JP2019049076A - ゴム補強用繊維コード - Google Patents

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Abstract

【課題】従来技術では達成できなかった、繊維とゴムとの耐熱接着性が改善され、かつゴム−コード複合体の応力緩和が改善されたゴム補強用繊維コードの提供。【解決手段】ゴムーコード複合体圧縮試験において、応力緩和率が50%以下であり、好ましくは、ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和の傾きが27以下であり、好ましくは、ゴム−コード複合体圧縮試験において、最大応力が500N以上であるゴム補強用繊維コード。好ましくはホース補強用繊維の断面における長径Aと短径Bの比(A/B)が1.3倍以上であり、ガーレーコード硬さが12mN以下であるゴム補強用繊維コード。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ、ホースおよびベルトなどのゴム製品に使用される繊維コードに関する。
ポリエステルやアラミドなどの繊維は、優れた強度、弾性率および熱寸法安定性を有するため、タイヤ、ホース、ベルトなどのゴム製品用補強材として従来から広く使用されている。しかし、補強材としてゴム製品中に埋め込まれて長期間使用されるとコードが劣化し、ゴム−コード複合体の応力緩和が発生したり、ゴムとコードの接着性が低下し、使用に耐えられなくなるという問題があった。
これらの問題を解決する方法として、以下の提案がされている。
特許文献1には、ポリエステル繊維を紡糸、或いは延伸時にポリエポキシド化合物を含む処理剤で処理し、次いでコードとした後に、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)、クロロフェノール系化合物を含む処理剤で処理する際に、該ゴムラテックスにポリブタジエン系ゴムラテックスを配合して処理することにより該処理コードのガーレー硬さを300mg以下にすることを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維について開示されている。
特許文献2には、ポリエポキシド化合物を予め付与したポリエステル繊維に、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)、およびクロロ変性レゾルシン(P)を含む処理剤を付与してなるホース補強用ポリエステル繊維コードであって、該処理剤が下記要件をすべて満たすことを特徴とするホース補強用ポリエステル繊維コードについて開示されている。
(A)R/F=1/0.5〜1/3 (モル比)
(B)RF/L=1/3〜1/15 (重量比)
(C)P/RFL=1/1〜1/5 (重量比)。
(D)RFの熟成時間:4〜8時間
(式中、Rはレゾルシン量、Fはホルマリン量、Lはゴムラテックス量、Pはクロロ変性レゾルシン量、RFはレゾルシン・ホルマリン量、RFLはレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス量を表す。)
特許文献3には、内管ゴム層にアクリロニトリル−ブタジエンゴムの配合物と、アクリルゴムを主成分とする配合物からなる多元共重合体ゴムを採用することにより、ゴムホースの応力緩和を低減する手法が開示されている。
特開平11−286876号公報 特開2008−202182号公報 特開昭62−28395号公報
しかしながら特許文献1および特許文献2によると初期接着性は充分であるが、耐熱接着力が十分でないものであった。特許文献3によると、ゴムの改質により応力緩和の改善は得られているものの、補強繊維による応力緩和の改善はなく、また初期接着力・耐熱接着力とも十分でないものであった。そこで本発明は、上述した従来技術では達成できなかった、繊維とゴムとの耐熱接着性が改善され、かつゴム−コード複合体の応力緩和が改善されたゴム補強用繊維コードを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであり、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明のゴム補強用繊維コードは、ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和率が50%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コードである。本発明のゴム補強用繊維コードにおいて、以下の(1)〜(4)がさらに好ましい条件であり、これらを適用することによって、さらに優れた効果を期待することができる。
