組立体1の正面部分図である。
[全体構成]
クラッチディスク組立体1は、摩擦係合によりフライホイールからトルクが入力されるクラッチディスク2と、クラッチディスク2から入力されるトルク変動を減衰及び吸収するダンパ機構3(ダンパ装置)と、スプラインハブ4と、を有している。
[クラッチディスク2]
クラッチディスク2は、図示しないプレッシャプレートによってフライホイールに押し付けられる。クラッチディスク2は、クッショニングプレート6と、クッショニングプレート6の両面にリベット7によって固定される1対の摩擦フェーシング8と、を有している。クッショニングプレート6はダンパ機構3の外周部に固定されている。
[ダンパ機構3]
ダンパ機構3は、エンジンから伝達されるトルク変動を効果的に減衰及び吸収するために、図3に示すように、正側(駆動側の回転方向)及び負側において4段の捩り特性を有している。具体的には、捩り特性の正側及び負側において、1段目(L1)領域及び2段目(L2)領域は低捩り剛性及び低ヒステリシストルクの領域であり、3段目(H3)領域及び4段目(H4)領域は高捩り剛性及び高ヒステリシストルクの領域である。
ダンパ機構3は、低剛性ダンパ11と、高剛性ダンパ12と、全領域ヒステリシストルク発生機構(以下、「L−Hヒス発生機構」と記す)13(第2ヒステリシストルク発生機構の一例)と、低捩り角度領域ヒステリシストルク発生機構(以下、「Lヒス発生機構」と記す)14と、中捩り角度領域ヒステリシストルク発生機構(以下、「L2ヒス発生機構」と記す)15と、高捩り角度領域ヒステリシストルク発生機構(以下、「Hヒス発生機構」と記す)16(第1ヒステリシストルク発生機構の一例)と、ストッパ機構17と、を有している。
低剛性ダンパ11は、低捩り角度領域(L1+L2)で作動する。高剛性ダンパ12は、低捩り角度領域よりも捩り角度の大きい高捩り角度領域(H3+H4)で作動する。また、高剛性ダンパ12は低剛性ダンパ11よりも高い捩り剛性を有する。
L−Hヒス発生機構13は、低捩り角度領域(L1+L2)及び高捩り角度領域(H3+H4)の全捩り角度領域においてヒステリシストルクを発生する機構である。Lヒス発生機構14は、低捩り角度領域の全領域(L1+L2)でのみヒステリシストルクを発生する機構である。L2ヒス発生機構15は、2段目の第2捩り角度領域(L2)でのみヒステリシストルクを発生する機構である。Hヒス発生機構16は、高捩り角度領域(H3+H4)でのみヒステリシストルクを発生する機構である。
ストッパ機構17は、入力側の部材であるクラッチディスク2と、出力側の部材であるスプラインハブ4と、の捩り角度(相対回転角度)が所定の角度になると、それ以上の両部材の相対回転角度を禁止する機構である。
<高剛性ダンパ12>
高剛性ダンパ12は、図4に示すように、入力側回転部材20(第1回転部材の一例)と、ハブフランジ21と、複数の高剛性スプリング22と、を有している。
−入力側回転部材20−
入力側回転部材20には、クラッチディスク2を介してエンジンからトルクが入力され、クラッチプレート24(第1プレートの一例)及びリティニングプレート25を有している。
クラッチプレート24及びリティニングプレート25は、実質的に環状に形成され、軸方向に間隔を隔てて配置されている。クラッチプレート24はエンジン側に配置され、リティニングプレート25はトランスミッション側に配置されている。クラッチプレート24及びリティニングプレート25は、外周部がストップピン26によって連結されており、一体で回転する。
クラッチプレート24及びリティニングプレート25には、図2に示すように、それぞれ4個の第1保持部24a,25a及び第2保持部24b,25bが円周方向に間隔を隔てて形成されている。第1保持部24a,25aと第2保持部24b,25bとは円周方向に交互に配置されている。また、リティニングプレート25には、複数の係合孔25cが形成されている。
なお、図2では、リティニングプレート25を示しているが、各保持部24a,24b,24b,25bに関しては、逆側に配置されたクラッチプレート24も同様の構成である。また、図2では、リティニングプレート25の一部を破断して示している。
−ハブフランジ21−
ハブフランジ21は、略円板状の部材であり(図7参照)、スプラインハブ4の外周に配置されている。ハブフランジ21は、クラッチプレート24とリティニングプレート25との軸方向間に配置され、これらの両プレート24,25と所定の角度範囲内で相対回転可能である。図5に示すように、ハブフランジ21とスプラインハブ4とは、互いの内周部及び外周部に形成された複数の歯21c,4cによって噛み合っている。すなわち、ハブフランジ21とスプラインハブ4とが第2回転部材の一例である。なお、互いの歯21c,4cの間には所定の隙間G1が設定されている。すなわち、ハブフランジ21とスプラインハブ4とは、歯21c,4cの隙間G1の角度分(低捩り角度領域(L1+L2)に相当)だけ相対回転が可能である。
