JP2019172476A - 導電性ナノファイバ部材、燃料電池用部材、燃料電池、及び導電性ナノファイバ部材の製造方法 - Google Patents

導電性ナノファイバ部材、燃料電池用部材、燃料電池、及び導電性ナノファイバ部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性の確保、触媒担持能の向上、及びひび割れの抑制が可能な導電性ナノファイバ部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、複数の繊維状のカーボンナノファイバ21で構成されたカーボンナノファイバ部材2を備え、カーボンナノファイバ部材2は、複数の細孔21aを有し、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm3/g以上であるように構成されている。また、本発明において、アノード電極42の触媒層421及びカソード電極43の触媒層431の少なくとも一方は、導電性ナノファイバ部材1で構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、導電性ナノファイバ部材、燃料電池用部材、燃料電池、及び導電性ナノファイバ部材の製造方法に関する。
導電性ナノファイバ部材は、導電性を有するカーボンナノファイバの集合体(例えばシート状の部材)である。導電性ナノファイバ部材は、例えば、燃料電池用部材として用いることができる。例えば特開2012−188790号公報には、電界紡糸法を用いたカーボンナノファイバの製造方法が記載されている。
特開2012−188790号公報
ここで、導電性ナノファイバ部材を例えば電池等の実用部材として用いる場合、導電性を有するとともに、触媒を担持しやすい構成であることが好ましい。つまり、導電性ナノファイバ部材には、少なくとも、導電性の確保とともに、担体としての性能(触媒担持能)の向上が望まれる。換言すると、導電性ナノファイバ部材に対して、電池部品のような実用部材として適した構成・性能を実現することが望まれる。また、従来の触媒層(燃料電池の電極構成要素)は、ひび割れが入りやすく、耐久性の面でも改良の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、導電性を確保、触媒担持能の向上、及びひび割れの抑制が可能な導電性ナノファイバ部材及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、これら導電性ナノファイバ部材を用いた燃料電池用部材及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の態様1に係る導電性ナノファイバ部材は、複数の繊維状のカーボンナノファイバで構成されたカーボンナノファイバ部材を備え、前記カーボンナノファイバ部材は、複数の細孔を有し、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成されている。
本発明の態様2に係る導電性ナノファイバ部材は、複数の繊維状のカーボンナノファイバで構成されたカーボンナノファイバ部材を備え、前記カーボンナノファイバ部材は、複数の細孔を有し、BJH法による解析で得られる結果において、細孔径4nm以上30nm以下の範囲に、細孔容積のピークを複数持つように構成されている。
本発明の態様3に係る導電性ナノファイバ部材の製造方法は、カーボンナノファイバの集合体である導電性ナノファイバ部材の製造方法であって、電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液を作成する溶液作成工程と、電界紡糸法により前記混合溶液から繊維状物で構成されたシート状の堆積層を形成する堆積層形成工程と、前記堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理を行う一次焼成工程と、前記一次焼成工程の後の前記堆積層から前記無機鋳型を除去し、前記堆積層に複数の細孔を形成する細孔形成工程と、前記細孔形成工程の後の前記堆積層に対して、前記一次焼成よりも高温で二次焼成を行う二次焼成工程と、を含み、前記無機鋳型は、平均粒径が4nm以上8nm以下である無機材料を含み、前記二次焼成工程後の前記堆積層は、触媒が担持されていない状態において、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成されることを特徴とする。
また、本発明の態様4に係る導電性ナノファイバ部材の製造方法は、カーボンナノファイバの集合体である導電性ナノファイバ部材の製造方法であって、電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液を作成する溶液作成工程と、電界紡糸法により前記混合溶液から繊維状物で構成されたシート状の堆積層を形成する堆積層形成工程と、前記堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理を行う一次焼成工程と、前記一次焼成工程の後の前記堆積層から前記無機鋳型を除去し、前記堆積層に複数の細孔を形成する細孔形成工程と、前記細孔形成工程の後の前記堆積層に対して、前記一次焼成よりも高温で二次焼成を行う二次焼成工程と、を含み、前記無機鋳型が、平均粒径が異なる複数の無機材料で構成されていることを特徴とする。
本発明の態様1、3によれば、導電性ナノファイバ部材が繊維状のカーボンナノファイバで構成されているため、粒子状のカーボンで構成された集合体よりも1つの導体(カーボン)の導電距離が長く、電気抵抗が小さくなり、良好な導電性が確保される。また、細孔径4〜8nmの細孔容積が大きいため、平均粒径が小さい触媒の担持に適する構成が実現される。また、カーボンナノファイバ部材は、長さを持つカーボンナノファイバの集合体であるため、製造時に焼成されても、粒子状カーボンの集合体に比べてひび割れが生じにくい。このように、本発明の態様1、3によれば、導電性ナノファイバ部材において、導電性の確保、触媒担持能の向上、及びひび割れの抑制が可能となる。
また、本発明の態様2、4によれば、カーボンナノファイバ部材に対し、機能別に細孔径が異なる複数種類の細孔を持たせることができる。このため、導電性の確保及び触媒担持能の向上が可能な上、燃料電池等の実用部材に適した構成を実現することができる。換言すると、細孔を担持させたい触媒に応じた細孔を形成することができる上、電子や流体の移動性を向上させるための細孔も同時に形成することができる。
本実施形態の導電性ナノファイバ部材を示す概念図である。 本実施形態のカーボンナノファイバ及び触媒を示す概念図である。 本実施形態の導電性ナノファイバ部材の製造方法を説明するためのフローチャートである。 本実施形態の燃料電池の構成を示す概念図である。 実施例1における高比表面積カーボンナノファイバシートの走査型電子顕微写真である。 実施例1における白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの透過型電子顕微写真である。 実施例1における白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの透過型電子顕微写真である。 実施例1、2の細孔容積分布を示す図である。 実施例3〜5の細孔容積分布を示す図である。 ピークを説明するための参考図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、図1、図2、及び図4は、説明のための概念図であり、多数ある部分(カーボンナノファイバや細孔)については、形状表記や符号が一部省略されている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の導電性ナノファイバ部材1は、カーボンナノファイバ21の集合体であって、シート状に形成されている。導電性ナノファイバ部材1は、導電性を有する不織布やシート部材といえる。詳細に、導電性ナノファイバ部材1は、複数の繊維状のカーボンナノファイバ21で構成されたシート状のカーボンナノファイバ部材2と、カーボンナノファイバ21に担持された触媒3と、を備えている。