(1)ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和の傾きが27以下であること
(2)ゴム−コード複合体圧縮試験において、最大応力が500N以上であること
(3)ゴム補強用繊維コードの断面における長径Aと短径Bの比(A/B)が1.3以上であること
(4)ガーレーコード硬さが12mN以下であること
本発明によれば、従来のゴム補強用繊維コードで達成できなかったゴム製品中で使用された時の耐熱接着性が改善され、かつゴム−コード複合体の応力緩和が改善されたゴム補強用繊維コードが得られる。
ガーレーコード硬さの測定器の斜視図である。 コード断面と長径Aおよび短径Bの関係を示す概略図である。 ゴム−コード複合体圧縮試験のサンプルにおけるコードとゴム板の位置関係を概略図である。
以下に、本発明について詳述する。
本発明のゴム補強用繊維コード(以下、コードと称することがある)は、有機繊維からなるコードである。本発明のゴム補強用繊維コードは、タイヤ、ベルト、ホース等、自動車用をはじめとする様々な用途の各種ゴム部材に好ましく用いられ、耐久性向上が図ることができる。
上記ゴム補強用繊維コードに用いる有機繊維としては、マルチフィラメントの形態であることが好ましい。また、有機繊維を構成する素材としては特に制約はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリビニルアルコール、レーヨン、アラミドから選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましい。なかでもポリエチレンテレフタレート、ナイロン66、アラミドから選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で更に好ましい。
また、本発明で用いる有機繊維は、あらかじめポリエポキシド化合物が付与されたものであってもよい。本発明で使用することのできるポリエポキシド化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキリレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドである。
これらの化合物は、通常は乳化液や溶液として使用され、有機繊維に付与される。溶液にするには、該化合物をそのままか、水に溶かして用いる。乳化液にするには必要に応じて少量の溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化して用いる。
該ポリエポキシド化合物は、有機繊維の製糸工程において紡糸油剤と共に付与しても良い。この際の該ポリエポキシド化合物の付着量は、好ましくは0.05〜5重量%の範囲である。該ポリエポキシド化合物の付着量を上記範囲にすることで、ポリエポキシド化合物の効果が十分に発揮され、有機繊維とゴムとの接着性を十分に得ることができ、また、コードの柔軟性が保たれ次工程以降の工程通過性についても良好なものとなる。
本発明で用いる有機繊維は、繊度やフィラメント数等の制約を受けないが、通常、総繊度200〜5000dtex、30〜1000フィラメントが好ましく、総繊度250〜3000dtex、50〜500フィラメントが特に好ましい。20dtex未満であるとコードの強度が不足する恐れがあり、また、5000dtexを超えるとコードが太くなり、取り扱い性が低下する恐れがある。また、30フィラメント未満であるとコードが硬くなり、取り扱い性が悪化する恐れがある。500フィラメントを超えると毛羽が多くなり品質が低下する恐れがある。
本発明のゴム補強用繊維コードは、通常上記有機繊維を撚糸して生コード(撚りコード)とし、その後に接着剤処理して得られる。
有機繊維に撚りをかける場合、撚り係数K1が、200≦K1≦2000であることが好ましく、より好ましくは200≦K1≦1500である。撚り係数をこの範囲とすることで良好な耐疲労性および、良好なコードの強度を得ることができる。
なお、撚り係数Kは下記式で表されるものである。
K=T×D1/2
(K:撚り係数、T:単位長さあたりの撚り数(回/10cm)、D:総繊度dTex)
RFL接着剤としては、通常用いられるレゾルシン-ホルマリン初期縮合物(RF)にゴムラテックス(L)を加えたRFL処理剤を用いれば実用性のあるゴム接着性が得られる。
RFL接着剤は、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含むものである。レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスとはレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスからなる混合物である。該レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)は、特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いて調製することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルムアルデヒドを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.30〜1:5.0、好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものを用いる。ホルムアルデヒドのモル比を上記の範囲とすることで良好な接着力を得ることができる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスの調製に用いるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。
また、使用するラテックスのガラス転移温度は−30℃以下のものが好ましい。使用するラテックスのガラス転移温度が上記温度以下のものを用いることでより柔軟な接着剤皮膜を形成でき、ゴムとコードを複合させる加硫時にゴム−樹脂層間の密着性が高まり、十分な接着力を発揮できる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比(レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物/ゴムラテックス)を固形分重量で、1/8以下にすることが好ましい。配合比を上記範囲とすることで柔軟な接着剤皮膜を形成でき、ゴムとコードを複合させる加硫時にゴム−樹脂層間の密着性が高まり、十分な接着力を発揮できる。
本発明のゴム補強用繊維コードは、ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和率が50%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コードである。応力緩和率が50%を超えるとゴム−コード複合体のへたりが大きくなり、例えばゴムホースにした際のカシメ圧の低下が早まるなど、ゴム製品としての寿命が短くなる。応力緩和率が50%以下となるゴム補強用繊維コードを得る方法は特に限定されないが、例えばガラス転移温度が−30℃以下のラテックス(L)のみを使用し、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比(レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物/ゴムラテックス)を固形分重量で、1/8以下とする接着剤を付与させた後、接着剤付与後の熱処理温度を180〜220℃とすることで達成できる。
本発明におけるゴム補強用繊維コードのゴム−コード複合体圧縮試験における応力緩和の傾きは27以下であることが好ましい。27以下とすることで、ゴム−コード複合体のへたりを抑制でき、好ましい。ゴム−コード複合体圧縮試験における応力緩和の傾きが27以下となるゴム補強用繊維コードを得る方法は特に限定されないが、例えば接着剤付与後の熱処理温度を180〜220℃とした上で、0.5MPa以上の圧力をかけてニップロールで加圧を行うことで達成できる。
本発明におけるゴム補強用繊維コードのゴム−コード複合体圧縮試験における最大応力は500N以上であることが好ましい。500N以上とすることで、ゴム−コード複合体の初期応力が高くなり、例えばゴムホースにした際のカシメ圧が高くなり、ゴムホースの液漏れ等を防ぐことができる。ゴム−コード複合体圧縮試験における最大応力が500N以上となるゴム補強用繊維コードを得る方法は特に限定されないが、例えばガラス転移温度が−30℃以下のラテックス(L)のみを使用し、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比(レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物/ゴムラテックス)を固形分重量で、1/8以下とする接着剤を付与させた後、ドライ処理時のコード張力を1.0〜2.0cN/dTexとすることで達成できる。
なお、ゴム−コード複合体圧縮試験については後述する。
本発明におけるゴム補強用繊維コードのガーレーコード硬さは12mN以下であることが好ましい。12mN以下とすることで、ゴムとコードの複合体においてコードのゴムへの追従性が向上し、良好な接着力を得ることができる。ガーレーコード硬さを12mN以下とする方法は特に限定されないが、接着剤付与後の熱処理温度を180〜220℃とした上で、機械的ソフニング処理時の張力を0.5cN〜5.0cN/dtexとすることで達成できる。
