JP2018202641A - 液体吐出装置及びケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズを低減させることが可能な液体吐出装置を提供する。【解決手段】液滴吐出装置は、圧電素子を有し、第1の駆動信号が圧電素子の一方の端子に印加され、圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、定電圧信号を出力する定電圧信号生成部と、第1の駆動信号と定電圧信号とをヘッドユニットに転送するケーブル201〜212とを備える。ケーブル201〜212は、同心状に設けられた第1の導体層251、第2の導体層252及び第3の導体層253を有し、第1の駆動信号は、第1の導体層251を伝搬し、定電圧信号は、第2の導体層252を伝搬する。第3の導体層253の電圧は、グラウンド電圧となっている。【選択図】図12
Description
本発明は、液体吐出装置及びケーブルに関する。
インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターには、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いたものが知られている。圧電素子は、液体吐出ヘッド(プリントヘッド)において複数のノズルのそれぞれに対応して設けられ、それぞれが駆動信号に従って駆動されることにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインク(液体)が吐出されて、ドットを形成する。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、上述のインクジェットプリンターにおいては、駆動回路が出力する高電圧の駆動信号がケーブルを介して液体吐出ヘッドに供給され、圧電素子の一方の電極に駆動信号が印加される構成となっている。また、圧電素子の他方の電極には一定電圧のバイアス信号(定電圧信号)が印加される場合もある。このようなプリンターにおいて、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度の低下による印刷品質の劣化を抑えるためには、駆動信号やバイアス信号がケーブルを伝搬することによって生じる歪みを低減させることが重要である。
特許文献1には、2つの駆動信号とバイアス信号とを1本の3層同軸ケーブルによりヘッドに転送する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、フレキシブルフラットケーブルによって駆動信号とバイアス信号とを転送する場合と比較して、同軸ケーブルにおいて駆動信号やバイアス信号が伝搬する導体層(信号線)のインダクタンス値が小さくなり、大きな電流が流れても駆動信号やバイアス信号の歪みを低減させることができる。
ところで、圧電素子に印加されるバイアス信号の電圧を安定化させるために、液体吐出ヘッドにおいて、バイアス信号線とグラウンド信号線との間に十分な容量値を有する安定化コンデンサーが付加される場合がある。このような場合、バイアス信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとが直列に接続されたLC発振回路が形成されるため、当該LC発振回路の発振に起因するノイズ(直列共振ノイズ)がバイアス信号に重畳され、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれがある。
本発明のいくつかの態様によれば、圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズを低減させることが可能な液体吐出装置及びケーブルを提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例を実現することが可能となる。
[適用例1]
本適用例に係る液体吐出装置は、圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部と、前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルと、を備え、前記ケーブルは、同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である。
本適用例に係る液体吐出装置は、圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部と、前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルと、を備え、前記ケーブルは、同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である。
前記ヘッドユニットは、例えば、前記液体吐出ヘッド以外に、前記液体吐出ヘッドが搭載されたキャリッジや、前記第1の駆動信号及び前記定電圧信号の前記液体吐出ヘッドへの転送を中継する基板(中継基板)等を含んでもよい。また、前記ケーブルは、例えば、前記第1の駆動信号及び前記定電圧信号を前記液体吐出ヘッドに転送してもよいし、前記第1の駆動信号及び前記定電圧信号を前記中継基板に転送してもよい。
本適用例に係る液体吐出装置では、1本のケーブルにおいて、定電圧信号が第2の導体層を伝搬し、第2の導体層と同心状に設けられた第3の導体層の電圧がグラウンド電圧である。従って、ヘッドユニットにおいて、定電圧信号の電圧を安定化させるために、定電圧信号線とグラウンド信号線との間に十分な容量値を有する安定化コンデンサーが付加され、定電圧信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとが直列に接続されたLC発振回路(直列共振回路)が形成された場合、ケーブルにおいて第2の導体層を流れる電流と第3の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第3の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、LC発振回路(直列共振回路)が発生する直列共振ノイズが小さくなり、直列共振ノイズが定電圧信号に重畳されにくい。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
また、本適用例に係る液体吐出装置では、1本のケーブルにおいて、第1の駆動信号と定電圧信号とが、同心状に設けられた第1の導体層と第2の導体層とをそれぞれ伝搬し、液体吐出ヘッドに備えられた圧電素子の両端に印加され、圧電素子に電流が流れる。このとき、ケーブルにおいて、第1の駆動信号が伝搬する第1の導体層を流れる電流と定電圧信号が伝搬する第2の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第1の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、第1の導体層のインダクタンスに起因する第1の駆動信号の歪みが低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号の歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
[適用例2]
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、前記第3の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられていてもよい。
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、前記第3の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられていてもよい。
本適用例に係る液体吐出装置では、ケーブルにおいて、第2の導体層と第3の導体層との間に第1の導体層が設けられておらず、定電圧信号が伝搬する第2の導体層とグラウンド電圧である第3の導体層とがより近い位置で対向する。そのため、定電圧信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとが直列に接続されたLC発振回路(直列共振回路)が形成された場合でも、第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第3の導体層を流れる電流によって発生する磁界とがより効果的に打ち消し合い、直列共振ノイズが定電圧信号に重畳されにくい。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズがより低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれをより低減させることができる。
また、本適用例に係る液体吐出装置では、ケーブルにおいて、第1の導体層と第2の導体層との間に第3の導体層が設けられておらず、第1の駆動信号が伝搬する第1の導体層と定電圧信号が伝搬する第2の導体層とがより近い位置で対向する。そのため、第1の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界とがより効果的に打ち消し合い、第1の導体層のインダクタンスに起因する第1の駆動信号の歪みがより低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号の歪みがより低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれをより低減させることができる。
さらに、本適用例に係る液体吐出装置では、ケーブルにおいて、グラウンド電圧である第3の導体層のシールド効果により、第3の導体層よりも内側にある第1の導体層及び第2の導体層をそれぞれ伝搬する第1の駆動信号及び定電圧信号に対する外部ノイズの影響が低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号及び定電圧信号に重畳されるノイズが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれをより低減させることができる。
[適用例3]
上記適用例に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、前記第1の駆動信号又は第2の駆動信号が前記圧電素子の前記一方の端子に印加されることにより液体を吐出し、前記駆動信号生成部は、前記第2の駆動信号をさらに出力し、前記ケーブルは、前記第2の駆動信号をさらに前記ヘッドユニットに転送し、前記第1の導体層、前記第2の導体層及び前記第3の導体層と同心状に設けられた第4の導体層及び第5の導体層をさらに有し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層及び前記第5の導体層を伝搬し、前記第2の駆動信号は、前記第4の導体層を伝搬してもよい。
上記適用例に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、前記第1の駆動信号又は第2の駆動信号が前記圧電素子の前記一方の端子に印加されることにより液体を吐出し、前記駆動信号生成部は、前記第2の駆動信号をさらに出力し、前記ケーブルは、前記第2の駆動信号をさらに前記ヘッドユニットに転送し、前記第1の導体層、前記第2の導体層及び前記第3の導体層と同心状に設けられた第4の導体層及び第5の導体層をさらに有し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層及び前記第5の導体層を伝搬し、前記第2の駆動信号は、前記第4の導体層を伝搬してもよい。
