JP2019089167A - 切削装置及び切削加工方法 - Google Patents

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孝幸 東
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【課題】曲率が変化する曲面を有する工作物の切削加工を行うにあたり、工作物の面性状の向上を図ることができる切削装置及び切削加工方法を提供すること。【解決手段】外周面をすくい面53とする環状の切れ刃55を有する環状工具50を第一軸線周りに回転可能に保持する工具保持装置30と、曲率が変化する曲面を有する工作物Wを保持する工作物保持装置10と、工作物にW対する環状工具50の相対な移動又は相対的な姿勢の変化を行う工具変位装置40と、を備える。工具変位装置40は、環状工具50による工作物Wの加工時に、環状工具50の端面と工作物Wとがなす逃げ角θが所定の角度以上となるように、工作物Wに対する環状工具50の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う変位制御部140を備える、切削装置1。【選択図】図5

Description

本発明は、切削装置及び切削加工方法に関する。
特許文献1には、外周面をすくい面とする環状の切れ刃を有する環状工具を回転させながら、円筒状の工作物に対する切削加工を行う技術が知られている。この環状工具を用いた切削加工では、環状工具を回転させながら切削加工を行うことにより、切れ刃に発生する切削熱を外周面全周に分散し、工具寿命の向上を図ることができる。
特開2017−7033号公報
曲率が変化する曲面を有する工作物の切削加工に上記技術を用いた場合、環状工具と工作物とがなす逃げ角は、環状工具及び工作物の回転に伴って変動する。逃げ角が過度に小さくなると、環状工具の端面が工作物の加工面に干渉するおそれがあるのに対し、逃げ角が過度に大きくなると、環状工具の振動が加工面に転写されやすくなる。これにより、工作物の面性状が悪くなったり、環状工具に加わる負荷が大きくなる等の不具合が生じる。
本発明は、曲率が変化する曲面を有する工作物の切削加工を行うにあたり、工作物の面性状の向上を図ることができる切削装置及び切削加工方法を提供することを目的とする。
本発明の切削装置は、外周面をすくい面とする環状の切れ刃を有する環状工具を第一軸線周りに回転可能に保持する工具保持装置と、曲率が変化する曲面を有する工作物を保持する工作物保持装置と、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う工具変位装置と、を備える。前記工具変位装置は、前記環状工具による前記工作物の加工時に、前記環状工具の端面と前記工作物とがなす逃げ角が所定の角度以上となるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う変位制御部を備える。
本発明の切削装置によれば、変位制御部は、逃げ角が所定の角度以上となるように、工作物に対する環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う。これにより、切削装置は、切削加工を行う際に、環状工具と工作物との干渉を回避することができるので、工作物の面性状の向上を図ることができると共に、環状工具に加わる負荷を軽減できる。
本発明の切削加工方法は、外周面をすくい面とする環状の切れ刃を有する環状工具を用いて、曲率が変化する曲面を有する工作物の切削加工を行う切削加工方法であって、前記環状工具による前記工作物の加工時に、前記環状工具の端面と前記工作物とがなす逃げ角が所定の角度以上となるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う。
本発明の切削加工方法は、逃げ角が所定の角度以上となるように、工作物に対する環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う。これにより、切削加工方法は、切削加工を行う際に、環状工具と工作物との干渉を回避することができるので、工作物の面性状の向上を図ることができると共に、環状工具に加わる負荷を軽減できる。