接着剤を有機繊維もしくは生コードに付与するには接着剤のディップ液に浸漬する方法が好ましい。該ディップ液における接着剤の固形分濃度は3〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜25重量%である。ディップ液における接着剤の固形分濃度を上記範囲にすることで、十分な接着力を得ることおよび該ディップ液の保存安定性を保つことができ、また有機繊維コード表面にディップ液を均一に付着させる上でのバランスが良くなる。 ゴム補強用繊維コードに対する該接着剤の付着量は、ゴム補強用繊維コード重量に対して0.2〜5重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量%の範囲である。接着剤の付着量を上記範囲にすることで良好な接着力を得ることができ、また、コードの柔軟性が保たれることで耐疲労性が向上する。さらに、処理工程上でのロールに固形分のガムアップが抑制されることで、良好な操業安定性を得ることができる。
有機繊維もしくは生コードに対する接着剤の付着量を制御するには、例えば、圧接ローラーによる絞り、スクレバー等によるかき落とし、圧空による吹き飛ばし、吸引等の方法を使用することができる。
接着剤を付与した有機繊維もしくは生コードは、70〜150℃で、0.5〜5分間乾燥(ドライ処理)した後、180〜220℃で0.5〜5分間熱処理し(ホット処理)、続いてコード物性制御のため、180〜220℃で0.5〜5分間熱処理(以下ノルマライズ処理と呼ぶ)することが好ましい。このようにして繊維表面に接着剤による被膜を形成できるが、場合によっては乾燥を省略することもできる。温度の上限に制約はないが、熱処理温度を上記範囲とすることでより柔軟な接着剤皮膜を形成でき、ゴムとコードを複合させる加硫時にゴム−樹脂層間の密着性が高まり、十分な接着力を発揮できる。一方で、ホット処理およびノルマライズ処理の温度が180℃未満では、ゴムとの接着が不十分となることがあり180℃以上とすることがより好ましい。また、ドライ処理時のコード張力は0.1〜2.0cN/dTexが好ましい。この範囲とすることでコードの強力を良好に保つことができる。さらに、ドライ処理時のコード張力を1.0〜2.0cN/dTexとすることで、接着剤をコード表面に偏在化させることができ、ゴムーコード複合体圧縮試験における最大応力を高まるため、さらに好ましい。
ゴム補強用繊維コードは、接着剤を付与され、乾燥、熱処理工程を経た後に、コード硬さを下げるために、機械的ソフニング処理が施されてもよい。ここで、機械的ソフニング処理とは、エッジ刃によってコードを屈曲させることにより、乾燥熱処理中に硬化した樹脂を柔軟化させる処理である。
エッジ刃によってコードが屈曲する角度は100°〜130°が好ましく、115°〜125°がさらに好ましい。屈曲角度を上記範囲とすることで有効的に樹脂を柔軟化させることができる。
また、機械的ソフニング処理の際のコード張力は、0.5〜5.0cN/dtexであることが好ましく、3.0〜4.0cN/dtexであることがさらに好ましい。コード張力を上記範囲とすることで、良好なコード強力を保持できる範囲でコードを柔軟化させることができる。
ゴム補強用繊維コードは、コード断面における長径Aと短径Bの比(A/B)が1.3以上の扁平状であることが好ましい。ここで長径Aとはコード断面における最も長い径をいい、短径Bは長径Aに直交する径のうち最も長い径をいう。図2にコード断面と長径Aおよび短径Bの関係を示す。コード断面を扁平状に成形する方法としては、接着剤を付与され、乾燥、熱処理工程を経た後に、ニップロール等で加圧しながら巻き取る方法や扁平形状の金型を通して成形しながら巻き取る方法など、任意の方法が利用できる。ニップロールで加圧を行う際は、コードにかかる圧力として、0.5MPa以上の圧力をかけることにより、コードを扁平化させることができる。
以上の処理を経ることにより、本発明のゴム補強用コードを得ることができる。
本発明によれば、ゴム加硫工程や製品使用中に、耐熱接着性が改善され、かつゴム−コード複合体の応力緩和が改善されたゴム補強用繊維コードが得られる。そのため、本発明のゴム補強用繊維コードを含むゴム製品は、該繊維コードとゴム間の接着力が実用上十分であり、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に長期間の使用に耐えることができる。また、ゴム−コード複合体の応力緩和が改善されることにより、ゴムホースの性能改善、特にホースのカシメ圧低下が改善され、より長期間の使用に耐えることができる。
