JP2019013956A - 異種金属接合体の製造方法および異種金属材料の接合方法 - Google Patents

異種金属接合体の製造方法および異種金属材料の接合方法 Download PDF

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法孝 江口
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Abstract

【課題】チタン系材料と鉄系材料の重ね接合をするに際し、異種金属の接触による腐食を防止する。
【解決手段】チタン系材料と鉄系材料を重ね接合して得られる異種金属接合体の製造方法であって、チタン系材料と鉄系材料の少なくとも一方の面に対し、チタン系材料と鉄系材料との重ね合わせ領域における少なくともチタン系材料と鉄系材料との接合部を含む領域に樹脂系のシーリング材を塗布する工程と、シーリング材がチタン系材料と鉄系材料の間に介在するように、チタン系材料と鉄系材料を重ね合わせる工程と、摩擦撹拌接合を用いてチタン系材料と鉄系材料を接合する工程と、を順に有し、接合する工程において、接合部の周縁から重ね合わせ領域の端部に至るまでシーリング材が介在する異種金属接合体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、海洋構造物の喫水線近傍の耐食性向上に向け、構造用鋼に対して部分的にチタン系材料をライニングするための、摩擦撹拌接合による異種金属接合体の製造方法および異種金属材料の接合方法に関する。
海洋上に建設される空港や橋梁等の海洋構造物においては、常時厳しい腐食環境下に晒されている。特に、この海洋構造物の鋼矢板では、海面の干満差による変動によって海水と空気が交互に接触する領域が存在し、こうした領域では他の領域よりも更に優れた耐食性が要求される。
海洋構造物の耐食性を向上させるという観点から、これまでにも様々な技術が提案されており、その一つとして海洋構造物の鋼矢板表面をポリエチレンやウレタンエラストマーからなる防食層で被覆する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、こうした技術では強度や耐久性の点で十分とは言えず、10〜15年程度で耐食性が劣化してしまい、その都度全面的な補集工事が必要になる。こうしたことから、海洋構造物における鋼矢板の耐食性を更に向上させるための技術の確立が望まれているのが実情である。
一方、チタン系材料は優れた強度や耐食性を有することが知られており、こうした特性を生かして幅広い分野で利用されている。また、チタン系材料を海洋構造物の防食技術に応用するという観点からも種々検討されている。例えば、特許文献1には、鋼板からなる基材表面に、当該基材の周縁部を残してチタン板またはチタン合金板をMIG溶接法によって接合し、防食用パネル構造体とした技術が開示されている。
また、特許文献2には、チタンクラッド薄鋼板(鋼板部)を鋼体(鋼矢板部)にアーク溶接にてライニングする構造において、チタンクラッド薄鋼板の端面および溶接によって生じた溶接金属部をロウ付け材にて封止した、チタンクラッド薄鋼板と鋼体との溶接部防食構造が開示されている。
更に、特許文献3には、チタン板と鋼板とを摩擦撹拌接合する方法であって、チタン板と鋼板の間にろう材を挿入し、摩擦撹拌接合を行うと同時に、その際発生する熱によりろう付けを行うことで、高い接合強度と端部の耐食性を有する接合継手の製造方法が開示されている。
特許第3954479号公報 特開平11−333587号公報 特開2003−305586号公報
「防食技術セミナー」、社団法人鋼材倶楽部、平成6年3月発行、第20頁
ところで、チタン系材料を海洋構造物へ適用することを考慮した場合、チタンは他の金属元素に対して比較的高価であることから、チタン系材料の優れた耐海水腐食性を担保しつつも、鋼板へのチタン系材料のライニングは必要最低限の部位に適用するという経済性が要求される。
上記特許文献1〜3に示すような、海洋構造物などへの耐海水腐食性を対象としたチタン系材料のライニング技術にあっても、ある程度の耐海水腐食性を担保することができるものの、チタン系材料のライニングを必要最低限に適用する場合にあっては、必ずしも高い耐海水腐食性を満足させるものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チタン系材料と鉄系材料を重ね接合するに際し、異種金属の接触による腐食を防止することのできる異種金属接合体の製造方法および異種金属材料の接合方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、チタン系材料と鉄系材料を重ね接合するに際し、これら異種金属材料の界面に樹脂系のシーリング材を介した状態で摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding)を行い、チタン系材料と鉄系材料を接合させ、接合部の周縁から重ね合わせ領域の端部に至るまでをシーリング材で介在させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]に係るものである。