ハブフランジ21には、図5に示すように、クラッチプレート24及びリティニングプレート25の第1保持部24a,25a及び第2保持部24b,25bと対向する位置に、それぞれ第1窓孔21a及び第2窓孔21bが形成されている。そして、第1窓孔21aに第1高剛性スプリング22aが収容され、この第1高剛性スプリング22aがクラッチプレート24及びリティニングプレート25の第1保持部24a,25aによって軸方向及び径方向に保持されている。また、第2窓孔21bに第2高剛性スプリング22bが収容され、この第2高剛性スプリング22bがクラッチプレート24及びリティニングプレート25の第2保持部24b,25bによって軸方向及び径方向に保持されている。
なお、クラッチプレート24及びリティニングプレート25の第1保持部24a,25a及び第2保持部24b,25bの円周方向の両端は、各高剛性スプリング22a,22bの端面に係合可能である。
ここで、ハブフランジ21の第1窓孔21aには第1高剛性スプリング22aが、第2窓孔21bには第2高剛性スプリング22bが、それぞれ円周方向に隙間なく配置されている。一方、クラッチプレート24及びリティニングプレート25の第1保持部24a,25aには第1高剛性スプリング22aが円周方向に隙間なく配置されているが、両プレート24,25の第2保持部24b,25bには、第2高剛性スプリング22bが円周方向に隙間G2(図2及び図5参照)を介して配置されている。この隙間G2が3段目の捩り角度分(角度領域H3)に相当している。
なお、ハブフランジ21の第2窓孔21bのそれぞれの内周側には、軸方向に貫通する係合孔21eが形成されている。
以上の構成により、詳細は後述するが、高捩り角度領域H3,H4では、まず第1高剛性スプリング22aのみが圧縮され(H3領域)、その後、第1高剛性スプリング22aに加えて第2高剛性スプリング22bが圧縮される(H4領域)ことになる。
<ストッパ機構17>
ストッパ機構17は、図5に示すように、ハブフランジ21の外周部に形成された複数のストッパ用切欠21dと、前述のストップピン26と、から構成されている。ストッパ用切欠21dは、所定の角度範囲にわたって形成されており、径方向外方に開いている。そして、このストッパ用切欠21dをストップピン26が軸方向に貫通している。
また、切欠21dは、円周方向の両端部が内周側に向かって深く形成され、中央部分が浅く形成されている。この浅い部分の内周側に、第2窓孔21bが形成されている。
<低剛性ダンパ11>
低剛性ダンパ11は、図6及び図7に示すように、サブプレート34及びスプリングホルダ35と、ドライブプレート36と、複数の低剛性スプリング37と、を有している。
−サブプレート34−
サブプレート34は、クラッチプレート24とハブフランジ21との軸方向間に配置され、ほぼ矩形であって、角部が円弧状に形成されている。サブプレート34は、図7に示すように、中央部に円形の開口を有しており、それぞれ2個の第1保持部34a及び第2保持部34bと、4個の第1係合突起34cと、第1係合突起34cより突起長さが短い4個の第2係合突起34dと、環状溝34eと、を有している。
第1保持部34a及び第2保持部34bは、各係合突起34cの内周側に形成されている。4個の第1係合突起34cは、4つの角部外周にハブフランジ21側に突出して形成されている。環状溝34eは第1保持部34a及び第2保持部34bの内周側で、開口部の縁に形成されている。
−スプリングホルダ35−
スプリングホルダ35は、サブプレート34とハブフランジ21との軸方向間で、サブプレート34と間隔をあけて対向して配置されている。スプリングホルダ35はサブプレート34とほぼ同様の形状である。スプリングホルダ35は、中央部に円形の開口を有しており、それぞれ2個の第1保持部35a及び第2保持部35bと、4個のボス部35cと、4個の切欠35dと、を有している。各ボス部35cには切欠35eが形成されている。また、第2保持部35bの円周方向両端には、円周方向に延びる円弧状溝35fが形成されている。
第1保持部35a及び第2保持部35bは、それぞれサブプレート34の第1保持部34a及び第2保持部34bと対向する位置に形成されている。4個のボス部35cは、4つの角部外周に形成されている。この4個のボス部35cの切欠35eにサブプレート34の第1係合突起34cが係合し、さらにボス部35cがハブフランジ21の係合孔21eに係合している。このように、第1係合突起34c及びボス部35cが係合孔21eに圧入されることで、サブプレート34はハブフランジ21に対して軸方向に移動不能になっている。また、切欠35dは、サブプレート34の第2係合突起34dに対応して形成されており、この切欠35dに第2係合突起34dが係合している。
