JP2019171230A - 水処理装置およびその起動方法 - Google Patents

水処理装置およびその起動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含水溶液から淡水をドロー溶液に透過させる水処理装置において、安定して起動させつつ、定常状態になるまでの起動時間を短縮すること。【解決手段】含水溶液から曇点を有するドロー溶液に、半透膜を介して水を移動させて希釈ドロー溶液として流出するとともに、濃縮含水溶液を排出する正浸透手段と、希釈ドロー溶液を曇点以上の温度に加熱する加熱手段と、加熱された希釈ドロー溶液を、水リッチ溶液と低含水ドロー溶液とに分離する水分離手段と、を備える水処理装置を起動させる起動方法であって、低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った水分離手段の下流側かつ正浸透手段の上流側と、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った加熱手段の上流側かつ正浸透手段の下流側とを連通する循環流路を設け、水分離手段に貯留されたドロー溶液を、循環流路を通じて加熱手段に供給して曇点以上の温度に加熱させる。【選択図】図1

Description

本発明は、溶媒として水を含む含水溶液から水を抽出する水処理装置およびその起動方法に関する。
従来、海水、河川水、または工業排水などを被処理水(フィード溶液)とし、被処理水よりも浸透圧の高い液体を誘引溶液(ドロー溶液)として、半透膜を介してドロー溶液と被処理水とを接触させることにより、被処理水から淡水をドロー溶液に透過させる水処理装置が知られている。
この水処理装置において、ドロー溶液として温度感応性物質を用いる場合、淡水が移動して希釈された希釈ドロー溶液を加熱し、加熱による分相によって希釈ドロー溶液から淡水を分離する。淡水が分離されて引き抜かれたドロー溶液は、冷却された後に改めて含水溶液と接触される再生ドロー溶液として再利用される。例えば、特許文献1には、2つの流路に分岐されたそれぞれの低温の希釈ドロー溶液と、高温の再生ドロー溶液および淡水との間で熱交換を行う水処理装置が開示されている。
特開2017−18952号公報
しかしながら、上述した従来技術による水処理装置においては、冷却機構が設けられておらず、高温になった再生ドロー溶液の冷却が不十分になるという問題があった。そこで、本発明者は、水処理装置において、外部から供給された水などの回収液を低い温度に冷却した冷却液として流出可能に構成した冷却塔を備えた構成を案出した。これによって、冷却や加熱に要する消費エネルギーを抑制して、エネルギー収支を安定化することが可能になる。
上述した水処理装置における消費エネルギーの抑制およびエネルギー収支の安定化は、水処理装置が安定して稼働している定常状態を想定している。この点、水処理装置を最初に起動させる際には、水処理装置における系全体の温度は定常状態とは異なる。そのため、水処理装置の稼働を開始する起動においては、系内の熱のバランスが崩れることから、水処理装置を起動後から定常状態になるまでに長い時間を要したり、起動が困難になったりする場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、含水溶液から淡水をドロー溶液に透過させる水処理装置において、安定して起動させつつ、定常状態になるまでの起動時間を短縮することができる水処理装置およびその起動方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る水処理装置は、溶媒として水を含む含水溶液から曇点を有するドロー溶液に、半透膜を介して水を移動させて前記ドロー溶液を希釈させた希釈ドロー溶液として流出するとともに、前記含水溶液を濃縮させた濃縮含水溶液として排出可能に構成された正浸透手段と、前記希釈ドロー溶液を前記曇点以上の温度に加熱可能に構成された加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記希釈ドロー溶液を、水リッチ溶液と前記水リッチ溶液より含水率が低い低含水ドロー溶液とに分離可能に構成された水分離手段と、を備え、前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った前記加熱手段の上流側かつ前記正浸透手段の下流側とを連通可能な循環流路が設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー貯留手段とを連通可能な上流側バイパス流路が設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、前記水リッチ溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側と、前記希釈ドロー貯留手段とを連通可能な下流側バイパス流路が設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液との間で熱交換可能に構成された流出側熱交換手段を、さらに備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された後段熱交換手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液を分岐させて、少なくとも2つの熱交換手段が並列して構成された並列熱交換手段によってそれぞれ熱交換可能に構成されているとともに、分岐されて前記並列熱交換手段によって熱交換された前記希釈ドロー溶液を、前記加熱手段の上流側において合流可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置は、上記の発明において、液体を冷却して冷却液として流出する冷却手段と、前記冷却手段から流出した前記冷却液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された流入側熱交換手段と、をさらに備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、溶媒として水を含む含水溶液から曇点を有するドロー溶液に、半透膜を介して水を移動させて前記ドロー溶液を希釈させた希釈ドロー溶液として流出するとともに、前記含水溶液を濃縮させた濃縮含水溶液として排出可能に構成された正浸透手段と、前記希釈ドロー溶液を前記曇点以上の温度に加熱可能に構成された加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記希釈ドロー溶液を、水リッチ溶液と前記水リッチ溶液より含水率が低い低含水ドロー溶液とに分離可能に構成された水分離手段と、を備える水処理装置を起動させる起動方法であって、前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った前記加熱手段の上流側かつ前記正浸透手段の下流側とを連通可能な循環流路を設け、前記水分離手段に貯留されたドロー溶液を、前記循環流路を通じて前記加熱手段に供給して前記曇点以上の温度に加熱させる分離循環工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、上記の発明において、前記水処理装置は、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー貯留手段と、を連通可能な上流側バイパス流路を設け、前記分離循環工程の後、前記水分離手段に貯留されたドロー溶液を、前記上流側バイパス流路を通じて前記希釈ドロー貯留手段に供給する上流側バイパス工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、上記の発明において、前記水処理装置は、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、前記水リッチ溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側と、前記希釈ドロー貯留手段と、を連通可能な下流側バイパス流路を設け、前記分離循環工程の後、前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液を、前記下流側バイパス流路を通じて前記希釈ドロー貯留手段に供給する下流側バイパス工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、上記の発明において、前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液との間で熱交換可能に構成された流出側熱交換手段を、さらに備え、前記流出側熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出した水リッチ溶液との間で熱交換を行って、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を昇温させる流出側昇温工程を含むことを特徴とする。また、本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、この構成において、前記流出側昇温工程の後、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を前記加熱手段によって加熱する加熱工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、上記の発明において、前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された後段熱交換手段を、さらに備え、前記後段熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出したドロー溶液との間で熱交換を行って、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を昇温させる後段昇温工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、上記の発明において、前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液を分岐させて、少なくとも2つの熱交換手段が並列して構成された並列熱交換手段によってそれぞれ熱交換可能に構成されているとともに、分岐されて前記並列熱交換手段によって熱交換された前記希釈ドロー溶液を、前記加熱手段の上流側において合流可能に構成され、前記少なくとも2つの熱交換手段のうちの一部の熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出した水リッチ溶液との間で熱交換を行い、前記少なくとも2つの熱交換手段のうちの他部の熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出したドロー溶液との間で熱交換を行う並列熱交換工程を含むことを特徴とする。