JP2019074381A - 放射性金属廃棄物の除染装置及び除染方法 - Google Patents

放射性金属廃棄物の除染装置及び除染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】除染時に陰極となる電極に付着した金属付着物を容易に洗浄する。【解決手段】除染装置は、貯留槽と、電源装置と、第1の電極と、放射性金属廃棄物と第2の電極とに選択的に接続される接続部材と、を備える。接続部材は、第1の電極が貯留槽内に配置された状態のまま、貯留槽内に配置される第1位置と、貯留槽外に配置される第2位置とに切替え可能となっている。除染装置は、接続部材が放射性金属廃棄物に接続された状態で第1位置とされ、かつ、電源装置が、第1の電極が陰極となるように電圧を印加することで、放射性金属廃棄物を除染する。接続部材を第2位置とすることで、貯留槽外において接続部材に接続される部材を、放射性金属廃棄物と第2の電極との間で切替える。接続部材が第2の電極に接続された状態で第1位置とされ、かつ、電源装置が、第1の電極が陽極となるように電圧を印加することで、第1の電極に付着する金属付着物を洗浄する。【選択図】図6

Description

本明細書に開示する技術は、放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する除染装置及び除染方法に関する。
原子力発電所や放射性物質を取り扱う施設において、設備の廃止や解体、或いは運転に伴い発生する金属廃棄物の中には、放射能レベルが基準値以上の金属廃棄物(以下、放射性金属廃棄物とも称する)が含まれる。処分の観点からは、これらの金属廃棄物はその表面を除染して放射能レベルを基準値以下に下げてから処理されることが望ましい。放射性金属廃棄物の除染方法としては、電解研磨等によって放射性金属廃棄物の表面を除去する技術が開発されている。例えば、特許文献1の除染装置では、陽極治具に接続された陽極台が貯留槽内に設置されており、陽極台の上部に円筒状の放射性金属廃棄物が設置されている。円筒状の放射性金属廃棄物は、その軸方向が水平方向となるように陽極台上に設置されている。また、貯留槽内には陰極治具が設置され、陰極治具には陰極が接続されている。陰極は、円筒状の放射性金属廃棄物の内部を軸方向に貫通するように設置される。陽極治具と陰極治具の間に電圧を印加すると、放射性金属廃棄物の表面が電解研磨される。
特開平3−17600号公報
特許文献1に記載されるような除染装置では、陽極と陰極の間に電圧が印加されると、放射性金属廃棄物から電解液中に金属が溶解する。溶解した金属は陰極の表面に徐々に付着するため、除染装置の除染能力は時間の経過とともに低下する。このため、除染能力が予め設定されたレベル以下に低下すると、陰極に付着した金属付着物を洗浄する必要がある。陰極の洗浄方法としては、例えば、除染時とは逆方向の電圧を陰極に印加し、陰極に付着した金属付着物を電解液中に再び溶解させる方法が知られている。しかしながら、特許文献1の除染装置において、陰極に逆方向の電圧を印加するためには、除染時に貯留槽内に設置された放射性金属廃棄物と陰極とを貯留槽外に取り出し、金属付着物が付着した陰極と、逆方向の電圧を印加する際に陰極となる電極とを電源装置に接続し直し、さらにこれらの電極を貯留槽内に設置し直さなければならず、作業負担が大きいという問題があった。本明細書は、除染時に陰極となる電極に付着した金属付着物を容易に洗浄する技術を開示する。
本明細書に開示する除染装置は、放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する。除染装置は、電解液が収容される貯留槽と、電源装置と、貯留槽内に配置可能とされ、電源装置と電気的に接続される第1の電極と、電源装置と電気的に接続され、放射性金属廃棄物と第2の電極とに選択的に接続される接続部材と、を備えている。接続部材は、第1の電極が貯留槽内に配置された状態のまま、貯留槽内に放射性金属廃棄物又は第2の電極が配置される第1位置と、貯留槽外に放射性金属廃棄物又は第2の電極が配置される第2位置とに切替え可能となっている。除染装置は、接続部材が放射性金属廃棄物に接続された状態で第1位置とされ、かつ、電源装置が、第1の電極が陰極となると共に、放射性金属廃棄物が陽極となるように電圧を印加することで、放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する。また、除染装置は、第1の電極が貯留槽内に配置された状態で接続部材を第2位置とすることで、貯留槽外において接続部材に接続される部材を、放射性金属廃棄物と第2の電極との間で切替える。さらに、除染装置は、接続部材が第2の電極に接続された状態で第1位置とされ、かつ、電源装置が、第2の電極が陰極となると共に、第1の電極が陽極となるように電圧を印加することで、第1の電極に付着する金属付着物を洗浄する。
上記の除染装置では、接続部材を第1位置と第2位置とに切替えることによって、貯留槽外において放射性金属廃棄物又は第2の電極を接続部材に選択的に接続することができる。このため、除染時に陰極部となる第1の電極を貯留槽から取り出すことなく、放射性金属廃棄物に代わり第2の電極を貯留槽内に設置することができる。したがって、第1の電極を洗浄するための作業負担を軽減することができ、第1の電極を容易に洗浄することができる。
また、本明細書に開示する除染方法は、放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する。除染方法は、電源装置と電気的に接続される放射性金属廃棄物を電解液に浸漬させる第1浸漬工程と、第1浸漬工程によって電解液中に浸漬された放射性金属廃棄物と、電解液中に配置されると共に電源装置と電気的に接続される第1の電極とに順方向の電圧を印加する第1電圧印加工程と、第1の電極が電解液中に配置された状態で、放射性金属廃棄物を電解液から取り出す取り出し工程と、取り出し工程後に、電源装置と電気的に接続される第2の電極を電解液に浸漬させる第2浸漬工程と、第1の電極と、第2浸漬工程によって電解液中に浸漬された第2の電極とに逆方向の電圧を印加する第2電圧印加工程と、を備える。