なお、サブプレート34の第1係合突起34cは先端に爪を有していてもよい。この場合、第1係合突起34cの先端部は、切欠35e及びハブフランジ21の係合孔21eを貫通し、先端の爪がハブフランジ21の側面に係合する。これにより、サブプレート34はハブフランジ21に対して軸方向に移動不能となる。
以上のように、サブプレート34とスプリングホルダ35とが、第1係合突起34cと切欠35eとの係合、及び第2係合突起34dと切欠35dとの係合、によって一体化されている。そして、スプリングホルダ35とハブフランジ21とが、第1係合突起34c及びボス部35cと係合孔21eとの係合によって一体化されている。したがって、サブプレート34及びスプリングホルダ35はハブフランジ21と一体に回転する。
−ドライブプレート36−
ドライブプレート36は、サブプレート34とスプリングホルダ35との軸方向間に配置され、サブプレート34及びスプリングホルダ35と所定の角度範囲内で相対回転可能である。ドライブプレート36は、中央部に開口を有しており、それぞれ2個の第1窓孔36a及び第2窓孔36bと、ドライブプレート36の内周面に形成された複数の係合凹部36cと、を有している。
また、第1窓孔36aの内周端部の両側には、それぞれ円周方向に延びる第1係合溝36dが形成されている。第2窓孔36bの内周端部の一方側には、円周方向に延びる第2係合溝36eが形成されている。
第1窓孔36a及び第2窓孔36bは、それぞれサブプレート34及びスプリングホルダ35の第1保持部34a,35a及び第2保持部34b,35bと対向する位置に形成されている。そして、第1窓孔36aに第1低剛性スプリング37aが収容され、この第1低剛性スプリング37aがサブプレート34及びスプリングホルダ35の第1保持部34a,35aによって軸方向及び径方向に保持されている。また、第2窓孔36bに第2低剛性スプリング37bが収容され、この第2低剛性スプリング37bがサブプレート34及びスプリングホルダ35の第2保持部34b,35bによって軸方向及び径方向に保持されている。
なお、サブプレート34及びスプリングホルダ35の第1保持部34a,35a及び第2保持部34b,35bの円周方向の両端は、各低剛性スプリング37a,37bの端面に係合可能である。
ここで、ドライブプレート36の第1窓孔36aには第1低剛性スプリング37aが、第2窓孔36bには第2低剛性スプリング37bが、それぞれ円周方向に隙間なく配置されている。一方、サブプレート34及びスプリングホルダ35の第1保持部34a,35aには第1低剛性スプリング37aが円周方向に隙間なく配置されているが、両部材34,35の第2保持部34b,35bには、第2低剛性スプリング37bが円周方向に隙間を介して配置されている。この隙間が1段目の捩り角度分(低捩り角度領域L1)に相当している。
低剛性スプリング37のバネ定数は、高剛性スプリング22のバネ定数に比べて大幅に小さく設定されている。すなわち、高剛性スプリング22は低剛性スプリング37よりもはるかに剛性が高い。このため、1段目領域(L1)及び2段目領域(L2)では、高剛性スプリング22は圧縮されず、低剛性スプリング37のみが圧縮される。
[スプラインハブ4]
スプラインハブ4は、クラッチプレート24及びリティニングプレート25の内周側に配置されている。スプラインハブ4は、図4及び図6に示すように、軸方向に延びる筒状のボス41と、ボス41から径方向外側に延びるフランジ42と、を有している。ボス41の内周部には、トランスミッションの入力シャフト(図示せず)に係合するスプライン孔4aが形成されている。
ボス41の外周面において、フランジ42のエンジン側には複数の係合凸部4dが形成されている。係合凸部4dはドライブプレート36の係合凹部36cに、実質的に隙間なく係合している。また、フランジ42の外周面には、歯4cが形成されている。図5で説明したように、この歯4cが、ハブフランジ21の歯21cと噛合可能であり、両歯4c,21cの円周方向間には隙間G1が存在する。
<L−Hヒス発生機構13>
L−Hヒス発生機構13は、捩り角度領域の全領域(L1+L2+H3+H4)においてヒステリシストルクHを発生する。
L−Hヒス発生機構13は、図6に示すように、第1摩擦ワッシャ51(第1摩擦部材の一例)と、第2摩擦ワッシャ52と、第1コーンスプリング54と、を有している。
