JP2019156786A - エクソソーム産生促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進できるエクソソーム産生促進剤を提供することである。【解決手段】スフィンゴイド塩基には、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進させる作用があり、エクソソーム産生促進剤として使用し得る。【選択図】なし

Description

本発明は、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進できるエクソソーム産生促進剤に関する。
アルツハイマー病は(AD)、認知症の過半数を占める神経変性疾患であり、加齢とともにその発症率は上昇する。ADの病理学的特徴として、老人班の出現が挙げられるが、これはアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質が細胞外に沈着したものである。Aβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の連続的なプロセッシングによって生成される。正常な状態では、Aβの生成と分解/排出のバランスが保たれているため、過剰な量のAβが脳内に蓄積することはない。しかしながら、一度そのバランスが崩れると、脳内で過剰な量のAβが蓄積し、ADを発症するリスクを高める。
Aβの蓄積を抑制する薬剤についてはこれまでにも広く研究がされている。例えば、特許文献1には、水溶性ペプチド金属錯体アレイを含むアミロイド繊維の形成を抑制する抑制剤が開示されている。また、特許文献2には、シソの抽出物を有効成分とする、Aβの凝集阻害組成物が開示されている。さらに、特許文献3では、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルマンノサミン、およびシアリルラクトースの少なくとも何か一つを含有する、GNE遺伝子変異に起因するAβ凝集抑制剤が開示されている。
また、最近、神経細胞から分泌されたエクソソームがAβの分解に関与していることが報告されており(非特許文献1)、Aβの蓄積抑制には神経細胞におけるエクソソームの産生促進が有効であると考えられる。エクソソームとは、細胞から放出される小型膜小胞(直径約40〜100nm)であり、mRNA等を内包し、細胞間のコミュニケーションに重要であると考えられている(非特許文献2)。
本発明者等のこれまでの研究により、細胞外へ分泌されたAβは神経細胞から分泌されるエクソソームと結合し、ミクログリアに移動、その後分解されることが解明されている。例えば、非特許文献3では、神経細胞由来エクソソームがAβ結合糖脂質を高発現し、Aβを結合する能力を有すること、更にはAβを結合した状態のエクソソームがミクログリアに取り込まれ、分解されることを報告している。更に、非特許文献4及び非特許文献5では、神経細胞由来のエクソソームを脳内投与することによって、脳内のAβレベルが低下することも報告されている。
しかしながら、エクソソームの産生を促進し得る薬剤については、未だに十分な検討が行われていない。
Yuyama K.,et al.(2012)J. Biol.chem. Simons M.,et al.(2009)Curr Opin Cell Biol. 月間「細胞」、ニューサイエンス社発行(2016)48(1)、第44頁〜第47頁 Yuyama K.,et al.(2014)J. Biol.chem. Yuyama K.,et al.(2015)FEBS Lett.
特開2016−145175号公報 特開2016−124865号公報 特開2014−224132号公報
本発明の目的は、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進できるエクソソーム産生促進剤を提供することである。
本発明者等が前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、スフィンゴイド塩基には神経細胞におけるエクソソームの産生を促進させる作用があり、エクソソーム産生促進剤として使用し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. スフィンゴイド塩基を有効成分とするエクソソーム産生促進剤。
項2. スフィンゴイド塩基が、4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及びスフィンゴシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載のエクソソーム産生促進剤。
項3. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する疾患を予防又は改善するために使用される、項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
項4. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する認知機能の低下を予防又は改善するために使用される、項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
項5. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する記憶障害を予防又は改善するために使用される、項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
