JP2015192979A - 半透膜による水処理装置 - Google Patents

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洋平 冨田
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浩司 渕上
戸村 啓二
Keiji Tomura
啓二 戸村
藤原 茂樹
Shigeki Fujiwara
茂樹 藤原
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亮 功刀
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Abstract

【課題】曇点を有し加温すると凝集する温度感応性薬剤を誘引物質とする順浸透法による淡水の製造方法で、加温して凝集した温度感応性薬剤を更に効率よく分離できる方法の提供。
【解決手段】被処理水1に温度感応性薬剤を水に溶解した誘引溶液4を半透膜3を介して接触させ、被処理水1中の水を半透膜3を通して誘引溶液4に移動させ、水で希釈した希釈誘引溶液5と膜濃縮水2を得る順浸透膜処理装置10と、順浸透膜処理装置10から流出する希釈誘引溶液5を誘引溶液5の曇点以上の温度まで加温する第一の加温手段14と、加温した希釈誘引溶液5を、温度感応性薬剤濃度の高い下層液7と濃度の低い上層液6とに相分離する相分離槽11と、相分離槽11から流出する下層液7を誘引溶液4の曇点以下の温度まで冷却する冷却手段15と、相分離槽11から流出する上層液6を膜処理し、膜ろ過水8を得る膜ろ過装置12とを有する水処理装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水、かん水などの被処理水から淡水を製造する水処理装置に関するものである。
海水から半透膜を用いて淡水を製造する方法は種々知られているが、海水に浸透圧以上の圧力を加えて水を強制的に透過させる逆浸透法が主に開発されてきた。しかし、この方法は高圧に加圧する必要があるため、設備費および運転費にコストがかかるという問題点がある。そこで、半透膜を介して海水と海水より高濃度の塩溶液を接触させ、加圧せずとも浸透圧により海水中の水をこの塩溶液に移動させ、分離、回収することにより淡水を製造する方法が開発されている。(特許文献1、2)。
特許文献1の方法は、半透膜を介して海水と反対側にアンモニアと二酸化炭素を溶解して得られる塩溶液を流して、海水中の水を半透膜を通過させて該塩溶液に移動させ、得られた希釈塩溶液からイオン交換膜や蒸留塔等を用いてアンモニウムイオンと炭酸イオンを個別に分離して浄水を得るとともに、分離したアンモニウムイオンと炭酸イオンを該塩溶液に溶解して半透膜処理装置の元の部屋に戻す方法である。
特許文献2の方法は、曇点を有する温度感応性薬剤を溶質とした誘引溶液を用いており、図9に示すように、海水21を順浸透システム30に送って、そこで半透膜を介して誘引溶液24と接触させて海水21中の水を浸透圧により半透膜を透過させて誘引溶液24へ移動させる。水が誘引溶液に移動して残った濃縮海水22は順浸透システム30から流出する。一方、海水中の水で希釈された希釈誘引溶液25は加熱器を備えた沈殿システム34に送られ、そこで相分離あるいは沈殿を生じた希釈誘引溶液はポンプ37で加圧されてろ過システム32に送られる。その際、溶質の曇点より低い温度の液29を添加することができる。ろ過システム32で濃縮された誘引溶液24は順浸透システム30に返送される。一方、ろ過された膜ろ過水28は後処理部33でさらに精製されて飲料水となる。曇点を有する温度感応性薬剤としてはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールが使用され、ろ過システムのろ材にはナノろ過膜や逆浸透膜が使用されている。
特開2011−83663号公報 米国特許第8.021.553B2号明細書
特許文献1の方法では、誘引物質(例えば炭酸アンモニウム)の分離、回収を蒸発法で行うが、その際、アンモニアおよび同伴する水分の蒸発潜熱が多大で、膨大なエネルギーを要しコストも高い。さらに、蒸発設備サイズが極めて大きく、大量(例えば10万m/日)の飲料水製造には不向きである。また、投入エネルギーが大きいため熱交換器のサイズも大きくなり、大量処理には不向きである。さらに、炭酸アンモニウムを用いる場合には半透膜からのバックフローによって膜濃縮水を介して環境中に漏洩する誘引物質が窒素を含むため、富栄養化の原因となる。