カーボンナノファイバ部材2は、複数の細孔21aを有し、BJH法による解析で得られる細孔径4〜8nmの細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成されている。カーボンナノファイバ部材2は、全細孔容積が0.6cm/g以上であり、且つ細孔径4〜30nmの間に細孔容積のピークを少なくとも1つ持つように構成されている。
ピークとは、縦軸を微分細孔容積(cm/g/nm)とし横軸を細孔径(nm)とした細孔容積分布(細孔分布曲線)において、凸状に表れる部分(曲線)であり、ピークの頂点(最大値)が0.04cm/g/nm以上であるものをいう。さらに、図10に示すように、細孔容積分布において、ピークの頂点P1から横軸値が小さくなる側に向かい最初に縦軸値が0又は極小値となる点を第1基点r1とし、同じピークの頂点P1から横軸値が大きくなる側に向かい最初に縦軸値が0又は極小値となる点を第2基点r2とする。この場合、第1基点r1及び第2基点r2のうち縦軸値が大きい方を基準点(ここでは第2基準点r2)として、当該基準点における縦軸値とピークの頂点P1の縦軸値との差が、0.008(cm/g/nm)以上であるものを「ピーク」とする。
また、本明細書において、粒径、繊維径、及び細孔径は、各対象の直径を意味している。また、本明細書において、「数値Z1〜数値Z2」又は「数値Z1から数値Z2」との記載は、「数値Z1以上数値Z2以下」を意味する。
カーボンナノファイバ部材2は、ラマン分光測定により得られるD3/G比が1.0以下であるように構成されている。カーボンナノファイバ21は、平均繊維径が50nmから150nmであるように構成されている。カーボンナノファイバ21は、平均アスペクト比が5以上であるように構成されている。本実施形態では、明確に粒子状でないといえる平均アスペクト比が5以上のものを繊維状と称している。カーボンナノファイバ部材2は、BET比表面積が300m/g以上であるように構成されている。なお、上記各種数値は、カーボンナノファイバ部材2又はカーボンナノファイバ21に対するものであり、触媒3が担持されていないものが対象である。
触媒3は、カーボンナノファイバ21の表面及び細孔21aに担持されている。触媒3は、担持率が30wt%以上において、透過型電子顕微鏡で測定される平均粒径が5nm以下であるように構成されている。触媒3の平均粒径は、表面積拡大の観点から小さいことが好ましく、また非溶解の観点から小さすぎないほうが良く、2nm以上5nm以下であることが好ましい。触媒は、遷移金属触媒であり、チタン、コバルト、鉄、ニッケル、銅、ジルコニア及び白金からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
(製造方法)
ここで、導電性ナノファイバ部材1の製造方法について説明する。各工程は、作業者が各種装置を用いて実行される。図3に示すように、まず、電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液が作成される(S101)。無機鋳型は、付与したい細孔径に応じて選択される。本実施形態では、無機鋳型として、複数種類の鋳型、すなわち平均粒径が4〜8nmの第1無機鋳型と、第1無機鋳型より大きい平均粒径(例えば10〜24nm)の第2無機鋳型とを用いている。そして、当該混合溶液を用いて電界紡糸法(エレクトロスピニング法)により、繊維状物で構成されたシート状の堆積層が作成される(S102)。
続いて、堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理が行われる(S103)。具体的に、焼成処理は、耐炎化・不融化処理としての焼成と、炭化処理としての一次焼成とを含む。一次焼成は、例えば1000℃以下で行われる。そして、当該焼成後の堆積層に対して、酸又はアルカリ溶液による無機鋳型の除去が行われる(S104)。こうして、カーボンナノファイバ21に複数の細孔21aが形成され、多孔体であるカーボンナノファイバシートが得られる。
そして、当該カーボンナノファイバシートに対して、黒鉛化処理(高結晶化処理)としての二次焼成が行われる(S105)。これにより、シート状のカーボンナノファイバ部材2が形成される。二次焼成は、例えば1200〜2800℃の範囲で行われ、カーボンナノファイバ部材2の耐久性及び導電性を向上させることができる。二次焼成により、D3/G比が1.0以下の導電性ナノファイバ部材1(カーボンナノファイバ部材2)が作成される。ここで、例えば従来のような粒子状のカーボンで構成された多孔体に対して、当該二次焼成を行うと、体積がおよそ1/4以下となり、細孔もほとんどが消滅した。しかしながら、上記製造方法によれば、二次焼成後も細孔が維持される。最後に、カーボンナノファイバ部材2に対して、触媒3を担持させる(S106)。これにより、導電性ナノファイバ部材1が製造される。
まとめると、導電性ナノファイバ部材1の製造方法は、電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液を作成する溶液作成工程と、電界紡糸法により混合溶液から繊維状物で構成されたシート状の堆積層を形成する堆積層形成工程と、堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理を行う一次焼成工程と、一次焼成工程の後の堆積層から無機鋳型を除去し、堆積層に複数の細孔を形成する細孔形成工程と、細孔形成工程の後の堆積層に対して一次焼成よりも高温で二次焼成を行う二次焼成工程と、を含み、無機鋳型は、平均粒径が4〜8nmの無機材料を含む。また、無機鋳型は、平均粒径が異なる複数の無機材料で構成されている。さらに、当該製造方法は、二次焼成工程の後に、堆積層の細孔に担持可能な触媒を担持させる触媒担持工程を含む。なお、堆積層(1)の外形状は、図1を参照することができる。
(燃料電池用部材)
導電性ナノファイバ部材1は、燃料電池用部材として用いることが好ましい。燃料電池は、供給される水素と酸素を反応させて、化学反応エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置である。図4に示すように、本実施形態の燃料電池9は、固体高分子形燃料電池であって、燃料電池用部材4と、燃料電池用部材4を挟むように配置されたセパレータ5、6と、を備えている。燃料電池用部材4は、膜・電極接合体(MEA)であって、電解質層41と、電解質層41の一方側に配設されたアノード電極42と、電解質層41の他方側に配設されたカソード電極43と、を備えている。電解質層41は、高分子電解質膜(PEM)である。
アノード電極42は、水素が送り込まれる燃料極であって、触媒層421と、ガス拡散層422と、を備えている。触媒層421は、電池反応の反応場となる層であり、電解質層41に接合されている。触媒層421は、電解質層41とガス拡散層422との間に配置されている。ガス拡散層(GDL)422は、多孔質で導電性を有するものであり、水素を均一に触媒層421に行き渡らせるための層である。
カソード電極43は、空気(酸素)が送り込まれる空気極であって、触媒層431と、ガス拡散層432と、を備えている。触媒層431は、電池反応の反応場となる層であり、電解質層41を介してアノード電極42と対向するように、電解質層41に接合されている。触媒層431は、電解質層41とガス拡散層432との間に配置されている。ガス拡散層(GDL)432は、多孔質で導電性を有するものであり、空気を均一に触媒層431に行き渡らせるための層である。