本発明の第一実施形態における切削装置の全体構成を示す平面図である。 図1AのIB−IB線における切削装置の断面図である。 工具保持装置に保持された環状工具及び工作物の拡大図であり、環状工具の切れ刃と工作物とが接触した状態を示す。 制御装置のブロック図である。 切削点がP0であるときの切削点の位置と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP1であるときの切削点の位置と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP2であるときの切削点の位置と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP3であるときの切削点の位置と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP4であるときの切削点の位置と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 工作物に対する切削加工の経過時間と、工作物のAw軸周りの回転角度及び逃げ角の変化との関係を示すグラフである。 第二実施形態における切削装置の断面図であり、図1Bに対応する。 制御装置のブロック図である。 切削点がP0であるときの環状工具の傾斜角度と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP1であるときの環状工具の傾斜角度と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP2であるときの環状工具の傾斜角度と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 切削点がP3であるときの環状工具の傾斜角度と工作物のAw軸周りの回転角度との関係を示す図である。 工作物のAw軸周りの回転角度と環状工具のAt軸周りの揺動角度との関係を示すグラフである。
<1.第一実施形態>
以下、本発明に係る切削装置を適用した各実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1Aから図3を参照して、本発明の第一実施形態である切削装置1の構成を説明する。なお、第一実施形態では、工作物Wが、カムである場合を例に挙げて説明する。
(1.切削装置1の全体構成)
図1に示すように、切削装置1は、相互に直交する3つの直進軸(X軸、Y軸及びZ軸)と、1つの回転軸(C軸)と、を備えた4軸マシニングセンタである。切削装置1は、工作物保持装置10と、工作物送り装置20と、工具保持装置30と、工具変位装置40と、制御装置100と、を主に備える。
工作物保持装置10は、工作物Wを回転可能に保持する。工作物保持装置10は、主軸台11と、心押台12とを備える。主軸台11は、工作物Wの軸線方向一端側(図1A右側)を回転可能に支持する。主軸台11は、ハウジングとしての主軸台本体13と、主軸台本体13に回転可能に支持される回転主軸14と、回転主軸14を回転させるための駆動力を付与する回転主軸モータ15と、を備える。心押台12は、ハウジングとしての心押台本体16と、工作物Wの軸線方向他端側(図1A左側)を回転可能に支持する心押センタ17とを備える。
工作物保持装置10は、工作物Wの回転軸線AwをX軸方向と平行に向けた状態で、回転軸線Aw方向両端を回転主軸14と心押センタ17により支持する。そして、工作物Wは、回転主軸モータ15が駆動することにより、回転軸線Aw周りに回転する。
工作物送り装置20は、工作物WをX軸方向へ送る。工作物送り装置20は、送り台21と、X軸駆動装置22(図3参照)とを備える。なお、図1A及び図1Bでは、X軸駆動装置22の図示が省略されている。送り台21は、ベッド2の上面をX軸方向へ移動可能に設けられる。具体的に、ベッド2の上面には、X軸方向へ延びる一対のX軸ガイドレール23が設けられ、送り台21は、X軸ガイドレール23に案内されながらX軸方向へ移動可能に設置される。X軸駆動装置22は、ベッド2に対して送り台21をX軸方向(工作物Wの回転軸線Aw方向)へ送るねじ送り装置である。
送り台21の上面には、主軸台11及び心押台12が設置され、主軸台11及び心押台12に支持された工作物Wは、X軸駆動装置22を駆動し、送り台21をX軸方向へ移動させることにより、工作物Wの回転軸線Aw方向へ送られる。
工具保持装置30は、後述する環状工具50を回転可能に保持する。工具保持装置30は、コラム31と、Z軸駆動装置32(図3参照)と、サドル33と、Y軸駆動装置34(図3参照)と、工具主軸35と、工具主軸モータ36(図3参照)とを備える。なお、図1A及び図1Bでは、Z軸駆動装置32、Y軸駆動装置34及び工具主軸モータ36の図示を省略している。