項6. エクソソーム産生促進用飲食品である、項1〜5のいずれかに記載のエクソソーム産生促進剤。
項7. エクソソーム産生促進用医薬品である、項1〜5のいずれかに記載のエクソソーム産生促進剤。
本発明によれば、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進できる、エクソソーム産生促進剤を提供することができる。また、本発明のエクソソーム産生促進剤は、経口投与、飲食品の形態で投与又は摂取できるので、非侵襲的で患者への負担が少なく、容易に神経細胞におけるエクソソーム産生を促進することができる。
ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞にスフィンゴシンを添加して24時間培養した後に、培養上清に含まれていたエクソソーム粒子数を測定した結果を示すグラフである。 ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞に4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンをそれぞれ添加して24時間した後に、培養上清に含まれていたエクソソーム粒子数を測定した結果示すグラフである。
本発明は、スフィンゴイド塩基を有効成分とするエクソソーム産生促進剤である。以下、本発明のエクソソーム産生促進剤について詳述する。
[スフィンゴイド塩基]
本発明のエクソソーム産生促進剤は、スフィンゴイド塩基を有効成分として使用する。スフィンゴイド塩基は、スフィンゴ脂質を構成する塩基部分(長鎖アミノアルコール)として公知の化合物である。
本発明で使用されるスフィンゴイド塩基の種類については、特に制限されないが、例えば、スフィンゴシン(4−スフィンゲニン)、4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、4−シス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−ヒドロキシスフィンガニン(フィトスフィンゴシン)、4−ヒドロキシ−8−トランス−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−8−シス−スフィンゲニン、スフィンガニン、8−トランス−スフィンゲニン、8−シス−スフィンゲニン、4−トランス−スフィンゲニン、4−シス,8−シス−スフィンガジエニン、4−トランス,14−シス−スフィンガジエニン、4−トランス,14−トランス−スフィンガジエニン等が挙げられる。
これらのスフィンゴイド塩基は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのスフィンゴイド塩基の中でも、神経細胞におけるエクソソームの産生をより一層効果的に促進させるという観点から、好ましくはスフィンゴシン(4−スフィンゲニン)、4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、更に好ましくは4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニンが挙げられる。
スフィンゴイド塩基は、植物由来、動物由来のいずれであってもよいが、安全性がより一層高い点で、植物由来が好ましい。
本発明で使用されるスフィンゴイド塩基の由来動物としては、具体的には、ウニやヒトデ、タコ、イカ等の棘皮動物、軟体動物の組織全て又は一部、ウマ、ウシ等の哺乳動物の脳組織及び皮膚組織、ヒト、ウシ、ヤギ等哺乳動物の乳及びその発酵物等が挙げられる。
本発明で使用されるスフィンゴイド塩基の由来植物としては、アーモンド、アオサ、アオノリ、アカザ、アカシア、アカブドウ、アカマツ、アガリクス、アキノノゲシ、アケビ、アサガオ、アザレア、アジサイ、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アセロラ、アセンヤク、アニス、アボガド、アマクサ、アマチャ、アマチャズル、アマナツ、アマリリス、アルテア、アルニカ、アロエ、アンジェリカ、アンズ、アンコール、アンソッコウ。イグサ、イザヨイ、バラ、イチイ、イチジク、イチョウ、イヨカン、イランイラン、ウイキョウ、ウーロン茶、ウコン、ウスベニアオイ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、温州ミカン、エイジル、エシャロット、エゾウコギ、エニシダ、エノキタケ、エルダーフラワーエンソウ、オーキッド、オウゴンカン、オオバコ、オオヒレアザミ、オオムギ、オケラ、オスマンサス、オトギリソウ、オドリコソウ、オレンジ、カーネーション、カカオ、カキ、カキドオシ、カクテルフルーツ、カッコン、カシワ、カタクリ、カボチャ、カミツレ、カムカム、カモミール、カラウスウリペイ、キイチゴ、キウイ、キキョウ、キャベツ、キャラウェイ、キュウリ、キヨミ、キンカン、ギンナン、ガァバ、クコ、クズ、クチナシ、クミン、クランベリー、クルミ、グレープフルーツ、クレメンタイン、クローブ、クロマル、クロマメ、クロレラ、ケツメイシ、ゲンノチョウコ、コケモモ、コチョウ、コスモス、ゴノウ、コムギ、ゴマ、コマツネ、コメ、コリアンガダー、コンニャク、コンブ、サーモンベリー、サイオウレス、ザクロ、サツマイモ、サトイモ、サトウキビ、サトウダイコン、サフラン、ザボン、サンザシ、サンショウ、シイタケ、シクラメン、ショウガ、シソ、シメジ、ジャガイモ、シャクヤク、ジャスミン、ジュズダマ、シュンギク、チョウブ、シラカシ、ジンチョウゲ、シンナモン、スイカ、スイトピー、スイートスプリング、スギナ、スターアニス、スターアップル、ロリ、センキュウ、センブリ、ソバ、ソラマメ、ダイコン、ダイズ、ダイダイ、タイムタケノコ、タマネギ、タモギタケ、タラゴン、タロイモ、タンカン、タンゴール、タンジン、タンゼロ、タンポポ、チコリ、ツキミソウ、ツクシ、ツバキ、ツボクサ、ツメクサ、ツルクサ、ツルナ、ツワブキ、ディル、デコポン、テンジクアオイ、トウガ、トウガラシ、トウキ、トウキュウカソウ、トウモロコシ、ドクダミ、トコン、トチュウ、トネリコ、ナガイモ、ナズナ、ナツミ、ナツミカン、ナツメグ、ナンテン、ニガウリ、ニガヨモギ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ノコギリソウ、ノコギリヤシ、ノビル、バーベナ、パーム、パイナップル、ハイビスカス、ハコベ、パプリカ、ハマメリス、ハルカ、ハルミ、ハレヒメ、バンペイユ、ビート、ピーマン、ヒガンバナ、ヒバ、ヒシ、ヒジキ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒノキ、ヒマシ、ヒマワリ、ヒメノツキ、ヒュウガナツ、ビワ、ファレノプシス、フェネグリーク、フキノトウ、ブラックベリー、プラム、ブルーベリー、ビルベリー、プルーン、ブンタン、ヘチマ、ベニバナ、ベニマドンナ、ベラドンナ、ベルガモット、ホウセンカ、ホウレンソウ、ホオズキ、ボダイジュ、ボタン、ホップ、ホホバ、ポンカン、マイタケ、マオウ、マカ、マカデミアンナッツ、マーコット、マタタビ、マリーゴールド、メリヒメ、マンゴー、ミツバ、ミネオラ、ミモザ、ミョウガ、ミルラ、ムラサキ、メース、メリッサ、メリロート、メロン、メン、モヤシ、ヤグルマソウ、ヤマイモ、ヤマユリ、ヤマヨモギ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユリ、ヨクイニン、ヨメナ、ヨモギ、ライム、ライムギ、ライラック、ラズベリー、ラカッセイ、ラッキョウ、リンゴ、リンドウ、レイコウ、レイシ、レタス、レモン、レンゲソウ、レンコン、ローズヒップ、ローズマリー、ローリエ、ワケギ、ワサビ等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、コムギ、コメ、トウモロコシ、ダイズ、コンニャク、マイタケ、タモギタケ;更に好ましくはコンニャクが挙げられる。
本発明で使用されるスフィンゴイド塩基は、前述する動物又は植物から公知の生成方法によって得ることができる。また、スフィンゴイド塩基は、市販のものを購入してもよい。
スフィンゴイド塩基の生成方法としては、例えば、前述する動物又は植物からスフィンゴ糖脂質を抽出し、酵素反応等により糖を除去、その後、化学反応等により脂肪酸を除去することで得ることができる。この際、原料として使用するスフィンゴ糖脂質は、目的のスフィンゴイド塩基が得られるのであれば特に限定されず、セラミドにグルコースやガラクトース等の、いずれの糖が結合したものであってもよい。また、糖を除去するための酵素としては、スフィンゴ糖脂質―セラミド間の結合を加水分解できる酵素であれば特に限定されず、例えば、エンドグリコシダーゼ(EGCase)が挙げられる。EGCaseは、等電点および、分子量のことなる3つの種(EGCaseI、EGCaseII、及びEGCaseIII)が知られており、分子種に応じて基質特異性がことなることが知られている。使用するEGCaseの分子種は、基質として使用するスフィンゴ糖脂質の構造に応じて適宜選択すればよい。
生成したスフィンゴイド塩基は、必要に応じて、濃縮・精製処理に供してもよい。濃縮処理としては、例えば、エバポレーター等の減圧濃縮装置を用いた公知の濃縮処理が挙げられる。また、精製処理としては、例えば、イオン交換樹脂、アルカリ処理、溶媒分画、シリカゲルクロマトグラフィー等の公知の精製処理が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤におけるスフィンゴイド塩基の含有量としては、生体内でエクソソームの産生を促進できる有効量であることを限定されず、用途、剤型、投与形態等に応じて適宜調整することができる。
[その他の添加成分]
本発明のエクソソーム産生促進剤は、前述したスフィンゴイド塩基以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、剤型に応じて、他の添加成分を含有してもよい。本発明のエクソソーム産生促進剤に含有され得る添加成分としては、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、彗星高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール類、多価アルコール、pH調製剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、粉黛、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加成分は、1種類単独で混合しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加成分の含量については、使用する添加成分の種類や本発明のエクソソーム産生促進剤の剤型等に応じて適宜設定される。
[剤型・製剤形態・用途]
本発明のエクソソーム産生促進剤の剤型については、特に限定されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよく、エクソソーム産生促進剤の種類、用途、投与方法などに応じて適宜設定すればよい。
