JP2019166972A - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のシートのそれぞれにおける個別空調を可能とするとともに、設置スペースの省スペース化を図ることのできる車両用空気調和装置を提供する。【解決手段】熱媒体回路20には、複数の空調ユニット10の冷媒回路12が接続されている。これにより、複数の空調ユニット10を車室内のみに設置するとともに、1つの熱媒体回路20のみを車室内と車室外とにわたって設置することで車両用空気調和装置1を構成することができるので、車両用空気調和装置1の設置スペースの省スペース化を図ることが可能となる。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、車両の車室内の冷房または暖房を行う車両用空気調和装置に関するものである。
従来、この種の車両用空気調和装置としては、圧縮機、車室内を加熱または冷却する室内熱交換器、及び、室内熱交換器において放出した熱の吸収または吸収した熱の放出を行う室外熱交換器と、が接続された冷媒回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記車両用空気調和装置では、室側熱交換器が設置された車室内と室外熱交換器が設置された車室とにわたって冷媒回路が構成されている。
車両用空気調和装置では、車室内に設けられた複数のシートのそれぞれにおいて、着座した乗員に向かって吹出す空気の温度の調整可能とする個別空調を行うことによって、シートに着座している乗員の快適性を向上させることが考えられている。
しかし、複数のシートのそれぞれにおける個別空調を可能とするためには、複数のシートのそれぞれに対して冷媒回路を構成することになり、車室内と車室外とにわたって複数の冷媒回路を構成することになるため、車両用空気調和装置を設置するために広い設置スペースが必要となる。
本発明の目的とするところは、複数のシートのそれぞれにおける個別空調を可能とするとともに、設置スペースの省スペース化を図ることのできる車両用空気調和装置を提供することにある。
本発明の車両用空気調和装置は、前記目的を達成するために、車両における対象物を加熱または冷却する利用側熱交換器と、利用側熱交換器において放出した熱の吸収または吸収した熱の排出を行う吸排熱側熱交換器と、が接続された冷媒回路と、吸排熱側熱交換器において冷媒と熱交換する熱媒体が流通し、熱媒体と車室外の空気とを熱交換させる室外熱交換器が接続された熱媒体回路と、を備え、熱媒体回路には、複数の冷媒回路が接続されている。
これにより、複数の冷媒回路のそれぞれの吸熱または排熱が1つの熱媒体回路によって実行されることから、複数の冷媒回路が車室内のみに設置され、1つの熱媒体回路のみが車室内と車室外とにわたって設置される。
本発明によれば、複数の冷媒回路を車室内のみに設置するとともに、1つの熱媒体回路のみを車室内と車室外とにわたって設置することで車両用空気調和装置を構成することができるので、複数のシートのそれぞれにおける個別空調を可能とするとともに、車両用空気調和装置の設置スペースの省スペース化を図ることが可能となる。
図1乃至図2は、本発明の一実施形態を示すものである。
本発明の車両用空気調和装置1は、乗員が着座するためのシートが車室内に複数配置された車両において、シート毎に着座した乗員に向かって冷却又は加熱した空気を吹き出させるとともに、それぞれのシートの表面温度の調整を行うものである。
車両用空気調和装置1は、図1に示すように、車室内における複数のシートのそれぞれの下部に設けられた複数の空調ユニット10と、車室内と車室外とにわたって設置され、複数の空調ユニット10が接続された熱媒体回路20と、を備えている。
空調ユニット10は、直方体形状を有するケース11と、ケース11内に設けられた冷媒回路12と、を有している。
ケース11には、内部に車室内に吹き出す空気を流通させるための通風路11aが形成されている。通風路11aには、車室内及び車室外の少なくとも一方の空気を通風路11aに流入させるための空気流入口11bと、通風路11aを流通した空気を車室内に吹き出させるための空気流出口11cと、が形成されている。また、通風路11a内には、空気流入口11bから空気流出口11cに向かって空気を流通させるための送風機13と、通風路11aを流通する空気を加熱または冷却するための後述する第1利用側熱交換器と、が配置されている。