本実施形態において、アノード電極42の触媒層421及びカソード電極43の触媒層431の少なくとも一方は、導電性ナノファイバ部材1で構成されている。なお、各電極42、43は、触媒層421、431とガス拡散層422、432との間に撥水層を備えていてもよい。セパレータ5、6は、ガスの流路を形成する導電部材であって、例えば表面に複数の溝が形成されている。セパレータ5はアノード電極42側に配置され、セパレータ6はカソード電極43側に配置されている。
(効果)
本実施形態によれば、導電性ナノファイバ部材1が全体として繊維状のカーボンナノファイバ21で構成されているため、粒子状のカーボンで構成された導電性部材よりも1つの導体(カーボン)の導電距離が長く、電気抵抗が小さくなり、良好な導電性が確保される。また、細孔径4〜8nmの細孔容積が大きいため、平均粒径が小さい触媒の担持に適している。触媒について、平均粒径を小さくすることで触媒全体としての表面積を大きくすることができるため、触媒機能の観点から平均粒径はある程度小さいことが好ましい。本実施形態は、このような好適な触媒(例えば平均粒径2〜5nm)の担持に適している。触媒は、自身の粒径よりも大きな細孔内に担持され、活性の観点からも自身よりある程度大きい細孔に担持されることが好ましい。また、カーボンナノファイバ部材2は、長さを持つカーボンナノファイバ21の集合体であるため、製造時に焼成されても、粒子状カーボンの集合体に比べてひび割れが生じにくい。このように、本実施形態によれば、導電性の確保、触媒担持能の向上、及びひび割れの抑制が可能となる。また、4〜8nmの細孔には、小さい粒径の触媒が高い耐久性をもって担持されやすい。したがって、本実施形態によれば、触媒の活性及び耐久性も向上させることができる。
また、カーボンナノファイバ部材2は、全細孔容積が0.6cm/g以上であり、且つ細孔径4nm以上30nm以下の範囲に細孔容積のピークを少なくとも1つ持つ構成であるため、触媒担持能だけでなく、細孔を介したガスや水の移動性が向上する。導電性ナノファイバ部材1が燃料電池用部材として用いられた場合には、反応ガスの透過性が向上し、反応で生成される水の排出が良好となる。
また、カーボンナノファイバ部材2は、ラマン分光測定により得られるD3/G比が1.0以下であるように構成されている。このため、化学的耐久性が高く、サイクル試験における触媒活性の低下を抑えることができる。
また、カーボンナノファイバ21の平均繊維径が50nm以上150nm以下であるため、カーボンナノファイバ21内部の中心部に入り込んで有効に機能しにくい触媒の発生が抑制され、触媒効率を高めることができる。また、燃料電池用部材としては、繊維径が大きいことにより空間(繊維間の隙間)が増大し、電子が流れにくくなることが抑制され、繊維系が小さいことにより空間が微小となり、反応ガスが流れにくくなることが抑制される。つまり、導電性ナノファイバ部材1が燃料電池用部材により適した構成となる。
また、カーボンナノファイバ21の平均アスペクト比が5以上であるため、明らかに粒子状ではなく、より方向性を持った形状となり、例えば二次焼成のような高温処理(高結晶化処理)を施しても、体積が小さくなりにくく、細孔も維持されやすい。さらに、二次焼成により、耐久性及び導電性は向上する。このように、本実施形態によれば、狙った径の細孔を多数作成しやすく、その分カーボンナノファイバ部材2の体積が小さくても有効な性能を発揮させることができ、且つ耐久性及び導電性を向上させることができる。
また、本実施形態は、カーボンナノファイバ部材2のBET比表面積が300m/g以上であるため、触媒が担持しやすく、燃料電池用部材などの実用部品として適している。また、担持される触媒の平均粒径が、担持率が30wt%以上の高濃度担持において、5nm以下であるため、高い触媒活性を実現することができる。また、燃料電池用部材4によれば、上記特徴を有する導電性ナノファイバ部材1により、発電特性に優れ小型で高性能の燃料電池を提供することができる。
また、細孔径が異なる複数種類の細孔を形成できることで、導電性ナノファイバ部材1に対して、触媒の担持に適した細孔や、ガスや水の移動に適した細孔(比較的径が大きい細孔)など、狙った機能に応じた複数種類の細孔を持たせることができる。つまり、本実施形態によれば、適用する機器(燃料電池等)に適した構成を作成することができる。また、本実施形態の製造方法によれば、特に燃料電池に適した導電性ナノファイバ部材が作成されるが、当該導電性ナノファイバ部材は燃料電池以外の機器(例えば二次電池等)に適用されてもよい。
なお、触媒3が担持されていない導電性ナノファイバ部材1、すなわちカーボンナノファイバ部材2も、導電性の確保及び触媒担持能の向上を可能とする部材といえる。また、カーボンナノファイバ部材2は、細孔21aや導電性を有するとともに、二次焼成による耐久性も有するため、そのまま又は細かくして、燃料電池の他の部材(例えばガス拡散層や撥水層)としても用いることができる。
以下、導電性ナノファイバ部材1及び燃料電池用部材4について、さらに詳細に説明する。説明において、「高比表面積カーボンナノファイバシート」は、カーボンナノファイバ部材2に相当する。
高い化学的耐久性を持つ高比表面積カーボンナノファイバシートの製造方法は、電界紡糸法により有機材料あるいは有機・無機混合材料含有溶液を、コレクタ板あるいは回転ドラムコレクタ上に向けて噴射して繊維状物の堆積層を形成する工程と、繊維状物の堆積層を1000℃以下で焼成したのち水蒸気等によるふ活処理、あるいは、酸またはアルカリ溶液による無機鋳型除去により得られる高比表面積ナノファイバシートを得る工程と、高比表面積ナノファイバシートを1000℃以上の高温で焼成することにより高い化学的耐久性を持つ高比表面積カーボンナノファイバシートを生成させる工程を含む。
電界紡糸可能な有機材料としては、特に限定されるものではなく、その具体例としては、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ピッチ、およびポリエチレングリコール等が挙げられ、これらは単独あるいは2種類以上組み合わせて用いても良い。また、有機材料を溶解する溶媒としては、有機材料の種類に応じて選択されるが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、およびメタールやエタノール等のアルコール類などが挙げられる。
添加可能な無機材料としては、特に限定されるものではなく、具体的には二酸化ケイ素分散液、二酸化セリウム分散液、酸化亜鉛分散液等が挙げられ、これらは単独あるいは2種類以上組み合わせて用いても良い。また、前記無機材料の分散溶解液としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、およびメタールやエタノール等のアルコール類などが挙げられる。
カーボンナノファイバシートはカーボンナノファイバの集合体であるが平均繊維径が150nm以下である。これにより、比表面積及び触媒層の密度が高く、触媒担持能力及び導電性の高いカーボンナノファイバシートを得ることができる。
電界紡糸法は、有機材料含有溶液が噴射されるノズルに15kV以上の高電圧を印加すると、有機材料含有溶液がコレクタに向けて吐出され、電界中でナノファイバとなり、コレクタ上に堆積する。
電界紡糸法において、印加電圧とノズルとコレクタの距離を適正に保つことでナノファイバが形成される。また、有機材料成分の違いや、有機材料溶液の濃度、回転ドラムコレクタの回転速度、添加剤の有無により、所望の平均直径のナノファイバが得られる。
