JP2019115127A - 電動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機による回生中に蓄電装置の残容量が所定値を超えたときに、ヒートポンプサイクルを備えた車両用空調装置の消費電力を増大させることができる電動車両を提供する。【解決手段】電動車両Veは、電動機17と、蓄電装置16と、制御装置15と、冷媒回路13とを備えている。冷媒回路は、圧縮機21と、室外熱交換器24と、第1室内熱交換器61と、第1膨張弁22と、第2膨張弁27と、第2室内熱交換器53を有する。制御装置は、蓄電装置の残容量が所定値以上のとき、所定温度を境に、第1膨張弁の減圧量に対する前記第2膨張弁の減圧量の比を切り替える。【選択図】図1

Description

本発明は、電動車両に関するものである。
電動車両では制動時に電動機が発電機として機能する。すなわち、駆動輪の回転が電動機の出力軸に伝達され、出力軸の回転により電動機で電力が回生される。回生された交流電流がインバータで直流電流に変換され、変換された直流電流がインバータから蓄電装置に供給されて蓄電装置に充電される。
電動車両のなかには、蓄電装置を過充電から保護するため、蓄電装置の残容量が所定値を超えたとき、電動機における回生量を制限するように構成されたものがある。しかし、電動機による回生量が制限されると、回生制動力が通常よりも弱まり、乗員にブレーキフィーリングの変化による違和感を与えてしまう。一方、ブレーキフィーリングの変化を抑えることを優先し、制動中における回生量の制限をなくすと、過充電によるバッテリの劣化を招く。
この対策として、回生制動力の発生時に、蓄電装置の残容量が所定値を超えたとき、電動車両に搭載されている電気負荷(以下、車両用空調装置という)の消費電力を増大させる手段が開示されている。
また、電動機による回生中に蓄電装置の残容量が所定値を超えたときに、車室内を冷房する冷房装置と車室内を暖房する暖房装置とを並行して動作させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−162947号公報
特許文献1の車両用空調装置では冷房の回路と暖房の回路とが完全に分離されている。一方、電動車両のなかには、車両用空調装置にヒートポンプサイクルを備えることにより、車両用空調装置で車室内の冷房と暖房とを実施可能なものがある。しかし、この電動車両については、電動機による回生中に蓄電装置の残容量が所定値を超えたときに、車両用空調装置の消費電力を増大させる動作ついて開示がされていない。
そこで、この発明は、電動機による回生中に蓄電装置の残容量が所定値を超えたときに、ヒートポンプサイクルを備えた車両用空調装置の消費電力を増大させることができる電動車両を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、電動機(例えば、実施形態の電動機17)と、前記電動機と電気的に接続される蓄電装置(例えば、実施形態の蓄電装置16)と、前記電動機と前記蓄電装置とを制御する制御装置(例えば、実施形態の制御装置15)を備える電動車両(例えば、実施形態の電動車両Ve)において、吸引した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(例えば、実施形態の圧縮機21)と、前記冷媒を外気と熱交換する室外熱交換器(例えば、実施形態の室外熱交換器24)と、前記圧縮機と前記室外熱交換器との間に配置され、前記冷媒と内気とを熱交換する第1室内熱交換器(例えば、実施形態の第1室内熱交換器61)と、前記第1室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に配置され、前記冷媒を減圧可能な第1膨張弁(例えば、実施形態の第1膨張弁22)と、前記室外熱交換器と前記圧縮機との間に配置され、前記冷媒を減圧可能な第2膨張弁(例えば、実施形態の第2膨張弁27)と、前記第2膨張弁と前記圧縮機との間に配置され、前記冷媒と内気とを熱交換する第2室内熱交換器(例えば、実施形態の第2室内熱交換器53)と、を有する冷媒回路を備え、前記制御装置は、前記蓄電装置の残容量が所定値以上のとき、所定温度を境に、前記第1膨張弁の減圧量に対する前記第2膨張弁の減圧量の比を切り替えることを特徴とする。
ここで、電動機で回生した電力を蓄電装置に充電する際に、蓄電装置を過充電から保護するために電動車両の消費電力を増大させることを、以下、廃電制御として説明する。
この電動車両によれば、圧縮機の運転中に蓄電装置の残容量が所定値以上のときに、廃電制御により、所定温度を境に、前記第1膨張弁の減圧量に対する前記第2膨張弁の減圧量の比を切り替えるようにした。よって、例えば、所定温度を境に、第2膨張弁による冷媒の減圧量を多くする第1運転と、第1膨張弁による冷媒の減圧量を多くする第2運転とを切り替えることが可能になる。
すなわち、第1運転および第2運転の一方の運転中に、所定温度を境に他方の運転に切り替えることができる。よって、第1運転および第2運転の一方の運転の効率を低下させることができる。これにより、第1運転および第2運転の一方の運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、冷媒回路を備えた空調装置の消費電力を増加させることができる。
空調装置の消費電力が、電動機による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置への過充電を防止できる。また、空調装置の消費電力が、電動機による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置の残容量の増加スピードを低下させることができる。
請求項2に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記制御装置は、前記電動車両のユーザが要求する車室内温度が、前記第1所定温度以上、前記第2所定温度未満のときは、前記第1室内熱交換器の加熱と、前記第2膨張弁による減圧と、を同時に行うことを特徴とする。
よって、第1所定温度と第2所定温度との間において、廃電制御により、第1室内熱交換器の加熱による暖房運転と、第2膨張弁で冷媒を減圧する第1運転(すなわち、冷房運転)とを同時に実施できる。これにより、暖房運転および冷房運転の一方の運転の効率(すなわち、暖房効率、冷房効率)を低下させることができる。この結果、暖房運転および冷房運転の一方の運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、空調装置の消費電力を増加させることができる。
請求項3に記載した発明は、前記制御装置は、前記残容量が所定値以上のときは、前記残容量が所定値未満のときよりも前記冷媒回路の動作効率を低下させることを特徴とする。
このように、冷媒回路の動作効率を低下させる廃電制御により、第1運転および第2運転の一方の運転の効率を低下させることができる。これにより、第1運転および第2運転の一方の運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、空調装置の消費電力を増加させることができる。
請求項4に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記制御装置は、前記電動車両のユーザが要求する車室内温度が、前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする。
よって、ユーザが要求する車室内温度が、第1所定温度未満のときは第1膨張弁の減圧による第2運転(すなわち、暖房運転)を実施して、ユーザの要求を優先できる。また、ユーザが要求する車室内温度が、第2所定温度以上のときは第2膨張弁の減圧による第1運転(すなわち、冷房運転)を実施して、ユーザの要求を優先できる。これにより、車室内温度をユーザの要求に対応させることが可能になり、電動車両の商品性を確保(維持)できる。
請求項5に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記制御装置は、前記電動車両の外気温が、前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする。
よって、外気温が第1所定温度未満のときは、第1膨張弁の減圧による第2運転(すなわち、暖房運転)を実施して、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことができる。また、外気温が第2所定温度以上のときは、第2膨張弁の減圧による第1運転(すなわち、冷房運転)を実施して、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことができる。これにより、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことが可能になり、電動車両の商品性を確保(維持)できる。
請求項6に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記制御装置は、前記電動車両の車室内温度が、前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする。
よって、車室内温度が第1所定温度未満のときは、第1膨張弁の減圧による第2運転(すなわち、暖房運転)を実施して車室内温度を好適に保つことができる。また、車室内温度が、第2所定温度以上のときは、第2膨張弁の減圧による第1運転(すなわち、冷房運転)を実施して車室内温度を好適に保つことができる。これにより、車室内温度を好適に保つことが可能になり、電動車両の商品性を確保(維持)できる。
請求項7に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記残容量が所定値以上のときの前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差と、前記残容量が所定値未満のときの前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差とは、前記残容量が所定値以上のときの方が大きいことを特徴とする。
よって、残容量が所定値以上のときには、第1所定温度と第2所定温度との温度差を大きくして、第1運転と第2運転とを併用する範囲を広くできる。これにより、第1運転のみや第2運転のみに移行し難くして空調効率を低く抑え、空調装置の消費電力を増加させることができる。
一方、残容量が所定値未満のときには、第1所定温度と第2所定温度との温度差を小さくして、冷房運転と暖房運転とを併用する範囲を狭くできる。これにより、第1運転のみや第2運転のみへ移行し易くして空調効率を高め、空調装置の消費電力を減少させることができる。
このように、残容量が所定値以上のときと、残容量が所定値未満のときと、に対応させて、空調装置における消費電力を自在にコントロールすることができる。
請求項8に記載した発明は、前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、前記残容量が前記所定値以上のとき、前記残容量の増加に基づいて前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差が大きくなることを特徴とする。
よって、残容量の増加に基づいて第1所定温度と第2所定温度との温度差を大きくして、第1運転と第2運転とを併用する範囲を広くできる。これにより、残容量の増加に対応させて空調効率を効率よく低く抑え、空調装置の消費電力を増加させることができる。
