JP2018193446A - 新規多糖類 - Google Patents

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達也 小田
Tatsuya Oda
達也 小田
憲司 山下
Kenji Yamashita
憲司 山下
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Abstract

【課題】本発明は、副作用が少なく且つ免疫賦活活性が強い新規多糖類、当該新規多糖類を有効成分とする免疫賦活剤、および、当該新規多糖類の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る多糖類は、構成糖として中性糖を含み、上記中性糖が、少なくとも、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノースおよびアラビノースであり、全中性糖中、ガラクトースの含有量が40質量%以上であり且つグルコースの含有量が15質量%以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、免疫賦活活性を有する新規多糖類、当該新規多糖類を有効成分とする免疫賦活剤、および、当該新規多糖類の製造方法に関するものである。
生体にとって免疫機構は極めて重要であるといえる。例えば最近、健康なヒトでも1日あたり約5000個の細胞ががん化していることが明らかにされているが、免疫力やアポトーシスなどによりその拡大は抑制されている。しかし何らかの原因により免疫力が低下すると、がんが進行することになる。
免疫賦活活性を有する化合物としては、βグルカン、ペプチドグリカン、リポ多糖、フコイダン等の硫酸化多糖など、様々な多糖類が知られている(特許文献1〜4)。これらの内、その免疫賦活活性が特に強いとされているものはリポ多糖である。
しかしリポ多糖はグラム陰性菌細胞壁の外膜構成成分であり、内毒素あるいはパイロジェンとも呼ばれ、直接血中に取り込まれると発熱や敗血症などの致死性ショック症状を起こす場合もあり、免疫賦活剤としての生体への適用においては強い副作用発現が懸念されている。そのため、リポ多糖の無毒化が検討されたり(特許文献5,6)、或いは免疫賦活剤を選択するに当たり、免疫賦活効果はリポ多糖より劣るものの副作用が少ないβグルカンなどが選択されるなど、期待する効果よりもその副作用が一定のレベルに留まるものが優先して用いられているのが実情である。
なお、本発明者らの研究グループは、微細藻類の一種であるパラクロレラ藻類自体に免疫賦活活性があることを見出している(特許文献7,8)。
特許第3444624号公報 特開平11−255664号公報 特許第4043533号公報 特許第4034146号公報 国際公開第2005/047313号パンフレット 特開2016−145224号公報 特開2014−97940号公報 国際公開第2015/80198号パンフレット
そこで本発明は、副作用が少なく且つ免疫賦活活性が強い新規多糖類、当該新規多糖類を有効成分とする免疫賦活剤、および、当該新規多糖類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、非リポ多糖系の多糖類であることから副作用が小さく、且つ既存の低副作用免疫賦活剤であるβグルカンより明らかに優れた免疫賦活活性を有する新規多糖類を微細藻類から精製することに成功し、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 構成糖として中性糖を含み、
上記中性糖が、少なくとも、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノースおよびアラビノースであり、
全中性糖中、ガラクトースの含有量が40質量%以上であり且つグルコースの含有量が15質量%以上であることを特徴とする多糖類。
[2] 全中性糖に対して、上記ラムノースおよびマンノースの含有量がそれぞれ5質量%以上であり、上記アラビノースの含有量が1質量%以上である上記[1]に記載の多糖類。
[3] 上記[1]または[2]に記載の多糖類を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
[4] 上記[1]または[2]に記載の多糖類を製造する方法であって、