本適用例に係る液体吐出装置では、1本のケーブルにおいて、定電圧信号が第2の導体層及び第5の導体層を伝搬し、第2の導体層及び第5の導体層と同心状に設けられた第3の導体層の電圧がグラウンド電圧である。そのため、定電圧信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとが直列に接続されたLC発振回路(直列共振回路)が形成された場合、ケーブルにおいて第2の導体層を流れる電流及び第5の導体層を流れる電流と第3の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第2の導体層を流れる電流及び第5の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第3の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、LC発振回路(直列共振回路)が発生する直列共振ノイズが小さくなり、直列共振ノイズが定電圧信号に重畳されにくい。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
また、本適用例に係る液体吐出装置では、1本のケーブルにおいて、第1の駆動信号と定電圧信号とが同心状に設けられた第1の導体層と第2の導体層とをそれぞれ伝搬し、第2の駆動信号と定電圧信号とが同心状に設けられた第4の導体層と第5の導体層とをそれぞれ伝搬し、第1の駆動信号又は第2の駆動信号と定電圧信号とが液体吐出ヘッドに備えられた圧電素子の両端に印加され、圧電素子に電流が流れる。このとき、ケーブルにおいて、第1の駆動信号が伝搬する第1の導体層を流れる電流及び第2の駆動信号が伝搬する第4の導体層を流れる電流と定電圧信号が伝搬する第2の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第1の導体層を流れる電流及び第4の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、第1の導体層のインダクタンスに起因する第1の駆動信号の歪み及び第4の導体層のインダクタンスに起因する第2の駆動信号の歪みが低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号及び第2の駆動信号の歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
さらに、本適用例に係る液体吐出装置によれば、第1の駆動信号、第2の駆動信号、定電圧信号及びグラウンド電圧が1本のケーブルによってヘッドユニットに転送されるため、ヘッドユニットへの信号の転送に必要なケーブルの本数を減らすことができるので、低コスト化に有利である。
[適用例4]
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、前記第4の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられ、前記第5の導体層は、前記第4の導体層よりも外側に設けられ、前記第3の導体層は、前記第5の導体層よりも外側に設けられていてもよい。
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、前記第4の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられ、前記第5の導体層は、前記第4の導体層よりも外側に設けられ、前記第3の導体層は、前記第5の導体層よりも外側に設けられていてもよい。
本適用例に係る液体吐出装置では、ケーブルにおいて、第1の導体層と第2の導体層との間に第3の導体層が設けられておらず、第1の駆動信号が伝搬する第1の導体層と定電圧信号が伝搬する第2の導体層とが近い位置で対向する。そのため、第1の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合い、第1の導体層のインダクタンスに起因する第1の駆動信号の歪みが低減される。また、ケーブルにおいて、第4の導体層と第5の導体層との間に第3の導体層が設けられておらず、第2の駆動信号が伝搬する第4の導体層と定電圧信号が伝搬する第5の導体層とが近い位置で対向する。そのため、第4の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第5の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合い、第4の導体層のインダクタンスに起因する第2の駆動信号の歪みが低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号及び第2の駆動信号の歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれをより低減させることができる。
さらに、本適用例に係る液体吐出装置では、ケーブルにおいて、グラウンド電圧である第3の導体層のシールド効果により、第3の導体層よりも内側にある第1の導体層及び第4の導体層をそれぞれ伝搬する第1の駆動信号及び第2の駆動信号に対する外部ノイズの影響が低減される。また、ケーブルにおいて、グラウンド電圧である第3の導体層のシールド効果により、第3の導体層よりも内側にある第2の導体層及び第5の導体層を伝搬する定電圧信号に対する外部ノイズの影響が低減される。従って、本適用例に係る液体吐出装置によれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号、第2の駆動信号及び定電圧信号に重畳されるノイズが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれをより低減させることができる。
[適用例5]
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第3の導体層は、最も外側に設けられている導体層であってもよい。
上記適用例に係る液体吐出装置は、前記ケーブルにおいて、前記第3の導体層は、最も外側に設けられている導体層であってもよい。
本適用例に係る液体吐出装置によれば、ケーブルにおいて、グラウンド電圧である第3の導体層のシールド効果により、第3の導体層よりも内側にある各導体層(第1の導体層及び第2の導体層、あるいは、第1の導体層、第2の導体層、第4の導体層及び第5の導体層)を伝搬する各信号に対する外部ノイズの影響が低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
[適用例6]
本適用例に係るケーブルは、圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部とを備えた液体吐出装置において、前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルであって、同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である。
本適用例に係るケーブルは、圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部とを備えた液体吐出装置において、前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルであって、同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である。
本適用例に係るケーブルでは、定電圧信号が第2の導体層を伝搬し、第2の導体層と同心状に設けられた第3の導体層の電圧がグラウンド電圧である。従って、ヘッドユニットにおいて、定電圧信号の電圧を安定化させるために、定電圧信号線とグラウンド信号線との間に十分な容量値を有する安定化コンデンサーが付加され、定電圧信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとが直列に接続されたLC発振回路(直列共振回路)が形成された場合、本適用例に係るケーブルにおいて第2の導体層を流れる電流と第3の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第3の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、LC発振回路(直列共振回路)が発生する直列共振ノイズが小さくなり、直列共振ノイズが定電圧信号に重畳されにくい。従って、本適用例に係るケーブルによれば、圧電素子に印加される定電圧信号に重畳されるノイズが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
また、本適用例に係るケーブルでは、第1の駆動信号と定電圧信号とが、同心状に設けられた第1の導体層と第2の導体層とをそれぞれ伝搬し、液体吐出ヘッドに備えられた圧電素子の両端に印加され、圧電素子に電流が流れる。このとき、本適用例に係るケーブルにおいて、第1の駆動信号が伝搬する第1の導体層を流れる電流と定電圧信号が伝搬する第2の導体層を流れる電流とは互いに逆向きになり、第1の導体層を流れる電流によって発生する磁界と第2の導体層を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。そのため、第1の導体層のインダクタンスに起因する第1の駆動信号の歪みが低減される。従って、本適用例に係るケーブルによれば、圧電素子に印加される第1の駆動信号の歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態
1−1.液体吐出装置の概要
本実施形態に係る液体吐出装置は、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じてインクを吐出させることによって、紙などの印刷媒体にインクドット群を形成し、これにより、当該画像データに応じた画像(文字、図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
1−1.液体吐出装置の概要
本実施形態に係る液体吐出装置は、外部のホストコンピューターから供給された画像データに応じてインクを吐出させることによって、紙などの印刷媒体にインクドット群を形成し、これにより、当該画像データに応じた画像(文字、図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置1の外観模式図である。図1に示されるように、本実施形態に係る液体吐出装置1は、シリアルスキャン型(シリアル印刷型)の液体吐出装置であり、本体2と、本体2を支持する支持スタンド3とを備えている。本実施形態に係る液体吐出装置1は、A3短辺幅(297mm)以上の幅を有する媒体(印刷媒体)にシリアル印刷を行うことが可能な大判プリンター(ラージフォーマットプリンター)であり、換言すれば、A3短辺幅(297mm)以上の印刷幅でシリアル印刷を行うことが可能なプリンターである。ただし、液体吐出装置1は、必ずしも大判プリンターでなくてもよい。なお、本実施形態では、液体吐出装置1において、キャリッジ24の移動方向を主走査方向X、印刷媒体Pの搬送方向を副走査方向Y、鉛直方向をZとして説明する。また、主走査方向Xと、副走査方向Yと、鉛直方向Zとは互いに直交する3軸として図面に記載するが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
図1に示すように、液体吐出装置1の本体2は、印刷媒体P(例えば、ロール紙)を供給する供給部4と、印刷媒体Pに対しインク滴を吐出し、印刷媒体Pに印刷を行うヘッドユニット20と、ヘッドユニット20により印刷された印刷媒体Pを本体2の外部に排出する排出部6と、印刷の実行、停止等の操作を行う操作部7と、吐出されるインク(液体)が貯留されているインク貯留部8と、を備えている。また、図示を省略するが、液体吐出装置1の後面には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、液体吐出装置1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。
ヘッドユニット20は、キャリッジ24と、印刷媒体(ロール紙)Pと対向するようにキャリッジ24に搭載されたヘッド21とを含んで構成されている。
ヘッド21は、多数のノズルからインク滴(液滴)を吐出させるための液体吐出ヘッドである。詳細には、ヘッド21は、駆動素子である圧電素子60(図4、図5参照)を含み、圧電素子60に駆動信号が印加されて圧電素子60が駆動することにより、インク(液体)を吐出する。