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明においてゴム補強用コードの特性値の測定方法、評価方法は以下に示すとおりである。
(1)処理剤付着量:
JIS L1017(2002)8.15 b)の質量法によって求めた。
(2)初期剥離接着力および耐熱剥離接着力
コードを隙間が無いようにアルミ板に巻き付け、アルミ板の片側に表1に示した配合組成のEPDM系ゴムを張り付け、初期剥離接着力は150℃、30分で、耐熱剥離接着力は170℃、70分間のプレス加硫を行った。このとき、ゴムの厚さは3mmとし、ゴムと繊維コードの面圧が3MPaとなるように、プレス圧力を調整した。アルミ板への繊維コードの巻きつけについて、各水準毎に繊維方向に縦200mm、繊維方向に対し垂直方向に幅30mm巻き付け、巻き付け時の張力は0.5cN/dtexとした。放冷後、コードが接着されたゴム側サンプルを切断してアルミ板から取り出し、更にサンプルを縦200mmのまま、幅20mmに切断した。このサンプルを温度20℃、湿度65%の環境下で50mm/分の速度で、ゴムと繊維コードが90°の角度になるように保ちながら、ゴムから繊維コードをオリエンテック社製テンシロンRTM−100型試験機を用いて剥離したときの剥離力の積分値をN/20mmで表示した。
(3)ガーレーコード硬さ
処理コードを長さ1mに切り出して、その一端に、金属製フックを結びつけ、他端に300gの重りを結びつけ、温度25℃、相対湿度40%に調節された環境下、空中に24時間吊してコードを鉛直に保持し、測定試料を得た。
これを38.1mm(1.5インチ)に切断して試験片とし、安田精機(株)製の「Gurley’s stiffness tester」でガーレーコード硬さを測定した。
図2に「Gurley’s stiffness tester」の斜視図を示す。
試験片の取付けおよび測定法は、(ア)試料長さに合わせてチャック1を設定位置に固定させ、試験片2を取付ける。(イ)回転棒3の下部(軸受より下部)に荷重任意設定孔が軸より25.4mm(1インチ)(図1中のW1)、50.8mm(2インチ)(図1中のW2)、および101.6mm(4インチ)(図1中のW3)の位置にあるので試験片2の柔軟性に応じ荷重の重さおよび孔の位置を設定する。この場合、目盛板4に針5が2〜4に指示するように、荷重および孔の位置を選ばなければならない。(ウ)試験片2に見合う設定ができたならば、駆動ボタンを押し、駆動軸を左右に動かし、針が指す目盛板4の数値を0.1単位まで読取る。(エ)1つの試験片2につき、左右1回、試験片10本、計20回の値を求め、1試料の平均値を求める。計算法は、次のとおりである。各測定値の平均値を、次式で計算した。
・ガーレーコード硬さ(mN)=R×{(W1×25.4)+(W2×50.8)+(W3×101.6)}×(L−12.7)2/W×3.375×10−5
ただし、
R:測定値の平均値
W1:25.4mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W2:50.8mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W3:101.6mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
L :試料長さ(mm)
W :試験片の幅(コードゲージ)(mm)
である。
(4)ゴム−コード複合体圧縮試験における応力緩和率
図3に示す通り、表1に示した配合組成のEPDM系ゴムを評価するコードのコードゲージと同じ厚みに成形し、そのゴム板の上面に60000dtex/inch(25.4mm)となるようにコードを張力をかけながら並べ、さらに上面から同じ厚みのEPDM系ゴム板を貼り付けた。コードを並べる際の張力は0.5cN/dtexとした。このサンプルを2個作製し、重ね合わせた後、さらに上下にコードゲージの2倍の厚みのEPDM系ゴム板をそれぞれ貼り合わせ、150℃、30分でプレス加硫を行った。コードとゴム板の位置関係を図3に示す。このときゴムとコードの面圧が3MPaとなるように、プレス圧力を調整した。放冷後に、コード長手方向をタテとして、サンプルをヨコ25.4mm×タテ10mmに裁断し、測定サンプルとした。この測定サンプルを接触面が2mm×3mmの圧子を用いて、温度20℃、湿度65%の環境下で1mm/分の速度でコードゲージの7倍の距離まで圧縮をかけ、そのまま2時間保持した。最大圧縮をかけた瞬間の応力を最大応力(Tmax)とし、2時間保持後の応力をTとし、以下の数式で表される応力緩和率を算出した。
応力緩和率(%)=(Tmax−T)/Tmax
(5)ゴム−コード複合体圧縮試験における応力緩和の傾き