特許文献2の方法は、誘引溶液の温度感応性を利用して誘引物質の一部を凝集させることにより、膜ろ過エネルギーを低減させることができる。この方法においては、誘引物質を凝集させた希釈誘引溶液はそのままろ過システムに送って凝集物をろ過分離していた。ところが、曇点温度以上となって凝集した液滴は非常に微小であるため、ろ過分離に多大な時間とエネルギーを要していた。
本発明者は、この問題を解決する手段として、誘引物質を凝集させた希釈誘引溶液を、そのままろ過システムへ送るのではなく、一旦、相分離槽で温度感応性薬剤である誘引物質を主体とする下層液と水を主体とする上層液に分離して、下層液は曇点以下に冷却して誘引溶液として順浸透工程へ循環し、上層液のみをナノろ過膜等でろ過する方法を既に開発している。
そして、本発明者はさらに検討を進めて、加温工程で曇点以上の温度まで加温された希釈誘引溶液を相分離槽に供給しても、相分離槽において温度が下がって薬剤回収量が低下することを見出した。
本発明の目的は、曇点を有し加温すると凝集する温度感応性薬剤を誘引物質として用いた順浸透法による淡水の製造方法において、加温によって凝集した温度感応性薬剤をさらに効率よく分離できる方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討の結果、希釈誘引溶液の相分離を行う相分離槽に加温手段を設けて槽内の希釈誘引溶液を加温することによって、濃厚層である下層液の薬剤濃度をより高く、希薄層である上層液の薬剤濃度をより低くし、相分離槽での薬剤回収率の低下を防止することを可能とした。
しかしながら、槽内で加温すると、熱対流によって、凝集した薬剤液滴が浮上し、また、上層部の加温部で発生した微細な薬剤液滴も沈降する前に上層液として回収されてしまうことによる薬剤回収率の低下が見出された。そこで、相分離槽内に傾斜板を設置して、熱対流で上昇した薬剤液滴や上層部で発生した微細な薬剤液滴を合一させて大きな液滴として沈降させることによりこの問題を解決した。
すなわち、本発明は、被処理水と、温度感応性薬剤を水に溶解した誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と膜濃縮水を得る順浸透膜処理装置と、前記順浸透膜処理装置から流出する希釈誘引溶液を前記誘引溶液の曇点以上の温度まで加温する第一の加温手段と、前記第一の加温手段で加温した希釈誘引溶液を、温度感応性薬剤濃度の高い下層液と温度感応性薬剤濃度の低い上層液とに相分離する相分離槽と、前記相分離槽から流出する下層液を前記誘引溶液の曇点以下の温度まで冷却する冷却手段と、前記相分離槽から流出する上層液を膜ろ過し、膜ろ過水を得る膜ろ過装置を有する水処理装置であって、前記相分離槽に第二の加温手段と傾斜板を設けたことを特徴とする水処理装置を提供するものである。
本発明により、曇点を有する温度感応性薬剤を用いた順浸透法による水処理装置において、相分離した温度感応性薬剤の希薄層である上層液から温度感応性薬剤を効率よく分離し、膜ろ過装置におけるろ過負担を大幅に軽減することができる。
本発明の一実施態様を模式的に示すブロック図である。 相分離槽の一例の側面断面図である。 図2のA−A´から下方を見た図である。 図2のB−B´から下方を見た図である。 図2のC−C´とD−D´から右方を見た図である。 本発明の別の実施態様を模式的に示すブロック図である。 コアレッサーの一例の概略縦断面図である。 曇点温度と薬剤濃度の関係を示した曲線である。 公知の水処理方法の概略を示すブロック図である。
図1に本発明の一実施態様を模式的に示す。
本発明の装置で処理される被処理水は水を溶媒とする溶液であり、海水、かん水などである。かん水は、シェールガス、オイルサンド、CBM(炭層メタン)、石油等を採掘する坑井からの随伴水も含まれる。
随伴水は、坑井からの採掘目的物に同伴して排出される水であり、塩分、有機物、懸濁物などを含んでいる。汚濁物質の濃度としては、例えば蒸発残留物(主にNa+、K+、Ca2+、Cl-、SO4 2-など)が1,000〜100,000mg/L、有機物(油分や添加した薬剤など)がTOCとして10〜1,000mg/L、懸濁物質が100〜10,000mg/Lといった範囲で含有される。
油分と随伴水の分離手段は問わないが、例えば沈降などで油水分離が行われている。
