JP2018503811A - 加圧水型原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステム - Google Patents

加圧水型原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステム Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉格納容器/建屋の故障に繋がる深刻な事故の際に利用されて安全性を与えるシステムに対し、溶融炉心からの除熱効率を高め、構造の信頼性を向上させる。【解決手段】溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステムは、格納容器の底の下に設置された円錐形状の案内板と、その下に設置されてその案内板を支持する片持ち梁と、その下に設置され、冷却被覆材を備えることにより外側の伝熱壁を、衝撃、熱、および化学的影響から保護するための多層容器として形成されている炉心捕獲器と、その多層容器の中で溶融炉心を希釈するための充填材とを備えている。この多層容器は、内側と外側との金属層とそれらの間に挟まれた非金属の充填材を含む中間層を有する。これらの金属層の間には複数の肋材が方位間隔Spitchで設置されており、この間隔Spitchは多層容器の外径dextに対して不等式dext/15<Spitch<dext/5を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は原子力発電、特に、原子力発電施設(NPP)に安全性を与えるシステムに関し、原子炉格納容器および建屋の故障に繋がる深刻な事故の際に利用可能である。
炉心冷却システムに多くの故障が重なると生じる炉心溶融は、それの生み出す放射線による被害が最も深刻である。この事故が起きると、溶融した炉心(コリウム)が原子炉の内容物と容器とを溶かして容器から流れ出し、残りの熱でNPPの建屋全体(放射性物質が周囲へ漏れ出す道を塞ぐ最終障壁)にまで影響を与える。
これを防ぐには、漏れ出したコリウムを、それが完全に結晶化するまで、閉じ込めて冷却すべきである。この機能を発揮する溶融炉心(コリウム)冷却閉じ込めシステムは、原子炉に深刻な事故が生じた場合、NPPの建屋の破損を防いで作業員および周囲を被爆から保護する。
本発明の背景には、まず、原子炉のコリウムを閉じ込めて冷却する装置がある。この装置は原子炉の下のコンクリート製の空洞の中に設置され、水冷容器と含ウラン酸化物コリウム用希釈剤のペレットとを含む。これらのペレットは、セメントモルタルで覆われた状態で、鋼鉄ブロックの水平な層の中に置かれている。これらのブロックのうち下側のものは底が水冷容器の底と同じ形を成し、上側のものは中央に穴を持つ。ブロックを互いにかつ水冷容器に結合させる部材の集合は、ブロックの構成する垂直方向の切り込みの中に配置されている。(特許文献1参照。)
本発明の背景には、次に、コリウムを閉じ込めて冷却する装置として設計された伝熱容器の壁構造がある。この構造は、内壁と外壁、および、それらの間に挟まれた、犠牲材と化学的には同じ性質を持つ粒状のセラミック充填材を、少なくとも100mmの厚さで含む。(特許文献2参照。)
ロシア特許第2514419号明細書 ロシア特許第100326号明細書
"Investigation of conditions to provide bonding of sacrificial SFAO ceramic with colored mixture brick mortar," Technical information, ロシア連邦教育科学省、国立高等専門教育機関、サンクトペテルブルク国立技術施設(技術大学)、2013年、[1]
特許文献1に開示された装置の類似物には欠点がいくつかある。
−水冷容器の底と同じ形の底を成す下側のブロックには、上側のブロックにはある中央の穴がない。この結果、下側のブロックでは、ほとんどが溶けた鋼鉄とジルコニウムとであるコリウムの最初の部分が侵入した際、希釈剤のペレットに「詰まり(jamming)」が生じる。容器の底の傾斜角が10°〜20°であることを考えると、詰まったペレットの重量は、容器に含まれるペレットの総重量の25%〜35%である。コリウムの最初の部分の侵入から1〜3時間後、ほとんどが酸化ウランと酸化ジルコニウムとであるコリウムの次の部分が侵入するが、下側のブロックではペレットと熱化学反応を起こす状態にはなり得ない。これは、下側のブロックでは、先に侵入した鋼鉄が固化してペレットと酸化ウラン/酸化ジルコニウムとの間の相互作用を妨げ、または鋼鉄製の構造および締結部品を破壊して容器内のペレットをすべて浮かび上がらせ、コリウムの上にスラグの覆い(slag cap)を形作らせるからである。