図2は、ヘッド21の下面(インク吐出面)を示す図である。図2に示されるように、ヘッド21のインク吐出面には、それぞれ多数のノズル651が副走査方向Yに沿って所定のピッチPyで並ぶノズル列650を2つ有する6つのノズルプレート632が主走査方向Xに沿って並んで設けられている。各ノズルプレート632に設けられている2つのノズル列650の間では、各ノズル651が副走査方向YにピッチPyの半分だけシフトした関係となっている。このように、本実施形態では、ヘッド21のインク吐出面には、12個のノズル列650(第1ノズル列650a〜第12ノズル列650l)が設けられている。
キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に支持されて、主走査方向Xに移動(往復動)し、このとき、印刷媒体Pは副走査方向Yに搬送される。すなわち、本実施形態における液体吐出装置1は、インク滴を吐出するヘッド21を搭載したキャリッジ24を備えたヘッドユニット20が、主走査方向Xに移動(往復動)し印刷するシリアル印刷を行う。
インク貯留部8には、複数のインクカートリッジ22が取り付けられており、各インクカートリッジ22には対応する色のインクが充填されている。図1では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の4色に対応する4個のインクカートリッジ22が図示されているが、インクカートリッジ22は本構成に限るものではなく、インク貯留部8には、例えば、5個以上のインクカートリッジ22が備えられていてもよく、グレー、グリーン、バイオレットなどの色に対応するインクカートリッジ22が備えられていてもよい。各インクカートリッジ22に収容されているインクは、インクチューブ9を介してヘッド21に供給される。なお、液体吐出装置1は、キャリッジ24に複数のインクカートリッジ22が取り付けられた構成でもよい。
図3は、液体吐出装置1を副走査方向Yの負方向(印刷媒体Pが上流から下流へと搬送される方向の逆方向)に視たときの内部構成を概略的に示す図である。図3に示されるように、液体吐出装置1は、ヘッドユニット20と、キャリッジガイド軸32と、プラテン33と、キャッピング機構35と、メンテナンス機構80と、を備えている。
ヘッドユニット20は、不図示のキャリッジ移動機構の制御に基づき、キャリッジガイド軸32に沿って可動領域Rの範囲内において移動(往復動)する。ヘッド21にはヘッド基板101が搭載されており、ヘッド21のインク吐出面は、印刷媒体Pと対向する。
プラテン33には、印刷媒体Pを搬送する不図示のローラーが設けられ、印刷媒体Pを副走査方向Yに搬送するとともに、印刷媒体Pに対しインク滴が吐出されたとき、印刷媒体Pを保持する。すなわち、液体吐出装置1のヘッドユニット20によるシリアル印刷が可能な最大幅(以下、「最大印刷幅」という)は、プラテン33の主走査方向Xの幅であるプラテン幅PWと同等である。プラテン幅PWは、印刷媒体Pを安定して保持・搬送するために主走査方向Xにおける印刷媒体Pの幅である媒体幅Wの規格寸法Wsよりも広く設定される。
ヘッドユニット20の移動(往復動)の起点であるホームポジションには、ヘッド21のノズル形成面(インク吐出面)を封止するキャッピング機構35が設けられている。ホームポジションは、液体吐出装置1が、印刷を実行していないときに、ヘッドユニット20を待機させる位置でもある。すなわち、ホームポジション(キャッピング機構35)の主走査方向Xにおける幅であるキャッピング機構幅CWは、ヘッドユニット20の主走査方向Xの幅であるヘッドユニット幅HW以上設けられていることが好ましい。
また、ヘッドユニット20の可動領域Rにおいて、ホームポジションから最も遠い場所には、メンテナンス機構80が設けられている。メンテナンス機構80は、メンテナンス処理として、吐出部600内の増粘したインクや気泡等をチューブポンプ(図示省略)により吸引するクリーニング処理(ポンピング処理)や、ノズル近傍に付着した紙粉等の異物をワイパーにより拭き取るワイピング処理を行う。当該メンテナンス処理の実行中は、鉛直方向Zから視たときに、ヘッドユニット20と印刷領域であるプラテン33とが重ならないことが好ましい。すなわち、メンテナンス機構80の主走査方向Xの幅であるメンテナンス機構幅MWは、ヘッドユニット20の主走査方向Xの幅であるヘッドユニット幅HW以上設けられていることが好ましい。
1−2.液体吐出装置の電気的構成
図4は、第1実施形態に係る液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、液体吐出装置1は、制御基板100とヘッド基板101とを備えている。制御基板100は、本体2(図1参照)の内部の所定の場所に固定されており、ヘッド基板101は、ヘッドユニット20のキャリッジ24に搭載されている。
図4は、第1実施形態に係る液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示されるように、液体吐出装置1は、制御基板100とヘッド基板101とを備えている。制御基板100は、本体2(図1参照)の内部の所定の場所に固定されており、ヘッド基板101は、ヘッドユニット20のキャリッジ24に搭載されている。
制御基板100には、制御部111、電源回路112、制御信号送信部113及び駆動信号生成部114が設けられている(実装されている)。また、制御基板100には、12本のケーブル201〜212の各一端が接続されるコネクター130及びケーブル215の一端が接続されるコネクター132が設けられている。
制御部111は、例えば、マイクロコントローラー等のプロセッサーで実現され、ホストコンピューターから供給される画像データ等の各種の信号に基づいて、各種のデータや信号を生成する。
具体的には、制御部111は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、ヘッド21が有する各吐出部600を駆動する駆動信号COMA,COMBの元となるデジタルデータである、それぞれ2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1を生成する。この駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1は、駆動信号生成部114に供給される。
また、制御部111は、ホストコンピューターからの各種の信号に基づき、吐出部600からの液体の吐出を制御する複数種類の制御信号として、6つの印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKを生成し、制御信号送信部113に出力する。
なお、制御部111は、上記の処理以外にも、キャリッジ24(ヘッドユニット20)の走査位置(現在位置)を把握し、キャリッジ24の走査位置に基づいて、不図示のキャリッジモーターを駆動する処理を行う。これにより、キャリッジ24の主走査方向Xへの移動が制御される。また、制御部111は、不図示の搬送モーターを駆動する処理を行う。これにより、印刷媒体Pの副走査方向Yへの移動が制御される。
さらに、制御部111は、メンテナンス機構80(図3参照)に、ヘッド21のインクの吐出状態を正常に回復させるためのメンテナンス処理(クリーニング処理(ポンピング処理)やワイピング処理)を実行させる。
電源回路112は、一定電圧(例えば、3.3V)の低電源電圧信号VDD、一定電圧(例えば、42V)の高電源電圧信号VHV及びグラウンド電圧(0V)のグラウンド電圧信号GNDを生成する。また、電源回路112は、一定電圧(例えば、7.5V)の電源電圧信号GVDDを生成する。
制御信号送信部113は、低電源電圧信号VDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作し、制御部111から出力される6つの印刷データ信号SI1〜SI6を、それぞれ差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−)に変換する。また、制御信号送信部113は、制御部111から出力されるラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKを、それぞれ差動信号(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)に変換する。制御信号送信部113は、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号を生成する。LVDS転送方式の差動信号はその振幅が350mV程度であるため高速データ転送を実現することができる。なお、制御信号送信部113は、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速転送方式の差動信号を生成してもよい。
駆動信号生成部114は、駆動信号COMA(「第1の駆動信号」の一例)及び駆動信号COMB(「第2の駆動信号」の一例)を生成して出力する。また、駆動信号生成部114は、定電圧信号VBSを生成して出力する定電圧信号生成部としても機能する。本実施形態では、駆動信号生成部114は、4つの駆動回路50a〜50dを含んで構成されている。
駆動回路50a,50cは、高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作し、制御部111から出力される2ビットの駆動データCOMA_D0,COMA_D1に基づいて、駆動信号COMAを生成する。同様に、駆動回路50b,50dは、高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作し、制御部111から出力される2ビットの駆動データCOMB_D0,COMB_D1に基づいて、駆動信号COMBを生成する。本実施形態では、駆動回路50a,50cは、駆動データCOMA_D0,COMA_D1を積算し、積算したデータを変調(例えば、パルス密度変調)してD級増幅することにより駆動信号COMAを生成する。同様に、駆動回路50b,50dは、駆動データCOMB_D0,COMB_D1を積算し、積算したデータを変調(例えば、パルス密度変調)してD級増幅することにより駆動信号COMBを生成する。すなわち、駆動データCOMA_D0,COMA_D1及び駆動データCOMB_D0,COMB_D1は、直近の積算データに対する差分を示すデジタルデータである。なお、制御部111が、駆動データとして積算データそのもの(駆動信号COMA,COMBの波形をアナログ/デジタル変換したデジタルデータに対応する駆動データ)を生成し、駆動回路50a〜50dが、当該駆動データを変調(例えば、パルス密度変調)してD級増幅することにより駆動信号COMA,COMBを生成してもよい。
また、駆動回路50a〜50dは、電源電圧信号GVDDから一定電圧(例えば、6V)の定電圧信号VBSを生成する。なお、駆動回路50a〜50dは、入力される駆動データ、及び、出力する駆動信号が異なるのみであって、回路的な構成は同一であってもよい。
駆動回路50aが生成する駆動信号COMAは、3本のケーブル201,203,205によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。駆動回路50bが生成する駆動信号COMBは、3本のケーブル202,204,206によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。また、駆動回路50aが生成する定電圧信号VBSと駆動回路50bが生成する定電圧信号VBSとは合わさって、6本のケーブル201〜206によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
同様に、駆動回路50cが生成する駆動信号COMAは、3本のケーブル207,209,211によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。駆動回路50dが生成する駆動信号COMBは、3本のケーブル208,210,212によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。また、駆動回路50cが生成する定電圧信号VBSと駆動回路50dが生成する定電圧信号VBSとは合わさって、6本のケーブル207〜212によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