図1に示していないが、被処理水を必要によりまずろ過処理する。このろ過処理は、例えば、精密ろ過膜を用いたろ過器で行い、ろ過膜は、精密ろ過膜として使用されている通常の膜を使用することができる。例えば、酢酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニルなどの他、セラミック製の膜や多孔質ガラス製の膜なども利用できる。精密膜ろ過処理では、精密ろ過膜を通過した膜ろ過水と、膜を通過しないで残った膜濃縮水が得られる。
精密膜ろ過のほか、限外膜ろ過、砂ろ過等のろ過処理を用いることができる。限外膜ろ過の材質は精密膜ろ過と同様のものが用いられる。
順浸透膜処理装置
順浸透膜処理装置は、ろ過処理した被処理水と、温度感応性薬剤を水に溶解した高浸透圧の誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と膜濃縮水を得る装置である。
半透膜は水を選択的に透過できるものがよく、順浸透(Forward Osmosis)膜が好ましいが、逆浸透膜も使用できる。材質は特に制限されないが、例示すれば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリエチレンイミン系、ポリスルホン系、ポリベンゾイミダゾール系のものなどを挙げることができる。半透膜の形態も特に制限されず、平膜、管状膜、中空糸などいずれであってもよい。
この半透膜を装着する順浸透膜処理装置は通常は円筒形あるいは箱形の容器内に半透膜を設置して、この半透膜で仕切られた一方の室に被処理水を流し、他方の室に誘引溶液を流せるものであり、公知の半透膜装置を用いることができ、市販品を用いることができる。
温度感応性薬剤は、低温では親水性で水によく溶けるが、ある温度以上になると疎水性化し溶解度が低下する物質であり、水溶性〜水不溶性に変化する温度が曇点と呼ばれる。この温度に達すると疎水性化した温度感応性薬剤が析出して白濁が起こる。
この温度感応性薬剤は、各種界面活性剤、分散剤、乳化剤などとして利用されており、例示すれば、アルコールまたは脂肪酸とエチレンオキサイドの化合物、アルコールまたは脂肪酸とプロピレンオキサイドの化合物、アクリルアミドとアルキル基の化合物、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、アミノ酸およびその誘導体などであり、好ましくは、ポリエチレングリコールとポリプロピレン/ポリブチレングリコールのブロック共重合体、グリセロールエトキシレートブトキシレート、トリメチロールプロパンエトキシブトキシレート等である。本発明において使用する温度感応性薬剤としては、曇点が30℃〜80℃の範囲、特に40℃〜60℃の範囲のものが好ましい。そのために、HLB値が10以上の非イオン性界面活性剤とそれよりHLB値が低い非イオン性界面活性剤、脂肪酸あるいはアルコールを組み合わせて曇点を上記の範囲に調節することができる。
誘引溶液の濃度は、誘引溶液の浸透圧が、被処理液の浸透圧より十分高くなるように調整しなければならない。
この誘引溶液には、凝集用固体粒子を添加することもできる。凝集用固体粒子としては、ベントナイト、カオリン、活性炭粉末等が使用でき、無機吸着剤がより望ましい。粒径としては、平均粒径で0.1〜10μm程度のものが望ましい。固体粒子の添加量は、温度感応性薬剤に対する重量比で0.1〜10%程度が適当である。ただし、これらは温度感応性薬剤と固体粒子との親和性を勘案して決定することが望ましい。
順浸透膜処理装置で被処理水を半透膜を介して誘引溶液と接触させると浸透圧の差によって被処理水中の水が半透膜を通って誘引溶液に移動する。
第一の加温手段
順浸透膜処理装置から流出する希釈誘引溶液を曇点以上の温度まで加温して、温度感応性薬剤の少なくとも一部を液滴として凝集させる手段である。この凝集液滴は、温度感応性薬剤の濃厚溶液が相分離したものである。
加温手段は所定の温度まで加熱できればよく、電気ヒーター、熱交換器など如何なるものでも用いることができる。
この加温手段の熱源には、次の相分離槽で分離された下層液の顕熱を使用することが好ましい。
相分離槽
