JP2019163349A - インクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いたとき、形成されるドット径が大きく、ムラとにじみが少ない記録を可能にすることのできるインクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法を提供することである。【解決手段】本発明のインクジェット記録液セットは、低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いる、少なくともインクジェットインクと前処理液を含むインクジェット記録液セットであって、前記インクジェットインクが、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有し、前記前処理液が、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法に関する。より詳しくは、低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いたとき、形成されるドット径が大きく、ムラとにじみが少ない記録を可能にすることのできるインクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法に関する。
印刷分野ではインクジェットによる印刷方式が発達し、広く実用化している。インクジェットインク(以下単に「インク」ともいう。)とインクジェットプリンターを用いて印刷する際、プリントヘッドから吐出したインク滴は記録媒体に着弾した後、浸透、定着してドットを形成し、このドットが多数集まることによって画像が形成される。このドットの形成過程は鮮明な画像を形成する上で重要である。
記録媒体には非塗工紙、塗工紙、延伸ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂及び塩化ビニル樹脂等さまざまのものが用いられる。
このうち、記録媒体として塗工紙や樹脂等の低吸収性基材又は非吸収性基材を用いると、水性インクは記録媒体中に浸透しにくいため、非塗工紙のような記録媒体で生じるにじみは発生しにくい。
しかしながら、これらの記録媒体にインクジェット法により着弾した水性インクは、ドットが十分に広がらずドット径が小さいという問題があった。ドット径が小さい場合には、記録媒体表面に色材が均一に塗工できないために、ムラが生じたり、ドット間に過大な隙間が生じて白抜けを生じることがあった。また、水性インクの液滴が記録媒体表面上に留まったままとなるため、色材が定着しにくく、異なる色の境界領域での不均一な色混じりが起こり、にじみが生じやすいという問題があった。
このような問題に対して、例えば特許文献1では、これらの基材の印刷前の表面に前処理液を乾燥してなる前処理層(インク受容層ともいう。)を設けることにより、着弾した水性インクのドット径を制御して画像の白抜けを抑制している。
しかし、低吸収基材又は非吸収性基材上では、前処理液は濡れにくい。このため、前処理液に水溶性有機溶剤を使用又は併用して塗布性を向上させてきた。しかしながら、水溶性有機溶剤の使用は、安全性の観点や、揮発性の観点で懸念がある。
また、低吸収性基材又は非吸収性基材の中にも極性の大きく異なる基材が存在する。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)は比較的極性が大きく親水的であるが、延伸ポリプロピレン(OPP)は疎水的である。そのような極性の異なる基材に対してもドットが十分に広がった、良好な画像が得られることが求められていた。
特許文献2には、前処理液に特定の金属塩を含有させること等により、様々な、基材に対して高品位な画像が得られることが記載されているが、基材の種類も限定的であった。
特開2012−201814号公報 特開2013−188958号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いたとき、形成されるドット径が大きく、ムラとにじみが少ない記録を可能にすることのできるインクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において前記前処理液に、下記一般式(1)で表される構造を有するシロキサン鎖の短いシリコーン系界面活性剤を含有させることにより、PETやOPPのような、非吸収性記録媒体においても、ドット径を拡大することができ、画質を改善できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いる、少なくともインクジェットインクと前処理液を含むインクジェット記録液セットであって、
前記インクジェットインクが、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有し、
前記前処理液が、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、
前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするインクジェット記録液セット。
Figure 2019163349
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、分岐構造を有していてもよい。EOは、ポリエチレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。POは、ポリプロピレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。なお、[EO]と[PO]の順序はどちらでもよい。n及びmは、繰り返し単位構造の数を表し、mは2〜50の整数、nは0〜20の整数である。)
2.前記凝集剤が、多価金属塩又は有機酸であることを特徴とする第1項に記載のインクジェット記録液セット。
3.前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリウレタン系樹脂を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載のインクジェット記録液セット。
4.前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セット。
5.前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記前処理液に対して0.1〜3.0質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セット。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明の上記手段により、低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いたとき、形成されるドット径が大きく、ムラとにじみが少ない記録を可能にすることのできるインクジェット記録液セット及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
前処理液に含まれる前記一般式(1)で表される構造を有するシリコーン系界面活性剤は、疎水的なシロキサン鎖が短くコンパクトなため、素早く液体表面に配向しやすく、動的表面張力を大きく下げる効果がある。したがって、前処理液の塗布性を著しく向上させることができ、前処理液を均一に基材上に塗布することができる。
また、このシロキサン鎖の短い界面活性剤は、前述のとおり液体表面に配向しやすいため、前処理液を塗布後、乾燥して形成する前処理層の表面に存在する。その前処理層表面に水性インクが着弾するとき、このシリコーン系界面活性剤はシロキサン鎖が短いために水性インクとの相溶性が非常に高く、インクとなじむと考えられる。その結果、着弾後水が乾燥し、インク中の構成溶媒が有機溶媒が主となってきた場合でも、前記シリコーン系界面活性剤が存在することでインクの表面張力を低く維持することができ、ドット径の拡大につながっていると考えている。