また、グラウンド電圧信号GNDは、12本のケーブル201〜212によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
すなわち、6本のケーブル201,203,205,207,209,211は、それぞれ、駆動信号COMA、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDをヘッドユニット20に転送し、6本のケーブル202,204,206,208,210,212は、それぞれ、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDをヘッドユニット20に転送する。本実施形態では、12本のケーブル201〜212は、それぞれ、同心状に設けられた3つの導体層を有するケーブル(以下、「同心ケーブル」という)であり、その詳細な構成については後述する。
そして、同心ケーブル201によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル202によって転送された駆動信号COMBは、駆動信号選択回路120aに供給される。同心ケーブル203によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル204によって転送されたCOMBは、駆動信号選択回路120bに供給される。同心ケーブル205によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル206によって転送されたCOMBは、駆動信号選択回路120cに供給される。同心ケーブル207によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル208によって転送されたCOMBは、駆動信号選択回路120dに供給される。同心ケーブル209によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル210によって転送されたCOMBは、駆動信号選択回路120eに供給される。同心ケーブル2011によって転送された駆動信号COMA及び同心ケーブル212によって転送されたCOMBは、駆動信号選択回路120fに供給される。
また、同心ケーブル201,202によって転送された定電圧信号VBSは、第1ノズル列650a及び第2ノズル列650bに対応して設けられる各吐出部600に供給される。同心ケーブル203,204によって転送された定電圧信号VBSは、第3ノズル列650c及び第4ノズル列650dに対応して設けられる各吐出部600に供給される。同心ケーブル205,206によって転送された定電圧信号VBSは、第5ノズル列650e及び第6ノズル列650fに対応して設けられる各吐出部600に供給される。同心ケーブル207,208によって転送された定電圧信号VBSは、第7ノズル列650g及び第8ノズル列650hに対応して設けられる各吐出部600に供給される。同心ケーブル209,210によって転送された定電圧信号VBSは、第9ノズル列650i及び第10ノズル列650jに対応して設けられる各吐出部600に供給される。同心ケーブル211.212によって転送された定電圧信号VBSは、第11ノズル列650k及び第12ノズル列650lに対応して設けられる各吐出部600に供給される。
高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD及び差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−),(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)は、ケーブル215によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。ケーブル215は、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)であってもよい。
ヘッド基板101には、制御信号受信部115及び6つの駆動信号選択回路120a〜120fが設けられている(実装されている)。また、ヘッド基板101には、12本の同心ケーブル201〜212の各他端が接続されるコネクター140及びケーブル215の他端が接続される142が設けられている。
制御信号受信部115は、低電源電圧信号VDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作し、LVDS転送方式の差動信号(SI1+,SI1−)〜(SI6+,SI6−),(LAT+,LAT−),(CH+,CH−),(SCK+,SCK−)を受信してそれぞれ差動増幅し、シングルエンドの印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKに変換する。なお、制御信号受信部115は、LVDS以外のLVPECLやCML等の各種の高速転送方式の差動信号を受信してもよい。
そして、印刷データ信号SI1〜SI6は、それぞれ、駆動信号選択回路120a〜120fに供給される。また、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及びクロック信号SCKは、駆動信号選択回路120a〜120fに共通に供給される。
駆動信号選択回路120a〜120fは、高電源電圧信号VHV、低電源電圧信号VDD及びグラウンド電圧信号GNDが供給されて動作し、ヘッド21における複数のノズルからインクを吐出させる複数の吐出部600のいずれかに、それぞれ駆動信号VOUT1〜VOUT6を出力する。具体的には、駆動信号選択回路120a〜120fは、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHに基づいて、それぞれ、駆動信号COMAと駆動信号COMBのいずれかを選択して駆動信号VOUT1〜VOUT6として出力し、あるいは、いずれも選択せずに出力をハイインピーダンスとする。なお、駆動信号選択回路120a〜120fの回路的な構成は同一であってもよく、その詳細については後述する。
駆動信号VOUT1は、第1ノズル列650a及び第2ノズル列650bに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。また、駆動信号VOUT2は、第3ノズル列650c及び第4ノズル列650dに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。また、駆動信号VOUT3は、第5ノズル列650e及び第6ノズル列650fに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。また、駆動信号VOUT4は、第7ノズル列650g及び第8ノズル列650hに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。また、駆動信号VOUT5は、第9ノズル列650i及び第10ノズル列650jに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。また、駆動信号VOUT6は、第11ノズル列650k及び第12ノズル列650lに対応して設けられる各吐出部600が有する圧電素子60の一端に印加され、当該圧電素子60の他端には、定電圧信号VBSが印加される。
各圧電素子60は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられており、駆動信号VOUT1〜VOUT6(駆動信号COMA,COMB)が印加されることで変位する。そして、各圧電素子60は、駆動信号VOUT1〜VOUT6(駆動信号COMA,COMB)と定電圧信号VBSとの電位差に応じて変位して液体(インク)を吐出させる。このように、駆動信号COMA,COMBは吐出部600のそれぞれを駆動して液体を吐出させるための信号であり、ヘッドユニット20(ヘッド21)は、駆動信号COMA,COMBに応じて液体(インク)を吐出する。
1−3.吐出部の構成
図5は、ヘッド21が有する1つの吐出部600に対応した概略構成を示す図である。図5に示されるように、ヘッド21は、吐出部600と、リザーバー641とを含む。
図5は、ヘッド21が有する1つの吐出部600に対応した概略構成を示す図である。図5に示されるように、ヘッド21は、吐出部600と、リザーバー641とを含む。
リザーバー641は、インクの色毎に設けられており、インクが供給口661からリザーバー641に導入される。なお、インクは、インク貯留部8からインクチューブ9を介して供給口661まで供給される。
吐出部600は、圧電素子60と振動板621とキャビティー(圧力室)631とノズル651とを含む。このうち、振動板621は、図において上面に設けられた圧電素子60によって変位(屈曲振動)し、インクが充填されるキャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティー631に連通する開孔部である。キャビティー631は、内部に液体(例えば、インク)が充填され、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する。ノズル651は、キャビティー631に連通し、キャビティー631の内部容積の変化に応じてキャビティー631内の液体を液滴として吐出する。
図5で示される圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601にあっては、電極611,612により印加された電圧に応じて、電極611,612、振動板621とともに図5において中央部分が両端部分に対して上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60は、駆動信号VOUT(駆動信号VOUT1〜VOUT6のいずれか)の電圧が高くなると、上方向に撓む一方、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、下方向に撓む構成となっている。この構成において、上方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が拡大するので、インクがリザーバー641から引き込まれる一方、下方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が縮小するので、縮小の程度によっては、インクがノズル651から吐出される。
なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60を変形させてインクのような液体を吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、いわゆる縦振動を用いる構成でもよい。
また、圧電素子60は、ヘッド21においてキャビティー631とノズル651とに対応して設けられ、後述する選択部230(図8参照)にも対応して設けられる。このため、圧電素子60、キャビティー631、ノズル651および選択部230のセットは、ノズル651毎に設けられることになる。
1−4.駆動信号の構成
印刷媒体Pにドットを形成する方法としては、インク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法のほかに、単位期間にインク滴を2回以上吐出可能として、単位期間において吐出された1以上のインク滴を着弾させ、当該着弾した1以上のインク滴を結合させることで、1つのドットを形成する方法(第2方法)や、これら2以上のインク滴を結合させることなく、2以上のドットを形成する方法(第3方法)がある。
印刷媒体Pにドットを形成する方法としては、インク滴を1回吐出させて、1つのドットを形成する方法のほかに、単位期間にインク滴を2回以上吐出可能として、単位期間において吐出された1以上のインク滴を着弾させ、当該着弾した1以上のインク滴を結合させることで、1つのドットを形成する方法(第2方法)や、これら2以上のインク滴を結合させることなく、2以上のドットを形成する方法(第3方法)がある。