−含ウラン酸化物コリウム用希釈剤の重量を決める公式は、その重量の必要最小限を正確に決めるものではない。これは、原子炉から流出した酸化物と金属とのそれぞれが成す層の厚さの間の関係が不正確にしか考慮されていないからである。この公式に従う希釈剤の重量の下限は、仮にペレットが下側のブロックで詰まった場合には35%増大し、酸化物層と金属層との間での反転が始まる前に上側のブロックでペレットの作用が溶けた鋼鉄によって阻止された場合には更に15%増大する。したがって、計算された希釈剤の重量の下限には、係数1.5が乗算されるべきである。
−希釈剤のペレット用のセメント結合剤(バインダー)の中に残存する水の最大重量は重量比で8%を超えない。これは正確ではないようである。実験(非特許文献1参照。)の結果によれば、ペレットに設計どおりの機能を発揮させるペレット間の効果的な結合には、化学的に結合する水が重量比にして10%必要である。そうでないと、ペレットの設定全体とそれらの操作性とが損なわれるであろう。「開放される水素を減らすにはセメントバインダー内の水成分を減らせばよい」という原理は正しくない。これは、水蒸気と設定されたペレットの多孔構造との間の相互作用に関する考察が誤っているからである。
特許文献2に開示された容器の構造には次の欠点がある。
−粒状のセラミック材には、伝熱容器の外壁を高温の溶融物の熱から保護する効果がない。これは、このセラミック材が平均熱伝導率0.5W/mK未満の効果的な断熱材であり、実際には、炉心溶融が終わるまで熱を容器の外壁へは伝導させないからである。したがって、溶融炉心によって粒状のセラミック材が洗い落とされる間に、伝熱容器が破壊される危険性が増す。
−粒状のセラミック材には、伝熱容器の外壁を化学的に保護することに対する信頼性がない。これは次の理由に因る。仮に伝熱容器の内壁が破壊された場合、内壁に開いた垂直方向の隙間からセラミック材が、破壊された面積によって決まる割合で流出し得るので、その隙間が空になり、外壁が化学的にも熱的にも必要な保護のない状態にされてしまう。その結果、伝熱容器の破壊の危険性が増す。
−伝熱容器の外壁と内壁との間には、(酸化鉄と酸化アルミニウムとを含む)粒状のセラミック材が溶けるまでは、大きな(少なくとも100mの)幅の隙間が開いている。その結果、熱流の大規模な再分布が生じ、主な熱流が、伝熱容器の外壁を通過することなく保護のない溶融物の自由な表面で鏡面反射されるので、伝熱容器内のコリウムの平均温度が上昇して次の現象を引き起こす。エアロゾルの生成促進、凝結されることなく放出されるガスの増加、逃げ出す熱量の増加、上方に位置する設備の二次的な加熱と破壊、コリウムが冷却領域から流出した結果としての伝熱容器の破壊。
以上の理由により、伝熱容器の外壁との間に熱伝導性の強い結合を設けることなく粒状のセラミック材を裏込めに適用することには効果がない。
本発明の目的は、上記のような技術の欠点を取り除くことにある。
本発明のこの目的は、次のシステムによって達成される。このシステムは、加圧水型原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステムであって、この原子炉の格納容器の底の下に設置された円錐形状の案内板と、この案内板の下に設置され、この案内板を支持する片持ち梁と、この片持ち梁の下に設置され、冷却被覆材を備えることにより外側の伝熱壁を、衝撃、熱、および化学的影響から保護するための多層容器として形成されている炉心捕獲器と、この多層容器の中で溶融炉心を希釈するための充填材とを備えている。この多層容器は、内側と外側との金属層、およびそれらの間に挟まれた非金属の充填材を含む中間層を含む。内側と外側との金属層の間には複数の肋材が方位間隔(多層容器の中心面上における周方向の間隔)Spitchで設置されており、この間隔Spitchは多層容器の外径dextに対して不等式dext/15<Spitch<dext/5を満たす。
上記の目的は、以下に述べる本発明の実施形態のいずれを選択しても達成される。
−各肋材は外側の金属層にはしっかりと固定されているが、内側の金属層には固定されていない。
−各肋材は外側との内側との金属層の両方にしっかりと固定されている。
−各肋材は半径方向と周方向との両方において熱的に隔離されている。
−多層容器の底のうち、上側の円筒部分を下側の円錐部分に接続している部分は、ドーナツ形をした3層の複合殻を含み、円筒部分から円錐部分へ流体を滑らかに移動させる一方、外側の金属層の熱膨張の大きさにかかわらず、内側の金属層の熱膨張の大きさを確保する。
−多層容器は、外側の金属層の上に追加して貼られた厚さ0.1〜0.5mmの耐腐食層を含む。
−多層容器は、外側の金属層に追加して貼られ、水への熱伝導を促進させる厚さ0.5〜5mmの層を含む。