コラム31は、ベッド2の上面をZ軸方向へ移動可能に設けられる。具体的に、ベッド2の上面には、Z軸方向へ延びる一対のZ軸ガイドレール37が設けられ、コラム31は、Z軸ガイドレール37に案内されながらZ軸方向へ移動可能に設置される。Z軸駆動装置32は、ベッド2に対してコラム31をZ軸方向へ送るねじ送り装置である。
サドル33は、コラム31の側面をY軸方向へ移動可能に設けられる。具体的に、コラム31の側面には、Y軸方向(鉛直方向)へ延びる一対のY軸ガイドレール38が設けられ、サドル33は、Y軸ガイドレール38に案内されながらY軸方向へ移動可能に配置される。Y軸駆動装置34は、サドル33をY軸方向へ送るねじ送り装置である。
工具主軸35は、サドル33に対し、Z軸方向に平行なC軸周りに回転可能に支持される。工具主軸モータ36は、工具主軸35を回転させるための駆動力を付与するモータであり、サドル33の内部に収容される。工具主軸35の先端には、工作物Wの加工に用いる環状工具50が着脱可能に装着される。環状工具50は、工具保持装置30にC軸周りに回転可能に保持され、コラム31及びサドル33の移動に伴い、ベッド2に対してZ軸方向及びY軸方向(送り方向に直交する方向)へ平行移動する。
ここで、図2を参照しながら、環状工具50について説明する。図2に示すように、環状工具50は、工具本体51と、工具軸部52とを備える。工具本体51は、工作物Wに対する切削加工を行う部位である。工具本体51は、外周面をすくい面53とする円錐台状に形成される。また、工具本体51の大径側の端面は、平坦な逃げ面54として形成され、すくい面53と逃げ面54とがなす稜線は、連続した円形状、即ち、途中で分断されていない環状の切れ刃55として形成される。工具軸部52は、工具本体51の小径側の端面から延びる円柱状の部位であり、工具主軸35に着脱可能に装着される。
図3に示すように、制御装置100は、工作物回転制御部110と、工具回転制御部120と、送り制御部130と、変位制御部140と、切削点算出部150とを備える。工作物回転制御部110は、回転主軸モータ15の駆動制御を行い、回転主軸14と心押センタ17とにより支持された工作物Wを回転させる。工具回転制御部120は、工具主軸モータ36の駆動制御を行い、工具主軸35に装着された環状工具50をC軸周りに回転させる。送り制御部130は、X軸駆動装置22の駆動制御を行い、送り台21をX軸方向へ移動させることにより、工作物保持装置10に保持された工作物WをX軸方向へ送る。変位制御部140は、Y軸駆動装置34及びZ軸駆動装置32の駆動制御を行い、工具保持装置30に装着された環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ平行移動させる。
切削点算出部150は、切削加工時に工作物Wと切れ刃55とを接触させる切削点の位置を決定する。具体的に、切削点算出部150は、工作物W及び工具本体51の形状や、工作物Wの回転速度、環状工具50のZ軸方向及びY軸方向への移動速度等に基づき、工作物WのAw軸周りの回転角度に応じた切削点の位置を算出する。そして、切削点算出部150は、工作物Wを回転させながら切削加工を行うにあたり、X軸方向から見た切削点における工作物Wの接線Tと逃げ面54とのなす逃げ角θが所定の範囲内に収まるような位置を切削点とする。
ここで、工作物Wは、カムであるため、仮に、切削点のY軸方向における位置を工作物Wの回転中心のY軸方向における位置と一致させたまま、工作物Wに対する切削加工を行うとした場合に、切削点における接線Tの向きは、工作物Wの回転に伴って変化する。つまり、逃げ角θは、工作物Wの回転に伴って変化するので、工作物Wの回転角度によっては、逃げ面54が工作物Wに干渉する。また、工作物Wの回転角度によっては、すくい角δ(X軸方向から見た切削点における工作物Wの接線に直交する線とすくい面53とのなす角度)が大きくなるため、切削加工時における加工負荷が増大し、環状工具50が早期に摩耗しやすくなる。
これに対し、切削点算出部150は、工作物Wを回転させながら切削加工を行うにあたり、逃げ角θが常に所定の範囲内に収まる位置で切削加工が行われるような切削点の位置を、工作物Wの回転角度に関連づけて算出する。そして、変位制御部140は、切削点算出部150により算出された切削点で切れ刃55が工作物Wに接触するように、環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ平行移動させる。