この発明によれば、電動機による回生中に蓄電装置の残容量が所定値を超えたときに、ヒートポンプサイクルを備えた車両用空調装置の消費電力を増大させることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用空調装置を備えた電動車両の構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の暖房運転モードを説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の冷房運転モードを説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第1廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第1廃電制御の冷媒圧力―エンタルピ線図を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第1廃電制御の消費電力を説明する線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第2廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第2廃電制御の冷媒圧力―エンタルピ線図を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第2廃電制御の消費電力を説明する線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第3廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第3廃電制御の冷媒圧力―エンタルピ線図を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第3廃電制御の消費電力を説明する線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第4廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第4廃電制御の冷媒圧力―エンタルピ線図を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第4廃電制御の消費電力を説明する線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第5廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第5廃電制御の冷媒圧力―エンタルピ線図を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第5廃電制御の消費電力を説明する線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第6廃電制御を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る車両用空調装置の除湿暖房運転モードを説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第7廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第8廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両のグリルシャッタ動作による回生電力減少量を算出するグラフである。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第9廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第10廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の第11廃電制御を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の圧縮機の吸込/吐出圧力差と空気側負荷(空調負荷)とに対する消費電力の関係を示す線図である。 本発明の一実施形態に係る電動車両の車両用空調装置を所定温度において第1運転と第2運転とに切り替える制御状態を示すイメージ図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
実施形態においては、電動車両として電気自動車(Battery Electric Vehicle(BEV))を例示するが、これに限定しない。例えばハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle(HV))、燃料電池自動車(Fuel Cell Vehicle(FCV))などの他の車両としてもよい。
図1は、車両用空調装置10を備えた電動車両Veの構成図である。
図1に示すように、車両用空調装置10は、車両駆動源としてエンジン(内燃機関)を具備していない電気自動車等の電動車両Veに搭載されている。電動車両Veは、車両用空調装置10と、制御装置15(ECU:Electronic Control Unit)15と、蓄電装置(バッテリ)16と、電動機(走行用モータ)17とを備えた電気自動車である。
電動機17は、インバータ(図示せず)を介して蓄電装置16に電気的に接続されている。電動機17の駆動時には、蓄電装置16から出力する直流電流がインバータで交流電流に変換されて電動機17に供給される。電動機17に交流電流が供給されることにより、電動機17が駆動力を発生する。電動機17が駆動力を発生することにより、駆動輪が前進方向または後進方向に回転駆動される。
一方、電動車両Veの制動時には、電動機17が発電機として機能する。すなわち、駆動輪の回転が電動機17の出力軸に伝達され、出力軸の回転により電動機17で電力が回生される。このとき、電動機17が抵抗になり、抵抗が回生制動力して電動車両Veに作用する。電動機17で回生された交流電流は、インバータで直流電流に変換される。変換された直流電流がインバータから蓄電装置16に供給され、蓄電装置16に蓄えられる。
また、電動車両Veには車両用空調装置10が搭載されている。車両用空調装置10は、空調ユニット11と、冷媒が循環可能なヒートポンプサイクル12とを主に備えている。
空調ユニット11は、空調空気が流通するダクト51と、ダクト51内に収容されたブロア52、第2室内熱交換器(エバポレータ)53、第1導風手段(エアミックスドア)54、第1室内熱交換器61と、を備えている。
ダクト51は、空気取込口56a,56bおよび空気吹出口57a,57bを有する。上述したブロア52、第2室内熱交換器53、第1導風手段54、および、第1室内熱交換器61は、ダクト51における空調空気の流通方向の上流側(空気取込口56a,56b側)から下流側(空気吹出口57a,57b側)に向けてこの順で配置されている。
空気取込口56a,56bは、それぞれ内気を取り込む内気取込口と、外気を取り込む外気取込口を構成している。空気取込口56a,56bは、内気ドア72と外気ドア73によってそれぞれ開閉され、例えば、制御装置15による制御により内気ドア72と外気ドア73の開度が調整されることで、ダクト51内に流入する内気と外気の流量割合が調整される。
空気吹出口57a,57bは、それぞれVENT吹出口とDEF吹出口を構成している。各空気吹出口57a,57bは、VENTドア63とDEFドア64によりそれぞれ開閉可能に形成されている。各空気吹出口57a,57bは、例えば、制御装置15による制御によりVENTドア63とDEFドア64の開閉が切り替えられることで、各空気吹出口57a,57bから吹き出される空気割合が調整される。
ブロア52は、例えば、制御装置15による制御によりモータに印加される駆動電圧に応じて、モータによって駆動される。ブロア52は、空気取込口56a,56bからダクト51内に取り込まれた空調空気(内気および外気の少なくとも一方)を下流側、つまり第2室内熱交換器53および第1室内熱交換器61に向けて送出する。
第2室内熱交換器53は、内部に流入した低圧の冷媒と車室内雰囲気(ダクト51内)との熱交換を行ない、例えば、冷媒が蒸発する際の吸熱によって、第2室内熱交換器53を通過する空調空気を冷却する。
第1室内熱交換器61は、室内コンデンサ55と、発熱部58と、を備えている。室内コンデンサ55は、内部に流入した高温かつ高圧に圧縮された冷媒と熱交換可能である。室内コンデンサ55は、例えば、放熱することによって、室内コンデンサ55を通過する空調空気を加熱する。
発熱部58は、室内コンデンサ55の下流側近傍に備えられ、蓄電装置16に接続されている。発熱部58は、蓄電装置16からの給電により電気的に加熱される。発熱部58として、例えばPTCヒータ(Positive Temperature Coefficientヒータ)が挙げられる。発熱部58は、PTCヒータに限らないで、その他の発熱部を採用することも可能である。
なお、図2〜図26においては、構成の理解を容易にするために、発熱部58を省略して説明する。
第1導風手段54は、例えば、制御装置15による制御によって回動操作される。第1導風手段54は、ダクト51内の第2室内熱交換器53の下流から室内コンデンサ55に向かう通風経路を開放する加熱位置と、室内コンデンサ55を迂回する通風経路を開放する冷却位置との間で回動する。これにより、第2室内熱交換器53を通過した空調空気のうち、室内コンデンサ55に導入される風量と、室内コンデンサ55を迂回して車室内へ排出される風量と、の風量割合が調整される。
ヒートポンプサイクル12は、例えば、上述した第2室内熱交換器53および室内コンデンサ55と、冷媒を圧縮する圧縮機(コンプレッサ)21と、第1膨張弁(暖房用減圧弁)22と、冷房用電磁弁23と、室外熱交換器24と、三方弁25と、気液分離器26と、第2膨張弁(冷房用減圧弁)27と、を備えている。ヒートポンプサイクル12の各構成部材は、冷媒流路31を介して接続されている。冷媒流路31は冷媒が循環可能な流路である。
ヒートポンプサイクル12、第2室内熱交換器53および室内コンデンサ55で冷媒回路13が構成されている。すなわち、冷媒回路13は電動車両Veに備えられている。
圧縮機21は、気液分離器26と室内コンデンサ55との間に接続され、気液分離器26側の冷媒を吸引して室内コンデンサ55側に吐出する。圧縮機21は、例えば、制御装置15による制御によりモータに印加される駆動電圧に応じて、モータによって駆動される。圧縮機21は、気液分離器26から気相の冷媒(冷媒ガス)を吸入するとともに、この冷媒を圧縮した後、高温かつ高圧の冷媒として上述した室内コンデンサ55に吐出する。
冷媒流路31の室内コンデンサ55の下流側には、第1膨張弁22と、冷房用電磁弁23とが並列に配置されている。
第1膨張弁22は、例えば、開口部の口径を調整可能な絞り弁である。第1膨張弁22は、室内コンデンサ55を通過した冷媒を、減圧して膨張させた後、低温かつ低圧で気液2相(液相リッチ)の噴霧状の冷媒として室外熱交換器24に吐出する。
冷房用電磁弁23は、冷媒流路31上において、第1膨張弁22の両側に設けられた第1分岐部32aと第2分岐部32bの間を接続するとともに、第1膨張弁22を迂回する迂回流路32上に設けられている。冷房用電磁弁23は、例えば、制御装置15による制御により開閉される。なお、冷房用電磁弁23は、暖房運転の実行時には閉状態とされ、冷房運転の実行時には開状態とされる。
これにより、例えば、暖房運転の実行時には、室内コンデンサ55から排出された冷媒は第1膨張弁22で大きく減圧され、低温かつ低圧の状態で室外熱交換器24に流入する。一方、冷房運転の実行時には、室内コンデンサ55から排出された冷媒は冷房用電磁弁23を通過して高温の状態で室外熱交換器24に流入する。
室外熱交換器24は、車室外に配置され、内部に流入した冷媒と車室外雰囲気との間で熱交換を行なう。また、室外熱交換器24の下流側には、室外熱交換器24の出口から流出した冷媒の温度(冷媒出口温度Tout)を検出する出口温度センサ24Tが設けられている。出口温度センサ24Tで検出された冷媒温度を示す信号は制御装置15に入力される。出口温度センサ24Tから制御装置15に入力された信号は、制御装置15において、各種の空調制御の実行判定に用いられる。
室外熱交換器24は、暖房運転の実行時には、内部に流入する低温かつ低圧の冷媒によって車室外雰囲気から吸熱可能であって、車室外雰囲気からの吸熱によって冷媒を昇温する。一方、室外熱交換器24は、冷房運転の実行時には、内部に流入する高温の冷媒によって車室外雰囲気へと放熱可能であって、車室外雰囲気への放熱および第2導風手段28の送風によって冷媒を冷却する。
第2導風手段28としては、例えば室外熱交換器24の通過風量を制御するコンデンサファンが挙げられるが、その他の例として、例えばグリルシャッタなどを使用してもよい。第2導風手段28がコンデンサファンの場合、例えばコンデンサファンのモータに制御装置15による制御により印加される駆動電圧に応じて、コンデンサファンが駆動される。
三方弁25は、室外熱交換器24から流出した冷媒を気液分離器26または第2膨張弁(冷房用減圧弁)27に切り換えて吐出する。具体的に、三方弁25は、室外熱交換器24と、気液分離器26側に配置された合流部33と、第2膨張弁27と、に接続され、例えば、制御装置15による制御により冷媒の流通方向が切換えられる。
三方弁25は、暖房運転の実行時には、室外熱交換器24から流出した冷媒を気液分離器26側の合流部33に向けて吐出する。一方、冷房運転の実行時には、三方弁25は、室外熱交換器24から流出した冷媒を第2膨張弁27に向けて吐出する。
気液分離器26は、冷媒流路31中の合流部33と圧縮機21との間に接続され、合流部33から流出した冷媒の気液を分離し、気相の冷媒(冷媒ガス)を圧縮機21に吸入させる(戻す)。
第2膨張弁27は、いわゆる絞り弁であって、三方弁25と第2室内熱交換器53の流入口との間に接続されている。第2膨張弁27は、例えば、制御装置15によって制御される弁開度に応じて三方弁25から流出した冷媒を減圧して膨張させた後、低温かつ低圧で気液2相(気相リッチ)の噴霧状の冷媒として第2室内熱交換器53に吐出する。