また、本発明の一態様に係る水処理装置の起動方法は、この構成において、前記並列熱交換工程の後、合流された前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を前記加熱手段によって加熱する加熱工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る水処理装置およびその起動方法によれば、含水溶液から淡水をドロー溶液に透過させる水処理装置において、安定して起動させつつ、定常状態になるまでの起動時間を短縮することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態による水処理装置、および起動時の状態を模式的に示すブロック図である。 図2は、本発明の第1の実施形態の変形例による水処理装置を模式的に示すブロック図である。 図3は、本発明の第2の実施形態による水処理装置、および起動時の前段起動工程を模式的に示すブロック図である。 図4は、本発明の第2の実施形態による水処理装置における起動時の後段起動工程を模式的に示すブロック図である。 図5は、本発明の第3の実施形態による水処理装置、および水処理装置における起動時の状態を模式的に示すブロック図である。 図6は、本発明の第4の実施形態による水処理装置を模式的に示すブロック図である。 図7は、本発明の第4の実施形態による水処理装置における起動時の状態を模式的に示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
(水処理装置)
まず、本発明の第1の実施形態による水処理装置について説明する。図1は、第1の実施形態による水処理装置1を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態による水処理装置1は、膜モジュール11、加熱器12、分離槽13、最終処理ユニット14、冷却機構15、熱交換器21,22、および三方弁31を備えて構成される。
正浸透手段としての膜モジュール11は、内部に半透膜11aが設置された、例えば円筒形または箱形の容器である。膜モジュール11の内部は、半透膜11aによって2つの室に仕切られる。膜モジュール11の形態は、例えばスパイラルモジュール型、積層モジュール型、中空糸モジュール型などの種々の形態を挙げることができる。膜モジュール11としては、公知の半透膜装置を用いることができ、市販品を用いることもできる。
膜モジュール11に設けられた半透膜11aは、水を選択的に透過できるものが好ましく、正浸透(FO:Forward Osmosis)膜が用いられるが、逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜を用いてもよい。半透膜11aの分離層の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリエチレンイミン系、ポリスルホン系、またはポリベンゾイミダゾール系などの材質を挙げることができる。半透膜11aは、分離層に用いられる材質を1種類(1層)のみから構成してもよく、分離層を物理的に支持して実質的に分離に寄与しない支持層を有する2層以上から構成してもよい。支持層としてはポリスルホン系、ポリケトン系、ポリエチレン系、ポリエチレンテレフタラート系、一般的な不織布などの材質を挙げることができる。なお、半透膜11aの形態についても限定されるものではなく、平膜、管状膜、または中空糸などの種々の形態の膜を用いることができる。
膜モジュール11の内部において、半透膜11aによって仕切られた一方の室に含水溶液を流すことができ、他方の室に吸水溶液としてのドロー溶液を流すことができる。ドロー溶液の膜モジュール11への導入圧力は、0.1MPa以上0.5MPa以下、この第1の実施形態においては例えば0.2MPaである。含水溶液は、例えば海水、かん水、汽水、工業排水、随伴水、もしくは下水、または必要に応じてこれらの水に対してろ過処理を施した、溶媒として水を含む含水溶液である。
ドロー溶液としては、少なくとも1つの曇点を有するポリマーからなる温度感応性吸水剤を主体とする溶液が用いられる。温度感応性吸水剤とは、低温においては親水性で水によく溶けて吸水量が多くなる一方、温度の上昇に従って吸水量が低下して、所定温度以上になると疎水性化し、溶解度が低下する物質である。温度感応性吸水剤は、各種界面活性剤、分散剤、または乳化剤などとして利用される。
第1の実施形態において温度感応性吸水剤は、少なくとも疎水部および親水部が含まれ、基本骨格にエチレンオキシド群とプロピレンオキシドおよびブチレンオキシドからなる少なくとも一方の群とを含む、ブロック共重合体またはランダム共重合体が好ましい。基本骨格は、例えばグリセリン骨格や炭化水素骨格などが挙げられる。第1の実施形態において温度感応性吸水剤は、例えばエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの重合体を有する薬剤が用いられる。このような温度感応性吸水剤において、水溶性と水不溶性とが変化する温度は曇点と呼ばれる。ドロー溶液の温度が上昇して曇点に達すると、疎水性化した温度感応性吸水剤が凝集して白濁が生じる。
第1の実施形態において、ドロー溶液は、含水溶液から水を誘引する誘引物質として用いられる。これにより、膜モジュール11においては、含水溶液からドロー溶液に水が誘引されて、希釈されたドロー溶液(希釈ドロー溶液)が流出される。一方、膜モジュール11は、ドロー溶液に水が移動して濃縮された含水溶液(濃縮含水溶液)を排出可能に構成されている。
ドロー溶液の加熱手段としての加熱器12は、ドロー溶液の流れ方向に沿って分離槽13の上流側に設けられる。加熱器12は、供給されるドロー溶液を加熱可能に構成されている。例えば、膜モジュール11から流出して熱交換器22によって熱交換された希釈ドロー溶液は、加熱器12によって曇点の温度以上に加熱される。加熱器12によって曇点の温度以上に加熱された希釈ドロー溶液は、水とポリマーである温度感応性吸水剤とに分相される。さらに、加熱器12は、水処理装置1の起動時においては、分離槽13から流出されるドロー溶液を加熱可能に構成されている。
水分離手段としての分離槽13は、加熱器12によって分相された希釈ドロー溶液を、水を主体とする溶液(水リッチ溶液)と、水リッチ溶液より含水率が低く温度感応性吸水剤を主体とするドロー溶液とに分離可能に構成される。水リッチ溶液より含水率が低いドロー溶液は、再利用される低含水ドロー溶液(以下、再生ドロー溶液)として熱交換器21を介して膜モジュール11に供給される。
分離流路切換手段としての三方弁31は、再生ドロー溶液の流れ方向に沿って、分離槽13の下流側かつ熱交換器21の上流側に設けられている。三方弁31から希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った加熱器12の上流側に連通して、循環流路41が設けられている。循環流路41は、流入点P0を経由して加熱器12に連通可能な流路である。なお、循環流路41を加熱器12に直接に連通させてもよい。三方弁31は、分離槽13から流出したドロー溶液を、熱交換器21に供給する流路と加熱器12に供給する循環流路41との間で切り換え可能に構成されている。
分離処理手段としての最終処理ユニット14は、例えばコアレッサー、活性炭吸着ユニット、限外ろ過膜(UF膜)ユニット、ナノろ過膜(NF膜)ユニット、または逆浸透膜(RO膜)ユニットから構成される。最終処理ユニット14は、分離槽13から上澄水として流出した水リッチ溶液から残存する温度感応性吸水剤を分離させて、生成水としての淡水を生成する。最終処理ユニット14は、生成水が分離された温度感応性吸水剤を含むポリマー溶液の少なくとも一部または全部を、30℃以上50℃以下の例えば45℃の温度の分離処理排液として後段の冷却機構15に供給可能に構成される。
冷却手段としての冷却機構15は、例えば、外部から供給された水などの液体(以下、回収液)を、供給時の温度より低い温度に冷却した液体(以下、冷却液)として流出可能に構成される。すなわち、冷却機構15は、例えば冷却水などの冷却液を流出可能に構成される。冷却機構15としては、例えば冷却塔などが挙げられる。具体的に冷却塔としては、種々の冷却塔を採用できる。例えば、冷却ファンを回転させるのに伴って、充填材によって飛散された温水などの液体に対して、冷却ファンによって外部から吸引した空気を接触させて液体を空気によって冷却する、冷却塔を挙げることができる。ここで、回収液の温度は、35℃以上60℃以下の例えば45℃程度であり、冷却機構15によって、冷却液の温度として、15℃以上45℃以下の例えば35℃程度に冷却される。なお、冷却機構15としては、冷却塔に限定されず、液体を冷却可能な種々の冷却器を採用することが可能である。
第1の実施形態において冷却機構15には、最終処理ユニット14によって得られた分離処理排液の少なくとも一部または全部が供給される。分離処理排液は、蒸発やブローダウンなどによって減少した冷却液の不足分を補うための、補給液として使用される。すなわち、最終処理ユニット14から供給される分離処理排液の流量を制御して、分離処理排液を補給液とすることによって、冷却機構15から流出される冷却液を所定の流量に維持できる。なお、冷却機構15において、過剰となった冷却水の過剰分をブローするようにしてもよい。冷却機構15は、図1中符号Aで示すように、冷却液を例えば送水ポンプ(図示せず)を用いて熱交換器21に供給する。一方、冷却機構15には、図1中符号Bに示すように、熱交換器21を通過した冷却液が戻されて回収液として流入する。これにより、冷却機構15は、送水ポンプを用いて、熱交換器21との間において液体を冷却液および回収液として循環可能に構成されている。