これにより、切削装置1は、切削加工時において、逃げ角θを所定の角度以上とすることができるので、逃げ面54と工作物Wとの干渉を回避できる。また、切削装置1は、逃げ角θを所定の角度以上とした状態で切削加工を行うことにより、切りくずを排出しやすくすることができるので、工具本体51及び工作物Wの発熱を抑制できる。
また、切削装置1は、切削加工時において、逃げ角θを所定の角度以下とすることにより、接線Tに直交する線に対する環状工具50の回転軸線であるC軸の傾斜角度を小さくすることができる。これにより、切削装置1は、切削加工時に環状工具50に発生する振れが工作物Wに転写されることを抑制できるので、工作物Wの面性状の向上を図ることができると共に、環状工具に加わる負荷を軽減できる。さらに、切削装置1は、切削加工時における逃げ角θを所定の範囲内とすることにより、切削加工時におけるすくい角δを所定の範囲内とすることができる。その結果、切削装置1は、すくい角δが大きくなることに起因して加工負荷が増大することを抑制できるので、環状工具50の工具寿命を向上させることができると共に、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。
<1−2.環状工具50の動作>
次に、図4Aから図5を参照して、環状工具50の動作を説明する。ここで、カムである工作物Wは、工作物Wの回転軸線Aw(カムの回転中心)を円弧中心とする円弧状の第一円弧部w1と、第一円弧部w1よりも曲率半径が小さな円弧状の第二円弧部w2と、直線状の第一直線部w3及び第二直線部w4とを備える。第一直線部w3は、図4Aから図4Eに示す第一円弧部w1の反時計回り方向側端部と第二円弧部w2の時計回り方向側端部とを接続し、第二直線部w4は、図4Aから図4Eに示す第一円弧部w1の反時計回り方向側端部と第二円弧部w2の時計回り方向側端部とを接続する。
図4Aから図4Eには、第一円弧部w1の中心位置であるP0を始点に、図4Aから図4Eに示す時計回り方向へ工作物Wを回転させた際の切削点の変化が図示されている。なお、P0を切削する際の切削点は、工作物Wの回転軸線AwからZ軸方向にオフセットした位置に設定される。また、切削点がP0であるときの逃げ角θは、予め設定された逃げ角θの変動範囲の略中心となる角度であって、工作物Wの面性状の向上を図る点において逃げ角θ及びすくい角δが理想的となる角度に設定される。
図4A及び図4Bに示すように、切削点がP0から第一円弧部w1と第一直線部w3との接続位置であるP1まで移動するまでの間、環状工具50のY軸方向及びZ軸方向における位置は、一定の位置に固定される。このとき、第一円弧部w1の曲率半径がカムの基礎円半径と同一であることから、切削点における接線Tの向きは、一定となり、逃げ角θ及びすくい角δは、変化しない。
図4B及び図4Cに示すように、切削点が第一直線部w3を移動する間、切削点における接線TのY軸に対する傾斜角度は、工作物Wの回転に伴って大きくなり、逃げ角θ及びすくい角δも大きくなる。そこで、変位制御部140は、切削点算出部150の算出結果に基づき、切削点が第一直線部w3と第二円弧部w2との接続位置であるP2に到達した際の逃げ角θが予め定めた変動範囲の上限値であるθ1となるように、環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ平行移動させる。
具体的に、切削点算出部150は、切削点をP1からP2へ移動させるために必要となる切削点の移動速度、即ち、環状工具50の移動速度に基づき、工作物Wの回転角度に応じた切削点の位置を決定する。例えば、図5に示すように、切削点がP1であるときの逃げ角θがθ0、逃げ角θの変動範囲の上限値がθ1であるとする。この場合において、切削点算出部150は、切削点がP1であるときの逃げ角θがθ0となる工作物Wの回転角度α1と、切削点がP2であるときの逃げ角θがθ1となる工作物Wの回転角度α2とを算出する。続いて、切削点算出部150は、工作物Wの回転角度α1,α2と、工作物Wの回転速度とに基づき、切削点がP1に到達する時間t1、及び、切削点がP2に到達する時間t2を算出する。そして、切削点算出部150は、時間t1での切削点がP1である場合に、時間t2までに切削点をP1からP2へ移動させるために必要とされる環状工具50の移動速度を算出すると共に、工作物Wの回転角度に応じた切削点の位置を決定する。