相分離槽は、前記第一の加温手段で加温した希釈誘引溶液を、温度感応性薬剤濃度の高い下層液と温度感応性薬剤濃度の低い上層液に相分離する槽である。この相分離は曇点以上の液温で相分離槽内で静置することによって行うことができる。その際、前記第一の加温手段で凝集した温度感応性薬剤の濃厚溶液は、凝集用固体粒子があるとそれを核として微細な液滴の状態になる。そして、この状態で相分離槽に投入されると、濃厚溶液の微細液滴は速やかに沈降し、液滴同士が合一して下に濃厚層が形成される。凝集用固体粒子のほとんどは濃厚層に集まるが、極く一部は上の希薄層に残る。この分層に要する時間は、凝集用固体粒子が存在しない場合は2〜4時間位かかるが、これを存在させることにより、0.5〜1.0時間程度(約4分の1程)に短縮させることができる。
ところで、本発明者は、この相分離槽に第二の加温手段を設けて槽内の希釈誘引溶液を加温することによって濃厚層である下層液の薬剤濃度をより高く、希薄層である上層液の薬剤濃度をより低くすることができるが、槽内の加温による熱対流で凝集した薬剤液滴が浮上し、また上層部の加温部で発生した薬剤液滴も沈降する前に上層液として分離されてしまうことを見出した。そして、相分離槽内に傾斜板を設けることにより、熱対流で上昇した薬剤液滴や上層部で発生した微細な薬剤液滴を合体させて大きな液滴にして沈降速度を早められることを見出した。
第二の加温手段は、相分離槽内の希釈誘引溶液の上層部および下層部の両方を加温できるよう配置される。加温手段は、電気ヒーター、熱交換器など如何なるものでも用いることができるが、上層部および下層部の希釈誘引溶液を均一に加熱できるよう、管状や板状のものをなるべく均等に配置するのがよい。加温能力は希釈誘引溶液を相分離槽の滞留時間において、1〜5℃程度、好ましくは2〜4℃程度上昇させられればよい。
傾斜板は、熱対流によって上昇してきた下層液中の微細液滴や加温によって発生した上層液中の微細液滴を板に付着して合体させて大粒化し、沈降させるものであり、原則として上層液の上部、液面近傍に設ける。板は、通常は、複数枚、2〜20枚程度、好ましくは4〜10枚程度を平行に設ければよく、上からの投影面積で、液面の50%以上、好ましくは100%以上を覆うように設置する。傾斜角度は、上層液の流出方向と同じ方向に傾けるのがよく、角度は0〜90°程度、好ましくは15〜45°程度でよい。
冷却手段
前記相分離槽で分離された下層液は、これを前記誘引溶液の曇点より低い温度に冷却することで温度感応性薬剤を水に溶解させて誘引溶液に再生する。この温度は広い範囲で採用可能であるが、経済性を考慮すると常温かそれより高い温度が好ましい。この冷却熱源としては、被処理水あるいは順浸透膜処理装置において得られた希釈誘引溶液を用いることがエネルギーの効率利用の点で好ましい。この冷却が不充分な場合には、順浸透膜処理装置で被処理水から移動してくる水によって濃度が下がるので曇点を発現して相分離し、浸透圧が低下してしまう。
再生した誘引溶液はそのまま循環使用できる。
コアレッサー
本発明においては、前述のように、相分離槽に第二の加温手段と傾斜板を設けることによって分離効率を高めることができる。しかしながら、相分離槽で分離された上層液には温度感応性薬剤が1〜5重量%、通常2〜3重量%程度含まれており、これが膜ろ過装置におけるろ過負担をかなり大きくしているので、上層液を膜ろ過装置に送る前に温度感応性薬剤を低減しておくことが好ましい。ところが、上層液に含まれている温度感応性薬剤は極めて微細な粒子であるため、その分離が容易ではない。本発明者は、分離手段を種々検討した結果、コアレッサーを用いることによって極めて効率よく分離できることを見出した。コアレッサーとは、疎水性の液滴を含む水溶液がフィルターを通過する際に、疎水性の液滴をろ過媒体に付着させ絡ませて、強制的に合一させて粗大化して分離するもので、この分離は通常比重分離で行うことができる。ろ過媒体は、フッ素樹脂、その他の各種樹脂、アルミナ繊維、ガラス繊維等で形成され、特表2000−508581号公報、特開2012−200682号公報などの特許出願がある。また、「フェーズセップHEシリーズ」(日本ポール株式会社、ポールインダストリアルカンパニー)、「ユーテック」(旭化成せんい株式会社)などの商品名で市販されている。
