JP2019088077A - 誘導電動機のオブザーバ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導電動機のオブザーバ制御装置において、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能な構成を得る。
【解決手段】オブザーバ制御装置1は、誘導電動機3に生じる磁束を推定する磁束推定部22と、誘導電動機3に印加される電圧を推定する電圧推定部21と、誘導電動機3のすべり角速度を推定するすべり角速度推定部23とを備える。磁束推定部22は、誘導電動機3に印加される電圧と電圧推定部21で推定された電圧との電圧差がゼロになるように、誘導電動機3に生じる磁束を推定する。電圧推定部21は、前記推定される電圧と前記推定された磁束との関係において、前記推定される電圧のうちd軸電圧が、前記推定された磁束のうちq軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けないとともに、前記推定される電圧のうちq軸電圧が、前記推定された磁束のうちd軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けない関係式を用いて、前記電圧を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導電動機に対してオブザーバ制御を行うオブザーバ制御装置に関する。
誘導電動機をすべり周波数で制御するベクトル制御が知られている。このベクトル制御では、制御装置は、誘導電動機のモデル(1/T2・(Iq/Id):T2はモータ時定数、Idはd軸電流、Iqはq軸電流)を用いて理想のすべり周波数を算出し、該算出されたすべり周波数を用いて前記誘導電動機の駆動を制御する。これにより、V/f制御に比べて高精度で高応答なトルク出力が得られる。なお、上述のようなベクトル制御を行う制御装置として、例えば特許文献1に開示される電動機の制御装置が知られている。
しかしながら、モータ時定数T2は、温度変化によって変わるとともに、モータ出力に大きな影響を与える。これに対し、モータ時定数T2を温度補正することが考えられる。しかしながら、モータ時定数T2は計測が困難な回転子側の温度の影響を受けるため、モータ時定数T2の正確な温度補正は難しい。
上述の問題を解決するために、誘導電動機に生じる電圧を推定してオブザーバ制御を行う方法が知られている。このオブザーバ制御として、例えば、非特許文献1に示すような制御方法が知られている。オブザーバ制御では、誘導電動機の出力電流及び出力電圧から推定される推定モデルを用いて、前記誘導電動機の制御をリアルタイムで補正することにより、前記推定モデルの電圧指令と実際の誘導電動機の電圧指令との差をゼロに近づける。これにより、上述のような温度変化が生じた場合でも、誘導電動機の駆動を精度良く制御することができる。
オブザーバ制御で用いられる式の一例を、以下の式(4)、(5)に示す。
Figure 2019088077
Figure 2019088077
ただし、式(4)及び(5)において、V^dは誘導電動機のd軸推定電圧、V^qは誘導電動機のq軸推定電圧、φ^dは誘導電動機のd軸成分の推定磁束、φ^qは誘導電動機のq軸成分の推定磁束、Idは誘導電動機に流れるd軸電流、Iqは誘導電動機に流れるq軸電流、R1は誘導電動機の固定子の抵抗、R2は誘導電動機の回転子の抵抗、L1は誘導電動機の固定子のリアクタンス、L2は誘導電動機の回転子のリアクタンス、Lmは磁化インダクタンス、ωは電気角速度、ωsはすべり角速度、pは微分演算子、Kはオブザーバゲインをそれぞれ示す。
特開2015−171302号公報
山村直紀、「インバータ駆動誘導電動機の磁束制御法に関する研究」、名古屋工業大学学術機関リポジトリ、1993年1月、p.11−33、51−70
上述の式(4)において、オブザーバゲインKを含む項は、回転子の抵抗R2等が変化した場合の補正項として機能する。式(5)に示すように、電圧と磁束との関係は、電気角速度によって変化するため、上述の補正項において推定される電圧と実際の電圧との差(Vq^−Vq、Vd^−Vd)も、電気角速度によって正負が切り替わる。そうすると、上述の補正項によって適正に補正するためには、オブザーバゲインKの正負を電気角速度に応じて切り替える必要がある。
しかも、式(5)に示すように、制御装置で推定される電圧は、d軸成分及びq軸成分の磁束の影響を受ける。すなわち、前記推定される電圧のうちd軸電圧は、d軸成分の磁束だけでなくq軸成分の磁束にも影響を受ける。また、前記推定される電圧のうちq軸電圧は、q軸成分の磁束だけでなくd軸成分の磁束にも影響を受ける。そうすると、誘導電動機の制御が不安定になるとともに、誘導電動機の制御の応答性を低下させる可能性がある。
本発明の目的は、誘導電動機のオブザーバ制御装置において、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能な構成を得ることにある。
