以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。始めに、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る運転支援装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る運転支援装置を含む走行制御システムの構成を示す説明図である。
本実施の形態に係る運転支援装置1は、自車両と障害物との衝突を回避または衝突被害を軽減するための自動緊急ブレーキ制御を含む運転支援制御を実行する装置である。運転支援装置1は、車両の自動緊急ブレーキの作動対象物を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて、自動緊急ブレーキを制御する走行制御装置10とを備えている。
検出手段としては、センサからの情報に基づいて、車両の外部環境を認識する装置が用いられる。センサとしては、例えば、ステレオカメラ、単眼カメラ、カラーカメラ等のカメラ装置や、ミリ波レーダやレーザーレーダ等のレーダ装置が用いられる。本実施の形態では特に、検出手段は、車両に搭載されたステレオカメラ21,22によって撮像された一対の撮像画像を処理して、作動対象物を3次元的に認識するステレオ画像認識装置20である。走行制御装置10およびステレオ画像認識装置20と、後述する複数の装置は、車載ネットワークを形成する通信バス50を介して互いに接続されている。
運転支援装置1は、更に、車速や加減速度等の車両の状態量を検出する状態量検出装置30を備えている。走行制御装置10は、ステレオ画像認識装置20の認識結果に加えて、状態量検出装置30の検出結果に基づいて、自動緊急ブレーキを制御する。
本実施の形態では、走行制御装置10は、車両の主要な制御を行う制御部でもある。走行制御装置10が行う主な制御としては、車両のエンジンの運転状態を制御するエンジン制御、4輪のブレーキ装置を制御するブレーキ制御、車両の操舵系に設けられた電動パワーステアリングモータを制御するステアリング制御等がある。
また、図示しないが、通信バス50には、自車位置情報検出装置、車車間通信装置および道路交通情報通信装置が接続されている。走行制御装置10は、ステレオ画像認識装置20および状態量検出装置30を含む複数の装置からの情報に基づいて、自動緊急ブレーキ制御を含む衝突防止制御、定速走行制御、追従走行制御、レーンキープ制御、車線逸脱防止制御、追い越し制御等の運転支援制御や、これらの制御を協調させた自動運転制御を実行する。走行制御装置10の構成については、後で詳しく説明する。
また、図示しないが、通信バス50には、運転者に対して警告・報知を行う警報装置が接続されている。警報装置は、走行制御装置10からの指令によって、自動緊急ブレーキが実行される前に、衝突の危険があることを運転者に対して警告する機能を有している。自動緊急ブレーキは、上記の警告があっても運転者が適切な回避行動、具体的にはブレーキペダルを踏まなかったり、ステアリングホイールを操舵しなかったりした場合に実行される。
以下、ステレオ画像認識装置20とステレオカメラ21,22について詳しく説明する。ステレオカメラ21,22は、CCDやCMOS等の撮像素子を有するシャッタ同期のカメラによって構成されている。ステレオカメラ21,22は、例えば、フロントウィンドウ内側のルームミラーの近傍において、所定の基線長で車幅方向に固定されている。
ステレオ画像認識装置20は、ステレオカメラ21,22で撮像した一対の画像に対してステレオマッチング処理を行うことにより、一対の画像の対応位置の画素ずれ量(視差)を求め、画素ずれ量から求まる距離情報の分布を示す距離画像を生成する。距離画像上の点は、例えば、ステレオカメラ21,22の中央真下の道路面を原点として、車幅方向、車高方向および車長方向(距離方向)に平行な3つの直線を座標軸とする3次元空間の座標値に変換される。これにより、ステレオ画像認識装置20は、自車両が走行する車線区画線(白線等)、道路脇の標識および信号機、自車両の前方にある車両、自車両の前方を横断する車両や歩行者、対向車線を走行する対向車、および道路上の障害物等を、3次元的に認識する。これらの認識結果に基づいて、自車走行路が推定されると共に、自車走行路およびその近傍に位置する複数の立体物が検出される。
自動緊急ブレーキの作動対象物は、上記の複数の立体物から選択される。例えば、ステレオ画像認識装置20は、上記の複数の立体物のうち、自車両に最も近い立体物を、作動対象物として選択する。