微細藻類およびその培養液の少なくとも一方より熱水抽出する工程、
上記熱水抽出工程で得られた抽出物をイオン交換カラムクロマトグラフィーに付す工程、および、
上記イオン交換カラムクロマトグラフィーで得られたフラクションを免疫賦活試験に付し、免疫賦活活性を有するフラクションを特定する工程を含むことを特徴とする方法。
[5] 上記微細藻類がパラクロレラ属藻類である上記[4]に記載の方法。
[6] 上記パラクロレラ属藻類がパラクロレラ属ケスレリ種藻類である上記[5]に記載の方法。
[7] 上記パラクロレラ属ケスレリ種藻類がKNK−A001株(受託番号:FERM BP−22256)である上記[6]に記載の方法。
本発明に係る新規多糖類はリポ多糖でないことから、発熱などの副作用を示す可能性が極めて低いといえる。また、その免疫賦活活性は、既存の主要な免疫賦活剤であるβグルカンより明らかに強い。さらに本発明に係る新規多糖類は、微細藻類から精製することができる。よって本発明は、もともと副作用が少なく、且つ少量で効果を示すことでより安全な免疫賦活剤をより低コストで提供することを可能にするものであり、医療、水産、畜産などの分野において、産業上非常に有用である。
図1は、パラクロレラ・ケスレリKNK−A001株の産生成分を精製した陰イオンカラムクロマトグラフィーのチャートである。 図2は、パラクロレラ・ケスレリKNK−A001株の各産生成分の免疫賦活試験の結果を示すグラフである。
本発明に係る多糖類は、構成糖として中性糖を含む。ここで「多糖類」とは、数個以上の単糖類がグリコシド結合によって脱水縮合した糖類である。多糖類を構成する単糖類の数は、広義には2以上であり、一般的には5以上である。また、「グリコシド結合」とは、糖のヒドロキシ基が他の糖やアルコールのヒドロキシ基と反応して脱水してできる結合である。「中性糖」とは、グルコサミンなどのアミノ糖や、ウロン酸、アルドン酸、シアル酸などの酸性糖のように、塩基性官能基や酸性官能基を有さない糖をいう。
本発明の多糖類を構成している中性糖は、少なくとも、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノースおよびアラビノースである。全中性糖に対するガラクトースの含有量は40質量%以上である。当該割合としては50質量%以下が好ましい。なお、一般的なリポ多糖はガラクトースを主要な構成糖とするものではないため、この点でも本発明の多糖類はリポ多糖ではないといえる。また、全中性糖に対するグルコースの含有量が15質量%以上であり、当該割合としては18質量%以上が好ましく、25質量%以下が好ましい。さらに、本発明の多糖類はリポ多糖でないことから、脂質部分を含まない。
全中性糖に対して、上記ラムノースおよびマンノースの含有量としてはそれぞれ5質量%以上が好ましく、上記アラビノースの含有量としては1質量%以上が好ましく、また、全中性糖に対するラムノース、マンノースおよびアラビノースの含有量としては、それぞれ、5質量%以上、15質量%以下、5質量%以上、15質量%以下、5質量%以上、10質量%以下が好ましい。
本発明において、全中性糖に対する各中性糖の含有量割合は、多糖類を加水分解した上でABEE化試薬にて蛍光標識したサンプルを、逆相カラムを用い、Ex:305nm、Em:360nmの蛍光強度を検出し、各ピークの強度からサンプル1mL当たりの各中性糖の含有量を求め、その合計に対する各中性糖の含有量割合として算出することができる。分析に際しては、多糖類またはその加水分解物をN−アセチル化しておいても構わない。
本発明に係る多糖類は、リポ多糖ではなく、また、少なくともマクロファージ細胞による腫瘍壊死因子TNF−αの産生を促進することから、安全性の高い免疫賦活剤の有効成分として用いることができる。免疫賦活剤とは、一般的には生体において免疫系である細胞性免疫および/または液性免疫を亢進するものである。本発明に係る多糖類はリポ多糖ではなく、非常に安全である。よって、食品や医薬組成物に配合し、長期にわたる継続的な摂取も可能であり、それにより、疾患や症状を治療できるのみならず、予防することも可能になり得る。