前記有機材料含有溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、有機材料の組成により異なるが、3から10質量%の範囲が好ましい。溶液中の有機材料濃度が3質量%を下回ると繊維化しないことが多く、10質量%を上回ると繊維径が太くなりすぎてしまう。
添加する無機鋳型の濃度としては、特に限定されるものではなく、有機材料の組成により異なるが、紡糸液の0.1から15質量%であることが好ましい。0.1質量%を下回ると添加無機材料の効果が薄く、15質量%を上回ると繊維としての維持が難しくなる。
また、無機鋳型としては、特に限定するものではないが、有機材料に用いた溶剤と同様の溶剤にナノ分散されているものがこのましい。無機鋳型に固体から用いると凝集体を分散させることが難しく、満足いく細孔を繊維に付与することが難しく、繊維強度も低下することがある。また、細孔径が4から8nmの細孔を付与するには平均粒径が4から8nmのものが好ましく、細孔径が10nm以上の細孔を付与するには、平均粒径が10nm以上のものを用いるのが好ましい。つまり、作成目標の細孔径に応じた平均粒径の無機鋳型が選択される。
続いて、得られたナノファイバシートを耐炎・不融化処理及び一次焼成処理してカーボンナノファイバシートを得る。耐炎・不融化処理は酸素の存在する雰囲気下で、室温から250から300℃まで昇温し、その後同温度で30分から3時間程度保持することで行われる。一次焼成処理は耐炎化・不融化処理の後、窒素やアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で500から1000℃の範囲のある温度まで徐々に昇温し、その後同温度で0から60分間程度保持することで行われる。
続いて、得られた一次焼成カーボンナノファイバシートを処理することにより多孔体とする。その方法は特に限定されるものではないが、水蒸気ふ活処理や無機鋳型の除去により行われる。水蒸気ふ活処理は700から900℃の範囲で1分から1時間の範囲で10mLから1Lの水量で処理することが望ましい。温度が700℃を下回ったり、処理時間が10分を下回ったり、水量が10mLを下回ると処理効果が低くなる。その一方で、温度が900℃を超えたり、処理時間が1時間を超えたり水分量が1Lを超えたりすると処理時間が増大したり、過剰な処理となりコストが大きくなりすぎる。また、無機鋳型の除去については酸やアルカリ水溶液を用いて除去することができる。
続いて、得られた高比表面積を有する一次焼成カーボンナノファイバシートを二次焼成することにより、化学的耐久性及び導電性の高い高比表面積カーボンナノファイバシートを得ることができる。二次焼成温度範囲は特に限定されるものではないが、1200から2800℃の範囲で行われる。1200℃を下回ると耐久性及び導電性が低くなり、2800℃を上回ると細孔が失われ比表面積が低下する。
このようにして得られた高比表面積カーボンナノファイバシートは、繊維径が50から150nm程度であり、300m/g以上の高い比表面積を有しており、また、優れた金属触媒担持能力を示す。上述の高比表面積カーボンナノファイバシートはこのまま、あるいは、粉砕機で粉砕してアスペクト比5以上のカーボンロッドとしても用いることができる。
高比表面積カーボンナノファイバシートに担持する燃料電池用触媒としては、金属酸化物や合金を含む金属触媒や、カーボンアロイ触媒等が挙げられるが、本発明においては金属触媒が適している。金属触媒の具体例としては、白金、金、銀、パラジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、クロム等の遷移金属、及びそれらの合金等が挙げられ、その中でも白金や白金合金が好ましい。
上記触媒の担持方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができるが、本実施形態においては析出沈殿法を用いることが好ましい。また、担持前処理として高比表面積カーボンナノファイバシートに、硫酸や硝酸などの無機酸単独、あるいは混合して得られる混酸やオゾンによる表面処理を施すことが好ましい。これにより、溶液還元法による触媒担持において、高比表面積カーボンナノファイバシートへの触媒担持率の向上、及び触媒の高分散化が可能となる。
本実施形態の膜・電極接合体(膜電極接合体)は、上述した燃料電池用部材を、電解質層の両側に配置されたアノード電極及びカソード電極の少なくとも一方に用いるものである。また、膜・電極接合体の一構成要素である電解質層(電解質膜)には、一般的に、高分子電解質膜が用いられる。高分子電解質膜としては、パーフルオロスルホン酸膜や、スルホン酸基を有する炭化水素系電解質膜等が挙げられる。
上記膜・電極接合体の製造方法としては特に限定されるものではないが、一般的熱加圧等により電極と高分子電解質膜とガス拡散層とを一体化する手法をとることができる。例えば、Nafion(登録商標)等のプロトン伝導高分子溶液を、高比表面積カーボンナノファイバシートに付与した後、カーボンペーパー等のガス拡散層と高分子電解質膜との間に、プロトン伝導高分子溶液が付与された高比表面積カーボンナノファイバシートを挟み込み、熱加圧等により一体化する。
このように、本実施形態よれば、多くの細孔を有しており、かつ、高比表面積を有するカーボンナノファイバシートを用いた、導電性、物質透過性、及び耐久性に優れ、触媒層作製時に割れの生じない燃料電池触媒用部材(電極、担体)を提供することができる。本実施形態によれば、導電性ナノファイバ部材1を燃料電池用電極として使用することにより、発電特性に優れ小型で高性能かつ高耐久性の膜・電極接合体、及びそれを備える燃料電池を提供することができる。
本発明者らは、鋭意研究の結果、燃料電池用電極を構成する炭素材料として電界紡糸法により得られるナノファイバを炭化焼成すること、並びに、このカーボンナノファイバ外面及び内面に遷移金属等の触媒担持能に優れる細孔を多く付与すること、さらには、そのナノファイバ内の細孔分布を制御することにより、上記構成を実現できることを見出し、本発明の完成に至った。
本実施形態の燃料電池用部材4は、平均繊維径が50nmから150nmであり、かつ、粉砕機などにより平均アスペクト比を5以上で調整することのできるカーボンナノファイバからなる燃料電池用電極であって、カーボンナノファイバ21は、BJH解析により得られる4nmから8nmの細孔容積が0.2cm/g以上かつBET比表面積が300m/g以上であることを特徴とし、ファイバ表面及びメソ孔表面に触媒が担持されることを特徴とする。
(実施例の説明)
(1)高比表面積カーボンナノファイバシートの形態観察、及びカーボンナノファイバの平均繊維径の測定
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6010 PLUS/LA)を用いて、高比表面積カーボンナノファイバシートを撮影した電子顕微鏡写真から無作為に100箇所を選択し、カーボンナノファイバの側面から繊維径を測定し、それらすべての測定結果の平均値を平均繊維径とした。
(2)金属触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの透過型電子顕微鏡による形態観察
金属触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの形態観察は、電界放出型透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM−2100F)を用いて行った。
(3)白金担持量の測定
金属触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの白金担持量の測定は、示差熱天秤(株式会社リガク製、Thermo plus TG8120)を用いて測定した。
