JP2018501993A - 液体／ガス分離器 - Google Patents

Abstract

一例において、液体／ガス分離器は複合膜を含み、複合膜は、ガスを通過させるが、膜を横切る第１の圧力差で液体を通過させず、第１の圧力差よりも小さい第２の圧力差で膜を逆戻りして通過するガスを阻止する。【選択図】図２

Description

背景
気泡は、インクジェットプリンタの吐出ノズルへのインク及び他の印刷液体の適切な供給を妨げる可能性がある。気泡は、例えば吐出ノズル及びシステムの接続部を介して、及び大きな温度変化および圧力変化の間の脱ガスにより、外部から印刷液体供給システムに入る可能性がある。従って、インクジェットプリンタは通常、印刷液体供給システムから気泡を取り除くための或る種の機構を含む。

新たな複合液体／空気分離膜の一例を実現する通気孔を有するインクジェットプリンタを示す図である。 図１に示された通気孔に使用され得るような複合液体／空気分離膜の一例を示す図である。 図１に示された通気孔に使用され得るような複合液体／空気分離膜の一例を示す図である。 図１に示された通気孔に使用され得るような複合液体／空気分離膜の一例を示す図である。 図１に示された通気孔に使用され得るような複合液体／空気分離膜の機能特性に関する一例を示すグラフである。 図５に示された機能特性を実現するための一例を示すグラフである。

同じ部品番号は、図面の全体にわたって同じ又は類似の部品を示す。

説明
幾つかのインクジェットプリンタにおいて、ガスを通過させるが液体を通過させない膜が、インク又は他の印刷液体から気泡を取り除くことを支援するために使用される。膜の乾燥側のより低い圧力によって、印刷液体の気泡は、膜の濡れた側から乾燥側へ引き寄せられ、当該乾燥側において空気は、雰囲気へ入れられる又は放出される。膜の乾燥側でのより低い圧力が失われる場合、空気は膜を介して印刷液体に再び入る可能性がある。

従って、膜を横切る圧力の反転の場合に、膜を介して乾燥側から濡れた側へ逆戻りする空気の流れを阻止するための新たな液体／ガス分離膜が開発された。一例において、複合膜は、撥液性材料の層と密着している湿潤性（濡れ性）親液性材料の層を含む。親液性材料は、膜を介した所望の空気流の方向において撥液性層から上流の印刷液体に面する。当該層は、親液性層が濡れた場合に膜の濡れた側から乾燥側へ気泡を移動するために生じた圧力差で膜を介して空気を通過させるが、真空が膜の乾燥側において失われる場合に存在する可能性がある圧力差で空気を阻止するように互いに構成される。図面に示された及び本明細書で説明されるこの及び他の例は、例証するが、特許請求される内容の範囲を制限せず、当該範囲は、本説明の後に続く特許請求の範囲で定義される。

図１は、新たな複合液体／空気分離膜の一例を実現する通気孔を有するインクジェットプリンタを示す。図２〜図４は、当該通気孔および膜をより詳細に示す。最初に図１を参照すると、プリンタ１０は、インク又は他の印刷液体１４を１つ又は複数のプリントヘッド１６に送るための液体供給システム１２、及び印刷液体１４から気泡２０を取り除くための空気管理システム１８を含む（本明細書で使用される限り、「液体」は、主としてガス（単数または複数）によって構成されない流体を意味する）。プリントヘッド１６は概して、例えば小滴２２として１つ又は複数の開口から液体を吐出するためのプリンタ１０の一部分を意味し、時としてプリントヘッドダイ、プリントヘッドアセンブリ及び／又はプリントバーとも呼ばれるものを含む。プリンタ１０及びプリントヘッド１６は、インクで印刷することに制限されるだけでなく、他の液体を吐出する及び／又は印刷以外で使用するためのインクジェットタイプも含む。

液体供給システム１２は、印刷液体１４の供給部２４、及び供給部２４からプリントヘッド１６までの液体１４の流れを調整するための流量調整器２６を含む。図示された例において、調整器チャンバ２８への液体１４の流れは、バルブ３０により制御される。空気袋３２は、リンク機構３４を介してバルブ３０を閉じる及び開くために、膨張および収縮する。袋３２は雰囲気に通じている又は別の適切な空気圧源に接続される。付勢スプリング３６は、チャンバ２８内の所望の圧力を維持するために袋３２に所定の力を作用させ、当該所望の圧力は通常、プリンタが休んでいる際にプリントヘッド１６からの液体のよだれを防止することに役立つために僅かに負の圧力である。フィルタ３８は一般に、印刷液体１４から不純物を取り除くために使用され、液体１４のプリントヘッド１６への流れを制御することに役立つ。