本実施形態では、第2方法によって、1つのドットについては、インクを最多で2回吐出させることで、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録(ドットなし)」の4階調を表現させる。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号COMA,COMBを用意して、それぞれにおいて、1周期に前半パターンと後半パターンとを持たせている。1周期のうち、前半・後半において駆動信号COMA,COMBを、表現すべき階調に応じて選択して(又は選択しないで)、圧電素子60に供給する構成となっている。
図6は、駆動信号COMA,COMBの波形を示す図である。図6に示されるように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってから次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。期間T1と期間T2からなる期間を周期Taとして、周期Ta毎に、印刷媒体Pに新たなドットが形成される。
本実施形態において、台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から所定量、具体的には中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。本実施形態において、台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズル651の開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子60の一端に供給されたとしても、当該圧電素子60に対応するノズル651からインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、台形波形Adp1(Adp2)とは異なる波形となっている。仮に台形波形Bdp2が圧電素子60の一端に供給されたとしたならば、当該圧電素子60に対応するノズル651から上記所定量よりも少ない量のインクを吐出させる波形である。
なお、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2は、それぞれ電圧Vcで開始し、電圧Vcで終了する波形となっている。
図7は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号VOUT(VOUT1〜VOUT6)の波形を示す図である。
図7に示されるように、「大ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1における駆動信号COMAの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COMAの台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して大ドットが形成されることになる。
「中ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1における駆動信号COMAの台形波形Adp1と期間T2における駆動信号COMBの台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、中程度及び小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、印刷媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して中ドットが形成されることになる。
「小ドット」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなり、期間T2では駆動信号COMBの台形波形Bdp2となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651から、期間T2においてのみ小程度の量のインクが吐出される。このため、印刷媒体Pにはこのインクが着弾して小ドットが形成されることになる。
「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、期間T1では駆動信号COMBの台形波形Bdp1となり、期間T2では圧電素子60が有する容量性によって保持された直前の電圧Vcとなっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給されると、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応したノズル651が、期間T2において微振動するのみで、インクは吐出されない。このため、印刷媒体Pにはインクが着弾せず、ドットが形成されない。
1−5.駆動信号選択回路の構成
図8は、駆動信号選択回路120(120a〜120f)の構成を示す図である。図8に示されるように、駆動信号選択回路120は、選択制御部220と、複数の選択部230とを含む。
図8は、駆動信号選択回路120(120a〜120f)の構成を示す図である。図8に示されるように、駆動信号選択回路120は、選択制御部220と、複数の選択部230とを含む。
選択制御部220には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHが供給される。選択制御部220では、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの駆動信号選択回路120が有するシフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組の数は、2つのノズル列650に含まれるノズル651の総数mと同じである。
印刷データ信号SIは、m個の吐出部600(圧電素子60)のそれぞれに対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を含む、合計2mビットの信号である。
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であり、ノズル651に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ(SIH,SIL)毎に、一旦保持するための構成がシフトレジスター222である。
詳細には、圧電素子60(ノズル651)に対応した段数のシフトレジスター222が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される構成となっている。
なお、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
m個のデコーダー226の各々は、m個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)をデコードして、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHとで規定される期間T1、T2ごとに、選択信号Sa,Sbを出力して、選択部230での選択を規定する。
図9は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、例えばラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であれば、選択信号Sa,Sbの論理レベルを、期間T1ではそれぞれH,Lレベルとし、期間T2ではそれぞれL,Hレベルとして、出力するということを意味している。
なお、選択信号Sa,Sbの論理レベルについては、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHの論理レベルよりも、レベルシフター(図示省略)によって、高振幅論理にレベルシフトされる。
選択部230は、圧電素子60(ノズル651)のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの駆動信号選択回路120が有する選択部230の数は、2つのノズル列650に含まれるノズル651の総数mと同じである。
図10は、圧電素子60(ノズル651)の1個分に対応する選択部230の構成を示す図である。
図10に示されるように、選択部230は、インバーター(NOT回路)232a,232bと、トランスファーゲート234a,234bとを有する。
デコーダー226からの選択信号Saは、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に供給される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に供給される。同様に、選択信号Sbは、トランスファーゲート234bの正制御端に供給される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bの負制御端に供給される。
トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給され、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。トランスファーゲート234a,234bの出力端同士は共通接続され、当該共通接続端子を介して駆動信号VOUTが吐出部600に出力される。
トランスファーゲート234aは、選択信号SaがHレベルであれば、入力端および出力端の間を導通(オン)させ、選択信号SaがLレベルであれば、入力端と出力端との間を非導通(オフ)させる。トランスファーゲート234bについても同様に選択信号Sbに応じて、入力端および出力端の間をオンオフさせる。
次に、駆動信号選択回路120(120a〜120f)の動作について図11を参照して説明する。
印刷データ信号SI(印刷データ信号SI1〜SI6のいずれか)が、クロック信号SCKに同期してシリアルで供給されて、ノズルに対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター222のそれぞれには、ノズル651に対応した2ビットの印刷データ(SIH,SIL)が保持された状態になる。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター222における最終m段、…、2段、1段のノズルに対応した順番で供給される。
ここで、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持された2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を一斉にラッチする。図11において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)を示している。
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ(SIH,SIL)で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号Sa,Sbの論理レベルを図9に示されるような内容で出力する。
すなわち、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)であって、大ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,Lレベルとし、期間T2においてもH,Lレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)であって、中ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてH,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)であって、小ドットのサイズを規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Lレベルとし、期間T2においてL,Hレベルとする。また、デコーダー226は、当該印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)であって、非記録を規定する場合、選択信号Sa,Sbを、期間T1においてL,Hレベルとし、期間T2においてL,Lレベルとする。