第1摩擦ワッシャ51は、樹脂製であり、スプラインハブ4のボス41の外周において、係合凸部4dの側面とクラッチプレート24の内周端部との間に配置されている。より詳細には、第1摩擦ワッシャ51の外周面において、クラッチプレート24側の角部は、軸方向の外側(クラッチプレート24側)に向かって径が小さくなる傾斜面51aとなっている。また、クラッチプレート24の内周端面は、この傾斜面51aに当接する傾斜面24cとなっている。
第2摩擦ワッシャ52は、樹脂製であり、スプラインハブ4のフランジ42とリティニングプレート25の内周端部との軸方向間に配置されている。第2摩擦ワッシャ52の外周部には、後述する第3摩擦ワッシャ53に係合する係合部(図示せず)を有しており、両部材は一体回転する。
また、第1コーンスプリング54は、第2摩擦ワッシャ52とリティニングプレート25の内周端部との軸方向間に配置され、第2摩擦ワッシャ52とリティニングプレート25とが互いに離れるように、両部材25,52を付勢している。
以上から、クラッチプレート24及びリティニングプレート25と、スプラインハブ4と、が相対回転する全捩り角度領域において、第1摩擦ワッシャ51とクラッチプレート24又はスプラインハブ4との間に摩擦抵抗が発生するとともに、第2摩擦ワッシャ52とスプラインハブ4との間に摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗によって、全捩り角度領域においてヒステリシストルクHが発生する。
<Lヒス発生機構14>
Lヒス発生機構14は、1段目領域及び2段目領域である低捩り角度領域の全領域(L1+L2)でのみヒステリシストルクhLを発生する。
Lヒス発生機構14は、図7に示すように、サブプレート34の環状溝34eに装着された付勢部材としての波線56を有している。波線56は、一部に欠落部を有する環状の線材で形成されている。波線56は、円周方向に所定の間隔で複数の押圧部56aを有している。押圧部56aはドライブプレート36側に突出して形成されており、弾性変形が可能である。また、押圧部56aの先端部は、ドライブプレート36の各窓孔36a,36bに形成された第1及び第2係合溝36d,36eに係合可能である。このように、波線56は、ドライブプレート36に対して相対回転不能であり、かつ環状溝34e内で円周方向に移動可能である。そして、波線56の弾性変形によって、ドライブプレート36がスプリングホルダ35側に付勢されている。
ここで、前述のように、サブプレート34及びスプリングホルダ35はハブフランジ21と一体回転する。また、ドライブプレート36はスプラインハブ4と一体回転する。そして、ハブフランジ21とスプラインハブ4とは、前述のように、隙間G1の角度分だけ相対回転可能である。言い換えれば、ハブフランジ21(スプリングホルダ35と一体回転)とスプラインハブ4(ドライブプレート36と一体回転)とは、捩り特性の1段目領域と2段目領域の低捩り角度領域の全領域(L1+L2)においてのみ相対回転可能である。
そして、スプリングホルダ35とドライブプレート36とは、波線56によって互いに押圧されているので、スプリングホルダ35とドライブプレート36とは低捩り角度の全領域(L1+L2)においてのみ相対回転して摩擦抵抗が生じる。また、波線56とサブプレート34の環状溝34eの底部との間にも摩擦抵抗が生じる。これらの摩擦抵抗によって、ヒステリシストルクhLが発生する。
ここでは、サブプレート34の環状溝34eに波線56が埋め込まれるように装着されているので、軸方向寸法を抑えて、ヒステリシストルク発生機構を実現できる。また、スプリングホルダ35とドライブプレート36との間だけではなく、波線56とサブプレート34の環状溝34eの底部との間にも摩擦抵抗が生じるので、各部における摩擦抵抗を小さくして所望のヒステリシストルクが得られる。したがって、各部の磨耗を抑えることができる。
<L2ヒス発生機構15>
L2ヒス発生機構15は、2段目の捩り角度領域(L2)でのみヒステリシストルクhL2を発生する。
L2ヒス発生機構15はウェーブスプリング60を有している。ウェーブスプリング60は、軸方向に弾性変形可能な環状の弾性体であり、軸方向に圧縮された状態でスプラインハブ4のフランジ42とスプリングホルダ35との間に配置されている。ウェーブスプリング60は、ハブフランジ21及びスプリングホルダ35に当接しており、ハブフランジ21に対して回転すると摩擦抵抗を発生する。
図8に、ウェーブスプリング60及びその周辺の部材を抽出して示している。ウェーブスプリング60は、環状の本体部60aと、本体部60aから径方向外側へ延びる2対の爪部60bと、を有している。爪部60bの先端部は、軸方向に折り曲げられており、スプリングホルダ35に形成された円弧状溝35fを通過して第2低剛性スプリング37bの両端部に当接している。2つの爪部60b間の円周方向の距離は、第2低剛性スプリング37bの自由長とほぼ一致している。これにより、第2低剛性スプリング37bによりウェーブスプリング60の円周(回転)方向の位置決めが行われるとともに、第2低剛性スプリング37b及びウェーブスプリング60は一体で回転可能となっている。なお、溝35fの円周方向の距離は、2つの爪部60b間の円周方向の距離より長い。