(4)に示されるゴム−コード複合体圧縮試験において、最大圧縮時から2時間保持までの応力を対数グラフにプロットし、近似直線の傾きを算出した。
(6)ゴム−コード複合体圧縮試験における最大応力
(4)に示されるゴム−コード複合体圧縮試験において、最大圧縮時の応力を最大応力とした。
(7)ゴム補強用繊維コードの断面における長径Aと短径Bの比(A/B)
コードを無作為に20箇所切断して断面写真を撮影し、写真から長径Aと短径Bを読み取り、A/Bの平均値(n=20)を算出した。
(実施例1)
レゾルシン・ホルマリン初期縮合物(RF)とゴムラテックスを固形分でRF/L=1/20の割合で混合した固形分濃度のRFL接着剤を調製した。RFL接着剤の調製方法は以下の通りである。レゾルシン(R)とホルマリン(F)の初期縮合物(RF)は、(R/F)のモル比を1/2、固形分濃度を20重量%とし、水酸化ナトリウム触媒下で6時間熟成したレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を使用した。その後、下記ゴムラテックスを添加し、さらにイオン交換水を添加して固形分濃度を20重量%とし、24時間熟成したあとに、イオン交換水を添加し、固形分濃度10重量%のRFL接着剤を調製した。
ゴムラテックス:2518FS(日本ゼオン(株)製、Tg=−44℃)
あらかじめポリエポキシド化合物を付与した1670dTexのポリエステルマルチフィラメント糸(東レ(株)製“テトロン”1670−288−707C)1本を、撚り数160t/mで撚糸して、未処理コードとした。
ポリエポキシド化合物:EX−421(ナガセケムテックス(株)製)
該未処理コードを、コンピュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製)を用いて前記のRFL接着剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し(ドライ処理)、引き続き190℃で0.5分間熱処理(ホット処理)を行い、さらに、190℃で0.5分間熱処理(ノルマライズ処理)を行った。処理したコードに3.5cN/dtexの張力がかかる条件下で機械的ソフニングを施し、さらに1.1MPaのニップ圧力かけて扁平化しながら巻き取り、ゴム補強用繊維コードを得た。
得られた処理コードの樹脂付着量、長径Aと短径Bの比、ガーレーコード硬さ、初期剥離接着力、耐熱剥離接着力、ゴムーコード複合体圧縮試験における応力緩和率、応力緩和の傾き、最大応力をそれぞれ測定した。その結果を表2に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜3)
実施例1において、RF/L比、熱処理温度を表2に示すように変更し、ソフニング条件とニップ圧力を変更して、ガーレー硬さと扁平率を変更した以外は実施例1と同じ条件で処理し、同様にして評価した。評価結果を、表2に併せて示す。
表2および3の結果のように、本発明による実施例のゴム補強用繊維コードは、従来のゴム補強用繊維コード(比較例)よりも、ゴムーコード複合体圧縮試験における応力緩和率、最大応力、応力緩和の傾き、初期接着性および耐熱接着性が良好であることがわかる。
1 チャック
2 試験片
3 回転棒
4 目盛板
5 針
W1 荷重設定孔(軸より25.4mm(1インチ))
W2 荷重設定孔(軸より50.8mm(2インチ))
W3 荷重設定孔(軸より101.6mm(4インチ))
6 コード
7 ゴム板(厚み:コードゲージと同じ)
8 ゴム板(厚み:コードゲージの2倍)

Claims (5)

  1. ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和率が50%以下であることを特徴とするゴム補強用繊維コード。
  2. ゴム−コード複合体圧縮試験において、応力緩和の傾きが27以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用繊維コード。
  3. ゴム−コード複合体圧縮試験において、最大応力が500N以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用繊維コード。
  4. ホース補強用繊維の断面における長径Aと短径Bの比(A/B)が1.3以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載のゴム補強用繊維コード。
  5. ガーレーコード硬さが12mN以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載のゴム補強用繊維コード。
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