[1]チタン系材料と鉄系材料を重ね接合して得られる異種金属接合体の製造方法であって、
前記チタン系材料と前記鉄系材料の少なくとも一方の面に対し、前記チタン系材料と前記鉄系材料との重ね合わせ領域における少なくとも前記チタン系材料と前記鉄系材料との接合部を含む領域に樹脂系のシーリング材を塗布する工程と、
前記シーリング材が前記チタン系材料と前記鉄系材料の間に介在するように、前記チタン系材料と前記鉄系材料を重ね合わせる工程と、
摩擦撹拌接合を用いて前記チタン系材料と前記鉄系材料を接合する工程と、を順に有し、
前記接合する工程において、前記接合部の周縁から前記重ね合わせ領域の端部に至るまで前記シーリング材が介在することを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
[2]前記接合する工程において、前記シーリング材を前記接合部の周縁に排出しながら接合を行う上記[1]に記載の異種金属接合体の製造方法。
[3]前記接合する工程において、前記接合部及びその周縁部の前記シーリング材が完全に硬化する前に接合を行う上記[1]または[2]に記載の異種金属接合体の製造方法。
[4]前記接合する工程において、前記チタン系材料と前記鉄系材料とが直接接合している上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の異種金属接合体の製造方法。
[5]前記シーリング材を塗布する工程において、前記シーリング材の塗布厚さが0.25mm超え1.00mm未満である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の異種金属接合体の製造方法。
[6]前記チタン系材料が板厚1.5mm以下の板材であり、前記鉄系材料が板厚10mm以上の構造用鋼材である上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の異種金属接合体の製造方法。
[7]前記接合する工程において、前記摩擦撹拌接合のツール回転数が150rpm未満、かつ、接合速度が100mm/min未満である上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の異種金属接合体の製造方法。
[8]チタン系材料と鉄系材料を重ね合わせて接合する異種金属材料の接合方法であって、
前記チタン系材料と前記鉄系材料の少なくとも一方の面に対し、前記チタン系材料と前記鉄系材料との重ね合わせ領域における少なくとも前記チタン系材料と前記鉄系材料との接合部を含む領域に樹脂系のシーリング材を塗布する工程と、
前記シーリング材が前記チタン系材料と前記鉄系材料の間に介在するように、前記チタン系材料と前記鉄系材料を重ね合わせる工程と、
摩擦撹拌接合を用いて前記チタン系材料と前記鉄系材料を接合する工程と、を順に有し、
前記接合する工程において、前記接合部の周縁から前記重ね合わせ領域の端部に至るまで前記シーリング材が介在することを特徴とする異種金属材料の接合方法。
本発明によれば、チタン系材料と鉄系材料の重ね接合をするに際し、異種金属の接触による腐食を防止することのできる異種金属接合体の製造方法および異種金属材料の接合方法を提供することができる。
図1は、チタン系材料と鉄系材料を摩擦撹拌接合により接合している状態を示す概略図である。 図2は、接合線横断方向における短冊状の引張試験片の採取要領を示す図である。 引張試験結果の合否判断基準を説明するための概略図であり、図3(A)は撹拌部での界面破断の状態を示す図であり、図3(B)は純チタン板での母材破断の状態を示す図である。 接合部断面の外観判断の合否判断基準を説明するための概略図であり、図4(A)は撹拌部に開口する欠陥を有する状態を示す図であり、図4(B)は撹拌部に開口する欠陥を有さない状態を示す図である。 シーリング材の塗布条件についての探索試験の要領を示す図であり、図5(A)はシーリング材を鉄系材料に塗布した状態でチタン系材料を重ね合わせて摩擦撹拌接合する際状態を示す図であり、図5(B)はシーリング材を鉄系材料に塗布した状態を示す斜視図である。 図6は、本実施例のNo.6の継手断面における接合界面近傍のEDS線分析結果を示す図である。 純チタン板と構造用鋼板の重ね部への塩水噴霧状況の模式図であり、図7(A)はシーリング材を介さない場合の例、図7(B)はシーリング材を介した場合の例である。 塩水噴霧試験による耐食性評価の結果を示す図である。