上記の除染方法では、第1電圧印加工程によって放射性金属廃棄物を除染することができ、第2電圧印加工程によって第1の電極に付着した金属付着物を洗浄することができる。また、取り出し工程と第2浸漬工程によって、第1の電極を電解液中から取り出すことなく、放射性金属廃棄物と第2の電極とを入れ替えることができる。このため、第1の電極を洗浄するための作業負担を軽減することができ、第1の電極を容易に洗浄することができる。
実施例に係る除染装置の概略構成を模式的に示す図。 固定治具の構成を示す斜視図。 保持治具の構成を示す斜視図。 把持部の構成を示す上面図であり、把持部が放射性金属廃棄物を把持している状態を示す。 把持部の構成を示す上面図であり、把持部が金属板を把持している状態を示す。 実施例に係る除染装置を用いて放射性金属廃棄物を除染する方法の一例を示すフローチャート。 電極部の洗浄時における、電極部及び金属板の間の電圧値と時間との関係を示す図であり、(a)は本実施例の除染装置が備える電極部と金属板の間の電圧値と時間との関係を示しており、(b)はステンレス電極(比較例)と金属板の間の電圧値と時間との関係を示している。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書が開示する除染装置では、第1の電極は、チタン族に属する金属によって形成されていてもよい。このような構成によると、第1の電極に付着する金属付着物を洗浄する際に、第1の電極自体が溶解することを回避することができる。このため、第1の電極の耐久性を向上させることができる。また、第1の電極がチタン族に属する金属で形成されていると、第1の電極に付着する金属付着物を洗浄する際、第1の電極自体は溶解され難く、第1の電極に付着した金属付着物が溶解する。したがって、第1の電極の金属付着物の溶解の状況を、第1の電極と第2の電極との間の電気的な挙動を監視することによって検知することができる。このため、第1の電極の洗浄作業が不要に長くなることを回避することができる。
(特徴2)本明細書が開示する除染装置では、放射性金属廃棄物は円筒状であってもよい。接続部材は、接続部材を第1位置に位置決めしたときに、放射性金属廃棄物の軸方向が鉛直方向となるように放射性金属廃棄物を把持する把持部を備えていてもよい。このような構成によると、放射性金属廃棄物が円筒状である場合に、接続部材によって放射性金属廃棄物を把持することで、円筒状の放射性金属廃棄物を貯留槽内で安定して保持することができる。
(特徴3)本明細書が開示する除染方法では、第1の電極は、チタン族に属する金属で形成されていてもよい。第2電圧印加工程では、第1の電極と第2の電極の間に印加される電圧と、第1の電極と第2の電極の間を流れる電流の少なくともいずれか一方に基づいて、第1の電極と第2の電極との間に逆方向の電圧を印加することを停止してもよい。このような構成によると、第1の電極がチタン族に属する金属で形成されていることによって、第1の電極に付着する付着物の溶解の状況を検知することができる。このため、第2電圧印加工程において、第1の電極の洗浄が完了したことを検知することができ、第1の電極の洗浄作業が不要に長くなることを回避することができる。
以下、実施例に係る除染装置10について説明する。除染装置10は、例えば、原子力発電所や放射性物質を取り扱う施設に設置される配管等の円筒状の放射性金属廃棄物2を除染する。配管等の場合、放射性物質を含む成分が配管等の内周内を通過するため、その内表面が放射性物質によって汚染される。このため、本実施例の除染装置10は、円筒状の放射性金属廃棄物2の内表面を電解研磨するように構成される。図1に示すように、除染装置10は、貯留槽12と、電源装置16と、後述する電極部22を固定する固定治具20と、放射性金属廃棄物2を保持可能な保持治具40を備えている。
貯留槽12は、上面が解放された箱型形状を有している。貯留槽12の表面は絶縁性材料で覆われており、固定治具20及び保持治具40と絶縁されている。貯留槽12の内部には、固定治具20及び保持治具40が上方から挿入可能となっている。貯留槽12には、電解液14が満たされている。貯留槽12には、図示しない濾過装置が接続されている。貯留槽12内に貯留される電解液14は、濾過装置に送り出されて濾過され、貯留槽12に戻されるようになっている。すなわち、電解液14は、貯留槽12と濾過装置の間を循環するようになっている。電解液14は、電解研磨に用いられる公知の電解液を用いることができ、例えば、リン酸溶液を含有する電解液を用いることができる。電解液14内に放射性金属廃棄物2と電極部22を浸漬した状態で、放射性金属廃棄物2を電源装置16の陽極に接続し、電極部22を電源装置16の陰極に接続して電流を流すと、放射性金属廃棄物2の表面が電気化学的に溶解する。すなわち、放射性金属廃棄物2の表面を構成する鉄などの金属及び表面に付着した放射性物質が電解液14中に溶解する。
図2を参照して、固定治具20について説明する。固定治具20は、放射性金属廃棄物2を除染する際に陰極となる電極部22が固定されている。固定治具20を貯留槽12内に配置することによって、電極部22は貯留槽12内に配置される。図2に示すように、固定治具20は、複数の電極部22と、下部プレート24と、フレーム28と、接続部36と、ガイド部38を備えている。下部プレート24とフレーム28とガイド部38の表面は絶縁性材料で覆われており、これらの表面が電解研磨されないようになっている。なお、ガイド部38は、非導電性材料で形成されることによって、その表面が電解研磨されないようになっていてもよい。