本発明のエクソソーム産生促進剤の投与方法としては、特に限定されず、適用する疾患の種類に応じて適宜選択すればよく、全身投与であっても、局所投与であってもよい。具体的には、経口、経血管内(動脈内又は静脈内)、経皮、経腸、経肺、鼻腔内投与等が挙げられる。経血管内投与には、血管内注射、持続点滴も含まれる。中でも、投与が容易であり、且つエクソソーム産生促進効果を効果的に奏させるという観点から、経口投与が好ましい。
本発明のエクソソーム産生促進剤の製剤形態については、特に限定されず、投与方法に適した製剤形態に適宜設定することができ、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤、坐剤等の任意の製剤形態を挙げることができる。例えば、本発明のエクソソーム産生促進剤の投与形態が経口投与である場合は、経口投与が可能であることを限度として特に限定されないが、具体的には、飲食品及び内服用医薬品が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤を飲食品の製剤形態にする場合、本発明のエクソソーム産生促進剤をそのまま、または他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品のほかに、特定健康保険用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に限定されないが、具体的には、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、下流剤、粉剤、ゼリー剤、リポソーム製剤等のサプリメント、栄養ドリンク、果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;団子、アイス、チョコレート、グミ、キャンディー等の嗜好品;等が例示される。これらの飲食品のなかでも、好ましくは飲料、サプリメント、より好ましくは飲料、カプセル剤が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤を内服用医薬品の製剤形態にする場合、本発明のエクソソーム産生促進剤を、そのまま又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用医薬品としては、具体的には、ドリンク剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤、シロップ剤、リポソーム製剤等が挙げられる。これらの内服用の医薬品の中でも、好ましくはカプセル剤、ドリンク剤が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤が飲食品又は内服用医薬品の製剤形態である場合、有効成分であるスフィンゴイド塩基の含有量としては、エクソソームの産生が促進される有効量である限り特に限定されず、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜20質量%等が挙げられ、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤は、神経細胞におけるエクソソームの産生促進に基づいて、症状が軽減又は改善させる疾患に対して適用することができる。また、本発明のエクソソーム産生促進剤は、アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する疾患の予防や改善目的で使用することができる。
例えば、神経細胞から分泌されたエクソソームは、アルツハイマー病の発症原因の一つであるアミロイドβタンパク質の蓄積を抑制することができるので、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進すると、アルツハイマー病の発症を抑制したり、症状を軽減したりすることができると考えられる。つまり、本発明のエクソソーム産生促進剤は、アルツハイマー病の発症を抑制したり、症状を軽減したりすることができ、アルツハイマー病予防剤としても好適に使用することができる。更に、本発明のエクソソーム産生促進剤は、アミロイドβタンパク質の蓄積が原因で引き起こされる、記憶障害、認知機能低下等の抑制の目的で使用することができる。
また、神経細胞におけるエクソソームの産生を促進することによって症状が改善され得る他の疾患としては、例えば、パーキンソン病、前頭側頭型変性症、ポリグルタミン病等の神経変性疾患等が挙げられる。
本発明のエクソソーム産生促進剤の適用量としては、特に限定されず、製剤形態、用途、投与対象、期待される効果等に応じて適宜設定するとよい。例えば、本発明のエクソソーム産生促進剤を経口摂取する場合、摂取量としては、スフィンゴイド塩基量で成人一日当たり0.1〜5mg、好ましくは0.1〜1mgが挙げられる。本発明のエクソソーム産生促進剤は、一日あたりの量が前述の範囲となるように、1回又は数回に分けて投与してもよい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[実験例1]
1.スフィンゴイド塩基の調製