選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp1)を選択し、期間T2でもSa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp2)を選択する。その結果、図7に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(1,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがH,Lレベルであるので駆動信号COMA(台形波形Adp1)を選択し、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図7に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,1)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COMA,COMBのいずれも選択せず、期間T2ではSa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp2)を選択する。その結果、図7に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。なお、期間T1において、駆動信号COMA,COMBのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号VOUTは直前の電圧Vcに保持される。
また、選択部230は、印刷データ(SIH,SIL)が(0,0)のとき、期間T1では選択信号Sa,SbがL,Hレベルであるので駆動信号COMB(台形波形Bdp1)を選択し、期間T2では選択信号Sa,SbがL,Lレベルであるので駆動信号COMA,COMBのいずれも選択しない。その結果、図7に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。なお、期間T2において、駆動信号COMA,COMBのいずれも選択されないため、圧電素子60の一端がオープンとなるが、圧電素子60が有する容量性によって、駆動信号VOUTは直前の電圧Vcに保持される。
なお、図6及び図11に示した駆動信号COMA,COMBはあくまでも一例である。実際には、ヘッドユニット20の移動速度や印刷媒体Pの性質などに応じて、予め用意された様々な波形の組み合わせが用いられる。
また、ここでは、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って上方向に撓む例で説明したが、電極611,612に供給する電圧を逆転させると、圧電素子60は、電圧の上昇に伴って下方向に撓むことになる。このため、圧電素子60が、電圧の上昇に伴って下方向に撓む構成では、図6及び図11に例示した駆動信号COMA,COMBが、電圧Vcを基準に反転した波形となる。
1−6.同心ケーブルの構成
本実施形態では、同心ケーブル201〜212の構成は同じであり、同心ケーブル201〜212は、同心状に設けられた複数の導体層と各導体層を覆うように設けられた複数の絶縁層を有する。以下、本実施形態における同心ケーブル201〜212の構成の詳細について図12及び図13を用いて説明する。図12は同心ケーブル201〜212の端部の構造を模式的に示す斜視図であり、図13は同心ケーブル201〜212を端部側から視た図である。
本実施形態では、同心ケーブル201〜212の構成は同じであり、同心ケーブル201〜212は、同心状に設けられた複数の導体層と各導体層を覆うように設けられた複数の絶縁層を有する。以下、本実施形態における同心ケーブル201〜212の構成の詳細について図12及び図13を用いて説明する。図12は同心ケーブル201〜212の端部の構造を模式的に示す斜視図であり、図13は同心ケーブル201〜212を端部側から視た図である。
図12及び図13に示されるように、同心ケーブル201〜212の各々は、同心状に設けられた導体層251(「第1の導体層」の一例)、導体層252(「第2の導体層」の一例)及び導体層253(「第3の導体層」の一例)を有する。導体層251、導体層252及び導体層253は、それぞれ、筒状(略円筒形状)の導電性の金属板(薄板や箔を含む)や金属編組で形成されており、筒の軸が同心となっている。そして、同心ケーブル201〜212の各々において、導体層252は導体層251よりも外側に設けられ、導体層253は導体層252よりも外側に設けられている。そして、導体層253は、同心ケーブル201〜212の各々が有する複数の導体層(導体層251、導体層252及び導体層253)のうち、最も外側に設けられている導体層である。
また、同心ケーブル201〜212は、導体層251と導体層252との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層261、導体層252と導体層253との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層262及び導体層253の外側を覆うように設けられた筒状の絶縁層263をさらに有する。この絶縁層263は、同心ケーブル201〜212の各々の外部被覆として機能する。なお、導体層251の内部の空洞部分は絶縁体260で埋められており、この絶縁体260によって導体層251の変形が抑制されるようになっている。
このような構造の同心ケーブル201,203,205,207,209,211の各々において、駆動信号COMAは導体層251を伝搬し、定電圧信号VBSは導体層252を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDは導体層253を伝搬する。また、他の同心ケーブル202,204,206,208,210,212の各々において、駆動信号COMBは導体層251を伝搬し、定電圧信号VBSは導体層252を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDは導体層253を伝搬する。
そして、ヘッド21において、各圧電素子60は、一端に駆動信号COMA又は駆動信号COMBが印加され、他端に定電圧信号VBSが印加され、両端の電圧差に応じた量だけ変位し、各吐出部600から圧電素子60の変位に応じた量の液体が吐出される。従って、定電圧信号VBSの電圧がノイズの影響により変動すると液体の吐出精度が低下するおそれが生じる。そのため、定電圧信号VBSの電圧を安定化させる目的で、ヘッド基板101において、定電圧信号VBSが伝搬する定電圧信号線とグラウンド電圧信号GNDが伝搬するグラウンド信号線との間に十分な容量値のコンデンサー(安定化コンデンサー)が設けられることが望ましい。
このような安定化コンデンサーが設けられた場合、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとによって構成される直列共振回路が形成されることになる。一方、駆動信号COMAや駆動信号COMBには様々な周波数成分が含まれており、様々な周波数成分の信号が圧電素子60を介して定電圧信号線に伝搬する。従って、駆動信号COMAや駆動信号COMBに直列共振回路の共振周波数と一致する周波数成分が含まれていると、圧電素子60を介して定電圧信号線に伝搬した共振周波数と一致する周波数成分の信号によって直列共振回路が共振し、定電圧信号VBSに直列共振ノイズが重畳されることになる。
このような場合、図14に示されるように、定電圧信号VBSがケーブル400(例えば、FFC)を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDが他のケーブル410(例えば、FFC)を伝搬する従来の液体吐出装置では、定電圧信号VBSが伝搬する定電圧信号線やグラウンド電圧信号GNDが伝搬するグラウンド信号線が長くなり、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスがともに大きくなる。そのため、図15に示されるように、定電圧信号VBSに大きな直列共振ノイズが重畳され、液体の吐出精度が低下する要因となり得る。
これに対して、本実施形態では、図16に示されるように、定電圧信号VBSとグラウンド電圧信号GNDとが1本の同心ケーブル(同心ケーブル201〜212の各々)によって転送されるため、定電圧信号VBSとグラウンド電圧信号GNDとが2本のFFCによって別々に転送される従来構成(図14の構成)と比較して、定電圧信号線やグラウンド信号線が短くなり、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスがともに小さくなる。さらに、同心ケーブル201〜212の各々において、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDがそれぞれ導体層252及び導体層253を伝搬し、かつ、導体層252と導体層253とが絶縁層262を挟んで近接しているため、導体層252を流れる電流によって発生する磁界と導体層253を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。その結果、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスと安定化コンデンサー150とによって構成される直列共振回路が発生する直列共振ノイズが非常に小さくなる。従って、図17に示されるように、定電圧信号VBSに大きな直列共振ノイズが重畳されにくく、液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることが可能となる。
1−7.作用効果
以上に説明したように、第1実施形態に係る液体吐出装置1によれば、同心ケーブル201〜212の各々において、定電圧信号VBSが導体層252を伝搬し、導体層252と同心状に設けられた導体層253の電圧がグラウンド電圧であるため、前述した理由により、定電圧信号VBSに直列共振ノイズが重畳されにくく、液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
以上に説明したように、第1実施形態に係る液体吐出装置1によれば、同心ケーブル201〜212の各々において、定電圧信号VBSが導体層252を伝搬し、導体層252と同心状に設けられた導体層253の電圧がグラウンド電圧であるため、前述した理由により、定電圧信号VBSに直列共振ノイズが重畳されにくく、液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
また、第1実施形態に係る液体吐出装置1では、ヘッド21において、各圧電素子60の一端には駆動信号COMA又は駆動信号COMBが印加され、各圧電素子60の他端には駆動信号COMA,COMBよりも低い電圧の定電圧信号VBSが印加されるため、各圧電素子60には一端から他端へと電流が流れる。従って、同心ケーブル201〜212において、駆動信号COMA又は駆動信号COMBが伝搬する導体層251には制御基板100からヘッド基板101の向きに電流が流れるのに対して、定電圧信号VBSが伝搬する導体層252にはヘッド基板101から制御基板100の向きに電流が流れる。すなわち、同心ケーブル201〜212において、導体層251と導体層252には互いに逆方向の電流が流れる。そして、同心ケーブル201〜212において、導体層251と導体層252とが絶縁層261を挟んで近接しているので、導体層251を流れる電流によって発生する磁界と導体層252を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合い、導体層251のインダクタンスに起因する駆動信号COMA,COMBの歪み(オーバーシュートやアンダーシュート)が低減される。特に、大判プリンターである液体吐出装置1では、同心ケーブル201〜212が非常に長くなるとともに、1つの駆動信号COMA又は駆動信号COMBによって同時に駆動される圧電素子60が非常に多く大きな電流が流れるが、駆動信号COMA,COMBの歪みが効果的に低減される。このように、第1実施形態に係る液体吐出装置1によれば、駆動信号COMA,COMBの歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