なお、逃げ角θを大きくするほど、すくい角δが大きくなり、工作物Wの面性状が低下する。従って、工作物Wの面性状の向上を図る点において、逃げ角θ及びすくい角δの変動範囲は、小さいほうが望ましい。しかしながら、環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ移動させる際の移動速度には、上限がある。そこで、制御装置100は、環状工具50をZ軸方向及びY軸方向へ平行移動させる際の移動速度の上限値に基づき、工作物Wの回転速度を設定する。
即ち、制御装置100は、工作物Wの回転速度を低速にすることにより、工作物Wの回転角度がα1からα2に到達するまでに要する時間を長くすることができる。また、制御装置100は、環状工具50の移動速度に対して、工作物Wの回転速度を相対的に低速にすることで、逃げ角θ及びすくい角δの変動範囲を狭く設定することができる。これにより、切削装置1は、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。その一方、制御装置100は、工作物Wの回転速度を高速にすることにより、切削加工に要する時間を短縮することができる。
図4D及び図5に示すように、切削点算出部150は、切削点が第二円弧部w2を移動する間、逃げ角θが小さくなるように環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ平行移動させる。これは、図4Eに示すように、切削点が第二直線部w4に移動した後、工作物Wの回転に伴い、接線TのY軸に対する傾斜角度が大きくなり、逃げ角θ及びすくい角δが大きくなることを踏まえて行う処置である。具体的に、切削点算出部150は、切削点が第二円弧部w2を移動する際の切削点を決定するにあたり、切削点が第二円弧部w2と第二直線部w4との接続位置であるP3に到達した際の逃げ角θが、逃げ角θの変動範囲の下限値であるθ2となるように、各切削点の位置(切削点の軌道)を算出する。
そして、図5に示すように、変位制御部140は、切削点が第二直線部w4を移動する際、切削点算出部150の算出結果に基づき、切削点がP4に到達した際の逃げ角θがθ1となるように環状工具50をY軸方向及びZ軸方向へ移動させる。なお、切削点算出部150は、切削点が第一直線部w3と第二円弧部w2との接続位置であるP4に到達した際の逃げ角θがθ1となるように、各切削点の位置(切削点の軌道)を算出する。
そして、切削点がP4からP0に移動するまでの間、環状工具50のY軸方向及びZ軸方向における位置は、一定の位置に固定される。つまり、切削点が第一円弧部w1を移動する間、環状工具50のY軸方向及びZ軸方向への変位は行われない。この場合、切削装置1は、切削点が第一円弧部w1を移動する際の逃げ角θ及びすくい角δを理想的な角度に設定することにより、第一円弧部w1の面性状を向上させることができる。
このように、切削点算出部150は、工作物Wの回転角度に応じた切削点の位置を算出し、変位制御部140は、切削加工時において常に逃げ角θが所定の角度以上となるように、工作物Wに対する環状工具50の相対的な移動を行う。これにより、切削装置1は、切削加工時において、環状工具50の逃げ面54と工作物Wとの干渉を回避することができるので、工作物Wの面性状の向上を図ることができると共に、環状工具に加わる負荷を軽減できる。
また、切削装置1は、断面が非真円である工作物Wの切削加工に用いたとしても、逃げ角θが所定の角度以上となるように工作物Wに対して環状工具50を相対的に平行移動させることで、逃げ面54と工作物Wとの干渉を回避することができる。よって、切削装置1は、断面が非真円である工作物Wの切削加工を行う場合に、工作物Wの面性状の向上を図ることができると共に、環状工具に加わる負荷を軽減できる。
さらに、変位制御部140は、逃げ角θが所定の角度以下となるように、工作物Wに対する環状工具50の相対的な移動を行う。これにより、切削装置1は、接線Tに直交する線に対する環状工具50の回転軸線Aの傾斜角度を小さくすることができるので、切削加工時に環状工具50に発生する振れが工作物Wに転写されることを抑制できる。このように、変位制御部140は、逃げ角θが所定の範囲内に収まるように、工作物Wに対する環状工具50の相対的な移動を行うので、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。