本発明のインクジェット記録液セットは、低吸収性基材又は非吸収性基材に使用される、少なくともインクジェットインクと前処理液を含むインクジェット記録液セットであって、前記インクジェットインクが、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有し、前記前処理液が、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、前記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。この特徴は、下記各実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記凝集剤が、多価金属塩又は有機酸であることが好ましい。その理由としては、例えばカチオンポリマーのような凝集剤では凝集する力が弱く、濡れ広がりすぎてしまうため、隣接ドット同士が大きく重なり画質の劣化につながると考えられる。酸や多価金属塩のような、凝集する力が強い凝集剤を使用した場合、インク中に馴染み表面張力を下げる効果のある界面活性剤があった場合、凝集と濡れ性とのバランスが良好となり、画質が向上するものと考えられる。
また、前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリウレタン系樹脂を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂を用いることで、より効果的に凝集と濡れ性とのバランスを良好にする効果が発揮される。ポリウレタン系樹脂はソフトセグメントとハードセグメントからなり、ソフトセグメントのような柔軟な部位が存在するポリウレタン系樹脂では、ソフトセグメント部位がインク中の有機溶媒により適度に膨潤し、凝集剤の拡散を促進し、ハードセグメント部位により、より均一な被膜状態を維持するものと考えている。これに対し、本発明に係るシリコーン系界面活性剤のようにシロキサン鎖の短いコンパクトな界面活性剤は動きやすく、より効果的にインク中に拡散し、濡れ性を維持するとともに、凝集剤のインク中への拡散も促すことでより良好な画像を形成することができると考えている。
さらに、本発明においては、前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子であることが好ましい。これは、上記の理由に加え、オレフィン部位が複合されていることで、塗布性や均一成膜性がよりよくなる、また、柔軟なオレフィン部位が複合化されているため、より本発明に係るシリコーン系界面活性剤と凝集剤が効果的にインク中に適度に拡散するため、さらに画質が良好となると考えている。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記前処理液に対して0.1〜3.0質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明のインクジェット記録方法は、第1項から第5項までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セットを使用することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
また、本発明における記録液セットとは、少なくとも、画像の形成を補助することが目的である非着色の液である前処理液と画像を形成することが目的である着色された液であるインクジェットインクを含む組み合わせを指している。それぞれの構成数は一つでも複数でも構わず、それらをまとめて記録液セットという。
《インクジェット記録液セットの概要》
本発明のインクジェット記録液セットは、低吸収性基材又は非吸収性基材に使用される、少なくともインクジェットインクと前処理液を含むインクジェット記録液セットであって、前記インクジェットインクが、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有し、前記前処理液が、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
本発明でいう前処理液は、基材にインクジェットプリント法によって画像を記録する際に、インクの画像形成を速めたり、画質を向上させる機能を有することができる。具体的には、例えば、前処理液をインクジェット印刷する面の基材上にあらかじめ塗布・乾燥することにより、基材が低吸収性又は非吸収性であっても着弾した液滴のドット径を大きくすることができる。
本発明においては、前処理液が前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を有することにより前処理液の塗布性が著しく上がり、基材が低吸収性又は非吸収性であっても形成されたドット径を大きくすることができる。
〔前処理液〕
本発明においては、前処理液は、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
(シリコーン系界面活性剤)
Figure 2019163349
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、分岐構造を有していてもよい。EOは、ポリエチレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。POは、ポリプロピレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。なお、[EO]と[PO]の順序はどちらでもよい。n及びmは、繰り返し単位構造の数を表し、mは2〜50の整数、nは0〜20の整数である。)
本願において、「EO」は、ポリエチレンオキシドの繰返し単位構造、すなわち、三員環の環状エーテルであるエチレンオキシドが開環した構造を表す。また、「PO」は、ポリプロピレンオキシドの繰返し単位構造、すなわち、三員環の環状エーテルであるプロピレンオキシドが開環した構造を表す。
ここで、「[EO]と[PO]の順序はどちらでもよい」とは、一般式(1)で表される化合物分子において、母体となるシロキサン骨格に対する結合位置の順序は適宜変えて良いことをいう。
前記一般式(1)において、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
Xは、炭素数2から炭素数6までのアルキレン基を表し、炭素数3のアルキレン基(すなわち、プロピレン基)であることが好ましい。
mは、2〜50の整数を表す。mが5〜20の整数であることがより好ましい。nは、0〜20の整数を表す。nが0〜6の整数であることがより好ましい。
前記一般式(1)で表される構造を有するシリコーン系界面活性剤の具体例として、S1〜S8を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
(S1):前記一般式(1)において、R=メチル基、X=炭素数3のアルキレン基、m=9、n=0
(S2):前記一般式(1)において、R=水素原子、X=炭素数3のアルキレン基、m=3、n=0
(S3):前記一般式(1)において、R=水素原子、X=炭素数3のアルキレン基、m=12、n=3
前記一般式(1)で表される構造を有するシリコーン系界面活性剤は、前処理液に対して0.1〜3.0質量%の範囲内であることが本発明の効果発現の観点から好ましい。0.5〜2.0質量%の範囲内であることがより好ましい。
(水不溶性樹脂微粒子)