次に、走行制御装置10の構成について詳しく説明する。図1に示したように、本実施の形態では、走行制御装置10は、少なくとも、自動緊急ブレーキを制御する自動緊急ブレーキ制御部11と、目標減速度算出部12と、危険度判定部13とを含んでいる。
目標減速度算出部12は、ステレオ画像認識装置20によって検出された作動対象物の情報と、状態量検出装置30によって検出された車両の状態量の情報に基づいて、自動緊急ブレーキの目標減速度を算出する。目標減速度は、例えば、自車両と作動対象物との距離および相対速度から衝突予想時間を求め、この衝突予想時間に基づいて算出される。また、目標減速度算出部12は、算出された目標減速度に基づいて、目標減速度に到達するまでの減速度の変化率、具体的には減速度の時間変化率であるジャークを算出する。
危険度判定部13は、自動緊急ブレーキの作動対象物との衝突危険性を判定する。本実施の形態では特に、危険度判定部13は、目標減速度に基づいて、作動対象物との衝突危険性を判定する。目標減速度算出部12における目標減速度およびジャークを算出する処理(以下、減速度算出処理と言う。)と、危険度判定部13における作動対象物との衝突危険性を判定する処理(以下、危険度判定処理と言う。)は、一連の処理として、自動緊急ブレーキの実行中に繰り返し実行される。上記一連の処理の内容については、後で詳しく説明する。
目標減速度算出部12は、危険度判定部13の判定結果に基づいて、ジャークの値を調整する。具体的には、目標減速度算出部12は、危険度判定部13によって作動対象物との衝突危険性が高いと判定された場合には、ジャークの値を大きくする。
自動緊急ブレーキ制御部11は、目標減速度算出部12によって算出された目標減速度と、目標減速度算出部12によって算出および調整されたジャークに従って、自動緊急ブレーキが実行されるように、ブレーキ装置等を制御する。
次に、本実施の形態における自動緊急ブレーキの実行手順について説明する。図2は、自動緊急ブレーキの基本的な実行手順を示すフローチャートである。図2に示した手順は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
図2に示した例では、自動緊急ブレーキは、第1のブレーキと第2のブレーキとを含んでいる。第1のブレーキは、運転者に対する警告を主目的としている。第2のブレーキは、運転者が適切な回避行動を行わなかった場合に、障害物との衝突を回避または衝突被害を軽減することを主目的としている。第2のブレーキの減速度の最大値は、第1のブレーキの減速度よりも大きい。
まず、ステップS11において、自動緊急ブレーキ制御部11は、第2のブレーキの実行条件を満たすか否かを判定する。第2のブレーキの実行条件は、例えば、衝突予想時間と、予め規定された第2のブレーキを実行する基準の時間(以下、第2の基準時間と言う。)によって規定される。この場合、衝突予想時間が第2の基準時間以下の場合に、第2のブレーキの実行条件を満たすと判定される。
ステップS11において第2のブレーキの実行条件を満たすと判定された場合(YES)には、次に、ステップS12において、目標減速度算出部12は、第2のブレーキの目標減速度である第2の目標減速度を算出する。以下、第2の目標減速度を、目標減速度D2と記す。次に、ステップS13において、目標減速度算出部12は、目標減速度D2に到達するまでの減速度の変化率である第2の変化率として、ジャークJ2を算出する。次に、ステップS14において、自動緊急ブレーキ制御部11は、算出された目標減速度D2およびジャークJ2に従って減速度を変化させて、第2のブレーキを実行する。なお、後述する減速度算出処理と危険度判定処理によって目標減速度D2とジャークJ2が更新された場合には、更新後の目標減速度D2とジャークJ2に従って、第2のブレーキを実行する。
ステップS11において第2のブレーキの実行条件を満たさないと判定された場合(NO)には、次に、ステップS21において、自動緊急ブレーキ制御部11は、第1のブレーキの実行条件を満たすか否かを判定する。第1のブレーキの実行条件は、例えば、衝突予想時間と、予め規定された第1のブレーキを実行する基準の時間(以下、第1の基準時間と言う。)によって規定される。この場合、衝突予想時間が第1の基準時間以下の場合に、第1のブレーキの実行条件を満たすと判定される。