このシステムは、類似のシステムに比べ、外側と内側との金属壁、および充填材の3層の被覆材を含む炉心捕獲器を備えている。この捕獲器は更に、内側と外側との金属層の間に方位間隔(多層容器の中心面上における周方向の間隔)Spitchで設置された複数の肋材を含む。この間隔Spitchは多層容器の外径dext(m)に対して不等式dext/15<Spitch<dext/5を満たす。この大小関係は、3〜12mの範囲で変更可能な多層容器の外径に対して肋材の適切な設置間隔を与える。特に、比較的大きい外径に対しては不等式の示す比の小さい方が間隔に選択され、比較的小さい外径に対しては不等式の示す比の大きい方が間隔に選択される。すなわち、容器の外径が12mであれば、それを15で割った値が間隔に選択され、3mであれば、それを5で割った値が間隔に選択される。この場合、肋材の方位面(中心面)上における配置間隔はおおよそ0.4〜0.8mである。
本発明の技術的な効果は、溶融炉心からの除熱効率を高めて構造の信頼性を向上させることにある。
コリウム閉じ込め冷却システムの模式的な設計図である。 コリウム捕獲器の多層容器の設計図である。 図2が示す直線A−Aに沿った断面図の一部である。
特許請求の範囲で定義された本発明によれば、円錐形状の案内板(4)は片持ち梁(5)によって支持され、断熱部(6)を含み、コンクリート製のアーチ形貯蔵室(3)の中に配置された原子炉格納容器(1)の底(2)の下に設置されている。片持ち梁(5)の下には炉心捕獲器(8)があり、冷却被覆材(容器)を含み、外側の金属層(壁)(11)と内側の金属層(壁)(13)、およびそれらの間に挟まれた非金属の充填材(12)を含む多層容器として形成されている。炉心捕獲器(8)の中には、コリウムの希釈に適用される犠牲充填材(10)がある。この充填材(10)は、段階的に先細りする形状、または円筒形状のコリウム用貯槽(14)を備えている。炉心捕獲器(8)では多層容器のフランジに断熱部(9)が設けられている。片持ち梁(5)と捕獲器(8)との隙間には操作床(7)が配置されている。
案内板(4)は、格納容器を破壊し、または溶融させた後のコリウム(溶融炉心)を捕獲器(8)の中へ導くように設計されている。案内板(4)は更に、格納容器の内容物、燃料の集合体、および格納容器の底の大きな破片が捕獲器の中へ落下するのを防ぎ、コリウムが格納容器(1)から捕獲器(8)の中へ侵入してきた場合には片持ち梁(5)とその通信回線とを保護する。案内板(4)はまた、コンクリート製のアーチ形貯蔵室(3)が溶融炉心と直に接触することも防ぐ。案内板(4)は補強肋材により、溶融炉心が流れ落ちる複数の部分に分けられている。これらの補強肋材は格納容器の底(2)を溶融炉心と共に支え、その底が案内板(4)の各部分の穴を塞ぐことを防ぎ、各部分が破壊され、または深刻な塑性変形を生じた場合には、流れ落ちる溶融炉心を遮る。案内板の円錐面の下には2枚のコンクリート層がある。表面の直下のものは(酸化鉄と酸化アルミニウムとを主体とする)犠牲コンクリート層であり、その下のものは、熱安定性の高い(酸化アルミニウムを主体とする)耐熱コンクリート層である。もし案内板のいずれか1つ以上の部分が閉塞した(すなわち、それらの部分でコリウムが凝固した)場合には、犠牲コンクリートが溶融炉心を希釈して、案内板のそれらの部分に隙間を開ける。これにより、補強肋材の過熱と破壊、すなわち隙間の完全な閉塞と、それに続く案内板の破壊とを防ぐことができる。犠牲コンクリートの厚みが減少した場合には、熱安定性の高い耐熱コンクリートが構造に強度を与える。このコンクリートは、その下に位置する設備をコリウムの及ぼす悪影響から保護して、案内板(4)の溶解または破壊を防ぐ。
片持ち梁(5)はコリウム閉じ込め冷却システム全体の通信回線を内部に通しており、捕獲器(8)だけでなくこれらの通信回線をもコリウムによる破壊から保護する。片持ち梁(5)は更に、案内板(4)の支持部材として、案内板(4)の受ける静的な応力と動的な衝撃力との両方を、格納容器(3)のうち片持ち梁(5)が結合した部分へ逃がす役割を果たす。片持ち梁(5)はまた、案内板(4)が部分的に破壊されて肋材の支持能力が損なわれた場合には、案内板(4)の機能を確保する役割も果たす。
片持ち梁(5)は次の要素を含む。
−計装制御系統(I&C)のセンサー類を接続している被覆管。
−外部の供給源から冷却水の供給を受けるコリウム噴霧管(すなわち配管に接続されたヘッダー)。この噴霧管により、コリウムに噴霧されるべき冷却水が片持ち梁の上方から供給される。
−炉心捕獲器(8)の中でコリウムが冷却された場合、原子炉の下のコンクリート製アーチ形貯蔵室(3)から加圧空間へ蒸気を逃がす蒸気排出管。これらの排出管は、飽和蒸気に貯蔵室(3)内の許容圧力を超えさせることなく、その飽和蒸気を除去する。