本発明者らは、チタン系材料と鉄系材料の重ね接合をするに際し、異種金属の接触による腐食を防止することのできる異種金属接合体の製造方法を提供するため、鋭意検討を行ってきた。
その結果、チタン系材料と鉄系材料との重ね合わせ面の間に樹脂系のシーリング材を介在させた状態で、シーリング材が硬化する前に摩擦撹拌接合を用いて接合することにより、異種金属の接触による腐食を効果的に防止できること、すなわち高い耐食性が図られることを見出した。また、後述する実施例で示すように、接合部の機械的特性(すなわち、接合継手強度)や塩水噴霧試験による耐食性を評価し、所望の性能を得るための摩擦撹拌接合条件やシーリング材塗布条件を種々検討したことにより、高い継手強度と高い耐食性の両立を効果的に実現し得るための異種金属接合体の製造方法を特定するに至った。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
<異種金属接合体の構造>
図1は、チタン系材料10と鉄系材料20を摩擦撹拌接合により接合している状態を示す図である。本実施形態におけるチタン系材料10と鉄系材料20との異種金属接合体100は、チタン系材料10と鉄系材料20とが樹脂系のシーリング材30を介して重ねられており、捨て板50によりこれらの材料が固定されている。このような状態において、ツール40を用いた摩擦撹拌接合により、チタン系材料10と鉄系材料20が接合される。なお、図1に示す各寸法値は、後述する実施例で用いた溶接継手における各部材の寸法を示している。
図1に示すように、チタン系材料10と鉄系材料20との間に介在するシーリング材30は、チタン系材料10と鉄系材料20との接合部60の周縁を取り囲むように配置されている。また、接合部60の周縁からチタン系材料10と鉄系材料20との重ね合わせ領域の端部に至るまでシーリング材30が介在している。
ところで、異種金属同士を接触させた場合には、異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)が発生するケースが多いことが知られている。異種金属接触腐食は、腐食電位が卑な金属がアノード、貴な金属がカソードとなって電池を構成し、卑な金属の方の腐食が促進される現象である。例えば、チタン系材料10と鉄系材料20とを接触させた場合には、腐食電位がチタン系材料10よりも卑な鉄系材料20の腐食が促進される。その場合の腐食速度は、鉄系材料20を単独で使用する場合よりも極めて大きく、早期に穴あきなどの損傷を引き起こすおそれがある。
しかしながら、本実施形態においては、接合部60の周縁を取り囲みつつ、異種金属材料の重ね合わせ領域の端部に至るまでシーリング材30が介在することにより、チタン系材料10と鉄系材料20の重ね端部にて腐食が停留し、重ね合わせ面の隙間への腐食の進行が抑制され得る。
チタン系材料10と鉄系材料20の重ね面の隙間はシーリング材30で充填される一方、チタン系材料10と鉄系材料20との接合部60においては、摩擦撹拌接合におけるツール40による回転および加圧の作用に基づき、接合予定部位(接合部)に存在するシーリング材30の少なくとも一部が接合部60の周縁に排出される。シーリング材30が接合部60の周縁に排出されることにより、チタン系材料10と鉄系材料20とが直接接合され、接合部の機械的特性、すなわち接合継手強度が十分に確保され得る。
<異種金属接合体の製造方法>
本実施形態における異種金属接合体100は、以下の手順で製造される。まず、チタン系材料10と鉄系材料20の少なくとも一方の面に対し、チタン系材料10と鉄系材料20との重ね合わせ領域における少なくともチタン系材料10と鉄系材料20との接合部60を含む領域に、絶縁性を有する樹脂系のシーリング材30を塗布する。
シーリング材30の塗布は、チタン系材料10の表面のみ、鉄系材料20の表面のみ、またはチタン系材料10および鉄系材料20の両面のいずれであっても良い。また、シーリング材30は、後記する接合する工程において、シーリング材30が接合部60の周縁から重ね合わせ領域の端部に至るまで介在するものであれば、接合部60を含む一部の領域に塗布しても構わない。しかし、耐食性をより確実に得るためには、シーリング材30を重ね合わせ領域全体に塗布することが好ましい。