第2室内熱交換器53は、第2膨張弁27と合流部33(気液分離器26)との間に接続されている。
制御装置15は、空調ユニット11およびヒートポンプサイクル12において冷媒を用いた空調制御を行う。制御装置15は、車室内に配設された図示しないスイッチ等を介して操作者により入力された指令信号に基づいて車両用空調装置10を制御する。制御装置15は、電動機17と蓄電装置16とを制御し、さらに、車両用空調装置10の運転モードを、暖房運転モード、冷房運転モードなどに切り替える制御が可能である。
制御装置15には、蓄電装置16の充電率であるSOC(State Of Charge)や、SOCに基づいて演算された充電可能電力の情報が入力される。充電可能電力は、蓄電装置16に充電することが可能な電力である。充電可能電力は、蓄電装置16への過充電を防止するため、例えば、SOCが増加するほど減少し、上限値では0となるようなテーブルから求めることができる。
また、制御装置15は、充電可能電力に基づいて、蓄電装置16の残容量が所定値以上であるか否かを判定する。さらに、制御装置15には、蓄電装置16に入力される回生電力の情報が入力される。
また、制御装置15は、電動機17、車両用空調装置10、圧縮機21、および第2導風手段(ファン)28などを制御可能な機能を備えている。例えば、制御装置15は、暖房運転モードの回生時において、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、圧縮機21の運転とともに、第1膨張弁22、第2導風手段28、第1導風手段54を選択して制御が可能とされている。
制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、所定温度を境に、冷房運転(第1運転)と、暖房運転(第2運転)とに切り替える制御が可能とされている。また、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、所定温度に含まれる第1所定温度と第2所定温度との差を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときより大きくするように制御可能とされている。
つぎに、車両用空調装置10の暖房運転モード、冷房運転モードの動作を図2、図3に基づいて説明する。まず、車両用空調装置10の暖房運転モードを図2に基づいて説明する。
(暖房運転モード)
図2に示すように、車両用空調装置10で暖房運転を行う場合には、第1導風手段54が室内コンデンサ55に向かう通風経路を開放する加熱位置とされる。また、冷房用電磁弁23が閉状態とされ、三方弁25が室外熱交換器24と合流部33とを接続する状態とされる。なお、空調ユニット11は、図2の例では、DEFドア64が開状態とされ、VENTドア63が閉状態とされているが、これらの開閉は運転者の操作によって任意に変更することができる。
この場合、ヒートポンプサイクル12においては、圧縮機21から吐出された高温かつ高圧の冷媒が、室内コンデンサ55における放熱によって空調ユニット11のダクト51内の空調空気を加熱する。
室内コンデンサ55を通過した冷媒は、第1膨張弁22によって膨張させられて(減圧されて)液相リッチの噴霧状とされ、その後、室外熱交換器24において熱交換(車室外雰囲気から吸熱)して気相リッチの噴霧状となる。室外熱交換器24を通過した冷媒は、三方弁25と合流部33とを通過して気液分離器26に流入する。そして、気液分離器26に流入した冷媒は、気相と液相とに分離され、気相の冷媒が圧縮機21に吸入される。
このようにヒートポンプサイクル12の冷媒流路31内を冷媒が流れる状況で、空調ユニット11のブロア52が駆動される。よって、空調ユニット11のダクト51内を空調空気が流れ、その空調空気が第2室内熱交換器53を通過した後に室内コンデンサ55を通過する。
そして、空調空気は、室内コンデンサ55を通過する際に室内コンデンサ55との間で熱交換され、空気吹出口57bを通って車室内に暖房として供給される。
なお、暖房運転において、室内コンデンサ55に加えて発熱部58(図1参照)を過熱させてもよい。また、暖房運転において、室内コンデンサ55に代えて発熱部58(図1参照)のみを過熱させることも可能である。
つぎに、車両用空調装置10の冷房運転モードを図3に基づいて説明する。
(冷房運転モード)
図3に示すように、車両用空調装置10によって冷房運転を行う場合には、第1導風手段54が、第2室内熱交換器53を通過した空調空気が室内コンデンサ55を迂回するよう冷却位置とされる。さらに、冷房用電磁弁23が開状態(第1膨張弁22が閉状態)とされ、三方弁25が室外熱交換器24と第2膨張弁27とを接続する状態とされる。なお、空調ユニット11は、図3の例では、DEFドア64が閉状態とされ、VENTドア63が開状態とされているが、これらの開閉は運転者の操作によって任意に変更することができる。
この場合、ヒートポンプサイクル12においては、圧縮機21から吐出された高温かつ高圧の冷媒が、室内コンデンサ55と冷房用電磁弁23を通過して、室外熱交換器24において車室外雰囲気へと放熱された後、第2膨張弁27に流入する。このとき、冷媒は、第2膨張弁27によって膨張させられて液相リッチの噴霧状とされ、つぎに、第2室内熱交換器53における吸熱によって空調ユニット11のダクト51内の空調空気を冷却する。
第2室内熱交換器53を通過した気相リッチの冷媒は、合流部33を通過して気液分離器26に流入し、気液分離器26において気液分離された後、気相の冷媒が圧縮機21に吸入される。
このように、冷媒流路31内を冷媒が流れる状況で、空調ユニット11のブロア52が駆動されると、空調ユニット11のダクト51内を空調空気が流れ、その空調空気が第2室内熱交換器53を通過する際に第2室内熱交換器53との間で熱交換される。その後、空調空気は、室内コンデンサ55を迂回した後、VENT吹出口(すなわち、空気吹出口)57aを通って車室内に冷房として供給される。
つぎに、車両用空調装置10の暖房運転モードにおいて蓄電装置16に回生電力を蓄える際に、蓄電装置16の残容量が所定値を超えないように車両用空調装置10で廃電制御を実施する例を図4〜図19に基づいて説明する。暖房運転モードにおける車両用空調装置10の廃電制御として第1〜第6の廃電制御が挙げられる。以下、第1〜第6の廃電制御を順に説明する。
まず、第1廃電制御として、車両用空調装置10の圧縮機21および第2導風手段28を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図4〜図6に基づいて説明する。
(第1廃電制御)
図5は、冷媒圧力―エンタルピ線図を示し、縦軸に冷媒圧力、横軸にエンタルピを示す。図5において、暖房運転モードおける廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1を実線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G1において、点A1→点B1は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B1→点C1は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C1→点D1は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D1→点A1は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
また、廃電制御後の冷媒圧力―エンタルピ線図G2を破線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G2において、点A2→点B1は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B1→点C1は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C1→点D2は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D2→点A2は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
図6は、車両用空調装置10の暖房運転範囲と等電力線との関係を示し、縦軸に冷媒流量、横軸に圧縮機の吐出/吸入圧力差を示す。図6において、車両用空調装置10の暖房運転範囲を線図G3で示し、等電力線を線図G4で示す。また、W1は廃電制御前における車両用空調装置10の消費電力を示す。W2は廃電制御後における車両用空調装置10の消費電力を示す。
図4に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第2導風手段28の通過風量を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも低下させるように第2導風手段28を制御する。
すなわち、第2導風手段28がコンデンサファンの場合、ファンの回転数を減速、または停止することにより、第2導風手段28の通過風量を低下させる。また、第2導風手段28がグリルシャッタの場合、グリルシャッタの隙間を小さく、またはグリルシャッタを閉じることにより、第2導風手段28の通過風量を低下させる。
第2導風手段28の通過風量を低下させることにより、室外熱交換器24の通過風量が低下する。このため、室外熱交換器24に流入した冷媒による吸熱が低下する。よって、室外熱交換器24から液相リッチの冷媒が気液分離器26を経て、気相の冷媒が圧縮機21に吸入される。
よって、図4、図5に示すように、廃電制御前に比べて圧縮機21の吸入冷媒圧力が低下し、廃電制御前と同じ暖房能力を得るためには吸入冷媒密度が薄くなり冷媒流量が低下する。すなわち、室外熱交換器の通過風量を低下させることにより、暖房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の暖房能力を得るためには、圧縮機21の回転数を増速させて冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、図4、図6に示すように、圧縮機21の消費電力をW1からW2まで増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第1廃電制御において、圧縮機21の消費電力W2が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力W2が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
つぎに、第2廃電制御として、車両用空調装置10の圧縮機21および第1導風手段54を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図7〜図9に基づいて説明する。
(第2廃電制御)
図8は、冷媒圧力―エンタルピ線図を示し、縦軸に冷媒圧力、横軸にエンタルピを示す。図8において、暖房運転モードおける廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1を実線で示す。廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1は、第1廃電制御の図5と同一線図である。
また、廃電制御後の冷媒圧力―エンタルピ線図G5を破線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G5において、点A1→点B2は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B2→点C2は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C2→点D1は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D1→点A1は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
図9は、線図G3、G4が第1廃電制御の図6と同一線図である。すなわち、図9は、車両用空調装置10の暖房運転範囲を線図G3で示し、等電力線を線図G4で示す。また、縦軸に冷媒流量、横軸に圧縮機の吐出/吸入圧力差を示す。図9において、W1は廃電制御前における車両用空調装置10の消費電力を示す。W3は廃電制御後における車両用空調装置10の消費電力を示す。