流入側熱交換手段としての熱交換器21は、再生ドロー溶液の流れ方向に沿って、膜モジュール11の上流側、かつ分離槽13の下流側に設けられる。熱交換器21には、冷却機構15から流出される冷却液が流入される。これにより、熱交換器21は、分離槽13から流出した高温の再生ドロー溶液と、冷却機構15から流出した低温の冷却液との間で、熱交換を行う。熱交換器21を通過した再生ドロー溶液によって昇温された冷却液は、再び冷却機構15に戻される。熱交換器21に流入される冷却液の流量は、膜モジュール11に供給される再生ドロー溶液の温度が所定温度になるように制御される。具体的に、熱交換器21における冷却液が通過する流路にバイパス弁(図示せず)を設けて、バイパス弁を流れる冷却液の流量を制御したり、冷却機構15から流出される冷却液の流量を制御したりすることによって、再生ドロー溶液の温度を所定温度に制御する。膜モジュール11に供給される再生ドロー溶液は、所定温度として25℃以上50℃以下の例えば40℃程度に温度制御される。
熱交換器22は、膜モジュール11に対して、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った下流側に設けられる。熱交換器22は、分離槽13に対して、分離槽13によって得られる水リッチ溶液の流れ方向に沿った下流側に設けられる。熱交換器22は、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液と、分離槽13によって得られる水リッチ溶液との間で、熱交換を行う。
(定常状態における水処理方法)
次に、以上のように構成された第1の実施形態による水処理装置1において、起動から十分な時間が経過した後における、安定して稼働している定常状態における水処理方法について説明する。
(正浸透工程)
正浸透手段としての膜モジュール11においては、正浸透工程が行われる。すなわち、膜モジュール11において、含水溶液と再生ドロー溶液とを半透膜11aを介して接触させる。これによって、膜モジュール11内において、浸透圧差により含水溶液中の水が半透膜11aを通過して再生ドロー溶液に移動する。すなわち、膜モジュール11内の含水溶液が供給される一方の室からは、再生ドロー溶液に水が移動することによって濃縮された濃縮含水溶液が流出する。再生ドロー溶液が供給される他方の室からは、含水溶液から水が移動して希釈された希釈ドロー溶液が流出する。
(流入側熱交換工程)
流入側熱交換手段としての熱交換器21においては、流入側熱交換工程が行われる。すなわち、冷却機構15から供給される冷却液が熱交換器21に供給される。一方、熱交換器21には、分離槽13から流出した再生ドロー溶液が供給される。第1の実施形態においては、熱交換器21によって、再生ドロー溶液を、25℃以上50℃以下の例えば40℃程度の所定温度に調整する。再生ドロー溶液を所定温度に降温させるために、熱交換器21において熱交換に供される、冷却機構15から供給される冷却液の流量が調整される。すなわち、熱交換器21において、再生ドロー溶液は冷却液によって冷却される。一方、熱交換器21において、冷却液は再生ドロー溶液によって加熱される。なお、熱交換器21に調整弁としてのバイパス弁(図示せず)を設けて、熱交換器21に流入させる冷却液の流量を調整してもよい。熱交換器21において熱交換されて降温された再生ドロー溶液は、膜モジュール11の他方の室に供給される。一方、図1中、符号Bに示すように、熱交換器21において熱交換されて、35℃以上60℃以下の例えば45℃の温度に昇温された冷却液は、回収液として冷却機構15に戻される。
(冷却液生成工程)
冷却手段としての冷却機構15においては、冷却液生成工程が行われる。すなわち、熱交換器21において、分離槽13から流出した再生ドロー溶液を冷却液によって冷却することによって、冷却液は昇温される。冷却機構15には、熱交換器21を通過した昇温された冷却液が、回収液として供給される。回収液の温度は、35℃以上60℃以下の例えば45℃である。冷却機構15においては、回収液を、15℃以上45℃以下の例えば35℃まで冷却して冷却液を生成する。さらに、冷却機構15には、最終処理ユニット14から供給された分離処理排液が供給される。供給される分離処理排液の温度は、例えば20℃以上50℃以下、好適には、35℃以上45℃以下、この第1の実施形態においては、例えば45℃である。なお、最終処理ユニット14から供給される分離処理排液の流量は、冷却機構15において、ブローや蒸発などによって外部に放出される液体量に応じて調整制御される。
(加熱工程)
加熱手段としての加熱器12においては、加熱工程が行われる。すなわち、正浸透工程によって再生ドロー溶液が希釈されて得られた希釈ドロー溶液を、後述する流出側熱交換工程において昇温した後に、加熱器12によってさらに曇点以上の温度まで加熱する。これにより、温度感応性吸水剤の少なくとも一部が凝集されて、相分離が行われる。加熱工程における加熱温度は、加熱器12を制御することによって調整可能である。なお、加熱温度は、水の沸点以下であって、大気圧の場合に100℃以下が好ましく、第1の実施形態においては、曇点以上100℃以下の例えば88℃である。
(水分離工程)
水分離手段としての分離槽13においては、水分離工程が行われる。すなわち、分離槽13において、加熱器12によって加熱された希釈ドロー溶液が、水分を多く含有する水リッチ溶液と、温度感応性吸水剤を高濃度に含む濃縮された再生ドロー溶液とに分離される。なお、分離槽13における圧力は、例えば大気圧である。水リッチ溶液と再生ドロー溶液との相分離は、液温を曇点以上として静置することによって行うことができる。第1の実施形態において分離槽13における液温は、曇点以上100℃以下の例えば88℃である。希釈ドロー溶液から分離されて濃縮されたドロー溶液は、再生ドロー溶液として、熱交換器21を介して膜モジュール11に供給される。再生ドロー溶液のドロー濃度は、例えば50〜95%である。一方、希釈ドロー溶液から分離された水リッチ溶液は、熱交換器22を介して最終処理ユニット14に供給される。水リッチ溶液は例えば、ドロー濃度が1%であって水が99%である。
(流出側熱交換工程)
流出側熱交換手段としての熱交換器22においては、流出側熱交換工程が行われる。すなわち、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液は、まず、熱交換器22に供給される。一方、熱交換器22には、分離槽13において得られた水リッチ溶液が供給される。第1の実施形態においては、熱交換器22によって、水リッチ溶液を所定温度、具体的に30℃以上50℃以下の例えば45℃程度の温度に調整する。上述したように、分離槽13においては、液温を曇点以上100℃以下として水分離工程が行われる。分離槽13から流出する水リッチ溶液は、膜モジュール11から流出する希釈ドロー溶液よりも高温であり、熱交換器22において希釈ドロー溶液との熱交換により降温される。一方、後段の最終処理ユニット14における処理温度は、例えば20℃以上50℃以下、好適には35℃以上45℃以下、この第1の実施形態においては、例えば45℃である。そこで、熱交換器22において、水リッチ溶液を最終処理ユニット14の処理温度まで降温させる温度調整が行われる。すなわち、熱交換器22において、水リッチ溶液は希釈ドロー溶液によって冷却される一方、希釈ドロー溶液は水リッチ溶液によって加熱される。
(最終処理工程)
最終処理ユニット14においては、分離処理工程としての最終処理工程が行われる。すなわち、分離槽13において分離された水リッチ溶液には、温度感応性吸水剤が残存している可能性がある。そこで、最終処理ユニット14において、水リッチ溶液から分離処理排液となるポリマー溶液を分離させる。これにより、淡水などの生成水が得られる。水リッチ溶液から分離された生成水は、含水溶液から得られた最終生成物として、外部の必要な用途に供給される。なお、最終処理ユニット14において、生成水と分離された分離処理排液は、ドロー濃度が0.5〜25%程度のポリマー溶液であり、少なくとも一部は、冷却機構15に供給される。冷却機構15に供給されない残部の分離処理排液が存在する場合、残部の分離処理排液は、外部に廃棄したり、加熱器12または熱交換器22の上流側において希釈ドロー溶液に導入したりできる。
(水処理装置の起動方法)
次に、上述した定常状態における水処理方法に従って水処理装置1を運転させる前段階において、水処理装置1を起動させる起動方法について説明する。第1の実施形態による起動方法は、水処理装置1の起動時において、使用するドロー溶液を加熱器12と分離槽13との間で循環させて予備的加熱を実施した後、水処理装置1の定常状態での稼働を開始する方法である。
(準備工程)
まず、水処理装置1において起動のための準備工程が行われる。すなわち、図1に示すように、分離槽13から流出するドロー溶液が三方弁31を通じて加熱器12の上流側に流入するように、三方弁31の切り換えを行う。一方、分離槽13に、環境温度である例えば25℃程度の温度の水および温度感応性吸水剤を含むドロー溶液を投入する。具体的に、分離槽13内において、ポリマー濃度が50%以上100%以下の例えば90%程度の温度感応性吸水剤を水により希釈することによって、ポリマー濃度が40%以上95%以下の例えば60%程度のドロー溶液を貯留する。さらに、分離槽13においては、上澄水である水リッチ溶液が流出する流路を遮断する。他方、加熱器12を稼働させることによって、ドロー溶液を加熱可能な状態とする。
(分離循環工程)
次に、分離槽13および加熱器12によって分離循環工程が行われる。分離循環工程におけるドロー溶液の流路を、図1中太破線aで示す。まず、例えば送水ポンプ(図示せず)によって、分離槽13からドロー溶液が流出される。流出されたドロー溶液は、三方弁31および循環流路41を通じて、加熱器12に供給される。加熱器12においては、起動加熱工程が行われる。すなわち、分離槽13から流出したドロー溶液を、加熱器12によって例えば曇点以上の温度まで加熱する。具体的には、準備工程において分離槽13に投入されたドロー溶液を、加熱器12によって加熱する。起動加熱工程における加熱温度は、加熱器12を制御することによって調整可能である。また、ドロー溶液におけるポリマー濃度は、曇点以上のドロー溶液の温度と一意の関係にある、すなわちドロー溶液の加熱後の温度によってドロー溶液の濃度が決まるため、ドロー溶液の温度からドロー溶液のポリマー濃度を導出できる。加熱されたドロー溶液は、分離槽13に供給される。分離槽13から循環流路41を通じて加熱器12に供給されて加熱される一連の加熱を繰り返し行うことによって、分離槽13内のドロー溶液を、投入時の環境温度である例えば25℃程度の温度から、曇点以上沸点以下の例えば88℃の温度まで上昇させる。