このような免疫賦活剤の剤形は特に制限されず、適宜選択すればよい。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、コーティング製剤などの固形製剤;溶液剤、懸濁液剤、エアゾール剤などの液剤などとすることができる。また、製剤形態に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、コーティング剤、蒸留水や生理食塩水などの溶媒、乳化剤、抗酸化剤などの安定剤、pH調整剤などを添加してもよい。
本発明に係る多糖類は、食品や飼料に配合してもよい。食品や飼料に配合することにより、ヒト以外の動物やヒトの免疫力を改善もしくは増強することができる。例えば、食品や飼料の材料として用いたり、食品や飼料に添加混合することが考えられる。また、いわゆる病院食に添加することも好適である。さらに、本発明に係る多糖類は、免疫力を改善または増強するための医薬組成物へ配合することも考えられる。
本発明に係る免疫賦活剤の投与頻度や投与量は、摂取者の症状、年齢、性別、状態などに応じて適宜調整すればよい。例えばヒトに対する投与量は、本発明に係る多糖類について、経口投与の場合で1日当たり0.0016mg/kg体重以上、0.4mg/kg体重以下程度とすることが好ましい。また、一日当たりの投与回数としては、1回以上、5回以下が好ましく、1回以上、3回以下がより好ましい。
以下、本発明に係る多糖類の製造方法を工程毎に説明する。
1.熱水抽出工程
本工程では、微細藻類およびその培養液の少なくとも一方と水系溶媒とを混合して加熱することにより、熱水抽出を行う。
「微細藻類」とは単細胞性の藻類全般をいい、一般的には、クロレラ、ユウグレナ、ナンノクロロプシスなどが知られている。一般的に、微細藻類は、野外で採取した海水または淡水サンプルから、一般的な培地を使った継代培養によりコロニーを分離し、最終的に分子系統学的解析により属種を特定することにより得ることができる。また、市販のものなどがあれば、入手して使用すればよい。
本発明で用いる微細藻類としては、パラクロレラ属藻類が好ましい。パラクロレラ属は、トレボキシア藻綱(Trebouxiophyceae)と緑藻綱(Chlorophyceae)とにまたがるクロレラ属のうち、トレボキシア藻綱に属するものであるが、18S rDNAおよび16S rDNAを用いた分子系統学的解析によれば他のクロレラ属とは別のグループを形成するものである。パラクロレラ属藻類にはクロレラ属藻類のような強固な細胞壁構造が認められず、代わりに多糖類を主体とした厚い膜で覆われている。パラクロレラ属藻類は、淡水培地やLB培地などの一般的な培地中、好気条件、嫌気条件のいずれでも生育可能であるが、室温〜30℃、明条件、好気条件で特によく増殖する。
パラクロレラ属藻類としては、例えば、Parachlorella kessleri、Parachlorella beyerinckii、Parachlorella marinichlorella、Parachlorella dictyoshaerium、Parachlorella mucidosphaerium、Parachlorella closteriopsis、Parachlorella diclosterが挙げられる。これらの中でも特にParachlorella kessleri(パラクロレラ属ケスレリ種)が好適である。
パラクロレラ属ケスレリ種藻類のうち、特に好適なKNK−A001株(受託番号:FERM BP−22256)は、下記の通り寄託機関に寄託されている。
(i) 寄託機関の名称およびあて名
名称: 独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名: 日本国 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室
(ii) 受託日: 2013年9月3日
(iii) 受託番号: FERM BP−22256
本発明に係るKNK−A001株の形態的特徴などは、以下のとおりである。
Figure 2018193446
また、KNK−A001株の18S rRNAの部分塩基配列を配列番号1(SEQ ID NO:1)に示す。
また、その18S rRNAが、配列番号1に相当する(1)の塩基配列に対して、下記(2)または(3)の塩基配列を有する場合には、KNK−A001株と同じくパラクロレラ属藻類に属し、且つKNK−A001株と同様に本発明の多糖類を産生できると考えられる。
(2) 上記(1)に規定される塩基配列において、1以上、31以下の塩基が欠失、置換および/または付加された塩基配列