図7に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第1導風手段54を制御して第1導風手段54の通過風量を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも低下させる。第1導風手段54の通過風量を低下させることにより、室内コンデンサ55の通過風量が低下する。すなわち、車室内に暖房として供給される風量が低下する。よって、廃電制御前に比べて暖房運転の効率を低下させることができる。
この状態において、廃電制御前の暖房能力を得るためには、図7、図8に示すように、圧縮機21の回転数を増速させて冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、図7、図9に示すように、圧縮機21の消費電力をW1からW3まで増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第2廃電制御において、圧縮機21の消費電力W3が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力W3が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
ついで、第3廃電制御として、車両用空調装置10の圧縮機21および第1導風手段54に加えて第1膨張弁22を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図10〜図12に基づいて説明する。
(第3廃電制御)
第3廃電制御は、第2廃電制御に第1膨張弁22の制御を加えることにより車両用空調装置10の消費電力を増大させるものである。
図11は、冷媒圧力―エンタルピ線図を示し、縦軸に冷媒圧力を示し、横軸にエンタルピを示す。図11において、暖房運転モードおける廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1を実線で示す。廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1は、第1廃電制御の図5と同一である。
また、廃電制御後の冷媒圧力―エンタルピ線図G6を破線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G6において、点A1→点B3は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B3→点C3は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C3→点D1は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D1→点A1は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
図12は、線図G3、G4が第1廃電制御の図6と同一線図である。すなわち、図12は、車両用空調装置10の暖房運転範囲を線図G3で示し、等電力線を線図G4で示す。また、縦軸に冷媒流量、横軸に圧縮機の吐出/吸入圧力差を示す。図12において、W1は廃電制御前における車両用空調装置10の消費電力を示す。W4は廃電制御後における車両用空調装置10の消費電力を示す。
図10に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第2廃電制御と同様に第1導風手段54を制御して第1導風手段54の通過風量を低下させる。加えて、制御装置15は、第1膨張弁22の開度を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも減少させるように制御する。
第1膨張弁22の開度を減少させることにより、廃電制御前に比べて圧縮機21の吐出冷媒圧力が上昇する。よって、圧縮機21の圧縮効率が悪化して冷媒流量が低下し、暖房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の暖房能力を得るためには、図10、図11に示すように、圧縮機21の回転数を第2廃電制御より増速させて圧縮機21から吐出する冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、図10、図12に示すように、圧縮機21の消費電力をW1からW4まで増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第3廃電制御において、圧縮機21の消費電力W4が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力W4が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
また、第4廃電制御として、車両用空調装置10の圧縮機21および第1膨張弁22を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図13〜図15に基づいて説明する。
(第4廃電制御)
図14は、冷媒圧力―エンタルピ線図を示し、縦軸に冷媒圧力、横軸にエンタルピを示す。図14において、暖房運転モードおける廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1を実線で示す。廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1は、第1廃電制御の図5と同一である。
また、廃電制御後の冷媒圧力―エンタルピ線図G7を破線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G7において、点A3→点B1は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B1→点C1は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C1→点D3は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D3→点A3は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
図15は、線図G3、G4が第1廃電制御の図6と同一線図である。すなわち、図15は、車両用空調装置10の暖房運転範囲を線図G3で示し、等電力線を線図G4で示す。また、縦軸に冷媒流量、横軸に圧縮機の吐出/吸入圧力差を示す。図15において、W1は廃電制御前における車両用空調装置10の消費電力を示す。W5は廃電制御後における車両用空調装置10の消費電力を示す。
図13に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第1膨張弁22の開度を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも増加させるように第1膨張弁22を制御する。第1膨張弁22の開度を増加させることにより、第1膨張弁22の冷媒通過面積が増加する。よって、図13、図14に示すように、廃電制御前に比べて圧縮機21の吐出冷媒圧力が減少する。これにより、廃電制御前に比べて車両用空調装置10の暖房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の暖房能力を得るためには、室内コンデンサ55に供給する冷媒の圧力上昇が必要となる。すなわち、圧縮機21の回転数を増速させて圧縮機21から吐出する冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、図13、図15に示すように、圧縮機21の消費電力をW1からW5まで増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第4廃電制御において、圧縮機21の消費電力W5が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力W5が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
つぎに、第5廃電制御として、第4廃電制御の状態から第1膨張弁22の開度を全開に制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図16〜図18に基づいて説明する。
(第5廃電制御)
図17は、冷媒圧力―エンタルピ線図を示し、縦軸に冷媒圧力、横軸にエンタルピを示す。図17において、暖房運転モードおける廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1を実線で示す。廃電制御前の冷媒圧力―エンタルピ線図G1は、第1廃電制御の図5と同一である。
また、廃電制御後の冷媒圧力―エンタルピ線図G8を破線で示す。冷媒圧力―エンタルピ線図G8において、点A4→点B4は、圧縮機21における冷媒の状態変化を示す。点B4→点C4は、室内コンデンサ55における冷媒の状態変化を示す。点C4→点D4は、第1膨張弁22における冷媒の状態変化を示す。点D4→点A4は、室外熱交換器24における冷媒の状態変化を示す。
図18は、線図G3、G4が第1廃電制御の図6と同一線図である。すなわち、図18は、車両用空調装置10の暖房運転範囲を線図G3で示し、等電力線を線図G4で示す。また、縦軸に冷媒流量、横軸に圧縮機の吐出/吸入圧力差を示す。図18において、W1は廃電制御前における車両用空調装置10の消費電力を示す。W6は廃電制御後における車両用空調装置10の消費電力を示す。
図16に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第4廃電制御の状態から第1膨張弁22の開度を全開に制御する。第1膨張弁22の開度を全開させることにより、第1膨張弁22の冷媒通過面積が最大まで増加する。廃電制御前に比べて車両用空調装置10の暖房運転モードは、図17の線図G8に示すようにホットガス運転に遷移して室外熱交換器24による吸熱ができなくなる。すなわち、圧縮機21(図16参照)の仕事量が暖房能力に対して等価となる。
よって、図16、図17に示すように、車両用空調装置10の暖房を廃電制御前と同様に確保するためには、圧縮機21の回転数を第4廃電制御の状態より増加させる必要がある。圧縮機21の回転数を増加させることにより、圧縮機21から吐出する冷媒の吐出圧力が上昇するとともに、冷媒の流量が増加して、廃電制御前と同様の暖房を確保する。
一方、圧縮機21の回転数を第4廃電制御の状態より増加することにより、図16、図18に示すように、圧縮機21の消費電力をW1からW6まで増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第5廃電制御において、圧縮機21の消費電力W6が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力W6が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
ついで、第6廃電制御として、車両用空調装置10の第1〜第5の廃電制御のうち消費電力が小さいものから順に制御を実施することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図19のフローチャートに基づいて説明する。
(第6廃電制御)
第1〜第5の廃電制御の消費電力(すなわち、廃電量)W2〜W6を、例えば、
第1廃電量W2<第2廃電量W3<第3廃電量W4<第4廃電量W5<第5廃電量W6
とする。なお、第1〜第5の廃電量W2〜W6は電動車両Veの諸元などによって異なる。
図19に示すように、例えば、電動車両Veが暖房運転モードにおいて長い下り坂を走行中に、電動車両Veの制動時には、駆動輪の回転が電動機17の出力軸に伝達され、出力軸の回転により電動機17で電力が回生される。電動機17で回生された交流電流は、インバータで直流電流に変換される。変換された直流電流がインバータから蓄電装置16に供給され、蓄電装置16に蓄えられる。
この状態において、ステップS1において、制御装置15は、充電可能電力に基づいて、蓄電装置16の残容量が所定値以上(すなわち、廃電が必要)であるか否かを判定する。廃電不要と判定した場合には廃電制御を終了する。一方、廃電が必要と判定した場合には、ステップS2に進む。ステップS2において、車両用空調装置10が暖房運転モードであるか否かを判定する。
暖房運転モードではないと判定した場合には廃電制御を終了する。一方、暖房運転モードであると判定した場合には、ステップS3に進む。ステップS3において、第1廃電制御を実施する。すなわち、車両用空調装置10の圧縮機21および第2導風手段28を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力をW1からW2まで増加させる。