前処理液は、水不溶性樹脂微粒子を含有している。本発明で使用する水不溶性樹脂微粒子は、インクジェット用のインク(インクジェットインク)を受容でき、インクに対して溶解性又は親和性を示す水不溶性樹脂の微粒子分散液である。
水不溶性樹脂微粒子とは、本来水不溶性であるが、ミクロな微粒子として樹脂が水系媒体中に分散する形態を有するものであり、乳化剤等を用いて強制乳化させ水中に分散している非水溶性樹脂、又は、分子内に親水性の官能基を導入して、乳化剤や分散安定剤を使用することなくそれ自身で安定な水分散体を形成する自己乳化できる非水溶性樹脂がある。これらの樹脂は通常、水又は水/アルコール混合溶媒中に乳化分散させた状態で用いられる。
〈ポリウレタン系樹脂〉
本発明においては、水不溶性樹脂微粒子が、ポリウレタン系樹脂を含有することが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、カーボネート部位を有するポリウレタン系樹脂、エステル部位を有するポリウレタン系樹脂、エーテル部位を有するポリウレタン系樹脂、ウレタン・アクリル複合樹脂及びウレタン・オレフィン複合樹脂のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。これらの中では、耐水性、基材追従性の観点から、ウレタン・オレフィン複合樹脂が好ましい。
カーボネート部位を有するポリウレタン系樹脂、エステル部位を有するポリウレタン系樹脂、エーテル部位を有するポリウレタン系樹脂、ウレタン・アクリル複合樹脂及びウレタン・オレフィン複合樹脂の例及びその合成法は、特開2017−171904号公報及び特開平2−238015号公報等に記載されている。
また、これらのポリウレタン系樹脂は市販品から求めることができる。例えば、ユーコートUWS−145、UX−390(以上、三洋化成工業社製)、スーパーフレックス150、同210、同820(以上、第一工業製薬社製)、WEM505、WEM−3008、WBR2101(以上、大成ファインケミカル社製)、ST053−D(宇部興産社製)、R−9699(楠本化成社製)及びユリアーノW600(荒川化学工業社製)などを挙げることができる。
〈ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子〉
本発明に係る水不溶性樹脂微粒子は、ウレタン・オレフィン複合樹脂を含有することが好ましく。さらに、ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂であることが好ましい。
すなわち、前記複合樹脂を含有する水不溶性樹脂微粒子において、ポリウレタン系樹脂は、水不溶性樹脂としてのポリオレフィン系樹脂と連続相である水との界面に存在して、水不溶性樹脂を保護する樹脂と異なる水不溶性樹脂層として機能している。このようにポリオレフィン系樹脂をポリウレタン系樹脂により乳化させてなる複合樹脂微粒子とすることで、ポリオレフィン系樹脂単独の場合におけるポリウレタン系樹脂や凝集剤との相溶性の低下を抑制することができ、また、ポリオレフィン系樹脂とポリウレタン系樹脂をそれぞれ乳化させて単に混合する場合に比べて、塗膜物性を向上することができ、また、本発明に係る前処理液の安定性を改善することができる。
なお、当該複合樹脂微粒子は、後述する(I)の製造方法により得られたものでもよく、また(II)の製造方法により得られたものであってもよい。
複合樹脂微粒子におけるポリウレタン系樹脂(U)とポリオレフィン系樹脂(O)との質量比率の値(U/O)は、40/60〜95/5であることが好ましい。ポリウレタン系樹脂の存在割合が上記範囲内であると、分散剤との相溶性が向上する傾向が見られ、また、耐溶剤性についても優れている。また、ポリオレフィン系樹脂の存在割合が上記範囲であると、ポリオレフィン系フィルム基材に対する密着性に優れる。該存在割合のより好ましい範囲は、(U/O)=40/60〜80/20である。
複合樹脂微粒子中におけるポリオレフィン系樹脂とポリウレタン系樹脂とを合わせた合計の樹脂濃度は、特に限定されないが、通常5質量%以上、好ましくは10〜70質量%の範囲である。
乳化に際しては、上記ポリウレタン系樹脂とともに、乳化剤として界面活性剤を用いることもできる。すなわち、本発明に係る複合樹脂微粒子においては、更に界面活性剤を乳化剤として含有してもよい。界面活性剤を添加することにより、複合樹脂微粒子の貯蔵安定性を更に向上することができる。
かかる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤のいずれか一方、又は両方を用いることが好ましい。これらのアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤は、全樹脂質量100質量部に対して、両活性剤の合計で1〜20質量部配合することが好ましい。配合量が20質量部以下であれば、耐水性や耐溶剤性が優れる傾向となる。
また、アニオン界面活性剤(X)とノニオン界面活性剤(Y)の配合質量比(X/Y)の値は、100/0〜50/50であることが好ましい。アニオン界面活性剤の配合量を上記範囲とすることにより、乳化性や貯蔵安定性をより向上することができる。
ここで、アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらの中でもスルホコハク酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩が良好である。また、塩の種類としては、特に限定されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などの金属塩、トリエタノールアミン塩などが好ましい。
また、ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等が好ましい。
本発明に係る複合樹脂微粒子には、他に酸化防止剤、耐光剤、可塑剤、発泡剤、増粘剤、着色剤、難燃剤、他の水性樹脂、各種フィラーを性能の損なわない限り添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系又はセミカルバジド系などの酸化防止剤の溶液又はエマルションが挙げられる。耐光剤としては、ヒンダードアミン(HALS)系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの耐光剤の溶液又はエマルションが挙げられる。
また、本発明に係る複合樹脂微粒子には、エポキシ系、カルボジイミド系、オキサゾリジン系、ブロックイソシアネート系、イソシアネート系等の各種架橋剤をより高い耐久性を付与するために添加することができる。
本発明に係る複合樹脂微粒子の製造方法について説明する。
上述した複合樹脂微粒子は、下記(I)又は(II)の製造方法により調製することができる。
(I)ポリオレフィン系樹脂を親水基を有するウレタンプレポリマーにより水に乳化させ、次いで、鎖伸長剤としてのアミン化合物又はその水溶液を添加して前記ウレタンプレポリマーを鎖伸長(高分子量化)する方法。
(II)親水基を有するウレタンプレポリマーを水に乳化し、更に鎖伸長剤としてのアミン化合物又はその水溶液を添加して前記ウレタンプレポリマーを鎖伸長させてポリウレタン系樹脂の水分散体を調製し、次いで、ポリオレフィン系樹脂を前記ポリウレタン系樹脂の水分散体で乳化する方法。
上記(I)の製造方法に係る実施形態について説明する。この方法では、まず、ポリオレフィン系樹脂を溶剤に溶解して得られた樹脂溶液と、親水基を有するウレタンプレポリマーの溶液とを混合し、混合物に水を添加して撹拌することにより乳化させる。
上記溶剤としては、ヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの有機溶剤、及び、超臨界状態にある二酸化炭素などの水以外の溶剤が挙げられ、これらはいずれか単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