−正常な動作期間において案内板(4)を冷却するための空気を供給する給気管。
捕獲器(8)は、格納容器(1)が溶け、または破壊された場合、溶融炉心を原子炉の下の空洞(3)の中に閉じ込めて冷却する。この空洞の中には伝熱面が広がり、熱を大量の水へ伝えてその水を沸騰させる。この空洞(3)の中に捕獲器(8)は、埋め込まれた部分を土台として設置されている。
特許請求の範囲で定義された発明によれば、捕獲器(8)の被覆材は多層容器であり、以下の要素を含む。
−外側の金属層(11):壁と底とによって形成された外側の被覆材。
−非金属の充填材(12)の層。
−内側の金属層(13):壁と底とによって形成された内側の被覆材。
外層(11)は、グレードが22K、20K等の鋼鉄製であってもよく、壁厚が10〜70mmであり、底厚が70〜120mmであってもよい。内層(13)は、グレードが22K、20K 09G2S等の鋼鉄製であってもよく、壁厚が15〜40mmであり、底厚が20〜40mmであってもよい。充填材(12)は、熱伝導性の高い物質であっても、低い物質であってもよい。熱伝導性の高い充填材には融点300〜800℃の物質が利用されてもよく、好ましくは、融点が最高でも600℃を超えず、厚さが最大でも70〜150nmを超えない低融点のコンクリートが利用される。熱伝導性の低い充填材には融点800℃超の物質が利用されてもよく、好ましくは、コンクリート製またはセラミック製の裏込材が利用される。
肋材(15)は、内層(13)と外層(11)との間に方位間隔Spitchで設置されている(図3参照)。この間隔Spitchは多層容器の外径dextに対して不等式
ext/15<Spitch<dext/5
を満たす。方位間隔Spitchは、多層容器の中心面(断面)内において外周に沿った周方向の間隔、すなわち、容器の外壁(外層)で繋がれた肋材間の距離である(図3参照)。これらの肋材(15)は外層(11)にしっかりと固定されている。これらは内層(12)にも固定されていてもよい。特に、肋材は22Kの鋼鉄製であってもよく、厚さが10〜60mmであり、方位間隔が200〜800mmであってもよい。
多層容器の底のうち上側の円筒部分(16)を下側の円錐部分(17)に接続している部分(図2参照。)は、ドーナツ形をした3層の複合殻を追加で含む。この殻は、円筒部分から円錐部分へ流体を滑らかに移動させる一方、外層の熱膨張の大きさにかかわらず、内層の熱膨張の大きさを確保する。捕獲器(8)の多層容器は、外層の上に追加して貼られた厚さ0.1〜0.5mmの耐腐食層を含んでいてもよい。また、多層容器は、外層の外面に追加して貼られ、水への対流による熱伝達を促進させる厚さ0.5〜5mmの層を含んでいてもよい。捕獲器(8)の多層容器の上部はフランジを備えている。このフランジの内径と外径とはそれぞれ、多層容器の内径と外径とに一致している。
充填材(10)は、コリウムの体積分布を炉心捕獲器(8)の中に留める。充填材は更に、コリウムを酸化して溶解させることにより、コリウムから放出される単位体積あたりのエネルギーを減少させ、かつ、コリウムのうちエネルギーを放出する部分と多層容器の外層(11)との間の伝熱面積を増加させるように設計されている。その上、充填材は、コリウムのうち燃料を含む部分が鋼鉄層の上に浮かぶ状態の生成に寄与する。充填材(10)は、鋼鉄、鉄を含む酸化物、および酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムから生成可能であり、容器の円筒部分だけでなく円錐部分の空洞の底にもコリウムを分布させるための流路を含む。
操作床(7)は、捕獲器(8)の上部に耐熱性を与えて、定期的に行われる予防的保守作業の間、格納容器(1)を目視で検査可能にする。操作床(7)は特に次の要素へのアクセスを可能にする。
−漏出事故の際に交換して水を除去すべき充填材(10)。
−充填材(10)を漏出事故から保護する加圧部材の集合体。
−交換対象のI&Cセンサー、またはそれらのセンサーを接続している被覆管の端部の付属部品。
上記のシステムは次のように動作する。
格納容器(1)が破壊された時点では、溶融炉心は流体としての過剰な圧力により、片持ち梁(5)によって支持されている案内板(4)の表面へ移動し始める。溶融炉心は、案内板(4)の各部分を通して流れ落ちると、捕獲器(8)の多層容器の中へ侵入して充填材(10)に接触する。流れ落ちるコリウムが部分間で非対称である場合、片持ち梁(5)の断熱部(6)と操作床(7)とが溶け始める。この断熱部は、破壊されることにより、コリウム自体の温度と化学的な反応性とを弱めると共に、保護対象の設備にコリウムの熱が与える影響を弱める。