この状態において、ステップS4において、充電可能電力に基づいて蓄電装置16の残容量が所定値以上(すなわち、廃電が必要)であるか否かを判定する。廃電不要と判定した場合には廃電制御を終了する。一方、廃電が必要と判定した場合には、ステップS5に進む。ステップS5において、第2廃電制御を実施する。すなわち、車両用空調装置10の圧縮機21および第1導風手段54を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力をW2からW3まで増加させる。
この状態において、ステップS6において、充電可能電力に基づいて蓄電装置16の残容量が所定値以上(すなわち、廃電が必要)であるか否かを判定する。廃電不要と判定した場合には廃電制御を終了する。一方、廃電が必要と判定した場合には、ステップS7に進む。ステップS7において、第3廃電制御を実施する。すなわち、車両用空調装置10の圧縮機21および第1導風手段54に加えて第1膨張弁22を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力をW3からW4まで増加させる。
この状態において、ステップS8において、充電可能電力に基づいて蓄電装置16の残容量が所定値以上(すなわち、廃電が必要)であるか否かを判定する。廃電不要と判定した場合には廃電制御を終了する。一方、廃電が必要と判定した場合には、ステップS9に進む。ステップS9において、第4廃電制御を実施する。すなわち、車両用空調装置10の圧縮機21および第1膨張弁22を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力をW4からW5まで増加させる。
この状態において、ステップS10において、充電可能電力に基づいて蓄電装置16の残容量が所定値以上(すなわち、廃電が必要)であるか否かを判定する。廃電不要と判定した場合には廃電制御を終了する。一方、廃電が必要と判定した場合には、ステップS11に進む。ステップS11において、第5廃電制御を実施する。すなわち、第4廃電制御の状態から第1膨張弁22の開度を全開に制御することにより、車両用空調装置10の消費電力をW5からW6まで増加させる。このように、第1廃電制御〜第5廃電制御を消費電力の少ないものから多いものに向けて順次選択して実施することにより回生電力の過度な廃電を防止できる。
図19のステップS1〜ステップS11で説明したように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、電動機(走行用モータ)17による回生電力量の大きさに応じて車両用空調装置10を制御する。具体的には、圧縮機21の運転とともに第1膨張弁22、第2導風手段28、第1導風手段54を選択して制御する。よって、回生電力量に合せた暖房運転の効率を低下させることが可能になる。
このように、廃電電力量の異なる第1〜第5廃電制御を少ないものから順に行うことで、過度な廃電を防止しつつ廃電要求も満たすことができる。換言すれば、電動機17により回生された電力の過度な廃電を防止し、回生が終了した際のSOCの低下を防止しつつ、蓄電装置16の完全充電による回生不可(回生トルク不足)の状況になることを防止できる。
ここで、車両用空調装置10の除湿暖房運転モードを図20に基づいて説明する。
(除湿暖房運転モード)
図20に示すように、車両用空調装置10によって冷房運転を行う場合には、第1導風手段54は、第2室内熱交換器53を通過した空調空気が加熱経路を通過する加熱位置とされ、除湿用電磁弁34は開状態とされる。また、冷房用電磁弁23は閉状態とされる。
この場合、ヒートポンプサイクル12においては、圧縮機21から吐出された高温かつ高圧の冷媒は、室内コンデンサ55における放熱によってダクト51内の空調空気を加熱する。室内コンデンサ55を通過した冷媒のうち、一方の冷媒は室外熱交換器24に向けて流通し、他方の冷媒は除湿流路35内に流入する。
具体的に、一方の冷媒は、前述した暖房運転と同様に、第1膨張弁22によって膨張させられた後、室外熱交換器24において室外雰囲気から吸熱する。
また、他方の冷媒は、除湿流路35を経て第2膨張弁27に導かれ、第2膨張弁27によって膨張させられた後、第2室内熱交換器53において吸熱する。
一方の冷媒及び他方の冷媒は、合流部33において合流した後、気液分離器26内に流入し、気相の冷媒のみが圧縮機21に吸入される。
また、ダクト51内に流通した空調空気は、第2室内熱交換器53を通過する際に冷却される。このとき、第2室内熱交換器53を通過する空調空気は、露点以下まで冷却されることで、除湿される。その後、除湿された空調空気は、加熱経路を通過した後、空気吹出口57bを通って車室内に除湿暖房として供給される。
つぎに、車両用空調装置10の冷房運転モード、除湿暖房運転モードなどにおいて蓄電装置16に回生電力を蓄える際に、蓄電装置16の残容量が所定値を超えないように廃電制御を実施する例を図21〜図27および表1、表2に基づいて説明する。
まず、冷房運転モードにおける車両用空調装置10の廃電制御として第7〜第11の廃電制御が挙げられる。以下、第7〜第11の廃電制御を順に説明する。
第7廃電制御として、車両用空調装置10の冷房用電磁弁23を閉じ、第1膨張弁22を絞るように制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図21に基づいて説明する。
(第7廃電制御)
図21に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、圧縮機21の運転とともに冷房用電磁弁23を閉じ、さらに第1膨張弁22の流路抵抗を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも増加させるように制御する。
第7廃電制御においては、圧縮機21の運転中に蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第1膨張弁22を絞ることにより流路抵抗を増加させる。よって、廃電制御前に比べて圧縮機21から室外熱交換器24に至る流路抵抗が増加して圧力損失(摩擦損失)が増え、冷媒流路31内の冷媒循環量を減らすことができる。すなわち、車両用空調装置10の冷房運転もしくは除湿冷房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の冷房能力を得るためには、圧縮機21の回転数を増速させて冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、圧縮機21の消費電力を増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第7廃電制御において、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
圧縮機21の制御は、例えば、第2室内熱交換器53の温度が目標値となるように、第2室内熱交換器53に設けられた温度センサなどの情報を用いて制御する。
第1膨張弁22の絞り制御は、圧縮機21の吐出圧力の制約上限以内で、必要な廃電量に応じて絞ることができる。吐出圧力センサ37の目標値を、必要な廃電量に応じて設定する。
圧縮機21は、圧縮仕事の増加と、室外熱交換器24の出口エンタルピ増加による冷媒の必要流量増加、体積効率の低下による更なる回転数の上昇などにより仕事量(消費電力)が増加する。このとき、室内コンデンサ55の温度が上昇するので、例えば空気吹出口57aから吹出される吐気温(放熱熱量)を目標値とするため、第1導風手段54の開度を小さくする。増大した電力仕事は、主に、室外熱交換器24から熱エネルギとして放出される。なお、除湿冷房の場合の第1導風手段54の開度は冷房運転の場合よりも大きく全閉と全開の中間開度となる(不図示)。
つぎに、第8廃電制御として、車両用空調装置10の冷房用電磁弁23を開き、第2導風手段28を制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図22に基づいて説明する。
(第8廃電制御)
図22に示すように、前記制御装置は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、圧縮機21の運転とともに冷房用電磁弁23を開くように制御する。さらに、室外熱交換器24の通過風量を制御する第2導風手段28の通過風量を、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも低下させるように制御する。
すなわち、第2導風手段28がコンデンサファンの場合、ファンの回転数を減速、または停止することにより、第2導風手段28の通過風量を低下させる。
この場合、例えば第2導風手段28は、圧縮機21の吐出圧力の制約上限以内で、必要な廃電量に応じて減速することができる。吐出圧力センサ37の目標値は、必要な廃電量に応じて設定される。
また、第2導風手段28がグリルシャッタの場合、グリルシャッタの隙間を小さく、またはグリルシャッタを閉じることにより、第2導風手段28の通過風量を低下させる。
ここで、グリルシャッタを閉じた場合、走行車両への空気抵抗が減少するため、廃電量が増えても、車両が増速してブレーキフィーリングに違和感が発生する懸念がある。
そこで、グリルシャッタの作動前と同様の車両の減速フィールを得るために、グリルシャッタ動作をつぎの条件により判定する。すなわち、
(吐出圧力センサ37の吐出圧力)<(圧縮機21の上限吐出圧力)において、
(第8廃電制御による廃電可能電力)>(グリルシャッタ動作による回生電力減少量)
の関係が成立するとき、グリルシャッタ動作による回生電力減少量Xは、図23のグラフの特性により算出される。
図23のグラフにおいて、縦軸は空気抵抗の回生電力相当量(W)を示す。「空気抵抗の回生電力相当量(W)」とは、空気抵抗と同量の抵抗力を、回生によって与えた場合の回生電力である。横軸は車速(km/h)を示す。グラフG1〜G3はグリルシャッタの開度の大小を示す。
第2導風手段28の通過風量を低下させることにより、室外熱交換器24の通過風量を減らして室外熱交換器24の放熱量を減少させることができる。
ここで、室外熱交換器24には、冷房用電磁弁23を通過した冷媒が高温、高圧の状態で流入する。よって、室外熱交換器24の放熱量が減少することにより、冷媒の高温、高圧の状態が上昇する。よって、車両用空調装置10の冷房運転もしくは除湿冷房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の冷房能力を得るためには、圧縮機21の回転数を増速させて冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、圧縮機21の消費電力を増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第8廃電制御において、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
圧縮機21の制御は、例えば、第2室内熱交換器53の温度が目標値となるように、第2室内熱交換器53に設けられた温度センサなどの情報を用いて制御する。
圧縮機21は、圧縮仕事の増加と、室外熱交換器24の出口エンタルピ増加による冷媒の必要流量増加、体積効率の低下による更なる回転数の上昇などにより仕事量(消費電力)が増加する。このとき、室内コンデンサ55の温度が上昇するので、例えば空気吹出口57aから吹出される吐気温(放熱熱量)を目標値とするため、第1導風手段54の開度を小さくする。増大した電力仕事は、主に、室外熱交換器24から熱エネルギとして放出される。なお、除湿冷房の場合の第1導風手段54の開度は冷房運転の場合よりも大きく全閉と全開の中間開度となる(不図示)。
ついで、第9廃電制御として、車両用空調装置10の冷房用電磁弁23を開け、第2膨張弁27の開度を減少させるように制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図24に基づいて説明する。
(第9廃電制御)
図24に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、圧縮機21の運転とともに第2膨張弁27を絞るように制御する。第2膨張弁27を絞ることにより、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも、第2膨張弁27の開度を減少させる。
第9廃電制御においては、圧縮機21の運転中に蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、第2膨張弁27の開度を減少させる。よって、廃電制御前に比べて圧縮機21から室外熱交換器24に至る冷媒流路31内の冷媒循環量を減らすことができる。すなわち、車両用空調装置10の冷房運転もしくは除湿冷房運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の冷房能力を得るためには、圧縮機21の回転数を増速させて冷媒流量を増す必要がある。圧縮機21の回転数を増速することにより、圧縮機21の消費電力を増して車両用空調装置10の廃電量を確保できる。