また、乳化方法は、公知の強制乳化法、転相乳化法、D相乳化法、ゲル乳化法等のいずれの方法でも構わず、使用機器は、例えば、撹拌羽、ディスパー、ホモジナイザー等による単独撹拌、及びこれらを組み合わせた複合撹拌、サンドミル、多軸押出機の使用が可能である。また、該乳化に際して、ウレタンプレポリマーとともに、上記界面活性剤を混合しても良い。
次いで、上記乳化液を水で希釈した後に、鎖伸長剤としてのアミン化合物を添加して、ウレタンプレポリマーの残存イソシアネート基を該鎖伸長剤により架橋させ、ポリウレタン系樹脂を高分子量化する。その後、有機溶剤を留去することで、ポリウレタン系樹脂の内部にポリオレフィン系樹脂を含有する複合樹脂微粒子分散体(すなわち、水不溶性樹脂微粒子が分散された分散体)が得られる。
このようにして得られる複合樹脂微粒子分散体において、上記ポリオレフィン系樹脂が変性ポリオレフィンである場合、塩基性物質を加えることによりポリマー中に導入された酸成分を中和してもよい。中和により同部分を電離せしめることで、ポリマー分子が伸長されて系全体が粘度上昇を起こすため、複合樹脂微粒子分散体はより安定性を増すことができる。また、この場合、塩基性物質の添加量によって希望するpHに調製することができる。
使用される塩基性物質としては、ポリオレフィン系樹脂中の酸部分を中和できるものであれば特に限定されず、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミン−2−メチル−1−プロパノール、モルホリン等の有機の塩基物質、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム及び炭酸カリウム等の無機の塩基性物質を挙げることができる。これらの塩基性物質を用いる際、1種類でもよいが2種類以上の塩基性物質を併用すると、本発明の目的がより効果的に達成される場合が多い。なお、塩基性物質としてアミン化合物を用いる場合、ウレタンプレポリマーを鎖伸張させる前に添加するものとしては、遊離イソシアネートと反応しないように3級アミンが用いられる。一方、鎖伸張後に変性ポリオレフィンを中和する場合、1級、2級又は3級アミンのいずれも用いることができる。
中和するのに用いられる塩基性物質の量は、変性ポリオレフィンの変性度合いによっても異なるが、変性ポリオレフィン100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。塩基性物質の量が0.1質量部以上では、pHが中性になり、そのため複合樹脂微粒子分散体の保存性が向上する。一方、塩基性物質の量が10質量部以下では複合樹脂微粒子分散体の保存安定性は良好であり、塩基性が強くなく親水性物質が多量に塗膜中に導入されないため、同塗膜の耐水性が向上する。
上記(II)の製造方法に係る実施形態について説明する。この方法では、まず、親水基を有するウレタンプレポリマーの溶液に水を添加して乳化させ、次いで、得られた乳化液に、鎖伸長剤としてのアミン化合物を添加して、ウレタンプレポリマーの残存イソシアネート基を該鎖伸長剤により架橋させ、高分子量化したポリウレタン系樹脂の水分散体を調製する。
その後、ポリオレフィン系樹脂を溶剤に溶解して得られた樹脂溶液と、上記で得られた親水基を有するポリウレタン系樹脂の水分散体とを混合して、該親水基を有するポリウレタン系樹脂によりポリオレフィン系樹脂を乳化させ、次いで、水で希釈した後に、有機溶剤を留去することで、ポリウレタン系樹脂の内部にポリオレフィン系樹脂を含有する複合樹脂微粒子分散体(すなわち、水不溶性樹脂微粒子が分散された分散体)が得られる。
方法(II)における溶剤及び乳化方法は、方法(I)と同様である。また、方法(II)においても、ポリオレフィン系樹脂の乳化に際し、上記ポリウレタン系樹脂とともに、界面活性剤を混合してもよい。更に、得られた複合樹脂微粒子分散体において、塩基性物質により変性ポリオレフィンを中和してもよいのも、上記方法(I)と同様である。
複合樹脂微粒子の平均粒子径は、格別限定されないが、10〜500nmの範囲であることが好ましく、10〜300nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲であることがさらに好ましい。平均粒子径の測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便で、且つ該粒子径領域を精度よく測定できる。
これらの樹脂は他のモノマーを用いた共重合体でもよい。
水不溶性樹脂微粒子の重量平均分子量は10000〜1000000の範囲内であることが好ましい。
(凝集剤)
本発明に係る前処理液には、顔料を含有するインクジェットインクと接触したときに、凝集物を生じさせる材料、すなわち凝集剤を含有することで、インクジェットインクとの相互作用が大きくなり、水溶性インクのドットをより固定化することができる。
凝集剤は、カチオン性樹脂、金属キレート剤、多価金属塩及び有機酸のいずれかを含有することが好ましく、多価金属塩及び有機酸のいずれかを含有することがより好ましい。
上記カチオン性樹脂及び多価金属塩は、塩析によって上記インクジェットインク中のアニオン性の成分(通常は色材、又は顔料等)を凝集させることができる。上記有機酸は、pH変動によって上記インクジェットインク中のアニオン性の成分を凝集させることができる。
上記カチオン性樹脂の例には、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが含まれる。
上記金属キレート剤の例には、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、スズ等の金属に窒素含有基を有するアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等が配位した金属キレート化合物などが含まれる。
上記多価金属塩の例には、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩及び亜鉛塩などの水溶性の塩が含まれる。
前処理液が含有する有機酸は、インクジェットインク中に含まれうる顔料を凝集し得るものであり、第一解離定数が3.5以下であることが好ましく、1.5〜3.5の範囲内が好ましい。当該範囲内であると印字率が低い低濃度部における液寄りが更に防止され、印字率が高い高濃度部におけるビーディングが更に改善される。
有機酸は、塩基により完全には中和されていないものを用いることが好ましい。塩基による中和とは、これらの酸の酸性基と、正に帯電した他の元素又は化合物(例えば、金属などの無機化合物)と、がイオン結合していることを意味する。また、完全には中和されていないとは、有機酸が有する酸性基のうち、上記イオン結合を形成していない酸性基が存在することを意味する。イオン結合を形成していない酸性基を有する有機酸を用いることで、前処理液に含むポリウレタン構造を有する複合樹脂粒子との相溶性が高く、透明な前処理層を形成することができることから、多価金属塩などを用いる場合よりも、形成された画像の色調が鮮やかになると考えられる。また、有機酸を用いることで前処理液の保存安定性を維持しやすく、前処理液を塗布、乾燥した後にブロッキングが起きにくい。上記観点から好ましい有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、乳酸、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、又は、アクリルアミド及びその誘導体などを含むカルボキシ基を有する化合物、スルホン酸誘導体、又は、リン酸及びその誘導体などが含まれる。