分離槽13内の温度が曇点以上の例えば88℃まで上昇した後、三方弁31を切り換えることによって、分離槽13から熱交換器21を介して膜モジュール11にドロー溶液が供給される。これとともに、含水溶液を膜モジュール11に供給することにより、膜モジュール11による正浸透工程が開始される。一方、正浸透工程の開始に合わせて、分離槽13における上澄水が流出する流路を開放することにより、水リッチ溶液が熱交換器22を経由して最終処理ユニット14に供給されて、最終処理が開始される。以上により、水処理装置1が起動されて、上述した定常状態における水処理が開始される。なお、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と含水溶液の供給とは、同時であってもよく、いずれか一方が先であってもよい。また、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と、最終処理ユニット14への水リッチ溶液の供給および最終処理ユニット14の起動とは同時であってもよく、いずれか一方を先に開始してもよい。
(変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。図2は、第1の実施形態の変形例による水処理装置を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、変形例による水処理装置2においては、再生ドロー溶液の流れ方向に沿った分離槽13の下流側で熱交換器21の上流側、かつ希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った熱交換器22の下流側で加熱器12の上流側に、熱交換器23が設けられている。
後段熱交換手段としての熱交換器23によって、後段熱交換工程が行われる。すなわち、変形例による水処理装置2の水処理方法においては、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液は、まず、熱交換器22において高温の水リッチ溶液との間で熱交換される。続いて、後段熱交換工程として、希釈ドロー溶液は、熱交換器23において水リッチ溶液と同程度の温度の再生ドロー溶液との間で熱交換されて昇温される。その後、希釈ドロー溶液は、加熱器12によって、曇点以上100℃以下の温度にまで加熱される。その他の定常状態における水処理方法については、第1の実施形態と同様である。
変形例による水処理装置2においては、三方弁31が再生ドロー溶液の流れ方向に沿って、分離槽13の下流側かつ熱交換器23の上流側に設けられている。循環流路41は、三方弁31から、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った熱交換器23の下流側かつ加熱器12の上流側の流入点P0に連通している。変形例による水処理装置2のその他の構成および起動方法については、第1の実施形態と同様である。
従来、予備的加温を実施することなく水処理装置1,2を起動させると、相分離される前のポリマー濃度の低いドロー溶液が膜モジュール11に供給される。そのため、水処理装置1,2において系内の温度バランスが安定するまでは、含水溶液からドロー溶液への水の移動が極めて少なくなる。この場合、水処理装置1,2内を循環するドロー溶液の温度は徐々に上昇して、分離槽13内におけるドロー溶液の温度が曇天を超えた時点で相分離が開始されて、膜モジュール11内での水の移動が増加する。ところが、分離槽13内のドロー溶液が所定温度、すなわち曇点に達するまでは、分離槽13内におけるドロー溶液の相分離が不十分のままであるため、最終処理ユニット14に水リッチ溶液を送液できない状態が継続する。この場合、分離槽13に貯留される溶液量が増加することから、分離槽13内が満液となった時点で水処理装置1,2の運転が困難になる。
これに対し、以上説明した第1の実施形態によれば、水処理装置1,2の起動時において、三方弁31および循環流路41を用いて、ドロー溶液を加熱器12と分離槽13との間で循環させて曇点以上の所定温度まで加熱する予備的加熱を実施している。これにより、水処理装置1の起動時において、分離槽13内をドロー溶液と上澄水である水リッチ溶液とを分離した状態にできるので、水処理装置1,2の起動時において、膜モジュール11に高いポリマー濃度のドロー溶液を供給できる。そのため、膜モジュール11内において半透膜11aを介した含水溶液からドロー溶液への水の移動が速やかに行われるとともに、水処理装置1,2における系内の温度バランスが安定化するまでの時間を短縮できる。
(第2の実施形態)
(水処理装置)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態による水処理装置3を示す。図3に示すように、水処理装置3は、第1の実施形態と同様に、内部に半透膜11aが設けられた膜モジュール11、加熱器12、分離槽13、最終処理ユニット14、冷却機構15、熱交換器21,22、および三方弁31を備える。水処理装置3は、第1の実施形態と異なり、さらに、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、および三方弁32,33を備える。
上澄水槽16は、水リッチ溶液の流れ方向に沿って、分離槽13の下流側、かつ熱交換器22の上流側に設けられている。希釈ドロー貯槽17は、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿って、膜モジュール11の下流側かつ熱交換器22の上流側に設けられている。希釈ドロー貯留手段としての希釈ドロー貯槽17は、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液を少なくとも一時的に貯留可能に構成される。
上流側切換手段としての三方弁32は、分離槽13から流出したドロー溶液の流れ方向に沿って、三方弁31の下流側、かつ熱交換器21の上流側に設けられている。三方弁32と希釈ドロー貯槽17との間には、希釈ドロー貯槽17にドロー溶液を流入可能な上流側バイパス流路42によって連通されている。三方弁32は、分離槽13から流出して三方弁31を通過したドロー溶液を、熱交換器21に供給する流路と、希釈ドロー貯槽17に供給する上流側バイパス流路42との間で切り換え可能に構成されている。
下流側切換手段としての三方弁33は、上澄水槽16から流出した水リッチ溶液の流れ方向に沿って、熱交換器22の下流側、かつ最終処理ユニット14の上流側に設けられている。三方弁33と希釈ドロー貯槽17との間には、希釈ドロー貯槽17に上澄水、すなわち水リッチ溶液を流入可能な下流側バイパス流路43によって連通されている。三方弁33は、上澄水槽16から流出して熱交換器22を通過した水リッチ溶液を、最終処理ユニット14に供給する流路と、希釈ドロー貯槽17に供給する下流側バイパス流路43との間で切り換え可能に構成されている。その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
(定常状態における水処理方法)
次に、上述のように構成された水処理装置3において行われる、第2の実施形態による定常状態における水処理方法について説明する。すなわち、第2の実施形態による水処理方法においては、膜モジュール11から流出された希釈ドロー溶液が、希釈ドロー貯槽17に流入し、熱交換器22に供給される。また、分離槽13から流出した上澄水である水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入し、熱交換器22に供給される。その他の定常状態における水処理方法については、第1の実施形態と同様である。
(水処理装置の起動方法)
(前段起動工程)
次に、第2の実施形態による水処理装置3の起動方法について説明する。すなわち、第2の実施形態においては、まず、第1の実施形態と同様にして、準備工程を行った後に分離循環工程を行う。第2の実施形態においては、第1の実施形態による分離循環工程が起動工程の前半である前段起動工程になる。前段起動工程においては、分離槽13内のドロー溶液を、図3中太破線aで示す流路に従って、循環流路41を通じて加熱器12に供給して加熱し、分離槽13に循環させる。これにより、分離槽13内のドロー溶液を、環境温度から曇点以上の温度まで上昇させる。
(後段起動工程)
その後、後段起動工程を行う。図4は、第2の実施形態による水処理装置3の後段起動工程を模式的に示すブロック図である。図4中、循環加熱工程におけるドロー溶液および水リッチ溶液の流路を、太実線bで示す。まず、第2の実施形態においては、希釈ドロー貯槽17に、環境温度である例えば25℃程度の温度の水および温度感応性吸水剤を含むドロー溶液を投入する。具体的に例えば、希釈ドロー貯槽17内において、ポリマー濃度が90%程度の温度感応性吸水剤を水により希釈することによって、ポリマー濃度が50%程度のドロー溶液を貯留する。希釈ドロー貯槽17へのドロー溶液の投入は、上述した準備工程の前後、または前段起動工程の前後のいずれの段階で行ってもよい。
(切換工程)
次に、三方弁32,33によって、切換工程が行われる。すなわち、分離槽13から流出して三方弁31を通過したドロー溶液が、三方弁32を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁32の切換を行う。一方、分離槽13から流出して上澄水槽16および熱交換器22を経由した水リッチ溶液が、三方弁33を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁33の切換を行う。
(循環加熱工程)