(3) 上記(1)に規定される塩基配列に対して98.5%以上の配列同一性を有する塩基配列
なお、欠失などの変異の導入により18S rRNAの塩基配列の塩基数が変化する場合においても、変異数が上記のとおり1以上、31以下の範囲内にあるか、配列同一性のパーセンテージが上記のとおり98.5%以上の範囲内にあれば、変異導入後の配列において、変異導入前の特定位置に相当する位置を特定することは当業者にとり容易である。具体的には、塩基配列の多重アライメント用プログラムで比較すべき配列をアライメントし、位置を決定することが可能である。また、塩基配列の同一性も、多重アライメント用プログラムで容易に求めることができる。
上記塩基配列(2)において、欠失などの変異の数としては、30以下、20以下または10以下がより好ましく、9以下、8以下、6以下または5以下がさらに好ましく、4以下、3以下、2以下または1個がさらに好ましい。
また、上記塩基配列(3)において、塩基配列の同一性のパーセンテージとしては、99.0%以上、99.2%以上または99.4%以上がより好ましく、99.5%以上、99.6%以上または99.7%以上がさらに好ましく、99.8%以上または99.9%以上がさらに好ましい。
本発明で用いる微細藻類としては、少なくとも最終の培養段階で従属栄養培養したものが好ましい。微細藻類は、独立栄養培養した場合と従属栄養培養した場合とでは細胞の構成や細胞に含まれる成分に相違が生じる場合があり得るが、少なくとも従属栄養培養した微細藻類による免疫賦活活性は確認されている。また、微細藻類としては、その生細胞を用いてもよいが、乾燥体を用いてもよい。さらに、抽出操作に付す前に、培養液などに由来する低分子化合物を透析などにより除去してもよい。
本発明に係る多糖類は、ペリプラズム領域を含む微細藻類細胞内に存在する場合や、細胞壁の代わりの膜として細胞を被覆している場合の他、細胞から分泌されて培養液内に存在する可能性があり得る。よって本工程では、微細藻類とその培養液の両方を熱水抽出に付すことが好ましい。しかし目的とする多糖類の所在が明らかである場合には、その所在に応じて微細藻類またはその培養液のいずれか一方を熱水抽出に付してもよい。熱水抽出には微細藻類とその培養液の乾燥体を用いる場合も同様であり、微細藻類をその培養液と共に乾燥することが好ましいが、微細藻類またはその培養液のいずれか一方を乾燥してもよい。乾燥手段としては、凍結乾燥、薄膜乾燥、減圧乾燥などの常法を用いることができる。
本発明の多糖類は、水系溶媒を用いて微細藻類およびその培養液の少なくとも一方から抽出する。「水系溶媒」とは、水、または水と水混和性有機溶媒との混合溶媒であって水を主要成分とするものをいう。使用する水は、超純水、純水、蒸留水、水道水、井戸水など、特に制限されない。また、メタノールやエタノールなどの水混和性有機溶媒を適量添加してもよい。水混和性有機溶媒を用いる場合、全体に対する水混和性有機溶媒の割合としては40容量%以下が好ましく、20容量%以下または10容量%以下がより好ましく、5容量%以下または2容量%以下がよりさらに好ましい。
水系溶媒の使用量は適宜調整すればよいが、例えば、微細藻類およびその培養液の少なくとも一方の乾燥体の質量に対して5mL/g以上、30mL/g以下程度とすることができる。
抽出条件は適宜調整すればよいが、例えば、80℃以上、150℃以下程度で、1分間以上、1時間以下程度抽出することにより、多糖類の抽出液を得ればよい。また、抽出後には、遠心分離や濾過などの常法により固形成分を除去してもよい。
2.カラムクロマトグラフィー工程
次に、上記熱水抽出工程で得られた抽出物をイオン交換カラムクロマトグラフィーに付し、多糖類を精製する。イオン交換カラムクロマトグラフィーによれば、電荷の違いにより成分を分離できるため、中性多糖が主成分であると考えられる本発明に係る多糖類は、高電荷化合物と良好に分離できるといえる。使用するカラムとしては、陰イオン交換カラムがより好適である。藻類由来の多糖類としてはアルギン酸など酸性多糖類が多いため、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより本発明に係る多糖類をより効率的に精製でき得る。
溶離液は適宜選択すればよいが、例えば、pHが6.5以上、7.5以下程度、より好ましくはpHが6.8以上、7.2以下程度の水や緩衝液を用いることが好ましい。また、溶離液には、多糖類の溶出を促進するためにNaClなどを添加してもよい。