冷媒回路12は、吸入した冷媒を圧縮して吐出するための圧縮機12aと、通風路11aを流通する空気と冷媒とを熱交換するための第1利用側熱交換器12bと、シートの内部に設置されたシート用熱媒体回路14を流通する熱媒体と冷媒とを熱交換するための第2利用側熱交換器12cと、熱媒体回路20を流通する熱媒体と冷媒とを熱交換するための吸排熱側熱交換器12dと、冷媒回路12を流通する冷媒を減圧するための第1膨張弁12e及び第2膨張弁12fと、暖房運転用の冷媒流路と冷房運転用の冷媒流路とを切り替えるための流路切替手段としての四方弁12gと、を有している。
具体的に説明すると、圧縮機12aの冷媒吐出側及び冷媒吸入側には、四方弁12gを介して第1利用側熱交換器12bの一端側が接続されている。第1利用側熱交換器12bの他端側には、第1膨張弁12eを介して第2利用側熱交換器12cの冷媒流路一端側が接続されている。第2利用側熱交換器12cの冷媒流路他端側には、第2膨張弁12fを介して吸排熱側熱交換器12dの冷媒流路一端側が接続されている。吸排熱側熱交換器12dの冷媒流路他端側には、四方弁12gを介して圧縮機12aの冷媒吐出側及び冷媒吸入側が接続されている。
第1膨張弁12e及び第2膨張弁12fは、それぞれ弁開度の調整が可能となっている。また、四方弁12gは、第1乃至第4接続口a,b,c,dを有し、第1接続口aと第2接続口bとを連通すると共に第3接続口cと第4接続口dとを連通する状態と、第1接続口aと第3接続口cとを連通すると共に第2接続口bと第4接続口dとを連通する状態と、を切り替え可能である。
第2利用側熱交換器12cの熱媒体流路には、シートの内部に組み込まれたシート用熱媒体回路14が接続されている。シート用熱媒体回路14には、エチレングリコール等の不凍液や水が熱媒体として封入されている。
熱媒体回路20には、エチレングリコール等の不凍液や水が熱媒体として流通する流路が形成されており、複数の空調ユニット10の冷媒回路12の吸排熱側熱交換器12dの熱媒体流路が互いに並列に接続されている。熱媒体回路20には、内部に封入された熱媒体を循環させるための循環ポンプ21と、車室外の空気と熱媒体とを熱交換するための室外熱交換器22と、が接続されている。室外熱交換器22は、車両のエンジンルーム等の車室外の空間に配置されている。また、室外熱交換器22の近傍には、車室外の空気を室外熱交換器22に向かって流通させるための室外送風機22aが設けられている。
以上のように構成された車両用空気調和装置1において、複数の空調ユニット10では、それぞれ、圧縮機12a及び送風機13を駆動するとともに、第1膨張弁12e及び第2膨張弁12fの弁開度と四方弁12gの流路を設定することで、暖房運転と冷房運転とが切り替えられる。また、熱媒体回路20では、循環ポンプ21及び室外送風機22aを駆動することで、空調ユニット10の吸排熱側熱交換器12dに対して冷媒と熱交換する熱媒体が供給される。
空調ユニット10において暖房運転を行う場合には、図1に示すように、第1膨張弁12eの弁開度を全開に設定すると共に第2膨張弁12fを所定の弁開度に設定し、四方弁12gの第1接続口aと第2接続口bとを連通すると共に第3接続口cと第4接続口dとを連通する状態とする。
これにより、圧縮機12aから吐出された冷媒は、第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cにおいて熱を放出し、吸排熱側熱交換器12dにおいて熱を吸収する。
また、圧縮機12aから吐出された高温の冷媒は、まず、第1利用側熱交換器12bにおいて放熱して温度が低下する。次に、第1利用側熱交換器12bにおいて放熱して温度が低下した冷媒が、第2利用側熱交換器12cにおいてさらに放熱する。
即ち、暖房運転時において車室内に吹き出される空気は、車室内の目標設定温度と比較して高温が求められるため、圧縮機12aから吐出された高温の冷媒と熱交換した空気が車室内に吹き出される。また、暖房運転時におけるシートは、乗員が接することになり、車室内の目標設定温度に対して著しく高温となる状態を避ける必要があるため、第1利用側熱交換器12bにおいて放熱した後の冷媒と熱交換した熱媒体によってシートが加熱される。
また、空調ユニット10において冷房運転を行う場合には、図2に示すように、第1膨張弁12eの弁開度を所定の弁開度に設定すると共に第2膨張弁12fの弁開度を第1膨張弁12eの弁開度よりも大きい所定の弁開度に設定し、四方弁12gの第1接続口aと第3接続口cとを連通すると共に第2接続口bと第4接続口dとを連通する状態とする。
これにより、圧縮機12aから吐出された冷媒は、吸排熱側熱交換器12dにおいて熱を排出し、第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cにおいて熱を吸収する。
また、吸排熱側熱交換器12dから吐出した冷媒は、まず、第2膨張弁12fを第1膨張弁12eの弁開度よりも大きい所定の弁開度に設定することで、第2利用側熱交換器12cにおける吸熱量が所定の吸熱量に制限される。次に、第2利用側熱交換器12cから流出した冷媒は、第1膨張弁12eを所定の弁開度に設定することで、第1利用側熱交換器12bにおいて第2利用側熱交換器12cよりも大きな吸熱量とする。
即ち、冷房運転時において車室内に吹き出される空気は、車室内の目標設定温度と比較して低温が求められるため、第2利用側熱交換器12cよりも大きな吸熱量となる第1利用側熱交換器12bにおいて冷媒と熱交換し、車室内に吹き出される。また、冷房運転時におけるシートは、乗員が接することになり、車室内の目標設定温度に対して著しく低温となる状態を避ける必要があるため、吸熱量が制限された第2利用側熱交換器12cにおいて冷媒と熱交換した熱媒体によってシートが冷却される。
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、熱媒体回路20には、複数の空調ユニット10の冷媒回路12が接続されている。
これにより、複数の空調ユニット10を車室内のみに設置するとともに、1つの熱媒体回路20のみを車室内と車室外とにわたって設置することで車両用空気調和装置1を構成することができるので、車両用空気調和装置1の設置スペースの省スペース化を図ることが可能となる。
また、冷媒回路12には、複数の利用側熱交換器12b,12cが互いに直列に接続されている。
これにより、利用側熱交換器12b,12cのそれぞれにおいて対象物を互いに異なる温度となるように冷却または加熱することができるので、車室内における乗員の快適性を向上させることが可能となる。
また、冷媒回路12は、利用側熱交換器12b,12cを、放熱器として機能させる暖房運転用の冷媒流路または吸熱器として機能させる冷房運転用の冷媒流路に切り替える四方弁12gを有している。
これにより、冷媒回路12において、暖房運転及び冷房運転のそれぞれにおいて第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cによって対象物を加熱または冷却することが可能となるので、冷媒の流路を構成する管の使用量を低減することができ、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、複数の利用側熱交換器12b,12cのうち、冷媒流通方向の上流側に位置する利用側熱交換器(暖房運転における第1利用側熱交換器12b、冷房運転における第2利用側熱交換器12c)は、下流側に位置する利用側熱交換器において加熱または冷却される対象物の温度よりも高い温度に対象物を加熱または冷却する。
これにより、暖房運転において高温が要求される空気を加熱する第1利用側熱交換器12bと、冷房運転において過度な低温を避ける必要がある熱媒体を冷却する第2利用側熱交換器12cと、を同一の冷媒回路12によって構成することが可能となる。
尚、前記実施形態では、熱媒体回路20を流通する熱媒体を、室外熱交換器22において車室外の空気と熱交換させることによって、吸熱または放熱させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。流通する熱媒体の吸熱量が不足する状態を解消可能な熱媒体回路としては、例えば、図3に示すように、熱媒体回路20を流通する熱媒体を電力によって加熱するため加熱ヒータ23を、三方弁24を介して、室外熱交換器22と並列に接続してもよい。この場合には、熱媒体回路20を流通する熱媒体を加熱ヒータ23によって加熱することで冷媒回路12において不足する熱量を補うことが可能となる。
また、車両がエンジン及び電動モータの一方または両方の駆動力によって走行するハイブリッド車両や、電動モータの駆動力で走行する電動車両等、走行用の電力を供給するためのバッテリを備えている場合には、図4に示すように、バッテリ25を冷却するための冷却回路を熱媒体回路20に接続してもよい。この場合には、バッテリ25を冷却するための冷却回路を別途設ける必要がなく、熱媒体回路20を流通する熱媒体によってバッテリ25を冷却することが可能となる。また、バッテリ25から排出される熱は、熱媒体回路20を流通する熱媒体に吸熱させることによって、冷媒回路12において不足する熱量を補うことが可能となる。