また、本体部60aの内周部には、複数の係合凹部60cが形成されている。係合凹部60cは、スプラインハブ4の係合凸部4dに所定の隙間を介して係合している。この隙間が、1段目の捩り角度領域(L1)の角度分に相当している。したがって、1段目領域ではウェーブスプリング60によるヒステリシストルクは発生しないが、2段目領域(L2)でのみウェーブスプリング60によるヒステリシストルクhL2が得られる。
<Hヒス発生機構16>
Hヒス発生機構16は、3段目領域及び4段目領域である高捩り角度領域(H3+H4)でのみヒステリシストルクhHを発生する。
Hヒス発生機構16は、図4及び図6に示すように、サブプレート34に装着された環状の第1摩擦材61(サブプレート34及び第1摩擦材61が摩擦プレートの一例である)と、環状の第2摩擦材62を有する第3摩擦ワッシャ53と、第2コーンスプリング64と、を有している。
第1摩擦材61は、サブプレート34のエンジン側の側面に固定されており、サブプレート34とともにハブフランジ21と一体回転する。そして、第1摩擦材61は、クラッチプレート24の内周部の側面に当接可能である。また、第1摩擦材61は、図9に拡大して示すように、断面がL字状に形成されている。
より詳細には、第1摩擦材61は、摩擦部61a及び緩衝部61b(緩衝部材の一例)を有している。第1摩擦材61は、例えば、熱可塑性エラストマー等の樹脂材料で形成されており、第1摩擦ワッシャ51よりも弾性が低く、かつ摩擦係数が大きい。また、第1摩擦材61は、Hヒス発生機構16を構成する他の部材よりも、高い輻射率を有している。
摩擦部61aは、クラッチプレート24の側面に摩擦接触する部分であり、円板状に形成されている。緩衝部61bは、摩擦部61aの内周端からリティニングプレート25側に軸方向に延びている。緩衝部61bは、第1摩擦ワッシャ51の外周面に対して、径方向に所定の隙間をあけて対向する位置に配置されている。
第3摩擦ワッシャ53は、ハブフランジ21内周部とリティニングプレート25内周部との間に配置されており、リティニングプレート25側に突出する複数の係合突起53aを有している。この係合突起53aがリティニングプレート25の係合孔25cに係合している。したがって、第3摩擦ワッシャ53はリティニングプレート25と一体回転する。第2摩擦材62は、第3摩擦ワッシャ53のハブフランジ21側の側面に固定され、ハブフランジ21の内周部の側面に摩擦接触する。
第2コーンスプリング64は、第3摩擦ワッシャ53とリティニングプレート25との間に配置されている。第2コーンスプリング64は、第3摩擦ワッシャ53とリティニングプレート25とを、両者が軸方向に互いに離れる方向に付勢している。したがって、第2コーンスプリング64により、第1摩擦材61とクラッチプレート24とが互いに押圧され、第2摩擦材62とハブフランジ21とが互いに押圧される。
以上から、クラッチプレート24及びリティニングプレート25と、ハブフランジ21と、が相対回転する高捩り角度領域の全領域(H3+H4)において、第1摩擦材61とクラッチプレート24との間、及び第2摩擦材62とハブフランジ21との間において摩擦抵抗が生じる。これらの摩擦抵抗によって、ヒステリシストルクhHが発生する。
以上をまとめると、図3に示すように、各角度領域では以下のようなヒステリシストルクが発生する。
1段目領域(L1):H(L−Hヒス発生機構13)+hL(Lヒス発生機構14)
2段目領域(L2):H+hL+hL2(L2ヒス発生機構15)
3段目領域及び4段目領域(H3+H4):H+hH(Hヒス発生機構16)
以上のヒステリシストルク発生機構13〜16によるヒステリシストルクについて、低捩り角度領域(L1+L2)におけるL−Hヒス発生機構13によるヒステリシストルクHと、Lヒス発生機構14によるヒステリシストルクhLと、の割合は、ヒステリシストルクhLが50%以上であることが望ましい。
[動作]
本実施形態のクラッチディスク組立体1の捩り特性は、角度範囲の大きさは異なるが基本的に正側と負側とで対称である。したがって、ここでは正側のみの動作を説明し、負側の動作についての説明は省略する。
<1段目>