空気管理システム１８は、液体チャンバ２８からの通気孔４０、４２、及び各通気孔４０、４２に関連して動作するように接続された空気ポンプ４４を含む。ポンプ４４は、印刷液体１４の気泡２０が通気孔膜４６を通過することを可能にするために圧力を下げるように各通気孔４０、４２の乾燥側から空気を抜く。詳細に後述されるように、膜４４により、気泡２０が、供給システム１２の通常の動作条件の範囲内で乾燥側へ入れるが液体１４を阻止することを可能にする。

図示された例において、各通気孔４０、４２は、より低い圧力の所望の範囲に維持される真空リザーバ４８を介してポンプ４４に接続される。気泡２０が通気孔４０、４２を通り抜ける際に、リザーバ４８の圧力が上昇（即ち、真空の度合いが減少）し、そのため真空は、制御バルブ５０を開き且つポンプ４４を動作させることにより、周期的にリフレッシュされなければならない。また、図示された例において、２つの通気孔４０、４２を用いて、液体チャンバ２８から空気を取り除いている。通気孔４０は、フィルタ３８から上流（チャンバ２８を通る液体の流れの方向において）にあり、通気孔４２はフィルタ３８から下流にある。フィルタ３８から上流の単一の通気孔が可能であるが、フィルタ３８は、通気孔４０の方へのチャンバ２８を通り抜ける気泡２０の移動を妨害する可能性がある。フィルタ３８から下流の第２の通気孔により、フィルタ３８から下流の気泡２０がより自由に逃げることを可能にする。

図２及び図３は、通気孔４０、４２の一例を、より詳細に示す。図４は、図２及び図３からの細部である。図２は、通常の排気状態を示し、この場合、気泡２０が膜４６を通過する。図３は、真空が乾燥側で失われている圧力の偏位を示し、この場合、膜４６が液体チャンバへと逆戻りする空気２０の流れを阻止する。図２〜図４を参照すると、各通気孔４０、４２は、チャンバ２８内の開口５２、ハウジング５４、及び開口５２を覆う膜４６を含む。膜４６は、Ｐ_wet＞Ｐ_dryの際に濡れた側５６から乾燥側５８へ空気２０を通すが液体１４を通さず、膜を横切る圧力差の許容可能な範囲内でＰ_dry＞Ｐ_wetの際に乾燥側５８から濡れた側５６へ入る空気２０を阻止するように構成される。

図示された例において、膜４６は、濡れた側５６の第１の親液性部分６０、及び乾燥側５８（空気が膜４６を通過する方向において第１の部分６０から下流）の第２のガス透過可能な撥液性部分６２を含む。各部分６０、６２は、単一の別個の層として示されているが、他の構成が可能である。他の例において、各部分６０、６２は、複数の層を含むことができるか、又は双方の部分は単一の構造体へと一体化され得る。図２〜図４に示されたような２つの部分の構成に関して、親液性部分６０は通常、所望の機能特性を達成するために、非常に薄く且つ撥液性部分６２と密着することが要求される。親液性部分と撥液性部分との間の間隙が含まれ得るが、液体に満ちている間隙は、膜を通り抜ける空気の流れを不当に妨害する可能性がある。かくして、部分６０及び６２は通常、通気孔膜４６において密着する（又は単一の一体化された構成である）ことが要求される。