電極部22は棒状であり、チタンで形成されている。電極部22がチタンで形成されていることによって、電極部22に付着した金属を洗浄する際に、付着した金属と共に電極部22自体が電解液14に溶解することを回避できる。なお、本実施例の電極部22はチタンで形成されているが、このような構成に限定されない。例えば、電極部22は、ジルコニウム等のチタン族に属する金属で形成されていてもよい。電極部22は、下部プレート24上に、下部プレート24に対して垂直に(図2ではZ方向に)設置されている。下部プレート24上には複数の電極部22が配置されており、複数の電極部22の高さ方向(すなわち、Z方向)の寸法は略一致している。本実施例では、10本の電極部22が5本×2列で配置されている。詳細には、X方向に伸びる直線上に5本の電極部22が配置され、これら5本の電極部22のそれぞれからY方向に略等距離離間した位置に残り5本の電極部22が配置されている。なお、本実施例では、固定治具20は10本の電極部22を備えているが、電極部22の数は特に限定されるものではなく、10本より多くてもよいし、10本より少なくてもよい。また、電極部22は、「第1の電極」の一例である。
下部プレート24は平面視すると略矩形の平板状であり、ステンレス鋼で形成されている。下部プレート24のX方向の寸法は、Y方向の寸法より大きくされている。下部プレート24の上面には、10本の電極部22が上方に向かって垂直に固定されている。上述したように、下部プレート24はステンレス鋼で形成され、電極部22はチタンで形成されている。このため、下部プレート24に流れる電荷は、下部プレート24から電極部22に流れる。また、下部プレート24には、複数の貫通孔26が設けられている。貫通孔26は弧状であり、2つの貫通孔26が1つの電極部22を囲う位置に配置される。後述するように、放射性金属廃棄物2を貯留槽12内に配置すると、電極部22は放射性金属廃棄物2の内周内に位置する。貫通孔26は、放射性金属廃棄物2を貯留槽12内に配置した状態で平面視したときに、電極部22と放射性金属廃棄物2の内周の間に位置するように形成される。下部プレート24に貫通孔26が設けられることによって、電解液14は、貫通孔26を通過し、放射性金属廃棄物2と電極部22の間を好適に循環することができる。
フレーム28は、ステンレス鋼で形成されており、4つの側部30と上部32を備えている。側部30は、Z方向に長尺に伸びる板状であり、下端が下部プレート24に接続しており、上端が上部32に接続している。詳細には、側部30の下端は、下部プレート24と平行になるように略直角に屈曲しており、この屈曲した部分で下部プレート24に接合されている。側部30の上端は、平面視すると、下部プレート24より外側に(図2ではY方向に)突出すると共に、上部32と平行になるように略直角に屈曲している。平面視したときに、側部30と下部プレート24の外周のX方向の寸法は、貯留槽12の内周のX方向の寸法より小さくされており、側部30と下部プレート24の外周のY方向の寸法は、貯留槽12の内周のY方向の寸法より小さくされている。したがって、固定治具20を貯留槽12内に設置したとき、側部30及び下部プレート24は貯留槽12内に配置される。
上部32は、固定治具20の上部に配置されており、4つの側部30に接合されている。上部32は下部プレート24と平行に配置されている。上部32は略矩形の外周と、その外周から一定の幅を有する略矩形の内周を備えている。上部32の内周は、平面視したとき、下部プレート24の外周と略一致する大きさにされている。したがって、上部32は、X方向に沿ってみたときに、下部プレート24より+Y方向側及び−Y方向側に突出している。また、上部32は、Y方向に沿ってみたときに、下部プレート24及び側部30より+X方向側及び−X方向側に突出している。上部32には、Y方向に沿って伸びる部分の中央付近に、凹部34が設けられている。凹部34は、後述の保持治具40の支持部72と係合する形状となっている。なお、凹部34の表面は絶縁性材料で覆われているため、上部32(すなわち、固定治具20)と支持部72(すなわち、保持治具40)とが電気的に接続されることは無い。
接続部36は、上部32に4つ接続されており、平面視したときに、上部32より+X方向側に突出する位置に2つ配置され、上部32より−X方向側に突出する位置に2つ配置されている。換言すると、接続部36は、2箇所の凹部34の両側に配置され、上部32の外側に突出している。固定治具20を貯留槽12内に設置したとき、4つの接続部36は貯留槽12の上面に当接する。また、接続部36は、電源装置16と電気的に接続される。電源装置16から流れる電荷は、接続部36、上部32、側部30、下部プレート24の順に流れ、下部プレート24から電極部22に流れる。したがって、電源装置16の陰極と接続部36を接続すると、電極部22は陰極として機能し、電源装置16の陽極と接続部36を接続すると、電極部22は陽極として機能する。なお、本実施例では、固定治具20を貯留槽12内に設置したときに4つの接続部36が貯留槽12の上面に当接するが、上部32(詳細には、上部32のY方向に沿って伸びる部分)が貯留槽12の上面に当接してもよい。
ガイド部38は、下部プレート24上に、下部プレート24に対して垂直に(すわなち、Z方向に)2本設置されている。2本のガイド部38は、下部プレート24の対角の位置の角部近傍に配置されており、詳細には、下部プレート24の+X方向かつ−Y方向の角部近傍と、−X方向かつ+Y方向の角部近傍の2箇所に配置されている。ガイド部38は、保持治具40を位置決めするために用いられる。なお、本実施例では、ガイド部38は、下部プレート24の2つの角部近傍に配置されているが、このような構成に限定されない。ガイド部38によって保持治具40が位置決めできればよく、ガイド部38の配置位置は限定されないし、ガイド部38の形状も限定されない。また、ガイド部38の数は限定されるものではなく、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