伝達トルク及びトルク変動が小さい場合は、本装置は捩り特性の1段目(L1)で作動する。この1段目では、剛性の低い第1及び第2低剛性スプリング37a,37bのうち、自由長が長い第1低剛性スプリング37aのみが圧縮される。このため、サブプレート34及びスプリングホルダ35と、ドライブプレート36と、が相対回転する。一方で、第1及び第2高剛性スプリング22a,22bは剛性が高いためにほとんど圧縮されない。したがって、入力側回転部材20(クラッチプレート24及びリティニングプレート25)とハブフランジ21とは一体回転する。
以上から、捩り特性の1段目では、{入力側回転体2+ハブフランジ21+サブプレート34+スプリングホルダ35}が一体回転し、これらの部材に対して{ドライブプレート36+スプラインハブ4}が回転する。
この場合は、L−Hヒス発生機構13によるヒステリシストルクHと、Lヒス発生機構14によるヒステリシストルクhLとが発生する。具体的には、第1摩擦ワッシャ51とクラッチプレート24又はスプラインハブ4との間、及び第2摩擦ワッシャ52とスプラインハブ4との間、において摩擦抵抗が発生する。また、同時に、波線56とドライブプレート36との間、及びドライブプレート36とスプリングホルダ35との間においても摩擦抵抗が発生する。
なお、ウェーブスプリング60は爪部60bが第2低剛性スプリング37bに係合しているので、この1段目ではウェーブスプリング60は自由に回転し得る状態であり、ウェーブスプリング60とハブフランジ21との間には摩擦抵抗は発生しない。
<2段目>
伝達トルク又はトルク変動がより大きくなると、第1低剛性スプリング37aが圧縮されつつ、さらに自由長の短い第2低剛性スプリング37bも圧縮され始める。第1低剛性スプリング37aと第2低剛性スプリング37bとは並列に配置されているので、第2低剛性スプリング37bが圧縮され始めると、第1低剛性スプリング37aのみが圧縮されている場合(1段目)に比較して捩り剛性は高くなる。すなわち、捩り特性の2段目に移行する。
この2段目においては、1段目と同様のヒステリシストルク発生機構13,14に加えて、L2ヒス発生機構15が作動する。
すなわち、1段目と同様の部材間に摩擦抵抗が発生するとともに、ウェーブスプリング60とハブフランジ21との間においても摩擦抵抗が発生する。具体的には、第2低剛性スプリング37bが圧縮されると、第2低剛性スプリング37bが圧縮された分だけウェーブスプリング60がハブフランジ21に対して回転し、両部材60,21間に摩擦抵抗が発生する。したがって、2段目においては、1段目と同様のヒステリシストルクH+hLに加えて、ウェーブスプリング60とハブフランジ21との間の摩擦抵抗によるヒステリシストルクhL2が発生する。
<3段目>
伝達トルク又はトルク変動がさらに大きくなると、第1及び第2低剛性スプリング37a,37bがさらに圧縮され、スプラインハブ4に対して入力側回転部材20がさらに回転する。すると、ハブフランジ21の歯21cとスプラインハブ4の歯4cとが当接し、ハブフランジ21とスプラインハブ4とは一体に回転することになる。この状態では、第1及び第2低剛性スプリング37a,37bは先の状態以上に圧縮されることはなく、高剛性スプリング22のうちの自由長の長い第1高剛性スプリング22aの圧縮が開始される。第1高剛性スプリング22aは第1及び第2低剛性スプリング37a,37bよりも剛性が高いので、2段目よりもさらに高い3段目の捩り剛性が得られる。
3段目においては、第1高剛性スプリング22aが圧縮されるので、入力側回転部材20とハブフランジ21(及びスプラインハブ4)との間で相対回転が発生する。一方で、リティニングプレート25と第3摩擦ワッシャ53とは一体回転し、ハブフランジ21とサブプレート34とは一体回転する。したがって、この3段目では、L−Hヒス発生機構13及びHヒス発生機構16が作動する。
すなわち、第3摩擦ワッシャ53に固定された第2摩擦材62とハブフランジ21との間で摩擦抵抗が発生する。また、サブプレート34に固定された第1摩擦材61とクラッチプレート24との間で摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗によって、ヒステリシストルクhHが発生する。すなわち、合計でヒステリシストルクH+hHが発生する。
ここで、この3段目では、サブプレート34及びスプリングホルダ35と、ドライブプレート36と、は相対回転せず、これらの部材の間では摩擦抵抗は発生しない。すなわち、Lヒス発生機構14及びL2ヒス発生機構15は作動しない。
<4段目>
伝達トルク又はトルク変動がさらに大きくなると、第1高剛性スプリング22aが圧縮されつつ、さらに自由長の短い第2高剛性スプリング22bも圧縮され始める。第1高剛性スプリング22aと第2高剛性スプリング22bとは並列に配置されているので、第2高剛性スプリング22bが圧縮され始めると、第1高剛性スプリング22aのみが圧縮されている場合(3段目)に比較して捩り剛性は高くなる。すなわち、捩り特性の4段目に移行する。