次に、塗布されたシーリング材30がチタン系材料10と鉄系材料20との間に介在するように、チタン系材料10と鉄系材料20とを重ね合わせる。
そして、重ね合わされた異種金属接合体100に対し、塗布されたシーリング材30が好ましくは硬化する前に、ツール40を用いて摩擦撹拌接合を行う。この際、接合部60に存在するシーリング材30の少なくとも一部は、ツールの回転力および加圧力の影響により接合部60の周縁に排出されることが、耐食性および継手強度向上の観点より好ましい。接合部60の周縁に排出されたシーリング材30は、接合部60の周縁に残存して、接合部60を取り囲むような状態で硬化する。また、排出されたシーリング材30は接合部60周縁から重ね合わせ領域の端部に至るまで連続して介在している。
接合部に塗布されたシーリング材30が、摩擦撹拌接合により接合部60の周縁に排出されやすくするためには、接合部及びその周縁部のシーリング材30が完全に硬化する前に摩擦撹拌接合を行うことが好ましい。なお、「完全に硬化する前」は、ツール40の回転および加圧の際に、流動性を確保できるものであればシーリング材30の一部が硬化したもの(例えば、シーリング材30の表面のみが一部硬化したもの等)も含む趣旨である。
シーリング材30が完全に硬化するまでの時間は、使用するシーリング材30の種類や気温等により適宜選択されるものであるが、例えば、2時間以内であることが好ましい。
また、接合部60は、摩擦撹拌接合により接合部60に存在していたシーリング材30の少なくとも一部が排出されることで、チタン系材料10と鉄系材料20とが直接接合され得る。なお、チタン系材料10と鉄系材料20とが直接接合される場合、接合部60の少なくとも一部が直接接合されるものであれば良いが、接合部60の機械的特性をより高める観点からは、接合部60の全体が直接接合されている方が好ましい。
<異種金属接合体およびその製造方法の各構成要素>
本実施形態における異種金属接合体の製造方法で用いる樹脂系のシーリング材30は、チタン系材料10と鉄系材料20との異種金属接触による腐食を防止し得るもの、すなわち絶縁性を確保できるものが求められる。また、摩擦撹拌接合時の温度に耐えうる程度の耐熱性(例えば、シーリング材30の融点が摩擦撹拌接合時に生じる温度以上)を確保できることも求められる。上記の絶縁性および耐熱性を確保できるものであれば、特に種類は限定されない。上記性能を満足し得るものとして、例えば、一液性室温硬化型シリコーン接着剤(RTV(Room Temperature Vulcaning)型シリコーン接着剤)が例示される。また、一液性室温硬化型シリコーン接着剤以外に、一液性熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤や二液性室温硬化型エポキシ樹脂系接着剤などを用いるのでも構わない。
シーリング材30の塗布厚さの下限としては、後述する実施例で示すように、0.25mm超えであることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。また、シーリング材30の塗布厚さの上限としては、後述する実施例で示すように、1.00mm未満であることが好ましく、0.75mm以下であることがより好ましい。シーリング材30の塗布厚さが0.25mm超えであると、チタン系材料10と鉄系材料20が重ね合わされた隙間(板隙)にシーリング材30が十分に充填されるため好ましい。一方、シーリング材30の塗布厚さが1.00mm未満である場合、上記隙間へのシーリング材30の過剰な充填を抑制できるため好ましい。
また、シーリング材30が硬化した後、すなわち異種金属接合体100が完成した後の、上記重ね合わせ領域の端部付近におけるシーリング材30の厚さは、基本的にはシーリング材30の塗布厚さと変わらない。ただし、摩擦撹拌接合の際、塗布されたシーリング材30が、チタン系材料10と鉄系材料20との重ね合わせ面から排出される場合やシーリング材30の硬化により膨張する場合もあり得るため、上記重ね合わせ領域の端部付近における硬化した後のシーリング材30の厚さに対して±50%以内の厚さを、塗布時のシーリング材の厚さと推定する。
本実施形態における異種金属接合体100に用いられるチタン系材料10は、純チタン材料あるいはチタン合金材料であることを示す。これら材料の材質については特に制限されない。例えば、純チタン材料としては、JIS H 4600(2012)のJIS2種(TP340)が好適なものとして挙げられるが、海洋構造物として適用可能なものであれば、それ以外の純チタン材料(JIS1種、JIS3種、JIS4種)であっても構わない。同様に、チタン合金材料も、例えばJIS H 4600(2012)のJIS11種、JIS12種、JIS14種が好適なものとして挙げられるが、海洋構造物として適用可能なものであれば、それ以外のチタン合金材料であっても構わない。