図3〜図5を参照して、保持治具40について説明する。保持治具40は、放射性金属廃棄物2又は金属板4を選択的に保持し、固定治具20内に設置可能となっている。なお、保持治具40は、「接続部材」の一例である。図3に示すように、保持治具40は、載置部42と、把持部50と、フレーム70と、支持部72と、取り出し部76を備えている。載置部42とフレーム70と取り出し部76の表面は、絶縁性材料で覆われている。なお、取り出し部76は、非導電性材料で形成されていてもよい。
載置部42は、保持治具40の下部に配置され、放射性金属廃棄物2又は金属板4を載置する。載置部42は、底部44と、側部46と、ガイド部48を備えている。
底部44は、平面視すると外周が略矩形であり、その外周の大きさは、上部32の内周の大きさより小さくされている。底部44は格子状に部材が配置されており、保持治具40を固定治具20内に配置したときに、電極部22が格子の間を通過するように構成されている。底部44が格子状となっていることによって、電解液14は、底部44に設けられた格子の間を通過することができる。このため、保持治具40を貯留槽12から取り出す際に、保持治具40と共に貯留槽12外に持ち出される電解液14の量を低減できる。なお、底部44に設けられる格子の大きさは特に限定されないが、底部44上に放射性金属廃棄物2又は金属板4を配置したときに、放射性金属廃棄物2及び金属板4が通過しない大きさとなっていることが好ましい。また、本実施例では、底部44は格子状となっているが、電極部22及び電解液14が通過できると共に、放射性金属廃棄物2又は金属板4を載置可能な構造となっていればよく、例えば、底部44は、複数の貫通孔が設けられた板材(例えば、パンチングメタル)や、網状の部材であってもよい。
側部46は板状であり、底部44及び後述の連結部68に接続している。側部46は、底部44のX方向側の両端に接続しており、底部44に対して垂直に設置されている。側部46の下部は底部44に接合されており、その板幅は下方から上方に向かって徐々に小さくなっている。側部46の上端側には、連結部68が接合されている。
ガイド部48は、底部44の外側に突出しており、本実施例では、底部44の+X方向側と−X方向側(図示省略)に突出している。ガイド部48には、ガイド孔48aが設けられている。ガイド孔48aは、棒状のガイド部38が貫通可能な寸法であり、かつ、ガイド部38に対応する位置に配置されている。すなわち、ガイド孔48aは、保持治具40が固定治具20内に設置されたときに、ガイド部38が貫通する位置に配置されている。固定治具20がガイド部38を備え、保持治具40がガイド孔48aを備えることによって、保持治具40を固定治具20内の適切な位置に設置することができる。
把持部50は、放射性金属廃棄物2又は金属板4を選択的に把持する。把持部50は、2つの側部46の間に配置されている。把持部50は、第1部材52と、第2部材62と、側部46に固定される連結部68を備えている。放射性金属廃棄物2又は金属板4は、第1部材52と第2部材62の間に配置される。なお、把持部50の放射性金属廃棄物2又は金属板4と接触する部位以外の表面は絶縁性材料で覆われており、これらの表面が電解研磨されないようになっている。
第1部材52は、略直方体状であり、ステンレス鋼で形成されている。第1部材52は、X方向に伸びており、X方向に沿って伸びる両側面には、複数の溝54が設けられている。溝54は、Z方向に伸びており、本実施例では、第1部材52の−Y方向側の側面に3箇所設けられており、第1部材52の+Y方向側の側面に3箇所設けられている。図4に示すように、溝54は、第1部材52のX方向に沿って伸びる側面52aに垂直な(すなわち、YZ平面に平行な)側面56a、56bと、側面52aと平行かつ側面56a、56bに垂直な(すなわち、XZ平面に平行な)側面58を備えている。
溝54は、保持治具40を固定治具20内に設置した状態でY方向に沿って見たときに、電極部22が側面58の中心部(X方向の中心部)と一致する位置に設けられる。本実施例では、Y方向に沿ってみたときに、10本の電極部22のうち、中央に配置される6本の電極部22と対応する位置に溝54が設けられており、両端の4本の電極部22と対応する位置には溝54が設けられていない。なお、溝54を設ける位置及び数は特に限定されることはなく、保持治具40に保持される放射性金属廃棄物2の位置及び数に応じて適宜設定することができる。すなわち、溝54は、放射性金属廃棄物2が配置される電極部22と対応する位置に設けられていればよく、溝54の数は限定されない。側面56a、56b、58の寸法は、放射性金属廃棄物2の大きさに合わせて決定される。詳細には、側面56a、56b、58の寸法は、放射性金属廃棄物2が第1部材52に接する位置に配置されたとき、放射性金属廃棄物2と第1部材52が、溝54の両縁部60a、60b(すなわち、側面52aと側面56a、56bの境界となる縁部)にのみ接触する寸法とされる。溝54をこのような寸法にすることによって、放射性金属廃棄物2が溝54に係合し、放射性金属廃棄物2を安定して保持することができる。また、放射性金属廃棄物2が溝54の側面58に接触しないため、放射性金属廃棄物2と第1部材52の接触部分を少なくすることができる。