この4段目において、相対回転する部材は3段目と同様であり、L−Hヒス発生機構13及びHヒス発生機構16が作動し、ヒステリシストルクH+hHが得られる。
<第1摩擦ワッシャ51の姿勢変動>
スプラインハブ4は、クラッチプレート24とリティニングプレート25との軸方向間に配置されている。また、スプラインハブ4とリティニングプレート25との間には第1コーンスプリング54が配置されている。したがって、装置の作動中には、スプラインハブ4は軸方向に移動する。特に、各部の摩耗が大きくなると、スプラインハブ4の軸方向の移動も大きくなる。このような状況では、スプラインハブ4とクラッチプレート24との軸方向間の隙間が大きくなり、第1摩擦ワッシャ51の姿勢が大きく変動するおそれがある。
しかし、第1摩擦ワッシャ51の外周面と対向するように第1摩擦材61の緩衝部61bが配置されているので、第1摩擦ワッシャ51の姿勢が変動すると、緩衝部61bによってその動きが規制される。このため、装置の作動中に、第1摩擦ワッシャ51が正規の位置からずれてセットされることが防止され、第1摩擦ワッシャ51の損傷が抑えられ、また第1摩擦ワッシャ51の動作不良を抑えることができる。
また、第1摩擦材61は第1摩擦ワッシャ51より低い弾性を有するので、第1摩擦ワッシャ51が第1摩擦材61の緩衝部61bに当接しても、第1摩擦材61が損傷するのを避けることができる。さらに、緩衝部61bは第1摩擦材61よりも大きい摩擦係数を有しているので、第1摩擦ワッシャ51が緩衝部61bに当接しても、第1摩擦ワッシャ51がすべりにくく、第1摩擦ワッシャ51の姿勢が変動するのを抑えることができる。
ここで、第1摩擦ワッシャ51はクラッチプレート24と摩擦接触するので、第1摩擦ワッシャ51は発熱する。第1摩擦ワッシャ51で発生した熱は、高い輻射率を有する第1摩擦材61の緩衝部61bによって吸収される。また、第1摩擦材61自体もクラッチプレート24と摩擦接触するので、発熱する。これらの熱は、第1摩擦材61が固定されたサブプレート34の第1係合突起34cを介してハブフランジ21に直接伝達される。このため、第1摩擦ワッシャ51及び第1摩擦材61が高温になるのを抑えることができる。
また、第1摩擦ワッシャ51はクラッチプレート24の内周端面に傾斜面で当接しているので、摩擦面積を大きく確保することができる。このため、面圧を比較的小さくでき、摩耗及び発熱を抑えることができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)図10に緩衝部材の第2実施形態を示している。この例では、第1摩擦材70は、摩擦部70aと、第1対向部70bと、第2対向部70cと、を有している。
摩擦部70aは第1実施形態の摩擦部61aに相当し、第1対向部70bは第1実施形態の緩衝部61bに相当している。すなわち、摩擦部70aは、円板状に形成され、クラッチプレート24の側面に当接可能である。第1対向部70bは、摩擦部70aの内周端からリティニングプレート25側に軸方向に延び、第1摩擦ワッシャ51の外周面に対して、径方向に所定の隙間をあけて対向する位置に配置されている。また、第2対向部70cは、第1対向部70bの先端から径方向内方に延び、第1摩擦ワッシャ51の側面と所定の隙間をあけて対向して配置されている。
このような実施形態では、第1対向部70b及び第2対向部70cによって、第1摩擦ワッシャ51の姿勢変動をより抑えることが可能になる。
(b)図11に緩衝部材の第3実施形態を示している。この例では、第1摩擦材72は、摩擦部72a及び緩衝部72bを有している。摩擦部72aは前記実施形態における摩擦部61aと同様である。緩衝部72bは、摩擦部72aの内周端から、径方向内方に、かつリティニングプレート25側に向かって傾斜している。
一方、この例では、第1摩擦ワッシャ74は、外周面の両方の角部に傾斜面を有している。すなわち、第1摩擦ワッシャ74の外周面には、クラッチプレート24側の角部と、リティニングプレート25側の角部の両方に、中央部から側方に向かって径が小さくなる第1傾斜面74a及び第2傾斜面74bを有している。そして、第1傾斜面74aはクラッチプレート24の内周端面に接触し、第2傾斜面74bは緩衝部72bに所定の隙間を介して対向している。
このような実施形態によっても、前記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(c)図12に第4実施形態を示している。この第4実施形態は、クラッチプレート及び第1摩擦ワッシャの構成が異なっている。ここでは、クラッチプレート76の内周端面76aは、径方向の斜め外方に凹む球面に一部である。また、第1摩擦ワッシャ78の外周面の角部、すなわちクラッチプレート76の内周端面76aに接触する摩擦面78aは、径方向外方に膨らむ球面の一部である。