前処理液における有機酸の含有量は、前処理液のpHを前記有機酸の第一解離定数未満に調整する量であればよい。処理液のpHが前記有機酸の第一解離定数未満となる量の有機酸を前処理液に含有させることにより、高速プリント時の滲みを効果的に抑制できる。
本発明に係る前処理液に含まれるポリウレタン構造を有する複合樹脂粒子により、インクジェット記録画像の滲み抑制と密着性を両立することが可能である。この理由について明確ではないが次のように推測している。
本発明において、前処理液により形成された前処理層上にインクジェットインクをプリントすることにより、前処理層からインクジェットインクに有機酸が溶解・拡散して顔料を凝集、固定化することで滲みや密着不良が抑制されるものと考えている。したがって、特にプリント速度が高速なほど、有機酸のインクジェットインク中への溶解・拡散速度を高めることが好ましい。有機酸の溶解・拡散速度を高めるためには、前処理層の樹脂がインクジェットインクにより膨潤又は溶解するとよい。一方で、膨潤性又は溶解性が高すぎると均一な皮膜が形成できず密着性が得られないと推定している。ポリウレタン構造を有する複合樹脂粒子は、その構造中に有するポリオール成分が、インクジェットインク中に含まれる有機溶剤により適度に膨潤して有機酸の拡散を促進し、イソシアネート成分のハードセグメントにより均一な皮膜状態を維持できることで密着性も確保できるものと考えている。また、前記ポリオール成分はポリカーボネート構造又はポリエーテル構造を有することが、前処理液の保存安定性において特に好ましい。
凝集剤は、前記前処理液中に0.1〜20質量%の範囲内で存在することが、インクジェットインク中のアニオン性の成分を効果的に凝集させることができる点で好ましい。
水溶性中の凝集剤の含有量は、公知の方法で測定することができる。例えば、凝集剤が多価金属塩であるときはICP発光分析で、凝集剤が酸であるときは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で含有量を測定することができる。
なお、有機酸を用いる場合、有機酸の付量は、インクジェットインクに含まれるアニオン成分の中和当量以下に前処理液のpHを調整する量であることが好ましい。また、上記アニオン成分がカルボキシ基を有する化合物である場合、画像の滲みをより生じにくくする観点からは、上記有機酸の第一解離定数は3.5以下であることが好ましい。
本発明の前処理液の付量は、特に限定されず、適宜調整することができる。例えば、上記凝集剤が多価金属塩である場合は、多価金属塩の付量が0.1〜20g/mの範囲内とすることが好ましい。また、上記凝集剤が有機酸である場合は、有機酸の付量が水溶性インク中のアニオン成分の中和当量以下とすることが好ましい。
(水、その他の添加剤)
本発明に係る前処理液に含まれる水については、特に限定されるものではなく、イオン交換水、蒸留水、又は純水であり得る。
また、本発明に係る前処理液の溶媒として、水の他に有機溶媒を含有することができる。溶媒は後段の前処理液の乾燥時除去することができる。
前処理液は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他、界面活性剤、架橋剤、防黴剤、殺菌剤等、他の成分を適宜配合することができる。
前処理液には、各種の添加剤を添加することができる。中でもカチオン媒染剤は、印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1〜3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましく用いられるが、経時での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いこと等から、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。好ましいポリマー媒染剤は、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体又は縮重合体として得られる。カチオン媒染剤の具体例は、例えば、「インクジェットプリンター技術と材料」268頁(シーエムシー社)に記載されている。
さらに、例えば特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載の退色防止剤、アニオン、カチオン又は非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載の蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤等、公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明に係る前処理液を塗工液として基材上に直接塗布・乾燥することにより前処理層を作製することが好ましい。ここで前処理液に好ましく用いられる添加剤は十分に分散してから、塗工液として用いることが好ましい。
前処理液の塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法又は米国特許2681294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
(基材)
本発明に用いることができる基材は、低吸収性基材又は非吸収性基材である。本発明では、吸収性とは、水に対する吸収性を表す。
低吸収性基材は、例えば更紙、中質紙、上質紙などの非塗工紙;コート紙、アート紙、キャスト紙などの塗工紙などを挙げることができる。
非吸水性の基材の例としては、公知のプラスチックのフィルムが使用できる。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリ乳酸フィルム等の生分解性フィルム等が挙げられる。また、ガスバリアー性、防湿性、保香性などを付与するために、フィルムの片面又は両面にポリ塩化ビニリデンをコートしたものや、金属酸化物を蒸着したフィルムも好ましく用いることができる。非吸水性フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも好ましく用いることができる。これらの中では、耐熱性の観点から、ポリエステルフィルムが、好ましくポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
本発明においては、基材は、厚さが、好ましくは10〜120μm、より好ましくは12〜60μmの範囲内である。
基材は、その表面に濡れ性やガス透過性を制御するため、表面加工されていても良い。
〔インクジェットインク〕
本発明のインクジェット記録液セットに係るインクジェットインク(単に「インク」ともいう)は、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有する。
(顔料)
インクジェットインクに含有される顔料としては、アニオン性の分散顔料、例えば、アニオン性の自己分散性顔料や、アニオン性の高分子分散剤により顔料を分散したものを用いることができ、特に、アニオン性の高分子分散剤により顔料を分散したものが好適である。
顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、酸化チタン等の無機顔料を好ましく用いることができる。
なお、インク吐出安定性と密着性の確保が一般に困難な酸化チタンにおいて、本発明により特に好適に滲みを生じにくくし、かつ、密着性を高めることができる。
酸化チタンには、アナターゼ型、ルチル型及びブルーカイト型の三つの結晶形態があるが、汎用なものとしてはアナターゼ型とルチル型に大別できる。特に限定するものではないが、屈折率が大きく隠蔽性が高いルチル型が好ましい。具体的には、富士チタン工業株式会社のTRシリーズ、テイカ株式会社のJRシリーズや石原産業株式会社のタイペークなどが挙げられる。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的な有機顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155等が挙げられる。特に色調と耐光性のバランスにおいて、C.I.ピグメントイエロー155が好ましい。