イオン交換カラムクロマトグラフィーにより得られた各フラクションは、凍結乾燥、薄膜乾燥、減圧乾燥などの常法により濃縮または乾燥してもよい。
3.免疫賦活試験
本工程では、上記カラムクロマトグラフィー工程で得られたフラクションを免疫賦活試験に付し、免疫賦活活性を有する多糖類を含むフラクションを特定する。
免疫賦活試験としては様々なものが用いられており、本発明では特に制限されない。例えば、免疫賦活試験としては、細胞を用いるインビトロでの評価と、実際に動物を用いるインビボの評価がある。インビトロ評価としては、NK細胞やマクロファージ細胞を用いるものが主である。マクロファージを用いた評価では、異物除去機能としてのマクロファージの貪食作用を測定する系とマクロファージ活性化の指標となる一酸化窒素(NO)あるいはTNF(腫瘍壊死因子)などサイトカインの産生を測定する系が一般的である。例えば、後記の実施例のようにマクロファージ細胞による腫瘍壊死因子TNF−αの産生促進作用を測定することができる。免疫賦活活性の評価に際しては、βグルカンに比して優れた免疫賦活活性を有するか否かを基準とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 多糖類の製造
(1) KNK−A001株の培養
殺菌した液体培地にパラクロレラ・ケスレリ(Parachlorella kessleri)KNK−A001株(受託番号:FERM BP−22256)を接種し、アルミホイルで遮光した後、30℃で72時間前培養した。次に、より大容量の殺菌液体培地に前培養培地を加え、アルミホイルで遮光した後、内温30℃、通気量2L/分、撹拌数450rpm、pH6〜7で143時間培養した。次いで、ダブルドラム型乾燥機により培養液を乾燥し、得られた乾燥凝集体をフェザーミルで粉砕することによりKNK−A001株の細胞乾燥物を得た。
(2) 多糖類の精製
上記KNK−A001株の細胞乾燥物20gを200mLの蒸留水に懸濁し、分子量カット8,000の透析バックを用い、4℃で3日間透析して低分子化合物を除去した。透析後、バッグ内サンプルを三角フラスコに移し、121℃で10分間オートクレーブした。放冷後、50mLチューブに移し、4℃、17,000×gで30分間遠心処理した。遠心後、2mLチューブに移し、さらに4℃、15,000×gで30分間遠心処理した。上清を孔径0.22μmのフィルターを用いて濾過して抽出液とした。
上記熱抽出液80mL(濃度:7.5mg/mL,溶質量:600mg)を、陰イオン交換クロマトグラフィー用充填剤(「Toyopearl DEAE−650S」東ソー社製)を用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに供し、6mLのフラクションを60本得た後、溶離液を0〜1M NaClに変更してさらにフラクションを得た。クロマトグラフィーチャートを図1に示す。図1の通り、5つのピークをもつパターンが得られた。以下、各ピークのフラクションをF1〜F5とする。各フラクションをエバポレーターにより濃縮し、4℃で3日間透析し、分子量8,000以下の成分を除去した。その後、各フラクションを凍結乾燥し、粉末を得た。各フラクションの収量と収率は、質量基準で、F1:170mg(28.3%)、F2:30mg(5%)、F3:110mg(18.3%)、F4:320mg(53.3%)、F5:30mg(5%)であった。
得られた各乾燥粉末を10mg/mLの濃度で超純水に溶解し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、15,000×gで10分間遠心処理し、上清を孔径0.45μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液を凍結乾燥した後、10mg/mLの濃度でリン酸緩衝液に溶解し、さらに孔径0.22μmのフィルターを用いて濾過した。
実施例2: 免疫賦活試験