コアレッサーは、本体であるカートリッジを槽内に収容したものであり、縦型のものと横型のものがある。いずれも、分離しようとする液体の入口側を仕切ってカートリッジ内に流入させ、カートリッジを通過した液はその際に成長した疎水性の液滴を槽内で水相と比重分離して、一方を上部から他方を下部から抜き出す構造になっている。縦型のコアレッサーの一例を図7に示す。このコアレッサーは、円筒型のタンク171の底部を仕切る底板172が設けられ、その中央の通路から上方にコアレッサーの本体であるカートリッジ173が垂直に設けられている。そして、底板172の直ぐ上には温度感応性薬剤の抜出口174が、タンク171の上部には温度感応性薬剤が除去された上層液の抜出口175が設けられている。温度感応性薬剤を含む上層液6はタンク171の底部入口176から入ってカートリッジ173を通過し、その際温度感応性薬剤の液滴はろ過媒に付着して絡みつき、液滴が合一して粗大化し、タンク室内に放出される。放出された温度感応性薬剤の液滴は沈降してさらに合一され、タンク室下部の温度感応性薬剤抜出口174から取り出される。一方、温度感応性薬剤の液滴が捕集されて分離された上層液はタンク上部の上層液抜出口175から流出する。
このコアレッサー処理により、上層液に含まれている温度感応性薬剤は50〜80%程度除去され、その濃度は2重量%未満になる。
また、滞留時間が0.5〜1.0時間程度である相分離槽を小型化(滞留時間10分〜20分)した場合,相分離槽の表面負荷より液滴の沈降速度が小さいものが増加するため、上層液の温度感応性薬剤濃度は5〜7重量%と高濃度になる。これをコアレッサー処理することで、上層液濃度は2重量%未満となった。このように、コアレッサー処理の導入によって、相分離槽の小型化が可能である。
膜ろ過装置
一方、前記相分離槽で分離されあるいはコアレッサーでさらに温度感応性薬剤を除去された上層液は、ナノろ過膜や逆浸透膜などで膜ろ過して、そこに残存している温度感応性薬剤や凝集用固体粒子を除去する。膜ろ過水は淡水であり、飲料水などに利用できる。膜ろ過されないで残った膜濃縮水は、温度感応性薬剤や凝集用固体粒子が含まれているので、相分離槽に循環するのがよい。あるいは、濃縮して誘引溶液として順浸透膜処理装置に直接返送することもできる。
一方、順浸透膜処理装置で得られた膜濃縮水は塩分を高濃度で含んでいるので、これを濃縮して塩分を析出させて分離し、有効利用することができる。
本発明の装置の一例を図1に模式化して示す。同図に示すように、海水等の被処理水1は順浸透膜処理装置10に送入され、半透膜3を通して水が反対側の室に透過されて残った膜濃縮水2が排出される。順浸透膜処理装置10の反対側の室には誘引溶液4が流入しており、そこで半透膜3を介して被処理水1と向流接触して被処理水1から移行した水で希釈されて順浸透膜処理装置10を出る。順浸透膜処理装置10を出た希釈誘引溶液5は、熱交換器16で相分離された下層液7と熱交換して加温され、加熱器14でさらに加温されて相分離槽11に入る。
相分離槽11は、図1の右上に模式的に示すように、内部にヒーター111と傾斜板112が設置されている。ヒーター111は相分離槽11内の上層液と下層液の両方を加熱できるように配置されており、傾斜板112は上層液の流出方向と同じ方向に傾けて配置されている。
相分離槽11で分離された上層液6は膜ろ過装置12でろ過され、得られた膜ろ過水8は活性炭等の後処理装置13でさらに精製されて精製水を得る。膜ろ過装置12でろ過されなかった膜濃縮水9は相分離槽11に返送されて希釈誘引溶液とともに相分離される。
一方、相分離槽11で分離された下層液7は、熱交換器16を経て冷却器15で冷却されて、誘引溶液4として順浸透膜処理装置10に返送される。
本発明の装置の別の例を図6に示す。この装置は、相分離層11の上層液6の出口と膜ろ過装置12の間にコアレッサー17を設けた外は、図1の装置と同じである。コアレッサー17で温度感応性薬剤が分離された上層液は膜ろ過装置12に送られ、コアレッサー17で分離された温度感応性薬剤は相分離槽11へ返送される。
図1に示す装置を用いた。順浸透膜処理装置10の半透膜には酢酸セルロース製順浸透膜を、膜ろ過装置12にはナノろ過膜をそれぞれ使用した。
相分離槽11には、図2〜図5に示すものを用いた。この槽は箱型で、大きさは縦550mm、横1000mm、深さ700mmである。図2の左側には、希釈誘引溶液流入管が設けられ、それより槽の内部側には投入された希釈誘引溶液が槽の底部から横方向に広がって槽の内部へ進入するよう整流板が槽の左壁に平行に垂直に設けられている。整流板より内側には管状のヒーターが図2と図4に示すように蛇行して4段に設けられ、その上には、4枚の傾斜板が図面右側に垂直から30°に傾けて設けられている。各傾斜板は上からの投影面積で幅130mm長さ550mm傾斜板の間隔20mmである。ヒーター部には温度計が設けられている。槽の図面右側の下部には濃厚層である下層液の取出口が、上部には越流堰が設けられ、そこを越流してきた希薄層である上層液の取出口が越流堰内に設けられている。