すなわち、側面56a、56bのY方向の寸法が小さすぎると、溝54の深さ(Y方向の寸法)が浅くなり、放射性金属廃棄物2が側面58に接触する。すると、放射性金属廃棄物2と第1部材52の接触点が多くなる。また、側面58の寸法が小さすぎると、放射性金属廃棄物2が溝54に係合し難くなり、放射性金属廃棄物2を安定して保持できなくなる。側面58の寸法が大きすぎると、放射性金属廃棄物2が溝54内に収容され、溝54の両縁部60a、60bに接触しなくなる。したがって、放射性金属廃棄物2が溝54に係合せず、放射性金属廃棄物2を安定して保持できなくなる。第1部材52に上記のような構成の溝54を設けることによって、放射性金属廃棄物2を安定して保持できる。さらに、放射性金属廃棄物2と第1部材52の接触部分が少なくなることによって、保持治具40を貯留槽12から取り出す際に電解液14が放射性金属廃棄物2と第1部材52の間に滞留しにくくなり、貯留槽12外に持ち出される電解液14の量を低減することができる。特に、本実施例では、放射性金属廃棄物2が溝54の両縁部60a、60bにのみ接触するため、接触部分の近傍における放射性金属廃棄物2と第1部材52の間のクリアランスを広くとることができる。その結果、電解液14の表面張力によって、放射性金属廃棄物2と第1部材52の間に保持される電解液14の量を少なくすることができる。これにより、貯留槽12外に持ち出される電解液14の量を好適に低減することができる。
第1部材52は、側部46に固定される連結部68に着脱可能に設置されている。連結部68に装着される第1部材の種類を変更することによって、放射性金属廃棄物2と異なる直径を有する放射性金属廃棄物や種々の寸法の金属板4を、保持治具40に保持することができる。
第2部材62は略矩形の平板状であり、第1部材52とX方向に平行かつY方向に離間して配置される。第2部材62は、第1部材52の+Y方向側と−Y方向側にそれぞれ1つずつ配置されている。各第2部材62は、ボルト64によって第1部材52と連結している。ボルト64は、各第2部材62に対して2つずつ配置されており、第1部材52の両端部(すなわち、+X方向側の端部と−X方向側の端部)近傍に、それぞれ1つずつ配置されている。ボルト64の第1部材52へのねじ込み量を調整することによって、第1部材52と第2部材62との間の距離を調整することができる。
第2部材62と第1部材52の間には、放射性金属廃棄物2及び金属板4のいずれかが配置される。ボルト64を締め付けることによって、放射性金属廃棄物2又は金属板4は第1部材52と第2部材62との間に挟持される。第2部材62と第1部材52との間に放射性金属廃棄物2を配置する場合には、溝54が設けられる位置に合わせて、1本〜6本の放射性金属廃棄物2を保持することができる。
図4及び図5に示すように、第2部材62と第1部材52との間に金属板4を配置する場合には、第1部材52の+Y方向側と−Y方向側に1枚ずつ金属板4が配置される。金属板4は略矩形の板状であり、ステンレス鋼で形成されている。金属板4のX方向の寸法は、各第2部材62を第1部材52に連結する2つのボルト64間の距離より短くされている。このため、金属板4は、底部44上に載置された状態で第2部材62と第1部材52との間に配置することができる。また、図5に示すように、金属板4の板厚(Y方向の寸法)は、保持治具40を固定治具20内に設置したときに、第1部材52と電極部22との間に、金属板4と第2部材62が収まるような寸法にされている。したがって、金属板4のY方向の寸法は、放射性金属廃棄物2のY方向の寸法より小さい。ボルト64のねじ込み量によって、第1部材52と第2部材62との間の距離を、放射性金属廃棄物2が配置されている場合より小さくすることによって、第1部材52と第2部材62との間に金属板4を保持することができると共に、金属板4と第1部材52(詳細には側面52a)を電気的に接続することができる。なお、金属板4は、「第2の電極」の一例である。
また、第2部材62の第1部材52と対向する面には、緩衝材66が配置されている。緩衝材66によって、第2部材62と第1部材52との間に複数配置される放射性金属廃棄物2(本実施例では3本)の直径に誤差があっても、複数の放射性金属廃棄物2全てを安定して保持することができる。
フレーム70は、ステンレス鋼で形成されており、Z方向に長尺に伸びている。フレーム70は、連結部68に接続されており、2つのフレーム70が−X方向側に配置される連結部68と+X方向側に配置される連結部68にそれぞれ接続されている。
支持部72は、X方向に長尺に伸びる板状であり、ステンレス鋼で形成されている。支持部72のX方向の寸法は、固定治具20のX方向の寸法(すなわち、固定治具20において、−X方向に設置される接続部36から+X方向に設置される接続部36までの長さ)と略一致している。支持部72のY方向の寸法は、保持治具40全体のY方向の寸法より小さくされており、凹部34に係合する寸法となっている。支持部72は、保持治具40の上部、かつ、保持治具40のY方向の略中央の位置に配置されている。支持部72は、フレーム70に接続しており、フレーム70の+X方向側及び−X方向側に突出している。なお、既述したように、支持部72と固定治具20の凹部34とは絶縁されている。
支持部72の両端部には、電源装置16と電気的に接続される接続部74が配置されている。電源装置16から流れる電荷は、支持部72、フレーム70、連結部68、第1部材52の順に流れる。そして、把持部50に放射性金属廃棄物2が配置されている場合には、第1部材52に流れる電荷は、放射性金属廃棄物2に流れる。また、把持部50に金属板4が配置されている場合には、第1部材52に流れた電荷は金属板4に流れる。