本発明の一実施形態に係る誘導電動機のオブザーバ制御装置は、誘導電動機に対してオブザーバ制御を行うオブザーバ制御装置である。このオブザーバ制御装置は、前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定する磁束推定部と、前記磁束推定部で推定された磁束及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に印加される電圧を推定する電圧推定部と、前記誘導電動機に印加される電圧と前記電圧推定部で推定された電圧との電圧差、及び、前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機のすべり角速度を推定するすべり角速度推定部とを備え、前記磁束推定部は、前記電圧差がゼロになるように、前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定し、前記電圧推定部は、前記推定される電圧と前記推定された磁束との関係において、前記推定される電圧のうちd軸電圧が、前記推定された磁束のうちq軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けないとともに、前記推定される電圧のうちq軸電圧が、前記推定された磁束のうちd軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けない関係式を用いて、前記電圧を推定する(第1の構成)。
以上の構成では、電圧推定部が、磁束推定部で推定された磁束を用いて誘導電動機に印加される電圧を推定する際に、推定される電圧と前記推定された磁束との関係において、前記推定される電圧のうちd軸電圧が、前記推定された磁束のうちq軸成分の磁束の影響を受けないとともに、前記推定される電圧のうちq軸電圧が、前記推定された磁束のうちd軸成分の磁束の影響を受けない関係式を用いる。これにより、前記電圧推定部によって推定されるd軸電圧は、磁束のd軸成分及びq軸成分のうちd軸成分のみに影響を受けるとともに、前記電圧推定部によって推定されるq軸電圧は、磁束のd軸成分及びq軸成分のうちq軸成分の磁束のみに影響を受ける。したがって、従来のオブザーバ制御に比べて、誘導電動機の制御の応答性を向上することができる。
しかも、前記関係式は、前記推定される電圧と前記推定された磁束との関係において、電気角速度の影響を受けない。よって、誘導電動機の電気角速度に応じて電圧と磁束との関係が変化することを防止できる。したがって、推定された磁束を補正する補正項のオブザーバゲインKの正負を電気角速度に応じて切り替える必要がない。これにより、簡単な制御によって、誘導電動機のオブザーバ制御を実現できる。
したがって、上述の構成により、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能なオブザーバ制御装置が得られる。
前記第1の構成において、前記関係式は、前記推定された磁束と対角行列との積を含む(第2の構成)。これにより、電圧推定部において誘導電動機に印加される電圧を推定する際に用いられる関係式において、d軸電圧は、磁束推定部で推定される磁束のd軸成分及びq軸成分のうちd軸成分のみに影響を受け、q軸電圧は、前記磁束のd軸成分及びq軸成分のうちq軸成分のみに影響を受ける。よって、上述の構成により、従来のオブザーバ制御に比べて、誘導電動機の制御の応答性を向上可能な構成を実現できる。
前記第2の構成において、前記対角行列は、単位行列である(第3の構成)。これにより、電圧推定部において誘導電動機に印加される電圧を推定する際に用いられる関係式において、推定されるd軸電圧と推定されたd軸成分の磁束との関係、及び、推定されるq軸電圧と推定されたq軸成分の磁束との関係を、より単純化することができる。したがって、上述の構成により、従来のオブザーバ制御に比べて、誘導電動機の制御の応答性をより向上可能な構成を実現できる。
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記関係式は、式(1)であり、前記磁束推定部は、式(2)及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定し、前記すべり角速度推定部は、式(3)、前記電圧指令差及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機のすべり角速度を推定する、誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置。
Figure 2019088077
Figure 2019088077
Figure 2019088077
Figure 2019088077