なお、チタン系材料10の板厚の上限は1.5mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。チタン系材料10の板厚が1.5mm以下であると、経済性(コストのかかるチタン系材料10の使用量を必要最低限とすること)の観点により好ましい。
また、本実施形態における異種金属接合体100に用いられる鉄系材料20は、鋼材、鉄基合金など鉄を主成分とする材料であれば特に限定されない。例えば、JIS G 3101(2015) SS400が好適なものとして挙げられるが、海洋構造物として適用可能なものであれば、それ以外の鉄系材料であっても良い。
なお、鉄系材料20の板厚の下限としては10mm以上であることが好ましい。鉄系材料20の板厚が10mm以上であると、異種金属接合体100の強度確保の観点により好ましい。
続いて、本実施形態における異種金属接合体100の製造方法で適用される摩擦撹拌接合の各種条件については、本発明の目的を達成し得るものであれば特に制限されないが、摩擦撹拌接合におけるツール回転数は、後述する実施例で示すように、150rpm未満であることが好ましく、100rpm以下であることがより好ましい。ツール回転数が150rpm未満であれば、接合欠陥の抑制の観点により好ましい。
また、摩擦撹拌接合における接合速度は、100mm/min未満であることが好ましく、50mm/min以下であることが好ましい。接合速度が100mm/min未満であると、接合欠陥の抑制の観点により好ましい。
なお、ツール40の材質については、本発明の目的を達成し得るものであれば特に制限されないが、チタン系材料10との反応抑制の観点からはCo系材料からなるツール40を用いることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(摩擦撹拌接合の適正条件についての探索試験)
まず、チタン系材料として表1に示す化学成分(供試材)の純チタン板(JIS H 4600(2012) TP340C:JIS2種)を準備した。また、鉄系材料として表2に示す化学成分(供試材)の構造用鋼板(JIS G 3101(2015) SS400)を準備した。なお、純チタン板の板厚は1.5mm、構造用鋼板の板厚は10.0mmとした。更に、純チタン板と構造用鋼板の間に介在させるシーリング材として、高い耐熱性を有する一液性室温硬化型(RTV)シリコーン系シーリング材(商品名:ThreeBond1209、スリーボンド社製)を準備した。
次に、上記構造用鋼板における上記純チタン板との重ね合わせ面全体にRTVシーリング材を塗布し(塗布厚さ:0.75mm)、シーリング材が構造用鋼板と純チタン板の間に介在するように、構造用鋼板と純チタン板を重ね合わせた。
続いて、シーリング材が完全に硬化する前(シーリング材を塗布してから30分以内)に、構造用鋼板と純チタン板との重ね合わせ面の一部の領域に対して摩擦撹拌接合を行った。摩擦撹拌接合は、Co系の摩擦撹拌接合用ツールを用い、ツール前進角3degとした。また、純チタン板と構造用鋼板との接合面は、グラインダにより黒皮を除去することにより行った。
なお、本試験用の継手形状は、図1に示すような重ね継手とした。前述したように、図1に示す各寸法値は、実施例で用いられた溶接継手における各部材の寸法を示している。
純チタン板と構造用鋼板を接合した後、図2に示す引張試験片の採取要領に基づき、接合線横断方向における短冊状の引張試験片の採取を行った(図2に示す各数値の単位:mm)。具体的には、接合方向から見てほぼ中央部に位置する、幅30mmの3つの引張試験片を採取した。採取した各引張試験片につき、万能引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名「オートグラフ250kN引張試験片(AG−25TD−R竪型)」)を用いて引張試験を行い、接合継手の健全性を判断した。接合部の機械的性能(接合継手強度)の良否判断基準としては、上記引張試験において、純チタン板での母材破断を「良」とし、摩擦撹拌接合における撹拌部(接合部)での界面破断を「不良」とした(図3参照)。また、3つの引張試験片の全てにおいて、上記「良」であったものを総合判定として合格(○)とし、3つの引張試験片のうち1つでも上記「不良」であったものを総合判定として不合格(×)とした。