まず、コリウムが貯槽(14)を満たし、その後、充填材(10)の他の鋼鉄製の構造成分が溶け出して、充填材(10)の非金属成分の隙間を埋める。これらの非金属成分は特別なセメントで相互に繋がれている。このセメントがコリウムの熱によって非金属成分を互いに焼き付けて一体化させることにより、充填材(10)がより重い溶融炉心の中で浮上することを防ぐ構造が形成される。非金属成分が焼き付けによって一体化しているので、この構造は、充填材(10)を結合する鋼鉄製の部材が強度を失った際にも十分な強度を保つ。こうして、充填材(10)のうち、鋼鉄成分の温度上昇に伴う強度の低下は、非金属成分の焼き付けに伴う強度上昇によって相殺される。鋼鉄成分の溶解後、非金属成分が溶融炉心と、それとの界面において相互作用し始める。充填材の設計および物理的、化学的性質は、溶融炉心内への溶解効率が最大であり、コリウムの温度上昇が妨げられ、エアロゾルの生成と溶融物の鏡面反射(melt mirror)による輻射熱とが抑えられ、かつ、水素と他の凝結していないガスとの生成が抑えられるように選択されている。充填材の成分の1つは酸化度の様々な酸化鉄であり、ジルコニウムを酸化し、溶融炉心との相互作用の過程では二酸化ウランと二酸化プルトニウムとを十分に酸化する。こうして、それらが金属のままであることが阻まれ、コリウムの他の成分が十分かつ確実に酸化する。これにより、水蒸気の放射線分解を防ぎ、かつ雰囲気から溶融物の鏡面(melt mirror)への酸素の収着を妨げることができる。これは更に、放出される水素を大幅に減少させる。この過程では酸化鉄が酸素を放出し、特に金属鉄が含まれるようになるまで脱酸素化可能である。
溶融炉心は充填材(10)の中へ、2段階で放出される。最初の段階で格納容器(1)から充填材(10)へ流れ込むのは、主に、溶けた鋼鉄とジルコニウムとであり、それに酸化物が混ざっている。次の段階で充填材へ流れ込む溶融炉心の主成分は、溶融しにくい(すなわち融点の高い)酸化物が液化したものであり、それに金属が混ざっている。このことを考慮すると、溶融炉心と充填材(10)との間の相互作用には2つの異なるタイプがある。1)溶融炉心の金属成分が充填材の成分と相互作用してそれらを溶かす。このとき、溶かされて溶融炉心の中に浮上した充填材の非金属成分との界面相互作用により、溶融炉心の含む液化した金属ジルコニウムが酸化され、溶融金属の層の上に、より軽い酸化鉄と酸化ジルコニウムとの層が形成される。2)溶融炉心の酸化物成分が充填材の金属構造と非金属成分との両方と相互作用してそれらを溶解させる。その一方で、溶融炉心の酸化物成分に混ざったジルコニウム、クロム、その他の溶融金属が充填材の非金属成分との相互作用によって酸化される。このように複雑な多段階の相互作用の結果、溶けた酸化物成分の酸化が更に進み、最も反応性の高い溶融金属成分が酸化する。さらに、コリウムの性質が、限られた容積の中に閉じ込め可能であり、安全かつ効果的に長時間冷却可能であるという予定されたものと成る。
コリウムは、充填材(10)との相互作用の結果、温度が約1/1.5〜1/2に下がる。これにより、溶融物の鏡面から片持ち梁、案内板、更にその上の格納容器の底への輻射による熱流量を大幅に減少させることができる。溶融物の鏡面からの輻射熱とエアロゾルの生成とを更に効果的に減少させる目的で、自然に発生するスラグの覆いと人工的に発生させるスラグの覆いとの両方が利用される。これらは両方とも、溶融物の鏡面からの輻射熱によって特殊用途のコンクリートが溶ける間、および、液状のコリウムが充填材と相互作用してそれを溶かす間に形成される。スラグの覆いの厚さと寿命との選択により、溶融物の鏡面反射が上方に位置する設備へ与える影響は、コリウムの閉じ込めの初期段階、すなわち、コリウムが充填材(10)に侵入して炉心捕獲器(8)に堆積する期間という最悪の場合であっても、最小限に留まる。溶融炉心が捕獲器へ進入する時間は、最長で数時間にも達し得る。一方、酸化物を主体とするコリウムの進入にはかなりのむらがあり、その後、コリウムの流れに無視できない変化、または一時的な停止が生じる場合がある。