ただし、式(1)から(3)において、V^dは誘導電動機のd軸推定電圧、V^qは誘導電動機のq軸推定電圧、φ^dは誘導電動機のd軸成分の推定磁束、φ^qは誘導電動機のq軸成分の推定磁束、Idは誘導電動機に流れるd軸電流、Iqは誘導電動機に流れるq軸電流、R1は誘導電動機の固定子の抵抗、R2は誘導電動機の回転子の抵抗、L1は誘導電動機の固定子のリアクタンス、L2は誘導電動機の回転子のリアクタンス、Lmは磁化インダクタンス、ωは電気角速度、ωsはすべり角速度、ωmは回転角速度、pは微分演算子、K,K1,K2はオブザーバゲインをそれぞれ示す(第4の構成)。
これにより、上述の各構成を実現することができる。
ところで、上述の従来のオブザーバ制御では、式(4)、(5)に示すように、回転子の抵抗R2、インダクタンスL2及び磁化インダクタンスLmの値が誘導電動機の制御のために必要である。しかしながら、回転子側の各定数の実測は難しいため、上述の式(4)、(5)に示すオブザーバ制御では、制御に必要な定数の一部に近似値または推定値を用いる必要がある。そうすると、誘導電動機をあまり応答性良く制御できない可能性がある。
これに対し、オブザーバ制御において式(1)から(3)を用いることにより、比較的精度良く値を求めることが可能なR1、L1、Lm2/L2、R2/L2を使って、オブザーバ制御を行うことができる。これにより、オブザーバ制御に、実測が難しいR2、L2及びLmを用いる必要がないため、誘導電動機を応答性良く制御することができる。
したがって、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能なオブザーバ制御装置が得られる。
本発明の一実施形態に係る誘導電動機のオブザーバ制御装置によれば、磁束推定部と、電圧推定部と、すべり角速度推定部とを備える。前記電圧推定部は、推定される電圧と前記磁束推定部で推定された磁束との関係において、前記推定される電圧のうちd軸成分の電圧指令が、前記推定された磁束のうちq軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けないとともに、前記推定される電圧指令のうちq軸成分の電圧が、前記推定された磁束のうちd軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けない関係式を用いて、前記電圧指令を推定する。これにより、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能なオブザーバ制御装置が得られる。
図1は、実施形態に係るオブザーバ制御装置を備えた制御装置の概略構成を示す制御ブロック図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るオブザーバ制御装置1を備えた制御装置2の概略構成を示す制御ブロック図である。この制御装置2は、入力信号に基づいて、誘導電動機3の駆動を制御する。
なお、本実施形態では、特に図示しないが、誘導電動機3は、回転子及び固定子がそれぞれ3相のコイルを有する三相交流モータである。
制御装置2は、前記入力信号としての回転角速度信号ωm及びトルク指令T*に基づいて、電流指令Id*,Iq*を生成し、該電流指令Id*,Iq*から得られる制御電圧Vd’,Vq’を用いて誘導電動機3の駆動を制御する。
また、制御装置2は、電流指令Id*,Iq*、誘導電動機3の電流Id,Iq及び電圧Vd,Vqを用いて、誘導電動機3のすべり周波数を制御する。詳しくは、制御装置2は、誘導電動機3に生じる電圧を推定し、該推定した電圧と誘導電動機3に実際に生じる電圧との差がゼロになるように誘導電動機3に生じる磁束を推定するとともに、すべり角速度の補正信号を生成する。生成されたすべり角速度の補正信号は、誘導電動機3の駆動制御に用いられる。これにより、制御装置2は、誘導電動機3のすべり周波数を制御する。
具体的には、制御装置2は、モータ駆動制御部10と、オブザーバ制御装置1とを備える。モータ駆動制御部10は、前記入力信号としての回転角速度信号ωm及びトルク指令T*に基づいて、電流指令Id*,Iq*を生成し、該電流指令Id*,Iq*から得られる制御電圧Vd’,Vq’を用いて誘導電動機3の駆動を制御する。オブザーバ制御装置1は、電流指令Id*,Iq*、誘導電動機3の電流Id,Iq及び電圧Vd,Vqを用いて、すべり角速度の補正信号を生成することにより、誘導電動機3のすべり周波数を制御する。
モータ駆動制御部10は、d軸電流指令生成部11と、q軸電流指令生成部12と、PI制御器13,14と、2相3相変換部15と、スイッチング回路16と、3相2相変換部17と、すべり角速度算出部18と、積分器19とを有する。
d軸電流指令生成部11は、制御装置2に入力される回転角速度ωmに基づいて、d軸電流指令Id*を生成する。q軸電流指令生成部12は、トルク指令T*に基づいて、q軸電流指令Iq*を生成する。