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
(顔料分散剤)
顔料を分散させるために用いる顔料分散剤は、格別限定されないがアニオン性基を有する高分子分散剤が好ましく、分子量が5000以上、200000以下のものを好適に用いることができる。
高分子分散剤としては、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体に由来する構造を有するブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等を挙げることができる。
高分子分散剤は、アクリロイル基を有することが好ましく中和塩基で中和して添加することが好ましい。ここで中和塩基は特に限定されないが、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の有機塩基であることが好ましい。特に、顔料が酸化チタンであるとき、酸化チタンは、アクリロイル基を有する高分子分散剤で分散されていることが好ましい。
また、高分子分散剤の添加量は、顔料に対して、10〜100質量%であることが好ましく、10〜40質量%の範囲がより好ましい。
顔料は、顔料を上記高分子分散剤で被覆した、いわゆるカプセル顔料の形態を有することが特に好ましい。顔料を高分子分散剤で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、例えば、転相乳化法、酸析法、又は、顔料を重合性界面活性剤により分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法などを好ましく例示できる。
特に好ましい方法として、水不溶性樹脂を、メチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的、若しくは完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散したのち、有機溶剤を除去し、必要に応じて加水して調製する方法を挙げることができる。
インクジェットインク中における顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。これにより、顔料の分散安定性を向上でき、インクジェットインクの保存安定性を向上できる。顔料の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便で、且つ該粒子径領域を精度よく測定できる。
顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物とともに、分散機により分散して用いることができる。
分散機としては、従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等を使用できる。中でもサンドミルによって顔料を分散させると、粒度分布がシャープとなるため好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質は、格別限定されないが、ビーズ破片の生成やイオン成分のコンタミネーションを防止する観点から、ジルコニア又はジルコンであることが好ましい。さらに、このビーズ径は、0.3〜3mmであることが好ましい。
インクジェットインクにおける顔料の含有量は格別限定されないが、酸化チタンについては、7〜18質量%の範囲が好ましく、有機顔料については0.5〜7質量%が好ましい範囲である。
(水溶性有機溶媒)
インクジェットインクに含有される水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール類、多価アルコール類、アミン類、アミド類、グリコールエーテル類、炭素数が4以上である1,2−アルカンジオール類など公知の水溶性有機溶媒を使用できる。水溶性有機溶媒は前処理液の乾燥時に除去することができる。
(水、その他の添加剤)
本発明に係るインクジェットに含まれる水については、特に限定されるものではなく、イオン交換水、蒸留水、又は純水であり得る。
本発明に係るインクジェットインクは、必要に応じて、界面活性剤、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤を含有することができる。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット記録方法は、上述したインクジェット記録液セットを使用することを特徴とする。このインクジェット記録液セットを用いる方法であれば、例えば、1台のインクジェットプリンターを用いて、低吸収性基材や非吸収性基材の表面に、前記本発明のインクジェット記録液セットを構成する前処理液の塗布と、インクによる印刷とを連続して効率よく行うことができる。そして基材間のドット径のばらつきの少ない、画質の優れた文字や図柄等を印刷することが可能となる。
例えばフルカラーの文字や図柄等を、インクジェットプリント法によって印刷する場合は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色、又はさらにライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えた6色のインク等と、前処理液とを含むインクセットを1台のインクジェットプリンターのインクの供給部(インクカートリッジ等)に充填する。
そして、まず前処理液を充填した供給部から、ヘッドのノズルを通して、前記前処理液を、前記ポリオレフィン系プラスチック等の非吸収性基材の表面の、インクによって任意の文字や図柄等を印刷する領域、又は前記表面の略全面に塗布して前処理液層を形成する。
次いで、前記前処理液層を必要に応じて乾燥させたのち、その表面に、通常のインクジェットプリント法と同様に、前記各色のインクを、それぞれの供給部から、ヘッドのノズルを通して、形成画像に対応させて順次、断続的に吐出させることにより、任意の文字や図柄等を、前記非吸収性基材の表面に印刷することができる。
本発明において使用できるインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等などいずれの吐出方式を用いてもかまわない。
記録媒体の搬送速度は、例えば1m/min以上120m/minの間で設定することができる。搬送速度が速いほど画像形成速度が速まる。本発明によれば、シングルパスのインクジェット画像形成方法で適用可能な、線速50m/min以上120m/min以下という非常に速い線速でも滲みの発生をより抑制し、かつ、密着性の高い画像を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
《インクジェットインク》
〔顔料分散液〕
以下のようにして調製した、顔料(ピグメントイエロー155)が顔料分散剤に分散された顔料分散液1〜4を用いた。
(顔料分散液1の調製)
高分子分散剤としてアクリロイル基を有する高分子分散剤(TEGO Dispers715W、酸価120、有効成分40質量%、Evonik Tego Chemie社製)31.5質量%、顔料としてピグメントブルー15:3を18質量%とエチレングリコール20質量%と、残部としてイオン交換水(残部;全量が100質量%となる量)を加えた混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が18質量%の顔料分散液1を調製した。この顔料分散液1に含まれる顔料粒子の平均粒子径は、128nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSにより行った。