また、図2に示す引張試験片の採取要領に基づき、摩擦撹拌接合部位のスタート側(図2の左側)、センター側(図2の中央部)およびエンド側(図2の右側)の3箇所について、接合部断面のマクロ観察調査を実施した。具体的には、断面マクロ組織を5〜40倍に拡大し、欠陥の有無を確認し、以下の外観判断基準により良否を判定した。外観判断の良否判断基準としては、摩擦撹拌接合における撹拌部(接合部)に開口する欠陥を有さないものを「良」とし、撹拌部に開口する欠陥を有するものを「不良」とした(図4参照)。また、3箇所の全てにおいて、上記「良」であったものを総合判定として合格(○)とし、3箇所のうち1つでも上記「不良」であったものを総合判定として不合格(×)とした。
表3に、摩擦撹拌接合の適正条件の探索試験で使用した各種試験条件を一覧で示す。本試験においては、表4に示すように、走行時のツール回転数を100rpm、150rpm、200rpmと3段階で変化させ、また、接合速度を50mm/min、100mm/minの2段階で変化させた。
表4の結果に示すように、ツール回転数を150rpmまたは200rpmとし、かつ、接合速度を100mm/minとしたNo.1またはNo.2は、引張試験結果においては純チタン板での母材破断となったものの、接合部の外観判断結果において撹拌部に開口する欠陥を有していた。一方、ツール回転数を100rpmとし、かつ、接合速度を50mm/minとしたNo.3は、引張試験結果においては純チタン板での母材破断となり、かつ、接合部の外観判断結果において撹拌部に開口する欠陥を有さなかった。
以上より、本実施例における摩擦撹拌接合の適正条件としては、ツール回転数が150rpm未満、かつ、接合速度が100mm/min未満であることが好適であると判断した。また、後記する「シーリング材の塗布条件についての探索試験」における摩擦撹拌接合の接合条件として、本実施例におけるNo.3の接合条件を採用することとした。
(シーリング材の塗布条件についての探索試験)
シーリング材の塗布条件、すなわちシーリング材の塗布厚さの適正条件を探索するための試験を行った。図5に示すように、上記構造用鋼板上に上記シーリング材をへらを用いて塗布するに際し、シーリング材の塗布量は0.25mm、0.50mm、0.75mmおよび1.00mmの4水準とした(表5を参照)。
続いて、シーリング材が構造用鋼板と純チタン板の間に介在するように、純チタン板を構造用鋼板に重ね合わせ、シーリング材が硬化する前(シーリング材を塗布してから30分以内)に、構造用鋼板と純チタン板との重ね合わせ面の一部の領域に対し摩擦撹拌接合を行った。摩擦撹拌接合の条件は、上記4水準のすべてにおいて上記No.3の接合条件を採用した。なお、本試験用の継手形状も、「摩擦撹拌接合の適正条件についての探索試験」と同様、図1に示すものとした。
本試験においても、引張試験の採取を行い接合継手の健全性を判断した。試験片の採取方法や接合継手の健全性の判断基準は、上記「摩擦撹拌接合の適正条件についての探索試験」と同様である。
また、本試験では、接合部断面のマクロ観察調査として、構造用鋼板と純チタン板との重ね合わせ領域におけるシーリング材の充填状況を確認した。シーリング材の充填状況の合否判断基準は、上記重ね合わせ領域の全てにおいてシーリング材が充填されているものを合格(○)とし、一部にでも隙間が発生しているものを不合格(×)とした。
更に、摩擦撹拌接合後におけるシーリング材の劣化状況を目視により確認した。シーリング材の劣化状況の合否判断基準は、摩擦撹拌熱によってシーリング材が粉状になっていないものを合格(○)とし、シーリング材の少なくとも一部が粉状になっているものを不合格(×)とした。
表5の結果に示すように、シーリング材の塗布量を0.25mmとしたNo.4は、引張試験結果において撹拌部(接合部)での界面破断となり、シーリング材充填状況において隙間が発生していることが確認された。また、シーリング材の塗布量を1.00mmとしたNo.7は、シーリング材充填状況において隙間の発生は見られなかったものの、引張試験結果において撹拌部(接合部)での界面破断が確認された。
一方、シーリング材の塗布量が0.50mmのNo.5およびシーリング材の塗布量が0.75mmのNo.6は、引張試験およびシーリング材充填状況のいずれにおいても良好な結果が得られた。なお、シーリング材の劣化状況については、上記4水準のいずれもが粉状になっておらず良好な結果であった。
以上より、本実施例におけるシーリング材の塗布厚さの適正条件としては、0.25mm超え1.00mm未満が好適であると判断した。