これにより、第9廃電制御において、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
圧縮機21の制御は、例えば、第2室内熱交換器53の温度が目標値となるように、第2室内熱交換器53に設けられた温度センサなどの情報を用いて制御する。
第2膨張弁27の開度制御は、圧縮機21の吐出圧力の制約上限以内で、必要な廃電量に応じて減少させることができる。吐出圧力センサ37の目標値を、必要な廃電量に応じて設定する。
圧縮機21は、圧縮仕事の増加と、室外熱交換器24の出口エンタルピ増加による冷媒の必要流量増加、体積効率の低下による更なる回転数の上昇などにより仕事量(消費電力)が増加する。このとき、室内コンデンサ55の温度が上昇するので、例えば空気吹出口57aから吹出される吐気温(放熱熱量)を目標値とするため、第1導風手段54の開度を小さくする。増大した電力仕事は、主に、室外熱交換器24から熱エネルギとして放出される。なお、除湿冷房の場合の第1導風手段54の開度は冷房運転の場合よりも大きく全閉と全開の中間開度となる(不図示)。
また、第10廃電制御として、車両用空調装置10の切替手段59を車室外の空気を導入するように切り替えるように制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図25に基づいて説明する。
(第10廃電制御)
図25に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、切替手段59を車室外の空気を導入するように切り替えるように制御する。
例えば、切替手段59の内気ドア72で内気取込口56aを閉じた状態に切り替え、外気ドア73で外気取込口56bを開いた状態に切り替える。よって、車室外の温度の高い空気(すなわち、外気)75を外気取込口56bからダクト51内に導入できる。温度の高い外気75をダクト51内に導入することで、車両用空調装置10の運転の効率を低下させることが可能になる。
この状態において、廃電制御前の冷房能力を得るために、車両用空調装置10の冷房仕事を増加させて消費電力を増加させることができる。
これにより、第10廃電制御において、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
なお、第10廃電制御は冷房運転のみでなく、除湿冷房運転でもよい。除湿冷房の場合、第1導風手段54の開度は冷房運転の場合よりも大きく全閉と全開の中間開度となる(不図示)。
つぎに、第11廃電制御として、車両用空調装置10の第2室内熱交換器53の目標温度を低下させ、室内コンデンサ55の目標温度を上昇させるように制御することにより、車両用空調装置10の消費電力を増大させる例を図26に基づいて説明する。
(第11廃電制御)
図26に示すように、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、圧縮機21の運転とともに、第2室内熱交換器53の目標温度を、前記蓄電装置の残容量が所定値未満のときよりも低下させるように制御する。同時に、制御装置15は、室内コンデンサ55の目標温度を、前記蓄電装置の残容量が所定値未満のときよりも上昇させるように制御する。
このように、第2室内熱交換器53の目標温度を低下させることにより、車両用空調装置10の冷却仕事を増加させることができる。また、室内コンデンサ55の目標温度を上昇させることにより、車両用空調装置10の加熱仕事を増加させることができる。これにより、車両用空調装置10の運転効率を低下させて消費電力を増加させることができる。
また、第2室内熱交換器53で空気の温度を下げ、温度を下げた空気を室内コンデンサ55で再加熱することにより、廃電制御前の冷房能力を得ることができる。
廃電制御前の冷房能力を得た状態において、車両用空調装置10の消費電力を増加させることができる。これにより、第11廃電制御において、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
なお、第11廃電制御は冷房運転のみでなく、除湿冷房運転でもよい。除湿冷房の場合、第1導風手段54の開度は冷房運転の場合よりも大きく全閉と全開の中間開度となる(不図示)。
ここで、例えば、室内コンデンサ55の加熱量が多すぎるときには、第1導風手段54を閉じる方向に移動させて、廃電制御前の冷房能力を得ることができる。
一方、第2室内熱交換器53の冷却量が多すぎるときには、第1導風手段54を開く方向に移動させて、廃電制御前の冷房能力を得ることができる。
また、第2室内熱交換器53の温度下げ幅を調整することにより、消費電力の増加量を調整できる。
なお、図20に記載の除湿暖房運転もしくは、図2に記載の暖房運転を行っているときに、目標とする吐気温が所定値以下の場合は、第7〜第11の廃電制御における除湿冷房運転に切り替えることが可能である。吐気温の所定値は外気温、ブロワ電圧ごとに設定することで精度が向上し、より広い目標吐気温範囲で切替が可能となる。
つぎに、除湿暖房運転モードにおける車両用空調装置10の廃電制御について説明する。図20に示す除湿暖房運転モードにおいて廃電制御を実施する場合には、冷房運転モードに切り替えて、冷房運転モードで説明した図21〜図26に示す第7〜第11の廃電制御を実施する。
このように、冷房運転モード、除湿運転(除湿冷房、除湿冷房)モードなどにおいて、廃電制御を実施することにより、車両用空調装置10による冷凍サイクルの効率を悪化させて、車両用空調装置10の消費電力を増加させるようにした。これにより、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、圧縮機21の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
つぎに、蓄電装置16に対する過充電防止に必要な消費電力の増加量(廃電量)に応じて第7〜第11の廃電制御を組み合わせて実施する例を図27、表1、表2に基づいて説明する。
図27は、圧縮機21の吸込/吐出圧力差と空気側負荷(空調負荷)とに対する消費電力の関係を示す。図27は、縦軸に空気側負荷(W)を示し、横軸に圧縮機21の吸込/吐出圧力差ΔP(kPa)を示す。また、冷房運転範囲を線図G1で示し、消費電力を等電力線G2で示す。
等電力線G2のうち、等電力線G2aが目標消費電力(すなわち、目標廃電量)を示し、等電力線G2bが最大消費電力(すなわち、最大廃電量)を示す。
図27の線図の特性を把握することにより、蓄電装置16に対する過充電防止に必要な電力増加量(廃電量)に応じて、第7〜第11の廃電制御を適宜組み合わせることが可能になる。第7〜第11の廃電制御を組み合わせる際には、第7〜第11の廃電制御における廃電量のコントロール性能も考慮することが好ましい。
ここで、図27の線図に示す消費電力は、第2室内熱7〜第11の廃電制御を組み合わせる際の精度が一層向上する。
第7〜第11の廃電制御おいて複数の組合わせが存在する場合には、第一〜第五の条件などの制約条件に基づいて廃電制御の優先順位を決めて選択することが好ましい。
第一条件は、消費電力を増加する際の応答性を優先する廃電制御である。
第二条件は、耐久性への影響を優先する廃電制御である。
第三条件は、騒音/振動(NV)への影響を優先する廃電制御である。
第四条件は、AC温度変化を優先する廃電制御である。
第五条件は、AC違和感を優先する廃電制御である。
「AC温度変化」とは、吐気温の変化や、変化が連続する変動をいう。「AC違和感」とは、温度変化以外の、車両用空調装置10に由来する臭いや、吹出し口間の吐気温の差異、風量の変化変動などをいう。
第一〜第五の条件の優先判断や順位は、例えば次のように設定される。
すなわち、第一〜第五の条件の優先順位は、その時々でどの優先条件が満たされているかで決まる。特に、優先されるべき条件が成立していない、または複数が優先されるべき条件を満たした場合は、表1に予め設定された「A〜E」の優先順位により判断される。「優先される条件」は表1に示す。
すなわち、蓄電装置16に対する過充電を抑制する際に、消費電力の増加を迅速に対応させたい場合には、表1の「優先される条件」を考慮して第一条件の廃電制御を選択する。また、蓄電装置16に対する過充電を防止する際に、車両用空調装置10の耐久性に対して影響を抑えたい場合には、表1の「優先される条件」を考慮して第二条件の廃電制御を選択する。さらに、蓄電装置16に対する過充電を防止する際に、車両用空調装置10(すなわち、電動車両Ve)に対する騒音/振動(以下、NVという)の影響を抑えたい場合には、表1の「優先される条件」を考慮して第三条件の廃電制御を選択する。
また、蓄電装置16に対する過充電を防止する際に、車両用空調装置10による冷房、除湿に対する温度変化の影響を抑えたい場合には、表1の「優先される条件」を考慮して第四条件の廃電制御を選択する。さらに、蓄電装置16に対する過充電を防止する際に、車両用空調装置10による冷房、除湿に対する違和感の影響を抑えたい場合には、表1の「優先される条件」を考慮して第五条件の廃電制御を選択する。
ここで、第7〜第11の廃電制御の選択は、それぞれの廃電制御の組合わせも含めて、図27の線図に示す圧縮機21の吸込/吐出圧力差と空気側負荷(空調負荷)とに対する消費電力特性に応じて、必要な廃電量に見合うように選択することが好ましい。
例えば、第7〜第11の廃電制御のうち、第7〜第9の廃電制御を実施することにより、廃電制御後の消費電力W2を、廃電制御前の消費電力W1から目標廃電量まで増加させることができる。また、第10、第11の廃電制御を実施することにより、廃電制御後の消費電力W3を、廃電制御前の消費電力W1から目標廃電量まで増加させることができる。
さらに、第7〜第11の廃電制御を実施することにより、廃電制御後の消費電力W4を、廃電制御前の消費電力W1から最大廃電量まで増加させることができる。
また、第7〜第11の廃電制御のうちから選択した廃電制御を実施し、第10、第11の廃電制御のうちから選択した廃電制御を実施することにより、廃電制御後の消費電力W5を、廃電制御前の消費電力W1から目標廃電量まで増加させることができる。
つぎに、第一条件〜第五条件の各条件を満たすように、第7〜第11の廃電制御のうちから好ましい廃電制御を選択例を表2に基づいて説明する。廃電制御を選択する性能レベルとして、表2に「Aa」〜「Ae」、「Ba」〜「Be」、「Ca」〜「Ce」、「Da」〜「De」、「Ea」〜「Ee」を示す。
表2に示す「Aa」〜「Ae」、「Ba」〜「Be」、「Ca」〜「Ce」、「Da」〜「De」、「Ea」〜「Ee」の良順は、車両の諸元により順番が変わる。例えば、第一条件を実施する場合、第一条件のなかで消費電力の少ないものから順に廃電制御として実施する。
一例として、消費電力量が、Aa<Ab<Ac<Ad<Aeの場合には、消費電力量が少ない「Aa」から順に廃電制御を実施する。
ここで、車両などの状況に応じて実施できる廃電制御は異なる。例えば、第一条件で廃電制御を実施するときの消費電力量が、Aa<Ab<Ac<Ad<Aeを満たしたとしても、「Ac」と「Ae」との廃電制御が実施できない場合が考えられる。この場合には、「Aa」、「Ab」、「Ad」のうちから消費電力量が少ない廃電制御を順に選択して実施する。
以下、第一条件〜第五条件の各条件を満たすように、第7〜第11の廃電制御のうちから好ましい廃電制御を選択する優先順位を表2に基づいて説明する。
まず、表2に基づいて、第一条件を考慮して廃電制御を実施する例について説明する。例えば、第一条件の性能レベルの消費電力量がAa<Ab<Ac<Ad<Aeを満たし、かつ、「Aa」〜「Ae」の廃電制御を実施できる場合において、応答性に最も優れた消費電力を確保したいときには、「Aa」の番号の第7廃電制御を選択する。第7廃電制御のつぎに優れた消費電力を確保したい場合には、「Ab」の番号の第8廃電制御を選択する。第8廃電制御のつぎに優れた消費電力を確保したい場合には、「Ac」の番号の第9廃電制御を選択する。第9廃電制御のつぎに優れた消費電力を確保したい場合には、「Ad」の番号の第10廃電制御を選択する。第10廃電制御のつぎに優れた消費電力を確保したい場合には、「Ae」の番号の第11廃電制御を選択する。
つぎに、第二条件を考慮して廃電制御を実施する例について説明する。例えば、第二条件の性能レベルの消費電力量がBa<Bb<Bc<Bd<Beを満たし、かつ、「Ba」〜「Be」の廃電制御を実施できる場合において、耐久性に対する影響を最も少なくしたいときには、「Ba」の番号の第7廃電制御を選択する。第7廃電制御のつぎに耐久性に対する影響を少なくしたい場合には、「Bb」の番号の第8廃電制御を選択する。第8廃電制御のつぎに耐久性に対する影響を少なくしたい場合には、「Bc」の番号の第9廃電制御を選択する。第9廃電制御のつぎに耐久性に対する影響を少なくしたい場合には、「Bd」の番号の第10廃電制御を選択する。第10廃電制御のつぎに耐久性に対する影響を少なくしたい場合には、「Be」の番号の第11廃電制御を選択する。