(顔料分散液2の調製)
高分子分散剤としてスチレン・アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215、BASF社製、「ジョンクリル」は同社の登録商標)3.0質量%、顔料(ピグメントイエロー155)15質量%、残部としてイオン交換水を加えた混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が15質量%の顔料分散液2を調製した。この顔料分散液2に含まれる顔料粒子の平均粒子径は、122nmであった。なお、粒径測定は顔料分散液−1と同様にして行った。
(顔料分散液3の調製)
顔料分散液1の調製において、高分子分散剤としてEFKA5071(Ciba製 不飽和カルボン酸のアルキロールアンモニウム塩 酸価90 アミン価100)を用いた他は顔料分散液1の調製と同様にして顔料分散液3を調製した。この顔料分散液3に含まれる顔料粒子の平均粒子径は、130nmであった。なお、粒径測定は顔料分散液1と同様にして行った。
(顔料分散液4の調製)
顔料分散液1の調製において、高分子分散剤としててJ6102B(BASF社製 アクリル酸共重合体 酸価65 Tg19)を用いた他は顔料分散液1の調製と同様にして顔料分散液4を調製した。この顔料分散液4に含まれる顔料粒子の平均粒子径は、126nmであった。なお、粒径測定は顔料分散液1と同様にして行った。
《インクジェットインク1の調製》
上記調製した顔料分散液1を撹拌しながら、固形分が5.0質量部となるように下記に示す各添加剤を順次添加して、インク組成物を調製した後、0.8μmのフィルターにより濾過してインクを得た。濾過前後で実質的な組成変化はなかった。
顔料固形分 5.0質量部
エチレングリコール 30.0質量部
界面活性剤(オルフィンE1010 日信化学工業(株)製) 1.0質量部
イオン交換水 全量が100.0質量部となる量
《インクジェットインク2〜4の調製》
インクジェット1の調製において、顔料分散液、水溶性有機溶媒を表Iのように変えてインクジェットインクNo.2〜4を調製した。
Figure 2019163349
《前処理液》
〔水不溶性樹脂微粒子〕
以下に記載の非ウレタン系(R1及びR2)とウレタン系(R3及びR4)の水不溶性樹脂微粒子を用いた。なお、R4:ウレタン・オレフィン複合樹脂1は、ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子であり、下記の方法で合成した。
R1:ビニブラン2687(日信化学工業(株)製)
R2:アウローレンAE202(日本製紙(株)製)
R3:スーパーフレックス650(第一工業製薬(株)製)
R4:ウレタン・オレフィン複合樹脂1
(R4:ウレタン・オレフィン複合樹脂1の合成)
〈1.ウレタンポリマー溶液U−1の合成〉
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(商品名テスラック 2461、日立化成(株)製)を182質量部と、ポリエチレングリコール(PEG、分子量600、商品名PEG600、第一工業製薬(株))を22.0質量部と、トリメチロールプロパンを5.6質量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを43.8質量部と、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを204質量部と、メチルエチルケトン(MEK)216質量部を反応容器にとり(三級アミンの添加量9.6質量%、PEGの添加量4.8質量%)、75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。
このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を46.4質量部添加し、50〜60℃で30〜60分間反応させて、NCO含有率が2.2%であり、不揮発分50%であるウレタンプレポリマー溶液U−1を得た。
〈2.ウレタン・オレフィン複合樹脂1の調製〉
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリオレフィン系樹脂(商品名:アウローレン150S、日本製紙(株)製(表Iでは「150S」と表記。))3.0質量部、メチルシクロヘキサン240.0質量部及びメチルエチルケトン48.0質量部を投入し、80℃に昇温して加熱溶解させた。溶解後、内温を40℃に保ち、ウレタンポリマー溶液U−1(不揮発分約50%)を194質量部を添加し、混合した。この溶液に58.0質量部の水を加え、ホモジナイザーを使用して乳化した後、570質量部の水を徐々に加え希釈し、これにエチレンジアミン1.0質量部と水12質量部を混合した水溶液を徐々に添加し、1時間撹拌してポリマー化を行った。これを50℃減圧下、脱溶剤を行い、不揮発分(粒子としての固形分)30質量%のウレタン・オレフィン複合樹脂1を得た。
〔界面活性剤〕
以下の界面活性S1〜S6を用いた。S1〜S3は本発明に係るシリコーン系界面活性であり、S1〜S3は、以下の合成方法により合成した。S4は本発明に係るシリコーン系界面活性ではなく、S5、S6は、非シリコーン性の界面活性剤でともに比較の界面活性剤である。
S1:本発明に係るシリコーン系界面活性剤であり、以下の合成方法により合成した。
S2:本発明に係るシリコーン系界面活性剤であり、以下の合成方法により合成した。
S3:本発明に係るシリコーン系界面活性剤であり、以下の合成方法により合成した。
S4:BYK333(ビックケミー・ジャパン株式会社製)
S5:サーフィノール465(日信化学工業(株)製)
S6:エマルゲン706(花王(株)製)
(シリコーン系界面活性剤S1の合成例)
撹拌機、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素吹き込み管を備えた5つ口フラスコに、アリル化ポリエーテル(ユニオックスPKA−5008 日油株式会社製)を450質量部と、H2Pt16・6H2Oヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(東京化成工業(株)社製)を0.01質量部とを仕込み、窒素置換を行った。70℃に加熱し、ヘプタメチルトリシロキサン(アルドリッチ社製)220質量部を1時間かけて滴下したのち、反応容器を110℃まで昇温させて4時間反応させた。反応後に未反応材料を減圧留去することで、目的のシリコーン系界面活性剤である、シリコーン系界面活性剤S1を得た。得られたシリコーン系界面活性剤S1は、一般式(1)中のR=メチル基、X=炭素数3のアルキレン基、m=9、n=0に相当するシリコーン系界面活性剤である。
(シリコーン系界面活性剤S2の合成例)
前記シリコーン系界面活性剤S1の合成例において、アリル化ポリエーテル(ユニオックスPKA−5008 日油株式会社製)450質量部の代わりに、アリル化ポリエーテル(ユニセーフPKA−5001 日油株式会社製)200質量部を用いた以外は、前記シリコーン系界面活性剤S1の合成例と同様の方法でシリコーン系界面活性剤S2を得た。得られたシリコーン系界面活性剤S2は、一般式(1)中のR=水素原子、X=炭素数3のアルキレン基、m=3、n=0に相当するシリコーン系界面活性剤である。
(シリコーン系界面活性剤S3の合成例)
前記シリコーン系界面活性剤S1の合成例において、アリル化ポリエーテル(ユニオックスPKA−5008 日油株式会社製)450質量部の代わりに、アリル化ポリエーテル(ユニセーフPKA−5011 日油株式会社製)200質量部を用いた以外は、前記シリコーン系界面活性剤S1の合成例と同様の方法でシリコーン系界面活性剤S3を得た。得られたシリコーン系界面活性剤S3は、一般式(1)中のR=水素原子、X=炭素数3のアルキレン基、m=12、n=3に相当するシリコーン系界面活性剤である。