PI制御器13は、d軸電流指令生成部11で生成されたd軸電流指令Id*と2相3相変換部15から出力されたd軸電流Idとの差を、PI演算して、d軸制御電圧Vd’を出力する。PI制御器14は、q軸電流指令生成部12で生成されたq軸電流指令Iq*と2相3相変換部15から出力されたq軸電流Iqとの差を、PI演算して、q軸制御電圧Vq’を出力する。
2相3相変換部15は、PI制御器13,14で得られたd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを、3相の電圧に変換する。
スイッチング回路16は、図示しない複数のスイッチング素子を有する。スイッチング回路16は、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御することにより、2相3相変換部15から出力された各相の電圧を、所定のタイミングで誘導電動機3に印加する。
3相2相変換部17は、誘導電動機3に流れる電流を、3相から2相(d軸電流Id、q軸電流Iq)に変換する。
すべり角速度算出部18は、d軸電流指令生成部11で生成されたd軸電流指令Id*及びq軸電流指令生成部12で生成されたq軸電流指令Iq*に基づいて、すべり角速度算出値を求める。
積分器19は、すべり角速度算出部18で求めたすべり角速度算出値に、オブザーバ制御装置1で求めたすべり角速度補正値が加算されることによって得られたすべり角速度ωsを、積分することにより、すべり角度θsを求める。積分器19で得られたすべり角度θsに誘導電動機3の回転角θmが加算されることによって得られる位相θは、2相3相変換部15及び3相2相変換部17に入力される。すなわち、2相3相変換部15は、すべり角速度ωsを考慮して2相3相変換を行うとともに、3相2相変換部17も、すべり角速度ωsを考慮して3相2相変換を行う。これにより、すべり角速度ωsを考慮して、誘導電動機3の駆動を制御することができる。
なお、上述のモータ駆動制御部10の各構成は、従来と同様の構成であるため、詳しい説明を省略する。
(オブザーバ制御装置)
次に、オブザーバ制御装置1の構成を説明する。
オブザーバ制御装置1は、電圧推定部21と、磁束推定部22と、すべり角速度推定部23と、電圧変換部24と、PI制御器25,26とを有する。
電圧推定部21は、モータ駆動制御部10で生成されたd軸電流指令Id*及びq軸電流指令Iq*と、磁束推定部22で算出される磁束推定値φ^d,φ^qとに基づいて、誘導電動機3の推定電圧V^d,V^qを推定する。具体的には、電圧推定部21は、以下の式(1)を用いて、誘導電動機3のd軸推定電圧V^d及びq軸推定電圧V^qを推定する。
Figure 2019088077
ここで、R1は誘導電動機3の一次側(固定子側)の抵抗であり、L1は誘導電動機3の一次側(固定子側)のリアクタンスであり、R2は誘導電動機3の二次側(回転子側)の抵抗であり、L2は誘導電動機3の二次側(回転子側)のリアクタンスである。また、ωは電気角速度であり、Lmは磁化インダクタンスである。
上述の式(1)は、推定磁束φ^と単位行列との積を含む。これにより、推定電圧V^は、推定磁束φ^との関係において、d軸推定電圧V^dが、q軸成分の推定磁束φ^q及び電気角速度ωの影響を受けないとともに、q軸推定電圧V^qが、d軸成分の推定磁束φ^d及び電気角速度ωの影響を受けない。
電圧変換部24は、直流電圧及びデッドタイムを用いて、制御電圧Vd’,Vq’を誘導電動機3の電圧Vd,Vqに変換する。
PI制御器25は、電圧推定部21で推定された誘導電動機3のd軸推定電圧V^dと誘導電動機3のd軸電圧(本実施形態では、電圧変換部24においてd軸制御電圧から算出された値)との差を、PI演算する。PI制御器26は、電圧推定部21で推定された誘導電動機のq軸推定電圧V^qと誘導電動機3のq軸電圧(本実施形態では、電圧変換部24においてq軸制御電圧から算出された値)との差を、PI演算する。
磁束推定部22は、PI制御器25,26によって得られた値と、誘導電動機3の電流Id,Iqとに基づいて、誘導電動機3で生じる磁束φ^d,φ^qを推定する。磁束推定部22は、PI制御器25,26によって得られた値、すなわち電圧推定部21で推定された誘導電動機3の推定電圧V^d,V^qと実際の誘導電動機3の電圧との電圧差に基づいて誘導電動機3で生じる磁束φ^d,φ^qを推定することにより、前記電圧差が小さくなるように、磁束φ^d,φ^qを推定する。具体的には、磁束推定部22は、以下の式(2)を用いて、誘導電動機3のd軸成分の推定磁束φ^d及びq軸成分の推定磁束φ^qを推定する。
Figure 2019088077
ここで、pは微分演算子であり、ωsはすべり角速度であり、K1及びK2はオブザーバゲインである。