(4)BET比表面積の測定
カーボンナノファイバシートあるいはカーボンブラックの比表面積は自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、BELSORP−mini II)にて、吸着ガスに窒素ガスを用いて行った。
[実施例1]
(1)電界紡糸溶液の調製
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.5、ナノシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックスXSより調製)3.5、N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)90.0の質量割合で混合し、電界紡糸溶液を調製した。当該ナノシリカは、無機鋳型として機能し、細孔直径およそ4〜6nmの細孔の作成に寄与する。
(2)電界紡糸
上記で得られた電界紡糸液を、電界紡糸装置を用いて回転ドラムコレクタを用い電界紡糸した。
(3)耐炎化・不融化処理
上記のとおり得られたナノファイバシートを、酸素存在雰囲気下で室温から230℃まで3時間で昇温し、その後3時間で300℃まで昇温し、そこで1時間保持することで耐炎化・不融化処理をした。
(4)一次焼成処理
耐炎化・不融化処理後のナノファイバシートを、一次焼成処理し、一次焼成カーボンナノファイバシートを得た。昇温条件は、室温から600℃まで昇温し、600℃で1時間保持した。焼成は窒素ガス気流下で行った。
(5)鋳型除去処理
得られた一次焼成カーボンナノファイバシートを水酸化ナトリウム水溶液中に浸し、処理した。アルカリ処理後ろ別し、残渣を水酸化ナトリウム水溶液、純水、酢酸水溶液、純水の順で洗浄した。その後残渣を乾燥して鋳型が除去された一次焼成カーボンナノファイバシートを得た。
(6)二次焼成処理
得られた鋳型が除去された一次焼成カーボンナノファイバシートを脱脂炉にて、不活性ガス気流下で、1800℃、1時間の二次焼成処理を施し、高比表面積カーボンナノファイバシート得た。
得られた高比表面積カーボンナノファイバシートを走査型電子顕微鏡で観察した。図5に高比表面積カーボンナノファイバシート(カーボンナノファイバ部材2)の走査型電子顕微鏡写真を示す。平均繊維径は132nmであった。また、BET比表面積を測定したところ440m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.31m/gであり、全細孔容積は0.67m/gであった。また、体積抵抗率は0.1Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.4であった。
(7)析出沈殿法による白金触媒担持
高比表面積カーボンナノファイバについては、あらかじめ湿式法により各フレーク片が数十μm程度となるまで粉砕し担持に供した。超純水495mLとエタノール5mLの混合溶液中に、上記の方法によりフレーク化した高比表面積カーボンナノファイバーフレーク100mgを投入、超音波処理を30分行い、溶液中に均一に分散させた。その分散溶液中へ、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸エタノールアミン溶液(白金濃度:100g/L)500μLを添加し、加熱撹拌した。液温が80℃に達した後、1.75mol/L酢酸水溶液を、24回に分け、計960μL添加した。酢酸添加後、液温を80℃で保持し2時間反応させた。反応終了後、溶液を吸引ろ過し、処理した高比表面積カーボンナノファイバを80℃で1時間乾燥させた。処理後高比表面積カーボンナノファイバを再度水495mL・エタノール5mLの溶液に再分散させ、この分散溶液を50℃まで加熱し、撹拌しながらギ酸1.2mLを加えてそのまま2時間反応させ、還元処理を行った。その後、再度吸引ろ過により試料をろ別し、水洗後80℃で1時間乾燥させ、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを得た。得られた白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートの白金重量含有率は33±1%であり、ほぼ仕込んだ白金の全てが担持されていた。
得られた白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを透過電子顕微鏡にて観察した結果を図6及び図7に示す。図6及び図7に示されるように、ナノファイバ上に白金触媒が高密度かつ高分散に担持されていることが確認された。
(8)膜・電極接合体の作製
白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートと、ナフィオン(登録商標)溶液を混合し、ジルコニアビーズを用いた撹拌によりカソード用触媒インクを調製した。得られたカソード用触媒インクを、転写基材表面に白金量が0.1g/cmになるように塗布、乾燥し、カソード用触媒層転写シートを作製した。このとき、触媒層に割れは観察されなかった。
また、白金担持カーボン(市販の30%白金担持カーボン)と、ナフィオン(登録商標)溶液を混合し、ジルコニアビーズを用いた撹拌によりアノード用触媒インクを調製した。得られたアノード用触媒インクを、転写基材表面に白金量が0.05g/cmになるように塗布、乾燥し、アノード用触媒層転写シートを作製した。
上記の方法にて作製したカソード用触媒層転写シート、及びアノード用触媒層転写シートを用い、高分子電解質膜の片側の面にカソード用触媒層、もう一方の面にアノード用触媒層を熱加圧により転写し、さらに、2枚のカーボンペーパーで挟み込み膜・電極接合体を作製した。
(9)発電特性評価
上記の方法にて作製した膜・電極接合体を用いて単セルを作製し、燃料電池の電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は1.06g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は3.14g/kWであった。条件は、単セル:1cmセル(エフシー開発社製、ND−1)、セル温度:80℃、評価装置:FC評価試験装置(株式会社東陽テクニカ製、AutoPEM)、アノード:水素0.5L/min、湿度100%RH、カソード:空気1.0L/min、湿度100%RHである。
[実施例2]
実施例1の(6)二次焼成処理の前に、水蒸気ふ活処理を次の通り施し、それ以外は実施例1と同様に行った。
(水蒸気ふ活処理)
鋳型が除去された一次焼成カーボンナノファイバシートをメッシュ状カーボン板上に敷き、850℃、60分間の水蒸気ふ活処理を施し、水蒸気ふ活処理カーボンナノファイバシートを得た。処理は窒素気流下で、水量50mLの条件で行った。
その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は103nmであった。また、BET比表面積を測定したところ1058m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.60m/gであり、全細孔容積は1.48m/gであった。また、体積抵抗率は0.1Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.4であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は1.43g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.81g/kWであった。
[実施例3]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックスXSより調製)3.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルMA−ST−Mより調製)1.0