また、変位制御部140は、すくい角δが所定の範囲内に収まるように、工作物Wに対する環状工具50の相対的な移動を行う。これにより、切削装置1は、すくい角δが大きくなることに起因して加工負荷が増大することを抑制できるので、環状工具50の工具寿命を向上させることができると共に、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。
<2.第二実施形態>
次に、第二実施形態を説明する。第一実施形態では、環状工具50をZ軸方向及びY軸方向へ平行移動させることにより、逃げ角θを所定の角度以上とする場合について説明した。これに対し、第二実施形態では、環状工具50をX軸に平行なAt軸周りに揺動させることにより、逃げ角θを所定の角度以上とする場合について説明する。なお、上記した第一実施形態と同一の部品には同一の符号を付し、その説明を省略する。
(2−1.切削装置201の全体構成)
まず、図6及び図7を参照して、切削装置201の全体構成を説明する。図6に示すように、切削装置201は、工作物保持装置10と、工作物送り装置20と、工具保持装置230と、工具変位装置40と、制御装置300と、を主に備える。
そして、第二実施形態における工具保持装置230は、第一実施形態における工具保持装置30に加え、揺動装置239を備える。揺動装置239は、C軸及び環状工具50の切削方向に直交する軸線であって、X軸に平行なAt軸を揺動軸線として、工具主軸235をサドル33に対して揺動可能に保持する。揺動装置239は、At軸周りに工具主軸235を揺動させるための駆動力を付与する揺動モータ240(図7参照)を備える。
図7に示すように、制御装置300は、工作物回転制御部110と、工具回転制御部120と、送り制御部130と、変位制御部140と、傾斜角度算出部350とを備える。傾斜角度算出部350は、揺動モータ240の駆動制御を行うことにより、環状工具50をAt軸周りに揺動させ、環状工具50の傾斜角度(Z軸に対するC軸の傾斜角度)を設定する。
(2−2.環状工具50の動作)
次に、図8Aから図9を参照して、環状工具50の動作を説明する。ここで、第二実施形態における工作物Wは、断面が楕円形状の回転体であり、傾斜角度算出部350は、工作物Wの回転角度に関わらず、逃げ角θが一定となるように環状工具50を揺動させる。
図8Aから図8Dには、X軸方向から見て長軸と交わる点P0を始点として、図8Aから図8Dに示す時計回り方向へ工作物Wを回転させたときの切削点の変化が図示されている。P0を切削する際の切削点は、Y軸方向において工作物Wの回転軸線Awと同位置に設定される。傾斜角度算出部350は、逃げ角θ及びすくい角δが一定の角度のまま維持されるように、工作物WのAw軸まわりの回転角度に応じた環状工具50の傾斜角度(At軸まわりの揺動角度)を算出する。そして、揺動装置239は、傾斜角度算出部350の算出結果に基づき、逃げ角θ及びすくい角δが一定の角度のまま維持されるように、環状工具50を工作物Wの回転に伴って揺動させる。
即ち、図8A及び図8Bに示すように、図8Aに示す状態から工作物Wを回転軸線Aw周りに45度回転するまでの間、切削点における接線Tは、図8Bに示す反時計回り方向へ傾斜する。よってこの場合、揺動装置239は、図9に示すように、逃げ角θ及びすくい角δが一定の角度のまま維持されるように、環状工具50を図8Bに示す反時計回り方向へ揺動させる。
また、図8Bから図8Dに示すように、図8Bに示す状態から工作物Wを回転軸線Aw周りに90度回転して図8Dに示す状態に移行するまでの間、切削点における接線Tは、図8C及び図8Dに示す時計回り方向へ傾斜する。よってこの場合、揺動装置239は、図9に示すように、逃げ角θ及びすくい角δが一定の角度のまま維持されるように、環状工具50を図8C及び図8Dに示す時計回り方向へ揺動させる。
このように、傾斜角度算出部350は、工作物Wの回転角度に応じた環状工具50の傾斜角度の算出を行い、揺動装置239は、逃げ角θ及びすくい角δの角度が一定のまま維持されるように工作物Wに対する環状工具50の相対的な姿勢変化を行う。これにより、切削装置1は、切削加工を行う際に、環状工具50と工作物Wとの干渉を回避することができるので、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。また、切削装置1は、断面が非真円である工作物Wの切削加工を行うにあたり、逃げ角θが所定の角度以上となるように、工作物Wに対して環状工具50の姿勢を相対的に変化させることで、工作物Wの面性状の向上を図ることができる。
また、切削装置201は、切削加工時において、環状工具50をAt軸周りに揺動させることにより、逃げ角θ及びすくい角δを一定の角度にする。これにより、切削装置201は、工作物Wの面性状を向上させることができる。