次に、加熱器12、分離槽13、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、および熱交換器22によって、循環加熱工程が行われる。すなわち、図4に示すように、三方弁31を切り換えることによって、前段起動工程において加熱されたドロー溶液は、分離槽13から流出した後、上流側バイパス工程として、三方弁32および上流側バイパス流路42を通じて希釈ドロー貯槽17に供給されて貯留される。希釈ドロー貯槽17においては、分離槽13から供給されたドロー溶液を含む貯留しているドロー溶液と、後述する下流側バイパス流路43を通じて流入した水リッチ溶液とが混合される。希釈ドロー貯槽17内におけるドロー溶液の温度は、例えば25℃程度の環境温度から昇温される。希釈ドロー貯槽17に貯留しているドロー溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給される。熱交換器22においては、流出側昇温工程が行われる。すなわち、希釈ドロー貯槽17から流出したドロー溶液は、分離槽13から流出した曇点以上で例えば88℃程度の高温の水リッチ溶液と熱交換されて昇温される。熱交換器22において昇温されたドロー溶液は、加熱器12に供給される。加熱器12においては、加熱工程として、昇温されたドロー溶液がさらに曇点以上沸点以下まで加熱される。加熱されたドロー溶液は分離槽13に供給される。すなわち、分離槽13から流出したドロー溶液は、三方弁31,32、希釈ドロー貯槽17、熱交換器22、および加熱器12を経由して、分離槽13に循環される。
一方、分離槽13から流出した例えば88℃程度の高温の水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入して、貯留される。その後、水リッチ溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給され、希釈ドロー貯槽17から供給された低温のドロー溶液と熱交換される。熱交換器22によって降温された水リッチ溶液は、下流側バイパス工程として、三方弁33および下流側バイパス流路43を通じて希釈ドロー貯槽17に流入される。希釈ドロー貯槽17においては、流入した水リッチ溶液と、分離槽13から供給されたドロー溶液を含む貯留しているドロー溶液とが混合される。これにより、水リッチ溶液はドロー溶液に混合される。希釈ドロー貯槽17において貯留しているドロー溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給され、分離槽13から流出した曇点以上で例えば88℃程度の高温の水リッチ溶液と熱交換される。熱交換器22において昇温されたドロー溶液は、加熱器12に供給される。加熱器12においては、昇温されたドロー溶液がさらに加熱される。加熱されたドロー溶液は分離槽13に供給される。すなわち、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16、熱交換器22、および三方弁33を経由して、希釈ドロー貯槽17に供給されてドロー溶液と混合され、さらに、熱交換器22および加熱器12を経由して、分離槽13に循環される。
上述した循環加熱工程においては、分離槽13から希釈ドロー貯槽17に、曇点以上の例えば88℃の高温のドロー溶液が供給される。これにより、希釈ドロー貯槽17内においては、貯留されるドロー溶液の温度が上昇する。さらに、分離槽13から上澄水槽16を経由した曇点以上の例えば88℃の水リッチ溶液が、熱交換器22において例えば45℃程度の温度に降温された後に、希釈ドロー貯槽17に供給される。これにより、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度はさらに上昇する。すなわち、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液は、分離槽13から流出したドロー溶液、および分離槽13から流出して熱交換器22を通過した水リッチ溶液によって昇温される。すなわち、分離槽13内の熱エネルギーは、希釈ドロー貯槽17のドロー溶液の昇温に用いられることから、当初は、希釈ドロー貯槽17にあらかじめ投入されていた環境温度のドロー溶液によって、分離槽13内のドロー溶液の温度も一時的に低下する可能性もある。具体的には、例えば、分離槽13内のドロー溶液の温度は60℃程度まで低下する可能性がある。この場合においても、循環加熱工程を継続することで、加熱器12に供給される熱エネルギーによって、分離槽13内および希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度を上昇させることができる。なお、加熱器12の負荷は増加するが、必要に応じて、加熱器12による加熱を強化することによって、分離槽13に供給するドロー溶液を、常時、曇点以上の例えば88℃まで加熱することも可能である。
上述した循環加熱工程を継続して、分離槽13内のドロー溶液の温度が曇点以上の例えば88℃程度、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度が所定温度の例えば40℃以上まで上昇した後、三方弁32,33を切り換える。これによって、分離槽13から供給されるドロー溶液は、三方弁32を介して熱交換器21に供給された後、膜モジュール11に供給されるとともに、含水溶液を膜モジュール11に供給することにより、膜モジュール11における正浸透工程が開始される。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入し、熱交換器22を通過して、最終処理ユニット14に供給され、最終処理が開始される。以上によって、水処理装置3が起動され、上述した第2の実施形態による定常状態における水処理が開始される。なお、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と含水溶液の供給とは、同時であってもよく、いずれか一方が先であってもよい。また、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と、最終処理ユニット14への水リッチ溶液の供給および最終処理ユニット14の起動とは同時であってもよく、いずれか一方を先に開始してもよい。
第2の実施形態によれば、前段起動工程において、分離槽13内のドロー溶液の温度を曇点以上に上昇させることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、上述した後段起動工程における予備的加熱を行うことなく、水処理装置3を起動すると、初期段階において加熱の負荷が大きくなるため、加熱器12を大幅に大きくする必要がある。この場合、定常状態での水処理方法にとっては、過大な大きさの熱交換器を用いる事になるため、定常状態での水処理における加熱が不安定になるとともに、初期の設備コストが増加する。これに対し、以上説明した第2の実施形態においては、希釈ドロー貯槽17を設けた場合において、後段起動工程によって希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液に対しても予備的加温を実施している。これにより、水処理装置3を安定的に起動することが可能になるとともに、水処理装置3の系内の温度バランスを速やかに安定化できる。
(第3の実施形態)
(水処理装置)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態による水処理装置4を示す。図5に示すように、水処理装置4は、第2の実施形態と同様に、内部に半透膜11aが設けられた膜モジュール11、加熱器12、分離槽13、最終処理ユニット14、冷却機構15、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、三方弁31,32,33、および熱交換器21,22を備える。さらに、水処理装置4は、第2の実施形態と異なり、後段熱交換手段としての熱交換器23をさらに備える。熱交換器23は、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った熱交換器22の下流側で加熱器12の上流側、かつ再生ドロー溶液の流れ方向に沿った分離槽13の下流側で熱交換器21の上流側に設けられている。
(定常状態における水処理方法)
次に、上述のように構成された水処理装置4において行われる、第3の実施形態による定常状態における水処理方法について説明する。すなわち、第3の実施形態による水処理方法においては、熱交換器23によって、後段熱交換工程が行われる。具体的には、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液は、希釈ドロー貯槽17に流入し、熱交換器22に供給されて高温の水リッチ溶液との間で熱交換される。続いて、後段熱交換工程として、希釈ドロー溶液は、熱交換器23において水リッチ溶液と同程度の温度の再生ドロー溶液との間で熱交換されて昇温される。その後、希釈ドロー溶液は、加熱器12によって、曇点以上100℃以下の温度にまで加熱された後、分離槽13に供給される。その他の定常状態における水処理方法は、第2の実施形態と同様である。
(水処理装置の起動方法)
(準備工程および前段起動工程)
次に、第3の実施形態による水処理装置4の起動方法について説明する。第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様にして、準備工程、および前段起動工程を行う。すなわち、前段起動工程において、図5中太破線aで示すように、分離槽13内のドロー溶液を、循環流路41を通じて加熱器12により加熱し、分離槽13に循環させる。これにより、分離槽13内のドロー溶液の温度を環境温度から曇点以上の温度まで上昇させる。
(後段起動工程)
さらに、第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様にして後段起動工程を行う。すなわち、希釈ドロー貯槽17に環境温度のドロー溶液を投入した後、ドロー溶液を昇温させる。
(切換工程)
具体的に、まず、三方弁32,33によって、切換工程が行われる。すなわち、分離槽13から流出して三方弁31および熱交換器23を通過したドロー溶液が、三方弁32を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁32の切換を行う。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液が、上澄水槽16および熱交換器22を経由して、三方弁33を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁33の切換を行う。
(循環加熱工程)
次に、加熱器12、分離槽13、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、および熱交換器22,23によって、循環加熱工程が行われる。図5中、循環加熱工程におけるドロー溶液および水リッチ溶液の流路を、太実線bで示す。
