JP7336100B2 - 防食構造および防食構造の製造方法 - Google Patents

防食構造および防食構造の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造に関する。
従来、ジャケット式の港湾施設等では、腐食環境が厳しい鋼管の飛沫干満帯部に超厚膜塗装を施工することにより、鋼管の耐食性向上が図られている。また、近年、鋼管の耐食性を向上するために、鋼管の飛沫干満帯部を金属シートでライニングした防食構造も採用されている。特許文献1では、上記金属シートである耐海水性ステンレス鋼の薄板を、レーザ溶接やプラズマ溶接を用いて鋼管にライニングする技術が提案されている。一方、特許文献2では、上記金属シートであるチタン系材料を鉄系材料に重ね合わせ、摩擦攪拌接合により接合する技術が提案されている。
特許第4350490号公報 特開2019-13956号公報
ところで、特許文献1のように、耐海水性ステンレス鋼をレーザ溶接やプラズマ溶接により鋼管に接合した場合、接合部に隙間が生じて鋼管の隙間腐食が生じるおそれがある。また、接合部における耐海水性ステンレス鋼の硬度が低下し、防食構造の強度が低下するおそれもある。一方、特許文献2では、チタン系材料については記載されているが、耐海水性ステンレス鋼については記載も示唆もされていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造において、耐海水性ステンレス鋼により被覆された炭素鋼の隙間腐食を抑制することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造であって、炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材と、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面を被覆して前記第1部材に接合される耐海水性ステンレス鋼製の筒状の第2部材とを備え、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、前記対象接合部において外側に位置する前記第2部材の端縁の厚さは0mmである
請求項2に記載の発明は、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造であって、炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材と、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面を被覆して前記第1部材に接合される耐海水性ステンレス鋼製の筒状の第2部材とを備え、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、前記対象接合部の幅方向における前記対象接合部の外表面の傾斜は、1/5以下である。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の防食構造であって、前記第2部材の非接合部の板厚は、1mm以下である。
請求項に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1つに記載の防食構造であって、前記対象接合部における前記第2部材の平均ビッカース硬さは、非接合部における前記第2部材の平均ビッカース硬さの1.2倍以上である。
請求項に記載の発明は、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造の製造方法であって、a)炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材を準備する工程と、b)耐海水性ステンレス鋼製の第2部材を、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面に被覆させて前記第1部材に接合する工程とを備え、前記b)工程において、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、前記対象接合部において外側に位置する前記第2部材の端縁の厚さは0mmである
請求項6に記載の発明は、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造の製造方法であって、a)炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材を準備する工程と、b)耐海水性ステンレス鋼製の第2部材を、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面に被覆させて前記第1部材に接合する工程とを備え、前記b)工程において、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、前記対象接合部の幅方向における前記対象接合部の外表面の傾斜は、1/5以下である。
本発明では、耐海水性ステンレス鋼により被覆された炭素鋼の隙間腐食を抑制することができる。
防食構造の斜視図である。 防食構造の製造の流れを示す図である。 防食構造の一部を示す縦断面図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る防食構造1を示す斜視図である。防食構造1は、水上構造物の飛沫干満帯部(すなわち、飛沫帯部および/または干満帯部)に配置される。当該水上構造物は、例えば、ジャケット式の港湾設備等のように海上に設けられる海上構造物である。なお、水上構造物は、汽水域や湖水等の水上に設けられてもよい。