充填材(10)と溶融炉心との間の化学反応はコリウムの組成と構造とを次第に変化させる。初期段階では、溶融炉心が均質な構造から2層構造へと変化し得る。この2層構造では一般に、上側が溶融した鋼鉄とジルコニウムとの混合物であり、下側が高融点酸化物の溶融液に金属の混ざったものである。溶融金属の混合物よりも、高融点酸化物の溶融液は、密度が平均25%高いことによる。充填材が溶融炉心の液化酸化物の中に溶け込むにつれて、コリウムの組成、特にその中の酸化物の割合が次第に変えられる。液化酸化物の密度低下が溶融金属の密度変化よりも激しいことによる。この過程が、コリウムにおける液化金属と液化酸化物との間での密度差を連続的に減少させる。充填材が含む非金属の犠牲物質の初期重量が選択されることにより、炉心の含む高融点酸化物の液体の中には十分な量の非金属の犠牲物質が確実に溶け込む。この量は、結果として新たに生じる溶融酸化物がコリウムの溶融金属成分よりも密度が低いように設定される。液化酸化物が溶融金属よりも低密度となる場合、コリウムの溜まりの中では反転が生じる。すなわち、液化酸化物は浮上し、溶融金属は沈下する。コリウムのこの新たな構造が、溶融物の鏡面を水で安全に冷却することを可能にする。液化酸化物が界面に浮上した場合、液化酸化物の熱的および物理的性質により、冷却水が水蒸気爆発を招く危険性はない。冷却水はまた、水素を発生させる化学反応を招くこともなく、溶融物の鏡面が比較的低温であるので熱分解されることもない。液化酸化物と溶融金属との反転により、捕獲器の多層容器から最終の放熱材(ヒートシンク)、すなわち冷却水への熱流が安定化可能である。これは、液化酸化物と溶融金属との多様な熱的および物理的性質に起因する。
コリウムから捕獲器(8)へ熱は3段階で伝わる。第1段階は、主に溶融金属が充填材(10)の溜まり(14)へ流れ込むときであり、捕獲器(8)の多層容器(11〜13)の各層と溶融物との間での熱交換はそれほど激しくはない。溶融物に蓄積された熱は主に充填材(10)の構造成分の加熱と部分的な溶融とに費やされる。捕獲器(8)の下部は一様に加熱され、重大な変化はない。捕獲器(8)の円錐部分の底が円筒部分よりも平均30%厚く、垂直方向での上から下への対流による熱伝達が下から上へのもの、または径方向での対流によるものよりも効率がかなり低いことを考慮すると、捕獲器(8)の底が加熱されるプロセスは、それに続く円筒部分の加熱よりもかなり遅い。
第2段階は、高融点酸化物の液体が支配的なときであり、コリウムの界面の高さが著しく上昇する(充填材の犠牲物質に希釈されることによる)。コリウムの酸化物成分がエネルギーを放出し始める。コリウムの酸化物成分と金属成分との間ではエネルギーを放出する割合が約9対1であるので、コリウムの酸化物成分からは大量の熱が流れ出す。コリウムの酸化物成分の密度は、充填材との相互作用の初期段階では、溶融金属の密度よりもかなり高いので、コリウムの組成の層化と再分布とが可能になる。すなわち、溶融金属が上になり、高融点酸化物が下になる。この状態では、高融点酸化物による捕獲器(8)の底の加熱はそれほど深刻ではない。これは、対流による熱伝達が上から下へのものであると共に、「容器の壁/酸化物」間の境界にある酸化物の外皮(crust)の熱伝導度が取るに足りず、平均すれば1W/mKを超えないからである。溶融した高融点酸化物から成る酸化物の外皮(slag line)は、「酸化物/金属」間の境界で溶融酸化物が冷えた結果、形成される。金属は酸化物よりも熱伝導度が何倍も高く、最終のヒートシンクである冷却水へより多くの熱を逃がしやすいからである。この効果がコリウムの確実な閉じ込め、すなわちコリウムの成分が水冷式多層容器(11)の外層と化学的に相互作用することを防止してその外層を熱から守ることに利用される。液化酸化物の上にある溶融金属は概して、液化酸化物の対流に伴う下から上への熱伝達により、エネルギーを吸収する。この状態は、コリウムの溶融金属成分を過熱させ、捕獲器(8)の多層容器の各層(11〜13)から最終のヒートシンクへの熱流に大きなばらつきを生じさせ得る。その一方で、溶融物の鏡面からの輻射による熱流束が増大する。捕獲器(8)の多層容器の各層(11〜13)とコリウムの液体金属部分とが相互作用する領域では、スラグの層も、多層容器の過熱に伴って自然に生じるはずの障壁も形成されない。このように、多層容器の設計によって目下の課題が解決される。
第3段階では、充填材(10)が多層容器の内層(13)に現れるので、コリウムが充填材(10)と相互作用する。この時点までには、原子炉下の空洞(3)の側に位置する多層容器の外層(11)が水で満たされる。炉心捕獲器(8)は原子炉下の空洞に設置され、貯留槽に接続されている。この貯留槽には、事故(想定内のものか、想定外のものかにかかわらず)の間には原子炉施設の1次冷却材が集められ、安全システムの作動後は更に、そのシステムから1次系へ供給される水が集められる。炉心捕獲器(8)が上記の多層容器として設計されているのは、その外層(11)の熱伝導機能が高温のコリウムによって損なわれることを防ぐことが目的である。この場合、多層容器の各層(11〜13)に熱的および力学的な負荷を分担させることができる。主要な熱的負荷は内層(13)によって吸収され、主要な力学的負荷(衝撃と圧力)は外層(11)によって吸収される。外層(11)の内面には肋材が設置され、それに内層(13)が溶接されている。これらの肋材により力学的負荷が内層(13)から外層(11)へ伝達される。この設計により内層(13)は肋材を通して、熱変形に伴う応力を冷却された外層(11)へ伝える。内層(13)に作用する熱応力を最小限に留めることを目的として、肋材は外層(11)に熱減衰装置(サーマルダンパー)を利用して接続されている。