すなわち、前段起動工程において加熱された分離槽13内のドロー溶液は、三方弁31を切り換えると、分離槽13から流出して三方弁32および上流側バイパス流路42を通じて希釈ドロー貯槽17に供給される。希釈ドロー貯槽17においては、あらかじめ貯留されたドロー溶液と、分離槽13から上流側バイパス流路42を通じて流入したドロー溶液と、後述する上澄水槽16から下流側バイパス流路43を通じて流入した水リッチ溶液とが混合される。希釈ドロー貯槽17内におけるドロー溶液の温度は、例えば25℃程度の環境温度から昇温される。希釈ドロー貯槽17に流入した水リッチ溶液は、貯留しているドロー溶液に混合される。高温のドロー溶液および高温の水リッチ溶液の流入によって、希釈ドロー貯槽17内におけるドロー溶液は昇温される。
希釈ドロー貯槽17内で昇温されたドロー溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給され、分離槽13から流出した曇点以上で例えば88℃程度の高温の水リッチ溶液と熱交換される。熱交換器22において昇温されたドロー溶液は、熱交換器23に供給されて後段昇温工程が行われる。すなわち、熱交換器22において昇温されたドロー溶液は、熱交換器23において分離槽13から流出した高温のドロー溶液と熱交換されて、さらに昇温される。熱交換器23を通過して昇温されたドロー溶液は、加熱器12に供給される。加熱器12においては、ドロー溶液がさらに曇点以上沸点以下まで加熱される。加熱されたドロー溶液は分離槽13に供給される。すなわち、分離槽13から流出したドロー溶液は、三方弁31、熱交換器23、三方弁32、希釈ドロー貯槽17、熱交換器22,23、および加熱器12を順次経由して、分離槽13に循環される。
一方、分離槽13から流出した曇点以上の高温の水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入して貯留される。その後、水リッチ溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給され、希釈ドロー貯槽17から供給された低温のドロー溶液と熱交換されて降温される。熱交換器22によって降温された水リッチ溶液は、三方弁33によって下流側バイパス流路43を通じて希釈ドロー貯槽17に流入される。希釈ドロー貯槽17に流入した水リッチ溶液は、貯留されているドロー溶液と混合される。その後、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液は、上述した希釈ドロー貯槽17の下流側の流路を通じて分離槽13に供給される。すなわち、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16、熱交換器22、および三方弁33を経由して、希釈ドロー貯槽17に供給されてドロー溶液と混合され、さらに熱交換器22,23および加熱器12を順次経由して、分離槽13に循環される。
上述した循環加熱工程においては、分離槽13から流出して熱交換器23において降温された例えば35〜60℃程度の高温のドロー溶液が、希釈ドロー貯槽17に供給される。熱交換器23によって降温されたドロー溶液であっても、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液より高い温度であることから、希釈ドロー貯槽17に貯留されているドロー溶液は、環境温度より高い温度に昇温される。さらに、分離槽13から上澄水槽16を経由した曇点以上の水リッチ溶液は、熱交換器22において30〜60℃程度の例えば45℃程度の温度に降温された後、希釈ドロー貯槽17に供給される。これにより、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液はさらに環境温度以上に昇温される。すなわち、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液は、分離槽13から流出して熱交換器23を通過したドロー溶液、および分離槽13から流出して熱交換器22を通過した水リッチ溶液によって昇温される。これにより、分離槽13内の熱エネルギーは、希釈ドロー貯槽17のドロー溶液の昇温に用いられることから、当初は、希釈ドロー貯槽17にあらかじめ投入されていた環境温度のドロー溶液によって、分離槽13内のドロー溶液の温度も一時的に低下する可能性がある。具体的には、例えば、分離槽13内のドロー溶液の温度は50〜85℃程度の例えば60℃程度まで低下する可能性がある。この場合においても、循環加熱工程を継続することによって、加熱器12からの熱エネルギーを継続的にドロー溶液に供給して、分離槽13内および希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度を上昇させることができる。なお、加熱器12の負荷は増加するが、必要に応じて、加熱器12による加熱を強化することによって、分離槽13に供給するドロー溶液を、常時、曇点以上沸点以下の例えば88℃まで加熱することも可能である。
上述した循環加熱工程を継続して、分離槽13内のドロー溶液の温度が曇点以上の例えば88℃程度、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度が所定温度の例えば40℃以上まで上昇した後、三方弁32,33を切り換える。これによって、分離槽13から流出したドロー溶液は、熱交換器23および三方弁32を順次経由して熱交換器21に供給された後、膜モジュール11に供給されるとともに、さらに含水溶液を膜モジュール11に供給することにより、膜モジュール11による正浸透工程が開始される。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入し、熱交換器22および三方弁33を順次経由して、最終処理ユニット14に供給され、最終処理が開始される。これにより、水処理装置4が起動されて、上述した第3の実施形態による定常状態における水処理が開始される。なお、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と含水溶液の供給とは、同時であってもよく、いずれか一方が先であってもよい。また、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と、最終処理ユニット14への水リッチ溶液の供給および最終処理ユニット14の起動とは同時であってもよく、いずれか一方を先に開始してもよい。
第3の実施形態によれば、前段起動工程において、分離槽13内のドロー溶液の温度を曇点以上に上昇させることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、後段起動工程によって、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液を所定温度まで昇温させていることにより、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。上述した後段起動工程における予備的加熱を行うことなく水処理装置4を起動すると、加熱および冷却がともに非定常運転の状態で稼働を開始することになる。そのため、熱交換器23の存在によって第2の実施形態による水処理装置3に比して系内の熱バランスがさらに崩れやすくなり、水処理装置4の運転が停止する可能性もある。これに対し、第3の実施形態においては、後段起動工程によって希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液に対して予備的加温を実施している。これによって、熱交換器23が設けられている場合においても、水処理装置4を安定的に起動することが可能になるとともに、水処理装置4の系内の温度バランスを速やかに安定させることができる。
(第4の実施形態)
(水処理装置)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図6は、第4の実施形態による水処理装置5を示す。図6に示すように、水処理装置5は、第3の実施形態と同様に、内部に半透膜11aが設けられた膜モジュール11、加熱器12、分離槽13、最終処理ユニット14、冷却機構15、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、熱交換器21,22,23、および三方弁31,32,33を備える。また、水処理装置5においては、第3の実施形態と異なり、水リッチ溶液の流れ方向に沿った熱交換器22および三方弁33の下流側で最終処理ユニット14の上流側に、最終処理前熱交換手段としての熱交換器24が設けられる。熱交換器24は、冷却機構15から供給される冷却液と、熱交換器22を通過した水リッチ溶液との間で熱交換して、水リッチ溶液を最終処理ユニット14に供給する。
また、水処理装置5においては、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った希釈ドロー貯槽17の下流側の流路に、分岐点P1が設けられている。分岐点P1においては、希釈ドロー溶液が少なくとも2方向に分岐される。分岐された一方の流路は熱交換器22に連通されているとともに、他方の流路は熱交換器23に連通されている。さらに、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿って、加熱器12の上流側の流路に、熱交換器22を通過した希釈ドロー溶液と、熱交換器23を通過した希釈ドロー溶液とが合流する合流点P2が設けられている。合流点P2においては、分岐点P1において分岐された希釈ドロー溶液が合流する。すなわち、並列熱交換手段としての熱交換器22,23はそれぞれ、希釈ドロー溶液と他の再生ドロー溶液および水リッチ溶液との間で熱交換可能に構成される。なお、図6において合流点P2は、循環流路41における流入点P0より上流側に配置されているが、下流側に配置することも可能である。
(定常状態における水処理方法)