図５は、図１に示されたプリンタ１０の通気孔４０、４２に使用され得るような、複合膜４６の機能特性に関する一例を示すグラフ６４である。図５の水平軸は、膜４６を横切る圧力差Ｐ_WET−Ｐ_DRYを表す。垂直軸は、膜４６を通り抜ける空気の流量Ｑを表す。濡れた親液性層６０の気泡圧力ＢＰは、図５において垂直破線７０により示される。図５を参照すると、通常の動作中、Ｐ_WET＞Ｐ_DRYであり且つ膜４６を横切る圧力差の大きさが親液性部分６０の気泡圧力７０を超える（|Ｐ_WET−Ｐ_DRY|＞ＢＰ）場合、グラフ６４の傾斜部分６６により示されるように、液体１４の気泡２０が濡れた親液性部分６０を介して拡散し撥液性部分６２を介してまとまって移動するので、空気は濡れた側５６から乾燥側５８へ膜４６を介して流れる。膜４６を横切る圧力差の大きさが親液性部分６０の気泡圧力より小さい（|Ｐ_WET−Ｐ_DRY|＜ＢＰ）場合、グラフ６４の水平部分６８により示されるように、空気の流れは阻止される。逆の流れの圧力差の大きさが濡れた親液性層６０の気泡圧力を超える（|Ｐ_WET−Ｐ_DRY|＞ＢＰ）場合、グラフ６４の傾斜部分７２により示されるように、空気は乾燥側５８から濡れた側６０へ膜４６を介して流れる。

従って、濡れた親液性層６０の気泡圧力は、真空が乾燥側５８で失われた場合、膜４６を横切る逆の流れの圧力差よりも大きい値に設定されるべきである。図１に示された空気管理システム１８の例において、親液性部分６０は、濡れた場合にチャンバ２８の静的な逆圧よりも十分に大きい気泡圧力を有し、真空が通気孔４０、４２の乾燥側５８で失われた場合に、膜４６を逆戻りして通る空気２０を阻止する。

図１に示されたプリンタ１０のようなインクジェットプリンタに関する一例において、チャンバ２８の逆圧（背圧）Ｐ_WETは、−１２４５．４Ｐａ（−５水柱インチ）から−３４８７．３Ｐａ（−１４水柱インチ）の範囲に維持される（本明細書の全ての圧力はゲージ圧力を基準とする）。乾燥側５８での真空が失われ且つＰ_DRYが大気圧に上がるはずである場合（０Ｐａ（０水柱インチ）；Ｐ_WET−Ｐ_DRY＝−１２４５．４Ｐａ（−５水柱インチ）から−３４８７．３Ｐａ（−１４水柱インチ））、濡れた親液性層６０の気泡圧力は、液体チャンバ２８に維持された逆圧の全範囲の全体にわたって膜４６を通る空気の逆流を阻止するために、３４８７．３Ｐａ（１４水柱インチ）よりも大きくなるべきである。リザーバ４８の真空の大きさは、液体チャンバ２８の最も大きい圧力の大きさ（この例において、Ｐ_WET＝３４８７．３Ｐａ（１４水柱インチ））および気泡圧力の合計よりも大きくなるべきである。かくして、−１２４５．４Ｐａ（−５水柱インチ）から−３４８７．３Ｐａ（−１４水柱インチ）の範囲のチャンバ圧力Ｐ_WETに関して、６９７４．５Ｐａ（２８水柱インチ）より大きい大きさの真空（Ｐ_DRY＜−６９７４．５Ｐａ（−２８水柱インチ））が、液体チャンバ２８の逆圧の全範囲の全体にわたって印刷液体１４の中から膜４６を横切ってリザーバ４８へ気泡２０を吸い出すために、通常動作中に真空リザーバ４８に維持されるべきである。

図６に示された特定の例において、チャンバ圧力Ｐ_WET＝−２９８９．１Ｐａ（−１２水柱インチ）であり、膜４６の気泡圧力が６２２７．２Ｐａ（２５水柱インチ）である。通常動作の条件下で、リザーバの真空Ｐ_DRY＝−９９６３．６Ｐａ（−４０水柱インチ）であり、その結果、Ｐ_WET−Ｐ_DRY＝６９７４．５Ｐａ（２８水柱インチ）であり、グラフで点７４により示されるように、気泡は濡れた側５６から乾燥側５８に進む。真空がリザーバ４８において失われ、Ｐ_DRYが０に上昇する場合、Ｐ_WET−Ｐ_DRYが−２９８９．１Ｐａ（−１２水柱インチ）に下がり、空気は、グラフの点７６により示されるように、膜４６を横切って何れかの方向に進まない。親液性部分６０の気泡圧力は特定の具現化形態に応じて変化するが、真空が失われた場合に不要な空気の逆流（膜の乾燥側から膜の濡れた側へ）を阻止ながら、適切な空気の前方流（膜の濡れた側から膜の乾燥側へ）の実用的な真空を可能にするために、４９８１．８Ｐａ（２０水柱インチ）から１４９４５．４Ｐａ（６０水柱インチ）の範囲の気泡圧力が多くのインクジェット印刷の具現化形態において十分であると予想される。