なお、良好な結果が得られた上記No.6の継手断面における接合界面近傍を、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)のEDS(Energy Dispersive X−ray Spectrometry)分析により確認した結果、図6に示すように、純チタン板と構造用鋼板(炭素鋼)との間には脆弱な金属間化合物の生成も見られず、またシーリング材も混入していないことが確認された。
(塩水噴霧試験による耐食性の評価)
上記No.6の接合継手について、耐食性の評価として塩水噴霧試験を行った。評価試験方法としては、一般的な塩水噴霧試験であるJIS Z 2371:2000準拠の240h噴霧条件とした。なお、評価の比較対象として、No.6の接合継手に対してシーリング材を介さないものを準備した。図7に、純チタン板と構造用鋼板の重ね部への塩水噴霧状況の模式図を示す。
評価部位は、純チタン板と構造用鋼板の重ね合わせ部と、摩擦撹拌接合による接合表面部とし、その他の試験片表面はテーピングを行うことで塩水噴霧試験の対象から除外した。なお、表6に塩水噴霧試験条件の詳細を示す。
図8の結果に示すように、シーリング材を介さない例においては、純チタン板と構造用鋼板が重ね合わされた隙間に腐食が進行していることが確認された。一方、シーリング材を介するNo.6の例においては、純チタン板と構造用鋼板との重ね合わせ端部で腐食が停留しており、純チタン板と構造用鋼板が重ね合わされた隙間への腐食の進行が抑制されていることが確認された。
10 チタン系材料
20 鉄系材料
30 シーリング材
40 ツール
50 捨て板
60 接合部
100 異種金属接合体

Claims (8)

  1. チタン系材料と鉄系材料を重ね接合して得られる異種金属接合体の製造方法であって、
    前記チタン系材料と前記鉄系材料の少なくとも一方の面に対し、前記チタン系材料と前記鉄系材料との重ね合わせ領域における少なくとも前記チタン系材料と前記鉄系材料との接合部を含む領域に樹脂系のシーリング材を塗布する工程と、
    前記シーリング材が前記チタン系材料と前記鉄系材料の間に介在するように、前記チタン系材料と前記鉄系材料を重ね合わせる工程と、
    摩擦撹拌接合を用いて前記チタン系材料と前記鉄系材料を接合する工程と、を順に有し、
    前記接合する工程において、前記接合部の周縁から前記重ね合わせ領域の端部に至るまで前記シーリング材が介在することを特徴とする異種金属接合体の製造方法。
  2. 前記接合する工程において、前記シーリング材を前記接合部の周縁に排出しながら接合を行う請求項1に記載の異種金属接合体の製造方法。
  3. 前記接合する工程において、前記接合部及びその周縁部の前記シーリング材が完全に硬化する前に接合を行う請求項1または2に記載の異種金属接合体の製造方法。
  4. 前記接合する工程において、前記チタン系材料と前記鉄系材料とが直接接合している請求項1〜3のいずれか1項に記載の異種金属接合体の製造方法。
  5. 前記シーリング材を塗布する工程において、前記シーリング材の塗布厚さが0.25mm超え1.00mm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の異種金属接合体の製造方法。
  6. 前記チタン系材料が板厚1.5mm以下の板材であり、前記鉄系材料が板厚10mm以上の構造用鋼材である請求項1〜5のいずれか1項に記載の異種金属接合体の製造方法。
  7. 前記接合する工程において、前記摩擦撹拌接合のツール回転数が150rpm未満、かつ、接合速度が100mm/min未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の異種金属接合体の製造方法。
  8. チタン系材料と鉄系材料を重ね合わせて接合する異種金属材料の接合方法であって、
    前記チタン系材料と前記鉄系材料の少なくとも一方の面に対し、前記チタン系材料と前記鉄系材料との重ね合わせ領域における少なくとも前記チタン系材料と前記鉄系材料との接合部を含む領域に樹脂系のシーリング材を塗布する工程と、
    前記シーリング材が前記チタン系材料と前記鉄系材料の間に介在するように、前記チタン系材料と前記鉄系材料を重ね合わせる工程と、
    摩擦撹拌接合を用いて前記チタン系材料と前記鉄系材料を接合する工程と、を順に有し、
    前記接合する工程において、前記接合部の周縁から前記重ね合わせ領域の端部に至るまで前記シーリング材が介在することを特徴とする異種金属材料の接合方法。
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