次に、上述のように構成された水処理装置5において行われる、第4の実施形態による定常状態における水処理方法について説明する。すなわち、第4の実施形態による水処理方法においては、並列熱交換手段としての熱交換器22,23によって並列熱交換工程が行われる。具体的には、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液は、希釈ドロー貯槽17に流入し、希釈ドロー貯槽17から熱交換器22,23の上流側への流路の分岐点P1において分岐される。分岐された一方の流路を通じて熱交換器22に供給される希釈ドロー溶液は、高温の水リッチ溶液との間で熱交換されて昇温される。分岐された他方の流路によって熱交換器23に供給される希釈ドロー溶液は、水リッチ溶液と同程度の温度の再生ドロー溶液との間で熱交換されて昇温される。換言すると、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液は、希釈ドロー貯槽17に流入して分岐点P1において分岐された後、並列熱交換工程として熱交換器22,23に並列に通過されて、それぞれ水リッチ溶液および再生ドロー溶液と熱交換される。これにより、再生ドロー溶液によって昇温させる希釈ドロー溶液の流量、および水リッチ溶液によって昇温させる希釈ドロー溶液の流量を、第3の実施形態に比して低減できるとともに、昇温させる温度幅を拡大できる。
水処理装置5において、分岐点P1で分岐された希釈ドロー溶液は、熱交換器22,23のそれぞれの下流側、かつ加熱器12の上流側における合流点P2において合流可能に構成されている。すなわち、熱交換器22,23を並列に通過して熱交換された希釈ドロー溶液は、合流点P2において合流する。ここで、一部の熱交換手段としての熱交換器22に供給される一方の希釈ドロー溶液と、他部の熱交換手段としての熱交換器23に供給される他方の希釈ドロー溶液との流量比率は、分岐点P1の近傍に設けられた調節弁(図示せず)によって調整される。調節弁によって調整される分岐点P1での流量比率は、合流点P2において一方の希釈ドロー溶液の温度と他方の希釈ドロー溶液との温度が略等しくなるように調整される。合流点P2において合流した希釈ドロー溶液は、加熱器12によって曇点以上沸点以下の温度にまで加熱される。
また、最終処理前熱交換手段としての熱交換器24によって、最終処理前熱交換工程が行われる。すなわち、分離槽13から流出して上澄水槽16に貯留された88℃程度の高温の水リッチ溶液は、熱交換器22に供給されて30℃以上50℃以下の例えば45℃に降温される。その後、最終処理前熱交換工程として、熱交換器22および三方弁33を通過した水リッチ溶液は、熱交換器24によって30℃以上45℃以下の例えば35℃に降温された後、最終処理ユニット14に供給される。その他の定常状態における水処理方法は、第3の実施形態と同様である。
(水処理装置の起動方法)
(前段起動工程)
次に、第4の実施形態による水処理装置5の起動方法について説明する。すなわち、第4の実施形態においては、まず、第2および第3の実施形態と同様にして、準備工程を行った後に前段起動工程を行う。前段起動工程においては、図6中太破線aで示すように、分離槽13内のドロー溶液を、三方弁31および循環流路41を通じて加熱器12に供給して加熱し、分離槽13に循環させる。これにより、分離槽13内のドロー溶液を、環境温度から曇点以上の温度まで上昇させる。
(後段起動工程)
その後、後段起動工程を行う。図7は、第4の実施形態による水処理装置5の後段起動工程を模式的に示すブロック図である。図7中、循環加熱工程におけるドロー溶液および水リッチ溶液の流路を、太実線cで示す。まず、第2および第3の実施形態と同様にして、希釈ドロー貯槽17に、環境温度の水および温度感応性吸水剤を含むドロー溶液を投入して、ポリマー濃度が例えば50%程度のドロー溶液を貯留する。希釈ドロー貯槽17へのドロー溶液の投入は、上述した準備工程の前後、または前段起動工程の前後のいずれの段階で行ってもよい。
(切換工程)
次に、図7に示すように、三方弁32,33によって、切換工程が行われる。すなわち、分離槽13から流出して三方弁31および熱交換器23を通過したドロー溶液が、三方弁32を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁32の切換を行う。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液が、上澄水槽16および熱交換器22を経由して、三方弁33を通じて希釈ドロー貯槽17に流入可能になるように、三方弁33の切換を行う。
(循環加熱工程)
次に、加熱器12、分離槽13、上澄水槽16、希釈ドロー貯槽17、および熱交換器22,23によって、循環加熱工程が行われる。すなわち、三方弁31を切り換えることによって、前段起動工程において加熱された高温のドロー溶液は、分離槽13から流出して三方弁31、熱交換器23、三方弁32、および上流側バイパス流路42を通じて希釈ドロー貯槽17に供給される。一方、後述するように分離槽13から流出した曇点以上の高温の水リッチ溶液は、上澄水槽16に流入して貯留される。その後、水リッチ溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって熱交換器22に供給され、希釈ドロー貯槽17から供給された低温のドロー溶液と熱交換されて降温される。熱交換器22によって降温された水リッチ溶液は、三方弁33によって下流側バイパス流路43を通じて希釈ドロー貯槽17に流入される。
希釈ドロー貯槽17においては、あらかじめ貯留されたドロー溶液と、分離槽13から上流側バイパス流路42を通じて流入したドロー溶液と、上澄水槽16から下流側バイパス流路43を通じて流入した水リッチ溶液とが混合される。希釈ドロー貯槽17内におけるドロー溶液の温度は、例えば25℃程度の環境温度から昇温される。希釈ドロー貯槽17に流入した水リッチ溶液は、貯留しているドロー溶液に混合される。高温のドロー溶液および高温の水リッチ溶液の流入によって、希釈ドロー貯槽17内におけるドロー溶液は昇温される。
希釈ドロー貯槽17に貯留しているドロー溶液は、例えば送水ポンプ(図示せず)によって流出され、分岐点P1において分岐される。分岐された熱交換器22側の一方の流路を流れるドロー溶液は、熱交換器22において、分離槽13から上澄水槽16を経由した曇点以上の高温の水リッチ溶液との間で熱交換されて昇温される。分岐された熱交換器23側の他方の流路を流れるドロー溶液は、熱交換器23において分離槽13を流出した曇点以上の高温のドロー溶液との間で熱交換されて昇温される。換言すると、希釈ドロー貯槽17から流出したドロー溶液は、分岐点P1において分岐された後、熱交換器22,23に並列に通過して、それぞれ曇点以上の高温の水リッチ溶液およびドロー溶液と熱交換される。
熱交換器22,23を並列して通過したドロー溶液は、熱交換器22,23の下流側、かつ加熱器12の上流側における合流点P2において合流する。上述した分岐点P1において分岐された一方の流路を流れるドロー溶液と、他方の流路を流れるドロー溶液との流量比率は、分岐点P1の近傍に設けられた調節弁(図示せず)によって調整される。具体的に、ドロー溶液における分岐点P1での流量比率は、合流点P2において一方のドロー溶液の温度と他方のドロー溶液との温度が略等しくなるように、調整弁によって調整される。合流点P2において合流したドロー溶液は、加熱器12に供給されて、さらに曇点以上沸点以下にまで加熱される。加熱されたドロー溶液は分離槽13に供給される。すなわち、分離槽13から流出したドロー溶液は、三方弁31、熱交換器23、三方弁32、および希釈ドロー貯槽17を順次経由し、熱交換器22,23を並列に経由して合流した後、加熱器12に供給されて分離槽13に循環される。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16、熱交換器22、および三方弁33を経由して、希釈ドロー貯槽17に供給されてドロー溶液と混合され、さらに、熱交換器22,23および加熱器12を順次経由して、分離槽13に循環される。その他の起動方法については、第3の実施形態と同様である。
上述した循環加熱工程においては、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液は、分離槽13から流出して熱交換器23を通過したドロー溶液、および分離槽13から上澄水槽16を経由して熱交換器22を通過した水リッチ溶液によって昇温される。これにより、第3の実施形態による循環加熱工程と同様の効果を得ることができる。
上述した循環加熱工程を継続して、分離槽13内のドロー溶液の温度が曇点以上の例えば88℃以上、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液の温度が所定温度の例えば40℃以上まで上昇した後、三方弁32,33を切り換える。これによって、分離槽13から流出したドロー溶液は、熱交換器23および三方弁32を順次経由して熱交換器21に供給された後、膜モジュール11に供給されるとともに、さらに含水溶液を膜モジュール11に供給することによって、膜モジュール11による正浸透工程が開始される。一方、分離槽13から流出した水リッチ溶液は、上澄水槽16に貯留された後、熱交換器22、三方弁33、および熱交換器24を順次経由して、最終処理ユニット14に供給され、最終処理が開始される。これにより、水処理装置5が起動されて、上述した第4の実施形態による定常状態における水処理が開始される。なお、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と含水溶液の供給とは、同時であってもよく、いずれか一方が先であってもよい。また、膜モジュール11へのドロー溶液の供給と、最終処理ユニット14への水リッチ溶液の供給および最終処理ユニット14の起動とは同時であってもよく、いずれか一方を先に開始してもよい。