すべり角速度推定部23は、PI制御器25,26によって得られた値と、誘導電動機3の電流Idとに基づいて、すべり角速度の補正値を算出する。すべり角速度推定部23は、上述のようにPI制御器25,26によって得られた値、すなわち電圧推定部21で推定された誘導電動機3の推定電圧V^d,V^qと実際の誘導電動機3の電圧との電圧差に基づいてすべり角速度の補正値を求めることにより、q軸成分の磁束φqがゼロになるような誘導電動機3のすべり角速度の補正値を算出することができる。具体的には、すべり角速度推定部23は、以下の式(3)を用いて、誘導電動機3のすべり角速度の補正値を算出する。
Figure 2019088077
ここで、ωmは回転角速度である。
なお、従来のオブザーバ制御では、下式が用いられている。すなわち、誘導電動機の磁束を推定する際には、式(4)が用いられるとともに、誘導電動機の電圧を推定する際には、式(5)が用いられる。
Figure 2019088077
Figure 2019088077
ここで、Kはオブザーバゲインである。
上述の式(4)、(5)では、誘導電動機の回転子の抵抗R2、インダクタンスL2及び磁化インダクタンスLmの値が必要である。しかしながら、回転子側の各定数の実測は難しいため、上述の式(4)、(5)に示すオブザーバ制御では、制御に必要な定数の一部に近似値または推定値を用いる必要がある。そうすると、誘導電動機をあまり応答性良く制御できない可能性がある。
一方、式(4)において、オブザーバゲインKを含む項は、回転子の抵抗R2等が変化した場合の補正項として機能する。式(5)に示すように、電圧と磁束との関係は、電気角速度によって変化するため、上述の補正項において推定される電圧と実際の電圧との電圧差(Vq^−Vq、Vd^−Vd)も、電気角速度によって正負が切り替わる。そうすると、上述の補正項によって適正に補正するためには、オブザーバゲインKの正負を電気角速度に応じて切り替える必要がある。
しかも、上述の式(5)では、d軸推定電圧V^dが、d軸成分の推定磁束φ^d及びq軸成分の推定磁束φ^qの影響を受けるとともに、q軸推定電圧V^qも、d軸成分の推定磁束φ^d及びq軸成分の推定磁束φ^qの影響を受ける。そのため、誘導電動機の制御が不安定になるとともに、誘導電動機の制御の応答性を低下させる可能性がある。
これに対し、本実施形態のように、誘導電動機の電圧推定に上述の式(1)を用いるとともに、誘導電動機の磁束推定に上述の式(2)を用いて、上述の式(3)を用いて誘導電動機のすべり角速度の補正値を算出することにより、回転子側の各定数を求めることなく、オブザーバ制御を行うことができる。すなわち、上述の式(1)から(3)では、比較的精度良く値を求めることが可能なR1、L1、Lm2/L2、R2/L2を用いることにより、R2、L2及びLmの各値を求める必要がないため、誘導電動機を応答性良く制御できる。
また、式(1)に示すように、d軸推定電圧V^d及びq軸推定電圧V^qは、d軸成分の推定磁束φ^d及びq軸成分の推定磁束φ^qとの関係において、電気角速度の影響を受けない。さらに、式(2)に示すように、オブザーバゲインK1,K2を含む項は定数である。よって、電気角速度によってオブザーバの補正項の正負が切り替わらないため、オブザーバゲインK1,K2の正負を電気角速度に応じて切り替える必要がない。よって、オブザーバ制御を簡単に行うことができる。
しかも、式(1)に示すように、推定磁束φ^の項は、係数が単位行列である。よって、d軸推定電圧V^dは、d軸成分の推定磁束φ^dのみに影響を受けるとともに、q軸推定電圧V^qも、q軸成分の推定磁束φ^qのみに影響を受ける。これにより、誘導電動機の制御が不安定になることを防止できるとともに、誘導電動機の制御の応答性が低下することを防止できる。
したがって、以上の構成により、誘導電動機を簡単且つ応答性良く制御可能なオブザーバ制御装置1が得られる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、オブザーバ制御装置1のPI制御器25,26には、電圧変換部24によって制御電圧Vd’,Vq’から変換された誘導電動機3の電圧Vd,Vqと、電圧推定部21で推定された推定電圧V^d,V^qとの電圧差が入力される。しかしながら、PI制御器には、誘導電動機の電圧の実測値と電圧推定部で推定された推定電圧との電圧差が入力されてもよい。すなわち、電圧変換部を設ける代わりに、誘導電動機の電圧の計測値をそのまま用いてもよい。
前記実施形態では、オブザーバ制御装置1は、式(1)から(3)を用いて、オブザーバ制御を行う。しかしながら、オブザーバ制御装置は、誘導電動機の電圧を推定するための式において、推定されるd軸電圧がq軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けず、且つ、推定されるq軸電圧がd軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けない関係式であれば、どのような関係式を用いてオブザーバ制御を行ってもよい。