ついで、第三条件を考慮して廃電制御を実施する例について説明する。例えば、第三条件の性能レベルの消費電力量がCa<Cb<Cc<Cd<Ceを満たし、かつ、「Ca」〜「Ce」の廃電制御を実施できる場合において、NVに対する影響を最も少なくしたいときには、「Ca」の番号の第7廃電制御を選択する。第7廃電制御のつぎにNVに対する影響を少なくしたい場合には、「Cb」の番号の第8廃電制御を選択する。第8廃電制御のつぎにNVに対する影響を少なくしたい場合には、「Cc」の番号の第9廃電制御を選択する。第9廃電制御のつぎにNVに対する影響を少なくしたい場合には、「Cd」の番号の第10廃電制御を選択する。第10廃電制御のつぎにNVに対する影響を少なくしたい場合には、「Ce」の番号の第11廃電制御を選択する。
つぎに、第四条件を考慮して廃電制御を実施する例について説明する。例えば、第四条件の性能レベルの消費電力量がDa<Db<Dc<Dd<Deを満たし、かつ、「Da」〜「De」の廃電制御を実施できる場合において、温度変化を最も少なくしたいときには、「Da」の番号の第7廃電制御を選択する。第7廃電制御のつぎに温度変化を少なくしたい場合には、「Db」の番号の第8廃電制御を選択する。第8廃電制御のつぎに温度変化を少なくしたい場合には、「Dc」の番号の第9廃電制御を選択する。第9廃電制御のつぎに温度変化を少なくしたい場合には、「Dd」の番号の第10廃電制御を選択する。第10廃電制御のつぎに温度変化を少なくしたい場合には、「De」の番号の第11廃電制御を選択する。
ついで、第五条件を考慮して廃電制御を実施する例について説明する。例えば、第五条件の性能レベルの消費電力量がEa<Eb<Ec<Ed<Eeを満たし、かつ、「Ea」〜「Ee」の廃電制御を実施できる場合において、違和感を最も少なくしたいときには、「Ea」の番号の第7廃電制御を選択する。第7廃電制御のつぎに違和感を少なくしたい場合には、「Eb」の番号の第8廃電制御を選択する。第8廃電制御のつぎに違和感を少なくしたい場合には、「Ec」の番号の第9廃電制御を選択する。
第9廃電制御のつぎに違和感を少なくしたい場合には、「Ed」の番号の第10廃電制御を選択する。第10廃電制御のつぎに違和感を少なくしたい場合には、「Ee」の番号の第11廃電制御を選択する。
このように、第7〜第11の廃電制御を、表2に示す第一条件〜第五条件を考慮して選択することにより、各条件を満たすような廃電制御が可能になる。
つぎに、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、車両用空調装置10の所定温度を境に、第1運転と第2運転とを切り替えることにより車両用空調装置10の廃電を制御する例を図1、図28に基づいて説明する。
図28は、車両用空調装置10を所定温度T3において第1運転と第2運転とに切り替える制御状態を示すイメージ図である。図28において、縦軸は車両用空調装置10の消費電力、空調能力を示し、横軸は車両用空調装置10の温度を示す。
グラフG1は車両用空調装置10による暖房能力を示す。グラフG2は廃電制御前の車両用空調装置10による暖房運転の暖房消費電力を示す。図28においては、暖房能力を暖房消費電力で除した暖房COP(Coefficient of Performance)を、例えば暖房COP=2として説明する。
グラフG3は車両用空調装置10による冷房能力を示す。グラフG4は廃電制御前の車両用空調装置10による冷房運転の冷房消費電力を示す。図28においては、冷房能力を冷房消費電力で除した冷房COPを、例えば冷房COP=2として説明する。
ここで、所定温度T3は、第1所定温度T1と第2所定温度T2とを含む。第2所定温度T2は、第1所定温度T1よりも高い温度である。換言すれば、所定温度T3には、第1所定温度T1と第2所定温度T2とが含まれる。第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差はS1である。
第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1は、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときより、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときの方が大きくなるように制御装置15によって制御される。
第1所定温度T1と第2所定温度T2とにより温度差S1が確保されている。第1所定温度T1と第2所定温度T2との間において、車両用空調装置10の暖房能力をグラフG5で示し、車両用空調装置10の暖房消費電力をグラフG6で示す。また、冷房能力をグラフG7で示し、冷房消費電力をグラフG8で示す。
第1所定温度T1と第2所定温度T2との範囲において、車両用空調装置10の暖房電力および冷房電力の合計消費電力をグラフG9で示す。
領域E1は、図4〜図19に示す暖房運転の第1廃電制御〜第6廃電制御で暖房効率を低下させることにより得られる車両用空調装置10の廃電電力量を示す。領域E2は、図21〜図26に示す冷房運転の第7廃電制御〜第11廃電制御で冷房効率を低下させることにより得られる廃電電力量を示す。
また、グラフG10は、第1室内熱交換器61の発熱部58の暖房消費電力を示す。グラフG11は、発熱部58の暖房消費電力および冷房消費電力の合計消費電力を示す。
車両用空調装置10は、第1所定温度T1未満において暖房運転を実施し、第2所定温度T2以上において冷房運転を実施する。また、車両用空調装置10は、第1所定温度T1および第2所定温度T2間の範囲において、暖房運転と冷房運転とを併用する運転が可能である。あるいは、第1所定温度T1および第2所定温度T2間の範囲において、除湿暖房運転と除湿冷房運転とを併用する運転が可能である。
第1所定温度T1、第2所定温度T2としては、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときには、例えばT1=0℃、T2=30℃が挙げられるが、その他の温度に設定してもよい。
つぎに、電動車両Veのユーザが要求する所定温度(車室内温度)T3に第1所定温度T1と第2所定温度T2とが含まれる状態において、車両用空調装置10の廃電制御を実施する例を図1、図28に基づいて説明する。
まず、車両用空調装置10の運転状態において、電動車両Veのユーザが要求する所定温度T3が第1所定温度T1以上、第2所定温度T2未満のときに廃電制御を実施する例を説明する。
図1、図28に示すように、制御装置15は、車両用空調装置10の運転状態において、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、所定温度T3を境に、冷房運転(すなわち、第1運転)と暖房運転(すなわち、第2運転)とに切り替えるように制御する。
所定温度T3とは、第1所定温度T1と第2所定温度T2との範囲内で設定され、冷房運転による廃電制御と、暖房運転による廃電制御とで消費電力の大小関係が入れ替わる温度をいう。所定温度T3は、例えば、電動車両Veのユーザが要求する車室内温度である。所定温度T3としては、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときには、例えば20℃が挙げられるが、外気温度などの環境温度に対応させて他の温度に設定してもよい。
なお、実施形態においては、所定温度T3として、ユーザが要求する車室内温度を例に説明したが、これに限らない。その他の例として、所定温度T3を外気温や車室内温度(ユーザの要求が含まれない)とすることも可能である。
この状態において、第1膨張弁22の減圧量に対する第2膨張弁27の減圧量の比を切り替えることにより、第1運転と第2運転とに切り替える。
一例として、冷房運転においては、図1に示す第2膨張弁27による減圧量が第1膨張弁22による減圧量よりも多くなるように切り替えられる。この切替状態には、第1膨張弁22が冷媒を減圧しない状態に切り替えられ、第2膨張弁27が冷媒を減圧するように切り替えられる状態を含む。あるいは、第1膨張弁22が冷媒を微小減圧する状態に切り替えられ、第2膨張弁27が冷媒を減圧するように切り替えられる状態を含む。
また、暖房運転においては、図1に示す第1膨張弁22による減圧量が第2膨張弁27による減圧量よりも多くなるように切り替えられる。この切替状態には、第2膨張弁27が冷媒を減圧しない状態に切り替えられ、第1膨張弁22が冷媒を減圧する状態に切り替えられる状態を含む。あるいは、第2膨張弁27が冷媒を微小減圧する状態に切り替えられ、第1膨張弁22が冷媒を減圧する状態に切り替えられる状態を含む。
なお、第1膨張弁22の減圧量に対する第2膨張弁27の減圧量の比を切り替えるという状態には、第1膨張弁22の減圧量と第2膨張弁27の減圧量との大小関係は変わらないまま運転状態が変更となった場合を含む。
ここで、例えば、暖房運転において、所定温度T3を境に、冷房運転に切り替えることにより暖房効率を低下させることができる。これにより、暖房運転において、廃電制御前と同等の暖房能力(グラフG5参照)を得るために、車両用空調装置10の消費電力(グラフG9参照)を増加させることができる。
一方、例えば、冷房運転において、所定温度T3を境に、暖房運転に切り替えることにより冷房効率を低下させることができる。これにより、冷房運転において、廃電制御前と同等の冷房能力(グラフG7参照)を得るために、車両用空調装置10の消費電力(グラフG9参照)を増加させることができる。
このように、車両用空調装置10の消費電力(グラフG9参照)を増加させた状態において、車両用空調装置10の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、車両用空調装置10の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
また、制御装置15は、電動車両Veのユーザが要求する車室内温度T3が、第1所定温度T1以上、第2所定温度T2未満のときは暖房運転と冷房運転との同時の実施が可能である。具体的には、制御装置15は、第1室内熱交換器61の発熱部58を加熱する暖房運転と、第2膨張弁27で冷媒を減圧する冷房運転とを同時に実施するように制御することが可能である。
この場合、発熱部58を加熱する暖房運転において、第2膨張弁27で冷媒を減圧する冷房運転を同時に実施することにより、暖房運転における暖房効率を低下させることができる。よって、廃電制御中の暖房運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、車両用空調装置10の消費電力(グラフG11参照)を増加させることができる。
一方、第2膨張弁27で冷媒を減圧する冷房運転において、発熱部58を加熱する暖房運転を同時に実施することにより、冷房運転における冷房効率を低下させることができる。よって、廃電制御中の冷房運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、車両用空調装置10の消費電力(グラフG11参照)を増加させることができる。
さらに、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときは、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときよりも冷媒回路13の動作効率を低下させることが可能である。
具体的には、冷媒回路13の動作効率として、図4〜図19に示す暖房運転における第1廃電制御〜第6廃電制御が挙げられる。第1廃電制御〜第6廃電制御を実施することにより、暖房運転において暖房効率を低下させることができる。
また、冷媒回路13の動作効率として、図21〜図26に示す冷房運転における第7廃電制御〜第11廃電制御が挙げられる。第7廃電制御〜第11廃電制御を実施することにより、冷房運転において冷房効率を低下させることができる。
これにより、暖房運転や冷房運転において、廃電制御前と同等の効率を得るために、車両用空調装置10の消費電力を増加させることができる。
つぎに、車両用空調装置10の運転状態において、電動車両Veのユーザが要求する所定温度(車室内温度)が、第1所定温度T1未満、第2所定温度T2以上のときに廃電制御を実施する例を説明する。
制御装置15は、電動車両Veのユーザが要求する車室内温度が、第1所定温度T1未満のときは暖房運転を実施するように制御する。暖房運転を実施することにより、第1室内熱交換器61を加熱するように制御する。
具体的には、暖房運転として、第1膨張弁22で冷媒を減圧させて第1室内熱交換器61の室内コンデンサ55を加熱し、かつ、第1室内熱交換器61の発熱部58を加熱する運転を実施する。あるいは、暖房運転として、第1膨張弁22で冷媒を減圧させて室内コンデンサ55を加熱する運転と、発熱部58を加熱する運転との一方を実施する。