ステップS21において第1のブレーキの実行条件を満たすと判定された場合(YES)には、次に、ステップS22において、目標減速度算出部12は、第1のブレーキの目標減速度である第1の目標減速度を算出する。以下、第1の目標減速度を、目標減速度D1と記す。次に、ステップS23において、目標減速度算出部12は、目標減速度D1に到達するまでの減速度の変化率である第1の変化率として、ジャークJ1を算出する。次に、ステップS24において、自動緊急ブレーキ制御部11は、算出された目標減速度D1およびジャークJ1に従って減速度を変化させて、第1のブレーキを実行する。
ステップS21において第1のブレーキの実行条件を満たさないと判定された場合(NO)には、自動緊急ブレーキは実行されない。
次に、図3を参照して、減速度算出処理と危険度判定処理について詳しく説明する。前述のように、減速度算出処理と危険度判定処理は、一連の処理として、自動緊急ブレーキの実行中に、所定の周期毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS31において、目標減速度算出部12は、目標減速度D2を算出する。次に、ステップS32において、目標減速度算出部12は、ジャークJ2の候補であるジャークJNを算出する。
次に、ステップS33において、危険度判定部13は、第1の判定処理を行う。第1の判定処理では、目標減速度D2と所定の第1の閾値とを比較する。第1の閾値としては、例えば、0.9G(1G=9.8m/s2)以上の大きな値が用いられる。目標減速度D2が第1の閾値よりも大きい場合(YES)には、危険度判定部13は、作動対象物との衝突危険性が高いと判定する。この場合、目標減速度算出部12は、ジャークJNよりも大きなジャークJHを所定の規則に従って算出し、ジャークJHをジャークJ2として設定する(ステップS34)。所定の規則としては、例えば、予め定められた値をJHにすることや、JNに所定の値を加えてJHを算出することや、JNに所定の値を乗じてJHを算出することが挙げられる。
目標減速度D2が第1の閾値以下の場合(NO)には、次に、ステップS35において、危険度判定部13は、第2の判定処理を行う。第2の判定処理では、まず、危険度判定部13は、参照減速度DRを設定する。参照減速度DRは、過去に算出された目標減速度およびジャークに基づいて設定される。本実施の形態では、参照減速度DRは、基本的に、第1のブレーキの目標減速度D1およびジャークJ1に基づいて設定される。具体的には、第1のブレーキの減速度が目標減速度D1に達している場合は、目標減速度D1を参照減速度DRとし、第1のブレーキの減速度が目標減速度D1に達していない場合は、ジャークJ1に従って増加する減速度の現在値を参照減速度DRとする。第1のブレーキが実行されない場合には、所定の値(例えば0)を参照減速度DRとする。
次に、危険度判定部13は、目標減速度D2と参照減速度DRとの差D2−DRを求めることを含む演算によって算出される目標減速度差を求め、この目標減速度差と所定の第2の閾値とを比較する。なお、「差D2−DRを求めることを含む演算」は、差D2−DRを求めた後に、差D2−DRの絶対値を求める等の演算を行うことを含む。本実施の形態では、上記目標減速度差として、差D2−DRを用いる。差D2−DRが第2の閾値よりも大きい場合(YES)には、危険度判定部13は、作動対象物との衝突危険性が高いと判定する。この場合、目標減速度算出部12は、前述のように算出されたジャークJHをジャークJ2として設定する(ステップS34)。
差D2−DRが第2の閾値以下の場合(NO)には、目標減速度算出部12は、ジャークJNをジャークJ2として設定する(ステップS36)。
以上説明したように、本実施の形態では、危険度判定部13は、目標減速度D2が第1の閾値よりも大きい場合、または、目標減速度差すなわち差D2−DRが第2の閾値よりも大きい場合に、作動対象物との衝突危険性が高いと判定する。目標減速度算出部12は、危険度判定部13によって作動対象物との衝突危険性が高いと判定された場合には、ジャークの値を大きくする。これにより、本実施の形態によれば、減速度を迅速に変化させることができ、その結果、衝突を回避または衝突の衝撃を軽減することが可能になる。以下、この効果について、図4ないし図7を参照して詳しく説明する。
図4は、自動緊急ブレーキの制御パターンを模式的に示す説明図である。図4において横軸は時間を示し、縦軸は減速度を示している。横軸に付した記号t0〜t8は、時刻を表している。時刻t0は、後述する第3および第4の例を除く場合における自動緊急ブレーキの制御が開始されるタイミングを表している。時刻t8は、自動緊急ブレーキの制御が終了するタイミングを表している。なお、図4では、便宜上、減速度の大きさおよび変化の態様を、実際とは異なる大きさおよび態様で描いている。