防食構造1は、炭素鋼製の第1部材11と、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12とを備える。第1部材11は、筒状(すなわち、管状)または柱状の部材である。第2部材12は、筒状(すなわち、管状)の部材である。第2部材12は、第1部材11の飛沫干満帯部において、第1部材11の外側面を被覆して、第1部材11に接合される。図1に示す例では、第1部材11および第2部材12は略円筒状であり、第2部材12の内径は、第1部材11の外径と略同じである。第1部材11は、第2部材12よりも厚い厚肉筒状の部材である。本実施の形態では、第1部材11は「SS400」により形成されており、第2部材12は「SUS312L」により形成されている。なお、第1部材11および第2部材12は、他の材料により形成されていてもよい。
第2部材12は、耐海水性ステンレス鋼製の薄板状部材(シート状部材とも呼ぶ。)を、第1部材11の外側面に沿って湾曲させ、当該薄板状部材の周方向(すなわち、第1部材11の中心軸を中心とする周方向)の両端部を、第1部材11の外側面上で互いに接合することにより、筒状に形成される。また、図1中における第2部材12の上端部および下端部は、第1部材11の外側面と接合される。
以下の説明では、第2部材12の上端部および下端部における第1部材11と第2部材12との接合部を、「第1接合部21」と呼ぶ。また、第2部材12となる予定の上記薄板状部材の周方向の両端部を接合した部位(すなわち、第2部材12同士の接合部)を、「第2接合部22」と呼ぶ。図1では、第1接合部21および第2接合部22に平行斜線を付す。第1接合部21は、第1部材11と第2部材12とを重ね合わせて接合した重ね合わせ接合部である。第1接合部21では、第2部材12が第1部材11の径方向(すなわち、第1部材11の中心軸を中心とする径方向)外側に位置する。第2接合部22は、例えば、第2部材12同士を突き合わせて接合した突き合わせ接合部である。あるいは、第2接合部22は、第2部材12同士を重ね合わせて接合した重ね合わせ接合部であってもよい。
防食構造1では、第1接合部21および第2接合部22のうち少なくとも一方は、摩擦攪拌接合(FSW:Friction Stir Welding)にて接合される。摩擦攪拌接合により接合される接合部を「対象接合部」と呼ぶと、第1接合部21および第2接合部22のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成される。本実施の形態では、上下2つの第1接合部21、および、第2接合部22が、摩擦攪拌接合により形成される。各第1接合部21では、第1部材11と第2部材12とが攪拌され、隙間が生じないように一体化される。また、第2接合部22では、第2部材12同士が攪拌され、隙間が生じないように一体化される。
防食構造1では、第2部材12の非接合部23(すなわち、第1接合部21および第2接合部22以外の部位)の板厚は特に限定されないが、例えば1mm以下であり、好ましくは0.5mm以下である。第1部材11の非接合部(すなわち、第1接合部21以外の部位)の板厚も特に限定されないが、例えば、6mm~30mmである。
第1接合部21の幅(すなわち、図1中の上下方向の幅)は、例えば5mm以上であり、好ましくは8mm以上である。第1接合部21の幅の上限は特に限定されないが、現実的には20mm以下である。第1接合部21の幅方向とは、第1接合部21が形成される際に、摩擦攪拌接合が進行する方向に略垂直な方向である。また、第1接合部21の幅方向とは、第1接合部21の上下の端縁に略垂直な方向である。第1接合部21の端縁とは、防食構造1において径方向外側に露出している第1部材11の外側面と第2部材12の外側面との境界線である。
第2接合部22の幅(すなわち、図1中の左右方向の幅)は、例えば5mm以上であり、好ましくは8mm以上である。第2接合部22の幅の上限は特に限定されないが、現実的には20mm以下である。第2接合部22の幅方向とは、第2接合部22が形成される際に、摩擦攪拌接合が進行する方向に略垂直な方向である。また、第2接合部22の幅方向とは、第2接合部22の左右の端縁に略垂直な方向である。第2接合部22が重ね合わせ接合部である場合、第2接合部22の幅方向において、第2部材12同士が重なっている部位の幅は、第2接合部22の幅と同じ、または、第2接合部22の幅よりも大きい。
図2は、防食構造1の製造の流れを示す図である。防食構造1が製造される際には、まず、上述の筒状または柱状の第1部材11が準備される(ステップS11)。続いて、板状の上記第2部材12が、第1部材11の飛沫干満帯部において第1部材11の外側面に被覆され、第1部材11に接合される(ステップS12)。ステップS12における第1部材11と第2部材12との接合部である第1接合部21、および、第2部材12同士の接合部である第2接合部22は、上述のように、隙間が生じないように摩擦攪拌接合によって形成される。
当該摩擦攪拌接合では、先端に略円柱状の突起(すなわち、プローブ)が設けられたツールを回転させ、第1接合部21または第2接合部22となる予定の部位(以下、「接合対象部位」とも呼ぶ。)に対して、当該ツールが比較的強い力で押しつけられる。このとき、プローブのおよそ全体が接合対象部位に貫入される。そして、ツールが接合対象部位に沿って相対移動されることにより、ツール近傍の接合対象部位が攪拌されて塑性流動し、接合される2つの部材が一体化する。
図3は、防食構造1の第1接合部21近傍の部位を示す縦断面図である。図3では、第2部材12の上側の第1接合部21の断面を示す。第2部材12の下側の第1接合部21の断面も、図3に示すものと略同じである。
第1接合部21の外表面(すなわち、第2部材12の外側面)は、第1接合部21の幅方向において、第2部材12の非接合部23から離れて上方に向かうに従って、第1部材11の外側面に近づく。図3に示す例では、第1接合部21の上端縁において、第2部材12の端縁の厚さは、実質的に0mmである。換言すれば、第1接合部21の上端縁において、第2部材12の外側面の径方向の位置は、第1部材11の外側面の径方向の位置と実質的に同じである。なお、第2部材12の端縁の厚さは、100μm以下であれば、実質的に0mmと見なされる。