一方、制御装置15は、第2所定温度T2以上のときは冷房運転を実施するように制御する。具体的には、冷房運転として、第2膨張弁27で冷媒を減圧する運転を実施する。
よって、第1所定温度T1および第2所定温度T2の温度差S1の範囲外においては、ユーザの要求を優先して冷房運転や暖房運転を実施できる。これにより、車室内温度をユーザの要求に対応させることが可能になり、車両用空調装置10の商品性を確保(維持)できる。
ついで、電動車両Veの運転状態において、蓄電装置16の残容量が所定値未満の場合、蓄電装置16の残容量が所定値以上の場合に、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を制御する例について説明する。
ここで、第1所定温度T1未満において暖房運転を実施し、第2所定温度T2以上において冷房運転を実施することにより、それぞれの運転において暖房効率、冷房効率を高め、車両用空調装置10の消費電力を減少させることができる。
そこで、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときには、第1所定温度S1と第2所定温度T2との温度差S1を小さくして、冷房運転と暖房運転とを併用する範囲を狭くするように制御した。よって、暖房運転のみや冷房運転のみへの移行を容易にして、暖房運転のみや冷房運転のみを実施する頻度を多く確保できるようにした。これにより、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときには、車両用空調装置10の暖房効率、冷房効率を高めて、車両用空調装置10の消費電力を減少させることができる。
一方、制御装置15は、前述したように、第1所定温度T1および第2所定温度T2の温度差S1の範囲内において冷房運転と暖房運転とを併用するように制御する。冷房運転と暖房運転とを併用することにより、冷房運転中の冷房効率を低く抑え、暖房運転中の暖房効率を低く抑えることができる。よって、車両用空調装置10の消費電力(グラフG9参照)を増加させることができる。
そこで、制御装置15は、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときには、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を大きくして、冷房運転と暖房運転とを併用する範囲を広くするように制御した。よって、暖房運転のみや冷房運転のみへ移行し難くして冷房運転と暖房運転とを併用する頻度を多く確保できるようにした。これにより、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときには、車両用空調装置10の暖房効率、冷房効率を低く抑えて、車両用空調装置10の消費電力を増加させることができる。
このように、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときより、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときに、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を大きくするようにした。これにより、蓄電装置16の残容量が所定値未満のときと、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときと、に対応させて、車両用空調装置10における消費電力を自在にコントロールできる。
また、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときには、蓄電装置16の残容量の増加、減少に対応させて、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を漸次変化させるように構成することも可能である。
例えば、蓄電装置16の残容量の増加に対応させて、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を漸次大きくできる。また、蓄電装置16の残容量の減少に対応させて、第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1を漸次小さくできる。
よって、蓄電装置16の残容量が所定値以上のときに、蓄電装置16の残容量の増加、減少に対応させて、第1運転と第2運転とを併用する範囲を変化させることができる。これにより、残容量の増加、減少に対応させて空調効率を効率よく低く抑え、空調装置の消費電力を増加させることができる。
ところで、図28に示す第1所定温度T1と第2所定温度T2との温度差S1の範囲において、車両用空調装置10による除湿冷房運転(すなわち、第1運転)と、除湿暖房運転(すなわち、第2運転)とを切り替えることが可能である。よって、蓄電装置16の残容量が所定値以上のとき、除湿冷房運転と除湿暖房運転とを切り替えることにより、車両用空調装置10の消費電力を増加させることが可能である。
すなわち、例えば、除湿暖房運転において、所定温度T3を境に、除湿冷房運転に切り替えることにより除湿暖房効率を低下させることができる。これにより、除湿暖房運転において、廃電制御前と同等の除湿暖房能力を得るために、車両用空調装置10の消費電力を増加させることができる。
一方、例えば、除湿冷房運転において、所定温度T3を境に、除湿暖房運転に切り替えることにより除湿冷房効率を低下させることができる。これにより、除湿冷房運転において、廃電制御前と同等の除湿冷房能力を得るために、車両用空調装置10の消費電力を増加させることができる。
このように、車両用空調装置10の消費電力を増加させた状態において、車両用空調装置10の消費電力が、電動機17による発電電力よりも大きい場合には、蓄電装置16への過充電を防止できる。また、車両用空調装置10の消費電力が、電動機17による発電電力よりも小さい場合には、蓄電装置16の残容量の増加スピードを低下させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、電動車両として電気自動車を例示したが、これに限らない。その他の車両として、例えばハイブリッド自動車、燃料電池自動車などに本発明を適用してもよい。
また、前記実施形態では、所定温度T3として、ユーザが要求する車室内温度を例に説明したが、これに限らない。その他の例として、所定温度T3を外気温や車室内温度(ユーザの要求が含まれない)とすることも可能である。
よって、例えば、外気温が第1所定温度未満のときは、第1膨張弁22の減圧による第2運転(すなわち、暖房運転)を実施して、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことができる。また、外気温が第2所定温度以上のときは、第2膨張弁27の減圧による第1運転(すなわち、冷房運転)を実施して、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことができる。これにより、外気温に対応させて室内温度を好適に保つことが可能になり、電動車両Veの商品性を確保(維持)できる。
また、車室内温度が第1所定温度未満のときは、第1膨張弁22の減圧による第2運転を実施して車室内温度を好適に保つことができる。また、車室内温度が、第2所定温度以上のときは、第2膨張弁27の減圧による第1運転を実施して車室内温度を好適に保つことができる。これにより、車室内温度を好適に保つことが可能になり、電動車両の商品性を確保(維持)できる。
さらに、前記実施形態では、ユーザが要求する車室内温度T3が第1所定温度T1以上、第2所定温度T2未満のとき、暖房運転と冷房運転とを同時に実施する際に、暖房運転を第1室内熱交換器61の発熱部5の加熱で行う例に説明したが、これに限らない。
その他の例として、第1室内熱交換器61の室内コンデンサ55を加熱する構成とすることも可能である。
Ve…電動車両(車両)
10…車両用空調装置
11…空調ユニット
12…ヒートポンプサイクル
13…冷媒回路
15…制御装置
16…蓄電装置(バッテリ)
17…電動機(走行用モータ)
21…圧縮機(コンプレッサ)
22…第1膨張弁(暖房用減圧弁)
24…室外熱交換器
28…第2導風手段(ファン)
31…冷媒流路
53…第2室内熱交換器(エバポレータ)
54…第1導風手段(エアミックスドア)
55…室内コンデンサ
58…発熱部
61…第1室内熱交換器

Claims (8)

  1. 電動機と、
    前記電動機と電気的に接続される蓄電装置と、
    前記電動機と前記蓄電装置とを制御する制御装置を備える電動車両において、
    吸引した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
    前記冷媒を外気と熱交換する室外熱交換器と、
    前記圧縮機と前記室外熱交換器との間に配置され、前記冷媒と内気とを熱交換する第1室内熱交換器と、
    前記第1室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に配置され、前記冷媒を減圧可能な第1膨張弁と、
    前記室外熱交換器と前記圧縮機との間に配置され、前記冷媒を減圧可能な第2膨張弁と、
    前記第2膨張弁と前記圧縮機との間に配置され、前記冷媒と内気とを熱交換する第2室内熱交換器と、
    を有する冷媒回路を備え、
    前記制御装置は、前記蓄電装置の残容量が所定値以上のとき、所定温度を境に、
    前記第1膨張弁の減圧量に対する前記第2膨張弁の減圧量の比を切り替えることを特徴とする電動車両。
  2. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記制御装置は、前記電動車両のユーザが要求する車室内温度が、前記第1所定温度以上、前記第2所定温度未満のときは、前記第1室内熱交換器の加熱と、前記第2膨張弁による減圧と、を同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の電動車両。
  3. 前記制御装置は、前記残容量が所定値以上のときは、前記残容量が所定値未満のときよりも前記冷媒回路の動作効率を低下させることを特徴とする請求項2に記載の電動車両。
  4. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記制御装置15は、前記電動車両のユーザが要求する車室内温度が、
    前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、
    前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動車両。
  5. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記制御装置15は、前記電動車両の外気温が、
    前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、
    前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動車両。
  6. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記制御装置15は、前記電動車両の車室内温度が、
    前記第1所定温度未満のときは前記第1膨張弁による減圧を行い、
    前記第2所定温度以上のときは前記第2膨張弁による減圧を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動車両。
  7. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記残容量が所定値以上のときの前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差と、
    前記残容量が所定値未満のときの前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差とは、
    前記残容量が所定値以上のときの方が大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両。
  8. 前記所定温度には、第1所定温度と、前記第1所定温度よりも高い第2所定温度とが含まれ、
    前記残容量が前記所定値以上のとき、前記残容量の増加に基づいて前記第1所定温度と前記第2所定温度との温度差が大きくなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動車両。
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