こんにゃく抽出物(株式会社ダイセル提供)を10倍量のアセトンで処理し、単純脂質を除去した後、適量のクロロホルム/メタノール/0.4M KOH水溶液(クロロホルム:メタノール:0.4M KOH水溶液の容積比1:1:1)の混合溶媒中でグリセロ脂質をケン化分解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりグルコシルセラミドを精製した。精製したグルコシルセラミドを適量のジオキサン/10%水酸化バリウム水溶液(ジオキサン:10%水酸化バリウム水溶液の容積比1:1)中で110℃で加熱分解し、スフィンゴイド塩基を遊離させた。スフィンゴイド塩基は最終的にODSカラムを装備したHPLCで精製し、スフィンゴシン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンをそれぞれ得た。
2.ヒト神経由来細胞へのスフィンゴイド塩基処理と培養上清からのエクソソーム回収
ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞(ATCCから購入)を使用し、実験を行った。細胞を、培地(50%Ham’s F12/50%E−MEM、10%仔牛血清含有)と共に6ウェルプレートに2.2×107cells/wellとなるよう播種し、37℃で24時間培養した後、スフィンゴシン(Avanti Polar Lipids社製)、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンを、3%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む血清不含培地(50%Ham’s F12/50%E−MEM)に懸濁して、ウェル中での終濃度が5μMとなるように各ウェルに添加した。また、スフィンゴイド塩基の代わりにジメチルスルホキシド(DMSO)をウェル中での終濃度が5μMとなるように各ウェルに添加した場合とコントロールとした。
スフィンゴイド塩基を添加して24時間経過後に培養上清(1.5mL/well)を回収し、その中のエクソソームを回収した。エクソソームの回収には遠心法を用いた。具体的には、回収した培養上清について、2,000g 10分、10,000g 30分、100,000g 70分の段階的な遠心を行い、沈渣としてエクソソームを回収した。
3.エクソソーム粒子数測定
遠心法で回収したエクソソームを、HEPES/KClバッファーに懸濁した後、ナノパーティクルアナライザーqNano(Izon社)で粒子数を測定した。測定値は、BCA法で算出した由来細胞のタンパク質量(mg)当たりのエクソソーム粒子数粒子数として表示した。エクソソーム粒子数は、測定を2回行って得られた各値の平均値である。また、エクソソーム粒子数は、コントロールを100%とした場合の比率(% of contorol)として算出した。また、得られた値について、One−way ANOVA法による有意差検定(***P<0.001、**P<0.01、*P<0.05)を行った。
4.結果
結果を図1及び2に示す。図1には、スフィンゴシンを添加した場合のエクソソーム粒子数を示し、図2には、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンンを添加した場合のエクソソーム粒子数を示す。
図1から明らかなように、スフィンゴシンを添加した場合、神経細胞におけるエクソソーム粒子数がコントロールに対して増加する傾向が認められ、スフィンゴシンがエクソソームの産生を促進し得ることが確認された。
また、図2から明らかなように、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンンの添加により、神経細胞におけるエクソソーム粒子数がコントロールに対し、統計的にも有意に増加することが確認された。
以上の結果から、スフィンゴイド塩基には神経細胞におけるエクソソームの産生を促進する作用があり、特に、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及び4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニンンは当該作用が卓越していることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. スフィンゴイド塩基を有効成分とするエクソソーム産生促進剤。
  2. スフィンゴイド塩基が、4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、及びスフィンゴシンよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のエクソソーム産生促進剤。
  3. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する疾患を予防又は改善するために使用される、請求項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
  4. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する認知機能の低下を予防又は改善するために使用される、請求項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
  5. アミロイドβタンパク質の蓄積に起因する記憶障害を予防又は改善するために使用される、請求項1又は2に記載のエクソソーム産生促進剤。
  6. エクソソーム産生促進用飲食品である、請求項1〜5のいずれかに記載のエクソソーム産生促進剤。
  7. エクソソーム産生促進用医薬品である、請求項1〜5のいずれかに記載のエクソソーム産生促進剤。
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