第1接合部21の外表面の幅方向における傾斜は、例えば1/5以下であり、好ましくは1/10以下である。当該傾斜は、図3中において、第1部材11の外側面を示す直線L1を基準として、第1接合部21の外表面の幅方向両端を結ぶ仮想的直線L2の傾斜である。換言すれば、第1接合部21の幅方向の両端における第2部材12の厚さの差を、第1接合部21の幅方向の幅で除算した値である。
防食構造1では、第2接合部22が第2部材12同士の重ね合わせ接合である場合、第2接合部22の外表面の幅方向における傾斜は、上述の第1接合部21の傾斜と同様に、例えば1/5以下であり、好ましくは1/10以下である。第2接合部22の外表面の幅方向における傾斜は、第2接合部22の幅方向中央における第1部材11の外側面の接線を基準として、第2接合部22の外表面の幅方向両端を結ぶ仮想的直線の傾斜である。
防食構造1では、第1接合部21が摩擦攪拌接合により形成されることにより、第1接合部21における第2部材12の平均ビッカース硬さが、非接合部23における第2部材12の平均ビッカース硬さ(以下、「基準硬さ」とも呼ぶ。)よりも大きくなる。例えば、第1接合部21における第2部材12の平均ビッカース硬さは、基準硬さの1.2倍以上であり、好ましくは1.5倍以上である。仮に、第1部材11と第2部材12とをレーザ溶接またはプラズマ溶接にて接合すると、第2部材12の平均ビッカース硬さは、通常、基準硬さよりも小さくなる。したがって、第1接合部21が摩擦攪拌接合により形成されることにより、第1接合部21における第2部材12の平均ビッカース硬さは、レーザ溶接またはプラズマ溶接により第1接合部21が形成される場合に比べて、大幅に大きくなる。上述の平均ビッカース硬さは、マイクロビッカース硬度計により測定可能である。
また、防食構造1では、第2接合部22が摩擦攪拌接合により形成されることにより、第2接合部22における各第2部材12の平均ビッカース硬さが、基準硬さよりも大きくなる。当該各第2部材12の平均ビッカース硬さとは、第2接合部22が重ね合わせ接合により形成されている場合、重ね合わせの外側および内側(すなわち、上側および下側)の第2部材12のそれぞれの平均ビッカース硬さである。また、第2接合部22が突き合わせ接合により形成されている場合、上述の各第2部材12の平均ビッカース硬さとは、突き合わせ部の両側の第2部材12の平均ビッカース硬さである。
第2接合部22における各第2部材12の平均ビッカース硬さは、例えば、基準硬さの1.2倍以上であり、好ましくは1.5倍以上である。仮に、第2部材12同士をレーザ溶接またはプラズマ溶接にて接合すると、各第2部材12の平均ビッカース硬さは、通常、基準硬さよりも小さくなる。したがって、第2接合部22が摩擦攪拌接合により形成されることにより、第2接合部22における各第2部材12の平均ビッカース硬さは、レーザ溶接またはプラズマ溶接により第2接合部22が形成される場合に比べて、大幅に大きくなる。
次に、表1および表2を参照しつつ、第1接合部21および第2接合部22に対応する実験例1~3について説明する。表1および表2中の平均ビッカース硬さは、試験荷重を50kgfとし、荷重保持時間を15秒として、マイクロビッカース硬度計にて測定を行った。後述する接合部の平均ビッカース硬さは、接合部の幅方向(上述の幅方向に対応する方向)の略全幅に亘ってマイクロビッカース硬度計にて測定を行い、測定値の算術平均として求めた。また、後述する非接合部の平均ビッカース硬さは、非接合部の所定幅の部位(例えば、接合部と同じ幅の部位)について、上記幅方向の略全幅に亘ってマイクロビッカース硬度計にて測定を行い、測定値の算術平均として求めた。
Figure 0007336100000001
Figure 0007336100000002
実験例1は、第1接合部21に対応する実験である。実験例1では、炭素鋼製の第1部材11上に耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12を重ね合わせ、摩擦攪拌接合により接合した。上部材(すなわち、径方向外側の部材)である第2部材12としてSUS312Lを使用し、下部材(すなわち、径方向内側の部材)である第1部材11としてSS400を使用した。上部材(SUS312L)では、接合部の平均ビッカース硬さは283HVであり、非接合部の平均ビッカース硬さは186HVであった。また、上部材における非接合部の平均ビッカース硬さに対する接合部の平均ビッカース硬さの割合(以下、「硬さ比」とも呼ぶ。)は、1.52であった。一方、下部材(SS400)では、接合部の平均ビッカース硬さは208HVであり、非接合部の平均ビッカース硬さは119HVであり、硬さ比は、1.75であった。
実験例2は、第2接合部22に対応する実験である。実験例2では、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12上に第2部材12を重ね合わせ、摩擦攪拌接合により接合した。上部材および下部材である第2部材12として、SUS312Lを使用した。上部材(SUS312L)では、接合部の平均ビッカース硬さは337HVであり、非接合部の平均ビッカース硬さは190HVであり、硬さ比は、1.77であった。一方、下部材(SUS312L)では、接合部の平均ビッカース硬さは291HVであり、非接合部の平均ビッカース硬さは188HVであり、硬さ比は、1.55であった。
実験例3は、第2接合部22に対応する実験である。実験例3では、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12同士を突き合わせ、摩擦攪拌接合により接合した。突き合わせた2つの第2部材12として、SUS312Lを使用した。接合部の平均ビッカース硬さは278HVであり、非接合部の平均ビッカース硬さは182HVであり、硬さ比は、1.53であった。