また、前記実施形態では、二つの利用側熱交換器12b,12cを接続した冷媒回路12を示したが、1つの利用側熱交換器を接続した冷媒回路に対しても、本発明を適用可能である。
また、前記実施形態では、冷媒回路12に対して、第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cを互いに直列に接続し、加熱または冷却される対象物を互いに異なる温度とするようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、冷媒回路12に対して、3以上の利用側熱交換器を互いに直列に接続し、加熱または冷却する対象物を互いに異なる温度とするようにしてもよい。
また、前記実施形態では、第1利用側熱交換器12bによって車室内に吹き出す空気の温度を加熱または冷却し、第2利用側熱交換器12cによってシート用熱媒体回路14を流通する熱媒体を加熱または冷却するものを示したが、これに限られるものではない。例えば、第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cのそれぞれにおいて車室内に供給する空気を互いに異なる温度に加熱または冷却してもよい。また、第1利用側熱交換器12b及び第2利用側熱交換器12cのそれぞれにおいて液体の熱媒体を互いに異なる温度に加熱または冷却してもよい。
また、前記実施形態では、四方弁12gによって冷媒回路12を、冷房運転用の冷媒流路または暖房運転用の冷媒流路に切り替えるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。冷媒回路12を、複数の開閉弁によって冷房運転用の冷媒流路または暖房運転用の冷媒流路に切り替えが可能となるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、本発明を、暖房運転または冷房運転に切り替え可能な冷媒回路12に適用したものを示したが、これに限られるものではない。例えば、暖房運転専用の冷媒回路や冷房運転専用の冷媒回路に対して、本発明を適用することも可能である。
1…車両用空気調和装置、10…空調ユニット、12…冷媒回路、12b…第1利用側熱交換器、12c…第2利用側熱交換器、12d…吸排熱側熱交換器、12g…四方弁、20…熱媒体回路、22…室外熱交換器、23…加熱ヒータ、25…バッテリ。
Claims (6)
- 車両における対象物を加熱または冷却する利用側熱交換器と、利用側熱交換器において放出した熱の吸収または吸収した熱の排出を行う吸排熱側熱交換器と、が接続された冷媒回路と、
吸排熱側熱交換器において冷媒と熱交換する熱媒体が流通し、熱媒体と車室外の空気とを熱交換させる室外熱交換器が接続された熱媒体回路と、を備え、
熱媒体回路には、複数の冷媒回路が接続されている
車両用空気調和装置。 - 冷媒回路には、複数の利用側熱交換器が互いに直列に接続されている
請求項1に記載の車両用空気調和装置。 - 冷媒回路は、利用側熱交換器を、放熱器として機能させる暖房運転用の冷媒流路または吸熱器として機能させる冷房運転用の冷媒流路に切り替える流路切替手段を有している
請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。 - 複数の利用側熱交換器のうち、冷媒流通方向の上流側に位置する利用側熱交換器は、下流側に位置する利用側熱交換器において加熱または冷却される対象物の温度よりも高い温度に対象物を加熱または冷却する
請求項2または3に記載の車両用空気調和装置。 - 熱媒体回路には、熱媒体回路を流通する熱媒体を加熱する加熱ヒータが設けられている
請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用空気調和装置。 - 熱媒体回路には、車両を電動モータで駆動させる際に電力を供給するバッテリを冷却するための冷却回路が接続されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
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