熱伝導性の高い物質(融点の低いコンクリート)から成る充填材(12)が使われている場合、容器の内層(13)から外層(11)への熱伝導が確保される。内層(13)がコリウムによって加熱されると、その熱は充填材(低融点コンクリート)(12)へ伝達される。熱伝導の間、充填材は融点まで加熱され、溶融した領域の幅が広がるにつれて、対流による熱伝達が内層(13)と溶融していない充填材(12)との間で開始される。この過程は、充填材(12)が完全に溶融して熱流が内層から外層へ放出されるようになるまで続く。充填材(12)が溶融する過程は、その素材の熱伝導性の高さにより、かなり速い。したがって、実際には、容器の内層からの熱流はすべて充填材によって吸収されるだろう。これを目的として、充填材の厚さは主に次の2つの基準を満たすように選択される。1)コンクリートの溶融時間は、容器の内層が加熱により強度損失を起こす臨界の時間よりも著しく短い。2)容器の内層と外層との間での対流による熱伝達の程度は、溶融コンクリート内で加熱された質量が対流によって移動することに伴ってそのコンクリートから外層(外壁)へ熱が移動する間に、内層から溶融コンクリートへの熱流束が1/1.5〜1/2倍に減少する程度である。
第1の基準は構造設計によって満たされる。すなわち、充填材(10)のマクロ多孔性は、コリウムによる充填剤との相互作用の初期段階において容器の内層への熱流が適度であるように選択される。これにより、容器の内層の温度上昇の間にその強度損失を招くことなくコンクリートを溶融させることができる。このようなマクロ多孔性は更に、コリウムの全体が容器の内層の内面に与える影響をも排除することができる。実際、マクロ多孔性はその影響を、コリウムの残りが放出するエネルギーと、相互作用の初期段階における限られた期間にコリウム内の成分が充填材との化学反応によって放出するエネルギーとの合計のほぼ1/10に制限する。溶融炉心と充填材(10)との間の相互作用の最終段階では、容器の内層は設計上の温度まで加熱され、液化した低融点コンクリートが対流により、熱を容器の外層へ伝達する。この熱は更に、コリウムと容器の内層とが熱的に接触している領域では、最終のヒートシンク(冷却水)にまで伝達される。
第2の基準は、液化した低融点コンクリートの性質と容器の層間空間のパラメータとによって満たされる。加熱された物質の対流による移動は、その物質が内層から外層へ移動する間には熱流束を確実に、想定どおり減少させる。
熱伝導性の低い物質から成る充填材(12)が使われている場合、溶融炉心の進入の初期段階では捕獲器(8)の外層(11)の断熱性が確実に維持される。充填材(12)の主な目的は、捕獲器(8)の外層(11)を熱から守り、その内層の上にスラグの層を形成することにある。コリウムが内層(13)を加熱して溶かすと、その熱は充填材(12)に伝わるので、充填材(12)もまた加熱されて溶融し、多層容器の外層(11)の比較的冷たい内面の上にはスラグの外皮(slag crust)が形成される。この過程は、多層容器の内層(13)と充填材(12)とが完全に溶融するまで続く。充填材(12)は、熱伝導度が低いので、速やかに溶融してコリウムを希釈する。したがって、コリウムから多層容器の内層(13)への熱流はほとんどが、もっぱら内層(13)と充填材(12)とを溶融させるのに使われるだろう。充填材によって形成されるスラグの層は多層容器の外層(11)への熱流を制限してこの熱流に、外層(11)の高さ方向の全体にわたって分布を変更させ、特に、高さ方向と周方向とにおける局所的な変動を抑えて均す。
多層容器の外層(11)を通る熱流束を制限することが、最終のヒートシンク、すなわち炉心捕獲器(8)の周囲を取り巻く冷却水への熱伝達を確実に安定に、且つ臨界に達しないように保つには必要である。しかし、熱は冷却水へ「プール沸騰」で伝達されるので受動的な除熱が時間無制限で行われる可能性がある。熱流を制限する機能は、原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステムの2つの要素によって実現される。
第1の要素は充填材(10)である。これは、一方では、コリウムを希釈してその熱を発生する部分の体積を増大させることにより、その伝熱面積を増やすと共に、炉心捕獲器(8)の外層(11)を通る熱流束を減らすことができ、他方では、コリウムの酸化物部分を上昇させ、かつ液体金属部分を下降させて両部分を反転させると共に、炉心捕獲器(8)の下部において熱流を再分布させることにより、外層(11)への最大の熱流量を減少させることができる。