前記実施形態では、オブザーバ制御装置1がオブザーバ制御を行う際に用いる関係式のうち、誘導電動機の電圧を推定するための式(1)は、磁束推定部22で推定された推定磁束φ^と単位行列との積を含む。しかしながら、誘導電動機の電圧を推定するための式は、推定されるd軸電圧がq軸成分の磁束の影響を受けず、且つ、推定されるq軸電圧がd軸成分の磁束の影響を受けない関係式であればよいため、推定磁束に乗算される行列は、単位行列に限らず、対角行列であればよい。
なお、式(1)において単位行列を用いることにより、推定されるd軸電圧と推定されたd軸成分の磁束との関係、及び、推定されるq軸電圧と推定されたq軸成分の磁束との関係を、より単純化することができる。したがって、従来のオブザーバ制御に比べて、誘導電動機の制御の応答性をより向上可能な構成を実現できる。
前記実施形態では、誘導電動機3は、3相交流モータである。しかしながら、誘導電動機は、複数相のコイルを有するモータであれば、他の構成のモータであってもよい。
本発明は、誘導電動機に対してオブザーバ制御を行うオブザーバ制御装置に利用可能である。
1 オブザーバ制御装置
2 制御装置
3 誘導電動機
10 モータ駆動制御部
11 d軸電流指令生成部
12 q軸電流指令生成部
13、14 PI制御器
15 2相3相変換部
16 スイッチング回路
17 3相2相変換部
18 すべり角速度算出部
19 積分器
21 電圧推定部
22 磁束推定部
23 すべり角速度推定部
24 電圧変換部
25、26 PI制御器

Claims (4)

  1. 誘導電動機に対してオブザーバ制御を行うオブザーバ制御装置であって、
    前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定する磁束推定部と、
    前記磁束推定部で推定された磁束及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に印加される電圧を推定する電圧推定部と、
    前記誘導電動機に印加される電圧と前記電圧推定部で推定された電圧との電圧差、及び、前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機のすべり角速度を推定するすべり角速度推定部とを備え、
    前記磁束推定部は、前記電圧差がゼロになるように、前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定し、
    前記電圧推定部は、前記推定される電圧と前記推定された磁束との関係において、前記推定される電圧のうちd軸電圧が、前記推定された磁束のうちq軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けないとともに、前記推定される電圧のうちq軸電圧が、前記推定された磁束のうちd軸成分の磁束及び電気角速度の影響を受けない関係式を用いて、前記電圧を推定する、誘導電動機のオブザーバ制御装置。
  2. 請求項1に記載の誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置において、
    前記関係式は、前記推定された磁束と対角行列との積を含む、誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置。
  3. 請求項2に記載の誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置において、
    前記対角行列は、単位行列である、誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置において、
    前記関係式は、式(1)であり、
    前記磁束推定部は、式(2)及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機に生じる磁束を推定し、
    前記すべり角速度推定部は、式(3)、前記電圧指令差及び前記誘導電動機に流れる電流を用いて、前記誘導電動機のすべり角速度を推定する、誘導電動機の磁束オブザーバ制御装置。
    Figure 2019088077
    Figure 2019088077
    Figure 2019088077
    Figure 2019088077
    ただし、式(1)から(3)において、V^dは誘導電動機のd軸推定電圧、V^qは誘導電動機のq軸推定電圧、φ^dは誘導電動機のd軸成分の推定磁束、φ^qは誘導電動機のq軸成分の推定磁束、Idは誘導電動機に流れるd軸電流、Iqは誘導電動機に流れるq軸電流、R1は誘導電動機の固定子の抵抗、R2は誘導電動機の回転子の抵抗、L1は誘導電動機の固定子のリアクタンス、L2は誘導電動機の回転子のリアクタンス、Lmは磁化インダクタンス、ωは電気角速度、ωsはすべり角速度、ωmは回転角速度、pは微分演算子、K,K1,K2はオブザーバゲインをそれぞれ示す。
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