〔凝集剤〕
以下の凝集剤を用いた。
F1:リンゴ酸
F2:塩化カルシウム
F3:PAS−H−1L(カチオン性のアリルアミン系樹脂:ニットーボーメディカル(株)製)
《前処理液1の調製》
下記に示す各添加剤を撹拌しながら順次添加した後、5.0μmのフィルターにより濾過して前処理液を得た。なお、濾過前後で、実質的な組成変化はなかった。
水不溶性樹脂微粒子R1(ビニブラン2687) 14.0質量部
シリコーン系界面活性剤S1 1.0質量部
凝集剤:PAS−H−1L 5.0質量部
イオン交換水 全量が100.0質量部となる量
《前処理液2〜19の調製》
表IIに示すように、水不溶性樹脂微粒子の種類、及び界面活性剤と凝集剤の種類と添加量を変更した以外は、前処理液1同様にして、前処理液2〜19を調製した。
《前処理層の形成》
基材として、下記4種を用い、それぞれ上記調製した、前処理液1〜19をバーコーター#10を用いて塗布し、その後60℃で5分環乾燥させ、厚さ3.2μmの前処理層を各々の基材に有する記録媒体を作製した。
〔基材〕
コート紙1:OKトップコート+(坪量105g/m、王子製紙株式会社製)
コート紙2:ミラーコート紙 プラチナ(キャストコート紙(ミラーコート・プラチナ、坪量157g/m、王子製紙株式会社製))
PET:厚さ50μmのポリエステルフィルム(フタムラ化学(株)製太閤ポリエステル50μm)
OPP:延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製OPP−AQ 60μm)
〔印画サンプルの作製〕
次いで、ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェットヘッド(ノズル数636、ノズル間隔84.5μm)を搭載したステージ移動型インクジェットプリンターにより、前処理液が付与されたそれぞれの記録媒体上にインク液滴体積7.5pl、300dpiのヘッドを3つ使用して記録密度が900dpiとなる条件で、ベタ画像中のインクを吐出しないことにより形成される抜き文字(5ポイント、6ポイント、7ポイント文字)を、ステージの走査速度を線速50m/分、1走査により印刷した。同様にして、300dpiのヘッドを3つ使用して記録密度が900dpiとなる条件で、ベタ画像を、線速50m/分で1走査により印刷した。本明細書でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。なお、インク液滴体積は、インクごとに射出電圧を調整することにより制御した。また、インクジェット印刷時の環境は室温25℃で、記録媒体の温度も同様に25℃条件で行った。
前処理液とインクジェットインクの組み合わせを表IIに記載のようにして上記条件で
それぞれの記録媒体上にインクジェットインクと前処理液と記録媒体の組み合わせで印刷をした。
《評価》
評価はそれぞれの前処理液を、上記4種の基材に塗布したときの塗布性と、インクジェットインクで印字した後のムラ、ドット径、及び文字のにじみで評価した。
〔塗布性・濃度ムラ〕
前記バーコーター#10を用いて前処理液を塗布したときのハジキの有無を目視で確認した。ハジキとは、塗布性が劣ることにより基材上に塗布できなかった部分ができるためムラができることをいう。以下の3段階の目視評価を行った。
A:ハジキは認められない
B:僅かにハジキがある
C:全面にハジキを生じた
なお、印字後のベタ画像の評価を行った結果、ハジキのランクに対応してAランクのものは濃度ムラは認められず、Bランクのものは僅かに濃度ムラが認められ、Cランクのものは全面に濃度ムラを生じた。
〔ドット径〕
300dpi間隔で配置したドット径測定用画像を別途、ベタ画像と同様にして印字・定着した。射出した液滴により形成したドットの直径を、光学顕微鏡(KEYENCE社製 VHX−500)を用いて20個測定し算術平均値を求め、以下のランク分けを行った。ドット径は大きい方が好ましい。
AA:55μm以上
A :50μm以上55μm未満
B :45μm以上50μm未満
C :45μm未満
〔にじみ〕
得られた記録物の抜き文字部分に関し、にじみによる不鮮明性さがなく、30cmの距離で認識できる文字サイズから下記の基準で評価した。
A:5ポイントの文字まで認識可能
B:6ポイントの文字まで認識可能
C:7ポイントの文字まで認識可能
以上の結果を表IIに示す。
Figure 2019163349
表IIより、本発明に係るシリコーン系界面活性剤S1からS3を前処理液に用いたインクジェット記録液セットを用いた場合は、ムラが少なく、ドット径が大きく基材間のばらつきが小さく、かつ、にじみも少なく良好な結果が得られることが分かる。また、前処理液に、非ウレタン系の水不溶性樹脂微粒子R1及びR2を用いた場合より、ウレタン系の特にポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子R4を用いた場合に良好な結果が得られることが分かる。

Claims (6)

  1. 低吸収性基材又は非吸収性基材を記録媒体に用いる、少なくともインクジェットインクと前処理液を含むインクジェット記録液セットであって、
    前記インクジェットインクが、少なくとも顔料と顔料分散剤と水溶性有機溶媒と水とを含有し、
    前記前処理液が、少なくとも水不溶性樹脂微粒子と凝集剤とシリコーン系界面活性剤とを含有し、かつ、
    前記前処理液中に含まれる前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とするインクジェット記録液セット。
    Figure 2019163349
    (式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。Xは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、分岐構造を有していてもよい。EOは、ポリエチレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。POは、ポリプロピレンオキシドの繰り返し単位構造を表す。なお、[EO]と[PO]の順序はどちらでもよい。n及びmは、繰り返し単位構造の数を表し、mは2〜50の整数、nは0〜20の整数である。)
  2. 前記凝集剤が、多価金属塩又は有機酸であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録液セット。
  3. 前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリウレタン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録液セット。
  4. 前記水不溶性樹脂微粒子が、ポリオレフィン系樹脂がポリウレタン系樹脂に乳化されてなる複合樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セット。
  5. 前記シリコーン系界面活性剤の含有量が、前記前処理液に対して0.1〜3.0質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セット。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のインクジェット記録液セットを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
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