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)90.0
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。後者のナノシリカも無機鋳型として機能し、細孔直径およそ20〜25nmの細孔の作成に寄与する。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。
その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は112nmであった。また、BET比表面積を測定したところ503m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.33m/gであり、全細孔容積は1.04m/gであった。また、体積抵抗率は0.11Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.5であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.98g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は9.75g/kWであった。
[実施例4]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックスXSより調製)2.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルMA−ST−Mより調製)2.0
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)90.0
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。後者のナノシリカも無機鋳型として機能し、細孔直径およそ20〜25nmの細孔の作成に寄与する。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。
その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は107nmであった。また、BET比表面積を測定したところ394m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.20m/gであり、全細孔容積は1.00m/gであった。また、体積抵抗率は0.10Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.7であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.22g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は9.55g/kWであった。
[実施例5]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックスXSより調製)2.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルTOL−STより調製)4.0
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)88.0
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。後者のナノシリカも無機鋳型として機能し、細孔直径およそ10〜15nmの細孔の作成に寄与する。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。
その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は114nmであった。また、BET比表面積を測定したところ490m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.20m/gであり、全細孔容積は1.35m/gであった。また、体積抵抗率は0.12Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.7であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は1.67g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は7.07g/kWであった。
[比較例1]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)7.0
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)93.0
また、実施例1の(4)一次焼成処理において、室温から800℃まで昇温し、800℃で1時間保持した。また、実施例1の(5)鋳型除去処理は行わなかった。これら以外は実施例2と同様に処理を行った。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は49nmであった。また、BET比表面積を測定したところ194m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.04m/gであり、全細孔容積は0.35m/gであった。また、体積抵抗率は0.2Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.3であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は3.51g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は17.0g/kWであり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例2]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルTOL−STより調製)3.5
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)90.5
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は125nmであった。また、BET比表面積を測定したところ383m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.09m/gであり、全細孔容積は1.17m/gであった。また、体積抵抗率は0.10Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.5であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は3.51g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は17.0g/kWであり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例3]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製オルガノシリカゾルMA−ST−Mより調製)3.5
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)90.5