一例において、複合膜４６は、親液性部分６０に対してHaver and BoeckerからのDTW６ミクロン（μｍ）メッシュの織り金網、及び撥液性部分６２に対してGORE（登録商標）D10 SFO ePTFE織物を含む。別の例において複合膜４６は、親液性部分６０に対して１２μｍ（ミクロン）の公称の細孔径を有するPALL（登録商標）ポリスルホン繊維のメッシュフィルタ材料、及び撥液性部分６２に対してPALL（登録商標）INFUZOR商標の膜を含む。複合膜４６に対して他の適切な材料および構成が可能である。例えば、現時点で入手可能なPTFEの幾つか及び他の「通気性」織物は、部分６０、６２が単一の構造体へと一体化される複合膜４６の所望の機能特性を提供するために変更され得ることが要求される。

通気孔４０、４２及び膜４６が空気および印刷液体に関連して説明されたが、他の例において、通気孔４０、４２及び膜４６は、他の液体を阻止し且つガスの逆流を防止しながら、他のガスを通過させるために使用され得る。

特許請求の範囲で使用される「a」及び「an」は、１つ又は複数を意味する。

図面に示され及び上記で説明された例は例証するが、本発明の範囲を制限せず、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲において定義される。

Claims (11)

1. 液体／ガス分離器であって、複合膜を含み、前記複合膜は、ガスを通過させるが、前記膜を横切る第１の圧力差で液体を通過させず、前記第１の圧力差よりも小さい第２の圧力差で前記膜を逆戻りして通過するガスを阻止する、液体／ガス分離器。
2. 前記液体がインクであり、前記ガスが空気である、請求項１に記載の分離器。
3. 前記膜が、
   第１の親インク性部分と、
   前記第１の部分と接触し、且つ空気が前記膜を通過することになる方向において前記第１の部分から下流の第２の撥インク性部分とを含む、請求項２に記載の分離器。
4. 前記膜の第２の部分が、濡れた場合に４９８１．８Ｐａ（２０水柱インチ）から１４９４５．４Ｐａ（６０水柱インチ）の範囲の気泡圧力を有し、
   前記第１の圧力差が前記気泡圧力よりも大きく、
   前記第２の圧力差が前記気泡圧力よりも小さい、請求項３に記載の分離器。
5. 印刷液体供給システム用の空気抜きシステムであって、
   ０より小さい第１の圧力で印刷液体を保持するためのチャンバと、
   前記第１の圧力より小さい第２の圧力で空気を保持するためのリザーバと、
   前記チャンバから前記リザーバへ空気を通すことができるが、印刷液体を通すことができない通気孔とを含み、前記通気孔が、前記第２の圧力より大きく且つ前記第１の圧力と前記第２の圧力との間の圧力差より小さい気泡圧力を有する、システム。
6. 前記第１の圧力が、−１２４５．４Ｐａ（−５水柱インチ）から−３４８７．３Ｐａ（−１４水柱インチ）の範囲内であり、前記第２の圧力が−６９７４．５Ｐａ（−２８水柱インチ）より小さい、請求項５に記載のシステム。
7. 前記気泡圧力が、３４８７．３Ｐａ（１４水柱インチ）より大きい、請求項６に記載のシステム。
8. 通気孔であって、開口を覆う膜を含み、前記膜が、前記開口の濡れた側に面する親液性部分と、前記開口の乾燥側に面する撥液性部分とを含む、通気孔。
9. 前記開口の前記濡れた側の前記膜の前記親液性部分を濡らす液体を含む、請求項８に記載の通気孔。
10. 前記膜の前記濡れた親液性部分の気泡圧力よりも大きい大きさを有する、前記開口の前記乾燥側の真空を含む、請求項９に記載の通気孔。
11. 前記親液性部分と前記撥液性部分が、前記開口を覆う全範囲において互いと接触している、請求項１０に記載の通気孔。

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