<3.その他>
以上、上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記各形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施形態では、断面が非真円の回転体を工作物Wとする切削加工に切削装置1,201を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、切削装置1,201は、回転軸線が中心から偏心した回転体を工作物とする切削加工を行う用いることができる。また、本発明は、曲率が変化する曲面を有する工作物W(例えば、自由曲面を含む非球面形状体等)の切削加工に用いることができ、工作物Wは、回転体に限定されない。
上記した第一実施形態では、逃げ角θを所定角度の範囲内で変化させながら切削加工を行っているが、これに限られるものではない。即ち、切削装置1は、工作物Wの形状によっては、工作物Wの回転角度に関わらず逃げ角θが一定の角度のまま維持されるように、環状工具50をZ軸方向及びY軸方向へ平行移動させてもよい。
同様に、上記した第二実施形態では、工作物Wの回転角度に関わらず逃げ角θを一定の角度に維持する場合について説明したが、これに限られるものではない。即ち、切削装置201は、工作物Wの回転に伴い、逃げ角θを所定角度の範囲内で変化させながら切削加工を行ってもよい。
1,201:切削装置、 10:工作物保持装置、 30,230:工具保持装置、 40:工具変位装置、 50:環状工具、 53:すくい面、 54:逃げ面(環状工具の端面)、 55:切れ刃、 140:変位制御部、 At:環状工具の揺動軸線(第二軸線)、 Aw:工作物の回転軸線、 C:環状工具の回転軸線(第一軸線)、 W:工作物、 δ:すくい角、 θ:逃げ角

Claims (8)

  1. 外周面をすくい面とする環状の切れ刃を有する環状工具を第一軸線周りに回転可能に保持する工具保持装置と、
    曲率が変化する曲面を有する工作物を保持する工作物保持装置と、
    前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う工具変位装置と、
    を備え、
    前記工具変位装置は、前記環状工具による前記工作物の加工時に、前記環状工具の端面と前記工作物とがなす逃げ角が所定の角度以上となるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う変位制御部を備える、切削装置。
  2. 前記変位制御部は、前記逃げ角が予め定めた範囲内に収まるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う、請求項1に記載の切削装置。
  3. 前記変位制御部は、前記すくい面と前記工作物とのなすすくい角が予め定めた範囲内に収まるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う、請求項1又は2に記載の切削装置。
  4. 前記工作物は、断面が非真円となる回転体、回転軸線が偏心した回転体であり、
    前記切削装置は、前記工作物の回転軸線方向へ前記工作物を送る工作物送り装置を備える、請求項1−3の何れか一項に記載の切削装置。
  5. 前記工具変位装置は、前記環状工具による前記工作物の切削加工を行う際に、前記工作物送り装置の送り方向に直交する方向へ前記環状工具を平行移動させる、請求項4に記載の切削装置。
  6. 前記工具変位装置は、前記環状工具による前記工作物の切削加工を行う際に、前記第一軸線及び前記環状工具の切削方向に直交する第二軸線周りに前記環状工具を揺動させる、請求項1−4の何れか一項に記載の切削装置。
  7. 前記工具変位装置は、前記逃げ角が一定となるように前記環状工具を揺動させる、請求項6に記載の切削装置。
  8. 外周面をすくい面とする環状の切れ刃を有する環状工具を用いて、曲率が変化する曲面を有する工作物の切削加工を行う切削加工方法であって、
    前記環状工具による前記工作物の加工時に、前記環状工具の端面と前記工作物とがなす逃げ角が所定の角度以上となるように、前記工作物に対する前記環状工具の相対的な移動又は相対的な姿勢の変化を行う、切削加工方法。
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