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は110nmであった。また、BET比表面積を測定したところ219m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.04m/gであり、全細孔容積は1.00m/gであった。また、体積抵抗率は0.10Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.7であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は3.12g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は22.3g/kWであり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例4]
実施例1の(1)電界紡糸溶液の調製において、電界紡糸液を次の質量割合で調製した。
ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)6.0
ナノシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックスXSより調製)1.0
N,N−ジメチルホルムアミド(キシダ化学株式会社製)93.0
これ以外は実施例1と同様に処理を行った。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、得られた高比表面積カーボンナノファイバシートの平均繊維径は75nmであった。また、BET比表面積を測定したところ170m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.13m/gであり、全細孔容積は0.34m/gであった。また、体積抵抗率は0.07Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は0.8であった。また、白金触媒を担持した高比表面積カーボンナノファイバシートを用いてカソード電極を作製した際の割れは見られず、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.88g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は21.0g/kWであり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例5]
カソード用触媒インク作製(実施例1の(8)参照)において、カソード用として、市販のカーボンブラックであるケッチェンブラックEC300Jに実施例1の(7)析出沈殿法による白金触媒担持に従って白金を担持した白金担持カーボンブラックを用いて、膜・電極接合体を作製した。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、BET比表面積を測定したところ795m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.11m/gであり、全細孔容積は1.11m/gであった。また、体積抵抗率は0.3Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は1.3であった。カソード電極を作製した際に割れが観察された。また、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は1.87g/kWであった。この初期のカソード白金使用料については、比較例5が実施例3、4よりも優れた値となっているが、比較例5では割れが生じており、耐久性の面で課題がある。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は15.0g/kWであり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例6]
比較例6では、比較例5と異なる点として、カソード用に、市販のカーボンブラックであるケッチェンブラックEC300Jを窒素雰囲気で1800℃・1時間の熱処理を施したものに実施例1の(7)析出沈殿法による白金を担持した白金担持カーボンブラックを用いて、膜・電極接合体を作製した。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、BET比表面積を測定したところ153m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.04m/gであり、全細孔容積は1.01m/gであった。また、体積抵抗率は0.5Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は1.1であった。カソード電極を作製した際に割れが観察された。また、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.57g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は30g/kW以上であり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
[比較例7]
カソード用触媒インク作製(実施例1の(8)参照)において、カソード用として、市販のカーボンブラックであるバルカンXC−72Rに実施例1の(7)析出沈殿法による白金触媒担持に従って白金を担持した白金担持カーボンブラックを用いて、膜・電極接合体を作製した。
ついで、実施例1と同様の方法で、燃料電池の発電特性評価を実施した。その結果、BET比表面積を測定したところ221m/gであった。さらにBJH解析で得られる4から8nmの細孔容積は0.03m/gであり、全細孔容積は0.55m/gであった。また、体積抵抗率は0.7Ω・cmであった。またラマン分光測定によるD3/G比は2.2であった。カソード電極を作製した際に割れが観察された。また、発電特性評価を行ったところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は2.74g/kWであった。また、1.0V保持3秒、0.6V保持3秒を1サイクルとした電位サイクル試験を10,000回行ったあとの電流−電圧特性を測定したところ、電圧0.8V時の出力密度におけるカソード白金使用量は30g/kW以上であり、実施例1から5に比べて劣っており、十分な特性が得られなかった。
上記実施例1〜5及び比較例1〜7の評価結果のまとめを表1に示す。BET比表面積は、300m/g以上が好ましく、350m/g以上がより好ましく、さらに390m/g以上であればより確実に効果が発揮される。図8に示すように、実施例1(実線)及び実施例2(破線)は、細孔径4nm以上30nm以下の範囲に細孔容積のピークを1つ持つように構成されている。また、図9に示すように、実施例3(一点鎖線)、実施例4(実線)、及び実施例5(破線)は、細孔径4nm以上30nm以下の範囲に細孔容積のピークを複数持つように構成されている。実施例3、4は2つのピークを持ち、実施例5は4つのピークを持っている(実施例5は、大きく見て2つの大ピークを持つともいえる)。実施例1〜5によれば、優れた白金使用量が実現され、触媒担持能の向上が確認できた。また、実施例1〜5及び比較例1〜4では、カソード電極として電界紡糸法による繊維状カーボンナノファイバの集合体が用いられており、粒子状のカーボンブラック(比較例5〜7)よりも良好な導電性が確保された。実施例1〜5では、電界紡糸溶液の調製(溶液作成工程)において、細孔直径4〜6nmの細孔の作成に寄与する無機鋳型(ナノシリカ)の質量割合が、2.0以上となっている。細孔直径4〜6nmに寄与する当該無機鋳型の質量割合は、強度担保の観点から、2以上10以下であることが好ましい。また、実施例1〜5及び比較例1〜4では、ひび割れが発生しなかった。