図5は、自動緊急ブレーキが実行される第1の例と第2の例を示している。図6は、自動緊急ブレーキが実行される第3の例を示している。図7は、自動緊急ブレーキが実行される第4の例を示している。
第1の例は、自動緊急ブレーキの作動対象物が、自車両100の走行路上の前方にある車両(以下、先行車両と言う。)200である場合の例であり、先行車両200が信号等で停止している場合の例である。第1の例では、図4において符号61を付した実線で示したような制御パターンに従って、自動緊急ブレーキが実行される。第1の例では、まず、第1のブレーキが実行される。時刻t0から時刻t2までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、ジャークJ1に従って減速度を増加させる。なお、図4では、時刻t0から時刻t2までの期間における実線の傾きが、ジャークJ1に対応する。
時刻t2から時刻t5までの期間は、減速度が目標減速度D1に達した後の期間である。この期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、減速度を一定の値(目標減速度D1)に維持する。
第1の例では、時刻t5以降に、第2のブレーキが実行される。第1の例は、特に、時刻t5において、前述の第1の判定処理または第2の判定処理によって、作動対象物との衝突危険性が高いと判定されない場合の例である。時刻t5から時刻t6までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、ジャークJ2に従って減速度を増加させる。なお、図4では、時刻t5から時刻t6までの期間における実線の傾きが、ジャークJ2に対応する。
時刻t6から時刻t7までの期間は、減速度が目標減速度D2に達した後の期間である。この期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、減速度を一定の値(目標減速度D2)に維持する。
時刻t7から時刻t8までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、減速度を減少させる。時刻t8において減速度が0になると、自動緊急ブレーキの制御が終了する。
第2の例は、自車両100と先行車両200が互いに近い速度で走行している場合に、先行車両200が急減速する場合の例である。第2の例では、図4において符号62を付した一点鎖線で示したような制御パターンに従って、自動緊急ブレーキが実行される。なお、図4において、時刻t0から時刻t1までの期間および時刻t6から時刻t8までの期間では、一点鎖線と実線が重なり合っている。第2の例では、まず、第1のブレーキが実行される。時刻t0から時刻t1までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、ジャークJ1に従って減速度を増加させる。
第2の例は、時刻t1において、前述の第1の判定処理または第2の判定処理によって、作動対象物との衝突危険性が高いと判定された場合の例である。この場合、時刻t1における減速度が参照減速度DRとなる。第2の例では、ジャークJHがジャークJ2として設定されて、第2のブレーキが実行される。時刻t1から時刻t3までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、ジャークJ2すなわちジャークJHに従って減速度を増加させる。なお、図4では、時刻t1から時刻t3までの期間における一点鎖線の傾きが、ジャークJHに対応する。図4では、便宜上、ジャークJHに対応する一点鎖線の傾きを、ジャークJ2に対応する実線の傾きと等しくしている。
時刻t3から時刻t7までの期間は、減速度が目標減速度D2に達した後の期間である。この期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、減速度を一定の値(目標減速度D2)に維持する。
このように、第2の例では、衝突回避を優先するために、ジャークJHがジャークJ2として設定される。これにより、ジャークJHよりも小さなジャークがジャークJ2として設定されている場合に比べて、減速度が目標減速度D2に達するまでの時間を短くすることができる。