以上に説明したように、水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造1は、炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材11と、耐海水性ステンレス鋼製の筒状の第2部材12と、を備える。第2部材12は、第1部材11の飛沫干満帯部において、第1部材11の外側面を被覆して第1部材11に接合される。第1部材11と第2部材12との接合部(すなわち、第1接合部21)、および、第2部材12同士の接合部(すなわち、第2部材12)のうち、少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成される。
これにより、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合に比べて、対象接合部に隙間が生じることを抑制することができる。その結果、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12により被覆された炭素鋼製の第1部材11の隙間腐食を抑制することができる。また、対象接合部における応力集中を抑制することができるため、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合に比べて、対象接合部の疲労強度を増大させることができる。
防食構造1では、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合に比べて、対象接合部に対する入熱量を低減することができる。これにより、対象接合部において、入熱に起因する鋭敏化による耐食性低下を抑制することができる。また、対象接合部において、残留応力による応力腐食を抑制することもできる。さらに、対象接合部および周囲の部位における熱歪が抑制されるため、熱歪の矯正作業量を低減することもできる。
防食構造1では、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合とは異なり、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12の対象接合部における硬度が、非接合部23における硬度(すなわち、接合前の硬度)よりも低下することを防止または抑制することができる(表1および表2参照)。その結果、防食構造1の強度低下を防止または抑制することができる。
上述のように、対象接合部における第2部材12の平均ビッカース硬さは、非接合部23における第2部材12の平均ビッカース硬さの1.2倍以上であることが好ましい。このように、対象接合部における第2部材12の硬度を摩擦攪拌接合によって増大させることにより、防食構造1の強度を増大させることができる。より好ましくは、対象接合部における第2部材12の平均ビッカース硬さは、非接合部23における第2部材12の平均ビッカース硬さの1.5倍以上である。これにより、防食構造1の強度をさらに増大させることができる。
上述のように、防食構造1では、対象接合部に対する入熱による悪影響(例えば、耐食性低下、応力腐食および熱歪)を抑制することができるため、第2部材12が比較的薄い場合に特に適している。具体的には、防食構造1は、第2部材12の非接合部23の板厚が1mm以下である場合に特に適している。
上述のように、対象接合部が重ね合わせ接合部である場合、当該対象接合部において外側に位置する第2部材12の端縁の厚さは0mmであることが好ましい。これにより、当該端縁において、外側に位置する第2部材12と内側に位置する部材(すなわち、第1部材11または第2部材12)との継ぎ目を滑らかにすることができる。その結果、対象接合部における応力集中をさらに抑制することができるため、疲労強度をさらに増大させることができる。
上述のように、対象接合部が重ね合わせ接合部である場合、当該対象接合部の幅方向における対象接合部の外表面の傾斜は、1/5以下であることが好ましい。このように、対象接合部の外表面の傾斜を小さくすることにより、当該対象接合部の端縁において、外側に位置する第2部材12と内側に位置する部材(すなわち、第1部材11または第2部材12)との継ぎ目を滑らかにすることができる。その結果、対象接合部における応力集中をさらに抑制することができるため、対象接合部の疲労強度をさらに増大させることができる。当該傾斜は、さらに好ましくは1/10であり、これにより、対象接合部の疲労強度をより一層増大させることができる。
上述の防食構造1の製造方法は、炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材11(ステップS11)を準備する工程と、耐海水性ステンレス鋼製の第2部材12を、第1部材11の飛沫干満帯部において、第1部材11の外側面に被覆させて第1部材11に接合する工程(ステップS12)と、を備える。そして、ステップS12において、第1部材11と第2部材12との接合部(すなわち、第1接合部21)、および、第2部材12同士の接合部(すなわち、第2接合部22)のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成される。
これにより、上述のように、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合に比べて、第1部材11の隙間腐食を抑制することができるとともに、対象接合部の疲労強度を増大させることもできる。また、レーザ溶接やプラズマ溶接等による接合に比べて、対象接合部に対する入熱による悪影響(例えば、耐食性低下、応力腐食および熱歪)を低減することができる。さらに、第2部材12の対象接合部における硬度が、非接合部23における硬度(すなわち、接合前の硬度)よりも低下することを防止または抑制することができる。