把持部50に放射性金属廃棄物2を配置した場合には、電源装置16の陽極と接続部74を接続する。すると、放射性金属廃棄物2は陽極として機能する。把持部50に放射性金属廃棄物2を配置した状態で、保持治具40を貯留槽12内に設置すると、放射性金属廃棄物2の内周内に電極部22が挿入される。この状態で、固定治具20を電源装置16の陰極と接続し、保持治具40を電源装置16の陽極と接続すると、電極部22と放射性金属廃棄物2の内表面との間に電流が流れ、放射性金属廃棄物2の内表面から電解液14中に金属が溶解する。すなわち、放射性金属廃棄物2の内表面を構成する金属と共に、表面に付着した放射性物質が電解液14中に溶解する。これによって、放射性金属廃棄物2の内表面を除染することができる。この除染処理を続けると、電解液14中に溶解した金属が電極部22の表面に徐々に付着する。
一方、把持部50に金属板4を配置した場合には、電源装置16の陰極と接続部74を接続する。すると、金属板4は陰極として機能する。把持部50に金属板4を配置した状態で、保持治具40を貯留槽12内に設置すると、金属板4と電極部22が対向する。この状態で、固定治具20を電源装置16の陽極と接続し、保持治具40を電源装置16の陰極と接続すると、電極部22と金属板4との間に電流が流れる。すると、電極部22の表面に付着した金属が電解液14中に溶解する。このような除染処理によって、電極部22の表面に付着した金属を洗浄することができる。
なお、本実施例では、放射性金属廃棄物2を把持する際に用いる第1部材52及び第2部材62を用いて、把持部50に金属板4を把持しているが、このような構成に限定されない。金属板4が電源装置16と電気的に接続されると共に保持治具40に保持され、かつ、保持治具40を固定治具20内に設置したときに金属板4が電極部22と対向する位置に配置されればよい。例えば、金属板4を把持するための専用の第1部材及び第2部材を保持治具40に設置して、金属板4を保持治具40に保持させてもよい。ただし、同一の第1部材52及び第2部材62を用いて放射性金属廃棄物2又は金属板4を選択的に保持すると、複数種類の第1部材52や第2部材62を製造する必要がなくなる。このため、製造コストを抑えることができると共に、複数種類の第1部材及び第2部材を保管するためのスペースを削減することができる。また、電極部22の洗浄時に陰極となる金属部材の形状は、X方向に沿って伸びる板状に限定されない。例えば、電極部22の洗浄時に陰極となる金属部材は、Y方向に伸びる板材であってもよい。例えば、保持治具40を固定治具20内に配置したときに、隣接する電極部22間に位置し、隣接する電極部22を分離するように、複数の金属板を把持部50に保持してもよい。また、電極部22の洗浄時に陰極となる金属部材は、円筒状であってもよい。
取り出し部76は、Y方向に伸びる板材であり、支持部72の上面に接続されている。取り出し部76の上部には、突起78が取り付けられている。図示しないクレーンによって突起78を把持して上方に持ち上げることによって、保持治具40全体を貯留槽12から取り出すことができる。したがって、固定治具20を貯留槽12内に配置したまま、保持治具40のみを貯留槽12から取り出すことができる。また、取り出し部76は、ガイド孔48aの上方に設置されており、取り出し部76には、平面視したときに、ガイド孔48aと一致する位置にガイド孔80が設けられている。このため、保持治具40を固定治具20内に収容する際には、ガイド部38は、ガイド孔48aを貫通し、さらに、ガイド孔80を貫通する。ガイド孔80を備えることによって、保持治具40を適切な位置に配置することができる。なお、本実施例では、ガイド孔80が取り出し部76に設けられているが、このような構成に限定されない。ガイド孔80は、平面視したときにガイド孔48aと一致する位置に設けられていればよく、取り出し部76以外の部材に設けられていてもよい。
本実施例の除染装置10では、保持治具40に放射性金属廃棄物2と金属板4を選択的に設置することができる。また、固定治具20を取り出すことなく、保持治具40のみを取り出すことができる。このため、除染時に陰極として機能する電極部22を貯留槽12から取り出すことなく、保持治具40に設置する放射性金属廃棄物2と金属板4とを入れ替えることができる。したがって、電極部22を洗浄するための作業負担を軽減することができる。
次に、図6及び図7を参照して、本実施例の除染装置10を用いた放射性金属廃棄物2の除染方法について説明する。除染装置10では、放射性金属廃棄物2の除染処理を行うと共に、除染処理によって電極部22に付着した金属(以下、金属付着物ともいう)の洗浄処理を行う。
図6に示すように、まず、保持治具40に放射性金属廃棄物2を設置する(S12)。放射性金属廃棄物2の保持治具40への設置は、以下の手順で行われる。まず、貯留槽12外において、除染処理を行う放射性金属廃棄物2の径寸法に適した第1部材52を保持治具40に取り付ける。そして、放射性金属廃棄物2を載置部42上に載置する。このとき、放射性金属廃棄物2の側面が、溝54の縁部60a、60bに接触する位置に載置する。上述したように、第1部材52には溝54が6箇所設けられているため、溝54の位置に合わせて6本の放射性金属廃棄物2を載置する。なお、載置する放射性金属廃棄物2の数は、6本より少なくてもよい。放射性金属廃棄物2を載置部42に載置したら、第1部材52と第2部材62の間に放射性金属廃棄物2が把持されるように、第2部材62の位置を調整する。すると、放射性金属廃棄物2は保持治具40に設置される。
次に、ステップS12で放射性金属廃棄物2を設置した保持治具40を貯留槽12内に配置する(S14)。貯留槽12内には、電解液14が収容されており、さらに固定治具20が配置されている。保持治具40は、貯留槽12内に配置される固定治具20内に配置される。詳細には、2つのガイド部38をそれぞれガイド孔48aに貫通させながら、保持治具40を固定治具20内に挿入する。さらに、2つのガイド部38をそれぞれガイド孔80に貫通させ、支持部72を凹部34に係合させる。このようにして、保持治具40が固定治具20内に配置される。保持治具40が固定治具20内に配置されると、電極部22は、放射性金属廃棄物2の内周内に位置する。なお、ステップS14は、「第1浸漬工程」の一例である。