本発明は、上記実施形態に限られない。
1…導電性ナノファイバ部材、2…カーボンナノファイバ部材(導電性ナノファイバ部材)、21…カーボンナノファイバ、21a…細孔、3…触媒、4…燃料電池用部材、41…電解質層、42…アノード電極、421…触媒層、422…ガス拡散層、43…カソード電極、431…触媒層、432…ガス拡散層、5、6…セパレータ、9…燃料電池
本発明の態様1に係る導電性ナノファイバ部材は、複数の繊維状のカーボンナノファイバで構成されたカーボンナノファイバ部材を備え、前記カーボンナノファイバ部材は、複数の細孔を有し、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成され、細孔径4nm以上8nm以下の細孔は、前記カーボンナノファイバ部材の表面に位置する複数の細孔と、前記カーボンナノファイバ部材の内部に位置し前記表面に位置する細孔を介して外部に連通する複数の細孔と、を含む。
また、本発明の態様4によれば、カーボンナノファイバ部材に対し、機能別に細孔径が異なる複数種類の細孔を持たせることができる。このため、導電性の確保及び触媒担持能の向上が可能な上、燃料電池等の実用部材に適した構成を実現することができる。換言すると、細孔を担持させたい触媒に応じた細孔を形成することができる上、電子や流体の移動性を向上させるための細孔も同時に形成することができる。


Claims (19)

  1. 複数の繊維状のカーボンナノファイバで構成されたカーボンナノファイバ部材を備え、
    前記カーボンナノファイバ部材は、複数の細孔を有し、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成されている導電性ナノファイバ部材。
  2. 前記カーボンナノファイバ部材は、BJH法による解析で得られる結果において、全細孔容積が0.6cm/g以上であり、且つ細孔径4nm以上30nm以下の範囲に細孔容積のピークを少なくとも1つ持つように構成されている請求項1に記載の導電性ナノファイバ部材。
  3. 前記カーボンナノファイバ部材は、ラマン分光測定により得られるD3/G比が1.0以下であるように構成されている請求項1又は2に記載の導電性ナノファイバ部材。
  4. 前記カーボンナノファイバは、平均繊維径が50nm以上150nm以下であるように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材。
  5. 前記カーボンナノファイバは、平均アスペクト比が5以上であるように構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材。
  6. 前記カーボンナノファイバ部材は、BET比表面積が300m/g以上であるように構成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材。
  7. 前記カーボンナノファイバの表面及び前記細孔に担持された触媒を備える請求項1〜6の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材。
  8. 前記触媒は、担持率が30wt%以上において、透過型電子顕微鏡で測定される平均粒径が5nm以下であるように構成されている請求項7に記載の導電性ナノファイバ部材。
  9. 前記触媒は、遷移金属触媒である請求項7又は8に記載の導電性ナノファイバ部材。
  10. 前記遷移金属触媒は、チタン、コバルト、鉄、ニッケル、銅、ジルコニア及び白金からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む請求項9に記載の導電性ナノファイバ部材。
  11. 前記カーボンナノファイバ部材は、BJH法による解析で得られる結果において、全細孔容積が0.6cm/g以上であり、且つ細孔径4nm以上30nm以下の範囲に細孔容積のピークを複数持つように構成されている請求項1〜10の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材。
  12. 複数の繊維状のカーボンナノファイバで構成されたカーボンナノファイバ部材を備え、
    前記カーボンナノファイバ部材は、複数の細孔を有し、BJH法による解析で得られる結果において、細孔径4nm以上30nm以下の範囲に、細孔容積のピークを複数持つように構成されている導電性ナノファイバ部材。
  13. 電解質層と、前記電解質層の一方側に配設されたアノード電極と、前記電解質層の他方側に配設されたカソード電極と、を備える燃料電池用部材であって、
    前記アノード電極の触媒層及びカソード電極の触媒層の少なくとも一方は、請求項7〜12の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材で構成されている燃料電池用部材。
  14. 請求項13に記載の燃料電池用部材を備える燃料電池。
  15. カーボンナノファイバの集合体である導電性ナノファイバ部材の製造方法であって、
    電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液を作成する溶液作成工程と、
    電界紡糸法により前記混合溶液から繊維状物で構成されたシート状の堆積層を形成する堆積層形成工程と、
    前記堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理を行う一次焼成工程と、
    前記一次焼成工程の後の前記堆積層から前記無機鋳型を除去し、前記堆積層に複数の細孔を形成する細孔形成工程と、
    前記細孔形成工程の後の前記堆積層に対して、前記一次焼成よりも高温で二次焼成を行う二次焼成工程と、
    を含み、
    前記無機鋳型は、平均粒径が4nm以上8nm以下である無機材料を含み、
    前記二次焼成工程後の前記堆積層は、触媒が担持されていない状態において、BJH法による解析で得られる細孔径4nm以上8nm以下の細孔容積が、0.2cm/g以上であるように構成される導電性ナノファイバ部材の製造方法。
  16. 前記無機鋳型は、平均粒径が異なる複数の無機材料で構成されている請求項15に記載の導電性ナノファイバ部材の製造方法。
  17. カーボンナノファイバの集合体である導電性ナノファイバ部材の製造方法であって、
    電界紡糸可能な有機材料と、無機材料で構成された鋳型である無機鋳型とを含む混合溶液を作成する溶液作成工程と、
    電界紡糸法により前記混合溶液から繊維状物で構成されたシート状の堆積層を形成する堆積層形成工程と、
    前記堆積層に対して一次焼成を含む焼成処理を行う一次焼成工程と、
    前記一次焼成工程の後の前記堆積層から前記無機鋳型を除去し、前記堆積層に複数の細孔を形成する細孔形成工程と、
    前記細孔形成工程の後の前記堆積層に対して、前記一次焼成よりも高温で二次焼成を行う二次焼成工程と、
    を含み、
    前記無機鋳型は、平均粒径が異なる複数の無機材料で構成されている導電性ナノファイバ部材の製造方法。
  18. 前記二次焼成の焼成温度は、1200℃以上2800℃以下である請求項15〜17の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材の製造方法。
  19. 前記二次焼成工程の後に、前記堆積層の表面及び前記細孔に触媒を担持させる触媒担持工程を含む請求項15〜18の何れか一項に記載の導電性ナノファイバ部材の製造方法。
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