第4の実施形態によれば、前段起動工程において、分離槽13内のドロー溶液の温度を曇点以上に上昇させることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、水処理装置4の起動時において、希釈ドロー貯槽17内のドロー溶液を所定温度まで昇温させていることにより、第2および第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第4の実施形態による定常状態における水処理方法によれば、膜モジュール11から流出した希釈ドロー溶液を分岐させて、熱交換器22において水リッチ溶液と熱交換させるとともに、熱交換器23において再生ドロー溶液と熱交換させて、並列して昇温させている。これにより、加熱器12の上流側において、希釈ドロー溶液を第2および第3の実施形態に比してより一層高温にできるので、加熱器12によって希釈ドロー溶液を加熱する際に昇温させる温度幅を、第2および第3の実施形態に比してさらに小さくできる。したがって、加熱器12による加熱に必要なエネルギーをさらに低減でき、水処理装置4において、加熱に消費するエネルギーをさらに低減できる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値や構成要素はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値や構成要素を用いてもよく、本発明は、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により限定されることはない。
例えば、上述した第4の実施形態における最終処理前熱交換手段としての熱交換器24を、第1〜第3の実施形態による水処理装置1〜4に適用することも可能である。
また、上述した第1〜第4の実施形態による水処理装置1〜5において、希釈ドロー溶液の流れ方向に沿って熱交換器21の下流側、かつ膜モジュール11の上流側に屈折率計を設けることも可能である。これにより、希釈ドロー溶液のポリマー濃度を計測することが可能になる。
1,2,3,4,5 水処理装置
11 膜モジュール
11a 半透膜
12 加熱器
13 分離槽
14 最終処理ユニット
15 冷却機構
16 上澄水槽
17 希釈ドロー貯槽
21,22,23,24 熱交換器
31,32,33 三方弁
41 循環流路
42 上流側バイパス流路
43 下流側バイパス流路

Claims (15)

  1. 溶媒として水を含む含水溶液から曇点を有するドロー溶液に、半透膜を介して水を移動させて前記ドロー溶液を希釈させた希釈ドロー溶液として流出するとともに、前記含水溶液を濃縮させた濃縮含水溶液として排出可能に構成された正浸透手段と、
    前記希釈ドロー溶液を前記曇点以上の温度に加熱可能に構成された加熱手段と、
    前記加熱手段によって加熱された前記希釈ドロー溶液を、水リッチ溶液と前記水リッチ溶液より含水率が低い低含水ドロー溶液とに分離可能に構成された水分離手段と、を備え、
    前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った前記加熱手段の上流側かつ前記正浸透手段の下流側とを連通可能な循環流路が設けられている
    ことを特徴とする水処理装置。
  2. 前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、
    前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー貯留手段とを連通可能な上流側バイパス流路が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、
    前記水リッチ溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側と、前記希釈ドロー貯留手段とを連通可能な下流側バイパス流路が設けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置。
  4. 前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液との間で熱交換可能に構成された流出側熱交換手段を、さらに備える
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の水処理装置。
  5. 前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された後段熱交換手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の水処理装置。
  6. 前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液を分岐させて、少なくとも2つの熱交換手段が並列して構成された並列熱交換手段によってそれぞれ熱交換可能に構成されているとともに、分岐されて前記並列熱交換手段によって熱交換された前記希釈ドロー溶液を、前記加熱手段の上流側において合流可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の水処理装置。
  7. 液体を冷却して冷却液として流出する冷却手段と、前記冷却手段から流出した前記冷却液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された流入側熱交換手段と、をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の水処理装置。
  8. 溶媒として水を含む含水溶液から曇点を有するドロー溶液に、半透膜を介して水を移動させて前記ドロー溶液を希釈させた希釈ドロー溶液として流出するとともに、前記含水溶液を濃縮させた濃縮含水溶液として排出可能に構成された正浸透手段と、
    前記希釈ドロー溶液を前記曇点以上の温度に加熱可能に構成された加熱手段と、
    前記加熱手段によって加熱された前記希釈ドロー溶液を、水リッチ溶液と前記水リッチ溶液より含水率が低い低含水ドロー溶液とに分離可能に構成された水分離手段と、を備える水処理装置を起動させる起動方法であって、
    前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー溶液の流れ方向に沿った前記加熱手段の上流側かつ前記正浸透手段の下流側とを連通可能な循環流路を設け、
    前記水分離手段に貯留されたドロー溶液を、前記循環流路を通じて前記加熱手段に供給して前記曇点以上の温度に加熱させる分離循環工程を含む
    ことを特徴とする水処理装置の起動方法。
  9. 前記水処理装置は、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、
    前記低含水ドロー溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側かつ前記正浸透手段の上流側と、前記希釈ドロー貯留手段と、を連通可能な上流側バイパス流路を設け、
    前記分離循環工程の後、前記水分離手段に貯留されたドロー溶液を、前記上流側バイパス流路を通じて前記希釈ドロー貯留手段に供給する上流側バイパス工程を含む
    ことを特徴とする請求項8に記載の水処理装置の起動方法。
  10. 前記水処理装置は、前記正浸透手段から流出した前記希釈ドロー溶液を貯留可能に構成された希釈ドロー貯留手段をさらに備え、
    前記水リッチ溶液の流れ方向に沿った前記水分離手段の下流側と、前記希釈ドロー貯留手段と、を連通可能な下流側バイパス流路を設け、
    前記分離循環工程の後、前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液を、前記下流側バイパス流路を通じて前記希釈ドロー貯留手段に供給する下流側バイパス工程を含む
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の水処理装置の起動方法。
  11. 前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記水リッチ溶液との間で熱交換可能に構成された流出側熱交換手段を、さらに備え、
    前記流出側熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出した水リッチ溶液との間で熱交換を行って、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を昇温させる流出側昇温工程を含む
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の起動方法。
  12. 前記流出側昇温工程の後、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を前記加熱手段によって加熱する加熱工程を含む
    ことを特徴とする請求項11に記載の水処理装置の起動方法。
  13. 前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液と前記水分離手段から流出した前記低含水ドロー溶液との間で熱交換可能に構成された後段熱交換手段を、さらに備え、
    前記後段熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出したドロー溶液との間で熱交換を行って、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を昇温させる後段昇温工程を含む
    ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の水処理装置の起動方法。
  14. 前記水処理装置は、前記希釈ドロー貯留手段から流出した前記希釈ドロー溶液を分岐させて、少なくとも2つの熱交換手段が並列して構成された並列熱交換手段によってそれぞれ熱交換可能に構成されているとともに、分岐されて前記並列熱交換手段によって熱交換された前記希釈ドロー溶液を、前記加熱手段の上流側において合流可能に構成され、
    前記少なくとも2つの熱交換手段のうちの一部の熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出した水リッチ溶液との間で熱交換を行い、前記少なくとも2つの熱交換手段のうちの他部の熱交換手段によって、前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液と、前記水分離手段から流出したドロー溶液との間で熱交換を行う並列熱交換工程を含む
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の起動方法。
  15. 前記並列熱交換工程の後、合流された前記希釈ドロー貯留手段から流出したドロー溶液を前記加熱手段によって加熱する加熱工程を含む
    ことを特徴とする請求項14に記載の水処理装置の起動方法。
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