次に、固定治具20の接続部36を電源装置16の陰極に接続し、保持治具40の接続部74を電源装置16の陽極に接続して、2つの接続部36、74の間に電圧を印加する(S16)。すると、電極部22と放射性金属廃棄物2の内表面との間に電圧が印加され、陽極として機能する放射性金属廃棄物2の内表面から電解液14中に金属が溶解する。これにより、放射性金属廃棄物2の内表面が除染される。このとき、電解液14中に溶解した金属は、陰極として機能する電極部22の表面に徐々に付着する。なお、ステップS16は、「第1電圧印加工程」の一例である。
放射性金属廃棄物2の内表面が除染されたら、貯留槽12内から保持治具40を取り出す(S18)。このとき、固定治具20を貯留槽12内に配置した状態のまま、保持治具40を取り出すことができる。具体的には、突起78を図示しないクレーンで把持し、保持治具40を上方に持ち上げる。すると、保持治具40のみが貯留槽12外へ取り出される。なお、ステップS18は、「取り出し工程」の一例である。
次に、保持治具40から放射性金属廃棄物2を取り外し、保持治具40に金属板4を設置する(S20)。金属板4の保持治具40への設置は、以下の手順で行われる。まず、ボルト64を調整し、第2部材62を第1部材52から離間させる。そして、保持治具40から放射性金属廃棄物2を取り外す。その後、金属板4を載置部42上に載置する。このとき、金属板4を、金属板4の一方の面が第1部材52の側面52aに接触する位置に載置する。そして、第1部材52と第2部材62の間に金属板4が固定されるように、第2部材62の位置を調整する。すると、金属板4は保持治具40に保持される。
次に、ステップS20で金属板4を設置した保持治具40を貯留槽12内に配置する(S22)。なお、ステップS22は、ステップS14と同様の手順であるため、詳細な説明は省略する。保持治具40が固定治具20内に配置されると、電極部22と金属板4は対向する。なお、ステップS22は、「第2浸漬工程」の一例である。
次に、固定治具20の接続部36を電源装置16の陽極に接続し、保持治具40の接続部74を電源装置16の陰極に接続して、2つの接続部36、74の間に電圧を印加する(S24)。すなわち、ステップS24では、ステップS16と逆方向の電圧が印加される。すると、電極部22と金属板4との間に電圧が印加され、陽極として機能する電極部22の表面の金属付着物が電解液14中に溶解する。これにより、電極部22の表面が洗浄される。
電圧が印加されたら、電極部22と金属板4との間に印加される電圧値を計測する(S26)。ここで、図7を参照して、電極部22の洗浄時における電極部22と金属板4との間の電圧値について説明する。図7(a)は、電極部22の洗浄時における、電極部22及び金属板4の間の電圧値と時間との関係を示している。図7(b)は、比較例として、ステンレス鋼で形成した電極部(以下、ステンレス電極ともいう)の洗浄時における、ステンレス電極及び金属板4の間の電圧値と時間との関係を示している。なお、本実施例では、電源装置16に定電流源が用いられている。
電極部22と金属板4との間に電圧を印加すると、電極部22の表面の金属付着物が溶解する一方、チタンで形成されている電極部22は溶解しない。このため、図7(a)に示すように、電極間に定電流が流れると、電極部22の表面に付着した金属付着物が電解液14に溶解するに従って、電極部22と金属板4の間の電気抵抗が徐々に上昇する。このため、電極部22と金属板4の間に印加される電圧も上昇する。電極部22の表面の金属付着物が略全て溶解すると、電極部22と金属板4の間の電気抵抗が一定となり、両者の間に印加される電圧の電圧値も一定となる。したがって、電極部22と金属板4の間の電圧値を計測することによって、電極部22の表面の金属付着物の溶解の状況を検知することができる。一方、ステンレス電極と金属板4の間に電圧を印加すると、ステンレス電極の表面の金属付着物が溶解すると共に、ステンレス電極自体も溶解する。このため、図7(b)に示すように、電極間に定電流が流れると、金属付着物が全て溶解した後もステンレス電極自体が溶解し続けるため、電気抵抗が略一定となり、電圧値も略一定となる。したがって、ステンレス電極と金属板4との間の電圧値を計測しても、ステンレス電極の表面の金属付着物の溶解の状況を検知することができない。
次に、ステップS26で計測した電圧値が閾値以上であるか否かを判断する(S28)。上述したように、電極部22の表面の金属付着物が略全て溶解すると、電圧値は略一定となる。このため、本実施例では、金属付着物が略全て溶解したときの電圧値に基づいて閾値が設定されている。例えば、図7(a)に示す例では、閾値を20Vと設定することができる。したがって、計測した電圧値が閾値に達したか否かを判定することによって、電極部22の表面に付着した金属付着物の溶解が終了したと判定することができる。電圧値が閾値に達していない場合(ステップS28でNOの場合)、電極部22に付着した金属付着物が全て溶解していないと判断し、ステップS26に戻り、電圧値が閾値に達するまで電圧値の計測を続けながら洗浄処理を継続する。電圧値が閾値以上である場合(ステップS28でYESの場合)、電極部22に付着した金属の溶解が終了したと判断し、電圧の印加を停止し、洗浄処理を終了する。このように電圧値を監視することによって、洗浄処理の時間が不要に長くなることを回避することができる。なお、ステップS24〜ステップS28は、「第2電圧印加工程」の一例である。