マウスマクロファージ株細胞RAW264.7を96ウェルプレートに1ウェルあたり5×104個となるように100μL播種後、一夜培養して付着細胞とした。各ウェルから培地を除去し、上記実施例1で得られたフラクションF1〜F5を1,000μg/mLの濃度で含む培地を添加し、5%CO2インキュベーター内で24時間培養した。その後、細胞培養上清に含まれる腫瘍壊死因子TNF−αの単位重量あたり及び単位糖濃度あたりの濃度をELISA法により求めた。結果を図2に示す。図2の通り、単位重量あたり及び単位糖濃度あたりの濃度ともに、F2とF5に免疫賦活活性が認められ、且つF2の活性に比べてF5の免疫賦活活性は明らかに高いものであった。
実施例3: 組成分析
上記免疫賦活試験で活性が認められたF2およびF5の各サンプル50μLに8Mトリフルオロ酢酸50μLを添加し、100℃で3時間加水分解処理した。反応液を乾固させた後、超純水100μLに溶解した。当該溶液を4℃、10,000×gで10分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清を超純水にて10倍希釈した希釈液50μLを無水酢酸でN−アセチル化し、さらにABEE化試薬にて蛍光標識した。次いで、水/クロロホルム抽出により水層から蛍光標識化単糖を回収し、分析に供した。分析は、タンパク質精製装置(「BioAssist eZ」東ソー社製)を用い、カラムとして逆相カラム(「PN−PAK C18」Walters社製)を用い、溶離液としてホウ酸バッファー/アセトニトリル混合溶媒を用い、流速を0.5mL/分に調製し、Ex:305nm,Em:360nmの条件で蛍光を検出する逆相液体クロマトグラフィーにより行い、サンプル1mL当たりに含まれる各単糖の重量から、糖全体に対する各糖の含有割合を算出した。分析結果を表2に示す。なお、上記条件では未検出(ND)の糖であっても、その含有量が完全に0質量%であるとは限らないため、各糖の含有割合の合計は100質量%とはならないことが多い。
Figure 2018193446
F2は、その構成糖の80質量%超がグルコースであり且つ免疫賦活活性を有することから、βグルカンであると考えられる。
F5に関しては、一般的なリポ多糖はガラクトースを主要な構成糖として含まないことから、ガラクトースを多く含むF5はリポ多糖ではないと考えられる。また、KNK−A001株はリポ多糖を含むがその含有量は極僅かであるのに対して、F5の収率は5質量%と遥かに大きいことからも、F5はリポ多糖でないと判断される。
また、ゲルろ過クロマトグラフィー担体(「Sepharose 4B」GEヘルスケア・ライフサイエンス社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィー解析により、F5の分子量は40〜50万と推定された。

Claims (7)

  1. 構成糖として中性糖を含み、
    上記中性糖が、少なくとも、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノースおよびアラビノースであり、
    全中性糖中、ガラクトースの含有量が40質量%以上であり且つグルコースの含有量が15質量%以上であることを特徴とする多糖類。
  2. 全中性糖に対して、上記ラムノースおよびマンノースの含有量がそれぞれ5質量%以上であり、上記アラビノースの含有量が1質量%以上である請求項1に記載の多糖類。
  3. 請求項1または2に記載の多糖類を有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
  4. 請求項1または2に記載の多糖類を製造する方法であって、
    微細藻類およびその培養液の少なくとも一方より熱水抽出する工程、
    上記熱水抽出工程で得られた抽出物をイオン交換カラムクロマトグラフィーに付す工程、および、
    上記イオン交換カラムクロマトグラフィーで得られたフラクションを免疫賦活試験に付し、免疫賦活活性を有するフラクションを特定する工程を含むことを特徴とする方法。
  5. 上記微細藻類がパラクロレラ属藻類である請求項4に記載の方法。
  6. 上記パラクロレラ属藻類がパラクロレラ属ケスレリ種藻類である請求項5に記載の方法。
  7. 上記パラクロレラ属ケスレリ種藻類がKNK−A001株(受託番号:FERM BP−22256)である請求項6に記載の方法。
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Citations (4)

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