このように、クラッチプレート76の内周端面76aと第1摩擦ワッシャ78の外周面の一部である摩擦面78aとを球面の一部とし、それらを摩擦接触させることにより、スプラインハブ4に対するクラッチプレート76を含む構成部分のミスアライメントをより小さくすることができる。
(d)前記実施形態では、4段の捩り特性を有するクラッチディスク組立体に本発明を適用したが、捩じり特性の段数は限定されない。ダンパ装置を有するすべての動力伝達装置に本発明を同様に適用することができる。
(e)各ヒステリシストルク発生機構で発生するヒステリシストルクの大きさは限定されない。求められる捩じり特性に応じてヒステリシストルクの大きさを適宜変更が可能である。
(f)上記の各実施形態を、各々組み合わせて採用することができる。
1 クラッチディスク組立体
2 クラッチディスク
3 ダンパ機構
4 スプラインハブ
12 高剛性ダンパ
13 全領域(L−H:第2)ヒステリシストルク発生機構
16 高捩り角度領域(H:第1)ヒステリシストルク発生機構
21 ハブフランジ
24,76 クラッチプレート
25 リティニングプレート
34 サブプレート
34c 第1係合突起
51,74,78 第1摩擦ワッシャ
61,70,72 第1摩擦材
61b 緩衝部
70b 第1対向部
70c 第2対向部

Claims (11)

  1. 駆動源からのトルクをトランスミッション側に伝達するとともに、トルク変動を減衰するダンパ装置であって、
    環状の第1プレートを有する第1回転部材と、
    前記トランスミッション側の部材に連結可能なハブと、前記ハブから径方向外方に延び前記第1プレートと軸方向に対向するフランジと、を有し、前記第1回転部材と相対回転可能な第2回転部材と、
    前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材と、
    前記弾性部材の径方向内方において前記第1プレートと前記フランジとの軸方向間に配置され、前記第1プレートと前記フランジとの相対回転時に第1ヒステリシストルクを発生する第1ヒステリシストルク発生機構と、
    前記ハブの外周面に設けられ前記第1プレートの内周面と摩擦接触する環状の第1摩擦部材を有し、前記第1回転部材と前記第2回転部材との相対回転時に第2ヒステリシストルクを発生させる第2ヒステリシストルク発生機構と、
    前記第1ヒステリシストルク発生機構に設けられ、前記第1摩擦部材の外周面と所定の隙間をあけて配置された緩衝部材と、
    を備えたダンパ装置。
  2. 前記第1ヒステリシストルク発生機構は、前記第1プレートに摩擦接触する環状の摩擦プレートを有し、
    前記緩衝部材は、前記摩擦プレートの内周面に設けられている、
    請求項1に記載のダンパ装置。
  3. 前記緩衝部材は、軸方向に延び前記第1摩擦部材の外周面と対向する第1対向部を有している、請求項1又は2に記載のダンパ装置。
  4. 前記緩衝部材は、径方向に延び前記第1摩擦部材の側面と対向する第2対向部を有している、請求項3に記載のダンパ装置。
  5. 前記緩衝部材は、前記第1ヒステリシストルク発生機構を構成する部材よりも高い輻射率を有する、請求項1から3のいずれかに記載のダンパ装置。
  6. 前記摩擦プレートは、前記フランジに係合する係合部を有し、前記フランジと相対回転不能である、請求項2に記載のダンパ装置。
  7. 前記緩衝部材は、前記第1摩擦部材より低い弾性を有する、請求項1から6のいずれかに記載のダンパ装置。
  8. 前記緩衝部材は、前記摩擦プレートよりも大きい摩擦係数を有する、請求項1から7のいずれかに記載のダンパ装置。
  9. 前記第1摩擦部材の前記第1プレートの内周面に接触する摩擦面は、前記第1回転部材及び第2回転部材の回転軸線に対して傾斜する傾斜面である、請求項1から8のいずれかに記載のダンパ装置。
  10. 前記第1摩擦部材の前記第1プレートの内周面に接触する摩擦面は、径方向外方に膨らむ球面の一部である、請求項1から8のいずれかに記載のダンパ装置。
  11. 前記第1回転部材は、前記第2回転部材のフランジを挟んで前記第1プレートと軸方向において対向する第2プレートを有し、
    前記第2ヒステリシストルク発生機構は、
    前記フランジと前記第2プレートとの軸方向間に配置され、前記フランジの側面に摩擦接触する側面を有する環状の第2摩擦部材と、
    前記第2摩擦部材を前記フランジ側に付勢する付勢部材と、
    を有する、
    請求項2に記載のダンパ装置。
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