上述の防食構造1および防食構造1の製造方法では、様々な変更が可能である。
例えば、第1部材11の外側面に接合される第2部材12は、1枚の薄板状部材を湾曲させたものであってもよく、複数の板材(例えば、略矩形の板材)を摩擦攪拌接合で板継ぎすることによって薄板状部材とした後に湾曲させたものであってもよい。複数の板材を板継ぎする場合、隣接する板材同士の接合部は、板材同士を突き合わせて接合した突き合わせ接合部である。これにより、複数の板材の板継ぎ部についても、上記第2接合部22と略同様に疲労強度を増大させることができる。なお、複数の板材を摩擦攪拌接合で板継ぎする工程(すなわち、第2部材12を準備する工程)は、ステップS11とステップS12との間で行われてもよく、ステップS11と並行して行われてもよく、ステップS11よりも前に行われてもよい。
例えば、対象接合部における第2部材12の平均ビッカース硬さは、非接合部23における第2部材12の平均ビッカース硬さの1.2倍未満であってもよく、1.0倍未満であってもよい。
対象接合部が重ね合わせ接合部である場合、当該対象接合部の幅方向における当該対象接合部の外表面の傾斜は、1/5よりも大きくてもよい。また、当該対象接合部において外側に位置する第2部材12の端縁の厚さは、実質的に0mmよりも厚く(例えば、100μmよりも厚く)てもよい。
第2部材12の非接合部23の板厚は、1mmよりも厚くてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 防食構造
11 第1部材
12 第2部材
21 第1接合部
22 第2接合部
23 非接合部
S11~S12 ステップ

Claims (6)

  1. 水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造であって、
    炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材と、
    前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面を被覆して前記第1部材に接合される耐海水性ステンレス鋼製の筒状の第2部材と、
    を備え、
    前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され
    前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、
    前記対象接合部において外側に位置する前記第2部材の端縁の厚さは0mmであることを特徴とする防食構造。
  2. 水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造であって、
    炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材と、
    前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面を被覆して前記第1部材に接合される耐海水性ステンレス鋼製の筒状の第2部材と、
    を備え、
    前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、
    前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、
    前記対象接合部の幅方向における前記対象接合部の外表面の傾斜は、1/5以下であることを特徴とする防食構造。
  3. 請求項1または2に記載の防食構造であって、
    前記第2部材の非接合部の板厚は、1mm以下であることを特徴とする防食構造。
  4. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の防食構造であって、
    前記対象接合部における前記第2部材の平均ビッカース硬さは、非接合部における前記第2部材の平均ビッカース硬さの1.2倍以上であることを特徴とする防食構造。
  5. 水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造の製造方法であって、
    a)炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材を準備する工程と、
    b)耐海水性ステンレス鋼製の第2部材を、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面に被覆させて前記第1部材に接合する工程と、
    を備え、
    前記b)工程において、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され
    前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、
    前記対象接合部において外側に位置する前記第2部材の端縁の厚さは0mmであることを特徴とする防食構造の製造方法。
  6. 水上構造物の飛沫干満帯部に配置される防食構造の製造方法であって、
    a)炭素鋼製の筒状または柱状の第1部材を準備する工程と、
    b)耐海水性ステンレス鋼製の第2部材を、前記第1部材の飛沫干満帯部において前記第1部材の外側面に被覆させて前記第1部材に接合する工程と、
    を備え、
    前記b)工程において、前記第1部材と前記第2部材との接合部、および、前記第2部材同士の接合部のうち少なくとも一方である対象接合部は、摩擦攪拌接合により形成され、
    前記対象接合部は、重ね合わせ接合部であり、
    前記対象接合部の幅方向における前記対象接合部の外表面の傾斜は、1/5以下であることを特徴とする防食構造の製造方法。
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