なお、目標減速度算出部12は、自動緊急ブレーキの制御中に、目標減速度とジャークを複数回算出する。第2の例のように、第1のブレーキを実行した後に第2のブレーキを実行する場合には、目標減速度算出部12は、目標減速度として、第1のブレーキの目標減速度D1と第2のブレーキの目標減速度D2をそれぞれ少なくとも1回算出し、ジャークとして、第1のブレーキのジャークJ1と第2のブレーキのジャークJ2をそれぞれ少なくとも1回算出する。
第3の例は、自動緊急ブレーキの作動対象物が、自車両100の前方に飛び出してくる歩行者300の場合の例である。第4の例は、自動緊急ブレーキの作動対象物が、自車両100の前方を横切るように走行する車両400の場合の例である。第3および第4の例では、図4において符号63を付した二点鎖線で示したような制御パターンに従って、自動緊急ブレーキが実行される。なお、図4において、時刻t5から時刻t8までの期間では、二点鎖線と実線が重なり合っている。第3および第4の例では、第1のブレーキが全くまたはほとんど実行されずに、第2のブレーキが実行される。
第3および第4の例は、時刻t4において、前述の第1の判定処理または第2の判定処理によって、作動対象物との衝突危険性が高いと判定された場合の例である。この場合、前述のように、ジャークJHがジャークJ2として設定される。時刻t4から時刻t6までの期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、ジャークJ2すなわちジャークJHに従って減速度を増加させる。なお、図4では、時刻t4から時刻t6までの期間における二点鎖線の傾きが、ジャークJHに対応する。図4では、便宜上、ジャークJHに対応する二点鎖線の傾きを、ジャークJ2に対応する実線の傾きと等しくしている。
時刻t6から時刻t7までの期間は、減速度が目標減速度D2に達した後の期間である。この期間では、自動緊急ブレーキ制御部11は、減速度を一定の値(目標減速度D2)に維持する。
このように、第3および第4の例では、衝突回避を優先するために、ジャークJHがジャークJ2として設定される。これにより、ジャークJHよりも小さなジャークがジャークJ2として設定されている場合に比べて、減速度が目標減速度D2に達するまでの時間を短くすることができる。
以上説明したように、本実施の形態では、危険度判定部13によって作動対象物との衝突危険性が高いと判定された場合には、目標減速度算出部12は、ジャークの値を大きくする。これにより、本実施の形態によれば、減速度が目標減速度D2に達するまでの時間を短くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、減速度を迅速に変化させることができ、その結果、衝突を回避または衝突の衝撃を軽減することが可能になる。
また、本実施の形態では、上述のように、目標減速度に基づいて、具体的には目標減速度D2と参照減速度DRを用いて、作動対象物との衝突危険性を判定している。これにより、本実施の形態によれば、簡単に、作動対象物との衝突危険性を判定することができる。
なお、一般的に、ジャークは、後続車両の追突等のリスクを低減するために、その大きさが制限されている。これに対し、本実施の形態では、上述のように、衝突危険性が高い場合には、衝突回避を優先するために、ジャークの値を大きくしている。
ところで、目標減速度D2が第1の閾値よりも大きい場合に、衝突危険性が高いと判定することができる理由は、以下の通りである。例えば、第3および第4の例のように、作動対象物が突然出現するような場合には、停止までの余裕がなく、可能な限り大きな目標減速度D2が設定される。このように、目標減速度D2が大きければ、衝突が差し迫った状況である可能性が高く、衝突危険性が高いと判定することができる。
また、目標減速度D2が第1の閾値以下の場合であっても、差D2−DRが第2の閾値よりも大きい場合に、衝突危険性が高いと判定することができる理由は、以下の通りである。例えば、第2の例のように、先行車両が急減速をするような場合には、自車両と先行車両との車間距離が急激に減少する。このような場合には、第2のブレーキの介入タイミングが早まって、参照減速度DRの値が減少し、その結果、差D2−DRが大きくなる。このように、差D2−DRが大きければ、作動対象物の挙動が急激に変化するような状況である可能性が高く、衝突危険性が高いと判定することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。