本実施例の除染装置10を用いた除染方法では、除染時に陰極として機能する電極部22を固定する固定治具20を貯留槽12から取り出すことなく、放射性金属廃棄物2を保持する保持治具40を貯留槽12から取り出すことができる。このため、電極部22を貯留槽12内に配置したまま、放射性金属廃棄物2の代わりに金属板4を貯留槽12内に配置することができる。したがって、電極部22の洗浄処理を行う際に、電極部22を貯留槽12から取り出す必要がなく、作業負担を軽減することができる。
なお、本実施例では、ステップS26において電圧値を計測しているが、このような構成に限定されない。電極部22の表面の金属付着物の溶解の状況を検知できればよく、例えば、電源装置に定電圧源を用いて、電極部22と金属板4の間の電流値を計測してもよい。この場合には、金属付着物が溶解するに従って、電極部22と金属板4の間の電気抵抗が上昇するため、両者の間を流れる電流の電流値は下降する。そして、電極部22の表面の金属付着物が略全て溶解すると、電極部22と金属板4の間の電気抵抗が一定となるため電流値も一定となる。したがって、電極部22と金属板4との間を流れる電流値を計測することによって、電極部22の表面の金属付着物の溶解の状況を検知することができる。
また、本実施例の除染方法では、放射性金属廃棄物2の除染処理が終了する毎に、電極部22の洗浄処理を行っているが、このような構成に限定されない。例えば、電極部22の洗浄処理は、電極部22の表面に多量の金属付着物が付着し、除染能力が一定のレベルより低下したと判断された後に行ってもよい。すなわち、放射性金属廃棄物2の除染処理が終了した後、別の放射性金属廃棄物2の除染処理を繰り返し行い、除染能力が低下したときに電極部22の洗浄処理を行ってもよい。
また、本実施例では、除染装置10を用いて円筒状の放射性金属廃棄物2の内表面を電解研磨しているが、このような構成に限定されない。例えば、保持治具40に平板状の放射性金属廃棄物を設置し、平板状の放射性金属廃棄物の表面を電解研磨してもよい。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
2:放射性金蔵廃棄物
4:金属板
10:除染装置
12:貯留槽
14:電解液
16:電源装置
20:固定治具
22:電極部
24:下部プレート
38:ガイド部
40:保持治具
48a:ガイド孔
50:把持部
52:第1部材
60a、60b:縁部
62:第2部材
66:緩衝材
80:ガイド孔

Claims (5)

  1. 放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する除染装置であって、
    電解液が収容される貯留槽と、
    電源装置と、
    前記貯留槽内に配置可能とされ、前記電源装置と電気的に接続される第1の電極と、
    前記電源装置と電気的に接続され、前記放射性金属廃棄物と第2の電極とに選択的に接続される接続部材と、を備えており、
    前記接続部材は、前記第1の電極が前記貯留槽内に配置された状態のまま、前記貯留槽内に前記放射性金属廃棄物又は前記第2の電極が配置される第1位置と、前記貯留槽外に前記放射性金属廃棄物又は前記第2の電極が配置される第2位置とに切替え可能となっており、
    前記接続部材が前記放射性金属廃棄物に接続された状態で前記第1位置とされ、かつ、前記電源装置が、前記第1の電極が陰極となると共に、前記放射性金属廃棄物が陽極となるように電圧を印加することで、前記放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染し、
    前記第1の電極が前記貯留槽内に配置された状態で前記接続部材を第2位置とすることで、前記貯留槽外において前記接続部材に接続される部材を、前記放射性金属廃棄物と第2の電極との間で切替え、
    前記接続部材が前記第2の電極に接続された状態で前記第1位置とされ、かつ、前記電源装置が、前記第2の電極が陰極となると共に、前記第1の電極が陽極となるように電圧を印加することで、前記第1の電極に付着する金属付着物を洗浄する、除染装置。
  2. 前記第1の電極は、チタン族に属する金属によって形成されている、請求項1に記載の除染装置。
  3. 前記放射性金属廃棄物は円筒状であり、
    前記接続部材は、前記接続部材を前記第1位置に位置決めしたときに、前記放射性金属廃棄物の軸方向が鉛直方向となるように前記放射性金属廃棄物を把持する把持部を備えている、請求項1又は2に記載の除染装置。
  4. 放射性金属廃棄物を電解研磨によって除染する除染方法であって、
    電源装置と電気的に接続される前記放射性金属廃棄物を電解液に浸漬させる第1浸漬工程と、
    前記第1浸漬工程によって前記電解液中に浸漬された前記放射性金属廃棄物と、前記電解液中に配置されると共に前記電源装置と電気的に接続される第1の電極とに順方向の電圧を印加する第1電圧印加工程と、
    前記第1の電極が電解液中に配置された状態で、前記放射性金属廃棄物を前記電解液から取り出す取り出し工程と、
    前記取り出し工程後に、前記電源装置と電気的に接続される第2の電極を電解液に浸漬させる第2浸漬工程と、
    前記第1の電極と、前記第2浸漬工程によって前記電解液中に浸漬された前記第2の電極とに逆方向の電圧を印加する第2電圧印加工程と、を備える、除染方法。
  5. 前記第1の電極は、チタン族に属する金属で形成されており、
    前記第2電圧印加工程では、前記第1の電極と前記第2の電極の間に印加される電圧と、前記第1の電極と前記第2の電極の間を流れる電流との少なくともいずれか一方に基づいて、前記第1の電極と前記第2の電極との間に逆方向の電圧を印加することを停止する、請求項4に記載の除染方法。
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