誘引溶液には、ポリグリセリンモノラウレートとソルビタンモノカプリレートの混合物に、水を加えて薬剤濃度90重量%とした溶液を用いた。この溶液の曇点は60℃であった。
この曇点温度は薬剤濃度によって変わる。上記薬剤の濃度と曇点の関係を調べた結果を図8に示す。
上記誘引溶液に平均粒径1μmのベントナイトを上記の温度感応性薬剤に対し1重量%を加えて懸濁させた。
UF膜により前処理した海水を被処理水1として順浸透膜処理装置10に3L/分の流速で流入させた。膜透過水の量は1.5L/分であり、順浸透膜処理装置10から流出する希釈誘引溶液5の量は3.8L/分であった。この希釈誘引溶液5は熱交換器16を経て加熱器14で60℃に加温し、相分離槽11に流入させた。相分離槽でさらに加温し、70℃とすることで、より多くの薬剤が液滴化した。上層部で発生した液滴や熱対流によって上昇した薬剤液滴が、傾斜板により凝集し、効果的に分離した結果、温度感応性薬剤濃度が、希薄上層液は2〜3重量%、濃厚下層液は90〜93重量%と、60℃での相分離で想定される希薄上層液濃度(5重量%)より低く、濃厚下層液濃度(90重量%)より高くすることができた。
得られた下層液7は熱交換器16を経て冷却器15で40℃に冷却し、再び順浸透膜処理装置10に流入させた。上層液6は膜ろ過装置12に導入し、膜ろ過水8と膜濃縮水9に分離した。膜濃縮水9は再び相分離槽11へ流入させた。膜ろ過水8は後処理装置13を経て1.5L/分の淡水を獲た。この淡水は飲料水として使用可能であった。
一方、相分離槽で追加の加温を行わなかった場合は、相分離槽で液温が低下し、温度感応性薬剤濃度が、希薄上層液は5〜7重量%と高くなり、濃厚下層液は85〜90重量%と低くなった。
本発明の方法は、海水から淡水の製造や、坑井からの随伴水の処理などに広く利用できる。
1 被処理水
2 膜濃縮水
3 半透膜
4 誘引溶液
5 希釈誘引溶液
6 上層液
7 下層液
8 膜ろ過水
9 膜濃縮水
10 順浸透膜処理装置
11 相分離槽
111 ヒーター(第二の加温手段)
112 傾斜板
12 膜ろ過装置
13 後処理装置
14 加熱器(第一の加温手段)
15 冷却器(冷却手段)
16 熱交換器(冷却手段)
17 コアレッサー
171 タンク
172 底板
173 カートリッジ
174 温度感応性薬剤抜出口
175 上層液抜出口
176 上層液入口

Claims (5)

  1. 被処理水と、温度感応性薬剤を水に溶解した誘引溶液を半透膜を介して接触させ、前記被処理水中の水を前記半透膜を通して前記誘引溶液に移動させ、水で希釈された希釈誘引溶液と膜濃縮水を得る順浸透膜処理装置と、前記順浸透膜処理装置から流出する希釈誘引溶液を前記誘引溶液の曇点以上の温度まで加温する第一の加温手段と、前記第一の加温手段で加温した希釈誘引溶液を、温度感応性薬剤濃度の高い下層液と温度感応性薬剤濃度の低い上層液とに相分離する相分離槽と、前記相分離槽から流出する下層液を前記誘引溶液の曇点以下の温度まで冷却する冷却手段と、前記相分離槽から流出する上層液を膜ろ過し、膜ろ過水を得る膜ろ過装置を有する水処理装置であって、前記相分離槽に第二の加温手段と傾斜板を設けたことを特徴とする水処理装置。
  2. 前記相分離槽から流出する上層液中の微細な温度感応性薬剤を凝集、分離するコアレッサーを前記膜ろ過装置の前段に有することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記膜ろ過装置から流出する膜濃縮水を前記相分離槽へ循環する循環手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
  4. 誘引溶液の曇点が30℃〜80℃の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水処理装置。
  5. 相分離槽から流出する下層液と前記希釈誘引溶液との熱交換手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の水処理装置。
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