第2の要素は多層容器の充填材(12)である。これは、融点の高いスラグの外皮を形成してコリウムからの最大限の熱流量を、炉心捕獲器(8)の外層(11)の高さと周との両方により確実に再分布させることにより、外層(11)において最大源の熱流量を減少させる(定常化させる)。
外層(11)の表面で生成された蒸気は上昇し、蒸気用の逃げ道を通って格納容器へ流れ込み、そこで凝縮される。凝縮液は格納容器から貯留槽へ流れる。この貯留槽は複数本の流路によって、炉心捕獲器(8)が設置された原子炉下の空洞(3)へ繋がれている。したがって、炉心捕獲器を長期間冷却する場合においても、冷却水の循環機能と外層(11)からの定常的な除熱機能とが確保される。捕獲器(8)内のコリウムは、蓄積した熱と残留エネルギーの放出に伴う熱とが減少するにつれて次第に冷却される。充填材(10)との相互作用を終えた後の溶融物を冷却する最初の段階では、主に多層容器の外層(11)を通して熱が交換される。冷却水が捕獲器(8)に供給された後、熱流は次第に平衡状態へ移行する。すなわち、外層(11)を通る熱流量はコリウムの表面からの熱流量と等しくなる。最終段階ではコリウムは、炉心捕獲器(8)に供給される冷却水によって直に冷却され得る。これは、コリウムが固化する間に透水性の構造を形成する場合に可能である。
こうして、加圧水型原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステムにおける上記の捕獲器(8)は、全体として、多層容器の外層(11)を完全な状態に維持したまま、溶融物からの除熱効率を高めることができる。
1−原子炉格納容器
2−原子炉格納容器の底
3−コンクリート製のアーチ形貯蔵室(原子炉内の空洞)
4−案内板
5−片持ち梁
6−片持ち梁の断熱部
7−操作床
8−炉心捕獲器
9−多層容器のフランジの断熱部
10−充填材
11−多層容器の外層
12−多層容器内の充填材
13−多層容器の内層
14−段階的に先細りする形状、または円筒形状のコリウム用貯槽
15−肋材
16−多層容器の円筒部分
17−多層容器の円錐部分
18−3層の複合殻

Claims (7)

  1. 加圧水型原子炉の溶融炉心を冷却して閉じ込めるシステムであって、
    前記原子炉の格納容器の底の下に設置された円錐形状の案内板と、
    前記案内板の下に設置され、前記案内板を支持する片持ち梁と、
    前記片持ち梁の下に設置され、冷却被覆材を備えることにより外側の伝熱壁を、衝撃、熱、および化学的影響から保護するための多層容器として形成されている炉心捕獲器と、
    前記多層容器の中で溶融炉心を希釈するための充填材と
    を備え、
    前記多層容器は、内側と外側との金属層、およびそれらの間に挟まれた非金属の充填材を含む中間層を有し、
    前記内側と外側との金属層の間には複数の肋材が方位間隔Spitchで設置されており、この間隔Spitchは前記多層容器の外径dextに対して不等式
    ext/15<Spitch<dext/5
    を満たす
    ことを特徴とするシステム。
  2. 各肋材は前記外側の金属層にはしっかりと固定されているが、前記内側の金属層には固定されていないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 各肋材は前記外側と内側との金属層の両方にしっかりと固定されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  4. 各肋材は半径方向と周方向との両方において熱的に隔離されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. 前記多層容器の底のうち、上側の円筒部分を下側の円錐部分に接続している部分は、ドーナツ形をした3層の複合殻を含み、前記外側の金属層の熱膨張の大きさにかかわらず、前記内側の金属層の熱膨張の大きさを確保することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 前記多層容器は、前記外側の金属層の上に追加して貼られた厚さ0.1−0.5mmの耐腐食層を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 前記多層容器は、前記外側の金属層の外表面上に追加して貼られ、水への対流による熱伝導を促進させる厚さ0.5−5mmの層を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
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