さらに、第1実施形態に係る液体吐出装置1では、同心ケーブル201〜212において、グラウンド電圧である導体層253が最も外側に設けられているため、導体層253のシールド効果により、導体層251を伝搬する駆動信号COMA,COMBや導体層252を伝搬する定電圧信号VBSに対する、同心ケーブル201〜212の外部ノイズの影響が低減される。特に、同心ケーブル201〜212において、駆動信号COMA,COMBは、最も内側の導体層251を伝搬するため、外部ノイズが重畳されにくい。このように、第1実施形態に係る液体吐出装置1によれば、駆動信号COMA,COMB及び定電圧信号に対するノイズの影響が低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態に係る液体吐出装置について、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明を省略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
以下、第2実施形態に係る液体吐出装置について、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明を省略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
図18は、第2実施形態に係る液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。第1実施形態に係る液体吐出装置1では、12本の同心ケーブル201〜212の各々が駆動信号COMA又は駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDを転送するのに対して(図4参照)、図18に示されるように、第2実施形態に係る液体吐出装置1では、6本の同心ケーブル301〜306の各々が駆動信号COMA、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDを転送する。
具体的には、6本の同心ケーブル301〜306は、各一端が制御基板100に設けられているコネクター130と接続され、各他端がヘッド基板101に設けられているコネクター132と接続される。そして、駆動回路50aが生成する駆動信号COMAは、3本の同心ケーブル301,302,303によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。駆動回路50bが生成する駆動信号COMBは、3本の同心ケーブル301,302,303によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。また、駆動回路50aが生成する定電圧信号VBSと駆動回路50bが生成する定電圧信号VBSとは合わさって、3本の同心ケーブル301,302,303によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
同様に、駆動回路50cが生成する駆動信号COMAは、3本の同心ケーブル304,305,306によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。駆動回路50dが生成する駆動信号COMBは、3本の同心ケーブル304,305,306によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。また、駆動回路50cが生成する定電圧信号VBSと駆動回路50dが生成する定電圧信号VBSとは合わさって、3本の同心ケーブル304,305,306によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
また、グラウンド電圧信号GNDは、6本の同心ケーブル301〜306によって、制御基板100からヘッド基板101に転送される。
すなわち、6本の同心ケーブル301〜306は、それぞれ、駆動信号COMA、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDをヘッドユニット20に転送する。
同心ケーブル301〜306の詳細な構成について図19及び図20を用いて説明する。図19は、同心ケーブル301〜306の端部の構造を模式的に示す斜視図であり、図20は同心ケーブル301〜306を端部側から視た図である。
図19及び図20に示されるように、同心ケーブル301〜306の各々は、同心状に設けられた導体層351(「第1の導体層」の一例)、導体層352(「第2の導体層」の一例)、導体層353(「第4の導体層」の一例)、導体層354(「第5の導体層」の一例)及び導体層355(「第3の導体層」の一例)を有する。導体層351、導体層352、導体層353、導体層354及び導体層355は、それぞれ、筒状(略円筒形状)の導電性の金属板(薄板や箔を含む)や金属編組で形成されており、筒の軸が同心となっている。そして、同心ケーブル301〜306の各々において、導体層352は導体層351よりも外側に設けられ、導体層353は導体層352よりも外側に設けられ、導体層354は導体層353よりも外側に設けられ、導体層355は導体層354よりも外側に設けられている。そして、導体層355は、同心ケーブル301〜306の各々が有する複数の導体層(導体層351〜導体層355)のうち、最も外側に設けられている導体層である。
また、同心ケーブル301〜306は、導体層351と導体層352との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層361、導体層352と導体層353との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層362、導体層353と導体層354との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層363、導体層354と導体層355との間に挟まれるように設けられた筒状の絶縁層364、導体層355の外側を覆うように設けられた筒状の絶縁層365をさらに有する。この絶縁層365は、同心ケーブル301〜306の各々の外部被覆として機能する。なお、導体層351の内部の空洞部分は絶縁体360で埋められており、この絶縁体360によって導体層351の変形が抑制されるようになっている。
このような構造の同心ケーブル301〜306の各々において、駆動信号COMA(「第1の駆動信号」の一例)は導体層351を伝搬し、定電圧信号VBSは導体層352及び導体層354を伝搬し、駆動信号COMB(「第2の駆動信号」の一例)は導体層353を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDは導体層355を伝搬する。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様、定電圧信号VBSの電圧を安定化させる目的で、ヘッド基板101において、定電圧信号線とグラウンド信号線との間に安定化コンデンサーが設けられることが望ましい。
このように構成された第2実施形態に係る液体吐出装置1では、定電圧信号VBSとグラウンド電圧信号GNDとが1本の同心ケーブル(同心ケーブル301〜306の各々)によって転送されるため、定電圧信号VBSとグラウンド電圧信号GNDとが2本のFFCによって別々に転送される従来構成と比較して、定電圧信号線やグラウンド信号線が短くなり、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスがともに小さくなる。さらに、同心ケーブル301〜306の各々において、定電圧信号VBSが導体層352及び導体層354を伝搬するとともにグラウンド電圧信号GNDが導体層355を伝搬し、かつ、導体層354と導体層355とが絶縁層364を挟んで近接しているため、導体層354を流れる電流によって発生する磁界と導体層355を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。その結果、定電圧信号線のインダクタンス及びグラウンド信号線のインダクタンスと安定化コンデンサーとによって構成される直列共振回路が発生する直列共振ノイズが非常に小さくなる。従って、定電圧信号VBSに大きな直列共振ノイズが重畳されにくく、液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることが可能となる。
また、第2実施形態に係る液体吐出装置1では、同心ケーブル301〜306において、駆動信号COMA及び駆動信号COMBがそれぞれ伝搬する導体層351及び導体層353には制御基板100からヘッド基板101の向きに電流が流れるのに対して、定電圧信号VBSが伝搬する導体層352及び導体層354にはヘッド基板101から制御基板100の向きに電流が流れる。すなわち、同心ケーブル301〜306において、導体層351と導体層352には互いに逆方向の電流が流れ、導体層353と導体層354には互いに逆方向の電流が流れる。そして、同心ケーブル301〜306において、導体層351と導体層352とが絶縁層361を挟んで近接しているので、導体層351を流れる電流によって発生する磁界と導体層352を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。同様に、同心ケーブル301〜306において、導体層353と導体層354とが絶縁層363を挟んで近接しているので、導体層353を流れる電流によって発生する磁界と導体層354を流れる電流によって発生する磁界とが効果的に打ち消し合う。その結果、導体層351や導体層353のインダクタンスに起因する駆動信号COMA,COMBの歪み(オーバーシュートやアンダーシュート)が低減される。特に、大判プリンターである液体吐出装置1では、同心ケーブル301〜306が非常に長くなるとともに、1つの駆動信号COMA又は駆動信号COMBによって同時に駆動される圧電素子60が非常に多く大きな電流が流れるが、駆動信号COMA,COMBの歪みが効果的に低減される。このように、第2実施形態に係る液体吐出装置1によれば、駆動信号COMA,COMBの歪みが低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
また、第2実施形態に係る液体吐出装置1では、同心ケーブル301〜306において、グラウンド電圧である導体層355が最も外側に設けられているため、導体層355のシールド効果により、導体層351を伝搬する駆動信号COMA、導体層353を伝搬するCOMB、導体層352及び導体層354を伝搬する定電圧信号VBSに対する、同心ケーブル301〜306の外部ノイズの影響が低減される。特に、同心ケーブル301〜306において、駆動信号COMAは、最も内側の導体層351を伝搬するため、外部ノイズが重畳されにくい。このように、第2実施形態に係る液体吐出装置1によれば、駆動信号COMA,COMB及び定電圧信号に対するノイズの影響が低減されるので、液体吐出ヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減させることができる。
さらに、第2実施形態に係る液体吐出装置1によれば、駆動信号COMA、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDが1本のケーブル(同心ケーブル301〜306の各々)によってヘッドユニット20に転送されるため、ヘッドユニット20への信号の転送に必要なケーブルの本数を減らすことができるので、低コスト化に有利である。
3.変形例
上記の各実施形態では、駆動回路50a〜50dは、制御基板100に設けられているが、制御基板100とは異なる基板(中継基板)に設けられていてもよい。この場合、同心ケーブル201〜212あるいは同心ケーブル301〜306は、中継基板とヘッド基板101とを接続してもよい。
上記の各実施形態では、駆動回路50a〜50dは、制御基板100に設けられているが、制御基板100とは異なる基板(中継基板)に設けられていてもよい。この場合、同心ケーブル201〜212あるいは同心ケーブル301〜306は、中継基板とヘッド基板101とを接続してもよい。
また、上記の各実施形態では、駆動回路が4つ(駆動回路50a〜50d)であり、同心ケーブルが12本(同心ケーブル201〜212)あるいは6本(同心ケーブル301〜306)であり、ノズル列650が12列(第1ノズル列650a〜第12ノズル列650l)であるが、これらの数は、上記の各実施形態で例示したものに限られない。
また、上記の各実施形態では、駆動信号生成部114が定電圧信号VBSを生成して出力しているが、制御基板100に、駆動信号生成部114とは別に、定電圧信号VBSを生成して出力する定電圧信号生成部が設けられていてもよい。
また、上記の第1実施形態において、同心ケーブル201〜212の各々において、定電圧信号VBSが導体層251を伝搬し、駆動信号COMA又は駆動信号COMBが導体層252を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDが導体層253を伝搬するようにしてもよい。あるいは、定電圧信号VBSが導体層251を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDが導体層252を伝搬し、駆動信号COMA又は駆動信号COMBが導体層253を伝搬するようにしてもよい。
また、上記の第2実施形態において、同心ケーブル301〜306の各々において、定電圧信号VBSが導体層351及び導体層353を伝搬し、駆動信号COMA、駆動信号COMBの一方及び他方がそれぞれ導体層352及び導体層354を伝搬し、グラウンド電圧信号GNDが導体層355を伝搬するようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態では、同心ケーブル201〜212の各々において、導体層251の内部の空洞部分は絶縁体260で埋められ、上記の第2実施形態では、同心ケーブル301〜306の各々において、導体層351の内部の空洞部分は絶縁体360で埋められているが、導体層251あるいは導体層351の内部の空洞部分に、被膜された1又は複数の芯線(信号線)が設けられていてもよい。例えば、制御信号の一部又は全部が、この芯線の各々を伝搬するようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態において、駆動信号COMA又は駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDを転送するケーブルとして、同心ケーブル201〜212の各々に代えてシールドケーブルを用いてもよい。同様に、上記の第2実施形態において、駆動信号COMA、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDを転送するケーブルとして、同心ケーブル301〜306の各々に代えてシールドケーブルを用いてもよい。シールドケーブルは、例えば、被膜された複数の芯線(信号線)が一定電圧(例えば、グラウンド電圧)である筒状の導体で覆われた構造を有するケーブルであり、駆動信号COMA、駆動信号COMB、定電圧信号VBS及びグラウンド電圧信号GNDが各芯線を伝搬するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態では、駆動回路が駆動素子としての圧電素子(容量性負荷)を駆動するピエゾ方式の液体吐出装置を例に挙げたが、本発明は、駆動回路が容量性負荷以外の駆動素子を駆動する液体吐出装置にも適用可能である。このような液体吐出装置としては、例えば、駆動回路が駆動素子としての発熱素子(例えば、抵抗)を駆動し、発熱素子が加熱されることにより発生するバブルを利用して液体(インク)を吐出するサーマル方式(バブル方式)の液体吐出装置等が挙げられる。
また、上記の各実施形態では、液体吐出装置として、液体吐出ヘッドが移動して印刷媒体に印刷を行うシリアルスキャン型(シリアル印刷型)のインクジェットプリンターを例に挙げたが、本発明は、液体吐出ヘッドが移動せずに印刷媒体に印刷を行うラインヘッド型のインクジェットプリンターにも適用可能である。
また、上記の各実施形態では、液体吐出装置としてプリンター(印刷装置)を例に挙げたが、本発明は、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置、立体造形装置(いわゆる3Dプリンター)、捺染装置等の液体吐出装置にも適用可能である。
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、2…本体、3…支持スタンド、4…供給部、6…排出部、7…操作部、8…インク貯留部、9…インクチューブ、20…ヘッドユニット、21…ヘッド、24…キャリッジ、32…キャリッジガイド軸、33…プラテン、35…キャッピング機構、50a〜50d…駆動回路、60…圧電素子、80…メンテナンス機構、100…制御基板、101…ヘッド基板、111…制御部、112…電源回路、113…制御信号送信部、114…駆動信号生成部、115…制御信号受信部、120,120a〜120f…駆動信号選択回路、130…コネクター、132…コネクター、140…コネクター、142…コネクター、150…安定化コンデンサー、201〜212…ケーブル、215…ケーブル、220…選択制御部、222…シフトレジスター、224…ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択部、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、251〜253…導体層、260…絶縁体、261〜263…絶縁層、301〜306…ケーブル、351〜355…導体層、360…絶縁体、361〜365…絶縁層、400…ケーブル、410…ケーブル、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、650…ノズル列、650a〜650l…第1ノズル列〜第12ノズル列、651…ノズル、661…供給口
Claims (6)
- 圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、
前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、
前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部と、
前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルと、
を備え、
前記ケーブルは、
同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、
前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、
前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、
前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記ケーブルにおいて、
前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、
前記第3の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記液体吐出ヘッドは、前記第1の駆動信号又は第2の駆動信号が前記圧電素子の前記一方の端子に印加されることにより液体を吐出し、
前記駆動信号生成部は、前記第2の駆動信号をさらに出力し、
前記ケーブルは、
前記第2の駆動信号をさらに前記ヘッドユニットに転送し、
前記第1の導体層、前記第2の導体層及び前記第3の導体層と同心状に設けられた第4の導体層及び第5の導体層をさらに有し、
前記定電圧信号は、前記第2の導体層及び前記第5の導体層を伝搬し、
前記第2の駆動信号は、前記第4の導体層を伝搬する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記ケーブルにおいて、
前記第2の導体層は、前記第1の導体層よりも外側に設けられ、
前記第4の導体層は、前記第2の導体層よりも外側に設けられ、
前記第5の導体層は、前記第4の導体層よりも外側に設けられ、
前記第3の導体層は、前記第5の導体層よりも外側に設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。 - 前記ケーブルにおいて、
前記第3の導体層は、最も外側に設けられている導体層である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 圧電素子を有し、第1の駆動信号が前記圧電素子の一方の端子に印加され、前記圧電素子の他方の端子に定電圧信号が印加されることにより液体を吐出する液体吐出ヘッドを含むヘッドユニットと、前記第1の駆動信号を出力する駆動信号生成部と、前記定電圧信号を出力する定電圧信号生成部とを備えた液体吐出装置において、前記第1の駆動信号と前記定電圧信号とを前記ヘッドユニットに転送するケーブルであって、
同心状に設けられた第1の導体層、第2の導体層及び第3の導体層を有し、
前記第1の駆動信号は、前記第1の導体層を伝搬し、
前記定電圧信号は、前記第2の導体層を伝搬し、
前記第3の導体層の電圧は、グラウンド電圧である、
ことを特徴とするケーブル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017107561A JP2018202641A (ja) | 2017-05-31 | 2017-05-31 | 液体吐出装置及びケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017107561A JP2018202641A (ja) | 2017-05-31 | 2017-05-31 | 液体吐出装置及びケーブル |
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JP2018202641A true JP2018202641A (ja) | 2018-12-27 |
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ID=64956025
Family Applications (1)
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JP2017107561A Pending JP2018202641A (ja) | 2017-05-31 | 2017-05-31 | 液体吐出装置及びケーブル |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2018202641A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11548152B2 (en) | 2019-08-02 | 2023-01-10 | Dextrous Robotics, Inc. | Systems and methods for robotic control under contact |
-
2017
- 2017-05-31 JP JP2017107561A patent/JP2018202641A/ja active Pending
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US11548152B2 (en) | 2019-08-02 | 2023-01-10 | Dextrous Robotics, Inc. | Systems and methods for robotic control under contact |
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